シーソー オン ザ ベッド 【うみえり】
9/3 ラブライブ版深夜の真剣ss書き60分一本勝負にて書いたやつです。
絵里ちゃん、暗いの駄目な人だから豆電球ついてるんですかね。かわいいですね。
一度雨が降るたび涼しくなっていく。台風でもないのに、ここの所雨続きで夏が一気に終わったような気がする。寝巻き選びが難しくて嫌だ。厚着をすれば暑くて寝付けない。薄着で寝ると、鼻が詰まる。
なんて言い訳をして、一人用のベッドで抱き合って眠る。すうすうと寝息を立てて、でも人形のようにピンと姿勢良く眠る恋人。抱きついて寝ても暑苦しく無いのは嬉しい。
「うーみ……」
変に起こすと機嫌が悪くなる。そぉっと、海未の髪に顔を埋める。今夜も同じシャンプーを使ったはずなのに、海未の匂いがした。もう私はこの匂い無しで眠れなくなった。そんなこと、どうせ知らないでしょうけど。
ちょうど目の前に耳が見えた。そぉっと、吐息に混ぜて愛を伝える。眉ひとつ動かさず、一定のリズムで寝息を立てる。聞こえてなくてもいい、これからもこうして寝てくれるなら。
肺いっぱいに睡眠導入剤を吸い込んで目を閉じる。もしも二人で暮らすことになっても、一回り小さいベッドにしよう。そういえば海未の髪は綺麗な黒だから、なんだかアイマスクみたいだなぁなんて、馬鹿なことを考えてちょっと笑って、眠る。
「うーみ……」
今夜も始まった。私は寝付くのに時間がかかる。恋人はいつも、もぞもぞと私の髪と枕の間に顔をすりよせる。私が寝たフリをしているとは、たぶん知らないでしょう。
「ぃ……てる」
「…っ」
今の不意打ちは効きました。寝たフリも楽じゃありません。どんな顔して言っているのか、いつか見てみたいですね。
深呼吸をひとつして、寝る。いつも通り。そっと目を開けて、仕返し。
「絵里……」
そっと寝返りをしておでこにキスして、そのまま前髪に鼻を埋める。絵里の匂いが無いと安眠できない身体になったことは、たぶん知らないでしょう。
「愛してます、いつも」
いつもは言わないけれど、今日は仕返しのつもりで。絵里は寝つきがいいので、聞こえてなんて無いでしょうけど。自分の前髪に金髪が混じることも見慣れたけれど、飽きることは無いのだろうなと思いながら目を閉じる。抱き合った暖かさに意識が溶けていき、明日もこうして眠りたいと思う間もなく落ちた。
「…あいしてます、だってさ。」
#ラブライブ版深夜の真剣ss書き60分一本勝負 「ベッド」
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