響「君と望む永遠。」
(提督「まるで、ぼくがいないみたいに。」の続編?です)
死んだら、幸せになれる場所にいけるらしいよ・・・。
そこは、とても暖かくて居心地の良い場所さ。
だけど、目をつぶってみて。
瞼の裏には何が写っている?
提督「まるで、ぼくがいないみたいに。」の続編です。
http://sstokosokuho.com/ss/read/4178
テイトスをガラリと変えますが、基本設定は同じです。
誰も知らぬ時の間
提督『ふむ・・・。』
響『・・・。』
提督『何度やってもかわらないこともあるさ。いいかい?この時間遡行の旅は、ある一定の因果があるからこそなしえる神の技さ。そんなものを個人の力として有していいはずがなかったのさ。』
響『ハラショー。そいつは、驚きだ。』
提督『嘘だね。僕の知っている限り、君は人としてなってはいけないことを繰り返している。それは、とんでもないことさ。』
響『かまわないさ。なにせ、もう
人ではないから。』
提督『まったく、僕には理解ができないね。僕も昔は、本気で何かを変えられると思っていた。だけど、蓋をあけたら驚きさ。そいつは、変わったんじゃない。むしろ、無くなっていたのだから。』
響『・・・。』
提督『君がどれだけ足掻こうと、たとえ人であろうとなかろうと限界というものは必ずある。』
響『超えてみせるさ・・・。彼女のためなら。』
提督『・・・ふっ。おもしろいね。』
響『どこが面白いのさ。私は、結局無意味と、失敗を繰り返すだけの愚か者さ。』
提督『それがいいのさ。言っただろう?ここは、幸せになれる場所さ。君たち生者がどれだけ足掻くのか見守り観察する。それが僕たちウォッチャーの仕事でもあるのだから。』
響『・・・。』
提督『さあ、時間だよ。始めようか。君の、君たちの物語を。僕は、ただ見守るだけさ。』
ーーー
朝日がまぶしい。
昨夜遅くに、呉の訓練所をでてからもう4時間は過ぎている。
暁「うーん・・・。」
那智「おい!暁訓練生!起床せよ!」
暁「は、はい!」
那智「ハハハ。まったく、いつまで寝ているのだ。」
暁「も、申し訳ありません那智教官!」
那智「教官はやめろ。貴様は、本日付で鳴門鎮守府の一員となるのだぞ。そんな態度では、妹たちが泣くぞ。」
暁「申し訳ありません。」
那智「シャキッとしろよ?暁上等兵。貴様は、我ら横須賀訓練校のエースだったのだぞ?安心しろ。あれだけの実力があればそうそうやられることはないさ。」
暁「はっ!」
那智「うむ。間もなく船は鳴門海峡へ侵入する。ここまで来ればあと少しだ。いつでも行ける準備を知ろよ。」
兵『敵襲!!3時の方向!距離2000!ネ級4!』
那智「くそっ!今から艦装をつけていたら間に合わんぞ!」
??『こちら、鳴門鎮守府所属摩耶だ。これより、貴官らを援護する。』
那智「摩耶・・・猪突猛進の摩耶か。こちら、横須賀訓練校教官の那智大尉だ。貴官らの援護に感謝する。」
摩耶『どうってことないさ。行くぞ!阿賀野、利根!』
那智「甲板に出て戦いを見てみろ。いいか、あれが今日から貴様が所属する鎮守府先輩だ。」
暁「すごい・・・。」
3人は一糸乱れぬ編成を維持しながらネ級の懐へ飛び込むと、一気に撃破した。
ネ級から飛び立った艦載機は摩耶の正確な射撃で撃ち落とされ、お返しと言わんばかりに利根から艦載機が発艦していく。
阿賀野から発射された魚雷は、計算済みといわんばかりに的確にネ級の横っ腹へ突き刺さった。
わずか、1分でネ級を撃退すると彼女たちが元いた鎮守府へと帰還していった。
那智「貴官らの援護を感謝する。」
摩耶『なに、どうってことないさ。』
那智「どうだ、すごいだろ。」
暁「すごすぎです・・・。あんな一瞬で数の多い敵を倒すな んて・・・。」
那智「いいか?貴様が今日から所属する鎮守府は、帝国内でも3本指に入る撃退数を誇っている鎮守府だ。気合を入れていけよ。」
暁「はいっ!」
響『・・・。』
ーーー
那智「さあ、上陸だ。荷物の忘れ物はないな?」
暁「はい!」
那智「頑張れよ。」
暁「ありがとうございます。」
那智「うむ。ではな。」
暁は、外へ続くタラップを下り始めた。
既に那智は艦内引き返している。
寂しさと期待を心に抱きながら降りていくと暁は声をかけられた。
暁「・・・?」
??「あの・・・暁お姉ちゃん?」
暁「もしかして・・・電?」
電「やっぱり!お久しぶりなのです!ずっと会いたかったのです!」
暁「私もよ!よかったわ、さっそく妹に会えて。」
電「電もうれしいのです。私たちは部屋で待ってるので先に司令官に挨拶にいくといいのです!」
暁「そうね、立派なレディーになるためには礼儀よくしなきゃね。」
電「・・・?」
暁「それで、司令官はどこにいるのかしら?」
電「あわわ・・・たぶん、執務室なのです。案内します」
暁「ありがとう。それで、どう艦娘になった気持ちは。」
電「最初は戸惑ったけど・・・今はだいぶ慣れたのです。」
暁「そう、それはよかったわ。」
電「そういえば、話さなきゃいけないことがあるのです。」
暁「・・・?」
電「この鎮守府は、いい意味でも悪い意味でも実力主義なのです。だから、摩耶さん達には逆らっちゃいけないのです。」
暁「どうして?確かに、彼女たちはすごいわ。だけど、威張られる必要があるのかしら?」
電「ここは・・・電の話を素直に聞いてほしいのです・・・。」
暁「・・・。」
電「ともかく、普通にしている分にはなんの問題もないのです。だから・・・。」
暁「わかったわ。下手やって妹たちにまで迷惑はかけたくないしね。」
電「ありがとうなのです!」
暁(思っていたよりここは、スパルタなのかしら・・・。)
暁「ところで、雷や響はどうなのよ。」
電「雷ちゃんは、最近改装備にしたのです。いつも元気いっぱいなのです。響ちゃんは・・・よくわからないのです。電たちより先にここにいたのです・・・。」
暁「わからない?」
電「響ちゃんは、あまり電たちとは話をしないのです。いつも独りでいて・・・。」
暁「そうなの?いじめられてるわけじゃないのよね?」
電「それは・・・ないと思うのです。響ちゃん自身が、周りを避けているのです。」
暁「そうなの・・・。少し心配ね。」
電「なのです。あ、ついたのです。それじゃ、電はこれで。」
暁「うん、ありがとう。あとでね。」
暁(さあ・・・最初が肝心ね。)
コンコン
暁(返事がないわね・・・。中で物音を聞こえるけれど・・・。入っていいかしら。)
暁「本日付で、鳴門鎮守府に配属された暁上等兵です。どうか、よろしく・・・。」
響「・・・。」
そこに広がる光景は、まさに海であった。
だが、青く澄み渡る海ではない。
赤黒く生臭いものである。
壁という壁、床という床、天井という天井が赤の世界に染まっており、かつて人の形を成していたであろう物が部屋中に散らばっている。
その中で、少女は・・・響は動じることなく暁を見変えていた。
暁「おえ・・・。」
響「・・・。」
ゆっくりと響が暁へと近づいていく。
その顔に表所はなかった。
ないことが一層、暁を恐怖の底へと落とした。
暁「こないでっ!あなた・・・!何をしたのよ。」
響「さあ、その質問の意図がわからない。」
暁「わからないって・・・!あなた・・・なにをしたの?」
響「・・・。」
暁「答えて!」
響「暁お姉・・・。あなたに・・・。」
暁「ひっ!」
響「どうして・・・避ける・・・。」
暁「それは・・・あなたが・・・!」
??「こらこら、姉妹がなにをしているんだい?」
暁「え・・・?」
響「・・・。」
??「やあ、君が暁かい?僕は、鳴門鎮守府の提督さ。よろしくね。必要な手続きは僕がしていくから先に部屋に戻っていいよ。」
暁「え・・・あ・・・はい・・・。すいません、よろしくお願いします。」
提督「ああ、よろしく暁ちゃん。」
響「・・・。」
提督「まったく困るよ。僕だってそう何度も死にたくないからね。」
響「・・・!」
提督「まあ・・・せいぜい頑張ってね。」
ーーー
阿賀野「はいはーい!それじゃあ、今日から配属された子を紹介するよ!司会は、阿賀野がやりまーす。」
暁「あ、暁よ!一人前のレディを目指して頑張るわ!よろしくお願いします。」
「おお、頑張れー。」
「よろしくー。」
「かわいいねー。」
阿賀野「はい、それじゃあ後は自由時間ということでー。皆仲良くしようね!」
暁「ふう・・・緊張した。」
電「暁お姉ちゃんは、十分堂々としていたのです。」
雷「そうよ。」
暁「ありがとう、電、雷。」
響「ハラショーな演説だった。」
暁「そ、そう。ありがとう。」
??「Hey!お邪魔するネ!」
??「突然すいません。」
??「そうです、ここは礼儀正しく行くべきです。」
??「さすが霧島姉さん!」
??「そんな堅苦しいのは、なしネ!私は英国生まれの金剛デース!」
??「榛名です!どうぞ、よろしくお願いします。」
??「私霧島です。」
??「ひ、比叡です!あの、よかったらこれ・・・食べてください!」
暁「あ、ありがとう・・・。」
暁(なんなのよ、このダークマターは!)
雷(相も変わらず、すごいものつくるわね・・・。)
電(今は、取りあえずもらっておくのです!)
暁「お、おいしそうね。」
比叡「はいっ!朝から何時間も煮込んで作ったおにぎりです!」
雷(なんでおにぎりを煮込むの?!)
電(わからないのです・・・。)
暁(ヒィィ・・・)
響「・・・。」
金剛「うらやましいネ!」
比叡「金剛お姉さまにも今度おつくりしますよ!」
霧島「え、ええ・・・。またの機会にしましょう。」
暁(うまく逃げた?!)
榛名「さあ、そろそろ変わりましょう。私たちで暁さんを独占してはいけませんよ。」
金剛「それじゃあ、see you!」
暁「・・・とりあえずここに置いておきましょうか。」
??「むむ?これは、チョコレートか?」
??「利根姉さん、はしたないですよ。」
利根「すまんのう。利根じゃ!よろしく頼むぞ!」
暁「暁よ。」
??「筑摩です。姉さんが、ご迷惑をおかけしてすいません。」
利根「なんじゃ、吾輩はなんもしてないぞ!」
筑摩「そんな横暴な挨拶をしても、暁さんが怖がるだけですよ。」
利根「ハッハッハ!そんなことは、ないぞ!それで、これはチョコレートか?」
暁「あ、それは。」
利根「どれっ。」
利根がそれを口にした瞬間、利根の顔色がみるみる青ざめていくのがわかった。
筑摩が、なにかに気が付いたような顔をすると「また、今度・・・。」といいながらどこかへ行ってしまった。
響「ハラショー。」
雷「相変わらずすごい威力ね。」
暁「どうやったら、あんなもの作れるのよ・・・。」
愛宕「やっほー!」
響「・・・!」
雷「来るわね・・・。」
愛宕「パンパカパーン!」
響・雷「パンパカパーン。」
暁「パンパカパーンってなによ・・・。」
高雄「別に無理してやらなくてもいいのよ?」
電「みんな楽しそうなのです。」
愛宕「はいはーい!愛宕お姉さんだよ。よろしくね、暁ちゃん。」
暁「よろしく・・・。」
愛宕「もー暁ちゃってかわいい!」
暁(む、胸が・・・!)
雷「べ、別にあんなものいらないわよ!」
電「気持ちよさそうなのです!」
響「・・・。」
高雄「もう愛宕ったら。暁ちゃんが苦しそうよ。」
愛宕「あら、それはごめんなさい。」
暁「べ、別に大丈夫よ!私も、早く一人前のレディーになって大きくなるから!」
愛宕「あらー!お姉さん楽しみよ!」
高雄「ごめんね。でも、安心してこの鎮守府には優しい人ばかりだからね?」
摩耶「相変わらず甘いな。」
鳥海「もう!摩耶ったらどうしてそんなこというの?」
愛宕「あらー、摩耶に鳥海じゃない。」
摩耶「ふんっ。」
鳥海「もう!すいません、鳥海です。隣にいるのが摩耶です。」
摩耶「いいか、ここは実力主義だ。体の大きさも艦装の性能もクラスも何も関係ない。力ある物が頂点に立てる。暁。お前みたいな貧弱が来ていい場所じゃない。」
暁「そんなことないわ!」
摩耶「ほう?だったら、なぜ自分の力で教官1人守れない!」
暁「それは・・・。」
鳥海「だから!どうして怖がらせるの!摩耶だって最初は、出撃の度に泣いていたじゃない!」
摩耶「ま、摩耶様が泣くわけないだろ!」
愛宕「あれれー?この写真なんだろうなー。」
摩耶「な!どうしてそんなものが!」
愛宕「高雄にパース!」
高雄「ま、巻き込まないでよ!鳥海!」
鳥海「ええ?!私ですか?!」
摩耶「早く返せ・・・!」
鳥海「ちょ、助けてくださいよ!」
愛宕「アハハ!私も行くわよ!」
高雄「ああ!もう、2人とも!ごめんね、私たちはもう行くわね。」
暁「・・・。」
電「みなさん仲良しなのです。」
雷「摩耶って肝心なところでいつも邪魔されるわよね。」
響「・・・暁姉さん。」
暁「な、なに・・・?」
暁(響・・・この子は、本当に大丈夫なの?)
響「私たちが、鎮守府エースになる必要はない。」
暁「え・・・?」
響「私たちは、前線にいってはいけない。」
暁「ちょ、それはどういう・・・。」
響「今は、わかる必要はない。」
電「なにかありましたか?」
暁「別になんでもないわ。」
響「・・・。」
提督「やあやあ、遅れてごめんよ!」
阿賀野「あ、司令遅いー!」
矢矧「まったく遅いわ。」
提督「ごめんよ。僕も忙しかったんだよ。」
響「・・・!」
阿賀野「それじゃあ!司令のご挨拶だよ!」
提督「はい、ということで僕が提督です・・・ってみんな知ってるよね。」
金剛「ハハハ!提督面白いネ!」
霧島(どこが面白いのでしょうか・・・)
榛名(榛名にもわかりません・・・)
比叡「おもしろいですね!」
霧島・榛名(・・・。)
提督「改めて、暁ちゃん。着任おめでとう。君をズッと待っていたのは僕だけじゃないはずさ。」
電「は、恥ずかしいのです・・・。」
提督「さて、こんなにもめでたい場だしょだけど僕は君たちに一つ重大な知らせをしなくてはならない。」
「重大な知らせ?」
「なんだったてんだよ。」
「なんでしょうか。」
響「・・・。」
提督「先ほど、大本営から通達があった。一週間後、M3地点に存在すると思われている敵航空戦力の漸減作戦を決行する。これは、人類が・・・我が帝国が維持している絶対防衛圏の拡大と資源の確保にも通ずる大事な作戦である。本作戦は、他鎮守府とも連携が必要されている。これより、本作戦を呼称MD作戦とする。我が鳴門鎮守府に求められているのは、横須賀から来る主力艦隊の航路の確保及び広域殲滅だ。そのため、我々は3日後那覇鎮守府に向け出港する。質問は。」
鳥海「予定される敵の数はどれくらいなのでしょうか。」
提督「確定数は不明。予想される敵の数は、推定2万個体。」
鳥海「2万・・・。」
提督「わかっていると思うが、ここから那覇鎮守府までの航路には敵密集地帯・・・通称巣窟が存在する。未確認の巣窟も存在する危険な航路だ・・・。だが、ここを掌握することは帝国の悲願でもある。」
金剛「その数を私たちでcoverするのは無理では?」
提督「もちろん、すべての殲滅は求められていない。あくまでも、航路上の敵だけだ。」
響「だとしても、その作戦には不確定要素が多すぎる。響たちだけじゃ無理だ。」
提督「ウチの水雷部隊のエースなんだから、そこは弱気にならないでほしいね。響ちゃん。」
響「・・・。」
提督「作戦のさらなる詳細は、各小隊以上の隊長に追って伝える。まあ、なんだ。今日は楽しんでくれ。以上。」
暁「MD作戦。」
電「大丈夫なのです。きっとうまくいくのです。」
雷「そうよ。今までも無理難題をこなしてきたのよ。」
響「・・・いいかい、何があっても響の言うことを聞くんだ。」
暁「な、なによ突然。」
響「それが生き残るための必要最低条件だからさ。」
ーーー
作戦司令室
暁(す、すごい迫力だわ・・・)
提督「おはよう、暁ちゃん。昨日は久しぶりに姉妹水入らずで過ごせたかな?」
暁「も、もちろんよ。」
提督「そうか、それはよかった。よし、点呼するぞ。」
金剛「主力艦隊旗艦金剛ネ!」
利根「第二小隊旗艦利根いるぞ!」
摩耶「特遊撃部隊旗艦摩耶様だ。」
大鳳「空母機動部隊旗艦大鳳です。暁さん、昨日はお出迎え出来なくてごめんなさい。よろしくね。」
暁「あ、よろしくおねがいするわ!」
雪風「よろしくお願いします!」
島風「よろしくー。」
提督「どうしてこの2人がいるんだ・・・。」
大鳳「暁さんと会いたいそうなので。」
提督「まあ・・・いいけど・・・。」
金剛「暁の番ネ!」
暁「く、駆逐艦隊旗艦暁よ!」
提督「よし、全員いるな。」
暁「あの・・・どうしてこんなにも部隊が別れているの?ふつうは、もっと数を少なくした方が効率もいいと思うのだけれど。」
提督「なるほどな。それは、この鎮守府の運営特徴ゆえのこの分け方なんだ。鳴門鎮守府の最も多い仕事は、艦隊の護衛だ。攻略だ反抗でわない。したがって、わざわざ大きい規模に部隊をわけずに小分けすることでより多くの仕事をこなせるようにしているわけだが・・・なぜか帝国内での撃退率が高い・・・その理由は・・・まあ・・・。」
摩耶「それ以上は、いいだろ。続きを早くやろうぜ。」
提督「うむ・・・。では、改めて作戦の詳細を説明しよう。」
そういうと提督は、部屋を暗くしスクリーンを出した。
スクリーンには帝国近海の戦況と地図が映し出される。
提督「現在の帝国最大防衛圏は、北は北海道・東は小笠原諸島近海を含む12海里・南は那覇鎮守府近海までとなっている。大本営は、帝国の現状から現状の艦娘稼働率を維持した場合もって半年と判断した。そこで、那覇鎮守府を抜けたその先。インドネシア諸島の地下資源を今回確保するために本作戦はたてられた。では、なぜ今までこの作戦が立案されなかったか・・・大鳳。」
大鳳「はい、インドネシア諸島までの海域には深海棲艦の寝床ともいわれている巣窟が多数存在します。また、飛行場姫の姿も確認されているため侵攻は、ほぼ不可能と言われていました。」
提督「まったくその通りだ。だが、現状が変わった。現在、飛行場姫は合衆国近海カリブ海でその姿を確認されている。よって飛行場姫が居ない今、帝国は南方進撃作戦を決行することを決めた・・・というわけだ。」
金剛「そうは言っても、巣窟を通る限り無茶な作戦に変わりないネ。」
利根「そうじゃな・・・。それに、いざ主力艦隊がここを通るとなるとかなり大規模な航路を確保しなければならんじゃろ・・・。」
摩耶「近隣鎮守府から戦力を借りることはできねーのかよ。」
提督「残念ながら、近隣鎮守府もMD作戦の準備に追われていてな。しいて言うならば、呉から何人か増援が来れるかもしれない・・・。上と掛け合ってみよう。」
大鳳「どちらにせよ、この作戦には不可解な点が多すぎます。」
暁(あれ・・・今司令笑わなかった?)
金剛「ん・・・?」
提督「そうだな。だが、上の命令に逆らえば反逆罪だ。僕だけじゃなく君たちの命も危ない。それだけは、避けたいんだ。」
摩耶「まあ・・・確かに、陸でみじめに銃殺されんのは勘弁だぜ。」
提督「そうだろう。さて、話を戻そうか。今回は、小規模に分けた編成にする必要がない。よってこのような編成にしたいと思う。」
左翼索敵隊
摩耶 小隊旗艦
鳥海
島風
右翼索敵隊
利根 小隊旗艦
愛宕
雪風
第二索敵隊
暁 小隊旗艦
電
雷
響
主力攻撃艦隊
金剛 艦隊旗艦
霧島
榛名
比叡
阿賀野
矢矧
長距離索敵部隊
大鳳 空母機動部隊旗艦
翔鶴
瑞鶴
筑摩
高雄
摩耶「なるほど、対空迎撃に特化した俺たちと足の速が早く火力をある程度もった利根の部隊を先鋒に。」
利根「後ろには、高速の駆逐艦を置いていつでも援軍として動かせるようにているのじゃな。」
大鳳「中間に射撃の距離の長い戦艦を置いて、援護射撃を可能にしているのですね。」
金剛「殿に機動部隊を置いて、索敵に集中させてるネ!」
提督「と、まあそういうことだ。ここから、まだまだ詰めていかなくてはいけないけどね・・・。」
金剛「だとしても、金剛達なら大丈夫デース!帝国内でも最強鎮守府の一角を担う私たちなのデース!」
島風「最強かんたーい!」
雪風「最強なのです!」
摩耶「まったく、自信過剰というかなんというか。」
提督「とりあえず、しばらくは海域攻略はなしだ。資源回収のために遠征には出すかもしれないけどね。基本的には、各小隊・各中隊での訓練を重点的に行ってほしい。以上だ。」
ーーー
暁型の部屋
暁「と、いうわけよ。私たちは、当日第二索敵隊兼前衛の予備選力となるわ。」
雷「腕がなるわね。」
電「電の本気をみるのです。」
響「・・・。」
暁「なによ響。もしかして、怖気ずいちゃったのかしら。」
響「そんなわけないさ。だけど、もし前衛の2小隊が同時に援軍を求めた場合どうするのかと思ったのさ。」
暁「あ・・・。」
響「それに中央を敵が突破してきた場合、響たちは直接戦わなければいけないわけだし。」
暁「そ、そうだけども・・・。」
響「一見完璧な作戦に見えても、穴だらけだ。」
3人「・・・。」
響「前も言ったと思うよ。最後は、響の言うことを聞いてほしい・・・。」
暁「だから、どうしてよ!最終的な旗艦は、金剛なんだよ!」
響「・・・。」
電「け、喧嘩はいけないのです・・・。」
雷「ちょっと、あんたたちいい加減にしなさいよ!」
響「・・・わかったさ。でも、響は・・・みんなと生き抜きたいと思っているのは事実さ。」
暁「・・・響。あんた、何か知ってるの?」
響「・・・さあ、訓練の時間だ。」
訓練場
暁「電、2時の方向!」
電「了解なのです!」
響「8時はまかせて。」
雷「後ろから来ても無駄よ!」
暁「目視での敵の存在を確認できず、よし帰還するわよ。」
利根『おうおう、さすがは姉妹艦じゃ。息がぴったりじゃの。』
摩耶『ふん、摩耶様の後ろを守るならそれくらいできて当然だ。』
愛宕『あらあら、摩耶は相変わらず威勢だけはいいわね。』
摩耶『何言ってんだ!そんなことないぞ!』
愛宕『へえ、初めての出撃で深海棲艦の侵入を許して金剛を中破させたことは忘れたのかしら?』
摩耶『ちょ!おま!それを言うな!』
鳥海『もう、愛宕さん。摩耶をからかうのはやめてあげてください。』
愛宕『そうね、鳥海の顔に免じて今回だけわね。』
摩耶『愛宕ー!いい度胸してるじゃないか、陸に上がったら覚えておけよ。』
島風『はやく帰ろー!』
雪風『はいっ!』
暁「なんか、ここにきてから私のなかの摩耶のイメージが変わったわ。」
雷「もともとあんな感じよ。」
電「ギャップなのです!」
摩耶『あんたら、聞こえてるわよ。』
電「はわわわ。大変なのです。」
摩耶『いい度胸るじゃない。覚えてなさいよ。』
鳥海『もう、摩耶!みんなに喧嘩売るようなことしないの!』
摩耶『うっ!そんなに、怒るなよ。』
雷「摩耶も・・・なんていうか学習しないのよね。」
響「戦闘技術は高いけどね。」
暁「それだけじゃ、立派なレディとは程遠いわね。」
電(暁お姉ちゃんがそれを・・・。)
雷(シー!知らぬが仏よ。言わないの。)
響「暁お姉が言えないだろう。」
暁「なっ!」
雷「ちょ、ちょ!!」
電「はわわ。喧嘩はだめなのです。」
響「どうでもいいさ。今日の命中率を見ればわかるだろう?」
暁「ぐぬぬ・・・。」
響「響も喧嘩をしたいわけじゃない。」
暁「・・・。」
響「暁お姉。正直、今日の訓練で見直した。さすが響たちのお姉だ。すごい・・・成績だ。」
響「だからこそ・・・生き抜いてほしい。」
暁「なによ?何を言ったの?」
響「なにもさいさ。」
電「け、喧嘩にならなくてよかったのです。」
雷「ほ、本当よ・・・。」
愛宕『はいはーい!次は、援護の訓練を始めるよ。みんなー、準備はいい?』
暁「もちろんよ。」
響「・・・援護。」
愛宕『それじゃあ、張り切ってやってみよう!』
電「はりきっていくのです!」
雷「そうね!」
暁「ほら、響もいい加減気合いれなさいよ。」
響「・・・。」
響(また・・・誰のことも・・・。)
摩耶『遅いぞ!早く撃てっ!』
電「い、急ぐのです!」
響(こんな練習しても・・・)
利根「こんかいの仮想敵なかなかやるなじゃないか!」
雷「それがどうしたのよ!くらいなさい!」
響(どうして・・・いつも・・・いつも・・・)
島風『当てられるものなら当ててみろー。』
雪風『雪風は、沈みません!』
暁「ああ!早さだけじゃなくて撃ちなさいよ!」
響(響の・・・響の言うことを聞きなさいよっ!」
全員「・・・。」
響「あ・・・。」
暁「あんた・・・いつまでそんなこと言ってるのよ。」
響「ち、違う・・・。これは。」
利根『なんじゃ今の。』
鳥海『お、驚きです・・・。』
響「違うんだ!聞いてほしい!」
電「響ちゃん・・・。」
雷「そこまで勝手な奴だとは・・・。」
響「これには理由が!」
暁「理由もなにもないわ!響・・・あんたそんなに一緒にいたくないならいなくていいわよ。」
響「え・・・。」
暁「はっきりいって、そのままじゃ迷惑だわ。」
ーーー
執務室
提督「なるほどねぇ・・・。」
暁「このままじゃ、ほかの部隊の足も引っ張ることにもなるわ。」
提督「だけど、暁ちゃん。君のかわいい妹の1人なんだろう?それを1人だけ退け者扱いみたいにするのは、良くないと思うけどな。」
暁「そうかもしれないけど・・・。」
提督「まあまあ、響ちゃんのほうがここにいるの長いんだし戦場にいるのも長いんだから。ね?」
暁「それとこれとは、話が違うわよ。」
提督「いや、だけどねえ・・・。こればっかりは、いくら小隊長でも暁ちゃんの一存じゃ決められないことだよ?」
暁「・・・私は、誰にも傷ついて欲しくないの。」
提督「・・・。」
暁「それは、響にたいしても同じことを思ってる。あのまま勝手な行動が続いたら・・・私じゃ守り切れなくなる。」
提督「全員を守るつもりかい?」
暁「・・・そうよ。それの何がいけないの。」
提督「・・・いや、わるくはないよ。むしろ、その思いは尊重すべきものだ。だけど、全員を守るなんて無理じゃないかな?」
暁「なっ!」
提督「人は、誰しもなにかを犠牲に生きている。それは、私だろうが暁ちゃんだろうが一水兵だろうが艦娘だろうが関係ない。全員を守るなんてムシが良すぎるのさ。」
暁「あんたが・・・あんたがそんな思いで言いわけないっ!司令官なんでしょ!」
提督「司令官だからさ。温情や優しさだけで生きていけるほど戦争は甘くない。冷酷で残忍な選択をするからこその司令だ、提督だ!」
暁「・・・。」
提督「暁ちゃんの言いたいことは、わかった。ほかの艦娘とも相談してあらためて答えを出そう。」
暁「わかったわ。失礼するわ。」
暁は、やや怒ったような表情をしたまま部屋を出ていった。
彼女が言いたいことは、至極まっとうなことだった。
自分の隊の1人が、全員の足を引っ張る可能性がある。
だから、その1人を部隊から外してほしい。
そうしなければ、その1人すら守れない・・・というものだ。
提督「・・・別にどちらでもいいんだけどね。」
提督は、不敵な笑みを浮かべると机にひじをつき口のまえでこぶしを合わせた。
提督「いい加減出てこないのかい。」
響「いることがわかっていたなら、どうしてあの話を。」
提督「聞きたいかと思ったのさ。君たち暁型は、誰かを助けようとして自分すら破滅に追い込む。違うかい?」
響「・・・。」
提督「いい加減諦めればいい。何度挑戦しても叶えられないこともあるのだと。幸せになれないこともあるのだと。」
響「どうでもいい。」
提督「は・・・?」
響「私が守りたいのは、姉たちであり・・・暁お姉だ。」
提督「・・・傲慢だね。実に欲深い。」
響「あぁ、その通りさ。だけど、そうするしかなかったのさ。」
提督「僕には理解できないよ。いや・・・もう理解できないよ。何度もいっているだろう?起きたことは無かったことにできない。よくて先延ばしにするだけだと。」
響「先延ばし・・・。」
提督「かつて、1人の艦娘を救うため僕も奔走したさ。結果として、それは鎮守府全体を助けることになった。だけど、最終的にどうなったと思う?その鎮守府は、僕がいなくなった半年後崩壊した。」
響「・・・それでもいい。1分でも1秒でも長く一緒にいれるのなら。」、
提督「ふふふ。違うよ、言っているだろう。僕たちウォッチャーは、むしろ君が最後にどのような顔をして負けを認めるの、絶望するのかを観察したいんだからさ。だけどね、僕だってそこまでひどい鬼じゃない。だから、助言をしているのさ。問題を先延ばしにすることはなんの解決のもならないと。」
響「問題を先延ばしにしているわけじゃっ!」
提督「しているじゃないか。」
響「・・・あなたと同じような結末を迎えるとは、限らない。」
提督「いいや、決まっているさ。大きな因果をもって僕たちは、やり直しの地へ幸せになれる場所へと向かう。その因果の結果は、何人たりとて犯せないものなのさ。」
響「そんなこと・・・!」
提督「諦めろとは言わない。だけどね、響ちゃん。そこに希望はないよ。」
響「響は・・・必ず変える。誰にもできなかったことをしてみせる。」
提督「・・・君は、神にでもなるつもりかい。」
響「守ることができるなら、神でも悪魔にでもなんにでもなるさ。」
ーーー
MD作戦当日 出撃地点
提督「諸君らの奮戦に期待する。」
金剛「張り切っていくネ!」
摩耶「ふん!さっさと終わらせるぞ!」
鳥海「もう、摩耶。焦ったらいけませんよ。」
摩耶「知るか、そんなこと。」
阿賀野「よーし、がんばっちゃぞ。」
矢矧「はい。」
島風「一番乗りだもんねー!」
雪風「さ、さきにいっちゃいけませんよ!」
愛宕「みんな元気ねー!」
高雄「元気すぎなのも、どうかと思うけど・・・。」
電「みなさん、頼もしそうです。」
雷「そう?自由奔放って感じなだけじゃない?」
暁「いい、私たちは隊列を乱さないようにね。一人前のレディーの条件の1つよ。」
雷「関係ないと思うけど・・・。」
響「だけど、乱さないことは大切だ。」
暁「・・・。」
電「な、仲良くしていきましょう。」
暁「別に、喧嘩してないわよ。」
響「そうだね。」
雷「素直じゃないというか、なんというか。」
電「それが、お姉ちゃんたちなのです。」
響「そろそろ目標海域だよ。」
暁「響がしきらないで!」
金剛「それでは、みんな陣形を作るネ!」
摩耶『こっちは、用意できたぞ。』
利根『同じく、完了じゃ。』
暁「用意できたわ。」
大鳳『こちらも、大丈夫。』
金剛『それじゃ、周囲を警戒しながらGOネ!』
暁「ねえ、響。」
響「なに。」
電「はわわ。」
雷「喧嘩は、やめなさいよ!」
暁「喧嘩するわけないじゃない!」
電(暁お姉ちゃんは、いつでも喧嘩腰なのです。)
雷(それは、私たちだけの秘密にしましょう。)
暁「響・・・あなたは、何を知っているの?」
響「知っている?」
暁「気になるの。どうして、言うことを聞けなんて言うのか。理由があるんでしょ?」
響「言ったら、信じて従うの?」
暁「それは、理由によるわよ。」
響「それじゃあ、だめ。」
暁「なんでよ!」
響「あまりにも突拍子もないことだから。もし、響が暁お姉の立場だったら絶対に信じられないようなことだから。」
暁「なにそれ。もしかして、これから何があるかもわかってる、とか言うの?」
響「そうかもしれない。」
暁「曖昧ね。」
響「だけどね・・・。もう、何度目の言葉かわからないけれど、響は・・・・必ず全員を守る。」
電「響ちゃん・・・。」
雷「響・・・。」
暁「あんた・・・。」
大鳳『前方、5000m先に敵一個小隊規模の海上打撃艦隊を発見。旗艦は、ネ級です。』
鳥海『重巡が主力ということでしょうか?』
大鳳『はい、間違いないですね。』
摩耶『へっ。だったら、左翼索敵隊行動開始!一気にたたくぜ!』
鳥海『了解!』
島風『はーい。』
金剛『Wait!勝手な行動は!』
摩耶『どうせ航路上にいる敵なんだ!いつ倒しても・・・変わらないだろ!』
暁「摩耶さん!」
響「行かせてはだめ!」
暁「わかってる。」
響「どうにかして止めなくちゃ!」
雷「私たちが追う?!」
電「それじゃあ、後続部隊の警護がいなくなるのです!」
暁「金剛!どうするの!」
金剛『・・・・主力艦隊から援軍を送るネ!』
響「それでもだめだ。この先は・・・。」
暁「この先はなに?」
響「そ、それは・・・・。」
電「・・・?」
響「摩耶!いい加減に!」
摩耶『ちょ、やめろ!』
鳥海『きゃあああ!』
島風『これはやばいかもー。』
金剛『ど、どうしたネ!』
摩耶『金剛、こいつはやべえぞ!』
霧島『なにがマズイのかしっかり説明してください!』
鳥海『報告します!前方3000m先に・・・・敵空母機動部隊を発見!』
榛名『それならば。大鳳さんたちに出撃を要請しましょう!』
摩耶『だめだ!あの中には・・・・空母水鬼がいる!』
阿賀野『えええ!』
金剛『そ、そんなはずはないね!この海域に敵の幹部クラスの敵はいないはずネ・・・。』
摩耶『現実に目の前にいるんだ!指示を出せ!』
金剛『シット!全員、聞こえてるネ?一度集まるね!これ以上の作戦の継続は困難と判断するネ!一度鎮守府に戻るネ!』
瑞鶴『待ってよ!ここまで来て、逃げ帰れって言うの!』
翔鶴『瑞鶴!やめなさい!』
瑞鶴『そんなこと認められないよ!』
金剛『総旗艦は、金剛ネ!言うことを聞くネ!』
電「険悪な雰囲気なのです・・・。」
雷「このままじゃ、ここで空中分解して全滅しかねないわ。」
響「くっ・・・。」
暁「瑞鶴!一度落ち着きなさいよ!今の装備で大量の艦載機部隊に勝てるの?」
瑞鶴『そ、それは・・・来たばかりの新米がわかったような口を!」
暁「なんとでも言いなさい!あなたが死ぬだけなら構わないわ。だけど・・・それを私たちまで巻き込むのはやめて!」
瑞鶴『あ、あんたね!』
翔鶴『瑞鶴!いい加減にしなさい!』
瑞鶴『翔鶴姉・・・。』
翔鶴『金剛さん申し訳ありません。あとできつく言っておきますから。暁ちゃんもごめんね。』
暁「そ、そんなのは・・・。」
金剛『みんな聞いたね!これより撤退戦を始めるね!右翼索敵隊は左翼索敵隊の援護にまわるネ!』
利根『了解じゃ!』
金剛『必ず、生きて帰るネ!』
ーーーー
鳴門鎮守府 執務室
提督「以上が、本作戦の詳細方向です。」
元帥『・・・つまり、貴様らはおめおめと帰ってきたわけだ。』
提督「現場の判断・・・と言っていただきたい。」
元帥『あくまでも、貴官には責任はないと?』
提督「部下の失態であるのならば、責任は取りましょう。ですが、カリブ海にいるとされた空母水鬼の出現、敵との予想以上の戦力差。ここまでわかっていながら、無意味に突撃を敢行するようには、私は部下を育てていませんので失態とは認めませんよ。」
元帥『・・・まったく。貴官には、かなわんな。今回の件、憲兵によりさらに詳しく調べられるだろう。その報告をもって処分を言い渡す。いいな。』
提督「元帥のお心遣い・・・感謝いたします。」
元帥『思ってもいないことを・・・。だが、本作戦の失敗は我が帝国海軍の大きな汚点となることは間違いないだろう。』
提督「・・・。」
元帥『・・・わかっているとは思うが、本作戦には東洋艦隊が一枚噛んでいたのだぞ。』
提督「ドイツ帝国海軍・・・ですね。」
元帥『その裏にいるのは・・・・。」
提督「シュタージ・・・国家保安省。なるほど・・・。」
元帥『国家保安省と陸軍中野学校は、旧知の仲だ。この意味が・・・わかるな?』
提督「陸軍は、海軍の失態を狙った・・・ということでしょうか。」
元帥『だとしても・・・情報の隠蔽までするとは。いやはや、陸軍もやりすぎた・・・というところだな。』
提督「いつの時代もそうです。国の外に敵はいるはずであるのに、国内で覇権を争うしまつ。それがこの国です。」
元帥『おほん、提督。あまり過激な発言が続くのは感心できないな。慎めよ。』
提督「申し訳ありません。では、後ほど。」
元帥『うむ。』
提督「・・・忌々しい。老人どもめ。何を考えている。」
大鳳「いかがいたしますか?」
提督「どうもこうもない。MD作戦の決行を遅らせるわけにはいかない。」
大鳳「・・・ですが、我が鎮守府の航空戦力だけでは空母水鬼には対抗できません。」
提督「・・・。」
大鳳「・・・増援ですか。」
提督「避けたかったのだがな、仕方ないだろう。大鳳、呉鎮守府に連絡をつけてくれ。」
大鳳「わかりました。」
提督「・・・響め。わかっていながらあえて出撃させたな。金剛を旗艦にしろ言った時に気が付くべきだった。本来、大鳳を旗艦にするところを・・・なるほど、金剛は話がわかるやつだ。奴なら退却をいとわないだろう・・・くそっ!」
提督「・・・歴史を変えることは許されない。悪いが、第六艦隊には海に沈んでもらうぞ・・・。」
ーーー
暁型部屋
暁「・・・。」
響「・・・。」
電「はわわ・・・。」
雷「ちょ、ちょっと・・・何してるのよ。」
暁「・・・響。」
響「・・・なんだい。」
暁「あなたの命令違反には、そろそろ我慢でないモノがあるわ。」
響「・・・。」
暁「・・・だけど、今日はあなたのおかげで全員あの戦場から生きて帰れた。」
響「・・・!」
暁「ありがとう。」
響「・・・。」
雷「響、泣いてるの?」
響「泣いていないさ。」
電「ハンカチを貸してあげるのです。」
響「ありがとう。」
暁「どうしたのよ、当然。簡単に泣いてちゃ、一人前のレディーにはなれないわよ。」
響「・・・。」
暁「うん?」
響「お姉たちの・・・未来を変えられた。それが、今は嬉しい。」
電「未来・・・?」
雷「あんた、疲れてるの?」
暁「・・・前にも似たようなこと言ってたわね。」
電「びっくりなのです。」
暁「響・・・あなた、どこから来たの?」
響「・・・それは・・・。」
暁「本当の事・・・教えてよ。」
響「くっ・・・。」
暁「響!」
提督『第六艦隊旗艦暁。至急執務室へ出頭するように。以上。』
電「お、お呼びなのです・・・。」
雷「ま、まあ。私達しまいだけど、全部を話し合うなんて難しいんじゃないかな?そういうこともあるよ、ね?」
電「そ、そうなのです!」
暁「・・・わかったわよ。また、あとでね。」
ーーー
執務室
提督「何故呼ばれたか・・・わかるかい?」
暁「・・・私が部隊の統率をとれなかったからですか?」
提督「ん?響のことを言っているのかい?それは違うよ。むしろ、響のおかげで誰もケガもせず帰還できたのだろう?」
暁「ですが・・・作戦は!」
提督「いいんだよ。命さえあればやり直しはいつでもできる。」
暁「そう・・・ですね。」
提督「最も・・・命すら人がコントロールできるとしたら・・・いや・・・それは、もう人ではないか。」
暁「・・・?」
提督「気にしないでくれ、戯言だ。」
暁「提督は・・・未来がわかる者がいるとしたら信じますか?」
提督「それは、未来予知の類かい?」
暁「断言はできませんが・・・。」
提督「勘が鋭いってだけじゃないんだろう?」
暁「・・・。」
流れる沈黙。
先に耐えられなくなったのは暁だった。
すみません。何でもありません、言い訳のように暁は言った。
提督「何はともあれ、先程も言ったが響には感謝している。」
暁「・・・はい。」
提督「・・・さて本題だ。大本営は、あらたなる作戦を発令した。そして以前、MD作戦は決行する予定だ。」
暁「ですが・・・!あの海域には、飛行場姫。」
提督「そこでだ。我々はさらに大きく2つに部隊をわけることにした。」
暁「・・・?」
提督「一方は陽動。もう一方は主力艦隊の航路を確保しインドネシアで補給完了後、要道部隊の支援に当たる。暁・・・君たち第六駆逐艦隊には陽動を行ってほしい。」
暁「なっ・・・!」
提督「足回りが早く、小島が多いあの海域では小回りがきくほうがいい。しかも、響という勘のいい艦娘もいる。これだけそろっている部隊は、帝国海軍にもそうはいない。」
暁「・・・。」
提督「やって・・・くれるね?」
暁「・・・はい。」
ーーー
呉鎮守府 某所
「そうね、響ちゃんにはそういう力があるのかもしれない。」
「そうなると・・・お姉さん少しショックね。」
「No plbolemデース。ここにいる意味をおしえてあげるのデース。」
「そうね、これは私たちのなかの戦争よ。」
「ちょっとちょっと、○○怖すぎだよー!○○○心配。」
「私は・・・○○○のためなら何でもするさ。」
「まぁ・・・本来私たちの力は・・・いえ素性はバレてはいけませんから。内密にしましょう。」
「相変わらず○○は怖いネ。そういいながらも顔が笑ってるネ。」
「さて何の話でしょうか。」
「とにかく・・・響ちゃんがこの集まりを断ったその時から・・・。」
「お姉さんたちとは対立しているからね。」
「やり直せるのはたった一人。まったく、あの提督には遊ばれている気しかしない。」
「まぁまぁ、今度の出撃しだいだよぉ。」
「そうですよ。では・・・私たちが私たちで始めましょうか。
・・・やり直しのための、いえ運命をかける戦いを。」
ーーー
暁型部屋
雷「陽動・・・。」
電「・・・。」
暁「くっ・・・。」
暁「私が・・・私が説得できなかったから・・・ごめん、みんなごめん。」
電「あ、暁お姉ちゃんは悪くないのです。だけど・・・少し怖いのです。」
雷「護衛・・・はいないの?」
暁「うん・・・私たち4人だけでやるんだって。」
響「・・・そんなの無理だ。相手には飛行場鬼がいる。ヲ級だってタ級だって、ほかにもたくさんいる。その海域で単独で突っ込んで敵を引き付ける?正気の沙汰じゃない!」
響がドンと机をたたく。
電がヒッと驚いたように声を出した。
だが、誰も続きを話そうとしなかった。
命令だから、軍人だから言われたことはやらなくてはいけない。
理解はしていた。
それでも今回のは無謀すぎた。無謀すぎると理解できた。
頼れるものが勘だけ。
ただ勘がいい奴がいるからやれ。勘に頼れば、お前らだけでもできるだろ?いや、できるできないではない。やれ。
提督には、そう言われたようなものだった。
暁「・・・ごめん。」
雷「暁・・・!」
電「お、おいかけるのです!」
響「・・・。」
雷「どうしたの響。私たちも行くよ。」
響「・・・ちょっと行くところがある。」
暗い廊下を1人走る。
消灯時間はとっくに過ぎていた。
許せなかった自分が。
わかっているのに、死ねと言われているなんてわかっているのに。
それでも何の行動もできなかった自分が許せなかった。
一人前のレディが笑える話だった。
姉妹全員で心中に行こうと、なんて言わなければいけないのだから。
目は涙でいっぱいだった。
故に、弾力のある何かにぶつかった時、暁は何があったのかを理解するのに数秒を時間がかかった。
暁「ごめんなさい。」
金剛「Hey!暁!どうして泣いているネ。」
暁「・・・。」
金剛「金剛に相談するネ!きっと力になれるネ!」
どこからそんな自信が来るのだろうか。
正直、ところかまわず騒いでいる金剛に会いたくはなかった。
だが、自然と涙があふれてきた。
誰でもよかった。頼れるお姉さんに相談がしたかった。心のうちをぶちまけたかった。
暁は必死に詳細を伝える。
金剛の顔がみるみる曇っていった。
金剛「それは本当ネ・・・?暁達だけで陽動作戦・・・?crazyにも程があるネ。」
暁「でも・・・仕方ないことよ。響が居ればきっと何とかなる・・・そう信じているのは提督だけじゃないもの。実際、今日の見せられたらね・・・。」
金剛「そんなに落ち込むことないネ!」
暁「私は・・・何もできなかった。」
金剛「・・・。」
暁「部隊を統率することも、危機を予測することも危機に対処することも。そんな指揮官がいる部隊が陽動・・・?できるわけない!していいわけない!妹をころうだけじゃなくて・・・私は、もっと多くの人の命を危険にさらしてしまう!」
金剛「心配しすぎネネ。初陣で満足する人なんてNoネ!だから、次をもっとよくしようって皆頑張れるネ!」
暁「・・・!」
金剛「失敗してもしななければ明日は必ずあるネ!そこで立ち止まらずに上を向いていくしかないネ!」
暁「金剛・・・。」
金剛「暁は、少し生意気くらいがちょうどgoodネ!」
暁「お、大きなお世話よ!」
金剛「アハハ、それじゃ私は行くネ。」
暁「うん。引き留めてごめんなさい。」
金剛「あぁ・・・そういえば。」
暁「・・・?」
金剛「響には、なにか変わった事はなかったネ?」
暁「特には・・・。と、いうかいつも変わってるし。」
金剛「それもそうネ!」
金剛「まだ気が付いてないネ。」
暁「なにか言った?」
金剛「本当になんでもないネ!それじゃあ、Bye!」
ーーー
執務室
響「どういうつもり!」
提督「ノックも無しに入ってきて、謝罪も無しか。」
響「・・・質問に答えて。」
提督「そういうことしますか。」
響の手には拳銃が握られていた。
艦装をつけていない彼女たちが、年相応の力を出せないとしても技量は別だった。
常日ごろ訓練に勤しんでいる響が、この距離を外すとは考えられなかった。
故に提督は、響が本気で怒っていることを察した。
そえでも口元に浮かべた笑みを崩すことは無かった。
提督「何の話をしに来たのかな?」
響「とぼけないで。どうして・・・どうして私たちがあんな危険に任務に行くの。あなたが余計なことを言ったから・・・!」
提督「私は何も言っていないよ。大本営が・・・。」
響「嘘だ!」
提督「はぁ・・・前にも言ったはずだろう?どんなに運命を変えようともがいても、結果は変わらないと。過程が変わろうが結果は同じ。何度繰り返そうとも、君が既知していることしかおこらない。そう、君たちはMD作戦で死ぬんだ。」
響「・・・。」
提督「考えてもみたまえ。あの作戦で君たちが死ななければ、響。君自身がやり直すことができないのだから。君があそこで死んで、みんなを守りたいと思ったからやり直すことができている。だが、やり直している・・・という事実がある限り、やり直すきっかけ・・・すなわち悲劇が起きるという結果は変わらない。うまくできているものさ、やり直せば結果を変えられると希望を見せておきながら、やり直しているという事実がある限り結果を変えられないのだから。そう思うだろう?」
響「・・・そんなことは許さない。必ず変えて見せる。」
提督「どうやって?」
響「そんなルールを変える。」
提督「ははは。やはり君と私はどこまで行っても平行線のようだ。水と油。交わることなどない。なら、止めることはあきらめよう。一生その円環の中でもがき続けるがいいさ。響少尉。」
響「・・・響きが必ず。」
提督「まずは、お手並み拝見と行こうか。明日の作戦・・・生き延びられるかな。」
響「・・・。」
提督「わかっていると思うが、彼女たちは妨害してくるだろうね。何せ、真に願いを叶えられるのは一人だけなのだから。」
響「・・・それでも、私は必ずお姉たちを守って見せる。この命・・・お姉にささげる。」
提督「そう。期待してるよ、響少尉。」
提督は冷たい笑みを浮かべると、響に出ていくように促す。
響は最後まで、提督を睨みながら部屋を出ていった。
「まったく、提督は優しすぎじゃないかな?」
提督「そんなことはないよ。」
「もっと阿賀野にも優しくしてくれてもいいんだよ。」
提督「いつもしているだろう?それで・・・何の用なのかな?」
阿賀野「・・・明日の作戦。いいんだよね。」
提督「いいとは・・・どういうことだい?」
阿賀野「私たちは・・・生き残れるんだよね。」
提督「それが、君の望みなんだろう?矢矧と生き残る。違うのかい?」
阿賀野「・・・違わないよ。」
提督「だったら大丈夫さ。少しは自分を信じるといいよ。君は最善を尽くしている。」
阿賀野「・・・。」
提督「ご不満かな?」
阿賀野「提督は前に阿賀野に言ったよね?なかったことにはできないって。」
提督「そうだよ。私がこのやり直しをした時、何かが変わったと確信していた。だけど・・・実際はおきた事が伸びただけだった。人も艦娘もいつかは死ぬ。その運命からは逃れられない。だけど、一日でも長く生き抜くことを・・・否定しないよ?」
阿賀野「・・・さようなら、提督。」
提督「ああ、お休み。」
ーーーー
出撃ドック
電「本当にすぐに反抗作戦が決行されるなんて・・・予想外なのです。」
雷「今更どうこういっても仕方ないわ。腹くくるわよ!」
響「ハラショー。さすがだ。」
暁「・・・。」
雷「暁お姉?」
暁「みんな・・・必ず生きて帰りましょう。」
電「はいなのです!」
暁「行くわよ!全員、出撃!」
金剛「・・・行ったみたいネ。」
榛名「私たちもそろそろ出撃しましょう。」
金剛「余分な弾薬はおいていくネ。」
高雄「何を言っているんですか?それでは、弾薬補給に余分な時間がかかってしまいますよ。」
愛宕「それでいいんだよー、高雄ちゃん。」
高雄「な、なにを・・・!」
矢矧「時間の無駄だ。行くぞ。」
阿賀野「そうだよー!早くいかないと無駄死にになっちゃうよ。」
鳥海「お前ら・・・何を企んでる!」
金剛「勘違いネ!さ、出撃ね!」
ーーーー
作戦海域近海
電「はぁはぁ……」
雷「これはまずいんじゃない?」
響「どうして……どうしてなの」
暁「全員急いで逃げるわよ!これじゃあ増援を待っている間に殺されるわ!」
電「どこへにげるのです!前には空母水鬼、後ろには敵の潜水艦部隊。誰も助けてはくれないのです!」
雷「落ち着きなさいよ電!暁お姉を責めても……」
足柄の喋り方変じゃないですか?
おぉ!期待していました!新作だ!響は自分の好きな艦娘なので、このお話も期待してます!というか面白かったです
By万屋頼
1<すいません。訂正しました。
2<引き続き読んでいただきありがとうございます。頑張っていきます!
響か 凄くいい話になるように期待します
コメントありがとうございます。
精進していきます。
面白いですね。更新待ってます