艦娘は深海棲艦の夢を見るか (3)
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http://sstokosokuho.com/ss/read/4081 2話目
の続きです。
3万字を超えると書けなくなる現象・・・なんだ・・・?
4部構成の最終決戦編です。
この、話の終わりは近い。
この話はね・・・。
電「なのです。はじめに見て欲しいのです。作者は艦これssは初めて書くのです。口調や語尾がおかしいの愛嬌っておもってほしいのです!出番少ないキャラもいるけど嫌いなわけじゃないのです!」
コツコツコツ
(3章からなんとなく木曾の口調を戻しました)
電「提督がくるのです!題名は某作品のパロなのです!えーと…あ!実装されてないの?って思うものもあるかもしれないけど無視して欲しいのです。どんな装備なんだろ…。」
来栖「電ちゃん、独り事?」
電「はじまるのです!」
電「ついに、人類の存亡をかけた戦い。守る者と躍進する者の決戦なのです!」
来栖「・・・?」
第五機関 近海
イムヤ「ふぅ・・・。これだけやればいいでしょ。」
イムヤは目の前に倒れている深海棲艦の山を見上げた。
第五機関が深海棲艦の旗艦となる素体を掌握して、深海棲艦を操ることが出来るというのは予想の範囲内だった。
イムヤ「そうはいっても・・・これだけの量になるなんて驚きだわ。それに・・・敵を操ることができるなら・・・どうして人類の勝利に貢献しないの・・・。」
その問いの答えをイムヤはわかっていたが、疑問に感じずにはいられなかった。
敵を操る・・・それができるというのに、その技術をすべを世界にむけ公表しない理由。
己の利益のため・・・。
イムヤ「ソナーに反応?!敵っ!」
イムヤが気付いた時はすでに手遅れだった。
魚雷はイムヤの横腹につきささると爆発を起こした。
イムヤ「音もなく航跡もない!酸素魚雷!だけど、深海棲艦にはその技術はない・・・まさか・・・あの子?!」
イムヤは緊急潜航を始めた。
真上をさらに3本の酸素魚雷が通過していったが構ってなどいられなかった。
先の戦いですでにイムヤの兵装は魚雷が3本のみとなっていた。
数も姿も不明の敵相手に戦うには、頼りない数字だった。
イムヤ(ここは、助けを呼ぶ・・・だけだ、電波の位置から今の場所が特定されるかもしれない・・・それなら機動部隊と合流して木曾さんたちに助けを求めるか・・・そうしよう!)
進路を変更しようとしたその時、イムヤの脳裏にかつて己が放った酸素魚雷に倒れていく艦娘、深海棲艦、客船の姿が浮かんでいく。
音も航跡も残すことのない、無音の槍。
そんなものはこの世に存在してはいけなかった。
その技は、人類を再び2つに分ける大戦へと発展する可能性をはらんでいるからだ。
イムヤ(ここで・・・イムヤが全てをなかったことにする・・・!)
その眼には、かつてないほどの気焔がやどっていた。
仲間も敵も苦しめ、自分すら苦しめる悪魔の技術。
かつてそれを使い、親友すら殺した自分との決別のためにも彼女は、たった一人で挑もうというのであった。
イムヤ(来た!3時の方角・・・音は聞こえなくても・・・目視で確認さえできれば!)
イムヤは、3発の魚雷をかわすとお返しとばかりに1発を放った。
敵が同じところから動いていないことは考えにくいが、牽制のために放ったものだった。
イムヤ(やっぱり、手ごたえはない・・・残り2発・・・なんとしても・・・。)
イムヤは、あえて大きく迂回しながら魚雷が来た方向へと向かっていった。
その方向には大きな海溝があることはすでに把握済みだった。
イムヤの狙いはただ一つ。
その海溝の唯一の出口であった。
複雑に岩が配置してあることも幸いし、隠れる場所は多く存在していた。
イムヤ(落ち着け・・・音を出すな・・・気を感じろ、大丈夫・・・イムヤにならできる。)
わずかな気泡が海溝から浮かび上がるのと同時に潜望鏡の影が見えた。
イムヤ「いまだ!」
満を持してイムヤが魚雷を放つ。
魚雷は一直線に目標にむかうと爆発を起こした。
一瞬の閃光と爆音が深い海に鳴り響く。
イムヤ「やった!」
しかし、イムヤは力なく浮かび上がってくる黒こげのト級の姿を確認すると驚愕した。
イムヤ「まさか!!」
イムヤの背中に強烈な爆発がおこった。
右足に付いていた推進機は吹き飛ばされイムヤは、岩にたたきつけられる。
幸か不幸か、体の痛みと推進機の破壊以外の損傷はなかった。
だが、体はすでに満身創痍である。
イムヤ(あそこで・・・さっきイムヤが沈めたト級の死体をダミーとして使うなんて。)
イムヤは背中から最後の魚雷を取り出した。
白髪の髪を伸ばし帽子をかぶった彼女は、弾着を確認するとゆっくりと前進を始めた。
爆発とともに近場の岩も破壊されたため、対象の姿をはっきりと確認できなかったからだ。
ユー「・・・イムヤ。コレホドヤル子ダトハ、思イマセンデシタ。」
かつて、イムヤと共に海に出て狩りをしていたことを思いだす。
彼女とイムヤは仲良しであった。
ユー「今トナッテハ、敵同士。手加減ハ、シナイ。」
ゆっくりとその地点へ近づいていった。
見落としたところはなかったはずだった。
しかし、まるで彼女を馬鹿にするかのようにイムヤの姿は見当たらず、終わらないかくれんぼとなっていた。
ユー「何処ニ行ッタ?」
パッシブソナーからアクティブソナーに切り替える。
自らの場所を特定される恐れがあったが、傷ついた彼女に襲われたところで最新鋭装備を持ち無傷の彼女が負けるはずがなかった。
それゆえの慢心が彼女を陥れることとも気づかずに。
ユー「ヤハリ反応ハ、ナイ・・・。沈ンデ行ッタカ?」
彼女が薄暗い深海へと注意を向けたその時だった。
突然の反応と共に彼女の肩にズシリと重みがかかった。
イムヤ「やっと捕まえた・・・!」
ユー「ド、ドコカラ!」
イムヤ「知ってるよ。ユーのソナーは、海中にいる生物に対してのみ有効だって。だったら、海上に上がってしまえばいい。」
ユー「・・・マサカ。」
イムヤ「そうだよ。深海棲艦の死体の上に上陸したんだよ。ユーと同じように死体を使ったんだ。」
ユー「・・・ダガ、振リ落トセバ良イモノ!」
イムヤ「それはないよ。」
ユー「ナッ!」
イムヤが0距離からの魚雷発射の準備に取り掛かる。
すでに、引き金に指はかけられいつ発射されてもおかしくない状況となっていた。
イムヤ「一緒に行こう・・・ユー。私たちは、殺しすぎた・・・。だから、謝りに行くんだ。」
ユー「・・・ソウダナ。イムヤ・・・Danke。私モ、コレヲ望ンデイタ。」
巨大な地鳴りと共に水柱があがった。
ーーー
同海域 機動部隊
赤城「・・・。」
隼鷹「まだ、発艦しないの?」
飛鷹「落ち着いて。ここで焦って攻撃したら何もかも水泡に帰すわ。」
隼鷹「そうだけど・・・。」
木曾「イムヤの帰還も遅いな・・・。」
曙「どこかで道草くってるんじゃない?」
響「・・・!」
赤城「どうしましたか?」
響「・・・イムヤの反応が消えた。」
赤城「え・・・。」
隼鷹「嘘・・・。」
飛鷹「い、いますぐ捜索隊を!」
赤城「だめです!」
曙「どうして!」
赤城「私たちは、敵基地攻撃の最後の要。ここで無駄に艦載機を失えません!」
隼鷹「だけど!」
木曾「落ち着け!辛いかもしれないが、赤城の選択は間違ってない。」
隼鷹「でも・・・。」
飛鷹「隼鷹・・・。」
隼鷹「龍驤を沈めた・・・むかつく奴だった・・・。だけどさ・・・たった数日過ごした中でも仲間なんだよ?!あんな深い悲しみを背負ったままの奴を放っておけって言うの?!」
響「・・・なら、響がいこう。」
赤城「響さん!」
響「響なら敵に出くわしたとしても振り切ることが出来る。それに、幸いにも反応が消えた場所は近い。かかったとしても10分でつくさ。総攻撃には間に合うはずだ。」
木曾「だめだ!ここは、敵地なんだぞ!」
曙「そうよ!たった一人でなんて!」
響「この中でソナーを持っているのは、響と曙だけだ。どちらかが、残らなくてはいけない。だったら場数を多く踏んで入るほうが捜索に行くべきだ。」
飛鷹「危険よ!戦艦級に出くわしたらどうするの?!」
響「これから先、敵潜水艦級がいない保証なんてどこにもない。イムヤは、必要な存在だ。」
赤城「・・・わかりました。」
木曾「おい、赤城!」
赤城「ただし、捜索時間は往復にかかる時間を含めて30分だけとします。」
響「つまり、実質探す時間は10分か。」
赤城「最大限の譲歩です。これ以上長くも短くもできません。」
響「かまわないさ。」
木曾「いいのかよ。」
赤城「ええ、かまいません。ここから1人でも主力艦隊へ向かう者が必要ですから。」
飛鷹「そのようね。」
隼鷹「まったく、赤城も粋なことするよな。」
曙「ちゃんと、連れて帰って・・・はやく来なさいよね!」
木曾「なるほどな。」
木曾が振り向くと、そこには敵艦載機の大編隊が向かってきていた。
ざっと見ただけでも200機はいた。
その数は、赤城と飛鷹・隼鷹が全ての艦載機を発艦したところで対抗できるかという、ぎりぎりの数だった。
おまけに、敵空母の姿はいまだに見えずいつ敵増援が来るかさえ予想が付かなかった。
赤城「行きます、全艦載機発艦始め!主力艦隊は、まもなく艦砲射撃に移るでしょう。なんとしても、ここで敵空中戦力は殲滅します!」
全員「了解!」
ーーー
イムヤ消息不明海域
響(イムヤ・・・どこ。)
当てもなく暗い海を響は、ひたすら進んでいた。
作戦開始からまだ、40分しかたっていたなかった。
だが、軍艦島鎮守府艦娘たちの何人かはすでに満身創痍の状態だった。
響(これ以上の戦力低下は、仲間の命をより危険にさらすことになる。イムヤにも・・・まだいてほしい。)
響の願いが通じたのかソナーに反応があった。
響「イムヤ・・・!」
イムヤなら生きている。
まだ戦っている。
その思いが故の油断だった。
突如姿を現したそれはイムヤに向け魚雷を発射した。
突然のことにかわすこともできず、小破判定を受ける。
響「まさか・・・。」
夕立「響たち・・・悪者っぽい。」
響「ここに配属されていたのか・・・。」
夕立「みんな良い人達だった。だけど、夕立がいなくなってから変わったぽい。今は、悪者。許さない・・・夕立を裏切った・・・裏切った・・・!」
響「・・・!」
夕立の顔つきは常軌を逸したものだった。
目は吊り上がり、額には青筋が浮かび上がっていた。
その顔から、かつての天真爛漫な笑顔は想像することさえできなかった。
夕立は、一気に距離を詰め始める。
響はよろけながらも夕立の12.5cm砲を受け止めるとそのまま投げ飛ばした。
かつて彼女の師匠にならたコンバットサンボの技が、ここで発揮されるとは響自身が一番思ってもいないことだった。
響「この香り・・・夕立・・・まさか・・・君はアヘン中毒に・・・!」
夕立「うがああああああ!!!」
響「ぐっ・・・!」
夕立「夕立の帰る場所!夕立の帰る場所!夕立の帰る場所!夕立の帰る場所!無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった!」
響「落ち着くんだ。みんな、君を今でも仲間だと思っている!」
夕立「嘘だあああああ!」
夕立が12.7連装を放つ。
響はかろうじてよけたものの実力差は歴然としていた。
響(くっ・・・。夕立改二・・・改の響じゃ勝てないか・・・!)
夕立「捕まえたっぽい!」
響「ああああ!」
夕立「ふふ・・・はは・・・。ふふふ・・・・!」
響「っ・・・!」
夕立がゆっくりと連装を構える。
距離は、わずか200。
夕立ほどの猛者が、この距離を外すことをないことを響は知っていた。
夕立「うわあああああああ!」
響「・・・まだ、死ねない!」
響は一気に距離をつめると、夕立の懐へと飛び込んだ。
突然の出来事に夕立は対応することができずに、響に押し倒される。
そのまま艦装を外されると夕立は浮くことがかなわず沈み始める。
夕立「はなせええええ!はなせえええええ!」
響「夕立!目を覚ますんだ!君は・・・誰を守りたいんだ!」
夕立「夕立は・・・夕立は・・・みんなを守りたいっぽい・・・。」
響「だったら・・・もう、やめよう。」
夕立「・・・。」
響「響と・・・一緒に帰ろう。」
響がそっと手を差し伸べたその時だった。
夕立はその手を引き寄せると、響のみぞおちへと隠していた短刀を突き刺す。
響「がっ・・・!」
夕立「みんな・・・みんな・・・響のせいだあああああ!!」
夕立が、奥歯を強くかみしめる。
それはスパイや高級官僚が素性を隠すために、奥歯に仕込んだ爆薬を爆発させるためだった。
倒れかけた響を夕立は、力強き抱きしめる。
夕立「さよならっぽい!」
響「やめ・・・!」
ーーー
空母機動部隊守備海域
隼鷹「くそお!!思ったよりきついぞ、こいつは。」
飛鷹「隼鷹、頑張って。」
木曾「くっ!魚雷の数がまた増えたな。」
曙「全部に対応するのは無理よ!」
赤城「くっ!もう少しの辛抱です!みなさん、耐えて下さい・・・!」
飛鷹「しまった・・・!」
隼鷹「飛鷹!」
木曾と曙の間を抜けていった魚雷から飛鷹をかばった隼鷹が大破判定を受ける。
精鋭ぞろいの空母機動部隊であったが、あいての物量に押される形でじりじりと追い詰められていった。
彼女たちは、一時後退し比較的小島の多い海域に逃げ込むことの成功した。
しかし、圧倒的物量のまえではそのようなことは大した意味をなさないことを旗艦である赤城は心得ていた。
だが、彼女たちがこれ以上の深海棲艦の侵入許してしまうということは、後方で艦砲射撃の用意に入っている主力艦隊を壊滅させてしまうのと同じことであった。
第五機関攻略に主力艦隊は、かけてはならない存在だった。
文字通り死を覚悟して彼女たちはこの海域を死守しなくてはいけないのだった。
赤城「全員、小島に隠れながら迎撃をつづけてください。」
飛鷹「くっ!もう、矢の数が・・・。」
隼鷹「やっぱり・・・無理だったんだ・・・。私たちだけじゃ・・・どうしようもできないことだったんだ。」
木曾「くそおおお!諦めてたまるかよぉぉぉぉぉ!」
曙「誰か・・・助けてよ・・・。」
赤城「これが・・・運命なの?」
隼鷹「しまった!」
飛鷹「赤城さん!直上!」
赤城「はっ・・・!」
赤城(こんなところで終わってしまうの・・・!)
その時だった、何機もの烈風が飛来してくると敵機を撃墜し始めた。
赤城たちは、唖然としたまま動けなくなっていた。
飛鷹「いったいだれが・・・。」
隼鷹「どこからっ?!」
木曾「あれっ!」
曙「きてくれたのっ?!」
赤城「加賀・・・さん。」
加賀「遅くなりました。」
赤城「どうして・・・ここに。」
加賀「主力艦隊周辺の制空権は、完全に掌握したのでこちらにきました。」
時雨「僕もきたよ。」
曙「時雨!」
加賀「赤城さんたち、新しい矢です。」
飛鷹「よし、これなら!」
隼鷹「いける!」
加賀「赤城さん、さあ。」
赤城「はいっ!これより、第二次迎撃に入ります!全機発艦開始!」
ーーー
主力艦隊総攻撃開始海域
電「長門さん、そちらはどうですか?」
長門『問題ない。すでに準備に入った。』
電「先ほどから、イムヤさんと連絡が取れないことが気になるのです・・。」
球磨「だけど、これ以上の加賀さんがいないのにこの海域にとどまるのは危険クマ。」
熊野「さあ、さっさとやってしまいましょう。」
金剛「電ちゃん、ここは。」
電「わかったのです、ふぅ・・・。全艦娘攻撃開始っ!」
熊野「とぉぉぉぉぉぉう!」
金剛「ファイアー!」
榛名「いきます!!」
球磨「いく球磨ーーー!!」
電「電の本気を見るのです!」
彼女たちの放った砲弾は、大きな弧を描くと第五機関のある小島の地上施設を破壊していった。
港からは、新たな深海棲艦の編隊が発艦されようとしていた。
しかし、そこを狙い撃ちしたかの如く長門たちの部隊からの砲弾の雨がふりそそぐ。
既に第五機関に反撃ができる隙は残されていなかった。
長門『こちら、長門。予定通り、敵軍港設備の破壊に成功した。』
電「わかりました。加賀さん聞こえますか。」
加賀『聞こえているわ。』
電「こちらは、ほぼ制圧完了です。これより、爆撃に移行したいのですが・・・どうでしょうか。」
加賀『今、向かっているわ。だけど、赤城さんと隼鷹は難しいわね。甲板に被弾しているわ。』
電「わかったのです・・・。」
加賀『安心しなさい。一航戦の名に懸けて必ず成功せさせるわ。』
電「・・・はい!お願いするのです!」
ーーー
??海域
来栖「ここでいい。」
明石「提督、本当にいくの?」
来栖「・・・。」
明石「きっと・・・提督が行ったとしても何も変わらない!だったら・・・これからも一緒に!」
来栖「・・・ありがとう、明石。だけどな、これは俺の勝手な行動だと思ってくれていい。ここまで連れてきてくれてありがとう。」
明石「・・・どうして。」
来栖「何か言ったか?」
明石「どうして、そんなに悲しそうな表情をしているのにありがとうなんて言えるの!あなたは・・・いつもそうやってっ!」
来栖「明石・・・。」
明石「あなたは、鎮守府のトップとなったあの日から!1人だけの命じゃなくなっているの!」
来栖「・・・誰かが終わらせなければないけない。そして、それは俺の役目だ。」
明石「提督じゃなくても代わりなんていくらでもいるでしょ!」
来栖「誰がいる。誰が、有光の傲慢さを受け入れられる。誰が、有光の悲しを受け入れられる。」
明石「・・・。」
来栖「死にに行くのではない。助けに行くんだ。救済という名をもって終わらせに行くんだ。」
明石「・・・必ず。」
来栖「必ず帰るさ。」
ーーー
加賀「・・・。」
長門『電、そちらの状況はどうだ。』
電「いま、加賀さんと変わるのです。」
加賀「加賀です。」
長門『空襲が始まったのは確認したが、先ほどよりも敵の反撃が増した感じがしたのだが。』
加賀「はい、私もそのような感じがしていました。まさか、これほどの余剰戦力があるとは・・・。」
陸奥『ちょっと、これはやばいかも。』
金剛「どうしたネ!」
時雨『電。計画変更だよ。多数の敵潜水艦がこちらへきている。』
熊野「潜水艦ドックの攻撃担当は、たしか・・・。」
電「イムヤさん・・・。」
北上『でもねー、敵が来たのは本当だけど妙なんだよねー。』
球磨「どういうことクマ。」
大井『どちらかというと、遠くからこちらの様子をうかがうかのような感じだわ。』
電「・・・。」
時雨『敵の指揮系統が僕たちが思っているより乱れているみたい。』
榛名「練度も低いかもしれませんね。先ほどからくる射撃は、命中精度が悪いようですし。」
長門『迎え撃つのも手かもしれんな。』
電「・・・。」
金剛「電ちゃん!迷うことないネ!」
球磨「電の言うことにしたがうクマ。」
電「・・・わかったのです。それであ、これより私と時雨ちゃん雷お姉ちゃん球磨ちゃんで臨時の対潜部隊を作ります。残りのみんなで引き続き攻撃を続けてほしいのです。」
全員「わかった。(了解です、OKネ!)」
電「北上さんと大井さんは、いつでもこっちに来れる準備をしていて欲しいのです。」
北上『わかったー。』
大井『北上様も行くのでしたら。』
電「私たちは、今から長門さんと元へ行きます。」
長門『了解した。それまでは、頼むぞ。北上、大井、電、時雨。』
ーーー
響対夕立海域
響(苦しい・・・暗い・・・光が遠い・・・響は・・・このまま沈んでいくんだね。)
響は、ゆっくりと目を閉じると身を任せた。
夕立の姿は、既に見えなくなっていた。
響(これも運命だよね・・・仲間を助けられなかった・・・今まで何人もの提督を殺してきた響たちの贖罪・・・これでいいのさ。これで・・・)
ゆっくりと手を海上へと伸ばす。
当り前ながら、その手を引き上げる者など、いない
はずだった。
突然体に浮力がかかる。
だれかがゆっくりと、力強く響を引き上げていた。
響「ゲホッ!はぁ・・・はぁ・・・。」
??「あなたは生きなくてはいけない。」
響「え・・・?」
??「生き抜いて事の真相を伝えなくてはいけない。」
響「何を言って・・・。」
??「それがあなたに課せられた贖罪だから。」
響「贖罪・・・。」
??「さあ、生きなさい。為すべきことを為さい。」
響「あなたは・・・。」
??「私は・・・○○○。」
ーーー
対潜接敵水域
電「全員、攻撃準備なのです。」
北上「はいはーい。」
大井「北上様と一緒なら、どこへいこうと何をしようとやります!」
時雨「僕の力見せてあげるよ!」
北上「魚雷多数接近だよー!」
電「退避してください!」
時雨「数だけ多くても!!」
全員が一斉に魚雷を放つ。
100本近い魚雷のその8割近くは命中した。
敵からの反撃の数も一気に減り、電たちは距離を詰めていった。
大井「ふん!浮上してきますよ!」
時雨「爆雷投下開始!」
電「北上さんと私は、引き続き雷撃を続けるのです。」
北上「おっけー!」
最初こそ数倍の数で押していた深海棲艦であったが、今は艦娘達が優勢となっていた。
ト級「うぉぉぉぉぉぉ!」
海域は、ト級の叫びだけが響き渡っていた。
時雨「なんだか、これだけ叫ばれると罪悪感があるね。」
大井「そうはいっても、手を緩めればやられるのは私たちですから。」
北上「お、撤退していくみたいだよー。」
時雨「追撃する?」
電「いえ・・・ここは長門さんたちと合流しましょう。」
北上「加賀さんたちは、どうする?」
電「空襲は、今も続いています。きっと大丈夫なのです。」
大井「では、早く行きましょう。少数とはいえ、潜水艦が海域にいると思うと気持ちわるいですわ。」
時雨「そうだね。下から覗かれているみたいだ。」
ーーーー
第五機関
来栖「ここでいい。」
明石「本当に・・・1人でいくの?」
来栖「お前たちを連れていくわけにもいかないだろ?」
明石「それはそうだけど。」
来栖「こんな方法で人類を救えると思うか?そんなことは、ない。誰かが望んだわけでもないのに、犠牲になったうえでの幸せなんて長くは続かない。そんなことは、明石でもわかるだろ?」
明石「わかるよ、わかってるよ!だけど、今だって電ちゃんたちが必死になってる。そこに任せてもいいじゃない・・・あなたがいなくなったらこれから、どうするの!」
来栖「・・・明石。なにか勘違いしていないか?」
明石「勘違い?」
来栖「俺は、死にに行くわけでも復讐しにいくわけでもない。」
明石「だったら、なにを!」
来栖「大馬鹿野郎の旧友を殴りに行くだけだ。」
明石「・・・それだけなんだね。」
来栖「俺が嘘を言うと思うか?」
明石「・・・はぁ。わかったよ。信じるしかなんだよね。きっと、昔の私もそうしていたんでしょ?」
来栖「・・・そうだな。」
明石「本体と合流するよ。多少の傷なら私が治せるしね。」
来栖「頼む。気を付けて・・・いくんだぞ?」
明石「あたりまえでしょ?まともな火器もってなんだから。」
来栖「また、あとでな。」
明石「うん・・・じゃあね。」
来栖「じゃあな・・・。もし、また会えることがあるとするならば。」
来栖「それにしても、ここからあそこを目指すのは少し骨が折れるな。と、言ってもしかたない。さっさと会いに行くとするか。おそらく施設内の艦娘は全員出払っているはず。衛兵なら、手間取ることもないだろう。案外、早く決着がつくかもしれないな。」
ーーー
主力艦隊 攻撃海域
長門「電か!」
電「はい、ただいま戻ったのです。」
北上「あっという間だったねー。」
加賀「そうですか、それはよかったです。」
大井「加賀さんも来たのですね。」
赤城「ええ、航空攻撃もひと段落付いたわ。」
陸奥「そうなると、いよいよ本格的最終攻撃ってわけね。」
球磨「第五機関の港湾の完全破壊クマ。」
長門「そうだな、伏兵がいるかもしれんが。」
雷「どうするよ、電。」
電「二つに部隊を分けます。」
榛名「またですか?」
電「はい、一緒に動いて一斉攻撃をうけたら元も子もないのです。」
長門「待て!何かが高速でこちらへ来るぞ!」
熊野「攻撃準備ですわ!」
飛鷹「今度は、何!」
隼鷹「敵は・・・艦娘?!」
木曾「おいおい、マジかよ。」
時雨「来るよ!」
影は、電たちの500m先程で止まると動かなくなった。
不気味な沈黙が流れる。
雷「オープン回線で通知だよ。」
電「電が出るのです」
夕張『大日本帝国諜報部第五機関所属兵装実験軽巡夕張。』
長門「アイツの名前か。」
電「軍艦島鎮守府所属総旗艦暁型4番艦電なのです。」
夕張『そう・・・あなたが、その艦隊の総旗艦。』
電「・・・はい。」
夕張『我々第五機関は、人類が憎き深海棲艦に打ち勝つため研究を続けてきた。』
電「その研究で・・・多くの名も知れぬ少女たちが命を落とし、敵ですら生きる権利を奪われている・・・。それは戦時中だと許されないことなのです。」
夕張『・・・くっ。お前たちは・・・どうして!どうして大佐のお考えが理解できないんだ!』
電「間違っているものには、間違っていると。そう言わなければならないからなのです。」
夕張『決闘だ。決闘を申し込む!お前と私!どちらが強いのか!』
球磨「け、決闘なんて無意味だクマ!」
夕張『お前は黙れ!』
球磨「・・・!」
夕張『おそらく大佐かお前たちの提督・・・どちらかしか生き残ることは許されないだろう。どちらかが帰ってきた時・・・新しい世界の指針が決まる。その指針に最も近くで見る権利がある物・・・秘書として尽くす権利がある物をかけてだ!』
熊野「な、なんて強引な・・・。」
長門「無理する必要はない。」
北上「支離滅裂だしねー。」
加賀「電さん。」
赤城「みなさんの言う通り、無駄な争いを避けるのも一つです。」
電「…それじゃ、ダメなのです。」
時雨「どうして。」
隼鷹「そうだよ!」
飛鷹「今なら、みんなで戦える。」
曙「クソ提督が待ってるんだよ!」
電「きっと夕張さんも覚悟を決めてきたはずなのです。それを・・・・無下にはできません。」
雷「わかった、電行きなよ。」
大井「雷!何を言ってるのですか!」
雷「総旗艦は、電だよ。電の決定は・・・・絶対だ。」
陸奥「まあ、深く考えすぎだよ。私たちは・・・行方知らずの響とイムヤを探しましょう。全員で帰るんでしょ?」
長門「・・・武運を祈る。」
電「はい、ありがとうございます。」
電を残したそれぞれは、仲間を流しにその場を去っていった。
回線は開いたままだったが、口を挟まなかった夕張に電は感謝をした。
夕張「いなくなったわね。」
電「1つ質問があるのです。」
夕張「なに。」
電「夕張さんは・・・どうして、有光参謀に協力するのですか?」
夕張「そんな質問する意味ある?」
電「・・・あります。それは、夕張さん、あなたの覚悟でもあるのですから。」
夕張「・・・愛しているからよ。」
電「・・・電も来栖提督を愛しているのです。」
夕張「そう、だからって手加減はしないわ。」
電「もちろんなのです。」
夕張「・・・ムカつく子。すぐに終わらせるわ。」
夕張と電は、にらみ合ったまま横移動を開始する。
しばらくすると、お互いに敵の移動ポイントへ予測射撃を始める。
もちろん、前後に移動して当たらないようにしている。
夕張は、沈黙を解くかのように魚雷を発射する。
電「酸素魚雷・・・!」
夕張「それだけじゃないわ。」
夕張は、肩から見たこともないような兵器を使う。
それは放射状に飛びながら電へと向かっていく。
電「これは・・・!」
電が爆発に巻き込まれ、姿が見えなくなる。
夕張「新兵器・・・。小型ミサイルよ。あなたたちでは使いこなせない代物よ。」
電「それでも!」
夕張「なっ!」
煙の中から電が一気に距離を詰める。
夕張は次弾の発射をしようとするが、オーバーヒートを回避するための冷却時間にはいっているため撃つことができない。
その隙を電は逃すことがなかった。
12.7cm砲が火を噴く。
夕張「きゃああ!」
夕張のミサイル発射管に命中すると爆炎をあげた。
夕張は、ミサイル発射管を放棄すると機銃でけん制をかける。
それでも電は構うことなく距離を詰める。
機銃があたり、電の艦装からは煙が立ち込め始めていた。
夕張「どうして・・・止まらないの!」
電「ここで・・・立ち止まるわけにはいかないのです!」
夕張「だめ・・・こないで!」
電「電の本気を・・・・見るのです!」
イムヤからもらった酸素魚雷を懐から引き抜くと夕張へと発射する。
その距離は、わずか数十メートル。
かわせるはずもなく夕張の艦装は、さらなる爆発と炎上を繰り返し海へ強制投棄された。
文字通り、夕張は丸裸になったのだ。
夕張「負け・・・た?」
電は夕張の鼻先へ、12.7cm砲を構える。
夕張はおびえるのではなく、なにかに絶望したような表情のまま動かなくなった。
電「・・・。」
夕張「殺して。」
電「・・・。」
夕張「殺してよ!私は・・・愛しているあの人を守れなかった!これほどの・・・屈辱がある・・・?これ以上、みじめにしないで!」
電「・・・。」
夕張「殺して・・・殺して・・・殺して殺して殺して!」
電「・・・加賀さん、こちらの位置はわかりますか?」
加賀『ええ。わかっているわ。』
電「では、これから救援部隊を送ってください。」
加賀『・・・部隊編成は。』
電「そうですね・・・。時雨ちゃん、球磨さん、熊野さんでどうでしょうか?」
加賀『わかったわ。』
夕張「どういうつもりよ。」
電「今、聞いていただいた通りなのです。」
夕張「ふざけないで!敵に情けをかけて・・・それで見下すつもり!楽しいの!」
電「いい加減にするのです!」
夕張「・・・!」
電「もしも・・・もしも、有光参謀がお帰りになった時、夕張さん。あなたがいなかったらどう思いますか?」
夕張「それは・・・。」
電「提督は、おっしゃっていました。命を無駄にするなと。君たちは兵器ではないと。」
夕張「・・・!」
電「もう、敵も味方も関係ないのです。一緒に・・・帰りましょう。」
夕張「う・・・う・・・。有光参謀・・・申し訳ありません・・・申し訳ありません・・・・申し訳ありません・・・。」
ーーー
第五機関総司令部
有光「よお!待ってたぞ。」
来栖「ほお、待ってたとわ・・・またずいぶんな言いようじゃないか。」
有光「おいおい、そんな物騒なものは仕舞えよ。」
来栖「黙れ。」
有光「ここに来るまでに何人殺した。」
来栖「・・・。」
有光「まあ、多くは港のほうに出払ってるとはいえ・・・20人近くの衛兵がいたはずだ。違うか?そう、お前はその20人の命を奪ってここまで来たんだ。まだ、奪い足りないか?」
来栖「それ以上、無駄口をたたくな!お前のその腐った頭に風穴を開けるぞ。」
有光「はいはい・・・。」
有光が振り向きざまに銃弾を放つ。
来栖は、それを予期していたかのように反射的にかわすと応戦をする。
妙に高低差がある司令部であり、高いところにいる有光がわずかに有利だった。
来栖は身を隠しながら言葉を続ける。
来栖「いつまで、こんなことを続けるつもりだ。」
有光「いつまでもさ。そう、人類が勝利するその日まで。」
来栖「馬鹿な。それが許され続けるわけがないだろう。」
有光「・・・。」
来栖「だからこそ、お前は海軍のトップをわざわざ殺した。」
有光「どうしてそこまで・・・。」」
来栖「少し考えればお前のやりそうな事なんて予測が付くんだよ。」
有光「黙れ!」
有光が再び発砲する。
鋼鉄の壁に銃弾はぶつかると、火花を散らして床へと落ちる。
来栖「もう一度聞く。お前の目的は何だ。」
有光「・・・いいか、この国はこれ以上前進することはない。何故か、それは誰もがこれ以上の平和を求めてないからだ。現状に維持だけを望んでいる。だが、それではだめだ!俺たちは・・・人類はこの地球で住んでいた事実を忘れてはいけない!」
来栖「それのためなら、力ない者達が犠牲になってもいいのか!」
有光「考えの相違だ。犠牲ではない。平和のための礎だ。事実、彼女たちがいなくては今の平和でさえ、このちっぽけな平和でさえ俺たちは保てない!」
来栖「そうだ。その点では否定するつもりはない。俺たちの平和は、彼女たちがいるからだ。だからって、自分の欲のためにそのお題目を唱えていいわけがない!」
有光「欲・・・?ふふふ・・・。違うな。私は、世界平和と共に日本帝国の行く末を案じているのだよ!」
来栖「その日本帝国を・・・お前はどうしようとしているのだ!」
有光「・・・いいか。いまや艦娘の技術は、世界各国が喉から手が出るほど欲しているものだ。ならば・・・あたえようではないか、世界平和のために。だが、与えるだけ・・・など分が悪い。かならず・・・それは返してもらわなければならない・・・。そうだろう?」
来栖「あぁ・・・そうだな。だけど・・・返してもらう、その行為にお前の欲が隠れているんじゃないのか!」
有光「・・・。」
来栖「お前・・・この国を本当はどうするつもりなんだ。」
有光「俺たちがまだ、下士官訓練学校に通っていたころ・・・あの事件があっただろ。」
来栖「呉湾轟沈事件。」
有光「あぁ。俺たちの恩師である二宮教官が亡くなった事件だ。国内の湾内に深海棲艦?笑わせるな、そんなこと本来ありえていいわけがない。あれは・・・陸軍と海軍上層部が絡んだ陰謀だ。」
来栖「・・・。」
有光「そして・・・俺は、あの時初めて出会った。溺れかけ死を覚悟した俺の前に女神の如く現れた・・・艦娘を。」
来栖「・・・。」
有光「所詮、帝国内部でもこのザマだ。世界を救う?国民を救う?本当にその気があるのか甚だ疑問だね。」
来栖「それでも・・・それでも・・・彼女たちを道具として扱うお前を・・・俺は許さない!許すことができない!」
有光「そんな甘い考えだから、妻も娘も失うんだろぉぉぉぉ!」
来栖「・・・!」
有光「なっ!」」
有光が叫んだその時だった。
司令室に艦砲射撃の弾頭が突き刺さると爆発を起こした。
来栖はとっさに身を庇うと揺れが収まるのを待った。
しばらくして収まると、来栖はゆっくりと有光がいた場所へと近づいていった。
そこには、瓦礫に挟まれ苦しそうに顔をゆがめているかつての友の顔があった。
来栖「有光・・・。」
有光「かはっ・・・おいおい、そんな憐みの眼で見るなよ・・・。」
来栖「今、助ける。」
有光「ふざけるな!お前は、どこまでお人好しなんだ!」
来栖「・・・。」
有光「・・・あの日。お前の妻と娘が死んだ日。裏で糸を引いていたのは海軍の参謀たちだ。俺よりもはるか上の存在。青柳大将たちだ・・・。」
来栖「なっ・・・。」
有光「確かに俺があの場を用意した。わかっていたさ、今回の俺の反乱も奴らからすれば、すべて予想出来ていたことなのだろう。俺みたいなチンケな野望じゃない。あいつらは・・・なにかを隠している・・・・。なにかを企んでいる・・・。」
来栖「・・・お前、わかっていながら踊っていたのか。」
有光「あぁ・・・。どこかで・・・お前に止めてほしかったのかもしれないな・・・少し疲れた。先に逝かせてくれないか?」
来栖「・・・。」
有光「夕張のこと・・・頼んだぞ。アイツは何も知らない。俺が利用していただけだ。お前の潔白を証明するためにも・・・俺を撃て。」
来栖「くっ・・・。」
有光「撃て。」
来栖「お前は・・・。」
有光「撃てっ!!」
来栖「うあああああああああ!」
乾いた音が瓦礫の部屋に響いた。
日本帝国を思い、艦娘という兵器を産み続けた元凶とされた有光参謀の死であった。
ーーー
第五機関近海
長門「帰ってこないな。」
金剛「心配ネ。」
熊野「あ・・・提督!」
大井「帰ってきたのですね!」
全員「提督ー!(司令官ー!)」
来栖は、その声に顔をあげると大きく手を振った。
誰もが、来栖の帰りを待ち来栖と共に帰ろうと心に決めていた。
そして、乾いた音が再び鳴り響いた。
来栖は、驚いたように目をカッと開くと地面へと倒れた。
全員「・・・。」
電「司令官っ!」
ーーー
横浜横須賀鎮守府
青柳「先の反乱により、我々帝国海軍は甚大な被害を受け、優秀な人材、貴重な装備の多くを失うこととなった。首謀者である、有光参謀にも何某かの考えがあったのかもしれない。しかし、我らが祖国に反旗を翻す・・・しかも武力をもって行ったことは許せない行為である。それを、身命をとしてまで止めた軍艦島鎮守府提督来栖健吾中佐に、我々は最高の敬意をもたなくてはならない。このようなことが二度と起きぬように、来栖中佐の意思を語り継いでいかねばならない。ここに誓おう、我々は一刻も早く侵略者の手からこの地球(ほし)を取り戻すことを、一刻も早くまだ世界を見ぬ子供たちのために世界を築くことを。」
椎名「銃口・・・・立て!撃て!」
死者への弔いの音が鳴り続ける。
軍艦島鎮守府は、解体となりそれぞれがバラバラの鎮守府へ配属されるようになった。
時雨と電は、そこに意図的な何かがあることを感じていた。
しかし、彼女たちにそれを止めようとする意志はすでになかった。
椎名「総員、敬礼!」
青柳「以上だ。」
青柳がゆっくりと壇上を降りていく。
それをまっていたかのように仁科が近づいていく。
仁科「どうするんだ、計画がおじゃんだぞ。」
青柳「案ずるな。代えはいくらでもいる。」
仁科「何・・・?」
青柳「人員も兵器もすべて、代えは存在する。抗おうとその運命からは逃れられないのだよ。」
青柳がゆっくりと視線をあげる。
その先には、かつて軍艦島鎮守府副指令で会った二宮の姿があることに気付いた者は、この時誰もいなかった。
~Fin~
各話紹介
第一章 Silent walk 提督暗殺編
第二章 night wark 静かなる暗殺者編
第三章 lance ran 未知なる兵器編
第四章 ←いまここ
人物紹介
来栖提督
xx鎮守府へ赴任してきた、4人目の提督。
詳しいことはまだ不明。
第五機関にいたらしい・・・?
二宮 和重
鎮守府の副官。
二宮の父は来栖たちの教官だったこともあり、来栖とは面識があった。
電(秘書官)
長門(主力艦隊旗艦)
陸奥
金剛
榛名
加賀
赤城
龍驤
隼鷹
飛鷹
明石
熊野
木曾
大淀
北上
大井
球磨
曙
響
夕立→移動
雷
時雨(2章より)
大本営
青柳大将
鵜久森参謀長
椎名法務長
仁科大将
有光参謀
鎮守府情報
西ノ海にある孤島に建築された鎮守府。
大本営からは遠く近くに東鎮守府がある。
半年で3人の提督が変死を遂げている。
第五機関
謎の新兵器などを研究、製造しているらしい・・・?
呉湾轟沈事件
外洋航行訓練帰還途中の艦がタ級に襲われた事件。
艦長の二宮 重清は、乗艦していた海軍参謀参謀に射殺されたと噂があるが真偽は定かでない。
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