終末なにしてますか?やっぱり忙しいですか?もう一度囁いてくれますか?
すかすかすかの二次創作お題を待ってたんだよ!
以後注意。
キャラ崩壊、設定の相違などにはできる限り気をつけます。警告タグにもあるように、物語の再編成を行っております。
ifです。苦手な方はブラウザバックを。
地の文、台詞回しは原作リスペクトですが、どうしても私よりになるのでご了承くださいませ。
五巻読了後の閲覧をおすすめします。そうでなくとも見れるようにはしておりますが。
――チーズケーキを、もう一度
「――ただいま」
数百年もの時を越えて、この世界で生き続けた、たった一人の人間種〈エムネトワイト〉の物語の終わりと始まり。
そのクソッタレで甘やかなエピローグ。
ヴィレム・クメシュという準勇者〈クァシブレイヴ〉の、ちっぽけな英雄譚は、ここで幕を閉じる。
――今から語られるのは、もしもの世界
クソッタレで甘やかなエピローグではなくて、チーズケーキのようでほんのり甘くて、どこか苦い。
ただ一人生き残った、人間種の準勇者には不似合いなプロローグだ。
◇
「……朝か」
ヴィレムはゆっくりと身を起こして、窓から外を見る。
朝靄が薄く広がって、あたかも煙に包まれているかのようだ。
そう見えない? 見えないか。
「……おはよう。随分と早いお目覚めだね」
朝一番にこの皮肉。正面を見据えたまま、愉快なジョークをヴィレムにかました少女へ言葉を返した。
「ああ。石化が解けてしまうくらいにはいい朝だからな」
「誰のおかげで?」
意地の悪そうな笑みを浮かべて、少女が笑う。ヴィレムはそちらに目をやった。
海のように青い髪の毛に、同じく深い青の瞳。黄金妖精〈レプラカーン〉の生体の一体、クトリ・ノタ・セニオリス。誰よりもヴィレムが大嫌いで、誰よりも大好きな彼女がそこにいた。
髪が赤みを帯びているということもなく、記憶に不純物が混ざるということもなく。軽い任務を終えて、家に帰ってヴィレムのチーズケーキを食べるだけの毎日。
平和そのものな妖精の家は、今日も朝を迎えた。朝の掛け声替わりに響いたのは、青年将校と一人の少女が戯れる声だった。
――生きたいと思っても、いいの? 本当に、そんな願いを持ってしまっても、いいの?
そう嘯いていた彼女は、ここにはいなかった。
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