2016-12-15 16:10:14 更新

概要

外の世界でサラリーマンとして働いていた普通の男性が幻想入り

彼が幻想郷で紡ぐ幸せとは


前書き

このssは、東方Projectの二次創作です。

また、筆者はこの作品が処女作となります。
至らぬ点も多いとは存じ上げますが、以下の点にご容赦いただける方は、ぜひ観覧していっていただければと思います。

【注意点】
・筆者はにわか東方ファンかもしれません。原作設定を無視してしまっている可能性があります。

・展開がベッタベタです。(鈍感主人公・どこかで見た展開)そうならないように注意してもそうなってしまう不思議

・直接的な性描写はありませんが、ちょっと匂わせるような展開があったりするかもしれません。一応R-15くらいです。

・一応長編にするつもりで書いてます。現在18話ぐらいまでは書き溜めているので、続きが読みたい!という奇特な方がいらっしゃれば、評価なりコメントなりをしていただけると筆者は大変喜ぶと思います。

以上の点について、何卒ご了承の上、観覧いただければと思います。










魔法の森に建つ一軒家。アリスの家に厄介になり、生活しだしてからはや3週間が経とうとしていた。


日々の生活の中で、今後幻想郷でどうやって仕事をし生計を立てていくかを考えつつ。

…今日も俺は朝食の準備をしていた。


「アリスー?オムレツ今日はなんかいれるかー?」

庭で取ったバジルがあるから入れてー、とアリスの作業部屋から返事が返ってくる。


「はいよっ…と」


戸棚からペースト状になったバジルを取り出す。溶いた卵に少しだけ牛乳を入れてっと…

大さじいっぱい分のバジルペーストを投入、ほんで胡椒を少々で良くかき混ぜて。


油を引いて熱したフライパンに投入する。卵が焼けるのと同時にバジルのいい香りが広がってきた。


「ふ、我ながら美味そうだ」

と、自画自賛していると

「シャンハーイ」

「お、上海ありがとう」

アリスの人形の上海が、焼いてたらしいパンを持ってきてくれた。うん、こっちもいい匂いだ。


「上海、ついでに食器出しといてくれない?」

「シャンハーイ」

上海はわかったとばかりにフヨフヨと浮いて食器を取り出してくる。


さて俺の方は…さっき作ったオムレツと、ボイルしたソーセージを皿に乗せて、あとはサラダ用の大皿にレタスをちぎってトマトを飾ってオリーブオイルをかけたら完了…っと。


うん、十分立派な洋朝食だろ。


「アリスー朝飯できたよー」

上海とリビングに料理を運ぶ傍ら、アリスの作業部屋に向かって再度呼びかける。

ドア越しに、いまいくから待っててーと返ってきた。

なんか熱中してんのかね?


と、そんな時、ドアをゴンゴンとノックする音が聞こえた。


「アリスーおーいいるかー」

む?お客さんか?珍しいな…


「久しぶりに素敵な魔法使いさんが遊びにきてやったぜーおーい」


ふむ、ここ3週間客人が来たことなんかなかったからな、本気で珍しい。

口ぶりから察するに友人ってとこかな?


さて、俺が応対してもいいんだが、どうだろう、一応アリスに聞いた方がいいかな?いやでもあんま待たせても失礼だしな。

と、悩んでいると、アリスが作業部屋からわりと勢いよく出てきた。

そして、俺をぐいと掴み


「あなたはリビングで大人しくしてて、私が応対するから」

と、俺をリビングに押しやって玄関に向かっていった。


絶対めんどくさいことになるもの…とブツブツ言っていた気がしたが、はて?

まぁ言われた通り大人しく待ってますか。



リビングに行くと吉がすでに待っていた。


「ご飯まだなの?」

「なんかお客さんみたいだからちょっと待ってろってさ」


玄関からガチャっと、アリスがドアを開けた音が聞こえた。まぁそんな離れてないしな、声も丸聞こえだ。


「おーアリスおはよう、まったく出てくるのが遅いぜ」


「おはよう魔理沙。ちょっと悪いんだけど…いま立て込んでるのよ」


「なんだよなんだよー魔理沙さんがせっかく遊びにきてやったのにさー」


「ほんと悪いわね、用なら後で私があなたの家までいくか…」


「ん?なんかいい匂いするな」


「…そうかしら」


「なんだ朝飯食うところだったのか、なら私もまだだからご一緒させてもらうぜー」


「ちょっ魔理沙!まっ…」

と、こちらへ向かう足音が聞こえ…


リビングに現れた少女と俺の目が合った瞬間、一瞬世界が止まった。


「…」

「…」

「…」

少女、俺、アリスと三人とも固まる中、少女がこの膠着状態を崩した。


「…同棲か?」


「そうで…」

「違うわよ」


うん、違うね、違うからちかたないね。


「えーと、だとするとどちらさん?」

まぁそらそうなるわな。


「はじめまして、いまアリスの家でお世話になってる、添木幸祐です。

えーと君たちからすると、外来人ってのらしいけど、まぁ外の世界から来たんだ」


「ほぅ~私は霧雨魔理沙、アリスの友人で普通の素敵な魔法使いさんだぜ、よろしくな」


といって少女に握手を求められた。握手に応じながら改めて見てみると、なるほどたしかに魔法使いだ。


白黒の服にとんがり帽子、金髪で軽くウェーブがかかった髪、いかにも魔法使いっぽい。

そんでもってどこか少年を思わせる言動に反して、とても整った顔立ちをしていた。…まぁ平たく言うと美少女だった。


「…もういいかしら。ちょうどご飯だったから冷める前に食べたいの。

魔理沙、さっきも言ったけど用ならあとでこっちから行くから…」


「えーいいじゃんかー。見た感じ、多めに作ってあるみたいだし、ご一緒させてくれよー。

な?そっちのにーさんの話も聞きたいしさ」

魔理沙さんがこっちをチラチラ見ながらアリスにお願いしている。えぇ…俺に助け舟出せってのかい…


「だから…」

「まぁいいじゃんアリス、せっかくアリスの友達が久しぶりに来てくれたんだしさ」

俺は気にしないからさ、と続ける。


「…ならまぁ…いいけど」

アリスは憮然としたままだが、なんとか了承した。んーそんな嫌だったんかね?普通に友人だと思ったんだが…


「お、にーさんイイヤツだねー。じゃ遠慮なく~」

と、魔理沙さんは空いている椅子に座ろうとして…


椅子のそばにいた吉の尻尾を踏んだ。


「フシャーーー!!」


おぉ…怒った怒った、魔理沙さんもちょっとびっくりしてる。

「悪い悪いにゃんこ…いたの気づかなかったぜ、大丈…」

「なにすんのよ痛いわね!」


「…」

「…」

「…使い魔か?」


いや使い魔ではないです、俺の愛猫なんです。



…しゃべるけど。









「ほーなるほどねぇ」


朝食を三人で食べ終えた後、上海の入れた紅茶を飲みながら今までの話を聞いた魔理沙さんが答えた。


「で、この一人と一匹を預かってる、と」

「ま、そうゆうことね…」

アリスが答える。


「ふむ…にーさん」

「ん?魔理沙さんどうかしました?」

「ああまず敬語じゃなくていいよ、あと魔理沙でいい、私もこーすけって呼ぶから」

なんというか間延びした呼び方をされた気がするが気のせいだろうか。


「うん、じゃあ魔理沙、どうしたの?」


「…ヒモか?」


「ゴフッ…」

ふ…これがハー○ブレイ○ショットか、効いたぜ伊達さんよ、こりゃあ一歩もダウンするってもんさ…


「い、いや、いろいろ手伝ってもらってはいるのよ?」

掃除とか料理とか薪割りとか、と、アリスがフォローしてくれる。


「いやそれをヒモというと思うんだが」

残念!フォローは効果がないみたいだ…


ふ、ふふ…薄々思ってはいたさ、あれ?これ俺ヒモじゃね?ってな…


「いやまぁそれはいいか、当人たちが納得してるなら、私はなにも言わんさ」

いや、俺としてはあまり納得してないんだが…収入ゼロで家事手伝いして居候させてもらってる分際で偉そうなことは言えない…


「それよりだ、アリス」

「な、なによ」

アリスがちょっと身構える。


「なんで霊夢のところに連れて行かなかったんだ?外来人なんだし、まずは霊夢のところに行くのが普通だと思うんだが。

それにそうでなくても人里の寺子屋でも、きっとアイツなら面倒見てくれただろうに」


「それは…ここで預かってても一緒だと思ったし…」

なんかアリスの言葉に勢いがない。


「そうだとしてもだ、挨拶ぐらいは行ってもよかったんじゃないか?」


「…それはそうかも…だけど…」

なんかアリスがもっと小さくなった気がする…


まぁ実を言うとそれについては俺も薄々思ってはいた。

アリスにだってこの世界に友人や知り合いがいるだろうし、挨拶ぐらいはするべきなんじゃないかなぁ…と。


とはいえ居候させてもらってる身だし、俺自身それほど積極的にいろんな人と関わりたいと思うタイプでもない。

もっと言うと、まだ3週間しか経っていないが、アリスとの生活はなんていうか外での生活と違って心が楽だったから、その辺のことは思ってはいたが気にならなかったのかもしれない。


「と、言うわけでだ」

なんか魔理沙がニヤリと笑った。


そして俺の手をぐいと掴むと

「え?」

「幻想郷ツアーズ一名様ご案内だぜー!」

と、部屋の中にも関わらず箒に乗って宙に浮きだした。


「あっ…ちょっと!」

そんなアリスの言葉が聞こえるかというところで、

箒に乗った魔理沙に引っ張られ俺はすごい勢いで玄関から連れ去られていった…








「…もう」

幸祐が連れてかれたあとで、アリスは一人不満を零した。


「主人、連れてかれちゃったね」

いや、一人ではなかった。もう一匹いた。


「まぁ、あれで悪い奴じゃないし…大丈夫よ」

主人に置いていかれた猫に話しかける。




「…だから嫌だって言ったのに…」

アリスが漏らした言葉は、小さすぎて吉にも聞こえることはなかった。


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