提督と◯◯39 「提督とバレンタイン3」
提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です
注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです
アニメとかなんかのネタとかパロディとか
二次創作にありがちな色々
長い
39回目になりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね
ーそれでは、本編をはじめましょうー
↑後「提督とお花見」
ー厨房ー
「大井先生っ、よろしくお願いしますっ」
厨房から響いてくる少女たちの声
頭巾を巻いて、色とりどりのエプロンを引っ掛けると
どこか家庭科の授業の様にも見えた
大井「それじゃあ、まずは…」
もう何度目か、既に手慣れた事ではある
先生なんて言われてもやること自体は変わらない
あれをこうして、そうやって。睦月達二人の面倒を見る必要はあるけれど
まぁ、それはそれ。卯月が居ないのならよっぽどにはならない筈
北上「じゃあお庭に行って、カカオを植えてこようか」
睦月「そこからなのっ!?」
大井「…」
何処から拾ってきたのか
大きなカゴに、どっさりとカカオの実を抱えてくる北上様
目を丸くしている睦月に「いっつじょーく」と
にはには笑いながら、今度はオーブンの蓋を開ける
水無月「オーブンなんて何するのさ?」
北上 「コイツを焙煎して…砕くっ」
カカオの実に拳を落とす真似をする北上様
水無月「そこからなのっ!?」
想像してたのと大分違う展開に
目を丸くし、思わず声を出す二人
もちっとこう あるはずだ
湯煎でチョコレートを溶かして~だとか
あ、ちょっと焦げちゃったとか
きゃっきゃっうふふと桃甘い展開を期待してたのに
北上「諸君っ、チョコ作りを甘く見てはいけないよ」
びしっと、二人に指を突きつけ、さらに言葉を続いていく
いいのかね?
チョコを溶かして型に詰めるだけ
本当にそれで良いのかね?
星型にハート型?
確かにそれは可愛いだろうさ
それで、隣のあの娘も向こうのあの娘も星型で
名前も知らない あの娘ですらもハート型だ
そんなありふれた可愛さに一体どれほどの意味があるのかね?
きっと あの人はこう思うだろう
可愛いチョコレートだなっと、右も左も…
それで良いのかねっ、それは義理チョコと同じではないのかねっ
私はそれが悲しいっ、中途半端に手間を掛けた分やりきれない
しからばっ
無駄に手間を掛けて、時間を浪費した挙句に、出来た失敗作っ
良いではないかそれでもっ、私はそれが愛おしいっ
「ちょっと苦いねっ」とか、言われたほうが思い出にもなるだろうさっ
「お、ぉぉ…」
完全に勢いだった。勢いに任せの出任せに
飲み込まれた二人が、何ともなしにも拍手せざるを得なくなっていた
大井「で、ここに用意してたものがあるわ」
妙な熱気につままれている3人の前にボンッと
湯煎の終わってドロドロに溶けているチョコが差し出される
北上「準備が良いねぇ、大井っちは」
大井「あなたが長話をしているからでしょう…」
呆れ気味に息を吐くと
手早く、次の作業に取り掛かる大井さん
睦月 「お、大井さん…カカオの木なんていつの間に…」
大井 「植えてません…」
水無月「まさかそれ…素手で砕いたのかい…」
大井 「砕きません…」
球磨じゃあるまいにと、さらにため息を重ねる大井だった
それから少しの後
「出来たー」と、歓声が上がると
あちらこちらをチョコで汚したまま
完成したチョコを抱えて、厨房を飛び出していく睦月と水無月
残ったのはゴロゴロと転がるカカオの実と
飛び出した二人にかき混ぜられた、チョコレートの甘い残り香程度
大井「で?」
たった一言
何の飾り気もない問いかけが、静かになった厨房に広がっていく
北上「…馴れんことはするもんじゃないね…」
誤魔化そうとも思った
けれど、どうにも見透かされているような空気に観念して
冷蔵庫の奥から、凝り固まったチョコを引っ張り出した
大井「ちょっと苦いねって言われて来れば?」
一応、見た目だけならチョコの風体は保っているようにも見えるソレ
北上「いやぁ…ちょっとじゃないんよねぇ…」
なんてーの?
苦いのが終わって甘い、みたいな?
まとまらない風味がてんでバラバラに襲ってくるっていう
大井「思い出にはなるじゃない?」
さっき自分で言ってたくせにと、言葉を返す大井
北上「見栄があるんだよぉ…女の子にはさぁ」
さめざめと、肩を落とす北上様
大井「はいはい…」
まぁ、と目の前のチョコ?に目を落とす
暗黒物質になってないだけマシなのどろうけど
そこから漂ってくる匂いは、ほろ苦いというか焦げ臭いものだった
ー執務室ー
バレタインの朝
湯たんぽ代わりに ゆーを抱きかかえている提督と、大人しく膝の上に収まっている ゆー
二人して、何をするでもなく ぼぉーっと時間に流されていると
ふと、思い出した様に ゆーが口を開いた
ゆー「Admiral?チョコ食べます?」
季節柄、当然といえば当然の質問で
忘れたふりを装うにも、鎮守府内はチョコの香りで充満している
誤魔化せるとすれば「あぁ、そういえば今日だったね」と、曖昧に言う程度
提督「作ったの?」
ゆー「んーん、まだ」
それには小さく首を振って答える ゆーだったが
「でも…」と、おもむろに扉の方を見つめると
ゆー「そろそろ皆くるんじゃないかな?」
ー執務室前・廊下ー
かつ・かつ・かつ・かつ…
とんとんとんとん…
廊下の角
その奥から合わない足音が響いてくる
金剛「ぐっもーにんっ、睦月。いい朝ですねっ」
睦月「おはようっ金剛さんっ、今日も元気だねっ」
と・こ・ろ・で…と
それが廊下の角を過ぎたあたりには、すでに小走りに切り替わっていた
金剛「そんなに急いで何処へ?」
睦月「それはこっちの台詞かにゃぁ…」
何処も何も何もない
この先にあるのは執務室だけで、おまけに今日はバレンタインの朝
やることなんて、どっちもそっちも大差もないものだ
追い越せ追い抜けと、上がっていく二人の速度
今にも駆け出しそうなのに、そうしていないのが不思議なくらい
「…」
ジリっと、交わる二人の視線
ルールは簡単だ
先に執務室の扉(ゴールテープ)を切ったほうが勝ち
暗黙の内に走らない事になってしまっているが
単純な歩幅で、だんだんと金剛の方が前に出始める
多少大人気ない気もするが、それも今に始まったことでもなし
これも勝負事、常に全力を出すのが私という娘だ
睦月には悪いけど、二番煎じに甘んじて貰うよっ
そして、更に差を付ける為、勝利の一歩を踏み出す金剛
「水無月ちゃんっ」
「まっかせてよっ」
一瞬の出来事だった
睦月が声を上げたかと思えば、ズンっと金剛の肩が重くなる
悪いことに、足を踏み出す前だったせいもあって、あやうく転びそうにもなっている
金剛 「み、みなづきっ、あなたっ」
水無月「ごめんよ、金剛さん」
なんて口にはすれど、その顔は「にひひっ」と笑っていた
金剛「ちょっ、ズルいよっ睦月っ」
睦月「金剛さんっ、ズルいってのはねっ、敗者の言葉なんだよっ」
そう言い残し、睦月が廊下を跳ねた
走ってるわけではない
ただ、とんっ…とんっ…とんっ…と、八艘飛びの如く廊下を跳ねて行った
ー執務室ー
「ぐっもーにん…提督…」
ゆっくり、ゆっくりと開く扉
軋む蝶番の音が新鮮に聞こえる分だけ、そういえばと立て付けの悪さを思い出させる
提督「どした?睦月みたいに「てーいーとーくーっ」って言わないのか?」
金剛「分かってて言ってるんでしょ、あなたは…」
がっくりと肩を落とす金剛
扉の前ですれ違った、睦月と水無月の笑顔が頭から離れないでいた
「こんご…。やり直し」
聞こえてきたのはそんな言葉
顔を上げてみれば、羨ましくも提督の膝の上に収まっている ゆーと目が合った
金剛「へ?」
ただ意味が分からなかった
やり直せとはいったい?
ああ、そりゃ、朝からやり直せるのなら、もっと早く起きて、とかも思うけども
ゆー「こんご…それでいいの?」
多くは語らず。ただ、すぅっと細くなる視線が金剛を見つめている
金剛「それは…」
良い訳がない、良いは筈がない
せっかくのバレンタインだ。否、たとえそうでなくても
提督にプレゼントを用意したのだ、好きだと言いに来たのだ
それをこんな片手落ちで済ませて良いはずは…ない、けど
今更やり直しってのも…どうにもバツが悪い
提督「ふふ…金剛、やりなおし」
金剛「…提督まで。金剛のことからかってるの?」
何を察したのか、面白がってくる視線から、ついついと目を逸らしてしまう
提督「いや、たださ…。チョコレートもいいけれど…」
ー
ゆー「…Admiral?どうして ゆーを撫でてるの?」
金剛がTAKE2に入るため、扉の向こうに引っ込んだ後
ゆーの頭を何ともなしに撫でている提督
撫でやすい所にあるのもそうだし、何より指の間をすり抜ける柔らかい髪の感触が心地よかった
提督「ん?ゆーは良い娘だなって?」
ゆー「…だんけ。けど…」
気恥ずかしいのか、くすぐったいのか、肩をすくめ少し俯く ゆー
提督「けどなぁに?」
ゆー「うん。あんな台詞…」
「チョコレートも良いけれど…。いつもの笑顔が見たいな?」
自分に言われてるわけでもないのに
思い出しただけでドキドキして、どんな顔をして良いか分からなくなる
提督「ゆーも言って欲しいって?」
面白半分に耳元で囁く提督
ゆー「んーんー…」
わざとらしく、耳元に息を吹きかけると
くすぐったそうに身じろぎをする ゆー
「ぐっもーにんっ、てーいーとーくーっ」
扉が開く
いつもの様に、蝶番の軋む音なんて掻き消して
勢い良く開け放たれた
金剛「って!?あーっあーっ!?何してるのっ、あなた達っ」
なる程どうして、その反応は正しい
女の子を膝の上に乗せて、その横顔に口を近づけている
傍から見れば ちゅーでもしてそうな光景ではある
だからそう、そうみえるのなら
ーちゅっ-
なんて、やってみると「ひゃっ」とか可愛い声が聞こえて来る
金剛「ま、まさかのまさかよ…。ゆーが、ゆーが…」
まだ そういうのには興味が無いと、まだそういうのは早いと思ってたのに
あーあーあーあーあー、女の子の成長は早いというけども
などと、ぶつぶつ言いながら後ずさりを始める金剛
ゆー「ちがっ、こんご…誤解って、Admiralが…」
愕然とする金剛に、慌てふためく ゆー
今日も良い一日になりそうだった
「もうっ、Admiral!何笑ってるのっ」
ー廊下ー
卯月「けふっ…」
鎮守府の廊下を よろよろと歩く卯月
文月「あれ?うーちゃん、どうしたの?顔色悪いよ?」
通りかかった文月が、心配そうに顔を覗き込み…その足が止まった
チョコレートだった
近づけば近づくほどに漂ってくるチョコの匂い
呼吸の度に、チョコの匂いが波のように寄せては返していく
文月「も、もしかして、弥生お姉ちゃん?」
思いついたままに訪ねてみると
「ぴょん…」と、力なく頷きが返された
まぁ、そうなるよね…
つまみ食いはされたとしても
卯月を毒見役に選ぶ娘なんて、指先一つで足りると思う選択肢だ
卯月「チョコ食べてって…美味しいって、言ったのに…」
最初のうちは美味しかった
甘かったり、苦かったり、酸っぱかったり
司令官なら どれが好きかなって二人で考えたりもして
「美味しい?」て聞かれた
「美味しい」って答えた
一番好きなやつを選んでも見た
そうしたら増えた、叩いたビスケットみたいにポンっと増えた
「美味しい?」て聞かれた
「美味しい」って答えた
一番好きなやつを選んでも見た
そうしたら増えた、水をかけたワカメみたいにボワっと増えた
途中から味なんて分かんなくなっていた
口の中が甘かった。呼吸をする度、口から、鼻からチョコが流れ出してるみたいだった
そのうち、右も左も、髪にも服にも肌にもチョコの匂いが染み付いて
チョコレートの海に溺れてみたいな気分になっていた
卯月「きもちわるい…」
もはや「ぴょんぴょん」いう気力も無くした卯月が
壁に手をついてヨロヨロと崩れ落ちる
文月「おととっ…」
慌てて受け止める文月
むわっとむせ返るようなチョコの匂いが直に押し寄せてくる
もう、チョコが姉の形をしているのか、姉の形をしたチョコなのかと言った具合だった
卯月「あははっ、文月がから良い匂いがする~、チョコじゃない匂い~」
文月「ちょっ、うーちゃんっ、くすぐったいって、ゃ、そんな匂い嗅いじゃ…」
抱きとめられたのを良い事に
無防備な胸元にグリグリと頭を擦りつけ
わざとらしく、大きく息を吸い込んでみたりと
くんずほぐれずをしている内に「きゃっ」と小さな悲鳴が聞こえてきた
何時の間にか、押し倒すようにして文月の上に跨っている卯月
その顔が、ニヤリと楽しげに緩んでいく
文月「う、うーちゃん 姉さん?」
卯月「うぷぷぷぷ…」
不安そうに見上げてくる文月の視線を笑顔で受け止める卯月
卯月「お前もチョコまみれにしてやるぴょーんっ」
文月「ちょっ、まってっ、すとっぷすとーっぷっ」
襲いかかる卯月にろくな抵抗も出来ず
「いーやーっ」
悲鳴が廊下に木霊した
ー執務室ー
ゆー「ねぇ?やーよ…」
提督の膝の上から逃げ出した ゆーが
今はその横、その肩を背もたれにして寛いでいた
弥生「なぁに?ゆー…」
そうして、空いた膝の上には弥生の姿
肩越しに見つめてくる ゆーの視線に目だけを動かして視線を合わせる
しかしそれっきり
じーっと、視線を交わらせるばっかりで、会話の一つもまるでない
何の話だろうかと、紅茶を片手に、向かいのソファで様子を伺っていた金剛も
長い沈黙に、「なんなの?」と視線を提督に向けていた
じーっと、視線を交わしたまま続く沈黙
会話もない、横着してモールスの打ち合いをしている様子もない
ただひたすらに、「じー…」と沈黙が続くばかり
ゆー「じー…(昨日、何か買ってきてたよね?」
弥生「じー…(チョコの材料だね」
ゆー「じー…(厨房で何してたの?」
弥生「じー…(それもチョコだね」
ゆー「じー…(それ、どうしたの?」
長い沈黙の後「はぁ…(勘の良い娘」と視線を逸らし、ため息を付く弥生だった
まったく…。なかなかどうして、よく気づく娘になったものだ
欲を言うなら、気づかない振りが出来るように成れば尚のこと
まぁ、口に出さなかっただけでも及第点と言えるかもしれないけども
用意、してはいた。少なくとも今朝まではあった
ただ、卯月と一緒に選んでいたら、納得が行く頃には全部溶けていただけで
出来合いの物にしようかと思ったけども、それはそれで義理っぽい
作り直すかどうかの堂々巡りに出した結論は
手ぶらのままに執務室の扉を叩く、だった
提督「…」
ゆーと弥生を交互に見る
どうにも二人の間で会話は成立しているようだ
問題はその内容…。乙女の内緒話ならお手上げだが、一つ気になることはあった
提督「ねぇ…弥生。チョコちょーだい?」
弥生が吐いたため息を吸い込んで、口を開く提督
弥生「…はぁ」
でもって、その言葉を飲み込むと 再度ため息に変換する弥生
弥生「どうして?どうして司令官は すぐそういう事を言うの?」
提督の膝の上で そっぽを向いている弥生
ゆーでさえ お口にチャックをする配慮もあるっていうのに
この人はまた、人のことを突っついてくる
提督「弥生が拗ねるから…とか?」
見なくても分かる
楽しそうに愉悦を含んだ声音、きっとその表情は…
弥生「してないし。弥生はいつも こんな顔」
そうは言うが、俯かずにはいられなかった
たしかに弥生はいつもこんな顔だけど
「拗ねてる」顔を司令官に見られるのは抵抗があった
提督「そうか?あの日の弥生と同じ顔だ」
弥生「…いつの話を」
提督「2ヶ月前くらいかなぁ」
弥生「…」
それを言われると弱い
たしかにその辺り、記憶が吹っ飛んでる時間帯があるにはあったから
提督「例えばそう「司令官だいすき♪」とか「司令官と結婚するの♪」とか」
弥生「…司令官。変な声出さないで…」
頭の上から振ってくる猫なで声に目眩がし始める
そんな覚えはない、そんな事言った覚えはないはずなのに
ぽっかりと抜けている記憶の隙間が「そうだったかも?」なんて無責任に頷きそうになっていた
提督「強情な…」
これも日頃の行いか。思い出は作るものとは良く言うが
私の言葉で足りないのならと
提督「ねぇ、金剛、ゆー?」
二人も巻き込んでみた
金剛「そうね…」
提督の視線を受けると、音もなくティーカップを机の上に戻す金剛
そうして、さり気なく ゆーと頷き合うと
金剛「司令官っ、結婚してっ」(←弥生の真似
ゆー「急、だね…」(←提督の真似
金剛「急じゃないもんっ、弥生は弥生はっ」
ゆー「やよい…」
金剛「司令官…」
「ちゅー」
ゆー「とか、やってましたって」
「絶対うそっ」
珍しく、大きな声で否定する弥生
立ち上がりかけたその肩を提督に抑えられて、 何とか座わっていた
金剛「嘘じゃないよ。提督に聞いてみると良いね」
弥生「そんなの、一番当てにならない…」
ゆー「可哀想なAdmiral…」
小さな手を伸ばして提督の頭を無で始める ゆー
提督「あーあ…。傷ついた提督に甘いチョコとかないのかなぁ?」
「たべたいなぁ…」とか、これ見よがしに弥生を突っついていると
弥生「いいでしょ…別に…」
ふと、聞こえて来たのはそんな声。ついでに、提督のお腹を弥生が肘で突き返す
「…弥生が、いるじゃん…」
それは、あまりにも小さな声で
聴き逃した3人が、答え合わせをと互い違いに視線を交わすほど
提督「弥生?」
それでも出ない答え
降参とばかりに、弥生の顔を伺う提督
弥生「だからっ…や、その…」
言おうとした
言おうとしたら、目の前の金剛と目が合った
ティーカップで視線を隠してるつもりなのか何なのか
それでもばっちり、伺われてしまっている
それに気づくと、堪らずに目をそらす
けれど、そらした先では ゆーに見られていて、逃げ場がなくなってしまう
口ごもる。他の言葉を、言い訳をと考えている内に
ふと、ふつふつと、自分が、弥生が
どうしてこんなに悩まなければいけないのかと疑問にも思う
疑問に思うと、だんだんとムカついてきた
どうせコレを言ったって、また からかわれるだけなんだろう
いやさ、司令官にからかわれるだけなら良いんだけど
ゆー や金剛にまでってなると…恥ずかしい思いまでして今言う必要は…
提督「やーよ?」
前門の金剛、後門のゆー、頭の上には司令官
愉しそうに覗き込んでくる司令官の その顔を
叩いた
ゆー「ぁ…」
金剛「ぷふっ…」
その行動に 意外そうに目を丸くする ゆー
金剛さんに至っては、紅茶を吹き出しそうになっていた
提督「あいた…」
叩いた手も、頬も、ちょっぴりと赤くなっていた
ー玄関ー
菊月「ん、司令官か」
扉を開けると、一人 柱にもたれかかっている菊月の姿
「何してるの?」と、聞いてみれば。視線だけを向こう側へと向けてみせた
提督「長月?」
そこには、正門に向かう長月の姿
緑色の髪が線を引いて、角を曲がって消えていった
提督「どこ行くんだろう?」
単純な疑問を何ともなしに口にすると
菊月「これ、じゃないか?」
疑問に答える様に、菊月が手にした小袋を掲げてみせる
提督「M&M?」
菊月「ああ、食べるか?」
提督「うん」
袋に手を伸ばし、指先サイズのチョコを一つ摘んで口の中へと放り込む
口の中に溶け広がるチョコの風味
ほろ苦さより甘みが先にくるような
どこまでも、素直な素直なチョコレートだった
提督「で?」
口の中でチョコは溶けても
一向に溶けない疑問に首をかしげる提督
菊月「だから、チョコだろう?」
私がいない時、寝ている時
ここ最近、隙を見ては何かコソコソしていた長月
今朝方、ゴミ箱に押し込まれたカタログを見つけた時は
隠すなら最後まで…と、思わずにはいられなかった
提督「…私に、かな?」
なんて、冗談半分、期待半分で動かした口は
思っていたより、こそばゆくて気恥ずかしい
菊月「いや、私かもしれんぞ?」
にっと、不敵に笑ってみせる菊月
「…」
しばしの沈黙
交わる視線は、流れるままに正門へと移ろいで行く
「行くか」
どちらからでもなくそういうと
二人並んで正門の角を曲がっていった
ー郊外・百貨店ー
赤・黒・金
目につく物を端的に上げれば、そんな印象を受けるだろうか
普段はお菓子売り場で一角を作っているチョコレートが
百貨店の顔の様に全面展開されていた
そんな綺羅びやかな区画に浮かんでいる緑色は
時期が時期ならクリスマスの様にもみえた
長月「これ、か…、こっちか…」
棚に、ショーケースに、所狭しと これでもかと並んだチョコの山
その前を、行ったり来たり、右往左往しては、手に取り見れば棚に戻す
そんな事を、指折り数えれば両手がグーになっていた
それでも分からないものは分からない
誰かへのプレゼント、まして好意を伝えるものだなんて…
手に取ったのは一番人気と書かれたチョコレート
M&M程度のサイズなのに、馬鹿みたいな値段が付いていた
そんなに良い物を使っているのかと、商品説明を見てみれば
フランス産だのベルギー?イタリア?
カカオって…南で作ってるんじゃ…
挙句の果てに 生だのトリュフだの、どうしてキノコが混ざっているのか
長月「わからん…」
どういうのが好きなんだ、あいつは…
思いつく限りの普段は、割りと偏食気味だと思う
出されたものは何でも食べるが、それが好きかというとそうでもなく
本人に用意させると、だいたい決まったものしか食べていなかった
どうだったろうか?
司令官の、あいつが好きなもの…例えばそう…
長月「…わたし、とか…」
思わず口をついて出た言葉
それを、自分の耳が拾って理解した瞬間
かっと、顔が熱くなった
ないないないないっ
火照った顔を冷ますように、慌てて首を振る
何を考えて、そりゃ あいつなら言いそうだけども…
言って、欲しいな…
ほぅっと、息を吐く
気づけば、予想は期待へと変わっていた
ー
百貨店の片隅
遠巻きに長月の様子を伺っていた二人
菊月「司令官、好きなものは?」
提督「菊月」
菊月「ありがとう。長月にも言ってくれると もっと嬉しい」
提督「改めて言うのは照れるね」
菊月「それでもだ。言って欲しいときもあるだろう…」
提督「あらかっこいい」
菊月「ふふっ」
当然だと、微笑む菊月
二人で長月を尾行して
感想としてはそう、乙女か、といった所だった
いやさ、乙女なのはそうなのだけど
鎮守府から離れるまでは、挙動不審に辺りを警戒してたのに
チョコを前にしてからの一喜一憂は、何を考えているか盗み聞きしなくても分かるほどだった
菊月「で?」
端的に、これからどうするのかと問いかけてくる菊月
選択肢としては大きく二つ
1つ、お家に帰って長月の帰りをまつ
1つ、突撃する
「なが」
そうだなと、頷きあい動き出す二人
きっとこのままでは日が暮れる
ならここは、司令官として、妹として、助けてあげるのが良いだろうと
ー
菊月「これにしたらどうだ?」
そっと差し出されたのは、提督が良く摘んでいるお菓子(る◯んど)だった
長月「だが…それだと義理っぽくはないか?」
選択肢として考えなくは無かったが
日常の おやつなら兎にも角、バレタインでそれは違うような気がする
菊月「好き好んで食べてくれるならそれでいいだろう?」
長月「まぁ、それは…」
狙った高いのが、コレより美味しいという保証はないのだし
確実と言えばそうなんだけど
菊月「なに、二人で食べれば 駄菓子でも美味しいものだ」
長月「何処でそんな言葉を…」
思い当たる節は…幾らでもありすぎて考えるのを止める
ただ…そう、二人で食べるなら、というのはアリかとも思う
提督「ほらな菊月。だから 私は なつき が良いって言ったんだ」
長月「っと、司令官。急に抱きつくなと…」
ふっと、肩にかかる重み
つられて出る小言もいつもの事で、違和感を覚えることもなかった
長月「いや、まて」
その辺を取っ散らかして、違和感の尻尾を引きずり出す
おかしいだろう?
ここが鎮守府だったら日常だ
しかし、ここは百貨店で、しかも一人で来た筈なのに
「ん?」と、首を傾げている司令官に顔を向ける
長月「お前たち、なんでいる?」
思わず「お前たち」と口にして
違和感もなく溶け込んでいる菊月にも ようやく気づく
提督「ながなが(長月が…」
菊月「ながなが(いるからだが…」
長月「せめて分かる言葉で喋ってくれないか?」
二人顔を見合わせてみれば共通言語(ながなが)で口を開く
日本語なら文句はないが、それが無理なら英語とかにして欲しい
提督「長月は注文が多いなぁ」
菊月「まったくだ…」
顔を見合わせ息を吐く二人
自分が悪いかのように錯覚しそうで頭を抱えそうになった
長月「と言うかなんで…」
「此処にいる?」と、根本の問題を片付けようとしたら
ー店員さん、この娘下さいー
長月「は?」
思わず耳を疑ったが
「ど、どうぞ…」と、困った様な苦笑いで返ってくる店員の声が正常だと教えてくれる
菊月「すまない。ラッピング用にリボンを貰えないだろうか?」
カウンターに身を乗り出し、リボンを要求している菊月
「ど、どうぞ…」と、赤いリボンを差し出してくる店員
菊月「ありがとう…」
長月「菊月っ、おまえっ」
飛び出しそうになるが、そこは司令官にガッチリ抑えられ
足が半歩飛び出る程度におわってしまう
「ちょっ、おまえっ、はーなーせーっ」
「えー。ずーっと二人でいようねって、あの日に語り合ったじゃない?」
「いつの話だっ」
「思い出は作るもの」
「捏造してるんじゃないよっ!?」
「別に真実にしてくれてもいいのよ?」
「言うわけ無いだろうっ!」
「ずーっと二人でいようねっ。ほらっ」
「なっ、ばっ…こんなとこで何をっ」
菊月「騒がしくて すまない」
後ろの騒ぎを尻目に、店員に目礼する菊月
「い、いえ…」と、引きつった愛想笑いを続ける店員さん
菊月「お会計。良いだろうか?」
店員「い、いえ…お幸せに…」
菊月「ありがとう」
困り果てた店員に背を向けると
姉と戯れている司令官の肩を叩く菊月
菊月「いくぞ司令官」
提督「はーい」
「はーい、じゃないっ」
「だいたいそのリボンはっ」
「ていうかっお・ろ・せっ」
気づけば提督に抱き上げられている長月
リボンと同じくらい顔を赤くしながらも
その腕の中で、ジタバタと無駄な抵抗を続けていた
菊月「長月、うるさい」
長月「な…」
すっと、目を細めた菊月に睨まれる
言われてみれば確かにそのとおりなのだが
妹に「うるさい」なんて言われて事のほうがショックで
次の言葉が紡げなくなってしまった
菊月「まったく、他の人に迷惑じゃないか」
長月「くぅぅ…」
おまけに、ここに来ての正論に文句の返しようがなくなった
ー鎮守府・工廠ー
ポーラ「みてくださーい。チョコもらっちゃいましたよぉ」
お酒と、チョコの入った小袋を片手に
だらしない笑顔を浮かべて、工廠になだれ込んでくるポーラ
瑞鳳「律儀ねぇ、あの娘も」
簡単な机の上に頬杖を付きながら、同じような小袋からチョコを摘んでいる瑞鳳
気づけば居座っているポーラに、特に何も思わなくなってきたとはいえ
わざわざチョコまで用意するなんて
あの娘の中では、もうポーラもそういう対象になってるのだろうか?
夕張「人懐っこいていうか。みーんな大好き♪って感じの娘だしねぇ」
湯呑みを一口
チョコの甘さに溶けた舌が、お茶の苦味にすっと引き締められていく
そうして、ふぅっと息を吐くと、そう言えばと考える
夕張「あの娘の大好きって、どういう意味なのかしら?」
そもそも人の好き嫌いをしている所が思い浮かばない
誰かが居れば、たとえ知らない娘でも笑顔で駆け寄っていくような
そんなイメージの方が容易に想像出来るというものだった
ポーラ「大好きは大好きなのでは?ポーラにも優しくしてくれますよ~、チョコも美味しいですし~」
ぷはぁっと、ポーラが口を開いてみれば、お酒の香りが漂ってきた
瑞鳳「でも、如月と提督には 特にべったりだし、やっぱり線引はあるんじゃない?」
思い浮かべてみても
如月と、でなければ提督と、あるいは二人に可愛がられている様なイメージがしっくり来る
ポーラ「そうなんですか?ポーラはてっきり、提督さんと如月が睦月にべったりなのだとばかり」
「あ…」と、二人の声が重なった
そう、そう言われれば確かにそうも見えた
どうして そう考えなかった?長いこと一緒にいたのに
いや、だから余計に、最初の印象がそのまま固定したのかとも思う
無論、睦月が二人を大好きなのはそうだろう
二人も睦月が大好きだってのは その通り
要はベクトルの問題だ、「大好きの範囲」の問題だ
とはいえ、睦月にそれを聞いたとて「?」と首を傾げるだろう
「大好きは大好きだよ?」と、いうのだろう
提督と如月に聞いたとて
「好きよ?」とか 言われて当然の様にはぐらかされるだろう
結局、答えは睦月のブラックボックスの中を開けてみないことには分かりもしない話だった
夕張「つまりはあれよね」
どっちがどっち、というよりも、どっちもどっち、というわけで
その光景は、すぐ隣にだって当てはまる
夕張「瑞鳳が、卯月を追い回してるのと同じ…みたいな?」
首を傾げていた瑞鳳の顔が「はぁっ!?」と一気に赤くなる
瑞鳳「私じゃないでしょっ、あれはあいつがっ」
子供みたい絡んでくるから、合わせてあげてるだけで
ポーラ「そうなんですかぁ?たのしそーにみえるのにー」
同じ様に顔を赤くしながらも、陽気に笑っているポーラ
夕張「ね?」
瑞鳳に視線を投げる夕張
傍からというか、外から見たってそう見えるのだ
認めないのは、いや、照れてるのは本人だけと
瑞鳳「ね?じゃないっ」
それでも認めない瑞鳳
自分はお姉さんで、妹と遊んであげてるだけでと
体面としては、まだまだ そういう事にしておきたい年頃だった
瑞鳳「だいたい、なんでコイツまだいるのよっ」
話題を逸らすために、強引にポーラの方に話を放り投げる瑞鳳
ポーラ「ふへへへ。ポーラは何処にでもいて、何処にもいないんですよぉ、おほほほほ」
酔いが回ってきたのか、さらにだらしなくなっているポーラ
机に突っ伏すと、安物の机は、その重さにギィギィと音を立て
その机に潰れるほっぺと、口の端から溢れるお酒
綺麗な銀髪も、あてどもなく広がり、自重を支えきれずに机の端から床に伸びていく
一言で言わなくても、だらしがなかった
瑞鳳「…」
夕張「…」
あまりにもあんまりな光景に閉口する二人
とりあえずと、ボトルとグラスは取り上げることにした
ポーラ「あっ、あっ…」
夕張 「あ、じゃない」
瑞鳳 「水でも飲んでなさい…」
ー食堂ー
三日月「できたっと…」
最後の飾り付けを終えると、ふぅっと息を吐く三日月
目の前に4号ほどのチョコレートケーキ
ちょっと小さい気もするけれど
司令官と望月と、3人で食べるなら これでも少し多いくらいか
望月 「味見は任せなよー」
三日月「それはダメ」
そーっと伸ばされた手をはたきおとす
「けち」なんて言われたけれど
此処に来るまでに、ケーキが一回り小さくなってしまうほど
散々とつまみ食いをされているのだ、ケチどころか優しいくらい
三日月「司令官が来たら、一緒に、ね?」
望月 「うぃー」
だらしもなく、机に伸びる望月を見ていると ふと思う
三日月「望月は…チョコ、あげないの?」
望月 「あげてどうすんだ?」
ふとした疑問に返ってきたのは
不思議そうな顔をした妹の顔だった
三日月「へ?どうって…好き、ですって…その…」
望月 「伝わってるなら良いだろ。今更口にするんもんでもないっての」
何を気負うでもなく妹はそう言った
でも、それは分かるんだけど…とも思ってしまう
あれだけ一緒に居て、360日くらいは一緒の部屋で寝泊まりして
視線だけで会話をするし、何かあったら勝手に動いて
大好きだなんて、そんな言葉も要らないくらいだってのは羨ましいけど
それでも思う
言葉は要らなくなってから、ほんとに必要なんじゃないかって
三日月「ちゃんと、たまにでも良いから、言った方が良いって思うな」
望月 「かもね…」
真面目な話をしているつもりはなかったが
随分と重たい返事に、曖昧に頷くくらいしかできなかった
いちいち真面目すぎるんだ
好きだの何だのなんてもんは、睦月や金剛みたいに分かりやすく表現してれば良いのに
でも、まぁ…
ああ出来ないから、こうするのかと
いつも素直に言えない出せないを、理由をつければ頑張れるって
そう考えれば納得の行く話でもあった
望月 「ふふ…」
三日月「?」
思わず笑っていたのだろう
不思議そうに姉が覗き込んでくるが、それは知らないふりをしておく
「ただいまー」
ガラリと扉が開き、食堂に入ってくる提督
その手には可愛らしくラッピングされた長月と
その隣には、やり遂げた感のある菊月
提督「あ、見てみて望月。長月が可愛いのっ」
望月「お、こっちきたな」
腕の中の長月を掲げながら歩いてくる提督
「いい加減に下ろさないかっ」なんて、長月が無駄な抵抗を続けていた
望月「ほら」
ぽんっと、姉の背中を叩く望月
言ってこればいい、好きでもなんでもと、想いは伝えるべきなのだろうと
しかし、三日月は動かない、どころか いやいやと首を振ってる
予感がしていた
言いたくないわけじゃない、むしろケーキと一緒に言ってしまいたかったけども
今言ったら確実に、絶対に…
三日月「巻き込まれそう…」
望月 「だろうよ…」
ー
大鳳「いつまでそうしてるの?」
食堂の扉の向こう側
騒がしい内側とは裏腹に、なんとも焦れったい空気が漂っていた
皐月「…うん」
壁を背に、向こう側の様子を伺っている皐月
聞こえているのかいないのか、大鳳の呼びかけに曖昧に頷いていた
大鳳「去年だって上げたんでしょ?」
提督が中に入ってかれこれ5分か
その背中を見つけて、ここまで来たは良いけれど
どうして足を止めてしまうのか
その勢いのまま、渡してしまったほうが気が楽にも思うのに
皐月「…うん」
それでも、心ここにあらずと気のない返事をする皐月
大鳳「早くいかないと、三日月がどんどん可愛くなっちゃうわよ?」
ー
扉の向こう側
三日月「あ、ちょっとっ、もっちダメだって」
聞こえてくる喧騒は、バレンタインとは違う方向に流れていた
後ずさる三日月の背中を望月が押し出すと、無防備な体が長月たちの前に晒される
もうヤケだった。自分だけが恥ずかしいのは不公平だと思った
そんな長月の手の中に、菊月がそっと余ったリボンの束を握らせると
気恥ずかしさに目をぐるぐる回した長月が、そっと三日月の体を捕まえた
三日月「長月もっ、何ムキになってっ、待ってってばっ」
長月 「うるさいっ、お前も巻き込まれれば良いんだっ」
ふりっふりのリボンで、ポニーテールに髪を束ねられ
胸元を、手首に、首元にと、好き放題に飾り付けられていく三日月
後は綺羅びやかなミニスカでも用意すれば、魔法少女もかくやと言った具合に仕上がっていた
三日月「ぅぅぅ…なんで、こんな…」
観念した三日月が、がっくりと肩を落とす
長月 「ふふっ…可愛いじゃないか、三日月」
三日月「あなたもね…長月…」
お互いを突っ付き合うように、視線を交わす二人だったが
こうなればと、その矛先は外に広がっていく
「望月っ」「菊月っ」
お前らも可愛くしてやると、顔を上げては見たものの
提督「もう居ないよ?」
そこは既にもぬけの空であった
三日月「ほんとに…こんな時ばっかりぃ…」
長月 「あとで覚えてろよ…」
ー
そんな光景に、姉妹って良いわねと微笑む大鳳だったけれど
皐月「…うん」
相も変わらず、気の抜けた返事を返す皐月
放って置いたら日が暮れるまでこうしてそうだった
大鳳「はぁ…。私、先行くわよ?」
一応でも遠慮してはいたけれど
流石に埒が明かないと、扉にかけた手が、さっと抑えられる
皐月「それはダメ」
大鳳「聞こえてるんじゃない…」
けれど、動いたのはそこまでで一向に足は進まない
皐月「そりゃ…ボクだってさ…」
2回めだろうが3回目だろうが…多分10回やっても変わらないとさえ思う
あらたまって「好きです」とか言うなんて恥ずかしいものは恥ずかしい
言葉にしなくたって、チョコを用意して手渡ししてる時点で言ってるのと変わりゃしない
だからって、照れれば照れるほど司令官は喜ぶ一方だし
それで素直に受け取ってくれるならまだしも、からかってくるのだが始末が悪い…んだけど
じゃあ「ありがとう」って「私も好きだよ」って言って欲しいかと言われれば…それは、そうなんだけど
だからって、そんな想像をしただけで、こっちがどうして良いか分からなくなるし
「わたしたくないの?」なんて、大鳳さんの声が聞こえて来る
そんな訳はない、今すぐにだって渡したいけど
今は…だって…そうっ、三日月と長月がいるから…さ…うん
「だから後でも良いやってか?」
その声に顔を上げてみると、呆れ顔の望月と目が合った
菊月「ふふっ、その内日が暮れそうだな」
菊月にまで笑われた
皐月「良いじゃんかさっ。別に減るものでもないだろっ」
照れ隠しに、ちょっと乱暴に声を出す皐月
菊月「いや、減るぞ?」
皐月「何がっ」
菊月「いつも通りなら この後、球磨たちの所に行くだろう、司令官は?」
皐月「うっ…」
そこで皐月も気がついた
減るのは時間だ、リミットは日が暮れるまでだろうか
夕食時に球磨たちの所に行くとなれば、きっと酒盛りというか肉盛りだろう
司令官が満腹になったところにチョコを渡しても…食べてもらえるのは明日か…
それでもいいや…と思えるほど、乙女心は大人になりきれていなかった
望月「そいじゃ、頑張れ…お姉ちゃん」
ぽんっと、望月に肩を叩かれた
菊月「ま、頑張れ…お姉ちゃん」
ぽんっと、菊月にも肩を叩かれた
そのまま二人連れ立って、廊下の奥へと消えていく
大鳳「で、どうするの…お姉ちゃん?」
くすくすと、隣で大鳳が小さく笑っている
皐月「もうっ、行けば良いんだろっ行・け・ばっ」
その笑みを振り払うように背を向けると
勢い良く扉を開き、ズカズカと中へ入っていった
ー
「さてと…」
皐月の背中を見送ると、そっと食堂から離れる大鳳
耳に届く悲鳴は、きっと二人に襲われでもしたんだろう
歩きながら考える。狙うなら何処が良いだろうかと
夜中、提督が一人になってから?次の朝一番っていうのも悪くない…
けど
廊下にしようと思う。球磨達の部屋に行く道すがら良いと
色気も何もない、気の抜けた所に…ね
「うん」
一人頷くと、作戦行動を開始する大鳳だった
ー廊下ー
大鳳「提督」
球磨達の部屋に続く廊下の途中
通りかかった提督を、何でもない風に呼び止める
提督「どしたの、大鳳?」
どうした…ね
からかうでもなければ、積極的に催促してくる方ではないけれど
これが期待されてないとか、忘れられてるだとかだと、少し寂しい気もした
大鳳「忘れ物…何か無い?」
提督「?」
なんだっけ?と、首を傾げてみせる提督
それから少し考え込んだ後、思い出したように顔を上げた
大鳳「え?」
顔の横を提督の手が通り過ぎ、廊下の壁に当たって音を立てた
一歩、踏み込んでくる提督。後に下がろうにも、壁に背中を押され提督と板挟みになってしまう
近づいてくる提督の顔
いつもなら気にしない距離感でも、あらたまって真正面から覗き込まれると
何処を見ていいか分からず、視線が下に落ちてしまった
提督「そんな言い方するってことは、くれる、って事でいいんだよね?」
目の前で、耳元で、提督が囁いている
相変わらず妙な言い回しだった。「くれる」だなんて…なんとでも誤解されそうな…
誤解は招くものと、良く言うだけはある
たちが悪いのは、招くだけ招いて解く気はないって点だけど
しかし、ここで慌てては提督の思う壺
隠していたチョコの包みに手を伸ばす
後はコレを「あげるわ」って、なんでもない風を装って胸元にでも押し付ければ
大鳳「ええ」
頷いて、チョコを渡そうとした時だった
「好きって言って。くれるんでしょう?」
素直な要求、単純な愛情表現
無茶な要求なんてことはなく、いつもいつでも言っているような言葉
予想外の展開に手が止まると
「あげるわ」と開こうとしていた口が
「好き」と言い出しかけても上手く動かず、空気だけが抜けていく
いつもならここで深呼吸して、仕方がない子だと呆れてみせる空気も作れたのに
こうも間近で言われては、顔を隠す隙きも、言葉を濁す暇もなく
それが動揺だとハッキリ伝わってしまった
提督「あ、ちょっとドキッとしたね、大鳳?」
大鳳「…」
嬉しそうに表情を崩す提督
勝ったとでも言いたげで、鬼の首でも取ったようだった
離れていく提督の体。間に流れてくる隙間風
その冷たさに気付かされる
提督が言う様に、自分で思ってたよりも、ドキっとしてたのかもしれない
だってほら、こんなにも肌寒さが心細い…
「提督」
離れていく手を握って引き止める
そうして、されたままに顔を寄せ、少し背伸びをしてみたり
「好きよ…」
ー
一人、廊下を歩いている大鳳
「ちょっとは、ドキッとしてくれたかしら…」
唇を指先で触れてみると、ぼんやりと感触が蘇ってくるようだった
ついでに提督の表情も
しっかり固まっていたし、仕返しは出来たはず
提督が私から制空権を取ろうなんて、まだまだ早いと言うわけだ
「あ…」
思い出したように、忍ばせていチョコの包みが音を立てた
今更も今更だった。何のために待ち伏せていたのやら
今から引き返して渡しに行くのは流石に間が悪いと言うか…
「茶化される…かな」
無理やり口の中にチョコを押し込んで黙らせるって手もあるけども
「ま、いっか…」
やることはやったのだし と、一人納得すると
包みを解き、口の中へ一粒
甘さとほろ苦さが、さっと広がっていった
ー球磨ちゃんの部屋ー
木曾「なーんで、俺らはバレンタインに肉食ってんだろうなぁ…」
部屋の中には焼け残った肉と脂
そして、囲炉裏代わりになった炭の残り火がちらついていた
球磨「肉を焼けば肉屋が儲かるクマ」
木曾「…当たり前なんだよなぁ…」
何時からだったのか、はじめからそうだった気もする
球磨からすれば、これがチョコの変わりなのかと思うが
こいつが提督に特別何かを上げてるのを見たこともないし
それを言ってしまえば、いちゃ付いてるのだって見たこともないか
よく分からん二人だった。そして、よくわからないと言えばもう一人
部屋の隅に視線を向ける木曾
そこには、食べるだけ食べて丸くなってる多摩と
その ぽんぽん を ぽんぽん 叩いてる提督が居た
提督「たーまーにゃーん、チョコちょーだい?」
白い肌、丸くなっているお腹
提督が面白半分に撫で擦っている内に
たださえ短い制服の裾が捲くれ上がり、なだらかな曲線が見て取れた
多摩「何をメルヘンな事を言ってるにゃ…」
提督「あははははっ」
くすぐってる手を払われてはリトライを続け
面倒くさくなった多摩も次第に放置気味になってきていた
多摩「はぁ…これでも食ってるにゃ」
緩慢にポッケから取り出した小袋
日の高いうちから睦月たちが配り歩いていたM&M(チョコレート)だった
提督「あー…」
それが当然のように大口を開けて待機する提督
ため息混じりに、多摩が小袋からチョコを取り出すと
緩慢な動きで、豆まきでもするみたいに口の中目掛けて放り投げていた
木曾「…あいつらもよく分からんよな」
いやいや しているようで、逃げるでも止めるでもなく
提督の冗談には、そこそこ適当に付き合って…
いや、あしらってるともいえるのだろうか
何気もなしに眺めていると
今度は多摩のお腹を枕にして横になる提督
重いだ にゃんだと、抵抗していたのも最初だけで
その内二人、静かになって寝息を立て始めていた
球磨「甘えてるんだろうよ…」
バリバリと矢鱈に固い煎餅を噛み砕きながら、お茶をすすっている球磨
球磨「金剛はともかく、大鳳もあれで甘やかすからなぁ…」
チョコや何だと、さんざん浮ついた後だと
雑に対応されたくもなるんだろうと
木曾「あれでか…」
確かに甘い所もあるだろうが
大鳳が手綱握ってないと、埒が明かない気がするんだが
球磨「アレでだクマ」
いや、アレだからか…
球磨「提督が来た時、大鳳の匂いがしたろう?」
木曾「は?」
首をかしげる木曾
そう言えばと、俺だって気づいてたしと、姉に対して見栄を張りたくもなったが
それ以上に「そんなのわかるかっ」と突っ込みたい気持ちが大きかった
木曾「いや、まぁ、チョコの匂いぐらいは…よ?」
せいぜい打てる相づちはこの程度
とはいえど、チョコの匂いなんてこの時期は何処からでもだし
球磨「クマっ♪」
そんな妹を鼻で笑うお姉ちゃん
苦し紛れだと、完全に見抜かれていた
球磨「ま、艦隊のお姉さんで有りたい所の大鳳は、皆の前で位カッコは付けるだろうが、クマ」
アレでやることはやってるクマ
むしろ、こそこそしてる分いやらしいクマ
そうして、またガリガリと煎餅をかじり始める球磨
木曾「はっ、大鳳が姉ちゃんなら、お前は かあちゃんってか?」
訳知ったような言葉を鼻で笑いながら
それならと、皮肉を言ってみる木曾
球磨「誰がBBAだクマ、金剛に謝るクマ」
木曾「そこまでは言ってねーよ」
むしろ、お前が金剛に謝れとか思う
球磨「クマ。提督にマザコンの気でもあればな」
そう、そんなきらいでもあるなら考えんでもないが
どちらかと言えば、あれはロリコンでシスコンだからなぁ
木曾「お前、言ってる事 時々怖いよな…」
他の女の匂いがするなんて台詞、生で聞くとは思わなかった
皐月には可愛げがあるっていうのに
コイツのこの…落ち着き様というか、開き直り様というか
球磨「そういうお前は、やることが一々可愛いよな?」
そんな事を考えていたからだろうか
球磨の言葉の意図を組めずに、その言葉に対応が遅れてしまう
球磨「くくくく。多摩よ、チョコの匂いがするなぁ…」
多摩「にゃぁぁぁ…」
その言葉に あくびで返す多摩
木曾「そりゃ、匂いぐらいするだろう…」
今そこにM&Mが転がっているし
焼肉用に北上のチョコソースだってあるのだ
球磨「それじゃないし、それでもないクマ」
言葉にしなかった木曾の視線を、言葉で遮っていく球磨
多摩「提督…」
呼びかけに、お腹の上で眠っていた提督が
眠い目をこすり「?」と首をかしげる
多摩「木曾がチョコくれるんだそうにゃ」
「!?」
疑問符と感嘆符が二人の頭に同時に現れ、ガバッと体を起こした
木曾「お前っ、余計なことっ」
思わず、スカートのポケットを抑える木曾
スられたかと思ったが、その四角い感触は確かにそこにあった
多摩「やかましい。放って置いたら夜が明けるにゃ」
木曾の抗議を「まどろっこしい」と、にべもなく一蹴する多摩
提督「木曾さん…私まだ心の準備が…」
木曾「お前もっ、モジモジしてるんじゃねぇっ!」
頬を染め、顔を伏せ、自分の体を抱いている提督
今にも噛み付きそうな木曾と比べると、どっちが乙女か分かったもんじゃなかった
提督「でも…木曾さんのなら…いい、よ?」
木曾「変な言い方をするなっ!、気持ち悪い声をだすなっ!!」
知らんやつが聞いたら、いらん誤解を招きかねない言葉選び
部屋の前に誰かがいたら、ちょっと待ったと飛び込んできそうだった
提督「もうっ、注文が多いなぁ」
木曾「注文なんかしてねーよっ、むしろキャンセルだってっ」
提督「私にここまで言わせて、恥をかかせるつもりなのっ」
木曾「どっちかと言えば俺側の台詞だよなぁっ」
提督「はい、どうぞ?」
木曾「いわねーよっ!」
言い争いの末、しばし睨み合う二人
その背景から妙な声音が聞こえてきた
球磨「提督…俺…まだ心の準備が…」(←木曾の真似
多摩「でも…提督のなら、いい、よ…」(←木曾の
妹の真似をする姉二人、さすがと言うか結構似ていた
木曾「変な声をだすなぁっ」
多摩「自分の声だにゃ…」
球磨「もっと自信を持ったほうが良いクマ」
「お前らちょっと黙れぇぇぇっ」
その後、さんざんからかわれた後
義理だなんだと強調しながら、提督にチョコを押し付けた木曾さんだった
ー大浴場ー
かぽーんっと、浴室の隅に設置された鹿威しが立てる音
それは、広々とした室内に雅さと何とも言えない寂寥感を響かせていた
如月「司令官…好きよ…なーんて…」
呟いた独り言の気恥ずかしさを冗談にして濁す
幸いなのは、そんな憂鬱も湯気の中に紛れてすぐに聞こえなくなった事くらいか
結局言えなかった
いや、チョコ自体は渡せたし、手ずから食べさせてもいる
成功も成功、大成功も良い所
なん、だけどね…
肝心の言葉が言えなかった
「好き」だと…前はもっと一杯口にしていたようなきがするのに
いつからか、随分とこの言葉が重くなってしまっている
変わったのはなんだろう…司令官?
如月「私…よね…」
あの人は何時だって変わらないもの
臆病なくせに悪戯好きで…子供みたいな
如月「好き…か…」
その自問は既に終わっている
どれだけ遠回りに、迂遠に、胡乱に考えても
結局の結論はコレに尽きた
善人、ではないだろう
良い悪いで言えば確実に悪い方、ダメな人だと思う
惚れた方の負けなのか…。そんな事を言ってしまえば司令官がまた調子に乗りそうだ
如月「はぁ…もぅ…」
広いお風呂の中、縮こまるように足を抱える
耳をふさぐように お湯に顔を付けると
水音以外の音が遠のき、自分の鼓動がハッキリと聞こえて来る
とくん…とくん…
常とは違うの明らかで
そわそわと、何処か落ち着かない
戦闘の時の緊張感、とはまた違う
もっと浮ついた、置き場のない浮遊感
とくん…とくん…
ふと、思い出す…
いつか、一人用の狭いベッドの中、睦月ちゃんに聞いてみた
「司令官の何処が好きなの?」って、不思議そうな顔された
おまけに聞き返された「如月ちゃんは嫌いなの?」って
そんな訳はない
嫌いというか、直して欲しい所はあるけども
そう言うと「どうして?」とまたまた不思議そうな顔をされた
どうって、それはだって欠点は少ないほうがと…
「提督の悪い所って?」と顔を覗き込まれた
それはだって、人見知りで、照れ屋で、怖がりの癖に悪戯ばっかりして、サボりっぽくて、誤解は招くは、思い出は捏造するわ…
大雑把に言えばこんな感じかなって、伝えてみると
「でも、それ治っちゃうと…真面目で、几帳面で、素直で、律儀で、優しくて?」
そうして、そんな司令官の姿を思い描いたのか少し考え込んだあと
「それって、だぁれ?」と、真っ直ぐに言われてしまった
何も返せなかった。確かに「だれだそいつ」ってなる
それなら、別に司令官である必要は全くない、勝手なイメージに恋してるだけってなる
さすがに、司令官の中身が瑞鳳さんだった時に、気味悪がってただけはあった
「睦月は好きだよ、提督」
しょうがないことは一杯あるけど、それは睦月だって、如月ちゃんにも
弥生に卯月に、皐月・水無月・文月・長月・菊月・三日月・望月も
みんな、みーんなしょうがないし
「ねっ?」
そうして、にこりと微笑まれた
でも、そんな しょうがない所が好きなんだって、笑ってみせた
如月「はぁ…」
お湯の中から顔を上げて大きく深呼吸
まるで敵いやしない。治すだとか、治ったらだなんて言うよりも
「それも良しっ」と彼女は言うんだもの「それが良いと」抱きしめてしまえるんだもの
もし、如月もそうなれたら…
如月「探信儀で、あの人事探せるようになるのかなぁ…」
なーんて、それでどうしようというのか
それに、そんな事しなくたって
如月「これがあるし…」
手を伸ばす、左手に添えられた銀色の指輪が少し輝いて見えた
ー廊下ー
翌朝
何の変哲もない廊下で、それはまた妙な光景だった
「てーいーとーくーっ」と、響く声、たたっと、駆けてくる軽い足音
ぽんっと飛び上がり、一泊の無音の後、しっかりと抱きついて見せた
如月「おはようございます、提督♪」
提督「あ、うん…おはよ…」
背中から抱き、提督の耳元で囁く如月
如月「うふふ、どうしたの?」
何か良いことでも合ったかのように、ニコニコと微笑んでいる
提督「いや、なに、それ?睦月の真似?」
あるいは新手の罰ゲームかとも、邪推さえしそうになっていた
如月「少しは…。ううん、かなり」
認めかけた言葉に首を振ると、大きく頷いて見せる如月
提督「どうしてまた?」
如月「イヤ、だった?」
提督「ではないけど…。悪戯のつもりでないなら…」
如月「睦月でいいじゃんって?」
提督「まぁ、そうなるな…」
如月「そうね…」
提督の言葉を引き継ぐと、その背中から降りる如月
如月「ねぇ、司令官?」
ゆっくりと、正面に回り、その顔を見上げる
そうして、その瞳をじっと見据えた後
「好き、よ」
ただの一言、たったの3文字だけの想いを口にした
提督「知ってるよ?」
ただの事実に頷く提督
如月「いいえ、違うわ。全然分かってないわね」
しかし、その言葉は如月によって否定されてしまった
多分、昨日までなら その言葉で満足…というか、納得できてたんだろう
私も好きで、司令官も好きなら良いかなって
けど、物足りない
おはよう、おやすみ、の延長じゃダメなんだ
その好意がもっと欲しいし、その愛情を抱きしめたい
ただ、問題が一つ
それを司令官に察しろと言っても無駄だと思うこと
体よく気付かせる事に成功しても、その時点で茶化されるだろうってこと
だったら、ちゃんとしっかり前を見て言うしか無い
如月「私は、如月はね?もっと「好き」って言いたいし、もっと「好き」って言われたいの」
提督を見つめる如月
その瞳は、ただの一言、たったの3文字だけを要求していた
ー
「だめ、聞こえないわ…」
「もうひと押し…」
「もう一度…」
「おっきな声でもう一回」
朝っぱらから「好き」だのなんだのと、廊下に響き渡っていた
睦月「にゃしぃ…」
その様子を眺めている姉と妹
皐月「なんだい、あれ?」
だいぶ前にあんな光景を見たことあるような気がする
まぁ、立場は逆だったけれど
睦月「何って?」
皐月「何ってって…。如月が珍しく強気だなって」
睦月「皐月ちゃんは、提督のこと好きかにゃ?」
にゃふんと、笑みを浮かべて妹の顔を覗き見る睦月
皐月「そりゃ、まぁ…好き、だけ、ど…」
誤魔化しても仕方ないとはいえ
照れを隠しきれずに、頬染める皐月
睦月「にししっ。じゃっ、そういう事だよ」
皐月「?」
腑に落ちないままの皐月を放っておいて、駆け出す睦月
「てーいーとーくーっ♪睦月にも好きって言うが良いぞっ」
ーおしまいー
「あ、皐月ちゃんにもっ」
「ちょっとっ!?」
ー
ー▲▲鎮守府・執務室ー
何処にでもあるような執務室の間取り中
本来提督が座っているであろう広い机には
いかにもといった具合に、組んだ手に顎を乗せた榛名の姿
そうして、その前、床の上には
この鎮守府の提督、米田 舞子
緩いウェーブの掛かった栗色の髪を、ポニーテールに纏め
愛嬌のある顔立ちは実際よりも幼く見える
正座をしていた、正座をさせられていた
提督なのにという言い訳は、通りもしない
怒っている方と怒られている方
事情を知らない人が見ても明白であった
榛名「舞子さん。今日、何の日か分かりますか?」
ゆっくりと、丁寧な口調で話し始める榛名
舞子「はい、節分ですね」
榛名「はい。では、皆で豆を撒いて食べましょうねって話も覚えていますね?」
舞子「はい」
榛名「その豆は何処へ行ったのでしょう?」
最後にニコリと微笑む榛名
何処も何もない
どうせこうなると、舞子さんのつまみ食いも予想して、山盛りに用意していたのに
まさか全部無くなるとは思いもしなかった
怒る前に呆れもしたが、言うことは言っておかないと
秋月「あ、あのっ榛名さんっ」
舞子さんを睥睨する榛名
その合間に割り込んでくる秋月
榛名「なんですか、秋月ちゃん?」
秋月「秋月もっ、そのっ、食べちゃったからっ、だから、あんまり舞子さんばっかりっ」
しどろもどろに、途切れ途切れになりながらも自分も同罪だと
怒るなら秋月も一緒にと、舞子さんを庇おうとする秋月
榛名「ふふっ、秋月は良い娘ですね?」
秋月「ぁぅ…」
しかし、笑顔で一蹴されてしまった
榛名「まぁ、良いです。舞子さんが全部食べるのだって榛名も考えてましたから」
そこは置いといても、もう一つの問題が
榛名「ゴミ箱に、焦げた大豆が大量にありましたね…」
視線をずらす榛名
舞子さんの その隣。同じように正座をさせられている比叡と磯風
比叡「はいっ!ポップコーンが出来るんじゃないかと思いましたっ」
榛名の視線をものともせず、元気よく答える比叡
榛名「おバカですか?」
比叡「妹が冷たい…」
しかし、元気な姉とは裏腹に淡々としたままの榛名
照月「は、榛名さんっ」
そこへ、秋月と同じように割って入る照月
榛名「なんですか、照月?」
照月「こ、これは、照月が冗談で、まさか本気にするとは思わなくてぇ…その…」
苦し言い訳だ
自覚もあるのだろう、だんだんと言葉尻が弱くもなっていく
榛名「ふふっ、照月は良い娘ですね?」
照月「ぁぅ…」
微笑まれた
それ以上に返す言葉も見つからずに、口を閉ざす照月
磯風「いや、良いんだ。私たちが真に受けたのがマズい」
助けてくれてありがとうと、照月に礼を言う磯風
榛名「磯風は、何か言い訳は?」
磯風「ん、せっかく焙煎したんだし。コーヒーになるんじゃないかと思ったが」
同じ豆なんだし、まぁ焦がした豆乳の味だったなと
せっかくのチャンスを棒にする娘だった
榛名「おバカですか?」
磯風「滅相もない」
そうして「はぁ…」と
一通りの事情を聞き終えた榛名が盛大にため息をついた
初月「良いかい?」
あっちもこっちも意気消沈して、どうしようもない空気が漂う中
様子を伺うように、初月が前に出る
榛名「なんでしょう?」
初月「提督も、比叡も磯風も反省はしているんだろう?」
そう言って、チラリと3人の方へ目配せをする初月
その視界の端で、コクリコクリと懸命に頷く姿が目に映る
初月「ならもう良いんじゃないか?」
榛名「けど…」
初月が言うことも分かる
けど、悪気は無いと言ったって、度が過ぎると言うか、これで何度目だと言うか
ここらで、キツく言っておいたほうが良いんじゃないかとも
初月「そうだな。榛名の気持ちも分かる…だからな」
3人の方へ向き直ると
それぞれに色違いのお面を渡していった
舞子「これ…鬼の?」
初月「節分だからな。提督たちにはコレを被って鬼役をやってもらうよ?」
いいね?と、確認する風にも見えたが
すっと細くなった眼光は有無を言わせるつもりはなさそうだった
磯風「まぁ…鬼役くらいなら」
比叡「気合いっ、入れてっ、がんばりますっ」
初月「うん」
了解を得られたのを確認すると、再度榛名の方へ
初月「そういうわけでどうだろうか?豆の方なら僕の方で用意しておいた」
せっかくの節分だ。あまりカリカリしないで楽しもうじゃないか
榛名「初月も…良い娘ですね」
初月「ふふ、ありがとう。榛名さんも良い娘だよ」
榛名「どうも…」
仕方もなしと、頷く榛名
秋月「ありがとう、ありがとう、初月」
照月「お姉ちゃんは嬉しいよぉぉ…」
初月「まったく、姉さんたちも甘やかし過ぎなんだ…」
縋ってくる姉たちの頭をしょうもなさそうに撫でる初月だった
ー
どーんっ!と、景気の良い音が響いている
その後に続いて「ひえーっ!」とか「きゃー!」とか「くぅっ…」だとか
三者三様の悲鳴が尾を引いていった
榛名「榛名っ、全力で参りますっ!」
榛名の主砲が火を吹くと
三式弾のように、砲弾が空中で展開し焼けた大豆が飴あられと襲ってくる
その数や、手で投げるほどの比ではなく
炒られた大豆を、バケツいっぱいに投げつけられているかのようであった
初月「うん。楽しそうで何よりだ」
その結果に満足そうに頷く初月
秋月「あ、あの…初月?あれは?」
あまりにもあんまりな光景
すくなくとも、秋月が知っている節分の豆まきではなかった
初月「ああ、◯◯鎮守府からな。対艦強化弾「IRIDIZ」だそうだ」
主砲の熱量で一瞬で炒り大豆を作り出し、相手にぶつけるんだとか
難点は、直撃すると滅茶苦茶に痛熱いということらしい
照月「と、止めたほうが…」
初月「後で入渠すれば済む話だろう?」
秋月「え、あれ…でも…舞子さん、は?」
初月「ああ…。まぁ、なんとかなるんじゃないか?」
にっこりと、姉に微笑む初月
照月「ぁ、あははは…」
その笑顔に力なく笑いを返す照月
初月「榛名にだって、息抜きは必要だろう」
お仕置きの名目もある
思う存分、鬼を払って貰おうじゃないか?
初月「な?」
「あ、はい…」と、頷くしか出来ないお姉ちゃん達だった
ーおしまいー
「駆逐艦用もあるんだが、どうかな?」
「さ、さすがに…」
「やめてあげてっ」
はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです
ー
卯月「うーちゃんのっ」
弥生「やってみたかっただけのコーナー…」
ゆー「ぱちぱちぱち」
卯月「相変わらず、弥生はテンション低いぴょん、もっとあげあげで行くぴょん」
ゆー「うーちゃん姉さんが、煩いから ゆーはちょうどいいと思います」
弥生「だめだよ、ゆー。ホントのこと言っちゃ」
卯月「うーちゃんのガラスのハートが傷ついたぴょん…」
暁 「何がガラスよっ、どうせ防弾ガラスだったりするんでしょっ!」
卯月「すぐ割れるよりマシだと思うぴょん?」
暁 「なんでこっち見ながら言うのよっ」
卯月「態度がデカイから目につくだけぴょん。背は低いのに」
暁 「ちっちゃいって言うなっ!」
ゆー「ゆーとそんな変わんない」
暁 「暁のほうが大きいわよっ!」
ゆー「ふーん…」
暁 「興味ないならっ突っついてこないでよっ!もうっ、なんなのよっアナタたちはっ!!」
弥生「いちいち騒ぐから…」
ー
弥生「さて、卯月が暁いじりに集中し始めたので、今日の本題」
ゆー「本編でカットしたシーンを、要約してみますって」
弥生「もったいないしね。他に使う機会もなさそうだしね」
ー
暁 「アンタなんかっ、改2にさえなればぁぁっ」
響 「姉さん、改2はダメだって、司令官にも…」
暁 「煩いわねっ。このまま黙って引き下がれるもんですかっ」
卯月「良いぴょん。なってる見るぴょん、改2とやらに…うぷぷぷ」
暁 「ひーびーきーっ!!」
響 「はぁ…しらないから」
暁 「ふっふーん♪さぁ、どっからでもかかってきなさいっ」
ー
弥生「それから、いろいろあって…」
ー
暁 「かて…ない…」(←改2
卯月「どうしたの?ここは笑う所だぴょん?笑えないの?ぐぅの音も出ない?ギャフンとは言えるのに?」
ー
ゆー「この後ガチ泣きされましたって。ほんと、うーちゃん姉さんは加減のしらないお方」
ー諸々のメンバーでお送りましたー
ー
ー以下蛇足に付き
ー
♪皐月ちゃんラジオ♪
提督「さーつーき。好きだよ?」
皐月「…」
如月「あらー」
睦月「にゃししし」
皐月「うるさいなっ、わらうなよっ」
如月「はいはい、うふふふ」
睦月「皐月ちゃん、顔真っ赤だし」
ー
如月「さて、皐月ちゃんが拗ねちゃったので、このままコメント返しを始めましょうか」
睦月「はーい♪」
如月「司令官は、後でフォローしておいてね?」
提督「もっとやれって言われてるふうにしか聞こえない」
如月「それで良いわ」
睦月「いいんだ…」
ー
・暁と卯月
響 「すぐに調子に乗るのが暁で」
弥生「すぐに調子に乗るのが卯月」
響 「調子に乗ると厄介なのが暁で」
弥生「調子に乗ると厄介なのが卯月」
響 「おかしいな…」
弥生「おんなじ事言ってるだけなのにね」
響 「一応。姉さんの名誉のために
真っ当な勝負をよーいドンで始めれば勝負になったはずだよ。結果はともかくね」
弥生「させるわけ無いじゃない」
響 「だろうね」
・三日月
望月 「見せてんだよ、言わせんな恥ずかしい」
三日月「見せてないからっ!」
望月 「で?なんでそんな前のめりなのさ?」
三日月「それは、だって。どうせ誰かが前にでないとなら…私がって」
望月 「気をつけなよ、風が強いと見えそうになるから」
三日月「なんで そっちに話が戻るのよ…」
提督 「三日月っ、今度一緒に出撃しようっ」
三日月「絶対いやっ」
・文月
文月「えへへ~、ありがとうねぇ。けど、あれは あたしに都合が良かっただけだよ?
皐月お姉ちゃんは演習明けだし、球磨ちゃんも被弾してたし
二人は あたしを抑えても水無月を追撃しなきゃだし、あたしはあの10秒に全力使ってもよかったわけで
おまけに、残り2秒は球磨ちゃんのオモチャ次第だったし
いやぁ、それでも、流石の文月さんも死ぬかと思ったよぉ、あはははは」
球磨「つまりだ、勝ち確してたから喧嘩売ってきたわけだクマ」
皐月「ちゃっかりしてるっていうかさ…」
文月「あたしが大鳳さんと?いやだなぁ、装甲空母とまともに戦いたいわけ無いじゃん」
大鳳「勝てないとは、言わないのよねぇ」
卯月「そうだぴょん。大鳳と戦いたいなら まずは瑞鳳に勝ってからにするぴょんっ」
文月「え?」
瑞鳳「なによ「え?」って」
・全巻読み直してます
ありがとうございます、ありがとうございます
ただ、ただ、最初の設定と最近の設定が食い違ってたり
無かったことになった設定があったり するかもしれません
その時は最新版が正しいと思います、私の中では
ー
最後までご覧いただきありがとうございました
コメント・評価・応援も合わせ、重ねてお礼申し上げます
さて、これを上げてる頃はまだイベント中ですね
家は無事に伊13まで確保できました
バレンタインの新規ボイスに、水無月が加わってたり
神風型のが可愛かったり、概ね満足の2月でした
書き続けて早3年
ネタ切れも怖いですが、最近はサブタイトルも悩みのタネ
商業・同人で書き続けている作家様達は凄いと思います
如月「はーい。それでは皆様、縁があればまたご一緒しましょうね」
ー以下プロフィール(長いー
提督
練度:神頼み 主兵装:刀
「触らぬ神に祟りなしって、言うだろう?」
長髪で黒髪、何時も気だるげな表情をしてる
一応、白い制服を着けてはいるが、上から羽織っている浴衣が全てを台無しにしている、不良軍人
そもそも、軍人どころか人ですら無い、元土地神様
覚えている人もいなくなり、ようやく開放されたと思えば、深海棲艦が湧いてきて…
3食昼寝付きの謳い文句も手伝って、提督業を始めだした
性格は、ほとんど子供。自分でやらないでいい事はまずやらない、明日できることはやらないで良い事
悪戯好きで、スカートめくりが好きなお年ごろ
また、結構な怖がりで、軽度は人見知りから始まり、敵は全て殲滅する主義
皐月ー愛称:さつきちゃん・さっちゃん・さっきー
練度:棲姫級 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「え、司令官かい?そりゃ…好き、だよ?なんてな、えへへへ♪」
初期艦で秘書艦の提督LOVE勢。提督とは一番付き合いの長い娘
その戦闘力は、睦月型どころか一般的な駆逐艦の枠から外れている程…改2になってもっと強くなったよ
「ボクが一番司令官の事を分かってるんだから」とは思いつつも
まだまだ照れが抜けないせいか、ラブコメ時には割とヘタレである
睦月ー愛称:むつきちゃん・むっつー・むっつん
練度:褒めてっ 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「提督っ、褒めてっ!」
わかりやすい提督LIKE勢、「ほめて、ほめて~」と、纏わりつく姿は子犬のそれである
たとえその結果、髪の毛をくしゃくしゃにされようとも、撫でて貰えるのならそれもよしっ
好感度は突っ切っているが、ラブコメをするにはまだ早いご様子
如月ー愛称:きさらぎちゃん・きさら
練度:おませさん 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「司令官?ふふ…好きよ?」
提督LOVE勢。良い所も悪い所もあるけれど
むしろ、悪い所の方が目立つけど、それでも あなたが大好きです
だから、何度でも言いたいし、何度でも言われたいの、ね?司令官?
弥生ー愛称:やよいちゃん・やよやよ・やーよ
練度:無表情 主兵装:3式爆雷 好感度:★9
「司令官?好きだよ、普通に」
普通の提督LOVE勢。
いつからだろうか?姉妹たちが司令官にからかわれてるのを見て羨ましく思い始めたのは
弥生にもして欲しいって、弥生だって構って欲しいって、司令官にとっての弥生はどうなのかなって
どうすればいいんだろう?
笑えば良いの?拗ねればいいの?甘えて見せれば良いのかな?
ねぇ司令官…あんまり気づいてくれないと…怒るよ?
卯月ー愛称:うーちゃん・バカうさぎ
練度:ぴょんぴょん 主兵装:超10cm高角砲★MAX 好感度:★7
「司令官?そんなの大好きに決まってるぴょんっ」
ぴょんぴょんする提督LIKE勢。毎日ぴょんぴょんと、あちこちで悪戯しては怒られる毎日
主な対象は瑞鳳、「だって、からかうとおもしろいだもん」なんのかんので構ってくれる瑞鳳が好き
ラブコメというより、騒がしい妹
水無月ー愛称:みぃ
練度:うん、わかるよ 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★6
「司令官、呼んだかい?」
鎮守府の新人さん。遊び回ってる姉妹たちに安心したのも束の間
その練度の差には、内心もやっともしている。あと球磨ちゃん怖い
提督に対しても好意的で、可愛がってもらいたいお年頃
文月ー愛称:ふみ、ふーみん
練度:ほんわか 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★8
「しれいかん?えへへー…なーいしょっ♪」
ふんわりとした提督LOVE勢。空気を読んでいたつもりが空気に飲まれたここ最近
司令官を見てドキドキするのは、きっと姉や妹の影響だ、きっとそう
そうなってくると、いつものスキンシップでさえ気恥ずかしい上に
弥生お姉ちゃんが、変な道に突き進んでいるのを止めたりと最近は忙しい
長月ー愛称:なつき、なっつん、なっつ
練度:頼りになる 主兵装:5連装酸素魚雷 好感度:★8
「司令官…いや、まあ…いいだろ別にっ」
おでこの広い提督LOVE勢。司令官に ちゅーしてこの方
自分の感情を見ない振りも出来なくなり、最近は割りと素直に好意を見せてくれたりもする
自分の感情に振り回されるくらいにはラブコメ初心者。あと、シスコン(菊月)
菊月ー愛称:菊→菊ちゃん→お菊さん→きっくー→くっきー
練度:威張れるものじゃない 主兵装:12・7cm連装砲B型改2★MAX 好感度:★8
「ながなが?ながなが ながなが」
箱入り提督LIKE勢。おもに長月に過保護にされてるせいでラブコメ関連はさっぱり
しかし、偶に見せる仕草はヘタなラブコメより攻撃力は高い。やっぱり如月の妹である
大艦巨砲主義者、主兵装は夕張に駄々を捏ねて作らせた。それとシスコン(長月)
最近、司令官との共通言語が出来た。合言葉は「ながなが」
三日月ー愛称:みつき・みっきー
練度:負けず嫌い 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「し、しれいかん…そ、その…好きですっ!」
おませな提督LOVE勢。どこで仕入れたのか変な知識は一杯持ってる
そして、変な妄想も結構してる。すぐ赤くなる、可愛い
提督と望月に、からかわれ続けたせいで、たくましくなってきたここ最近
ラブコメモードは基本に忠実
望月ー愛称:もっちー、もっち
練度:適当 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「司令官?あー、好きだよ、好き好き」
適当な提督LOVE勢。とか言いつつ、好感度は振り切ってる
だいたい司令官と一緒に居られれば満足だし、司令官になんかあれば不言実行したりもする
ラブコメには耐性があるが、やるとなれば結構大胆
球磨ー愛称:ヒグマ・球磨ちゃん
練度:強靭・無敵・最強 主兵装:46cm…20.3cm(3号 好感度:★MAX
「提督?愚問だクマ」
突き抜けてる提督LOVE勢。気分は子グマの後ろに控えている母グマ
鎮守府と提督になんか有ろうものなら、のっそりと顔を出してくる、こわい
積極的にラブコメをすることもないが、昔は提督と唇を奪い合った事もある
大艦巨砲主義者。最近、私製46cm単装砲の命中率があがった、やったクマ
多摩ー愛称:たまちゃん・たまにゃん
練度:丸くなる 主兵装:15・2cm連装砲 好感度:★6
「提督?別にどーとも思わないにゃ?」
気分は同居ネコ。とか言いつつ、なんのかんの助けてくれる、要は気分次第
絡まれれば相手もするし、面倒くさそうにもするし、要は気分次第
特に嫌ってるわけでもないし、いっしょに昼寝もしたりする、要は気分次第
ラブコメ?何メルヘンなこと言ってるにゃ
北上ー愛称:北上様・北上さん
練度:Fat付き 主兵装:Fat付き酸素魚雷 好感度:★7
「提督?愛してるよん、なんちって」
奥手な提督LOVE勢。気分は幼なじみだろうか
このままゆるゆると、こんな関係が続くならそれで良いかなって思ってる
最近の趣味はFat付きをばら撒いて海域を制圧すること
大井ー愛称:大井さん・大井っち
練度:北上さん 主兵装:北上…53cm艦首(酸素)魚雷 好感度:★8
「提督?愛してますよ?」
分かりにくい提督LOVE勢。そうは思っていても口にはしない、絶対調子に乗るから
足と両手が埋まったなら、胸…艦首に付ければいいじゃない、おっぱいミサイルとか言わない
木曾ー愛称:きっそー、木曾さん
練度:悪くない 主兵装:甲標的 好感度:★7
「提督?まあ、アリなんじゃないか?」
カッコイイ提督LOVE勢。提督に赤くさせられたり、提督を赤くしたりと、まっとうなラブコメ組
そういうのも悪くはないが、本人はまだまだ強くなりたい模様
インファイター思考だけど、甲標的を使わせたほうが強いジレンマ
金剛ー愛称:こう・こうちゃん・こんご
練度:Burning Love 主兵装:Burning…46cm3連装砲 好感度:★MAX
「提督…Burning Loveです♪」
分かりやすい提督LOVE勢。提督の為ならたとえ火の中水の中
何時からだったのか、出会った時からか
ならそれはきっと運命で、この結果も必然だったのだろう
けれど、鎮守府ではオチ担当、艦隊の面白お姉さん
取り戻せ、お姉さん枠
瑞鳳ー愛称:ずいほー・づほ姉ちゃん
練度:卵焼き 主兵装:99艦爆(江草 好感度:★6
「だれがお姉ちゃんよっ」
気分は数ヶ月早生まれな幼なじみ。ラブコメルートもあった気がしたけど、何処行ったかな
卯月にからかわれて、追っかけまわすのが日課
だからって、別に卯月を嫌ってるわけでもなく実際はその逆である
夕張ー愛称:ゆうばりん
練度:メロン 主兵装:軽巡に扱えるものなら何でも 好感度:★6
「ゆうばりんって…気に入ったのそれ?」
気分は一個上のお姉さん。卯月や菊月の駄々に付き合ったり
球磨や提督の無茶振りで、アレな兵装を作ったりと、信頼と安心の夕張さんである
特に決まった装備は無く、戦況次第でなんでも持ち出すびっくり箱、安心と実績の夕張さんである
大鳳ー愛称:大鳳さん
練度:いい風 主兵装:流星改 好感度:★9
「提督、愛してるわ」
素直な提督LOVE勢。金剛見たいにテンションを上げるでもなく、息を吐くように好意を伝えてくる方
ラブコメに悪戯にと我慢強い方だが、許容量を超えると…
その落ち着いた物腰からは、艦隊の保護者っぽくなっているが、内心は見た目通り歳相応だったりもする
U-511ー愛称;ゆー、ゆーちゃん
練度:ですって 主兵装:WG42 好感度:★7
「Admiral…提督さん、次は何をすれば良い?」
好きとか甘いは良く分からないけれど
Admiralの お手伝いが出来ればいいなって思います
「敵は討たねば」球磨がそう言ってたので、そこから頑張りたいと思います
今回も楽しく萌えさせ…もとい、読ませて頂きました。
ゆーちゃんとのラブコメはもしかして今回が初めてでは?
弥生達の変化を受け、これからどう変わっていくのか楽しみです。
そして、祝・如月の好感度MAX勢入り!
今までの黒歴史を全て自分の偽り無い気持ちと認めれた彼女は、他のMAX勢(特に皐月や金剛)にとっても相当手強い存在になりそう。
今後の活躍に要注目ですね。
三年も書き続けられる艦娘への愛は十分脱帽に値すると思いますよ。
これからも応援しています。頑張って下さい。
やっと更新きましたね!
待ってましたよー!
文月回と如月回めっちゃ読んでましたよー!
やっぱ全巻読み直して
文月回と如月回をまた何回も読む!
これが最近ですかね♪
できれば…新キャラで…
愛宕とか…って…
暇さえあれば1話から読んでるんで
次の更新も待ってますねー!
主様よ。大鳳が太くなっておるぞ!(暴言
場所は三日月と長月がリボンでラッピングされた後から太くなっておるぞ!
内容は去年よりも甘くはなかったがいい感じの甘さであった!次も期待しているぞ!
長月が体中にリボン巻き付けて「私がプレゼントだ」とか赤らめて言うのかな……
こんな想像、鼻血もんですねやめときますはい。