提督「書類一式が届かない」
着任一年後までの記憶を失った提督が、艦娘たちとなんやかんやするお話です。
序盤はこれで一区切りいたしました。
現在、続編執筆中です
所属する艦娘は私の所有する艦娘からのみとなっております。
それに加え私自身へっぽこ提督なので知識量の無さで設定やら世界観やら諸々に問題があるかと思われます。
好きなものを好きなように詰め込んで煮詰めて形にしていこうと思っています。
宜しくお願いします`・ω・´
あの…■■?聞こえないのかしら…。■■?■■ー?
……あら、良かった。■■、ここに待機しています。
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友提督 「届かない? 書類一式ってあの、ケッコン用の書類一式の事か?」
提督 「おう、それだな」
友提督 「所属する艦娘が一定の練度に達していれば勝手に向こうから届くだろ」
友提督 「上の不備で発送が遅れてるとかじゃねぇの?」
提督 「そう思いたいところだけど、これ見てみ」つ名簿渡し
友提督 「練度99艦娘が二人、90超えも一人居るな…どう思うよ香取?」
香取 「確かに少し不思議ですね…問い合わせなどはされたのですか?」
提督 「結構前から大淀にも問い合わせてもらってるけど現状変化無し、どうしたものかなと」
友提督 「あれ、でもいざ書類届いたらお前、どっちの艦娘を選ぶんだ? それとも他の子??」
提督 「あー、まだ決めてないんだけどな、いざ決めた時に手元に準備がないとなぁと思って」
提督 「いつか来る日の準備的なアレだ」
友提督 「誰かを選ぶなら選ぶで早いとこハッキリさせとけよ?周りに気を持たせて最後には刺されたりなんかしたらもう」
友提督 「それはそれで面白いかwww ケッコンはいいぞ、俺なんか毎日が充実してる」
提督 「笑いごとじゃねえって…それに俺は誰を選ぶにしても難しいというか、ほら」
友提督 「あぁ、お前はここ最近までの記憶が無いもんな」
香取 「私たちと知り合う少し前までの、ですよね」
友提督 「それで誰か、ってのも難しいか」
ケッコンカッコカリ。提督から艦娘に指輪型の装備を渡す事により、燃費の向上や練度の上限の開放等の様々な恩恵をもたらす。
ケッコンには高い練度と互いの信頼関係が必要とされ、これを成立させる事で提督と艦娘間に更なる強い絆が結ばれるとされている。
提督 「俺にとっては気付いたら提督やってて、知らない間にやけに距離の近い秘書が出来てた様な感じでさ、」
提督 「ケッコン無しでの最高練度まで届いてるから長い付き合いだろうとは思うんだk」
コンコン
…ガチャ
大淀 「失礼します…お話し中すみません。提督、そろそろ遠征部隊が帰投します」
友提督 「もうそんな時間か、こっちもそろそろ帰るか…香取、降りてくれ」
香取 「ええ」タチアガリ
提督 「お前らのそれ(人間椅子on香取)がもう見慣れた光景なのに我ながら引くわ」
友提督 「香取さまの躾はデイリー任務だからな、香取提督は皆知ってるぞ。常識だ」フンス
提督 「お前は他所の香取提督諸兄に謝れ」
友提督 「いいか香取さまはな、時には厳しく、そして時には更に厳しく躾けてくださるんだ」キリッ
友提督 「その上そんな美人秘書が嫁だなんてこれ以上の幸せがあるだろうか、いや無い」
香取 「やだ///美人だなんて、もう/// …ところで友提督、先ほどは私を呼び捨てになさいましたね」クイッ
友提督 「ああ…っ///」ゾクゾク
大淀 「鞭で顎クイって実際に見るとエロさ半端じゃないですね」
提督 「しかも似合うんだよなぁ…ほらお前ら帰るなら早く帰って、厳しい躾けはプライベートでどうぞ」シッシッ
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大淀 「遠征隊の報告を受けた後は演習がありますが、編成はどうされますか?」
提督 「いつも通り第一艦隊でいいかな、これで頼む」つ書類
扶桑改Lv99
陸奥改Lv99
叢雲改二Lv90
北上改二Lv72
大淀 「確認しました。そのように通達しておきますね」
提督 「…あのさ、大淀」
大淀 「何ですか提督?」
提督 「俺は上手くやれてるのか? なんていうか、こうやって鎮守府は存在してるけど皆と一緒に積み上げて来たはずの記憶も無いし、違和感とk」
大淀 「提督、」スッ
提督 「大淀?」
大淀 「現在、当鎮守府での資源や資材の運用・備蓄は問題なく出来ています」
提督 「あ、ああそうだな、けど」
大淀 「提督が私達との思い出を忘れてしまっている事はとても残念です。中にはショックでふさぎ込んでしまう子もいました」
大淀 「それでも皆、無くなった思い出をまた新しく積み上げていこうと自分達の意思でこの鎮守府に残ったんです、不安は尽きないとは思いますが胸を張っていてください」
提督 「大淀…」
大淀 「それに、記憶が戻らない方がむしろ」ボソッ
提督 「?」
大淀 「いえ、何でもありません。失礼します」
提督には、つい最近までの記憶が無い。自分がどこで産まれて、誰と出会って誰と別れて、何を志して何をしていたのかも分からない。
二か月程前、記憶喪失を自覚した時には自分は既に提督の任に就いていた。友人である友提督たちと出会う数日前の事である。
提督補佐艦(?)らしい大淀の話や彼女の持ってきた自分宛の書類を見る限りでは、自分は鎮守府に着任しておよそ一年弱の新米提督らしい。
最終的な決定や艦隊の編成及び指揮は提督が執り行うが、大まかな仕事は大淀が捌くとのことだが不安は尽きない。
所属する艦娘との記憶が無いので艦隊の編成や運用は過去の書類を参照して、これまでのままにしてある。
何より提督の不安を煽るのは、
扶桑 「あら、提督」
提督 「あ、扶桑さん」
扶桑 「上の空でしたけど、何か考え事ですか?」クスッ
優しい目で穏やかに微笑む彼女が、
提督 「いや、ただちょっと記憶戻らないかなーなんて…っ?!」ビクッ
扶桑 「必要ありません」スゥ…
提督 「いや、そんなきっぱり言い切れるものでもなk」
扶桑 「必要ありません」
扶桑は、提督の失った記憶の話を頑なに拒む。
提督 「あの」
扶桑 「必要、ありません」
提督 「…分かった」
扶桑 「分かっていただけたのなら嬉しいです」ニコッ
提督の好きな花の綻ぶような笑顔ではなく、張り付けたような無機質な笑顔で、何かを押し殺すように、笑う。
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叢雲 「戻ったわよ」ガチャ
提督 「演習お疲れさま、MVPは叢雲か。よく頑張ったな」ナデナデ
叢雲 「っ/// アンタ、いつまでも子供扱いするんじゃないわよ!! そういう所は全然変わらないんだから嫌になるわね///」
提督 「あー、記憶無くなる前もこんな扱いしてたのか。道理で何か落ち着く訳だ」ナデナデ
叢雲 「いつまで撫でてるのよ! 酸素魚雷を喰らわせるわよ?!」
提督 「どうどう、もうちょっとだけ、な?」ナデナデ
叢雲 「ホントにもう、アンタ……ま、いいわ もう///」
提督 「よしよし、可愛いなー叢雲は」
叢雲 「そうやって着任初日から人様のアタマ撫でくり回してきたバカをぶっ飛ばしてやった事がまるで昨日の事のように思い出せるわ」
提督 「俺ってば初対面に結構攻めたアプローチしたのな、そういうのどうかと思う」
叢雲 「アンタの事でしょこのバカ」
提督 「ごもっとも」
叢雲 「…ねえ」
提督 「んー?」モフモフ
叢雲 「なんで私はアンタの膝の上で後ろから抱き着かれてるのかしら、あと髪に顔埋めるの止めなさい」
提督 「まぁまぁ、あとちょっとだけ…もーちょい」モフモフ Zzz…
叢雲 「もうちょっとって言いながらアンタ、こういう時はいっつも決まって…ああホラもう寝てるじゃない!起きなさいってばこのバカ!」
提督 「むらくもー」スヤァ
叢雲 「はいはい、ここに居るわよ、もう…寝付くの早い癖に全然起きないんだから全く仕方にゃっ?!///」
提督 「んー」モミ
叢雲 「寝ぼけて胸触るのもホントに変わらないわねこのバカ!! キツめの喰らわせてやるから覚悟なさい!!」
提督 「ゴフっ!?!?」バタッ
叢雲 「ふーっ/// っ、今度こそ大人しくなったわね///」
叢雲 「……ねぇ。思い出せないの、思い出さないの、どっちなのかしら」ナデ
提督 「Zzz…」
叢雲 「…アンタが寝た後、こうして私もアンタの頭撫でてる事知らないのよね」ナデナデ
叢雲 「勿体無いわよね、せっかくこの私が撫でてあげてるのに」ムニッ
提督 「んー…」ムグ
叢雲 「ふふっ、変なカオ」
叢雲 「ま、せいぜい良い夢見なさい」
ガチャ
…パタン
叢雲 「…おやすみなさい、提督」
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提督 「何でだ、朝起きたら体が痛いのに凄く目覚めが良い」ハテ
提督 「まぁいいや、朝飯にするか…お、今日は煮魚定食か」
提督 「席も運良く空いてたな…っと、あれは」
扶桑 「あら、提督。おはようございます」
提督 「おはよう、扶桑さん」
扶桑 「席、ご一緒してもよろしいでしょうか?」
提督 「もちろん、どうぞ」
扶桑 「ありがとうございます、提督も日替わり定食になさったのですね」コトッ
提督 「飽きないし量も丁度いいからね」スッ
扶桑 「あの、提督?」
提督 「なに、って…あれ?何で俺、扶桑さんに漬物の小皿押し付けてるんだ…ごめん扶桑さん、なんか無意識に」
扶桑 「いえ、いいですよ。漬物、苦手でしたものね」
提督 「あー、まぁ、ね。ありがとう……あのさ」
扶桑 「はい」
提督 「もしかして俺、けっこう頻繁に扶桑さんに苦手なもの食べて貰ってた?」
扶桑 「はい」クスッ
提督 「あー…重ね重ね申し訳ないです」
扶桑 「大丈夫ですよ」フフ
扶桑 「提督の少し子供舌なところ、可愛らしいと思いますよ」ニコッ
提督 「…なんだか素直に喜べないぞ」
扶桑 「ふふ、私は素直に褒めているつもりですよ」クスクス
提督 「絶対からかってるだろ」
扶桑 「あら、気付かれてしまいました」クスッ
提督 「扶桑さんてさ、」
扶桑 「はい?」
提督 「見た目は大人っぽくて綺麗なお姉さんて感じだけど、笑った顔は可愛くてちょっと幼く見えるよね」
扶桑 「と、突然なにを言うんですか/// そんな、煽てても何も出ませんよ///」
提督 「お、扶桑さんが照れてる」
扶桑 「やだ、今こちらを見られると、その、困ります///」カァァ
叢雲 「アンタたち、朝から食堂でイチャついてんじゃないわよ…隣失礼するわね」ガタッ
提督 「あいよ、荷物どけたぞ」ホラ
叢雲 「あら、気が利くじゃない。お礼にそれ、貰ってあげるわ♪」パク
提督 「あ、こら叢雲お前、俺が最後に取っておいたおかずを!」
叢雲 「むぐ…っん。うるっさいわね、さっさと食べないアンタが悪いんでしょ」フン
提督 「何だと?」
扶桑 「ふふっ」
叢雲 「…何よ?」
扶桑 「いえ、ごめんなさい、二人ともとても仲の良い“兄妹”みたいで微笑ましくて」ニコッ
叢雲 「(兄妹…)」カチン
叢雲 「それはどうも、アンタたちの方が仲の良い“姉弟”みたいで見てて羨ましかったわよ。思わず中に入れてもらいたくなって声掛けちゃったわ」フフン
扶桑 「ふふ、」ニコニコ
叢雲 「ふ、ふふ、ふ」ニコッ…
提督 「何だろう、朝から空気が重い」
叢雲 「アンタは黙って朝ごはん食べてなさい。ほら、お味噌汁冷めるわよ」
提督 「あ、はい」
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友提督 「あいつら今朝も仲良く修羅場ってるのかなー」
香取 「あら提督、もう他事を考えられる程に順応してしまわれたのですね」
香取 「もう少し、厳しい躾けが必要でしょうか///」クスッ
友提督 「っ、宜しくお願いします‼」ゾクゾクッ
香取 「ふふ、練習巡洋艦香取、抜錨します…提督、ついてキテくださいね??」
友提督 「……‼」
香取 「意外と重武装でしょ、私…ふふ///」
友提督 「…っ、……っっ‼」
……
…
バタバタ
…バンッ
雪風 「雪風、ただいま戻りました! しれぇに報告に向かいます!」
如月 「あら、雪風ちゃんお帰りなさい。早く友提督にお会いしたいのはわかるけど、今はまだ行っちゃダメよ?」
雪風 「どうしてですか?? 雪風は早くしれぇに褒めてもらいたいです!」
如月 「友提督はね、今は演習中なの。とぉっても厳しい演習だけど、頑張ってるから邪魔したら悪いわ」
雪風 「しれぇも演習するんですか、凄いです! 雪風、感激です!」パァァ
如月 「ええ。だから、もう少し後にしましょうね」クスッ
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提督 「さて、今日は天気も安定してるから遠征を少し多めに回して行こうか」
大淀 「編成は先に頂いた書類の通りでよろしいですね?」
提督 「ああ、それで頼む…それにしても、」
提督 「本当に出撃任務が無いんだなこの鎮守府は」
大淀 「はい、提督が着任されてから数えるほどしかありませんね」
提督 「本来ならここに鎮守府設立の必要は無いけど、ここに鎮守府があった方が何かと都合が良い一部の人達の為に、だっけ?」フム
大淀 「私の口からは、なんとも言えません」フイッ
提督 「…とか言いながら、こっそり教えてくれたの大淀じゃん」
大淀 「…この制服を着ている間は、私はあくまで中立ですから」
提督 「そういう真面目なところを買われてるんだろうね、大淀は…あ、そうだ」ヒラメキ
提督 「じゃあさ、今。その制服が脱げちゃったら、もうちょっと詳しく教えて貰えたりとかするのかな」グイッ
大淀 「ちょ、提督?! 困ります、こんな所で、っ///」
提督 「場所かー。でも場所を変えるとお話が少し長くなりそうだけど、いいの?」
大淀 「それは、その/// ええと…///」ボッ
提督 「…なんてな、大淀はからかった時の反応が良いからついやり過ぎてしまうな」ハハハ
大淀 「もう! 意地悪な提督はいつか痛い目を見ますよ!」
提督 「いや、そんな可愛らしい反応が拝めるなら痛い目ぐらい何とも無いね」
大淀 「…だそうですよ?」チラッ
叢雲 「そう、それは丁度良かったわ」ガシッ
提督 「あれ、叢雲…いつの間に戻ったの?」
叢雲 「脳天、ぶち貫いてあげるわ(ただいま、提督)」ニコッ
大淀 「叢雲さん、逆です逆」
叢雲 「やだ、いけない」
叢雲 「ねえ提督。12,7と61、どちらか好きな数字を選んで頂戴。大丈夫深い意味は無いわ」クスッ
提督 「あ、俺死ぬんだ」
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北上 「あれ、提督じゃん。廊下で正座なんかして、どしたの?」
提督 「ちょっと日課をな」フッ
北上 「ふーん?提督も大変だねぇ…で、それいつまでやるのさ?」
提督 「遠征部隊が帰投するまでだな」
北上 「へー、まぁ頑張ってね…あれ?でも遠征部隊の行き先って確か」
提督 「ああ、遠洋練習航海だ」ウム
北上 「おおぅ…ホントに何したのさ提督…」
……
…
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提督 「むっちゃん、もう少し上お願い」
陸奥 「ええ。この辺りかしら」グッ
提督 「あー、そここそ、その辺…疲れ切った足が解れるわー」グテー
陸奥 「それで? 結局、叢雲は許してくれたのかしら」グッグッ
提督 「何だかんだで叢雲は優しいからな、3発で済んだよ」ハハハ
陸奥 「頭のコブはそれが原因ね…おイタが過ぎるのも考え物ね」ハァ
提督 「みんなが魅力的すぎるのがいけないんだって」
陸奥 「あら、あらあら。その中にはお姉さんも含まれているのかしら?」
提督 「そりゃ勿論、むっちゃんも十分すぎるくらい魅力的だよ」
陸奥 「ふふ、だからってあまり火遊びは駄目よ? でないとそのうち、火傷しちゃうわよ」クスッ
提督 「火傷したらむっちゃんが看病してくれる?」
陸奥 「どうしようかしら、原因にもよるわね」
提督 「むっちゃんは何だかんだで優しくしてくれるって信じてるよ、っと、そろそろ演習向かわないとか」
陸奥 「ええ、そうね。私も少ししてから向かうから、先に行って頂戴」
提督 「行き先は一緒なんだし、そのまま向かわないの?」
陸奥 「それもいいけれど、私の部屋から一緒に出て来るところ、誤解されたりしら大変よ?」クスッ
陸奥 「お姉さんは別にそれでもいいのだけど…ね?」
提督 「あー、それもそうか…ありがと、先に向かってるとするよ」ジャアネ
陸奥 「あら、残念」フフフ
ガチャ
…パタン
提督 「」
叢雲 「あら、提督、奇遇ね」
提督 「叢雲」
叢雲 「つい今しがた、陸奥の部屋から出てきた提督、奇遇ね?」ニコッ
提督 「あの、」
……
…
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提督 「だいたいこんな感じの会話を経て、今の正座タイム(追加分)に至ります」
扶桑 「まあ、それは大変ですね…足は大丈夫でしょうか」ズシッ
提督 「っ、大丈夫だ、問題無い。それに、たまにはこうしてじっとしている日があってもいいんじゃないかと思っていややっぱり足が痛いつらい」
扶桑 「提督、長々時間の正座は足を痛める原因にもなります…どうかご自愛なさってください」ズシッ
提督 「ぐ、ああ、ありがとう扶桑さん。あと出来れば会話の合間に膝の上に石を重ねていくのを止めて頂きたい」ダラダラ
扶桑 「提督のお膝の皿が、ちょっと心配だわ」ズシッ
提督 「あの、そう思うならそろそろ勘弁してホントにキツイ、扶桑さん、もしかしなくてもちょっと怒ってるよね?」
扶桑 「はぁ…空はあんなに青いのに…」ズシッ
提督 「ねえ聞いてる? …あ、座るの?その上に扶桑さん座っちゃう? いや無理無理流石にそれはいや扶桑さんが重いとかじゃけっして無くて物理的に、って話で待って待ってちょっと本気でそれヤバいってあ゛ぁ゛ーーーー!!!」ミシミシ…
提督 「あ、でもこうしてると丁度目線の高さに扶桑さんの尻が見え、」
扶桑 「提督?」グリグリ
提督 「いだだだだ痛いごめんなさい動かないで足がエライ事になっちゃう」アアアア
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球磨 「クマー。遠征部隊《バケツ回収班》、無事に戻ったクマ」
提督 「おお…球磨、遠征お疲れさま」ミチミチ
球磨 「くーまー…クマぁ?! 提督、どうしたクマ?! 扶桑も何してっ、何があったクマ?!」
扶桑 「かすり傷程度よ、心配いらないわ」クスッ
球磨 「嘘クマ! それ絶対にかすり傷程度じゃ済まないやつクマ‼」
扶桑 「新しいベンチよ? よかったら、一緒にどう?」
球磨 「え、遠慮するクマ…球磨はこれから補給に向かうから忙しいクマ」クマッ
提督 「あれ、助けてくれないの?」
球磨 「提督がそんなになってる時は十割がた提督がわるい時だクマ。いちいち深く突っこんでらんないクマ」
提督 「あれ?言い返したいけど反論できないぞ?」
球磨 「やっぱりそうかクマ、球磨はこれで失礼するクマ」
提督 「希望は消え去った、あと俺の足の感覚も」
扶桑 「扶桑、ここに待機していますね」
提督 「もう好きにしてくれ…ああ、空はあんなに青いのに…」
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コンコン
…ガチャ
大淀 「失礼します…あら、叢雲さんだけですか? 提督はどちらに」
叢雲 「ああ、提督なら外で置物になってるわ。暫くは戻らないわよ」
大淀 「そうですか…こちら、大本営から提督宛に任務が発令されています」
大淀 「優先度は低いので手が空いた時に、とのことです……この任務、提督には、」
叢雲 「…ええ。そちらで破棄して頂戴」
大淀 「…よろしいのですか?」
叢雲 「アイツにはまだ、時間が必要なの」
大淀 「…そう、ですね。それと、提督からケッコン用の書類の問い合わせも頼まれているのですが」
叢雲 「そっちも、いつも通りお願い。悪いわね、面倒掛けて」
大淀 「いえ。これは私も、皆も納得した上で決めた事ですから」
叢雲 「そう…そうね、」
大淀 「失礼します」
ガチャ
…パタン
大淀が退室し、再び叢雲ひとりとなった執務室。
誰も居なくなったことを確認し、提督の椅子に深く腰掛けると叢雲は重く溜め息をついた。
形の良い眉を顰め窓に目をやると、平時とは比較にならない程に弱った表情を浮かべた彼女自身の姿があった。
大本営から通達される任務。無視しても度々こうして同じ任務が送られてくるのを見る限りでは、
優先度が低いとは言っているが、とっとと遂行しろと言いたいのだろうと容易に察することが出来る。
大本営からの任務のうち一部の任務は、遂行すると任務の達成が確認され次第、以前に遂行した任務に関連した任務が発令される。
この部隊を編制せよ⇒次に、先に編成した艦隊で出撃せよ、といった具合に派生していく任務があり、
叢雲が大淀に隠蔽させた任務もその派生した先の任務である。
叢雲 「…《二人でする初めての任務!》、か…ふざけた名前よね、全く」
彼女は、彼女達は、提督に伝える事が出来ずに居た。
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続編へ↓
どうも、SS作者の方々の素晴らしい作品群を読む内に居ても立っても居られなくなり、
読む人から書く人になりました“ぺっつぁー”と申します。
初のSSで長編を目指す暴挙に打って出ましたが、生暖かく見守っていただければ幸いです。
とりあえずで出だしのみ投稿しましたが、完結目指して頑張っていきたいと思います。
続きが気になります!
1≫
コメントありがとうございます!
金属製の餅さんのSS、楽しく読ませて貰ってます。
私も魅力的なSSが書けるように頑張っていきますm(₋ ₋)m↓