2015-02-11 19:30:52 更新

概要

孤独のグルメクロスオーバーシリーズ第3弾。
本日は、ベン・トーのスーパーマーケットへ。
果たしていい歳したおっさんは勝ちのこれるのか。


前書き

今回は結構キャラ崩壊。

登場人物
・井之頭五郎
この物語の主人公。個人で貿易商を営んでいる中年の人。体格はそれなりに大きく、割と何でも食べる。
嫌いなのは食事中の至福の一時を邪魔されること

・佐藤洋
スーパーマーケットの半額弁当を巡り戦い続ける少年。槍水仙に誘われ、ハーフプライサー同好会に属している。佐藤と同じく半額弁当を巡り、戦い続ける。

・槍水仙 二つ名『氷結の魔女』
佐藤の先輩で、ハーフプライサー同好会の代表。佐藤と同じく半額弁当を巡り戦い続ける。

・坊主、茶髪、顎鬚
よく3人で一緒にいる『狼』三人衆。

・用語
『狼』……半額弁当を求め、戦う者たちの総称。

・著莪あやめ 二つ名『湖の麗人』
佐藤の従姉弟で、ハーフプライサー同好会には属していない。





~某県~


五郎「ふぅ……」


五郎(今日の仕事は一段と長引いてしまったな……)


五郎(今からどこか飯屋に行くのもなぁ……)


五郎(たぶん、このままだとスーパーかコンビニで何か買うしかないのか)


五郎(以前、コンビニで買いすぎてすごいことになったからなぁ……)


五郎(それなりに食えるものもあったけど……あまり味がよくないものもあったし……)


五郎(それに……最近お腹まわりがきになる……)


五郎(……気はあまり進まないがそうするしかないか……)


五郎(お、スーパー発見)


五郎(24時間営業ってわけじゃないのか……っと、よく見たら閉店間際じゃないか)


五郎(ひょっとしたらタイムセールなんかもあるかもしれん……)


五郎(よし、今日はスーパーで弁当でも買って食べるか)





時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき


つかの間 彼は自分勝手になり、自由になる――


誰にも邪魔されず気を使わずものを食べるという孤高の行為。


この行為こそが現代人に平等に与えられた


最高の癒しといえるのである。



「某県スーパーマーケットの半額弁当」



五郎(さて、入ってみたはいいが)


五郎(結構大きなスーパーだな。弁当売場がわからん)


五郎(探してみるか)


~探索~


五郎(ん? あれは店員……お。弁当コーナー発見)


五郎(ちょうど今シールを貼っているのか)


五郎(貼っている途中で手にとったら嫌な客に思われるかも……)


五郎(ここは少し待つか)


五郎(しかし、学生がちらほら見えるな……)


五郎(この学生の数から見ると……明らかに弁当の数が足りない)


五郎(これは取り合いになっちゃうんじゃないか?)


五郎(食えなくなるのは嫌だからもう買ってしまおうかな)


佐藤「あ、そこのおじさん」


五郎「?」


佐藤「まだ動いちゃダメですよ」


五郎「……どういうことだ?」


佐藤「ここのスーパーではあの半額神……半額シールを貼る店員があの裏へ消えていくのを見届けてからじゃないと弁当に手を出してはダメなんです」


五郎(……地域ルール! そういうのもあるのか)


佐藤「あと、慣れてない人は危ないですよ……」


五郎「危ない?」


佐藤「店員が消えればその瞬間、狼たちがいっせいにむらがります」


五郎(狼? まったく言っている意味がわからん)


(店員、裏へ)


学生たち「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」


五郎「!!」


佐藤「始まりましたね……。おじさん、怪我したくなかったら別のところ回ったほうがいいですよ。それでは!」


五郎(……俺は夢でも見ているのだろうか)


五郎(学生たちがたった数個の半額弁当を求めて争っている)


五郎(この姿はまるで……『狼』そのもの)


五郎(獲物を狩れなければ死ぬ。野生……)


五郎「……フッ」


五郎(たまにはいいじゃないか。こういうのも……)


五郎(周りも止める様子はないみたいだし……)


五郎(それにいい運動にもなるだろう……)


五郎(少年よ。ここにも食に飢えた狼がいるということを教えてあげようじゃないか)






五郎(さて……ん?)


学生A「よっしゃ!」


五郎(なるほど、弁当を手に取ればその段階でその者を殴ったりして奪ってはならない。潔く諦めないといけないということか)


五郎(そうとなると俺は……)


五郎(チーズ入りハンバーグ弁当……か……オムそば。この2つのどちらかだな)


五郎(よし……)


学生B「どけよおっさん!)


五郎(む)


五郎(甘いな……)


―――――――――――アームロック



学生B「い、いててててててて!!」


五郎「諦めるんだな……」


茶髪「ふん!」(蹴り)


五郎「うおっ……」(かわし)


茶髪「おっさんのくせに結構素早い……!」


五郎(おっさんか……まぁ、そうなるか)


坊主「おらぁ!」(殴り)


―――――――――――受け流し


五郎(ずいぶん戦い慣れてるようだな……これはマズイぞ)


学生C「ひょ、氷結の魔女が出たぞー!!」


五郎(氷結の魔女?)


仙「…………」


学生D「現れたな氷結の魔女!」

学生E「今日こそお前を倒してやる!」

学生F「いくぞおおおおおおおおおおおおおお!」


五郎(……あの女の子が氷結の魔女)


五郎(何という身のこなしだ。あれなら運動部に入って即レギュラーに入れるぞ……)


学生G「こ、こっちには湖の麗人が!!」


五郎(む……)


五郎(あっちもなかなか……)


あやめ「甘い甘い!!」


五郎(ふむ……これはあの2人と直接戦うのは避けたほうがいいな)


五郎(よし、今はまずこの茶髪、坊主を何とかしよう)


顎鬚「お? おっさんが参加とは……おっさんだからって容赦はしないぞ!」


五郎(顎鬚を生やしている学生におっさんと言われた……がーん、だな)


五郎(しかし、このままでは分が悪いな……)


坊主「おっさん! 悪いが寝といてくれよな!」


五郎「!!」


―――――――佐藤、乱入!


坊主「なに!?」


佐藤「おじさん、調子はどう?」


五郎(さっきの少年か……)


顎鬚「悪いがいきなり現れたおっさんにやられるわけにはいかないなぁ!」


坊主「こっちにも狼の誇りがある」


茶髪「容赦はしないよ!」


佐藤「そうですか……ならこっちだって……」


五郎「……フッ」


五郎&佐藤「「うおおおおおおおおおおおおおおお!」」




~数分後~


佐藤「おじさん、何取れたの?」


五郎「ふわとろ卵で包み込むオムそば弁当だ」


佐藤「おお~。先輩は?」


仙「私はほんのりまろやかチーズ入りハンバーグ弁当だ」


佐藤「著莪は?」


あやめ「私は特製ソース付チキン南蛮弁当。そういうアンタは?」


佐藤「僕はサケのムニエル弁当」


仙「どうやら、それぞれ思いの弁当を取れたみたいだな」


佐藤「そのようですね……と、もうこんな時間だ! おじさん、さようなら~!」


五郎「あぁ」


五郎(さて、俺もこの弁当を味わうか……)




本日のお食事


ふわとろ卵で包み込むオムそば弁当→卵と焼きそばの生み出すハーモニー! マヨネーズ、ソースもたっぷりかかって老若男女問わず味わえます。


五郎(おかずがないが……シンプルでいいじゃないか)


五郎(さて一口)


五郎(……!! 美味い!)


五郎(これは、さっきあんなに動いたからか……?)


五郎(スーパーの弁当でこれほどまで美味いと思ったのは初めてだ……)


五郎(あの学生たちはこの至福の一時が欲しくてたまらないんだろうな……)


五郎(なるほど、これはあの戦場を経験した者しか味わえない)


五郎(ソースもたっぷり、男の子らしさいっぱいだ)


五郎(卵もいい感じに焼きそばを包み込んでいる)


五郎(これは、本当にうまいな……)


五郎(あぁ……何だか学生に戻った気分だ)




~そのころ佐藤たちは~


仙「……佐藤、どうした。何を考えている」


佐藤「いや、ちょっと……あのおじさん、月桂冠のオムそば弁当取ってたんだな……って」


仙「そういえばそうだったな……あれは一体何ものなんだ?」


佐藤「たぶん今日が初参加だったと思います。でもあの動き、ただものじゃないですよ」


仙「そうだな……向こうも私との直接対決を避けようとしていたし、私も実は少し避けていた」


佐藤「……あのおじさん、結構すごい人なのかも」




~戻って五郎さん~


五郎「ふー」


五郎(いやぁ、今回は本当に美味しかった。ただのスーパーの弁当でこんなに満足したのは初めてだ)


五郎(また、ここへ来てもいいかもしれんな……)


五郎(さて、そろそろ帰るか……)


五郎「……いててて……」


五郎(あぁ、いかんなぁ。これは明日確実に筋肉痛で動けないぞ……)


                    孤独のグルメ×ベン・トー ~完~



次回、孤独のグルメ「某県お好み焼き『なが塚』のお好み焼き」 孤独のグルメ×ロウきゅーぶ!


第1話


第2話


第4話・前


第4話・後


第5話


第6話パート1


第6話パート2


第6話パート3


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このSSへのコメント

2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2014-10-21 20:06:59 ID: Aulojmq_

なんか斬新なゴローちゃんだったな

2: ライン 2014-10-23 20:11:37 ID: _vnTa0I9

>名無しさん
そう思っていただけてよかったですw


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