小町「ただいま〜。ううっ寒い寒い」

八幡「おう、おかえり」

小町「ただいまお兄ちゃん」

八幡「コタツあったまってるぞ」

小町「おお〜入る入る」

小町「ふぃ〜ぬくぬくだ〜」

八幡「コタツは最強だなやっぱ」

小町「そういえば今年もすごかったよ〜」

八幡「ん？なにが？」

小町「街中クリスマスイベントだらけだったよ」

八幡「ああ…そういえば明日か…クリスマス」

小町「そうそう。なんか今年のクリスマスはすっごい豪華なイルミネーションやるらしいよ」

八幡「へーそうなのか」

小町「うん。確か○○公園でだったかな」

八幡「あーあの広いとこか。確かにイルミネーションやるにはうってつけかもな」

小町「丁度準備中のところ見たんだけどすごそうだったよ〜あー見てみたいな〜」

八幡「見てくればいいじゃねえか」

小町「それがチケット制みたいなんだよね。前日だったからとっくに売り切れてたし」

八幡「なんだそうなのか。まああの公園広いとはいえ誰でも自由に入れたらすげえ混雑しそうだもんな」

小町「たぶんカップルだらけになるだろうね」

八幡「よくこのクソ寒い時期に外に出れるわあいつらは。家でコタツと戯れる方がよっぽど健康にいいだろうに」

小町「はぁ…なんてダメな発言…さすがゴミいちゃんだね」

八幡「小町もコタツ好きだろ？」

小町「それはそうだけど……てかお兄ちゃん。今年のクリスマスのご予定は？」

八幡「それを俺に聞くのか」

小町「まあさっきの発言からもう期待してないけど」

八幡「いつも通りだ。特になんの予定もねえよ」

小町「むぅ…今年こそはって思ってたんだけどなあ…奉仕部とか…」

八幡「なんで奉仕部がでてくるんだよ」

小町「いえいえなんでもないですよ〜」

八幡「そういう小町はどうなんだ」

小町「友達と遊ぶ〜とか言いたいところだけど今年の小町は受験生だからね！クリスマスどころじゃないのですよ。勉強しないとね！うん！小町えらい！」

八幡「……そんなに余裕ないのか。お前の受験」

小町「…」

八幡「…」

小町「そ、そうだ！お兄ちゃん！小町クリスマスプレゼント欲しいなあ！」

八幡「(お兄ちゃん本気で心配になってきたよ)」

八幡「ん〜まあいいよ。買ってやるよ」

小町「マジ！？買ってくれるの？」

八幡「俺の出せる範囲でならな」

小町「さっすがお兄ちゃん！大好き！」

八幡「現金なやつだな…」

八幡「んでなにが欲しいんだ」

小町「ん〜そうだな〜お兄ちゃんの愛がこもってればなんでも嬉しいかな〜あっ今の小町的ポイントたっかい〜！」

八幡「はいはい…冗談はいいから早く欲しいの言え」

小町「じゃあせっかくだからお兄ちゃんが決めて！」

八幡「えっ俺が？」

小町「うん！楽しみにしてるね！お兄ちゃんのプレゼント」

八幡「マジかよ…」

小町「あ、そうだ。クリスマスケーキ買ってないや」

八幡「別にクリスマスだからってケーキ買わないといけないわけではないと思うがな」

小町「いやお母さんに頼まれてたんだよね」

八幡「そうなのか」

小町「うん。お父さんとお母さんと私、家族みんなで食べようって言ってたよ」

八幡「なあ、比企谷家って3人家族だったけ？もう1人いなかった？ねえ？」

小町「ということでお兄ちゃん！ケーキ買ってきて！」

八幡「今の流れでなんでそうなるんだよ…」

小町「だって小町はこれから家事しないとだし〜」

八幡「それを言われると…はあ…仕方ない行くか」

小町「とびっきり美味しいのお願いね！なんかこう…山盛りなやつ！」

八幡「どんなだよそれ…ホールケーキにするのか？」

小町「あ、うーん…いややっぱりいろいろ買ってきて！チョコとかモンブランとか」

八幡「りょーかい」

…

…

…

ｰ街ｰ

八幡「寒っ…」

八幡「とっとと買って帰るか…」

八幡「この店にするか。美味いんだよなここのケーキ」

いらっしゃいませー！

八幡「さて…どれにするか…」

八幡「このチョコレートのやつ美味そうだな…」

八幡「いや…これも捨てがたい…けっこう迷うな…」

？？「これなんかどうですか？」

八幡「ん？おお…新作か。見た目も綺麗だし美味そうだな……………って」

いろは「やっはろーです！せーんぱい」

八幡「なんでいんのお前…」

いろは「なんでってケーキ買いに来たに決まってるじゃないですか〜」

八幡「まあそうか…ケーキ屋だしな…」

いろは「いや〜まさかこんなところで先輩に会えるなんてもしかして私のファンですか？」

八幡「ばっか俺の中のアイドルは小町と戸塚だけだ」

いろは「その情報は聞きたくありませんでしたね…」

八幡「んなことより早くケーキ決めないと」

いろは「あ、私も決めないとですね。先輩どれがいいと思います？」

八幡「え、なに。ここはお互いケーキ選びしないといけないからここでさよならって流れじゃないの」

いろは「え〜一緒に考えましょうよ〜」

八幡「なんでわざわざ一緒に…って言っても聞く気ないよなどうせ」

いろは「だいぶ私のこと理解してきましたね♫」

八幡「はぁ…」

…

…

…

いろは「こんなもんですかね」

八幡「けっこう買うのな」

いろは「うちでクリスマスパーティーするんです。お婆ちゃんやお爺ちゃん、親戚も来るのでいっぱい買っといても損はないですよ」

八幡「なるほどな」

いろは「先輩もわりと量ありますね」

八幡「うちはパーティーってわけじゃないけどな。家族で食べる用に。なにより小町がケーキ好きだしな」

いろは「相変わらずのシスコンですね〜」

八幡「うっせ」

いろは「あの…先輩」

八幡「なんだ」

いろは「明日…クリスマスはなにか予定あるんですか？」

八幡「あるに決まってるだろ」

いろは「へ？」

八幡「なんだよ」

いろは「……あ、いえ……………そうなんですか。あの……誰と…ですか？」

八幡「誰と？」

いろは「だから…誰とデートするんですか？」

八幡「は？デート？なに言ってんのお前」

いろは「ま、まさか…家ですか！？」

八幡「当たり前だろ。コタツは家にしかねえんだから」

いろは「は？」

八幡「明日は特に寒くなるらしいからな。1日中コタツに篭ってる予定だ。ゲームしたり本読んだりミカン食ったりやることいっぱいだわ」

いろは「ハァ…」

八幡「え、なにそのため息」

いろは「いえ…先輩ってほんと……先輩ですね〜」

八幡「意味わからんぞ…。ほら、もうケーキ決めたんだからレジ行くぞ」

いろは「そうですね…」

八幡「先買えよ」

いろは「あ、はい。じゃあお先に」

店員「〇〇円になりまーす！」

いろは「はい」

店員「それではこちらのクジをどうぞ〜」

いろは「クジ？」

店員「はい！クリスマスイベントでやってるんです！一等は世界1周旅行ですよ！」

八幡「(いや一等おかしいだろクリスマスイベントでそれは逆に怖いわ)」

いろは「クジですって先輩！なんかドキドキしますね！」

八幡「いいから早く引けって」

いろは「それでは…」ｺﾞｿｺﾞｿ

いろは「これで」

店員「はい、確認させていただきます！」

いろは「一等当たるといいですね〜」ﾜｸﾜｸ

八幡「いや…んな簡単に当たんねえだろ」

いろは「もう！またそんなこと言っ…

店員「おめでとうございます！三等です！」

いろは「ほらあ！先輩が夢のないこと言うから一等逃しちゃったじゃないですか！」

八幡「俺のせいかよ…。てかそんなに世界１周したいの？」

いろは「まあ三等ならいい方ですよね！それで賞品は…」

店員「はい！賞品はこちら！明日開催される〇〇公園のイルミネーションチケット2枚でございます！」

いろは「〇〇公園？」

八幡「ああ…なんかそこでイルミネーションやるらしいぞ」

いろは「ヘ〜そうなんですか！」

八幡「すでに一般の販売では売り切れだったらしいしすごいラッキーなんじゃねえのそれ」

いろは「ふむ……チケットが2枚…ですか…」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

八幡「ブツブツ言ってないで早くそこどいてもらえますかね。買えないんですけど」

いろは「あ、はい」

店員「〇〇円になりまーす！」

店員「それでは彼氏様もクジをどうぞー！」

八幡「なっ」

いろは「えっ///」

店員「あれ…？てっきりカップルなのかと…」

いろは「ち、違いますよ！///」

店員「し、失礼しました。…お似合いだと思うんだけどな〜…いや男の方は目がちょっと腐りすぎかな〜」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

八幡「(あの店員さん聞こえてるんですけど…てかシレッと悪口言われたんだけど。なんなのこの人)」

いろは「…///」

店員「それでは改めましてクジをどうぞ！」

八幡「は、はあ…」ｺﾞｿｺﾞｿ

八幡「じゃあこれで」

店員「はい確認させていただきますね〜！」

八幡「(さっきは一色にああ言ったけどやっぱクジってドキドキするな。…一等当たっちまったらどうしよ…)」

店員「おめでとうございます！」

八幡「(おっ！なんだ？)」ﾜｸﾜｸ

店員「五等のクリスマスウェットティッシュです！

八幡「いやそれ絶対ただのウェットティッシュですよね」

八幡「(てか五等なのにおめでとうございます！とか言うなよ！すっごい期待したじゃん！なんなのこの人！なんなの！)」

…

…

…

ありがとうございましたー！

いろは「すごいじゃないですか。残念賞のポケットティッシュではなくウェットティッシュを当てるなんて」ﾆﾔﾆﾔ

八幡「本当にすごいと思ってるならそのニヤニヤやめろ」

いろは「いやーそれにしても思わぬ収穫でしたねー」

八幡「よかったな。妹が準備中のとこ見たらしいがすごそうって言ってたぞ」

いろは「イルミネーションですか〜絶対綺麗ですよね！見てみたいです！」

八幡「女子は好きそうだな…。まあ楽しんでこいよ」

いろは「は？何言ってるんですか？先輩も行くんですよ？」

八幡「………はい？」

いろは「だってチケット2枚ありますし。1人で行くわけないですし」

八幡「いやいや…なんで俺？2人で行くにしても他になんかいるだろ。ほら葉山とか戸部とか」

いろは「明日の話ですし誘うにしても急すぎますよ。クリスマスですからもうなにかと予定立ててるでしょうし。戸部先輩はありえないです」

八幡「(戸部ェ…)」

八幡「いや俺も予定がだな…」

いろは「先輩はないですよね？予定」

八幡「いやだからコタツで

いろは「ないですよね？」ｽﾞｲ

八幡「……まあ…暇だけどさ…」

いろは「じゃあ行きましょうよ！先輩！」

八幡「(はぁ…ケーキ買いに来ただけなのになんでこんなことに…)」

いろは「私とは嫌…ですか…？」ｳﾜﾒﾂﾞｶｲ

八幡「やめろそれあざといから。わかったから。行くから」

いろは「ほんとですか！！」ﾊﾟｱ

八幡「なんだよそんなに嬉しいことか」

いろは「あ、い、いえ…か、勘違いしないでくださいね。ちょーうど！丁度先輩がいたから誘ってみただけですからね！別に先輩じゃなくても…」

八幡「あ、なら。小町と行くか？小町行きたがってたから丁度いいだろ」

いろは「むぅ…」

八幡「な、なんだよ」

いろは「先輩は私と行きたくないんですか？」ｳﾙｳﾙ

八幡「だからやめろってそれ、あざといから。なんなんだよ一体…」

いろは「あざとくないです普通ですってば〜」

八幡「それが普通の世の中とか嫌だわ…」

八幡「んでどうするんだ」

いろは「小町ちゃんには悪いですけどもう先輩と行くって言っちゃいましたから！先輩！行きましょう！」

八幡「はぁ…結局か。まああんま見たことないし見てみたいかもなイルミネーション」

いろは「先輩よかったですね〜。クリスマスにこんな可愛い後輩と過ごせるなんて！」

八幡「はいはい…てかそういや一色。お前家族とパーティーあるんだろ。いいのかそっちは」

いろは「あーはい。お婆ちゃんたちも来ますし少し残念ですが抜けさせてもらいます。売り切れになっちゃうほどのチケットを手に入れたんですから使わないと損ですよ！」

八幡「ならいいけどさ」

いろは「楽しみですね……」ﾆｺﾆｺ

八幡「…」

いろは「さっそく明日のこと決めましょう！」

八幡「ん、ああ、そうだな」

いろは「えーと待ち合わせ場所は…」

…

…

…

八幡「ただいま」

小町「おかえりー。遅かったねお兄ちゃん」

八幡「ああ、ちょっとな。ほい、ケーキ」

小町「ありがとー！おおー！美味しそう〜！うへへへ」ﾀﾞﾗｰ

八幡「ヨダレ出てんぞ。んな食べたいなら今食えよ」

小町「ケーキは明日までお預けだよ！いやー明日が楽しみ！」

八幡「あ、小町。その明日なんだけどさ…」

小町「ん？」

八幡「俺は明日はご飯いらねえわ」

小町「え？なんでなんで？明日は豪華にするんだよ！チキンだよ！チキン！」

八幡「いやその…」

八幡「よ、予定が………できた」

小町「え……」

小町「えええええええええええええええっ！？！？！？」

八幡「うわっうるさいな。なんだよ」

小町「お、お兄ちゃんが！クリスマスに！予定！？クリスマスに出掛けるぅ！？だ、だれと？誰と！？」ｽﾞｲ

八幡「近い近い。顔近いから。そしてうるさいわ」

小町「ねえ、誰となの？誰とデート？」

八幡「なんでデートになってんだよ。そんなじゃねえよ。相手は一色だ」

小町「一色さんって…お兄ちゃんの後輩の女の子？」

八幡「ああ」

小町「マジですか…奉仕部以外でここまでフラグ立ってる人がいたなんて…小町としたことが…不覚ッ」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

八幡「なにボソボソ言ってんだ。とにかくそういうことだから」

小町「りょーかいだよお兄ちゃん！そういうことならさっそく服買いに行くよ！！」

八幡「え？どゆこと？」

小町「クリスマスという一大イベントって時にお兄ちゃんのくっそダサいまったくセンスのない服装で行ったら一色さんが可哀想だよ！小町が選んであげるから買いに行くよ！」

八幡「ちょっと待って小町さん。いつも俺の服見てそんなこと思ってたの？泣きそうなんだけど…」

…

…

…

〜そして次の日の朝〜

八幡「行ってきます」

八幡「寒っ…」

八幡「(今日はクリスマス…とはいえ普通に平日だ。学校も普通にある)」

八幡「(まあ今まではクリスマスが平日だろうと休日だろうと関係なく、ケーキ食うぐらいだったんだがな…)」

八幡「(でも今年は…)

八幡「今まで変わらなかったのに、なんでこうなったんだろうな…」

ーーーー行きましょうよ！先輩！

八幡「(あんな笑顔で言われたら断りづらいわ…まったく…)」

…

…

…

ｰ放課後ｰ

キーンコーンカーンコーン

戸部「べっー！クリスマスきたよー！隼人くーん！マジ隼人くーん！」

葉山「そうだな」

三浦「ほら、とっとと買い出し行くよ」

海老名「クリスマスだから人多いだろうしね〜」

戸部「べっー！パーティーまじ楽しみだわ〜。べっー！べっー！」

葉山「ああ、今日はめいっぱい楽しむか！」

八幡「(葉山グループはパーティーか。上位カーストのパーティーってすごそうだな。シャンパンパーティーとかしてそう)」

八幡「部室行くか…」

ｰ部室ｰ

ドア ガララ

八幡「おう」

雪乃「ええ」

ドア ガララ

結衣「やっはろー！ゆきのーん！」

雪乃「こんにちは。由比ヶ浜さん」

結衣「いやー寒いね〜」

雪乃「今日明日、雪が降るかもしれないと言っていたわね」

結衣「マジ！？寒いのやだなー」

結衣「あ、でも雪合戦したい！あと雪だるまとかカマクラ作りたいなあ〜」

雪乃「…由比ヶ浜さんらしいわね。どんなに寒くても元気で無邪気。まさに風の子ね」

結衣「えへへ…そうかな〜？///」

八幡「(気づけバカ。どうみても子供扱いされてるぞ)」

結衣「はぁ〜今日はクリスマスか〜。ゆきのんは予定あるの？」

雪乃「特にないわ。そもそもクリスマスというのはキリストの…

結衣「じゃあ遊ぼうよ！！」

雪乃「…なぜそうなるのかしら…」

八幡「(てか雪ノ下、今絶対クリスマスぼっち確定なこと言いかけましたよね)」

結衣「私も予定ないからさ！ゆきのんと過ごしたいなあって思って！」

雪乃「葉山くんたちがいるでしょう」

結衣「ゆきのんとがいいの！」

雪乃「そ、そう…///」

八幡「(はいはいご馳走様です)」

結衣「ね？いいでしょ？一緒にケーキ食べて！DVD借りて映画とか見ようよ！きっと楽しいよ！」

雪乃「……そうね…楽しそうだわ…///」

八幡「(雪ノ下ちょっろ。さっきまで日本のクリスマスイベントを全否定しようとしてた奴が一瞬で堕ちてますやん)」

結衣「あ、あとさ…よかったらヒッキーも……どうかな？いいよね、ゆきのん？」

雪乃「ええ、まあ…この男に関しては…そうね。いてもいなくても特に変わらないわ。空気と一緒よ。いえこれは空気に失礼かしら…。空気は比企谷くんほど腐ってはないものね…」

八幡「お前の中での俺の存在どうなってんだよ…」

結衣「どうかな？ヒッキー暇だろうし私たちと遊ぼうよ！」

雪乃「そうね。予定がないのだし断る理由はないと思うのだけれど」

八幡「なんで俺が暇なこと前提なんだよ。いや暇だけどさ………」

結衣「じゃあ！」

八幡「っていつもなら言えたんだが…すまん。予定入ってる」

結衣「え！？ヒッキーが！？クリスマスに！？」

雪乃「今日は吹雪ね…」

八幡「驚きすぎだろ」

結衣「あ、あー！わかった！小町ちゃんでしょ！妹と過ごすからダメ〜とかそういうことだよね！？」

八幡「いや確かにそれが1番楽しそうだが違う」

結衣「えっ…じゃあまさか、その…誰かとデ、デ、デ…デート…

ドア ガララ

いろは「みなさーん！やっはろーでーす！」

結衣「あ、いろはちゃん。やっはろー。ど、どうしたの突然？」

いろは「ちょっとそこの先輩に用がありまして〜」

結衣「ヒッキーに？」

八幡「そこのって…」

いろは「せ〜んぱ〜い。聞いてくださいよ〜」

八幡「なんだよ」

いろは「なんか〜生徒会の仕事が長引きそうなんですよ〜」

八幡「そうなのか」

いろは「はい…。もう最悪ですよ〜」

八幡「じゃあ、少し時間ずらすか？」

結衣「えっ」

雪乃「えっ」

いろは「そうですね…」

八幡「そんな落ち込むなよ。時間遅れるって言ってもイルミネーションには十分間に合うだろ」

いろは「そうですよね…！先輩！とにかくなるべく早く終わらせれるよう頑張りますね！」

八幡「まあ無理せんでもこのまま中止でも…」

いろは「それはありえません！」

結衣「ちょ、ちょちょちょ！ちょっと待って！」

八幡「ん？」

いろは「どうしたんですか？結衣先輩」

結衣「えっと…なにかな今の会話…も、もしかしてヒッキーの予定って…」

八幡「ああ、一色と○○公園のイルミネーション見に行くことになってな」

結衣「ええっ！？ふ、2人で！？クリスマスに…！？」

いろは「ですです♫」

結衣「しかもイルミネーション見に行くとか…なにそのロマンチックな……てかそれデートじゃん！！」

八幡「なんでだよ。ただかくかくしかじかで俺も行くことになっただけだ。数合わせだろただの」

結衣「で、でも…」

雪乃「コホンッ…い、一色さんはいいのかしら？いくら数合わせとはいえこの男を選ぶなんて。せっかく後少しで年を越すというのに最悪な年になるわよ」

八幡「おい」

いろは「でもでもー。雪ノ下先輩もさっき先輩のこと誘ってたじゃないですかー？」

雪乃「くっ…それは…」

結衣「そ、そうだ！ゆきのん！私たちもそのイルミネーション見に行かない？」

雪乃「そ、そうね。たまにはそういうのもいいかもしれないわね…！」

いろは「あ、チケット制で一般では売り切れらしいですよ〜。というか今日のことなんでもうないと思いますよ〜」

雪乃・結衣「くっ…」

八幡「(そんなに見に行きたいなら…と思ったがチケット2枚しかないしな。一色は楽しみにしてるだろうし、あと1枚じゃあ由比ヶ浜たち2人で行けないし仕方ないなこれは)」

いろは「ということで先輩！今日はよろしくお願いしますね！詳しい時間はまた生徒会が終わってから連絡します！」

八幡「わかった」

いろは「ではでは私はこれで！雪ノ下先輩！結衣先輩！よいクリスマスを！」ﾆﾔﾆﾔ

結衣「ちょ、いろはちゃん！なにかなそのニヤけ顔！」

雪乃「行ってしまったわね…」

八幡「そうだ、小町にクリスマスプレゼント買わなきゃいけないんだがなにがいいと思…」

結衣「そんなことよりヒッキー！」ｽﾞｲ

八幡「な、なんだよ」

結衣「本当に…！本当に…行くの？いろはちゃんと」

八幡「ん、ああ。お前たちの誘いもその…嬉し…かったが…先に一色と予約しちゃったからな。今さら断れないわ」

結衣「それは…いいんだけどさ。ねえ、ヒッキー。クリスマスに男女2人で過ごす意味…わかってる…」

八幡「………俺と一色はそんなんじゃない。ただ偶然が重なってこうなっただけだ」

結衣「これからが心配なんだよ…」ﾎﾞｿ

雪乃「あなたは本当に一色さんには甘いわね」

八幡「…そうか？」

雪乃「妹がいるせいかしら？だから年下の一色さんにも妹のように接してしまうのかしら？それともただ年下が好きなのかしら？ロリコンというやつかしら？」

八幡「おいなんでロリコンに行き着くんだよ。てか小町と一色は全然違うぞ。小町ほどの天使が他にいるわけ…」

雪乃「ではあなたにとって一色さんはどんな存在なの…？」

八幡「………さあ。わからん」

雪乃「そう…」

八幡「あれだ。後輩だよ。ただの」

結衣「ただの…か…。それ本当？」

八幡「…」

ーーーー行きましょうよ！先輩！

ーーーー楽しみですね……

八幡「(強く言えば…断ることはできた。なんで俺は…)」

八幡「わからん」

結衣「はあ…まあ今回はいろはちゃんに譲ろうかな…」

雪乃「…」

八幡「なんなんだよ」

結衣「ううん。よかったねーヒッキー。あんな可愛い子とクリスマス過ごせてーあーよかったですねー」

雪乃「比企谷くん。よく聞きなさい。そもそもクリスマスというのはキリストの…」

八幡「なんか怒ってません？」

………………

…………

………

……

…

八幡「寒っ…」

八幡「もう寒いしか言えんわ…」

いろは「せーんぱーい！」ﾀｯﾀｯﾀｯ

八幡「(走っててもあざといなあいつ…)」

いろは「ハァ…ハァ…お待たせしました」

八幡「そんな走ってこなくても。こけたらどうすんだよ。地面凍ってるとこもあるんだから気をつけろよ」

いろは「…」

八幡「なんだよ」

いろは「いえ…その、先輩がそんなに心配してくれるとは思いませんでしたので」

八幡「別に…普通だと思うが」

いろは「あ、そうだ！どうですか？今日の私」

八幡「えっ？えっと……ちょっと痩せたか？」

いろは「なんでそこなんですか…まあ太ったかって言われるよりマシですけどそうではなく……はぁ、まったく…先輩ほんっとダメですね」

八幡「ええ…そんな言われましても…」

いろは「服ですよ。服。新しく買ったんです！」

八幡「ああ…」

いろは「どうですか？」

八幡「あーうん。一色のことだからどうせクリスマスに合わせてあざとくキャピキャピした明るい服装で来るだろう思ってたけどわりと落ちついてて驚いたな。その、すっげえ似合ってる」

いろは「あの、褒めてもらえたのは嬉しいんですけどもっと素直に褒めてもらえませんかね」

八幡「だから素直に言ったじゃないか」

いろは「はぁ…そうですか…」

いろは「あと私そんな服装したことないですから。なんですかあざとくキャピキャピした明るい服装って」

八幡「(一色のイメージにぴったりだと思うけど…)」

八幡「そりゃ悪かったな」

いろは「それではここに立ってても寒いだけですし。行きますか」

八幡「そうだな」

いろは「まったく…なんでこんな捻くれてるんですかね…せっかく気合入れて…」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

八幡「…」

八幡「おい、一色」

いろは「なんですか？」

八幡「…その…少し髪切ったんだな」

いろは「えっ…よ、よく気づきましたね///本当に少しですのに///」

八幡「なんか雰囲気変わって可愛ぃ…ぃい感じだと思う」

いろは「先輩…！？」

八幡「ほら行くぞ」

いろは「ま、待ってくださいよ先輩！今なんて言いかけました！？」

八幡「知らん」

いろは「よく聞こえなかったのでもう1回お願いしますよ〜」

八幡「やだ」

いろは「もう〜！」

…

…

…

いろは「イルミネーションはまだまだですし、ご飯も少し早い感じですね。どうします？」

八幡「あーじゃあ少し買い物していいか。プレゼント買わなきゃいけないんだよ」

いろは「えっ…先輩…そんな、いいですのに…でもありがとうございます」

八幡「バカ。小町にだ」

いろは「うっわ。シスコンですね」

八幡「プレゼント買うだけだろ…」

いろは「で、先輩1人じゃなに買ってあげればいいかわからないから手伝ってくれ一色ってことですか？」

八幡「エスパーかお前は」

いろは「ふふっ…まあ確かに先輩のセンスじゃあ妹さんクリスマスに悲しくて泣いちゃうことになりますもんね」

八幡「なあ、妹にも言われたんだがそんな俺のセンスやべーの？泣くほどなの？」

いろは「今日の服装も妹さんに選んでもらったんじゃないですか？」

八幡「なんでわかるんだよ…」

いろは「だって…今日の先輩、とってもかっこいいですよ♫」

八幡「…」

いろは「目が腐ってなければ」

八幡「台無しだわ。もはや服関係ねえし」

いろは「なんですかもしかしてドキっとしちゃったんですか？」

八幡「…行くぞ」

いろは「あ、ちょ、また！だから先々行かないでくださいよ〜冗談ですってば〜」

…

…

…

八幡「ふむ…」

いろは「なにかいいのありました？」

八幡「いや手袋とかどうかなって思って」

いろは「無難ですけどいいと思いますよ！手編みならなお良しです！」

八幡「無茶言うなよ…。じゃあそうするか」

いろは「妹さんのこととなると真剣ですねー」

八幡「そうか？」

いろは「そりゃあもうすっごいシスコンぶりですよ」

八幡「だから違うってのただ俺は妹のことを愛してるだけだ」

いろは「なにが違うのかさっぱりですね…」

八幡「これなんかどうだ？」

いろは「うっわ…」

八幡「え、なに」

いろは「地味すぎますよ…ありえないです…」

八幡「そ、そんな酷いかこれ…」

いろは「そういえば妹さんを見たことないので選ぶ時イメージしにくいですね私。写真とかないんですか」

八幡「ほれ」

いろは「え、なんですかこの小町アルバムって…」ﾋｷ

八幡「気にすんな気にすんな」

いろは「はい…全力で見なかったことにしたいですね…。どれどれ先輩の妹さんは…」

いろは「えっ！超可愛いじゃないですか！先輩！妹だなんて嘘つかないでください！この子が可哀想です！」

八幡「いや、実妹だから。てかお前、俺に失礼すぎだろ」

いろは「むぅ…でも確かにどことなく…それにこのアホ毛のとことかまさしく…むぅ…」

八幡「わかったか？」

いろは「はい…」

八幡「なんでそんな納得いかないって顔してんだよ…。んでどうだ、イメージ湧いたか？」

いろは「はい。てかこの子にさっきの地味な手袋をプレゼントする気だったんですか。ありえないですねセンスなさすぎです泣きますよ妹さん」

八幡「そ、そうすか…」

いろは「こういう手袋の方が似合うと思いますよ」

八幡「ふむ…」

いろは「どうです？」

八幡「確かにこれをつけた小町を想像したらあまりの可愛さに泣くかもな。俺が」

いろは「すごい気持ち悪い感想ですが、気に入ってもらえたならよかったです。気持ち悪いですが」

八幡「2回言うなよ。んじゃこれちょっと買ってくるわ」

いろは「はい。いってらっしゃいです」

八幡「………」

八幡「……」

八幡「…」ｽｯ

八幡「お願いします」

店員「はい！こちらの2点でよろしいですか？」

…

…

…

八幡「ありがとな。一色。妹も喜んでくれると思う」

いろは「いえいえ、さっきは先輩が選んだ手袋を地味とか言いましたけど結局、先輩の気持ちがこもっていれば妹さんなんでも喜んでくれると思いますよ」

八幡「そういうもんかな…」

いろは「いやでもやっぱあの手袋はないですね」

八幡「お前もうあの手袋作った人に謝れよマジで」

いろは「お、いい時間ですね。イルミネーション始まる前にとっとと食事済ませちゃいましょうか」

八幡「そうだな」

いろは「どこにします？」

八幡「サイz

いろは「ダメです」

八幡「なりたk

いろは「ダメです」

八幡「万策尽きたな…」

いろは「その2択だけで今まで生きてたんですか…」

八幡「いいだろ別に。美味いだろどっちも」

いろは「今日はダメです。特別な日なんですから」

八幡「今日って特別なのか…」

いろは「あっ…えっと…そうですよ。クリスマスなんですから」

八幡「よくわからんな…」

いろは「仕方ありませんね。今日は私がオススメのお店紹介しますよ」

八幡「へえそりゃあ楽しみだ。どんなパスタがあるんだ？アボカドパスタとか？」

いろは「あの、私のことなんだと思ってるのか知りませんけどパスタとアボカドばっか食べてるわけじゃないですからね？」

…

…

…

八幡「いや美味かったわマジで」

いろは「それはよかったです」

八幡「けっこう落ち着いた店だな。もっとギャーギャー言う店連れてかれるのかと思ったが」

いろは「どんな店ですかそれ。待ち合わた時の服装のことといい先輩の中の私のイメージおかしくないですか？」

八幡「人、増えてきたな」

いろは「そうですね。気づいてます？外もですけどこの店も今カップルだらけですよ」

八幡「そうみたいだな」

いろは「……わ、私たちもカップルに見えちゃったりしてるんですかね」

八幡「そんなわけないだろ」

いろは「即答なんですね…」

八幡「俺みたいなのが……一色みたいのと付き合ってるなんて思うやついないだろ」

いろは「…」

八幡「俺を見てもどうせ…クリスマスまで付きまとってくるめんどくさい男とかそんなこと言われ…

いろは「…ないです……」

八幡「え？」

いろは「そんなことないですっ！！！！！」ｶﾞﾀ

八幡「……ど、どうしたんだよ一体…」

いろは「先輩は…先輩は…本当はすごく優しくて…」

八幡「その…よくわからんが落ち着けって…。ほら座れ。みんな見てるから」

店員「あの…お客様…？」

八幡「ああ…いや、なんでもないです。飯食い終わってるし出るか」

いろは「はい…」

…

…

…

いろは「すみません…取り乱しちゃって」

八幡「いや…別にいいけどさ…」

いろは「…」

八幡「…」

いろは「あの…」

八幡「ん？」

いろは「先輩はいつも自分のこととなると扱いが酷いですけど…大切に思ってる人もいるってことを…忘れないでください。先輩をよく想ってる人はたくさんいるんです」

八幡「………いるとは思えないな。俺なんかに」

いろは「奉仕部の2人にそれ言ったらきっと怒られますよ」

八幡「……」

いろは「私だって先輩のこと…」ﾎﾞｿ

八幡「ん？なんか言ったか？」

いろは「なんでもないです。行きましょう」

八幡「おう」

八幡「(聞こえてたけどな…)」

…

…

…

いろは「イルミネーションまでまだちょっと時間ありますね！どうしましょうか？」

八幡「そうだな。寒いからとりあえずどっか入りたいな」

いろは「そうですね〜外で待ってるよりはマシですね」

いろは「あ、そうだ！プリクラ撮りましょうよ」

八幡「外で待つか」

いろは「ええ！？いいじゃないですか〜。行きましょうよ〜」ｸﾞｲｸﾞｲ

八幡「わ、わかった。わかったから引っ張るな」

〜 ゲームセンター 〜

いろは「うわ、人多いですね」

八幡「よし、やめるか」

いろは「ダメです〜。早くプリクラの列並びますよ〜」

八幡「これ並ぶとか勘弁してくれ…写メでいいだろ携帯とかの」

いろは「もう〜わかってないですね〜」

…

…

…

八幡「(で、ついに俺たちの番が回ってきたのだが…)」

八幡「あいつどこ行ったの…」

八幡「(一色が戻ってこない。途中で急に抜けて、ちょっと待っててくださいとか言われたんだが…)」

モブ「うわっ見てあの人まさか1人で撮るのかな…？」

モブ「えっwwwwwマジかよwwwww」

ざわざわ… ざわざわ…

八幡「(なんという公開処刑…とりあえずプリクラ機入っとこ…てかマジどこ行ったんすか一色さん…八幡もう泣いちゃうよ…)」

いろは「すみません！先輩！着替えに時間がかかっちゃいまして」

八幡「お前どこ行って………た……」

いろは「どうですか先輩？サンタさんのコスプレですよ！」ﾌﾘﾌﾘ

八幡「…」

いろは「先輩？」

八幡「あ、いや……うん。可愛い可愛い」

いろは「適当すぎですよ…」

八幡「ちょっと露出しすぎじゃないですかね。お父さん許しませんよそんなの」

いろは「いつから私のお父さんになったんですか…仕方ないじゃないですか。ミニスカなんですから」

八幡「か、肩も出すぎだし…///」

いろは「先輩どうしたんですかさっきから顔赤いですよ？」

八幡「」ﾌｲ

いろは「なんで顔背けるんですか〜こっち向いてくださいよ〜」

八幡「撮るんだろ早くしようぜ」

いろは「むぅ〜」

…

…

…

いろは「いっぱい撮りましたね〜大満足ですよ！」

八幡「なにこの俺の顔…なんか細いんだけど…プリクラ怖っ…」

いろは「ん、いい時間ですね。それでは行きましょうか。今日のメインイベントに！」

八幡「もう疲れたんだけど…」

いろは「これからじゃないですか〜ほら早く行きますよ〜」ｸﾞｲｸﾞｲ

八幡「だから引っ張るなっての…」

〜〇〇公園〜

いろは「ふぅ〜時間ギリギリですね」

八幡「ああ…でもおかげで、たぶんそろそろ…」

わー！きゃー！わー！わぁー！

八幡「点灯されたみたいだな」

いろは「わっ！わっ！早く行きましょう先輩！」

八幡「ちょ、落ち着け。チケット出さねえと」

係員「チケット2枚。確認しました。それではどうぞ！お楽しみください！」

いろは「はいっ。ありがとうございます！」ﾀﾞｯ

八幡「ちょ、走んなって」

いろは「わあ……先輩、見てください！」

八幡「はぁはぁ…どっからそんな体力………が……」

八幡「うっ…ぉ……」

いろは「どうですか。先輩」

八幡「ああ………綺麗だ」

いろは「だから言ったじゃないですか絶対綺麗だって」

八幡「正直…なめてたわ…」

いろは「歩きますか」

八幡「ああ…」

…

…

…

八幡「(お、あれもすげえな。船の形してる)」

いろは「せーんぱーい」

八幡「(あれはイルカか。よくできてるなあ…)」

いろは「せーんぱーい！せーんーぱーいー！」

八幡「いやあ…綺麗だな…」

いろは「あれ？今、どさくさに紛れて私に言いましたそれ？なんですかそれ口説いてるんですか？お前が1番綺麗だよとかそういうことですかそれはちょっとベタすぎるのでダメです雰囲気は今最高なのでもう少し頑張ってくださいごめんなさい」

八幡「…………」

いろは「………」

八幡「んあ？なんか言ったか一色」

いろは「なっ！？……どんだけ私のこと無視してんですか！」

八幡「ああ…悪い悪い」

いろは「もう…そんなに気に入ったんですか？なんかもう私より楽しんでませんか？」

八幡「…緑地帯とかの木に光ケーブルやってる程度のは見たが…これは規模が全く違うなマジで」

いろは「そりゃあそうですよ。昨日調べたんですけど今日の〇〇公園でのイルミネーションは今年において日本最大かもって書いてありましたよ」

八幡「そうだったのか…」

いろは「そうだ、写真撮りますか？」

八幡「ああ、そうだな。これは保存しとかないとな」ﾊﾟｼｬﾊﾟｼｬ

いろは「いや…あの…」

八幡「ん？なんだ？今忙しいんだけど」ﾊﾟｼｬﾊﾟｼｬ

いろは「なんでイルミネーションだけ撮ってるんですか！今のはイルミネーションを背景に2人の写真撮る流れですよ普通！」

八幡「え？一色との写真ならさっき撮っただろ」

いろは「あれはプリクラじゃないですか〜。ほらいいですからカメラに目向けてください私が自撮りでやりますから！」

八幡「お、おう…」

いろは「…」

八幡「…」

いろは「いやなんですかその顔。めちゃ怖いんですけど」

八幡「いや距離が近すぎるってこれ。もうちょい離れてくれ」

いろは「カメラに入らないじゃないですか…」

八幡「いやだけどさ…」

係員「よろしければお撮りしましょうか？」

いろは「え？」

八幡「おお、お願いしようぜ。その方が体制が楽でいいだろ」

いろは「はぁ…まあそれでもいいですけどね…」

係員「はい、チーズ」ﾊﾟｼｬ

いろは「ありがとうございました！」

係員「いえいえ〜」

八幡「だいたい周ったな」

いろは「そうですね。あ、あそこのベンチ座りませんか？少し疲れちゃいました」

八幡「そうだな」

…

…

…

いろは「ふぅ…」

八幡「ほれ。ココア」

いろは「ありがとうございます…ん〜…あったかい…」

八幡「ますます冷えてきてるな…」

いろは「そうですね…あ、見てくださいここからだとあそこのイルミネーションすっごい綺麗ですよ」

八幡「おお…」

いろは「…綺麗だなぁ…本当に…」

八幡「……」

いろは「来てよかったですね。先輩」

八幡「……」

いろは「ん？先輩？って、な、なんですかなんでこっち向いてるんですか」

八幡「いや…なんでもない」

いろは「なんなんですか…」

八幡「一色」

いろは「？」

八幡「…楽しかったわ」

いろは「え？」

八幡「今日だよ。その…楽しかった」

いろは「…………先輩。ふふっ…私も楽しかったですよ」ﾆｺ

八幡「…」

いろは「…」

ポツ……ポツ………

八幡「ん？」

いろは「あ……とうとう降ってきちゃいましたね」

八幡「そうだな…」

いろは「ホワイトクリスマスですね」

八幡「ああ」

いろは「そうだ、先輩。ずっと言うの忘れてました」

八幡「なんだ？」

いろは「メリークリスマスです。先輩！」ﾆｺ

八幡「…っ」

いろは「どうかしました？」

八幡「いや…メリークリスマス。一色」

いろは「…？変な先輩ですね。………うっ、風寒い…」

八幡「座ってたら凍りそうだな。歩くか」

いろは「そうですね」

いろは「うう…風冷たいなあ…」

八幡「…」

八幡「一色、これ」

いろは「え、なんですか？」

八幡「開けてみろ」

いろは「は、はあ…」

いろは「これ…マフラー…ですか。なんで…」

八幡「プレゼントだ。クリスマスの」

いろは「わ、私にですか？」

八幡「ああ、小町のプレゼント一緒に考えてくれたお礼となんかこう雰囲気だ」

いろは「なんですか雰囲気って」

八幡「…わからん。あとは…こんなに綺麗なもの見れたしな…手のひら返すようだが正直、一色には感謝してる」

いろは「…」

八幡「それつけとけ。寒いだろ。気に入らないなら捨てていいぞ」

いろは「捨てるわけ…ないじゃないですか」

いろは「先輩、マフラーやってもらえますか？」

八幡「は？自分でや…

いろは「お願いします」

八幡「…」

八幡「はぁ…」ｽｯ

………………

…………

………

……

…

なんで…

なんで俺はこんなにも…

一色はただの後輩だ

ただの…

ーーーー…綺麗だなぁ…本当に…

ーーーー私も楽しかったですよ

一色が喜んでくれた

それがなぜか自分のことのように嬉しかった

一色が笑うと俺も自然に笑うことができた

一色が側にいるだけで…心が暖かくなった

これは、なんなんだ

なんで俺はこんなにも…こんなにも一色のことを…

八幡「できたぞ」

いろは「はい」

八幡「どうだ」

いろは「巻くの下手くそですね」

八幡「おまっ…やれとか言っといて…」

いろは「でも…」

いろは「すっごくあったかいです！ありがとうございます！せんぱい！」ﾆｺ

八幡「…っ！」

八幡「…」

いろは「先輩？どうかし…きゃっ」

ああ、おかしいな

なんで俺…

一色のこと抱きしめてんだろ…

いろは「え、え、せ、先輩///えっとこれはどういう…///」

八幡「…」ｷﾞｭｳ

いろは「わっ」

八幡「…」

いろは「…先輩…」

いろは「…………」ｷﾞｭ

…

…

…

八幡「…」ｽｯ

いろは「あっ…」

一体どれぐらい俺たちは抱き合ってたのだろうか

それすらわからなかった

八幡「…悪い一色。変なことして」

いろは「いえ…」

八幡「…」

いろは「なんで自分がこんなことしたのかわかないって顔ですね」

八幡「…！」

いろは「さっきマフラーを買ってくれた理由に雰囲気でってのがありましたよね。案外先輩、雰囲気に流されやすいのかもですね」

八幡「雰囲気って言われてもな…」

いろは「今日はクリスマスですからね」

八幡「なんだよそれ…」

いろは「だから私も、今日はその雰囲気に流されることにします」

八幡「は？なにを…

チュッ

八幡「！？」

いろは「…今は…ほっぺで我慢します」

八幡「お前…なんでこんな…」

いろは「さあ？なんでですかね。自分で考えてください」

八幡「んな無茶な…」

いやでもそうだ

これはそういう空気になってしまったからだ

これは一時の迷いだ

今の一色だってきっと…

だから今の俺の感情だってただの

いろは「一つだけ先輩に私のことを教えときます」

八幡「？」

いろは「私のこの感情は…勘違いなんかじゃありません。偽物なんかじゃない」

いろは「先輩への気持ちは……本物です」

八幡「…っ」

いろは「さ、帰りましょうか。先輩」

八幡「本当お前って…わけわかんねえやつだな」

いろは「女の子は少しミステリアスな方がモテるんですよ♫」

八幡「一色」

いろは「はい」

八幡「悪い…少し待ってくれ」

いろは「はい…」

八幡「ちゃんと考えるから」

いろは「はい、死ぬ気でお願いします」

八幡「マジかよ」

いろは「マジです」

八幡「…わかったよ」

いろは「ほら先輩、私を家まで送るまでが先輩のお仕事ですよ」

八幡「へいへい」

いろは「それとも…このまま帰らず…2人で…」

八幡「帰るぞ今すぐ帰るぞ」ﾀﾞｯ

いろは「ちょ、なんでダッシュなんですかー！」

いろは「先輩のヘタレー！」

雪は降り続け

俺の身体はますます冷えきっていった

だが、ただ一箇所だけ

一色がキスをしてきたその頬だけは

なぜか未だに熱を帯びていた

その熱が、暖かみが、今の俺には

とても心地よかった

ｰ完ｰ