2016-03-01 12:19:05 更新

概要

高3の八幡が突如1人暮らしすることになってしまったお話
ヒロインは一色いろは
圧倒的にいろはすルート


グツグツ…コトコト…



いろは「………よし」


いろは「せんぱーい」


八幡「なんだ?」


いろは「お勉強中にすみません。シチューできたので味見お願いします」


八幡「ああ…わかった」


いろは「どうぞどうぞ」


八幡「…」コク


いろは「どうです?」


八幡「うん。美味い」


いろは「よかったです!それではご飯にしましょうか」


八幡「おう、皿出すわ」


いろは「お願いします〜」







いただきまーす!







いろは「おお…我ながらいい出来ですね。美味しいです。これは私いいお嫁さんになりますねきっと。私を嫁にもらった男は人生の勝ち組ですね」


八幡「自分褒めすぎだろ。いや美味いけどさ。マジで」


いろは「なんですか口説いてるんですか毎日俺の飯を作ってくれってことですかそれはちょっとベタすぎなんでダメですごめんなさい」


八幡「なんで今の流れでそうなるんだよ…」


いろは「……ふぅ…」


八幡「どうした?」


いろは「いえ…最近生徒会が忙しくて…。先輩手伝ってくださいよ〜」


八幡「俺は役員じゃなくて奉仕部なんで」


いろは「じゃあ依頼するんで」


八幡「どうせ雑用だろ。うちは何でも屋じゃねえ」


いろは「せんぱぁい……」キラキラ


八幡「……あざとすぎてもっと嫌になったわ」


いろは「え〜。先輩のケチ。変態。ロリコン。八幡」


八幡「さりげなく俺の名前を悪口に使うなよ」


いろは「あ、先輩。もうシチューなくなりそうですね。おかわりいります?」


八幡「ん……じゃあ頼むわ」


いろは「はい!」






高校3年生になった俺は

ついに本格的に受験生となった


そして今の季節は秋

卒業までの期間がついに半年となっていた


俺も今は勉強に励んでいる

そんな切羽詰まってる訳でもないがそれなりに今までならゴロゴロしてたであろう時間を割いて勉強をわりとマジでやっている

専業主夫希望とは言ってるが、大学にはちゃんと行こうとは考えていたからな




いろは「〜♫」


いろは「山盛り入れときますね〜」


八幡「シチューで山盛りって…おいっ、こぼすなよ」


いろは「任せてください!ギリギリを目指します!」グググ


八幡「いやなんでだよ。余計なことせんでいいから普通の量でくれ」




そんな俺は、なぜか今日、一色いろはとたわいの無い会話をしながら夕食を食べていた


いや、今日も、だな


ここ最近…1週間ほど前から

一色は俺の家に来ては毎日のようにこうして料理を作ってくれている


チョコ作りぐらいしか見たことなかったが

一色は家庭的な料理も慣れたような手つきでこなしていて最初はびっくりしたものだ

味も普通に美味い。小町の次ぐらいに美味い。



てか、なんで一色が?とかいろいろ疑問はあると思うが

とりあえず置いといて


まず、俺の家という部分

この家っていうのは比企谷家が住む家ではない


俺の、俺だけの新しい家だ


いや家賃払ってるのは親父だから正確に言うと親父の家だけど


今いるここはとあるアパート

1DKの部屋



俺は今そこで、1人暮らしをしている


なんでそんなことになっているかというと


それは今から2週間前、父に突然告げられた一言から全てが始まった






ーーーー2週間前ーーーー







父「おい八幡、お前1人暮らししてみろ」




八幡「……はい?」


父「1人暮らしだ」


八幡「俺が?」


父「お前が」


八幡「いや…俺、金ねえけど」


父「ガス代水道代もろもろ家賃は払ってやる。冷蔵庫とかも用意してやろう」


八幡「マジかよっ…!って…いやいや」


八幡「なんで今1人暮らし?」


父「俺の友人に高坂さんという人がいるんだがな」


八幡「はあ」


父「その高坂さんとこの息子さんがお前と同い年なわけだが」


八幡「ふむ」


父「いろいろあって1人暮らしすることになったらしい」


八幡「ほう」



父「だからお前もしてみろ」



八幡「あんた頭おかしいのか」


父「親に向かってなんて口の利き方だ。目の腐った分際で」


八幡「親父も腐ってるだろ…」


父「……お前、今の志望大学のレベルに少し手を焼いているようだな」


八幡「っ!……まあ……そうだな」


父「11月の初めに、お前の志望大学で模擬試験があるらしいな」


八幡「ああ。それが?」


父「A判定を取ってみせろ、そうしたら家に戻ってきてもいい」


八幡「待て待て意味わからん」


父「母さんとも話し合った結果だ」


父「1人暮らしなら誰にも邪魔されずじっくり勉強に励める。いいことだと思うがな」


八幡「いやそうだけどさ…別にこの家でも勉強は…」


父「俺もいつかは子供に旅をさせようとは思っていたんだ…。寂しいがな。子供の成長のためだ。1人暮らしはお前にとっても必ずいい経験になると思うんだ」


八幡「……それは確かに…そうかもな」


八幡「(親父も案外考えてくれてたんだな…)」


父「てかお前とかとっとと1人暮らしでもさせて俺と小町と母さんとカマクラ、3人と一匹で幸せに暮らすのが俺の今の夢だからな」


八幡「台無しだわ。追い出したいだけじゃねえか」


八幡「てか小町は1人暮らしさせないのかよ。旅させたいんだろ」


父「馬鹿野郎!!小町にそんなことさせられるか!小町はこの家の宝だぞ!!!」


八幡「そ、そうすか…」


八幡「はぁ…なんでこんなことに…」


父「なんだA判定取る自信がないのか」


八幡「……」


父「……俺としても…す、少しは…応援しているんだ。だからお前がいい大学に行きたいというなら俺も少しは協力してやるつもりだ。少しだぞ。少し」


八幡「……」ポカーン


父「なんだその顔は」


八幡「いや…正直…親父は俺の受験など興味ないかと…」


父「バカを言うな。大事なむすk………息子の進路だぞ。…あれだ。変なとこ行ったら父親の俺が恥かくだろ」


八幡「……親父」


父「なんだよ」


八幡「いやなんでもない」フフ


父「とにかく!1人暮らししろ!いいからしろ!そういう展開にしろ!話が進まん!」


八幡「わかったから。落ち着けって。やるよ。やるから1人暮らし」


父「おお、やるのかマジか。こんな無茶ぶりよくやる気になれるなお前。ノリで言ってみるもんだな」


八幡「なあそろそろキレていい?」


父「じゃあ荷物まとめろ」


八幡「は?」


父「部屋はもう用意してある。明日にはアパート行くぞ」


八幡「もう…ついていけねえ…」








そんなこんなで1人暮らしをすることになった俺

マジで無茶苦茶だけど

てか親父の友人とかいう高坂さんとこの息子さんとやらは何があって1人暮らしになったのか少し気になる

突然すぎるわこんなん



でも…1人暮らしか…


憧れてはいた。少しだけ

それに今回は親の援助があるし


勉強に関しても、確かに正直このままで大丈夫なのかと不安な状況だった

そんな時にまさかの1人暮らし


実家でやるよりは勉強に集中できる環境だろうと思う

漫画とか持っていくのはやめよう。そうすればさらに誘惑もなくせるはずだ



ま、悪い話でないな

これは


ただ一つだけ問題があるとしたら…





八幡「小町が…いねえ…辛すぎる…死んでしまう…」




ちなみにその小町はというと




小町「え?勉強のために1人暮らし?お兄ちゃんが?へー頑張ってねー」


小町「大丈夫大丈夫!お兄ちゃんと私は離れていても心は繋がっているから!あ!今の小町的にちょーポイント高い!」








ーーーーーーーー






八幡「そこは止めてくれよ…お兄ちゃん寂しいよ…」


いろは「なにボソボソ言ってるんですか?」


八幡「いやなんでもないっす…」


いろは「はい、おかわりです」


八幡「おお、ありがとう」


いろは「それで話聞いてました?」


八幡「え、なんか言ってたの?」


いろは「もう〜ですから、明日は今日の残りのシチューでいいとして…明後日はなに作りましょうかね〜って」


八幡「…」


いろは「先輩は何が食べたいですか?」


八幡「…」


いろは「…?……先輩?」


八幡「あのさ」


いろは「なんですか?」


八幡「いや……なんだ。作ってくれるのは素直にありがたいんだが…そんな毎日でなくても…」


いろは「何言ってるんですか。私が作らないとろくなもの食べないじゃないですか先輩」


八幡「いやいや俺だってな。お前に披露してないだけで料理の腕には自信があるから。専業主夫希望なめるなよ」


いろは「へえ。例えばどんなの作るんですか」


八幡「……まず肉を焼いてだな」


いろは「はい」


八幡「……それをご飯に盛り付けて」


いろは「はい」


八幡「……ス、スタミナ丼の出来上がりだ」


いろは「たいした料理の腕ですね…」


八幡「と、とにかくだ。毎日は……さすがに悪いだろ」


八幡「というかこうやって1日でも作りにきてくれてんのも申し訳ないと思ってんのに」


いろは「…別に…私は嫌ではないですよ」


八幡「いやそうは言ってもだな」


いろは「むぅ…なんですか。私の料理嫌なんですか。本当は不味いんですか」


八幡「い、いやそうじゃねえよ。マジで美味いから一色の飯は。作ってくれてすっげえ感謝してるから」


いろは「そ、そうですか…///」


いろは「…じゃあいいじゃないですか」


八幡「いやだからな。お前のプライベートな時間を。学校終わってからの自由な時間を俺なんかのために使わんでもいいってことで…」


いろは「後輩の自由な時間を少なからず奪ってる上、料理までしてもらってることが申し訳ないってことですか?」


八幡「そうそう。それだ」


いろは「だから別にいいですって言ってるじゃないですか」


八幡「いやいや…」


いろは「諦めてください。そもそも先輩が悪いんですよ」


八幡「え、俺?」


いろは「先輩です。あんなの見たらほっとける訳ないじゃないですか」






ーーーー1週間前ーーーー




八幡「寒っ…早く帰るか」


八幡「あー…買い出し…」


八幡「…まあ今度でいいか」




いろは「え………先輩?なんでこんなところにいるんですか?」




八幡「…」


いろは「…」


八幡「今日はなにを食おうかなあ…」テクテク


いろは「ええ!?無視ですか!?ちょ、待ってくださいよ!」


八幡「なんだよ…」


いろは「露骨に嫌そうな顔しないでくださいよ〜」


八幡「用はそれだけか?じゃあな」


いろは「いやまだなにも言ってませんよ!」


八幡「はぁ…」


いろは「むぅ…今日は先輩特に嫌がりますね…さすがに傷つきますよ」ウルウル


八幡「本気で傷ついてんならその嘘泣きやめろ」


いろは「あ、バレましたか」


いろは「それで、なんでこんなところにいるんですか?確か帰り道じゃないですよね?こっち側」


八幡「…」


八幡「(まあ言っても問題ないか)」


八幡「今はこっちが俺の帰り道なんだよ」


いろは「え?どういうことですか?」


八幡「いろいろあってな…1人暮らししてるんだ」


いろは「1人暮らし!?この時期にですか?」


八幡「ああ」


いろは「いつからしてたんですか?」


八幡「今日でちょうど1週間になるな」


いろは「全然知りませんでした」


八幡「言う必要ないだろ別に」


いろは「まあ…そうですけど」


いろは「いろいろって…なにがあったらそんなことになるんですか?」


八幡「それは…まあ…変な話なんだが…」



ーー

ーー



いろは「なかなかに無茶苦茶なお父様ですね…」


八幡「だよな…」


いろは「つまり模試でA判定取るまで帰れないってことですか」


八幡「そうなるな」


いろは「勉強は順調なんですか?」


八幡「まあまあ…かな。自宅でやるよりかは集中できてる気がする」


いろは「…………そういえば奉仕部のみなさんはこのこと知ってるんですか?」


八幡「いや知らない。話したのは一色が初めてだ」


いろは「そうなんですか〜………」


八幡「てかお前いつまでついて来るの」


いろは「いやこっちが私の帰り道ですし」


八幡「…やっぱそうか……」


いろは「なんですかその顔。私と帰り道一緒なのが嫌なんですか」


八幡「いやそんなことはねえけど…」


いろは「では今度から一緒に帰りますか?♫」


八幡「嫌だ」


いろは「即答ですか…」


八幡「てか1週間前からとはいえ帰り道同じなのによく会わなかったな今まで」


いろは「今日は生徒会の仕事あまりなかったので早く帰れたんです」


八幡「いつもは一色が少し俺より帰るの遅かったわけか」


いろは「朝も私わりと早い方なんで。でも今日の放課後はたまたま2人の時間が合ったみたいですね」


八幡「(今日は運が悪かったわけか…)」


いろは「なんか失礼なこと考えてませんか?」


八幡「いやなにも」


いろは「ところで先輩今はどこに住ん…


八幡「あ、着いたわ」


いろは「え、このアパートなんですか?」


八幡「おう」


いろは「びっくりですね…」


八幡「なんで?」


いろは「私の家はここから5分もかからないですよ」


八幡「マジか」


いろは「ご近所さんですね」


八幡「偶然ってあるもんだな…」


いろは「…」


八幡「じゃあ俺はここで」


いろは「んー…」


八幡「なんだよ」


いろは「先輩の1人暮らし…どんな感じか気になりますね」


八幡「いや特に変わったことはしてないが…」


いろは「…」


八幡「えっと……じゃあな」


いろは「あ、はい。また明日です」


八幡「…」テクテク


いろは「先輩!」


八幡「ん?」


いろは「先輩は何号室なんですか?」


八幡「…?………203号室だ」


いろは「そうですかわかりました。ありがとうございます。それではまた」ペコ




八幡「(…なんだったんだ?)」






〜夜〜





八幡「ふぅ…ちょっと休憩するか…飯食わないとだし」




ーーピーンポーンッ




八幡「ん?誰だ?」




ガチャ




いろは「あ、先輩。こんばんわ。さっきぶりですね」


八幡「…」スッ


いろは「閉めないでください」ガシ


八幡「なにしにきたのお前…」


いろは「お勉強中でしたか?」


八幡「いや…今は休憩中だけど」


いろは「そうですか。ご飯もう食べました?」


八幡「まだだ」


いろは「ならよかったです。これどうぞ」


八幡「なにこれ?」


いろは「煮物です。よかったら食べてください」


八幡「マジか…もらっていいの?」


いろは「はい。余り物なんで遠慮なく。おかずにでもしてください」


八幡「…ありがとう。助かるわ」


いろは「いえいえ」


八幡「本当にありがとな。じゃあまた明日…


いろは「先輩!」


八幡「な、なんだよ」


いろは「寒いです」


八幡「そうだな夜は特に冷え込むからな。早く帰った方がいい…


いろは「寒すぎて寒すぎてこのままでは帰れませんね」


八幡「えっ」


いろは「…熱いお茶でも一杯飲めれば帰れるかもしれませんね」


八幡「いやあの」


いろは「はぁ…凍えてしまいそうです…どこかで熱いお茶でも飲めないものですかね〜」


八幡「…」


いろは「ね〜!」


八幡「…えっと……上がってくか?茶ぐらいなら…」


いろは「え、いいんですか!すみせん先輩。気遣わせてしまって!ありがとうございます!!お邪魔します!」


八幡「はぁ…なんなんだよ…」












八幡「ほれお茶だ」


いろは「ありがとうございます」キョロキョロ


八幡「んなキョロキョロしてもなんもねえぞここは」


いろは「案外綺麗にしてるんですね。もっと散らかってるかと思いました」


八幡「そんなに物置いてないしな」


八幡「それ飲んだら帰れよ」


いろは「もう、そんな追い出そうとしなくていいじゃないですか」


八幡「いや…あまり良くないだろ」


いろは「なにがです?」


八幡「1人暮らしの男の家に女1人で入るなんて。しかも夜だし」


いろは「え、先輩。私に何かする気でなんですか?」サッ


八幡「バカ。しねえよ」


いろは「じゃあいいじゃないですか」


八幡「はぁ…」


いろは「あ、先輩。ご飯まだだったんですよね。どうぞ私のことは気になさらず食べてください」


八幡「…そうだな。腹へったし。そうさせてもらうわ」


いろは「先輩はどんな料理するんですかね〜」




チーン




八幡「よし」


いろは「…」


八幡「いただきます」


いろは「…」


八幡「おお、美味いなこの煮物」


いろは「あの、先輩」


八幡「なんだ?煮物美味いぞ」


いろは「ありがとうございます!…っていえそうではなくて…」


八幡「なんだよ」


いろは「煮物しか見当たらないんですが他はないんですか?」


八幡「ああ」


いろは「量足らなくないですかそれだけじゃ」


八幡「いやまあ足りないけど…いいよ別に」


いろは「ダメですよ!ちゃんと食べませんと」


いろは「…まさかいつもそんな食事してる訳ではないですよね?」


八幡「…」


いろは「…」


いろは「…先輩。冷蔵庫の中見てもいいですか」


八幡「………ダメだ」


いろは「失礼します」バッ


八幡「あっ」


いろは「なっ………なんですかこれ……」


いろは「スッカラカンじゃないですか!」


八幡「いや少しはあるだろ。少しは」


いろは「マックスコーヒーの缶しかないじゃないですか…というかなんでそれだけあるんですか…」


八幡「か、買い出しするの忘れてたんだよ」


いろは「とか言ってめんどくさがって行かなかったんじゃないですか?」


八幡「…」


いろは「今日とか私が煮物持って来なかったらどうしてたんですか…」


八幡「コンビニ弁当でも買おうかと」


いろは「まさか昨日もですか」


八幡「いや弁当じゃない」


いろは「あ、では昨日はちゃんと作っ…」


八幡「昨日はカップラーメンだ」


いろは「…」


八幡「あの…目が怖いんだけど…」


いろは「はぁ…栄養バランス悪いですよそんな生活では…」


八幡「1日目、2日目あたりはわりと頑張って自分で作ってたんだけどな」


いろは「つまりそれ以降はろくな食事してないわけですね…」


八幡「でも勉強もあるし」


いろは「食事を疎かにしてたら肝心なところで体調崩すかもしれないじゃないですか」


八幡「それは…」


八幡「…まあ」


いろは「…とにかく」プルプル


八幡「い、一色?」






いろは「こんなんじゃダメです!!!!」







ーーーーーーーー




いろは「あんな生活見せられてはほっとけるわけありません」


八幡「あん時の一色怖かったわあ…」




あの後、無理矢理スーパーに買い出しに行かされ

その日はなぜか一色が料理してくれた


それからだ


一色はそれから1週間、毎日のようにうちに飯を作りに来るようになった

俺も最初は反抗してたんだが…


一色の頑固さには本当に困ったものだ




いろは「つまりこの状況は先輩のせいなんです。ということで諦めてください」





一色はこんなにお人好しな人間だったろうか

そうは見えなかったが




いろは「…後はあれですよ。私も先輩の受験は応援してるんです」


いろは「だから少しでも手助けできるならしたいんですよ」


八幡「そ、そうか…」



いろは「まあ先輩じゃないとこんなことしませんけどね…」ボソ


八幡「え?」






ピーンポーン…






八幡「ん?」


いろは「お客さんですかね?」


八幡「…」ジー


いろは「え、なんですか。こっち向いて」


八幡「ちょっとこっちこい」ガシ


いろは「きゃっ!な、なんですかなにする気ですか!ちょっとそういうのはまだ心の準備がっ…





ドタバタドタバタ……




八幡「よし」




ピーンポーン…




八幡「はいはい」



ガチャ




小町「やっほー!お兄ちゃん!お兄ちゃんの愛する世界一可愛い妹の小町だよー!」


八幡「うわあ…」


八幡「(なんか嫌な予感したんだが…的中したな…)」


小町「むっ!なにその反応!お兄ちゃんポイント低いよ!」


八幡「あ、ああ。すまん」


八幡「(俺が引っ越してから今までこっちには来なかったくせになんで今日に…しかもこの時間に来るんだ妹よ…正直最悪なタイミングだぞ…)」


小町「なんかドア開く前にドタバタ聞こえてたけどどうかしたの?」


八幡「えっ、い、いやなにもないぞ」


小町「ならいいけど」


八幡「…」


小町「…」


八幡「…」


小町「あのお兄ちゃん」


八幡「な、なんだ」


小町「部屋入れてよ」


八幡「あ、いや…その…今はちょっと…そのマズイといいますか…」ボソボソ


小町「なにボソボソ言ってんのさ。早く入れてよ」スッ


八幡「ああっ待った!今散らかってるから!」


小町「は?お兄ちゃんちゃんと片付けとかしてないの?それはダメだよ!手伝ってあげるから今から片付けよ」ダッ


八幡「あ、ちょ、待っ…





〜押入れの中〜



いろは「(なるほど…妹さんですか)」


いろは「(これは隠れといた方がいい感じですね)」





小町「あれ?片付いてるじゃん」


八幡「そ、そうだな」


八幡「(くっ…さすがに止めれなかったか…)」


小町「あっ、ご飯中だったんだ」


八幡「あ、ああ」


八幡「(でも一色はとりあえず押入れに隠したし、靴も隠した、このままやり過ごそう…)」


八幡「(こんな時間に後輩の女子を家にあげてることがまずヤバいのに、あまつさえご飯を作ってもらったなんて口が裂けても言えない)」


小町「へーなんだお兄ちゃん。ちゃんとした料理作れたんだね」


八幡「おいおい俺は専業主夫希望だぞ。こ、これぐらい普通だって…」


小町「あれ?」


八幡「なんだ?」


小町「なんで……テーブルに2人分あるの?」


八幡「あっ…」


いろは「(あっ…)」


小町「なんで?」


八幡「た、食べ盛りだからな」


小町「1人で食べるにしてもお箸は1膳でいいでしょ。なんで2膳あるの?」


八幡「こ、小町にも食べてもらおうかと…」


小町「でもこれ作る時は小町が来ること知らなかったでしょ」


八幡「くっ…」


小町「そういえば…」クンクン


八幡「な、なんだよ」


小町「この部屋…お兄ちゃんの匂いはもちろんだけどそれと別になんかいい匂いがするような…」クンクン


八幡「犬かよお前は…き、気のせいだろ」


小町「いや絶対これはお兄ちゃんだけの匂いじゃないよ。だって自宅のお兄ちゃんの部屋はもっと臭いもん」


八幡「え、マジ?臭いの?小町いつもそう思ってたの?お兄ちゃん泣きそうなんだけど」


小町「ねえお兄ちゃん?」


八幡「は、はい」


小町「なんか隠してない?」


八幡「いえなにも」


小町「ふーん………」


八幡「あ、あの…来てくれたの嬉しいが、この後勉強もあるし、今日はこのへんで…




小町「…」


小町「…」チラ


小町「あそこが怪しいな」スッ



八幡「あ、押入れは…


いろは「(ええ!?こっち来てるよやば…



ガラガラッ




小町「……なっ……なっ………」


いろは「あ…えっと……あははは……」


いろは「こ、こんばんわ」ニコ




八幡「(はぁ…結局こうなるのか…)」











小町「初めまして。1年の比企谷小町です!小町と呼んでください!」


いろは「初めまして小町ちゃん。私は2年の…


小町「一色さんですよね!」ズイ


いろは「そ、そうだよ。よくわかったね」


小町「わかりますよ!総武の美少女生徒会長、一色いろは先輩といえば私の中で有名ですから」


いろは「先輩、妹さんを私にください」


八幡「ダメに決まってんだろ。籠絡されるの早すぎだろ。生徒会長なんだから生徒は知ってて当たり前だ」


いろは「先輩にご兄妹がいるのは聞いてましたがすごい可愛いですね」


八幡「当たり前だ小町は世界一可愛いんだから」


いろは「うわっシスコンですね」


八幡「違うわ」


いろは「本当に先輩の妹なんですか?納得いかないです。先輩にはもったいないです」


八幡「さっきから失礼だなお前…。よく見ろそっくりだろ」


いろは「その目でよく言えましたね」


八幡「…か、髪型とか」


いろは「ああ…まあ確かに…」


小町「お兄ちゃんと仲いいんですね」


いろは「え?…あー…うん。そうだね。すごく仲いいよ。先輩と私はいわゆる知り合いだね」


八幡「それは仲がいいのか…」


小町「ふんふむ…なるほどなるほど…」


小町「よし、じゃあお兄ちゃん。本題に入ろうか。ちゃんと正座して」


八幡「(あ、やっぱ逃げれませんか)」


八幡「…は、はい」正座


小町「いや〜…まさか1人暮らしを始めた瞬間、女の子を家に連れ込むなんてさすがの小町も言葉が出ませんでしたよ」


八幡「いやいや誤解だから…」


小町「しかもこのご飯は一色先輩が作ったらしいし。家に連れ込みご飯まで作らせたんだね」


八幡「だから連れ込んだわけじゃ…ご飯はそうだけど…」


小町「いつから作ってもらってたの?勘だけど今日だけじゃないよね?」


八幡「……1週間前から」


小町「うわあ…」


小町「いやいやお兄ちゃんには恐れ入ったよ。まさか後輩の女の子に通い妻させるなんて」


いろは「か、かよ…///」


八幡「人聞き悪い言い方するなよ…」


小町「お兄ちゃんちゃんと勉強やってるの?実はこの1人暮らしって状況を利用して一色先輩となにかやましい事…」


八幡「やってねえよっ。あ、いや勉強はやってるぞ。一色はご飯作りに来るだけだ。やましい事なんてやってないわ」


いろは「本当だよ小町ちゃん。それだけだよ」


小町「よかった…お兄ちゃんが本当のゴミいちゃんになっちゃったのかと思ったよ」


八幡「その…親父には言わないでくれ」


小町「まあややこしくなりそうだから言わないけど…そもそもなんでこんなことになってるの?」


八幡「それは…」


いろは「かくかくしかじかで…」



ーー

ーー



小町「なるほど…。お兄ちゃんダメダメだね〜」


八幡「くっ…」


小町「一色先輩。すみませんでした。うちの兄が迷惑をかけて……」


いろは「あ、いいよいいよ私は好きでやっ…め、迷惑だなんて思ってないから」


小町「食事の面もそうですし、いろいろと心配だったから私もお兄ちゃんのサポートをしに行こうとは考えてたんですが…」


小町「このアパートが自宅からだとわりと遠くてなかなか行けなかったんですよね…」


小町「でもどうしても心配だったから今日は頑張ってここまで来たんだけど」


小町「まさか女の子を連れ込んでるなんてたまげたなぁ」


八幡「だから連れ込んでねえってば…」


小町「来てみてわかったけどやっぱり毎日ここに通うのは難しいね」


小町「うーん………」チラ


いろは「?」


小町「一色先輩」


いろは「なに?」


小町「本当にほんとーにお兄ちゃんのこと迷惑じゃないですか?」


いろは「うん」


小町「では…良ければこれからもお兄ちゃんのサポートお願いしてもいいでしょうか?模試終わるまででもいいので」


八幡「え」


いろは「いいよ」


八幡「ちょ」


いろは「妹さんに頼まれては仕方ありませんね。ええ仕方ありません」


八幡「いや嫌だったら正直に…」




いろは「私が先輩をお世話してあげます」



八幡「そうなるのか…」


小町「これで安心できるよお兄ちゃん。一色先輩、不束な兄ですがよろしくお願いします」


八幡「(もう俺の意見聞く気ねえなこれ)」


いろは「これからよろしくお願いしますね♫」


小町「よかったねお兄ちゃん!」









八幡「はぁ…わかったよ」


八幡「一色、迷惑かけるが…その…よろしく頼む」




いろは「はい♫」




…………


………


……






一色「では今日は私はこれで」


八幡「おう。気をつけて帰れよ」


小町「お兄ちゃん送ってあげなよ」


一色「大丈夫だよ。うちはすぐそこだから」


小町「そうですか…?…今日はありがとうございました!」


一色「ううん。こちらこそありがとう」


小町「一色先輩」


一色「ん?」


小町「頑張ってくださいね。応援してます」ニヤニヤ


一色「え…?……あっ…///」


八幡「?」


一色「お、お二人ともおやすみです!」ダッ


八幡「お、おう。おやすみ」


小町「おやすみなさーい!」




ドア バタンッ




八幡「あ、そうだ小町」


小町「ん?」


八幡「一色にもさっき言っておいたんだが」


八幡「周りにこのこと言うなよ。クラスとか」


小町「言わないよ。てか別に小町の日常にお兄ちゃんの話題なんて出てこないし」


八幡「そ、そうですか…」


小町「一色先輩のため?」


八幡「ああ。1人暮らしの男の家に毎日通うってだけでヤバいのに、あいつは生徒会長だ。バレたらいろいろめんどくさいことになる」


小町「確かにね…。うん。絶対言わないよ。奉仕部のみなさんにも言ってないの?」


八幡「言ってないな。別に言わんでいいだろ」


小町「まあその方が平和かもね〜」


八幡「平和?」


小町「いやなんでも」


八幡「はぁ…まったく…変なことになったなあ…」


小町「お兄ちゃんがちゃんと生活してればこんなことにはならなかったけどね」


八幡「そもそも一人暮らしさせられなければ…」


小町「それは言っても仕方ないね~」


八幡「料理勉強するか…」


小町「今は大学の勉強してよ」


八幡「そうだったな…」


小町「最初はびっくりしたけど。一色先輩いい人でよかったよ」


八幡「まああいつがあんなにお人好しだとは思わなかったな」


小町「はぁ……ゴミだねお兄ちゃん…」


八幡「え、なんで貶されたの俺」


小町「とにかく本当によかったよ。もし……ただただお兄ちゃんの受験に邪魔になるようなことをしてたんなら…」


小町「小町ちょっと怒ったかも」


八幡「…」


小町「でも一色先輩はちゃんとお兄ちゃんのこと応援してくれてるみたいだし!それでお世話までしてくれるって!これは一色先輩いいお嫁さんになるよ!頑張ってね!お兄ちゃん」


八幡「なにをだよ」


小町「さ、お兄ちゃん。そろそろ勉強して!小町は静かにしてるから!」


八幡「ああ…ってかお前今日どうすんの?」


小町「泊まるよ。明日休みだし」


八幡「そうか。わかった」




なんかいろいろおかしなことになったが

今俺がやるべきことはとにかく勉強することだ

それは変わらない



八幡「ふぅ…勉強するか…」


小町「後で夜食作ってあげるね」


八幡「マジかよ…。超やる気出てきた」



絶対A判定取ってやる

情けない結果だしたらそれこそ一色に申し訳が立たないしな




……………


………


……







八幡「なんかいい匂いするな…」




あのお世話してあげます宣言から数日が経った

一色はその言葉通り本当に毎日のように俺の身の回りのことをしてくれていた


さすがの俺も今の生活を日常として慣れてきた


それにしても本当に一色には感謝するばかりだ

マジでもう頭上がらんわ




ガチャッ




いろは「あ、先輩!おかえりなさいです♫」パタパタ



1人暮らしを始めた最初の頃は、誰かにおかえりと言われることもなければ、ただいまと言って返ってくる声もなかったのにな


それがまさかスリッパをパタパタ言わせながら、ピンク色のエプロンをした後輩の女の子が笑顔で玄関までやってきて「おかえり」なんて言ってくる日がくるなんて

想像できるわけがない


でもこれは紛れもなく現実であり

これが今の俺の日常なんだ



八幡「おう……ただいま」


いろは「カバン持ちますよ」


八幡「すまん」


八幡「今日は早かったんだな」


いろは「はい、他の役員たちに任せてきました」


八幡「いいのかそれで…」


いろは「自分の仕事はちゃんとやりましたよ〜それなりに」


八幡「ならいいけどよ…」


いろは「早いと言っても私もさっき帰ってきたんですけどね」


八幡「そうなのか」


いろは「それで先輩、ご飯まだまだなんでちょっと早いかもですがお風呂入りますか?お湯はもう入れときましたよ」


八幡「んー、じゃあ入るわ」


いろは「りょーかいです!」










八幡「ふぅ…あったまったな」


いろは「すみません先輩。ご飯もうちょっと時間かかります〜」


八幡「そうか。じゃあ勉強してるわ」


いろは「わかりました!」


八幡「今日はなんの科目やろうかな…」





〜数十分後〜





いろは「お待たせしました先輩」


八幡「……」ブツブツ


いろは「先輩?せーんぱーいってば」


八幡「んあ?なんだ?」


いろは「ご飯できましたよ」


八幡「おお、そうか。わかった」


いろは「すごい集中してましたね」


八幡「苦手科目やってたからな…。ガチでやらないとわかんねえんだよな本当に」


いろは「声かけない方が良かったですかね…別にご飯は後でも…」


八幡「いや気にすんなって。腹減ってちゃ集中力が持続しないしな。今日は食べてくのか?」


いろは「はい!一緒に食べましょう!」











いただきまーす!




八幡「美味えな…この肉じゃが…」


いろは「ほ、本当ですか!それ自信作なんですよ」


八幡「ああ、これは自信持っていい。マジで」


いろは「…///」


八幡「そうだ一色………一色?」


いろは「……えっ、な、なんですか?」


八幡「どうしたんだ顔赤いぞ」


いろは「き、気のせいですよ!それよりどうしたんですか?」


八幡「ああ…今更なんだが…」


八幡「いつもご両親にはなんて言ってここに来てるんだ?」


いろは「すごい今更ですね…」



一色は毎日ここに来ては夜21時ぐらいまでいることがある

早い時でも19〜20時ぐらいだ


一応ここに来る前に一度帰ってるらしいが

また出かけて帰ってくるのがそんな時間ではさすがに親も黙ってはいないだろう

それが毎日だしな



いろは「ちゃんとしばらく比企谷八幡っていう男の先輩のお世話をするからって言ってありますよ」


八幡「えっ」


いろは「だから大丈夫ですよ」


八幡「いや言ってることは本当だが大丈夫じゃない全然大丈夫じゃないそれは」


いろは「?」


八幡「え?それを父親とかに言ったの?男の先輩とか言ったの?」


いろは「はい。そしたらお父さん急に灰皿持って立ち上がって、ちょっとそいつ呼んでこい…とかなんとか…」


いろは「あ、先輩。今度うち来ます?」


八幡「行くわけないだろ!今の話聞いて!」


八幡「てかマジやばい…殺される」


いろは「くくっ…」


八幡「…?…何笑って…」


いろは「冗談に決まってるじゃないですか(笑)」


八幡「お、お前なあ…」ハア


いろは「先輩、汗がすごいことになってましたね」


八幡「そりゃそうだろ…」


いろは「親にはうまいこと誤魔化してますよ。正直に言えるわけないですし」


八幡「そ、そうか」


いろは「もしお父さんに知られたら本当に灰皿持ちそうですね」


八幡「冗談にならんぞ…」


いろは「でもいくら誤魔化してもさすがに夜ご飯は毎日こっちで食べるなんてことはできませんけど」


八幡「それはそうだろうな…」




娘が突然、当分夜ご飯はいらないなんて言い出したら母親もびっくりだろうしな


今、一色はその日の気分で決めているのか、うちで食べる日と自宅で食べる日がある




いろは「でもできるだけこっちで食べたいですね。自分が作ったものですし。味が大丈夫か心配ですし」


八幡「料理は文句のつけようがないけどな」


いろは「いいじゃないですか先輩からしたらこんなに可愛い女の子と一緒に食べれるなんて最高ですよね」


八幡「ですよねって言われても。別に俺は1人でも…」


いろは「むっ、私よりぼっちを選ぶって言うんですか!そんなにぼっちが好きなんですか!このぼっち先輩!」


八幡「いやそこまで言ってねえよ。その呼び方やめろ」


いろは「では私と食べてて楽しいですか?」


八幡「…」


八幡「…………まあ」


いろは「そうですかそうですか楽しいですか!仕方ありませんね!これからも1人で寂しい先輩のために時々一緒に食べてあげます!」


八幡「いや嫌ならいいんだぞ」


いろは「嫌じゃないですよ!だって私も先輩と食べれて幸せ…あっ」


八幡「え?」


いろは「なんでもないです」


八幡「いや今、幸せって…」


いろは「なんでもないですっていってるじゃないですか。あんまりしつこいと明日の先輩のおかず全部にわさび山盛り入れますよ」


八幡「お、おう。すまん。てか酷すぎだろそれ…」


いろは「とにかく親に心配かけないようにはちゃんとしてますから。安心してください」


八幡「そうか…。わかった」


いろは「さ、食べましょう!おかわりもありますからね!肉じゃがとか!」


八幡「じゃあおかわりしようかな」


いろは「はい♫」


いろは「山盛り入れますね!」グググ


八幡「だからそんな皿ギリギリにするな。溢れるだろうが…」






…………


………


……








ピッ


ガタン




八幡「やっぱマッ缶だよな」





今日は土曜日

休日だ


いつもなら家で存分にゴロゴロしまくるところだが


今日も今日とて勉強勉強、そして勉強だ


今はちょっと休憩がてらマッ缶を買いにアパートから徒歩10分ぐらいにある自販機にやって来ている


そんなにずっと鉛筆握れるほどの集中力は持ってないからな


一色は今日は暇らしく、昼前からうちに来た


今は留守番してもらっている





八幡「自販機、アパートの目の前にできねえかな…」



マッ缶のみの自販機とかできたらもう一生ここに住むのに





ガチャ




八幡「ただいま」


いろは「ひゃあっ!?」サッ


八幡「えっ…なんだよ…」


いろは「い、いえ!な、なななんでもないでございますよ!///」


八幡「口調がおかしいぞ…。顔も真っ赤だしどうかしたのか」


いろは「だ、だから!なんでもないですってば!」


八幡「ならいいけど…」


いろは「…///」


八幡「あ、洗濯物……たたんでくれてたのか」


いろは「えっ!?あ、は、はい。なんだか雨降りそうでしたし、乾いてたので」


八幡「悪いな…後は俺がやるよ」


いろは「いいですよ!私がやります!」


八幡「いやでも洗濯物はさすがに…お前も嫌だろ。男物だし」


いろは「だ、大丈夫です。お父さんのだってよくたたみますから」


八幡「そうなのか」


いろは「はい!だから先輩は勉強続けてください!さあ!どうぞどうぞ!」


八幡「…」


いろは「せ、先輩?どうかしました?」


八幡「いや…気になってたんだが…」


八幡「なんでずっと両手を後ろにやってるんだ。すげえ不自然だぞ」


いろは「え……こ、これは…えっと特に意味は…」


八幡「てか俺が帰ってきた時になにか隠さなかったか?」


いろは「か、かかかか隠してないですよ何も!」


八幡「いや怪しすぎるわ」バッ


いろは「あっ」


八幡「!?」


いろは「……」


八幡「お、お前…」


いろは「…」


八幡「なんで……俺のパンツ握りしめてんの?」


いろは「ち、違うんですよ!たたんでたら先輩のパンツが出てきて!いや当たり前なんですけどさすがにちょっとたたむのに戸惑っていたら先輩が急に帰ってくるから驚いて隠しちゃったんです!」


八幡「なんでそこで隠すんだよ…」


いろは「だから私は決して先輩のパンツで何かしたりなんかしてませんよ!」


八幡「な、何かしたりって…俺のパンツでたたむ以外何かすることあるのか」


いろは「そ、それは…匂いを嗅いだりとか……って何言わせるんですか!最低!変態!///」


八幡「お前が勝手に言ったんだろ…」


いろは「とにかく先輩のパンツなんか興味ありませんから私!全然パンツなんか興味ないですから!パンツなんか…」


八幡「わかった。わかったから。落ち着けって。めっちゃパンツ言ってるぞお前」


いろは「わ、わかればいいんです」ハアハア


八幡「やっぱ変われって。後は自分でたたむから」


いろは「いえ、ここまできたら私が責任を持ってやります」


八幡「いやでも…」


いろは「お父さんのをたたんでるとでも思えば本当に大丈夫ですから。先輩の下着だってゴミだと思えば楽勝です」


八幡「それは酷くないですかね」


いろは「それに私はここに先輩をお世話をするために来てるんですから。少しでも先輩が勉強できるよう私がやります」


八幡「…そこまで言うなら…わかったよ。悪いが頼む」


いろは「任せてください」


八幡「じゃあ勉強するか」


いろは「先輩」


八幡「ん?」


いろは「ほ、本当に興味ないですからね!」


八幡「わかったってば…」












〜夕方〜




グツグツ…



いろは「ふんふ〜ん♫」


八幡「…」ジー


いろは「ふふ〜ん♫」


八幡「…」ジー


いろは「ふ、ふ〜ん♫」


八幡「……」ジー


いろは「…」


八幡「…」ジー


いろは「あの…先輩」


八幡「んあ?なんだ」


いろは「いえあの…そんなに見られてては料理しにくいんですが」


八幡「え、そんな見てたか俺」


いろは「見てましたよ気持ち悪いぐらい見てましたよ」


八幡「そ、そうか…」


いろは「もう!ちゃんと勉強しないとダメですよ!」


八幡「一色ってエプロンがすげえ様になってるよな」


いろは「えっ!?なんですか急に」


八幡「すげえ似合ってる…可愛いよ…一色可愛いよ」


いろは「ななっ!?///な、なんですかそれく、口説いてるんですか///ちょっと直球すぎると言いますか…その…あう…///


八幡「ああうんうん口説いてる口説いてる…」


いろは「…」


八幡「…」


いろは「先輩、本当に口説いてるんですか?」


八幡「………え、俺なんか言ったか?」


いろは「先輩もしかして…」


八幡「ああ…マッ缶の風呂入りてえなあ…」


いろは「やっぱり……軽く現実逃避してますねこれ…」


いろは「先輩!戻ってきてください。そんなおぞましいお風呂あるわけないじゃないですか」


八幡「むぅ…そうだよな…ないよな…ハア…」


いろは「先輩でも現実逃避とかするんですね」


八幡「受験だしな…したくもなるわ…」


いろは「今日は勉強やめといたらどうですか?」


八幡「いや…もうちょっとやるよ」


いろは「大丈夫なんですか…?本当に」


八幡「ああ。大丈夫だ」


八幡「一色」


いろは「なんですか?」


八幡「心配してくれてありがとな」


いろは「べ、別に私は…///」


八幡「……ん?エプロンになんかついてるぞ」


いろは「え?どこですか」


八幡「ここに………なんだ糸くずか。取れたぞ」


いろは「ありがとうございます」


八幡「よく見たらけっこう使い込んでるなそのエプロン。買い変えたりしないのか?」


いろは「ああ…なんか愛着湧いてなかなか…」


八幡「そんないいのかそれ」


いろは「はい。これすっごく気に入ってるんです♫可愛いくないですか?というかさっき可愛いって言ってくれま…」クルクル フリフリ


八幡「可愛いというかあざいといな…」


いろは「さっきと感想違うじゃないですかあ〜!」


八幡「俺なんか言ったか?」


いろは「本当に大丈夫ですか先輩…」


八幡「まあ…普通に似合ってんじゃねえの」


いろは「なんかもうグダグダですけど……あ、ありがとうございます///」


八幡「さて勉強するか。ちょっと休憩できたし」


八幡「ってご飯もうできるか?」


いろは「もうちょっとかかりますね。勉強してても大丈夫ですよ」


八幡「わかった」


いろは「先輩…」


八幡「なんだ?」


いろは「受験生に気軽に言えることじゃないですけど…」


いろは「頑張ってください。でも無理だけはしないでください…」


八幡「…ああ」


八幡「ありがとう。気をつけるよ」





…………


………


……







〜次の日〜




今日は日曜日


今日も変わらず朝から勉強だ




ガチャ




いろは「先輩。おはようございます」


八幡「おう。おはよう」


いろは「今日はいい天気ですね〜。洗濯物もよく乾きますよ!」


八幡「なあ一色。こんな朝早く来なくても…土日なんだからお前ももっと自由に…」


いろは「どうせ暇ですから」


八幡「そうか…」


いろは「そんなことより…たぶんですが…」


八幡「なんだ?」


いろは「あ〜やっぱり。もう食材ないですね。買い出し行かないとです」


八幡「ああ。じゃあ買いに行くか」


いろは「え、いいですよ。先輩は勉強しててください」


八幡「金は俺が出さないといけないし、それに…」


いろは「お金だけ渡してもらえれば行ってきますよ。心配しなくてもお金取ったりなんかしませんよ」


八幡「違う違う。そうじゃない」


八幡「買い出しとなると量あるし、金だけ渡して女子1人で行かせたら小町に殴られるわ。荷物持ちいた方がいいだろ?」


いろは「それは…そうですけど」


八幡「よし、じゃあ行くぞ」


いろは「あ、先輩待ってくださいよ〜」









〜とあるスーパー〜






いろは「キャベツとにんじんと…」


八幡「肉はこれでいいか?」


いろは「あ、はい。ありがとうございます」


八幡「後はなんかあるか?」


いろは「うーん。あ、牛乳買っときましょうか」


八幡「そうだな」


いろは「うーんと……」


八幡「なに迷ってんだ」


いろは「いやこの前すごくおいしい牛乳見つけたんですよ!それ買いたいんですけど…どれだったかな…」


八幡「いや牛乳なんかどれでもいいだろ…」


いろは「いや本当にあの牛乳だけは他とは違うんですよ!絶対あるはずですからもうちょっと探させてください」


八幡「はあ…じゃあちょっとその辺歩いてるぞ」


いろは「わかりました」







〜数分後〜







八幡「あいつまだ探してんのか?…まったく」


八幡「なんか菓子でも買おうかなあ」




結衣「あ、ヒッキー!?ヒッキーじゃん!やっはろー!」



八幡「えっ?」



いろは「せーんぱーい!!ありましたよ!これですこれ!この牛乳がおいしいんですよ〜!」



結衣「えっ?」


いろは「えっ?」




八幡「(あ、ヤバいわこれ)」





いろは「ゆ、結衣先輩……こ、こんにちわです」


結衣「あ、う、うん。ヤッハロー…」


八幡「(すっげえ棒のやっはろーだな…)」


結衣「えっ…と、な、なんでいろはちゃんが?ヒッキーと?ふ、2人で来たの?」


いろは「いやこれは…」


八幡「…………」


いろは「(どうしましょうこれ…)」


八幡「(めんどくさいことになったな…)」


いろは「(正直に言います?)」


八幡「(………いやここは誤魔化そう)」


いろは「(どうやってですか?)」




結衣「(な、なにあれ。なんか2人がこしょこょ話してるよ…)」




八幡「お、おお。偶然だな。一色。こんな所で会うなんて」


いろは「えっ?あ………そ、そうですね!偶然ですね!」


結衣「え、偶然なの?さっきいろはちゃんが笑顔でヒッキーのところに牛乳持ってきてたように見えたけど」


八幡「気のせいだ」


いろは「気のせいですよ」


結衣「息ピッタリだね…」


いろは「これは私の牛乳です」


八幡「俺、牛乳とか超嫌いだから」


結衣「そ、そうなんだ…」


八幡「じゃ、じゃあ俺はこれで」


いろは「あ、私もこれで…」スッ


結衣「え?いろはちゃん、なんでヒッキーの買い物カゴに牛乳入れるの?自分のなんだよね?」


いろは「あっ」


八幡「(このバカなにやってんだ)」


いろは「(すみません…)」


いろは「えっと…」


いろは「………せ、せんぱぁい!せっかくですから奢ってくださいよ〜」


八幡「(なるほど)」


八幡「…し、仕方ないな。買ってやるよ」


結衣「あ、なんだそういうことか〜。それにしても相変わらずヒッキーはいろはちゃんに甘いね〜」


八幡「た、たまにはな…」


結衣「ヒッキーけっこう買うんだね」


八幡「ああ、まあな。由比ヶ浜は…夕食のか?」


結衣「うん!今日は鍋にするんだって!」


八幡「鍋か…最近寒いしな…」


結衣「ヒッキーんとこは何にするの?」


八幡「俺んとこは…今日は何にするんだ?一色」


いろは「ちょっ、せんぱっ…!」


八幡「ん?」


結衣「ひ、ヒッキー?なんでいろはちゃんに夕食の献立聞くの?」


八幡「あっ」


いろは「(なにやってんですか…)」


八幡「(すまん…)」


結衣「なんか…今日の2人おかしくない?」ジト


八幡「おかしくねえよ」プイ


いろは「おかしくなんてないですよ」プイ


結衣「2人して目合わせてくれないし…」


八幡「ああもうこんな時間か。帰らないとな。じゃあな由比ヶ浜」


結衣「え、う、うん。じゃあね」


いろは「私も帰りますね。また明日学校で会いましょう!由比ヶ浜先輩!」


結衣「うん…」


結衣「ねえ、並んで歩いてるけど一緒に帰るの?」


八幡「」バッ


いろは「」バッ


八幡「じゃあな一色」


いろは「はい。また明日です先輩」







結衣「むー……怪しい……怪しすぎる…」














八幡「危ねえ…」


いろは「私達って嘘下手ですね…」


八幡「正直に2人で買い出しに来たなんて言えばそのままま一人暮らしの話になりそうだし、さらに一色に世話してもらってる話にもなりかねん。んなこと言えるわけがないわ」


いろは「でも結局、結衣先輩は完全に怪しんでましたね」


八幡「だよな…明日が怖いわ…」








……………


………


……







ー 翌日 放課後 ー




〜部室〜




奉仕部は今日も活動を行っていた

だが依頼などめったに来ることはない

受験生の俺たちにとっては今は奉仕部活動もただの自主勉の時間となっていた





結衣「ゆきのん聞いてよ!ヒッキーが昨日かくかくしかじか!」


雪乃「なるほど、それは気になるわね」


八幡「(今のでわかんのかよ)」


結衣「ね!怪しいでしょ!」


八幡「なんでそんな疑うんだよ…一色とはお前と同じであそこでは偶然会っただけだって言ってるだろ」


結衣「…いやまあそれもだけどそこじゃなくてさ…」ジトー


八幡「な、なんだ」


結衣「……ねえ、ヒッキーって最近ますますいろはちゃんと仲よくなってるよね」


八幡「え、そうか?急になんだよ」


結衣「部室にいろはちゃんが時々来るけどさ。最近、2人が会話してる時って…なんかこう…なんて言うんだろ…いい雰囲気というか」


雪乃「確かに今までとは違う不思議な雰囲気があるわね。最近のあなたたち」


八幡「んなこと言われてもな…普通だと思うが…」


結衣「ヒッキー…いろはちゃんと何かあったの?」


八幡「なにかってなんだよ」


結衣「そ、それは……つ、つつ付き合っ……る……とか…」


八幡「つきあ?なに?」


結衣「な、なんでもないし!」


八幡「なんなんだよ…」


雪乃「とにかくあなたたち2人の間に何か変化があったんじゃないかしら?そうでないとあんな雰囲気は出せないと思うわ」


八幡「さっきからその雰囲気ってなんだよ」


雪乃「難しいわね…なんというか…とにかく妙に仲が良すぎるのよ。ただ仲がいいというのとはまた違って」


八幡「なんだそれ…」


結衣「そうだね。仲の良さが兄妹?じゃないけど…なんていうかもう一緒に暮らしてるんじゃないかってほどの…」


八幡「ゴホッ!ゴホッゴホッ!」


結衣「ちょ、どうしたのヒッキー!?」


八幡「な、なんでもない」


八幡「お前らの勘違いだ。別に俺と一色の間にはなんもねえよ。てかあるわけないだろ」


雪乃「そうかしら…」


結衣「うーん…でもなあ…」


八幡「そ、それよりもう下校時間になるぞ」


雪乃「あら……では今日の部活はここまでにしましょうか」


結衣「はーい」


八幡「(一応…乗り切ったか…)」






……………


………


……







〜夕食〜





いろは「せんぱ…


八幡「ほい、醤油」


いろは「ありがとうございます」


八幡「し


いろは「はい、塩胡椒です」


八幡「すまん」


いろは「お茶もいります?」


八幡「頼むわ」


いろは「はい」トポトポ


八幡「……」


いろは「先輩…?何か美味しくなかったですか…?」


八幡「あ、すまん。違うそうじゃない」


いろは「どうかしたんですか?」


八幡「いや今日、由比ヶ浜たちにいろいろ聞かれてな」


いろは「あー日曜のことですか」


八幡「最近、俺と一色の間には変な雰囲気があるらしいぞ」


いろは「なんですかそれ」


八幡「俺もよくわからん…」


いろは「一応バレなかったみたいですね」


八幡「ああ…でも本当に気をつけないとな…」


いろは「私も、奉仕部というか全校生徒にバレないよう気をつけますね」


八幡「ああ、そうだよな…。てかそう考えると…日曜のも、2人で買い出しに行った時に見られたのが由比ヶ浜だけだったのはまだよかったのかもな…」


いろは「そうですね…」

















いろは「あ、そうだ先輩」


八幡「なんだ?」


いろは「今週また生徒会が忙しくなりそうなのですぐには帰れないかもです」


八幡「そうか、わかった」


いろは「なるべく早く帰れるよう頑張りますんで」


八幡「いや、別に俺のことは気にしなくていいから忙しい時に無理すんなよ。身体壊したらどうすんだ」


いろは「いえ別に無理なんて…」


八幡「本当に頼むから。これだけは言うことを聞いてくれ。お前が無理して身体でも壊したらそれこそ勉強どころじゃない」


いろは「むぅ……わかりました。無理はしません。たぶん」


八幡「本当にわかってんのかよ」


いろは「ワカッテマスヨー」


八幡「棒すぎだろ…」


いろは「ふふっ…」


八幡「なんだよ」


いろは「いえ、先輩がそこまで言ってくるとは思わなかったので」


八幡「…」


いろは「ちゃんと気をつけますよ。先輩の邪魔にだけはなりたくないですから」


八幡「ああ…」


いろは「先輩、おかわりいりますか?」


八幡「おう、もらうわ。山盛りはやめろよ」


いろは「はい、メガ盛りにしときますね」


八幡「変わんねえだろそれ…」






……………


………


……








ー次の日ー





八幡「ただいま」




シーーーーン



一色はいないか

昨日言っていたように早くは帰ってこれなかったみたいだ

一色より先に帰るのはわりと久しぶりかもしれない


俺はいつものようにまずは手洗いうがいを済まして、パパッと着替える


着替えは洗濯機に放り込む


この時にとっとと洗濯して干しときたいところだが


前にそれをして「それは私の仕事です!そんなことしてる暇があるなら勉強してください!」と一色に怒られた


怒らなくてもいいだろうに…


とはいえ、あいつは怒ると夕食のおかずにワサビやら辛子やら仕込んでくるので素直に言うことを聞いておくことにした




八幡「勉強するか…」



八幡「……んっ?」




さあ、勉強始めるかと思っていたところで

俺はキッチンの所であるものを見つけた





八幡「これは…エコバッグか」




見つけたのはピンク色でハート柄をしたエコバッグだった

これはどう見ても十中八九、一色の物だ


あいつピンク好きだな…


というかこれには見覚えがあった

一色がうちに来た時にはだいたい台所あたりにこれが置いてある

1度、なんだこれと中身を見ようとしたが



いろは『ちょ、先輩!それには触らないでください!殴りますよ!蹴りますよ!』



めっちゃ物騒なこと言われながら怒られた

大事なものらしい


なら適当なとこに置いとくなよ…


てか朝は気づかなかったが

今ここにあるってことはあいつ昨日忘れたな

本当に大事なものなんだろうか






八幡「…一色は…まだ帰らないよな」





八幡「………」





気になる

バッグの中身が

超気になる


いやでも大事な物みたいだし…



八幡「……」


八幡「ちょ、ちょっとだけ…」



気になり始めたらもうダメだ

勉強に集中できない

ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ見てみよう


あいつが忘れるから悪いんだ

うん




ガサゴソ




八幡「これは…」


八幡「雑誌…?それと…メモ帳か」



バッグには1冊の雑誌とメモ帳が入っていた

とりあえず雑誌のタイトルを見てみると



【どっきゅん♡気になるあの人のハートと胃袋を鷲掴み!そのまま握り潰しちゃえ!〜絶品レシピ100〜】




八幡「うわぁ…」




すげえ頭の悪そうなタイトルだった

めっちゃイラッとくる


一応、これは料理雑誌みたいだ

なんでこんなものが…




八幡「………いやなんで中身は真面目なんだよ…」パラパラ



適当にめくってみると

タイトルの割に内容は健康に良い家庭料理を中心にいろんな料理のレシピが載っていて、わかりやすい絵と一緒に細かく作り方が書かれてあった



逆にイラッとくる

こんな真面目ならタイトルももうちょいどうにかしろよ



そんなことを思いながら何ページか適当にパラパラめくってみた

すると、ふと違和感を感じた





八幡「これ…。ここも。…ここもか」




違和感の正体はすぐにわかった

ところどころ文章に蛍光ぺンが引かれてあったのだ

それによく見ると小さくメモ書きみたいなものがいっぱいあった




『火加減に注意!絶対こがさないように!』


『←ここ重要!』


『先輩はもう少し濃い味の方がいいかも?でも濃いくしすぎに注意!』




八幡「……」





メモ帳も…見てみるか





ーーーーーーーーーーーーーーーー


〈 ○月○日○曜日 カレー、きんぴらごぼう… 〉


きんぴらごぼう辛すぎ!先輩何も言わなかったけど絶対辛かったよあれ!今度はもっとひかえめにしよう…。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


〈 ○月○日○曜日 生姜焼き、千切りキャベツ… 〉


生姜焼き、先輩は美味しいと言っていたけれどちょっと微妙な顔してたような。やっぱりもうちょっと濃い味のが好きなのかな?でも健康も考えないと…。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


〈 ○月○日○曜日 肉じゃが、お味噌汁、お豆腐… 〉


肉じゃがを先輩にすごく褒められた!自信作だったから嬉しい!でもまだまだもっと美味しくできるはず。今日のことを忘れず次はもっと美味しく!


ーーーーーーーーーーーーーーーー




あの日のきんぴらごぼうは確かにくそ辛かったな…

死ぬかと思ったわ

言わなかったけど


ってそうじゃなくて


あれも、これも

メモ帳に書かれてあるメニューは

よく覚えている

これらは間違いなく


今まで一色がうちで作ってきた夕食のメニューだ





八幡「そうか…」




なんで料理雑誌が出てくるんだ

最初の疑問はそれだった


でも、メモ帳も含めここまで見たらすぐわかる


そうか


そうだったのか




八幡「勉強…してたのか」




一色はそんな素振りは今まで全く見せなかった


だから普段から家で作ったりしていて料理には慣れてるんだろうと勝手に思い込んでいた


……でもまさかこんなものが出てくるなんて


よく台所の近くに置いてあったのは

俺が勉強に集中している時とか狙って

こっそりこの雑誌を見ていたんだろう


妙に料理の感想を求めてくることがあった

本当は初めて作るものもあったんだろう



八幡「…なんだよ…それ…」



しかもただ料理を勉強して作るだけじゃなく…


俺の舌に合うように

その日の俺の反応まで記録をして

どんな味がいいか考えて…

健康面も考えて…



八幡「……なんなんだよ……」



もう1度、俺は頭の悪いタイトルの料理雑誌の中にある膨大なメモ書きとメモ帳を読み返す



八幡「なんで…なんでここまでして俺を…」



誰が見てもさすがにわかる

これが、俺のためだってことは



八幡「…」



もう収めておこう…

一色が帰ってくるかもしれないし


それに…


さっきから妙に胸の奥が熱くなって


とても、読んでいられなかった













〜数十分後〜




ドア バンッ!


いろは「先輩!!!!」


八幡「うお!?急に開けるなよ。ビビるだろ」


いろは「そんなことはどうでもいいです!それより……あった!」


八幡「ああ、それか。やっぱ昨日お前忘れてたんだな」


いろは「あ、あの先輩…」


八幡「ん?」


いろは「み、みみみみ見ましたか?///」


八幡「見るって何を」


いろは「中身です!!バッグの!」


八幡「見ねえよ。触ったら殴られて蹴られるんだろ。見ようと思わんわ」


いろは「ほ、本当ですか?」ゴゴゴゴ


八幡「お、おい。殴る準備すんなっ。見てないって言ってるだろ」


いろは「む、むう…本当の本当に見てないんですね?」


八幡「見てない見てない」


いろは「わかりました…」


いろは「ハア…よかったあ…」


八幡「…」


いろは「じゃあご飯作りますね。先輩は勉強してて下さい」


八幡「……ああ」













いろは「先輩ー!ご飯できましたよー!」


八幡「おう。わかった。一色はどうすんだ今日」


いろは「今日は帰って食べます」


八幡「そうか。今日もありがとな。作ってくれて」


いろは「いえいえ」


いろは「あの…おかず不味かったら明日言ってくださいね?」


八幡「…ああ。変だったら言うよ」


いろは「お願いします」


八幡「でも…」


いろは「?」


八幡「絶対食べる。絶対に残さず食べるからな」


いろは「ど、どうしたんですか急に…不味かったら残してもらっても…」


八幡「いや絶対食べる」


いろは「そ、そうですか…それは…嬉しいですけど///」


八幡「一色、ありがとう」


いろは「そ、それはさっき聞きましたよ」


八幡「いつもいつも美味いもん作ってくれてありがとう」


いろは「わ、わかりましたから!もうやめてくださいよ///なんなんですか///」


八幡「言いたくなっただけだ。気にすんな。じゃあいただきます」


いろは「気になりますよ…」


いろは「(先輩があんな面と向かって何回も…卑怯ですよ…///)」


八幡「一色」


いろは「は、はい」


八幡「どれもすっげえ美味いわ。やっぱすごいなお前は」ニコ


いろは「…///」カァ


いろは「も、もう帰ります!お疲れ様でした!」


八幡「おう、お疲れ」





ドア バタンッ!




八幡「ふぅ…」


八幡「まだ少し熱いな……胸…」





八幡「なんなんだろうな…これ…」









……………


………


……









一色のマル秘料理雑誌発見から日が経ち

今日は金曜日



学校も終わり

放課後、いつも通り俺たち奉仕部は部活動というなの自主勉をしていた


本当に依頼こねえな

もう帰っていいんじゃねえのこれ



八幡「…」カキカキ


結衣「む〜」ワカンナイ


雪乃「…」カキカキ




そう


とっとと帰ればよかったんだ


そうすればあんな展開には



ならなかったかもしれないのに









結衣「そうだ!」ガタッ


雪乃「由比ヶ浜さん。急に立ちあがったらびっくりするわ」


結衣「あ、ごめん…」


八幡「んで、なんだよ」


結衣「明日、土曜日に勉強会しようよ!!」


八幡「嫌だ」


雪乃「遠慮しておくわ」


結衣「ええ!?なんで!?」


八幡「1人の方が集中できるし」


雪乃「そうね」


結衣「でもでも、3人で分からないところとか教えあった方が…」


八幡「由比ヶ浜に勉強を教えられたら俺もう人生終わりだわ」


雪乃「由比ヶ浜さんに勉強を教えられてしまったら私もう生きていけないわ」


結衣「2人して酷すぎない!?」


八幡「事実だしな」


結衣「む〜。ゆきの〜ん!お願い!」ダキ


雪乃「ちょ、ちょっとくっつかないでもらえるかしら///」


結衣「私、頑張るからさ!ちょっとだけ勉強教えて!お願いします!」


八幡「(勉強会というか教えて欲しかっただけか)」


雪乃「…わ、私でなくても」


結衣「こんなことゆきのんにしか頼めないの!!ゆきのんがいいの!!」


雪乃「そ、そう…///仕方ないわね…///」


八幡「(もう堕ちたの!?チョロすぎませんか雪ノ下さん!)」


八幡「おいおい、人に教えてる余裕あるのか」


雪乃「甘く見ないでもらえるかしら。この程度でのことで学力を落としたりしないわ」


雪乃「由比ヶ浜さんごとき苦ではないわ」


結衣「ねえ、ゆきのん。今さらっと私のこと貶さなかった?」


雪乃「それにさっき由比ヶ浜さんが言ったように教えることで自分にとっても勉強になることはあるわ」


八幡「はぁ…」


雪乃「ただしやるからには本気でやるわよ由比ヶ浜さん。途中で息抜きとか言って遊んだりしたら怒るわよ」


結衣「うっ…わ、わかってるよ!」


八幡「(ホントかよ…)」


八幡「だいたいどこでやんだよ、その勉強会とやらは」


結衣「それは…誰かの家とかで…」


八幡「そこは自分の家ではないんだな」


結衣「だって自分の家だと怠けてしまいそうだし」


雪乃「先に言っておくけれど、私の所は無理よ」


結衣「ええ〜」


雪乃「比企谷くんの家がいいんじゃないかしら」


八幡「は?」


結衣「おお!そうだね!」


八幡「待て待てダメに決まってんだろ。てか参加するとも言ってないんだが」


結衣「ええ〜ケチ」


八幡「ケチってお前…。とにかく絶対ダ…




ドア ガララッ




平塚「おーす」


雪乃「先生…ノックをしてください」


平塚「悪い悪い」


結衣「どうしたんですか?」


平塚「いやな、比企谷に聞きたいことがあるんだが」


八幡「俺?なんですか」


平塚「君は最近引っ越したらしいな。1人暮らしをしてるそうじゃないか。どうなんだ?ちゃんとやっているのか?」


八幡「っ!?」


結衣「…」


雪乃「…」


結衣・雪乃「「………え?」」

















結衣「ひ、1人暮らし!?」


雪乃「比企谷君が?」


平塚「なんだ知らなかったのか2人は」


平塚「先日、少し学校のことでうちのクラス全員の親御さん方に確認のため連絡をとっていたのだがな」


平塚「その時に比企谷のお母様がそんな話をしていたんだ」


八幡「(よ、余計なことを!てか先生もなんてタイミングの悪い!空気よんでくださいよ!だから結婚できな


平塚「ふんッ!」ドスッ


八幡「ぐはっ!?」


平塚「なにか失礼なこと考えていただろう」


八幡「腹にもろ入ったんすけど…」ウググ


結衣「そんなことよりヒッキー!1人暮らししてるって本当なの?」


八幡「…」


八幡「(今さら逃げれないか…)」


八幡「本当だ」


雪乃「驚いたわ。あなたついに家庭から追い出されたのね。時間の問題だとは思っていたけれど…」


八幡「おい。んな理由じゃねえから。ついにってなんだよ、ついにって」


結衣「いつからしてたの?」


八幡「…もうすぐ1ヶ月になるな」


結衣「マジ!?けっこう前じゃん!なんで教えてくれなかったし!」


八幡「言う必要ねえだろ別に」


結衣「あるよ!引っ越し祝いとかあるじゃん」


八幡「いやいいよそういうのは…」


雪乃「…そもそもなぜ今の時期に始めたのかしら」


平塚「そうだな。私もそれが知りたいよ」


八幡「……そ、それは…」










結衣「す、すごいお父さんだね…」


雪乃「さすがに同情するわね…」


平塚「なかなかおもしろいお父様だな」


結衣「11月の模試ってあとちょっとだよね…それを受けたとして…帰れるのは…えっと…」


八幡「模試の結果が出るのがだいたい1ヶ月ぐらいだろうから。首尾よくA判定取れたらあと1ヶ月ちょいで一応帰れるのは帰れる」


平塚「ふむ、理由はわかった。それで。1人暮らしはうまくやっているのか?」


八幡「やってますよ」


平塚「ちゃんと食べているのか?」


八幡「え、ええ…まあ…」


結衣「本当に?ヒッキーってなんかコンビニ弁当とかカップラーメンで済ませてそうだよ」


八幡「そ、そんなわけねえだろ。ちゃんと食ってるわ。見ろこの健康体の俺を」


雪乃「目の腐りのおかげで常に病人にしか見えないのだけれど」


八幡「それは悪かったな…」


平塚「そうか。順調ならいいよ。1人暮らしは君にとってもいい経験になるだろう。何か困ったことあれば言うといい。私は1人暮らし歴が長いからな」ドヤァ


八幡「(それはドヤ顔で言っていいんですかね…)」


平塚「では、私はこれで失礼するよ。3人とも気をつけて帰れよ」





ドア ガララ バタン





結衣「ねえねえ!ヒッキー。どんな部屋なの?3LDKってやつ?」


八幡「意味わかってねえだろお前。広すぎだバカ。雪ノ下じゃねえんだから」


雪乃「私の部屋もそんなに広くないのだけれど…」


結衣「ゆきのんのとこは高級マンションだよね!ヒッキーもマンション?」


八幡「アパートだ」


雪乃「1DKってとこかしら」


八幡「ああ」


結衣「奉仕部、私以外1人暮らしじゃん!いいな〜私もしてみたいな〜」


八幡「1日ももたねえだろ絶対」


結衣「ヒッキーうるさい!私だって本気出せば1人暮らし余裕だし!」


雪乃「そうよ、比企谷くん」


結衣「ゆきのんも言ってやってよ!」


雪乃「由比ヶ浜さんなら3日くらいはもつわ」


結衣「ゆ、ゆきのん…それあんまり変わらないよね…」














結衣「ん〜」


雪乃「どうかしたの?」


結衣「ねえ、やっぱり明日勉強会やらない?ヒッキーの家…新しい家で!」


八幡「まだ言ってんのか」


結衣「ヒッキーの部屋がどんな感じか見てみたいし」


八幡「なんもない普通の部屋だぞ」


結衣「ねえ、ゆきのんも見てみたいよね?」


雪乃「わ、私は特に…」


八幡「ほら」


結衣「ええ〜」


雪乃「でも…勉強会は…比企谷君が本当に嫌でなければ…やってみるのもいいかもしれないわね」


八幡「…」


雪乃「何かしら?」


八幡「いや…いくら由比ヶ浜に堕とされたんだとしても、珍しいなと思って」


雪乃「堕とされたという部分が引っかかるけれど…」


雪乃「深い理由はないわ。ただ…」


結衣「ただ?」


雪乃「…学校の奉仕部での活動以外で3人が集まって何かするというのは3年生になってからほとんどなかったから…」


雪乃「目的は勉強だけど…久しぶりに3人で……それが少し…た、楽しそう……だと思っただけよ」


八幡「…」


結衣「ゆきのん…」


雪乃「…///」


八幡「(雪ノ下が…そんなこと言うなんてな)」


結衣「ヒッキー、やろうよ。勉強会」


八幡「……」


八幡「(よくよく考えてみれば…後で一色に言っておけばいいことか)」


八幡「………はぁ…わかった。いいよ」


結衣「やった!ありがとう!ヒッキー!」


雪乃「ありがとう。比企谷くん」


結衣「ゆきのん!」


雪乃「?」


結衣「楽しみだね!」ニコ


雪乃「………ええ」ニコ


八幡「ただしさっき雪ノ下が言ったように遊びに来るんじゃねえぞ。勉強しに来いよ特に由比ヶ浜」


雪乃「由比ヶ浜さんは私が監視するから大丈夫

よ」


結衣「ちゃ、ちゃんと勉強するってば!」


雪乃「もう下校時間ね。今日はここで終わりにしましょうか」


八幡「そうだな」


八幡「(一色に勉強会のこと言っとかないとな)」


雪乃「ということで…」



結衣「さっそく今から下見に行こう!」



八幡「は?」


雪乃「そうね」


八幡「いやいやなんだよ下見って」


結衣「え、だって場所知らないし」


八幡「ああ…。い、いや今日じゃなくてもよくないですかね」


結衣「いや明日行くんだし、今日道知っとかないと家から行けないじゃん」


八幡「ぬぐ…」


結衣「さ!行くよ」


雪乃「ええ」



八幡「あ、おい!……マジかよ…」






……………


………


……







結衣「こっちらへん初めてきたかも」


雪乃「私も初めてね」


結衣「あ、ゆきのん!猫いるよ」


雪乃「なんですって!?」クワッ




八幡「……」



一色はたぶんまだ自宅に帰ってない


チラッと外から見たが生徒会室の電気もついてたし

今日も遅くなるようなこと昨日言ってたしな


でもいつ帰ってくるかわからないよな

この道は一色の帰り道でもある

鉢合わせたらめんどくさい


今日はただの下見だし

なにも中に入れるわけじゃないんだ

とっとと場所教えて帰らせよう




結衣「ヒッキー黙ってどうしたの?」


八幡「いやなんでもない………っと、ここだ」


雪乃「このアパートかしら?」


八幡「ああ」


結衣「へ〜。なんというか…普通だね」


八幡「なに期待してたんだよお前は」


雪乃「学校からわりと近いのね」


八幡「まあな、そこ考えるとけっこうここ気に入ってる」


結衣「明日の集合時間どうする?」


雪乃「思ったより家から遠くはないわね」


結衣「私もそんなに遠くないし何時でもいいかな〜」


雪乃「朝10時でどうかしら」


結衣「おっけー!」


八幡「てか明日いつまでやんの」


結衣「朝から晩まで!」


八幡「マジかよ…」


雪乃「部屋の番号は?」


八幡「203号室だ」


結衣「どれどれ!外から見える?」


八幡「見てどうすんだよ…。あそこだ」


結衣「そっかー…あそこで今ヒッキーは1人暮らししてるんだね…」


八幡「ほら、もう場所わかったし。今日は解散しようぜ」


雪乃「妙に急かすわね」


八幡「そ、そうか?」


結衣「…」ジー


雪乃「由比ヶ浜さん?どうかしたの?」


結衣「気になる」


八幡「は?」


結衣「ヒッキー!ちょっとだけ!ちょっとだけ部屋見せてよ!どんな感じか気になる!」


八幡「なっ…そ、それはダメだ」


結衣「えー!いいじゃんかちょっとくらい」


八幡「ゆ、雪ノ下は早く帰りたいだろ?勉強もあるし」


雪乃「由比ヶ浜さんに任せるわ」


八幡「マジかよ…」


結衣「なんでそんな嫌がるの?どうせ明日その部屋で勉強会するじゃん」


八幡「いや明日はいいが今日はちょっと…」


結衣「あ、散らかってるとか?いいよ気にしないよ。てか片付けるの手伝おうか?」


八幡「そうじゃくてな」



雪乃「男の1人暮らし…女子に頑なに部屋を見せようとしない………見られたくないものがある…?…今日はそれを片付けてない………」




雪乃「……なるほど」フッ




八幡「おい、なんかわかるぞお前の考えてること。なんだよその察しましたって顔。それ違うからな絶対違うからな」


結衣「どういうこと?ゆきのん」


雪乃「この男は部屋に…」ゴニョゴニョ


八幡「おい」


結衣「へっ?///」


結衣「そ、そそそそそれはダメだよヒッキー///」


結衣「で、でもそうだよね。ヒッキーも……お、男の子だもんね///」


八幡「おい!勘違いだからなそれ!」


結衣「え?100冊のエロ本が部屋中にあるんじゃないの?」


八幡「多っ!?そんなにあるわけないだろバカか」


雪乃「つまり少しはあるのね」


八幡「!?」


結衣「ヒッキー…」


八幡「やめろそのゴミを見る目。ない。ないからな。マジで」


結衣「じゃあちょっとだけ部屋見せてよ」


八幡「くっ…それは…」


結衣「やっぱりエロ本だらけなんだ…」


雪乃「エロ谷くんね」


八幡「だからないって言ってるだろ!わかったよそんな言うなら証拠見せてやる」


結衣「やった!行こ!ゆきのん」


雪乃「ええ」


八幡「あっ…」




八幡「(なにやってんだ俺は…)」
















八幡「ほ、本当に入るのか。マジでなんもないぞ」


結衣「しつこいなあ。ちょっと見るだけだってば」


八幡「(くそっ…一色がいつこっちに来るかわかんねえのに…)」




ガチャ




八幡「どうぞ…」


結衣「お邪魔しまーす」


雪乃「お邪魔します」


結衣「おお、ここがヒッキーの……」キョロキョロ


雪乃「…」キョロキョロ


結衣「エロ本ないね」


雪乃「ないわね」


八幡「最初に言うことそれかよ…。だからないって言ってるだろ。ほら証拠見せたしもう帰れ」


結衣「けっこう片付いてるね。意外」


雪乃「キッチンもちゃんと掃除してるみたいね」


八幡「無視かよ…」


結衣「あっ…」


雪乃「どうしたの由比ヶ浜さ…あっ」


結衣「…///」モジモジ


雪乃「…///」チラチラ


八幡「おい急に黙ってどうした」


結衣「えっと…その…洗濯物…」


八幡「あっ…」


八幡「(干してるパンツ見られた…)」


八幡「悪い。変なもん見せて。すぐ片付けるから」


結衣「い、いいよ急に来ちゃったんだし///気にしないで」チラチラ


雪乃「そ、そうよ。気にすることないわ///」チラチラ


八幡「(いやめっちゃチラチラ見てるんだけどこの2人…すっげえ恥ずかしいんだけど)」


結衣「…あれ?あそこに干してあるのもヒッキーの?」


八幡「俺のしかねえよ俺の家なんだから」


雪乃「ずいぶん可愛らしいエプロンつけるのね…」


八幡「は?なに言って……………っ!?」


八幡「(あ、あれは一色のエプロン…!一緒に洗ってたのか)」


八幡「(洗濯は完全にあいつに任せてたから気にもしてなかった…)」


八幡「それは…こ、小町。そう小町のだ。時々料理作りに来るんだよ」


結衣「ああ!なるほど。ヒッキーがこれつけてるのかと思っちゃったよ」


八幡「なわけないだろ…想像するだけで吐くわそんなん…」


雪乃「…」


結衣「ゆきのん?どうしたの?」


雪乃「このカーディガンも小町さんのかしら?」スッ


八幡「!?!?!?」


八幡「(カーディガン!?あのバカなんでそんなもんまでうちで干してんの!?)」


結衣「あれ………そのピンク色のカーディガンどこかで…」


八幡「こ、ここ小町のだそれも!」


雪乃「小町さんがこんなカーディガンを着たところなんて見たことないのだけれど」


結衣「私も」


八幡「最近着るようになったんだろ」汗ダラダラ


雪乃「比企谷くん汗がすごいことになってるわよ」


八幡「気のせいだ。もういいだろ。解散しようぜ」


八幡「(これ以上はマズイまじで)」


結衣「そ、そんなに追い出そうとしなくてもいいんじゃん」


八幡「どうせ明日来るんだろ。今日はもう帰れ」


雪乃「妙に急かすところが少し気になるけど。確かに明日があるし、今日はもう帰りましょうか」


結衣「む〜まあそうだね」


八幡「ふぅ…」


結衣「それじゃあヒッキー!明日はよろしくね!」


雪乃「さよなら比企谷くん」


八幡「あ、ああ。気をつけて帰





ドア ガチャ





いろは「遅くなってすみません先輩!すぐご飯の準備しま……す……………ね………」



結衣「…」


雪乃「…」


いろは「…」




いろは「…」ス…


雪乃「どこへ行くのかしら一色さん」ガシ


いろは「ひぃっ!」


結衣「やっぱりもう少しいよっか。ゆきのん」


雪乃「そうね。それがいいわ」


結衣「いいよね?ヒッキー?」ニコ





八幡「……………………はい」




八幡「(ふっ)」


八幡「(………終わった)」





……………


………


……







八幡「…」


いろは「…」


結衣「…」


雪乃「…」


八幡「えっと…お茶いるか?そういえば出してなかったし…」


結衣「うん」


雪乃「ええ、お願いするわ」


八幡「あ、ああ…ちょっと待っててくれ」




八幡「コップ、コップ…」


いろは「あ、先輩そっちのはまだ洗ってないですよ」


八幡「おお、そうか……って」


いろは「あっ」


雪乃「どれが洗ってないものかわかるのね一色さんには」


結衣「すごいね〜」