「提督と大鳳」
常に死ぬ覚悟を持って戦う大鳳に提督が・・・
サブストーリーです。
覚悟・・・
人は何か重大な決意をするときに発する言葉。
「死ぬ覚悟で行きます!」
確かに、この戦争時代そのくらいの覚悟が無いと戦えない、私もそうだった。
生半可な気持ちでは行けない! 死ぬ覚悟で挑む! 私の決意はいつもそれだった。
・・・・・・
この日、私は出撃のための編成会議に参加していた。
6人中4人は既に決まっていて、残り2人を決める内容である。
2人の艦種は”空母”だったので、装甲空母の私は自ら志願した。
「私、大鳳はいつでも死ぬ覚悟で戦っていきます!」
死ぬ覚悟はいつでもあった、この戦争時代に生き残れると考えることがおかしい。
でも、提督は私に言葉を返した。
「お前が言う覚悟とは、具体的にどんなものだ?」
返答に困った、そんな質問をされるとは思わなかったから・・・
「さっきも申し上げましたが、いつでも死ぬ覚悟です!」
その返答に、
「ならばお前は編成に入れられない。」
「なっ!?」
予想外の展開である、私だけでなく同じ考えを持っていた皆が困惑していたから・・・
「今回の編成は次の会議に決める、解散!」
提督は会議室から出て行った。
私は外で空を眺めながら考えた。
編成に入れられない・・・そんな・・・
私の運が悪いから? 単に総合火力が正規空母に劣るから?
でも、提督。 あなたは私に言いましたよね?
「私は、性能で相手を判断しない。」
そのおかげで私は何度も出撃させてもらっているし、遠征任務もやっています。
今回の制圧任務だって私でも編成に入れたはず・・・なのに、どうしてですか・・・
しばらくして、5人目が決まった。
瑞鳳・・・軽空母である。
提督の考えには否定しませんが、なぜ空母より火力が低い軽空母を入れたのかが到底わかりません。
そう思っていた矢先・・・
提督から呼び出しを受けた。
6人目に私を指名してきました。
理由は単純なものです。 「他に艦娘がいなかった。」
あまり気が進まなかったけど、選ばれたからには、覚悟を持って戦うまでです!
翌日、出撃命令が出されました。
任務は指定海域の敵殲滅及び制圧! 装甲空母大鳳! 出撃します!!
・・・・・・
戦闘開始早々何てこと・・・
敵部隊の潜水艦から発射された魚雷に命中! 大破しました・・・
敵は装填後、再び魚雷を発射・・・
「・・・・・・」
その時、私は確実に「死」を予感しました。
次の攻撃で私は沈む・・・それは、避けようのない事実・・・
「・・・・・・」
死ぬ覚悟で挑む、私はそう決めていました。
でも、何だろう・・・
今まで「死ぬ覚悟」と言っていたのに、今は何故か違った・・・
「死」を受け入れるのが怖くなった。
敵の魚雷が目の前に迫っている。
「私はまた死ぬの? また・・・沈むの?」
考えれば考えるほど怖くなり・・・
「そんな・・・沈むなんて・・・いやだよ・・・」
死ぬことを恐れた。
「そんな・・・いやだ・・・私は死にたくない!」
敵の攻撃が当たる直前、
「いやだ・・・私は死にたくない! まだ生きたい!!」
「生きて・・・皆と・・・一緒に帰りたい!!」
そう思った瞬間、私は無意識に敵の攻撃を避けていた。
「えっ・・・何で・・・」
「大鳳さん! 大丈夫ですか!」
それと同時に皆が応戦し、敵を殲滅した。
当然ながら、これ以上の進軍は無理で撤退を余儀なくされた。
「・・・・・・」
帰還途中に私は悟りました。
「そう・・・そうだったのね。」
「生きること・・・それが大事なのね・・・」
・・・・・・
修復後、私は執務室に呼ばれました。
今回の任務は私のせいで失敗した事・・・そして私の決意を・・・
すると提督は、
「そうか、なら次は大丈夫だな。」
安心したのか、提督は私をまた編成に入れてくれました。
もちろん、私は提督の期待に応えるべく戦果を挙げていきます。
死ぬ覚悟・・・それは戦いの中で死ぬことを言う。
それは同時に、周りの仲間や提督を悲しませ、不幸にする。 だから、そうならないために
何があっても「生きる!」という気持ちが大切だということをあの時私は悟りました。
敵の攻撃を避けたのも、「生きたい!」という気持ちが私に一瞬の力を与えてくれたのです。
だから私は・・・
「皆を守りつつ、皆で一緒に帰ろう!」
の決意のもとにこれからも戦場を駆け巡っていきます!
「提督と大鳳」 終
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