「子供はどうやって生まれるの?」
駆逐艦娘がいきなり、ある質問を投げかけてきて・・・
それは突然の質問だった。
「子供はどうやって生まれるのですか?」
質問を受けた蒼龍たちは一瞬吹き出した。
「え~っと・・・。」
蒼龍は戸惑いつつ、
「どうしてそんなことを聞くのかしら?」
聞いてみると、
「ガングートさんが言っていたんです。」
・・・・・・
・・・
・
子供はどうやって生まれるのか・・・私が本で読んだ時は、
「コウノトリが赤ちゃんを運んできてくれる(コウノトリが産んでくれる?)。」
「畑の野菜の中から産まれる。」
だったんですが、側にいたガングートさんから・・・
「何だ・・・お前はまだそんな嘘を信じていたのか?」
「・・・・・・」
嘘? えっ、これって嘘なんですか?
「当然だ・・・子供がそんな形で生まれるわけがないだろ!」
「・・・・・・」
じゃあどうやって生まれるんですか? と聞いてみたら、
「それは・・・子供が知るようなことじゃない! 大人になってからわかる! ふん!」
そう言って、ガングートさんはその場から去ってしまいました。
・・・・・・
「あの中途半端が~!!」
「それで、もう一度聞きますが・・・子供はどうやって生まれるんですか?」
「えっ!? あの・・・その・・・う~ん。」
蒼龍は急に顔を赤くして・・・
「そうね・・・その・・・う~ん・・・(チラッ)」
「・・・どうして私の方を向くんですか、蒼龍さん!」
「ごめんね! 大鳳の方が知っているから・・・そうだ! 今から用事があったんだ・・・じゃあね!」
蒼龍が大鳳に押し付けて逃げていった。
「あっ! 蒼龍さん! ・・・ちょっとぉ~!!」
「・・・あの~。」
「・・・・・・」
「大鳳さん・・・教えてください。」
「え~っと・・・あのね・・・言葉では言い表しにくいんだけど・・・」
「・・・はい。」
「何て言うの・・・その・・・男と女がいてね・・・」
「男と女と言うのは・・・司令と私みたいな感じですか?」
「そ、そう・・・それでね・・・その・・・ええ~っと・・・」
大鳳も顔を赤くして、
「その・・・あのね・・・う~ん・・・」
上手く答えることが出来ず、悩む大鳳。
「・・・・・・」
蒼龍さんと大鳳さんが顔を赤くしながら、悩んでいる・・・子供が生まれる理由ってそんなに難しいことなんだ・・・
「・・・ごめんなさい。」
大鳳は謝った。
・・・・・・
「もしかしたら、戦艦の人たちならわかるかもしれません。」と、大鳳から助言をもらい、
彼女は戦艦寮へ向かうのだった。
「子供はどうやって生まれるんですか?」
と、元気よく発言する駆逐艦娘、当然戦艦の比叡は思わず吹き出して・・・
「ちょ、ちょっと待って! いきなりどうしてそんなこと聞くの?」
「大鳳さんが戦艦の人たちの方が詳しいって言ってました。」
「・・・・・・(汗)」
「それで、わかりますか? わかる範囲でいいのですが・・・」
「そ、そうね・・・比叡は一応知ってるけど・・・」
「さすが、戦艦の方は物知りなんですね・・・これは期待が持てそうです!」
彼女はワクワクしながら目を輝かせていて、
「そ、それはね・・・まず、男性と女性がいてね・・・」
「はい! それは大鳳さんが言っていました!」
「そ、そうなんだね・・・そして・・・そこからね・・・」
「はい!」
「その・・・男性と女性が口と口をくっつけて・・・」
「くっつけて・・・」
「くっつけて・・・チュー・・・っと。」
「チュー・・・ですか?」
「そう! チューです!」
「・・・それで子供ができるんですか!?」
「いえいえ・・・そこから更にやることがあってね。」
「・・・はい!」
「・・・その~・・・」
比叡も顔を赤くした。
「・・・・・・」
顔を赤くするのは恥ずかしいから? 子供が生まれると言うのは恥ずかしい事なんですね! ・・・と思った彼女。
「・・・ごめんね、それより先は説明がしにくくって・・・」
「・・・いえ、貴重な情報ありがとうございます! 男と女が最初にチューするのですね? ありがとうございます!」
そう言って彼女は去った。
「・・・ふぅ~・・・上手く躱せたかなぁ~。」
一安心する比叡だった。
・・・・・・
その後も、彼女は重巡の艦娘に聞いたり、同じ駆逐艦娘に聞いたりして見たが・・・
「あなたが知るにはまだ早いわね~♪(愛宕)」 「どうしてそれが知りたいわけ?(五十鈴)」等、話をそらされて、
男性と女性がチューする・・・以降の情報を得ることが出来なかった・・・
「う~ん・・・やはり私が知るにはまだ早い年ごろなんでしょうか・・・」
そう思っていると・・・
「あれは・・・ビスマルクさんとサラトガさん! そうだ! 海外艦のお方なら詳しく知っているかも!」
そう思った彼女は2人に駆け寄る。
「すいません! 質問があるのですが!」
「? な、何かしら?」
首を傾げるビスマルク・・・
彼女はいつものように元気で、
「子供はどうやって生まれるのですか?」
「・・・・・・」
2人は一瞬耳を疑い、
「・・・悪いけど・・・もう一度言ってくれる?」
「はい! 子供はどうやって生まれるのですか?」
「・・・・・・」
返答に困るビスマルク。
「もしかして・・・ビスマルクさんも知らないですか?」
「なっ!? 知ってるわよ! 知ってるに決まってるでしょ!」
「本当ですか! 流石ビスマルクさん! 物知りですね!」
「ふん・・・もっと褒めてくれてもいいのよ~(汗)」
「それで・・・どうやって生まれるんですか?」
「・・・・・・」
知っていてもやはり回答に悩むビスマルク、そこに・・・
「私が説明してあげましょうか?」
横からサラトガが顔を出して、
「はい、お願いします!」
「元気な声でいいですね! まずはねぇ~・・・」
「はい!」
「その前に・・・どこまで知っているのかしら?」
「はい、男と女がチューをする・・・まで聞きました・・・それ以降がまだ聞いていません。」
「あらあら・・・ちょっと違うけど、まぁいいかな~♪」
「えっ、違うんですか?」
「まずね・・・男性と女性がいてね。」
「はい!」
「次に・・・ふわふわのベッドに2人一緒に寝るの。」
「!? 2人で寝るんですか!?」
「うん♡ そうしたらぁ・・・今度は。」
「・・・今度は・・・」
「服を脱いじゃうの♡」
「ふ、服を脱ぐんですか!?」
「そう、そうしたらね・・・今度は・・・!?」
そこまで言いかけて・・・ビスマルクに止められた。
「行くわよ、サラトガ! 今から飲みに行くんでしょ?」
「ちょっと!? まだ話が終わってないわよ!」
「いいから行くわよサラトガ! あなたが説明すると、この子に悪影響よ! さっさと行くわよ!」
「もう、何よ! ・・・ごめんね、後は霧島さんに聞いてみてね~♪」
そう言ってサラトガはビスマルクと一緒に飲みに出かけた。
「・・・・・・」
男と女がふわふわのベッドに一緒に寝て服を脱ぐ・・・なるほど! 比叡さんが言ってた内容と少し違いますが、
大きな進展がありました!
後はサラトガさんが言ってた「霧島さん」に聞いてみれば・・・
彼女は執務室に向かった。
・・・・・・
「失礼します!」
執務室を開けると、そこには霧島・村雨・秋月と書類を整理している提督の姿が・・・
「あら、どうしたんですか?」
霧島が尋ねると・・・
「はい! 霧島さんに質問があってきました!」
「私に? なるほど・・・この艦隊の頭脳の私に相談があるのですね?」
「はい! 是非とも教えて欲しいのです!」
「いいわよ、私にわからないことはないから・・・何でも聞いて!」
「はい・・・では・・・」
彼女は元気よく・・・
「子供はどうやって生まれるのですか?」
「・・・・・・」
一瞬、執務室の空気が凍り付いた。
「えっと・・・申し訳ないけど・・・もう一度言ってもらえるかしら?」
「すいません・・・聞こえませんでしたか。 では、もう一度! 子供はどうやって生まれるんですか?」
「・・・・・・」
霧島が急に大人しくなって、
「それはね・・・え~っと・・・」
返答に悩む霧島。
「艦隊の頭脳の霧島さんでも・・・この質問はお答えできませんか?」
「そ、そんなことないわよ!(恥) 知ってますよ! 知ってますって!(大恥)」
「さすが、艦隊の頭脳の霧島さん! それで、どうやって生まれるんですか?」
「・・・・・・」
返答に悩む霧島。
「その前に1つ聞きたいことが・・・」
「はい!」
「私のところまで来たってことは、他の皆にも聞いたって事かしら?」
「はい、そうです!」
「どこまで聞いたのかしら?」
「確か・・・比叡さんは男と女がチューすると言っていて、サラトガさんは男と女がベッドに入って服を脱いで・・・という
所まで教えてくれました。」
「・・・・・・」
比叡姉さまもサラトガさんも中途半端で止めてしまって~!! と思った霧島。
「それで、その続きを知りたいのですが・・・」
「そうね・・・その・・・(チラッ)」
霧島は秋月を見る。
「あの~・・・すいません。 私も男性の方とあまり接したことが無いので、よくわからないです~。」
「・・・はぁ~。」
ため息をつく霧島。
「じゃあ、この村雨がぁ~・・・最初から最後まで教えてあげようか・し・ら♡」
「村雨さんはご存じなんですか!?」
「はぁい♪ 端から隅々まで知ってますよ~♪」
「凄いです! 村雨さん! 尊敬します!」
「あらぁ~・・・そんなに褒めても何も出ませんよ~♪」
「・・・それで、続きは何ですか?」
「ふふふ~・・・それはね~。」
村雨が言いかけたところで・・・
「何だお前ら・・・その程度の質問に答えられんのか?」
提督が口を挟む。
「あ、司令・・・司令はご存じなんですか?」
「ああ、もちろん。 それ以上に何で知りたいんだ?」
「・・・実は・・・」
彼女は説明する。
・・・・・・
・・・
・
「なるほど・・・あのバカがね~。」
「ガングート・・・子供の夢を壊してあいつ~!」
「それで、どうやって生まれるのかを知りたくなりまして・・・」
「・・・ふむ。」
提督は立ち上がり、
「ついてこい、その答えを見せてやろう。」
「は、本当ですか!?」
「ああ、何事にも興味を持つことはいいことだし・・・かと言って間違った知識を持ってもらっては困るからな・・・
ここはきちんと教えておくべきかもしれないな。」
「お、お願いします!」
そう言って提督と彼女は執務室から出て行った。
「司令・・・」
当然、気になった霧島たちもついていくことになった。
・・・・・・
「見ろ、これが答えだ。」
提督がある場所に案内する。
「・・・司令? ここって・・・工廠場ですよね?」
連れてこられた場所は・・・工廠場。
「そう、ここで建造されて子供が生まれるんだよ。」
「そ、そうなんですか!? それは初耳です!」
「そう、ここで建造されてお前も・・・そして霧島も・・・全員ここから誕生するんだよ。」
「知らなかったです! でも、私はその光景を見たことがありませんが・・・」
「それはそうだろ・・・自分が生まれる瞬間を見れる自分はいるか?」
「い・・・いません。」
「そうだろ? 逆に見れたら凄いよ。」
提督は笑う。
「昔は少子化だったからな・・・建造をしてひたすら子供を生んでお前たちを鎮守府で育てたんだ。」
「なるほど・・・」
「今は十分足りているからな・・・建造は禁止しているんだ。」
「でも、どうして皆は黙っていたんですか?」
「もし、それを知って試しに建造して子供が出来たら・・・面倒見れるか?」
「・・・見れません。」
「だろ? だから大人になってから本当は知る必要があるんだ。」
「なるほど・・・すごく勉強になりました! ・・・でも、どうして比叡さんとサラトガさんはあんなことを言ったのですか?」
「それはな・・・あいつらは、変な本を読み過ぎだからだ。」
「変な本?」
「本には必ずしも、正しいことが書いているとは限らない。 比叡達は「間違った情報が書かれた本」を気づかずに読んで
それを信じ込んでいる・・・それだけだ。」
「なるほど! そうだったんですね! さすが司令! 説明もわかりやすく私の疑問も晴れました!」
「そうか! それは良かった!」
「ありがとうございます! それでは失礼します!」
彼女は満足してその場から去った。
「さてと・・・」
提督は来た道を戻って、
「せめて・・・オレの鎮守府にこれくらい説得力のある艦娘がいて欲しいものだよ。」
と、霧島たちをじっと睨む。
「大体あの子は「子供はどうやって生まれる?」と聞いているのに何でお前らは「子供の作り方」を教えているんだよ!」
「・・・・・・」
何も言い返せない霧島たち。
「全く、お前らにはもう少し相手に説得させる力を身につけさせた方がいいようだな!」
そう言って提督はその場から去って行った。
・・・・・・
あれから彼女が来ることはなかった。
後にガングートが呼び出しを受け、減給を食らい、
本人は「私が何をしたと言うのだ!?」と開き直る始末・・・当然のことながら司令に叱られたのは言うまでもありません。
そして、「皆に説得力を鍛える必要がある!」と言われ、特別研修までやらされました・・・
・・・・・・
しばらくして、あの子がまた現れ・・・
「申し訳ありませんが・・・質問があります。」
誰かに言われたのか、本で気になったのかまた質問しに来ました。
「いいですよ! 艦隊の頭脳の霧島・・・今度はきちんと答えて差し上げます!」
「さすが、霧島さん! ・・・では、お願いします!」
彼女は元気よく・・・
「セッ〇スって何ですか?」
「・・・・・・」
当然のことながら、霧島が恥ずかしくて答えられなかったのは言うまでもない。
「子供はどうやって生まれるの?」 終
余談:質問をしに来た駆逐艦娘は読んでくれた方の好きな(もしくは想像した)艦娘で構いません。
ここでは一応「野分」のつもりで書きました。
子供の頃にサンタクロースが運んで来るんだよ。と言われて徹夜してたら親からゲンコツをプレゼントされたなあw
あれは痛かったw
その気持ちわかりますw
小さい頃はそんな事にゃ興味無かったなぁ...
今は...(汗)