「捨て犬ぽい子」
主人公が歩いていたら、「ぽい子」と書かれた段ボールに入っている夕立と出会い・・・
「提督さん! 書類整理終わったっぽい~!」
秘書艦である夕立が提督と一緒に執務作業をしていた。
「ありがとう、本当に夕立はいつも手伝ってくれて助かるよ。」
そう言って、提督は夕立の頭を撫でた。
「ぽい~♪ ぽい~♪」
夕立にとって「提督に褒めてもらう」が日課で、ご褒美に頭を撫でてもらう事が楽しみである。
「相変わらずそんな甘えた顔をして、可愛い奴だなぁ。」
頭を撫でていると、ふと提督は思い出す。
「思い出すなぁ、初めて夕立に出会った時の事を・・・」
提督は昔を思い出した。
・・・・・・
・・・
・
「今日は雨だったっけ? 天気では晴れと言っていたんだけどなぁ~。」
傘を持たず、道をひたすら走り続ける男性。
「? あれは何だ?」
男性が見た物、道端に置いてある一際大きな段ボール箱。
「捨て犬か、最近は飼えなくなったら平然と捨てる飼い主が増えたもんだ。」
男性(以降主人公)は動物好きであるが、飼った事がない。
「オレの家は”ペット禁止”だからな・・・でも、こんな雨の中湿った段ボールの中じゃ、寒くて可哀そうだよなぁ。」
「せめて明日かもしくは晴れるまでは」と同情したのか、段ボールに近づく主人公。
「名前は「ぽい子」? 何だろう? 人のような名前だな。」
主人公は箱を開ける、そこには・・・
「・・・え~っと。」
中に入っていたのは、
「ぽい~・・・ぽい~・・・」
犬ではなく、人間!? いや、確かこの子どこかで・・・
「ぽい~・・・ぽい~・・・」
「ぽい」と喋る女の子は涙を浮かべながら、主人公を見つめた。
「・・・・・・」
確か・・・そうだ、この子は確か”夕立”って名前の・・・でもどうして箱の中に?
「ぽい~、ひっく・・・ぽい~。」
夕立の顔や体には無数の傷が、
「・・・・・・」
虐待でも受けたのか? そして終いに主人に捨てられたって事?
「ぽい~。」
夕立は「ぽい」としか言わない。
「はぁ~、そんな顔するなよ・・・分かった、飯位は食わせてやるよ。」
放っておけなかったのか、主人公は夕立を家へと連れて行った。
・・・・・・
「ほら、着いたぞ。」
主人公は夕立を家に入れて、
「まずはその濡れた服を洗おうか、そんな恰好で室内を歩き回られたんじゃ困るからな。」
そう言って、夕立に服を半ば強引に剥ぎ取る。
「!? ぽい! ぽい~!」
服を取られた夕立はジッと睨む。
「そんな顔するな、ほらタオル。 風呂は沸いてるから早く入ってこい!」
主人公はバスタオルを夕立に渡した。
「ぽい? ・・・ぽいぽい~。」
夕立は風呂場に入って行った。
「よし、後はこの服を洗濯してと。」
夕立が入っている隙に服を乾燥機にかけた主人公。
・・・・・・
「ぽい~。」
入浴を終えた夕立が出て来た。
「ほら、服。 入浴している間に乾かしたから。」
「・・・ぽい~♪」
夕立は喜んで服を着た。
「オレはそろそろ夕飯にするけど、君も何か食べるか?」
主人公が聞くと、
「・・・・・・」
夕立はポケットから何かを取り出し、主人公の前に出す。
それは、「夕立」と名前の書かれた「犬用のエサ皿」。
「・・・・・・」
主人公は一瞬無言になる。
「ぽい~♪ ぽい~♪」
夕立はエサ皿を持って喜びながらご飯を求めた。
「・・・少し待ってくれ、すぐに作るから。」
主人公は調理に掛かる。
・・・・・・
「ほら、君の分。」
そう言って、夕立が出した皿には盛らず、家の皿に盛りつけて夕立に差し出した。
「ぽい~・・・」
夕立は出された食事を見て不思議そうに見つめる。
「ほら、スプーン。 これですくって食べな。」
主人公はそう促すが、
「・・・ぽい~。」
夕立はスプーンを使わず、なんと口だけで食べ始めた。
「・・・・・・」
その光景はまさに犬の様。
「ぽい~♪」
おいしかったのか、夕立は笑顔だ。
「・・・・・・」
主人公は気づいたが、彼女は今に至るまで言葉を話していない。 ただ「ぽい。」としか言っていない。
「君は話すことが出来ないのか?」
主人公の問いに、
「ぽい? ・・・ぽい~。」
夕立は不思議そうに主人公を見つめる。
「前の主人に虐待でもされたのか? それで喋れなくなって・・・」
主人公は夕立に詰め寄る。
「・・・・・・」
夕立にとって、今の主人公の態度は「怒っている」と思ったのか、
「ぽい~!! ぽいぽい~!!」
急に姿勢を変え、お腹を見せた。
「ぽい~! ぽい!」
「・・・・・・」
わかる・・・このポーズは犬で言えば「ごめんなさい」だ。
「・・・・・・」
夕立はしばらく、その恰好を保ち続けていた。
・・・・・・
「ぽい~・・・ぽい~。」
眠くなってきたのか、夕立は何度も目を開けたり閉じたりしていた。
「眠いのか? 布団敷くから待っていろ。」
主人公が自分の分と一緒に布団を敷き始めるが、
「ぽい~・・・! ぽいっ!」
夕立は何故か部屋の片隅に移動して、
「ぽい~♪」
毛布を1枚持って行ってその場で寝てしまった。
「・・・・・・」
人として扱われていなかったのか、この子は?
犬の様な生活をしている夕立を見て主人公は心が痛んだ。
・・・・・・
翌朝、
「ぽい、ぽいぽい~。」
夕立の声で目が覚めた主人公。
「う~ん、どうしたんだ?」
目覚めが悪い主人公に、
「ぽい~。」
口に何かを咥えている・・・それは、首輪?
「ぽいぽい~♪」
夕立は目を輝かしている。
「・・・・・・」
散歩したいってこと?
「・・・・・・」
主人公は恐る恐る首輪を取り付けると、
「ぽい~!」
そのまま一緒に外に出て行った2人。
・・・・・・
「ぽい~・・・ぽいっ♪」
夕立が喜びながら道を走る。
「・・・・・・」
流石に犬と違って人としての走り方であるが、何て言うのか・・・見ていてとても不憫である。
「?」
今まで気づかなかったが、
「髪の奥に・・・何だあれは?」
主人公が呼ぶと、夕立は喜んで駆け寄ってくる。
「ぽい~?」
頭を出してきた、撫でて欲しいようだ。
「・・・・・・」
試しに主人公は撫でてみる。
「ぽい~♪ ぽい~♪」
夕立は嬉しそうだ。
「・・・・・・」
主人公はその隙に、片方の手で夕立の髪を掻き分けて行く。
「・・・・・・」
頭皮に付いた小型の機械? 主人公は迷わず外した。
ブチッ!
「!? ぽい~!!!」
痛かったのか、頭を押さえて地面にうずくまる夕立。
「ご、ごめん! 大丈夫か!?」
主人公はすぐに駆け寄る、
「・・・ううっ。」
頭を押さえながら夕立は辺りを見回し、
「い、痛いっぽい~。」
「・・・・・・」
あれ、今喋ったよね!?
夕立を見つめていると、
「ゆ、夕立! 話せるようになったっぽい!!」
すぐに主人公の方を向き、
「ご主人様! 感謝するっぽい!」
そう言って、深々と礼をした夕立。
・・・・・・
「え~っと、つまり?」
主人公は状況を整理する。
「前の主人が、君にこの装置を付けたってことだよね?」
「多分、そうだと思うっぽい。」
「・・・・・・」
「今まで意識はあったけど、体が勝手に動いてて・・・声も出せなくて困ってたっぽい。」
「・・・・・・」
「ご主人様のおかげで、夕立救われたっぽい~♪ 感謝するっぽい♪」
「いや、別にオレは装置を外しただけなんだけど・・・」
何度も礼をする夕立、彼女にとって主人公は自分を助けてくれた恩人のようだ。
「でも何で君にこんな装置を? 前の主人は君を犬にしようとしたの?」
「・・・・・・」
夕立は少し考えて、
「多分、夕立が提督さんに逆らったからだと思うっぽい~。」
「・・・提督に?」
夕立の話によると、元々いた場所は治安が悪く毎日のように提督から暴力を振るわれていたのだと言う。
「それを付ける前に提督さんから「お前は犬になってしまえ!」って言って夕立に無理やり付けてきたっぽい~。」
「・・・そうなんだ。」
「酷い目に遭ったんだなぁ」と同情する主人公。
「・・・あの、ご主人様。」
夕立は急に改まって、
「夕立、ここにもう少し居たいっぽい! またあの鎮守府に戻るのは嫌っぽい~!
だからこの家で生活させて欲しいっぽい~!!」
夕立は何度も何度も頭を下げた。
「・・・・・・」
入浴前に見た夕立の体にある無数の傷、そして提督(上司)から暴力を振るわれていた事実。
それらを含めて同情していたこともあり、
「分かったよ、君が居たいだけこの家にいるといい。」
「!? 本当、本当に!? 感謝するっぽい~!」
夕立は笑顔で喜んだ。
・・・・・・
「確かに家にいてもいいと言ったけど・・・」
主人公は少し後悔する、その理由は、
「ご主人様ぁ~、お腹空いたっぽい~。」
夕立はその容姿とは裏腹に遠慮のない性格であった。
「・・・・・・」
ある意味、「話せるようになった犬」と考えた方が分かりやすいかな。
「ぷはぁ~、 お腹一杯っぽい! ・・・ふぁ~あ・・・寝るっぽい~。」
最近では、「食べて寝る」の生活。 これでは犬どころかただの「ニート」である。
「まぁ、辛い目に遭ってきた過去があるし、多めに見よう。」
主人公は至って温厚、怒るわけでもなく愛想が尽きているわけでもない。
「? また親父から電話か。」
主人公は電話を取って別の部屋に向かう。
「・・・・・・」
主人公が去る姿を寝ていたはずの夕立が見つめていた。
・・・・・・
2月になったある日の事、
「ご主人様ぁ~、お小遣い欲しいっぽい~♪」
衣食住の次は小遣いを切望、夕立は本当に遠慮がない。
「ほら、無駄遣いするなよ。」
と、財布から1000円を出して夕立に渡す、
「感謝っぽい~!」
小遣いをもらって、上機嫌な夕立。
「ご主人様ぁ~、夕立お腹空いたっぽい~。」
いつもの食事の要求、
「わかったわかった、少し待ってくれ。」
「やれやれ」と思いつつ、台所で調理を始める主人公。
・・・・・・
「少し外出するから、夕立は家で大人しく留守番していてくれよ。」
「は~い♪ 夕立、家で留守番するっぽい~!」
玄関で手を振りながら主人公を送った夕立、
「はぁ、また親父からの呼び出し・・・いい加減、諦めて欲しいんだけど。」
主人公はぶつぶつ言いながら、歩いて行った。
・・・・・・
「ただいま~。」
家に帰ると夕立が玄関で座り込んでいて、
「はっ、はっ・・・おかえりなさい~♪」
と、頭を出してきた。
「ずっとここで見張ってたっぽい~! ご主人様ぁ~、褒めて褒めて~♪」
どうやら、番犬をしたことを褒めて欲しいようだ。
「(汗)・・・よしよし、ご苦労様。」
主人公は頭を撫でてあげる。
「ぽい~♪ ぽい~♪」
夕立は上機嫌である。
「・・・何も喋らなければ本当に可愛い子なんだけどね~。」
主人公は頭を撫でつつ、ぼそっと呟く。
・・・・・・
「? お父さんの所に行ってたっぽい~?」
夕立がしつこく聞いてくるので、主人公は素直に答えた。
「うん、「オレの仕事を継いでほしい」って言われてね。」
主人公は渋々答えた。
主人公の父親は、ある施設の責任者である。 たくさんの部下を従え、的確な指示を出し部下からは厚い信頼を受けていた。
父親のことを尊敬はしていたが、父の仕事を継ぐ気はそもそも無かった。
昔から師弟や上司と部下の関係が好きではなかったため、就職も1人で働ける場所を重点として探していた。
そんな父親が大病を患い、入院することになった。 会った時はやつれていて話すのがやっとの状態で、
「私はもう長くは生きられない、せめてお前に私の後を継いでほしい。」と言われたのだ。
「それで、ご主人様はお父さんの仕事を継ぐっぽい~?」
「いや、オレは上下関係って言うのが好きじゃないんだ・・・1人で自由気ままに生活したいから、何度も断っていたんだけど・・・」
そんな時に、突然父が倒れ入院、医師によると「手の施しようがない」と。
「でも、お父さんが可哀そうっぽい~! 「何度もお願いする」ってことはご主人様を「頼りにしている」からだと思うっぽい!」
「・・・・・・」
夕立って、時に真面目な事を言うときがあるんだな・・・
「仕事を継いであげた方がいいっぽい~! お父さんもその方が喜ぶっぽい~!」
「・・・そうだね。」
主人公は夕立の頭を撫でて、
「少し考えてみるよ、別に親父の事が嫌いではないからさ。」
「うん♪」
主人公の言葉に夕立は安心した。
・・・・・・
2月の中旬に、
「ご主人様ぁ~。」
夕立は主人公の前に立ち、
「これあげるっぽい~!」
夕立から渡された物は、
「チョコレート?」
主人公は気づく、今日は2月14日だ。
「夕立、チョコレート買ってきて、最初から頑張って手作りしてみたっぽい~! 結構・・・頑張ったっぽい~!」
夕立は恥ずかしながら答える。
「・・・・・・」
そこで気づいた・・・夕立がお小遣いを要求してきたこと、深夜に台所でこそこそしていた事、手に火傷を負っていた事・・・
「ありがとう、大切に食べるよ。」
そう言って、夕立の頭を撫でてあげた。
「ぽい~♪ ぽい~♪」
夕立は上機嫌だ。
・・・・・・
・・・
・
ここは夕立がいた鎮守府、
「提督、どうして夕立を捨てたのさ?」
夕立の姉妹艦である時雨が提督に抗議した。
「どうして? オレに逆らったからだ。 飼い犬の分際でオレに逆らうあいつが悪い。」
「だからって・・・夕立は提督のためにずっと戦果を挙げたり、ずっと慕っていたのに・・・あんまりだよ!」
「あぁ? 飼い犬の分際でお前も逆らうつもりか?」
提督が時雨を睨む。
「僕は夕立を見つける、そして2人で鎮守府から出て行くから!」
「やって見ろ、その時は必ず2人を見つけて二度と逃げられないように躾をしてやるからな!」
「・・・・・・」
提督の脅しには動じず、時雨は執務室から出ていった。
・・・・・・
数日後、主人公と夕立は買い物のため、店に来ていた。
「ご主人様ぁ~、夕立お菓子買っていいっぽい~?」
「うん、この籠に入れてくれ。 オレは野菜と肉のコーナーを回っているから。」
「は~い♪」
そう言って、2人は別行動に出た。
「今日の夕飯は・・・肉じゃがでいいかな。」
主人公は野菜と肉を手際よく籠に入れていく、
「よし、後は夕立を待つだけ、と・・・?」
主人公はレジ付近の壁に貼られた広告に目をやる。
「・・・・・・」
書いてあった内容は、
この子(夕立の写真)を探しています、見かけた人(見た人)はすぐに時雨へ連絡求む!
「ご主人様ぁ~、お菓子持ってきたっぽい~♪」
夕立はお菓子を籠に入れる。
「? ご主人様ぁ~、どうしたっぽい~?」
主人公の見る方向に夕立が見ると、
「・・・・・・」
夕立が急に無言になる。
「夕立・・・」
主人公は夕立を呼ぶが、
「時雨・・・」
夕立は悔しそうにわなわなと手を震わせた。
・・・・・・
家に帰ると、
「夕立、鎮守府に戻るっぽい!」
あれだけ帰ることを拒んだ夕立が戻ることを決意した。
「時雨は夕立と同じ姉妹艦なの! あたしが捨てられた後、時雨が提督さんの秘書艦になったって聞いた。」
「・・・・・・」
「多分、あたしがいなくなった事で今度は時雨が暴力を受けてるかもしれないっぽい! 本当は戻るなんて嫌だったけど、
時雨まで酷い目に遭って欲しくない! だから戻って提督さんを説得するっぽい~!」
「そうか。」
主人公も夕立の決意に文句は言わなかった。
「オレも行くよ、夕立だけだと心配だからさ。」
主人公の言葉に夕立は驚き、
「!? ご主人様も? そんなの駄目っぽい~!」
夕立は主人公が行くことを頑なに拒んだ。
「これは夕立の問題っぽい~! 今日まで夕立をかくまってくれたご主人様に迷惑は掛けたくないっぽい~!」
恩義を感じていて、自分の問題に巻き込みたくない夕立だったが、
「そんな事気にしなくていいよ、提督とは言え人間だろ? 夕立のように部下が抗議するよりも、同じ人間のオレが
説得すれば何とかなるんじゃないかなと思ってさ。」
主人公は冷静に答え、そして思った。
犬の様な扱いをされた挙句、捨てられた夕立が戻ればまた提督から虐待されるだろうと言うのは容易に想像できる、
主人公は「それだけは阻止しないと!」と、彼なりの目的があった。
「ご主人様・・・」
夕立は申し訳なさそうに主人公を見つめる。
「オレは大丈夫だから、夕立ももし危険と思ったらすぐに逃げる、わかった?」
「・・・分かったっぽい~、ご主人様も危なかったらすぐに逃げてっぽい~。」
お互いに指切りをしてその日は一緒に就寝した。
・・・・・・
翌日、
2人は鎮守府に赴く。
門の憲兵に止められたが、
「夕立を連れて来た、提督と話がしたい!」
そう言って、夕立を確認させると憲兵は2人を待合室へと連れて行った。
少し時間が経った後、扉が開いた。
「夕立!」
入ってきたのは、
「時雨? 時雨っぽい!」
夕立が言っていた同じ姉妹艦の「時雨」、2人はお互いに無事を確認した。
「良かった、探していたんだ・・・本当に無事で良かったよ。」
目の前に夕立がいることを確認してようやく安堵の表情を浮かべる時雨。
「夕立も、時雨にまた会えて嬉しいっぽい~!」
夕立も寂しかったのか、すぐに時雨に抱き着いていた。
「感動の再会ってやつか? めでたいな。」
扉から、また1人入ってくる。
「て、提督さん。」
夕立は提督を見て震える。
「私は夕立を連れてきてくれた人間と話がしたい。 時雨と夕立は私の命令があるまで部屋で待機していろ。」
「・・・・・・」
2人は何も言えず、そのまま待合室から出て行った。
「さて・・・」
提督は主人公の前に座り、
「夕立を見つけてきてくれて感謝する。 感謝のしるしとして、謝礼を貴君に進呈しよう。」
提督は懐から封筒を出して、主人公に差し出す。
「いや、報酬を貰うために来たわけではないので・・・謝礼は結構です。」
主人公はきっぱりと断った。
「夕立はまたここで働くんですよね?」
主人公は率直に尋ねる、
「ああ、また私の下で頑張ってもらう事になるよ。」
「そうですか、その件について提督にお願いがあるのですが。」
「? 何かね、言って見なさい。」
提督の質問に、
「夕立に暴力を振るう事を止めていただけませんか?」
体中にあったたくさんの傷、見ていて可哀そうで夕立も最初は苦痛の表情だった。
いくら夕立が命令違反したとはいえ、あそこまではやり過ぎだと主人公は訴えたが、
「それは貴君には関係のない事、私の判断で夕立を躾けているのだ。」
主人公の意見を提督は拒否した。
「貴君は虐待と思っているようだが、勘違いされては困る。 あれは出撃中に負った傷、
私が躾でつけた傷など、極僅かだ。」
挙句に提督は虐待を否定した。
「ですが、それでは夕立が・・・」
そこまで言いかけたところで、
「貴君は何も分かっていないようだな、抗議する時は相手を判断してから言いたまえよ!」
「・・・・・・」
「貴君は一般人、軍の長に意見をするとは無礼もいい加減にしたまえ! しかも私が虐待をしていたと?
ふざけるのもいい加減にしたまえ!!」
「・・・・・・」
「あまり私の評価に傷をつけて欲しくないものだな、そこまで言うのなら証拠があるのかね?」
「・・・・・・」
「無いのだろう? なら一般人が軍人の私に意見をするな!!」
「・・・・・・」
主人公は悔しかったが、証拠がない以上は何も答えられない。
「とにかく、夕立を連れて来てくれたことには感謝する。 少ないがこれは謝礼だ・・・それを持ってさっさと出て行くことだ。」
「・・・・・・」
主人公は封筒を受け取り、
「分かりました、数々の無礼をお許しください。」
そう言って、主人公は待合室から出て行った。
・・・・・・
「夕立。」
門を出たところで主人公はまた鎮守府を見る。
「夕立、せめて君がこの鎮守府で無事に働けることを願うよ。」
せめて自分が助けたかった、しかし現実は権力と言う武器で隠滅を計る提督のやり方に成すすべがなかった。
「オレは・・・何もできなかった。」
自分の無力さに悔しさを感じつつ、主人公は鎮守府を後にした。
・・・・・・
「ふん、また戻ってくるとはな。」
部屋で待機させていた2人に提督が詰め寄る。
「あの男に何を吹き込んだんだ夕立?」
「・・・・・・」
夕立は怖くて何も言い返せない。
「夕立・・・貴様は自分の立場が分かっていないようだ。今後このような失態を犯さないように私が訓練してやるよ!」
「待って、止めてよ提督!」
時雨が横から口を出すが、
「もちろん時雨、お前もだ。」
「・・・・・・」
「お前たち2人には、もっと厳しい躾が必要のようだ。 もう二度と逆らえないように体に分からせてやろう!」
提督の言葉に2人はぞっとした。
・・・・・・
・・・
・
夕立が鎮守府に戻り、程なくして主人公に親類から悲報が届く。
入院中だった父親が息を引き取ったのだ。
すぐに葬儀が行われたが、親類以外に葬儀に参加していた人間が多いことに主人公は気づいた・・・そう、皆父親の部下だった。
「・・・・・・」
父が死んだことで、部下が全員葬儀に参加していたことに驚き、
改めて父の偉大さを知りつつ、皆から絶大な信頼を受けていたんだと実感した。
その後、葬儀は順調に行われ父は火葬された・・・
・・・・・・
「すいません、あなたはご子息ですよね?」
父の部下であった人たちが主人公に話しかける。
「お願いがあります、お父さんの代わりに私たちを指示してください!」
「・・・・・・」
「お父さんが言ってました、「息子は責任感があり、頼りにできる存在だ」と。 お願いします、お父さんの遺志を継いでもらえませんか?」
「・・・・・・」
まさか、父がそんな風に思っていたなんて知らなかった。 「仕事を継ぐ気はない」と言った時点で、
折り合いが悪くなり、オレは家から出て行ったのに・・・
「私からも、お願いします!」
主人公の周りを皆が囲み、
「私たちを、導いてください!」
全員が必死に願った。
「・・・・・・」
確かに父(上司)が死んだ今、ここにいる皆は次へ進めない。
このままでは皆が路頭に迷うだろう・・・それでも、オレは「1人で自由気ままに働きたい」と言えるか?
父が願った遺志、父を尊敬していた皆を見捨てられるか・・・
「分かった・・・父みたいに上手くできるか分からないけど、やれるところまでやって見るよ。」
主人公の言葉に、
「ありがとうございます!」
周りを囲んでいた皆が歓喜の声を上げた。
「・・・・・・」
この人たちのためにオレは父の仕事を継ごう、それが父に対しての親孝行になるしそして・・・あの子のためにも!!
主人公は決意して、皆と一緒に仕事場へと向かった。
・・・・・・
・・・
・
1か月後、
ここは夕立がいた鎮守府・・・の地下。
「・・・・・・」
提督に暴力を振るわれたのか、痛む箇所を押さえる夕立。
「夕立、大丈夫?」
隣にいた時雨が夕立を気遣う。
「夕立は大丈夫・・・時雨の方こそ、大丈夫っぽい~?」
夕立は時雨の顔を見つめる。
「提督さんに思いっきりぶたれたでしょ? 痛くないっぽい~?」
夕立は半ば半泣きで時雨を見つめた。
「僕は大丈夫・・・黙っていたけど、夕立に謝らないといけないことがあるんだ。」
「? 夕立に謝りたいこと?」
夕立は首を傾げる、
「僕が探していると書いてあるポスターを見て夕立はここに戻って来たんだよね?」
「? うん。」
「でも、あのポスター・・・あれを作ったのは僕じゃないんだ。」
「えっ、どういう事っぽい~?」
時雨の言っていることが分からず、
「提督が・・・僕より先に先手を打ったんだ。」
時雨は少しずつ答える、
「提督が僕の名前を入れて、さも「時雨が探している」と思わせるために仕掛けた罠だったんだよ。」
時雨の言葉に夕立は驚く、
「そんな・・・」
夕立はショックを受けた。
「本当は僕が先に夕立を探すつもりだったんだけど、提督に先を越されてしまった・・・だから、ごめん!
先に見つけられなくて本当にごめんね、夕立!」
時雨は悔しながらも夕立に何度も謝った。
「時雨・・・」
夕立は無言のままだ。
「夕立を見つけたらこの鎮守府から一緒に逃げようと思っていたんだけど・・・もう無理だね。
提督もずっと怒ったままだし・・・これから毎日のように暴力を受ける日々が続くよ。」
時雨はもう全てを諦めた様な表情が見て取れた。
「・・・・・・」
そんな時雨を見て夕立も、「もう助からない。」と思わざるを得なくなった。
・・・・・・
ある日の事、
地下に閉じ込められていた夕立と時雨が執務室に呼ばれた。
「今日は本営からお偉いさんがここに来るからな、この鎮守府の看板娘として迎えるんだ。」
「・・・・・・」
夕立の心境は複雑だ。
夕立は前にこの鎮守府にお偉いさんがやって来た時、咄嗟に「助けて!」と泣きながら願った。
当然本営の人間は「何事だ?」と動揺しつつ、提督に理由を聞いたが結局本営側が丸め込まれ、夕立の訴えは届かなかった。
その後である、夕立が更に暴力を受けた挙句に「犬になる装置」を付けられ、捨てられたのは・・・
「・・・・・・」
「分かっているな夕立、前みたいにふざけた行為をしたら、今度は時雨も一緒に揃って厳罰だ!」
提督の無慈悲な言動に夕立は怯える。
「・・・・・・」
それ以上に夕立は思った、「どうせ助けを願っても無理」だと・・・
「お? 来たか。 私の戦果も上場、そろそろ昇進するチャンスだな・・・ほらお前ら! 暗い顔をしてないで笑え!!」
「・・・・・・」
2人は提督の機嫌を損ねないように、無理にでも明るく振る舞った。
・・・・・・
「鎮守府へようこそ! 僕は提督の秘書艦をしている時雨です、よろしく。」
時雨は元気よく挨拶をして、本営の人間を出迎えた。
「駆逐艦夕立です! この鎮守府で活躍してるっぽい、よろしくね!」
夕立も元気よく挨拶をした。
「ああ、よろしく。」
「? っぽい~?」
夕立は何故か違和感を感じた。
「・・・・・・」
初めて会うはずの本営の人間のはずなのに、夕立は何故か懐かしく感じた。
「・・・あなたがこの鎮守府の提督殿か?」
本営のお偉いさんが提督に尋ねる。
「はい、そうです元帥閣下!」
「・・・・・・」
元帥・・・階級としては最高位である。
「ささっ、元帥閣下がいらっしゃると聞いて、席を御用意しました! どうぞここにお座りください!」
元帥に対して媚びる提督、
「いや、構わない。 早速だが提督殿と話したいことがあるのだが?」
元帥はいきなり話題を変えた。
「はい、何でしょう?」
提督が尋ねると、
「提督殿はこの鎮守府で艦娘たちにやたらと暴力を振るっていると聞いたのだが、本当かな?」
元帥の口から発せられた予想外の言葉、
「えっ!? いや、決してそのようなことは。」
提督は否定する。
「そうか、ある艦娘から私に相談があったのだが、それでも違うと言うのか?」
元帥の質問に、
「はい、決してそのような事は致しておりません! そうだろ、2人とも?」
提督が2人を睨みつける、
「はい・・・提督は優しくて常に僕たちを支えてくれています。」
「夕立も・・・提督さんの事が好きっぽい~。」
提督を怒らせたくないのか、必死で説明する夕立と時雨。
「そうか、なら私から言いたいのだが。」
その後の元帥の言葉に夕立は言葉を失った。
「雨の日に「ぽい子」と書かれた段ボールの中に夕立がいたことはどう説明するのだ?」
「なっ!?」
提督は驚く、
「夕立の体に無数のあざがあるのはどう説明する? それでも、暴力をしていないと言えるのか?」
その言葉に提督は驚きを隠せない、それは虐待していたという事実を言われたこと以上に、
どうして元帥がそのことを知っている!? と・・・
「・・・・・・」
夕立は気づく、
確かに「ぽい子」と書かれた段ボールに入っていたことは事実で、たくさんの人たちが素通りしていたことは事実、
でも、体のあざの事は・・・鎮守府以外で夕立が肌を露出したのはあの時、主人公の家で入浴をした時のみ!
「何だ、提督殿・・・まだ気づいていないのか。」
元帥は帽子を取る、その人は・・・
「!?」
夕立は驚く、
「ご、ご主人様!?」
それは夕立を段ボールから救い、犬の状態から艦娘に戻してくれた恩人がその場にいた。
「なっ、 なぜ貴様が!?」
「提督! 元帥閣下に何という口の利き方だ!」
元帥側近の部下が提督を叱りつける。
「・・・失礼しました!」
提督は無言になる。
「提督殿、あんたの言う通りだ・・・「抗議する時は相手を見てから判断しろ」だったな。」
「・・・・・・」
「あんたのした事は既に調査済みだ、言い逃れは出来んぞ!」
「・・・・・・」
「艦娘に対する虐待及び地下監禁、そして度重なる証拠隠滅・・・まだまだあるが、それだけで十分重罰に値する!!」
「・・・・・・」
「荷物を持ってさっさと鎮守府から去ることだな、今なら重罰を見逃してやる!」
「・・・・・・」
元帥からの言葉に提督は悔しつつも、荷物をまとめ執務室から出ようとした矢先、
「夕立!!」
提督は夕立を睨み、
「絶対復讐してやる! 覚えてろよ!」
と、怨恨如き視線を向けた。
「あ、そうそう。 もう1つ言うべきことがあった。」
元帥が提督を制止させ、
「工廠場の明石さんに作らせたんだってね、夕立に取り付けたこの装置。」
そう言って、夕立の頭から外した装置を取り出し、
「あんたに返すよこれ。」
カチャ!!
「なっ!? 何をするんだ!?」
提督の頭に装置を取り付けた。
「明石さんが提督に言わなかったその装置の「もう1つの効果」を教えてくれたよ。」
「・・・・・・」
「その装置、「艦娘だけでなく人間にも効果が及ぶ」だそうだ。」
「!? くそぉっ!!」
提督は急いで外そうとするが、
「無理だよ、明石さんに改良してもらって「一度取り付けたら本人が死ぬまで外せなくなる」そうだから。」
「!? このやろう・・・!? この、この・・・こ・・・」
提督の言動が次第におかしくなり、
「アオン・・・ワン、ワン!」
提督の言動は犬と化した。
「あんたには鎮守府ではなく、犬小屋が最適だよ。 ・・・連れて行け。」
側近に指示をすると、提督を無理やり鎮守府から連れ出した。
「・・・さて。」
元帥は夕立に近づく、
「ご主人様・・・どうして?」
夕立は訳が分からず、
「ああ、父の遺志を継いだんだ。」
「? お父さんの?」
夕立は首を傾げる、
主人公の父親は、ある鎮守府の最高司令官であり葬儀に出ていた部下は全員艦娘である。
「上下関係が嫌で継ぐ気はなかったけど。」
「・・・・・・」
「父の遺言と父を慕っていた艦娘たちの懇願でオレは提督になった。」
「・・・・・・」
「もっと早くここに来たかったけど、遅くなってごめんな。」
主人公は夕立に謝る。
「後これ、本当は当日に渡したかったけど・・・」
そう言って、主人公は夕立に何かの袋を渡す。
「提督さんこれは?」
夕立は立ち込める臭いに鼻で嗅いだ。
「クッキーっぽい! もしかして、これって?」
「うん、この前のバレンタインデーのお返しだ。」
主人公は恥ずかしながら答えた。
「あ、ありがとう、すごく嬉しいっぽい~!」
夕立は泣きながら喜んだ。
・・・・・・
「夕立。」
主人公は急に改まり、
「オレの鎮守府に来ないか?」
「えっ?」
夕立は驚く、
「夕立にとってこの鎮守府は辛い出来事が多過ぎただろう? でも、オレは絶対に夕立を大切にする。
だからオレの鎮守府に来ないか、夕立?」
「・・・・・・」
夕立は少し考え、
「提督さん、時雨も連れて行っていいっぽい~?」
「? 時雨?」
主人公は時雨であろう執務室にいたもう1人の艦娘を見る。
「時雨も夕立と同じ姉妹艦、提督さんに暴力を受けていたし夕立と同じ辛い目に遭ったっぽい~。
だから時雨も一緒に連れて行きたいっぽい~!」
「夕立・・・」
後ろで聞いていた時雨が呟いた。
「分かった、夕立がどうしてもと言うなら、構わないよ。」
「!? 本当、本当っぽい~!?」
「ああ、喜んで歓迎するよ。 じゃあ2人とも、すぐに出る準備をしてくれ。」
「分かったっぽい~!」
「提督、その・・・あ、ありがとう!」
主人公は外に出て待機して、夕立と時雨は荷造りを始めた。
「準備出来たっぽい~♪」
「そうか・・・じゃあ行こうか。」
こうして2人は主人公のいる鎮守府へと旅立った。
・・・・・・
その後、夕立と時雨は主人公のいる鎮守府へと着任し、在住の艦娘達とはすぐに打ち解けた。
夕立たちを虐待していた提督は、その後裁判に掛けられ「有罪」が確定。
自分の意見が一切言えず、留置所で毎日のように囚人たちに可愛がられる地獄の日々が続いた。
・・・・・・
・・・
・
「ただいま~。」
主人公が家に帰ると、
「おかえりなさいっぽい~♪」
夕立が玄関でお出迎えをした。
主人公の家が気に入ったのか、夕立は家で居候となっていた。
「ご主人様ぁ~、ご飯の用意出来てるっぽい~♪」
夕立は家では主人公の事を相変わらず「ご主人様」と呼んでいる。
「ありがとう! ぽい子はいい子だなぁ~。」
そう言って、夕立の頭を撫でてあげる。
「ぽい~♪ ぽい~♪」
夕立は上機嫌だ。
主人公も家では夕立の事を「ぽい子」と呼んでいる。
「ちょっと・・・それ僕が作ったんだけど!」
フライパンを持ちながら、「ぷぅ~」っと顔を膨らませる時雨。
「そうなのか? それは悪かったなポチ。」
主人公は申し訳なさそうに時雨の頭も撫でてあげた。
「いや、別にいいけど・・・それより、どうして僕だけ犬みたいな名前で呼ぶのさ?」
家では何故か時雨の事を「ポチ」と呼ぶ主人公。
「嫌か? オレとしては気に入っているんだけど・・・」
主人公はきっぱりと答える、
「・・・まぁ、提督が気に入ってるんだったら・・・それでもいいけど。」
時雨は恥ずかしそうに顔をそらした。
「ご主人様ぁ~、早く着替えてご飯食べるっぽい!」
「ああ、そうだな。 すぐに着替えて来る。」
主人公は部屋に戻って着替えを済ませる。
「よしポチ、オレも手伝うよ。 ぽい子は3人分の皿とコップを用意して。」
「了解したっぽい~!」
3人で手際よく夕食の準備をした。
「じゃあ、頂こうか・・・それでは、いただきます!」
「いただきます(っぽい~)!」
今日も3人での楽しい夕食が始まった。
・・・・・・
・・・
・
2人が鎮守府に来てから1年が経ったころ、
「提督さん、これあげるっぽい♪」
夕立が後ろに隠していた物を主人公に差し出す。
「? これは?」
「え~っと、バレンタインのチョコレートっぽい! 夕立、結構頑張って作ったっぽい~!」
「そうか、今日は2月14日か・・・ありがとう夕立!」
そう言って、夕立の頭を撫でてあげる。
「ぽい~♪ ぽい~♪」
夕立は嬉しそうだ。
「提督、少し話せるかい?」
時雨がやって来て、
「僕からもあげる・・・提督が良ければ、食べてね。」
時雨も夕立と同じく後ろに隠していたチョコレートを差し出す。
「ありがとう、時雨。 後で2人のチョコを交互に食べるよ。」
そう言って、時雨の頭も撫でてあげた。
「あ~、夕立も撫でて欲しいっぽい~!」
先ほど撫でたばかりなのに再び主人公に頼む夕立。
「ははは、夕立は本当に甘えん坊だなぁ。」
夕立の望み通りにまた撫でてあげる主人公。
「ぽい~♪ ぽい~♪」
夕立は上機嫌で執務室から出て行った。
「・・・・・・」
主人公は箱を見て、
「来月はちゃんと14日に夕立にお返しをしよう。」
そう思いつつ、夕立から貰ったチョコレートを見つめていた主人公だった。
・・・・・・
その後、主人公は秘書艦として夕立と時雨の2人を同時採用、
2人は常に一緒に行動し、主人公(恩人)のために執務と出撃をこなし支えて行ったのだった。
「捨て犬ぽい子」 終
次は白露か春雨でも書こうかなぁ~♪
いいですね
それしか言葉が見つからない
期待
最高
期待してます!頑張ってください!
夕立は天使これ常識だゾ