「執務室での事件4」
ツンデレなビスマルクと真面目な提督が・・・
「提督、お願いがあるんだけど。」
突然ビスマルクさんが司令に言い寄りました。
「何だ?」
「私・・・これが欲しいんだけど・・・」
そう言って、(カタログ?)本を開いて司令に見せる。
「・・・それで、自分で買えば?」
「・・・あなたって本当に女の気持ちがわからないのね!」
「わからないも何も、毎月支給される給料やその他資金で十分買える程度の物じゃないか。」
「私はね・・・提督に買って欲しいのよ!」
「はぁ・・・」
「知らないの? 女性ってのはね! 男性からプレゼントをもらうととても喜ぶのよ!」
「・・・・・・」
司令が私の方を見て「そうなの?」と質問を・・・私は「まぁ、そうですね」と返す。
「だから、私にこれをプレゼントしてくれてもいいのよ!」
「・・・・・・」
「そしたら私もご褒美に、夜戦してあげてもいいわよ。」
おもむろに胸を見せて強調するが・・・
「却下、自分で買え!」
司令の言葉に、
「な、な、何ですって!? ここまでお願いしてるのに・・・このドケチ提督!!」
「お願いどころか、「買え」って言っているだろう! そんな女に誰が買うか、バカ女!」
「な、な、な・・・い、言ったわね!!」
ビスマルクさんが怒りのあまり体を震わせて、
「お前なぁ、言葉遣いどうにかならんのか? 何が「買ってくれてもいいのよ」だ。要は「買え」って
命令してるよな? 命令しておいて何がプレゼントだ・・・バカ!!」
「・・・・・・」
「せめて言葉遣い直してからお願いをしに来い! はっきり言って不愉快だ!」
「・・・・・・」
段々ビスマルクさんが悲しそうな表情をして・・・
「・・・何だ? 今度は泣いて済ませようとするのか? この卑怯者!」
「・・・グスッ。」
「・・・・・・」
「もう、いいわよ!! 提督のバカ!! うわあああ~~~んん!!!!」
ビスマルクさんは執務室から出て行ってしまいました。
「戦艦のくせに泣き叫んで・・・何がプレゼントだ、全く。」
司令はそのまま書類整理を始めました。
「・・・・・・」
ビスマルクさんも悪いですが・・・司令も言い過ぎですよ(焦)
・・・・・・
あの事があってか、司令とビスマルクさんの間に大きな亀裂が生じました。
廊下で会っても、挨拶すらせず出撃の際も無言で進軍し・・・空気が重いです。
最も、司令は全く気にしていませんし・・・むしろ「静かになって楽だ」と言う始末・・・
・・・・・・
ある日の事、
「霧島、いつも秘書艦ありがとう・・・だから霧島に・・・(恥)」
そう言って司令が私に何かくれました・・・それは、私が前から欲しかった髪飾りでした。
「いいんですか!? こんな高価な物を。」
値段は知っていたので、目の前に出された時は驚きました。
「うん、霧島はいつも頑張ってくれているから・・・プレゼントを渡してもいいかなと(恥)」
「・・・・・・」
ああ、ビスマルクさんが言っていたこと、気にしていたんですね。
「ありがとうございます、大事にしますね(嬉)」
「ああ、喜んでくれてよかったよ。」
「・・・あの、司令?」
「ん、どうした?」
「そろそろビスマルクさんのこと、許してあげたらどうですか?」
「・・・・・・」
「確かに彼女の言い方も悪いですが・・・司令も言い過ぎだと思います。」
「ああ・・・確かに、少し言い過ぎたかな。」
「・・・でしたら、私にしてくれたようにビスマルクさんにもしてあげてください。」
「・・・・・・」
「大丈夫ですよ、私はとても嬉しかったですから。」
「・・・そうか。」
「それに、本当は用意してあるんでしょ? ビスマルクさんのプレゼント?」
「・・・お見通しか。」
司令は決意して執務室から出ました。
・・・・・・
「・・・・・・」
ビスマルクは鎮守府外の木陰で休憩していた。
「・・・はぁ~」
ビスマルクはため息をつく。
「私ってどうして、いつもああなってしまうのかしら・・・」
提督の言うことはもっともで、言い方が悪いのは確かで・・・何度も直そうとも思った・・・でも、
「ただ私は・・・買って欲しいとか、そんなんじゃなくて・・・構って欲しかっただけ。」
言い方を直さないのは、彼女なりに提督に構って欲しい気持ちがあったからだ。
「でも、提督だって言い過ぎよ・・・はぁ~・・・最近ずっと話もしてないし。」
霧島は2人の間に亀裂が入ったと思っていたが、
「もう、私の事・・・嫌いになってしまったのかな・・・(泣)」
そう思っていると、
「何で泣いているんだ?」
「!? て、提督!」
目の前に提督がいて慌てて目を拭く。
「べ、別に大きい欠伸をしただけよ! それで、私に何の用?」
「・・・この前の事だが・・・」
「この前? ああ・・・喧嘩した事ね。 別にどうだっていいわよ! 私の事なんかほうっておいて!」
「・・・・・・」
どうしてそんな言い方するの? 提督が来てくれたのにそんなこと言って・・・私は・・・
「まぁ、その・・・言い過ぎて悪かった。」
「・・・・・・」
「次からなるべく言動は控えるよ。」
「・・・・・・」
「後・・・ほら。」
「?」
ビスマルクが渡された物・・・それは、
「・・・これって!?」
「まぁ・・・次から言葉遣いは直してくれ・・・(恥)」
提督は居づらかったのか、その場から去った。
「・・・・・・」
貰ったものを抱きしめて、
「アトミラール・・・(照)」
ビスマルクは嬉しくて泣いていた。
・・・・・・
「ちょっと提督!」
またビスマルクの怒号が響く。
「今度は何だ?」
「この前のプレゼント! 違うじゃない! 私が欲しかったのはAの1! あなたがくれたのはAの2よ!」
「・・・あ、そう・・・それで、違いはなんだ?」
「スカーフの柄が赤と黄色と少し違うのよ!」
「それだけ? じゃあいいだろう!」
「あなたねぇ、本当に気配りができないわねぇ!」
「はぁ~・・・わかったわかった・・・じゃあAの1を買おう。 だから、それを返却しろ!」
「なっ! 返せって・・・女性に渡したプレゼントを返せですって! どこまで失礼な男なの! このクソ提督!」
「あ~うるさいなぁ・・・ならそれで我慢しろ!」
「・・・・・・」
また喧嘩でも起こす気かしら? そう思っていたら・・・
「・・・わかったわ、内容は違うけど提督がくれたものだから・・・我慢するわ。」
「・・・・・・」
あら? 珍しくビスマルクさんの方が下がったわね。
「でも、次からは間違えないでよね!」
そう言って執務室から出て行きました。
「・・・結局あいつは何をしたかったんだ?」
司令は呆れた顔でした。
「・・・ふふ。」
おそらく司令に・・・構って欲しかったんだと思いますよ。
・・・・・・
その後、用事でビスマルクさんの部屋に訪れたら、
司令から貰ったプレゼントを肌身離さず大事に持っていました・・・
彼女も彼女なりに司令の事を想っているようですよ。
「執務室での事件4」 終
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