「回転寿司」
村雨が秋月に回転寿司でご馳走しようとするも・・・
「好きなだけ食べてくださいね~♪」
村雨が「ご馳走します」と言って、秋月とサラトガの3人で回転寿司に向かった時の事。
「Oh! great! たくさんのsusiがレールの上を進んでいます!」
サラトガは回転寿司に来るのは初めてのようだ。
「はい、因みに全皿100円(税抜き)ですので、沢山食べても問題ナッシング! ですよ♪」
「Oh! どれを食べても100円!? そんな上手い話があるのですか!?」
※何度も言うが、サラトガは回転寿司に来るのが初めてである。
「そうですか、それでは村雨ちゃんの御好意に甘えて・・・頂きます!」
そう言って、サラトガは興味があるネタの寿司を何皿か取っていく。
「さぁさぁ、秋月さんも遠慮なく食べて♪」
隣に座っている秋月に促すも、
「ほ、本当に・・・全皿、100円なのですか?」
秋月は心配になって村雨に尋ねる。
「はい、ほらお品書きを見て・・・ここにはっきりと、”全皿100円(税抜き)と書いてあるでしょ。」
それを見て秋月は安心するも、
「ほ、本当に・・・何でも食べていいのですか?」
「はい、卵でもマグロでも鰻でも海老・イカ、何でも好きな物を食べてください!」
「ま、マグロに鰻! それに海老やイカも食べていいんですか!?」
秋月はとても驚く。
「ほら、見て下さい。 サラトガさん・・・もう20皿を食べ終えていますよ!」
確かに、サラトガは短時間で20皿を平らげていた。
「ですから秋月さん、そんなに心配になさらずに・・・自分が「これが食べたい!」と思ったお寿司を取って
食べてください!」
村雨はまた促すも、
「ほ、本当に大丈夫ですか? サラトガさんが20皿って・・・もう2000円を超えてるって事ですよね?」
「大丈夫! そんな事もあろうかと1万円は持って来ているので、気にせず食べていいですよ!」
「1、1万円!!? お寿司に1万円なんて・・・贅沢し過ぎでは無いですか!!?」
秋月の質問に、村雨も徐々に苛立ち始め、
「秋月さん、食べるのですか、それとも食べないんですか? まずはそこをはっきりしてくれませんか?(睨)」
「む、村雨さん?」
村雨の表情は笑顔だが、怒っているようにも見えて、
「私は”今日はご馳走します”と言って、2人を誘ったのです・・・それを「大丈夫?」とか「贅沢し過ぎ」とか
普段の秋月さんの生活基準を言われても、すっごく頭に来るんですよ・・・私が言いたい事、分かりますか?(睨)」
村雨の言葉に、
「そ、そうですね・・・で、では、い・・・頂きます。」
そう言いつつ、手に取ったのは秋月らしい卵と納豆。
「はむはむ・・・! お、美味しい! とっても美味しいですぅ~(歓喜)」
秋月はあまりの美味さに感動する。
「でしょ! さぁほらもっといっぱい食べて! 今日は遠慮しなくていいから、食べたかったネタを好きなだけ
取って食べなさい。」
「は、はい! では、遠慮なく・・・」
お寿司を食べて緊張感が無くなったせいなのか、秋月は更に何皿かの寿司を手に取る。
「こ、これが・・・マグロと鰻・・・は、初めて目にします。」
秋月は「ごくっ」っと唾を飲み、緊張した面持ちで鰻を手に取り、
「い、頂きます・・・もぐもぐ・・・お、美味しいです!! 脂も乗ってご飯に合って、これが鰻なんですね!!(歓喜)」
初めて食べたであろう、鰻を食べて秋月は歓喜の声を上げる。
そして、鰻を初めて食べた感動からか、何と号泣してしまう。
「こらこら、何もそんなに泣かなくても・・・そんなに感動したんですか?」
「は、はいっ! 秋月、まさか鰻を食べられる日が来るなんて・・・夢にも思っていませんでした!!」
「・・・・・・」
「何て不憫」と思った村雨。
その後は、村雨も食べ始め、秋月も好きな皿を取り回転寿司を楽しんだ。
・・・・・・
「ご馳走様です、村雨(ちゃん)さん!!」
1万円以上持って来てはいたが・・・村雨(10皿)・秋月(12皿)・サラトガ(50皿)で余裕で足りる。
「回転寿司、いい店ですね~。 今度アイオワとビスマルクでも誘って見ましょう!」
そう言って、サラトガは礼をして立ち去る。
「秋月さんも、今度妹さんと一緒に食べに来ればいいですよ♪」
そう言って、村雨は秋月と別れる。
「照月と初月とですか・・・」
秋月は思った・・・「回転寿司に連れて行ったら、照月と初月はとても喜ぶだろうな」と。
「そうですね、全皿100円なら妹と一緒に来てもいいかもしれませんね!」
そう思って、秋月は鎮守府に戻って行く。
・・・・・・
出撃任務を終えたある日の事、
「姉さん、お寿司って・・・」
「秋月姉! 今夜はお寿司なんて・・・贅沢し過ぎじゃない!?」
”寿司”と言われて照月と初月は困惑する。
「大丈夫! 今から行くお寿司屋さんは、全皿100円(税抜き)の場所だから! 照月も初月も普段食べられなかった
お寿司、どんどん食べていいからね!」
「ぜ、全皿100円!? そんな上手い話があるの、秋月姉!!?」
※照月・初月も回転寿司に行くのは初めてである。
「じゃ、じゃあ! 鰻とか海老・イカとかも食べれる?」
「はい、好きなだけ食べていいですよ!」
秋月の言葉に、
「わ~い♪ じゃあ早く行こう、秋月姉!」
「じゃあ僕は真っ先に鰻と後は・・・ウニが食べたい!」
3人は楽しく会話をしながら回転寿司に向かう。
・・・・・・
村雨と入った回転寿司が満員だったため、違う回転寿司に向かった3人。
「本当だ! 本当にお寿司がレールに乗って回転してる!?」
寿司が進んでいる光景を見て興奮する初月。
「さぁさぁ、好きな物を食べて! 今日はいつもより多め(約1万円分)に持って来たから楽しみましょう♪」
「うん・・・じゃあ照月は・・・」
照月が最初に取った皿は、卵。
「頂きます! はむはむ・・・んん~っ! 甘くて美味しい~!!」
照月は歓喜の声を上げる。
「じゃ、じゃあ僕はこの・・・蟹を!!」
そう言って、初月は遠慮なく蟹が乗った皿を取る。
「す、凄い!! お皿も何か豪華っぽい装飾だね!!」
「・・・・・・」
「あれ? 村雨さんと来た時は皆同じお皿だったはず・・・」と疑問に思うも、
「秋月姉も、早く食べよう! 今度はねぎとろ取ったから半分にしよっ♪」
照月の言葉に、
「そ、そうですね! では今日は贅沢をして・・・頂きます!!」
秋月も照月たちと一緒に寿司を食べ始める。
「こ、これが蟹・・・カニカマじゃなくて本物の・・・蟹だぁ!!」
初月は歓喜の声を上げる。
「はむ、んむ・・・これがウニ!? 口内に広がって、言葉が出ないよぉ!!(号泣)」
ウニを食べて照月は泣いてしまう。
「では、秋月は鰻の方を・・・もぐもぐ、ああ~美味しい!!」
村雨の時と同じ、歓喜の声を上げる秋月。
3人にとって、この日は最高のご馳走を食べられたに違いない。
しかし、秋月は知らなかった・・・重大なミスをしてしまった事に。
「ご馳走様~秋月姉!」
「はいっ、先に店の外で待っていて、精算をしますので。」
秋月に言われて、2人は先に外へと出る。
「え~っと・・・私が10皿で照月は12皿、初月は11皿食べたから・・・」
単純に計算すれば、33皿の3300円(税抜き)になり、
「良かった、1万円で十分足りました。」
秋月は安心して清算をしようとするも、
「えっ!!? お値段1万円越え!!? 何で!!?」
まさかの高額な値段に秋月は思わず叫ぶ。
実は秋月・・・”回転寿司はどこでも100円(税抜き)と思っていた”ようで、今回妹たちと食べた回転寿司は
不運にもそこそこ有名なお寿司屋さんだった。
結果、所持していた金額のほとんどを失う事態に・・・
「ううっ、持っていた所持金で何とか清算出来ましたが・・・」
秋月はしょんぼりして、
「明日からの食事、どうすればいいのでしょう・・・」
どうやら清算後のおつりで明日からの食費にしようと思っていた秋月。
「秋月姉! 早く帰ろうよ!」
外で待っていた照月が声を掛ける。
「! は、はいっ! じゃあ鎮守府に戻りましょう!」
当然ながら、楽しんだ2人にこの事実は言えず、帰るまでは無理に笑顔で取り繕った秋月だった。
・・・・・・
「あらあら・・・それは災難でしたね~。」
秋月が村雨の店に来店、事情を説明する。
「う~ん、秋月さんの確認不足・・・と言いたいですけど、きちんと説明していなかった私の責任でもありますよね~。」
今、村雨は秋月に「食費を貸して下さい」と懇願されている。
「次からはきちんと確認してくださいね? ・・・今回だけですよ!」
そう言って、村雨は無償で1万円を秋月に渡す。
「そ、そんな村雨さん! 申し訳ないです!」
1万円をしかも、「あげます」と言われて困惑する秋月に、
「いらないのですか? でしたら返してくれてもいいんですよ?」
村雨がじっと睨むと、
「(怖)・・・で、では村雨さんのご厚意に感謝しまして、い、頂きます! ありがとうございました!」
そう言って、秋月はそそくさと店から出て行く。
「さ・て・と! 仕事を再開しますか~♪」
村雨は扉を開けて昼からの仕事を始める。
村雨の優遇で今日からの食事代を確保することが出来た秋月だが、
あの件があってか・・・秋月は相手からのお誘いを除き、外食に行く事は一切無くなったと言う。
「回転寿司」 終
秋月型だけで回転寿司…。
なんか嫌な予感がするのは
気のせい?
流石! 察しが言い♪
1ですが
秋月姉妹が不憫なのは
前世(軍艦)が悪い…。
この分だと涼月も、か。