2017-08-24 23:26:16 更新

概要

司令レベル最下位の鎮守府にもイベント海域出撃の許可が与えられるが・・・


前書き

参考までにキャラ紹介

提督:司令レベル最下位の通称「クズ提督」。
    他鎮守府の提督達に馬鹿にされる日々だが、本人は全く気にしていない。
    「戦果よりも安全・生存」をモットーにしているため、艦娘達からの信頼は厚い。
    別の鎮守府の艦娘達からの依頼も来るほど慕われている。

霧島:提督の第1秘書艦で唯一の理解者。

秋月:提督の第2秘書艦で対空性能トップの防空駆逐艦。

村雨:霧島・秋月を補佐する女の子。

蒼龍:敵撃沈率1位の空母の艦娘、イベント海域の旗艦を務める。

大鳳:敵撃沈率2位の装甲空母の艦娘、同じくイベント海域に出撃する。


   


この鎮守府にもイベント海域出撃の許可を与えられました。


・・・とは言っても、難易度は丙のみ(甲・乙・丙の3つがあり、丙は一番難易度が低い)で、


他鎮守府の提督達から「弱虫」や「クズ」等、暴言を吐かれています。


当の司令は全く気にもしていなく、「通常海域より難度が高い・・・皆、気を抜くな!」と、


自分の立場よりも私たちの事を気遣っていました。


私たちも、司令からの愛情が身に染みてわかっていますので、「ここは司令のために皆で戦果を挙げよう!」と


意気込んでいました。


・・・・・・


海域は全部で3つ・・・空母を含む編成と、駆逐艦のみ編成、最後は連合艦隊の決戦です。


先に出撃可能な空母編成には蒼龍さんと大鳳さんが参加、駆逐艦編成には村雨さん・秋月さん含む駆逐艦編成が参加します。


「皆さん、これから通常とは違って難度が高い海域を制圧します! 今一度初心に戻って出撃する準備をしてください!」


霧島の号令と共に第1、2編成は準備を開始・・・出撃準備が整ったところで、


「旗艦蒼龍! 出撃します! 皆、遅れないでついてきて!」


「旗艦村雨! 抜錨します! 秋月さん・海風、それに皆、ちゃんとついてきてね!」


蒼龍・村雨率いる編成部隊は出撃を開始した。


・・・・・・


「司令、第1、2編成部隊が出撃を開始・・・敵と交戦しています。」


「そうか・・・」


「今のところ、順調のようです。 蒼龍さんの報告によると最初の敵戦力を無力化させたとのことです。」


「うむ・・・では、そのまま進軍を続けろ。」


「・・・待ってください! ・・・村雨さん率いる部隊の・・・海風さんが中破・江風さん小破です。」


「すぐに撤退! 帰還後すぐに入渠させること!」


・・・・・・


村雨さんたちが帰還・・・海風・江風さんと他駆逐艦たちを入渠させる。


「すみません、霧島さん。」


「大丈夫、司令も心配しているから・・・ゆっくり入渠して体を治してください!」


序盤で中破し帰還させられるとは・・・相手の敵もそれだけ手ごわいのね。


・・・・・・


再び執務室に戻って蒼龍さんとの報告を待ち続ける。


「・・・ただいま報告がありました・・・敵中枢撃沈! ・・・司令! 第1海域を制圧! 蒼龍さんたちは見事勝利しました!」


「そうか、よくやった! 蒼龍部隊はこれより帰還・・・無事帰還するまで油断するな・・・」


「こちら蒼龍・・・了解! 直ちに帰還致します!」


「ふぅ~・・・何とか最初の壁は乗り越えましたね。」


「ああ・・・皆よくやってくれた。」


「後は・・・村雨さんたちが見事制圧できれば・・・」


・・・・・・


入渠を終えて、村雨さんたちが再び出撃を開始・・・


最初の海域は難なく制圧・・・波に乗って奮戦するが・・・


次の海域でまたしても、1人が中破・・・司令が帰還命令を出した。


「すぐに入渠、他の損傷した子も入渠しろ!」


「・・・・・・」


司令は過保護である、中破撤退が甘いと言うわけじゃないけど・・・中破ならまだ戦力的には問題はありません。


村雨さんたちも続行の意思を持っていますが、司令の命令に従うしかありませんでした。


「・・・・・・」


入渠完了・・・この時点で修復済を4つほど消費しました。


「今度こそ! 制圧して見せます!」


村雨さんが意気込んで出撃開始・・・結果は・・・


2人が中破して、撤退命令を受けました。


「今日は皆よく頑張った・・・出撃は明日から始める、今日はゆっくり体を休めてくれ!」


今日の出撃は終了・・・各艦娘は部屋に戻った。


村雨の部屋で、編成チームが話し合いをしていた。


「どうしても中破に追い込まれてしまいます・・・ここは提督から中破進軍の許可を貰わなければ先に行けません。」


最初の海域・次の海域・その次の海域に火力が妙に高い敵がランダムに潜んでいるようで、どうしても


直撃を受けて軽くて小破、重くて中破にされてしまうらしい。


「わかったわ、私が提督に許可してもらうように頼んでみるから。」


村雨の言葉に皆安心して各部屋に戻った。


・・・・・・


「・・・という事なのですが、進軍を許可していただけませんか?」


「・・・ダメだ、それはできない。」


村雨の願いも空しく、却下された。


「でも、このままでは制圧が困難です・・・これでは、せっかくのイベント海域の期間が終わってしまいます。」


「オレはあくまで「生存」を最優先に考えている・・・中破は轟沈の一歩手前だろ? だから許可できない!」


「・・・・・・」



提督・・・あなたが優しいのは分かります、でも、他鎮守府の提督達から毎日のように罵声を浴びせられていますよね?


私たちの事を気遣ってくれるのは本当にありがたいです、でも・・・提督の立場も少しは考えてください。



「・・・・・・」


「悪いな・・・お前たちの気持ちはわかるが・・・念には念を、だ。」


「わかっています・・・それでは、明日に向けて就寝しますね。」


そう言って村雨は執務室から出て行く。


・・・・・・


翌朝、村雨たちは出撃、


最初は難なく攻略、次の海域も小破で済み進軍するが・・・


3番目の海域で2人が中破、何とか勝利する。


「村雨さん! 命令を!」


「・・・・・・」


提督からは許可をもらっていない・・・でも、次の海域を制圧すれば私たちの勝利・・・だったら・・・


「このまま進軍します! 次の敵拠点を制圧! 皆気合を入れて!」


提督の命令を無視してそのまま進軍してしまった。


・・・・・・


敵拠点での攻防・・・高火力の敵が複数現れ、小破、中破の艦娘がすぐに大破し、一気に戦力不利になる。


「大破の者は後ろに下がって! 残りの部隊で応戦! 敵を攻撃して!」


村雨が前に出て指示を出し、大破した子を庇いつつ攻撃を続行・・・


結果は・・・敗北。 敵に損傷を与えたが、村雨側の損傷が圧倒的に多い・・・完全な敗北である。


「・・・・・・」


帰還している間は皆の足取りが重い・・・提督の命令無視をした挙句に敗北してしまったからだ。


「どうしよう・・・提督からどんな処罰を受けるか・・・」


出来ると信じて進軍したのに・・・全員損傷する結果になって、帰還すること自体に抵抗を持っていた。


・・・・・・


提督の態度に変化はなかった・・・「すぐに入渠! 損傷の重い子から順に入れ!」


「・・・・・・」


ああ・・・提督はとっても怒ってる・・・素直に撤退しておけばよかった・・・


「・・・・・・」


案の定、提督に呼び出しを受けて村雨は執務室に入る。


どんな処罰を受けるかと覚悟していた村雨・・・しかし、それ以上に・・・


「えっ!? イベント海域を断念!?」


まだ数日は残されている期間だが、提督はイベントを諦めると言うのだ・・・


「待ってください! また明日頑張ります! ですから私たちを信じてください!」


「・・・もう決まったことだ・・・悪いな。」


村雨の意見を聞かず、提督は執務室から出る。


この命令は鎮守府に広がり、当然のことながら蒼龍・大鳳さんの耳にも入り、提督に意見した。


「何を考えているんですか!? いきなり断念するなんてそれでも提督ですか!」


「そうですよ! せっかく1つの海域を制圧できたのに、私たちの活躍を無駄にする気ですか!!」


蒼龍・大鳳さんの怒号は激しく、側で私と村雨さんが細々と見ていました。


「それだから提督は周りに「無能」と言われるんです! いい加減自分の立場を考えたらどうですか!」


「無能で結構、あくまで「安全」だ・・・「犠牲」を出しての戦果などオレはいらない。」


「本気で言ってるんですか!? それだから一部の艦娘たちがこの鎮守府から去って行くんですよ!」


この鎮守府にいる艦娘の一部は、司令の態度に愛想を尽かして出て行くのが何人かいました。


この様子だと、あの2人も・・・


「もういいです! 提督がそんなひ弱な考えではこの先やっていけませんよ!」


「私も同感です・・・明日離隊届を出します! 別の鎮守府で頑張りましょう!」


そう言って2人は出て行きました。


「はぁ~・・・やっと、怒号が止んだか・・・」


当の司令は相変わらずののんきぶり・・・危機感が無いのでしょうか?


「・・・・・・」


隣にいた村雨さんは悲しそうな表情で司令を見つめていました・・・原因が自分にあるのにそれを庇って


司令が2人から罵声を浴びせられているのが辛かったのでしょうか・・・


・・・・・・


結局、イベント海域は断念・・・当然のことながら上にも他鎮守府からもいつより激しく罵声が飛び交いました。


「弱虫」 「提督の面汚し」 「役立たず」は当たり前で、一部の罵声も私たちに向けられようになりました。


私と村雨さんは気にもしなかったのですが、一部の駆逐艦がショックを受け部屋に閉じこもってしまいました。


「このままではヤバいですね。」


そう感じた私は司令に相談しに行きました。


「これからどうなさるおつもりですか?」


「別に・・・普段通りの執務と出撃命令をやるだけだ。」


「危機感はないのですか?」


「ない、確かにこの鎮守府だと出世は望めないだろうから・・・嫌なら出て行っても構わないよ。」


「・・・・・・」


司令の意図が掴めない・・・本当に何も考えていないのでしょうか・・・


・・・・・・


翌日、蒼龍さんと大鳳さんは離隊届を提出、「違う鎮守府でも頑張れ!」と司令ものんきで


2人は別れの挨拶すらせずに出て行ってしまいました。


2人が出て行ったことで他の駆逐艦の子たちも悩んでいました。


私は司令に対しての恩義があるので、出て行くつもりはありません・・・村雨さん・秋月さん・海風さん達も


司令に助けられた過去があり、出て行くことはないと思いますが・・・正直心配です。


「司令! 朝のおにぎりをお持ちしました!」


「ああ、ありがとう。」


そう言って出来たてのおにぎりを頬張る提督。


「・・・・・・」


あれ以降、イベントの話は一切しません・・・蒼龍さんたちが出て行ったことも口に出しません・・・


「・・・あの、司令?」


「ん、どうした?」


「司令は蒼龍さんたちがいなくなって寂しくないのですか?」


「・・・寂しくないと言えば噓になるが、本人が出て行くと決めたことだ、それに対してオレは止めない。


 違う鎮守府で幸せにやっているならオレはそれで構わない。」


「・・・そうですか・・・失礼します。」


秋月は執務室から立ち去った。


・・・・・・


あれから蒼龍さんたちは別の鎮守府に着任して早速、残りのイベント海域期間に出撃することになったそうです。


そこまで聞くとあまり違和感はないのですが、問題は蒼龍さんたちが出撃した海域・・・この海域に


空母部隊は必要ないはず・・・これは一体何を意味しているのでしょうか・・・


司令は私の報告を聞いてすぐに理解しました、その状況とは・・・


「蒼龍たちは捨て艦扱いされたな。」


「なっ!?」


嫌な予感がしましたが、まさか捨て艦なんて・・・


「まぁ、本人たちが選んだ結末だ・・・オレがどうこう言う立場ではないしな。」


司令は相変わらずのんき・・・未練はないのでしょうか?


「司令はあの2人が沈んでも構わないのですか?」


「・・・もうここの鎮守府の艦娘ではないんだ、心配する必要はない。」


「本当にそう思っているんですか?」


「・・・・・・」


私は司令をじっと見つめました。


「・・・ああ、そうだ。」


司令は立ち上がり、


「冷凍庫のアイスが切れていたな・・・少し外に出るから・・・先に寝ていろ。」


そう言って司令は出て行きました。


「・・・・・・」


司令は嘘が下手です・・・昼前にアイスを補充していたじゃないですか・・・


・・・・・・


「くっ・・・こちら蒼龍! 大破しました・・・撤退の許可を!」


「撤退は許可しない! そのまま進軍せよ!」


「でも、それでは・・・」


「これは命令だ・・・さっさと進軍しろ!」


「・・・了解! 次の海域に進軍します!」


無線が切れて・・・


「どうでした? 蒼龍さん?」


「・・・進軍しろって。」


「そう・・・私たちは捨て艦にされたんですね。」


2人はやっと状況を理解した。


大鳳も先ほど大破になり攻撃手段がなくなり、海に立ちすくんだままだ。


「これからどうします?」


「・・・先制攻撃で上手く撃沈させられることを願おうかな・・・」


明るく振る舞う蒼龍だが、どこか自信なさげな表情だ。


「・・・では、行きますか。」


覚悟が決まったようで、2人はそのまま進軍を開始した。


・・・・・・


この先に敵部隊がいるはずなのだが・・・敵はいなかった・・・その代わり、


「無様だな。」


聞き覚えのある声がして、2人は声の方向を向いた。


「て、提督!?」


目の前に提督がいて驚く2人。


「まさに轟沈間近の状態だな。」


昼間ののんきな態度とは一変してきつい一言を放つ提督。


「今さら何の用です?」


「別に・・・誰もいない海域での轟沈は寂しいだろうと思ってな・・・オレが見届けてやろうと思っただけだ。」


「・・・・・・」


「1人いるのといないとでは全然違うだろう? 安心して轟沈しろ。」


「私たちを助けに来たわけではないのですね?」


「助ける? 勝手に出て行ったお前らをなぜ助ける必要がある?」


「それは、提督にやる気が無いから私たちは・・・」


「その結果が今の状態か? さぞかし楽しい人生だっただろうね。」


「・・・・・・」


「しかし、艦娘を捨て艦にするとは・・・お前らの提督もまぁ「無能」以外の何者でもないな。」


「・・・・・・」


「オレは鎮守府にいる艦娘、オレを信じてくれる艦娘のためならいつでも命を捨てる覚悟でいる。


 自己都合で出て行く艦娘の相手なんかオレはしない。」


「・・・・・・」


「ここの雑魚共は皆片付けた・・・用が済んだのなら、さっさと帰還したら? そして、無能提督の命令でも聞いていればいい。」


そう言って提督はその場から去った。


「・・・・・・」


2人は提督を見つめ・・・


「捨て艦の私たちに帰る居場所なんてないじゃないですか・・・」


と悲しそうに呟いた。


・・・・・・


司令が帰還した直後、蒼龍さんと大鳳さんが大破状態で戻ってきた。


当の司令は「入渠させとけ。」と指示、2人は特別に鎮守府にいることを許可された。


・・・・・・


また提督達から非難の声を浴びせられる司令・・・でも、司令は全く動じません。


「・・・・・・」


散々司令に怒号を浴びせた2人は、司令に文句を一切言わなくなりました。


何かあったのでしょうか?


・・・・・・



あっ、そうそう・・・司令は絶対に敵に回してはいけませんよ。


恐らくこの世界にいる艦娘を全員司令に挑んでも勝てるかどうかわからない程に司令はお強いので・・・


普段はのんきでのんびりなのですが、戦闘や本気になると性格が一変しますので・・・


仏から悪魔に豹変した位の変貌ぶりですので、くれぐれも怒らせないように注意してくださいね。  by 霧島









「提督とイベント海域」 終










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トキヤですさんから
2019-01-27 14:17:48

SS好きの名無しさんから
2018-04-03 12:10:02

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このSSへのコメント

1件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2017-08-25 08:15:51 ID: xneVxLfX

まあガンダムとジオングがあそんでる空域にドムが混じれば撃墜されるし。
戦果なんてランカーの猛者どもに任せておくのが一番だよ。
命大事にだね。


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