2018-11-29 21:06:06 更新

概要

元提督と「鬼提督」と呼ばれた中将との同期だった時の回想。


前書き

キャラ紹介、

元提督:提督業を辞めて、村雨と一緒に店を開く。店の大将以外に別で何でも屋も営んでいる。

鬼提督:階級は中将、元提督と同期。しかし、名前と裏腹に鬼ではない。

蒼龍:鬼提督の秘書艦。元提督との交流があり、よく依頼され、その逆もしかり。


蒼龍「提督、今日の書類をお持ちしました!」


鬼提督「ああ、ご苦労。隣に置いてくれ。」


鬼提督の指示で蒼龍は書類を机の上に置く。


蒼龍「提督! あの、そろそろ寒くなってきましたので・・・」


鬼提督「何だ?」


蒼龍「み、皆が「ストーブが欲しい」と言っています(怯)」


蒼龍は怯えながら答える。



この提督は”鬼提督”と呼ばれ、艦娘たちから恐れられている。


普段は特別鬼と言うわけでは無いが、命令違反や悪さをした際の叱責が鬼のようで、この名が付いたとか。



鬼提督「・・・オレはまだストーブを出すほど寒いと思っていない、それでもお前たちは「オレより先に」


    ストーブに当たりたいと?(睨)」


蒼龍「は、はい。 そうです!(怯)」


蒼龍は意を決して具申する。


鬼提督「ふん、いいだろう! さっさと各部屋に配置しろ! 何人か呼んで手早く済ませろ!」


蒼龍「は、はぁい!!(敬礼)」


蒼龍はそそくさと出て行く。


・・・・・・


鬼提督の許可を貰い、蒼龍と仲間たちは各部屋に1台のストーブの設置を許可されたが・・・


鬼提督「何? 半分のストーブが故障している?」


蒼龍「は、はい・・・(怯)」


鬼提督「・・・なら仕方がないな、諦めろ、半数だけ温まろうなんて都合のいい考えを持っていないよな?(睨)」


蒼龍「め、滅相もございません! ですが、本当に寒いですし、新しいストーブを買うのがよろしいかと!(怯)」


怯えつつもしっかり意見を言う蒼龍。


鬼提督「はぁ? お前なぁ、ストーブ1台でいくらするか知ってんのか? 鎮守府にあるやつ1台で2万だぞ?」


蒼龍「・・・・・・」


鬼提督「半分って、艦娘は全部で150人、その内の部屋数は50部屋。つまり25部屋で25台!


    50万掛かるんだぞ、分かってるのか?(怒)」


蒼龍「・・・・・・」


鬼提督「別に構わないが、皆がそれでいいなら。だがクリスマスの資金から直で差し引くからな?


    ケーキとご馳走にプレゼントがどれだけ減るかね?」


蒼龍「ううっ・・・」


恐ろしくて、返答できない蒼龍、しかし、


鬼提督「うむ、そうだ! あいつに頼めばいいな! おい蒼龍、あやつに頼め! 今すぐだ!」


蒼龍「あ、あやつとは一体誰の事ですか?」


鬼提督「あやつはあやつだ! お前が一番よく知ってるあ・い・つ・だ!!」


蒼龍「・・・・・・」


蒼龍は思い当たる相手を各時連絡していく。


・・・・・・


そして、20分後、


提督「蒼龍、オレを呼んだか?」


提督がやって来て、


蒼龍「ああ、提督! やっと来てくれました!」


何故か嬉しそうにはしゃぐ蒼龍。


蒼龍「電話したら村雨ちゃんが出て・・・てっきり提督は留守かと。」


提督「ああ、裏で作業してるし聞こえないんだよ。」


しばしの会話をし、


蒼龍「ここの提督から要請を受けています、執務室にどうぞ!」


そう言って、提督を執務室に連れて行く。



鬼提督「おっ、来たか! 無能提督!」


昔の名を遠慮なく堂々と言う鬼提督、


提督「これはこれは中将殿、お久しぶりです。」


怒っていないのか、普通に敬礼をする提督。


鬼提督「早速だが、この鎮守府のストーブの半数が故障してしまってな、夏の時と同じように修理を


    要請したい、出来るだろうか?」


鬼提督の要求に、


提督「お安い御用で、すぐに修理しましょう。」


そう言って、提督を備品室に連れて行く蒼龍。


・・・・・・


提督「ほぅ、これはまた年代物のストーブがびっしりと。」


提督はストーブを1台持って見回し始める。


提督「ふむ、ヒューズが古いのかもな、新しいヒューズはと。」


持っていた道具入れから新しいヒューズを探す提督。


蒼龍「あの、提督。」


提督「ん、何だ?」


蒼龍「先ほど、私の提督が言っていた”夏の時”とは一体何です?」


提督「ああ、夏にも「扇風機が壊れたから修理に来て欲しい」と要請を受けたんだ。」


蒼龍「ああ、そうだったのですね。」


納得する蒼龍。


蒼龍「提督、私の提督と何か関係でもおありですか?」


蒼龍の質問に、


提督「関係も何も”同期”だが?」


蒼龍「! そうだったんですか!」


驚く蒼龍。


・・・・・・


鬼提督「そうかそうか、あの無能提督はきちんと修理しておるか!」


「がっはっは」と笑う鬼提督。


蒼龍「あの、提督。」


鬼提督「ん、何だ?(睨)」


蒼龍「提督から同期と聞きましたが?」


鬼提督「ああ、そうだ。最も、初めて会った時はオレが”大佐””であいつが”司令レベル最下位”だったがな!」


再び笑い出す鬼提督。


鬼提督「・・・コホン、でもあいつは、はっきり言って他に類を見ない奴であったが。」


急に改まって、元提督の事を話し始める。


鬼提督「初めて会った時の事、今でも覚えておるぞ・・・」


鬼提督は蒼龍に昔の事を説明する。


・・・・・・

・・・



ここは演習場、


この日は鬼提督(今は大佐)と元提督(今は司令レベル最下位)の提督同士の演習であった。


鬼提督「おおっ、貴様オレと同期か? オレもまだ階級は乏しいが、お前は全く努力していないようだな!」


階級を見て、無能と判断する鬼提督。


提督「・・・昇進には興味がないものでね。」


鬼提督「そうかそうか! まぁ貴様が昇進せずとも他の人間の昇進枠が増えるだけ、気にする事は無かろう!」


そう言っている内に演習の時間になる。


鬼提督「オレの鎮守府で最強と言われる艦隊で挑もう!」


鬼提督の指示で戦艦2 空母2 雷巡2が現れる。


それに対して、提督が出してきた編成は、


提督「白露・時雨・村雨・夕立・・・これで充分かな。」


何と提督が編成したのは、駆逐艦4人のみ。


鬼提督「貴様! ふざけておるのか! 既に勝敗が分かり切っているぞ!?」


もしくは馬鹿にされたと思っているのか、言動を荒げる鬼提督。


提督「4人では不服か・・・じゃあ秋月と霧島も入って。」


更に追加したのは、防空駆逐艦と高速戦艦の艦娘、


鬼提督「・・・・・・」



この無能め! 駆逐艦5人で挑むと言うのか? ふざけておる! 我が艦隊で蹴散らしてくれる!


・・・しかし、秋月がいるのか、空母を使うとこちらのボーキが一気に削り取られる・・・


止むを得ん、空母は止めて重巡2に変更しよう!!



鬼提督の編成が変わるが、


提督「では、演習開始!」


提督の方は変える事無く演習を開始。


鬼提督「舐めおって! このまま押しつぶしてしまえ!」


鬼提督と無能提督の演習が始まった。


・・・・・・


結果は、


鬼提督「何と! こちらが負けた、だと!!?」


判定は勝利A! 無能提督側の勝利である。


鬼提督「しかも、白露型4人・・・全員夜戦でカットインをして・・・何故だ? 雪風程幸運がない白露型(時雨除く)が


    全員カットインだと? おかげで戦艦・重巡が大破してしまった。」


提督「お疲れ様、見事な戦いだった。」


提督は皆の頭を撫でてあげる。


夕立「提督さんもっと褒めて~♪」


白露「あ~、夕立だけずるい! あたしも~!」


提督に褒めてもらいたいと集まる艦娘たち。


鬼提督「しかも、何だあの光景・・・上官に対して遠慮のない要求、もしオレだったらすぐに叱る所だ!」


艦娘達の行動を見て苛立つ鬼提督。


提督「・・・あんたの編成には問題があるね、艦娘たちの動きに無駄が多いし、射撃精度も悪い。


   まるで「強ければいい」位な編成しかしていないように見えるけど?」


鬼提督「何? オレの編成に文句を言うか!」


鬼提督が噛みつくと、


提督「成程、あんたの威圧的な態度が皆の力を押さえる原因を作っているのか。」


意味部下な発言をして艦娘たちと一緒に帰る提督。


・・・・・・

・・・



蒼龍「へぇ~、そのような事が。」


鬼提督「うむ、その後しばらくして”あの事件”が起きて・・・」


・・・・・・

・・・



鬼提督の秘書艦(この時はまだ蒼龍ではない)が、鎮守府からいなくなり捜索の結果、


ある大将の鎮守府に出入りしている情報を得た。


鬼提督「あのクソ艦娘! オレには見向きもせず事もあろうに、上官の鎮守府に出入りだとぉ!」


それを知った鬼提督は大激怒、すぐに大将がいる鎮守府へ向かう。


鬼提督「!? なぜ貴様がこんな場所に!?」


鬼提督が見た先には、


提督「何故って、オレの艦娘もこの鎮守府にいると聞いたからだ。」


どうやら同じ理由でこの鎮守府に来たようだ。


鬼提督「ふん! どうせあの女たらしの大将の事だ! 今頃オレか貴様の艦娘とお楽しみの最中よ!」



どうやらこの鎮守府の大将は”複数の艦娘を抱いている”らしい。


鬼提督は自分の艦娘も抱かれているだろうと怒りを露わにする。



鬼提督「連れ帰って処罰にしてやる! 待っていろあの軽女!!」


鬼提督は足音を立てて鎮守府に入っていく。


提督「・・・・・・」


提督もそれに続く。


・・・・・・


鬼提督「大将! 大将殿はいるか!!」


許可も無しに勝手に土足で上がり込み、執務室内に入る鬼提督。


鬼提督「ここにいるのか!!」


ノックもせずに扉を開ける鬼提督。


大将「な、な、な、何事かぁ!!」


いきなりの訪問に大将は慌てふためく。



2人が見た光景は、大将と一緒に照月(鬼提督の艦娘)と秋月(提督の艦娘)が全裸でいる光景、



鬼提督「やはり・・・大層お楽しみのようで大将殿、それに・・・」


鬼提督は照月をジッと睨みつける。


照月「ひっ! 司令!!」


鬼提督を見るなり怯える照月。


鬼提督「貴様には失望した!! オレに隠れて何度も大将殿の鎮守府を行き来していたようだな?


    目的は金か? それとも体か? この強欲女がぁ!」


照月「ち、違います! 私はそんな事は断じて・・・」


照月は必死に説明しようとするが、


鬼提督「言い訳は聞かん! お前は帰ったら即処罰だ、食事も風呂も部屋も全て無し、地下牢で一生暮らせ!」


鬼提督からの厳しい処罰を受け、


照月「ううっ・・・うぇぇぇぇ~ん!!」


照月は狂ったように泣きだす。


鬼提督「はっ! 今度は泣きじゃくって許しを請うか? この卑怯者め!!」


容赦ない鬼提督の罵倒をよそに、


提督「喧嘩なら後にしてくれ、はっきり言ってうるさい。」


鬼提督をどけて秋月に近づく提督、


秋月「し、司令・・・」


提督を見るなり震える秋月。


秋月「ご、ごめんなさい。」


鬼提督の時程ではないが、震えだす秋月。


しかし、それに対して提督は、


提督「服を着ろ秋月、そんな恰好ははしたない。 早く自分の服を着ろ秋月。」


提督は怒りもせず罵倒もしない、ただ「服を着ろ」と指示するだけ。


秋月「は、はい。」


秋月はすぐに服を着る。


提督「よし、じゃあ帰るか。 皆心配してるし。」


何のお叱りも無く「帰ろう」と言う提督に、


秋月「あの、司令! 私は、その・・・ご、ごめんなさい! 本当にごめんなさい!!」


照月同様、許しを請いたいのか必死で謝る秋月。


提督「知ってる、だから帰るぞ。」


提督は全く怒る気配も無い、


秋月「司令! でも!」


秋月は何か言おうとするが、


提督「秋月、お前が何の意味もなく不特定の男と寝ようとする艦娘では無い事はオレが一番よく知ってる。


   見た限り妹の照月がこのエロ大将に脅されて秋月が代わりに体を売ろうとしたって事だろ?」


鬼提督「何、おい照月! それは誠か!?」


鬼提督の言葉に、


照月「・・・はい、この提督に・・・「オレの女になれ!」って言われて・・・」


鬼提督「貴様ぁっ!!」


怒りの矛先が今度は大将に向かった鬼提督、


鬼提督「このクソ大将! それでよく上官と言えるなぁ、この人間のクズがぁっ!!」


大将「ひいいっ!! た、助けてくれぇ!!」



鬼提督は上官であろうが部下であろうが、頭に血が上れば見境なく暴力を振るう。


本営と鎮守府内では危険人物として扱われている。



鬼提督「死ねや、このクズがぁ!!」


渾身の拳が大将に当たる寸前の所で、


提督「止めときな。」


提督が拳を止める、


鬼提督「邪魔をするな。この無能提督!!」


今度は提督にまで暴力を仕掛ける始末、


提督「遅い。」


ひらりと躱して、鬼提督に掌底を入れる提督。


鬼提督「ぐおっ!!?」


壁まで吹き飛んで地面に倒れる鬼提督、


提督「前も言ったはずだけど、大佐殿。 あんたのその横暴な態度が艦娘たちに不安を与えているんだって。」


鬼提督「な、何を?」


提督「自意識過剰で皆の意見を聞きもしない、全部自分中心。 それで部下がついて行ってくれると思ってるのか?」


鬼提督「黙れ無能提督! 貴様の様な司令レベル最下位に説教される筋合いはないわ!」


提督「・・・はぁ~。」


提督は呆れた目つきで、


提督「秋月、帰ろう。こんな奴相手にしたって無駄だ。頭の中から腐りきってる。」


鬼提督「貴様! オレを侮辱する気か!?」


提督「黙れ、ゴリラ!」


鬼提督「ご、ゴリラぁ!!!?」


提督「ああ、照月も預かろう。自分の部下を信じもしない人間に渡ったら何をしでかすか分からんからな。」


そう言って、照月にも服を着させると鬼提督と大将を無視して出て行く3人、


鬼提督「待てぇ! ・・・あの無能がぁ、絶対に許さんぞぉ!!」


鬼提督の怒りは頂点まで達する。


・・・・・・

・・・



蒼龍「うわぁ~、そんな事が・・・(怯)」


「鬼提督と言われただけの事はある」と思った蒼龍。


鬼提督「うむ・・・昔のオレは昇進だけを目的とした出世欲の塊だったからな・・・」


昔の自分の態度を今になって悔い改める。


鬼提督「あの無能提督も、最初に会った時から気づいていたのかもしれんな・・・オレの素性を。」


そう思って、また昔に遡る。


・・・・・・

・・・



鬼提督「おい、無能提督はいるか!!」


鬼提督が鎮守府にやって来た。


霧島「し、司令は執務室にいますが?」


鬼提督「今すぐ執務室に連れて行け! 今すぐだ!!」


あまりの怒声に、霧島も恐れを成して執務室に案内する。



鬼提督「無能提督は入るか!!」


ノックも無しに乱暴に扉を開ける鬼提督。


提督「・・・誰かと思ったら、この前のうるさい大佐殿か。」


提督は「はぁ~」とため息をつき、


提督「それで? 何か用ですかな?」


鬼提督「用? 照月を連れ戻しに来た。」


提督「・・・・・・」


鬼提督「照月はオレの艦娘だからな! 勝手に鎮守府に連れ帰った貴様には処罰を与えたい所だ!」


提督「あ、そう。 それで、一体どんな処罰をお望みで?」


全く怯むことなく質問する提督、


鬼提督「・・・その自信満々な態度、気に入らん! 表へ出ろ、オレが精魂叩き直してやるわ!!」


提督「・・・いいでしょう。」


そう言って、2人は鎮守府隣の道場へと向かう。


・・・・・・


鬼提督「竹刀か・・・オレはこれでも昔は日本大会に出場した事がある程の腕前だぞ。」


提督「そうですか、なら手加減はしなくてもいいですね。」


鬼提督「貴様ぁ・・・ふん、それはこっちの台詞よ。」


鬼提督は竹刀を構えて、


鬼提督「手加減しようと思ったが、止めだ。 お前をぶちのめしてオレの前で土下座してもらうぞ!!」


お互いが竹刀を構え、


霧島「それでは、始め!」


鬼提督と無能提督の試合が始まる。



開始から5分経過、


鬼提督「何だと? このオレが3本も決められた、だと?」


提督「弱いですね、本当に日本大会に出たことがあるんですか?」


鬼提督「な、舐めるなぁ!!」


提督「・・・・・・」



10分が経過、


鬼提督「はぁ・・・はぁ・・・はぁ。」


提督「もう止めたら? あんたの攻撃は欠伸が出るほどに遅い。」


鬼提督「こ、このオレを馬鹿にするか貴様ぁ!!」


提督「・・・・・・」



20分が経過、


鬼提督「お、お前は一体・・・はぁはぁ、一体何なんだ?」


提督「・・・司令レベル最下位の無能提督だが?」


鬼提督「くっ・・・」


鬼提督は遂に腰を下ろして、


鬼提督「オレの負けだ、言い訳はせん。」


鬼提督が負けを認める。


提督「・・・大佐。」


提督が口を開く、


提督「艦娘とはあんたにとってどんな存在だ?」


提督の質問に、


鬼提督「どんな存在? ・・・上官の命令に従い戦果を取り、上官のために尽くす兵器、オレはそう思っている。」


提督「それだけか?」


鬼提督「それだけだと? 他に何があるのだ?」


鬼提督の言葉に、


提督「・・・艦娘は確かに兵器だが、それ以上に女性でもある。」


提督が話を続ける、


提督「艦娘は上官のために尽くす、それは間違っていない。 だけどあくまで上官から見た視線だ。


   艦娘側の視線に立ったことはあるか?」


鬼提督「? 艦娘側の視線、だと?」


鬼提督は訳が分からず返答に悩む、


提督「艦娘が今、何を望んでいるのか? 何をして欲しいのか? 何を想っているのか? あんたは1つでも


   考えたことがあるのか?」


鬼提督「・・・・・・」


提督「それが叶って、初めて艦娘たちも上官のために”頑張ろう”という気持ちになるんだ。」


鬼提督「・・・・・・」


提督「艦娘は1人1人個性が違う、デートに連れて行って欲しい子もいれば、遊んで欲しい子もいて、


   一緒に側に居たいと言う子もいる。」


鬼提督「・・・・・・」


提督「だからオレは艦娘1人1人の意見を尊重し、”彼女たちと同じ視線に立って”共に頑張ろうと思っているんだ。」


鬼提督「・・・・・・」


提督「昇進すれば、結局誰かの上に立つことになる・・・そうすれば嫌でも上から目線になる。


   だからオレは彼女たちと同じ視線を保つために、”最下位を維持している”んだ。」


鬼提督「・・・・・・」


提督「一度艦娘たちと同じ視線に立ってみろ、そうすれば彼女たちがあんたに何を求めているのかが分かる。 


   それが分からなければ、あんたは一生オレには勝てないし、彼女たちも次第にあんたから離れていくよ。」


そう言って、提督は構えを解き、


提督「秋月に照月を呼ぶように伝えて。」


提督の指示で鬼提督に照月を返した。


・・・・・・

・・・



蒼龍「へぇ~、提督らしいですね。」


鬼提督「その後、オレは照月と一緒に鎮守府へ戻った。」


蒼龍「・・・照月さんに何か言ったのですか?」


鬼提督「いや、むしろ言えなかった・・・あの無能にオレの考えを否定された上に負けてしまい、


    オレ自身が段々無力に思えて来てな・・・」


・・・・・・

・・・



照月「司令、お茶をお持ちしました・・・」


鬼提督「ああ、ありがとう。」


力無い言葉で鬼提督は答える。


照月「司令、あの・・・」


照月は鬼提督の前に立ち、


照月「あの時はすいませんでした。 大将から「オレの女になれ」と脅されて・・・」


鬼提督「・・・・・・」


照月「秋月姉に相談したら、「私が話を付けてきます!」と言って、大将の鎮守府に行ってしまい、


   それで、私も追いかけて・・・」


鬼提督「・・・・・・」


照月「そしたら大将が「提督達に何も言わずここに来たお前たちをどう判断するかな?」と脅迫されて


   あの大将に従わざるを得ませんでした!」


鬼提督「・・・・・・」


照月「後は、秋月姉の司令が言っていた通りで秋月姉が私の代わりに犯され掛かっていたんです。」


鬼提督「・・・・・・」


照月「ごめんなさい、本当にごめんなさい。」


照月は何度も謝る。


鬼提督「・・・・・・」



さっきから照月は謝っているばかりだ。 内容を聞けば、照月が悪いわけでは無いはずだが・・・


オレが原因か? オレが高圧的でいつも怒鳴っているから、あいつらはオレを怒らせたくないからと、


機嫌を損なわせたくないから謝っているのか? もし、そうだとすれば・・・



鬼提督は少し考えた後、


鬼提督「照月の言い分は分かった、だからもういい・・・部屋に戻って休め。」


照月「!? えっ?」


鬼提督「聞こえなかったか? もう分かった、だから話はこれで終わりだ。 明日の任務に向けてゆっくり休め。」


照月「・・・分かりました、失礼します。」


照月は執務室から出る。


・・・・・・

・・・



蒼龍「それで。照月ちゃんを許してあげたのですか?」


鬼提督「ああ、それ以上に照月は何も悪い事をしていなかったからな。」


鬼提督は少し考え、


鬼提督「全てはオレの態度に問題があった、それをあの無能が教えてくれたんだよ。」


そう思っている間に、提督が執務室に入る。


提督「修理完了いたしました。」


鬼提督「うむ、ご苦労! 報酬は店に封筒で送ればいいな?」


提督「はい、お願いします・・・それでは、失礼します。」


提督は敬礼をして執務室から出る。


蒼龍「それにしても・・・あの人に対しては相変わらず”無能扱い”をするんですね?」


蒼龍が答えると、


鬼提督「お前には分からぬか? オレはあの男を恐れているのだ。」


蒼龍「えっ? あの人が怖いのですか?」


鬼提督の口から出た意外な言葉。


鬼提督「ああ、階級で物を言っているが、もしあの男と闘えば間違いなくオレが負ける、そして演習でさえも


    あの男の編成の足元にも及ばないだろう。」


蒼龍「・・・・・・」


鬼提督「今は、”中将の肩書き”があるから偉そうにしているだけだ、その気になればあいつは大将でも


    元帥にでもなれたはずだ・・・」


そう言って、再び執務に取り組む鬼提督。


・・・・・・


提督「ただいま~。」


提督は店に戻る、


村雨「おかえりなさい、提督~♪」


村雨が迎えて、


村雨「グッドタイミングです、ちょうど夕食が出来上がりましたよ~♪」


提督「そうか、じゃあすぐに支度をしようか。」


そう言って、いつもと変わらない生活を送る提督だった。











「元提督と鬼提督」 終











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