【第二部】第九章ミニドラ「馬鹿野郎が・・・」
無人島を行くスネ樹達そこで出会った人それは忘れてはいけない一人の少女だった
セリナと共に豪華客船へと乗り込むノビスケ、そして、そこでノビスケは・・
ノビスケの行方を探す恭介達ノビスケの家で起こる事とは
気に入らないなら戻るボタンを押して忘れるんだ良いね?どうしても無理や!別れた彼女ばりに忘れられないって人は酒を飲め!ストロングゼロがおすすめ!安く酔えるしね!
【第二部】第九話 等価交換
ースネ樹編ー
まゆ達を待たず先に行くことにした
少しずつ連絡(どこでもドアで)をとりながら山道を歩いていた
ミニドラさんがさっきから一人でなにかをボソボソ言って少し怖い
ミニドラ「もう結構繋げていたから・・万いくか?いやまだか・・・」
まみ「お姉ちゃんに連絡しますね」
さっきから一分おきに連絡している
ミニドラ「通帳残高いくらあったけ・・」
もしかしてどこでもドアって繋げている間お金が掛かるのか?しかも通帳引き落とし
だとしたらさっきから言ってる事にも頷ける
考えれば分かることだ、電話だって通話料が掛かる
いくら未来でも声だけならまだしも場所と場所を繋げているんだ
お金が掛からないわけがない
無料にするわけがない
スネ樹「やはり結構するのかな?」
ミニドラ「借りるか?闇金か?だが・・ドラの兄貴にそれはやめろって言われてるし・・」ブツブツ
スネ樹「なんか闇金って聞こえたような」
そんな事するなら言えばいいのに、まみなら分かってくれるのにミニドラさんにもプライドがあり言えないのだろうか
仕方ない
スネ樹「まみ、一分おきに連絡するのは早過ぎるよ」
まみ「え・・でも」
スネ樹「向こうもこっちに来なきゃいけない。余程の事がない限り連絡はよそう」
まみ「はい・・わかりました」
スネ樹「さみしいのは分かるよ。だからまゆの代わりにはなれないけど話し相手にくらいはなるから」
まみ「はい・・です」
スネ樹「今僕達のする事はメイドさんを見つける事だ。落ち込んでる暇はないですよ」
まみ「っ!そうです!」
ミニドラ「ほっ・・・」
スネ樹「ここで一度ステッキを使おう」
まみ「はいです!」コト
ミニドラ「向こうか行こう」
スネ樹「結構歩いたと思うんだけど・・」
まみ「頑張りましょ!」
さらに歩いて数分後
ミニドラ「ん?おい見ろ」
スネ樹「血の跡だ・・・」
所々に血が付いている
争った形跡もあるし
ミニドラ「なんだ?この白いネバネバしたのは」
スネ樹「なんだろうこれ」
この白いのは・・・まさか
だとしたらメイドさんは!
スネ樹「舐めてみるか・・・」
ダメだそんな勇気はない
ミニドラ「やな予感がしやがる!まみ、ステッキを」
まみ「はいです!」コト
ピピピピ
スネ樹「鳴ったぞ!なんだ?」
ステッキは倒れずその場で鳴っていた
ミニドラ「もう一度だ!」
ピピピピ
何度やっても倒れずその場で鳴る
まみ「ミニドラさんこれってどういう意味なんですか?壊れたんですか?」
ミニドラ「お前ら!周りを見ろ」
スネ樹「どうしたんですか?」
まみ「問題でもあったんですか?」
ミニドラ「あぁ、もしかしたら最悪かもしれないが・・」
スネ樹「それって・・」
ミニドラ「たずね人ステッキはここら辺にいると出ている」
まみ「ここら辺って!」
ミニドラ「この血がメイドのだという可能性が高い」
スネ樹「で、でもメイドさんはいませんよ?」
ミニドラ「だからだ周りを見ろ。何かないか?例えば・・肉片とか」
スネ樹、まみ「っ!」
スネ樹「ミニドラさん!いくらなんでも!」
ミニドラ「そう思うか?俺は一番可能性のある事を言った。血の跡そしてたずね人ステッキ・・でも姿はない。わかるよな?ここは山奥だ。いるだろ?弱ってる獲物を待つ猛獣達がよ」
スネ樹「くっ・・そうだけど」
まみ「そのステッキが壊れてるとかは?」
ミニドラ「ないな点検に最近出して帰ってきたばかりだからな」
スネ樹「そんな・・・・じゃあメイドさんは」
まみ「嫌だよ・・メイドさんが・・嫌だ!」
ミニドラ「まだ確定したわけじゃない周りを探してみよう。いいか?気をしっかり持ていいな?」
スネ樹「・・・・はい」
まみ「探してもここにはいません・・絶対に」
ミニドラ「そう願いたいが・・」
僕達はメイドさん手分けして探す事にした
どんな事があっても気をしっかり持てと言われたが
もしメイドさんが見つかっても・・・ーーなら僕は気を持つ事は出来ないだろう
お願いだ・・いないでくれ!
その頃まゆ達は
バス停から出発してスネ樹達の所へ向かっていた
まゆ「・・・・・・」
お嬢姉「まゆちゃん、どこでもドアを見つめてどうしたの?」
まゆ「別に・・」
お嬢姉「そう、まみちゃんなら大丈夫よ。スネ樹くんもミニドラさんもいるし」
まゆ「わかってるなら聞かないでよ」
お嬢姉「確認よ。さっきまで連絡ばかりだったもんね。来なくなって心配してるんでしょ?」
まゆ「お嬢姉さんは何でも知ってるのね。心でも読めるの?」
お嬢姉「そうかな?まゆちゃんはわかりやすいだけよ。心なんて読めたらつまらないでしょ?」
まゆ「そうだけど・・私ってそんなにわかりやすいかな?」
お嬢姉「うん、見てて面白いよ、ふふふ」
まゆ「笑うなんて酷いわね」
お嬢姉「ごめんね?ふふふ」
まゆ「謝まる気ないでしょ・・お嬢姉さんって初めて会った時と結構変わったね。前はクールな感じで私達と距離を取ってたし」
お嬢姉「・・・・・・・」
まゆ「どうしたの?」
お嬢姉「いえ、なんでもない」
そう言えば私・・・なんでこんなに関わってるんだろう
いくらこんな状態でもダメなのに
私はいないはずの人間なのに
私はこの状況を受け入れて
楽しんでる
だめ!だめよ!こんな事したら未来が大きく変わってしまう
別れが辛くなる
生きたくなる
まゆ「お嬢姉さん・・私なにか気に触るような事言っちゃったかな?」
でも
それでも・・・
まゆ「ご、ごめんなー」
なでなで
まゆ「っ!」
お嬢姉「ううん、気に触る事なんて言ってないよ?ごめんね?少し考え事してただけよ」
まゆ「本当に?」
お嬢姉「うん、そうよ」
この子達を必ず未来へ返す
今だけでも私はみんなの姉でありたい
ごめんねお嬢・・必ず最後には会いに行くからね
その時まで待っててね
お嬢姉「そろそろステッキ使うよ」コト
まゆ「向こうね。下りね足元に気をつけないと」
お嬢姉「そうね、手を繋ご?ね?」
まゆ「え?うん」
お嬢姉「あったかいね」
まゆ「冷た過ぎよお嬢姉さんは」
お嬢姉「冷え性なのよ。ほら滑らないようにゆっくり行くよ」
まゆ「うん」
ああ、今少し幸せだな・・
生きてたら・・普通に歳をとっておばさんなんて言われて、まだ、お姉さんよ!なんて言って・・でも、それが嬉しくて
可愛いから甘やかして・・たけしさん達にあまり甘やかし過ぎないでくれって怒られて
でも、それが当たり前の毎日になって
いつか・・お母さんって呼ばれて
お嬢姉「生きたい・・・な」
小さく呟いた誰にも聞こえないくらいに小さく
その頃スネ樹達は
スネ樹「こっちの方の周りは探してみたけどこっちは何もなしだよ」
本当に安心した
まみ「こっちもいなかったです。よかった・・」
ミニドラ「こっちもだ。お前らじゃないが、よかった」
スネ樹「たずね人ステッキは?」
ミニドラ「まだここを指してるからこの周辺なんだが」
スネ樹「動いてはいないのか」
ミニドラ「もう一つ可能性はあるがこれは・・」
スネ樹「なんですか?」
まみ「教えてください!」
ミニドラ「ここからメイドの存在がなくったつまり消えたという事だ。そして最後にいたのがここだ」
スネ樹「消えた?なんで!ありえない!」
ミニドラ「わかってるさ、だから可能性を話しただけだ」
ミニドラ「まぁ、全てはこれを見ればわかる。タイムテレビ!」
スネ樹「なんですか?」
ミニドラ「これはな、名前の通りタイムテレビだ。時間と場所を指定すればその時間何があったか見れるのだ!」
スネ樹「凄い!ならこれがあれば!」
ミニドラ「あぁ、この場所で何があったか見れる」
スネ樹「早速見ましょう!でもなんですぐに出さなかったんですか?」
ミニドラ「ものには順序がある。当たり前だろ?」
まみ「早く見るです!」
ミニドラ「待ってろ」
スネ樹「でも、液晶画面が小さ過ぎて見にくいな」
ミニドラ「俺用のサイズだからな我慢しろ。時間はこれくらいかな?」
小さな液晶画面にこの場所が映る
スネ樹「跡がないですね。まみ、もう少しそっちに寄ってくれないか」
ミニドラ「つまりもう少し先の時間にすればいい早送りだ」
まみ「わぁ、早送りしてるの・・かな?スネ樹さんが寄ってください」
スネ樹「ずっと同じ場所だからね。これ以上は無理だ」
ミニドラ「ん?止めるぞ」
スネ樹「っ!メイドさんだ!」
ミニドラ「これは酷いな。よく歩けるな」
スネ樹「なんでこんな遠くまで行ってんですか。周りも暗いし暗くなる前に帰ってくるって言ったのに」
ミニドラ「そう言ってやるな。それ程までして助けたかったんだろ。いい目をしてる」
まみ「メイドさん!助けないと!」
さっき僕に使った傷の治る軟膏を取り出し画面に塗ろうとする
ミニドラ「ちょっ!やめ!壊れるこれは画面だ!メイドじゃない!」
スネ樹「まみ、落ち着いてそれはただの映像ですよ」
まみ「っ!・・そうでした」
ミニドラ「お、立ち止まったぞ」
スネ樹「辛そうだ・・・」
まみ「メイドさん・・」
タイムテレビに映るメイドさんは立ち止まり
ふと空を見上げて
誰もいないのにも関わらず誰かに言うように
メイド『・・ふぅ、迷ったここ何処?』
ミニドラ「・・・・・・こいつまさか」
スネ樹「迷って帰ってこれなかったって事?」
まみ「メイドさん・・・・」
メイド『暗くなってきた・・帰らないとあの子達が』
メイド『もしあの子達に何かあれば・・その・・おとうーっ!』
バシッ
メイドさんが何かを言おうとした時何もない場所から
棒のような物が出て来た
その棒は空間を破ってメイドさんへと
それをメイドさんは瞬時にはじき返した
そして棒はすぐに消えた
スネ樹「今のは!」
まみ「何もないところからいきなり!」
ミニドラ「これは・・・・」
メイド『誰!出て来なさい!』
スネ樹「あ、また出て来た!後ろだ!」
まみ「避けて!」
聞こえるはずもないのに言ってしまう
メイド『後ろ!』バシッ
そしてまた棒が消える
棒の先端にはなにか付いている
白いなにかだ
スネ樹「ぐっ!頑張ってください!メイドさん!」
まみ「ずるいです!姿を見せやがれ!」
まみの口調が・・・
ミニドラ「うむ・・・・」
ミニドラさんはさっき見つけた白い何かをいじっている
メイド『姿は見えないということですか・・』
次は真下から棒が突き上げられる
それをメイドさんは避けた
その避けた先に棒が先回りしていた
メイド『っ!』
高速の突きがメイドさんへ
メイド『ふんっ!』バシッ
棒はそのまま消えず突きを連続で出す
メイド『っ!!』バシッ バシッ バシッ バシッ
その突きを避けて避けられない突きは、はじき返す
スネ樹「あ、止まった」
諦めたのか棒は突きを止めてゆっくりと消えた
そして何もない空間から出てきたのは
メイド『はぁ・・はぁ・・』
???『やるな!流石だ』
スネ樹「え?なんで・・」
まみ「ミニドラさん?」
ミニドラ「・・・俺だな」
メイド『随分とずるいですね?痺れを切らしてボス登場ですか?』
ミニドラ『まぁ聞けや俺はお前の敵じゃない大人しく着いてきてくれ。まみ達もいる』
ミニドラ『傷の手当てもしよう。来いよ』
スネ樹「どうなってんだ?」
まみ「わからないです・・」
ミニドラ「やはりか・・」
ミニドラ『さあ、俺の手を取れ』
メイド『・・・・・・・』
ミニドラ『どうした?遠慮するなよ。もう俺も仲間なんだからな』
そう言ってメイドさんへ近づくミニドラさん
しかし
メイド『来るな!』
構えをとり警戒していた
ミニドラ『おいおい、聞こえなかったのか?仲間だ』
スネ樹「なんか様子が変だ」
まみ「うん」
ミニドラ『ほら、おいで』
メイド『触るな!』バシッ
ミニドラ『ちっ!このー』
プツン
タイムテレビの電源が切れた
スネ樹「あ、消えた」
まみ「叩けば」ドン
ミニドラ「おい、やめろタイムテレビが壊れる。多分充電切れだ。まぁ知りたい情報は分かった」
スネ樹「え?分かったんですか?」
まみ「あのミニドラさんは誰なんですか?あの棒の正体は?」
ミニドラ「あぁ、全部わかった。あれは今からの俺達だ」
スネ樹「今からの僕達?」
まみ「まみ達もって事ですか?」
ミニドラ「あぁ、説明は後だ、まみ、タイムホールとタイムとりもちを出してくれ俺は持ってない」
まみ「へ?なにそれ?」
スネ樹「秘密道具じゃないかな?でも、タイムホールって僕達がタイムマシンに乗った時通る道じゃなかったかな?」
ミニドラ「名前は同じだが少し違うんだよ早くしろ」
まみ「えっと・・」ガサゴソ
ミニドラ「補助機能を使えよ。名前さえ言えば出てくる」
スネ樹「確か、タイムホールとタイムとりもちですよね?」
ミニドラ「あぁ」
まみ「タイムホール、タイムとりもちです」
まみ「うーー!!大きい」
スネ樹「これ・・出せるのか?」
ミニドラ「引っ張れ!」
まみ「ふぬぬぬ!!」
ミニドラ「頑張れ!頭(秘密道具上部)が出てるぞ!」
まみ「ふぅー!ひぃー!ふぅー!」
ミニドラ「あと少しだ!」
スネ樹「・・・・・・・」
なに?この茶番・・突っ込んだら負けなのか?
ミニドラ「よし出たぞ!これがタイムホールだ!」
まみ「大きな機械です」
スネ樹「これはどんな道具なんですか?」
ミニドラ「このマシンに付いてる円形の輪と指定した時間と場所に繋げる事が出来るんだ」
スネ樹「つまりタイムマシンと同じような感じで?」
ミニドラ「まぁ同じだけどこれは造られた目的が違う」
スネ樹「ちょっと気になります」
まみ「うん」
ミニドラ「まぁ少し説明してやるかどうせまゆ達も待たなきゃいけないしな」
スネ樹「それは助かりますけどメイドさんは・・」
ミニドラ「安心しろよ。後で必ず助ける。間に合うから」
スネ樹「では、お願いします」
ミニドラ「じゃあ、まず造られた目的だが、タイムマシンはその時代へ行くためだ。そしてタイムホールはその場で過去の人とコミニケーションをとるためだ」
スネ樹「昔の人と意思疎通が出来るんですね」
ミニドラ「そうだ、これは学校でも使われていたんだ。歴史の授業とかで実際にその人に話をしてもらったりってな」
スネ樹「本物に会えるなんて未来は凄い」
ミニドラ「だが、それも少しの間だけだった、すぐに使用禁止になった」
スネ樹「なんとなくわかります」
ミニドラ「ほう・・言ってみろ」
スネ樹「過去の人が未来の僕達と関わることで未来が変わったんじゃないんですか?」
ミニドラ「中々やるな?お前」
スネ樹「いえ、偶々です」
ミニドラ「過去の人物に関わりすぎることで起こるはずの事が起こせず起きてはいけない事が起きる」
ミニドラ「ある武将は殺すはずだった人を殺せず大きく未来が変わりかけた。タイムパトロール隊がどうにかしたが、対応出来るレベルを超えていた」
スネ樹「今はもう使われてはいないんですか?」
ミニドラ「学校とかではな。免許制になって未来過去を大きく変えるような事はするなって法律も出来た。そしてタイムホールは意思疎通を図る目的から変わり過去から物を取り戻すために使われたり未来から物を取りよせることに使うようになった」
スネ樹「でも、それだとやはりこのタイムホールから向こうの時代へ降りないと無理ですよね?それならタイムマシンでも」
まみ「話に着いていけません・・」
ミニドラ「そう思うかもしれないが、この道具のコンセプトが向こうの時代に行かなくても出来るっていうコンセプトだからな。自分の時代にいながら物をこっちに持ってくる方法を探したんだ」
ミニドラ「そして出来たのがこれだ」
タイムホールに付いていた棒を取る
ミニドラ「タイムとりもちだ」
スネ樹「この先に付いてるのは?」
ミニドラ「もちだ!」
スネ樹「もち?」
まみ「ご飯ですか?」ワクワク
ミニドラ「これはな特殊なもちでな、タイムホールの向こうにある品物を取ることができるんだ。品物の大きさや質量は関係なくタイムとりもちで引き寄せ、タイムホールから取り出すことができる」
スネ樹「なるほど・・これで」
ミニドラ「気をつける点は、向こうからもタイムホールは見える。見えなくする事も出来るが・・ん?」
まみ「はわわ!頭が痛いです!」
スネ樹「まみには難し過ぎたかもしれません」
ミニドラ「仕方ない実際に使ってみるか」
そう言うとミニドラさんは機械をいじりだした
手慣れた操作で円形の輪が何処かと繋がる
まみ「凄い!ここって」
スネ樹「ノビスケさんの部屋ですよね?でも綺麗すぎるし家具の配置も・・机もあるし、これはいつですか?」
ミニドラ「まぁここがいつかは置いておこうや」
ミニドラ「このレバーで向こう側のホールの位置を動かすことが出来る」
スネ樹「繋がったまま出来るんですね。まるでこの時代を歩いてるみたいだ」
まみ「はぇ〜〜」
ミニドラ「そしてこのボタンで向こう側のホールが向こうから見えなくなー、ん?丁度いいボタンを押しな」
まみ「はいです!」ポチッ
ミニドラ「これで向こうからこっちは見えない」
スネ樹「なにか犯罪の匂いを感じる道具ですね」
ミニドラ「逮捕者も結構いたからな、それより来るぞ」
スネ樹「誰か入ってきました」
少年『ドラえもん〜!ジャイアンがぁ〜っていない〜うわぁああん』
スネ樹「誰ですか?あの人はなんというかノビスケさんに似てますね」
まみ「お兄ちゃんを頼りなくした感じです」
ミニドラ「ふふふ、誰だろうな」
スネ樹「この部屋といいノビスケさんに似てる人だから・・ノビスケさんの息子ですか!」
まみ「っ!」ビクッ
ミニドラ「ノビスケ?ああ、あいつの息子か。さぁな?」
まみ「確かこれで・・」
ミニドラ「おいおい、まみ、今は機械に触るなよ説明中だ」
まみ「奥さんの・・顔を見ないと!」
ミニドラ「マジな目だよこれ」
ミニドラ「残念だが、息子じゃねえから」
まみ「そ、そうなんですか」ホッ
スネ樹「あの子泣き疲れたと思ったらどら焼きを食べようとしてます」
少年『泣いたらお腹減った〜確か押入れにっと・・あった!どら焼き〜』
ミニドラ「あの野郎・・兄貴のを!丁度いいタイムとりもちを貸せ」
スネ樹「はい、どうぞ」
ミニドラ「まみ、動かしてみろ。あの野郎にゆっくり近づけ」
まみ「はいです」
まみの操作でタイムホールは少年へ近づいていく
こんなに近いのに気づかないということは向こうからは本当に見えてないみたいだ
少年『久しぶりのどら焼きだ!いただきまーす!』
ミニドラ「今だ!」シュッ
少年『あれ?ない!どら焼きがない!』
ミニドラ「ほら、取れたぞ」
先端のとりもちにはどら焼きが付いていた
スネ樹「本物だ!本当に出来るんだ!」
ミニドラ「ふふふ、凄いだろう?そのどら焼きは兄貴の押入れに戻しておくから返しー」
スネ樹「ほら、少しはお腹の足しになるよ」どら焼き
ミニドラ「っ!」
まみ「ありがとうございます!でも、半分はもらってください」
スネ樹「気にしないで食べていいよ一つしかないし」
ミニドラ「ちょっ!」
まみ「ならいりません!スネ樹さんが食べてください」
ミニドラ「おい・・それは兄貴ので・・」
スネ樹「頼むよ僕はお腹がいっぱいで」グゥ〜
まみ「鳴ってますよお腹」
スネ樹「あ・・・これは」
まみ「私!譲りません!」
スネ樹「そういう所はまゆと同じだねやはり姉妹だよ。わかった。じゃあ半分もらうよ」
まみ「うん!」
ミニドラ「・・ふっ、兄貴すみません。どら焼き・・返せなんて言えませんわ」
少年『おかしいな〜』
???『どうしたんだい?のび太くん』
スネ樹、まみ「っ!」
この声は!
再びタイムホールに目を向ける
この聞いたことのある声は僕達が探してる
そう、少年に話しかけていたのはドラえもんさんだった
それにさっきのび太くんって
スネ樹「もしかして、これって」
ミニドラ「そうだ野比のび太という男の小学五年生の頃の部屋だ。この頃はドラの兄貴と一緒に暮らしてたからな」
スネ樹「これがのび太さん?なんと言うか」
まみ「ただの情けない弱虫です。それにジャイアンってパパのあだ名です昔は仲が悪かったのですね」
ミニドラ「そうだな!その通りだ。ふははは!」
スネ樹「人って変われるんだね。僕も!」
今の自分を変えるんだ!その為に今は生き残ってみんなで帰るんだ
のび太『な、なんでもないよ・・それよりジャイアンが』
ドラえもん『またかい?のび太くんやられてばかりじゃいけないよ?』
のび太『でも・・・』
ドラえもん『仕方ないなのび太くんは』
まみ「なんだかドラえもんさん喋り方が変です」
スネ樹「なんか気持ち悪い、ドラえもんさんじゃないみたいだ」
ドラえもん『のび太くんこの道具を使えばジャイアンを懲らしめられるよ』
ドラえもん『気をつける点はー』
のび太『よし!行ってくる!』
ドラえもん『あ、ちょっ!』
まみ「あ、のび太さんが行っちゃいました」
スネ樹「ドラえもんさんの話聞こうとしてませんでしたね」
まみ「なにか探してるみたいです」
ミニドラ「どら焼きを探してるんだ!ドラの兄貴のおやつの時間なんだ!」
ドラえもん『ない・・・・』
ミニドラ「怒ってる・・・お前ら!どら焼きを返してくれ!」
スネ樹「ドラえもんさん煙でてるね」モグモグ
まみ「激おこかな?」モグモグ
スネ樹「激おこ?」
まみ「はい、激おこぷんぷん丸です」
スネ樹「ぷんぷん、なんだって?」
まみ「ぷんぷん丸です」
スネ樹「う、うん・・なにかのキャラクターかな?」
まみ「それはわかりません」
スネ樹「うむ・・・」
ミニドラ「本当にすいません・・兄貴」
まみ「ん?わっ!目が合いました!」
ドラえもん『・・・・・・』
スネ樹「ねぇこっち見てないかな?」
ミニドラ「向こうからは見えないはずだから安心しろ」
ドラえもん『さてと家には誰もいないな・・・』
まみ「嫌な予感です」
ドラえもん『貴様見ているな』
スネ樹、まみ、ミニドラ、「っ!」
ばれてる!
ミニドラ「そんな筈は!」
ドラえもん『何が目的かは知らんが今はこの時代へのアプローチは極力控えるようになっている筈だが?そういう連絡もない・・姿を見せろ!』
スネ樹「ビリビリしてる!これは!」
まみ「ミニドラさん!」
ミニドラ「わかってる!間に合え!!」
急いでタイムホールの電源を切った
ドラえもん『ドラ、ザ、インパクー』
間一髪だった
ドラえもんさんはドラえもんさんだった
ミニドラ「ふぅ〜やばかった・・危うくみんな形も残らなかったぞ」
ミニドラ(そういえば・・二階だけが半壊していて修復を手伝わされたことがあったな。ドラの兄貴はいきなり壊れたと言ったが・・もしかして)
ミニドラ(いや、そんな事はないだろう)
スネ樹「なんでわかったんだろう」
まみ「怖かったです・・」
ミニドラ「もう大丈夫だ。なぜわかったのかは高性能ロボットだからだろう流石兄貴だ」
スネ樹「結局わからないってことですね」
ミニドラ「おーい」
まみ「ドラえもんさんは謎だらけなのです。何故浮いてるのかも不思議です」
ミニドラ「ほう、よく見てるじゃねぇか中々気づかないぜ?」
まみ「えへへ」
スネ樹「まぁ、考えても仕方ないですよ。それよりミニドラさんメイドさんのことは」
ミニドラ「ん?あぁ準備は万端だ。さっきのでわかったろ?何がしたいか」
スネ樹「はい、メイドさんをとりもちでやるんですね」
まみ「・・・・・・・」
ミニドラ「あぁ、メイドを取り寄せる!とりもちでやるぞ!準備はいいか?」
まみ「助けるですね!!」
まみの叫びは無視される
とりもちでやるというのはあまり良い言葉ではないとよくは分からないがそう思ったまみだった
スネ樹「はい、僕がとりもちを持つのでミニドラさんは操縦をお願いします」
まみ「もう・・・私は?」
ミニドラ「お前は応援でもしてろ」
まみ「むっ・・・」
ミニドラ「結構重要だぜ?頼むぜ」
まみ「はいです!」
ミニドラ「じゃあ、タイムホールを繋げるぞ!繋いだらすぐメイドがいる筈だ!いいか?残りエネルギーが少ない時間はあまりないすぐにやれ」
スネ樹「はい!」
とりもちを持つ手に一層力が入る
ミニドラ「繋ぐぞ!」ポチ
スネ樹「っ!メイドさん!」
タイムホールの先にメイドさんがいる
ミニドラ「やれぇ!その真っ白でもちもちしたとりもちでメイドを突け!!」
スネ樹「メイドさん!ごめん!」シュッ
メイド『っ!』バシッ
スネ樹「っ!駄目だ!やはりはじき返される!とりもちの付いていない所を的確に狙ってる」
まみ「まだまだです!」
ミニドラ「それくらい想定内だろうが!一度くらい振られたからって諦める男か?あぁ?何度でもアピールしろや!しつこくいけや!」
まみ「しつこいのは嫌です」
ミニドラ「しつこいのは駄目だそうだ!」
スネ樹「どっちですか!」
ミニドラ「と、とにかくいけ!」
スネ樹「はい!後ろへ回り込んでください!」
メイド『誰!出て来なさい!』
スネ樹「そこだ!」シュッ
メイド『後ろ!』バシッ
スネ樹「もう一回後ろに!」
ミニドラ「よっしゃ任せろ!」
メイド『姿は見えませんね・・厄介です』
まみ「さっきと少しセリフが違います」
ミニドラ「未来は常に変わるということだ!タイムテレビも所詮可能性を提示しているだけに過ぎない」
スネ樹「メイドさん!」シュッ
メイド『っ!しまった!』
少しかすった
しかしそのかすりでもとりもちはしっかりくっ付く
スネ樹「やった!」
メイド『なにこれ!取れない!』
まみ「やったです!服にですけど付きました!」
メイド『この!』ビリッ
スネ樹「くっ付いてる服の部分を破いた!」
ミニドラ「流石と言っておこう角度によっては見えるぞ。おっと手が滑っー」
まみ「手が滑りました!」バシッ
ミニドラ「いてっ!」
まみ「スネ樹さん!早くメイドさんを助けてあげて!」
スネ樹「わかってます!」
ミニドラ「冗談だったのに・・エネルギーがもうやばい次が最後だ!後ろから行くか?」
スネ樹「いや!正面からだ!」
ミニドラ「ふっ!嫌いじゃねぇ!行くぞ!」
スネ樹「どりゃぁああ!!当たれぇええ!」シュッ
メイド『遅い!』サッ
スネ樹「くそっ!避けられた!」
ミニドラ「うぉおおお!!唸れ!俺の中の冷却ファン!」ゴォオオオオ
まみ「ミニドラさん!煙が!」
ミニドラ「おおお!!隙だらけだ!ミニドラアターーク!」ダッ
ミニドラさんがタイムホールへと突っ込んで行った
スネ樹「っ!」
そしてメイドさんに直撃した
ドン
メイド『がはっ!赤い・・ドラえもん・・熱い』
ミニドラ『今だ早くとりー』
プツン
タイムホールのエネルギーがなくなり止まった
繋がっていた時間は消えた
スネ樹「ミニドラさん!」
まみ「動かないです!」
スネ樹「エネルギーがなくなったんだ・・」
まみ「どうしよう・・・」
スネ樹「メイドさんを本来ならとりもちで上手く捕まえられる筈だった。でも、それは失敗した・・どうすれば」
まみ「・・・・・」
スネ樹「エネルギーは何を使ってんだろう・・それさえ分かればもう一度出来る諦めるもんか!」
まみ「そうです!諦めるのは早いです!足掻いてみましょう!」
ミニドラ「そうだ、すぐに諦めるのは良くないぞ!」
スネ樹「はい!ミニドラさんまずはこのタイムホールのエネルギーを教えー・・あれ?」
まみ「あれ?ミニドラさん?」
ミニドラ「なんだ?」
スネ樹「え?なんでいるんだ!向こうの時代に閉じ込められた筈じゃあ!」
ミニドラ「あのな?過去って言っても数時間前だぞ?少し待てばいい話だろ?まぁそりゃ辻褄合わせの為にお前らが来ても姿を現しはしなかったがな?ずっと見てたんだぞ?まぁ俺は気づいていたんだがな」
スネ樹「少しでも心配した僕が馬鹿でした・・こうなることを知ってたんですね」
ミニドラ「まぁ多少はな?」
まみ「あの・・それでメイドさんは?」
スネ樹「そうです!あの後どうなったんですか?まさか殺してしまったとか」
ミニドラ「そんなヘマはしねぇよ。ちゃんと処置もしておいた。だが、ちょっと訳があってな一緒には来れなかった。来てくれるか?」
スネ樹「え?はい」
まみ「どうしたんだろ」
ミニドラさんに連れられ更に奥へ進む
進んでいくと大きな木があり縄のようなものが巻かれていた
でも、その縄は切れている
ミニドラ「ちっ!逃げられたか!」
スネ樹「どういう事なんですか?」
まみ「説明をお願いします」
ミニドラ「あいつは俺をー」
ガシッ
メイド「見つけましたよ・・」
ミニドラ「っ!まだ俺の事を敵だと!」
メイド「飛んでけ!!」全力投球
ミニドラ「思ってるんだぁああああ〜〜」
ミニドラさんは何処かへ飛んでいった
メイド「これでよし、二人とも待っててくださいと言いましたよね?」
スネ樹「それは謝ります。でも心配で・・それとさっきのロボットは」
メイド「敵ですよね?もういないから大丈夫ですよ」
まみ「ミニドラさんです!私達の仲間ですよ」
メイド「あれがですか?」
「ぎゃぁあああああ!!」
スネ樹「っ!なんですか!叫び声が」
まみ「さっきミニドラさんが飛んでいった所です!」
メイド「みんなはここで待っててください。私が」
スネ樹「いえ、行きます」
まみ「はいです!」
メイド「離れないで着いて来て・・急ぎましょ」
女「しっかりして!お願い起きて!私を置いて行かないでよ!あの子はどうするの!」
男「」
ミニドラ「いてて、何かに当たったが・・ん?」
男「」ピクピク
ミニドラ「なんだこいつ?」
女「貴方・・少し早いけど・・今から逝きますね・・あの子もすぐに来るから」
ミニドラ「お、おい!ナイフを首にって!危ないからやめろ!」
女「さぁ・・」
ミニドラ「ちょっ!やめろって!」
女「ドラドラうるさいのよ!黙りなさい」
ミニドラ「うるさくてもだ!自殺しようとしてる奴を止めないわけないだろ殺すぞ!」
女「だからうるさいのよ・・・」
ミニドラ「なに?」
女「どうせ私一人じゃなにも出来ないんだから・・」
男「うぅ・・いてて・・」
男「何か頭に当たって・・いてて」
女「貴方ー!」
男「妻よ!」
ミニドラ「なんだこの茶番は・・」
スネ樹「ミニドラさん」
まみ「大丈夫ですか?」
ミニドラ「おう、来たか」
メイド「・・・・・」
ミニドラ「お前は帰れ」
メイド「・・・・」
スネ樹「ミニドラさんもメイドさんも仲間同士なんですから」
まみ「仲良くしてください」
メイド「笑止、いきなり頭突きをしてくる奴を仲間と呼ぶのは難しいですね」
ミニドラ「テメェのためだろうが!」
まみ「まぁまぁ落ち着いてくださいね?」
ミニドラ「ちっ、あの時は悪かった、ちゃんと説明もしてなかったな俺はミニドラだ。お前の味方だ安心しろ」
メイド「・・・・・・」
スネ樹「こう言ってますしね?」
メイド「わかりません・・」
スネ樹「メイドさん怒る気持ちはわかります。でも、傷だってミニドラさんが治してくれたんでしょ?」
メイド「気付いたら治ってましたからそれはわかりません」
ミニドラ「あの後気絶したこいつを運んで治療した。で、起きたら暴れた。だから木に縛った!」
スネ樹「まぁメイドさんの為にやった事ですから、もう許してあげてください」
まみ「メイドさん・・・」
ミニドラ「すまん」
メイド「はぁ・・謝っているのですよねそれは」
スネ樹「はい」
メイド「ならいいです。私も大人気なかったですね。せめて言葉がわかればいいのですが」
スネ樹「ん?メイドさん?」
男「あの・・・」
ミニドラ「あ、忘れてた」
スネ樹「やっと人を見つけたんですね!これで助かります」
男「君達は?何故ここに?」
ミニドラ「わけあって道に迷っている。近くの町まで連れて行ってもらえないだろうか?」
男「ははは、何言ってるかちょっと・・わかるか?」
女「わからないわ」
ミニドラ「あぁ?」
スネ樹「ミニドラさん落ち着いて」
メイド「私達は道に迷ってしまいまして、近くの町へ案内してもらえませんか?勿論お礼はします」
男「そういう事ですか」
スネ樹「わざとってわけではないか」
まみ「なにかおかしいです」
メイドさんの時もそうだけど、何かミニドラさんとの間に僕達とメイドさんそしてあの人達とで何かが違う
スネ樹「あの・・」
男「すいませんがそれは出来ません、出来るはずがありません。どういう経路でここに来たかは知りませんがわかるでしょ。無理だということが」
ミニドラ「わけがあるんだよ。連れて行けるのが無理ならせめて場所を教えろ」
男「・・・・・」
メイド「ならせめて場所を教えてくれるだけでも」
男「馬鹿にするのもいい加減にしろよ。なら教えてやるよ!この島に町なんてない!あっても、もう誰も住んでない」
スネ樹「ここって島なんですか?」
男「来たんだから知ってんだろ?」
ミニドラ「そんなの知るわー」
メイド「黙っててうるさい」
ミニドラ「なっ!」
男「あんたらは何者なんだよ」
ミニドラ「だからー」
メイド「黙りなさい」
ミニドラ「ぐぬぬぬ!」
メイド「本当の事を言いますよ」
スネ樹「メイドさんそれは・・」
メイド「実は私達は気付いたらここに流れ着いていた遭難者なんです」
スネ樹「っ!」
男「遭難者か・・それなら知らないのも仕方ないか」
女「ねぇ手伝ってもらうのはどう?」
男「確かに良い考えだ」
メイド「なにかさせるつもりですか?」
男「実は探し物をしていてね、それを探す手伝いをして欲しいんだ。そしたら帰る時に一緒に乗せて行ってあげるよ。自家用の船で来てるからね」
スネ樹「どうします?」
メイド「今は選んでる余裕はありませんよ」
まみ「何をすればいいんですか?」
男「ある薬草を探して欲しい」
女「名前はわかりませんがどんな病も治せると言われる薬草です」
スネ樹「病を治せる薬草?」
まみ「そんなのがあるんですか?」
男「あぁ、あるんだ」
男「あってもらわないと困る」
メイド「なんか訳ありのようですね」
ミニドラ「・・・・・・」
その頃まゆとお嬢姉は
少しずつスネ樹達の元へとは近ずいていた
まゆ「疲れた・・・」
お嬢姉「あと少しよ頑張って」
まゆ「それさっきも言ってたよね?お嬢姉さんって記憶力ない方?」
お嬢姉「まゆちゃん・・怒ってる?」
まゆ「怒ってない」
お嬢姉「そう、なら頑張ろ!」
お嬢姉「あ、ここら辺であの棒使いましょ」
まゆ「これ本当にみんなのいる方に向かってるのかな?」
お嬢姉「今はこれを信じるしかないんだから」
まゆ「まみからの連絡もなくなったし・・なにかあったのかな?」
お嬢姉「なにもないから連絡がないだけよ」
まゆ「心配・・」
お嬢姉「連絡してみたら?」
まゆ「そ、そうよね、仕方ないな〜まみは」
不思議なドアを開ける。まみの持ってるドアと繋がってる
ドア越しに話をする
まゆ「まみ、そっちはどう?」
まみ「あ、お姉ちゃん!メイドさん見つけたよ」
まゆ「無事?」
まみ「いろいろあったけど無事です」
まゆ「後はここから出るだけね」
まみ「それなんだけど人を見つけました」
まゆ「てことは助かったんだね」
まみ「う〜ん、どうだろう?とにかく薬草探してるからまた後でね」
まゆ「あ、まみ!ちょっと!ドアを閉められた」
お嬢姉「助かりそうな感じではなかったね。どうしたんだろ?」
まゆ「メイドさんは見つかったみたいよ、無事だから心配はしなくていいって」
お嬢姉「見つかってよかった」
まゆ「それで今はなんか薬草を探してるみたい」
お嬢姉「なんの?」
まゆ「聞いてみる、まみ」
まみ「はいです!」
まゆ「どんな薬草を探してるの?」
まみ「わかりません!では!忙しいから早く来てね」
まゆ「まみ?まみ!・・」
お嬢姉「わからないの?」
まゆ「うん・・・・」
お嬢姉「どちらにせよ合流しなきゃいけないね」
まゆ「うん、急ごう」
お嬢姉「少し休憩させて疲れちゃった」
まゆ「仕方ないわね少しだけよ」
お嬢姉「ありがと」
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
ーノビスケ編ー
あの事件から二ヶ月が経った
ー何処かの墓地ー
従兄と名が刻まれている墓石の前に小さな花束を持って立っていた
ノビスケ「・・・・・・」
セリナ「嫌がるかもしれないけど」
セリナは花束を置いて去る
セリナ「先に言ってるわ」
ノビスケ「あぁ、すぐ行く」
ノビスケ「・・・・・・」
ノビスケ「墓参りか・・そう言えばそろそろ・・」
刑務所のみんなの所にも行かないと、そう思うが
ノビスケ「今はまだ必要ないか」
出来ることなら刑務所で亡くなった全員を刑務所へ行く前に
罪を犯す前に止める事が出来れば
でも、それは無理だろう
どんなに言ってもどんなに止めても彼らはその道を進むだろう
それが正しいと思ってしまっているから
自分がそうだったから言える
止めることは出来ない
そして罪を犯した時・・気付く
間違えに
ノビスケ「・・せめて俺の時のように止める人が支えてくれる人が近くにいてくれたなら」
これ以上言っても仕方がない
ノビスケ「さて、戻るから」
ノビスケ「従兄・・こんなふざけたゲームなんてなかったらお前はきっと・・・・」
その先は声には出さなかった
もう終わってしまった未来を言うのはあまり悲し過ぎるから
まだ、寒さが残っている風が一層強く吹く
それはまるで従兄が怒っているかのように
俺はこの罪を一生背負い続ける
ノビスケ「償いはいつか・・するから」
終わりから始まりを生む為ように
生まれるはずだった命があった筈だ
終わる命があった筈だ
生まれる筈のない命がある・・・
ノビスケ「また来る・・嫌なら化けて出てこいよ。相手になるからよ」
少しかっこつけてみるが、本当に出てこられたら困る
そう思いながらその場を去った
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
ー学校正門ー
ノビスケ「ここが・・」
セリナ「結構新しい感じでしょ?最近改装したみたいなの」
ノビスケ「今更だけどいいのか?」
セリナ「私も逃げてばかりじゃ駄目だって思ってたの、これはいい機会よ」
セリナ「護衛の方もお願いね」
ノビスケ「任せてくれ。セリナが前へ進むなら俺は全力でサポートするだけさ」
ノビスケ「俺達に任せろ!な?ハル」
ハル「は、はい!」
ノビスケ「じゃあ、作戦の説明をするぞ」
セリナ「手短にね」
ノビスケ「今日からセリナは学校へ行く。だけど今の状況からするにいつ狙われてもおかしくない。俺達がセリナを護衛する。その際に俺はセリナと同じクラスの転校生でハルは」
ハル「し、新人の先生として潜入します!き、緊張する」
セリナ「生徒側と先生側に不審な人がいないかもお願いね」
ノビスケ「あぁ、ハルも頑張ってな」
ハル「本当なら動きたくないけど・・仕方ないよね」
セリナ「ハル、最近お腹出てきてるよ。少しダイエットって意味でも頑張って」
ハル「っ!・・・はい」
ノビスケ「じゃあ、また後でな」
セリナ「えぇ、ハルもね」
ハル「はい」
セリナと別れてから気づいた
ノビスケ「ハル、職員室って何処?」
ハル「さぁ?何処だろう?」
「なぁ、知ってるか?北条セリナが学校に来たんだってよ」
「まじか、もう来ないと思ったのに」
「あまり関わりは持ちたくないよな?噂じゃあ人をころー」
ダンッ!
「なんだ!」
ノビスケ「なぁ・・いいだろ?」
ハル「こ、困ります・・こ、こんなところで・・」
ノビスケ「ここじゃなかったら良いんだ?」
ハル「いけずです・・」
「あれが今流行りの壁ドンか!」
「俺もされて〜って!チャイムなるぞ急げ!」
「今おかしな事言ってたような」
ノビスケ「あんまり聞きたくないよな、ああ言うのは」
ハル「そうだね、今の人達に職員室聞けばよかったって今言っても遅いよね」
ノビスケ「だな・・・」
ハル「でも、少しドキドキしたぞ」
茶化すように言ってくる
ノビスケ「あぁ、俺もな」
だから茶化し返す
ハル「そ、そうなんだ・・」
あれ?引かれた?
ノビスケ「あ、あれ職員室じゃないか?」
ハル「うん、そうみたい」
ノビスケ「失礼します、今日転校してきた者ですけど」
ハル「今日からお世話になります。ハルです」
ノビスケ「じゃあ、後でな」
ハル「はい」
その後担任の先生から説明を受けて教室へ向かった
緊張する
でも、俺はただ学生になる為に来たんじゃないそれだけは覚えておかないと
あの後メイド長からは屋敷家事全般、執事長からは修行を受けて少しはマシになってる筈だ
もうあんな悲劇は起こさせない
担任「今の時期に転校なんて珍しいね?なにかあったのかい?」
ノビスケ「ただの親の都合ですよ」
最近こういう嘘は普通につけるようになってきている
担任「そうか、大変だね。実はねうちのクラスには一人厄介な子がいてね。なるべく関わらないようにするんだよ?」
ノビスケ「・・・・・・はい」
どんだけ嫌われているんだ?
担任「ここで待ってて呼んだら来てくれ」
そう言って先に教室に入っていった
担任「今日は転校生を紹介する!イケメンだぞ!」
ノビスケ「っ!」
入りずれーよ!
担任「入ってこい」
ガラッ
ノビスケ「どーも・・・」
シーーン
うわっみんな無反応
セリナ「ーー!」プルプル
セリナ・・すげぇ笑いこらえてないか?
ノビスケ「今日からこのクラスで一緒に勉強させてもらいます。えっと、」
やべ、名前どうしよう
ノビスケ「えっと・・」
担任「ノビスケくんはあの席で」
ノビスケ「あ、ノビスケでいいんだ、わかりました」
席に座り一応隣の人に挨拶をしておく
ノビスケ「よろしく」
???「よろしく、あんまりイケメンじゃないですね」
ノビスケ「ごめんなさい・・」
???「いやいや、冗談だから本気にしないで」
ノビスケ「う、うん」
???「私はアヤカって言います」
ノビスケ「アヤカさんですね、よろしくお願いします」
アヤカ「今の時期って珍しいよね?なにかあったら頼ってね!勉強ならそれなりにできるから」
ノビスケ「ありがと」
担任「授業始めるぞ〜」
ガタン
ハル「ちょっと!私の紹介は?ねぇ!」
担任「あ、忘れてた、紹介よろしく」
ハル「えっと・・ハルだよ!よろしくね」
何はともあれみんなが教室に到着する事は出来た
これから頑張らなきゃ
休み時間になりやはり転校生ということで質問攻めにあう
こういうのには一言でかたずく言葉がある
これは幾多に渡り転校や初めての場所などに言った俺が閃いた言葉だ
ノビスケ「ノーコメントだ」
「・・・・・・・・」
完全にすべりました
なんやかんやで昼休みになる
ノビスケ「ふぅ・・難しいなついていくのがやっとだ」
アヤカ「ノビスケくんお昼一緒にどうかな?」
転校生特有の質問攻めも終わりみんなも興味が薄れたのかもう俺のところへ来る人はいなかったがアヤカさんを除いては
そりゃあ男として構ってもらえるのは嬉しいけど・・
ノビスケ「邪魔なんだよな・・」
アヤカ「え!ごめんなさい・・」
ノビスケ「あっ!いや、違うんだ!えっと・・そう!前の席の人が邪魔で黒板が見えなかったなって思って」
前の席の人「えっ!ごめん」
ノビスケ「あ!違うんです!」
アヤカ「じゃあ、やっぱり私が」
ノビスケ「だから違うって」
前の席の人「いや、いいんだ・・俺こういうの言われなれてるから」
ノビスケ「違うって言ってるじゃないか!」
大きな声を出してしまったのか周りの人達がこっちに注目している
ノビスケ「えっとだな!そのえっと・・・」
やばい混乱してる
その時机を思いっきり叩く音がする
教室は静かになり音の出先に目がいく
セリナ「うるさいわね」
「ご、ごめんなさい北条さん」
前の席の人が「ひ、ひぇええ!」
アヤカ「ごめんね北条さん、でも昼休み時間なんだから少しくらいうるさいのは仕方ないよ?」
セリナ「そうね、悪かったわ」
アヤカ「わかってくれたならいいよ」
セリナ「・・・・」
アヤカ「早くしないと昼休み終わっちゃうね。ノビスケくん食堂行く?」
セリナ「ノビスケ」
ノビスケ「ごめん、先約があるから」
アヤカ「そうなのざんねん」
学校に行く前に決めていたのだ昼は屋上に集合するって事を
その屋上はいつもは鍵がかかっているけど
ハル「開きましたよ」
セリナ「流石ね」
ピッキングして開ければいい
ノビスケ「これいいの?ばれたらやばいよ」
セリナ「ばれなければいいのよ」
ハル「うわ、広い屋上」
ノビスケ「まぁいいか」
今は屋上は危険だという理由で入れないようにする学校が多いと聞くが勿体無いと思う
まぁ、これを俺たちだけの貸し切りに出来るのでいいとしよう
セリナ「じゃあ、昼にしましょう」
ノビスケ「あぁ、その前に」ピッ
ノビスケ「もしもし、執事長ですか?はい、今のところは大丈夫です。はい、油断なんてしませんよ、それより学校中にいるボディーガードを退かせてください。本人達は隠れてるつもりでもあんな筋骨隆々の男達ですよ?生徒達や先生達が怯えていますから」ピッ
ノビスケ「屋上から見るとやっぱり目立つなあいつら・・あ、帰った」
セリナ「ハル、職員達はどうだった?」
ハル「はい、少し怪しいかな?と思う人が何人かいますが、ほぼ白でしょう」
セリナ「そう、ノビスケはどう?」
ノビスケ「特に怪しい人はいなかったと思うけど」
セリナ「そうかな?私にはみんなそう見えるけど?」
ノビスケ「セリナは友達はいないのか?」
セリナ「いない、必要ないわ」
ノビスケ「そうか・・・」
それ以上は何も言えなかった
セリナが友達を作らない理由がなんとなくわかる
それを知っているから何も言えない
ハル「卵焼き美味しい」
セリナ「ノビスケは考えすぎてそこから空気を読もうとするところがあるそれが逆に相手を傷つけることもあるということを覚えておいて」
セリナ「空気を読み過ぎるのも考え過ぎるのも程々にしなさい。私が友達を作らないのは単に私と気が合う人がいないだけよ」
ノビスケ「ははは、セリナも俺を過信し過ぎだよ。俺はそんなに考える人間じゃないよ」
セリナ「そう?私これでも人を見る目はあるわよ?」
ノビスケ「前も聞いたよそれ」
キンーコンーカンーコン
セリナ「チャイムが鳴ったわね教室へ戻りましょ」
ハル「はぁ・・仕事辛い・・」
セリナ「ノビスケは少ししたら戻って来なさい」
ノビスケ「わかった」
そこから放課後になった
久しぶりの学校はやはり楽しいな
でも、楽しむ為に来たわけじゃない
程々にしないと
アヤカ「ノビスケくんこれからカラオケ行かない?数人で行くんだけど?」
カラオケか・・そう言えば行ったことないな
花音がよく話してたな
ノビスケ「っ!」
忘れてたわけじゃない
でも、俺は確実に元の世界にいるみんなの存在をこの時代と変わらない存在としてみてる
この時代にまだ、花音達はいない
いや、いるかもしれないがそれはまだ、俺とは関係ない他人だ
俺はこの時代を受け入れ始めている
これが当たり前なんだったって思い始めてる
このままだと未来は確実に変わる
そして元の世界のみんなにも会えない
このまま逃げていいのか?違う!
待ってるだけじゃ駄目だ
何も出来ないは理由にはならない
忘れるな
俺はこの時代の人間じゃない
だけど必要なことなら未来を変える事になってもやる・・そう決めた
俺の今の役目はセリナを守る事だ。学生ごっこもいいが、仕事とのメリハリはつけないと
ノビスケ「ごめん、折角だけど用事があるから行けないんだ」
アヤカ「そうなんだ。それならまた今度行こうね」
ノビスケ「そうだね、今度」
ノビスケ「・・・・・今度な」
その日から学校へ毎日行った。平和な日々だった
普通に勉強して普通に学生生活をした
青春ってこんな感じなのかな
ー教室ー
ハルは数学を担当している
あれでも北条家でメイドをやっているだけはある
授業もわかりやすいが・・
ハル「では、問題です。買い物中に貴方は狙撃がしたくなりビルの屋上へ行きました。この場所から向こうのターゲットの頭を撃ち抜こうと思いました」
ノビスケ(思わねぇよ!なんでスナイパーライフル持ってんだよ!)
アヤカ(したくなるものなのかな?)
例え問題がおかしい
ハル「この距離から撃ってターゲットの頭が吹っ飛ぶのは何秒後でしょうか?それと吹っ飛ぶ確率は?」
生徒達も最初は驚いていたが気にしなくなっていた
むしろ人気だった
ハル「じゃあ、ノビスケくん答えて」
ノビスケ「え?」
ハル「さぁ!」
ノビスケ「えっと・・」
ハル「あ、ちなみに貴方は撃たれて右腕を負傷しています。風速2メートル南西から吹いてきてます」
ノビスケ(だから!なんで買い物で撃たれてんだよ!!)
・・普通の学生生活だ・・よね?
セリナは相変わらず他の人とは話そうとしないが
クラスの人達と接してわかった
ノビスケ「北条さんって嫌われてんですか?」
クラスメイト「う〜ん、そう言うわけでもないんだけど、まぁ、一部特に先生とかはあまり関わろうとしなかったりはするけど最低限このクラスで北条さんを本気で嫌ってる人はいないよ。先生は論外だけどね。ただ、朝礼の件とか色々重なってどう接すればいいか分からないんだ」
ノビスケ「そうなんだ」
生徒「変な噂とか聞くけどみんな信じてないしね」
ノビスケ(なんだよ、セリナの考えてる事と全然違うじゃないか)
このクラスの人達は悪い人達じゃない
ただ、どう接すればいいかわからないだけなんだ
セリナは自分が金持ちだからと言って人を見下したりはしない
人の痛みがわかる優しい人間なんだ
それさえわかってくれればクラスのみんなもわかってくれる
でも、これはセリナ自身がしないといけないことだ
だけど少しだけサポートをする
ノビスケ「セリナ!昼行こうぜ!」
セリナ「いいわ、行きましょ」
ノビスケ「じゃあ、行こうかアヤカさんも」
アヤカ「はい、北条さん私もご一緒しても?」
セリナ「・・ノビスケ」
ノビスケ「両手に花ってよくね?」
セリナ「意味がわからないんだけど?」
ノビスケ「まぁまぁ、一緒に食べようよね?」
アヤカ「ダメかな?」
セリナ「勝手にすれば」
ノビスケ「流石セリナだ!よし、食おうぜ」
セリナ「仕方ないわね」
アヤカ「よろしくね」
この時少しだけセリナの顔が嬉しそうに見えた
一人だけでもセリナの事がわかってもらえれば後は簡単だ
セリナ後は君次第だ
ノビスケ「アヤカさんの弁当美味そうだな」
セリナ「中々料理上手いのね見ただけでもわかるわ」
アヤカ「北条さんこそ凄いお弁当ね」
セリナ「セリナでいいわ、あまり苗字は好きじゃないの」
アヤカ「なら私もアヤカでいいよ。セリナ」
セリナ「すこし食べてみる?」
アヤカ「なら私のもどう?」
セリナ「いただくわ」
ノビスケ「なんだ普通に出来るじゃないか・・・何か忘れてるような?」
ー屋上ー
ハル「・・・・・・・・」
教師「こら!ここは立ち入り禁止だぞ!」
ハル「・・・一緒に食べる?一人だと寂しいから」
教師「・・腹減ってきたなパンでも食うか戻るのも面倒だ」
ハル「ありがとうございます」
その後ハルに無茶苦茶怒られた
昼は教室で食べるようになった良い傾向だ
ハルは一緒に食べようとするけど一人の先生にいつも捕まってしまうようだ
ハル「今日こそは!」ダッ
弁当を持ち職員室を出る
階段を上がり廊下を走る
教室へ
ハル「あと少し!!」
教師「やぁ!ハル先生一緒に昼を食べよう!君は一人じゃない」
ハル「げっ!先回りだと!」
彼はハルに恋愛的好意を抱いているわけではない
ただ、あの屋上での事で彼女が一人ぼっちで可哀想に思えたのだ人生に失望していると思われたのだ
そうそれは自分と似ている・・・
彼もまた人生に失望していた
しかし、あの時のハルの顔を見た時
教師(なんて酷い顔なんだ・・俺もこんな顔してんのか・・・変えたい・・変わりたい!)
それがこの教師の魂に火をつけたのだ
人生に失望した彼女を助けたいただそれだけだった
教師「さぁ、昨日の続きだ!人生について語ろう」
ハル「いやぁあああ!!」
これが学校での出来事だ
屋敷では
ハルからスナイパーライフルの使い方を教えて貰ったりする
ハル「構えはこうよ」ガチャ
ノビスケ「こう?」スッ
ハル「ダメね!こう!」ガチャ
ノビスケ「ふん!」ガチャ
ハル「よく狙って!基本的な使い方はさっき話した通り」
ノビスケ「はい!」
ハル「撃てぇ!」
ノビスケ「っ!」カチッ
ノビスケ「あれ?」
ハル「馬鹿野郎!セーフティを解除しろ!」
ノビスケ「は、はい!すいませんでした!」
ハル「ぺっ!さっさとしろや!」
ノビスケ「ハル、落ち着いてな?唾吐けてないぞ」
ハル「口答えすんな!!」ゴスッ
ノビスケ「ぶはっ!」
ハルはスナイパーライフルの事になると怖い
厳しくしてくれるのはそれだけ期待されてる証拠だ
嫌ではない・・だが、ハルの場合個人的な怒りもあるように思える
それから執事長と修行をしたりもする
ノビスケ「・・・・・」座禅中
執事長「強靭な肉体は強靭な精神に宿る!お前は身体はそれなりに出来てるが精神面がなってない!目を瞑り自分に語りかけろ!」
ノビスケ「むっ・・・・足が」座禅中
執事長「でいやぁ!!」バシッ
ノビスケ「いてっ!・・くっ!」座禅中
執事長「甘いぞ!そんなんじゃ強くなれんぞ!あの時のお前は偶々運が良かっただけだ!あんな感情に任せた戦いをしていたら!そのうち野垂れ死にするぞ!」
ノビスケ「・・・・・」座禅中
執事長「返事しろや!」バシッ
ノビスケ「あだっ!・・喋っていいのかよ」
執事長「誰が喋っていいと言った!」バシッ
ノビスケ「理不尽だ!」
執事長「そうだ!覚えておけ!戦いで前のように一対一など出来ると思うなよ?戦いは常に理不尽だ!その理不尽に勝ていいな?」
ノビスケ「理不尽に勝つ・・なんというか理不尽ですね・・でも、なんとなく分かる。」
戦いで平等なんてのはないバランスなんてない
それに負けるようならそれまでだ
負けねぇよ
ノビスケ「・・・・・」座禅中
執事長「ふむ・・・」スッ
執事長「っ!」シュッ
ノビスケ「・・・・・」ガシッ
執事長「ほう・・・」
ノビスケ「・・・・・」ドヤァ
執事長「ふっ、」木刀二刀流
ノビスケ「え?」座禅中
バシッ バシッ
ノビスケ「いてぇええ!!」
まだまだのようだ、少し調子に乗っていた
屋敷で泊まり込みで執事をしていると言っても休みはある
疲れた身体を休める為一日中寝てたりするが今回は違う
寒風摩擦を終え自室に戻る
執事長やメイド長という上司に付き合うのも大変だ
寒風摩擦なんて寒いだけだ
屋敷の庭には執事長と俺そして外を見張ってるボディーガード達とで寒風摩擦が行なわれていた
全員上半身裸で
執事長「いち、にい、さん、し!声を出せ!」ゴシゴシ
ノビスケ「さ、寒い・・・」ゴシゴシ
ボディーガード達「「「いち、にい、さん、し!!」」」ゴシゴシ
ノビスケ(す、すげぇ!筋肉だ)
セリナ「よくやるわね寒いのに」
ハル「ゴクリ・・・」
メイド長「いいな・・・・」
セリナ、ハル「「え!」」
ー自室ー
ノビスケ「さて、整理してみるか」
ハルから使わないメモ帳を貰いそれに今までの事を書いてみることにした
ノビスケ「俺がここに来てからもう三ヶ月は経ってる」
時代はあの戦争が起こる一年前
ハルと出会い
朝チュン・・したと思ったら間違いで
偶然入った喫茶店でセリナに声をかけられ
蜂の巣になりかけた
執事長の拷問に耐えて
雑用にされ
セリナの従兄に捕まり
セリナに手をかけようとした
従兄を殺した
そして正式に執事になった
そこから屋敷の人達との仲も良くなっていった
認めてもらえたんだと思う
セリナの学校へ転校生として潜入護衛任務をしている
ノビスケ「こんなものか学校はそうだな・・」
毎日行っていたがそろそろセリナな一人でも大丈夫だろう
あの学校は警備もちゃんとしている
前の女子校と違いなにかあっても周りがすぐ気付く
ノビスケ「学校はもう大丈夫だな。そう報告書に書いておくか」カキカキ
ノビスケ「あ、そう言えばメイド長に頼まれていた書類まだだったな書いておかないと」カキカキ
ノビスケ「って!これじゃあ仕事してるだけじゃないか!やめだ!」
書類を片ずけてまた、メモ帳をだす
一応書いてみたが帰れる方法など思いつくはずもない
ノビスケ「やっぱり待つしかないのかな」
ガチャ
ハル「ノビスケくん、部屋の掃除しに来たよ!主にベッドの下とか」
ノビスケ「結構です」ドン
ガチャ
ハル「いきなり閉める事はないでしょ・・冗談だよ半分」
ノビスケ「今日はハルも休みだろ?ゆっくりしてればいいのに、じゃあ」ドン
ハル「そうなんだけどね?何かしてないと落ち着かなくて」ガチャ ガチャ
ノビスケ「・・・」ドアを押さえる
ハル「開けてよ・・・・」トン トン
ノビスケ「ベッドの下絶対見ない?約束できる?」
ハル「しますから入れて」
ノビスケ「どうぞ」ガチャ
ハル「お邪魔しまーす、ん?これはなに?あ、私のあげたメモ帳ね」
ノビスケ「あ、読むなよ」
ハル「ここ最近の事が大まかに書かれてるね」
ノビスケ「あ、あぁ、まぁ日記みたいなものだ」
大丈夫だ、変なことは書いてない
ハル「ふ〜ん・・・気づいてはないんだね」ボソッ
ノビスケ「え?」
ハル「なんでもないよ」
ノビスケ「もう返してくれないか?日記だから他の人に読まれるのは恥ずかしい」
ハル「ねぇ一つ聞いていい?」
ノビスケ「え?」
ハル「この、あの戦争が起こる一年前だったって、どういう意味?まるで知ってるみたいだよ」
ノビスケ「っ!」
ハル「ねぇ?あの戦争ってなに?」
ノビスケ「そ、それは・・・」
ハル「・・・・・・」
ノビスケ「言えない」
ハル「なんで?」
ノビスケ「察してくれよ」
ハル「察さないよ私馬鹿だから」
ノビスケ「ハル・・なんかおかしぞ?どうした」
ハル「教えてよ、最近のノビスケくんは何かを考え込んでると言うか遠くを見てる感じがする」
ノビスケ「もしかしてこの部屋に来たのも」
ハル「うん、それが目的」
ノビスケ「そうかよ・・」
ハル「ねぇ、貴方は何者なの?なんで・・私の前に現れたの?」
ハル「あれは奇跡なの?」
ノビスケ「・・・・・・・」
ハル「戦争ってなに?一年後戦争が起こるの?」
ノビスケ「・・・・・・」
ハル「ここも危ないの?もう一年もないんだよね?」
ノビスケ「・・・・・・」
ハル「たくさんの人が死ぬの?」
ノビスケ「・・・・・・」
ハル「いなく・・なるの?」
ノビスケ「・・・・・・・」
ハル「答えてよ!!」
ノビスケ「ごめん・・・」
ハル「もしかして、前に執事長に言ってた未来人がどうとかって冗談じゃなくて本当なの?そうなの?」
ノビスケ「っ!」
ハル「そうなんだ・・・・そうなんだ・・・私取り返しのつかない事したかな・・でも、そうなら」
ハル「行かせない・・・」ボソッ
ノビスケ「あれは冗談だよ・・未来人ならとっくに自分の時代へ帰ってる」
ハル「信じていいの?」
ノビスケ「あぁ、信じてくれ」
ハル「うん、ごめんね取り乱したりして・・」
ハル「・・・・・・」
ノビスケ「大丈夫だよ、それよりもう少しやらなきゃいけない事があるから」
ハル「うん、部屋出るね、じゃあ」
ノビスケ「・・・馬鹿野郎」
それからさらに二ヶ月が経った
大きな事は何も起こらず日常と言ってもいいほどだった
あと、半年で戦争が起こると知っていなければ
きっと平和と言えるだろう
ハルはあの後から距離をとるようになった
嫌われているわけではないが何か様子がおかしい
メイド服もぶかぶかのを着ているし
みんなは何か知っているようだが教えてくれない
ハルから俺にだけは教えないでくれと言われたらしい
俺・・やっぱり嫌われたんだろうか
そして一カ月前にハルはこの屋敷を出た
やめたわけではないが少しの間長期休暇をとるらしい帰ってくるのは未定
補充要員は入れないらしい
それから
帰れる方法は今だに見つからず
ー厨房ー
ノビスケ「よし、完成だ」
メイド長「なかなかうまく出来てますよ」
ノビスケ「メイド長に近ずくのも時間の問題ですね!」
メイド長「まだまだよ、調子に乗らない」
ノビスケ「そうですよね、ははは」
ノビスケ「あの・・メイド長」
メイド長「ハルのこと?」
ノビスケ「あれから一カ月経ちましたけど・・俺には教えてもらえないんですか?」
メイド長「ハルに言われてますからすみません」
ノビスケ「やっぱり嫌われてー」
メイド長「それは違いますよ。理由は私もわかりません。でも、それだけは言えます」
ノビスケ「そうでしょうか・・」
メイド長「大丈夫、きっと帰ってきた時話してくれます。何故ならハルは言ったからです」
ノビスケ「言ったってなにを?」
メイド長「必ず帰ってくるって復帰するからポジションは空けておいてくれって」
ノビスケ「わかりました。その時まで待ちます。ハルを信じて」
メイド長「えぇ、今貴方の影響でみんな変わってきています。ハルもお嬢様も執事長もみんな」
メイド長「明るくなってる・・私も今が好きです。ハルもきっとその筈です。貴方に言ったモブの話し覚えてますか?」
ノビスケ「あの、モブはモブだから目立とうとするなってやつですか?余計な事はするなって」
メイド長「はい、そうです。今はね親友ポジションならいいかなって思ってます」
ノビスケ「セリナとですか?」
メイド長「お嬢様は親友ではありません、ご主人様です親友は同等の者としか成立しません」
ノビスケ「なら・・・どういう事ですか?」
メイド長「ノビスケさん、いえ、ノビスケ貴方にとってのと言う事です」
ノビスケ「え?」
メイド長「貴方のこの五ヶ月間なにかを隠してるのはわかります。でも、それは些細なことです。貴方を信用出来る人間だと私は思った」
ノビスケ「・・・・・・」
メイド長「貴方を他人だとは思えないのです。執事とメイドでは執事の方が上の立場です。でも、メイド長と執事なら同等になります」
メイド長「ですが、本来仕事の場でこんな事をするのはいけない事です・・本来ならね」
ノビスケ「メイド長・・」
メイド長「もう一度言います貴方が変えたんですよ」
メイド長「言いたい事は以上です。さて、仕事ですよ」
ノビスケ「あ・・・はい、じゃあ、これテーブルに運んできます。スープの方は仕上げお願いします」
メイド長「お任せよ」
テーブルに食事を運ぶ
ノビスケ「よし、こんなものかな?」
セリナ「・・・・・」
ノビスケ「ん?セリナ、ほら座って」
セリナ「ねぇ、本当に良いの?私がいない方がみんな気楽に食べられるでしょ?」
ノビスケ「セリナがいて堅苦しいなんて思う奴はこの屋敷にはいないって前も言っただろ?もうこの様に食べ始めて二ヶ月も経ってんだぞ?文句だって全然ない」
セリナ「それは、言いにくいだけで」
執事長「セリナお嬢様と食べられるなんてこの執事長嬉しく思います」
メイド長「その通りですね。お嬢様遠慮は無用です。まぁ最初は反対していた私が言うのもなんですが」
セリナ「・・・ありがと」
ノビスケ「やっぱり食卓はみんなで囲むもんだよ、さぁ食べよう」
このまま楽しい時間が続けばいいと思うけど
それは思っちゃいけない・・・わかってはいるけど・・だけど
ー自室ー
ノビスケ「・・・・・」
このままだと戦争が始まってしまう
そうなるときっとここらも戦場になる
その時俺がいたら今以上に大きく未来が変わってしまう
下手したら戦争の結果にも関わってしまう
あと五ヶ月それまでに帰る方法を探さないと
ノビスケ「ドラえもん・・どうにかならないのかな・・」
いない筈のドラえもんに言う
そしたら目の前から大きな穴が開きそこからドラえもんが出てくる・・
わけもなく
ノビスケ「どうにかならないかな」
執事長「なにがだ?」
ノビスケ「うわっ!いつの間に何処から湧いて出たんだ」
執事長「人をゴキブリみたいに言いおって!」
ノビスケ「ノックぐらいしてくださいよ。いきなり部屋に入られるとその色々とプライベートがあるでしょ?」
執事長「いつでも動けるようにしておけと言ったろ?それにノックならした。無視されたがな」
ノビスケ「すいません少し考え事をしていたので」
執事長「そのようだったな。まぁなにかとは聞かん。それよりセリナお嬢様からすぐに部屋に来るようにとのことだ」
ノビスケ「セリナが?わかりました」
ーセリナの部屋ー
ノビスケ「失礼します」
セリナ「来たわね座って」
ノビスケ「はい」
セリナ「いきなりなんだけど明日私と行って欲しいところがあるの」
ノビスケ「それってデートですか?」
セリナ「考えようによってはそうね、デートがいい?」
ノビスケ「それでどこに行くんですか?」
セリナ「デートがいい?」
ノビスケ「場所は何処に?」
セリナ「デートがいい?」
ノビスケ「・・負けましたよ。デートは勘弁です。俺には荷が重すぎる」
セリナ「ざんねん、場所はここよ」
そう言って手紙のようなものを渡される
そこには招待状と書かれていた
ノビスケ「招待状?」
セリナ「そう、豪華客船のパーティーの招待状よ」
セリナ「面倒だけどお爺様が行けというのよ」
ノビスケ「お爺様って・・」
セリナ「そう、このゲームの主催者よ。正直私もお爺様は嫌いよ」
セリナ「でも、今の私は言われた事をやるしかない」
セリナ「そうしないと私の両親の守ってきたものがなくなるから」
セリナ「このパーティーに参加して社会勉強をしなさいって」
ノビスケ「なんか裏がありそうだな」
セリナ「そうなのだから一度は断ったの私はこれでも命を狙われている身だからそんな危険な事は出来ないと言ったのよ」
セリナ「こればかりにはいくらお爺様でも無理に行けなんて言えるはずもないから」
ノビスケ「それで?」
セリナ「招待状が二枚になって帰ってきたわ」
セリナ「貴方の所に最近入った優秀な執事を連れて行くことを許可しようってね」
ノビスケ「優秀な執事?誰の事だ?」
セリナ「貴方よノビスケ」
ノビスケ「え?なんで?え?」
セリナ「従兄の件よ。あの時の事は全部お爺様は知ってるわ。それを見て優秀って事にしたんでしょ?気に入られてるって事よ」
ノビスケ「あまり嬉しくないな」
セリナ「そうね、何をされるかたまったものではないわ」
ノビスケ「それでも行かないといけないんだろ?」
セリナ「えぇ、この事は今回執事長達には話してないわ」
ノビスケ「話したら行くって聞かないだろうな」
セリナ「それにお爺様に直談判しかねないし」
ノビスケ「そんな事したら」
セリナ「下手したら怒りを買ってしまうわ」
ノビスケ「それはやばい」
セリナ「だから今回は二人だけの秘密にして欲しいの」
ノビスケ「わかりました。それで行くんですよね?」
セリナ「仕方ないから行かないとノビスケお願い着いてきてくれる?これは命令ではないわ」
ノビスケ「断ったら一人でも行く気ですよね?」
セリナ「・・・・・・」
ノビスケ「行くよ。豪華客船なんて乗った事ないし楽しみだ」
セリナ「ふ、そうね明日はお願いね。」
ノビスケ「了解」
こうして二人での豪華客船パーティーへ行くことが決まった
色々と不安だが
まぁなんとかなるか
日にちはあっという間に次の日に
俺はセリナの部屋に集まり準備をする
執事長達には内緒にすると言ったが実はこっそり伝えている
心配をかけるのも悪いからだ
執事長は一言お嬢様を頼んだと言った
執事長も止めたいはずだがそれは無理だという事もわかってる
ならせめて自分も行ってセリナを守りたい
そう思っただろう
でも、俺を信用してくれた
答えないとな
ノビスケ「なんか自分じゃないみたいだ」
セリナ「うん、かっこいいじゃない」
ノビスケ「セリナもドレス似合ってるよ」
セリナ「ありがと、じゃあ行きましょ。執事長達にはばれないようにね」
ノビスケ「はい」
ー船乗り場ー
船乗り場まではタクシーを使って来た
屋敷の車を使えば良かったのだが内緒にしているという事になっているので使えなかったが
ノビスケ「あれが乗る船か・・大きいな」
セリナ「そうね、招待状は持った?あそこの入り口で見せないといけないみたいよ」
ノビスケ「大丈夫ここにあるよ、あれ?ない!」
セリナ「なくしたの?」
ノビスケ「確かポケットに・・もしかしてタクシーの中かも!ちょっと行ってくる」
セリナ「待ってるわ」
ノビスケ「いや、先に行っててくれ、ここよりは中の方が安全だから」
セリナ「わかったわ、中で会いましょ」
ノビスケ「あぁ」
ノビスケ「タクシーまだいるかな?」
結果からいうとタクシーはもういなかった
問い合わせてみるが招待状はなかった
そこらを探してもなかった
ノビスケ「やばい・・・」
こうなれば・・・
警備員「招待状を確認させてもらおう!」
ノビスケ「あの・・招待状なくしちゃって・・」
正直に言う事にした、きっとわかってくれるはずだ
招待状などなくても俺がここに(豪華客船のパーティー)参加するに相応しいオーラを持ってると
警備員「帰れ小僧」
駄目でした。小僧とまで言われました
だが、これくらいで引き下がるわけにはいかない
ノビスケ「お願いします!中に人を待たせてんです!」
中に知り合いがいると知れば入れてくれるはずだ
警備員「駄目だ!帰れ」
ノビスケ「どうしてもですか?」
こうなれば・・・
警備員「あぁ、痛い目みたくないなら帰りな」
強行手段しかない!
ノビスケ「そうですか、なら!」
悪く思わないでくれよ!
警備員「っ!」
その時後ろに並んでいた人に声をかけられる
「おい、招待状がないなら大人しく帰るんだ。他の人に迷惑だろ」
ノビスケ「うるさー」
うるさい黙ってろ、そう言おうとしたが言えなかった
ノビスケ「っ!」
そこにいた人を俺は知っていた
瞬間的にその人の名を言ってしまいそうになる
ノビスケ「スネー」
だが、どうにか押さえ込んだ
髪の毛に違和感はあるがこの人は過去のスネ夫さんだ
一番関わってはいけない人物だ
この場をどうにかしないと
ノビスケ「し、失礼しました〜」ダッ
とりあえず逃げた
どうしてこの場にスネ夫さんがいたのかはわからないけど
この船に乗るってことだよな?
中に入ったら気をつけないと
ノビスケ「そう考える前に入る方法を考えないと」
もう正攻法で入る事は出来ない
強行手段も無理だ
あまり目立つ事をするとスネ夫さん達の過去で起こるはずのイベントが起こらなくなるかもしれない
一つでも起こらなくなればそれはその先全てを変えてしまう
そうなれば段々と大きな変化になる
例えるならそれは・・スネ夫さんまたはアンリさんどちらかが死にスネ樹の存在が消えるという事にもなりかねない
こっそり入り、こっそり出るしかない
ノビスケ「なら、どうするか」
もう時間がないのはわかっている
このままだとセリナを一人乗せたまま船は出てしまう
考えろ・・考えろ
そう言えばユウさんが
『今は時効だから話すけど昔飛行機をハイジャックした事があってな?え?いや、金がなかったからな、ん?どうやって入ったって?』
『真似するなよ?荷物に紛れたんだ』
ノビスケ「あれか・・・」
荷物を詰め込んでいる場所いた
半分くらいは詰め込み済みであと半分だ
その半分のどれかに紛れ込めば
見た感じあるのをただ詰め込んでいるようにみえる
これなら木箱あたりに入ってればそのままいける
その時荷物を詰め込んでいる途中にいきなり止まる
「その荷物少し重さが規定よりあるな、中身確認してくれ」
ノビスケ「まじか・・・」
どうやら詰め込んでいる荷物はあらかじめ重さが決まっているようだ
つまり俺が荷物に紛れ込めば重さでばれる
つまりはこうなるのだ
「この荷物・・記入されてる重さより重いな、開けてみるか」パカ
ノビスケ「や、やぁ」
「・・・・・・・」
ノビスケ「せ、席を間違えたかな?はははは」
「・・・・・・・・」
ノビスケ「じゃあ、俺はこれで失礼します」
「待てよ」
ノビスケ「は、はい」
「おじさんたちと一緒遊ばないか?あぁ?」
ノビスケ「はわわわ!!」
って事になる
それだけは避けなければ
ノビスケ「どうすれば・・」
他の方法を探す時間はもうない
本当に置いて行かれる
もし、船の中にセリナを狙う者がいたら
なんで俺は一人で行かせたんだ
今更になって後悔する
ノビスケ「くそっ!くそっ!」
「これはどう?」
「駄目だ二人入るには書かれている重量が軽すぎる」
「こいつもダメか・・・」
「早くしないと船出ちゃうよ!」
「わかってる」
どうやらあそこにいる男女も船に入ろうとしているようだ
重量を見ているが
ノビスケ「そうか、自分達と同じ重量が書かれている荷物を探してんだ!」
そうすれば中身を全部出して自分達が入れば重量はおかしくない
中身は何処かに隠すなりなんなりすればいい
俺は荷物を探しだした
俺と同じくらいの重さの荷物を
ノビスケ「どれも重すぎる!」
最初の方ならあったのかもしれない今は残っている荷物も三人分の重さが最低だ
ノビスケ「今だけ太りたい・・」
「おい、お前船に乗りたいのか?」
さっきの男女カップルだと思われる男が話しかけてくる
その男は遠くからだから気づかなかったが
ノビスケ「っ!」
たけしさんだ
「どうしたの?ん?誰?この青年は」
女の人も来た
その人も俺は知っていた
アーニャさんだ
たけし「こいつも船に乗りたいらしい」
アーニャ「ふ〜ん」
たけし「こいつならいけるかもしれない」
アーニャ「なるほど!どれ?」
たけし「この荷物だな」
アーニャ「順番的にそろそろ運ばれるね」
たけし「急いで中身を出すぞ!おい、手伝え」
ノビスケ「・・・・・・」
どうする・・・
このまま関わっていいのか?
でも、もしかしたらこれで入れるかもしれない
でも、未来が変わるかもしれない
どうすれば
たけし「びびったなら向こうに行け」
アーニャ「邪魔だからね」
たけし「俺たちにはやらなきゃいけないことがある」
その目だ・・その目は使命を全うしようとする強い目だ
使命の為なら手段を問わない
なら、俺は?
俺のセリナへの思いはこれくらいだったのか?
違うだろ!いいさ!関わることで未来が変わってしまうかもしれない
だけど、俺はそれを全て受け止めてやる
ノビスケ「どうすればいいんですか?」
たけし「この箱から出した荷物を適当な場所に捨ててこい」
アーニャ「ほら、早く」
ノビスケ「はい!」
今はただセリナの為自分の為に
償いなら後でする
ノビスケ「これで最後だ!」
悪いとは思うが中にあった荷物を全部海へ捨てた
ノビスケ「急いで戻らないと」
戻るとたけしさん達の姿はなかった
ノビスケ「あれ?たけしは?」
たけし「こっちだ!」
ノビスケ「え?」
声のする方へ向くがそこには誰もいない
たけし「箱だ!」
ノビスケ「箱?・・箱!」
アーニャ「はよ、来い置いて行くぞ」
箱から声がする
ノビスケ「えっと!これか」パカ
たけし「早く入れ!」
アーニャ「いらっしゃい〜どうぞ」
ノビスケ「お邪魔します」ギュッ
箱は三人入るには狭くギュウギュウ詰め状態になる
俺はその真ん中に入っているので
半分から鍛え抜かれた筋肉そして汗の匂いが押しよせてくる
もう半分からは
その・・柔らかい感触がする、そしていい香りもする
でかい(確信)
俺たちの荷物が運ばれる
「この荷物はっと・・重さは」
ノビスケ「・・・・・・」
アーニャ「ドキドキ」
たけし「黙ってろ」
「うむ・・このくらいなら誤差だろう。いいぞ」
俺たちの入った荷物が船へ入る
ノビスケ「緊張した・・」
アーニャ「やったね!」
ノビスケ「おうふ!抱きつかないでください」
アーニャ「あ、ごめんね〜へへ」
柔らかいのが・・やばかった
たけし「油断するなよ」
アーニャ「はーい」
ー船の荷物倉庫室ー
たけし「誰もいないか?」パカ
アーニャ「大丈夫みたいね」パカ
ノビスケ「上手くいくものですね」パカ
たけし「よし、作戦成功だ」
アーニャ「うん、そうだね無事荷物に紛れ込んで潜入成功!!」
ノビスケ「ありがとうございます。助かりました」
たけし「いや、良いってことよ。それより人待たせてんだろ?行けよ」
ノビスケ「はい、たけしさん、アーニャさん、ありがとうございました。では」
どうにか入る事は出来た後はセリナを探してそれらしくしてれば大丈夫だろう
ノビスケ「う〜ん・・ここ何処だろ?えっと・・まぁ進めばわかるか」
荷物の置かれてる部屋を出て階段を上がる
エンジンルームと書かれているドアを見つけるがここではないだろう
そのドアを無視して更に奥へ進む
ドアがいっぱいあるがどれも開かない
多分だが一般の人が入れない部屋なのだろう
この船の乗務員とかの部屋かな?
だとするならこの先は行っても意味はないか
そう言えば階段の下にドアがまだあったなそっちへ行ってみよう
「おい、ここは立ち入り禁止だぞ!」
ノビスケ「あ、すいません迷ってしまって」
「そうか、一応規則だからな」
手を差し出してくる
ノビスケ「?」
そっと手を乗せる
「っ!ふざけてるのか!」
ノビスケ「いや、ふざけてはないですよ」
「なら、早く出せ」
ノビスケ「?」
「入り口で言われたろ?乗務員に招待状の提示を要求されたらしろって!怪しい奴が紛れてたらいけないからな」
ノビスケ「なっ!」
「見せてくれたら案内する。持ってるとは思うが規則だからな」
ノビスケ「・・・・・・」
「どうした?早くしろ」
無い物は出せないどうする事も出来ない
ノビスケ「・・・・・」
「お前・・・来てもらおうか」
ここで捕まってる暇はない
身体もそれなり鍛えた筈だ
相手が拘束しようとした瞬間
カウンターのように顔面にパンチを叩き込む
「ぐはっ!」
後ろに大きく吹っ飛ぶ
その後すぐ元来た道をダッシュで戻る
この乗務員用の通路は狭く人が一人通れるくらいしかない
もし挟み撃ちにされようものなら
まず勝てない
乗務員用通路をもうすぐ抜けようとした所で
ノビスケ「うわっ!」ドンッ
人とぶつかる
「オウ・・ダイジョウブ?」
ノビスケ「っ!」
筋肉モリモリのマッチョマン・・体長2メートルは軽く超えてるであろう外人だ
服はサイズが合ってないのか筋肉に押されはち切れそうになっている
そのはち切れそうな服は乗務員達が着てる服だ
つまり乗務員だ
外人マッチョ「ケガハナイデスカ?」
ノビスケ「え、えぇ大丈夫です」
どうやら俺が追われている身だとは気付いてないようだ
このまま先へ行こう
ノビスケ「ちょっと通りますよ」
外人マッチョ「ドウゾーー」
外人マッチョが横向きになるがそれでも通れるか?
ノビスケ「うぅ・・きつい・・」ギュッ ギュッ
外人マッチョ「オオ、オオ!ア〜」
ノビスケ「喘ぐな!」
外人マッチョ「オウ?」
寒気・・強烈か寒気がする
おかしい・・暑苦しくらい密着してるのに
今まで感じた事のないようなそんな
不意にお尻を触られる感触がする
ノビスケ「はぐっ!」
変な声が出た、なんだよ、はぐっ!って
それより今・・触ったのって
いや、待てそんな筈は
外人マッチョ「グッジョブイイオシリ」グッ
満面の笑みで言う外人マッチョ
ああ、これは・・・うん、逃げよう
ノビスケ「っ!」
挟まって動けない
まさか!こいつわざと!
外人マッチョ「オウ〜〜」ニヤリ
さわ さわ
ノビスケ「っ!!」
外人マッチョ「アナタイイネ〜」
ノビスケ「あ、あの、お、俺男ですよ」
外人マッチョ「オホ〜」グッ
またもや満面の笑みでそんなのわかってるさと言わんばかりの表情を見せた
ノビスケ「あわわわ!!」
怖い・・怖い・・・助けて・・誰か
「いたぞ!おい、ジョニーそいつを捕まえろスパイだ」
さっき殴った乗務員が来た
頬に痣ができてる痛そうだ
でも今は彼が救世主に見えた
そう、天使のように
ノビスケ「ありがとうございます!ありがとうございます!」
「なんでお礼言われたんだ?まぁいい!ジョニー捕まえろ」
どうやらこの外人マッチョはジョニーというらしい
ジョニー「スパイ?オウ〜〜」
悲しそうな顔でこちらを見ている
信じてたのにと言っているようだった
瞬間表情が変わる
それはさながら幾多の戦場を生き抜いた兵士・・いや、たった一人で戦う傭兵
睨まれたら最後俺はカエルのように動けない
ノビスケ「これは助かった・・わけでもないか」
挟まって動けません、あと暑いです
ジョニー「ガッデッム!!」
ドゴッ
言わずもがな視界は暗転し意識は遠のいた
その頃パーティホールでは
たくさん人達がパーティを楽しんでいた
前でこのパーティの主催者が長々と喋っているけど
あまりに長いので今は一人で誰も聞いてないのに喋っている状態
なんで他人の昔の話なんて聞かないといけないのかな?
話の内容的に主催者の五歳くらいまで来ているよく覚えてるものね
その中で一人必死に作り笑いで顔が引きつりかけてる人がいた
セリナ「ふふふ、面白い方ですね」
「そうかな?ははは、でも、まさかここで北条家次期当主様に会えるとは思いませんでしたよ。当主なった時にはうちの会社もご贔屓に」
セリナ「ええ、前向き考えさせてもらいますね」
「ははは、では、私はこれでパーティ楽しんでください」
セリナ「はい、それでは」
さっきから声を掛けられてばかりだ
北条家は良い意味でも悪い意味でも上流階級の人間なら知っている
そして私はその人達から見たらまだ子供
その子供が次期当主なんだから今のうちに機嫌でも取ろうって事よね
「失礼しますが貴女は北条家の?」
セリナ「はいそうです。えっと」
「私はこう言うものです」
名刺を渡される
これで何枚目だろう
「ご両親の事は聞きました、さぞ辛かろう、何かあったら私に言うんだよ?力になってあげるからね?」
セリナ「はい、ありがとうございます。」
「それで君のお爺様になんだけどうちの会社の事言ってもらえると」
セリナ「私にはそのような権限はないので・・」
「そうなのかい?そうか・・」
また、その顔するんだね・・なんでこんな人ばかりなのだろう
でも、こう言う人達だから成功しているのも事実
相手が上なら年齢なんて関係ない
ひたすらペコペコすればいい
そして相手が必要ない存在だと分かれば・
「では、私はこれで失礼するよ。これでも忙しいからね」
すぐに身を引く
セリナ「はい、それでは」
セリナ「はぁ・・ノビスケまだなの・・」
本当なら今頃外のデッキにでも出て海でも眺めて・・
セリナ「・・何を考えてんだか」
「お飲物をどうぞ」
セリナ「ごめんなさいお酒は飲めません」
「そうですか、では」
セリナ「私の事はいいので他の方に」
「わかりました。何かあればお申し付けください」
セリナ「ありがとうございます」
セリナ「ちょっと外でも出てみましょうか」
その時誰かがぶつかってくる
ドン
「ふぎゃあ」
セリナ「いっ・・大丈夫ですか?」
ぶつかったのは私より歳下の女の子だった
ぶつかった拍子に何か落ちたようだけど
拾ってあげようとしたがそれは
セリナ「・・物騒な者持ってるのね」
少女「いたた・・あれ?見失なっちゃった!逃がさないんだから」
セリナ「これは?」
彼女が落としたであろうナイフを見せる
このナイフには鈴が付いていた
でも、その鈴は鳴らないようだ
少女「あ、私の返して」
セリナ「危ないから没収よ」
少女「返せ!それは大事な物なの!返して!」
セリナ「なら、教えなさいなんで貴女がー」
ポト
何かが私の頭の上に乗る
少女「さっき貰ったのあげる」
G「ようシャンプー変えた?」
セリナ「いやぁあああ!!」
少女「っ!」サッ
セリナ「あ、取られた!待ちなさい!」
ドン
「うぎゃあ!」
セリナ「ごめんなさい」
ドン
「ぎゃああ!」
セリナ「すいません」
セリナ「どこ行ったの!ドレスじゃ動きにくくて仕方ないわ」
周りを見渡す
セリナ「あ、ノビスケ」
そこには女性と楽しそうに話してるノビスケがいた
セリナ「むぅ!」
人が心配してる時に・・
怒ってるわけではなく、ただ声をかけるだけ
そう怒ってなんかいない
セリナ「遅かったわね・・」
ノビスケ?「ん?」
それはノビスケに似ているだけの頼りなさそうな男だった
嬉しいような悲しような・・
セリナ「ごめんなさい人違いだわ」
そう言ってすぐに離れたあの人を見てるとどうしてもノビスケに見えてしまう
セリナ「それにしても似てるわね」
それで本物は一体何処にいるのやら
セリナ「疲れたわ部屋に戻ろうかな」
さっきの女の子の事も気になるけど私がどうにか出来るような事でもない
ほっておく事にした
部屋番号は招待状に書かれている案内図まで入ってるから迷う事はなさそうね
船なのに全然揺れない事に違和感を覚えつつ部屋へ向かった
部屋に入りやっと落ち着いた
部屋そんなに豪華ではないけど正直あんまり気にした事がない
とりあえずベッドがあればいいやという感じだったりする
持って来ていた荷物から服を取り出したドレスから着替える
もう当分ドレスは懲り懲り
その着替えの途中
不意に部屋のドアが開いた
ガチャ
「う〜んここじゃないね。あ、ごめんね〜」
ドン
私より少し歳上だと思う女性が部屋の中を見てすぐに去っていった
セリナ「なんなの・・・」
この船には変な人が多い・・そう思うと少し怖くなる
セリナ「ノビスケ・・・なにしてんのよ!本当に!」
でも、恐怖より怒りの方が強かった
そしてそれはノビスケの安否にも関わった
セリナ「なにかあったのかな・・」
セリナ「もしそうなら!こんな事してる暇じゃ!」
その時大きな爆発音がする
ドカーーーン!!
セリナ「っ!!」
ー何処かの部屋ー
ノビスケ「っ!」
ノビスケ「うぅ・・頭が痛い・・いてて・・なんだ?ここは?それに大きな音が・・・あれ俺何してたんだっけ?・・そうだ!セリナ!」
立ち上がろうとするが力が入らず倒れる
自分が思っているより身体は平気ではないようだ
ノビスケ「うぅ・・・だめだ」
「エンジンルームが爆発したぞ!みんなを避難させろ!」
部屋の外から聞こえてきた
ノビスケ「エンジンルームが爆発?それってエンジンが爆発したってことだよな?」
「この船はもう駄目だ!避難用の船を用意してみんなを誘導するんだ」
ノビスケ「セリナ・・・ぐっ!立てない」
ガチャ
「おい、そこのスパイお前も避難しろ!」
ノビスケ「さっきの乗務員さんですか・・いいんですか?」
「なにがだよ!」
ノビスケ「俺はおたくらが言うスパイかも知れない犯罪者かも知れないのに助けるのか?ほっとけばいいんじゃないのか?」
今こんな事を言っている暇なんてないのはわかってる
だけど、彼が助けに来てくれた事によって知りたくなった
この世界にもまだいるのかを・・
「犯罪者だろうが!スパイだろうが!死んでいいって事には、見捨てていいって事にはならないだろ、馬鹿か!」
ノビスケ「っ!」
今までこういう場では見捨てられるのが普通だった
そうされることをしたから当たり前だ
だけど・・この人は俺を助けようとしている
犯罪者の俺を
知りたかった事がしれた・・・
まだ、こんな人も残ってるって・・
そう思うと涙が出た
ノビスケ「・・・ありがと」ポロポロ
「泣くなよ!ただ規定に従ってるだけだってのによ!立てるか?」
ノビスケ「それでも・・ありがと」
「まぁ、ジョニーに殴られたからな無理もないか、おぶるぞ」
そう言うと乗務員の人は動かない俺を抱えおぶった
それがすごく嬉しかった
優しくされた事が凄く・・・
「まぁ、地上に着いたら理由くらいは聞いてやる、ちゃんと話せば罪も軽くなる」
ノビスケ「・・・・・」
でも、このまま甘えているのも・・ここまでだ
ちゃんと聞いてくれるって言ってくれたのに・・ごめん
ドスッ
「っ!」バタッ
ノビスケ「ごめん・・・」
手刀で相手を気絶させた
動かない身体も甘えるのはここまでだ
甘えてんじゃねぇぞ!
ノビスケ「ぐぅ・・・・」
なんとか立ち上がる事が出来た
フラフラするがこのくらい大丈夫だ
倒れている乗務員を担いでみんなが逃げる方へ歩く
ー避難船前ー
「みなさん!押さずに焦らず!まだ大丈夫ですから!ゆっくり乗ってください!」
ノビスケ「すみません!彼が倒れていたんですが」
「これは、ありがとうございます!さぁ、貴方も乗って」
ノビスケ「その前にこの避難船は名簿で乗った人を確認してるんですよね?」
「えぇ、そうですが」
ノビスケ「北条セリナは乗っていますか?」
「お連れ様でしょうか?少し待ってください」
「いえ、まだですが一緒ではないのですか?」
ノビスケ「わかりました、なにやってんだよ!」ダッ
「あ、ちょっと!」
パーティーホールにはもう既に人はいなかった
ノビスケ「どこに!」
ドン!!
船が大きく揺れる
ノビスケ「うわっ!」
こんなに大きな船なのに耐久力はそんなにないのか?
そう思うほど揺れは酷く
素人でも長くは保たない事がわかった
ノビスケ「映画なんか比にならねぇな」
足が震えているのがわかる
パーティーホールにはおらず避難もしてない
そうなればいるのは部屋だ
そこしか考えられない
招待状はなくしたが部屋の番号は覚えていた
部屋へ向かう
ノビスケ「セリナ!!どごだぁああ!!」
「君!そっちは駄目だ!こっちに来るんだ!」
「避難船はこっちよ!危ないわ!」
「ぐっ!待て!」
亀裂が入る
「うわっ!亀裂がこれじゃあ通れない・・でも!」
「のび太さんやめて!お願い」
「ぐっ・・ごめん名も知らない青年・・ドラえもんがいたら!くそっ!」
誰かが呼び止めるがそれを無視して走る
人が倒れていた
ノビスケ「っ!」
両腕がない人が
「うぅ・・・」
まだ生きていた
ノビスケ「大丈夫ですか!一体誰が!」
「うぅ・・血が・・・」
ノビスケ「血?っ!」
両腕からの出血が酷いこのままでは出血多量で死ぬ
ノビスケ「止血しないと!すみません!」ビリビリ
相手の服を破き両腕にきつく縛る
「ぐぅう・・・」
それでもすぐ止まるわけではない
執事長から身体の仕組みなどを教えてもらって良かった
そして今からやろうとするのはその執事長が教えてくれた応急処置
ただし最悪のね
ノビスケ「少し痛いですよ、いや、かなり痛いですよ」
ゴキッ
「ぎゃぁあああ!!」
ノビスケ「もう片方も!」
ゴキッ
「あああああああ!!」
両腕の関節を少しいじって血を止めた
上手くできて良かった
かなり痛いだろうけど命にはかえられない
「うぅ!この・・ガキが!」
ノビスケ「血は止まったんだから、さてとこのままほってはおけないな行こう立てますか?」
セリナは心配だ。でも、このままほって行けばきっと怒るだろうな
「・・・・・・・・」
「今のは・・貴様北条家の人間か?」
ノビスケ「だとしたらなんですか?もしかして当主の座狙ってたりしますか?なら・・・」
「けっ!そんなちっぽけな地位なんて興味ない」
ノビスケ「なら何故?」
「今の応急処置だ。それは北条家の優秀な執事しか使えなかったと言われる処置術だ」
「まさか貴様なのか?だが、違うか・・貴様未来人だろ」
ノビスケ「っ!な、なんのことかな?」
「ふっ、分かりやすい奴だ。貴様のその右腕未来の物だ、よく見れば分かる」
ノビスケ「なんで・・・」
「そんなの簡単だ未来人だからだ貴様と同じな」
ノビスケ「え!未来人」
「見た所タイムマシンの故障かタイムホールから落ちたって所か?」
ノビスケ「そうです。タイムホールから落ちて・・それで」
「ほう・・運のいい奴だ。貴様の顔は正直好きじゃない。殺したいくらいだ。あいつに似てるからな」
ノビスケ「俺は俺です。そいつと一緒にしないでください」
「それもそうだ。なのに貴様からは怒りも憎しみも感じない寧ろいい気分だ。気に入った」
「助けてもらった礼をやらなければな」
ノビスケ「いえ、いりません」
「ポケットに入ってるボタンを押してくれないか?押せなくてな」
ノビスケ「いえ、だから俺は」
「どちらにせよ押してもらわなければ困る押してくれ」
ノビスケ「それなら・・わかりました」
ポケットからボタンを探し押した
ノビスケ「っ!タイムホールだ!」
「そんなに驚く事か?まぁいい中にタイムマシンがある乗れ、元の時代へ連れて行ってやる」
ノビスケ「え?」
「安心しろ今回は本気だ。貴様に純粋にお礼がしたいだけだ。帰りたいんだろ?」
ノビスケ「それは・・そうですけど」
「早く乗れ沈むぞ」
ノビスケ「っ・・・すみません行けません。行ってください!」
「貴様・・その目はやはり気に入らないな・・・だが・・」
ノビスケ「未来を変えてしまってるのはわかってます!それでもまだ戻るわけにはいきません。まだ恩返しをしてませんから」
「けっ!・・なら好きにしろ・・ん?ほう・・・これは面白い」
何かに気がついたように俺の後ろの方を見ていた
ノビスケ「なんだ?」
自分も振り返り見ようとすると
「振り向くな」
そう言って男は俺にベルトを渡してきた
ノビスケ「これは?」
「タイムベルトだ足はつかないようになってるからタイムパトロール隊にはばれないだろうよ。礼だ持っていけ」
ノビスケ「これは未来の道具なんですか?」
「いいか?それは時間は移動出来るが場所は移動出来ない。考えて使うんだな、じゃなきゃ死ぬぞ」
「おっと、一応言っておいてやる死ぬなよ小僧」
ノビスケ「死ねませんよ託されてるんでね」
「・・・やはり気に入らんな」
その言葉を最後に男はタイムホールへ入っていった
ノビスケ「言ってる事とやってる事が違うけどな・・ありがと」ダッ
場所は部屋がある通路へ
もう人の気配はなく壁にはヒビができている
荷物とか色んなものがそこらに落ちている
こんな時だ荷物なんて持って行ってる時間はない
ちらほら宝石も落ちてる
きっと高いんだろうな
部屋の前まで来るがドアが開かない
どうやら歪んでしまって開かなくなっているようだ
ノビスケ「これは・・無理そうだ・・どうする!」
隣の部屋はドアが開きっぱなしだった
ノビスケ「隣の部屋になにか開けられるような物があるかもしれない」
隣の部屋に入るとやはりもう部屋の原型がほとんど無い
シャンデリアも落ちて割れている
ノビスケ「なにかないか?」
どうやら見る限りここは女性の人が使っていたようだ
下着とか服がそこらに落ちている
ノビスケ「携帯?」
よほど焦っていたのか携帯まで忘れている
ノビスケ「財布まである」
中身は高校生の俺にはお目にかかることのない額だ
ノビスケ「駄目だ・・何もない」
女性の部屋にドアをぶち破れそうな物がある方がおかしいが
ノビスケ「・・・・・・ベッドか」
ふとベッドに目がいく
そう言えば映画とかだと武器とお宝本はベッドの下というのがよくあるが
ノビスケ「一応・・な」
手をベッドの下に入れて何かないか手の感触だけで探す
むにゅ
ノビスケ「なんだ?柔らかい何かだ。でも使えないな柔らか過ぎる」
ノビスケ「それにしても大っきいなまるで人・・・っ!」
ベッドの下を覗いてみると
ノビスケ「人だ!」
女性の人がベッドの下にいた
当の本人はどうやら気絶してるようだ
とりあえずベッド下から引きずり出した
ノビスケ「おい、大丈夫か?おい!」
女「うぅ・・・」
ノビスケ「俺が誰だか分かるか?」
女「うん・・・わかる・・ノビスケくん・・」
ノビスケ「ん?聞いて悪いが名乗ったっけ?まぁいい!さぁ避難するんだ」
女「私・・寝てたの?次は移動教室だったりする?」
ノビスケ「何を言ってるんだ?」
女「あ・・教科書忘れたみたい」
ノビスケ「教科書?ここは学校じゃない!」
この人はどうやら意識が朦朧としているみたいだ
今から戻っていたら手遅れになる
でも、ほってはおけない
女「ノビスケくん・・お昼にしましょ〜セリナは?いつもの三人で食べましょう」
ノビスケ「だから何を言ってる!とにかくしっかりしろ!歩けるか?避難するんだ!」
女「避難?私はアヤカだよ〜避難じゃない」
ノビスケ「へ?ええ!!なんでアヤカさんがここに!」
アヤカ「ふふふ、秘密なんだけど〜ノビスケくんだけに教えてあげる」
アヤカ「私のパパね?ーーーでね?それで〜パパとママが忙しいから代わりに参加してたの〜あれ?なんでノビスケくんがいるの〜」
ノビスケ「大丈夫か?一部何言ってるかわからんぞ?なんだって?パパがなんだよ」
アヤカ「まあいいや〜」ダキッ
ノビスケ「っ!」
意識が朦朧としてるんじゃない!これは・・
ノビスケ「くさっ!酒くさ!」
アヤカ「酷い〜」
酒に酔ってるだけだ!てか、何やってんだ未成年
ノビスケ「あのな?酒は20歳過ぎてからだって教えもらわなかったのか?」
アヤカ「お酒?飲んでないよ〜へへへ」
よくわからないがこのままほってはおけない状況だと言うことはわかる
ノビスケ「まだ・・間に合うか」
避難船がそろそろ出てしまう。急いで戻るか
ノビスケ「とにかくここは危ない避難船まで案内するから行こう」
アヤカ「ん!」
ノビスケ「ん?」
アヤカ「んん!!」
ノビスケ「両手を広げてなにしてる?」
アヤカ「わかってるくせに〜焦らさないでよ」
ノビスケ「訳がわからん!」
駄目だこれ以上相手にしていたら本当に船が沈んでしまう
そしたら・・・・
ノビスケ「失礼しますよっと」ヒョイ
アヤカ「えへへ!」
アヤカさんをお姫様抱っこしてダッシュして戻る
瓦礫がさっきより増えてる
沈むだけじゃなく内部も壊れてきている
なにが原因でこうなったのかはわからないがこれ程の大きな船だ。ちょっとやそっとじゃ沈まない素人の俺でもわかる
なにかにぶつかったわけでもない
なら・・なんだ?整備不良か?いや、そんな事はありえない
これだけの上流階級の人間がいるのにそんな適当な整備などする筈もない
なら、もう答えは出てる
前までの俺なら出ない答えだろう
でも、今は良い意味でも悪い意味でも人を疑うようになった
そうでもしないとセリナを守れないからだ
現に何度かそれでセリナを助けた事もある
ノビスケ「ここの人たちが一気に死ねばそれこそ日本の経済が変わるだろうな」
アヤカ「はふぅ〜」
走りながらそう考えていたが
ガッ
ノビスケ「あ!」ズテン
アヤカ「あう!!」ポチ
瓦礫に躓きそのまま転けた
転ける音と何かを押すような音がした
その時身体に付けていたベルトが光りその光が俺を包みその光がアヤカにもうつる
シュン
ノビスケ「ん?・・・っ!!」
アヤカ「あら?」
ジャバーーン
一瞬だった・・一瞬で俺は海に落ちた
ノビスケ「っ!!あ!・・ゴボゴボ・・」
いきなりのことで何が何だか分からず
ただ無駄に暴れ体力を無駄に使い
海の水を飲んで苦しくなって寒くて
頭がぼーっとしてきて
『もういいじゃん』
頭の中で声をかけられているようだ幻聴が聞こえ始めてきている
誰なんだ?
『どんなに鍛えてもどんなに頑張っても君は所詮守られる側の人間って事だ。いいんじゃないか?それで』
ノビスケ「っ!」
もう駄目だ・・・・ごめん俺はまた・・
執事長『甘えるな!お前に足りないものは冷静さだ。冷静に物事を考えてみろ。馬鹿みたい喚くのはガキと雑魚のする事だ!お前は違うと・・願いたいがな』
ふと前に言われた事が頭の中で聞こえた
ノビスケ「・・・・・・」
そうだ俺は・・もう・・
『無視できない程になってきたね。これは・・・』
ノビスケ「っ!!」
そうだ!俺は今はガキでも雑魚でもない!
執事だ!!
ノビスケ「うぅ!・・」
苦しいのを我慢して一度身体の力をのぬく
身体が少しずつ浮いていく
そして海面を探す
見つけた
ノビスケ「グブォ・・ぐぅ!」
焦るな!体制を立て直せ今のままでは海面の逆をつまりより深く行ってしまう
足を動かし手を動かし海面へ
上手く進めない・・あ、そうか服だ
服を着た状態だから上手く進めなんだ
セリナが折角用意してくれたパーティー用の服を捨てるのはきついが命には変えられない
苦しくなるのを我慢し服を脱いでいった
そしてパンツに手をかける
ノビスケ(これはいいか・・流石に全裸はやばいか)
ノビスケ「ぷはっ!!」ザバーン
ノビスケ「ハァ・ゲホッ・ハァハァ・・」
あと少し遅かったら溺れていた
ノビスケ「ハァハァ・・っ!アヤカさんは!」
周りを見渡すがアヤカさんはいない
いや、見えない!それはつまりまだ海の底にいるということだ
ノビスケ「くそっ!ドレスで酔ってる人間が泳げる筈がない!探さないと!」
大きく息を吸って潜った
下に進めば進む程に水は冷たくそして暗くなる
ノビスケ(これ以上は下には行けない・・一旦上に上がろう)
これより下にいない事を願った
なかなか息は長く続かない
ノビスケ「ぷはっ!!」ザバーン
ノビスケ「スゥーー」
また潜る
ノビスケ(何処だ!何処なんだ!)
そして再び海面へ
ノビスケ「ぷはっ!!さ、寒い」
無理もないこんな寒い時に全裸ではないがパンツ一枚にベルトを肩から下げているだけだ
ほぼ全裸だ
さっきベルトが光この場所へ来た
何故だ?と少し考えたが思い出した
これは未来の道具だ
場所はそのままで時間だけを移動できる道具だ
きっとあの時アヤカさんがスイッチを押してしまったんだ
そしてベルトに触れていたアヤカさんも一緒に移動してしまった
そう考えれば納得がいく
だから海の上だったんだ
当たり前だ。ずっとこの場所に船が停滞しているわけがない
だからさっきの時間に戻ればどうにかなる
ノビスケ「・・・・・・・」
俺は決断をしなければいけない
海の水は冷たく体力もあと少しだ
いつ沈んでしまってもおかしくない状況だ
このまま探し続けて沈むか
今この道具を使ってさっきの時間に戻るか
正直この状況でアヤカさんが生きてる可能性はゼロに近い
見捨てるか、死を覚悟して探すか
答えが出るのにそう時間はいらなかった
何故なら俺には守らなければいけない存在があるから
背負っているたくさんの命があるから
勿論アヤカさんにもあるだろう
それでもここで死ぬわけにはいかない
ノビスケ「ごめん・・アヤカさん!!」
スイッチに手をー
「なぁに〜〜」
ノビスケ「え?」
今の声は確かにアヤカさんの声だ
生きてる!
ノビスケ「アヤカさん!何処ですか!アヤカさん!!」
「ここだよ〜」
ノビスケ「声のする方へと泳ぐ」
すると
アヤカ「なんで?泳いでんだろう?」
顔だけを水面からだして器用に浮いていた
これじゃあわからないよ
ノビスケ「良かった・・・」
アヤカ「あ、もう駄目〜」沈み中
ノビスケ「あ、待って!」ガシッ
アヤカさんを抱きとめベルトのスイッチを押す
アヤカさんを抱きとめた時何か違和感を感じたが今は気にしてられない
寒くて感覚が麻痺している
再び俺とアヤカさんに光が包み込む
その時気づいた
その違和感に
ノビスケ「あ・・・あかん」
シュン
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーー
ースネ樹編ー
男が言っていた薬草探しを始めて一時間程が経った
どんな薬草かもわからず見せられたのは紙に書かれた絵だ
何処にでも生えてるような雑草だ
ただ、先端に大きな白い花が書かれている
それのせいで結構目立つ筈なのだが泥だらけになりながらも探すが見つからない
あまり離れないように近くを手分けして探してるが
夜だということもあり寒さも疲れも限界に来ていた
向こうから煙が上がる
どうやら一度戻ってこいという合図のようだ
スネ樹「見つかったのかな?とりあえず行かなきゃ」
スネ樹「どんな病でも治せる薬草か・・・」
そんな薬草などある筈がない
探す前から思っていた事だ
もしそんなのが見つかっていれば未来にだって影響はある筈だ
あの人達から聞いた時間ではここは僕達がいた時代の30年以上前だ
まだ、僕達の時代にそんな薬は開発されていない
それはつまりそんな薬草がないという証明になる
でも、あの人達が諦めるまで付き合ってやらないと僕達はここから出られない
ここから出る事が出来れば後日またここへ来てタイムマシンを修理すればいい
早く諦めてくれないかな?
「キャアーーー!!」
スネ樹「っ!なんだ!女性の叫び声が」
すぐさまその叫び声のする方へ走った
するとそこには
下着姿の女性に詰め寄る野人がいた
髪はボサボサで身体には大量の傷のあと
間違いない。この島に住む野人だ!
助けないと
スネ樹「ぐっ!」
でも、怖い、食べられるかもしれない
スネ樹「しっかりしろ!僕!」
そこにあった木の棒を持ち後ろから全力で頭に叩いた
ガッ
野人「っ!がぁ!!」
スネ樹「女性の人は!」
女性「あ・・・」ガクッ
スネ樹「大丈夫ですか!気絶したのか?」
女性を担ぎ上げ逃げる
野人「うぅ・・待て」
スネ樹「お、重い・・」
このままじゃ追いつかれる
野人がすぐ後ろまで来た
スネ樹「やばい!」
その時
野人「っ!!」バタッ
スネ樹「倒れた?」
野人はうずくまるように倒れ悶え苦しんでいた
お嬢姉「大丈夫?スネ樹さん」
まゆ「わぁ・・痛そう急所を蹴るなんて、パパもママに蹴られた事あるけどやっぱり男ってそこが弱点なのね」
スネ樹「・・・・あまり蹴らないでね本当にやばいから」
まゆ「やばいの?」
スネ樹「やばいよ」
野人「うぉぉおおお!!」
スネ樹「なんかごめん」
お嬢姉「ちょっと強く蹴り過ぎたかも・・ごめんなさい」
まゆ「謝る必要ないと思うけど」
スネ樹「逃げよう」
野人「ま・・て!」
まゆ「この!」砂を投げる
野人「ぎゃぁあああ!目がぁあああ!目がぁあああ!!」
まゆ「やった!命中」
お嬢姉「今のうちに行くよ」
スネ樹「はい、起き上がる前に行きましょう!こっちです」
お嬢姉「少しの間に頼もしくなったね」
スネ樹「え?いや〜ははは」
まゆ「デレデレすんな変態」
約一名に罵倒されながらミニドラさん達の元へ向かった
スネ樹「下着姿のままはやばいよな・・」
その頃ミニドラ達は
ミニドラ「・・・・・ふっ」
男「なんて・・ことを・・」
女「せっかく・・見つけたのに」
メイド「ミニドラ・・・」
まみ「どういう事ですか!」
ミニドラ「見ての通りだ。薬草を燃やしてる」
まみ「酷いです!あんまりです!」
ミニドラ「これでいいんだよ!」
メイド「やはり信用するのではなかったということですか・・・」
ミニドラ「おいおい、メイドなら分かると思ったんだがな?」
メイド「相変わらずドラドラしか聞こえません」
ミニドラ「ん?そう言えばそうだったな俺はほんにゃくこんにゃくを持っていなくてな」
まゆ「こんにゃくならあります。メイドさんの分を取っておいたので」
ミニドラ「そうか、ならメイドにあげー、む!」
男「この野郎!!」シュッ
ミニドラ「遅い!!小さいからか?可愛いからか?ミニドラをなめんなよ!!」ドゴッ
まみ「可愛くなんてないです・・」
男「ぐぁ!」ズザァアア
女「貴方!」
ミニドラ「いきなり蹴り上げようとしてくるとはな」
まみ「小さいから殴りかかるのは無理です・・・」
ミニドラ「さっきからうるせぇぞ!さっさとメイドの野郎にこんにゃくをやれ!」
まみ「メイドさんは野郎じゃないです!」
ミニドラ「そんなの些細なこー」
ゴツン
ミニドラ「いっ!誰だ!石ころ投げたのは!」
メイド「なにか馬鹿にされたようなので」
ミニドラ「くっ!本当に俺の言葉がわからないのか?」
まみ「メイドさんこれを」
メイド「こんにゃくの切れ端ですか?」
まみ「これを食べればミニドラさんの言葉が分かります」
メイド「なるほどこれでみんなは分かるんですね」モグモグ
ミニドラ「よう、くそメイド」
メイド「初めまして口の悪いポンコツさん」
ミニドラ「殺すぞ?あぁ?」
メイド「やってみろよ」
まみ「あ、あの・・今は」
ミニドラ「まみが困ってんぞ?お前の所為でよ?」
メイド「それは困りましたね。なら早く終わらせますか?」
ミニドラ「あぁ、いいぜ?」
男「まだ・・まだ!俺はぁああ!」ダッ
メイド、ミニドラ「「邪魔するな!!」」ドゴッ
男「がはっ!!」ズザァアアア
女「貴方ぁあああ!!」
メイド「薬草なんで燃やしたんだ?あぁ?答えろよポンコツさん」
ミニドラ「それが人に物を頼む態度か?」
メイド「人?無機物がなにを言ってる」
ミニドラ「お前なら分かると思ったんだがよ!買いかぶりすぎたか?」
メイド「だからどうしてだ?さっさと言え」
ミニドラ「どうしよっかな〜」
まみ「あわわわ!止めないと」
ミニドラ「ヒントをやるよ、あの薬草は確かになんでもではないがかなり医療が発達するほどの貴重な薬草だ。それこそ世紀の大発見だ」
メイド「・・・世紀の大発見」
ミニドラ「これで助かる命はたくさんだ」
まみ「ならなんで!ミニドラさんの所為でたくさんの助かる命が・・」
まみ「あの人達だってきっと助けたい人がいるのに!」
ミニドラ「・・・メイドどうだ?それとも言おうか?」
メイド「・・・理解しました」
ミニドラ「だろ?」
ミニドラ「もうさっきので最後だからここにはない。お前らのいた時代からさらに先の未来で一人の科学者が見つける。今ここでそれを発見してしまえば」
まみ「・・・・その科学者さんが可哀想です」
ミニドラ「そういうことだ」
メイド「もうないとなりますとここでこうしてるのも時間の無駄です」
ミニドラ「あぁ、スネ樹とお嬢姉達と合流出来たら行動を起こそう。あの二人にもう薬草はないと伝えろ」
メイド「・・・・・」
まみ「メイドさんお願いします」
メイド「はぁ、分かりました」
男と女の元へ向かう
男「くそ・・・・」
女「大丈夫よ、まだ探せばあるかもしれないじゃない」
男「そうだよな」
メイド「もうないですよ。全て処分しましたから」
男「嘘だろ・・・・」
女「そんな・・・」
メイド「すみません・・では」
二人はその場に力なく座り込んだ
その後すぐに
スネ樹「みんな!!」
スネ樹さんが帰って来た背中に女性を背負って
お嬢姉「早く逃げるわよ」
まゆ「うん!」
まみ「へ?どうしたのですか?」
ミニドラ「なんかあったのか?」
スネ樹「野人ですよ!野人!この人が襲われかけたんですよ!すぐに追いかけてくるかも」
ミニドラ「へ〜いい女じゃないか下着姿なのはスネ樹が脱がしたのか?やるな流石思春期」
スネ樹「そんなことするわけないでしょ!とにかく逃げましょう!」
メイド「走ってくる足音がします」
ミニドラ「けっ!上等だ!やってやんよ」
スネ樹「逃げましょうよ!」
ミニドラ「野人一人なら楽勝だ!」
メイド「ここは逃げた方がいいかと思いますよ」
ミニドラ「尻尾を巻いて逃げるなんて出来るか!」
メイド「彼女顔色があまり良くないです。このままでは」
ミニドラ「なに?う〜〜ん、体温が下がってきてるな。かなり体力も奪われている。このままだと死ぬな」
まゆ「なら早く逃げましょ!」
まみ「どこへ逃げるのです?」
お嬢姉「さっき話してた船を持ってる人がいるんでしょ?なら船へ」
メイド「では、そこへ行きましょう」
ミニドラ「しかし、未来が・・」
まゆ「一人くらい助けても平気よ。それとも見捨てるの?」
ミニドラ「うむ・・・仕方ねえ!ここで未来やら過去やら言っても仕方ねぇ!」
ミニドラ「船の場所が分からねぇ!お前らあの二人から聞け!」
メイド「貴方は?」
ミニドラ「時間を稼ぐ!」
茂みが揺れる
ミニドラ「そこか!!」ゴォオオオオ!!
ミニドラさんは体当たりでそのまま茂みの奥へと消えていく
ゴツって音がしたからきっと命中したんだろう
メイド「スネ樹さんお願いします」
スネ樹「え?僕?」
メイド「私は多分もう無理なのでお願いします」
まゆ「頼んだわよスネ樹」
まみ「ファイトです!」
スネ樹「わかったよ。行ってくる」
あそこで断っても三人を相手に勝てる気がせず時間の無駄になるだけだ
なら、大人しく行くしかないか
そう思いあの二人を捜す
ここら辺は月明かりで明るいお陰ですぐに見つける事が出来た
スネ樹「あ、いた」
二人ともかなり落ち込んでいるように見えた
僕は二人の元へと行く
この様子だと薬草はまだ見つかっていないだろう
なら、今船の事を話しても意味はない
見つけるまでは乗せてくれないだろうな
どうしてそこまで薬草を探しているのかまずは理由を知る必要がある
理由さえ分かればもしかしたら落とし所があるかもしれない
ミニドラさん少し時間をかけますがすみません
スネ樹「あの・・・・」
男「ん?・・・なんだい?薬草は見つかったかい?」
女「見つけたのよね?」
スネ樹「いえ、それがまだなんです」
男「そうか・・・はぁ」
二人はさっきよりさらに落ち込んでいるように見える
やはり余程の理由があるんだ
スネ樹「あの、どうして薬草がいるんですか?」
男「君には関係ない事さ・・・」
女「そうね・・貴方にとっては他人なんだもの」
スネ樹「やはり誰かを助けたいってことですよね?」
そう言うと少し驚いたような顔をしていた
男「・・・・・そうだよ」
スネ樹「薬草は確か病気に効くって話ですよね?」
男「もういいだろう・・・」
スネ樹「そうはいきません!こっちだって理由を知る権利はある、他人かもしれないけど、関わってしまっている。教えてください。どうして薬草がいるんですか!」
男「・・・・・・・」
女「私達の娘の為よ・・」
男「いいのか?」
女「うん・・・」
女「私達には一人の娘がいるの大事な大事な娘よ」
男「だが、その子は生まれつき身体が弱くてね。最近になってそれが病によるものだって分かったんだ。だけど、その病を治す方法はなかった・・だけど方法を探した・・でも・・」
女「遂には余命宣告をされた・・」
男「皮肉な事だよ・・金はいくらでもあるのに・・」
女「手当たり次第にお金のことなんて考えず探したわ、そしたら」
男「その薬草の事を聞いたんだ」
女「この島にあるかもしれないってね・・・でも」
男「それも・・もうダメだ」
スネ樹「見つからなかった・・ですね」
男「いや、見つかったさ」
女「貴方の赤いお連れさんに全部燃やされてしまったけどね」
スネ樹「っ!!」
スネ樹「なんでそんな事を!」
男「最初は周りの人達も止めてくれてたんだけどね。最後はみんな燃やした事に納得しているようだったよ」
スネ樹「・・・・・・」
何故?何故ミニドラさんは燃やしたんだ?
そして何故みんなは納得したんだ?
ミニドラさんが行動を起こしてそれをみんなが止めてそして納得
薬草を燃やす・・
何故?消すためか?
何故?使わせないため
何故?使わせたくないんだ?たくさんの命が助かるかもしれないのに
それこそそんな事が出来れば世紀の大発見だ
スネ樹「・・・・世紀の大発見」
スネ樹「っ!成る程・・・」
まだ、この薬草を見つけてはいけないんだ
きっと未来で誰かが見つけるその日まで
スネ樹「・・・・・・」
男「これも運命なのかもしれないな・・・帰ろう」
女「うん・・・・」
スネ樹「諦めるんですか?まだ他にもー」
男「余命宣告では明日なんだ。最後くらいは側にいてやりたい」
女「それが私達の唯一出来る事だから」
男「手伝わせて疲れただろ?さぁ、船へ乗ってくれ。あの人達も連れて来てくれ案内するよ」
スネ樹「わかりました」
僕達の所為でこうなってしまったのもあるのに
諦めたような顔で笑っていた
スネ樹「くっ・・・」
こうするしかできないのか・・・
スネ樹「もう帰るみたいです。乗せてもらえるようですから急いで」
お嬢姉「流石スネ樹くんね」
まゆ「褒めてあげるわよ」
メイド「ミニドラを呼びましょう生きてるかな?」
まみ「ミニドラさん!オーケーですよ」
茂みの奥へと叫ぶ
聞こえたようでその後すぐ出てくる
ミニドラ「よし、逃げるぞ」
スネ樹「ボロボロじゃないですか」
ミニドラ「あぁ、手間取ってな」
メイド「倒したのですか?」
ミニドラ「いや、無理だった今はどうにか時間を稼いでる。今のうちに行くぞ」
スネ樹「こっちです!」
メイド「女性の方は私が背負っていきます」
お嬢姉「お願いします」
その後どうにか船まで行くことが出来た
船の中はそれなりに広く倒れていた女性の応急処置も終わらせる事が出来た
そして船は動き出した
ー船の中ー
スネ樹「ふぅ〜お腹いっぱいです」
まゆ「ご馳走さまでした」
まみ「美味しかったです」
お嬢姉「こんな・・美味し物が食べられるなんて・・」
ミニドラ「まぁまぁだな」
メイド「いいのですか?食事まで頂いて、私達はただ乗せてもらえるだけでよかったのですが」
男「お腹を空かした子を見てそのままには出来ないからね」
女「食料なら余裕があったので遠慮しないでください」
メイド「ありがとうございます。感謝します」
男「後は君達が連れてきた人が目を覚ますまではとりあえずゆっくりしていてくれ、目的地まではまだかかるからね」
女「この部屋は自由に使ってもらって構わないから本当なら男と女で部屋を分けたほうがいいんだけど部屋が少ないからごめんね」
お嬢姉「大丈夫です。部屋を貸してもらえただけでも助かるので」
メイド「何から何までありがとうございます」
まゆ「スネ樹に襲う勇気なんてないわよ」
スネ樹「むむ、まぁそうだけど」
まみ「ふふふ」
男「では、失礼するよ」
スネ樹「はい、ありがとうございます」
スネ樹「なんか・・凄く悪い気がする」
お嬢姉「薬草・・燃やしちゃったからね」
メイド「ですが、そうしなければ」
スネ樹「わかってます。大きく未来が変わってしまう・・ですよね」
ミニドラ「忘れちまえよ所詮他人だろ?」
スネ樹「そんなー」
まゆ「そんな言い方ないじゃない」
ミニドラ「なら、お前は世界中全てのそういう奴らを助ける事が出来るのか?そいつを助けた事でなくなる命があったとしてもか?」
まゆ「それは・・・」
ミニドラ「いいか?俺たちが今いる場所は俺たちの世界じゃない。過去だ、終わった可能性だ、それに関わる事変えることは過去事態を今まで積み上げて来た過去の人達の頑張りを否定して壊してしまう事になる」
ミニドラ「お前に世界を壊す覚悟があるか?」
まゆ「・・・ごめんなさい」
まみ「お姉ちゃん・・・」
メイド「何も言えませんね」
ミニドラ「本来ならあの女性だって助ける必要はなかった完全に俺の落ち度だ・・」
スネ樹「間違ってたとしても僕はそれで良かったと思います。あんな最後は可哀想過ぎますから」
ミニドラ「とりあえず目を覚ましたら尋問するか」
お嬢姉「尋問って・・手荒な真似は駄目だよ」
ミニドラ「わかってる、よし、お前らそれまでは寝てろ安心しろ寝ている間は俺が守ってやるから」
まゆ「逆に安心出来ないかも」
まみ「私は出来ますよ」
お嬢姉「せっかくだから言葉に甘やかせてもらいましょ?疲れちゃったし」
メイド「そうですね」
スネ樹「女性陣でベッドは使ってください僕はソファで良いので」
メイド「本来なら私がソファでなければいけませんが・・すみません今回だけは甘やかせてもらいます」
スネ樹「気にしないでください」
お嬢姉「スネ樹くんありがとうね」
スネ樹「お休みなさい」
お嬢姉「うん、お休み」
ミニドラ「少しは男になってきたな」
スネ樹「まだまだですよ」
あんな大変な事もありみんなはすぐに眠りについた
精神的にも肉体的にも疲れているだろうからあっという間だった
みんなが眠る中一人考え事をしていた
ミニドラ「・・・・これは酷いな、あの時まみが声をかけてくれなかったらやばかった」
ミニドラ「修理が必要だな・・それに・・」
ミニドラ「少し行動を起こすか、そろそろみんな寝ただろう。出てきていいぞ」
???「了解だ!」
ミニドラ「静かにしろみんなが起きるだろ」
???「すまない今出よう」
まみ「ふにゅ〜」ピクピク
???「すまない四次元ポケットから出られないんだが」
ミニドラ「ん?そんな筈はないちゃんとまみの腹のあたり付けてる筈だから出てこられる・・・」
まみ「にゅ〜」うつ伏せ
ミニドラ「うつ伏せで寝られたら出てこれないな・・どうにか出来ないか?」
???「ふむ、やってみよう」
まみ「ふにゃ〜」ピクピク
???「ダメだね重い、すまないが仰向けにしてくれないか?」
ミニドラ「だが・・わかった待ってろ」
まみを仰向けにする為に触れようとしたその時声がする
お嬢姉「なにやってるのかな?」
ミニドラ「ち、違うぞ!これは」
お嬢姉「何故かまみちゃんには優しいような感じがあったけど・・まさか・・そんな襲うような真似をするなんて」
ミニドラ「だから違うって!」
お嬢姉「これはみんなに起きてもらって」
ミニドラ「話を聞け!」
お嬢姉「っと、冗談はここまでにして、あんまり大きな声出すとみんな本当に起きるよ?」
ミニドラ「っ!・・このくそ女が」
お嬢姉「やっぱり襲うつもりだったの?だったら」
ミニドラ「いい性格してんな?」
お嬢姉「それはどーも、それで?何をしようとしてたの?」
ミニドラ「四次元ポケットに用があってな、そのままじゃ出せないだろ?」
お嬢姉「なるほどね。それなら起こせばいいのに」
ミニドラ「疲れているだろ?今は休ませてやりたいんだよ」
お嬢姉「優しいところあるんだね。少し見直したよ」
ミニドラ「よせよ、お嬢姉頼めるか?」
お嬢姉「ええ、任せて仰向けにすればいいのよね?」
ミニドラ「あぁ」
まみ「ふむゅ〜」ゴロン
お嬢姉「と言っても必要なかったみたいだね。自分で仰向けになっちゃったよ」
???「ふぅ〜やっと出られた」
お嬢姉「ポケットから・・黄色いミニドラさんが出てきた」
ミニドラ「紹介しよう。彼はドラの兄貴護衛隊の一人黄ミニドラだ」
黄ミニドラ「よろしくね?嬢ちゃん」
お嬢姉「え、えぇ、よろしく、まだいるってこと?」
ミニドラ「仕方ねぇ、みんなには内緒にしろよ?出てこい」
お嬢姉「いや、いいよ面倒くさそうだし」
そんな声も虚しくまみの四次元ポケットから三体のミニドラが出てくる
ミニドラ「紹介しよう」
黄ミニドラ「最高の仲間たちだ」
お嬢姉「手短にお願いします。はぁ〜」
ミニドラ「まずは、さっき黄ミニドラは紹介したな?次は青ミニドラだ。クール担当だ」
青ミニドラ「ふっ、よろしく」
お嬢姉「担当?」
ミニドラ「個性みてぇなもんだ、みんな同じだとつまらんだろ」
お嬢姉「はぁ・・」
ミニドラ「次は緑ミニドラだ。頭脳担当だ」
緑ミニドラ「うむ、よろしく頼むよ君」
お嬢姉「は、はぁ・・よろしくお願いします」
ミニドラ「そして、最後がピンクミニドラだ。セクシー担当だ」
ピンクミニドラ「うっふーん、よろしくねお嬢ちゃん」
お嬢姉「お、おう・・」
お嬢姉(どこがセクシーなんだろう・・色が違うだけに見えるけど)
青ミニドラ「ふっ・・・」
ミニドラ「青ミニドラの奴照れてやがるぜ」
黄ミニドラ「無理もないピンクミニドラの色気に正気でいる方が難しいさ」
ミニドラ「あぁ、俺も今のはくらっ、てきたぜ」
緑ミニドラ「頭がくらくらしますね」
お嬢姉(・・・私がおかしいのかな?)
黄ミニドラ「ちなみに俺は太陽担当だ」
お嬢姉「た、太陽?あー、太陽のような感じで周りを明るくする的な?熱血系?」
ミニドラ「やるじゃねえかその通りだ。そしてこの俺がリーダー赤でリーダー担当だ。強いぞ?」
お嬢姉「そうですか・・それで今から何をするんですか?」
ミニドラ「この後からどうするかを話し合おうと思ってな。もう寝てていいぞ」
お嬢姉「私もなにか役に立てる事は?ないの?」
ミニドラ「ない、寝ろ邪魔だ」
お嬢姉「もう、後で言っても遅いからね!」
ミニドラ「さっさと寝ろ」
黄ミニドラ「彼女結構無理するタイプだね」
ミニドラ「あぁ、だから無理矢理でも休ませないとな」
ピンクミニドラ「顔を見ればわかるわ早く元の時代に返してあげないとね」
ミニドラ「そうだな・・・」
緑ミニドラ「では、これからの事話しますか、その前に青ミニドラ」
青ミニドラ「わかってる。修理しよう」
ミニドラ「すまんな頼む」
黄ミニドラ「凄い傷だね。どうしたの?」
ミニドラ「その事についても後で話そう、というかもう始めようあまり時間がない」
青ミニドラ「修理は続けておこう」
ミニドラ「頼む、それじゃあまずはーー」
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーー
ミニドラ「以上だ!各自頼んだぞ」
それから数時間後
船は専用の港に着いた
僕達は案内され屋敷の中へ
とりあえず今日は泊まっていっていいようだ
自分の船を持ってるからお金持ちだとは思っていたけどまさかこれほどとは
聞けば大きな財閥の当主候補だとか
これでも候補だというのが凄い
みんな屋敷の凄さに圧倒されつつ部屋へ案内された
助けた女性は信頼のおける病院へ運んだらしい大丈夫だといいけど
意識が戻ったら連絡を貰えるようにしてもらったから後は待つだけだ
綺麗で大きな玄関ホールを通り真ん中にある階段で二階に上がり部屋へ案内された
案内してくれたメイドさんは動き方から見てもちゃんとしている
人を不愉快にさせないようにも配慮されている
まみ「どれも高そうです」
まゆ「い、いい?触っちゃダメよ。いい?」
お嬢姉「・・・・・・」
メイド「掃除が行き届いていますね。当たり前ですけど」
屋敷メイド「ありがとうございます。お客様に快適に過ごしてもらえるためなら苦労は惜しみません」
ミニドラ「ほう・・この壺高そうだな」
屋敷メイド「いえ、それほど高くはありません200万程です」
ミニドラ「お前ら絶対に触るなよ!」
まゆ「わ、わかってるわよ!」
まみ「ゴクリ・・・」
まゆ「まみダメだからね」
まみ「は、はいです」
メイド「あのメイド服を貸してもらえませんか?」
屋敷メイド「構いませんよ。皆様も着替えがありますのでどうぞ」
まゆ「やった」
まみ「わーーい」
お嬢姉「・・・・・・・」
ミニドラ「さっきからどうした?固まって」
お嬢姉(ダメよ・・少しでも動いて傷でもつけようものなら・・・)
お嬢姉「だ、大丈夫よ」
ミニドラ「後で言って高い物はどけてもらうか」
それから・・部屋で各々が過ごした
これからについても話し合わなきやいけないが今はこのままでいいだろう
みんな口には出さないがきっと娘さんの事を気にしている
確か今日が余命宣告をされている日にち
きっと今頃病院では・・・・
ふと部屋の電話が鳴った
取っていいのか迷ったが取ることにした
スネ樹「もしもし」
男「部屋はどうだい?気に入ってくれたかい?船と同じように一部屋しか用意できなかったけど」
スネ樹「いえ、充分すぎるほどです。本当にありがとうございます」
男「そうか、それは良かった。今からそっちに行くから準備をしていてくれ」
スネ樹「わかりましたけど何処かへ行くのですか?」
その言葉に少し間が開いた後答えた
男「会ってやって欲しい子がいるんだ。迎えに行くから」
その言葉でわかった行き場所は病院で会って欲しいというのはきっと彼らの娘さんだ
返事に困った・・でも、行く事にした
ミニドラ「皮肉のつもりなのか?お前らの所為でこいつが死にますって見せつけたいのかね」
メイド「そうだとしても仕方ありませんよ」
まみ「そうですよ・・ね」
まゆ「謝っても許してもらえるわけないよね・・」
お嬢姉「私達にとっては他人でも向こうにとっては家族だから・・」
スネ樹「僕はそう言う意味ではないと思うんです。なんとなくですけど」
スネ樹「だから行きましょう」
ほどなくして迎えが来た
みんな少し躊躇したが車に乗った
すぐに病院へ着いた
部屋へ案内され
中へ入った
女改め母親「っ!」
母親は僕達に気づくと睨んできた
男改め父親「やめないか」
母親「・・・ごめんなさい、せっかくきてもらったんですものね」
スネ樹「あ、あの会って欲しい人って」
父親「この部屋の向こうにもう一つ部屋があるんだけどそこに娘がいるんだ」
父親「君達の事を話したら是非会いたいと」
文句でも言われるのだろうか
スネ樹「ですが、もう娘さんにはあまり時間が」
父親「だからだよ。娘の意見を尊重してあげたいんだ。お願いだ会ってくれないか?」
スネ樹「どうしましょう・・」
ミニドラ「ここまで来たんだ。会ってやれよ」
スネ樹「わかりました。会わせてください。どんな文句でも聞きますから」
母親「そんなこと言うような子じゃありません!」
父親「こら、大きな声を出すんじゃない」
母親「だけど・・」
父親「わかっている」
ミニドラ「白々しいなクソが」
メイド「貴方の言葉が相手にわからないことが幸いですね。少し黙っててください」
ミニドラ「けっ!」
父親「あのことは娘には言ってないんだ薬草は見つからなかったってね」
スネ樹「それでよかったんですか?」
父親「あぁ、大勢ではダメだから二人ずつで頼む」
スネ樹「わかりました。じゃあ、まずは僕が」
まゆ「仕方ないから一緒に行ってあげる」
父親「なにかあったらすぐに知らせてくれ」
スネ樹「はい」
そしてさらにその先の部屋へ入った
そこにはベッドとよくわからない機会があって
それに繋がれて辛うじて生きているようだった
娘「貴方が・・・パパの話してた」
スネ樹「スネ樹です」
まゆ「まゆよ」
娘「パパ達を手助けしてくれてありがとね。私は、ゴホッ!ゴホッ!」
スネ樹「大丈夫?呼ぼうか?」
娘「大丈夫です・・もう長くないのはなんとなく分かってるので」
まゆ「っ・・・」
娘「見つからなかったのは残念だったけど・・私の為にここまでしてくれた。他人なのに一緒に探してくれた人が居たって知って凄く嬉しくなってね・・まだこの世界にもいるんだなって・・」
違う・・そんなんじゃ・・僕達は
まゆ「あ、ありがと・・・」
スネ樹「まゆ・・・・」
まゆの顔は俯いて苦しそうだった
今ここで否定しても困らせてしまうだけだ
それをまゆは分かっているんだ
みんなにこんな顔見せられないだろうな
スネ樹「僕も君に会いたかった、会えて嬉しいです」
娘「ありがとね・・それでね私一言言いたかったの」
娘「ありがとう・・ってね」
スネ樹「っ!」
まゆ「そんな・・言われる資格なんて・・」
スネ樹「まゆ・・・」
まゆ「わ、私先に戻ってるから」ダッ
逃げるように部屋を出て行った
スネ樹「まゆ!」
娘「なにか気に触るような事を」
スネ樹「違うよ・・ただ」
娘「ただ?」
スネ樹「お手洗いだよ」
娘「間に合うといいですね」
スネ樹「間に合うといいね・・」
娘「名前言ってなかったね」
娘「私は北条家長女北条リナよ、本当なら小学一年生なんだけどね」
スネ樹「君は凄いよ。小学生なのに僕より大人だ」
リナ「ううん、そんな事ないよ。本当なら怖くて泣き叫びたい・・でも、それはパパやママに迷惑がかかるから」
スネ樹「そんなことないよ。迷惑だなんて思ってないよ!もっと甘えていいんだよ!まだ君にはその権利があるんだ!無理に感情を抑えなくてもいいんだ!」
リナ「・・・ありがと」
スネ樹「足掻いてもいいんだよ!」
リナ「・・・・・・私」
スネ樹「ごめん、僕は」ダッ
僕も逃げるように部屋を出た
多分あの時助かりたい生きたいと彼女が言っていたら
いや、聞いていたら
自分が許せなくなっていた
スネ樹「これでいいんだ・・・」
まだ、強くなれてなかったよ・・
まみ「次は私が」
メイド「私が行きましょう」
スネ樹「・・・・・・」
まゆ「私は・・私は・・・」ポロポロ
スネ樹「よく頑張ったよ、まゆ」
まみ「お姉ちゃん・・・」
メイド「行きましょ今はスネ樹さんに任せていれば大丈夫です」
まみ「うん・・・」
二人が部屋へ入って行った
リナ「いらっしゃい」
まみ「こんにちは、まみです」
メイド「メイドとお呼びください」
リナ「リナです。よろしくね」
リナ「スネ樹さんとまゆさんは大丈夫ですか?」
メイド「二人共漏れそうだっただけです」
リナ「そうなの?間に合うといいですね」
メイド「はい」
リナ「まゆさんもメイドさんも私の為にありがと・・見つからなかったけどそれでも嬉しかったです。本当にありがとう」
まみ「・・えっと・・」
メイド「今は両親は部屋の外ですよ?」
まみ「え?」
メイド「胸くらいなら貸しますよ」
まみ「私のもどうぞ!あまりないけど!」
リナ「ですが・・」
メイド「迷惑じゃありませんよ。寧ろ・・」
まみ「私は!辛そうな顔を見るのは嫌です!私に何か出来るなら、それで笑ってくれるなら!貸します!いえ、無理矢理貸します。」
メイド「ふふふ、そうね観念したら?リナちゃん」
リナ「二人とも・・・・」
リナ「・・・お願いできますか」
メイド「はい」
まみ「どうぞ!」
ー部屋の外ー
ミニドラ「どうだったよ」
スネ樹「これで良かったんだって・・そう思いたいですけど、辛いです・・・」
ミニドラ「助けてやりたいか?」
スネ樹「出来ることなら・・・」
ミニドラ「そうか・・」
ガチャ
メイド「終わりました」
まみ「・・・・・・」
ミニドラ「よし、お嬢姉行くぞ」
お嬢姉「はい」
ミニドラ「メイド、服の前汚れてるぞ」
メイド「いいんですこれくらい汚れても文句なんて言えません、私達には・・・」
ミニドラ「もし、薬草を渡しても薬が出来るまで保つ補償もなかったんだ。助かる確率なんて1パーセントくらいだ」
メイド「それでも1パーセントの確率を奪ったんです」
ミニドラ「だとしてもだ。死んだ人間を」
メイド「まだ死んでません!」
ミニドラ「いいか?俺たちはな!」
メイド「わかってます・・わかってますが・・それでも・・」
ミニドラ「すまん言い方が悪かった・・」
メイド「いえ、私もまだ子供のようですね・・情けない」
ミニドラ「あぁ、そうだな、出来もしねぇのに死ぬ人間になにかしてやろうなんて思ってんじゃねえぞ偽善者が」
メイド「・・・・・・」
お嬢姉「あ、待ってください」
二人が部屋へ入って行った
メイド「偽善者ですか・・・そうですね」
スネ樹「メイドさん・・・」
ミニドラ「邪魔するぜ」
お嬢姉「失礼します」
リナ「いらっしゃい貴方達で最後ですよね?パパとママをありがとうございます」
ミニドラ「気にするな、こっちも世話になったからな」
お嬢姉「こっちの小さいのは何を言ってるから分らないかもしれないけど気にしないでね」
ミニドラ「そうだったな分からないんだよな」
リナ「あはは、でも、なんとなくは分かりますよ」
お嬢姉「目が赤いけど大丈夫?」
ミニドラ「泣いたんじゃないのか?この歳で今を受け入れるには幼な過ぎる」
リナ「少し泣いちゃっただけですから・・もうスッキリしました」
ミニドラ「嘘だな」
お嬢姉「そう・・ですか」
リナ「嘘です・・・」
お嬢姉「うん、わかるよ」
お嬢姉「辛くて苦しくて・・助けて欲しいんだよね」
リナ「うん・・」
お嬢姉「死にたくないんだよね」
リナ「うん・・」
お嬢姉「だったらー」
リナ「でもいいんだよ・・これでいいんだよ。もう私の為にみんなが苦しむのは見たくないから・・」
リナ「ママのお腹の中にはね赤ちゃんがいるの・・なのに無理して薬草を探したりして・・これ以上ママや産まれてくる妹を苦しめたくない!もう助からない私に時間とお金をかけて欲しくない!」
お嬢姉「やめてよ!そんな事言わないでよ!」
リナ「なんで貴女がそんな事を言うの?」
お嬢姉「同じだからだよ・・私と貴女は」
リナ「え?」
お嬢姉「ミニドラさん」
ミニドラ「無理だ!」
お嬢姉「まだ何も言ってないけど」
ミニドラ「助けたいとか言うんだろ?お前もメイドと同じように自分の立場も理解出来ないのか?」
お嬢姉「理解はしてますよ。理解した上で言ってます」
ミニドラ「俺は兄貴程優しくはねぇよ」
お嬢姉「そうですかね?」
ミニドラ「何が言いたい」
お嬢姉「ポケットに手を入れてますよ?」
ミニドラ「なっ!」
お嬢姉「無意識なのかな?だとしたら」
ミニドラ「先に出てるぞ」
お嬢姉「待って!」
ミニドラ「くっ!うるせぇ!」
リナ「よくわかりませんが私の所為で喧嘩してるならやめて下さい!私は・・・・・・うっ!」
お嬢姉「リナちゃん?リナちゃん!!」
ミニドラ「くそが!!」
ミニドラ「おい!目を開けろ!開けやがれ!お客様の前でなにしてんだ!」
リナ「うぅ・・・・」
お嬢姉「私!みんなを呼んでー」
ミニドラ「呼ぶな!」
お嬢姉「でも!」
ミニドラ「リナよく聞けお前の望みを言え・・」
そう言うとポケットから道具を取り出した
その道具がなんなのかはわからないけどこれで助けられるなら
ミニドラ「この道具は同等の対価を支払えば願いが叶うという道具だ」
ミニドラ「どんな願いでも叶う、だが、その反面どんな対価も要求される。その所為でこの道具は破棄された」
お嬢姉「ドラちゃんが持ってた腕時計と同じってこと・・」
ミニドラ「あぁ、リナ願いを言えそして対価を言うんだ」
リナ「・・心配してくれてるのかな?・・ありがとね」
ミニドラ「ちっ!お嬢姉頼む」
お嬢姉「リナちゃんこれはね」
ミニドラの言っていたことを伝えた
リナ「言えないよ・・・」
ミニドラ「なんでだ!」
お嬢姉「どうして」
リナ「私の我儘で他の人が死ぬかもしれないって事だよね・・そんなの嫌だよ」
ミニドラ「何でもいいんだ!両親だってお前の為なら、なんなら嫌いな奴でもいいんだ!」
お嬢姉「ミニドラさん・・言ってもダメだよ」
リナ「ごめんね・・・」
リナちゃんに繋がれてる機械が大きな警告音を出していた
リナ「っ・・でも・・そうだね・・折角だから・・」
ミニドラ「そうだ!言え助かりたいと」
ミニドラの持っている道具に最後の力を振り絞って言った
リナ「ーーーーーー・・私の存在でいいかな?」
お嬢姉「っ!」
お嬢姉「・・私には止められないね」
ミニドラ「っ!全員忘れてしまうんだぞ!親も!お前の産まれてくる妹もだ!いいのか!」
リナ「うん」
ミニドラ「馬鹿野郎が・・」
お嬢姉「リナちゃん後悔はない?」
リナ「ないよ・・だって私は」
リナ「お姉ちゃんだもん」
機械の音がピーーーーと鳴る
瞬間道具が大きく光った
これは契約完了の合図だった
彼女の願いは叶えられるだろう
だけどその対価は彼女の存在をなかったことにする
この道具は願いに対して大きすぎる対価も少なすぎる対価も受理しない
悪魔で同等の対価と願いではないと動かない
道具が動いた・・
それはその願いに命と存在をかける程の価値があった
それは大きな事なのか
それとも小さな事なのか
彼女の命はどれ程の価値があったのか
ここにいる人達しか知らない
でも
それももう忘れてしまうのだから
誰も知る人はいない
光が収まった時あったのは何もない部屋だった
お嬢姉「あれ?なにしてたんだっけ?」
ミニドラ「・・・・・・」
お嬢姉「ミニドラさん?」
ミニドラ「ん?そうだな、ちょっと定期点検のついでにあの女の様子を見に来たんだが部屋を間違えたようだな」
お嬢姉「そうなんですか?ここ集中治療室だけど」
ミニドラ「てへぺろ」
お嬢姉「行きましょうか」
ミニドラ「おいおい、待てよ」
お嬢姉「待ちません」
ミニドラ「・・・・・・」
ミニドラ「たく・・・・いい女だったんだが・・」
お嬢姉「早く行くよ」
ミニドラ「へいへい」
ガチャ
スネ樹「う〜んなんでここにいるんだろう」
まみ「わからないけど・・泣いてたみたいです」
まゆ「うん、私も不思議ね」
メイド「貴方達は?」
父親「ん?ああ・・妻に子供出来てね。その検診にだけど部屋を間違えたようだ失礼するよ」
母親「なんでこんなところに」
スネ樹「間違えたにしてはなんかおかしいですね」
まゆ「うん、そうねまるで他の用で来てる感じだった」
まみ「う〜ん」
ミニドラ「もういいだろ?俺たちの用事はなんだ?」
スネ樹「あ、そうだ、無人島で見つけた人に会いに行くでしたね。あれ?無人島からどうやってここまで来たんだっけ?」
メイド「そういえば覚えてませんね」
ミニドラ「そんなことは些細な事だ。行くぞ」
スネ樹「まぁ、そうだね行こう」
ミニドラ「・・・・」サッ
母親「あら?」
父親「どうした?」
母親「何か紙が」
父親「ん?リナ?誰だろう・・わかるか?」
母親「いえ、わからないけど・・何でだろう・・・涙が」
父親「何か大切な事を忘れてるような・・」
母親「止まらない・・・なんで」
父親「・・・・なぁ、産まれてくる子が女の子だったらさリナにいや、真似はダメだね」
母親「・・だったらリナに一文字足して・・セリナでどう?」
父親「あぁ!それがいい!リナ・・何故だろうその二文字だけで強い子に育ってくれるような気がする」
母親「うん、セリナ・・会える日が楽しみよ」
ミニドラ「これくらいはいいだろう」
ーあの女の病室ー
スネ樹「失礼します、っ!」
???「ん?」
その人は女性を抱えて窓に手をかけていた
まみ「あれ・・・・」
まゆ「ノビスケくんだよね!」
メイド「ノビスケ・・・」
ノビスケ「みんな・・無事で良かった」
お嬢姉「ノビスケくん!」
ノビスケ「でも今はごめん!」
そう言って女性を抱えて窓から飛び降りようとしたが流石に無理と思ったのか
女性を抱えたままこっちへ来る
ミニドラ「ん?・・・ちっ!また無駄な仕事増やしやがって」
ノビスケ「悪いね、そうしなきゃいけない程の理由があるんだ」
ミニドラ「言っておくが高くつくぞ?」
ノビスケ「うん、わかってるよ。だけどあと少しみんなを頼む」
ミニドラ「その女と関係があるのか?」
ノビスケ「いや、ないとは言えないでもただ巻き込まれただけなんだ」
ミニドラ「そうか、わかったこっちもどうにかしてみる。あいつは好きに使ってくれ役に立つ」
ノビスケ「あぁ、ありがと」
スネ樹「ノビスケさん・・」
ノビスケ「スネ樹いい顔になってるよ。みんなを頼む」
スネ樹「帰ってくるんですよね?」
ノビスケ「いや、帰っては来ない」
スネ樹「っ!そんな・・」
ノビスケ「帰ってはこれないんだ。だから頼む」
スネ樹「そんな・・そんな・・」
まゆ「ノビスケくん・・もう私達は・・」
ノビスケ「それは違うよ」
まみ「じゃあ、どう言う意味なんですか!」
ノビスケ「それは今は言わないほうがいいだろう」
全く意味がわからない
ノビスケ「メイド」
メイド「・・・・・」
ノビスケ「メイド?」
メイド「・・・・・・」
ノビスケ「・・・ごめん」
メイド「ぐっ!」
スネ樹「メイドさん!」
メイド「・・・何でもありません。お気をつけてノビスケさん」
ノビスケ「・・・・・うん」
お嬢姉「ノビスケくん」
ノビスケ「身体は大丈夫か?」
お嬢姉「うん、気をつけてね」
ノビスケ「あぁ、じゃあ行くね」
ノビスケ「本当にごめん・・」
僕達にそう言って部屋から出て行った
部屋に残ったのは誰もいないベッドと二枚の紙だった
一枚目は何かが書かれたメモ
ミニドラ「本当に世話の焼ける奴だなあいつは」
二枚目は領収書だった
ミニドラ「あの女の治療費か・・無保険・・んん!!」
ミニドラ「あの野郎ぉおおおお!!」
スネ樹「メイドさんあの時ナイフを・・・」
メイド「気のせいです」
スネ樹「・・ノビスケさんと何かあったんですか?」
メイド「気のせいです」
スネ樹「・・・・・・」
何もかも訳も分からず正直混乱しそうだ
でも、一つだけ分かることがある
ノビスケさんに頼むと言われた
だから僕はできる限りの事をする
みんなの為に
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーー
ー恭介編ー
家がやっと警察から帰って来た
これであの机を調べることができる
あらかじめ取っておいた机の引き出しを持ってノビスケくんの家へ俺と優香さん、ユウさん三人で行った
しかし、そこには机がなく
罠があった
それに俺たちは掛かってしまった
バタッ
黒服の男「ふっ、まんまと罠にかかりやがってマヌケが」
部下「そろそろ中に入っても大丈夫でしょうか?」
黒服の男「そうだな、よし、確保しろ生きたままだぞ」
部下「はっ!了解です」
黒服の男「それにしても少しは調べたがあの男がこんな罠にかかるとはな。もうあいつも歳って事か」
「ぎゃぁあああ!!」
黒服の男「部下の声だ!どうした!」
急いで家に入る狭い廊下を走り例の部屋へ
黒服の男「部下!」
部下「すみ・・ません・・」バタッ
黒服の男「おい、しっかりしろ」
ガシッ
肩に手が置かれた、置かれたと言うより掴まれたという方がいいだろう
その時察した
やられた!!
ユウ「よう、人の家に勝手に入っちゃあいけないよな?」ガスマスク装備
黒服の男「なっ!」
恭介「動かないでください!」ガスマスク装備
優香「すぅー」ガスマスク半被り睡眠中
黒服の男「気付いていたのか」
ユウ「まさか?だったらそこで寝てるわけもねぇだろ?」
黒服の男「なら、何故」
ユウ「あらかじめ色々な事態を想定して準備しただけだ」
ー少し前ー
優香「だめ!」
恭介「え?」
プシューー
恭介「うわぁあああ!!」
ユウ「やられた!ちくしょぉおおおお!!」
ユウ「っとこれでいいか」
恭介「え?」
ユウ「二人とも受け取れ!ガスマスクだ」
恭介「なんでこんな物を」ガポッ
ユウ「昔の職業柄臆病なもんでな」ガポッ
優香「恭介くん!これなに?」アタフタ アタフタ
恭介「優香こう付けるんだ!まずそれを被って」
ユウ「もう被らなくていい!それを直接口元に!」
優香「え、う、うん・・ゴホッ、あふぅ〜」バタッ
恭介「優香!」
ユウ「くそっ!これは睡眠ガスか!」
恭介「優香!今病院に連れて行ってあげるからね」
ユウ「バカ!今外に出るな」
恭介「見捨てるんですか!」
ユウ「睡眠ガスだ!身体に害はない!どうやら生きててくれないと困るらしい」
恭介「それって」
ユウ「これを利用しない手はないよな?」
プシューー
ユウ「うるせぇなこれ恭介壊せ」
恭介「壊せと言われても」
ユウ「銃持ってるだろ?お前も丸腰で来たわけじゃないだろ?」
恭介「まぁ・・ばれたらクビですけど」
ユウ「グリップの部分で噴射口を壊せばいいだけだ」
恭介「わかりました」
ガン ガン ガン
ユウ「止まったな、ん?誰来るぞ隠れろ」
恭介「優香は!」
ユウ「囮に使う」
恭介「・・わかりました。危険だと思ったら出ますから」
ユウ「その時は俺が先だ」
恭介「と言っても隠れる所ないですよ?」
ユウ「うむ・・だな」
部下「な、なんで!」
ユウ「仕方ない」
ガシッ
部下「ひっ!」
ユウ「うまく鳴けよ?」
部下「ぎゃぁあああ!!」
ー現在ー
黒服の男「そう言う事だったか、まぁいい殺せ部下を死なせて自分だけ生き残る気はない」
ユウ「言っておくが俺に同情で助けてもらおうだなんて期待はするなよ?」
黒服の男「ふっ、そんな男でない事は知っている」
ユウ「そうか、じゃあな」
黒服の男「・・・・・・」
ユウ「恭介、手をどけろよ」
恭介「殺す事はないでしょ!」
ユウ「甘いなそんな事言ってたら仕返しされて大切な人を失うぞ」
恭介「この人は違う!そんな事をするような人に」
ユウ「それが相手の思う壺だってなぜ分からない!」
恭介「生憎物分かりは良くないんです!俺は警察です。目の前で殺されるのをただ見ていることなんて出来ない!」
恭介「彼の身柄は警察が預かります」
ユウ「恭介・・俺の邪魔をするって事だよな?俺は邪魔をする奴には容赦しねえぞ?恭介お前でもな」
恭介「それでも・・譲れないんですよ・・これだけは」
ユウ「そうか・・・」ギロ
恭介「うっ・・・」
正直言うと凄く怖い・・ちびりそうだ
なんで俺はこんな命知らずなことをしてんだろう
身体が勝手に動いて口が勝手に喋って
でも、それは全部俺の本心だから
これで死んだとしても・・後悔はないよ
自分を貫けたんだから
恭介「殺させません。それでも殺るなら貴方も逮捕します」ギロ
ユウ「・・・・・・・」
黒服の男「ふっ、ちびりそうだぜ」
ユウ「ふっ!」シュッ
恭介「っ!」
ドゴッ
恭介「がぁ!!」
ガシッ
ユウ「このまま首折るぞ!言え!俺が間違ってたと!」
恭介「ぐっ!嫌だ!」
ユウ「なんだと!」グググッ
腕に力が入り首が絞まっていく
恭介「うぅ・・あ、あく!」
ユウ「いいか?どんなにお前が正しい事を言ったとしてもだ!それは普通の社会でしか通用しない!俺らのような裏の人間にはな!正しい間違ってるなんてないんだよ!あるとするなら!勝った方が正義なんだよ!」
恭介「ぐっ・・うぅ・・そ、なことは!」
ユウ「無いって言えるのかよ!これが最後だ!お前の正義は認める!正しいよお前は」
ユウ「だから今回は見逃せ!俺はな?どうしても許せない奴がいる。それはな大事な人に危害を加える奴らだ!今回もし毒ガスだったら優香はどうなってただろうな?無事だったから良かった?違うよな?分かるよな?言ってる意味がよ」
恭介「うう!!がぁああ!」
ユウ「答えろ!」
ユウさんの言ってる事は俺だって思ってる
あの時優香が倒れた時俺は一瞬だけど仕掛けた奴を殺してやりたいと思った
ユウさんの今の気持ちも痛い程分かる
でも、だからって殺していい理由にはならない
そんな事を許してしまえば
また、あの戦争の時の警察みたいに信用されなくなって負の連鎖が生まれてしまう
それだけは駄目だ
この先の未来でも、子供達が警察官への憧れを持ってくれるように
俺は!!
恭介「次へ繋げなきゃいけないんだ!!」
ユウ「っ!」
後ろから首を絞められている状態から背負い投げをして逃れる
恭介「ゲホッ、ゴホッ ゴホッ・・ユウさん・・俺は俺の信じた正義を貫きます。邪魔するなら容赦しませんよ」
ユウ「それが答えか・・・」
恭介「はい」
構えをとりユウさんの次の攻撃を待つ
しかし、攻撃はこなかった
ユウ「流石だなお嬢の認めた男なだけはあるな合格だ」
恭介「へ?」
ユウ「すまんなお前の覚悟を見ておきたかったからな」
恭介「じゃあ、今のは・・」
ユウ「演技だ・・・半分な」ボソッ
恭介「そんな・・・俺凄く怖かったんですよ」
ユウ「悪かったよ、でもその気持ち絶対に忘れるなよ」
恭介「分かってます。俺は俺なりの正義貫きます」
ユウ「それでお前は逃げなかったのか?」
黒服の男「ふっ、無駄な事はしない主義でな。逃げられそうにもなかったしそれに・・部下をおいてはいけない」
ユウ「ほう・・中々見所のある奴だな。だが、俺はお前の部下を殺してはいないぞ?よく見ろ」
部下「うぅ・・いてて、あれ?生きてる」
黒服の男「情けか・・・」
ユウ「違うな、俺はもうくだらない殺し稼業から足洗ったんだよ。今は人を生かす仕事だ。こんなくだらないことでまた戻るのはごめんだ」
黒服の男「・・・・・」
ユウ「だが、あの時言った大事な人に手を出すなら俺は迷わず戻る事を選ぶ覚えておけ」
黒服の男「・・完敗だ。逮捕するなりなんなりしてくれ抵抗はしない」
ユウ「恭介お前が決めな身柄預けるぜ」
恭介「はい」
黒服の男「逮捕か?」
恭介「それはあなた次第です」
黒服の男「ん?」
恭介「貴方に命令した人の所へ案内してください」
黒服の男「主人を差し出せと」
恭介「差し出せとは言ってない会わせて欲しい」
黒服の男「・・・・・・・・・」
恭介「どうしますか?」
黒服の男「拘束して連れてくるかそうじゃないかの違いか・・分かった案内しよう」
恭介「ありがとう、ユウさん行きましょう」
ユウ「あぁ、恭介よくやった」
黒服の男「立てるか?」
部下「大丈夫です・・すみません」
黒服の男「気にするな」
ユウ「優香はおぶって行くか」
恭介「それなら俺が」
ユウ「またやるか?」
恭介「・・やめておきます」
少し残念だなと思いつつノビスケくんの家を後にする
黒服の男達が乗ってきた車に乗り
向かった・・・あの人の元へ
続く
次回は短編集
本編には書かれていなかったノビスケの物語
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