一色いろはの波乱な誕生日6
いろはの誕生日を題材にしたssです。
シリーズ6作目
今回も視点が八幡といろはで変わりますのでご注意下さい。
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さて、先輩を軽く引っ張りつつ今はサイゼへ向かっています。
先輩はどうやら2人で歌ったのが相当恥ずかしかったようでぼーっとしてる。
お陰で私は今、先輩の腕に抱きつくような状態で歩いてるけど特に抵抗無し。
何の反応も無いから少しつまらないけどこうしてられるだけで充分だね。
これからご飯食べて罰ゲームって流れになるんだけど実はもう決まってるんだよねー。
今日のこのデート、私の立てた作戦通り進んでる状態なのです!
まず、先輩が私の誕生日を綺麗さっぱり忘れている所から既に計算の内。
ホントにプレゼント欲しかったらこっちから直接的もしくはさりげなく催促しますし。
わざと誕生日の話題を一切出さない事でお詫びのデートに誘い出す作戦。
でも今日デートしてくれたのは予想外。今週の休日にしようと思ってた。
そっちの方が長く遊べるけど、気持ち的には今日先輩と過ごせる方が嬉しいから良い誤算。
そしてこれから始まる罰ゲーム、私の作戦の中核となってます!
見てて下さい皆さん!
皆さんなんて誰か分かんないけど、先輩を私の掌の上で転がして、そのまま頭なでなでして、ほっぺにすりすりしてやるんだから!
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いろは「先輩着きましたよー。」
と声を掛けられてどこかに浮遊していた俺の意識と魂と戸塚への愛の0.5%が戻ってきた。
気がつけばそこはサイゼの前。隣には0距離の一色。
うわっくっついてやがる!
八幡「お、おい離れろ!」
いろは「あ、忘れてましたー。」
と、素直に離れた。
忘れてたって何だよ。抱き枕感覚で無意識に抱きつくもんじゃねーぞ。
さっきのせいでまともに顔も見れない。さっさと店に入ろう。
サイゼは時間が少し遅かったからかすんなり座れた。
お互い特に迷う事もなく注文を済ませた。しかしこの待ち時間がまた辛い。
話す事が無いのはいつも通りだが、俺の調子が戻らない。
しかもそれを面白そうに見ている一色がいる。
何でこんなに普通なんだ。リア充はあんな辱めにも普通に耐えられるのか。
結局特に会話もないまま料理が届いた。
さっさと食おうと思ってドリアを一口二口食べたあたりで
いろは「あ、罰ゲーム思いつきました!」
と言い出した。
八幡「はぁ?食べた後だろ。」
いろは「いーえ、食べる間に考える、と言っただけですから。」
八幡「あれ、そうだっけ?」
いろは「食べ終わっちゃったら意味ないですし。」
ん?嫌な予感しかしない。
八幡「おい、それってまさか…」
いろは「ご想像の通り、あーんです!」
やめてくれ…これ以上俺を追い詰めるのか。
そっか、罰ゲームだもんな。
八幡「本気か?」
いろは「はい!」
八幡「はぁ、分かった。罰ゲームを承知しちまったもんは仕方ないか。」
しかし一色は動かない。
いろは「先輩何してんですか?先輩が!私に!あーんするんですよ?」
あ?え?えっと…え?
八幡「あ…そっち……はあ!?」
いろは「当たり前です。私があーんしたらご褒美になっちゃいますから。」
八幡「いや、それは、ほら、あれだから…」
いろは「うるさいです。承知したから仕方ないですよね?」
しまった…あーんと言えば女が男にっていうのが普通って言うか願望だから勝手に思い込んでた。
そこまで甘くないか…
八幡「ぐっ…分かったよ…皿貸せ。」
いろは「は?とことん分かってないですね。わざわざ皿交換する人がどこにいるんですか。先輩のドリア食べさせて下さい。」
ですよね…こいつ俺がドリア食べるのわざと待ってやがったな。
どうやらこいつの方が一枚上手らしい。
八幡「はぁ、ほらよ…」
と、スプーンに一口分乗せて差し出す。
しかし反応がない。
八幡「おい。」
いろは「熱そうです。」
八幡「ぐっ…フゥ-フゥ-これでいいか?」
しかしまたも反応なし。
いろは「ほらよ、とかこれでいいか、とか上から目線ですねー。」
あーくそ!文句あるならまとめて言え!
こりゃ1枚どころか168枚くらい上手だ。
八幡「あ、あーん…」
恥ずかしさでどうにかなりそうだったが変に抵抗しても良いことがないと分かったので文句を言われないよう頑張った。
甲斐があったのか、いじり倒して満足したのか超笑顔でパクッといった。
いろは「ん〜〜やっぱドリア美味しい〜!」
八幡「蜜の味でもしたか?」
いろは「は?蜜?」
八幡「人の不幸は蜜の味って言うだろ。」
いろは「ああ、だとしたら先輩の不幸は安いファミレスのドリアの味ですね。先輩はやっぱり普通じゃないです。」
いや、まじめに返さないで…
てか安いってそれ悪口じゃない?店の中で言うのは良くないと思います。
どーでもいいや…
俺は自分のドリアを食べようとしたが、
いろは「せーんぱい!一回だけとは言ってませんよ。」
………どうやらこの後輩は8万枚ほど上をいっているようだ。敵いっこねぇ。
結局その後も何回か食べさせた。
あいつわざと焦らしたりするから、周りの客にあーんしてるのに食べてもらえない可哀想な奴、みたいな視線を向けられた。
早くこの店出たい。はぁ、罰ゲームとしては過去最高レベルだった。
しかしこのままやられっぱなしでは気が済まない。何とかやり返せないだろうか?
よし、多少のリスクはあるがやってみる価値はあるだろう。一色、俺をあまりナメるなよ。
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どうでしたか皆さん!あの先輩を完全に翻弄してやりましたよ!
今顔を真っ赤にして誤魔化すようにドリアを食べてる様子を見れば一目瞭然。
ふふーん♪私もなかなかやる〜
そして私はというと超幸せ。余韻に浸るために先輩とは裏腹にゆっくり食べてる。
もうパスタくっついちゃってるけど気にもならない。
一応先輩への罰ゲームだからあんまりおおっぴらに喜ぶと怪しまれる。
だから出来るだけ表に出さないようにしてるせいで、逆に幸せが心の中で膨れ上がって破裂しそう。
某地球人最強の彼みたいに大爆発しそう。
そしたら先輩超サ○ヤ人に変身してくれるかな?
なんて下らない事を考えてたらさっさと食べ終わってた先輩がケーキを追加注文してた。
どうしよう、私も食べたい。
悲しいときは甘いもので元気をつけるけど嬉しいときは難しい。
お祝い的な意味で食べるか、わざわざ食べるまでもなく幸せだと考えるか。
悩みどころだけど今から頼むと先輩待たせちゃうし、今回はいいや。
私がパスタを食べ終わるのとほぼ同時に先輩のケーキが運ばれてきた。
おいしそ〜
またあーん頼んじゃおうかなー、なんて考えていたら、
八幡「一色。」
と急に呼ばれた。
いろは「何ですか?」
と訊き返すとちょっと目を逸らしながら
八幡「誕生日おめでとう…」
と、ケーキを私の前に差し出してきた。
………
え?
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