小さな合宿
夏休み最終日。穂乃果の家で恒例の宿題合宿です。
今日は夏休み最終日!
今年の夏休みは色んな事があったけど、
時間は私たちを全く待ってくれない。
高校生活最後の夏休みも、
結局はいつも通りになりそうです。
-穂乃果自室-
穂乃果「ああー、もう疲れたーー」
海未「穂乃果!まだ宿題が残っていますよ」
ことり「夏休み最終日の恒例行事だよね。穂乃果ちゃん家泊まり込み宿題合宿!」
海未「恒例行事になること自体おかしいのですよ。今年は幾分勉強していた時期がありましたから、いつもより量は少ないですが・・・」
穂乃果「なんで海未ちゃんとことりちゃんはそんな簡単に宿題終わらせられるのさぁ!」
海未「毎日コツコツとしていれば決して多い量ではありません。穂乃果はそれを怠っていただけです。要するに自業自得なのです」
穂乃果「うう・・・海未ちゃんがイジメるよぉ、ことりちゃーん」
ことり「でもね穂乃果ちゃん。なんだかんだ手伝ってくれる海未ちゃんは優しいんじゃないかなぁ」
海未「こ、これは自分の復習も兼ねてしているだけです。第一、終わらなければいつまでたっても穂乃果が助けてと言ってくる毎日になるだけなので、それを避けるために仕方なく・・・」
穂乃果「海未ちゃん、いつもありがとう!!」
海未「////お礼の前に早く終わらせてください!」
ことり「海未ちゃん、顔真っ赤ー」
海未「こ、ことり!!」
やっぱり3人でいると心が落ち着く。
海未ちゃんがいて、ことりちゃんがいて、私がいて。
今日で夏休みも終わりだから、あと半年くらい。
音ノ木坂学院での生活。
私たちが私たちのために残した学校。
今思うと、廃校の文字が書かれたプリントを見たときが随分前に感じる。
ん?そうだ。
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん。ちょっとだけ休憩しない?」
海未「いいですが、しっかり宿題も終わらせるのですよ」
穂乃果「分かってるよー。ちょっと聞きたいことがあるの」
ことり「なぁに、穂乃果ちゃん?」
穂乃果「私がスクールアイドルしたいって言いだした時あったでしょ?あの時正直どう思った?」
海未「どう思ったも何も、私は初め反対したではありませんか。そんなに甘いものではない無理だと」
ことり「そういえばそうだったね。話をしようとするだけで海未ちゃんどこかにいこうとしてたもんね」
海未「あの時は本当に無理だと思っていましたし、私がアイドルなんてそれこそ無理だと」
ことり「でも結局私が無理を言って一緒にやってもらったの」
穂乃果「ええ!?そうだったの!?」
海未「いえ、無理など言われていませんよ。私はことりからはやってみようと思うと言われただけです。それと・・・」
穂乃果「それと?」
海未「穂乃果についていって後悔したことある?とも言われました。いつも破天荒で無茶ばっかりして、ついていくのが大変で。でもそれでも後悔したことは一度もありませんでした」
海未「ことりに言われただけではありません。あの時穂乃果が1人で練習する姿を見ました。ただひたすらにやりたいことをやっている穂乃果を見て、私はやろうと思えました、あなたを支えたいと思えました。今思えばそれがことりの策略のような気もします」
ことり「ふっふっふ、それはどうだろうねぇ」
海未「ですが今だからこそ、また胸を張って言えます。私は穂乃果について行って後悔したことなど一度もありません。色々なことを経て、一緒の時間を過ごして、それでも何度思い返してもやっぱりついて行って良かったことしか出てきません」
ことり「私も海未ちゃんと同じ気持ち。スクールアイドルになってからも穂乃果ちゃんがいたから出来たことも多いと思うよ」
穂乃果「そうかな!?そうだと良いけど、というか2人とも私のこと褒めすぎだよう」
海未「穂乃果は褒めて伸びるタイプだと以前自分で言っていたではありませんか」
穂乃果「それでもあんまり褒められると恥ずかしいの!!」
ことり「ところで穂乃果ちゃん、どうしてこの事を急に聞いてきたの?」
穂乃果「私ね、この前のこともあって色々考えなおしてみたの。自分のしてきたこと、してもらったことについて。あっ!深く考えすぎてこの前みたいな状況にはなってないよ」
穂乃果「今日で夏休みも終わりだし、高校生活もあと半年くらいじゃん。これからその残り半年くらいで何があるかは分からないけど、それでもやっぱり皆でμ'sが出来たことが一番大きい出来事だったのかなぁって改めて思ったの」
穂乃果「でもよく考えたらμ'sを、スクールアイドルをしようって言い出したの紛れもなく私。あの時はUTX高校のA-RISEの姿を見てやりたいって思ったけど、絶対に1人じゃ何もできなかった」
穂乃果「だからこそ一番最初から一緒にやってくれた海未ちゃんとことりちゃんがどう思ってたか聞きたくなったの。今、2人は私について行って良かったって言ってくれたけど、私はそうは思ってないよ」
穂乃果「何があっても海未ちゃんとことりちゃんが一緒にいてくれるって思えたから、真っすぐ前に進めたの。むしろあの場所、あの時間にμ'sが行けたのは、2人がいてくれたからだと思う」
穂乃果「私はよく考えもせずに行動して、なんとなくそれが上手くいっていただけ。この前みたいに考えすぎて振り回しちゃうこともあるしさ。2人を結果として私が連れて行ったのだとすれば、私についてきたくれたおかげなの」
穂乃果「そうやって考えるとさ、私たち3人ってなんか本当に特別な3人な気がしてきたの。仲が良いとか幼馴染みとかだけじゃなくてさ」
穂乃果「だけどその特別が分からなくて、それについてはまだ考え中なんだー。ちょっとモヤっとする話になっちゃうけど、そんな感じ」
海未「今はそれでもいいんじゃないですか?特別な3人という部分は私も同意できます」
ことり「私も!3人でいれば何でも出来ちゃう気がするね」
穂乃果「うーん、そんな感じでいいのかなぁ。なんか気になるんだよねぇ」
海未「だったら今度、希に聞いてみましょうか。希ならそういった不思議なものなら関するアドバイスをくれそうですし」
穂乃果「そっか!希ちゃんなら知ってるかもー。よーし、早速希ちゃんに連絡だー」
海未「いえ、その前に宿題終わらせますよ!!」
穂乃果「そ、そうだった・・・」
ことり「じゃあ、休憩終わりっと。もう少しだから頑張ろう!!」
あれこれ考える前に、まずは目の前の敵を処理しないとね。
希ちゃんが答えを知ってるといいなぁ。
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