2018-05-21 11:15:30 更新

概要

μ'sの話を絵里に聞く亜里沙。まずは絵里がどのように考え、どのように変化したのかを聞きます。


海未さんからμ'sのことを聞こうとした私は、



お姉ちゃんに聞いたほうがいいと言われました。



μ'sを通じて、色々なことをお姉ちゃんは感じ、行動しました。



その時のこと、スクールアイドルのこと、そしてお姉ちゃんのこと。



いっぱい話せるといいな。



----放課後 絵里の自宅----



絵里「急に会って話がしたいだなんてどうしたの亜里沙?」



亜里沙「今日ね、音ノ木坂学院のアイドル研究部に入部したの!それでね・・・」



絵里「一度に話さなくても大丈夫よ。時間は沢山あるのだからね」



お姉ちゃんは音ノ木坂学院を卒業して、大学に進学しました。それに伴って、今では一人暮らしをしています。



話をする前に、お姉ちゃんの作ってくれた夕飯を食べて、お風呂にも一緒に入りました。



お姉ちゃんの作る料理は、まだまだお婆ちゃんやお母さんの味には遠いけど、どことなく優しい味がします。



美味しいと言ったときに見せる嬉しそうな微笑みを見ていると、



私の大好きなお姉ちゃんがそこにいて、



μ'sに入って、変わってくれたことが本当に、本当に嬉しいです。



夕飯の片づけと着替えを終えて、温かい飲み物をテーブルに並べた後、



私たちは話し始めました。



絵里「それで、話の内容は何かしら?」



亜里沙「私、スクールアイドルになったよ。まだ雪穂と2人しかいないけど、やっとスクールアイドルになれたの」



絵里「音ノ木坂学院に入ったらスクールアイドルになるってずっと言ってたものね」



亜里沙「うん!それでね、アイドル研究部にも入って、穂乃果さん達にも挨拶してきたの」



亜里沙「その後、改めて部室の中だったり、練習場所の屋上だったり、講堂も見せてもらって、μ'sのことも少しだけ海未さんから聞いたよ」



絵里「μ'sのこと?どんな話だったの?」



亜里沙「海未さんと屋上で話をしたときに、μ'sが解散しそうになったときの話を聞いたの。穂乃果さんやμ'sのメンバーであるお姉ちゃんたちが今後を考え直す時期だったって」



亜里沙「それで、その話を詳しく海未さんに聞こうとしたのだけど、それはお姉ちゃんから聞いたほうがいいって言われて・・・」



絵里「フフ、海未らしいわね。私がその時何をどう感じていたか、それを聞くことで今からスクールアイドルになる亜里沙のためになると思ったのね」



亜里沙「ハラショー・・・、海未さんの言ってたこととほとんど同じだよ」



絵里「確かに亜里沙にμ'sのことやその時のことを詳しく話した機会は無かったわね。いい機会だし、ちょっと話をしましょうか」



亜里沙「お願いします!」



絵里「じゃあまずどこから話そうかしら。μ'sに入る前の私からがいいかしらね」



絵里「私は音ノ木坂学院に入学した頃からずっと、どうにかして学校を存続させようと考えていたわ。周りに頼らず、自分ひとりでなんとかできるってずっと思っていた」



絵里「入学したばっかりで学校の廃校のことを考えている同級生なんていなかったし、そもそもその頃の私は誰かを頼るなんてことは考えていなかった」



絵里「ただ学校のためにと思ってしていたことも、周りから見ればおかしく感じることだってあったと思う。だからこそ、先生から頼られることはあっても、ほかの学生とは少し距離があったと今なら分かるわ」



絵里「そんなとき、そんな私に話しかけてきてくれた同級生がいたの。ただ闇雲に前に進もうとしていた私に」



そう言った後、お姉ちゃんは少し微笑んでいました。まるでその時のことを思い出すかのように。



絵里「その子はそんな私をずっと心配してくれて、話し方まで変えて私に話しかけてくれた。関わる人全てを寄せ付けない私に、誰かと関わろうとしないその子、正に両極端な2人だったの」



絵里「それからはずっと2人でいた。最初のころはその子が無理やりに一緒にいたって感じだったけどね。でも、それで救われたことも何度もあったわ」



絵里「その子は基本的に私のやることに反対はしなかった。ただ傍にいて、いつも私に問いかけたり、意味ありげに発言したりしてた」



絵里「私はその意味が分からなくて、そのまま生徒会長になって、気が付いたら3年生になっていた。入学してから結局学校のために何もできず、後輩のクラスは1クラスずつ減っていったわ」



絵里「そして、学校廃校のお知らせ。これを見て私は焦った。そこからさらに周りが見えなくなっていった」



絵里「そこで初めて面と向かって話をしたの。穂乃果、海未、ことりと。理事長の娘であることりに話を聞きに行ったからね」



絵里「実を言うと、3人のことは前から知ってはいたの。1つ下の学年にとても仲の良い3人がいることをね」



絵里「何をするにも一緒で、でも3人だけで学校生活を送っているわけでもなくて、周りの友達も大切にしながら毎日を過ごしていた」



絵里「今なら分かる。きっと、そんな関係性が羨ましかったの。お互いを信頼し、尊敬し、一緒にいられる関係が」



絵里「だからこそ、スクールアイドルをやろうとする穂乃果達に最初は反対した。自分のやり方を全否定されているみたいで、1人でやってきた自分が全て無駄になるような気さえしたわ」



絵里「3人での初ライブも大失敗して、それでも穂乃果は歌いたいって私に言った。いつかこの講堂を満員にしてみせるって」



絵里「そこから花陽、凛、真姫、にこがメンバーとして入って人気も出てきた。それは事実で認めるしかなかった。でも、ダンスの部分は私は絶対に認められなかったわ」



絵里「海未とは色々なことを言いあった。その時は亜里沙もその場にいたのだけどね」



絵里「海未は私がなぜそのように言うのかを知って少し落ち込んでいたらしいわ。でもね、穂乃果は違ったの」



絵里「上手くなりたいから、ただそれだけの理由で私にダンスを教わりに来たの。ずっと反対してきた私によ?」



絵里「ダンスを教えるにしても、きつい言葉をかけたらすぐに音を上げると思った。でもそれどころかお礼を言って、明日もよろしくお願いしますだなんて言われたわ。それを聞いて思ったの」



絵里「私はなんでこうなれなかったのだろう。なんで1人で頑張っているのだろうって」



絵里「その頃、亜里沙にも言われたわ。お姉ちゃんの本当にやりたいことなの?って。覚えてる?」



亜里沙「覚えてるよ。ずっとお姉ちゃんの事見てきたから、ずっと1人で頑張ってるの見てきたから」



絵里「あの言葉は私に響いたわ。私のやりたいことって何だろうって本気で考えた。廃校を無くしたい、それはただの意地でもあったんだって」



絵里「次の日も穂乃果たちは私の指導を受けに来た。あれだけ言ってもお願いしますと言ってきた。学校を廃校から救いたいという気持ちは一緒なのに、穂乃果達と私では心の持ちようが全然違っていた。私はそんな自分が嫌になってその場から逃げ出したわ」



絵里「そうしたら、私の下に1人の女の子が来た。廃校を無くそうというのは義務感であって、そんなやり方はしたくないはず。私の本当にやりたいことは?って言ってくれた」



絵里「屋上では私が逃げ出した屋上では、穂乃果達が練習する声が聞こえる。ただ真っすぐに自分のやりたいことを一生懸命にやっている。そんな穂乃果達はとても眩しかった」



絵里「私もその中に・・・なんて思っていたけど、今更そんなこと言えるはずもなくて、その女の子に・・・いえ、希に八つ当たりしてしまったわ」



絵里「今更スクールアイドルをやるなんて言えると思う?そう希に聞いた時、私の本当にやりたいことが分かった。本当はずっとスクールアイドルがやりたかった。穂乃果のようにやりたいことが素直にできることが羨ましかった。それについてくる、一緒に助け合ってくれる仲間がいるのが羨ましかった。でも、私にはそんなことはもうできなかった」



絵里「今更どうしようもない、気づくのが遅すぎた。多分そんなことをその時は思っていたでしょう」



絵里「でもね、そんな私に、やりたいと言い出せない私に、穂乃果は、皆は手を差し伸べてくれた。一緒にやろうと言ってくれたの」



絵里「穂乃果はね、何かに踏み出せない人には手を差し伸べてくれる。相手の気持ち次第の時はその答えを待ってくれる。それが自然と出来る人だった」



絵里「私はあの時の穂乃果に救われたの。意固地になって自分では何もできない私に手を差し出してくれた」



絵里「今の自分から変わることを恐れない気持ちをくれた。私はそこで変われたのだと思う」



絵里「希は最初から9人でスクールアイドル、私たち9人でμ'sなんだって言ってた。どこからそう考えていたのかは分からないけどね」



絵里「希が、穂乃果が、皆が私をμ'sにしてくれた。それに亜里沙も」



亜里沙「えっ!?私も?」



絵里「ええ!あなたが私に本当にやりたいことなの?と言ってくれた。それも私が変われた1つのきっかけよ」



絵里「だからね、亜里沙。本当にありがとう」



知らなかった。お姉ちゃんがそんなことを考えていたなんて。



自分では分かってなかったけど、私もお姉ちゃんのためになっていた。



それが1番嬉しい!!



亜里沙「お姉ちゃんもありがとう!私の大好きなμ'sになってくれて」



絵里「フフ、なによそれ・・・」



絵里「さてと、私の話はこのくらいにしてその後のことを話しましょうか。そんな穂乃果がどうなってしまったのかをね」



お姉ちゃんを救った穂乃果さんとμ's。



そんな皆さんの危機。



まだまだ深い話になりそうです。


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