私とウチと絵里ち。
穂乃果の悩みが解決したその帰り道。のぞえりは自分たちの関係についても考え始める。
ウチの高校生活は終わりを迎えた。
けれど、最後の1年間だけじゃなくて、音ノ木坂学院に入学してからの3年間は、
ウチの人生そのものに関わることやったと思う。
μ'sでの活動もそうやけど、やっぱりウチは金髪のポンコツさんに出会えたのが1番、
1番大きい出来事やったなぁ。
完璧そうで完璧じゃない。
今にも壊れそうな状態で、必死に頑張っていた。
だからこそウチは・・・
そういえば、ウチって言い出したんもあの時くらいからなんやね。
なんだか懐かしい。
勇気を振り絞ったあの時、
今はあの時のウチを褒めてあげたい。
だってあの時のウチが、
絵里ちとの繋がりを作ってくれたんだからね。
---穂乃果説得の帰り道---
希「いやー、本当にどうなることかと思ったけどなんとかなったね」
絵里「穂乃果に自分を否定させるために、自分たちも自分を否定するなんて、私には思いつかなかったことだわ」
希「一種の賭けやったけどね。穂乃果ちゃんの捉え方次第では関係が終わってしまう可能性だってあったと思う」
絵里「ずっと共にしてきた3人だからこそ、今までの関係を取り戻したかった。そのために今までの自分を捨てることは矛盾しているようだけど、それしか手がなかったのかもしれない」
希「海未ちゃんとことりちゃんはきっと穂乃果ちゃんを信じていた。穂乃果ちゃんならこうしてくれるっていう、いわゆる穂乃果ちゃんの悩みの元である部分に賭けた。言葉では自分たちのしてきたことを否定しても、やっぱり今までの穂乃果ちゃんは捨てられなかったんやね」
絵里「それこそが穂乃果だからこそ、悩み苦しむ穂乃果にその問題を再度ぶつけた。結果として海未とことりだったからこそ、穂乃果は自分を取り戻せたのかしらね」
希「やと思う。穂乃果ちゃんは2人に敢えて自分をぶたせた。自分のケジメと2人のケジメ。今回の事を絶対に忘れないため、これからも3人でいるためにね」
絵里「あの時のことりは見ていて辛かったわ。まだまだことりは穂乃果に甘い部分があるけど、今回の件で少し変わるかもね」
希「海未ちゃんは最後微笑んどったね。穂乃果ちゃんが穂乃果ちゃんとして戻ってきたんが嬉しかったんやろうなぁ」
絵里「何にしても、あの3人は今回の件、海未、ことりの件でまたその絆を深めることが出来た。お互いがお互いに想うこと、親しい関係であればあるほど、それは普段伝えにくいもの」
希「そうかもなぁ。ウチもなかなか気持ち伝えられんとこあるし」
絵里「希はしっかり想っていることを声に出せばいいのよ。あなたは誰よりも色んな人のことを考え、想っているんだから」
希「そんなことないんよ。絵里ちはウチを買いかぶりすぎや」
絵里「いいえ、希。あなたはそういう人よ」
真剣な眼差しでこちらを見る彼女は、どこか違う雰囲気に見える。
あまりにも真剣さが表に出ているため、少し気おされ気味になってしまった。
絵里「何かを想う、誰かを想う。これは生きている限り誰だってすること。だけど、その伝え方や相手への気持ちは人それぞれ。穂乃果と海未、それにことりにしてもそれぞれが想う気持ちは違っているはず。ただしそこにはお互いへの信頼、尊敬、愛情はもちろん存在する」
絵里「だからこそ誰かと一緒にいるということは、自分のためであり相手のためでもあるの。今こうして希と話をしていることだって、あなたのおかげじゃない」
絵里「あなたが私に話しかけてくれた、あんな私に話しかけてくれた。ずっと傍にいて、ダメな私を今の私にしてくれた。そんな今の私を好きと言ってくれて本当に嬉しかった」
絵里「あなたが私に対して想ってくれた気持ちをあなたは言葉にして私に伝えた。それはとても勇気のいること。そして、誰かを想っていて、その人との関わりを持ちたいと思っていないとできない行動でもある」
絵里「そんなことが出来るあなたが誰かを想っていないわけがないわ。私の友達は・・・私の1番の友達はそういう女の子なの」
わざわざ言い直してくれたこと。
1番の友達って言ってくれたこと。
なんなんだろうなぁ、この気持ち。
μ'sの皆が友達だって分かったあの時とも違う。
生まれて初めて感じた気持ち・・・
たぶんこれは、
希「やっぱりウチは絵里ちが大好き。私をウチにしてくれた絵里ちが大好き。言いたいことをはっきり言ってくれる絵里ちが大好き」
言葉だけでは伝わらないかもしれない。
だけど今は言葉にして伝えたい。
大好きな人にそうして欲しいって言われたら、
そうするしかないやん。
絵里「私も好きよ、希のこと」
希「具体的には?」
絵里「具体的って言われると困るわね・・・」
希「ああーー!!絵里ちホントは好きやないんやな・・・」
絵里「いいじゃない、好きなものは好きなのよ」
希「なんでこれははっきり言ってくれないやぁーー」
あのとき勇気を出した私。
今いるウチ。
これからもずっと絵里ちと。
このSSへのコメント