「地図に無い島」の鎮守府 第七十九話 快晴、のち災い・後編
さらわれた榛名を追う提督と艦娘たち。
追うものと追われるものの駆け引きが始まる!カーチェイスの中、動き始める他の艦娘たち。
激しい戦いになる、と思いきや、意外な艦娘が現れる。
※性的な描写があります。
12月2日、一度目の更新。
12月18日、最終更新です。
お待たせしました!
さらわれた榛名と、追う提督たち。しかし、騒ぎは次第に大きくなっていきます。サラトガはこの件を予見していたかのように動き始めますし、騒ぎを知って大和さんや特務第七も動き始めました。
戦いが激化すると思いきや、意外な艦娘が現れます。彼女はどうやら過去に提督と面識があるようですね。
そして、霧島が危機一髪です。今回のお色気担当は霧島さんだったようです。
また、大和をけん制するために呼ばれたのは阿賀野だったようです。
食べる事をかなりの楽しみにしていてとぼけた雰囲気ですが、大和の警戒ぶりからその強さが何となく伝わってきます。
果たしてどうなるのでしょうね?
第七十九話 快晴、のち災い・後編
―2066年1月9日、ヒトロクサンマル(16時半)過ぎ。対深海横須賀総司令部、顕彰館敷地。
―キュルッ・・・ブロロロ
―榛名を拉致して、炎に包まれたままのハイエースが勢いよく飛び出した。
??「ちょっと、止まりなさいよ!」
作業着の男A「おい、あいつは誰だ?軍属じゃないようだが」
榛名のマネージャー「スタイリストでオネェの川野だ。適当にやり過ごせばいい」
作業着の男A「なら邪魔するなら跳ね飛ばしてでも行くぞ。時間がねぇ」グイッ
―作業着の男はアクセルを踏んだ。
榛名のスタイリスト「ちょっ!危ないじゃないの!あっ!」
―榛名のスタイリストは向かってくるハイエースの後部座席に、マネージャーの姿と布張りのコンテナからわずかにのぞく、榛名の頭に気付いた。
榛名のスタイリスト「榛名ちゃんに何をする気なのっ!?」ダッ!
作業着の男A「邪魔だ!」
―バンッ!
榛名のスタイリスト「ぐあっ!」ガンッ!ガサッ!
―筋骨隆々な榛名のスタイリストだが、それでも車には敵わない。駆け寄ったがはね飛ばされ、壁と植え込みに激突した。
榛名のスタイリスト「・・・本気ではね飛ばしてくれたわね。でもね、これが・・・アタシの本来の仕事なのよ!」ニヤ・・・スッ
―榛名のスタイリストは普段使いのスマホとは別の、官給品のスマホを取り出した。そして、その視線の先、走り去るハイエースの左側面には、不自然に小さな突起が増えていた。
―特別防諜対策室(通称、特防)。
オペ―レーターの女性「室長、『スリーパーS』からです。あの榛名が攫われました!発信機の設置完了との事です」
大林室長「すぐに元帥執務室と特務第二十一号の提督に連絡!武装憲兵隊に緊急配備要請を!連絡は提督に最優先で!」
オペ―レーターの女性「かしこまりました!」
―総司令部はあわただしく動き始めた。
―総司令部四階、『特務鎮守府高レベル休息室・予備室』
提督「何だと!?」ガタッ、スタッ・・・ガラッ!
―提督は特防からの緊急回線を受けると、話しながらベランダの窓を開けた。気配を感じ取る。
―総司令部の奥、顕彰館のほうから、職員たちを蹴散らしつつ炎に包まれたハイエースが出てきた。
提督「見つけた!あれだ!叢雲、金剛に連絡!あの黒いハイエースを止めるぞ。それと、明石に艦娘の行動を制限する方法について知識がないか聞いてくれ」
叢雲「わ、わかったわ!」
提督「うちの艦娘に手を出すとは、舐めた事を!」ダッ、ガチャッ・・・バササッ・・・ガチカチッ
―提督はタクティカルコートを羽織ると、装備の入ったケースを素早く蹴り開け、幾つかの武装を身につけた。
??「とまれぇー!」
??「くそっ、発砲許可はまだか?」
??「運転手が民間人の模様!」
―叢雲の開いているノートタブレットから、慌ただしい音声が流れてくる。
提督「間に合わんな。ちょっと行ってくる!」ヒラッ!
叢雲「えっ!ちょっ?ちょっとちょっとぉ!」ダッ
―提督はベランダのフェンスを越えて姿を消した。しかし、ここは四階だ。叢雲はびっくりして後を追う。
叢雲「なっ!?」
―バッ、ガッ、ダーンッゴロゴロ
―提督は一階下のベランダの手すりを掴んで落下の勢いを殺し、そこから落下して二階のベランダの床部分を蹴ると、建物前の道路でゴロゴロと受け身を取って立ち上がった。
叢雲「なんて身体能力なの?」
―折しもそこに、包囲を突破したハイエースが近づいてくる。
提督「・・・」スッ
―パパパンッ・・・バンッ!
―左手の拳銃と右手のソードオフ・ショットガンが正確にフロントガラスに命中するが、全て弾かれてしまった。
提督「テクニカル(武装戦闘車両)仕様のアーマード・ハイエースだと!?」
―これは確か、日本国内では流通するルートが無いはずだ。
提督(ただの誘拐ではないな!・・・っ!)ダンッ、ゴロゴロ
作業着の男A「なんだあいつ!いきなり撃って来やがったし、かわしやがった!」
作業着の男B「しかも上から落ちてきたように見えたぞ?」
榛名のマネージャー「あれは榛名の提督だ!くそっ、厄介なものに目を付けられたな」
作業着の男A「だがこいつは拳銃弾や散弾くらいじゃびくともしねえよ!」
作業着の男B「さすがハイエースだ!なんともねぇぜ!」
提督「ほんと業の深い人生だな。早速これだけの武装じゃ足りないってのか・・・」フゥ
―そこに、金剛が走ってきた。
金剛「提督、だいじょうぶ?」
提督「防弾仕様のハイエースだ。手持ちじゃ工夫しないとぶち抜けない。だが見てろよ!」ダッ
―スッ、シュッ、ギリギリ・・・
―金剛と走りながら、提督はショットシェルとナイフをすばやく取り出すと、慣れた手つきでナイフでショットシェルのプラ部分と真鍮の薬室部分の境目に切り込みを入れた。さらに、拳銃のマガジンを抜くと、灰青色に塗られた弾頭の拳銃弾に入れ替える。
提督「これで足止めしなかったら、金剛、艤装の力でピラーをぐしゃぐしゃにしてしまえばいい」
金剛「わ、わかったわ!」
―ハイエースは封鎖された出口に気付き、減速を始める。その距離が30メートルに狭まった時、提督は走りを止め、ハンドガンとショットガンを、まるで弓を引くように同時に構えた。
―バパパンッ・・・ビギッ!
金剛「あっ!」
作業着の男A「うおっ!なんだ防弾ガラスにヒビが!大型のライフルか?」
提督「もう一発!」
―バパパンッ・・・ビキギッ!
提督「今だ金剛!艤装化してガラスを引っぺがしてしまえ!」
金剛「はあっ!」ゴスッ・・・メギャギャッ!バリバリ!
―提督の銃撃でひびの入ったところに、金剛は艤装化した手を突っ込み、ガラスをひっつかむと引きはがしてしまった。
―榛名のマネージャーの姿と、布張りのコンテナに入れられた人形のようになった榛名の姿で、金剛は全てを理解し、そして怒りに燃えた。
金剛「あっ!榛名を返すネー!返さないならっ!」ヒュンッ
―バギッ・・・ベキベキベキ
―金剛は手刀でビーム部分を叩き折った。後部側面のガラスにもひびが入る。
作業着の男A「くそったれ、狂暴な奴らめ!」ガチャッ、グイッ・・・キュルルル
―ハイエースは急遽バックして金剛を壁に挟み込もうとした。金剛は一瞬で飛びのく。
金剛「くっ!」
作業着の男B「へっ、ついでにこいつもくらいなぁ!」カキン、ブシュッ!
―金剛めがけて消火器を放った。金剛は眼を閉じて飛び退る。
金剛「このーっ!」
榛名のマネージャー「くそっ!何で邪魔をするんだよ!」
作業着の男A「さてと、ゲートから数えて4番目のフェンス、赤いテープと・・・あれか!」グイッ・・・ブロロロ・・・バーンッ!
―総司令部のメインゲート横のフェンスは、なぜか切れ込みが入れられていたらしく、あっさりと突破してしまった。
榛名のマネージャー「いつの間にこんな事を?」
作業着の男A「さあ?知らんが、この車もそうだしずいぶんと準備はされている話みたいだな」
榛名のマネージャー「そういえば・・・」
―艦娘制限薬といい、もしかして何かとても大きなことに都合よく自分が使われているのではないか?と榛名のマネージャーは一瞬思った。
作業着の男A「とにかく、仕事すりゃあ借金は消えるんだ。あんたもそうだろう?基地は突破した。あとはドライブだぜ」
榛名(防弾ガラスを壊したのはたぶん提督と、あれはお姉さまの声。この人たち、艦娘と提督を甘く見過ぎている気がします。なんでこんな無茶なことを?それとも・・・)
―もっと何か深い理由があるのだろうか?もし、この件の背後に深海がいたら?それでも、榛名はいつの間にか不安や混乱が消え、不自然なくらい冷静になっていた。かつて聞いた言葉を思い出す。
―『艦娘は、意識の錨を提督の精神とつなげる。提督の心が落ち着いていれば、艦娘の心も波立つことは無い』
榛名(本当にそうなのかも知れない)
作業着の男A「・・・ええ。基地は脱出しました。はい。出来れば合流を早めにお願いします。ええ。・・・おい、あれを出しとけとさ」ピッ
作業着の男B「へっへ、わかったぜ。一度やってみたかったんだよなぁ」
―助手席の男は、袋から赤の回転灯を取り出すと、それをハイエースの屋根に取り付けた。
作業着の男A「これでサイレン鳴らせば、一般車両はわけもわからずよけるってもんさ」
榛名のマネージャー「なるほど・・・」
作業着の男A「あとあんた、艦娘の動きを止める薬はまだあるか?次にさっきの艦娘に追いつかれたら、従うふりをしてそれを使えばいい」
榛名のマネージャー「あと一つある。わかった」
―榛名のマネージャーは、ケース内の『艦娘制限薬』を確認した。
―提督と金剛のいるゲート付近。
金剛「くっ、どうもうちは消火器に縁があるネー」ジャアアア・・・キュッ
提督「『火』を消すのが仕事みたいなもんだからな」
金剛「ふふっ」
―金剛はメインゲート傍の水道で手早く目を洗った。
提督「ほら、これで眼を拭くといい」ポイッ
金剛「アリガトー!んー、提督の匂いがするデース!」クンクン
提督「そうかい。自分ではわからんな?」
金剛「ふふ、半分冗談デース」ニコッ
―そこに、ハイヤーに乗った霧島と、ノートタブレットを持った叢雲が駆け付けた。
霧島「司令、緊急配備完了です!あとはこれ、借りてきましたよー!」
叢雲「ちょっと大丈夫なの?四階から飛び降りて」
金剛・霧島「えっ!?」
提督「大丈夫だぞ?落下傘の降下訓練でな、最悪の場合はビルの四階からの落下相当の衝撃を受ける事もあるから、こういう訓練は随分してある。実戦でもな。失敗して気を失った事もあるにはあったが、まあそういう事だ。・・・さ、捕まえるぞ!」
―緊急配備が完了した時点で、現在の横須賀の街から出る事は、例え戦車でも不可能だ。
霧島「やっぱり、追いかけて直接捕まえますよね?」ワクワク
提督「そのほうがいい。それに、こんなガバガバなやり方、何か他の意図も考慮したほうがいい」
金剛「というと?」
提督「高確率で横須賀の街を出られないのにこのような危険を冒すという事は、『逃げきれなくても達成できる何かがある』と考えておくべきだという事さ」
―それはつまり?と考え、金剛はすぐに気付いた。
―ハッ!
金剛「榛名が何かひどいことをされるかもしれない、最悪消されるかもしれない、という事?」
提督「ああ。そこまで考えて、最速で奪い返すべきだ!」
―追跡が始まった。
―同じ頃、横浜観光大桟橋、大型フェリー『いかるがⅡ』内、特務第七秘匿司令室。
―プルルル・・・ピッ
鷹島提督(通話)「ういいーす、おれでーす」
空母棲姫アメリア(通話)「ハルナガ、サラワレタゾ?」
鷹島提督(通話)「あっ?総司令部でか?状況はどうよ?」
空母棲姫アメリア(通話)「全テ予想通リダナ。状況終ワリ次第、奴ラノボスヲ捕マエレバ終ワリダ」
鷹島提督(通話)「位置は?」
空母棲姫アメリア(通話)「モウスグダガ、横浜デハナク、イヤ、横浜ヲ経由シテ川崎ダ。携帯ノ電波ノ発信者位置ハ川崎ダゾ。今ドローンヲ向カワセテイル」
鷹島提督(通話)「へえぇ、やっとか・・・」ギラッ
―ピッ
川内(第七)「ボス、顔が険しいけどどうしたの?」
鷹島提督「ああ川内、今回はやっと尻尾が掴めそうだぜ?お前の妹たちをおかしくした奴らの尻尾がな」
川内(第七)「えっ!へぇ~、しばらく痕跡も見せないと思ったら、そっか、あの榛名さんが完全に芸能界から切れちゃうから、最後にひと稼ぎしようとしたのかな?」
鷹島提督「おそらくな。いつかはこんな日が来ると思ってたが。あの男の事だ。下手するとおれらより先にお前の仇にたどり着いちまう。その時はゴメンナサイして譲ってもらうしかないが、んなかっこ悪い展開より、先に詰めちまうのが一番だろ?」ニヤッ
川内(第七)「そうだね、行こうかボス!」
―特務第七も静かに動き始めていた。
―再び、横須賀総司令部、ゲート前。
霧島「じゃあ、いきますっ!」グイッ、キュルキュルキュルッ・・・ドギャッ!
―金剛と提督、霧島と叢雲の乗ったハイヤーは、霧島の運転でゲートを飛び出した。
叢雲「うわっとぉ!」
提督「いきなりフルアクセルかよ!やるなぁー!」
霧島「恐縮です。でも気を付けないと司令、舌噛みますよー?」ニコニコ・・・グイッ
―ゴオッ
―こちらの車も、ゲートの守衛から借りた赤色回転灯を載せてある。
叢雲「あー・・・こほん」ゴソゴソ
―叢雲は、これも同じく借りてきた拡声器を取り出した。
叢雲「こちら対深海横須賀総司令部!走行中の車は直ちに道を開けて下さい!」
―既に交通量は激減している。アクセルをべた踏みしている霧島の運転のせいもあるが、遠くにすぐに回転灯を回したハイエースが見えてきていた。
提督「ちょっと荒っぽくなるが、中の奴らの動きを止めるしかないだろうな」カチッ、ガチャッ
―提督はショットガンに特殊な色の薬莢を装填していた。
金剛「催涙弾?」
提督「ああ。準艤装化した艦娘には効かないからな。こいつをハイエース内に撃ち込んで、その隙に榛名を奪い返すさ。それでダメならゴム製散弾を動きが止まるまで当てる。民間人であれなんであれ、艦娘に手を出すとどうなるかは示しておいた方がいい」
金剛「わかるわ。負け気味だからって良くない風潮があるものね」
提督「そういう事だ」
叢雲(司令官のそういう考えに素直に同調できるのは、やっぱり戦艦だからなの?)
―叢雲は少しだけ、戦艦との違いを感じる事があった。それはこんな時だ。
霧島「さあっ、そろそろ追いつきますよ?」
提督「よし!やるか!」ババンッ
―窓からショットガンを撃つと、すぐにハイエースの車内は白い煙が充満し始めた。
作業着の男A「くそっ!おい窓を全開にしろ!」
霧島「煽ります!ぶちかましますよー」ギュルッ
叢雲「っ!」
―ドガッ・・・ギギギリッ
―霧島は器用にハイヤーの側面をハイエースの後部にぶつけ、ハイエースを大きくぶれさせた。しかし、重量の違いで復元が早い。
金剛「今ッ!」ダッ・・・ダンッ!
―金剛がハイエースの後部ピラーに取り付く。
提督「霧島、伏せつつアクセルを踏んでくれ!」
霧島「はい司令!」
―バンッ!バンッ!
―助手席の提督は、霧島の背越しに、ハイエースの助手席の空いた窓に向かって銃撃した。
作業着の男B「いでええぇぇ!!」
作業着の男A「なんなんだこいつら?対応が全然お役所じゃねえぞ?くそっ!」
榛名のマネージャー「あっ、おい!」
―ズシッ・・・メキメキメキメキ・・・
―その時、急にハイエースの前部が持ち上がり、後部のハッチバックが引きはがされ始めた。艤装の力を使って重くなった金剛が、力ずくで侵入を試み始めた。
金剛「さあ、榛名を返すデース!」ジロッ
―バギッ・・・ガラン
―榛名はマネージャーたちをにらみつつ、ハイエースの後部ドアを放り投げた。
榛名のマネージャー「くっ、くそっ!」スッ
金剛「させないヨー!」
―ガッ
―榛名のマネージャーは『艦娘制限薬』を金剛に打とうとしたが、勘のいい金剛はその手を掴んだ。
金剛「そのおかしな薬で榛名の自由を奪ったのね?許さないわ!」ギュッ
―ギリギリギリ
榛名のマネージャー「いてええぇぇ!やめろ!やめてくれ!」
―榛名のマネージャーは金剛に手首を掴まれ、捻りあげられた。『艦娘制限薬』が床に落ちて割れ、液体が霧散する。しかし、ハイエースのスピードは落ちない。
提督「いいかげん減速しろ!」バンッ!
―ビジジジッ
作業着の男A「ぐうっ!くっ・・・くそっ!」
―作業着の男Aはゴム製散弾の直撃を顔の側面に受け、口と鼻から出血して、顔がみるみる腫れてきたが、それでもハンドルを離さなかった。歯を食いしばってアクセルをふかしている。
提督(なんだこいつ?)
作業着の男A「ああ、あの交差点か。ここまででおれの仕事も終わりだな」カチャッ、スッ
提督(ん?)
―作業着の男Aは、懐から眼鏡のケースに似たものを二つ取り出した。
提督(なんだあれは?)
―それは奇妙な器具だった。黒と肌色の液体が満たされた注射器を連結したようなものだ。
作業着の男A「頃合いだな。マネージャーさんとお前、悪いがゴールに届きそうにないから、これで色々とチャラになるぜ?」ブスッ・・・ヂュウ
榛名のマネージャー「うぐっ!なっ、何を?」
作業着の男B「ああ、いきなり何を言い出すんだ?」
作業着の男A「お前もだよ」ブスッ・・・ヂュウ
―運転席の男は、二人にそれぞれ注射を打ち込んだ。
榛名のマネージャー「なっ、あんた何を?はっ、暑い!いや、寒い!・・・・うっ、うぐうっ!あがががが・・・!」ガクガク・・・バキバキバキ・・・
作業着の男B「うっ、何だこれはヤクかぁ?へへへぇ、いい気分だぁ!」モコッ、モリモリモリッ
―榛名のマネージャーと作業着の男はおかしなことを口走り始め、二人とも黒い靄に包まれ始めた。
霧島「えっ?これ深海の気配!?」
提督「金剛、榛名と共に離れろ!何かまずい!」
―その時だった。
―シュン・・・ビシッ!
金剛「くっ!」ガッ!バッ!
―提督たちには、布製のコンテナを手にハイエースから飛び出していく金剛が見えた。しかし、その左手は、手首から先がない!
霧島「お姉さま!」
金剛「深海化してるっ、こいつら深海化し始めたヨー!」
提督「すぐに戻る!まずは榛名の保護を!あっ、霧島伏せろ!」
―ゴウッ、チッ
―ハイエースの助手席から、黒く長い腕が伸びてきて、霧島を殴りつけようとした。間一髪で霧島の髪をかする。
提督「ッの野郎!」バンッ、パパンッ
―提督はその化け物じみた腕の拳、特に指の関節に向けて発砲した。
助手席の化け物「ギヒィ!グフウゥゥ!」
提督「叢雲、槍だ!こいつの腕を落としてしまえ」
叢雲「この化け物!艤装展開!」ブンッ
―叢雲の右手に、艤装の槍が展開した。
叢雲「くらえっ、このっ!」シュシユン・・・ドッ
助手席の化け物「ギガアァァァ!イデエェェェ!」
―叢雲の槍は化け物の左腕の付け根に刺さり、腱が切れたのかだらりと垂れ下がった。
提督「あっ!」グイッ!ギャギャギャッ
叢雲「えっ?何を?きゃあっ!」
―ゴスッ!
―提督はハンドルを引っ張って左に切った。車がハイエースから離れると同時に、ハイエースの窓が砕けつつ、叢雲の頭のあったあたりに鋭利なカニのような爪が空を切った。
叢雲「あれっ、さっきの病院での!」
提督「ああ。間違いない。早速お出ましとはな。・・・おい、運転席の男!お前は深海なのか?」
作業着の男A「何だ?思ったより大物か。こいつら見てびっくりしないなんて、あんたやるねぇ。あの榛名一人でもおれの命に見合うんだが、こりゃ最後にいい仕事ができそうだな」ニヤッ
霧島「あっ、司令!」
提督「総員対ショック!」
―前方の交差点に、黒塗りの高級車がゆっくりと通りかかっており、道路をふさぐようなその位置関係では、もう激突不可避だった。
―ドンッ、ドガンッ!
―高級車にハイエースとハイヤーが激突する。
提督「ぐっ!いたた・・・。みんな大丈夫か?」
叢雲「準艤装にしたからなんてことないわ」
霧島「同じくです!」ニコッ
提督「あっ、そうだったな・・・(ダメージを受ける可能性があったのはおれだけかい・・・)」フゥ
―だが、安心できるのは良いことだ。
―ダンッ!
甲殻人「ハルナヲ、ヨゴゼエェェェ!」ガッシャガッシャ
―榛名のマネージャーだったもの、甲殻人とでもいうべきものに変わったそれが、飛び出すと金剛と榛名の方に向かって走り出した。遠目に、横たえられた榛名に呼びかけている金剛の姿が見える。
提督「!」ザッ、ブンッ
―提督は懐から小さな手斧を取り出すと、それを投げつけた。
―ガキッ、ドサッ
甲殻人「グウッ!?オマエェェェ!」
―手斧は甲殻人の左足首にがっきと食い込み、態勢を崩す。振り向いて不気味な複眼をこちらに向けてきた。
叢雲「あんたの相手は私よ!はあっ!」ガンッ
提督「叢雲、身動きできない様にすれば大丈夫だ」
霧島「では、こちらは私が引き受けますね!」
―ズル・・・ズルズルズル・・・
―助手席から、大きなテナガザルのような化け物が這い出てきた。その左腕はだらりと垂れ下がっている。助手席の男が深海化したものだ。
霧島「司令、お姉さまと榛名のほうをお願いします!」
提督「わかった!任せるぞ」
―提督はノートタブレットをひっつかむと、ハイエースの運転席を確認しようとした。が、運転手はハンドルに伏して火に包まれ始めている。
提督(なんだ?焼身自殺か?いや・・・)
―命の気配は既に感じられない。提督は金剛たちのもとに急いだ。
―少し前、『艦娘矯正施設』屋上付近。
大和(何かしら?妙に騒がしい気配がするわ。これは金剛型・・・金剛のものね。誰かを探している?あとは霧島・・・叢雲もいるわね。誰に仕えている子たちなの?)
―大和は眼を閉じ、飛び交う電波と艦娘の波動『S波』そして、深海の波動『D波』を最大限に感じ取ろうとした。特に、艦娘の電波の先には各艦娘の心が感じ取られ、その向こうに提督の姿を感じ取ることもできるのだ。
大和(ごめんなさい、少しだけ、あなたたちの提督を見させてもらうわ・・・)
―ザアッ・・・ザザザ・・・シン・・・
大和「えっ!?なに?これは・・・!」
―よくある、提督のイメージではない。艦娘たちの波動の向こうにある、提督の姿。それは、尊敬や信頼、愛のような物と、その先にあるのは大抵は性的な情愛の記憶だったりするが、そういうものではない。照明を消して、眠りに落ちる時のような安らかな暗さを感じる。そして、金剛はそれに寄り添いつつも力を得ている感じだ。大和はこのようなものを感じた事が無かった。
大和(今時、金剛がこんな風に仕える提督がいるという事?そして、いつも感じられる榛名の気配も消えている。午前までは感じられていた気がするのに・・・あっ!)
―榛名に何かあり、金剛が探している?なら、その榛名の提督も金剛の提督と同じ人では?
大和(あの榛名さんが異動したという事?そして、何かが起きていると?)
―大和は総司令部付近に降りて行きたくなったが、すぐに別の艦娘の気配が感じられた。
―スタッ
酒匂「やっ、大和さん、ダメです他の事に関心を持っては。規定で厳しく罰せられてしまいますよ?」
大和「分かっています。でも、事件の時は別ですよね?横須賀の守護も任務ですから」
酒匂「それは分かりますけど、『矯正教会』に睨まれたら・・・」
大和「くっ・・・罰ぐらい、受けます!」ダンッ!
―大和は腹をくくると、一瞬で酒匂の前から跳び去った
酒匂「ぴゃあぁ!酒匂も怒られちゃいます!鞭で叩かれちゃいますってば!大和さぁん!」タンッ
―酒匂も大和を止めるべく、慌てて後を追った。
―同じ頃、対深海、元帥執務室。
古田元帥「大淀君、状況はどうかね?」
大淀「はい。榛名さんをさらった、マネージャーを含む不審者たちは、現在国道16号で提督さんたちと交戦状態に入った模様です。・・・あっ、国道の監視カメラの映像来ます。ええっ!?」
―元帥の机に据え付けられている仮想立体スクリーンに、車通りの無くなった国道16号と、何台かの車、そして異様な生き物が映った。
古田元帥「大淀君、これは!」
大淀「深海艤装を装備して姿を変えた人間、ですね・・・」
古田元帥「甲殻人タイプと戦っているのは叢雲か!しかしこれは・・・!」
―画面の向こうでは、叢雲が優勢に立ちまわっていた。しかし、元帥の表情は難しげだ。
大淀「元が人間なら、深海艤装体に変化した場合は、艦娘では戦えないはずなのに・・・」
古田元帥「・・・報道管制は?」
大淀「すでに万全です。ただ、大和さんならこの騒動を感知できると思いますから、それについても何か手を打ちませんと」
古田元帥「いかん!大至急大和に不穏分子の『視察』を緊急依頼の形で出してくれ。そうでないと『奴ら』が」
―プルルル
大淀「!」
―元帥の机の電話機が鳴った。重要なポストの誰かしか使えない直通の回線だ。このタイミングでは、あまり良い知らせとは考えられなかった。
古田元帥(通話)「・・・古田です」
??(通話)「こちら『艦娘矯正施設・矯正教会』です」
―冷たい女の声だ。元帥はこの声の主を知っている。
古田元帥(通話)「ああ、君かね。今こちらは取り込み中なのだが」
??(通話)「正式な命令の前に、大和が勝手に巡回ルートを外れて横須賀の街に向かいましたが、これは逸脱した行為とみなし、罰を与えなくてはなりません。・・・構いませんね?」
―電話の向こうの声は、冷たく笑っている気がした。
古田元帥(通話)「許可はたった今出したところだ」
??(通話)「ああ、ではやはり、現時刻の前までは無許可で街に出たのですね。大和の位置情報と、指定範囲から外れた時刻の裏付けのデータを送ります」
古田元帥(通話)「いささか厳格過ぎではないのかね?」
??(通話)「失礼ですが、そのような認識だから、この矯正施設のような悲しい仕組みが必要になったのではありませんか?私たちはあなた方の起こした醜い問題の後処理と制御を厳格に行う為に存在しています。認識が違いすぎると「もういい!!」」
古田元帥(通話)「君らのしたいようにしたまえ!」
―珍しく元帥が声を荒げた。
―ピッ
―忌々しそうに通話を切る。
大淀「元帥、今のはもしかして・・・」
古田元帥「ああ。彼女だよ。『矯正教会』の修道女だか、教母だ。また大和を鞭打つ気だぞ、あれは」
大淀「あの人は艦娘をとても嫌っているという噂ですね。でも・・・」
古田元帥「矯正施設の莫大な建造費と維持費の出どころでもあるからね。我々には弱い部分がある。ましてあそこは醜聞の宝庫だものな。・・・ところで、大淀君、気付いたかね?」
大淀「はい。特務第二十一号の艦娘たちは、深海化しているとはいえ、母体が人間なのに、私たち艦娘にかかるはずのストレスやロックを無視して戦えていますね。これを見られては大変な問題になりかねません」
古田元帥「人を殺せる可能性のある艦娘は存在しない事になっているからね。しかし現在はこれで良しとすべきだろう。守るべき人間の中にさえ敵がいるのだから。・・・ああそれと、大和を出してしまった以上、あの子も出さねばならんな」
大淀「あっ、この時間だともうどこかで何か食べているかと・・・」
古田元帥「数回、経費で好きな店で食事できるように計らうと言ってくれたまえ」
大淀「あっ、わかりました。それも直ちに!」
―言いながら元帥は、ため息とともに横須賀の街の方を見やった。おそらく今は戦闘中だろう。
―再び、提督たちのいる国道16号。
叢雲「悪いけど、全然戦える人の動きじゃないわっ!」スタッ、ヒュヒュヒュンッ
―ガガガスッ
甲殻人「グ、グウウゥ!邪魔ダ!グッ?」ドサッ
―叢雲はどこかぎこちない、榛名のマネージャーだった甲殻人を翻弄して寄せ付けず、肩や足の関節部分に連撃でダメージを与え、ほぼ立って歩けないほどの状態にしていた。
提督「いい動きだ!叢雲、あとはこれで車からシートベルトのベルト部分を切り取って、こいつらを拘束してしまえばいい。容易くは抜けられないはずだ!」ポイッ
―提督は叢雲にナイフを投げ渡した。
叢雲「わかったわ!」パシッ
甲殻人「チクショオォォォ!!」
提督「金剛!榛名!」
―提督は榛名を横たえて声をかけている金剛の傍に走り寄った。
金剛「あっ、提督!榛名が全然動けないの!」
提督「うむ。だがまず金剛、その左腕大丈夫か?」
金剛「油断したわ。いきなりカニみたいになっちゃって。でもこんなものは修復で何とでもなるから大丈夫デース!それよりも榛名が、何だか生身で力も入らないみたいで」
提督「榛名、おれたちが分かるか?」
―提督はだられと垂れ下がったままの榛名の手を取った。
榛名「す・・ま・せん。ごめ・・くを。は・・なは、だい・・・じょうぶ・・です」
―榛名の眼にうっすら涙がたまったが、それは心からの申し訳なさのようだった。
提督「すまない。こちらの情報不足だ。艦娘の自由をここまで奪える薬が流通するくらい腐っているとはな。いずれ派手に燃やして消毒するが、まず落ち着け。もう大丈夫だ」
榛名「は・・い・・・」ニコ・・・
―榛名は精一杯笑って見せた。
―霧島と深海猿と化した男の交戦地点。
霧島「ちょっと弱くないですかー?んもう!」ガンッ
深海猿「グウッ!」
―霧島は猿の頭を掴むと、そのままハイエースのボディにぶち当てた。すでに深海猿は霧島のパンチを何発もくらってフラフラになっている。
霧島「新しい司令は怖い方ですねぇ。人だったもの相手に、何のストレスもブレーキも働かないなんて。元帥はこれも見越して司令レベルを上げておいたんでしょうかね?」
深海猿「クソッ!」ブンッ
霧島「だめですねぇ。そんなテレフォンパンチはちょーっと頭脳が足りないんじゃないですか?」ゴッ、ガンッ!
深海猿「ギャアアア!」
―独り言ちる霧島にパンチを放つが、霧島はそのパンチに自分のパンチをあてて押しつぶした。
霧島「こんなもんですかね?よっと!」グルッ・・・ギュルッ
―霧島はその場で体を回転させると、深海猿の首に強烈な肘打ちをくらわせた。
―ガンッ!
深海猿「グゲッ・・・」ガクッ
―深海猿はがっくりと意識を失った。
叢雲「霧島さん、ケリはついたの?司令官が、シートベルトを使ってこいつらを拘束しとけって!」
―霧島は走り寄ってくる叢雲を見て笑いかけようとしたが、こっちを見ている叢雲の表情が驚きに変わった。
霧島「えっ?」
叢雲「何か、何か変よ!そこから離れて、霧島さん!」
―叢雲には、さっきまで中の見えていたハイエースの中が濁った暗黒に満ちていくように見えていた。そして、その中で何かが膨張し、形を変えていったような気がする。
―バガンッ!ドンッ!
叢雲「霧島さんっ!」
―それは、ハイエースの助手席のドアをぶち破り、霧島をハイヤーに叩きつけた。
霧島「かはっ・・・!?」
―カチャ・・・パラパラ
―粉々になったハイヤーのガラスが、自分の周囲からこぼれ、はかなげな音を立てて砕け散っていた。身体が、ハイヤーにめり込んでいる!
霧島「なに・・・が・・・?」
―ハイエースから飛び出した巨大な腕とその拳が、自分をハイヤーにめり込ませたのだと気付いた。
―バキンッ・・・バンッ・・・ミシミシミシミシ・・・
―ハイエースから巨大な頭、腕、足が飛び出し、それは立ち上がった。不格好に車を着た形になる、醜い巨人だった。
醜い巨人「提督モ、艦娘モ、ゴロス!榛名ハ、ヨゴスッ!シズメルッ!」
霧島「させるもんですかぁー!」ガンッ!メキメキッ
―霧島は巨大な拳を殴りつけてハイヤーから抜け出した。
霧島「不覚を取ったわ。司令、少し本気で殴り合いますね!」パキポキ
―霧島は良く通る声でそう叫ぶと、指を鳴らした。提督に声が届く距離ではないが、おそらく気合いを入れているのだろう。
醜い巨人「小サイナァ、カンムスゥ」ニヤッ
―ペッ
―霧島は獰猛な視線を外さず、血の混じった唾を吐いた。そして眼鏡を外すと、ひびの入ったそれをハイヤーの上に置く。それが戦いの始まりだった。
―コト・・・
霧島「はあっ!」
醜い巨人「ヌウッ!」
―ガンッ!・・・ガガガガガッ
―拳と拳がぶつかったかと思うと、すさまじい打ち合いが始まった!
叢雲「たっ、大変だわ!」
―叢雲は慌てて提督たちのほうに駆け戻った。
―榛名と金剛、提督のいる地点。
提督「金剛、榛名をもう少し安全な所に移動できるか?」
金剛「大丈夫ヨ!提督は?」
提督「この後、迎えが来るはずだ。おそらくこれで状況は・・・!」
―ピシ・・・
―提督は何かを感じて振り返った。力とよどんだ敵意を感じたのだ。
金剛「えっ、何?これ・・・!」
―金剛も気づいた。既に辺りは暗くなっているが、街灯は多く、視界は決して悪くない。が、霧島のいた辺りはかぐろい闇に包まれて視界が極端に悪くなっていた。わずかにだが、遠ざかっていく叢雲の背中が見える。
提督「叢雲、聞こえるかぁー!」
―しかし、その声も届かず、叢雲は闇の中に姿を消してしまった。
金剛「提督、まずいわ。この感じ、深海よ?しかもわりと強い!」
提督「ああ。自殺じゃなくて変異か何かってところか。あの運転手の男はただの使い捨てじゃなさそうだった。何か個人的な因縁でもあるんだろう。しかし、相手が人間なら艦娘では本来、重大なストレスを感じて戦えない相手だ。おれの仕事かな・・・んっ?」ピッ・・・プルルル・・・ピッ
―言いながら提督は磯波に連絡をしようとして、やめた。総司令部側から向かってくる装甲車に、磯波が乗っており、こちらに手を振っているのが見えたためだ。
―そこに、叢雲が戻って来た。
叢雲「大変よ!運転手だと思うんだけど、ハイエースで防護された巨人みたいになったの!霧島さんが戦っているけれど、あれでは決定打が与えられないわ!」
―ガロロロロ・・・
磯波「提督、総司令部警備隊の車両と提督の装備を持ってきました!」
提督「ありがとう!磯波はほんと有能だな!」
磯波「あっ!ありがとうございます!」
―磯波は嬉しそうに少しだけ目を伏せた。
提督「とは言え、決定打になるものは・・・」
―装備品にあるもので使えそうなのは、ライフルに付いているグレネードランチャーくらいで、あとは刃物だけだ。提督は装甲車をよく見て、使えるものは無いかと探す。
提督「磯波、そいつの12.7㎜は使えるのか?」
磯波「あっ、聞いてみます!」ゴソゴソ
―磯波はキューポラの中に姿を消すと、すぐに出てきた。搭乗員に確認を取るのだろう。
磯波「はい!使えるそうです!」
提督「なるほど。あとは・・・」
―装甲車の外側には、備品としてワイヤーやスコップ、斧、ガソリンタンクなどが取り付けてあった。
提督「叢雲、ワイヤーとシャックルを外すのを手伝ってくれ。色々使えそうだ。おれは・・・これかな?」ガシャッ
―提督は備品として塗装され、取り付けられていた斧を取り外した。しかし、金剛と叢雲はその意味に気付いて、驚いた。
金剛「ちょっ、テートク、戦うノー!?」
叢雲「当たり前のようにその気みたいだけど、本気?」
提督「奴が提督の端くれだったとしたら、艦娘の攻撃は決定打が与えられないし、深海の何かならハイエース部分以外には通常兵器もほとんど効かない。となれば、これはおれの仕事だろう?」
―言いながら外した斧の具合を確かめている提督からは、異形との戦いに赴くような何の感情も感じられなかった。ホームセンターで買った斧を眺めている程度にしか見えない。
金剛(本当にこの人は・・・)
叢雲(何の気負いもないのね・・・)
―提督は金剛と叢雲の微妙な空気に気付き、準備を始めながらも考えを語った。
提督「人は自分の身体を使いこなす事さえ、一生満足にできやしない。修羅場と修練を山のように積み重ねてもな。・・・そして、あの敵は巨大だが、もとの人間部分の技量は不明な上に、不慣れな大きい体に鎧を着こんで、そう思った通りに動けるかね?という話だよ」
金剛「あっ、言われてみれば、そうね」
―ダンッ・・・ダンッ、ダンッ
霧島「待ちなさいっ!まだ勝負はついてないわ!」
―耳慣れない足音と、霧島の声とともに、近づいてくるそれが全貌を現した。白い、古くなった骨のような色の肌をした、無毛の醜い巨人。その胴体部分は、冗談のように着こまれたハイエースで防護されている。
提督「・・・・・・」ジィ・・・
―提督は手を動かしつつも、静かに、しかし集中して観察しているようだ。
叢雲(何を見ているのかしら?)
提督「・・・なるほどな。磯波、霧島が離れたらおれの合図とともに、奴の車両部分に12.7㎜を撃ち込め。連発しなくていい。市街地だから確実に当てられるものだけだ。金剛は榛名を装甲車の内部に。叢雲はもう少し離れて、武装憲兵隊その他の動きを随時おれに教えてくれ。安全第一でな!」
艦娘たち「諒解しました!」
提督「どれ・・・」ブンッ・・・フォンッ・・・
―提督は斧を何度か振りつつ、あたりをとっていた。
提督「うん、悪くない。さて・・・霧島、援護射撃する。離れろ!」
霧島「あっ、わかりましたっ!」ダダッ・・・バッ!
提督「磯波、今だ!」
磯波「照準射撃、開始します!」
―ダンッ、ダンッ、ダンッ・・・バッ、ガッ、ゴンッ!
醜い巨人「ヌグウゥゥゥ!」
―ハイエース部分に火花が散り、巨人は顔を両腕で覆い隠すような姿勢を取って動きを止めた。しかし・・・。
磯波「えっ?装甲貫通しません!」
提督「おかしいぞ。ハイエースの天井だけ、装甲増してる事になる。ここまでは想定してたって事か!」
磯波「あっ、霧島さんが!」
霧島「今っ!」
提督「ダメだ下がれ霧島!」バッ
醜い巨人「ヌアッ!」ブオッ
―ガンッ!
金剛「霧島ーっ!」
―巨人の脚に攻撃を加えようとしたのだろうか?明らかに熱くなって突っ込んだ霧島に、巨人の剛腕が炸裂し、霧島はコンクリートの防護壁に叩きつけられた。
霧島「ぐっ!しくじり・・・ました・・・」ゴホッ
醜い巨人「・・・」チラ
―しかし、巨人はすぐには追撃せず、一瞬、装甲車に運ばれた榛名と、この状況を見比べていたようだ。
提督(ん?何を判断している?)
―そして、巨人の視線は霧島に向かった。提督にはそれが、何かを決めたうえでの行動に思えた。何かまずい、そんな気がした。
提督「霧島、すぐに離れるんだ!」
霧島「は、はい!」ググ・・・
―しかし、ダメージが大きいのか、すぐには動けないようだ。そこに、獰猛な動きで巨人が駆け寄ると、さらにもう一撃霧島を殴りつけた。
―ドガンッ!
霧島「ぐうっ!」
提督「・・・やってくれるな」ギラ
―提督は斧を構えて走り寄ろうとした。しかし、その怒りにいち早く反応して、装甲車から金剛が飛び出してきた。
金剛「よくも霧島を!粉々にしてやるわ!艤装てんか」ギラッ
磯波「ダメですっ!陸上での艤装の展開は重大な禁止事項です!」
金剛「あっ!くっ!じゃあどうしたらっ!」
醜い巨人「コウナッタラ、モウオマエデモイイカ・・・」ニヤァ
―グイッ・・・グンッ
霧島「くっ、な・・・何を・・・?」
―醜い巨人は容易く霧島を捕まえると、その右腕を掴んで宙づり状態にし、霧島の服の襟に指を引っ掛けると、乱暴に引き下げた。
―ビリビリーッ
霧島「ああっ!」
―霧島は青い下着とボロボロの服がまとわりついた、あられもない姿にされてしまった。
醜い巨人「ワルクネェ・・・提督ト姉妹ノ前デ深海ニ沈メテヤル・・・」ニタァ
霧島「えっ?えっ!?うそ、私がそういう対象に?」チラ
―霧島は巨人の股間をちらりと見た。暗くて気付かなかったが、おそらく普通の成人男性よりだいぶ長大だと思われるそれが最大仰角になっている。
霧島「こっ!やめなさいよ!何を考えてるの!」ジタバタ
金剛「提督、霧島が!」
提督「ああ。わかってる!」ダンッ!
―しかし、その時だった。
磯波「あれ?」
―ドーン!
醜い巨人「グウッ!?」
霧島「きゃあっ!?」
―暗闇の中からコンテナを積んだ軽自動車が飛び出してきて、巨人にぶつかり、巨人は体勢を崩した。
提督「おおっとぉ!?」ガッ、ズシッ
―提督は落ちてきた霧島を、斧を捨てて慌ててキャッチした。軽自動車の運転手を見やったが、運転席には誰もいない。ぶつける直前に脱出したのだろうか?
磯波「金剛さん、あれ、あの人、艦娘じゃないですか?この識別は・・・」
金剛「えっ?サラトガ?」
―スタッ
―白い艤装服の艦娘が、スカートをふんわりとさせつつ着地した。
提督「君は?」
白い艤装服の艦娘「艦娘としては初めまして、かしらね。Hello!提督。ビッグトラブルの解決のお手伝いと、挨拶に来たわ。フリートガール、正規空母サラトガよ。よろしくね!」パチッ
―サラトガ、と名乗った艦娘はそう言うとウインクして見せた。
サラトガ「それとコンゴウ、街中での艤装の完全展開は良くないわ。この人に仕えていたらそうなるのもわかるけれど。戦い方を教えてあげるわ!」
―ゴスッ、バリッ・・・ガラララ
金剛「えっ!あれは何?」
―サラトガは軽自動車のコンテナに艤装化した手を突っ込み、引き裂くと、中から数珠のように連結された地雷をとりだした。
サラトガ「みんな下がってくれるかしら?いい?」
提督「あの数の地雷だと!?・・・むちゃくちゃだろう!霧島、しっかり掴まっててくれ!」ダダッ
霧島「はい司令!」ギュッ
サラトガ「さあ、ではとっとと終わらせましょうか!」ブンッ
―ガカカンッ
―サラトガが鞭のように連結された地雷を器用に振ると、巨人のハイエース部分にそれらは巻きつくように張り付いた。
サラトガ「もらったわ!」
―ポチッ・・・ピッ、ピピピッ・・・ドドドドガンッ!
―手元のボタンを押すと、それぞれの地雷のランプが赤く光り、派手に爆発する。
醜い巨人「ヌグワアァァァー!」
叢雲「これ・・・大事だわ・・・」ポカーン
金剛「艤装展開禁止はわかるけど、これではかえって・・・」
―衝撃波と爆発音、そして空に上がる大きな黒煙といい、大変な騒ぎになりかねない。
醜い巨人「モウ・・・時間・・・ガ・・・」ドサッ、シュウウゥゥゥ・・・
―醜い巨人はがっくりと膝をつき、そして崩れ落ちた。ハイエース部分以外はほとんど無傷だ。
提督(時間だと?)
―シュウウゥゥゥ・・・・モヤッ・・・・ブワッ
―醜い巨人から闇のようなもやが噴き出し、拡散し、消えた。艦娘たちには、その一部が提督に吸い込まれたようにも見えた。
叢雲(あれ?なんか今・・・気のせいかしら?)
金剛(ンー・・・?)
提督「なんだ?なんか変に調子がいいな。霧島が軽い!」
金剛「あっ!霧島ズルいデース!そんな姿で提督に抱っこしてもらうなんて!」
霧島「こ、これは不可抗力です!」
提督「あっ、その、色々とすまん。なんか・・・」
―ほとんど下着姿の霧島は、提督に抱きかかえられた状態になっている。
サラトガ「どんな状態で会うかと思ったら、よりによって下着姿の女の子を抱えている状態だなんて、ほんとあなたらしいわね」クスッ
提督「ちょっと待ってくれ。おれは君を・・・」
―知らない、と言いかけて、提督は何かを思い出した。昔の、アフリカの補給基地でのやり取りだ。
―??『サラよ。サラ・スルーズ・ハイアラキ。最初から言ってしまうけど、まあスカウトマンみたいなものね。工作員とも言うけれど』ニコ
提督「いや、でも君は確かもう・・・!」
―ここで提督は、恐ろしい事に気付いた。
提督「艦娘になる事で、余命を返上したのか!?」
サラトガ「まあそうね。こちら側のフリートガールの生成技術は独自のものだし、アメリカはフリートガールが足りなかった。私はフリートガールのエターナリィ(永遠性)が欲しかった。悪い取引ではなかったわ。姿が多少変わっても、あなたはすぐに私を思い出したし、ね」
叢雲「あっ!」
―ここで叢雲は、かつて提督と関わった何人かの工作員の女性のうち、『余命いくばくもない』とされていた人物がいた事を思い出した。このサラトガがそうではないのだろうか?
サラトガ「今日はここまでよ。シーユーアゲン!ああそれから、この騒動はアメリカ大使館と在日アメリカ軍の管轄になるから、全ては『なかったこと』よ。罪人だけはそちらに預けるから、あとは好きに解析したらいいわ。ではまたね、愛しい人」チュッ・・・スタッ!
―サラトガは言うだけ言うと、投げキッスをして夜の闇に姿を消してしまった。
叢雲「素早い・・・」
金剛「言うだけ言って、いなくなっちゃったわ。でも面倒をかけた形になるのかしら?艤装展開しかけた件もあるし・・・」
提督「あー・・・まあ考えても仕方ない。こいつらふんじばって総司令部に戻ろう。榛名と霧島が心配だし、金剛の怪我もまず治さないとだ」
磯波(て、提督の昔の女性?あ、あんなすごいスタイルの人と色んなことを・・・?)カァッ
―磯波は赤くなった顔を気取られぬように、キューポラにもぐった。
磯波「あのっ、状況完了です!」
榛名「よか・・・た・・・」ニコ
―榛名は安心したように微笑んだ。
―近くのマンションの屋上。
酒匂「や、大和さん、状況は落ち着いたようですし、そろそろ・・・」
大和「ええ。分かっています。どうせこの後、罰が待っているのでしょう?覚悟はしていますし、逃げも隠れもしません。あと少し見たら帰りますよ。一応、元帥が気を使って視察命令を出してくださいましたし・・・」
―大和と酒匂は一部始終を興味深げに観察していた。
―再び、提督たちのいる地点。
金剛「ねえ霧島、深海の奴らが居なくなってみたら、気のせいじゃないと思うのだけれど、この感じ・・・」
霧島「あっ、分かります。これはもしかして・・・」
提督「ん?何の話だ?」
霧島「提督、気付かないふりして聞いてくださいね。大和さんが私たちを見ています。この感じだと(小声)」
提督「ああ、それならあそこだろ?」クルッ・・・クイッ
―提督は首を少しだけ回し、やや離れた位置に立つ、古いマンションの方を示した。屋上の方は暗く、何も見えない。
金剛・霧島「ええっ!?」
―二人は驚いて同時に声を上げた。
―大和のいるマンション屋上。
大和「えっ!?」
―大和は驚愕した。見えていないだろうに、黒服の提督らしい男は振り向き、こちらを艦娘たちに示している。
酒匂「えっ?見えているんでしょうか?」
大和「そんな視力の人間はいないわ。金剛たちでも私たちがいることくらいしかわからないはず。気配を読んだとしか・・・」
酒匂「噂通り、大変な認識能力なんですね」
―酒匂は感心して、うっかり余計なことを言ってしまった。
大和「噂通り?どんな噂なんです?酒匂さんはあの黒服の人が何者か知っているんですか?知っているんですよね?」
酒匂「ぴゃああ!酒匂なんにも知らないです!」
大和「嘘は良くないですよ?」
酒匂「さ、酒匂は何にも知らないです」
大和「本当に?・・・あっ!」
酒匂「あっ!」
―大和と酒匂はまた別の艦娘が近づいてくる気配を感じ取った。
―スタッ
大和「あなたは!」
酒匂「阿賀野ねぇ!」
阿賀野「こんばんは大和さん。あまり酒匂を困らせないでね?私もこれからお食事だったのに呼ばれちゃって、最初はあまりいい気分じゃなかったの」ニコニコ
大和「元帥のご指示ですね?私が出たら、必ずあなたを出すことになっているものね」
阿賀野「んふふ~。何回か経費でお食事ができることになったの。大和さんも一緒に行きますか?」
大和「あっ・・・お断りします」ギュッ
阿賀野「残念だわ。色々聞いているし、仲間なんだから遠慮は無しにしてほしいのに」
大和「私は仲間だと思った事はありません」
阿賀野「ふーん?ちょっと残念だけど、何かあった時に割り切りやすいのは助かるわ。でも、そこまで気を使ってるかもしれないのが、大和さんのいいところよね」ニコニコ
―大和は阿賀野が苦手だった。海上ではともかく、地上では艦種と質量の差により、阿賀野型はほぼ最強だったためだ。さらに、この阿賀野は大和の秘密を幾つか知っていた。何らかの理由で大和が横須賀の正規ルートを外れた時は、抑止力として阿賀野が大和の近くに出てくる。それが非公式の決まりだった。
阿賀野「じゃあ、一緒にご飯に付き合ってくれたら、知ってる事を話そうかなって」
大和「なぜそんなに私と食事を?今日だって、私と戦う事に・・・」
阿賀野「ならないでしょ?私は知ってるわ。それに大和さん、もうずっと長い事お腹いっぱいになった事がないでしょ?」
大和「!・・・も、もう十分です。私は撤収しますね」ダンッ
―大和は一瞬で跳び去ってしまった。
酒匂「あっ!大和さぁん!」
阿賀野「ねえ酒匂、あなたは何も話せない立場でしょ?だから、知りたい事があったら私と食事するように言っててくれる?じゃあね!」スタッ!
酒匂「ありがとう、阿賀野ねぇ」
―そして、古いマンションの屋上からは誰もいなくなった。
第七十九話、艦
次回予告。
撤収する提督たちと、立ち去りつつも疑問が渦巻く大和。そして、やや離れた空を飛ぶ水上機の中からも、この様子を見ていた駆逐艦がいた。
同じ頃、携帯電話の電波から、この件の黒幕を突き止めた特務第七は、かつての川内の姉妹を貶めたルートを遂に掴む。そして、そこからさらに奥の黒幕が浮かび上がるのだった。
そして提督たちは、一旦堅洲島に撤収するのだが・・・。
次回『榛名の夢』乞う、ご期待!
金剛『霧島、本当に動けないんですかー?』
霧島『あっ、本当です。怖い顔しないでくださいお姉さま。不可抗力です』
金剛『ウーン・・・なんか怪しいデース』
提督『いや、これだけボロボロなら無理だろう?』
霧島『そ、そうですよ!もうボロボロで・・・』
金剛『あっ、私も歩けない気がしてきたわ・・・』クラッ
提督『はは・・・』
榛名『・・・・・・(あの、榛名は寝たきりです・・・大丈夫じゃないです)』
イベントが近いというのに何となく大型建造を回してしまって資源がえらいことになりました。
備蓄・・・備蓄を・・・。
ふむ、鞭で叩かれるのか…
実にけしからんですな
1さん、コメントありがとうございます。
そうです。このしばらく後にけしからんシーンがありそうです。
矯正施設も色々複雑でして、なかなかけしからんシーンもあります。
ヒャアッ新しい話が来てた!
嬉しすぎてニヤニヤが止まらねぇぜ!
さすがオネェだわ
ただのオカマじゃなかった!
しかも川野って名前があるのに、「」の前に“榛名のスタイリスト”って付いてるあたり、まさかコードネームかな?w
提督の高所からの飛び降りは、バキシリーズの五点接地転回法を彷彿とさせますね!
気になったのですが、深海化して蟹怪人になった人の中身も蟹なんでしょうか?
うちの一航戦の二人が訊けってうるさくて・・・
赤城「とても気になります!!」ジュルリ
加賀「これだけは譲れません!」ジュルリ
前話(第七十八話 快晴、のち災い・中編)で6のコメントをした者です
もっと悶えて!w
そういったコメントを返してもらえるとコメントをした甲斐があるってもんです!
ところで【“開耶姫”榛名】などを始めとした異名を持った艦娘達の異名は誰が名付けてるんでしょうか?
更新ありがとうございますm(_ _)m
次回が年内にUPされるか分からないので少し早めですが
今年もありがとうございました、来年もどうぞ宜しくお願い致します。
うぽつです!
深海化した男と肉弾戦を繰り広げるとは・・・やはり霧島は霧島ネキだったなw
しかも、青い下着とは・・・なかなか解っておられる!
だらし姉ぇじゃない阿賀野姉ぇだとッッ!?
めちゃ強そう・・・
あと、ラーメン好きそうw
矢矧の近接武器は大太刀だったらめちゃカッコイイと思います!
サラトガのMSケンプファー説急浮上w
そして霧島はやはり脳筋だったwww
今回もなかなか見ごたえがある作品でした!
化石探し・・・とな!?
化石って滅多に見つからないイメージありましたが、そんなに簡単に見つかるものなのでしょうか?
もしや、そいったご職業なのかな
まぁ、なにはともあれよいお年を!
3さん、コメントありがとうございます!
榛名のスタイリストさんは、今回入院になってしまいましたが、実は割と大事な立場の人なのです。
いずれ語られると思うので、お楽しみに!
一応、深海艤装体の時は食べられなくもないですが、艤装解除されると食ったものも消えてしまうので空しい結果になりそうです。
この方法ででかいカニの食い放題とかできたらなぁ・・・。
4さん、コメントありがとうございます。
艦娘の「二つ名」の始まりですが、多くは海防部や鎮守府に配布されている新聞からです。
いずれ、この新聞の話も出てきますのでお楽しみに!
5さん、コメントありがとうございます。
やはり年末はあれで終わりで、最新話の更新はギリギリ一月中に半分出来ました。
もっとペース上げたいんだけどなぁ・・・。
今年もよろしくお願いいたします!
6さん、コメントありがとうございます!
個人的には霧島ネキは上品なブルーの下着を着こなしてそうなので、この作品中ではそういう設定にしております。わかりみで嬉しいですねぇ。
この阿賀野ねぇはだらしねぇで食いしん坊なのに強いです。
そして、作中のある人の弟子でもあります。
ラーメンはかなり好きみたいですよ。
そして、のちに彼女の強さを理解できない姉妹と激突するのでお楽しみにです。
矢矧はやっぱり大太刀が似合いますよねぇ。
この作中の矢矧は普段は薙刀を使っていますが、刀も扱いが上手ですし、いずれご期待通りの激熱シーンも出てくるのでお楽しみにです!
㈱提督製造所さん、コメントありがとうございます。
今回の小ネタに気付いていただけて、とても嬉しいです。
「戦い方を教えてあげるわ」からのチェーンマインは大事ですよねぇ。
気付いていただける方がいると、書いてて小ネタを出す方もとても楽しいものです。
ありがとうございます!
8さん、コメントありがとうございます!
形にこだわらなければ化石はわりとよく拾えますが、本当に良いものはやっぱりそれなりの場所に行かないとダメですねぇ。
仕事ではなく趣味ですが、仕事に近い部分もあります。
ちなみに、熱心に探しているのは古いガラス製品で、私のツイ垢から外アカを辿ると、しばしば今は見られないガラスの画像をアップしていたりします。
いつも読んでくださって、ありがとうございます。