2024-10-21 23:48:16 更新

概要

提督がお父さんのショタと、そのショタのお守りをする北上さんの、とある鎮守府でのお話


前書き

艦娘の解釈や、背景などオリジナル設定ありです。
またショタなど、若干オリジナルキャラも出てきます。

少し長くなりそうですが、気長にお付き合いいただければと思います。


―ヒトサンサンマル 鎮守府廊下―


北上「そうねー。ショタっちは何が欲しい?」


ショタ「え、これから買いに行くの? それとも作るの?」


北上「・・・・・・あのね-」 


北上「お土産ってのは普通、出先で買ってくるものなのさ」


北上「行く前に買って渡すのは、お土産って言わないわけよ」


ショタ「でも・・・・・・」


摩耶「よ~、ショタ」ガシッ


摩耶「元気してっか?」グリグリ


ショタ「ま、摩耶おねーちゃんっ。目が回るから、僕の頭を掴んで振り回すの止めてよ~」グワングワン


摩耶「固いこと言うなよー。アタシとショタの仲だろ~」グリグリグリグリ


鳥海「摩耶、その辺で」


摩耶「へーい」パッ


ショタ「はあはあ・・・・・・ありがとう、鳥海おねーちゃん」


鳥海「どういたしまして、ショタ君」ニコッ


鳥海「・・・・・・・」


鳥海「ところでショタ君」


鳥海「これ、貰ってくれませんか?」スッ


ショタ(ピンクの四角い箱)


ショタ(赤いリボンでラッピングされてる) 


ショタ「これは?」


鳥海「これはですね・・・・・・」フフフ


 

鳥海「ショタ君が大好きなネバネバ食品詰め合わせです」ニコッ


 

ショタ「好きじゃないよ。うわーん」ポイッ


鳥海「ああっ、投げちゃダメですよっ」


北上「・・・・・・うわー」


摩耶「鳥海、アタシの頭グリグリよりその嘘の方がエグいぞ」


ショタ「・・・・・・・・・・」ガクブルガクブル


北上「おー、よしよし」


北上(あたしの背中に隠れて、出てこなくなっちゃった)


北上(初めて納豆食べた時から、この子ネバネバの食べ物苦手になっちゃったのよねー)


北上(まあ、まだ6歳だし。苦手な食べ物があるのは仕方ないかなー)


北上(・・・・・・)


北上(果たしてこの子が納豆食べられるようになるのを、あたしが見られる日は来るのかねー)ナデナデ


摩耶「あーあ、箱潰れちゃったじゃねーか」ヒョイ


摩耶「まあ、中身は大丈夫だろ。ほら、鳥海」スッ


鳥海「ありがとう」 


鳥海「・・・・・・」


鳥海「ショタ君」シャガミ


鳥海「中身がネバネバ食品って言うのは嘘なの」


鳥海「ショタ君が可愛いからついついからかっちゃったのよ。ごめなさい」ペコリ


鳥海「本当の中身は私と摩耶が作ったクッキーよ」


鳥海「鳳翔さんに教えてもらいながら作ったし、味見もしたから」


鳥海「よかったら後で食べて?」


ショタ「・・・・・・ほんと?」 


摩耶「ああ、本当だよ。アタシ達が頑張って作ったんだ。食べないってことはないよな?」


ショタ「ありがとう、ふたりとも」


ショタ「あとでお父さんと一緒に食べるねっ」


北上「ねーねーあたしはー?」


ショタ「北上おねーちゃんも。あ、あと金剛も呼ぼうねっ」キラキラ


北上「そうねー。呼ぼうねー」


北上(ああ、なんていい顔)


北上(でもあたしは知っている)


北上(この満面の笑みは金剛その人ではなく、彼女がおやつタイムに出すショタっち用の高級グレープジュースに向けられているものなのだということに)


北上(哀れ金剛)


~~~


金剛「atishoo(ハクショイッ)!」


金剛「Ah~、コレはきっと今頃提督と提督ジュニアが私を巡って言い争いをしていますネー」


金剛「なんて罪作りな女なんでショー・・・・・・」ズビズビ


~~~


鳥海「喜んで貰えたようで良かったですね、摩耶」ヒソヒソ


摩耶「そうだな。慣れないことをした甲斐があったってもんだ」ヒソヒソ


鳥海「まあ、私はもう少し手の込んだ物を作っても良かったんですけど」ヒソヒソ


摩耶「・・・・・・ああ、そーだな」ヒソヒソ


摩耶(あの箱の中身ほとんどアタシの焼いたのだけどな。誰かさんがほとんど黒焦げにしたから)


北上「・・・・・・」


北上「ところで、その背中の荷物」


摩耶「ああ、これかい?」


摩耶「そうそう、今から出発するんだよ。例の最前線に向けて」


鳥海「午前中に姉さん達をはじめとした鎮守府の皆さん、そして先程司令官さんに出発の挨拶をしてきました」


鳥海「お二人で最後です」


北上「・・・・・・そっかぁ」


鳥海「北上さん」


北上「んー?」


鳥海「お世話になりました」ペコリ


摩耶「ショタと提督のことよろしくな。北上」


摩耶「特に提督の方は・・・・・・無愛想で誤解されやすいから」


摩耶「新しいのが来たら、フォローしてやってくれ」


北上「あー、うん。任せといてよ」


北上(とは言っても、来月にはあたしも二人と一緒の戦線に行くんだけどね)


北上(ここであえて口にする必要もないし。黙っとこ)


摩耶「おーし、ショタ。こっち来なっ」クイクイッ


ショタ「なに?」


摩耶「いいからいいから」


ショタ「うん」テトテト


摩耶「そりゃっ」ギュ


ショタ「ぐむっ」


ショタ「く、苦しいよぉ。摩耶おねーちゃん」ジタバタ


摩耶「へっへ-、逃がさないぜー。ショタぁ」ムギュウー


ショタ「ん~~っ」


摩耶「・・・・・・」


摩耶「なあ、ショタ」


摩耶「アタシの身体、ちゃんとあったかいか?」


摩耶「アタシの心臓の音、ちゃんと聞こえてるか?」


ショタ「どうしたの急に?」


ショタ「・・・・・・」


ショタ「うん、あったかいよ」


ショタ「心臓の音もドクンドクンって。とっても早くて大きいよ」


摩耶「そっか、良かった」


摩耶「・・・・・・・アタシ、生きてる」


摩耶「まだ、生きてるんだよな。アタシ」


鳥海「そうよ、摩耶」ギュ


鳥海「摩耶もショタ君も、私だって生きてる」


鳥海「生きてるから、こうやって抱きしめ合えるんだよ」


ショタ(鳥海おねーちゃんも背中に)


摩耶「・・・・・・」


鳥海「・・・・・・」


ショタ「・・・・・・」


ショタ(どうしよう、動けない)


北上「いいねぇ、その天性の女ったらしぶり、しびれるねぇ」


北上「この歳から美人ふたりをはべらすなんて、将来は大佐か元帥様かねー」


北上「偉くなったらあたしを養ってね、ありがとね」


ショタ「そっ、そんなんじゃないよっ!」


ショタ「いいから、助けてよぉ」ジタバタ


鳥海「あら、私はショタ君の女になるのも満更じゃないわよ」チュッ


ショタ「なっ///」カァ


ショタ(鳥海おねーちゃん、今僕のほっぺにチューって)


摩耶「おっと」


摩耶「んじゃあ、アタシも唾つけとこ」チュッ


ショタ(摩耶おねーちゃんまでっ)


ショタ(本当にふたりともどうしちゃったんだろ・・・・・・)


北上「はいはーい、そこまでー」


北上「そろそろ出発しないと、日が暮れるまでに中継地点の泊地に着かないよー」


摩耶「それもそうだな。他の鎮守府の艦娘と合流しなきゃだし」パッ


鳥海「遅れるわけにもいきませんからね」パッ


ショタ「ぷはっ」


ショタ(助かった、ようやく解放された)スーハー


摩耶「じゃあ、ショタ」


鳥海「北上さん」


摩耶 鳥海「「いってきます」」


摩耶「アタシ達の“お土産”」


鳥海「楽しんで食べてくださいね」


ショタ「行ってらっしゃーい」フリフリ


北上「頑張ってねー」フリフリ


ショタ「・・・・・・」フリフリ


北上「・・・・・・」フリフリ


ショタ「・・・・・・」


北上「・・・・・・」


ショタ「・・・・・・行っちゃったね」


北上「そうねー」


ショタ「・・・・・」


ショタ「ふたりとも、なんかちょっと変だったね」


ショタ「それにギュッとされたとき、震えてた」


北上「まー、しょうがないんじゃない?」


北上「これから行くのは深海棲艦との戦いの最前線」


北上「敵もflagship級ばっかりらしいし、この辺りでは見かけない最新の航空機や装備なんかもあるだろうし」


北上「さっきまで話をしてた艦隊の仲間が、次の瞬間轟沈してる、なんてことも珍しくないって」


北上「おまけに、物資の補給も不定期。豪雨じゃない方のゲリラもしょっちゅう」


北上「あー、怖い怖い」


ショタ「でも、おねーちゃん達なら、きっと大丈夫だよっ」


北上「んー、どうして-?」


ショタ「だって、摩耶おねーちゃんは、演習で飛んでくる艦載機をいっぱい打ち落としてたし」


ショタ「鳥海おねーちゃんは、夜戦で光って、バンバン砲撃を当ててカッコいいんだ」


ショタ「それに知ってるでしょ?」

 

ショタ「数週間後にはみんな、元気に帰ってきてるって!」ニコ


ショタ「ウチの鎮守府の艦娘は強いから、絶対絶対無事に帰ってくるんだ!」


北上「・・・・・・そうねー」


北上「その通りだね、ショタっち」


北上「そんなしびれる発言が出来るなんて、いつの間に男を磨いてたのさー」


北上「勝手に成長しないでよ、寂しいじゃんかー」ウリウリ


ショタ「ちょっと、お姉ちゃんまで止めてよ」


ショタ「くすぐったいから!」


北上「つれないなぁ」スッ


ショタ「じゃあ僕、金剛探してくるね」


ショタ「おねーちゃんは、お父さんを探してきて。一緒に摩耶おねーちゃんと、鳥海おねーちゃんのお土産を食べ・・・・・・ああっ」


北上「んー、どしたのー?」


ショタ「ほら、お土産。ふたりとも行く前にくれたよ。前に行ったおねーちゃんたちも同じだった」


ショタ「やっぱり僕の言った通り。お土産は出かける前に渡すものなんだよ、分かった」フフン


北上「あー、うん」


北上(この、“お土産”はこの鎮守府だけのものだと思うんだけど・・・・・・)


北上「そうだね、ショタっちの言うとおりだねー。あたしが間違ってたよ」ナデナデ


ショタ「えへへ、もっと褒めて褒めてー」


北上「よーしよしよし」ナデナデ


北上(欲望に素直だなぁ)


ショタ「じゃあ、改めて金剛探してくるねっ」


北上「うん、急ぎすぎて転ばないでねー」


ショタ「うんっ」ピュー


北上「元気だなぁ」


北上「・・・・・・」


北上「で、何か用?」


提督「・・・・・・」


提督「気付いてたのか」


北上「まね。このハイパー北上さまが、何年一緒にいると思ってるのさ」


提督「・・・・・・」


提督「摩耶と鳥海はもう行ったか」


北上「うん」


北上「ねえ」


北上「司令室でふたりになんて声をかけたの?」


 提督「いつも通り声を掛けたさ」


提督「作戦と海域の説明をした後」


提督「『暁の水平線に勝利を刻め』と」


北上「・・・・・・はぁ」


北上「変わらないねぇ」


北上「せめて一言くらい、本心を伝えてもいいんじゃないの?」


提督「勝て、というのが私の本心だ」


提督「それに、変わるつもりもない」


提督「そういう人間だということは、会ったその日に分かっていたはずだが?」


北上「そうだねー」ゴソゴソ


北上「そうだったねー」ペリペリ


北上「・・・・・・うまうま」チュポ


提督「上官と喋っている最中に、口に食べ物を含む、か」


提督「随分と偉いご身分じゃないか。北上」


北上「ふかしてもいいなら、そうするんだけどねー」タバコを指に挟むジェスチャー


提督「この鎮守府は全面禁煙だ」


北上「知ってるよー」


提督「提督がこの鎮守府を引き継いで初めてしたのが禁煙宣言だったよね-」


北上「それまでは特にお咎めなしだったのに。世知辛いよね-」


北上「前提督と一緒に一服したあの時間は、思えば何気にわびさびだったよねー」


北上「あ、そだ」


北上「食べる? さくらんぼ味だけど」


提督「遠慮しておく」


提督「甘いものは、あまり好きではなくてね」


提督「それでは失礼する。今日中にこなさなければならない業務がまだ残っているのでね」スタスタ


北上「じゃあせめて、おやつの時間はショタっちと一緒に過ごしてあげてよ」


北上「さっきふたりから貰ったクッキー、ショタっちが一緒に食べたいってさ」


提督「・・・・・・」ピタッ


提督「・・・・・・」


提督「今日は終業まで司令室にいる」


提督「扉も開けておこう」スタスタスタスタ


北上「・・・・・・」


北上「・・・・・・・今更甘党ってことも隠す必要ないのに」ヤレヤレ


北上(禁煙の理由が、嫌いな父親がタバコを吸ってたからってこと)


北上(そして当時生まれたばかりの、息子のショタっちの健康を害するからってこともさ)


北上(全然隠しきれてないんだからさー)


北上「前半だけが理由だったら、隠れて吸ってやったんだけどなぁ」ヤレヤレ


\ワー、キャー/


北上「ん? 外が騒がしい」チラッ


『今度は暁の出番ね。レディーとして務めさせていただくわっ』

『はわわっ、ピンクは電がやりたいのです』

『なら、私は暁と電のお母さん役ね。響は飼い犬のハラショー、いい?』

『・・・・・・ハラショー』


北上「駆逐艦かー」


北上「うん、ああ、ウザい」


北上(けど、見てる分には少し微笑ましいかな、たぶん。わかんないけど)


北上「さてさて、そろそろショタっちが金剛を捕まえてるころだろうし」


北上「北上さまも、司令室に向かいますかー」トコトコ


―ヒトゴーマルマル 司令室―


北上「重雷装巡洋艦、北上! 入りまーす」ガチャリ


ショタ「あっ、おねーちゃん来た」


金剛「Oh、北上! Well come! よく来たネー!さあ、こっちにドーゾ!」


北上「それでは、失礼おば」


北上(しかし、いつ見ても金剛のティーセットは豪華だよねー)


北上「……」チラッ


提督「……」


北上(……よしよし、ちゃんといるねー)ニヤリ


ショタ「どうしたの? 座らないの?」


北上「ああ、うん。失礼しまーす」


金剛「北上―、紅茶はsugarナシでいいですカー?」


北上「おねがーい」


金剛「提督ジュニアはグレープジュースですネー」


ショタ「うんっ、お願い」キラキラ


提督「……」


提督「金剛、私には聞かないのか?」


金剛「ノン、提督のことは聞かなくても分かりマース」


金剛「sweetなお菓子の時は、sugarなし、ですよネー?」


提督「……」


北上「おお、いいねー。以心伝心ってやつ? 妬けるねー」 


北上「どうよー、提督。浮気相手に見目麗しい帰国子女の艦娘は」ニヤニヤ


提督「やめてくれ、私は既婚者」 


提督「そして結婚相手は一般女性だ」 


提督「それに、いくら見た目が若いとはいえ、この金剛は前提督が着任当初建造した艦娘で、私よりも年上d金剛「提督?」」

 

金剛「Ladyの年齢を話題にするのは、あまりにdelicacyに欠ける行為だと思うネー」ニコニコ


提督「……っ」ゾクッ


提督「す、すまない。浅慮だった」


金剛「分かれば良いんデース」


金剛「提督はお利口さんネー」ナデナデ


提督「金剛っ、私は君の上官で……」


金剛「それはそれデース。今はBreak time、家族の団欒に上官もへったくれもないネー」ナデナデ


ショタ「お父さんと金剛って、仲良いよね。お姉ちゃん」


北上「そうねー、金剛が建造されてからすぐに提督が生まれたらしいからねー」


北上「感覚的には姉弟みたいなもんなんでしょ、ほほえまー」


北上(まあ、フツー男女逆だと思うんだけどねー、この光景)


金剛「Hi!それじゃあ皆さん、自分のdrinkはありますネ。提督ジュニア、このお皿にクッキーをお願いしマース」


ショタ「うん」カラカラ


北上(所々焦げて、形も歪。でも……)


金剛「Wow! これはとてもおいしそうデース!まごころを感じるネー!」


提督「ミントも混ぜ込んであるのか。香りもいい」


金剛「my sisterたちにも食べさせてあげたかったけど……数が少ないので今回はsorryネ」


ショタ「ねえねえ、早く食べよ!」


北上「んと、数は」


北上「ひい、ふう、みい……19枚か」


提督「……19枚」


金剛「……nineteenth」


北上 提督 金剛「「「……」」」


ショタ「?」


ショタ「どうしたの? 早く食べようよっ」


ショタ「あ、でも、4人じゃちょうど分けられないから、一枚ずつ配って、4枚より少なくなったら、残りは一番子供の僕が貰ってもいいよね?」


北上 提督 金剛「「「ショタっち(ショタ,提督ジュニア)は4枚ね(な,デース)」」」


ショタ「なんでさっ!?」ガビーン


北上「いやいや、どうして人にあげるクッキーの枚数をわざわざ素数にする必要があるのさ。嫌がらせ?」


提督「せめてあと1枚食べておくべきだったな」


金剛「ひとりで11枚も食べるなんて、とんだいやしんぼデース」


北上「ほんと、誰に似たんだろうねー」チラッ


提督「どうしてそこで私を見る? 北上」


ショタ「ぼっ、僕は11枚も食べてないよっ。食べたのは1枚だけ……あっ」


金剛「誘導尋問に引っかかりましたネ、提督ジュニアー」ニヤニヤ


北上「分かりやすいし、引っかかりやすすぎ。ほんと、誰に似たんだろうねー」

 

提督「だからそこで俺……私を見るな、北上」


ショタ「ううっ」


ショタ「だって、待ちきれなかったんだもん」ウルウル


ショタ「ごめんなさい。誤魔化そうとして」


北上 提督 金剛「「「……」」」


北上「まあ、食べちゃったのは仕方ないし。ショタっちだけは4枚ね」テキパキ


北上「・・・・・・で」 


北上「はい、あたしの分、一枚ショタっちにあげるね」ヒョイ


金剛「私のもあげますヨー」ヒョイ


提督「まあ、私もこんなにいらないしな」ヒョイ


ショタ「みんな」


ショタ「ありがとう」ゴシゴシ


金剛「ソーソー、日本男児はEasyに女性へ涙を見せちゃNoなんだからネー」


北上「じゃあ一段落ついたところで」


提督「そうだな、では」 


「「「「いただきます」」」」サクッ 


北上「んー」


金剛「Oh―これは・・・・・・」


提督「何というか」


ショタ「うん、なんか不思議な味だよね」


ショタ「甘いけど、ちょっとしょっぱいんだ。何でだろ」


提督「・・・・・・」


金剛「・・・・・・」


北上「・・・・・・そーね」


北上「無塩バターじゃなくて、普通のバターを使っちゃったとかじゃないかな?」


ショタ「えっ、普通のバターじゃ、クッキー作れないの?」


北上「そりゃ、作れなくはないけどさ」


北上「普通のバターは塩分が多いから、クッキーがこんな風にしょっぱくなっちゃうらしいよ?」


北上「ねっ、提督」


提督「・・・・・・さあな」


提督「金剛」


金剛「? なんですカー?」


提督「角砂糖を貰えるだろうか」


提督「私にはこのクッキーは少しばかり塩辛くてね」


金剛「Yes、今入れるヨ。1個でイイ?」


提督「······2個たのむ」


北上(提督はクッキーを口に運びながら、振り返って窓の外を眺めていた)


北上(だからそんな提督がどんな顔をしているのか、あたし達からは見えなかったけど)


北上(提督の肩越しに見える、雲ひとつない空はあまりにも眩しくて)


北上「・・・・・・」サク


北上(彼女達の置いていったお土産の二口目は)


北上(一口目よりもずっと、しょっぱく感じた)



***


―ヒトロクマルマル 司令室―


北上「提督―、ケッコンカッコカリしよー」


提督「・・・・・・」


提督「すまない、聞き間違いをしてしまったかもしれない」


提督「もう一度言ってくれないか?」


北上「いんや、たぶん聞き間違いじゃないよ」


北上「指輪ちょーだい」スッ


提督「・・・・・・」


提督(いつもの様に金剛たちとお茶会をした直後)


提督(私は北上から、ふたりで話があると切り出された)


提督(それだけでも滅多にないことなので、驚いていたのだが・・・・・・)


提督(まさか、その話題を北上の方からふれてくるとはな)


北上「ダメー?」クビカシゲ


提督「・・・・・・駄目も何も」


北上「イイじゃん、イイじゃん。いっぱい持ってるんでしょー?カッコカリの指輪」


北上「腐らせとくくらいなら、あたしにちょーだよー」


北上「練度99なの、今はこの鎮守府にあたしだけなんだしさー」


北上「あ、でももうひとりいるか」


北上(まあ、でもあの子は提督とはカッコカリできないからなー)


北上「とにかく、ほらほら」


提督「・・・・・・分かった」ゴソゴソ


提督「受け取れ、北上」スッ


北上「おお、ありがとー」


北上「じゃあ、はめてよ提督」


提督「ああ」


提督(私は小箱から指輪を取り出し、北上の薬指にはめた)


提督「北上」


北上「ああ、うん。ええっと」


北上「『まぁ、なんてーの?そうねぇ・・・・・・いい感じじゃん? 最近。まあ、なんかそう思うんだよね。うん。・・・・・・まあ、そんな感じ?』、だったっけ?」


提督(北上がその台詞を口にすると、薬指におさまった指輪は一瞬柔らかく光り、そしてまた、鈍い輝きを取り戻した)


提督(提督の私が練度99に達した艦娘に指輪をはめ)


提督(艦娘が、それぞれに定められた台詞を口にする)


提督(それで、ケッコンカッコカリの儀式は終わりだ)


提督「どうだ?」


北上「うーん、別に身体に変わったとこはないかなー」


北上「まあでも、隠れてた自分の伸びしろが見つかったみたいな」


北上「頑張れば、もうちょっと強くなれる気がしてきたような」


北上「そうでないような?」スッ


提督「もう外すのか? 指輪」


北上「まあね、指にはめてなくても身に着けとけば効果はあるし」ジャラジャラ


提督「・・・・・・ネックレスか?」


北上「そっ、こうやって指輪に通して、首からかけておけば」


北上「服の中に入れられて、目につかないでしょ?」スッ


北上「ねっ」


提督「・・・・・・」


北上「じゃー、練度の最大値も伸びたことだし」クルッ


北上「ちょいと、帰国子女の高速戦艦様にでも演習を申し込んで来るとしますかねー」トコトコ


提督「まて、北上」


北上「んー」ピタッ


北上「なに、提督」


提督「どうして今さら、そんなものを欲しがった?」


北上「どうしてってさー、朴念仁にもほどがあるよ? 提督―」


北上「もちろん提督のことを愛してるからデース(金剛のモノマネ)」


北上「女の子に言わせんなよ、このこのー」


提督「北上」


提督「私がケッコンカッコカリの制度を、ただの戦力増強の手段としているのを、君が知らないわけがないだろう」


提督「練度が上限に達した者には、即座にその指輪を渡してきた」


提督「私に好意がないものでも、鎮守府の戦力アップに繋がるならと受け取ってくれた」


提督「私がこの鎮守府に着任してから、やむを得ない理由なしに、カッコカリを受け入れなかったのは」


提督「君だけだ、北上」


提督「なのに、どうして」


北上「・・・・・・これでもあたしは、さ」


北上「気を遣ってあげてたわけさ」


北上「あたしが指輪をしてたら、嫌でも考えちゃうと思って」


提督「・・・・・・」


提督「誰が」


提督「誰のことをだ?」


北上「ほーら、そういう返しをしてる時点で、察しがついてるくせに」


北上「まあ、それでもあたしの口からどうしても聞きたいっていうなら、そうするけど?」


提督「・・・・・・もういい、さがれ」


北上「はーい」ガチャ


北上「・・・・・・」


北上「提督」


北上「こんなこと言うと不謹慎かもしれないけどさ」


北上「正直あたしは人間側が勝とうが、深海棲艦側が勝とうが」


北上「どっちでもいいのさ」


北上「どちらにせよ、決着がつく頃には」


北上「あたしはきっと、いないだろうから」


北上「でもさ」


北上「こんなんでもさ、守りたいと思えるくらいには、大切にしてるものもあるわけさ」


北上「・・・・・・摩耶や鳥海、先に前線に行ったみんなからも頼まれたしね」ボソッ


北上「だからさ、あと1ヶ月、悪あがきしてみようかなって」


北上「まあ、戦いの中で死にたくないってのが一番なんだけどねー。痛いのはヤだし」


北上「回避値あげようにも、上限にはとっくに到達してたからねー」


北上「死ぬなら寿命でポックリ死にたいよねー」ケラケラ


北上「んじゃ、ありがとね。提督」キィー


北上「・・・・・・愛してるよ」パタン


提督「・・・・・・」


提督「・・・・・・・・・・・」

 

提督「・・・・・・・・・・・・北上、私は」


提督「俺は、お前にそんな言葉をかけてもらえる権利なんてない」


提督(あの人の面影を重ねるばかりで)


提督(彼女自身を見ようとしなかった俺には)カチャ


ロケットペンダント「」キラッ


―ヒトロクマルゴー 鎮守府廊下―


ショタ「北上おねーちゃん、お父さんとのお話終わったー?」


北上「おー、ショタっち」


北上「うんうん、終わったよー」


ショタ「じゃー、何して遊ぶ-?」


北上「おいおい、ショタっち」


北上「一応これでもね、勤務中なんだよあたし」ハァ

 

北上「色々しなきゃいけないことがあるわけですよ」


北上「いつまでもお子ちゃまと遊んでるヒマはないの」


北上「飴ちゃんあげるから、お勉強でもしておきなさい」ヒョイ


ショタ「飴はもらう」パクッ


ショタ「で、北上おねーちゃんとも遊ぶー」ギュッ


北上(強欲だねぇ)


ショタ「ねーねー、いいでしょー」


ショタ「遊んでよー。北上おねーちゃん」グイグイ


北上「他の艦娘に遊んでもらいなよ、駆逐艦とか」


ショタ「全員遠征とか行ってるから、いないんだもんっ」


北上「金剛は?」


ショタ「金剛は『今から遠征艦隊が帰港するのデ、出迎えに行ってきマース。みんなSexyな姿になってるから、提督ジュニア


は着いてきちゃノーなんだからネ!』って、どこかにいっちゃった」


北上「ああ、そうねー」


北上(そういえば、そろそろ前線への物資輸送を終えた艦隊が戻ってくる頃ねー)


北上(確かにショタっちには、見せられないわ)


北上(“色々と”刺激が強すぎて)


ショタ「遊んで、遊んで、遊んでよー」


北上「ああ、もう分かったよ。ウザいなぁ」


北上(本当は今日から演習とか組みたかったけど、明日からにしますかねー)


北上(あーホント、あたしって甘いなー)


北上(子供にも、自分にも)


北上「そんからわり今日だけよ? 明日からはちゃんと勉強だからね」


北上「お父さんみたいな提督になりたいんでしょ?」


ショタ「うんっ」


ショタ「お父さんみたいな、凄くて優しい提督になるっ」


北上(凄くて優しい、か)


北上(提督が聞いたらどんな顔するんだろ)


北上「で、どうするー? なにする-?」


ショタ「んーとね」


ショタ「オママゴト!」


北上「うーんそれは、なんていうか」


北上「そのチョイスは男の子としてどうなの?」


北上(それに、ちょっと意味ありげよねー)


ショタ「え、でも暁型とか、睦月型のおねーちゃんたちとは、よくオママゴトするよ?」クビカシゲ


北上「あー、なる」


北上(まあ、周りに女の子しかいなかったら、そうなるわよねー)


北上「おっけー、オママゴトね」


北上「じゃあ、あたしは何役をやればいいー?」


ショタ「じゃあ、僕は息子役やるから」


ショタ「おねーちゃんは、お義母さん役をお願い」


北上「ほいほーい、お義母さん役ねー、了解」


北上「・・・・・・ん?」


ショタ「じゃあ、いくよー・・・・・・『ねえ、お義母さん。僕ね、変なんだ。お義母さんが、僕の新しいお母さんになってから、なんだかムズムズすr北上「はい、アウトー」」


北上「ショタっち、これから艦娘とオママゴトするの禁止ね」


ショタ「ええっ!? なんで!」


北上「情操教育上、悪影響しかないから」

 

ショタ「じょーそーきょーいく?」


北上(誰かな、こんな昼ドラみたいな設定をオママゴトに盛り込んだエロスの申し子は? 秋雲大先生かな?)


北上「・・・・・・コホン」


北上「とにかく、オママゴト以外のでよろしくー」


ショタ「うーん、オママゴト以外かぁ~」ムムム


北上(悩んでる悩んでる)


北上(難しい顔してるショタっちも、なかなかオツだねー)ウンウン


北上「あ、そだ。ショタっち」


ショタ「うん?」


北上「午前中話したお土産の件なんだけどさぁ」


北上「やっぱりあたしは、帰ってきてから渡すね」


北上「そん代わり、お土産の中身には期待してていいよー」


北上「このハイパー北上様が、持ってきてあげるから」 


北上「その時ショタっちの一番望んでるものをさ」


ショタ「・・・・・・・」


ショタ「分かったっ」ニカッ


北上「ありがとよー、ショタっち」ダキッ


北上(一瞬悩んで、すぐに笑顔をあたしに向けてくれたショタっち)


北上(小さいのに気を遣える、とってもいい子に育っただねー)


ショタ「決めた!」


ショタ「一緒にお昼寝しよっ、北上おねーちゃん」


北上「およ? お昼寝?」


北上「遊ばなくていいのー?」


ショタ「うん、なんか眠くなっちゃった・・・・・・」メヲコスリ


北上「おっけー、じゃあ仮眠室でお布団敷いて、一緒にお昼寝しよっか」ギュッ


ショタ「うんっ!」ギュッ


北上(掌から伝わる、小さくて暖かな手の形」


北上(それを守るため、忘れないためにあたしは・・・・・・)


―球磨型 3番艦 重雷装巡洋艦 北上 抜錨まであと30日―


***


1週間後


―ヒトサンマルマル 鎮守府廊下―


北上「あたしが死んでも、代わりはいるもの」


ショタ「そ、そんなことないよっ!」


ショタ「北上おねーちゃんは、おねーちゃんだけだよっ」


ショタ「だから死ぬなんて言わないでっ」ヒシッ


北上「あーいやー」


北上「今のはさー、なんて言うか」


北上「単にアニメの台詞を言ってみただけなんだよねー」ポリポリ


北上「知らない? エ○ァ?」


ショタ「○ヴァ?」


北上「そう、エヴ○」


北上(そうよねー、世代じゃないかー)


北上(新劇場版の方もねー、いつまで待てばって感じだしねー)


北上(ジェネレーションギャップ、ジェネレーションギャップと)


北上「まあ、平たく言うとね。男の子がロボットに乗って」


北上「怖―い怪獣と戦う物語なんだよー」ガオー


ショタ「へー」


ショタ「カッコいいねー」


ショタ「主人公の男の子ってどんな感じ?」


北上「ヘタレ」


ショタ「えっ」


北上「で、ファザコンでマザコンで年上好きでツンデレ好きで無口好き」


北上「自分勝手で弱虫で泣き虫で、おまけに優柔不断、かな」


ショタ「・・・・・・・それ、面白いの?」オズオズ


ショタ「というか、戦えるの?」


北上「なんやかんやで、敵は全部倒す・・・・・・のかな? アレは」


北上「まあ、あたしは面白いと思ったけどね」


北上「主人公も好きだったよ」


北上「人間臭くって」


北上「あの世界であの性格じゃなかったら、逆に勝てなかったかもねー」


北上(艦娘のあたしが、人間を語るのも可笑しい気もするけどね)


ショタ「へー」ポケー


北上(あ、これ。全く理解できてないって顔だ)


???「やあ、子守り大変そうだね、手伝おうか?」


北上「ん」


ショタ「まさか、おねーちゃん達は・・・・・・」


―ヒトサンマルゴー 司令室―


金剛「・・・・・・続いて。今日の建造の結果ですケド」


金剛「鈴谷、那珂、足柄でシタ」


金剛「どうするネ? 提督」


提督「・・・・・・」


提督「鈴谷をこの司令室に呼んでくれ」


提督「那珂、足柄は“解体”する」


金剛「カーンカーンカーン」


提督「何か言ったか?」


金剛「いいえ、何でもないデス」


金剛「じゃあいつものように、大本営にも連絡をとっておくネー」


提督「よろしく頼む」


提督「では金剛、次は・・・・・・」


コンコンコン


金剛「Oh! ハーイ、誰ですカー?」


北上『球磨型 3番艦 重雷装巡洋艦 北上です』


北上『お客様をお連れいたしました。提督はいらっしゃいますでしょうか?」


提督(客?)チラッ


カレンダー「ワイやで」


提督(摩耶と鳥海を前線に送り出してから、約2週間・・・・・・)


提督(そして我が鎮守府の北上にあるまじき、礼儀正しさ)


提督(ということは)


提督「入れ」


北上「失礼します」ガチャ


ショタ「お父さーんっ」タッタッタッ ダキッ


ショタ「ふたりが帰ってきたよー!」ニコニコ


???「「失礼いたします」」


摩耶「高雄型重巡洋艦3番艦 摩耶」


鳥海「同じく、高雄型重巡洋艦4番艦 鳥海」


摩耶「本日付けで、大本営の指揮下から」


鳥海「正式にこの鎮守府に配属になりました」


摩耶 鳥海「「よろしくお願いしますっ」」ビシッ


金剛「Oh! 摩耶に鳥海デース!」


金剛「Welcome! これからよろしくネー!」


提督「・・・・・・」


提督「両名、遠路はるばるご苦労だった」


提督「ところで、ふたりだけでここまで?」


???「もちろん違うさ」


???「彼女たちは僕が引率してきたんだよ」


時雨「白露型駆逐艦2番艦 時雨」


時雨「まあ、僕の自己紹介はいらないとは思うけど、一応ね」


提督「久しぶりだな、時雨」


提督「変わりはないか?」


時雨「・・・・・・」


???「あまりなれなれしくしないでくれないか」


???「この時雨は貴様のではなく、俺の艦娘なのだから」


提督「・・・・・・その様子じゃ、お変わりないようで」


提督「安心しましたよ、大佐殿」フフッ


大佐「ふんっ」


大佐「ため口でいい」


大佐「貴様の敬語など、気色が悪い」


大佐「階級や能力の差こそあれ、同期には違いないのだからな」


提督「では、お言葉に甘えるとしよう。大佐」


提督「元気そうで何よりだ」


提督(彼は私の士官学校時代の同期)


提督(かつては互いを認め合い、競い合った仲だが)


提督(鎮守府に配属されるやいなや彼は、数々の戦果を挙げ大佐に)


提督(そして現在、32歳というという若さにして、最前線の総指揮を任されている)


提督「・・・・・・」チラッ


北上「・・・・・・」コクリ


北上「さあ、ショタっちー」


北上「これから、あの顔の怖―いおじさんと性格の怖―いおねーさんが提督と大事な話があるらしいからさ」


北上「終わるまでどこかで待ってよっか?」


大佐「・・・・・・」ギロッ


時雨「そんな顔してるから、あんなこと言われるんだよ。大佐」ヤレヤレ


時雨「でも、僕の説明についてはあとで訂正しておいて貰えると嬉しいかな」ニコニコッ


北上「ははは」


北上「善処しまーす」


北上(あんたもその笑顔もたいがいだよねー)


ショタ「えー、折角ふたりが帰ってきたんだから、早くお祝いしようよー」


北上「無理言わないの」


北上「摩耶と鳥海のふたりはすぐ来ると思うから」


北上「それまではこのハイパー北上様が一緒に遊んであげる。ねっ」


ショタ「えっ、本当っ!?」


ショタ「分かった、行こっ! 北上おねーちゃん」グイグイッ


ショタ「お父さん、金剛、そしてふたりとも。またあとでねっ」バイバイッ


ガチャ バタンッ


提督「金剛」


提督「大佐と時雨を隣の応接室に」


提督「私もすぐに向かう」


金剛「はいネー」


金剛「それではおふたりとも、こちらにどうゾー」スタスタ


大佐「ああ」スタスタ


時雨「うん」スタスタ


提督「・・・・・・・」


提督「摩耶、鳥海」


提督「事前に渡していた資料には一通り目を通したか?」


摩耶「おう」


鳥海「ええ」


提督「では、ひとまず資料を完璧に網羅してほしい」


提督「その残された情報のひとつでも、齟齬が生じないように頼む」


提督「それと、これからのスケジュールについてだが」


提督「この鎮守府にて数日間、艦隊演習を行ってもらった後」


提督「とある海域への輸送任務を行ってもらうことになる」


提督「初任務としては、少々荷が重いとは思うが」


提督「ここに着任した艦娘たちが全員通ってきた道だ」


提督「無事、達成してくれることを願っている」


提督「以上だ」


摩耶 鳥海「「承知したぜ(いたしました)」」


提督「何か質問は?」


摩耶 鳥海「「ありません」」


提督「では、下がって休んでくr」


『お父さーんっ』

『ふたりが帰ってきたよー!』


提督「・・・・・・」


提督「あー、最後に」


提督「これは業務命令ではないんだが」ポリポリ


提督「私の息子は君達が来るのを心待ちにしていてね」


提督「疲れているところ申し訳ないが、すこし相手をしてくれると助かる」


摩耶 鳥海「「・・・・・・」」キョトン


鳥海「・・・・・・ふふ」


提督「? なにかおかしなことをいっただろうか」


鳥海「いえ、司令官さんはこういう人なんだなぁ、と」


鳥海「なるほどなぁ、と思ってしまいまして」


鳥海「ねえ、摩耶?」


摩耶「まあ、なんつーかさ」


摩耶「そういう、優しさをもっと直接伝えてやれば」


摩耶「ショタのヤツも喜ぶんじゃねーのか? 提督」


提督「・・・・・・すまん」


提督「そういうのは、勝手が分からなくてな」


鳥海「難しく考える必要なんてありませんよ。司令官さん」


摩耶「そーそー。あいつと一緒に遊んでやりゃいいんだ」


摩耶「あのくらいのガキは、大人が笑ってりゃ、十分楽しいんだからさ」


提督「そこなんだよ」


摩耶「あん?」


提督「・・・・・・その笑顔が、な」


提督「怖いんだとさ」


鳥海「怖い?」


提督「ああ」


提督「ショタがまだ言葉も覚えていない頃だ」


提督「ベビーベッドで昼寝をしていたショタが目を覚ました」


提督「妻は料理中で手を離せず、仕方なく私があやすことにした」


提督「『いないないばー』とな」


提督「そして私が顔を覆っていた手を取った瞬間」


提督「失禁された」


摩耶「」

鳥海「」


鳥海「は?」


摩耶「し、失禁!?」


提督「ああ、それはもう盛大にだ」


提督「おむつをしていたのにもかかわらず、ベットの上は大洪水」


提督「あまりに静か過ぎるのを不審に思った妻がすぐにやってきて」


提督「その惨事に、私はこっぴどく叱られた」


提督「正直、父親からの説教や,元帥からの詰問よりも恐怖を感じた」


提督「それ以来人前では極力、真顔で笑わないように心掛け」


提督「ショタにも怖がられないように、ある程度の距離を持って接する様になった」


提督「まあ、それ以上に、またショタを泣かせて、妻から怒られるのが怖かったからな」トオイメ


提督「そういうわけで私は、ショタの世話を北上たちにお願いしているんだ」


提督「分かってくれたかな?」



摩耶 鳥海「「」」


提督(なんだ、この反応は?)


摩耶 鳥海「「・・・・・・っ」プルプルプルプル


摩耶「だーっ、はっはっはっ!」


摩耶「何百っていう艦娘の命を預かる提督がっ」


摩耶「息子ビビらせて、嫁さんに怒られてるとか」


摩耶「だらしねーにもほどがあるだろ」ゲラゲラ


鳥海「ちょっと、摩耶。そんなに笑っては司令官さんがかわいs・・・・・・ぷっ」


鳥海「す、すみません。司令官さん」プルプル


提督「い、いや。気にするな」


摩耶「はっはっはっ・・・・・・はぁーあ」


摩耶「どれどれ、どれだけ怖いか見てやるよ、提督。鳥海」ミギホホツネリ


鳥海「しっ、失礼します。司令官さん」ヒダリホホツネリ


提督「・・・・・・」


提督「ほうは(どうだ)?」


摩耶 鳥海「「~~~~っ!?」


摩耶「確かにコレはこえ~よっ」ゲラゲラ


鳥海「も、もう限界ですっ」プルプルプルプル


バンッ


大佐「おい!客を待たせてさっきから何を騒いでいるっ」


時雨「やれやれ、乱暴だな。大佐は」


金剛「Oh、ドアはもっとdelicateに扱ってくだサーイ」オロオロ


時雨「その台詞を君の口から聞くのは、多少なり違和感を覚えるね」


提督「ほほ、ふまはい(ああ、すまない)」クルッ


大佐「」

時雨「」

金剛「」


大佐「なっ!?」


大佐「何だその顔はっ」ヒキッ


大佐「ええい、その顔をこっちに向けるなっ」シッシッ

 

提督「ほんはにはへんにへふへも・・・・・・(そんなに邪険にせずとも・・・・・・)」


大佐「やかましい。気色が悪いにもほどがある」


大佐「赤子なら即座に泣き出すレベルだぞっ」


提督「」グサッ


摩耶(あ、今提督が傷ついた音が聞こえた)


鳥海(というか、大佐さんは良く司令官さんの言ったことを聞き取れましたね)


提督「ひぐへ、ひみははいひょうふはよな?(時雨、君は大丈夫だよな?)」


時雨「・・・・・・すまない、あまりこっちを見ないでくれるかな?」


時雨「夢に出てこられたりでもしたら、嫌だからね」ニコ


提督「」


提督「ほ、ほんh(こ、金g)金剛「Oh! これがジャパニーズなまはげ! 中々のqualityデース! 流石提督ネー」


提督「」


提督(この仕事、もう止めようかな・・・・・・)


―ヒトサンサンマル 鎮守府廊下―


摩耶「はーあ、面白かった」メモトコスリ


鳥海「やり過ぎよ、摩耶」


鳥海「司令官さん、最後の方魂の抜けたもぬけの殻状態だったじゃない」


摩耶「鳥海だって終始ノリノリだったじゃないかよ」


ショタ「あ、来た」


ショタ「おーい、ふたりともー」ブンブン


鳥海「・・・・・・摩耶」ボソッ


摩耶「・・・・・・わーってるよ」ボソッ


摩耶「おー、ショタ」


摩耶「改めて、ただいまだぜ。元気してたか?」ナデナデ


ショタ「うんっ、摩耶おねーちゃんもおかえりー」ギュッ


鳥海「ショタ君、私には?」


ショタ「鳥海おねーちゃんもおかえりなさい」ギュッ


鳥海「はい、ただいま。ショタ君」ナデナデ


鳥海「私たちがいない間、さみしくありませんでしたか?」


ショタ「ちょっと寂しかったけど」


ショタ「お父さんも、北上おねーちゃんも、金剛もいたから」


ショタ「あんまり寂しくなかったよ」


摩耶「おいおい、そこは寂しかったって言っておけよな~」


ショタ「えへへ~」


鳥海(かわいい)


北上「・・・・・・戻ってくるの遅いよ、ふたりともー」ボロッ


鳥海「あれ、どうしたんですか北上さん」


鳥海「お疲れのようですけれど」


北上「いやね、まさしくその通りなんだよ」


北上「もうね、くたびれてまーす、あたし」


摩耶「そんなになるまでなにして遊んでやってたんだよ」


北上「・・・・・・一発ギャグ縛りしりとり」ボソッ


摩耶 鳥海((なに、その地雷臭ぷんぷんの遊び・・・・・・))


摩耶「しゃーねーな。んじゃこの摩耶様がひとはだ脱いでやるとしますかっ」


ショタ「ほんとっ!?」


摩耶「ああ、本当だとも」


ショタ「どうしようかなぁ」ウーン


北上「・・・・・・いいの? 疲れてるんじゃない? ふたりとも」


鳥海「お気遣いありがとうございます」


鳥海「でも今日は、大本営からこちらの鎮守府に移動してくるだけでしたら」


摩耶「ショタが喜んでくれてるんだし、ちょっとはサービスしてやらないとな」


北上「ふーん」


ショタ「あ」


摩耶「お、決まったか?」


摩耶(悩んでたわりには、あっさり決まったな)


ショタ「ううん、そうじゃなくてね」


ショタ「おねーちゃんたちに聞こうとしてたこと、たったいま思い出したんだ」


ショタ「ねえ、摩耶おねーちゃん、鳥海おねーちゃん」


ショタ「なんでお姉ちゃんたち、出かける前と制服が違うの?」


摩耶「!」

鳥海「!」


ショタ「えーとね、前どこかで聞いたんだけどね」


ショタ「艦娘の制服って、それぞれに思い入れがあるから」


ショタ「滅多に自分の制服のデザインを変えないんだって」


ショタ「でも、ふたりとも前線から帰ってきたら制服が変わってるから」


ショタ「どうしてだろうなーって」


ショタ「ねえ、どーして?」


鳥海「ええっとね、ショタ君」


摩耶「それはだな、その・・・・・・」


北上「あー、そっかぁ」ポンッ


北上「ショタっちは知らなかったんだったねー」ウンウン


北上「いい? ショタっち。艦娘はね」


北上「デジ○ンと同じなんだよ」ビシッ


ショタ「えっ」

摩耶「えっ」

鳥海「えっ」


ショタ「あれ、なんで摩耶おねーちゃん達まで驚いてるの?」


摩耶「ああ、いや。北上があまりにも当たり前のことをいきなり言うからさ」アセアセ


鳥海「ビックリしちゃったんだー」アセアセ


ショタ「ふーん」


摩耶「・・・・・・なに言ってんだ、北上のやつ」ヒソヒソ


摩耶「そんな話、建造されてこのかた1度だって聞いたことねーぞ」ヒソヒソ


鳥海「まあ、北上さんはこの鎮守府の古参だし」ヒソヒソ


鳥海「ショタ君の扱いにも慣れているようだから、ひとまず任せてみましょう」ヒソヒソ


北上「ショタっちは、デ○モン知ってるよね?」


ショタ「ナゲットのやつ?」


北上「そうそうー」


摩耶 鳥海((デ○モン認識の仕方がヒドい))


北上「ふたりはねー、前線に行く前は完全体だったんだよ」


北上「だから凄く強かったでしょー?」


ショタ「うん」


北上「で、前線に行って戦って、活躍して」


北上「力を使い果たして、幼年期に戻っちゃったの」


北上「それで制服も完全体から、幼年期のものに戻っちゃったんだよ」


北上「わかった?」


ショタ「へー」


ショタ「そーなんだー」ポケー


北上「ショタっちは理解が早くて助かるなー」ナデナデ


鳥海(理解したっていうよりは)


摩耶(理解するのを放棄したって言った方が正しい気もするけどな)


摩耶(まあ、ひとまずこの話に乗っておこう)


摩耶「まっ、そーいうことだ。ショタ」


摩耶「前よりちょっとばかし、弱くなっちまったけどよ」


摩耶「すぐ練度を上げて、またカッケー摩耶様を拝ませてやっからよ」


摩耶「楽しみにしてな」ニカッ


北上「へー、言うじゃない」ポンッ


北上「あたしもさー、練度あげしてるところなんだよねー」


北上「今から訓練、いってみよっか?」ニカッ


摩耶「」


鳥海「じゃ、じゃあ私は失礼しまs」


北上「いやいや、みんなでやった方が、効率いいからさー」ガシッ


鳥海「」


北上「れっつごー」ズルズル


ショタ「ゴー」


―同ヒトサンサンゴー 応接室―


金剛「提督の紅茶デース」コトッ


提督「ありがとう、金剛」


提督「さて、待たせてすまないな。大佐」ポスッ


大佐「まったくだ」


大佐「これ以上、俺の時間を奪ってくれるな」


大佐「わざわざ俺が前線を離れて、この寂れた鎮守府を訪れたのは」


大佐「練度の低い艦娘の護衛をするためではない」


大佐「ましてや」


大佐「貴様らのくだらん漫才を見にきたのでは断じてな」


提督「・・・・・・」


大佐「俺と貴様の仲だ。前置きは省こう」


大佐「用件は、この鎮守府からの前線支援についてだ」


提督「・・・・・・支援なら、十分しているだろ?」


提督「ここ2,3年の前線への物資支援は、燃料、弾薬、鋼材、そしてボーキサイト」


提督「大本営からの支援を除けば、どれをとっても我が鎮守府が一番の供給元のはずだ」


提督「それも供給は不定期ではなく」


提督「3日に1回は、前線に供給出来るように、輸送艦隊を送り出している」


提督「これでもまだ足りないと?」


大佐「・・・・・・」


提督「まあ、前線が大変なのも分かる」


提督「心中、お察しするよ」


提督「予期せぬ事態に対して、常に気を張っていなければいけない極限状態で」


提督「心配事はなるべく減らしておきたいのだろう」


提督「金剛」


金剛「ハイ、提督」


提督「前線への供給回数を増やす」


提督「それにあたり。追加で輸送に必要な装備を工廠で揃えてくれ」


金剛「Okネ。明日中には開発しておきm 提督「金剛」」


提督「今すぐ、作ってきて欲しいんだ」


提督「明日の朝一、使うことになるからな」


金剛「・・・・・・・Yes」


金剛「分かったヨー」スッ


金剛「じゃあ、行ってくるネー」ヒラヒラ


バタンッ


大佐「・・・・・・ふんっ」


大佐「時雨」


時雨「何かな? 大佐」


大佐「あの金剛についていけ」


時雨「え?」


大佐「開発の手伝いをしてやれと言ったんだ」


大佐「この開発は、俺達にも関係することだからな」


大佐「前線への供給物資をすべて開発に使われでもしたらたまらん」


時雨「・・・・・・・まあ、僕は」


時雨「大佐の命令なら、なんでも従うけれど」チラッ


提督「ああ」


提督「金剛と一緒になら、工廠に立ち入ってくれても別に構わない」


提督「戦艦では作りにくいものもあるからな、むしろ手伝ってくれた方が私は助かる」


大佐「だ、そうだ。時雨」


大佐「それと、時雨」


大佐「・・・・・・・、・・・、・・・・・・」ボソボソッ


時雨「!」


時雨「・・・・・・了解、出来る限りのことはやってみるよ」


時雨「それじゃ、行ってくる」スッ

 

バタン


大佐「・・・・・・」


大佐「・・・・・・いつまで経っても甘ちゃんなのは変わらない、か」


提督「何の話だ?」


大佐「いや、こっちの話だ」


大佐(艦娘に対して、いつまでも情を捨てきれない、脆弱な男)


大佐(そんな甘ちゃんの意図を分かってしまう、自分自身の不甲斐なさのな)


―ヒトサンゴーマル 鎮守府廊下―


金剛「burning~♪,burning~♪,burning loooove~♪」フンフフフー


時雨「待ってよ、金剛」


金剛「時雨? どうしたネー?」クビカシゲ


金剛「大佐に君の手伝いをしろと言われてね。勿論、君の提督にも許可はもらってある」


時雨「同行しても構わないだろうか」


金剛「Really? それはとーっても助かりマース!」ガシッ


時雨「・・・・・・っ」


金剛「Thank Youネ、時雨―っ」ブンブン


時雨「・・・・・・」


時雨「わ、分かったから、僕の両手を解放してくれないかい?」


時雨「すごく痛いんだけど」


金剛「Oh! Sorry,Sorryネー。ついtensionが上がってしまいましター」パッ


時雨「いや、いいんだ。分かってくれれば」


時雨「じゃあ、工廠に急ごうか」


金剛「そうしまショー」


時雨「・・・・・・」スタスタ


金剛「・・・・・・」スタスタ ニコニコ


時雨「・・・・・・」スタスタ


金剛「・・・・・・」スタスタ ニコニコ


時雨「・・・・・・・」


時雨「なんだい、さっきから」


金剛「いえ、時雨は優しいなーと思ってネー」


時雨「優しい?」


時雨「僕が?」


金剛「Yes。だってさっき、無理矢理手を解こうとせずに」


金剛「一言声をかけてくれたでしょ? 私を傷つけない為に」


金剛「嫌なら振りほどいてくれても良かったんですヨー?」


時雨「別に、そう言うつもりじゃなかったんだけどね」


時雨「・・・・・・」スッ(背中に腕を隠す)


時雨(単に出来なかったのさ。両手が痺れてね)


時雨(今でもまだ、痺れたままだけれど)ビリビリ


時雨(それに・・・・・・)


『金剛「Really? それはとーっても助かりマース!」ガシッ 時雨「・・・・・・っ」』


時雨(手を掴まれるまで、反応出来なかった)


時雨(常に戦いの前線で、感覚を研ぎ澄ませている僕が)


時雨(手を掴まれて初めて、そのことに気が付いて)


時雨(そして気がついてもなお、その握力に僕は為す術がなかった)


金剛「~~~♪」フンフフフフーン


時雨「ねえ、金剛」


時雨「君は昔、“鬼神”って呼ばれてたんだよね」


金剛「What? キシン?」ウーン


金剛「キシン、きしん・・・・・・Oh! “鬼神”、もしかして、Demonのことですかーっ!?」


金剛「No Way! こんなprettyな艦娘を捕まえて、Demonだなんてあんまりデース!」ヨヨヨ


金剛「ああ、そうデース。Rememberしまシタ」ハッ


金剛「“Princess”! 姫と書いて“姫神”となら、呼ばれていたかもしれまセーン」ウンウン


金剛「Hey、時雨―! 私のことはこれからプリンセスと呼んでくれてもいいんですヨー?」


時雨「・・・・・・」


時雨「そうか、分かったよ」


時雨「プリンセス」ニコッ


金剛「はうっ///」ピクッ


時雨「どうしたのプリンセス?」


時雨「顔が真っ赤だよプリンセス」


金剛「Stop! ストップ、時雨っ!」


金剛「Let's forget! 私が悪かったデース! 忘れてくだサーイ////」パタパタ


時雨「うーん、そうだな」


時雨「じゃあ勝負をして、金剛が僕に勝ったら」


時雨「さっきのは忘れてあげる」


金剛「Thank You! 時雨、感謝デース!」


時雨「決まりだね」ニコッ


時雨「じゃあ、工廠に行こうか」


時雨「早く開発を終わらせないと、勝負の時間がなくなってしまうからね」


金剛「Umm? 開発結果で勝負するんじゃないんですカー?」クビカシゲ


時雨「まさか」


時雨「勝負といったら勝負、“Fight”に決まってるだろ?」


金剛「時雨、それは・・・・・・」


時雨「大丈夫だよ、本気でやりあおうって言ってる分けじゃない。僕が言ってるのは演習さ」


時雨「ただの戦闘練習。もちろん先輩として、胸を貸してくれるよね?」


時雨「もしかして、駆逐艦の僕を気遣ってくれてるのかい?」


時雨「優しいね、金剛は。やっぱり上司が優しいと、その艦娘もいい子なんだね」


時雨「英国ではそんな人をなんて言うんだったかな・・・・・・そうだ」


時雨「Spoiledだったっけ? それともWussの方が合ってるかな?」


時雨「ねえ、金剛、棄権でもいいけどさ。それなら君の提督のあだ名、どっちがいいか選んでよ」ニコニコ


金剛「・・・・・・」


金剛「・・・・・・good grief(やれやれ)」フゥ


金剛「LadyがそんなDirtyな言葉を使うものじゃないネー」


金剛「OK。演習でも何でも付き合いマース」


金剛「開発、早く済ませてしまいまショー」


時雨「ありがとう、金剛」ニコッ


時雨「あ」


時雨「勿論、加減はしなくてもいいからね」


時雨「僕は駆逐艦だから、ひょっとしたら、手加減してくれようと考えてるかもしれないけど」


時雨「僕は前線を支える現役の艦娘で」


時雨「金剛は戦艦とはいえ、何年も戦闘から離れてる、もはや秘書艦にして雑用をさせるしか使いようがない、置物同然のロートルなんだからさ」


時雨「ちょーしこかずに、全力で来てね」


時雨「片手でぶっ潰してあげるからさっ♪」エヘッ


金剛「・・・・・・」


金剛「イヤー、時雨は凄いネー」


金剛「難しい日本語もいっぱい知ってるし、英語もとっても詳しいネー」


金剛「きっと大佐サンの教育が行き来届いてるんですネー」ウンウン


金剛「私、とってもとってもRespectデース」パチパチ


金剛「私たちの鎮守府では、あまり勉強をさせてあげれてないので」


金剛「前線指揮で忙しいのに、そうやって時雨たちをかまってあげられる大佐サンは」


金剛「1度にひとつのことしか出来ない、私たちの提督とは違いますネ」


金剛「そんな大佐サンみたいに、女性からRespectされる男性を英語ではですネ・・・・・・」


金剛「親愛を込めて、“Tom cat”と呼んでマース!」


金剛「だからネ、時雨」


金剛「私がWinnerになったときは、大佐サンのことをこれから一生、トムって呼んでもらいマース!」


金剛「私との約束ダヨ。破っちゃノーなんだからネ!」ニコッ


時雨「・・・・・・」ゾクッ


時雨「ああ、約束するよ」ゴクリ


時雨(物腰は柔らかいままなのに、一瞬背中に奔った悪寒)


時雨(これが“鬼神の金剛”)


時雨(かつて対抗演習で数多の大和型や外国戦艦を圧倒し)


時雨(数々の大規模作戦で、MVPを欲しいままにしてきた艦娘)


時雨(カッコカリ制度が出来た時期を境に、前線から離れ)


時雨(その名声は次第に薄れていったけれど)


時雨(さっきの彼女の背中に、僕は鬼を見た)


時雨(その気迫は本物だ。ちっとも衰えを感じない)


時雨(彼女を相手にするくらいなら、前線で戦艦flagship級とサシで対峙方がまだ気楽

ってものだ)


『大佐「たきつけて相手をして貰えいい経験になる、とはいえ、別に勝ってもかまわんぞ?」ボソボソッ』


時雨(・・・・・・でも)


時雨「僕は勝つよ。大佐」ボソッ


時雨(彼女に勝てないようじゃ、僕は僕の願いを果たせない)


時雨(この薬指の指輪に誓ったんだ)ギュッ


時雨(いつか、大佐の止まない雨を止めるって)


―ヒトヨンマルマル 演習場―


北上「で、今練度はどれくらいなの?」 


摩耶「・・・・・ご」


北上「ご?」


ショタ「50ってこと?」


摩耶「あ“~~~~っ」グシャグシャ


摩耶「5だよっ! 練度5なんだよっ!」


摩耶「しょうがねーだろっ!? 今日が進水日なんだよっ。アタシたちは」


摩耶「文句あっか」クワッ


ショタ「ふぇっ」ビクゥッ


北上「うわー、子供にその開き直り方うわー」ドンビキ


鳥海「大人げないわよ。摩耶」ドンビキ


摩耶「るせー、このメガネ!」


鳥海「め、メガネって・・・・・・」


北上「ボキャブラリーも貧困だねー」


???「あらあら、今日は賑やかですね」


ショタ「あ」


ショタ「香取おねーさんだ」


ショタ「こんにちはっ!」


香取「はい、こんにちはショタ君」ニコリ


北上「や、香取」


北上「今日もいつものように演習お願いしにきたよー」


香取「ええ、お待ちしておりました。本日も訓練、お付き合いいたします」


香取「ところで」チラッ


香取「そちらのおふたりには、改めてご挨拶させていただきましょうか」


香取「香取型練習巡洋艦1番艦の香取です」


香取「日々、この鎮守府の艦娘の練度向上に尽力させていただいております」


香取「よろしくお願いいたしますね」ペコッ


摩耶「高雄型重巡洋艦3番艦、摩耶だ」


摩耶「よろしくな」


鳥海「同じく4番艦の鳥海です」


鳥海「よろしくお願いします。香取さん」


ショタ「知り合いなのに、そんな挨拶するなんて変なのー」


北上「まー、艦娘にも色々礼儀とかあるのよ」


北上「ショタっちも、もう少し大人になれば分かるよ」


ショタ「ふーん」


香取「それで本日はどうしましょうか?」


香取「練度の高くない艦娘もいることですし」


香取「無難に、砲撃演習でも実施いたしましょうか?」


北上「うーん・・・・・・そだねまずは」


北上「新人ちゃんたちの歓迎会といきますか」ニィ


―同ヒトヨンマルマル 応接室-


大佐「さて、人払いも済んだところで改めて先程の話の続きといこう」


大佐「提督」


大佐「確かに貴様の鎮守府からの支援は大きい」


大佐「貴様からの支援がなければ、今の前線は保てていないだろう。それは認めよう」


大佐「だが、それは“物資支援”に限っての話だ」


大佐「俺は“艦隊支援”の増強を求めている」


大佐「舌ばかり回る貴様のために、言い逃れようがない、より直接的な物言いをしてやろうか?」



大佐「貴様の艦娘を俺(前線)によこせ」



提督「・・・・・・」


提督「『前線ノ戦力強化ノタメ、各鎮守府ハ毎年高練度ノ艦隊を複数、前線ニ投入サレタシ』」


大佐「そう。それが十数年前、俺達が鎮守府を任されるようになった直後に、通達された命令だ」


大佐「ひと艦隊6名を複数、つまり年間最低12隻以上の高練度の艦娘を前線に送り出さなければならない」


提督「だが、私は大本営の命令には背いていない」


提督「最低限の艦隊支援は、私の鎮守府も行っている」


大佐「だから、それでは足りないと言っているっ」ダンッ


大佐「“高練度”と一言でいっていても、条件は艦種などでも異なる」


大佐「駆逐艦・軽巡洋艦なら練度50以上、重巡洋艦・軽空母なら練度40以上」


大佐「戦艦や空母なら、改まで改造してあれば、大本営は高練度として認めている」


大佐「また、“艦隊支援”の艦娘の練度や数、艦種類に応じて、大本営から資金や資材が貰えることになっている」


大佐「大和型などは、練度1だろうとも、前線に送れば、それに見合うだけの額の援助が、その鎮守府に送られる」


大佐「援助目当てで、獲得した資材で戦艦レシピや大型建造をブン回すバカがいるくらいにはな」


大佐「なのに、貴様はどうだ?」


大佐「デイリー任務でしか建造しない」


大佐「練度が高い艦娘が多くとも、やらせることは演習と遠征ばかり」


大佐「それでは、宝の持ち腐れだ」


大佐「貴様には目の前の平穏しか見えていない」


大佐「貴様がやっていることは、綺麗なものだけを見ていたいという現実逃避だ」


大佐「手に届くものだけを守り抜こうとするただの自己満足だ」


大佐「確かに、貴様が送ってくる艦娘は、非常に練度は高い」


大佐「だが、代わりに圧倒的に数が少ない」


大佐「送ってくるのは毎年十数隻。大本営が定めた最低艦数ギリギリだ」


大佐「加えて艦種も、ほとんどが駆逐艦や軽巡洋艦、重巡洋艦」


大佐「しかももれなく全員、“期限”が近い」


大佐「これでどう、戦力として組み込めばいいというんだ?」


大佐「練度が高くても、主力の補佐としてしか扱えない」


大佐「連携を向上させようにも、その時間もない」


大佐「この際はっきり聞いておく」


大佐「貴様、この戦争に勝つ気があるのか?」


―ヒトヨンイチマル 演習場―


北上艦隊

旗艦 北上「んじゃーまー、ちょっちもんであげますかねー」


鳥海艦隊

旗艦 鳥海「私が旗艦で良かったの? 摩耶」

   摩耶「おう。今日のアタシは暴れたい気分なんでね。被弾すんなよ鳥海」


ショタ「おねーちゃんたちガンバレ―」


香取「・・・・・・双方、準備が出来たようですね」


香取「それではこれより、北上艦隊対鳥海艦隊の対抗演習を行います」


香取「演習、始めてください」パンッ


《戦闘開始!》


北上「早速いくよー」バシュ


摩耶「おっしゃ、一発かますぜ!」ズザー


鳥海「摩耶っ、前に出すぎよ」


鳥海「ここは相手の出方をみて・・・・・・」


摩耶「はんっ、そんなまどろっこしいことしていられるk」


バーンッ! パラパラ


ショタ「すごい水柱だねー」オオー


鳥海「!?」


摩耶「か、はっ」タイハッ!


鳥海「摩耶っ!」


摩耶「」チーン


鳥海「砲撃っ!? どこからっ、一体いつの間にっ」キョロキョロ


鳥海(いえ、砲撃であれまず音で気付くはず)


鳥海(それに、砲弾が近づいてくれば肉眼でわかる)


鳥海(着弾しても、その場所から攻撃方向を判断することも)


鳥海(なのにどちらも確認出来なかった)


鳥海(・・・・・・)


『北上「早速いくよー」バシュ』

『ショタ「すごい水柱だねー」オオー』


鳥海「!」ハッ


鳥海(これは、まさか)


北上「そ」


北上「“開幕雷撃”、だよー」チャキ


鳥海「!?」クルッ


鳥海(いつの間に背後に)チャキ


北上「気づくのおっそーい」カチッ


鳥海「しまっt」


ドカーンッ!


北上「ふー」


北上「いっちょあがりっと」ガサガサ ピラッ


北上「いやー、勝利の1本はいいねー、痺れるねー」チュパチュパ


北上(棒キャンディーうまうまー)


香取「・・・・・・」


香取(これは・・・・・・ほほう?なるほど)


香取(随分と鍛え甲斐がありそうですね)フフッ


香取「そこまで!」


《戦闘終了!》


ショタ「北上おねーちゃんすごーいっ」キラキラ


北上艦隊 S勝利

旗艦 北上「いや、楽勝だったわー。これが重雷装艦の実力ってやつよー」キラキラ 無傷 MVP


ショタ「おめでと北上おねーちゃん飴ちょーだい」スッ


北上「ありがとう、おだてて飴を貰う気満々なのバレバレだけどおねーちゃん嬉しいよー」ホレ


ショタ「ん」パクッ


ショタ「おいひー」コロコロ


鳥海艦隊 D敗北

旗艦 鳥海「・・・・・・」ボロボロッ 大破

   摩耶「ちくしょー、“開幕雷撃”なんて聞いてねーぞっ」ボロボロッ 大破


香取「聞いてなかったではすみません!」


鳥海 摩耶「「!」」ビクッ

 

香取「摩耶さん、貴方は戦場で敵からの不意打ちを受けた時」


香取「聞いてなかったと言い訳するおつもりですか?」


香取「それで敵が引いてくれるとでも?」


摩耶「そ、それは・・・・・・」


香取「それに、です」


香取「北上さんは、最初こそ軽巡洋艦ですが」


香取「改造後は、重雷装巡洋艦になります」


香取「ましてや、彼女は制服からも分かるとおり、改二」


香取「当然、甲標的を持っていることを考慮すべきでは?」


香取「それともまさか、仲間の装備を理解していなかったなんて言いませんよね?」


香取「敵にも開幕雷撃を行ってくる艦はいますよ?」


香取「それ以外にも、様々な特徴をもった艦はいます」


香取「貴方はそれらに遭ったとき、いちいち資料を捲るんですか?」ニコ


摩耶「」


香取「それから・・・・・・鳥海さん?」


鳥海「はっ、はい」ビクッ


香取「摩耶さんが攻撃を受けた際」


香取「即座に状況分析を行うのは正解ですが」


香取「考えっぱなしで回避行動もとらずに棒立ち」


香取「それでは格好の獲物です」ヤレヤレ


香取「貴方は“旗艦”であって、ただの“旗”ではないのですよ?」


香取「いえ、的が小さい分、ただの旗の方がまだもったかしら?」


鳥海「」


北上「うわぁ」


北上(ボコボコだねぇ、香取容赦ないなー)


香取「さて、反省会も終わったところで」


香取「第2戦、行ってみましょうか」ニコッ


摩耶 鳥海((・・・・・・鬼だ))


香取「返事は?」ニコーッ


摩耶 鳥海「「Yes! マム!」」


摩耶 鳥海((違った、鬼教官だった))


~~~


北上艦隊

旗艦 北上「さて、と」


香取艦隊

旗艦 香取「今度は私が旗艦を務めさせていただきます。ふたりとも私の指示をよく聞いてくださいね?」

   摩耶「分かってるよ」

   鳥海「はい」



北上「今度は3対1かぁ」


香取「ふふ、スミマセンね。北上さん」


香取「でも、これくれいで丁度いいハンデ、ですよね?」ニコ


北上「いいハンデね」フー


北上(それは果たして、どちらにとってのハンデなのかな)


ショタ「じゃあ、いくよー」


ショタ「対抗演習、北上艦隊対香取艦隊を行います」


ショタ「よーい、始めっ」パンッ


《戦闘開始!》


北上「んじゃ、まずは“開幕雷撃”っと」バシュッ バシュッ


香取「摩耶さん、鳥海さん!」


香取「足下に注意しつつ、ジグザクに前進してください」


香取「いくら酸素魚雷であろうと来ると分かっていれば、ある程度避けられます」ドンッ ドンッ


摩耶 鳥海「「了解!」」


北上「おっと」スッ スッ


バシャン! バシャン!(水面に着弾)


北上「っ・・・・・・・」


香取「・・・・・・」スッ スッ


北上(足下に集中がいってるなら、定石どおりで副砲で仕留めればいいんだけど)


北上(香取のこの的確な砲撃支援)


北上(これは、被弾覚悟じゃなきゃ反撃できないなー)


摩耶「へっへー」カチャ


鳥海「捉えました」カチャ


北上「・・・・・・」


北上(右に摩耶、左に鳥海)


北上(あーあ、挟まれちゃったかー)


摩耶「さっきのお返しだ、くらいなっ!」ドンドンッ


鳥海「これで仕留めますっ」ドンドンッ


北上「でも、甘いよっ」ガシャン 


水面「」バシャンッ


摩耶 鳥海「「なっ!?」」


摩耶(魚雷と甲標的を捨ててっ)


鳥海(水面を蹴って後退回避したっ!?)


北上「さてさて、ここで問題です」フワッ


北上「あたしが避けたあと、撃たれた砲弾はどうなるでしょう?」


北上「正解は」


摩耶「ぐあっ」ドカッ チュウハッ!


鳥海「きゃあっ」ドカッ ショウハッ!


北上「同士撃ちになる、でした」ニッ


香取「・・・・・・はぁ」


香取「対向射線にいれば、そうなることくらい分かるでしょうに」アタマカカエ


香取「・・・・・・ふたりとも、まだいけますね?」


摩耶「っ、おうよ!」


鳥海「はいっ、鳥海いけます!」


香取「よろしい」


香取「敵は自身の最大火力である、雷撃を捨てました」


香取「残る装備は副砲のみ、彼女の右腕の動きにだけ注意していれば、容易く避けられます」


香取「周囲を旋回して撹乱しつつ、砲撃を続けてください」


香取「もちろん、味方が射線に入っている場合はどうするか」


香取「同じ過ちを繰り返さないことを香取は願っていますよ」ニコッ


~~~


ショタ「・・・・・・時間だよ、そこまでっ」


《戦闘終了!》


北上艦隊 B勝利 

旗艦 北上「うひー、なんとか勝てたわー」無傷 MVP


香取艦隊 C敗北


旗艦 香取「おつかれさまでした。ふたりとも動きはよくなりましたよ“少しだけ”」無傷

   鳥海「あ、ありがとう」ボロボロッ 大破

   摩耶「ご、ございます」ボロッ 中破


ショタ「北上おねーちゃん、今回も被弾しなかったねー」


北上「まあね、魚雷を外した時点で、もうS勝利は諦めて」


北上「時間内は逃げまくる作戦に切り替えたからね」


北上(実際、あの後摩耶に一発当てただけだし)


北上(で、鳥海が大破してる原因は・・・・・・)


香取「それはそれとして摩耶さぁん?」


摩耶「っ」ビクッ


香取「私、言いましたよね?」


香取「“同じ過ちを繰り返さないことを祈っている”と」


香取「なのに、どうして鳥海さんはあんなにぼろぼろなのか」



香取「教 え て い た だ け ま す か ?」ゴゴゴッ



摩耶「」


摩耶「ぐすっ」ホロリ


鳥海「摩耶、私が言うのもなんだけれど」


鳥海「どんまい」ポンッ


香取「鳥海さん、他人事のようにおっしゃってますけど」


香取「当たってないだけで、貴方も忠告を守れていませんでしたよ?」


香取「“もっと砲撃の腕があれば”、仲間に当たっていました」


鳥海「」


鳥海「すんすんっ」ハラハラリ


北上「・・・・・・」


北上(香取はああ、言ってるけど。実際は仕方ないのよね)


北上(だって、あたしが“同士撃ちを誘うような動きをしていた”んだから)


北上(むしろここは、同士撃ちを恐れず、砲撃出来たことを褒めるべきところなのよね)


北上(どんな理由であれ、戦場なら動けなくなったものから沈んでいくから)


北上「まっ」チラッ


ショタ「よしよし、おねーちゃんたちは頑張ったよー」ナデナデ


摩耶 鳥海「「・・・・・・」」グスグス


北上「・・・・・・」チラ


香取「あらあら、まあまま」ニコニコ


北上(あたしは、香取のやり方に任せますけどねー)


北上(・・・・・・それにしても)


『香取「・・・・・・」スッ スッ』


北上(砲撃支援に集中してるなら、当たると思ったんだけどなー。魚雷)


北上(最初から香取狙いだったの、バレてたのかもね)


北上(同士撃ちだって、本当は重巡のふたりに香取を撃たせようとして立ち回ってたのさ)


北上(あたしが香取の立場だったら、少破ですんだかどうかも怪しいね)


北上(砲撃も、最初の支援以外は撃ってこなかった)


北上(香取が本気できてたら、このB勝利もきっと・・・・・・)


香取「はい、それでは摩耶さん、鳥海さん」パンパン


香取「続いて、3戦目。今度は私と行いましょうか」


香取「重巡洋艦2隻が相手ですので、全力のフル装備でいかせていただきますね」ニコ


摩耶「」

鳥海「」


~~~


金剛「Hi!北上と提督ジュニア~」


ショタ「あ、金剛だー。金剛―」ビョンピョン


北上「おー」


北上「どーしたの、こんなところまで? 提督たちは?」


金剛「それが、体よく追い出されましてネー」


金剛「今頃は大佐サンと、HotなTimeを過ごしているはずデース」ヨヨヨ


金剛「なので、私も大佐サンの時雨と工廠で愛の建造w 時雨「あまり引っ付かないでもらえるかな?」ぎゅむ」


時雨「あの後、君たちの提督と大佐に頼まれてね」


時雨「金剛の開発の手伝いを、さっきまでしてたんだ」


時雨「それと、大佐にも僕にもそんな趣味はないからね」


金剛「ところデ」チラ


摩耶艦隊 D敗北

旗艦 摩耶「」大破 プシュー

   鳥海「」中破 プシュー


香取艦隊 A勝利

旗艦 香取「ふたりともお疲れさまでした」小破 MVP


金剛「これは一体どういうSituationデース?」クビカシゲ


北上「いやぁー」


北上「早く戦力になりたいって言うからさー」


北上「ちょっと遊んであげたんだよ」アハハ


金剛「That’s right! それはいい心がけデース」


摩耶(遊んでたって)


鳥海(こちらは終始全力だったんですけどね・・・・・・)トホホ


香取「ふたりとも、最初より随分動きがよくなりましたよ」


香取「摩耶さんは私に3回も攻撃を当てられましたし」


香取「私のフル装備の砲撃を、鳥海さんは中破で耐えました」


香取「その調子で頑張ってください」


金剛「・・・・・・北上、鳥海の攻撃はHitしましたカ?」


北上「うん。主砲が2発ねー」


金剛「・・・・・・香取の言ってるフル装備っていうのは」


北上「うん。香取が改造したときにもってくる装備だよー」


金剛「OK。分かりまシタ」


金剛(練度が低くたって重巡の砲撃を計5発もまともに受けてたら、小破は流石に可笑しいネー・・・・・・)


金剛(しかも、香取の言っているフル装備)


金剛(たしか半分は対潜装備だったはずネー)


金剛(・・・・・・)


金剛(言わぬがFlowerってやつですネー)


金剛(きっと私があの立場だったらHeartがますますBrokenしてしまうヨー)トオイメ


金剛「さテ」チャプチャプ


金剛「海の上に立つ感覚。んー、とっても久しぶりデース」セノビー


金剛「それじゃあ、私たちもやりましょうカ。時雨」クルッ


金剛「ホンモノの戦いってヤツを見せてあげますヨ。Kitten」クイクイッ


―ヒトゴーマルマル 演習場―


ショタ「ねえ、北上おねえちゃん」


北上「ん-?」


ショタ「ウチの金剛って強いの?」


北上「あ、そっか」


北上「ショタっちは金剛の戦ってるとこ、見たことないんだっけ」


ショタ「うん」


ショタ「昔強かったって聞いたことはあるけど」


ショタ「今はお父さんの秘書艦ってことしか分からない」


ショタ「あと、おやつに用意してくれるジュースがおいしい」


北上「つまり、今の金剛のイメージを一言であらわすと?」


ショタ「おいしいジュースをくれる紅茶オバケ」


北上(子供は素直だなぁ)


香取「金剛さん」


香取「もしかして、あの時雨さんと対抗演習するおつもりですか?」


金剛「Of course」


香取「・・・・・・」


香取「許可出来ません」


金剛「Oh、香取」


金剛「ここはみんなの演習場、そんなAuthorityは貴方にはありませんヨ?」ノンノン


香取「・・・・・・貴方が前線から外された理由、お忘れではないですよね?」


香取「先代の、そして現提督のお心遣いを、無下にするおつもりですか?」


金剛「!」


金剛「そ、それは・・・・・・」


時雨「そんなに責めないであげてよ、香取」


時雨「僕がバカにした提督の名誉のために、金剛は戦おうとしてるんだ」チャプ


時雨「艦娘としては、至極当然のことだと僕は思うけど?」


香取「・・・・・」


香取「それでも私は」


香取「金剛さんに、戦って欲しくありません」


金剛「・・・・・・大丈夫、ネ」


金剛「すぐ決着するヨ」


金剛「だから、お願いネ」


香取「・・・・・・」


香取「・・・・・・分かりました」チャプ


香取「それでは練習巡洋艦 香取、この対抗演習にご一緒させていただきます」


金剛「!?」


時雨「・・・・・・へぇ」メヲホソメ


時雨「僕は別にいいけど?」


時雨「そうだ」


時雨「ついでにそこの重雷装巡洋艦さんもどうだい?」


北上「あー、うんとね」


北上「あたしは遠慮しておこうかな」


北上「おふたりさん、参加してきたら」


北上「あのメンツなら、負けても練度はかなり上がると思うよー」


摩耶「・・・・・・馬鹿言うなよ、北上」


鳥海「私も止めておきます。ペイント弾で轟沈はしたくないので」


北上「さいで」


~~~


時雨艦隊

旗艦 時雨「じゃあ、北上。号令は任せたよ」(ストレッチ中)グイグイッ


金剛艦隊

旗艦 金剛「・・・・・・」

   香取「金剛さん、最初は私が前に出ます。見ていてください」


北上「それではこれより」


北上「時雨艦隊対金剛艦隊で、対抗演習を行います」


北上「始めっ」パン


《戦闘開始!》


香取「練習巡洋艦、香取。参ります」ズサー


香取(多少の被弾は覚悟の上)


香取(全速前進、刺し違える覚悟で正面から突撃いたします!)


ショタ「あ、香取おねーさんが前に出たよ」


北上「そだね」


北上(香取は、金剛が戦闘に参加する前に決着をつけてしまおうという腹づもりみたいだけど・・・・・・)


摩耶「鳥海、どう思う?」


鳥海「どうって・・・・・・」


摩耶「確かに、あの香取は強いけどさ」


摩耶「あの時雨に勝てるとはとても・・・・・・」


鳥海「・・・・・・そうね」


鳥海「香取さんは戦闘経験を積んでいるとはいえ、そのほとんどが対抗演習でしょうね」


鳥海「一方時雨さんは、前線での実践経験が豊富。毎日のように命のやりとりしている」


鳥海「そもそも前提として、ケッコン艦である時雨さんに、香取さんが勝てるとはとても・・・・・・」


北上「あれ、ひょっとして気がついてなかった?」


北上「香取もケッコン艦だよ」


鳥海「ええっ!?」


鳥海「そんな・・・・・・私の推測が、瓦解した!?」


摩耶「いや、驚くところそこじゃねーだろ」


摩耶「で、練度は?」


北上「摩耶の改造出来るレベルに+100したよりも、あるかなー」


摩耶「なんつー、遠回しな説明だよ」


摩耶(でも、そうか。ケッコン艦っていうならあの演習での強さも納得できる。それに)


摩耶「なら、ちょっとは勝ち目もあるんじゃねえか?」


北上「・・・・・・そうねー」


北上「どうかねー」


時雨「・・・・・・」


香取(敵艦に動きはなし・・・・・・)


香取(罠でもあるの?)


香取(いえ、それでももうこの距離なら)チャキ


香取(確実に当てられる)キッ


時雨「・・・・・・」ニヤッ サッ


水しぶき「」パシャ


香取「!?」


香取(水面を薙いで、水飛沫をっ)


香取(けれどこの程度、振り払えるっ)ブンッ


香取「舐めてもらっては困ります。この程度目眩ましにもならn」


時雨「当然、目眩ましになるなんて思ってないさ。いや」


時雨「香取、君には目眩ましすら不要だよ」スッ


香取「なっ」


香取(いつの間に側面にっ!?)


時雨「ただ一瞬、気をそらせれば十分だ」


香取「まz」


ドカ―ンッ


香取「・・・・・・いっ」タイハッ 


香取「金剛、さ、ん」フラッ


香取「だ、め」バシャンッ


ショタ「香取おねーさんっ」ダッ


北上「はーいショタっち、危ないから近づいちゃだめよー」ガシッ


ショタ「で、でもっ。香取おねーさんが倒れちゃったんだよ!?」


摩耶「・・・・・・小口径主砲で中身がペイント弾だとはいえ、土手っ腹にゼロ距離だからな」


鳥海「私たちの大破のように、被弾しても動けるレベルのダメージではないでしょうね」


ショタ「だったら、なおさら助けないと!」


ショタ「このままじゃ、香取おねーさんが溺れちゃうよ」


北上「大丈夫」


北上「信じなさいってば」


時雨「まあ、色々言いたいことはあるけどさ」


時雨「駆逐艦相手に、低速艦の君が開幕突撃は悪手に過ぎるね」クスッ


時雨「頭の良い君らしくもない」


時雨「そんなに冷静さを欠くほど、僕と金剛を戦わせたくなかったのかい?」


時雨「まあ、コンディションが最高だったとしても、君は僕に勝てなかっただろうけどね」


時雨「ケッコン艦?」


時雨「だったら練度100以上ってことだよね?」


時雨「140?150? それとも」



時雨「僕と同じ、165だったりするのかな?」



摩耶「なっ!?」


摩耶「練度165っ!?」


鳥海「嘘ッ、そんなのって」クチモトオサエ


ショタ「北上おねーちゃん」グイグイッ


ショタ「それって、凄いの?」


北上「・・・・・・練度99を迎えた艦娘」


北上「本来最上限が99の練度を、引き上げることが出来るシステム」


北上「それがケッコンカッコカリなのは知ってるよね? ショタっち」


ショタ「う、うん」


北上「ケッコンカッコカリが発明された当時」


北上「カッコカリの指輪を身に着けることで、艦娘の練度の上限は150まで引き上げることができた」


北上「そのカッコカリのシステムは進化を重ね」


北上「15年前に上限155」


北上「3年前に上限160」


北上「去年に上限165」


北上「そしてつい最近、大本営の研究チームが、カッコカリシステムにおける練度の上限を、175へと引き上げることに成功したんだ」


北上「ショタっち、これがどういう意味か分かる?」


ショタ「そ、それって・・・・・・」


北上「そう、最近になって上限を引き上げなければいけない理由が出来たんだよ」


北上「カッコカリの指輪はただひとりのためだけに、改良されたんだ」



北上「既存の指輪の限界値(最高練度165)に達してしまった艦娘のためだけにね」


時雨「・・・・・・」


時雨「そういうことさ」


時雨「まあ、仮に同じ練度だったとして」


時雨「練巡と駆逐艦、対等な勝負になったかな?」ニヤ


摩耶「・・・・・・っ」ギリッ


摩耶「鳥海、アタシ今さ」


摩耶「今日イチで悔しいわ」グッ


鳥海「・・・・・・奇遇ね」


鳥海「私も同じ気持ちよ」ツー


ショタ(鳥海おねーちゃん、下唇から血が出てる)


金剛「Loserになった時の言い訳作りにしては、少々演出がflashy過ぎデスヨ」


金剛「時雨」チャキ


時雨「っ(背後から声)」バッ


海面「」シーン


時雨(一瞬香取を囮に背後を取る作戦だと思ったけど)


時雨(誰もいなくてよかt)


時雨「!?」(水面を蹴り、その場から緊急待避)バシャ


時雨(浮かんでいた香取は一体どこにっ!?)


時雨(それに、金剛はっ)


時雨(彼女の声は確実に近くから聞こえた)


時雨(だとしたら、今はどこにいるんだっ)キョロキョロ


金剛「慌てなくても大丈夫ネ。時雨」


金剛「私は不意打ちなんてしませんカラ」


時雨「っ」バッ


金剛「きっちり正面から戦って教えてあげるヨ」


金剛「駆逐艦風情が戦艦にpick a fightするとどうなるかネ」スッ


香取「・・・・・・」スースー


ショタ「香取おねーさんっ」


金剛「Never mind」


金剛「気絶して、眠ってるだねデス。後で入渠させてあげてくだサイ」


金剛「それにしても」


金剛「いつもはお姉さんぶってる香取ですが」フフッ


金剛「寝てる顔はとってもprettyネ」ツンツンッ


時雨(馬鹿、な)


時雨(僕の目を盗んで、この演習場の真ん中から)


時雨(隅の陸地まで、香取を回収して移動したっていうのか)


時雨(あり得るのか、そんなこと)


時雨(・・・・・・けれど。そうだとして。なら、金剛のスピードは)


時雨(この僕と同程度ってことだ)ギリッ


時雨「すまなかったね、金剛」


時雨「僕もやられまいと必死だったんだ」シレッ


金剛「時雨」


金剛「別に私は、怒ってるわけではありまセン」


金剛「これは対抗演習」


金剛「練習とはいえ、砲雷撃戦なのですかラ」


金剛「怪我をするのは、仕方のないコト」


金剛「それでも、もし謝るべきPersonがいるなら」


金剛「それは私たちのFightに首を突っ込んだ」


金剛「そこで気持ちよくのびている、香取のほうデース」


時雨「へえ」


時雨「流石、鬼神の金剛」


時雨「戦闘については、仲間に対してもストイックなんだね」


金剛「ノー、ノー、ノー」チッチッチッ


金剛「私はこう見えて子供っぽいんデス」


金剛「つまりね、時雨。こういうことデス」


金剛「Youが私の砲撃でとおっても痛い思いをしても」チャキ


時雨「」グッ


金剛「私は絶対、謝りませんカラッ!」ドドドドーン!!!


時雨「」ビュン


無数の水柱「」ババババ――――ンッ!!!


摩耶「っち、金剛の奴いきなりブッ放ちやがった!」ミミオサエ


鳥海(けど、時雨さんはそれを先読みして)


鳥海(着弾予想地点から一息に離脱したわ)


時雨「」ザッ


キラッ


時雨「!」バッ


無数の水柱「」ババババ――――ンッ!!!


大量の水飛沫「」パラパラパラパラッ


時雨「・・・・・・」ボロ


金剛「・・・・・・それで避けたつもりになってもらっては困りマース」


金剛「威勢の分くらいは、頑張ってくださいよネ!」ズサー


時雨(防御は間に合った)


時雨(ダメージは爆風をもらっただけ)


時雨(小破すらしてない)


時雨(まだ)グッ


時雨(やれるっ)クワッ


時雨「」ビュンッ


バシュッバシュッ ドドドドーン!!! ドンッ! ドンッ! ババババーン! ドーンッ!


鳥海「・・・・・・」ゴクッ


鳥海(・・・・・・早い)


鳥海(目で追うのがやっとだわ)


鳥海(いえ、もしかしたら第三者視点の今でさえ)


鳥海(彼女達ふたりの攻防全てを把握できていないかもしれない)


鳥海(これが歴戦の艦娘の戦い)


摩耶(おいおい、コレが戦艦と駆逐艦の戦いかよっ)


摩耶(実はどっちも島風だって言われても、アタシは信じちまうかもな)


摩耶(だいだい、駆逐艦の時雨はともかくとして)


摩耶(高速艦とはいえ、金剛のは、戦艦のしていい動きじゃねぇぞ)


ショタ「ほえー」


ショタ「どっちも早いねぇ」


ショタ「艦娘ってみんな海の上をあんなに早く動けるの?」


北上「全員ってわけじゃないけどね」


北上「鍛えれば、アレに近い動きは出来るかもね」


北上(血反吐を吐くくらいじゃ、無理だろうけど)


ショタ「あれ」


ショタ「でも、時雨おねーちゃんは今1番どの艦娘よりも練度が高いんだよね?」


ショタ「なのにどうして、ケッコンカッコカリもしてない金剛が、そのスピードについていけてるの?」


摩耶 鳥海「「!」」


摩耶「金剛のやつは、ここの提督とケッコンカッコカリしてなかったのかよっ!?」


ショタ「?」


ショタ「さっきもだけど、なんで今更驚いてるの?」キョトン


摩耶「あ」


摩耶「ああ! いや!」


摩耶「そういえばそうだったなって」


摩耶「ちょっと忘れててな」ナハハハハ


摩耶(そうだ、確かに金剛は提督とカッコカリをしてなかった)


摩耶(なら、最高でもあいつの練度は99ってことだ)


鳥海(少なくとも、60以上の練度の差)


鳥海(果たしてそれは、艦種の差だけで埋められるものなの?)


北上「・・・・・・」


北上「まあ、いろいろ理由はあるんだけどね」


北上「ねえ、ショタっち。知ってる?」


北上「高速艦と一概に言っても、実はその中でも早さにばらつきがあるんだよ」


北上「一般に、時雨改二の推定速力は36ktって言われてる。一方で金剛改二の推定速力は」


北上「30kt」


北上「時雨改二の実に5/6のスピードしか出せないんだよ」


北上「本来ならね」


北上「それに加えて、今回は練度の差が大きい」


北上「普通に考えれば、時雨がスピードと数の暴力で圧倒して」


北上「時間いっぱいまで袋叩きにされるか、その前に大破して演習終了だ」


北上「けど、そうはなってない」


北上「その理由のひとつはね、ふたりの装備だよ」


鳥海(装備?)


ショタ「装備がどうしたの?」


北上「まずは、時雨の装備に注目してごらんよ」


北上「主砲1、副砲1、魚雷1」


北上「3つある装備スロット全て使って、攻撃力をバランスよく上げている」


ショタ「・・・・・・?」


北上「これだけじゃ、まだ分かんないか」


北上「それじゃ、金剛の装備を見てみな」


ショタ「金剛の・・・・・・・」


ショタ「?」


ショタ「!」


ショタ「金剛、大砲いっこしか装備してない」


摩耶 鳥海「「!?」」


北上「そっ」


北上「金剛は、装備スロットが4つあるにもかかわらず」


北上「装備しているのは大口径主砲ひとつのみ」


北上「しかも比較的、精度のつけやすい30.5cm三連装砲をね」


北上「推定速度っていうのは、その艦娘に初期装備を持たせた時の速度なわけ」


北上「時雨は初期装備より、ひとつ装備が多くて」


北上「金剛は初期装備より、ふたつも装備が少ない」


北上「なんていったって馬力は高速戦艦が勝ってるからね」


北上「それだけでも、差が埋まる気がするでしょ?」


摩耶「なら、時雨も装備を外して身軽になれば・・・・・・」


北上「速度の優位はある程度取り戻せるだろうね、けど」


鳥海「ただでさえ戦艦を相手にするには物足りない火力を、更に落とすことになってしまう」


鳥海「決定打を与えられなければ、勝てないし」


鳥海「時間いっぱい使って粘り勝ちを狙おうにも、万が一、その間に大きなダメージを受

けてしまえば」


鳥海「形勢を覆すことは致命的、ということですね」


北上「そーいうことだねー」


北上「そして、もうひとつ」


北上「ふたりの戦力差を埋めている要因は」



北上「経験の差だよ」



ショタ「え」


ショタ「でも時雨おねーちゃんのが練度は高いんでしょ?」


ショタ「それって、経験値が金剛よりいっぱいってことでしょ?」


摩耶「アタシも、ショタと同じ意見だ」


摩耶「いくら金剛が実戦経験を積んでいるっていっても」


摩耶「それはケッコンカリ制度が出来る以前の話だ」


摩耶「それに、練度165の時雨が」


摩耶「金剛に経験の差で押されてるってのは、どうも納得できねぇ」


北上「・・・・・・鳥海もそう思う?」


鳥海「私は・・・・・・」


鳥海「北上さんの説には一理あると思います」


摩耶「あん? なんでだよ、鳥海」


鳥海「北上さんがおっしゃっているのはきっと、“量”の話ではなく」


鳥海「“質”の話だよ思うわ」


ショタ 摩耶「「量? 質? 何のこと(だ)?」」


北上 鳥海((脳みその中身が同レベル・・・・・・))


鳥海「こほん」


鳥海「つまり、“どれだけ経験しているか”ではなく」


鳥海「“1度でも経験したことがあるか”ってことよ」


鳥海「そうですよね、北上さん?」


北上「ご名答―」


北上「いやー、流石鳥海。高雄型の頭脳ポジションなことはあるね」パチパチパチパチ


鳥海「ふふ、一応褒め言葉として受け取っておきますよ」


北上「じゃあ、ショタっちと高雄型のポンコツ担当にも分かるようにこのハイパー北上様が説明してあげるとだね」


ショタ「うんうん」


摩耶「誰がポンコツ担当だよ」


北上「金剛は“自分と同じか少し素早くて、火力が自分より劣っている相手”、つまりあの時雨と同じような相手と何度も戦ったことがあるんだよ。けど」


北上「“自分と同じか少し素早さが劣っているけれど、火力が自分より遥かに上回っている相手”、まさしく今対峙している金剛のような相手と、戦ったことはあるのかって話だ」


摩耶「“速度が駆逐並みの戦艦”と“速度が戦艦並みの駆逐艦”」


摩耶「遭遇したくねえのは、どっちかって話か」ナルホド


北上「んー、ちょっと違う気がするけど大体そんな感じ-」


鳥海(戦い方を熟知しているタイプの戦闘と)


鳥海(初めて戦うようなタイプの戦闘)


鳥海(その違いもまた、あのふたりの拮抗を演出している)


鳥海(それは、確かに分かるのだけれど)チラッ


北上「・・・・・・」


鳥海(本当に、要因はそのふたつだけなのかしら)


時雨「」シューーーーーーー(艤装で水面をすべる音)


金剛「Hi、Kitty!」クルッ


金剛「私の周りをぐるぐるしてるだけでは、私には勝てませんヨー」ドドドーン


時雨「・・・・っ・・」シュン シュン


無数の水柱「」ババババ――――ンッ!!!


金剛(身体を翻しての、動きを最低限にした紙一重の回避)


金剛(よほど自分に自身を持ってなきゃImpossibleな動きネ)


金剛(これでは、バランスを崩させて隙を作るのは無理そうですネー)ドンッドンッドンッ


時雨「・・・・・・つぅ」ヒュン ヒュン


無数の水柱「」ババババ――――ンッ!!!


時雨「・・・・・・はっ」バシュッ ドンッドンッ


金剛「・・・・・・」クルッ


金剛「・・・・・・Very easy」スッ スッ


水柱「」バンッバンッ


時雨「・・・・・・」チッ


時雨(いくら背後に回っても、僕の砲雷撃に対応してくる)


時雨(なるほど)


時雨(僕程度のスピードの敵とは、目が慣れるほど交戦したことがあるってわけか)


時雨(互いの戦闘でのダメージは、最初に僕が受けたものだけ)


時雨(このまま逃げていても、僕の負け。だね)


時雨(・・・・・・そろそろかな)ズサァーーー


時雨「・・・・・・」ピタッ


金剛「・・・・・・」ピクッ


金剛(・・・・・・動きを止めた。Give upですカ? 時雨)ピタリ


金剛(いえ、アレは・・・・・・)


時雨「」ギロッ


金剛(なるほど)ニヤッ



金剛「決着をつける気ですネ、時雨」スチャッ



ショタ「ふたりとも、止まったよ」


北上「そろそろ時間だからね」チラッ


北上「これが最後の駆け引きになるよ」


時雨「・・・・・・っ」ハァハァハァ


時雨「・・・・・・世界は、広いね」ハァハァハァ


時雨「そして、狭くもある」フゥ


時雨「どの鎮守府の島風にも追いつかれない自信があったのに」


時雨「まさか僕のスピードに着いてこれる戦艦と、こんなところであうだなんてさ」


時雨「・・・・・・」


時雨「・・・・・・行くよ、金剛」チャキッ


金剛「・・・・・・」


時雨「・・・・・・」


時雨「行ってっ!」バシュ


金剛(魚雷、正面から一発)


金剛(しかも弾道が透けるほど、浅い)


時雨「」サーッ


金剛(そして自分は魚雷を追うようにして、主砲を構えたまま距離をつめる)


金剛(・・・・・・)


金剛(魚雷は明らかなブラフ)


金剛(回避行動をとろうとした瞬間に、威嚇砲撃をして)


金剛(怯んだところに全弾を叩き込む)


金剛(そう言う腹づもりデスか)


金剛(なら)


金剛(この魚雷を受けてる!)スチャ


時雨「っ」


時雨(退避しない!?)


時雨(そうかっ)


金剛(貴方の貧弱な砲撃ごと、粉砕してあげマース!)


金剛「コレでFinish!」


金剛「Burning ラ・・」



時雨「やっぱりそう来ると思ってたよ、金剛っ!」ドンッ



金剛「What!?」


金剛(まだ私は時雨の主砲の射程にはギリギリ入っていないハズ)


金剛(では、彼女は何を・・・・・・)ハッ


金剛(まさかっ!)


巨大な水柱「」バ―――ンッ!!!!


金剛(I can’t believe it!)


金剛(”自分の放った魚雷を撃ち抜いての目眩まし”デースっ!?)


金剛(そんなの初めて聞きましたヨ!)


金剛(時雨は・・・・・・right?)チラッ


金剛(それとも、Left?)チラッ


金剛(・・・・・・)


金剛(いえ、どちらもNo!)フッ


金剛「答えはBackネ!」


金剛(ギリギリまで距離を詰めず)


金剛(早い段階で魚雷を爆発させたのは)


金剛(爆発に注意を惹きつけ)


金剛(自分から視線途切れさせるためデス!)


金剛(加えて、それなら姿を左右どちらかから現すのに)


金剛(時間が掛かると思わせるコトも出来る)


金剛「最後まで私の背後を取ろうとするStrategyを変えなかった時雨、貴方の」クルッ


時雨「そう」



時雨「僕の勝ちだっ!」バシャンッ



金剛「Front!?」


金剛(最後の最後で、水柱の中を突っ切っての正面突破デスカっ!?)


時雨(そう、最初から僕の作戦は変わってない)


時雨(この正面からの突撃を成功させるための)


時雨(あの執拗な背後からの攻撃だったのさっ)


時雨(頼むよ)スチャ


金剛(まずいっ。懐に入られマシタっ)


金剛(主砲の照準はもう間に合わない)


金剛(かくなる上は・・・・・・)グググッ


北上「金剛っ!!!!」


金剛「っ」トスッ


時雨「全弾、発射」カチッ


ババババババ―――――ンッ!!!!!!!


摩耶「どうなったんだっ!?」


水蒸気「」ブシャァー


摩耶「くそっ、巻き上がった水飛沫でよく見えねぇ」


鳥海「今の攻防で制限時間よ」


鳥海「最後攻撃を回避出来ていれば、金剛の勝ち」


鳥海「逆に、小破以上のダメージを負っていれば時雨さんの・・・・・・ですけれど」

鳥海(この勝負はきっと・・・・・・)


サーッ


ショタ(水蒸気が引いて)


ショタ(視界が回復していく)


金剛「・・・・・・」


時雨「・・・・・・」


金剛「・・・・・・」


時雨「・・・・・・」


金剛「・・・・・・」


時雨「・・・・・・」


時雨「・・・・・・くっ」フラッ 


時雨「」カタヒザツキ


金剛「・・・・・・やりましたネ」


金剛「Winnerは」フッ



金剛「貴方です、時雨」ツーッ



北上「・・・・・・」


北上「戦闘終了、だよ」


《戦闘終了!》


時雨艦隊 A勝利

旗艦 時雨「・・・・・・」被害軽微 MVP


金剛艦隊 

旗艦 金剛「・・・・・・Lose」ボロボロ 中破

香取「」ボロボロ 大破


金剛「負けてしまったんでデスね私は」


摩耶「金剛!」ダッ


鳥海「金剛さんっ!」ダッ


ショタ「金剛」


ショタ(口許から血が垂れてる)


ショタ(それに、服も、偽装も)


ショタ(ボロボロだ)


金剛「ごふっ」ゲホゲホッ


金剛「」バシャンッ


金剛(本気でやりあって負けるのなんていつ以来でショウ)


金剛(しかも相手は駆逐艦)


金剛(・・・・・・)


金剛(悔しい)


金剛(悔しい、ハズなんですケド・・・・・・)


夕日「」キラキラ


金剛「Oh、雲ひとつない、真っ青なSkyデース」


金剛(久しぶりにまじまじと見た空)


金剛(・・・・・・綺麗すぎて、眩しすぎて)メモトオサエ


金剛「直視、出来ナイネー。ハハッ」グスッ


時雨「・・・・・・」


時雨「・・・・・・」クルッ


時雨「・・・・・・すまなかったね、金剛」


時雨「戦って欲しかったとはいえ、君の上官を辱めるようなことを言ってしまった」


時雨「今更かもしれないけれど、訂正するよ」


時雨「こんなに素晴らしい艦娘に慕われ、尊敬されている君の提督は」


時雨「とても、偉大な人間だとね」スッ


\コンゴーッ コンゴウサンッ シッカリシテクダサイ オイッ コンゴウッテバ/


時雨「・・・・・・」パシャ パシャ


時雨「・・・・・・」ポタポタ


時雨「・・・・・・」テクテク


北上「お疲れ」


北上「時雨」


時雨「・・・・・・」ピタッ


時雨「・・・・・・君も金剛のところに行ってあげるといい」


時雨「練度が遥かの相手に」


時雨「久々の実践で、あれだけの勝負をしたんだから」


北上「そりゃ、金剛も凄かったけどね」


北上「あんたも凄いよ」


北上「さっきも、今も」


時雨「・・・・・・素直に受け取っておくよ」フッ


時雨「じゃあ、僕は失礼するね」


北上「時雨」


北上「お風呂(入渠ドック)、準備出来てるから」


北上「落ち着いたら、入りにいきなー」


北上「じゃあ、また後でー」ヒラヒラ


時雨「・・・・・・ありがとう、恩に着るよ」


時雨「さっきも、今もね」テクテク


ショタ「ねえ、北上」テトテト


ショタ「今、時雨になんて耳打ちしてたの?」


北上「んー? 別にー」


北上「くだらないコトについてだよ」


ショタ「くだらいこと?」


北上「そっ」


北上(女のプライドっていう、くだらなくて、ちっぽけなモノの話よ)


―ヒトゴーサンマル 工廠裏―


時雨「・・・・・・・」


時雨「このあたりで、大丈夫かな」


時雨「うっ」カベニヨリカカリ


オェェェェーーーーェッ ビチャビチャ


時雨「」ハァハァ


時雨(・・・・・・あの時)


『北上「金剛っ!!!!」


金剛「っ」トスッ』


時雨(最後に腹部に触れた、金剛の拳)


時雨(北上の声がなければ僕は・・・・・・)サスッ


時雨「うっ、つぅ」ズキッ


時雨(寸前で威力を抑えてこのダメージ)


時雨(“外側”は無事でも,“内側”はぐちゃぐちゃだ)


時雨(しかも、僕のゼロ距離の砲雷撃を受けて中破)


時雨(ケッコン艦の武蔵すら大破にしたっていうのにさ・・・・・・)シャガミ


時雨「ほんと、・・・・・・この世界は、イヤになる、よ」カクッ


時雨「」


時雨「」スゥスゥ


ザッ


大佐「・・・・・・」


大佐「・・・・・・ご苦労だったな、時雨」ダキアゲ


大佐「それでこそ、私の秘書艦であり初期艦だ」


大佐「練度も、ひとつ上がったか」


大佐(最近は練度をひとつ上げるのにも、数ヶ月は掛かっていたのだがな)


大佐(それにしても、あの金剛)


大佐(本当に、“艤装がない方が強い”とは)フッ


大佐「・・・・・・だからこそ。惜しいな、実に」


ザッザッザッ


《対抗演習 成果》

摩耶 練度5→練度17

鳥海 練度5→練度18

北上 練度117→練度120

香取 練度140→練度141

金剛 練度上昇なし


時雨 練度165→練度166


―フタフタマルマル 司令室―


提督「さて、君達が司令室に呼ばれた理由は分かるか?」


提督「答えられるものは挙手したまえ」


金剛「えへへ~」(入渠済み、高速修復材投入)

摩耶「ええと」(疲労抜きのため、1時間の入渠済み)

鳥海「・・・・・・はぁ」(疲労抜きのため、1時間入渠済み)

香取「・・・・・・」(入渠済み、高速修復材投入)

北上「んー?」(疲労抜きのため、1時間の入渠済み)


金剛「テートクゥー」ダキッ


金剛「怒っちゃNoだヨー」スリスリスリスリッ


摩耶(金剛が提督に抱きついて)


鳥海(顔に胸を押し当てて)


香取(頭に頬ずり・・・・・・)


北上(ショタっちが居なくて良かったねー)


提督「・・・・・・」


提督「まずは、摩耶、鳥海」


摩耶「お、おう(そのまましゃべりだすのか・・・・・)」


鳥海「は、はい(なんだか凄い絵面ですね・・・・・・・)」


提督「私は、今日は休めと言ったはずだ」


提督「なのに何故演習場に向かった?」


北上「あー、それはさ。提督」


北上「あたしが誘ったんだよ」


北上「なんでも、すぐにこの鎮守府の戦力になりたいらしくてさ」ニヤリ


提督「・・・・・・ほう」


提督「なるほど、それは実に結構なことだ」


摩耶 鳥海「「」」ビクッ


摩耶 鳥海((お、悪寒が・・・・・・))ブルッ


提督「続いて、北上」


北上「はいはい、北上さんでーす」キョシュ


提督「演習中に甲標的と魚雷装備を着脱して」


提督「海中に落としたそうだな」


摩耶(あ、やっぱりあれって)


鳥海(やっちゃダメなんだ)


北上「ちゃんと回収はしたよー?」


提督「潮風や海水の飛沫ですら」


提督「小まめな整備の必要な」


提督「ただでさえ繊細な艤装を」


提督「海水漬けにして」


提督「回収しただけで、まともに使えると思っているのか?」ギロッ


北上「・・・・・・」


北上「・・・・・・てへ☆」ペロッ


提督「・・・・・・よし」


提督「可愛いから、許そう」


摩耶 鳥海「「ええっ!?」」ガビーン


提督「とでも、言うと思ったかっ」クワッ


北上「ええっ!?」ガガビーン


香取「・・・・・・当たり前でしょう」ハァー


金剛「むしろ何でそれで許されると思ったですカ・・・・・・」ヤレヤレ


摩耶 鳥海((それをあんた(あなた)が言うの(言うんです)か・・・・・・))


提督「それを君が言うのか、金剛」


金剛「Oh! ナイスツッコミ! 提督!」ギュ


提督(息が、苦しい・・・・・・)ムゴッ


香取「・・・・・」


香取「・・・・・・提督、私は」


提督「香取」


提督「私は、練巡としての君の仕事を十二分に評価している」


提督「だが、今回のような無茶なマネは今後控えてくれ」


提督「いいね?」


香取「練習巡洋艦の私では、いくら練度を上げたところで駆逐艦にすら勝てないと?」


香取「演習と練習遠洋航海の監督だけこなしていれば良いと、そうおっしゃりたいんですか?」


提督「香取、君は我が鎮守府の貴重な戦力だ」


提督「時が来れば、君にもまた戦場で戦ってもらうことになる」


提督「だから今は、今君に課せられた任務に全力を傾けて欲しい」


提督「私の期待に応えようとしてくれるのなら」


提督「自らの使命に支障をきたすような行動は慎んでくれ」


香取「・・・・・・」


香取「・・・・・・分かりました」


提督「さて」


提督「各々、自分の犯した過ちは重々理解してくれていると思う」


提督「私としては、反省し、同じ失敗を繰りかえさないように努めてくれればそれだけで十分なのだが・・・・・・」


提督「それでは他の者に示しがつかないというのも、また事実」


提督「そこで、だ」


提督「摩耶、鳥海、北上、香取」



提督「君達には明日、例の輸送任務を行ってもらう」



つづく


 


後書き

このSSは、他サイトでも投稿しているものを少し手直ししたものです。

他のサイトの方が今の段階で進みが早いので、もし教えて欲しいという方がいらっしゃれば、どこかにURLを貼っておきます。

2023/11/5 続きはこちらにちょっとだけあります(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10384707)
     最近書けてなくてすみません。サイトはちょくちょく見に来てたりします……


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NRHRさんから
2021-05-31 04:52:40

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2018-12-14 18:38:22

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2018-12-10 22:27:37

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2018-12-13 01:16:27

SS好きの名無しさんから
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このSSへのコメント

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1: SS好きの名無しさん 2018-12-10 22:32:26 ID: S:U5MS68

北上『ヲ級の帽子かレ級のフードをお土産で持ってきてあげるよ。』

ビリー提督の鎮守府

無慈悲な海の魔女の異名を持つ『北上』

レ級とサシで勝負しても勝てるぐらい強い。

2: SS好きの名無しさん 2023-10-19 20:56:48 ID: S:qVurRL

他サイトのURL教えてplease

3: kure 2023-11-05 20:46:15 ID: S:Sm6euT

→2さん
後書きにURLを載せておきました。
よろしければご確認ください。

4: SS好きの名無しさん 2023-11-25 19:07:31 ID: S:qsKnP7

Спасибо


このSSへのオススメ

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1: SS好きの名無しさん 2018-12-10 22:30:21 ID: S:B-dQ81

映画『ワーテルロー』

ある🇬🇧イギリス軍士官、恋人にフランス🇫🇷軍甲騎兵のヘルメットを『お土産』にすると言ったが、ワーテルローで戦死した。

戦場に赴く人間が『お土産』云々を口にするのは不吉であり、艦娘『も』例外ではない。


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