隼鷹「酒は」摩耶「飲んでも」比叡「飲まれる」明石「な!」元帥「同棲編だ」
飲み会の次の日にハーレムが完成していた提督の話
―某早朝 ヤマトホテルの一室―
提督「Zzz・・・・・・」
提督「」ムクリ
提督「ふわぁ~」
提督(・・・・・・頭痛ぇ)ズキズキ
提督「」ポリポリ
提督(どこだここ)キョロキョロ
提督「自分の部屋、どころか鎮守府でもないな・・・・・・どこかのホテル?」
提督「・・・・・・ええっと」
提督(昨日は確か、飲み仲間の元帥殿と艦娘を引き連れて飲み屋を色々はしごして、最後にウチの鳳翔のとこで飲んでそれから・・・・・・)
提督「んっ」ブルッ
提督「寒い」
提督(あれ?)ゴソゴソッ
提督「・・・・・・なんで俺裸?」
モゾッ
提督「っ」ビクッ
提督「・・・・・・ま、まさか」トナリチラッ
もっこりした掛け布団「」モゾモゾ
提督「・・・・・・や」
提督(ヤっちまったぁ~っあ“あ”あ“!!!)
提督(酔いに任せて完全に提督と艦娘の身体の防衛ライン突破しちゃってるじゃねーかっ!!!)
提督(え、マジ? マジで? マジでか??)
提督「・・・・・・(真顔)」スッ
提督「ふー」
提督「・・・・・・」
提督「・・・・・・」チラッ
もっこりした掛け布団「」
提督(何度見ても同じだった・・・・・・)
提督(まてまてまてまて、落ち着け提督)
提督(落ち着け、落ち着いて事の経緯を思い出すんだ)
提督(・・・・・・)
提督(何にも思い出せねぇ・・・・・・)アタマカカエ
提督(くそ、二次会の途中から記憶がねぇ・・・・・・)
提督(辛うじて参加者の顔ぐらいは覚えてるが、会話なんかはさっぱりだ・・・・・・)
提督(酒癖が悪い自覚はあったが、まさかこんなことになっちまうとは)
提督(秘書艦の苦言にも耳を傾けるべきだったか)
提督(『うるせえ、小言いう暇があったらその備え付けのまな板でつまめるものでも作って出せよw つまむくらいしかないだけに、なんつってw(泥酔)』なんてバカにして悪かったな、RJ)
提督(起こってしまったことはしょうがないと腹をくくるにして、問題は・・・・・・)チラッ
もっこりした掛け布団「」
提督(これが一体誰かと言うことだ・・・・・・)
提督(昨日は俺と元帥の鎮守府の交流会、という名目で月1回行われている飲み会だった)
提督(参加者も特に代わり映えはなかった)
提督(俺の鎮守府からは、俺と妙高型や軽空母の酒好きの奴らと大淀や明石なんかの特務艦)
提督(元帥の鎮守府からは、元帥と高雄型、金剛型だったか)
提督(・・・・・・可能性としては金剛か榛名、愛宕あたりか)
提督(ウチの奴らは単なる酒好きだからアレだとして、高雄型と金剛型には酒好きのイメージはないしな・・・・・・)
提督(俺と元帥は気心知れてる仲なのは周知の事実だし、接待というわけではないから無理にきているというわけでもないだろう。しかも毎
回)
提督(というか金剛とか愛宕とかいっつも俺の隣キープしてくるし、ボディータッチもやたら多いし・・・・・・)
提督(それともまさか足柄に喰われた・・・・・・)
提督(いや、それはないな)
提督(だったらカツカレーの匂いするはずだし)スンスン
提督「・・・・・・うん」
提督(夜の素人提督からの昇進の瞬間を覚えてないのは残ねn・・・・・・相手に申し訳ない気持ちでいっぱいだが)
提督(俺も日本男児だ。関係を持った以上は、誰であろうと生涯責任を持ってケッコンカッコガチをしてやろうじゃないか)
提督(なあに、あの場にいたどの艦娘もみんないい娘だ。きっといい家庭を築けるはz)ピラッ
元帥「うーん」スヤスヤ
提督「」ガバッ
提督「・・・・・・」サー(血の気が引く音)
提督「・・・・・・」
提督「・・・・・・」ピラッ
元帥「ううん・・・・・・んっ♡」ピクッ
提督「・・・・・・げ」
提督(元帥かよぉ~!!!)
―ヤマトホテル 路地裏―
提督「おろろろろろ」ビチャビチャ
提督「うっぷ・・・・・・マジかよ」ゼェゼェ
提督「元帥の艦娘に手を出してしまったどころか、まさかの元帥本人だったとは」
提督「元帥の娘じゃなくて、元帥の息子だったとは」
提督「・・・・・・次どんな顔して会えばいいんだよ」
提督「“あ、どうもっす。息子さん、相変わらずご活躍なされておいでですすかな? 特にや・せ・ん、で♪”ってか!? 俺の息子がPTSD発症して一生元気にならなかったらどうするつもりだバカヤロー!!」
提督「・・・・・・ばかやろぅ」ハラリ
提督「だが、一応手は打った」
提督「元帥も俺同様酒癖が悪い。おまけに飲み過ぎた夜の記憶も飛ぶタイプ」
提督「俺同様、昨夜の過ちは覚えておるまい」
提督「仮に俺の顔がちらついたとしても、“ホテル代はたてかえておきました。思い出したらお金返して責任とってくださいね。あなたの愛する艦娘より♡”という旨の置き手紙をしてきた」
提督「あの手紙があれば、真実に近づこうとも“まさかな・・・・・・”となるに違いない」
提督「ふう、冗談で習っていた“女子力高いボールペン通信講座”がこんなところでいきるとはな」ハハハ
提督「・・・・・・」
提督「・・・・・・帰ろう鎮守府に」
提督「帰ればまた戻れるかな(ノンケに)」トオイメ
―昼前 鎮守府廊下―
提督「はぁ」
提督「一応、部屋に戻って着替えとシャワーはしてきたが・・・・・・」
提督(こんな時間だし朝帰りだとバレてるだろうな、どんな言い訳をすればいいのか)
提督「・・・・・・汚れっちまった悲しみに~」ボソボソ
ドンッ
???「きゃっ」
提督「おっと」
パシッ
提督「大丈夫・・・・・・ですか」
提督(一瞬にして、俺は目を奪われた)
提督(なびく淡紫色の長髪の艶やかさに)
提督(アメジストの輝きを閉じ込めたような濡れた瞳に)
???「ええ、大丈夫です」
???「ありがとうございます」ニッ
提督「っ」
提督「いえっ、御礼を言われるほどでは」
???「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
提督(綺麗な人だなぁ)ポー
???「あの、手を」
提督「あ、ああっ。すいません」バッ
???「あっ」
提督「え?」
???「いえ、何でもないです」
???(自分で言っておいて、名残惜しくなったなんて言えないです」
提督「そ、そうですか///」
提督(途中から声に出てるんだよなぁ、この人///)
提督「・・・・・・」
???「・・・・・・」ジ-
提督「・・・・・・?」
???「・・・・・・」ジーッ
提督(・・・・・・気まずい)
提督(この美人さん、さっきからじっと俺の顔を覗き込んでくるんだが)
提督「あの、俺の顔になにか?」
???「い、いえ・・・・・・すみません。いつも通りですよ」
???「いつも通りカッコいいな、と思いまして///」カァ
提督「そ、そんなことはっ」テレッ
提督(こんな美人さんにそんなこと言われると悪い気は・・・・・・ん、いつも通り?)
提督「えっと、失礼ですが以前どこかで会ったことが?」
提督(赤を基調とした服に、真っ白な外套という上品な装い)
提督(言われてみれば、どこかでみた気がしなくもないが・・・・・・)ウーン
???「えっ」キョトン
提督(しまった。気を悪くさせてしまったか)
???「・・・・・・ふっ」
???「うふふふ」
提督「?」
???「おかしな事をおっしゃるのね、提督」
???「以前もなにも、毎日会っているじゃないですか」
提督「えっ」
???「昨日もお会いしましたよ。それどころか・・・・・・」
飛鷹「あっ! 提督いた!」
提督「おお、飛鷹か」
飛鷹「探しましたよ、提督。今朝鎮守府にいませんでしたよね・・・・・・どこに行ってらしたんですか?」
提督「」ギクッ
提督(こいつ、掘り返されたくないことを真っ先に)
提督「いやぁ、昨日飲み過ぎてな。酔い覚ましにちょっと散歩に」アセアセ
飛鷹「随分遠くまでお散歩していたのね」ジト-
提督「いやぁ」メソラシ
???「飛鷹」
飛鷹「ああ、あなたの方が先に提督捕まえてたのね」
???「う、うん。探すの手伝ってくれてありがとう」
飛鷹「どういたしまして・・・・・・って、やっぱり慣れないわね。あなたのそういうの」
飛鷹「ちゃんと話はできたの?」
???「それは・・・・・・まだこれから」
飛鷹「じゃあ早く言いなさいな。ちゃんと言質とっておかないとはぐらかすんだからこの人」
提督「飛鷹も知り合いなのか、このお嬢さんと」
飛鷹「・・・・・・」
飛鷹「は?」
飛鷹「提督、本気で言ってますか?」
提督(飛鷹のこの反応、部外者はこんなに堂々と鎮守府内歩けないだろうし、元帥関係の人かと思ってたんだが、当てが外れたか・・・・・・)
提督「えっと、すまん」
飛鷹「・・・・・・はぁ」
飛鷹「まあここまで雰囲気変わってたら分からなくても無理ないか」
飛鷹「姉妹艦の私ですら、今朝からまだ慣れないし」
提督「へー、この人姉妹艦なのか・・・・・・姉妹艦っ!?」バッ
提督「もしかしてお前、隼鷹!?」
隼鷹「う、うん///」
提督「ええええ~~~っ!?!?!?」
提督(だ、だって隼鷹ってあれだろ!?)
提督(いっつも『ひゃっはー』言ってるただの呑兵衛だろ!? それがいくら元は客船だといえ)
隼鷹「・・・・・・・?」シャラララ-ン
提督(一晩でこんな清楚なお嬢さんになるなんて信じられん)
隼鷹「・・・・・・それでさ、提督」
隼鷹「どうかな?」
提督「ど、どうって?」
隼鷹「あたし、提督好みの女性になってるかな。なんて///」
提督「」
飛鷹「どうなんですか?」
提督「そ、そりゃ」ポリポリ
提督(中身が隼鷹だと知ってもドキドキするぐらいには・・・・・・な)
隼鷹「////」
提督「////」
飛鷹「ふふっ。提督ってば満更でもないみたい・・・・・・よかったわね、隼鷹」ニコッ
隼鷹「・・・・・・」コクン
提督「かわいい(かわいい)」
飛鷹「はぐらかされないか心配だったけど、これなら話が早そうね」
飛鷹「それじゃあ提督、日取りはどうしましょうか?」
提督「は、日取り?」
飛鷹「だから、式の日取りよ。あと、あれね。旅行先とかもかしら」
提督「式って、観艦式のことか? 近いうちにあったっけ?」
提督「慰安旅行の日程は・・・・・・俺の一存じゃなぁ」
提督(ところでなんで今その話を?)
飛鷹「なにすっとぼけてのよ」
飛鷹「結婚式と新婚旅行の日取りに決まってるでしょ?」
提督「ファ?!」
提督(何を言いだしやがるのだ、この軽空母っ)
提督(お、落ち着け。ここはまずクールに対応だ)
提督「だだだだ、誰とだだだ誰のだだだだよ!?」
飛鷹「誰と誰のって・・・・・・提督が一番分かってるでしょ?」
提督(ままま、まさか俺と元帥の関係を知って・・・・・・いや、まだそうと決まったわけじゃ・・・・・・)
飛鷹「昨日のは一時の過ちとはいえ、もちろん誠実な対応をするのよね?」
提督「」
提督(完全にバレてるぅ~!!)
提督「も、餅つけ飛鷹。まずは餅をつくんだ飛鷹」
飛鷹「落ち着くのは提督の方でしょ」
飛鷹「なによ、餅つけって。そっちこそ話をこね回すのをやめなさい」
提督「いやだがしかし、ちゃんと考えてもみろ。上司と部下で結婚なんてそんな……」
飛鷹「あら、愛の前にそんなもの些細な障害でしょ?」
提督「そもそも俺なんか釣り合わないよ」
飛鷹「貴方はひとつの鎮守府を支えているのよ。もっと自信を持ちなさい」
提督「組織が祝福してくれるかどうか」
飛鷹「戦力強化の道具にケッコンカッコカリなんて浮ついた名前をつけてる組織だもの。きっと諸手を挙げて祝福してくださると思うわ」
提督「いやいや」
飛鷹「いやいやいや」
提督「いやいやいやいや」
飛鷹「いやいやいやいやいや」
提督「だからって性別の壁は越えられないだろっ」
提督「日本じゃ同性の結婚は認められてないんだぞ!?」
飛鷹「・・・・・・あのさぁ」
飛鷹「提督はさっきから誰の話をしてるの?」
飛鷹「私が言ってるのは提督と隼鷹の話よ」
提督「そうだよ、だから俺と元s……え?」
提督「俺と隼鷹?」
提督(なんでそんな話に・・・・・・ま、まさか)ハッ
提督「隼鷹、もしや俺はお前と」チラッ
隼鷹「・・・・・・っ」
隼鷹「うん」
隼鷹「私、初めてだったんだ///」
提督「」
隼鷹「こういうの、その・・・・・・よくわからないんだけどさ。お酒の勢いだったし」
隼鷹「けど提督とだったら、悪くないかなって」
隼鷹「ふつつか者ですがよろしくお願いします」ペコリ
飛鷹「て・い・と・く?」
飛鷹「責任、もちろんとってくださいますよね?」ニコッ
提督「」(白目)
―鎮守府 食堂―
ガヤガヤ
提督「・・・・・・」
提督(くそっ、どうなってるんだ)
提督(何をヤッているんだ、昨日の俺)
提督(まさか元帥だけじゃなく、隼鷹にまで)
提督(いや、隼鷹はともかく元帥については本当に頭おかしいんだけど)
提督(何をどうやったら、そんな状況になるんだよ・・・・・・)
間宮「あ、提督さん。こんにちは」
提督「ああ、間宮さん。どうも」
間宮「あら? 顔色が優れないようですけど」
間宮「昨日もお酒を?」
提督「・・・・・・ええ、飲み過ぎてしまったみたいで」
間宮「お酒だけだとすぐに酔いが回ってしまいますからね。少しでも食事をとりながらの方がいいですよ?」
提督「むしろ今回のはどうも食い合わせが悪かったみたいで、胃が痛いんです。ははは」
提督「・・・・・・きつねうどんいただけますか?」
提督「あっさりしたものが食べたくて」
間宮「承知しました」
ガラガラ ストンッ
提督「ふう、今日は比較的空いててよかった」
提督(まあ、昼休みも後半だしな。遠征・出撃組以外はもう食べ終わってる時間だ)
提督(普段賑わっている食堂の4人掛けのテーブル席を独り占めできるというのは、少し贅沢な気分だな)
提督「」グゥ
提督(腹が減っていては妙案も浮かんでこないというもの)
提督「いただきます」パキッ
鳥海「ここ、よろしいですか?」
提督「んあ?」
提督「おお、元帥のトコの鳥海か」
鳥海「はい。昨日はどうも」
提督「ああ、こちらこそ」
提督「それと……」チラッ
摩耶「……」ササッ
提督(摩耶も一緒だったのか)
提督(でもなんだか、今日はいやによそよそしいな)
提督(摩耶とは結構ウマが合うと思ってたんだけどな。ノリもいいし)
提督「よう、摩耶。お前は二日酔いとか大丈夫だったか?」
摩耶「・・・・・・」
提督「あー、うん」
提督(飲み会の度に俺の近くに座ってきて懐いてくれてて、従妹みたいに思ってたんだけど)
提督(まあ、艦娘とはいえ年頃だもんな・・・・・・もうすぐ俺も30だし、オッサンに片足突っ込んでる男と一緒に近づきたくないと思い始めても仕方ないか)
提督(寂しくはあるけどな)トホホ
鳥海「それで司令官さん、お邪魔しても?」
提督「あ、ああっ」
提督「どうぞ、座ってくれ」
鳥海「それでは失礼して」がらがら
提督(鳥海は椅子を引いて,俺の正面に座った。そして摩耶は当然の如く一番俺からt)
摩耶「隣、邪魔するぜ」
提督「・・・・・・は?」
提督(なんでコイツ、隣に座ってきてるの?)
提督(俺にイヤイヤ期なんじゃないの??)
鳥海「どうかなさいました?」
提督「いやぁ」
提督「摩耶が隣に座ってきたから、ちょっと驚いてな」ハハハ
摩耶「っ」
摩耶「・・・・・・んだよ」
摩耶「あたしが隣に座っちゃ悪かったのかよ」ギロッ
提督「」ビクッ
提督「びっくりしただけだよ、びっくりしただけ」
提督「摩耶みたいな、可愛い子が隣に座ってきてドキッとしただけだ。嫌なんてあるわけないじゃないか」
摩耶「っ」
摩耶「////」
摩耶「ばかっ、なに小っ恥ずかしいコト口走ってんだよっ」ゲシッ
提督「い“て”っ」ドゴッ
提督「な、殴るなよ(ちょっと艦娘がちょっと小突くでも、生身の人間には結構痛いんだぞ)」
鳥海「ふふ、お熱いですね~」ニヤニヤ
提督「君には今のやりとりがそんな風に見えたかのか? 鳥海」
鳥海「見えました」キリッ
提督「・・・・・・そうかい」
提督(鳥海は姉妹の中ではいわゆる“恋愛脳”から一番遠いと思っていたんだがな)
提督(やっぱり愛宕の妹だな)
提督(さて、うどんうどんと)スッ
スカッ
提督「ん?」
提督(あれ、俺のうどんは?)
提督(さっきまで目の前にあったのn)
鳥海「」チュルチュルチュル
提督「」
提督(ちょ)
提督(鳥海ェ……)
提督「あの、鳥海さん?」
鳥海「ほふ?(はい?)」
提督「おうどん、美味しいですか?」
鳥海「ほふ(はい)」
提督「でもおうどんは、俺のですよね?」
鳥海「ほふ(はい)」
提督「いや、ほふじゃないよね。何勝手に喰ってんの?」
提督「鳶にお揚げをさらわれるどころの話じゃないんだけど。鳥海にどんぶりごとかっ攫われてんだけど。あなたの前世海賊かなにか?」
鳥海「? 軍艦ですが?」
提督「そうだった」ガビーン
提督「これは一本取られたなぁ」
鳥海「ふふ、いっぱい食わせてやりました」
提督「ははは」
提督(いや、一杯食われてんのは現在進行形で俺なんだけど?!)
提督(麺一本以外全部取られてんだけど!?)
ツンツン
提督「ん?」チラッ
摩耶「……」
提督「何だ、摩耶」
摩耶「……」
提督「……?」
提督(黙ってちゃ分からないんだが)
摩耶「……ほらよ」スッ
提督(俺はぶっきらぼうに摩耶が差し出した紅藤色の包みを受け取る)
提督「これは弁当?」
提督「俺にか?」
摩耶「他に誰が居んだよ」
鳥海「……」ニヤニヤ
提督「ありがとう、いただくよ」
摩耶「」コクン
提督「じゃあ早速」ピラッ
提督(小さめなピンクの楕円形の弁当箱)
提督(少し摩耶に似つかわしくないが、姉妹が選んだものだろうか)
提督(そして中身はというと)パカッ
提督(卵焼きに唐揚げにタコさんウインナー……)
提督(弁当の基本をしっかり抑えつつ)
提督(弁当の右半分、本来白米が占める部分を俺の好きなオムライスにしてあるというサプライズ)
提督(策士っ、摩耶の弁当の裏には策士が居る)
鳥海「」クイッ
提督(まあ、ケチャップで♡が描かれてるのは、若干あざとすぎる感もあるが)
提督(なにはともあれ)
提督「とっても美味しそうだ」
提督「ありがとう摩耶」ニカッ
摩耶「っ」
鳥海「よかったわね。摩耶」ニコニコ
摩耶「べっ、別に///」プイッ
提督 鳥海「「かわいい(かわいい)」」
提督「それじゃあ、一口目」
提督(まずはタコさんウインナーからいただきm)
バキッ
提督「あの、摩耶さん?」
提督「割り箸折られたら食べられないんですけど?」
摩耶「……えんだよ」
提督「え?」
摩耶「食べさせてやるから、どれが食いてぇか言えってんだよ!」クワッ
提督「ファッ」
提督「……」チラッ
鳥海「」ニコニコ
提督(おのれ鳥海、お前の仕業か)
提督「……じゃ、じゃあタコさんウインナーでお願いします」
摩耶「タコさんウインナーだな、よし」
摩耶「」スッ
摩耶「ほ、ほらっ。口開けろよ」プルプル
摩耶「あーん」
提督「……」
提督(緊張と恥ずかしさで顔を真っ赤にさせつつも、“あーん”まで言ってくれる摩耶さまかわいい)
提督「あーん」パクッ
提督「」モゴモゴ ゴクン
提督「うん。おいしいよ、摩耶」
摩耶「ほ、本当か?」
提督「ああ、勿論。毎日食べたいくらいだ」
摩耶「」パァ
摩耶「そ、そっか」
摩耶「じゃ、じゃあ。明日も作ってきてやるよ」
提督(へ?)
提督「それは嬉しいけど……流石に任務の間に毎日弁当を作るのは大変だろう?」
提督「それに摩耶は元帥のトコの所属だし、昼休みの間だけじゃ受け渡しも」
提督(あれ、そういえばこいつらどうしてウチの鎮守府にいるんだ?)
提督(演習とかあったっけ?)
鳥海「そういうことなら、私にいい考えがありますよ。司令官さん」
鳥海「司令官さんが、摩耶と同棲すればいいんです」
提督「……言ってる意味がよく分からないんだが?」
鳥海「同棲、男女が一緒に暮らすこと。特に正式に結婚していない男女がひとつの家に住むこと」
提督「いや、言葉の意味を聞いたんじゃないんだが」
提督(というかこの流れ、もしかしなくても……)チラッ
摩耶「////」ポフンッ
提督「」
提督(やっぱり……摩耶もなのか)シロメ
提督「ど、同棲の話については考えておくよ。すぐ決められることじゃないからな」ハハハ
提督「それじゃあ俺は午後の業務があるから、貰った弁当は執務室で食べることにするよ」
グッ
摩耶「……」
提督「……まだなにか?」
摩耶「……」
提督「……」
摩耶「昨日、べろべろに酔った提督が口説いてきて、いつものように「なんだこの酔っ払いだなんて」軽口叩いてたけど」
摩耶「ホントは少し嬉しかったんだ。冗談でも提督に求められてさ」
摩耶「まさかいくとこまでいくとは思ってなかったけどさ」ハハ
摩耶「……あの時はさ、アタシも酔ってたけど」
摩耶「提督に対する、この胸のときめきはお酒のせいじゃ絶対にないから」
摩耶「」スーハー
摩耶「一目見たときから、ずっと前から好きでした」
摩耶「今は全然女の子っぽくない、あたしだけど。これからはもうちょっとその……可愛い女の子になれるように頑張るから」
摩耶「だから提督の……貴方のお嫁さんにして下さいっ」
ザワザワ
ナニアレコクハク?
アオバミチャイマシタ
提督(マズい、普段より人が少ないとはいえ少し目立ちすぎた)
提督(早々に立ち去らなけれb)スッ
ガシッ
鳥海「司令官さん」
鳥海「摩耶が勇気を振り絞った告白」
鳥海「妹という立場は勿論ありますが、司令官さんご自身の気持ちを一番に尊重したいと思っています。ただ」
鳥海「昨日のご自分の言動も踏まえて、誠意あるお返事をお願いしますね」
鳥海「ところで、話は変わりますが」
鳥海「先日私もついに練度99に到達しまして、今度元帥からカッコカリの指輪を頂く予定なんです」フフ
鳥海「摩耶は少し着任が私達より遅かったのでもう少し掛かりそうなんですけどね」
鳥海「だからと言うわけではないんですが。私も貰ったばかりの指輪を汚したくはないので」
鳥海「摩耶のことをどうかよろしくお願いします、ね」ニコッ
提督「」
―昼食後 司令室―
提督「……」
提督(摩耶もかぁ)ズーン
提督(愛宕や高雄ならそういうのもあり得るかと思っていたが、まさか摩耶とそういう関係になるとは……)
提督(話は合うなぁ、とは思ってたけど。妹みたいな感じだったから)
摩耶『ずっと前から好きでした』
提督(まあ、悪い気はしないよなぁ)
提督(弁当も美味しかったし)
隼鷹『ふつつか者ですがよろしくお願いします』
提督「……ホント、どうすんのよ俺」ハァ
提督(飛鷹も鳥海も怖かったなぁ)
コンコン
提督「……」
提督「どうぞー」
金剛「失礼するデース!」バンッ
金剛「ハーイ提督~、昨日ぶりデースっ」
提督「おう。元帥のトコの金剛か」
金剛「シスターたちもいるデスヨ」
榛名「提督さん、こんにちは」ペコッ
霧島「お邪魔しております」ペコッ
提督「そんなかしこまらなくていいよ」
提督「それでなにかご用かな?」
榛名「はい、演習の結果の報告とお風呂をお借りした御礼をと思い、伺いました」
霧島「高速修復材もいただきました。ありがとうございました」
提督(……あー)
提督(そういえば今日演習を組んでたんだっけ)
提督(今朝からドタバタしてて忘れてたな)
提督(……)
提督「」チラッ
榛名「?」キョトン
金剛「んー?」カシゲ
金剛「提督サンどうしたんデス?」
金剛「挙動が不審ですヨ」
提督「……金剛榛名、つかぬ事を聞くが」タラリ
提督(“昨日俺と何かあったか?”なんて尋ね方をしたら何もなかったときに不審がられるからな)
提督(ここはそれとなく聞くことにしよう)
提督「昨日は飲み会の後、ちゃんとまっすぐ家まで帰れたか?」
金剛「……」
榛名「……」
提督(この沈黙はまさか)
金剛「……提督」
提督「っ」ギクッ
金剛「私達が女の子だからって心配してくれたデスカ? 提督はジェントルマンネー」
榛名「はい。昨日一次会で解散した私達は何事もなく寮の方に戻りましたよ」
霧島「まあ、悪漢に遭遇したところで、艤装がないとはいえ生身の人間に私達が負けるとは思いませんが」メガネクイ
金剛「こら霧島~、慢心はNoネー」
提督(ほっ)
提督(どうやら金剛型とは何もなかったようだな)
提督(これ以上昨日の飲んだくれた俺に振り回されるのはこりごりだ)
提督「そ、それなら良いんだ」
提督「演習ご苦労様。報告が終わったら間宮ででもゆっくりしていってくれ。えっと」
提督(この辺にたしか間宮券が……)ゴソゴソ
金剛「オウ、報告で思い出しましタ!」
金剛「演習の報告ですけど、折角ですし紅茶でも飲みながらゆっくりしないデース?」
提督「お茶か……」
提督(朝から落ち着く暇もなかったからな。心身共にへとへとだ)
提督(それに正直、仕事が手につかない)
提督「そうだな。ではお言葉に甘えようかな」
金剛「そうこなくっちゃデース!」ペカー
榛名「榛名、感激です」パァ
霧島「まあ計算通りですね」スチャ
金剛「じゃあ10分後、中庭に来て下さいネー」
提督「ん、今日は外でお茶するのか?」
金剛「今日は天気がベリーグットですからネー」
霧島「今日は天気が良いので、外でお茶とお菓子を楽しもうという趣向です」ニコニコ
榛名「いつも執務室にいらっしゃるので、せめてお茶の時間だけでもお日様を浴びていただこうと思いまして」ニカニカ
霧島「屋内に引きこもってばかりいては、気持ちが鬱屈してしまいますからね」スチャスチャ
提督「……お前達」
3人「「「それではお待ちしてるデース(してます)」」」
ガチャ バタン
提督(……)
提督(余所の提督だというのに、あそこまで気を遣ってくれるなんて)ジーン
提督「ああ……金剛型とケッコンしたい」
―中庭 薔薇庭園―
提督「おーい、来たぞー」
提督「金剛~、榛名~、霧島~」キョロキョロ
提督「……」
提督(中庭に着いてから数分)
提督(出迎えもないどころか、誰の気配もない)
提督(というか、中庭ってこんなだったっけ?)
提督(いけどもいけども生け垣ばかり)
提督(なんかいつの間にか大富豪の屋敷庭園みたいになってるんだけど。もはや迷路だよ迷路)
提督(……あとで明石にお説教だな)
提督「ん」
提督(適当に歩いてたら開けたことこに着いた)
提督(数メートル四方の短く刈り揃えられた芝生、その中央にポツンと白い建物)
提督(凝った彫刻が成された数本の柱に、同じく彫刻が彫られた半球を乗せただけの建物)
提督(ベルサイユ宮殿にも似たような建物があったような……たしか愛の宮殿だったか)
提督「なんで鎮守府にこんな小洒落たものが」
提督「……」
提督「建物の中央にテーブルと椅子がある」
提督(ここに座って待てってことか?)スッ
提督「薔薇が綺麗だなぁ」トオイメ
提督(朝から人間関係に忙しなかったからな。誰もいない空間というのはそれだけで今は貴重だ)
???「お待たせしました、司令官。お茶とお菓子をお持ちしました」
提督「ん? ……ああ」
提督「比叡、か……元帥の所の」
比叡「はい、昨日ぶりですね。司令官」
提督「ああ、そうだな」
提督「座ったらどうだ?」
比叡「失礼します」スッ
提督「君も来てたんだな」
比叡「ええ、今日のこちらの演習メンバーは金剛型と摩耶ちゃんと鳥海ちゃんでしたので」
提督「どうして金剛達と一緒に司令室に来なかったんだ」
比叡「それは、まあ……いろいろありまして」アセアセ
提督「そ、そうか……」
比叡「ええ」
提督「……」
比叡「……」
比叡「お茶、今準備しますね」
比叡「ど、どうぞ司令官、ミルクティーです。冷めないうちに召し上がって下さい」
提督「いただくよ」
提督「」コクコク
提督「」ゴクン
比叡「どうでしょうか?」
提督「うん、おいしいよ」
提督「流石、金剛の妹だ」
比叡「!」
比叡「司令官に喜んで頂けて嬉しいです」
比叡「金剛お姉さまに教えて頂いた甲斐がありました」
比叡「クッキーの方もよろしければ」スッ
提督「ありがとう」サクッ
提督「こちらも食感がよくて、甘みと塩気のバランスがいい」
提督「これも比叡が?」
比叡「はい」
比叡「コッチも榛名や霧島にも手伝ってもらいましたけど」
比叡「私、料理はカレー以外てんで駄目でして」
提督「そうなのか」
提督「にしては手慣れて見えたけどな」
提督「ティーポットを初めに熱湯で温めたり、その後ミルクを注いで常温に近づけたり」
比叡「頑張って練習しましたから」
比叡「司令官に……美味しいって言ってもらいたくて」テレッ
提督「っ」
提督「照れられると、こっちが恥ずかしくなるんだが」
比叡「す、すみません……///」
提督「いや、謝られることでもないんだけどさ」
比叡「……」
提督「……」
提督「ところで比叡」
比叡「はい」
提督「どうして今日は金剛達と司令室に来なかったんだ?」
比叡「それはですね、私が演習で被弾しまして」
比叡「今さっきまで入渠していたからです」
提督「そうか」
提督「じゃあ服がいつもと違うのも?」
比叡「はい。被弾したので勿論服が破けまして」
比叡「これはですね、着替えとして持参したものです。いつもの予備が切れていたもので」
提督「そうか」
提督「じゃあどうして用意した代わりの服が」
提督「そんなにフリフリした清楚な白のワンピースなんだ?」
比叡「実はですね、司令官に可愛いと思って欲しくて」
比叡「お姉さま方に選んで頂きました」
提督「そうか」
提督「……え?!」
比叡「に、似合ってないでしょうか?」
提督「いや、似合ってるが?」
比叡「可愛くないでしょうか?」
提督「いや、可愛いが?」
比叡「お嫁に貰ってくださらないでしょうか?」
提督「いや、貰うが?」
提督「ん?」
金剛「Congratulation! 比叡!!」ガサッ
榛名「榛名、感激です!」ガサッ
霧島「まさに私達の計算通りねっ」ガサッ
提督「うおっ」ビクッ
提督「居たのかお前らっ!?」
榛名「はい、そこの草陰からずっと見守っていました」
提督「なんでそんなことを……」
提督「フツーに比叡と一緒に待っててくれれば良かったのに」
金剛「ノンノンッ、マイシスターとテートクの逢瀬」
金剛「邪魔なんてしたら、ホースに蹴られてdieしてしまいマース!」
榛名「金剛お姉さまも霧島も、もちろん榛名も提督さんのことはお慕いしていましたけれど」
榛名「比叡お姉さまとでしたらきっとお似合いになるだろうと、みんなで応援することに決めたんです!」
霧島「それに義姉、義妹になれば家に連れ込みやすくなりますしね」ボソッ
提督「い、いや……今のは話の流れというか勢いというか、言葉のあやで……」
提督(というか霧島が最後なんな不穏なこと言わなかったか!?)
金剛「勿論、ジョークだなんて言わないよネー?」
金剛「妹を泣かせたら容赦しないカラ」ズイッ
榛名「榛名は大丈夫でも、提督の大丈夫じゃなくなってしまうのは榛名も望むところではありません」スチャ
霧島「人が来ない場所の下調べはバッチリです」クイッ
提督「」
比叡「もうっ、みんな」
比叡「司令官を困らせるのは止めてよっ」ブンブン
比叡「すみません、司令官。私の姉妹が」
提督「い、いや気にするな」
比叡「まったく勝手に先走って、盛り上がって……」
比叡「ほんと、馬鹿みたい……」ホロッ
比叡「あ、れ……」ポロポロ
提督「ひ、比叡?」オロオロ
比叡「すみません提督、泣くつもりじゃぜんぜんなかったんですけど」ポロポロ
比叡「昨夜、提督の腕の中で眠ったのは夢で、この思いを口にするのはあの夢の中だけにしようって」ポロポロ
比叡「でもお姉さま達に応援されて、少し勇気を出してみて」ポロポロ
比叡「間違いでもお嫁に貰ってくれるって言われて、嬉しくてっ」ポロポロ
比叡「重い女だって司令官には思われたくないのに」ポロポロ
比叡「駄目な艦娘ですね、私」ポロポロ
比叡「こんな私が司令官のお嫁さんだなんて、おかしい、ですよね……」グスッ
金剛「テートクぅ?」ジトー
榛名「提督?」ジトー
霧島「司令官?」ジトー
提督「」シロメ
ー工廠ー
明石「」カンッカンッカンッ
提督「明石えも~ん」ウワーン
明石「前から言ってますけど、その呼び方止めてくださいってば」カンッカンッカンッ
提督(よかった、明石はいつもの調子だ)ホッ
明石「で、何ですか?」カンッカンッカンッ
明石「今結構忙しいんですけど?」カンッカンッカンッ
提督「……」
提督「実は……昨日のコトなんだが……」
明石「」ピタッ
明石「……売店のレジでちょこちょこ提督の昨日の悪事は耳にしましたけど」
明石「自分の酒癖の悪さが招いた自業自得ですよね?」ジトー
提督「分かってるっ。そこを承知で明石に頼んでるんだ」
提督「こんなこと明石にしか頼めないんだ。この通り」ドゲザー
明石「……まあ、しょーがないですね」フゥ
明石「大丈夫ですよ、なんとかなります」
明石「いえ、私がなんとかします」
提督「!」
提督「ほ、本当か?」
明石「ええ、私に完璧な作戦があります」キリッ
提督「おお!」
明石「というか水臭いんですよ、提督。私と提督の仲じゃないですか」
明石「最初からこの明石にお任せくださればよかったんですよ」
明石「そしたらこんなややこしい事態にならなかったのに」
提督「……明石」
提督(やはり最後に頼れるのは悪友)
提督(ともに馬鹿やった気心を知る性別を超えた友人こそが俺の宝物だったんだ)ジーン
明石「ささっ。では、ひとまずこちらにサインして貰えますか?」ピラリ
提督「あ、ああっ」バッ
明石「あと、すぐに保証人をひとり探しておいて下さい。私の方は大淀に頼もうと思ってるんで」
提督「ああ」カキカキ
提督「ん……保証人って」ピタッ
提督「これ婚姻届じゃねーか!!!」ビリビリビリッ
明石「あ、何破ってんですか、提督」
提督「それはこっちの台詞だ」
提督「なにしれっと悪魔の契約書にサインさせよーとしてんですか、おめーは!?」
明石「え、提督のことが好きだからですよ?」
提督「え、お前俺のこと好きだったの? 友達的な意味としてではなく?」
明石「ええ、提督ラヴ勢筆頭です 勿論性的欲求対象として」エッヘン
提督「そんなんで威張られてもなぁ」
提督「というか」チラッ
提督「さっきから作ってた机の上のそれは何だ」
明石「もちろん私と提督の結婚指輪(ガチ)です!」
提督「指輪って……お前」
明石「あ、試しに嵌めてみます?サイズならピッタリだと思いますけど……今なら提督のご意向もお聞き出来ますよ?」
提督「いや、そんなもの一生嵌めないし」
提督「そもそもなんで俺の指輪のサイズを……いや、言うなよ? 何言いたくてうずうずしてんの? めっちゃ怖いんだけど……」ヒキッ
提督「てっきり装備開発とか建造してたと思ったのに……俺の感心を返してくれ」ハァ
明石「もー提督こそ何言ってるんですかー?」
明石「建造なら、昨夜沢山したじゃないですか」アハハ
明石「一緒に、ね♡」オナカサスサス
提督「」
ー執務室ー
提督「RJっ!」ダッダッダッ
提督「RJぇ~~~!!!」ガラガラガラガラッ
龍驤「なんや喧しいやつやな」
龍驤「自分がこんなんの秘書艦だと思うと情けなくなるわ」
龍驤「元帥のトコにでも転属させて貰おかな?」ハァ
龍驤「なんちゃってw ウチも流石にそこまで薄情ちゃうわキミぃ」ビシッ
提督「た、助けてくれっ龍驤」
提督「頼れるのは龍驤しかいないんだ」
龍驤「なんや二日酔いかいな?」
龍驤「にしては元気いっぱいおっぱいやなぁ」
提督「じ、実はかくかくしかじかでっ」
龍驤「……なるほどなぁ」
龍驤「まさかホントに元気いっぱいおっぱいしとったとはな」ハッハッハッ
提督「笑い事じゃないんだよ」
提督「なあ、龍驤本当は昨日何があったか教えてくれっ!!」
龍驤「何があったって聞かれてもなぁ」
龍驤「ウチもあんまり覚えてへんのやけどなぁ」
龍驤「まあ、いうてもウチが一番酔いが浅かったんやろうけど」
龍驤「昨日は元帥がごっつええ店連れてってくれたおかげで、みんな悪酔いしとったからなぁ」
龍驤「でもまあ、いつもと違うのはそれぐらいだった気ぃするけどなぁ」
提督「なんでもいい、覚えてることはないか!?」
提督「勘違いだったと自分を納得させられる理由付けができるような何かが欲しいんだ!」
龍驤「うぁ、クズやねぇ、キミぃ」ヒキ
龍驤「まあでも覚えてる限りだと、そやなぁ……」
龍驤「たしか、一次会はまだみんなほろ酔いぐらいだったな」
龍驤「で、二次会の会場で飲み始めてからすぐ比叡の気分が悪くなって、キミが介抱のために一緒に席をたっとったな」
龍驤「そして20分くらい帰ってこなくって、その後比叡は寮に返したってキミだけ戻ってきとった」
龍驤「妙にスッキリした表情をしてたのが印象に残っとるな」
龍驤「で、そこからまた10分後くらいに今度は摩耶がふらつくくらい酔っ払ってたから」
龍驤「またキミが送っていって、20分後にスッキリした顔で戻ってきおった」
龍驤「明石もそんな感じだったな」
龍驤「あ、いや、違うわ。明石は40分かかってた」
龍驤「あとキミが帰ってきてからなんかしばらくスマホの振動音みたいなものが聞こえとったな」
龍驤「みんな音の出所気にしとったけど結局分からずじまいで……」
龍驤「そういえばキミが人一倍ソワソワしとったな。そんなに神経質やったっけと思ったわ」
龍驤「で、3次会のバーに移動してすぐ隼鷹とキミがテキーラのショット対決を始めて……」
龍驤「結局キミが負けて、今度は逆に隼鷹に引きずられて出てったわ」
龍驤「首根っこ掴まれてな」
龍驤「で、店をまた変えようかって時に、何故かパンツ以外全て身ぐるみ剥がされたキミが泣きながら戻ってきたんや」
龍驤「理由を聞いても、泣いてばかりで要領を得ない感じだったからそっとしとったけど」
龍驤「で、最後に居酒屋鳳翔で飲んだ後、キミと元帥で肩を組んで夜が深まる街に繰り出しとった」
提督「」
龍驤「な、いつもの飲み会やろ?」
提督「いや、変な所しかねーじゃねーかっ!?」
龍驤「でもまさか日中はウチと工廠で装備開発をこなして」
龍驤「夜は別の艦娘と交渉して性癖開発されとったとはな」
龍驤「デキる男は違うな、キミぃ」カッカッカッ
龍驤「いや、むしろこれからデキちゃった男になってしまうかもな」ドヤ
提督「発言がセクハラおやじのそれなんだが」
提督「というか上手くねーんだよ」
提督「むしろマズいんだよ、この、状況が」
龍驤「まあ落ち着きぃや」
龍驤「艦娘とはいえオンナはオンナ」
龍驤「男の提督と”そういう関係”になることは、まあ言ってまえばごく自然なことや」
龍驤「海防艦や駆逐艦のお子様達ならともかく、酒も飲める分別のある相手ばかりや」
龍驤「それに全員、キミに少なからず好意があるってことは気ぃついとったんやろ?」
提督「それは……」
龍驤「その上でマズいのはキミのいう通り筋も通さず宙ぶらりんなこの状況や」
龍驤「しでかしたことは言葉で取り繕ってもしゃーない」
龍驤「誠意は、行動で示すしかないんや」
ー次の日 執務室 日中ー
隼鷹「け、結婚を前提にお付き合い、ですか?」
提督「い、いやな。俺もあれから結構色々考えたんだけどさ」
提督「結婚って勢いでするもんじゃないし、まずはお互いのことをもっとよく知ることからはじめた方がいいと思ってさ……」
飛鷹「良かったわね隼鷹、提督ちゃんと責任とってくれるって」
提督「も、もちろん最終的には結婚っていうこともあるだろうけどさ」
提督「でも重いって思うなら、今回の件はお互いに忘れるって選択肢もあるわけで……」
摩耶「何言ってんだよ、あたしは嬉しぜ。ちゃんと将来のこと考えてくれてるって分かって///」
鳥海「私も返り血で汚れなくて済みそうで良かったです」ニコッ
提督「でもでも、当人や一部の家族が良くてもね?結婚は当人同士だけでするものじゃないからね?」
提督「やっぱり結婚ていうのはみんなから祝われてこそのものだと思うし……」
金剛「もちろん提督が比叡のハズバンドならノープロブレム!むしろウェルカムウェルカムデース!」
榛名「榛名、精一杯祝福します!」
霧島「新居選びから家族計画までお任せを、司令」スチャ
提督「そもそも本当にいいのか俺で!?」
提督「甲斐性ないし、ズボラだしいいとこないよ!?」
明石「いいんです、それでも。私とこの子のそばにいてくれればそれだけで」サスサス
提督「……」
元帥「……実はこの手紙の主を探していてな……頼まれてくれないか?」
ー次の日 執務室 夕方ー
龍驤「まあ、こうなる気はしとったが案の定やったな」
龍驤「重い男をアピールすれば考え直す艦娘もいると思ったんやが」
龍驤「かえって誠実さが際立って悪い意味で好感度を爆上げする結果になってもうたわ」ケラケラ
提督「案の定じゃねーよ」
提督「より取返しのつかない状況になっちまったじゃねーか」
提督「つか、なんで元帥はピンポイントで手紙の相手ぶち抜きてきやがってんだ」
提督「気づかれてないよね?大丈夫だよね?!」ガクブル
つづく
某ジャンプ漫画のネタ(改変あり)を参考にしてます
アイエェェェェ…
クォレハ前日に提督がなんかやらかしちまったみたいですね(未来予知)
まぁ、普通に面白いからいいと思うゾ
更新がんばるんだゾ
何で比叡さんがいないんですかねぇ…(すっとぼけ)
このや〇チン!
頼む…!他のssもずっと待ってるんだ…!!これだけは…!これだけでも完結してくれ…!!!
面白いんだよ全部ぅ…っ!!!!!