提督「嫌われすぎて艦娘からの罵詈雑言がすごい」
嫌われていると思い込んでいる提督が片っ端からカッコカリを申し込んでいくお話
-某日 司令室-
大淀「はぁ」
提督「はぁ、っておまえなぁ」
提督「こっちは真剣に悩んでるんだよ? 部下全員に嫌われてるって死活問題だよ?」
大淀「みんなに嫌われてるって……あなた本気で言ってるんですか?」
提督「無論、そうだが?」
大淀「……」
提督「む。なんだ、その微妙な表情は」
大淀「いいえ、別に」
大淀「あなたは私にも嫌われてると思ってらっしゃるんだなぁ、と」
提督「いや、それは」
提督「……だって、それはさ」
大淀「それは?」
提督「……」
大淀「……」
提督「おまえは、そういうのじゃないだろ…………」メソラシ
大淀「……」
大淀「そうですね。私は大本営から派遣されているだけですからね。厳密には部下ではありませんね」
提督「なんでちょっと怒ってるんだよ」
大淀「……別に」プイッ
提督「なんでおまえまでそんな態度なんだよ。泣いちゃうよ?ギャン泣きしちゃうよ?」
大淀「どうぞ」
提督「冷たいなぁ、せめて胸を貸してやるくらい言ってくれてもいいじゃないか」
提督「俺とおまえの仲だろう?」
大淀「胸は貸してあげられませんが、工廠の実験室の鍵くらいは貸して差し上げますのでそちらで泣いてきて下さい」
大淀「大の大人の泣き声なんて聞くに堪えないので」
提督「冷たいどころか血も涙もなかった」
大淀「失礼、私は元艦(ふね)なものでして」
コンコンコン
提督「ん? 誰か来たな」
大淀「この時間だと、遠征の報告でしょうか」
大淀「第三艦隊が帰ってくる頃合いです」
提督「第三艦隊っていうと、旗艦はたしか……」
大淀「霞さんですね」
提督「霞か……ちょうどいい」
提督「霞の俺への悪態を見ればおまえもきっと態度を入れ替えるだろう」
提督「“せめて私だけは温かい目で見守ってあげよう”とな!」
大淀「改めて向けられる感情が哀れみでいいんですか……」
提督「俺がどれだけ嫌われてるか見とけよ見とけよ」
大淀「はいはい」
提督「こほん」
提督「どうぞ」
ガチャ
霞「失礼します」
提督「遠征お疲れ様。霞」
霞「」キッ
提督「」ビクッ
提督「ほら、見てよ。早速もろじゃん。もろ出しじゃん」ヒソヒソ
大淀「このくらいなら他の鎮守府でも同じですよ。根拠になりません」ヒソヒソ
霞「」ギリッ
提督「」ビクビクッ
提督(怖っ、歯軋りの音怖っ)
霞「ノックしてから返答まで随分間があったけど……すぐ入られたくない事情でも?」
霞「ええ、みなまで言わなくてもいいわ。どうせそこの秘書艦さまと乳繰り合ってたんでしょ?」ギロッ
大淀「……」
提督「数秒間があったくらいで大げさな……」
霞「勝手に口を開いていいだなんて一言でも言ったかしら?」
提督「……」
霞「まったく」
霞「大淀、あんたが甘やかすからこのクズはいつまで経っても唐変木のままなのよ」
霞「どう? 私に秘書艦代わってくれれば、このクズを毎日おはようからおやすみまで四六時中側で鍛えてまくって、立派な海軍将校に育ててあげるけど?」
大淀「いえ、霞さんには本鎮守府の高練度の駆逐艦として責務を遂行していただいてますし。これ以上の負担を強いるわけにもいきませんから。お構いなく」
霞「……そっ」
霞「まあ、あんたも毎日このクズの面倒を見るも大変でしょうから、嫌になったらすぐ代わってあげるから言いなさいな」ニコッ
大淀「お構いなく」ニコニコ
霞「……」
大淀「……」
大淀「……こほん」
大淀「それでは霞さん。遠征の結果をご報告ください」
霞「ええ」
霞「午前中の遠征結果は大成功。艦隊の損傷なし、大きな疲労もなし」
霞「昼食後、午後もメンバーを一部入れ替えて再度遠征に向かうわ」
提督「大成功か。流石だな霞」
霞「ふんっ、当然の結果よ」
提督「そうか。じゃあ午後も引き続き頑張ってくれ」
霞「ええ」
提督「……」
霞「……」
提督「あの、霞?」
提督「もう下がっていいぞ」
霞「……」
霞「司令官?」
霞「私が旗艦の艦隊が大成功を収めたのよ?」
霞「部下が手柄をあげたら、どう労うべきか……教えてあげたわよね?」
霞「それともなに? 思い出すまで身体に教えて欲しいの?」
提督「あ、ああ」
提督「そうだな、そうだった」
霞「じゃあどうぞ?」
提督「……」
霞「……」
提督「ほら間宮k」スッ
霞「司令官?」
霞「」ニコッ
提督「えっと」
霞「」ニコニコ
提督「霞?」
霞「」ニコニコニコ
提督「あー」
提督「わかったわかったよ。では霞、一歩前へ」
霞「」スッ
提督(俺は前に出た霞に手を伸ばし)
提督「」ナデナデ
提督(霞の頭頂をなで回した)
霞「~~~♪」
提督「こ、これでいいか?」
霞「ええ、これでいいのよ」
霞「最初から黙ってしなさいよ、このロリコン司令官」
提督(自分からさせておいて酷い言いぐさだ)
霞「じゃあ、これで失礼するわっ」キラキラ
提督「ああ、午後も頑張ってくれ」ゲッソリ
バタンッ
提督「……」
大淀「……」
提督「……な?」
大淀「な? ではないですが?」
提督「おまえの目は節穴か?」
大淀「あなたこそ、頭の中に蛆でもわいてらっしゃるんですか?」
提督「悪口強すぎない? 1に対して10で殴ってきてるよね?」
提督(一応、上官なんだけど)
提督「……なぜ、あいつが俺に頭を撫でさせたか分かるか?」
大淀「純粋にあなたにナデナデして欲しかっただけでは?」
提督「ばか、バニ淀ばか」
大淀「だれがバニ淀ですか」
提督「あいつが欲しかったのはな、俺が立場を利用して身体接触を行ったというセクハラの証拠だ」
提督「毎回欠かさず記録して、いつでも俺を訴えられる準備をしてるんだ」ガタガタガタ
大淀「それだけならすでに証拠は十分なはずですけどね」
大淀「毎回毎回おねだりしてくる理由にはなりません」
提督「精神攻撃も兼ねてるんだろう。俺の不安感を煽ってるんだ。こんな姿他の艦娘に見られたらどうなるでしょうねと」
大淀(そうなれば霞ちゃんの方がダメージ大きそうですけどね)
提督「ともすれば、大事になる前に辞職しろと暗に言っているのかもしれない」
大淀(そうなれば逆に全力で辞職を妨害しにかかるでしょうねかかるでしょうね)
大淀「あと、私に秘書艦を代われとも言ってきましたよね」
大淀「嫌いだったらそんなこと進言しないのでは?」
提督「本人も本気で代わる気はないんだろうよ」
大淀(瞳からハイライト消えてましたけどね)
提督「大方、俺が不甲斐ないから、遠回しに叱咤してくれたんだろうさ」
大淀「叱咤ですか?」
提督「ああ」
提督「人に厳しく、かつ自らも律する」
提督「上官のあるべき姿をあの小さい身体で示してくれている」
提督「凄い子だよ、霞は。ほんとにな」
提督「だから霞に旗艦を任せている」
提督「俺からの信頼と尊敬の証としてな」
提督「あ、これ霞にはナイショな」
提督「まあ、おまえはそういうことペラペラ言うタイプじゃないだろうけど」
大淀「私からは言いませんけれど」
大淀「それを一度本人に言ってさしあげればいいのに」
大淀(そうしたら霞ちゃんも、もう少し素直になれるでしょうし)
提督「こんなこっぱずかしいこと面と向かって言えるかよ」
大淀「だからって素っ気なくしなくてもいいんじゃないですか?」
大淀「まああなたはすぐ顔に出ちゃうから、頑張って隠してるだけなんでしょうけど」
提督「……うるさいやい」プイッ
大淀「ふふ」
大淀「霞さんの態度も、案外照れ隠しだからかもしれませんよ?」
提督「いや、あいつの態度が悪いのは純粋な俺への嫌悪だ」シレッ
大淀(変なところでブレないんですから)
大淀(まあ、彼女に関しては自業自得な面も大きいし。仕方ないとろこではあるけど)
大淀(ほんと、難儀な子ね。霞ちゃん)
霞「」クシュン
霞「」ズピー
提督「とまあこんな風に、ウチの艦娘たちは俺に対して霞のような態度を取ってくるのがデフォなわけだが……」
提督「どうしてこんなに嫌われちゃってんのかねぇ」ハハハ
提督「理由が分からん。オッサンだからかな……いや、でも20代後半は提督にしては若いよな」ブツブツ
大淀「仮にみんなに嫌われてるとして」
大淀「それはそれとして割り切って仕事をするしかないのでは?」
提督「そうなんだけどなぁ……分かるだろ?」
大淀「分かるだろって何を……ああ、もしかして」
提督「そう、ケッコンカッコカリだ」
大淀「ケッコンカッコカリですか、確かにそれは深刻な問題ですね」
提督「ああ、そうだ。戦力強化アイテムとはいえ仮にもケッコンとあるからな」
提督「当人も周りも嫌でも俺とケッコン艦との間柄を気にするだろう」
提督「それが最初のケッコンカッコカリともなれば尚更だ」
大淀「実際、最初のケッコン艦=正妻という風潮もありますからね」
提督「だろう?」
提督「しかし残念ながらウチの艦娘たちの好感度は振り切ってる」
提督「ともすればそんなウチの鎮守府の状況からしてまず間違いなく」
大淀「ええ、間違いなく」
提督「押し付け合いなるだろうな」
大淀「奪い合いになるでしょうね」
提督「えっ」
大淀「えっ」
提督「俺の話聞いてた?」
大淀「俺がモテすぎて艦娘からのアピールがすごい、って話でしたよね?」
提督「なんだその頭の悪い同人誌のタイトルみたいな文言は」
提督「俺が嫌われすぎて艦娘からの罵詈雑言がすごい、って話をしてたんだよ!徹頭徹尾」
大淀「私には終始一貫してノロケられているようにしか聞こえなかったんですが?」
提督「なんだおまえ、いつ海域に出撃してたんだ?」
提督「爆風で鼓膜が破れているようだから、入渠してきなさい」
大淀「提督こそ、人間ドックを受診されてみては? もう手遅れかもしれませんが」
提督「あー分かった。もう分かったよ、いいよもう」
大淀(なんか子供みたいなこと言い出しましたね)
提督「おまえはそうやって他人事だからってすぐ恋愛に結びつけようとする」
提督「あの罵倒がツンデレだとでも言いたいのか? 言われた事ないから分からないだろうけどフツーにツラいんだからな??」
大淀(ツラいのは読解力に乏しいご自身のせいですけどね)
提督「こうなったら目につく艦娘に片っ端からケッコンカリ申し込んで来る」
大淀「……正気ですか?」
提督「なぁに練度なら気にするな。みんな頑張ってくれてるからほとんど高練度の娘ばかりだし」
提督「もし練度が低くても練度上げの特別演習を組もう。俺の申し出を渋々でも受け入れてくれたせめてもの御礼にな」
大淀「やるのは構いませんが……」
大淀「鎮守府に血の雨が降ってもしりませんよ?」
提督「……え? カッコカリ申し込んだだけで殺されるくらい嫌われてるの?」
提督(殴られるくらいだと思ってたのに、殺意まで持たれてるの?)
提督(いいや、俺も日本男児。一度決めたことを曲げることはしない)
提督「いざ、嫁艦探しの旅へ!」
―鎮守府廊下―
提督「さて、どうしたものか」
大淀「本当になさるんですね」
提督「当たり前だ。俺は本気だ」
提督「というかなんでおまえは着いてきたんだ?」
大淀「そんなの……心配だからに決まってるでしょう?」
提督「そうか!」
提督「じゃあ、俺の申し入れが嫌すぎて失神した娘がいたら介抱を頼むぞ!」
大淀(……別に艦娘たちの事が心配で着いてきたわけじゃないんですけどね)
大淀「……ばか」ボソッ
???「あ、よ、ようっ。大淀」
???「……と、提督」
大淀「ええ。こんにちは、摩耶さん」
提督「……俺はついでかよ」
摩耶「っ」
摩耶「せぇっ、この摩耶さまに挨拶してもらえただけ感謝しなっ!」
摩耶「こっちはお前の顔見るだけで心臓バクバクして死にそうなんだからよ////」テレ
提督「何!?」
提督(まさか、摩耶お前……)
提督(脈が乱れるほど俺の顔を見たくないのか)ガックリ
大淀(とか考えてそうですが、思いっきり恋する乙女なだけなんですよね。本当にありがとうございます)
提督「ところで摩耶、お前顔が真っ赤だぞ。熱でもあるのかっ」ピトッ
摩耶「~~~~~っ!?!?!?」
摩耶「さっ、さわんじゃねぇ~~~っ////」ブンッ
提督「うぉう」ドサァ
摩耶「て、てめぇ。何勝手に触ってんだバカっ」
摩耶「コッチにも心の準備ってもんがあんだろーが」
提督「す、すまん」
提督(確かに嫌われている相手に対して軽率だった)
提督(しかも年頃の女の子だ。扱いには十二分に注意せねばな)
提督(まあ、180cm、75Kgの男を5メートル投げ飛ばせる女子は中々いないけど)
摩耶「……にんとれ」
提督「ん?」
摩耶「責任とれよっ//////」
提督「責任って……」
摩耶「寄越すものが、あるって言ってんだろ!」プルプル
提督(俺にあげられるもの……漢(おとこ)の責任の取り方……)
提督「分かった、摩耶」
提督「お前に受け取って欲しいものがある」
大淀「!」
大淀(まさか、摩耶さんの想いに)
摩耶「!?」
提督「少し準備するから待ってくれ」
大淀(まさかこんなに早く自分への好意に気がつくとは)
提督「」シュルシュル
大淀(ニブチンクソ野郎だと思っていましたが、私も評価を改めなければ……)
大淀(ん、いきなり服を脱いで正座をしてますがそれで告白するつもr)
提督「この命ッ!非礼のお詫びにお前に捧げようっ!!!」つ懐刀
大淀(なんでーそーなるのー????)
大淀「どっから出したんですかその刀」
提督「男は大事なものを守る為、心に一本、そして懐に一本の刀を常に忍ばせておくのさ」
提督「ああ、下半身にも一本あったかな」フッ
大淀「言ってる場合ですか」
摩耶「ば、ばかっ」
摩耶「アタシは提督のタマなんざ欲しくねーよ」
提督「だから竿もあるが?」
大淀「普通にセクハラですよ。ぶち殺されたいんですか?」
提督「じゃあ何が欲しいんだ?」
摩耶「そ、それは……」モジモジ
提督「金か?地位か?名誉か?」
提督「どれも俺がやるには限界があるし、時間もかかるしなぁ」
提督「取り急ぎ、渡せるものと言えば間宮券くらいか……あれ?」ゴソゴソ
大淀「間宮券でしたら、先ほど霞さんが持っていきましたよ?」
提督「……やろぅ」
提督(抜け目なさすぎるだろう……霞のやつ)
提督「と、なるとあとはお前らには鼻をかんだティッシュほどの価値もないこのカッコカリの指輪ぐらいしk摩耶「それだよっ!!」ん?」
提督「これが欲しいのか」
摩耶「あっ……いや……」
提督「そうだよな、嫌だよな」
摩耶「嫌っていうかなんていうか」
摩耶「まあ、なんだ。それしかないってんならそれで勘弁してやるか」
摩耶「いやホントは不本意だけどな? でも提督がどうしてもって言うならしょうがねぇよなぁ」
大淀(と、口では言っていても身体はとても嬉しそうにくねくねしてますね。摩耶さん)
提督「いや、いいよ」
提督「嫌がるやつに指輪押しつけたってしょうがないからさ」
提督「手間を取らせて悪かったな」
摩耶「なっ!?」
摩耶「貰ってやるって言ってんだよ!」
摩耶「よこせ!」
提督「やだ」
摩耶「よこせ!」
提督「やだ」
摩耶「ううぅ~」
提督「いやいいんだ。俺が聞き間違って勝手に舞い上がっただけだから……」
提督「んじゃ、俺たち行くから」
摩耶「寄越せよぉ、指輪ぁ~~~~」
~~~
提督「泣くほど嫌がられてしまった」
大淀「わざとやってます?」
提督「?」
大淀「そこであなたが疑問符を浮かべられる意味が分かりません」ハァ
提督「奇遇だな。俺もお前が言いたいことがまったく分からん」
大淀「……チッ」
提督「舌打ち!?」
提督「今舌打ちしたのかおまえ!」
大淀「ええ、しましたけど何か?」
大淀「砲弾を打たれなかっただけ感謝してください」
提督「……砲撃しないでくれてありがとう」
大淀「ございますは?」
提督「言うかよ!」
大淀「器の小さい男ですね」
提督「ったく、おまえはさっきからその態度はなんなn」
金剛「テートクぅ~!!バーニングラァブ!!」バッ
大淀「おっと」スッ
提督「ぐおらっ」ドゴッ
金剛「探したネー、テートクぅ~」ウマノリ
提督「こ、金剛か」
金剛「ザッツライ、ユーの金剛ネー」スリスリ
提督「とりあえず降りてくれるか?」
金剛「Oh、ソーリー」パッ
提督「いててて」サスサス
金剛「提督、大丈夫ネー?」ノゾキコミ
提督「だ、大丈夫だ」
大淀(金剛さんですか)
大淀(彼女は他の鎮守府においても言わずと知れた提督LOVE勢の筆頭)
大淀(勿論、この鎮守府でもそれは例に漏れず……)
大淀(そういえば、彼女の好意については一体どういう解釈をしてるんでしょうか)ウーム
大淀(日頃からバーニングラブだの、ボディタッチだの。猛アピールされていると思うんですが)チラッ
提督「……」
金剛「それでどうですカ?」
提督「」ビクッ
提督「どう、とは?」
金剛「私の燃え上がるエモーション、今日こそ伝わりましたカ??」ニカッ
提督「……」
大淀(ああ、これはまた気づいていない感じっぽいですね)
大淀(やっぱり駄目ですか……)
提督「もちろん」
提督「伝わってるさ」
金剛「!」
大淀(お)
提督「勘違いかとも思ったけど、今日確信したよ」
提督(薄々は気が付いていた)
提督(まさかと、当たって欲しくはないと思っていたが)
提督(金剛が俺に抱いている感情。それは……)
金剛「わぉ、とってもとっても嬉しいデース」パァ
金剛(いつもそっけない態度だから、気づいてくれていないと思ってましたが)
金剛(遂に提督のハートに届いたんですネ!)
金剛(この胸一杯に溢れんばかりの感情。すなわち……)
提督(殺意!)カッ
金剛(ラヴ!)ペカー
大淀「……あ、またすれ違いの予感」ピーン
提督「……」ダラダラ
金剛「……」ドキドキ
大淀「……」
大淀(面白そうなのでしばらく見守りますか)
金剛「ようやく気付いてくれたんですネ!私の気持ちに」ジリッ
提督「来るなっ」バッ
金剛「」ピタッ
金剛「What’s? どうしてデース?」
提督「金剛、正直に言おう」
提督「俺は君に近づかれるとどうにかなってしまいそうなんだ」
金剛「!?」ドキッ
金剛「提督、それは本当ですか」
金剛(まさかそんなに私のことを想ってくれていたなんて……)
提督「ああ、本当だ」
提督(恐怖でな)
提督「それだけじゃない」
提督「最近、君が視界の端に入るだけで、自然と追ってしまう自分が居るんだ」
提督「見失ってしまったら、もう消えてしまうんじゃないかと」
提督(むしろ消されてしまうんじゃないかと)
金剛「気が気じゃなかったんですネ」
金剛(出撃した私が轟沈してしまわないかと)
提督「そりゃあもう、気が気じゃないんだ」
提督(その瞬間背後を取られ、俺の胸に風穴が空いていないかと)
提督「今だって心臓がずっとバクバクいってるんだ」
提督(どのタイミングでしかけてくるのか。一瞬の判断ミスが命取りの場面だからな)
金剛「わ、私だってそうデース」
金剛「そんなこと言われたら、私だって……」モジモジ
金剛(今日の提督は大胆ネー)
提督「そうか……」
提督(ターゲットの俺が怯える姿を見せて、興奮しているのか?さながら、崖に追い詰めた兎に舌なめずりしながらゆっくりとにじみよるオオカミのように)
金剛(やっぱりしおらしい私は、可笑しいですよネ……)ハハ
提督「いや、無理もないだろう」
提督「もう少しで俺をヤレそうなのだからな……」
金剛「!!!」
金剛(俺“と”ヤレるですっテ!?!?)
金剛「い、いいんですカ?」ジュルリ
提督「嫌だと言っても無駄だろう?」
金剛「Off Course!!」ハァハァ
提督「……」
提督「俺も男だ、覚悟を決めたよ」
提督「本気でこいっ! 金剛っ」カッ
金剛「言われなくたって、私はいつでも全速前進デ~ス!」グッ
金剛「バーニングラァブッ~」バッ
提督「おらっ!」ブンッ
金剛「おごっ」ドゴッ
大淀「……え」
大淀「えええええ~!?!?」
大淀(な、殴ったぁ! しかも鳩尾にクリティカルヒットっ)
バゴッ ミシッ パラハパラパラ
大淀「こほっ、こほっ」
大淀(そして、衝撃でホコリが凄いことに)
金剛「て、提督……これは、どういう事です、か?」ボロッ
大淀(金剛さんが壁にめり込んでる)
大淀(というか艦娘をワンパンで吹っ飛ばすとか、どんな腕力してるんですか……)
提督「これが俺の答えだ金剛」ムネニオヤユビヲタテル
提督「俺のハート(命)はまだやれない」
提督「この身体は平和な海を取り戻すその日まで、俺だけのものじゃないからだ」
提督「だから……(俺を殺すのは)待っててくれないだろうか」
提督「君とはすべて終わった後で、正面から向かい合いたいんだ(殺し合い的な意味で)」キリッ
金剛「て、提督……」
大淀「なんでいい顔なんですか。やってること女の子殴ってるだけですからね」
大淀「ただのDVクソ野郎ですからね!?」
大淀(まあ、でもこれでいくらバk……金剛さんでも話の食い違いに気がついて……)
金剛「は、ハイ////」キュンッ
大淀「……」
大淀「あ、そういや大バカだったし、なんならドMでしたねこの人」
〜〜〜〜〜
大淀「まさか本当に艦娘を運ぶことになるとは思いませんでしたよ」ハァ
提督「それに関しては本当にすまん」
大淀「やりすぎです」
提督「しかしああしなければ俺の命が危うかったんだ」
大淀「金剛さんのことをなんだと思ってるんですか」
提督「英国生まれのシリアルキラー」
大淀「ジャックザリッパーかよ」
提督「かよって……口調変わってるぞおまえ」
大淀「誰のせいですか!あなたのせいですよ!」
提督「お、ひとりノリ突っ込みだ」
大淀「別に好きでしてるんじゃありません」
大淀(そもそもどうやったら金剛さんが殺し屋だなんて発想になるんだか)ヤレヤレ
大淀「もう止めにしませんか。疲れました」
提督「何を言っている。まだはじめたばかりじゃないか」
大淀「もういいじゃないですか」ハァ
大淀「この鎮守府の艦娘全員、ゲロ吐くほどあなたが嫌いってことでいいじゃないですか」
提督「いいわけあるか、悪化してるじゃねーか!」クワッ
提督「タイトルも、“嫌われすぎて廊下が艦娘の吐瀉物ですごい”になっちまうじゃねーか!」
提督「誰が読むんだよそんなの!?」
提督「というか、そこまでいくと艦隊運営に甚大な支障がでるわ!」
大淀(支障というなら現時点でもすでに、けっこうなところまで来ていると思いますけどね)
提督「」コホンッ
提督「話を戻すが」
提督「今度はきっと大丈夫だ。“あて”があるのを思い出したからな」
大淀「あて?」
提督「早速向かおう」カツカツ
大淀「……」
大淀(あんまり、いい予感はしませんが……)
大淀「ちなみにどちらへ?」
提督「ん、ああ」
提督「空母寮だ」
ー空母寮ー
提督「ついたな」
大淀「……」
提督「なんでそんなに浮かない顔をしてる?」
大淀「い、いえ」
大淀「別に」メソラシ
提督「?」
提督「!」
提督「いや、別に部下の部屋に押し入って家捜ししようとか考えてないからなっ。そこは安心してくれ」アセアセ
提督「そもそもおまえがいるのにそんなことできるわけないだろ?な?」ビクビク
大淀「別に何にも言ってないのに自分で言って動揺するの止めてくださいよ。逆にあやしいですから」
提督「あ、ああああやしくねぇし」オドオド
大淀「だからなんで挙動不審なんですか」
???「あら?なにやら楽しそうですね」
大淀「っ」ビクッ
提督「おお、翔鶴」
翔鶴「おはようございます。提督」ニコニコ
翔鶴「大淀さんも、ご機嫌よう」ニコニコ
大淀「ええ、どうも翔鶴さん」
大淀「そして瑞鶴さんも……大丈夫ですか?」
瑞鶴「……おはようございます。提督さん、大淀さん」ヨロッ
瑞鶴「ふたりとも元気そうで何よりだわ」ハハ
提督「おはよう瑞鶴」
提督「お前は相変わらずツラそうだな」
瑞鶴「……まあね」ズキズキ
瑞鶴「いつものことだし。私は薬飲んでるから。気にしないで」
提督「お前には気苦労をかける、瑞鶴」
提督「俺が不甲斐ないばかりに……すまない」
瑞鶴「そんなっ、提督さんはいっつもみんなのために頑張ってるよ」アタフタ
瑞鶴「不甲斐ないのは私の未熟のせいだもん……」
瑞鶴「こっちこそ心配かけてごめんね?」
提督「何を言ってるんだ。俺だけじゃない二航戦のふたりや赤城、あの加賀だってお前を認めてるんだ。胸を張っていい」
瑞鶴「加賀さんが?」
提督「ああ。“瑞鶴、いえ瑞鶴さんは頑張っているわ。もう、五航戦の苦労人の方とは呼べないわね”と」
大淀「それ、胸を張っていいんですか? 完全に哀れまれてますよね?」
提督「それにお前達ふたりは他の鎮守府でも有名だ」
提督「慈愛に満ちた笑顔で敵を容赦なく屠る翔鶴」
提督「その後ろで胃薬を噛み締めながら、撃ち漏らした敵航空機や砲撃から輸送艦や駆逐艦を守る瑞鶴」
提督「海を駆けるその二鶴の姿に、深海棲艦では“仏の翔鶴”“胃痛持ちの瑞鶴”として恐れられて……」
大淀「だからそれ、褒めてるんですか?みんなして褒めてるつもりなんですか??」
瑞鶴「そうなんだ……へへっ」テレッ
大淀「あっ、それでいいんですね、そろいもそろってチョロいなウチの艦娘」
提督「俺に出来ることがあったら言ってくれ。なんでもするから」
大淀「え、今なんでもするっていry」
提督「おまえには言ってない」
瑞鶴「な、なんでも。ほんとにいいの?」チラッ
提督「ああ、俺の応えられる範囲でなら」
瑞鶴「じゃ、じゃあ……」ゴクリッ
翔鶴「瑞鶴」
瑞鶴「!」ビクゥ
翔鶴「随分楽しそうね。瑞鶴」ニコニコ
翔鶴「久々に貴方の笑顔が嬉しそうにしているのを見れて私も嬉しいわ瑞鶴」ニコニコ
翔鶴「けれどあまり言葉をそのまま受け取りすぎてもいけないのよ?瑞鶴」ニコニコ
翔鶴「提督はお優しいからそう言ってくれているだけなの。むやみやたらにおねだりしては駄目瑞鶴」ニコニコ
翔鶴「品性を失っては、そこらの発情猫どもと変わらないですからね瑞鶴」ニコォ
翔鶴「ねえ、瑞鶴? 聞いている瑞鶴?」
翔鶴「私はあなたの為を思って言っているのよ瑞鶴?」
翔鶴「あなたはずっと私の後ろで守られていれば良いのよ瑞鶴?」
翔鶴「瑞鶴瑞鶴瑞鶴?」
大淀「」
瑞鶴「……」
瑞鶴「そ、そうだね。翔鶴ねぇ」
瑞鶴「ありがと提督さん。今は気持ちだけ受け取っておくね……」
提督「おいおい遠慮するなよ、瑞鶴俺とお前の仲(苦労人仲間)じゃないか」
提督「困りごともあれば相談に乗るぞ。いつでも頼ってくれていい」
提督「瑞鶴のためならいつでもどこでもとんでくr……いってぇ。なにすんだお前この野郎」バキッ
大淀「なにすんだはコッチ台詞ですよ、あなたのその発言が現在進行形で瑞鶴さんの胃の状態を悪化させてるって分からないんですか?」ヒソヒソ
提督「俺は瑞鶴の為を思ってだな……」ヒソヒソ
大淀「TPOを考えろっつってんですよボンクラ」ヒソヒソ
提督「え、男子禁制の場所に長話で居座り続けるなってこと?」ヒソヒソ
大淀「それも確かにありますが、今はもっと分かりやすいのがあるでしょうが。今更どこに気を使ってるんですか」ヒソヒソ
大淀「大体、その論法で行くと女だらけの鎮守府に男ひとりの時点でアウトですよ?」ヒソヒソ
提督「た、確かに……だとすると、俺はどうすれば?」ヒソヒソ
大淀「もう色々手っ取り早く去勢しましょう」ヒソヒソ
提督「宦官かよっ!?」ヒソヒソ
提督「そこまでお国に忠誠を誓ってないわ」ヒソヒソ
提督「とったブツもどうすればいいんだよ。摩耶にでもプレゼントしろってか?」ヒソヒソ
大淀「ああ、喜ぶかもしれませんね?」ヒソヒソ
提督「なんてサイコパス」ヒソヒソ
提督「そこは”提督、セクハラですよ?”みたいなツッコミが欲しかったんだよ」ヒソヒソ
提督「なのに肯定するなよ怖いよ!?」ヒソヒソ
大淀「いや、それよりも今の状況のほうがよっぽどk」
翔鶴「先程からこそこそと、おふたりで何をお話していらっしゃるんですか?」
翔鶴「よければ私も混ぜてくださると嬉しいのですけれど」ニコッ
大淀「い、いや~、まだ通達がされてない極秘情報てきなアレなので、ちょっと……」
翔鶴「大淀さん?」
大淀「ひゃ、ひゃい」ビクッ
翔鶴「提督と仲が良いのは結構なことですか、少々態度がくだけすぎなのでは?」
翔鶴「一緒に働いている時間は長くとも相手は上官。そこに礼節があって然るべきでは?」
翔鶴「そんな風では秘書艦としての役割がまっとうできるか不安です」
翔鶴「どうでしょう、少し休暇を取って気分を一新してみるというのは?」
翔鶴「2、3日……いえ、日頃の疲れが取れるまで休んでいただいて結構ですよ」
翔鶴「この鎮守府には療養休暇、というものもありますから」
大淀(私に何する気ですか!? 長期治療が必要なほどの苦痛を与える算段をたててらっしゃるんですか!?)
提督「やーい怒られてやんのー」プークスクス
大淀(ぶっ◯ろされる前にぶっ◯ろしてやりましょうか、この男っ)イラッ
翔鶴「それで提督」
翔鶴「空母寮にいらしたということは、何かご用が?」
提督「ん、ああ。実はな」コホン
提督「今日はお前に会いに会いに来たんだ、翔鶴」キリッ
翔鶴「まあ。私に、ですか?」
翔鶴「嬉しいです」ニコ
提督「む、あまり驚いていないように見えるな」
提督「俺が空母寮に来るのは珍しいと思うが……」
提督(なんなら初めてくらいじゃないか?)
翔鶴「なんとなく、提督がいらっしゃるんじゃないかなと考えておりましたので」
翔鶴「“女の勘(GPS)“、というやつです」フフッ
大淀「えっ。いま、なんかとんでもねぇルビついてませんでしたか?」
翔鶴「それになにやらあちこちで売t……艦娘たちを訪ね回っていらっしゃったとか」
翔鶴「もちろんこれも“風の噂(盗聴)”で小耳にはさんだだけですが」
大淀「だからさっきから、物騒な振り仮名ふってませんか? ねえ???」
翔鶴「提督、私は悲しいです」ホロリ
翔鶴「何故最初に私の元へ来て下さらなかったのかと」
翔鶴「提督のためならこの翔鶴どんなことでも厭わないというのに」ヨヨヨ
提督「なにがなにやら分からないが、とにかく俺の行動が君を悲しませてらしいな」
提督「すまなかった。謝るから俺の胸を人差し指で“の”の字になぞるのはやめてくれないか?」
提督(超くすぐったいから)
翔鶴「分かりました。てわすらはやめましょう」スッ
提督「うん、それとねしなだれかかるのもやめてもらえるかな?」
翔鶴「それはできません」キッパリ
提督「よしっ、数行前のセリフを思い出そうか!」
提督「俺のためならどんなことも厭わないって言ってなかったっけ!?」
翔鶴「すみません、けれどどうしても許せないんです。この(他の女の)匂いが」スンスン
提督「え、匂い? 俺臭い?」クンクン
提督(女性の多い職場だから、風呂には毎日入ってるし、軍服には消臭剤、脇や足の裏には制汗剤つかってケアしてるつもりなんだけど)
翔鶴「とっても臭いです。プンプンです」
提督「プンプン、なのか……」
翔鶴「ええ、もう吐き気を催すほどに」
提督「い、いやぁ。それはいいすぎじゃ……」
翔鶴「いいえ!!」
翔鶴「本当の本当に臭くて死にそう!!!……というか殺してしまいたいくらいです(他の女どもを)」
提督「殺したいほどなのか(俺を)」
翔鶴「辛うじて理性を保っている自分を褒めてあげたいもの」ギリッ
提督「そ、そこまでなのか」ナミダメ
翔鶴「まさか(女たらしの)ご自覚がない?」
提督「(腋臭の)自覚? そんなものがあったらこうして平然君の前に顔を出してはいないよ……」
翔鶴「いつ(私の気持ちに)気づいてくださるのかと思っていましたが、やはり言わないと提督は分かってくださらないみたいですね……」
翔鶴「提督。この際ですから申し上げます」
翔鶴「私は提督が(他の女が会話していることすらも)許せないんです」
翔鶴「ですから金輪際(私以外の女性に)近づかないでくださいませんか?」
翔鶴「約束していただけないと、私もう(嫉妬で)どうにかなってしまいそうなんです。狂ってしまいそうなんです」
翔鶴「だからどうか今後は(他の女と)半径3m以内に近づかないでください」
翔鶴「お願いします」
提督「」ナミダメ
大淀「あ、あの翔鶴さん?」
大淀「そのへんにしてさしあげていただけると……」
提督「……帰る」
大淀「え?」
提督「ぼくもうお家帰るぅ~」ビューン
大淀「……えぇ」ドンビキ
大淀(大の大人が泣きべそかいて走り去ってった)
大淀(と言うか翔鶴さんは完全に誤解されたと思うんですが、大丈夫なんでしょうか?)チラッ
翔鶴「……流石私の提督、グズグズの泣き顔も素敵だったわ」ウットリ
大淀「……」
大淀「まあ最初から大丈夫じゃないから大丈夫ですね」タニンゴト
大淀「では翔鶴さん、瑞鶴さん。私もあの人を追いかけるので、失礼しますね」ペコリ スタスタ
瑞鶴「……」ズキズキ
瑞鶴「……」チラッ
翔鶴「うふふ」コウコツ
瑞鶴「……」ズキズキ
瑞鶴「……」ゴソゴソ
胃薬ビン「」カラーン
瑞鶴「……」ズキズキ
瑞鶴「……胃薬買いに行こう」ズキズキ
-鎮守府廊下-
大淀「さてと、どこにあの人はどこに行ったのやら」
大淀「落ち込むと暗くてジメジメした所に隠れるクセがありますからね、あの人……」
大淀「艦娘達の洗濯物の中に隠れていた時は、憲兵さんに突きつけてやろうかと思いましたが……」
大淀「……」
大淀「……ランドリーから探しますか」
-鎮守府ランドリー-
提督「」シクシクシクシク
大淀「……居やがりましたよ、あの人」
大淀「性懲りもなく洗濯物の中に埋もれてやがりましたよ、あの変態」
大淀(本当にいるとは思わなかったですが……)
大淀(いて欲しくはなかったですが……)
大淀(今日こそ憲兵に突き出してやります!……と言いたいところですが)
大淀(傷心しているところですし、とっとと適当に励まして業務に戻って貰いましょうか)ハァ
大淀「ていとk……」
???「なにしてるんですかぁ~提督ぅ~?」
大淀「!」サッ
大淀(つい隠れてしまったけど、あれは……)
提督「洗濯物を通じて艦娘達の温かみを感じていた」シクシクシク
龍田「ごめんなさい~、説明をされても意味が分からなかったわ~」
大淀(龍田さんですね)
大淀(隠れて少し様子を見ましょう)コソコソ
提督「どうも俺はおまえら部下(艦娘)に心底嫌われているようなのでな」
提督「せめてもと艦娘達の洗濯物と親睦を深めていたんだ」シクシク
提督「少なくともこいつら(洗濯物)は俺を罵倒しないし、俺に温もりを与えてくれるからな!」
龍田「人の洗濯物に勝手に温もりを求めないでくださいね~」
龍田「というか洗濯物の中なんて冷たくありません?」
提督「せんべい布団も入っているとじんわりあったかくなるだろう?」
龍田「なんだろう、分かりやすいけど全然共感できないわ~。というかしたくないわ~」
提督「それに、脱ぎたてなら最初から人肌にはあったかい」フンス
龍田「ま、まあそれはそうでしょうけれど~……」ヒキッ
提督「それで龍田はここに何をしに?」
龍田「ランドリーに来たんだから、それは勿論洗濯物を出しによぉ」
龍田「遠征で潮風をたくさん浴びたから、べとべとで~」
龍田「この後天龍ちゃんとお風呂に行くの~」
提督「そうか」
龍田「ええ」
提督「……」
龍田「……」
提督「早く出したらどうだ?洗濯物」
龍田「今は止めておくわ~」キッパリ
提督「そうか……」ションボリ
龍田(なんてあからさまに残念がっているのかしら……)
提督「……」
提督「なぁ、龍田」
提督「俺って臭いのかな」
龍田「深刻な顔で相談を持ちかけた風ですが、せめて洗濯物から出てからにしたらどうですか~?」
龍田「洗濯物の山から首だけ出してるの、ものすごくシュールなんですけれど~」
提督「それで、どうなんだ?」
龍田「う~ん。提督のことを臭いと思ったことはないけれど~」
提督「本当か?」
龍田「ええ」
提督「……」
提督「だったら目を見て言ってくれないか?」
龍田「えっ」ギクッ
提督「さっきから俺から目線を反らしたままじゃないか」
提督「なぜこっちを見ない?」
提督「今日だけじゃない。お前は俺と話すときいつも俯きがちだったり、そっぽを向いているな」
提督「そんなに俺が嫌いか?」
提督(やはり臭いか? 臭いなのか?)
龍田「そ、それは……」オドオド
龍田(どうしようかしら~)
龍田(提督が格好良すぎて照れちゃうから、直視できません。なんて死んでも言えないし~)
提督「はぁ」ドンヨリ
龍田「……あ」チラッ
龍田(提督があからさまに落ち込んでるわ~)
龍田(どうしましょう、どうにかして励ましてあげたいけれど……)
龍田「……っ」
龍田「……」スーハー
龍田「て、提督?」
提督「ん?」
龍田「えいっ」ギュッ
提督「た、龍田っ!?」アタフタ
提督「やめないか、おっさん臭が移ってしまうぞ」ワタワタ
龍田「提督は臭くないわよっ」
提督「えっ」ピタッ
龍田「提督は臭くないわ」
龍田「私は提督の匂い、提督のことがすk……嫌いじゃない、から……」ドキドキ
提督「龍田、君はまさか……」
龍田「……っ」ドキドキ
提督「おっさんフェチだったのか?」
龍田「もうっ」ポカッ
提督「あいたっ」
龍田「もうもうもうっ」ポカポカポカッ
提督「いたたたたっ」
龍田「謝ってください」
龍田(人が折角勇気を出したのに、こうやっていつも曲解してばかりして……)
提督「す、すまん龍田」
龍田「私、傷付いたんですよ」
提督「本当に、すまなかった」
龍田「……」
龍田「なんで私が傷付いたか分かって謝ってますかぁ?」
提督「そ、それは……」
龍田「とりあえず謝っておけば、なぐさめられると思っているだけじゃありませんか?」
提督「」ギクッ
龍田「どうなんです~?」
提督「……」
龍田「……」
提督「すまん」
龍田「……」ハァ
龍田「提督ぅ~そういうところですよ~」
龍田「もう少し、人の感情の機微を読み取れるようになった方がいいと思います」
提督「……善処する」
龍田「でも」
龍田「素直に謝れるところは提督の美点ね」クスッ
龍田「ねえ、提督?」
龍田「提督はみんなに嫌われてるとか言っていたけれど」
龍田「それはね、きっと照れているだけだわ」
龍田「罵倒も暴力も」
龍田「きっと照れ隠しで、キツく当たっているだけだと思うから……」
龍田「だからね、だからね……」
龍田「こんなことするのはとても恥ずかしいけれどっ」
龍田「でも提督にならできるし、提督に元気になって貰う為なら頑張れるのよ?」ギュー
龍田「だって、私も提督のことがすk・・・・・・大事な人だと思っているから」ドキドキ
提督「・・・・・・ああ」
提督「ありがとう龍田」
~~~~
提督「すぅーぴぃー、すぅーぴぃー」
提督「」パチンッ
提督「ふにゃ」パチッ
提督「ふぁ~あ」ノビー
提督(どうやらあのまま洗濯物と龍田の腕の中で眠りに落ちてしまったようだ)
提督(どれくらい時間が経ったんだろうか。ランドリーにはもう龍田の姿はない)
大淀「こんな所にいたんですか、何やってるんですかあなたはまったく」
提督「おまえか。いつからいたんだ?」
大淀「・・・・・・丁度今来たところですよ」
大淀「さあ、さっさと洗濯物の中から出てきてください」
提督「ほいほい」ムクリッ
提督「ところで、龍田を見なかったか?」
大淀「龍田さんですか?」
提督「ああ、実は先程龍田のおかげで心身共にリフレッシュできてな」
提督「お礼になるか分からないがこの指輪を・・・」
龍田「龍田さんなら先程すれ違いましたよ」
大淀「なにやらものすごい高笑いをしていらっしゃいましたが・・・・・・何かあったんですか?」
提督「へ、高笑い?」
提督「照れ笑いとかではなくて?」
大淀「ええ、アレは高笑いでした」
大淀「“えへへ”とか“うふふ”とかではなく“おーっほっほっほっ”という感じてした」シレッ
提督「ということはまさか・・・・・・」タラリ
大淀「よく分かりませんが一杯食わされたんじゃないですか?」
提督「なん、だと」
提督「くそっ、結局龍田も俺のことををおちょくりやがったのかっ」
提督「どうりでおかしいと思ったんだ」
提督「みんなが照れ隠しで俺にキツくあたってるだとか・・・・・・」
提督「ウチの艦娘達に、そんな可愛げがあるなんて一瞬でも思ったのがバカだったんだ」
大淀「なんですか、ディスってるんですか、ブチのめしますよ?」
提督「はぁ・・・・・・」ドヨーン
大淀「・・・・・・まあ、嘘なんですけどね」ボソッ
大淀(他の娘にデレデレ罰です)プイッ
提督「ん、何か言ったか?」
大淀「その首に巻いてるの私のソックスを返してくださいって言ったんですよ!!」グッ
提督「」オエッ
-再び鎮守府廊下-
大淀「まったく」
提督「けほけほっ」
提督「おまえどれだけ強く引っ張ったんだよ・・・・・・まだ喉がヒリヒリするんだが・・・・・・」
大淀「別にそこまで強く引っ張ったつもりはありませんが?」
提督「・・・・・・この馬鹿力が」ボソッ
大淀「聞こえてますよ」
大淀「あなたがひ弱なだけです、訓練生から出直してきては?」
提督「なにを~」
???「執務時間中に随分と楽しそうじゃない」
満潮「司令官?」
提督「げ」
満潮「“げ”だなんて、随分なご挨拶ね」
大淀「お疲れさまです。満潮さん」
満潮「ええ、お疲れさま」
提督「ご、ご苦労満潮。元気そうで何よりだな」
満潮「あんた、大淀に迷惑かけてないでしょうね?」
提督「会ってそうそうそれかよ。他にもっとこう、いい言葉はなかったのか?」
満潮「ばか、あほ、クズ」
提督「ないならないで雑な罵倒浴びせるの止めてくれない? すごくすごく傷つくから」
満潮「で、どうなのよ?」
提督「も、もちろんかけt」
大淀「ましたよ勿論」ハァ
提督「ばっ、おまえっ」
満潮「知ってたわ勿論」ハァ
提督「満潮!?」
提督(こいつらは敬うという言葉を知らないのか!?)
大淀「満潮さんは今日の午後はオフでしたっけ?」
満潮「まあね。午前中は霞と一緒に遠征してたわ」
満潮「今はちょうどお昼時で食堂が混んでるから、空くまでの時間潰しに鎮守府内を散歩してたのよ」
提督「そういやもう昼か……」
提督「腹が減ってきたな」グゥ~
提督(食堂は混んでるとのことだし、部下を侍らせて鎮守府の外に食べに行くのもなぁ)
提督(と、なると)
提督「……」
提督「満潮、時間を潰していたと言ったな」
満潮「……ええ」
提督「だったらその時間、少し俺に貰えないだろうか?」
-居酒屋 鳳翔-
提督「邪魔するよ」ガラガラ
鳳翔「いらっしゃい提督」ニコ
提督「悪いな鳳翔。こんな時間に店を開けて貰って」
鳳翔「いえ、丁度夜の仕込みに店には居ましたから」
鳳翔「それに“いつでもいらしてください”と提督に言っていたのは私ですから」
提督「ありがとう鳳翔」
提督「優しくて料理上手で、鳳翔を嫁にもらう男は世界一の幸せ者だろうなぁ」
鳳翔「も、もう……っ///」
鳳翔「冗談は顔だけにしてください、提督///」
提督「……」グサッ
提督「お、おう……気をつけるよ」
提督(ショックで心停止しないようにな……)
鳳翔「それで……」チラッ
鳳翔「今日は珍しい組み合わせですね」チラッ
大淀「どうもです」ペコ
満潮「……」プイッ
鳳翔「大淀さんはともかく、満潮ちゃんまでだなんて」
提督「満潮とは、さっきたまたま廊下で会ってな」
提督「たまには日頃の働きを労ってやろうと連れてきた」
満潮「ふんっ」
満潮「“労う”だなんて、随分上からね。アンタそんなに偉いの?」
大淀「まあ、上官ですからね。偉いは偉いですね」
提督「そんなにピリピリするなよ。ココの会計は俺がもつからさ」
提督「鳳翔、今頼めるのは何がある?」
鳳翔「そうですね、親子丼なんていかがですか?」
提督「いいな、それを3つ……いや4つ頼もうか」
鳳翔「あら? もうおひとりいらっしゃる予定で?」
提督「いや」
提督「鳳翔、君も昼はまだだろう?」
提督「君と少しおちついて話したいことがあってな」
提督「よければ、一緒に食べてはくれないか?」
鳳翔「……っ」
提督「もちろんこれは上官としてではなくひとりの男としての俺のわがままだ」
提督「聞き入れてくれるだろうか? 無論、迷惑でなければだが……」
鳳翔「え、ええ、よろこんで!」
提督「ありがとう、鳳翔」ニコッ
鳳翔「~~~~~っ///」
鳳翔「て、手早く準備しますねっ///」カオマッカ
提督「急がなくていい、料理をする君を見る時間は全然苦じゃないからな」
鳳翔「/////////」
大淀「……」ジトー
満潮「……」ジトー
満潮「ところで」コホン
満潮「私に渡すものとかあるんじゃないの?司令官」
提督「ん?」
満潮「とぼけなくてもいいわよ」
満潮「もう全部知ってるんだから」
提督「……あー」ポリポリ
提督「まだ満潮には何も言ってなかったと思うんだが、彼女から聞いたのか?」
満潮「彼女……まあ、そうね」
満潮(聞いたっていうより聞こえてきたのよね)
満潮(廊下中に響く摩耶の泣き声が)
満潮(まっ、摩耶やほかの娘には申し訳ないけど)
満潮(選ばれるのは、司令官が鎮守府に着任したころから互いを支えあってきたのこの私よ)フフン
提督「そうだな……ちょうどいいタイミングかもしれないな」
提督「えっと、たしか内側の胸ポケットに……」ゴソゴソ
大淀「あのぅ……提督?」
大淀「多分、”アレ”を渡そうとしてるんでしょうけれど」
大淀「考え直した方がいいと思いますよ」
満潮(……む)
満潮「あら、大淀」
満潮「私が司令官に何か贈り物をされると何か困るのかしら?」
大淀「いえ……私は別に困らないといいますか」
大淀「むしろ私の勘が正しければ満潮さんが困るといいますか……」
満潮「困る?強くなれて困ることなんてないじゃない」
満潮「まあ、周りから司令官に特別扱いされてる娘みたいに見られるのはすこーし癪だけどね?」
満潮「本当は強くなれて司令官の顔を見なくて済むのが一番いいんだけどね?」
満潮「しょーがないから、と司令官と一緒にいるのは我慢してあげるわ」
提督「あったあった」
提督「ほら、満潮受け取れ」ピッ
満潮「封筒?」
提督「ああ」
提督「この中に君の望むものが入っている」
満潮「……」フリフリ
封筒「……」
満潮(物が入ってるってわけじゃなさそうだし、指輪ではないわね)
満潮(となると書類……私が喜ぶ貰って嬉しい書類となると……)
満潮「……っ」ピーン
満潮(ま、まままさかこれって結婚届!?)
満潮(ケッコンカッコカリどころかガチ結婚じゃない)ハワワワ
満潮「こ、これ本当なの?」
提督「ああ、正式なものだが?」
提督「ちゃんと俺の署名と押印もしてある」
満潮「やっぱなしはナシよ!?」
提督「当然だ」
提督「さあ、確認してくれ」
満潮「ええ!」ピラッ
辞令『朝潮型3番艦満潮ヲ第一特別戦隊へ任命シ、一ケ月ノ北方海域前線デノ特別任務ヲ命ズ』
満潮「」
提督「ふふふ、言葉に詰まるほど嬉しいか満潮」
満潮「な、なんなのよ……これ」プルプル
提督「ふむ」
提督「それは彼女から説明させるとしよう」パチンッ
???「提督」シュバッ
神通「川内型2番艦、神通。お側に」
満潮「なんでここに神通が」
大淀(というかどこから出てきたんですか。彼女)
提督「彼女……神通に聞いて辞令のことを知っていたんだろう?」
提督「どこまで聞いていたか知らないがな」
提督「では神通、改めて説明を」
神通「はい」
神通「提督は日頃から戦力強化と部下の態度について苦慮されておりました」
神通「そこで私が提督に北方海域での特別任務、端的に言えば強化合宿を進言したんです」
神通「上司への悪態は自己成長の渇望の現れ。そして、言葉の乱れは心の乱れ」
神通「であれば過酷な環境に身を投じることで心身ともに鍛え上げれば」
神通「この鎮守府の戦力は向上し、艦娘たちも精神的に成熟するのではないかと」
提督「それで、俺がその神通の提案を承認したというわけだ」
満潮「だからって、なんで私なのよ」
提督「それは俺がt……」
神通「メンバーは私の人選です」
神通「当然、私が提案したことですので」スッ
神通「貴女の提督への態度は目に余ります」
神通「個人的感情の前に、ここでは上官と部下」
神通「日本人としての礼儀礼節があまりに感じられませんので、ここで一度徹底的に鍛えておく必要があると考えたのです」
神通「勿論身体とともにね」
神通「それとも……」スッ
神通「提督から直接ご指名を受けたかったですか?」ボソッ
満潮「……っ……」
神通「錬度は並、そのくせ態度が悪い。そんな部下を手元にずっと置いておきたいと思う人間がどれだけいると思いますか」ボソボソ
満潮「う、うう……」
満潮「わ、分かったわよ……分かり、ました」
満潮「その任務、必ず遂行します」グスッ
大淀(……満潮ちゃん)
大淀(さっきまでご機嫌だったのに、今はこんなに悲しそうに)
提督「……」
提督「満潮、錬度はいくつだ」
満潮「……83、です」
提督「そうだな。そしてそれはこの鎮守府では高い方ではない」
提督「錬度99の娘たちも、もう何人もいるしな」
満潮「……ええ、そうね」
満潮「私より後から着任して、私より錬度の高い娘はたくさんいる」
満潮「それなのに、私は毎日遠征ばかりで……その遠征ですら旗艦にもなれずくすぶってるだけ」
提督「……満潮」
提督「悪かった」アタマサゲ
大淀「!」
満潮「……え?」
神通「……」
提督「俺はずっと勘違いをしていた」
提督「君は勇ましいけれど、本当は戦闘が嫌いで、傷つくことがとても怖いんじゃないかって」
提督「だから無理やり前線に送り込む俺のことが」
提督「戦場を知らずに後方でただ指示を出す上官が憎らしいんだと」
提督「だから最近は補給任務のような後方支援ばかり任せていたんだが……」スッ
提督「でも神通と話してようやく気が付いたよ」
提督「君が一番恐れているのは自分が傷つくことじゃない」
提督「自分の力不足で仲間が傷つくことなんだと」
満潮「司令官……」
提督「君が自分に自信が持てないのは、君の思いを酌むことができなかった俺のせいだ」
提督「組織の為に、意に沿わない任務を粛々とこなす君に甘えてしまった」
提督「上官失格だ。そりゃ……悪態もつきたくなるだろう」
提督「けど、悪態はついても命令には背いたことはなかった」
提督「それは、俺を信じてくれていたからなんだろう?」
満潮「そんなの……当り前でしょ」プイッ
提督「そうか……」フッ
提督「……」
提督「満潮」
提督「俺は強くなった君が、MVPを取る姿が見たい」
満潮「!」
提督「君が君自身をもっと誇れるようになって欲しい」
満潮「……」
満潮「……それでこの辞令ってわけ?」
提督「……辞令とは言っているが」
提督「これはただの俺の我がままだ。命令じゃない」
提督「断ってくれてもいい。まだ先方の責任者にはメンバーを伝えていないからな」
満潮「……バカね」クスッ
満潮(だらしなくて、不器用で、鈍感で、女たらしで)
満潮(そして、私の大好きな人)
満潮「朝潮型3番艦満潮」
満潮「北方海域前線での特別任務を謹んで拝命いたします」ビシッ
提督「ありがとう、満潮」
提督「君が強くなって帰ってくるのを待っているよ」
提督「とびっきりのプレゼントを準備してね」
満潮「プレゼントって、また変なものじゃないでしょうね……」
満潮(あっ)ピーン
満潮(練度向上の為の特別訓練、司令官のセリフ)
満潮(そして帰ってきてから渡すプレゼントってことは)
満潮(ま、まさか私に本当に指輪を渡そうとしてるってことじゃ……)ハワワ
提督「じゃあ満潮」
提督「明日から頑張れよ!」ニカッ
満潮「ええ!」
満潮「明日からみっちり鍛えて、練度99になって帰ってくるわ!」
満潮「ん」
満潮「え!?明日から!!」
提督「ああ」
提督「これも神通からの進言でな」
提督「思い立ったが吉日ということらしい」
提督「安心しろ。神通も満潮が自分に自信が持てるくらい強くなるまで骨の髄まで死ぬほど特訓してくれるとさ」
神通「はい!この神通厳しく徹底的に、骨の髄まで鍛え上げ」
神通「今のそのネガティブ思考な辛気臭い性根を叩き直して差し上げます」
神通「文字通り生死の境くらいは往復してもらうくらい、沈んでもおかしく無いようなメニューをこなして頂きますので!」
満潮「」
つづく
シリアスを挟まないように100%コメディーで頑張ります。
結構見切り発進なので、もし出して欲しい艦娘やシチュがあれば、コメントいただけると採用させていただくかもしれません(ただ、初期の方のキャラしか分からないのでご注意くださいませ)
2021/2/11 追記
いつも読んでいただきありがとうございます。
リクエスト制(安価?)のSSは初めてだったんですが、コメントいっぱいいただいて楽しく書かせてもらってます!
リクエストにお応え出来る艦娘について、どの辺りまで大丈夫なのか一応具体的に定義しておくと、艦これ改(PSVita)に出てくるキャラ+山風(好きなのでw)あたりまでは大丈夫です!参考までに!
なんだかこの鎮守府はみんなクセのあるキャラに仕上がっていて、中々筆の進みが鈍いですが、頑張って更新するのでこれからも応援して貰えると嬉しいです~
2021/3/24
最初は艦娘の洗濯物に埋もれて喜ぶような変態にする予定じゃなかった。それだけは信じてください。。。
2024/10/28
シリアスを入れないといったな、あれは嘘だ(迫真)
とても面白いので続きを楽しみにしています。金剛の様な直接好意を伝えて来る艦娘をどう脳内処理してるのか良ければ教えて下さい
→1さん
コメントありがとうございます!
この提督は、金剛などからのアプローチは社交辞令だと思っているので、「気を使えるいい娘たちだな」くらいの認識ですかね。
折角なので、摩耶の次は金剛を登場させてみようと思います!
始めて読みましたが、とても面白いです!是非、金剛のも見てみたいです!突然のリクエストになりますが、いいですか?金剛の次に、五航戦を出して欲しいです。表向きは優しそうでも、一言喋ると他の艦娘(空母除く)に対してかなり辛辣で、駆逐艦に至っては一隻も名前を覚えないレベルで嫌ってる(見た目の幼さや遠征などの利便さ含めて優しく貰ってるのが許さない嫉妬)、提督が瑞鶴と喋っても妹に対して舌打ちする位とことん提督好きだけど素直になれなくて、殺意レベルで嫉妬深くて一度不機嫌になると周囲に迷惑八つ当たりをかけるほど意地っ張りを拗らせて欲しいです!瑞鶴はそんな翔鶴の理解者かつ叱れる存在であり、フォローが滅茶苦茶上手な艦娘で一番に胃を痛める苦労人キャラ(提督の悪意あるセクハラ以外爆撃をしない)の設定でお願いします!
3です。
好きだけど素直になったら死ぬと思う嫉妬深く意地っ張りなのを翔鶴、大淀と同じ提督の味方でフォロー上手の胃を痛める程の苦労人を瑞鶴でお願いします。言葉が足りずすみません!
続きを…書くのです…
→3さん
リクエストありがとうございます!
自分では中々思いつかない設定だったので、是非書かせてもらえればと思います!
しばしお待ち下さいませ~
これは神作品の予感です!!自分もリクエストお願いします。キャラクターは龍田で、言ってる事は怖めだけど本当はすっごくピュアな恋する女の子で、提督と目が合っただけで顔を赤くする位の恥ずかしがりでお願いします。本当はもっと近づきたいけど、恋する女の子特有の恥ずかしさと龍田が関与した過去のトラウマ(友鶴事件など)で提督を失わないかという不安から、あえて遠ざける事を言ってしまうという性格でお願いします。とても寒い時期ですが、体を壊さないように勉学に励んでください!
→7さん
リクエストありがとうございます!
すごくいい設定なので、かわいい龍田に書けるよう頑張ります!!
(体調も気をつけますね)
→かむかむレモンさん
鋭意執筆中なので、温かい目で更新を見守っていただければ……
この作品の他にも、ヤンデレ時雨SSなど自信作もいろいろあるので、よろしければ是非!!(ステマ)
リクエストいいですか?満潮と神通をお願いします。
何か不満げなことを言う度にニブチンな提督に「だったらほかの鎮守府へ異動するか?」と言われ、挙句に「そんなに自信が無い事を言ったら辛気臭くなって皆の士気が下がってしまう。だから、お前に強くなって欲しくて神通に特別訓練を頼んだ。安心しろ、彼女も喜んで受け入れてくれた。満潮が自信持てるまで骨の髄まで粉砕して死んでも訓練するって張り切ってたからな!良かったな!」と悪気なく言う提督、地獄の訓練に泣きながら連行される満潮、提督に頼られたからには!と張り切って死なせてでも扱く人殺し教官の神通、同情してしまう大淀をお願いします(笑)
出来ればほしい台詞で、
大淀「提督…少しは彼女の気持ちを理解してあげないと駄目ですよ…何ですかこの鈍すぎるすれ違いっぷり…アンジャッシュじゃないのに…(頭抱える)」
提督「え?(キョトン)」
神通「はい!満潮ちゃんが死ぬまで厳しく、徹底的に、骨の髄まで!この神通が自信持てる位辛気臭い性根を叩き直します!さあ満潮ちゃん、行きましょう。大丈夫ですよ、私も敵となって貴女を沈める気で訓練をします!勿論手加減はしません!提督、期待して下さい!満潮ちゃんを更生させますね!」
満潮「嫌!神通さんに殺される!司令官の馬鹿ぁー!!」
→10さん
リクエストありがとうございます!
セリフまで考えていただいたので、がんばって組み込んでみようと思います!!
これは…期待せざる終えません
瑞鶴ヲ求ム ( `・ω・´)
面白いです!吹雪を出来ればお願いいたします。
→たぴおさん
ありがとうございます!
頑張ります~
→14さん
コメントありがとうございます。瑞鶴も出したいと思ってます!
→多聞丸さん
ありがとうございます!吹雪は最初から出そうと思ってたので、どんな登場をするか楽しみにして頂ければと思います!!
面白い...面白い...
加賀さんが気になりました!瑞鶴をさん付けするのは珍しいと思ったら、苦労人キャラだからなんですね…!リクエストになりますが、そんな苦労人瑞鶴の良き理解者枠で、瑞鶴のことで相談に来る加賀さんをお願いします!
内容→瑞鶴に長期休暇を与えて欲しい。翔鶴のせいで胃薬とケッコンしたらと思うと痛々しくて見ていられない。翔鶴は翔鶴で理不尽と駆逐艦嫌いを貫いてて、その度に瑞鶴がフォローしないといけないから。しかも二航戦も変人過ぎて癖が強くてそっちのフォローにも回らないといけないから、これは何がなんでも休ませたい!一度翔鶴から離さないといつか瑞鶴が死ぬ!
←タウイ泊地の大将提督さん
ありがとうございます!楽しんでもらえて幸いです~
村雨も出してあげたいと思います(結構前が詰まってますが……)
←18さん
加賀さんいいですね、後日談とかでそういう話も書いてみたいです!
(ただ瑞鶴がいないと、他の艦娘がヤバそうですけどね……)
二航戦いいでしょうか?かなり癖が強すぎて、一航戦でさえも手に負えないレベル(飛龍→相手を滅茶苦茶煽って自滅させる、蒼龍→地球一周回っても理解出来ない趣味。2人ともあの長門と加賀が頭を抱えてるレベルで艦娘から恐れられてる。瑞鶴の胃痛の元凶その2)で、提督からは「何を考えてるか分からない、武闘派のダブル首領パッチ」と恐れられている。
ちょっと病み気味の翔鶴さんいいですねぇ…
曙を希望します(瑞鶴と同じ胃痛持ちの苦労人ポジション)駆逐艦にとても厳しくて、泣くまで暴言吐きまくる鬼軍曹阿武隈と提督が絡むと腹黒でしたたかになる潮に挟まれて悩む役でお願いします!提督の味方で理解者だけど、それが災いになって二人から睨まれてしまって、どうすればいいのかと悩みを打ち明けるシチュエーションでお願いします!
体調が悪いのかなー?