第1巻 第221話 ラーメン
2017年10月22日(日) AM:10:00
千棘 「楽ーー!
早く、ラーメン巡りに行くわよーー!」
楽 「へいへい。
しかしまさか、昨日のデートは俺に任せて、
今日のデートはお前に任せるとは言ったが、
凡矢理中のラーメン屋巡りになるとはな………。」
千棘 「いいじゃない!
今日は全額私のオゴリなんだから、
あんたは黙ってお腹いっぱい食べなさい!」
楽 「はぁ!?
全額オゴリ?お前が?
熱でもあるんじゃ………。」
千棘 「うっさいわね!
私もキリオのUNIQLO(ユニクロ)でバイトしてるから、
私だってそのくらいのお金は自分で用意出来るわよ!
それに………私はあんたの彼女なんだから、
いつもあんたにエスコートして貰ったり、
奢って貰ったり、
プレゼントして貰ったりでばっかじゃあ、
悪いじゃない………。」
楽 「そ、そうか…….…。」
楽 (高校時代なら、こんな事有り得なかったのに。
コイツやっぱ、大分変わったな………。)
来来亭(らいらいてい) 凡矢理店
千棘 「まずは、味噌ラーメン、
大盛り一丁ーー!」
店員A 「はいよーー!」
楽 「おいおい、いきなり大盛りかよ。
これから何店も回るのに、
お前はともかく、俺はそんなに食えねーぞ………。」
レオン 「それは心配ないよ、楽。」
楽 「あっ、レオン?」
楽が自分の食べられる量を心配していると、レオンが星匣(ほしはこ)から出て話かけてきた。
レオン 「昨日、溺れた千棘ねえを
助けた時、星体技(せいたいぎ)で肺活量を強化したでしょ?
強化できるの内蔵は何も肺だけじゃないんだよ。
胃を星の光で強化すれば、
食べて、エネルギーを貯めれる量も何倍にもなるし、
消化も大分早くなるんだ。」
楽 「あっ!そうか!」
レオン 「楽、君の太陽の光を、
お腹の胃の一点に集めるイメージだよ。」
楽 「分かった、やってみるぜ!」
楽 「はあっ!」
ボウッ
楽は、自分の胃に星の光を集めるイメージをした。
楽 「………確かに、星の光は胃に集まったみたいだけど、
それ以外、なにも変わった気がしねーぞ?」
レオン 「………楽、ラーメン試しに食べてみなよ。」
楽 「ん?ああ………。」
ズズッ
楽は自分の味噌ラーメンを食べ出した。
楽 「おおっ!
食っても食っても、全然腹一杯ならねーぞ!?」
レオン 「でしょ?
今のキミは、普段の3〜4倍の量を食べれる筈だよ。」
楽 「サンキュー、レオン。
これで、千棘と今日一日、ラーメン食べ歩きデートを楽しめるぜ!」
レオン 「良かったね、楽。」
ズズ………
千棘 「ねーねーシルフ、
星の光で食べれる量増やすの、
私も出来るの?」
千棘はシルフに話し掛けた。
シルフ 「………もちろん出来るけど、
あんたはやめといた方がいいと私は思うわよ。」
千棘 「え?なんで?」
シルフ 「だってあんた、
普段から誰よりも大食いじゃ無い。
そんなあんたが星体技(せいたいぎ)で胃の強化なんかしたら、
多分食欲がとんでもない事になるわよ。」
千棘 「あっ!そっか………。」
アハハ………
楽 「………多分、凡矢理中のラーメン屋が、
品切れになるんじゃねーのか?」
千棘 「うっさいわね!」
ごまめ屋 凡矢理店
千棘 「さーて、次はこのお店よ………ん?」
小咲 「あれっ?千棘ちゃんに………
一条君?」
楽 「小野寺?それと………。」
弥柳 「ん?確か小野寺さん家で、
あの電撃グラサンの水星ガニと戦った後に来た………」
楽と千棘がごまめ屋に入ると、
店内で小咲と弥柳 蓮と出くわした。
楽 「小野寺も、この店に来てたのか?」
小咲 「うん。
弥柳くんが、大学祭の出し物を一緒にやってくれたお礼にって………。」
千棘 「小咲ちゃん、
その人確か、この前パピヨンコクーンから小咲ちゃんを守ってくれた人よね?」
小咲 「うん。
私の大学の友達の、弥柳 蓮くんだよ。」
弥柳 「………なあ、小野寺さん。
あんた、高校の友達と学祭を回るって言ってたよな。
その友達って、もしかして………」
小咲 「うん。
この一条君達だよ、弥柳くん。」
弥柳 「………へえ、意外だね、
マフィア界の星神なんて、
戦いにしか興味無いやつばかりだと思ってたぜ。」
楽 「?それ、どういう意味だよ?」
弥柳 「ああ、いや。
何でもない。
気を悪くしたなら謝る。
あんたの事は、小野寺さんの店で会った時から、悪い奴では無いと思ってたからな。」
楽 (何だコイツ………?
京都で会ったあの風間(かざま)って奴と同じで、星神が嫌いなのか?
自分も星神の癖に………。)
千棘 「あ!そうだ小咲ちゃん、
私、いい事思いついちゃった!」
小咲 「えっ?
なに?千棘ちゃん………。」
千棘 「私、今楽と2人でラーメン食べ歩きデートをしてるのよ。
でも、私前からラーメンはたくさん食べて来たから、
普通に食べるだけじゃつまんないから、
小咲ちゃん、私と大食い競争しない?」
楽 「おいおい千棘、
小野寺がそんな………」
小咲 「私は別にいいよ、千棘ちゃん。」
楽 「いいのかよ!?」
千棘 「それじゃあ行くわよ?
おじさん、醤油ラーメン2つ!」
店員B 「あいよー、まいどありーー。」
そして、勝負は始まり………
千棘 「ガツッ、ガツッ!
うーん、味噌も良いけど、醤油ラーメンも美味し〜〜♪」
楽 「相変わらず、ホント良く食うなコイツ………。」
小咲 「私、もうお腹いっぱいになって来ちゃった………。」
そして………
楽 「小野寺2杯、千棘5杯、
千棘の勝ちー。」
千棘 「やったぁ!」
小咲 「うーん………もう、食べられないよ………。」
弥柳 「あり得ない………
あんな細い体のどこにあの量が………。」
楽 「な、すごい食欲だろ?
俺の彼女。」
千棘 「なっ!
人を欠食児童(けっしょくじどう)みたいに言わないでよ!」
楽 「とにかく、小野寺、
付き合ってくれてありがとうな!」
千棘 「バイバイ小咲ちゃん、楽しかったよ!」
タタッ
楽と千棘は、店を後にした。
小咲 「うぅ〜〜。
お腹いっぱい過ぎて、歩けないよ〜〜。」
弥柳 「………ほらよ。」
スッ
蓮は、小咲にタルトのような菓子を差し出した。
小咲 「えっ?これは………。」
蓮 「俺が調理した、
消化促進のタルトだ。
客が食べ過ぎた時には、いつもこれを渡してる。」
小咲 「あ、ありがとう………
弥柳くん………。」
ドキッ
小咲の礼の言葉に、蓮はドキッとした。
元祖台湾まぜそば はなび 凡矢理店
千棘 「さーて、次はこのお店よ!
………ん?」
万里花 「あら、楽様!」
楽 「橘!?」
千棘 「万里花?今度はあんた?」
万里花 「こんなところで楽様と偶然会えるだなんて、私(わたくし)、嬉しいですわ!」
ダキッ
万里花は、楽に抱きついて胸を楽の腕に押し付けた。
プニッ
楽 「ちょっ!離れてくれよ橘!
こんな公衆の面前で!」
千棘 「こらーー!
万里花、あんた人の彼氏になにしてんのよ!
離しなさい!」
本田 「すいません。
一条さん、桐崎さん。」
千棘 「あっ、本田さん!」
楽 「………ども、お久しぶりです。
今日も、橘の護衛ですか?」
本田 「もちろんです。
万里花お嬢様を護衛するのが、
私の務めで、生き甲斐です。」
千棘 「それで、
万里花あんた、こんなところで何してるのよ?」
万里花 「最近、予備校でも家でも受験勉強続きでしたから、
たまにはこうして、ラーメンでも食べて息抜きしてるのですわ。」
楽 「なんだよ、またただの偶然か………。」
万里花 「常に目の前の事に努力してる私(わたくし)は、
たまには休息も必要なのですわ。
どこかの、楽様が付き合ってくれてるからって、
遊んでばかりのゴリラさんとは違って。」
千棘 「何ですって!?」
楽 「まあまあ、ケンカするなよお前ら………。」
千棘 「あんたは黙ってなさい!」
楽 「はい……………。」
千棘 「………万里花、あんたとはそろそろ、
次の勝負をしなきゃって思ってたのよ。」
楽 「ちょ、何する気だよお前?」
千棘 「万里花、私とここの台湾ラーメンを、どっちが早く食べれるか、早食い勝負よ!」
万里花 「望むところですわ!」
楽 「また変な事に………。」
千棘 「台湾ラーメン2つ下さい!」
店員C 「あいよーー。」
そして………
千棘 「ガツッ、ガツッ!」
万里花 「むぅ〜〜、桐崎さんたら、
食べるの早過ぎですわ!」
楽 「まあ、結果は見えてるけどな………。」
5分後
楽 「終了ー〜。
千棘の勝ち!」
千棘 「またまた、やったぁ!」
万里花 「ムッキィー〜、悔しいですわ〜〜!」
千棘 「フフン♪
そんな量も早く食べ切れないようじゃあ、
楽を魅了する体なんて作れないわよ?」
万里花 「ムゥ〜〜、調子に乗って〜〜、
この大食いメスゴリラ。
イライラするばい〜〜!」
千棘 「負け惜しみをいくら言われても、
痛くも痒くも無いわね、
じゃーねー♪」
楽 「じゃ、じゃーな。
橘、本田さん。
付き合ってくれて、ありがとな!」
タタッ
楽と千棘は、店を後にした。
万里花 「むむむ………。」
本田 「……………。」
第1巻 第221話 完
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