2019-05-19 14:39:42 更新

2017年10月22日(日) AM:10:00


千棘 「楽ーー!

早く、ラーメン巡りに行くわよーー!」


楽 「へいへい。

しかしまさか、昨日のデートは俺に任せて、

今日のデートはお前に任せるとは言ったが、

凡矢理中のラーメン屋巡りになるとはな………。」


千棘 「いいじゃない!

今日は全額私のオゴリなんだから、

あんたは黙ってお腹いっぱい食べなさい!」


楽 「はぁ!?

全額オゴリ?お前が?

熱でもあるんじゃ………。」


千棘 「うっさいわね!

私もキリオのUNIQLO(ユニクロ)でバイトしてるから、

私だってそのくらいのお金は自分で用意出来るわよ!

それに………私はあんたの彼女なんだから、

いつもあんたにエスコートして貰ったり、

奢って貰ったり、

プレゼントして貰ったりでばっかじゃあ、

悪いじゃない………。」


楽 「そ、そうか…….…。」


楽 (高校時代なら、こんな事有り得なかったのに。

コイツやっぱ、大分変わったな………。)



来来亭(らいらいてい) 凡矢理店


千棘 「まずは、味噌ラーメン、

大盛り一丁ーー!」


店員A 「はいよーー!」


楽 「おいおい、いきなり大盛りかよ。

これから何店も回るのに、

お前はともかく、俺はそんなに食えねーぞ………。」


レオン 「それは心配ないよ、楽。」


楽 「あっ、レオン?」



楽が自分の食べられる量を心配していると、レオンが星匣(ほしはこ)から出て話かけてきた。



レオン 「昨日、溺れた千棘ねえを

助けた時、星体技(せいたいぎ)で肺活量を強化したでしょ?

強化できるの内蔵は何も肺だけじゃないんだよ。

胃を星の光で強化すれば、

食べて、エネルギーを貯めれる量も何倍にもなるし、

消化も大分早くなるんだ。」


楽 「あっ!そうか!」


レオン 「楽、君の太陽の光を、

お腹の胃の一点に集めるイメージだよ。」


楽 「分かった、やってみるぜ!」


楽 「はあっ!」


ボウッ


楽は、自分の胃に星の光を集めるイメージをした。


楽 「………確かに、星の光は胃に集まったみたいだけど、

それ以外、なにも変わった気がしねーぞ?」


レオン 「………楽、ラーメン試しに食べてみなよ。」


楽 「ん?ああ………。」


ズズッ



楽は自分の味噌ラーメンを食べ出した。


楽 「おおっ!

食っても食っても、全然腹一杯ならねーぞ!?」


レオン 「でしょ?

今のキミは、普段の3〜4倍の量を食べれる筈だよ。」


楽 「サンキュー、レオン。

これで、千棘と今日一日、ラーメン食べ歩きデートを楽しめるぜ!」


レオン 「良かったね、楽。」


ズズ………



千棘 「ねーねーシルフ、

星の光で食べれる量増やすの、

私も出来るの?」



千棘はシルフに話し掛けた。



シルフ 「………もちろん出来るけど、

あんたはやめといた方がいいと私は思うわよ。」


千棘 「え?なんで?」


シルフ 「だってあんた、

普段から誰よりも大食いじゃ無い。

そんなあんたが星体技(せいたいぎ)で胃の強化なんかしたら、

多分食欲がとんでもない事になるわよ。」


千棘 「あっ!そっか………。」


アハハ………


楽 「………多分、凡矢理中のラーメン屋が、

品切れになるんじゃねーのか?」


千棘 「うっさいわね!」



ごまめ屋 凡矢理店


千棘 「さーて、次はこのお店よ………ん?」


小咲 「あれっ?千棘ちゃんに………

一条君?」


楽 「小野寺?それと………。」


弥柳 「ん?確か小野寺さん家で、

あの電撃グラサンの水星ガニと戦った後に来た………」



楽と千棘がごまめ屋に入ると、

店内で小咲と弥柳 蓮と出くわした。


楽 「小野寺も、この店に来てたのか?」


小咲 「うん。

弥柳くんが、大学祭の出し物を一緒にやってくれたお礼にって………。」


千棘 「小咲ちゃん、

その人確か、この前パピヨンコクーンから小咲ちゃんを守ってくれた人よね?」


小咲 「うん。

私の大学の友達の、弥柳 蓮くんだよ。」


弥柳 「………なあ、小野寺さん。

あんた、高校の友達と学祭を回るって言ってたよな。

その友達って、もしかして………」


小咲 「うん。

この一条君達だよ、弥柳くん。」


弥柳 「………へえ、意外だね、

マフィア界の星神なんて、

戦いにしか興味無いやつばかりだと思ってたぜ。」


楽 「?それ、どういう意味だよ?」


弥柳 「ああ、いや。

何でもない。

気を悪くしたなら謝る。

あんたの事は、小野寺さんの店で会った時から、悪い奴では無いと思ってたからな。」


楽 (何だコイツ………?

京都で会ったあの風間(かざま)って奴と同じで、星神が嫌いなのか?

自分も星神の癖に………。)


千棘 「あ!そうだ小咲ちゃん、

私、いい事思いついちゃった!」


小咲 「えっ?

なに?千棘ちゃん………。」


千棘 「私、今楽と2人でラーメン食べ歩きデートをしてるのよ。

でも、私前からラーメンはたくさん食べて来たから、

普通に食べるだけじゃつまんないから、

小咲ちゃん、私と大食い競争しない?」


楽 「おいおい千棘、

小野寺がそんな………」


小咲 「私は別にいいよ、千棘ちゃん。」


楽 「いいのかよ!?」


千棘 「それじゃあ行くわよ?

おじさん、醤油ラーメン2つ!」


店員B 「あいよー、まいどありーー。」



そして、勝負は始まり………



千棘 「ガツッ、ガツッ!

うーん、味噌も良いけど、醤油ラーメンも美味し〜〜♪」


楽 「相変わらず、ホント良く食うなコイツ………。」


小咲 「私、もうお腹いっぱいになって来ちゃった………。」



そして………


楽 「小野寺2杯、千棘5杯、

千棘の勝ちー。」


千棘 「やったぁ!」


小咲 「うーん………もう、食べられないよ………。」


弥柳 「あり得ない………

あんな細い体のどこにあの量が………。」


楽 「な、すごい食欲だろ?

俺の彼女。」


千棘 「なっ!

人を欠食児童(けっしょくじどう)みたいに言わないでよ!」


楽 「とにかく、小野寺、

付き合ってくれてありがとうな!」


千棘 「バイバイ小咲ちゃん、楽しかったよ!」


タタッ



楽と千棘は、店を後にした。


小咲 「うぅ〜〜。

お腹いっぱい過ぎて、歩けないよ〜〜。」


弥柳 「………ほらよ。」


スッ


蓮は、小咲にタルトのような菓子を差し出した。


小咲 「えっ?これは………。」


蓮 「俺が調理した、

消化促進のタルトだ。

客が食べ過ぎた時には、いつもこれを渡してる。」


小咲 「あ、ありがとう………

弥柳くん………。」


ドキッ



小咲の礼の言葉に、蓮はドキッとした。



元祖台湾まぜそば はなび 凡矢理店


千棘 「さーて、次はこのお店よ!

………ん?」


万里花 「あら、楽様!」


楽 「橘!?」


千棘 「万里花?今度はあんた?」


万里花 「こんなところで楽様と偶然会えるだなんて、私(わたくし)、嬉しいですわ!」


ダキッ



万里花は、楽に抱きついて胸を楽の腕に押し付けた。


プニッ


楽 「ちょっ!離れてくれよ橘!

こんな公衆の面前で!」


千棘 「こらーー!

万里花、あんた人の彼氏になにしてんのよ!

離しなさい!」


本田 「すいません。

一条さん、桐崎さん。」


千棘 「あっ、本田さん!」


楽 「………ども、お久しぶりです。

今日も、橘の護衛ですか?」


本田 「もちろんです。

万里花お嬢様を護衛するのが、

私の務めで、生き甲斐です。」


千棘 「それで、

万里花あんた、こんなところで何してるのよ?」


万里花 「最近、予備校でも家でも受験勉強続きでしたから、

たまにはこうして、ラーメンでも食べて息抜きしてるのですわ。」


楽 「なんだよ、またただの偶然か………。」


万里花 「常に目の前の事に努力してる私(わたくし)は、

たまには休息も必要なのですわ。

どこかの、楽様が付き合ってくれてるからって、

遊んでばかりのゴリラさんとは違って。」


千棘 「何ですって!?」


楽 「まあまあ、ケンカするなよお前ら………。」


千棘 「あんたは黙ってなさい!」


楽 「はい……………。」


千棘 「………万里花、あんたとはそろそろ、

次の勝負をしなきゃって思ってたのよ。」


楽 「ちょ、何する気だよお前?」


千棘 「万里花、私とここの台湾ラーメンを、どっちが早く食べれるか、早食い勝負よ!」


万里花 「望むところですわ!」


楽 「また変な事に………。」


千棘 「台湾ラーメン2つ下さい!」


店員C 「あいよーー。」



そして………


千棘 「ガツッ、ガツッ!」


万里花 「むぅ〜〜、桐崎さんたら、

食べるの早過ぎですわ!」


楽 「まあ、結果は見えてるけどな………。」



5分後


楽 「終了ー〜。

千棘の勝ち!」


千棘 「またまた、やったぁ!」


万里花 「ムッキィー〜、悔しいですわ〜〜!」


千棘 「フフン♪

そんな量も早く食べ切れないようじゃあ、

楽を魅了する体なんて作れないわよ?」


万里花 「ムゥ〜〜、調子に乗って〜〜、

この大食いメスゴリラ。

イライラするばい〜〜!」


千棘 「負け惜しみをいくら言われても、

痛くも痒くも無いわね、

じゃーねー♪」


楽 「じゃ、じゃーな。

橘、本田さん。

付き合ってくれて、ありがとな!」


タタッ



楽と千棘は、店を後にした。


万里花 「むむむ………。」


本田 「……………。」


第1巻 第221話 完


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