兵器に成り下がった男と艦娘
兵器………それは対象者を排除する為に作られた心の無い殺人兵器、殺人と殺戮の最悪な兵器
一人の男…彼は皆から兵器、そう言われていた
だが彼はどうでもよかった―――
実際に彼は今目の前の対象者を殺すだから自分自身兵器そう思っていた―――
本作品はオリジナルキャラを主軸とした艦隊これくしょん―艦これのssです。
独自の世界線や設定が数多くあります。
誤字、脱字、日本語のおかしな所が多くあります。もしかしたら他の方のssと類似している場面があるかもしれません。
現在作者が受験で満足な更新、修正が不可能です。
それでも良い方は最後まで是非楽しみながら読んでいってください!
「なんで…鎮守府近海に戦艦レ級なんているの……」
今、私達の目の前にいるこの深海棲艦の艦隊の旗艦【戦艦レ級】は私の仲間に主砲を向けニタニタと笑いながら引き金を引こうとしていた
仲間は皆、大破、中破で大破の艦娘は艦娘と艤装の接合部分から火花がバチバチと飛び散り、艦娘自身が海に横倒ってしまい動けれない状態だ
中破の艦娘も動けばするものの艤装がめちゃくちゃに壊れており攻撃はできなきだろう
そんな私は小破だがあと一撃で中破になってしまうほど深刻なダメージを受けていた
私達の目の前に居る無数の深海棲艦とゆう未知の生物
彼らは数十年前突如として日本海域を中心に世界各国の海域に現れ、人類に攻撃してきた謎の生命体だ
彼らは人形や、鯨のような形など色々あり、人形の深海棲艦はぱっと見では人間と大差無い…だけど、左右にある禍々しい主砲がその人間味のなさを与えてくる
私達は艦娘と言ってこの深海棲艦を倒す……いや殺すために作られた言わば兵器だ
私達艦娘は大日本帝国海軍艦通称【艦】を人間化――擬人化した物だ
私達艦娘はその艦の力を使い深海棲艦を殺していく
だがそんな私の艦隊は………
仲間は皆大破、中破であり今目の前の敵を殺したとしても無事に生還できるか分からないほど私の艦隊は大打撃を受けていた
鎮守府からの増援要請の使用を求めたが、鎮守府近海とはいえ距離が離れているので少なくとも後10分は掛かる。
そしてこんな戦況で10分も耐えきるのは到底できない
現在私……旗艦川内型軽巡洋艦一番艦川内私ができるのは…
囮だ―――
できる限り敵を引きつけ皆から離れ、少しでも時間を稼ぐ。これしか皆が生き延びる道はないと思った。それに私が囮になっても皆が逃げれるかは分からない、だが可能性がある方法はこれしか思いつかなかった。
他にも方法少なからずはあるだろう。
例えば提督からの指示を待ちそれまで皆を援護する。だが、さっきの増援要請のとき少しばかり通信設備におかしな音が混ざっていた。多分深海棲艦が妨害電波でも発信しているのだろう。その証拠としてソナーが作動していない。
これだともう提督との通信は不可能と思っていいだろう。
皆――提督―――
「ごめん」
まずは戦艦レ級の顔に主砲を打つ
ニヤニヤ笑っていた顔は私の砲撃を受けると私をその"青い瞳"で睨んできた
その瞳には明らかに怒っているであろう瞳で、その瞳だけでも物凄い殺意が感じ取れた
ヘイトを私が全力で貰う。
戦艦レ級の顔に命中すると案の定、戦艦レ級は怒り狂い私を血眼に追いかけ始めた。
旗艦である戦艦レ級が私を負い始めたから随伴艦の深海棲艦も私を追ってくる。
敵の数がなるべく少ない所に主砲と魚雷を突きつけ撃つ、これも深海棲艦のヘイトを上昇させて私だけを眼中にするためだ。少しだけ開いた隙間に突っ込み皆からなるべく離れた勿論敵が私を追ってくる。
「―――ッ!!」
後ろから仲間の声が叫び声が聞こえたがそれはきっと私に向けての声だろう。あまりよく聞こえなかったがそんな事を考えている暇はない
全神経を敵に集中しろ、敵を出来るだけ殺し私が囮になり私が犠牲となり仲間を助ける。その任務を遂行しろ
その時通信機器から珍しく怒鳴り声を上げている提督の音声が聞こえた
提督『川内、ガーー今そっちに送った!何とか持ちこギーーくれ!』
所々不審なノイズが混ざり詳しくは聞こえなかったがなんとなくで会話の内容は分かる
私はその声を聞き少しだけ苦笑いしながら…
川内「ごめんね…提督」
提督『お、おい、ガーー?』
川内「今から私が囮になる。深海棲艦は私を追いかけてくるから……私の命と引き換えに皆を助けてあげて」
聞こえているのか分からないが、最後くらい提督と話そう。
提督『っ…!おい、川内戻れ!命令だ!』
川内「ふふ……」
私は少しだけ笑うと通信機器を手で握りつぶし海にその残骸を捨てた。
川内「悪いけどそれは受け入れられないね」
最初で最後の命令違反…か………ははっ最後にしちゃ後味悪いな……でも、そんなこと考えている場合じゃない
味方の増援が来るであろう反対側に全速力で走った。本来なら味方の増援部隊の方に逃げるのが普通だろうが……皆の事を弱く見ているわけではないけど、今回の深海棲艦は今まで以上に強い……!いくら一軍が増援に来てもあの数を相手できるかどうか………
艤装の脚部部分のエンジンからバチバチと火花が飛び散ってきたが壊れようと関係ない、私は今から死にに行くのだ
皆は絶対に生還して――
「―――私の変わりに生きて」
――――――――――――
俺の目の前に居る深海棲艦―――彼女…いや女性かどうかは実際には分からないが彼女は人間からこう言われ、艦娘の間で恐れられていた
―――戦艦水鬼
駆逐艦や戦艦などの通常海域に出没する深海棲艦からの上位種である特定海域にしか出現しない姫級。
その更に上、危険海域ですらなかなか発見されない、現在確認されている深海棲艦の中でも最も強大で凶悪な存在、姫級の上位種や深海棲艦の頂点とも言われている存在―――鬼級
その鬼の中でもかなりの上位に君臨するであろう戦艦水鬼は見るにも無残な姿をしていた
本体である女性の黒いドレスは所々破れ、焼け切れボロボロになってとり、左側にある頭から生えている一本の角はへし折れている
艤装である筋骨隆々の四肢をもつ双頭の魔獣のような艤装は各部品である関節部分から明るい火花がバチバチと鳴らしており、一部の場所は燃え広がり暗い空に煙をたてていた
そんな目の前に居るのは艦娘―――では無い。
コイツはまず髪の毛が青白いそして瞳が青い、
腰には青い鞘がありすでに刀は抜かれている
その刀を見てみると今までで周囲にいた戦艦水鬼の随伴艦である深海棲艦の血が流れ刀の先端で海に落ち周囲を血の海に変えていた
戦艦水鬼「ガッ……ギッ……」
止せばいいのに後ろの艤装でコイツを撃とうとする。今の状態で撃てば、自分自身砲撃の反動で爆発し死んでしまう。そんな状態にも関わらず戦おうとするのはまぁ立派だろう
だが―――
?「―――【首狩】」
ソイツは優しくなかった
戦艦水鬼「ッ!」
首が暑い、首が痛い首が焼ける
そんな痛みをした瞬間戦艦水鬼は気づいた…自分の首から大量出血をしており息ができていないことに―――
その事が分かったとたんに艤装から大爆発をおこし、本体である女性を巻き込み見えなくなってしまい、爆発の影響で周囲を血の海から火の海へと一瞬にして変えた
周囲の火がソイツを写す
ソイツは戦艦水鬼と戦ったのにも関わらず体に傷跡や損傷が見受けられない。
普通の艦娘はどんなに経験を積んだとしても高練度でかつ強力な装備や主砲を付けようも、鬼級相手に単独、さらに無傷での討伐は出来ないだろう。いや単独で鬼級と戦ったら高確率で轟沈―――暗い海。すなわち死が待っている。
ソイツは―――艦娘でも無いソイツ、は何事も無かったかの様に周りを見渡し少々古い無線で誰かに通信した―――
?「―――これで周囲の深海棲艦は全滅したと思える。電探での反応が無くなったので、これで大本営に帰るぞ」
『そうかご苦労、敵の種類を教えてくれるか?』
?「戦艦水鬼1体空母ヲ級2体重巡ネ級1体駆逐艦イ級後期型2体…増援部隊が………」
『何、鬼級がいたのか大丈夫か?』
?「…あぁ」
『そうか…まあ、帰還してくれ』
?「あぁ」
『それと…』
?「……ん?」
『近くで横須賀鎮守府の艦娘が戦っているらしいから、できそうだったらすまないが、援護してやってくれ』
?「………分かった」
『ありがとう、それじゃあな』
ソイツは無線を懐にしまい込み刀を鞘にしまい込む。
周りを見渡しもう一度深海棲艦がいないかどうか確かめる。
周囲は深海棲艦の艤装や黒い装甲の欠片があちこちに散らばっており、さっきまで戦艦水鬼がいた場所には大きな炎と黒い煙が立ち上っていた。
ソイツの周囲の海は青い、綺麗な海ではなく
深海棲艦の血により赤く綺麗に染まり。
たった一人で深海棲艦の大軍を全滅させた悪魔を写し出した―――
――――――――――――
?「…ん?」
大本営に帰る途中に沢山の深海棲艦に追われている艦娘を見つけた。きっと"アイツ"が言っていた横須賀鎮守府の艦娘だろう
一人しかいず怪我をしていることから推測するに………
?「囮か…」
?「馬鹿なことを…」
?「………はぁ」
正直艦娘とは関わりたくなかった
だが深海棲艦を見つけてしまっては仕方ない相手を殺すだけだ。アイツにも言われたしな……
――――――――――――
川内「はぁ…はぁ…はぁ…」
どれだけ逃げただろう?皆はもうとっくに見えなくなった、追っては私の砲弾で少なくはなってきているがそれでも数が尋常じゃないほど多い。私の弾薬も尽きてしまった。
艤装を動かす燃料ももうすぐで無くなってしまう、そうなれば艤装は止まり私は私はただの動かない的になり、暗い深海へと沈んでいく
川内「…いやだ」
川内「死にたくない」
川内「まだ死にたくない」ボロボロ
川内「皆と笑って提督と喋って艦隊の皆と夜戦して…」ボロボロ
今更になって恐怖が込み上げてきた。艦隊の皆を助けるために自分で選んだ道なのに…それでも怖がってるってバカだよね……
本当は死にたくなかった………
だけど………ここまでにて生存できるなんて…ないよ…ね……
川内「え?」
そんな後ろ向きな考えからも少しでも時間を稼ぐために逃げようと前を向くと目の前には一人の男が立っていた
一瞬、ただの見間違いかと思ったけどよく見ればあれは男性だと一目でわかる
髪の毛が青白く、瞳が綺麗な青色だった手に一本の刀を持っており、何者かの血のような物が滴っていた
男と一瞬、目が交差した気がした―――
この男は私を見ていない、見ている方向から察するに……
私は目の前にいる男に呼びかけた
川内「私のすぐ後ろに深海棲艦がいる!早く逃げて…!」
何故男が海の上を立っているのか、色々な疑問が頭を過るがそんなことよりも逃げるようにと声をかけてしまった
だが、男は聞こえてないかのようにそのまま立っている
何故!?私の声が聞こえなかったのか?いや、この距離なら十分に聞こえていたはず…!
川内「まだ間に合う!私が時間を稼ぐから…!」
弾薬も燃料をほとんど無いのにどうやって時間を稼ぐのか……そんな考えは全く思いつかなかった、今考えているのは目の前にいる謎の男を逃がすことで頭がいっぱいだった
?「スゥ…」スッ
川内「えっ!?」
男が息を吸うと…いきなり目の前から居なくなったのだ
周囲を見回すと後ろから深海棲艦の叫び声?みたいなのが聞こえた
急いで後ろを振り返ると―――
さっきまで目の前にいた男が深海棲艦に突っ込んでさっきまで見当たらなかった銃を乱射していた―――
まずは敵空母に突っ込みで行く。空母は制空権を取られるなどかなり面倒くさくなるため基本、艦隊を組んでいるときでも空母を狙うのは艦娘の間では常識だ。随伴艦である駆逐艦の砲撃や魚雷を素早く避けがら敵空母に高速接近する。その速さは異様とすらいえるレベルで、駆逐艦島風よりもその数倍ぐらい速いレベルだ。このスピードで全ての攻撃を凌ぎ、避け、正確に適確に敵空母に攻撃を与えていく
男は敵空母を全員殺すと随伴艦である駆逐艦を殺そうとしたのか駆逐艦の方に体を傾けるとその瞬間に爆音が響いた
思わず目を背けてしまったが直ぐに男がいた場所に急いで目線を合わせる。
男がいた場所は炎と黒煙が立ち昇っており随伴艦であった駆逐艦であろう黒い物体が海に転々と浮かんでいた
あの爆発から推測するに戦艦レ級による砲撃だろう。戦艦レ級の砲撃は姫級にも匹敵するほどの高威力だ。その砲撃を諸に直撃すればいくら装甲の堅い艦娘でさえただでは済まない
見ると戦艦レ級は、口元に手を当て笑っていた。目は笑うかのような目で炎を消えていくのを笑いながら見届けている。
そして炎が収まり、黒煙がだんだんと晴れてきた
普通なら人間が戦艦レ級の砲撃に直撃なんてすれば原型すら留まらないにも関わらず男は何もなかったかのように立っていた
川内「なっ…!?」
レ級「ッ!?」
?「……レ級か…」
戦艦レ級の顔はさっきまでの笑い顔ではなく目を見開いていた。戦艦レ級本人でさえこの攻撃で死んだと思っていたのだろう。数秒放心してやっと周囲の深海棲艦に罵声を混ぜながら指示を出す。
が、それよりも少し早く男が動いた
敵空母の随伴艦であった駆逐艦は戦艦レ級による攻撃で轟沈している。残りは戦艦レ級、戦艦、重巡洋艦だけだ
男は重巡洋艦に目をつけたようで、全速力で重巡洋艦に近づく。戦艦レ級の指示を待たずに重巡洋艦が砲撃を始める。きっとこのままでは自分達が危ないと本能的に察知したのだろう…だが、全ての砲撃や魚雷は男にカスリ傷すら付かずに呆気なく表現のしようがない悲鳴や叫び声を上げながら沈んでいく
重巡洋艦の近くに戦艦がいてついでと言った感じにこれまたたった一本の銃でどんどん沈めさせていく。
艤装とすら言えない銃なのに深海棲艦を沈めさせていく男は私の目には異様だった
通常、深海棲艦による攻撃は艦娘のみだけできる。……………いや、艦娘ではなく艤装の力と言ったほうが正しいだろう。
艦娘の艤装は大日本帝国海軍の際に使用されていた軍艦を元にした物で、艦娘といえど艤装無しでは深海棲艦に傷一つすらつけることはできない。
だがあの男はどうだろう?
艤装らしい艤装といえばあの脚部に付いている物だけであって主砲や魚雷が見るからに無い
しかも艤装とは思えない銃で深海棲艦を殺していくことからますますあの男は謎だった
男が重巡洋艦と戦艦を沈み終えると突如高速移動し始めた、さっきまで男がいた場所が爆発する。
水中居たらしい潜水艦が魚雷を撃つが男は魚雷の位置を知っているかのような動作で正確に避け、水中に爆撃し、数秒後爆発音が聞こえる。
これで潜水艦は倒せただろう水中にも掛からわずこの音の大きさや振動からかなりの高威力と言える。
対潜水艦特化にして対潜水が得意な艦娘でもここまでの威力は到底出せないだろう
そしてついに深海棲艦は戦艦レ級たった一人になっていた
あそこまでの数の深海棲艦をたった一人で、しかも無傷で殺すなんて艦娘の大型艦の艦隊ですら到底できないだろう
戦艦レ級の笑いは消え、尻付近から生えている大蛇のような尻尾の先端にある艤装の主砲を男に向けながら固まっていた
本来のレ級からは全く想像できない姿だった
いつも無邪気にニヤニヤと笑っている笑顔……いや、狂気の笑顔は消え失せ、目の前にいる敵だけを視認して何とか威嚇している目だった
レ級「オマエ……ナニモノダ…?」
戦艦レ級が警戒しながらも男に喋りかける。
男は面倒くさそうな顔をしながらも確かに答えた
?「………兵器だよ」
レ級「………エ?」
?「……お前らと同じ……兵器だ」
男はこう呟くと刀を抜き取り戦艦レ級に切りついた…!
レ級「アッ………エ……?」
いきなり視界から男が消えたかと思えば戦艦レ級の後ろに立っていた
レ級「ナ、ナンダ…?」
だがその瞬間戦艦レ級の体が上半身と下半身に見事に切られ、ズルズルと体がズレていく
戦艦レ級は何が起こったのか分からないような表情で上半身と下半身が別れ大爆発し、呪いの言葉のような聞きたくない叫び声をあげて散っていった
男はさっきまでの俊敏な動作とは逆でノロノロと刀を鞘に収める。さっきまでの深海棲艦に追われる緊張感がまだ少しだけ残っているが、それよりも目の前にいる謎の男について知りたかった。
あの大艦隊を無傷で一瞬にして葬っる程の腕を持つ者だ。しかも艦娘ではなく恐らく生身の人間で深海棲艦を攻撃できる……だけど私の記憶ではそんな人物なんて知らない…………
いや……何処かで………
そんな考えに浸していると男は私を青い瞳で睨む―――実際には睨んでないが彼の瞳は氷のように冷たく彼の瞳を見るだけで背中が凍り付く、そんな感じがした
川内「っ…!」
?「………ほら」ポイ
川内「えっ?…うわっ!」
男が投げてきたのは小さなポーチだった
中を開けると少量の高速修理材、弾薬、燃料が入っていた。
私はわけも分からず聞いてみた
川内「あの…これは…」
男は私の言葉を聞くと面倒くさそうに言った
?「………高速修理材と弾薬、燃料だ…お前、囮だろ」
驚いた男は私の状況を見ただけで自分が囮をしたことに気づいたのだ。
?「……それだけあれば十分に帰れるだろう……ほら迎えが来たぞ」
川内「え?」
振り向くと私が要請した増援部隊だった
きっとあの後無事に増援部隊と合流し生き残った艦娘から私がこっちに向かったことを聞いたのだろう
私は今一度男にお礼をしようとして振り向いたら―――
―――もう男はいなかった
その後無事に増援部隊と接触―――帰還できた。仲間も無事だったらしく大破、中破はしたものの轟沈は無しだった
あの後提督にこの事を話して聞いたことがないか聞いてみたが
――――――――――――
【執務室】
提督「うーん……噂色々ではあるんだよね。深海棲艦の大軍に襲われていたら突然、謎の深海棲艦が助けてくれたって……でもその噂は全部、深海棲艦と言ってるんだ。川内が言ったその【謎の男】とは違うんじゃないかな?それにその謎の深海棲艦は……丁度川内と同じぐらいの背らしいよ」
どうやらその噂は違うものらしい、謎の深海棲艦も気になるがあの男は確実に私よりも背が大きかった。つまり確実にその噂は違うだろう。
川内「そう………あ、そういえばあの戦艦レ級なんだけど…」
提督「ん?…ああ…旗艦をやっていた?」
川内「うん、その戦艦レ級が旗艦の影響か分からないけど、【目が青く光っていた】んだ、まるで空母ヲ級みたいに」
提督「………分かった、情報ありがとう、大本営にも伝えておくよ。」
提督はそういいもう解散でいいよ。と言われ執務室から出る。そしたら何人かの駆逐艦が執務室の前で泣きそうな顔をしながらオロオロしていた
駆逐艦達は私を見つけると泣きながら私に抱きつき『よかった』『足手まといになってごめんなさい…』と言われた。この駆逐艦達はあの時………大本営近海に来た深海棲艦を倒すために命じられた私の艦隊の駆逐艦だった
川内「大丈夫だよ。そっちこそ大丈夫?轟沈は無しって聞いてるけど何か後遺症になった娘はいなかった?」
吹雪「はい…私達は大丈夫です。…その、ごめんなさい、私達が足を引っ張ってしまって川内さんを危険な目に合わせてしまって…」
川内「いいよいいよ。私が勝手にやった事だし、皆が生還できるなら私なんて」
吹雪「だ、駄目です!」
川内「へ?」
吹雪「川内さんが轟沈してしまったら今の艦隊はどうするんですか?……それに司令官が言ってたじゃないですか『絶対にどんな戦況でも生きて帰ってこい、作戦に失敗しても帰ってこれば、また行けるから』って…!」
川内「あ……」
確かによく提督が言っている言葉だった。
私が今回の出撃のさいにも言われた言葉だった
川内「……そう、そうだよね…ありがとう。提督の言葉を守らないところだったよ」
吹雪「い、いえ私は川内が無理しなければいいので」
川内「そうだね…約束するよ。無理しないって」
吹雪「はい!」
私は駆逐艦に手を振りながら自室に戻る。自室と言っても姉妹共有の部屋だから自室とは言わないか
私は自室に向かっている最中にもあの謎の男で頭がいっぱいだった
………今思うと本当にあの男は誰だったのだろう?
あれ程の腕の持ち主で噂にならないって……
増援部隊の娘達にも聞いてみたが見かけなかったようだ。
そうなると私の幻想? 助かりたいその一新で出たただの幻想なのか? いや、決して違う
男は確かに実在しているだって、あの男が渡したポーチがまだ私の元にあるのだから―――
それにあの男何処かで見た事がある
確証は無いがそんな気がした―――
――――――――――――
【川内型自室】
川内「う〜ん…」
神通「どうしましたか?」
川内「いやちょっと考え事をね」
神通「姉さんが考え事って珍しいですね」
川内「そうかな?」
神通「はい、姉さんはいつも夜戦夜戦と叫んでいるイメージしかないので…」
川内「ひどくない?」ガーン
那珂「確かに那珂ちゃんもそんなイメージだよ〜」
川内「えぇ…」
神通「それで、何を悩んでいたんですか?」
川内「え〜とね…」
私が昨日起こったことをすべて話した神通と那珂は黙って聞いていた
神通「…見た事があると言われましても…」
那珂「ん〜那珂ちゃんのファンかな?」
川内「何故そうなる」
神通「でも姉さんの話聞くとその男の人強すぎないですか?」
川内「そうなんだよ最後の戦艦レ級のときだって……」
那珂「?…どうしたの?」
川内「そういえばあの男の人自分のことを【兵器】って言ってたよ」
神通「兵器?なら私達と同じ艦娘?」
那珂「でもでも、男の艦娘って聞いたことがないよ」
川内「だよね」
神通「そうですね」
那珂「結局は謎だからさ考えずに笑顔でいこ?」
川内「…そうだね」
だがその男がまたすぐに合うことになるのは誰も知らなかった………
――――――――――――
【鎮守府:執務室】
提督「おはよー」
大淀「おはようございます」
提督「それじゃあ今日は演習メンバー集めてくれ…あっ川内は外してくれよ?」
大淀「分かりました」
大淀はそう言うと執務室にある
マイクを手にし綺麗な声で呼んだ
大淀『今から言う演習メンバーは至急執務室に来てくださいメンバーは旗艦:武蔵、金剛、翔鶴、瑞鶴、妙高、阿武隈です。繰り返します―――』
しばらくすると…
コンコン
提督「どうぞー」
武蔵「失礼する」
金剛「ヘイ!テイトクゥーHelloネ!」
翔鶴「失礼します」
瑞鶴「失礼しまーす」
妙高「失礼します」
阿武隈「失礼します。おはようございます提督」
提督「皆おはよう」
提督「それで今日は演習なんだが…相手は―――」
提督「以上だ、なにか質問は?」
艦娘s「「………」」
提督「何もないな?それじゃあ演習の一時間前になったら大本営の演習場に向かってくれ」
金剛「提督は来ないんですカ?」
提督「すまない、行きたいのは山々なんだが最近忙しくてさ、中々演習には直接行けないな」
妙高「確かに最近は忙しそうですね」
武蔵「近々大規模作戦があるからじゃないか?」
提督「近々…てもまだ結構離れてるけどな」
提督「そんな訳だ、すまないな金剛」
金剛「ムー仕方ないデース」
提督「それじゃあ演習が始まるまで体動かしておけ」
提督「それじゃあ解散」
艦娘s「「失礼しました」」
大淀「…あいからわず優しいんですね」
提督「そうか?」
大淀「提督は優しいですよ?」
提督「そうかな…」
大淀「皆さんにも親しまれてますし」
提督「その割には一部の艦娘にカッコカリ渡したときに何か浮かない顔してたな」
大淀「え?そうなんですか?」
提督「あぁ何か【胸がモヤモヤする】らしい」
大淀「ん〜?」
提督「まぁそんなことより仕事だ」
大淀「あっ提督今日のdailyですが…」
提督「発音すごいいいな」
大淀「一応大学とか出てますし…それよりdailyどうします?」
提督「んーと、今日もいつもどうりでいいよ」
大淀「分かりましたでは、行ってきます」
提督「行ってらっしゃい」
提督「えーと今日の書類は……」
ヤマモリー
提督「……頑張ろう」
――――――――――――
提督「…」カリカリ
大淀「提督こちら提督の記入が必要な書類です」(戻ってきた
提督「分かったそっちに置いといてくれ後で確認するから」
大淀「分かりました」
提督「あっ大淀今週の遠征ノルマはどうだ?」
大淀「えっと……あっ昨日の時点でノルマ達成しています」ペラペラ
提督「それじゃあ遠征組に今日、明日の遠征無しでオフにしといてくれ」
大淀「分かりました」
大淀『遠征組は昨日の時点で今週の資源ノルマは達成したので今日、明日の遠征は無し、今日、明日はオフです。繰り返します―――』
――――――――――――
提督「…」カリカリ
大淀「…」カリカリ
提督「…」カリカリ
大淀「…提督」カリカリ
提督「なんだ?」カリカリ
大淀「そろそろお昼にしませんか?」カリカリ
現在時効:13:00
提督「んー…大淀先に食べてていいよ」カリカリ
大淀「いえ私は秘書艦です、提督が食べないのであるなら私も…」
提督「いいからいいから食べてきなさい」カリカリ
大淀「……提督がやめるのであれば」
提督「えー」カリカリ
大淀「…少しくらい提督も休んでくださいよ」
提督「休んでるよ?毎日1時間寝てるから大丈夫だ」カリカリ
大淀「そんだけしか寝てないんですか!?」
提督「え?普通じゃね?」カリカリ
大淀「普通の人は毎日8時間は寝てますよ…」
提督「え?長くね?」
大淀「これが普通ですよ!」
提督「俺には無理だわ」
大淀「…それじゃあ寝る以外にも休んでくださいよ」
提督「分かったよ」
大淀「それじゃあ一緒にお昼ごはんを」キラキラ
提督「この書類終わったら食べるからさ、大淀は終わったんだろ?今の書類と大淀が終わった書類確認し終わったら俺も食べるよ」
提督「てなわけで大淀先に飯食べていいぞ」
――――――――――――
【鎮守府:食堂】
大淀「はぁ…」
鳳翔「どうしたんですか?」
大淀「いえ、提督が働きすぎで…」
鳳翔「まぁいつもの事ですし」
大淀「鳳翔さんは心配にはならないんですか?」
鳳翔「私は提督がどんなに言っても聞かないのは知ってますし、気にしてたらきりがないですよ」アハハ
大淀「ですが、提督とはカッコカリしてますよね?」
鳳翔「してますけど別に大好き!って感じではないんですよね。カッコカリもまあ練度上限開放よ為の儀式と思ってますし、それにその………何か胸の辺りがモヤモヤするんですよ提督を見ていると」
大淀「結構冷めてますね。というかモヤモヤする?」
鳳翔「なんか大事な事を忘れているような気がするんです。……いや、大事な人…?…でもこれがさっぱり思い出せないんですよ」
大淀「大事な人?鳳翔さんそんな相手が…」
鳳翔「あ、いませんよ?そんな人。何というか忘れちゃいけない事がある気がするんです。けど…全く思い出せなくてですね。」
大淀「鳳翔さんもですか…」
鳳翔「え?大淀さんもなるんですか?」
大淀「いえ、私ではなくて一部の艦娘がこう、胸がモヤモヤするみたいで……」
鳳翔「うーん…分かりませんね」
大淀「ええ」
鳳翔「まぁそんなことよりご飯できましたよ、冷めちゃう前に食べてください」
大淀「あ、ありがとうございます」
――――――――――――
【執務室】
大淀「失礼します」
提督「おうおかえり」
大淀「結局終わってないじゃないですか…」
提督「そうだな」
大淀「この書類は私がやっておきますので」
提督「そうか?それじゃあ俺はこの書類を…」
大淀「提督ご飯食べてください」
提督「いやでもまだ」
大淀「ご飯食べてください」
提督「だがな」
大淀「食べてください」
提督「いやいいk」
大淀「食 べ て く だ さ い 」
提督「あ、はい」
――――――――――――
【鎮守府:食堂】
鳳翔「あ、提督すみません、ご飯温めておきましたので食べてください」
提督「ありがとうございます」
鳳翔「いえいえ仕事ですから」
提督「でも、昼頃は間宮さんもいないでしょ?」
鳳翔「えぇ、間宮さんはお店がありますしね…」
提督「一人で大変じゃないですか?」
鳳翔「いえいえ、大丈夫ですよ。それより食べちゃってください」
提督「分かりました」
………
提督「ん?なんだ居たのか赤城」
赤城「あっ提督、いらしだんですね」モグモグ
提督「口の中にあるもの全部食べろ」
赤城「ふぁい」モグモグ
提督「で、珍しいなこんなに遅いなんて」
赤城「今日は出撃で少し遅くなったんですよ。そして出撃でお腹が減って……」
提督「だけども山盛りの昼からカレーなんてヘビーじゃないか?」
赤城「え?普通じゃないですか?」
提督「普通じゃない、普通の人はこれの半分以下だぞ」
赤城「え!?こんな少なくて生きていけるんですか!?」
提督「十分に生きてけるわ!」
―――――――――――――
【執務室】
提督「…」カリカリ
大淀「…」カリカリ
ジリリリリ!
執務室固定電話が鳴る
大淀「もしもし、横須賀鎮守府の秘書艦大淀です」
大淀「…はい……今すぐ提督に変わります…はい」
提督「誰からだ?」
大淀「上官です」
提督「わかったありがとう」スッ
大淀から電話を受け取る
提督「お電話変わりました提督です」
上官『おう、それでいきなりで悪いんだが…』
提督「はい、なんでしょうか?」
上官『今日の夕方大本営に来てくれないか?』
提督「夕立ですか?大丈夫です」
上官『すまないな時間指定させてしまって』
提督「いえ構いませんが何故?」
上官『ちょっとした世間話だよそれと』
提督「はい」
上官『【川内を連れてきてくれないか?】』
提督「え?川内をですか?」
上官『そうだが…できるか?』
提督「はい、大丈夫ですが何故?」
上官『んー…まだ【話せない】な』
提督「え?」
上官『まぁ…いつかは話すが【まだその時じゃない】』
提督「はあ?」
上官『すまないな』
提督「いえ、構いません」
上官『そうか?それじゃあな』
提督「はい、それではまた」
ツーツーツー
電話を切る
提督「…」
大淀「どうでしたか?」
提督「上官から今日の夕方大本営に川内を連れて来てくれとの内容だ」
大淀「川内さんを?」
提督「あぁ、理由を聞いてもまだ話すときじゃないと言われた」
大淀「どうゆうことでしょうね?」
提督「さあ?あの上官の考えはわからんな」
大淀「…取りあえず川内さんを呼びますね」
提督「あぁ、囮になってしまって早々悪いが上官からだしな」
大淀「では、」
大淀『川内型軽巡洋艦一番艦川内さん至急執務室に来てください繰り返します―――』
――――――――――――
【川内型:自室】
スペーカー『川内型軽巡洋艦一番艦川内さん至急執務室に来てください繰り返します―――』
神通「姉さん呼ばれましたよ…って」
那珂「寝てるね」
川内「夜戦たーのしー」Zzzz
神通「夢の中でも夜戦ですか…」
那珂「ほんとに好きだね」
神通「どうしましょう」オロオロ
那珂「んー那珂ちゃんの歌で起こしてあげるよ」
神通「…私が起こします」
那珂「えーどうして?」
神通「………周りの方に迷惑なので」
那珂「ムー」
神通「(本当は歌がジ○イ○ン以上に下手なんて言えない…)」
神通「ほら、姉さん起きてください」ユサユサ
川内「夜戦…えへへへ」Zzz
那珂「…起きないね」
神通「じゃあ…」
神通「姉さん提督から夜戦出撃の命令が来ましたよ」
那珂「そんなんでおk」
川内「え?夜戦!?」ガバ
那珂「起きちゃうんだ」
川内「ねえ、神通、夜戦出撃の命令されたんだよね!?」
神通「いえ、夜戦出撃かどうかは分かりませんが提督に呼ばれてましたよ」
川内「ほんと?それじゃあ行ってくる!」ダッタタ
神通「速い…」
那珂「島風並だね」
神通「それ以上じゃ…」
那珂「流石にそれは…あるね」
神通「はい」
――――――――――――
【執務室前廊下】
執務室の前まで来たはいいものの相変わらず開けづらい扉だなぁ。
提督自身は結構軽いから、入ってしまえば楽なんだけども、執務室の扉がでかく思い感じの扉な為なんとも開けづらい雰囲気になっている。
しかも執務室周りは客間ぐらいしか無く、基本用事がある以外の艦娘は通らない為より一層この重々しい扉の威圧感が半端ない。
私は息を吸いその存在感がある扉にノックした
コンコン
提督「どうぞー」
川内「失礼します!」
扉を開けると正面の机を挟んだ向かい側の椅子に腰掛けている提督
ふと机を見てみると大量の書類の山がある。正直手伝いたくないレベルにはある。
大淀さんが着任する前までは各艦娘が一日起きに交代での秘書艦をやっていたが、大本営から大淀さんが来てからは大淀さんが秘書艦固定になっている。
そしてその隣に秘書艦の大淀さんが立っている
執務室内はシンプルな構造で、左手には接客用のソファーが2つのその真ん中に机があり常にお茶と間宮さん特性のお茶菓子がある。
お茶菓子の賞味期限が切れそうになったら毎回赤城さんに渡しているそうだ。
そして右棚に置いてあるレコーダーから提督の趣味の音楽がなりより一層場を和ませてくれる
提督いわく『駆逐艦の娘達が入りづらいからせめて音楽流してるんだよ。』と言っていたが実際効果があるのかどうか………。
提督「いきなり呼び出して悪いg」
川内「提督、夜戦出撃の命令?」
提督「いや、違うよ」
川内「えーじゃあ帰っていい?」
提督「いや困るんだけど」
川内「冗談冗談、それで?」
提督「上官からの命令で川内を連れて大本営に来てくれだとよ」
川内「え?私を?」
提督「あぁ」
川内「なんで?」
提督「分からん」
川内「…えぇ」
提督「来てくれるか?」
川内「うん!行くよ!」
提督「ありがとう、今日の夕方なんだが大丈夫か?」
川内「全然大丈夫だよ!」
提督「わかった、それじゃあ…16:00に正面玄関集合でいいか?」
川内「わかった!」
提督「よし、それじゃあ解散」
川内「それじゃあね〜提督バイバイ〜」ドアバタン
提督「さて、夕方までに書類終らせるか」
大淀「まだ大量にあるんですが…」
提督「何言ってんのこんなん少ないほうだよ」
大淀「え?」
提督「俺が上官に『仕事ください』って言ったらいっぱい貰えた」
大淀「えぇ」
提督「そもそも大淀がここに大本営から派遣されたのは、上官からの命令で俺の書類が多いらしいから手伝ってやれとの命令と俺は聞いてるぞ?」
大淀「いやまあ、確かにそうですけど…」
提督「さぁやろうやろう」
大淀「…はい」
――――――――――――
【川内型:自室】
川内「ただいまー」ドアバーン
神通「…姉さん静かに開けてください」
川内「ごめんごめん」
川内「あれ?那珂は?」
神通「外でアイドル活動してますよ」
川内「ふーん」
神通「それで?呼び出しの内容は何だったんですか?」
川内「そうそう、何か上官から私を連れて夕方に大本営に来てだってさ」
神通「向こうからの指定?」
川内「そうみたい」
神通「なんでですか?」
川内「さあ?提督に聞いてもわからないって」
神通「たまに上官の言うことはわかりませんしね」
川内「ほんとほんと前の大規模作戦の作戦だってさ、作戦おかしかったよね」
大本営所属の最高責任者である上官は実際の功績は恐ろしいほど凄く、勲章や授賞などは歴代最高レベルの数を貰っている。だが実際の作戦内容が普通の人から見たら絶対に失敗しそうに見える作戦で、この作戦を分からない人が大本営や鎮守府では多いらしい。
提督はこの作戦が分かるらしいけどよく、補給地点を敵本陣のすぐ近くに置くのを賛成するしたよね……
敵本陣の近くだから道中の敵も強いのが多いし、燃料や弾薬がなくなるのも分かるけどさぁもう少し離れても良かったと思う。でも実際に一度も深海棲艦に襲撃されないってのがなぁ
神通「結局は勝てたじゃないですか」
川内「でも私達の鎮守府には被害出なかったよね」
神通「それは他の鎮守府が上官の作戦に聞かなかったからじゃないですか?」
川内「そうだけどさ、良く提督もあの作戦に賛成したよね、私なら絶対に賛成しないわ」
神通「私もです」
川内「んー今日は夕方まで暇だしどうしよう」
神通「私達で演習でもします?」
川内「そうしようかな那珂も呼ぶ?」
神通「いや、あの歌の前には…」
川内「わかる」
神通「なら私達でやりましょう」
川内「オッケー」
――――――――――――
【執務室】
提督「…」カリカリ
大淀「…」カリカリ
大淀「…提督」カリカリ
提督「ん?」カリカリ
大淀「そろそろ時間ですよ」カリカリ
提督「お、ちょうど終わった」
大淀「私は後少しですね」カリカリ
提督「手伝うよ」
大淀「いいですから提督は正面玄関に行ってください」
提督「えー」
大淀「行 っ て く だ い」
提督「…わかった」
――――――――――――
【鎮守府:正面玄関】
鎮守府の正面玄関は殺風景で艦娘の姿すら全く見かけない、見かけるとしたら朝のランニングをやっている艦娘ぐらいで後は常時警備の憲兵さんぐらいの物だ
川内「あ、提督遅いー」
提督「すまん島風みたいなこと言うな」
川内「ムー」
提督「ほ、ほら車出すから行こうか」
川内「うん」
――――――――――――
【提督車内】
川内「提督ー」
提督「なんだ?」
川内「もしかしてさ、上官の呼び出しってこの前の大本営近海まで深海棲艦が来たのに関してかな?」
提督「あー……可能性はあるな、その時の旗艦の川内を連れてくる理由にも十分になる。」
川内「もしかして…何か罰せられるかな?私は囮として逃げちゃったし、結局はあの謎の男の人が深海棲艦倒しちゃったし」
提督「いや、上官に関しては無いと思うよ。俺にあるのならまだ納得できるけど、あの人は今の海軍を作り上げた人だからね。艦娘には甘々だよ」
川内「嫌でもそれは提督が罰せられちゃうじゃん…」
提督「大丈夫だろ………多分」
川内「多分じゃ良くないの!」
提督「うお!分かったから車内で暴れるな!」
――――――――――――
【大本営】
提督「ほらついたぞ」
川内「あいからわずでかいね」
大本営―――海軍の鎮守府などの総本部であり海軍の幹部などが所属している場所だ
大本営はまあとても広くて私達の鎮守府の横須賀鎮守府すら比べ物にならないほどだ
一応私達の鎮守府は最前線の為設備や艦娘僚は全鎮守府の中でも一番多いはずなんだけど…
提督「ほんとこの資金をもっと鎮守府に分けてくれよ」
川内「まあ、日本の海軍総本部だしさ…」
川内「愚痴行ってないでいこー」
提督「あ、あぁ」
――――――――――――
【大本営:上官室】
コンコン
上官「どうぞ」
提督「失礼します」
上官「よう、久しぶりかな?」
提督「前の大規模作戦以来ですね、直接合うのは」
上官「おーそんなにあってなかったか」
提督「そうですね」
上官「それで川内は連れてきたか?」
提督「はい連れてきました」
上官「よしよし、では川内の用事の前に提督の用事を話そう」
上官「―――とゆう訳でアイツをお前さんの鎮守府に着任させたいんだが…どうだ?」
提督「いえ構いませんが…大丈夫なんですか?」
上官「ん?」
提督「いえ、実際に強いのかどうか…【兵器とはいえ元は人間】ですよ?深海棲艦に攻撃できるかどうか…」
上官「実際には皆から兵器と言われているだけであって兵器ではないんだが……それに深海棲艦にはちゃんと攻撃は通るぞ」
提督「え?そうなんですか?」
上官「いやまぁ…確かに【対象者を一人残らず殺してる】から、兵器と言うのはあながちあってはいるが…」
提督「ですが…自慢じゃないですが自分の艦娘は全鎮守府中でもエリートを集めた最前線ですよ?」
上官「んなこた知っとるわ」
上官「この移動は【俺のお願い】でもあるんだ」
提督「え?」
上官「それはな―――」
上官「てことだ」
提督「…分かりました」
上官「おお!ありがとう」
上官「それで?」
提督「え?」
上官「いつ着任させるんだ?」
提督「え?上官が決めていいですよ?」
上官「そうか?なら…明日なら俺も空いてるから明日はどうだ?」
提督「大丈夫です」
上官「それじゃあ明日の…朝でいいか?」
提督「大丈夫です。できれば朝の…9時頃がいいですね」
上官「分かったよ、明日の朝9時にそっちの鎮守府に付くように手配しとくよ」
提督「ありがとうございます」
上官「それじゃあ川内を連れてきてくれないか?」
提督「では、一旦失礼します」
上官「…」
上官「…これで」
上官「良かったよな?」
――――――――――――
【大本営:廊下】
川内「あ、提督終わったー?」
提督「川内、上官から呼び出しだぞ」
川内「え?私?」
提督「あぁ」
川内「何の用だろう?」
提督「分からん…というか用が無ければ大本営に呼ばないだろ…」
提督「ほら行くぞ」
川内「オッケー」
――――――――――――
【上官室】
コンコン
上官「どうぞ」
提督「失礼します」
川内「失礼します」
上官「すまんな川内、呼び出してしまって」
川内「いえ大丈夫です」
上官「それで本題なんだが…」
上官「提督出ていってくれないか?」
提督「え?は、はい分かりました」
提督「では、失礼します」ドアバタン
上官「さて、川内話しなんだが」
川内「は、はい」
上官「そんなに固くならなくていいよ」
川内「はあ」
上官「それでな内容は―――」
上官「なんだが…大丈夫か?」
川内「…はあ」
上官「まあ、突然で分からないと思うが仲良くしてやってくれ」
上官「何かあったらどうにかしてくれアイツは必ず川内のことを聞くからな」
川内「…分かりました」
上官「それじゃあ出ていっていいぞ」
川内「失礼しました」
――――――――――――
【大本営:廊下】
提督「川内、話しの内容はなんだった?」
川内「ごめんはなせない」
提督「えー?」
川内「提督こそなんの呼び出しだったの?」
提督「んー…」
川内「えー何勿体ぶってんの話してよ」
提督「んー…明日分かるよ」
川内「へ?明日?」
提督「そうだ」
川内「どうゆうこと?」
提督「さあ?」
川内「もしかして…」
川内「新しい夜戦任務?」キラキラ
提督「ちゃうわ」
川内「えーじゃあ…新しい夜戦装備?」
提督「一旦夜戦から離れよう」
川内「ん〜分かんないや提督教えてよ」
提督「明日な」
川内「え〜」
提督「少しくらい我慢しろ」
川内「それは無理」
提督「知ってた」
川内「我慢するなら毎晩夜戦夜戦言わないよ」
提督「…あれワザと言ってたのか?」
川内「まさか、私は正真正銘の夜戦バカですよ」
提督「ついに言い切りやがった」
川内「でもまぁどっちもどっちだね」
提督「そうだな」
川内「提督帰ろう?」
提督「あぁ」
――――――――――――
【大本営:廊下】
職員A「そんでさー」
職員B「へぇ…」
?「………」タッタッタ
職員A「………なぁ今のって…」
職員B「あぁ…あれだろ…」
職員A「始めてみた……」
職員B「言っとくが、他言無用だぞ?」
職員A「え?なんで?」
職員B「上官自身がそう言っている」
職員A「上官が?」
職員B「あぁ…噂では上官とあの"男"と繋がりがあるとか何とか…」
職員A「へぇ…」
――――――――――――
【大本営:?自室】
?「はぁ…」
男は疲れていた、彼は艦娘…人間にすら関わらないのにこの前あの戦いを艦娘の前で見せてしまったのだ、こうなれば噂はすぐに広がってしまう
それに何故あの艦娘に高速修理材なんか渡したのだろう…?
俺は深海棲艦を殺す。
普通、艦娘が囮として逃げている時に深海棲艦を殺したとしても艦娘なんか助けようとしない………【アイツら以外は】
俺は深海棲艦をただただ殺す、対象者を全員殺すそれが男の命令……………ではない使命だ
【昔起こした罪を償う為に、そして昔の約束を果たすために…】
コンコン
?「……誰だ?」
男の部屋に来る物好きは早々いない、ただ一人を除いて
ガチャ
上官「よう!」
入ってきたのは上官だった
?「……何のようだ?」
俺は入った来た上官を睨みながら話しかける
上官「えっとな…」
?「なんだ?さっさと言え」
上官「アナト…横須賀鎮守府に着任してくれ」
名前変更:?→アナト(今後はこの名前です)
アナト「………は?」
上官「だから鎮守府に着任してくれ」
アナト「お前…俺が昔何やったのか忘れたのか…!」
上官「まさか!」
アナト「…なら何故俺を鎮守府に着任させるんだ」
上官「………最近戦況が良くないからな、アナトは最前線の奥の奥にいる深海棲艦を主に殺してるからな、ハッキリ言って勿体ないんだよ」
アナト「……それは本心か?」
上官「さあな」
アナト「…」
上官「アナトの過去は知っている【艦娘にも人間にも関わりたくない】のは分かる」
アナト「…なら何故」
上官「さっき言っただろ?」
アナト「…」
上官「無理か?」
アナト「はぁ…分かったよ」
上官「おお!ありがとうそれで着任する時効と鎮守府の名前なんだが…」
上官「着任する鎮守府の名前は…さっき言ったが【横須賀鎮守府】現在の最前線だ」
アナト「……何故そこに?」
上官「今回のアナトの出撃は大本営近辺だった、今まではここまで深海棲艦が来ることなどなかったのにだ」
上官「深海棲艦が防衛から一変して攻撃してきとるんだ、現在の最前線横須賀鎮守府を通ってきてな」
大本営の近辺は海では横須賀鎮守府を通過しないと行けない仕組みになっている。
しかも、巨大な深海棲艦用の電探があるにも掛からわず見つかる事もなく、大本営に接近を許してしまった
大本営の夜勤遠征組が気付かなければ最悪な事態に陥っていたのかもしれない
上官「さらにアナトのゆう事だと増援部隊も来たんだろ?」
アナト「あぁと言っても鬼級、姫級は居なかったぞ?」
上官「だが横須賀鎮守府の艦娘が対応していた深海棲艦には戦艦レ級はいたんだろ?」
アナト「…まあ」
上官「なら敵は横須賀鎮守府を、しかもあの電探をも簡単に抜けれる状態にまでなってるんだよ」
アナト「……」
上官「分かったか?今の戦況を」
アナト「あぁ」
上官「話しは戻るが…えっとどこまで話たっけ?」
アナト「もう老害が出てんのか」
上官「出てないわ!」
アナト「…横須賀鎮守府に着任してくれとしか聞いてないぞ」
上官「おおそうだったか」
上官「えー時効だが…明日の朝9:00に横須賀鎮守府に行くよう手配しといた」
アナト「明日?早すぎないか?」
上官「俺が決めたんだ」
アナト「…はぁ」
上官「すまんな」
アナト「もういいよ」
上官「そうかそれじゃあ俺は用がすんだから出るわ」
アナト「あぁ」
上官「それじゃあなー」
バタン
アナト「艦娘……か…」
アナト「あいつは……いや」
アナト「【アイツら】…………いるのか…な…?」
――――――――――――
【次の日横須賀鎮守府:執務室】
今日、あの男が横須賀鎮守府に着任する。
上官から今までの功績、勲章の数々を説明されたがどう考えてもあの上官よりも凄い戦績を上げている。
上官が現状、最高指導者というのはこれで、俺の中では無くなったが、上官からはこの事を横須賀鎮守府に関係無い奴には喋るなと言われた。
最初は自分の名誉のためか? と思ったが基本、その男に関しては他言無用らしい
人間にも関わらず、艦娘専用と言われていた艤装を完璧に使いこなし、一人で現在、深海棲艦の本拠地である可能性が高い場所へ言って無傷で帰ってくる強さ。
提督を務めている身としては興奮するのも頷けない
嘗て、大和型である武蔵が着任した時でもここまでの興奮はしなかった
………いや、あの時は大本営から大和をくださると思ったたが、大和は既に別の鎮守府に着任していると聞いて少ししょんぼりしていたのかもしれない―――
コンコン
提督「…どうぞ」
「…失礼する」
見るのは初めてだ
上官からは写真すら見せてくれなかったからどんな男かと思えば………
まず、特徴的なのがその短い髪の毛だ男は髪の毛が青白い。青よりもどちらかと言えば白の方が多く、薄っすら薄い青い色が混ざっている、不思議な色だった。
そして目も青い、まるで艦娘見たいなその見た目は初めて会ったからのもあるだろうがインパクトが凄い。そして何処かしらその目が死んでいた………
そして男の左腰にある青い鞘に包まれた日本刀……いや軍刀か?これが彼の主力武器とは上官から聞いている。
提督「自分がここの横須賀鎮守府の艦娘の指揮をしている提督だ、私は貴艦を歓迎する」
アナト「…今日横須賀鎮守府に着任することになった兵器アナトだ…よろしく」
これは驚いた、彼自身兵器と言われているのは知っているが、まさか彼自身自分の事を兵器と名乗るとは………
提督「よろしくアナト…でいいかな?」
アナト「…構わない」
提督「ありがとう…自分の事は気軽に提督と呼んでくれ」
アナト「…分かった」
提督「まずは…こんな朝早くに着任させてすまない」
アナト「…何、構わない」
提督「…まあ、立ち話もあれだ、是非座ってくれ」
アナト「…あぁ」
提督「お茶しかないけどな」
提督はそう言うとお茶と茶菓子をもってアナトの向かい側に座りお茶をすすった
いい匂いが部屋中に広がった
茶菓子は小さな饅頭があり包袋には小さく間宮と書いてあった
アナト「…この茶菓子は間宮のか?」
提督「ん?そうだけど…嫌だったか?」
アナト「…いや、気になっただけだ気にしないでくれ」
提督「…?そうか」
さて、何を話そうか…実は気になっている事があるのだが聞きづらい
彼の目が死んでいるので話しずらいのだ
アナト「……俺の過去についてか?」
自分が考えていた事をすぐに言われた
そう、普通艦娘が着任するとき書類を渡されるのだ
過去に戦績、今までの功績などなど
だが上官から書類を貰ったときアナトの過去については何も書いてなかった
上官に聞いたものの『俺から話すことじゃないし、アナト本人に聞いてくれ』と言われた
提督「あ、あぁそうだアナトの過去に就いての書類がなくてな」
アナト「…悪いが話せない、俺自身まだ提督の事を信頼してない、正直過去の話しは俺自身したくないからな…話すことは多分ないだろう」
提督「そ、そうか…」
アナト「すまないな」
提督「いや構わんよ」
提督「それで今日の10:00に艦娘皆を集めてアナトの紹介をするんだが…構わないか?」
アナト「……あぁ」
アナト「…それでこの鎮守府にはどれくらい艦娘が居るんだ?」
提督「え?上官から聞いてなかったの?」
アナト「…あいにく聞いてないな」
提督「そうか…えっと…艦娘は大体…100人くらいかな?」
アナト「…………そうか…」
100人……………
もしかしたら………いるかもしれない
――――――――――――
川内型:自室:朝7:00
神通「んっ……」ゴソゴソ
神通「…起きなきゃ」
神通「姉さん起k」
川内「あ、神通遅い!」
神通「…あれ?」
川内「どうしたの?」
神通「姉さんが起きている?…夢か」
川内「夢じゃないよ!」
神通「いや、夢ですね」
川内「夢じゃないからまた寝ようとしないで!起きてー!」ホッペツネル
神通「痛い」
川内「あ、ごめん」
神通「…どうしたんですか?」
川内「え?」
神通「だって姉さんって私が起こさなかったらいつも10:00頃まで寝てるじゃないですか」
神通「なのに何故今日は早起きなのかと…」
川内「あー…」
話せないな上官から今日着任する新しい艦が来ることを知って寝れなかったことなんて…
川内「んーと…今日は10:00から集まりがあるからさ!」
神通「そうですか」
那珂「那珂ちゃんおっはよー」
川内「あ、おはよう」
神通「おはようございます」
那珂「あれ?那珂ちゃんが最後かな?」
川内「そうだよ」
那珂「あれ?川内珍しく早起きだね」
川内「私のイメージは夜戦と寝坊なの?」
神通/那珂「「そう(だね)(ですね)」」
川内「ひどい!」
神通「まぁ事実ですし…」
那珂「起きれないなら那珂ちゃんが歌を歌おっか?」
川内「やめて」
那珂「えー?なんで?」
川内「いや、ほら…」
神通「朝から歌うと他の艦娘に迷惑ですよ」
那珂「ぶー」
川内「(神通ナイス)」
神通「さ、朝ご飯食べに行きましょう」
川内/那珂「「分かった」」
――――――――――――
【朝食スキップ:現在時刻大広場10:00】
「一体何の集まりっぽい?」
「さあ?僕はわからないな」
「私お腹が空いてしまって…食堂に行くのは」
「だめです」
「まったくあのクソ提督なんで…」
「まぁまぁ」
「なんの集まりなのね?」
「さあ?…まさか等々潜水艦にオリュクルがくるかもでち!」
「それは…ありえるのね」
「いやー!オリュクルは嫌でち!」
「我々潜水艦に慈悲を!」
「(もう、オリュクルは資源尽きてできないんだよね…)」
「これは…スクープの匂いがします!」
「提督なんで…今日は休みにしたんですか」ブツブツ
「全く、あの提督は私と北上さんの時間の邪魔をして…」
「まーまー大井っち」
「何なのかな?競争かな?」
「ほんとに何の集まりなんだ…まさか…大規模作戦の作戦説明か?」
「でも大規模作戦は当分先って言ってたわよ?」
「なんでしょうかネ?」
「さぁ?わからないです」
「榛名は…眠い…です」
「眠いのならこの飲み物が…」
それぞれの艦娘が仲のいい艦娘や姉妹艦と思い思いに喋っている。この雰囲気からしてかなり艦娘からは信用されているとひと目でわかる。
その中提督は大広場の台の上でマイクを手にした
提督「今日は集まってくれてありがとう」
提督「いきなりだが今日呼び出したのは」
提督「新しい仲間がくるからだ」
ザワザワ
提督がそう言うと艦娘達は驚いていた
当たり前だろうここの鎮守府は最前線
ほとんど艦娘がいる中で新しい艦娘が来るのは前代未聞だからだ。
提督「それじゃあ上がってきてくれ」
神通「誰なんでしょうね?」
那珂「んーわかんないね」
川内「夜戦好きかな?」
提督が言う新しい仲間は台を上がっていくうちに姿が現れてきた…そして台に上がり提督の横に付き…
川内「…ん?」
神通「…?」
あの人…どこかで…
アナト「…元大本営で着任していて、今日この横須賀鎮守府に着任した【兵器アナト】だ」
川内「…え?」
青白い髪の毛青い目腰には青い鞘に包まれた刀
間違いなくあの時【川内が囮をした時に助けてくれた男だった】でも…目があの時の氷のような冷たい瞳ではなく目が何処か…死んでいた
神通「髪が…青白い?」
那珂「目も…青くて…目が…死んでいる?」
ザワザワ ザワザワ
皆も驚いている当たり前だろうが艦娘は皆女性だ、男口調の艦娘もいるが男性は提督と憲兵を除くとこの鎮守府には誰もいない
しかもあんな髪の毛に目だ注目は最高点だろう
川内「…あは」
神通「…?姉さんどうしましたか?」
川内「ううん、何にも」
神通「…?そうですか」
大淀「提督この人…人間じゃないですか!」
青葉「これは…一体…」
提督「まぁまぁその辺は今から説明するから」
アナト「…それは俺からでいいか?」
提督「…え?」
アナト「…俺の方が詳しいだろ?」
提督「…そうか…それじゃあ頼むよ」
アナト「それじゃあまず…」
アナト「…俺は艦娘の艤装を元に改造された言わば【改造人間】だ」
艦娘「「!!!??」」
川内「…え」
確かにあの男の強さは本物だだが改造人間とは思いもしなかった…
皆が驚いているのにも関わらずアナトは喋る
アナト「…俺は改造人間だが能力が【全ての艦娘の艤装を操る事ができる】」
加賀「…本当なんですか?」
提督「あぁ…そうだよ」
天龍「改造人間って…海軍はそこまで落ちこぼれたのかよ…」
アナト「……確かに向こうからいってきたが、俺も了承している。互いの合意の上での改造だ」
天龍「だとしてもよ…」
アナト「…だとしても…なんだ?」
天龍「お前は…それで良かったのかよ!」
アナト「………」
龍田「天龍ちゃん…」
アナト「………良かったな」
天龍「…え?」
天龍は予想してなかったのかアナトの答えに驚いている
アナト「それで良かった……それだけだ」
天龍「なんで…」
アナト「これ以上追求するな」ギロ
天龍「っ!」
川内「あっ」
神通「…?」
今のアナトの瞳はあの時みたいな氷のようだっ
た
アナト「………すまない」ボソッ
天龍「……え?」
アナト「ちなみに俺の艦種は…【異人兵】だ」
時雨「異人兵…?」
アナト「…」チラ
提督「…! えーとそれは俺から説明させてくれ」
提督「アナトが言った異人兵は最初にアナトが戦闘した時に付けられた艦種だ」
提督「理由は……その、あまりに人類から掛け離れている力を持つ兵器……だそうだ」
時雨「…え?じゃあ最初に言った兵器ってのは…」
提督「あれはアナトが皆から兵器と言われているからだ」
時雨「なんで兵器…?」
提督「え? あー…アナト何でだ?」
アナト「……それに関しては話せない」
川内「あっ」
今の目…今までで見せてきた氷のような目でもなく、死んだ目でもない…何処か悲しい目をしていた
アナト「……話しは以上だ…」
天龍「え、ちょっ」
提督「……あー…何か話したい奴はこの場にいるか?」
長門「はい」
提督「長門なんだ?」
長門「アナトは改造人間といったが所詮人間だろ? そんな奴が深海棲艦と戦えるかどうかテストしたい」
提督「…出撃させろと?」
長門「いや、演習だ」
よかった、いくらアナトが強者と聞いててもいきなり海域に出撃させるのは躊躇った
提督「…アナトいいか?」
アナト「構わない」
提督「それじゃあ明日でも…」
アナト「…今日にしてくれ」
提督「…え?」
アナト「だめか?」
提督「い、いや大丈夫だがアナトはいいのか?」
アナト「問題ない」
提督「そうか…それじゃあ今日の…13:00でいいか?」
アナト「構わん後2つだけ条件がある」
提督「なんだ?」
アナト「…まず、相手は実弾にしてくれそして俺は一人で相手は何人でも構わない」
「は?」
それは誰が発した言葉なのだろうか?
大広場にはその声だけが広がった
提督「…いいのか?」
アナト「それでなければ俺は演習は受けない」
長門「…なめてるのか?」
アナト「さあ?どうだろうな」
長門「…知らんぞ」
――――――――――――
【演習場:13:00】
ガヤガヤ
ザワザワ
ギャーギャー
長門「相手一人とは…なめられたもんだ」
陸奥「まぁまぁ」
翔鶴「でもいいんでしょうかね?」
瑞鶴「いいよいいよ、相手がそういったんだし」
北上「んーなんだろうね」
大井「頑張りましょう!北上さん!」
川内「…」
長門「でも何で川内は参戦したかったんだ?」
川内「この前私が囮になったことがあったでしょ?」
長門「あぁ、あの大本営近海に深海棲艦が攻めてきた事件だろ?」
川内「その時さ…囮として逃げている時にあの人…私を助けてくれたんだ」
艦娘「「「え?」」」
陸奥「助けたって…どうやって?」
川内「一本の銃と腰にぶら下がっている刀だけで殺していたよ。艦娘でもないのに深海棲艦を殺せているのは正直不気味だったね」
川内「それにあの人の言ってることはあっていると思う。全ての艦娘の艤装が操れてもおかしくない……それぐらい強かった」
川内「もっとあの人の事が知りたいのもあって今回の演習に参加したの」
北上「へー…川内はアナトって奴の強さしつてるんでしょ? 私達だけで勝てると思うん?」
……確かにアナトの強さは計り知れない。あれだけの戦闘ですべての手を出し尽くした訳でもないだろうし。それに今思い返せばあの時、私の周りに深海棲艦が行かないように戦っていた。
川内「………正直勝てる見込みが無い。唯一勝てるとすれば、スキをどうにか作って、その時に瞬間高火力でやるしかないかな…」
北上「ふーん…まあ、今回の演習はアナトって奴の実力を試すだけだから、まあ負けても私はいいけどね〜」
瑞鶴「え、じゃあ私達やばくない?」
長門「何を言う私達皆練度160超えだぞ早々負けることはないぞ」
陸奥「だといいけど…」
川内「…」
北上「んまぁ、相手もそれだけ自身があるんじゃない?実弾にしろって言ったしね〜」
通常演習では実弾ではなくペイント弾を使用する。
実弾では艦娘が大破轟沈の可能性がある為大本営から禁止されている。
ペイント弾は何発当たったかによって小破、中破、大破がきまる
小破→体の動きが少し鈍る程度
中破→艤装の動きが悪くなる体の動きが小破より鈍くなる
大破→艤装が動かなくなる体の動きが格段に遅くなる
大破判定になったら早急に演習から出て行くという仕様
なのでアナトが言った実弾有りは通常は絶対に無い
――――――――――――
提督「よしそろそろ始めるか大淀開始のアナウンス頼めるか?」
大淀「分かりました」タッタタ
今回のアナト対艦娘はアナトの実力を図るためのものだ。だがアナトはこちらの艦娘を実践使用さらに人数何人でもokだ。
アナトの強さは上官から嫌ほど聞いたがまだ自分自身半信半疑だ。
アナトが実践使用と言うのだからアナト自身は勝てると思っているのだろう。
だがその強さをどう生かすのか提督としては知っておく事がいる。
アナトの運用方法がこの演習で全て決まる。
だけど何故だろう…何処か嫌な予感がする。
ふうと息を吐くと観客席にもたれかけじっとアナトを見つめる。
今思うと不思議な人だ、青白い髪の毛は青白いとゆうより白が多く所々青が混ざっている。最初は死んだ目をしていたのに今は氷のような冷たい目をしている。
さっきから色んな目をしている…死んだ目や氷のような目…
そんな事を考えていると大淀の声が演習場に響き渡った
大淀『それではアナト対艦娘の演習を始めます!』
大淀がスピーカーでそう言うと観客席にいた艦娘から大きな歓声がまき起こった
「長門さん頑張れー」
「川内さん頑張ってー」
「五抗戦ごときでいいのかしら…」
「まぁまぁ…それよりもお腹が空いてしまって…食堂に行っても」
「だめです」
「そんなぁ」
「姉さん頑張ってください」
「よーし那珂ちゃんが歌を歌って応援してあげるよ!」
「「やめて!」」
ギャーギャー
アナウンスが掛かると同時に観客席の艦娘達が騒ぎ出しもはや収集が付かないレベルにまで達している。
正直ここまで艦娘がアナトに興味を出すのは予想外だ、50ぐらいの観客席には座れなかった艦娘もおり立ってまで見に来ている艦娘も居るくらいの大賑わいだ
一部観客席の取り合いで仲が悪い艦娘同士が喧嘩をしているが正直見ていられない…とゆうかコッチにまで被害がでそうだ…ここは他の艦娘に任せよう
那珂が歌を歌おうとして周りの艦娘に止められているが、正直この大人数の中歌うのは勘弁してくれ。最初那珂が着任した時に歓迎会で那珂の歌を披露したとき大人数の艦娘が気絶するレベルだったからな。
その後から他の艦娘が着任する時に歌おうとするが皆その時は逃げて逃げ遅れた艦娘が犠牲になる…大体着任した艦娘が知らずに犠牲になるが…たまに外でライブもやっているそうだが川内型二人が気お使って耳栓着用で嫌嫌聞いてるらしい…そもそも川内型二人以外に人来るのか?
提督「…」
大淀「…すごいですね」
提督「ここまでお祭り騒ぎになるとはな…」
大淀「まぁ鎮守府には提督と憲兵さん以外は男性の方は居ませんからね皆さん気になってるんですよ」
提督「え?そうなの?長門見たいな知らない奴が艦隊に入るのを嫌っている奴も結構いそうだが」
大淀「そうでも無いらしいですよ?お昼の食堂では皆さんアナトさんの事について喋ってましたし」
提督「そうか…アナトも早く馴染むといいが」
大淀「そうですね」
提督「しかし…」
「やめて!那珂ちゃんは川内の為に応援するからなんで皆止めるの!」
「ほんとにやめてー!」
「もうあの地獄はいやー!」
「もう!神通もなにか言ってよ!」
「ええ!?」
提督「これはアナトに悪いことをしたなぁ」
大淀「それに関しては同感します」
――――――――――――
長門「いよいよだな」
陸奥「あらあら始まっちゃいそう?」
翔鶴「行きましょう!」
瑞鶴「あんな奴ズタズタにしてやるわ!」
北上「それはまずくない?」
大井「…」
川内「…?大井さんどうしたんですか?」
大井「…えっ?あ、いや何でもないです」
川内「…?そうですか」
大井「(あの人…どこかで…いや)」
――――――――――――
アナト「はぁ…」
こうなるとは予想外だ、まさかここまで艦娘がくるとは…
まぁ提督以外の男が来るからこうなるもんか?
出来れば…
アナト「関わりたくない…艦娘と人間…特に…【川内とは】」
もう人間も艦娘も……関わりたくない
あんな【悲劇】にはしたくない絶対に
……俺が攻撃するのは心の底からの【クズな人間】と深海棲艦だけだ…
大淀『それでは開始します!両者準備が終わりましたら教えて下さい』
アナト「…大丈夫だ」
―――
長門「皆大丈夫か?」
「「「はい!」」」
長門「よし、こちらも大丈夫だ!」
大淀『それでは開始!』
長門「よし相手は人間だが何をしているのか分からない取りあえず翔鶴、瑞鶴は制空権を取って後ろから艦載機を回り込んで相手が逃げ場を極力少なくしてくれ」
翔鶴瑞鶴「「了解!」」
長門「北上、大井は魚雷で中距離からの攻撃に徹してくれ、私と陸奥も中距離での砲撃をする」
北上大井「「了解」」
長門「川内は翔鶴、瑞鶴の援護余裕があるなら私達の援護も頼みたい一番仕事が多いが頼めるか?」
川内「大丈夫だよ」
長門「それじゃあ攻撃開始!」
――――――――――――
アナト「……予想どうりだな」
アナトの予想どうり空母がアナトの後ろに回るように射撃、戦艦などが中距離からの攻撃
アナト「そんなんで倒せるのか?」
――――――――――――
翔鶴「位置確認…初期位置から動いてません!」
川内「え?動いてない?」
長門「まあいいだろ動いてないのなら確実に当てれるからな」
長門「よし、撃てー!」
ドガァァァン!!!
長門「これでどうだ?」
陸奥「やりすぎじゃないかしら?」
翔鶴、瑞鶴の艦載機による爆撃
大井、北上による魚雷攻撃
川内による主砲攻撃
長門、陸奥による一斉放射
長門達が放った砲弾は全てアナトに直撃10メートルをも水しぶきが舞い上がるこのくらいなら深海棲艦の鬼級でも大破してしまうぐらいだった。
川内「………」
いや、あの程度の攻撃だとアナトは倒せないだろう。戦艦レ級の砲撃を無傷でいられるほどの高装甲だから……
北上「おー随分な攻撃だなこりゃー」
大井「」サアー
北上「どうしたの大井っち調子悪い?」
大井「い、いえ大丈夫です」
長門「無理するなよ」
翔鶴瑞鶴「「え!?」」
長門「どうした?」
翔鶴「そんな…」
瑞鶴「嘘でしょ…」
長門「…え?」
水しぶきが晴れ煙が晴れていくとそこには…
立っていたのはアナトだった
普通あの攻撃を喰らえばどんな深海棲艦でも大破はほぼ確定なのに相手は
無傷だった
川内「やっぱり……ん?」
長門「なんだ…あれ」
陸奥「…肌が…【青い?】」
そうアナトの肌が青くなっていた
アナトは何事も無かったかの様に何かを呟くと
謎の肌の青いのは青い光の粒となって風に乗り海に散っていった―――
北上「あの攻撃で無傷となると…あの青いのは戦艦の装甲…?」
大井「そんな…」
川内「これは…想像以上にやばいね」
アナト「………」
長門「何故…攻撃してこない!」
アナト「………傷を付けてどうなる」
長門「…は?」
アナト「お前ら艦娘は入湯すれば傷は治るが…傷付いた記憶までは治らない」
アナト「俺に攻撃させたいのなら…俺の体に傷でもつけてみろ」
長門「こいつ!」ダッ!
北上「まあまあ落ち着いて」ガシ
長門がアナトの挑発に接近しようとしたところ相変わらずのアイペースは北上に止められる
北上「このまんまじゃ勝てないよ?」
川内「勝つよりもアナトさんの戦力を測るためのものでしょ?」
北上「そうだけどさー」
北上「あいつの強さはあからさまでしょー?」
長門「…だが相手がどのような攻撃をするか分からんぞ、いくら防御が固くても攻撃できなきゃ意味が無い」
北上「だったらどうやってあいつの体に傷つけるん?あいつ現状攻撃する気がないっぽいよ?」
長門「そ、それは…」
陸奥「ん〜それじゃあ近距離ってのはどう?」
川内「え?でもどうなんですかね?」
長門「近距離の場合私と川内ぐらいしかできないぞ」
陸奥「でもあの攻撃で無傷なら砲撃はほぼ意味ないじゃない」
陸奥「だったら近距離での直接攻撃したらどう?」
長門「……それなら私が行く」
翔鶴「大丈夫ですか?」
長門「あんな奴に舐められてたまるか!」
北上「お〜怖い怖い」
大井「…」
北上「どうしたん大井っち?やっぱ調子悪い?」
大井「あ、いえ…」
川内「さっきから黙ってますよね」
長門「大丈夫か?」
大井「あの人…」
川内「え?」
大井「あの人何処かで……いやそれらしき人を見た子のがあるような…」
川内「……え?」
大井「はい…でも」
大井「あの人が何処で合ったのかが分からないんです」
大井「思い出そうにも思い出せなくて…」
川内「……………」
なんだろう…………
私も大井さんみたいにアナトを見たことがあるかも知れない
だけど……確信をもって会ったことがあると言えない
長門「…大井悪いが今は演習中だその事は後で考えてくれないか?」
大井「……分かりました」
長門「あと考えがある――」
長門「――なんだが…いいか?」
北上「結構ギリギリになるけどまあそれしかなさそうじゃないかな?」
大井「あの人…近距離も得意だと思いますので最終手段としては」
翔鶴「私はいいと思います」
瑞鶴「ん〜まぁ私といいかな」
陸奥「いいんじゃないかしら〜」
川内「いいけど…」
長門「ありがとう」
長門「それじゃあ行ってくる陸奥達は援護射撃でもしといてくれ」
陸奥「わかったわ」
長門「それじゃあな」
――――――――――――
長門「…場所移動すらなしか…」
普通の実習はまず、電探や空母などの艦載機で相手の位置把握からの空母による制空権確保から、戦艦などの弾着観測などで攻めるのがセオリーだが、勿論敵も的じゃない動いてくる。
なので動く敵を電探や艦載機でキャッチしたとゆう事は基本相手にも位置がバレているとゆうことだ、そこから制空権確保からの射撃だがアナトは一歩もその場から動いてなかったのだしかも、肉眼で見える距離に長門が居ても動揺する素振りすら全く無い
つまり…
長門「(読まれていた…?)」
長門「クッソ」ドン!
長門は低速艦にも似合わないスピードでアナトに急接近その間もアナトは全く動かない。
この距離で戦艦長門の砲撃を喰らえばいくらアナトの謎の青い装甲が固かろうが少しはダメージが食らってしいそう、そんな距離だったのにも関わらず…あの謎の青い装甲を出現させる素振りすら無い
長門「(あの装甲が無くても耐えれる。または避けられる自信があるというのか?)」
長門「(しかもさっきから私じゃなく別の方向を向いているし…私が接近しているのには気づいているはずなのに…なんで?)」
長門「また舐められているのか…?」
長門「それにさっきからどこを向いて…」クル
長門「…え?」
アナトが向いている方向を長門が見ると…そこには川内がいた
川内自身は気づいてないのか翔鶴、瑞鶴の援護をしている
それ以前に川内はおかしな行動もアナト自身に攻撃すらしていないのに何故…?
長門「私より川内の方が不確定要素と言いたいのか…!?」
長門「いい加減に…」
長門「しろよ!」
アナト「…」
長門「……何のマネだ?」スチャ
アナト「何がだ?」
今現在長門は主砲をアナトの顔から数cmに突き付けているにも関わらずアナトは動揺する素振りや避ける気力も全く感じない
アナト「…近距離戦でもやるつもりか?」
長門「それしかないだろ?あの弾幕を受けてもなお無傷だからな、砲撃は意味ないだろ?」
アナト「……まあ、そうだな」
長門「腰にある刀くらい使ったらどうだ?」
アナト「……」
アナト「それは無いな少なくともお前らに見せる物じゃない」
アナト「だが」
長門「っ!」ゾクリ
アナト「【本気で殺し合うなら別だ】」ギロ
長門「っ!」ブン
長門は気づいたらアナトに拳を振っていた
何故か本能が殴れそう言ったように感じた
さっきのアナトの言葉…冗談ではなく本気のようにも聞こえた…いやそう聞こえた
アナト「…」ガシッ
長門「―――っ!?」
普通は艦娘は艤装を付けているときは昔の艦としての性能を最大限発揮する事が出来る。
戦艦級の全力の拳ともなると長門型の拳を止めることは大和型ぐらいしか出来ないくらいだ
なので普通は艦娘すら止めれないであろう拳を人間が止めるのとは絶対に出来ない
だが…アナトは止めてみせた
しかも後退り無いまるで恐ろしく硬い柱を殴っている…そんなぐらいの重さだった
さらにあの謎の青い装甲すら使っていず生身の体でしかも片手で止めてみせた
長門「ガッ!……ギッ……!」
長門はさらに拳に力を入れるが全く動く気配が無い、アナトは何食わぬ顔で長門の拳を受け止めているがまだ余裕がありそうそんな顔だった
長門「―――ッ!」ギギギッ バッ
アナト「…」
長門「…どんなけ鍛えたらそうなるんだ」
アナト「さあな」
――――――――――――
大淀「長門さんの拳を止めた?」
提督「まじかよ武蔵でも後退りするのに無しかよ」
大淀「これは今後期待できますね」
提督「さっきから凄いもんなあの砲撃を耐えるわ謎の青い装甲?がでるわ」
大淀「それは注目度高いですね」
提督「ああ」
――――――――――――
長門「クッソ!」
長門は一発、ニ発と拳をアナトに突きつけるが場所が分かっているかのように華麗に避け時には素手で受け流し止めてみせた
長門「―――っ」
アナト「…」ガシッ
長門「―――っ!」ギギギッ
アナト「……動きは良い…だが」ゲシッ
長門「っ!」
アナト「足も使え」
長門はアナトに足をコケさせられ体制を崩しそのまま水面に激突
少しだかアナトに足を引っ掛けられた程度なのに当たった部分が物凄く痛い
勿論アナトの足にペイント判定は無いからそのままのダメージをくらう…これは小破ぐらいだろうか?
それよりも今逃げなければアナトが攻撃してきたら確実に大破判定になってしまう。さっきの足蹴りだけでこのダメージ量だ、まともに喰らえば大破になってしまいそうだ、だがさっきの足のダメージで思うように逃げれない
ブーン
ズガガガガッ
アナト「!」
長門「っ!」
アナト「チッ」バッ
突如艦載機が攻撃してきたあの艦載機は…翔鶴のだろう長門がコケたのを見て援護しに来たと思える
長門は今の内に立て直すとふと疑問があった
何故アナトは艦載機の射撃を避けたのだろう?
艦載機の音が聞こえてから射撃までは時間があったあの時間ならアナトの謎の青い装甲で難なく防げたのではないだろうか?
何せあの砲撃を耐えて見せたのだから艦載機数機の射撃程度ではダメージを喰らわないはずだ
…ただの予想でしか無いがあの謎の青い装甲は耐久値が存在し、それは蓄積されている…?
……もしそうならば勝機はある
長門「…ありがとう翔鶴」
アナト「……」
長門「さぁ第二フェーズを初めよう」ガシャ
アナト「!」
私はアナトに主砲を突き付け発射…完全にゼロ距離による砲撃だ、もしアナトに当たれば自分自身にも被害はでてしまうだろう……だけど読みが正しければ…
やっぱりアナトは謎の青い装甲ではなく全て避けていった
この距離で全て避けるのは凄いが、この行動でほぼ確実に謎の青い装甲に耐久値があるだろう
問題はどうやって攻撃するかだ
私が主砲のフェイントや所々拳なども入れているにも関わらずアナトはついてくる
このままでは埒が明かない
長門「―――そろそろ始めるぞ」
艦娘s「―――了解」
私は無線でそう呼び掛けると残り少ない弾薬で精一杯アナトに攻撃する。
もしこの作戦がバレていたらその瞬間私達の負け、正直掛けにも近い行動だ、だけど皆納得してくれた、最初はアナト自身の強さがここまで強いとは思いもしなかったが近距離でも遠距離でも手が出なくさらに謎の青い装甲が硬いだとしたらもうこの手しかないそう思った
この作戦が成功するには私が精一杯アナトの気を引かなくてはいけない
長門「ハッ!」ドンドン
アナト「―っ」スッスッスッ
アナト「(さっきからいやらしい所に砲撃してきて他の奴らが見えないな)」
ドガァァァン!
アナト「っ!?」
突如アナトの周囲に高さ5mを超える水飛沫が出てきて長門達の姿が見えなくなる
アナト「…これが狙いか…?」
水飛沫が晴れそこには…
長門「…」
北上「…」
大井「…」
陸奥「…」
長門、陸奥、北上、大井がアナトの4方向に居てアナトを囲むように至近距離で主砲や魚雷をアナトに突き付けていた
この距離で砲撃などしたら長門達も巻き込んでしまう程の距離であった
アナト「……自爆する気か?」
長門「それしかなくないか?あの謎の青い装甲はいくら固くても限度があるだろ?」
アナト「…」
長門「それしか思いつかなくてな?私達にも被害はでるが皆納得してくれた」
アナト「はぁ…」
長門「…全砲門」
長門「撃て!」
もしこの砲撃がアナトに直撃すれば長門達にも被害は及んでしまう
長門達は実弾の為もしかしたら大破では済まないかもしれない
だがそれは【当たった場合のみだ】
長門「―――っ………えっ?」
食らっていない?あの砲撃なら私達にも確実にダメージが入るはず…
そして目の前に居るアナトは…
アナト「はぁ………はぁ……」ボロボロ
体に傷が入り火傷を追っていた
だがそれほどの傷を負っているにも関わらず傷口からは血が出ていない
あの砲撃では青い装甲が確実に壊れている
しかも火傷や傷を負っていることからダメージが入っている筈だ
なのに血が出てないということは生身の体でも恐ろしく固いのだろうか?
しかもアナトの周りにはバリアが貼ってありそのバリアは薄い黄色の色をしていたが所々ヒビが入っている
長門「なんで…」
アナト「………」
北上「…意味が分からん…」
大井「えっ…」
陸奥「あら…これは…」
アナト「………これで…」
長門「えっ?」
アナト「……お前らに攻撃できる」
長門「っ!」サッ
アナト「本当は攻撃を避け続けて引き分けにしようとしたが……約束は約束だ…………そうだ」
アナト「今まで勘違いしているようだがこれだけは言う」
アナト「【この演習はお前らが俺の戦闘能力を図るのも同時に、俺がお前らがどれだけできるのかを試す場所でもある】」
長門「えっ?」
アナト「【全砲門装填】」
艦娘s「っ!」
アナトがそう言ったととたんにアナトの足から周りの海が赤くドス黒い言わば血の海になっていた。
さらに、アナトの右肩には飛行甲板が装着されており後ろにいつの間にか艤装が出現していた
艤装は主砲がざっと見ただけで30近くあり
中には見たこのすらない主砲と思える物さえある。
そしてアナトの肩から黒い瘴気のようなものがシュウシュウと音を立てどんどん出てくる。
そしてその黒い瘴気が体の傷や火傷の部分に触れると見るからに体の傷が治っていき次第にどこにも傷や火傷は残っていたなかった
そして…アナトが刀を抜いた
刀は白く透明で後ろの景色さえ綺麗に見えるほどの透明さだった
しかし恐ろしく切れそうな刃
全く重みが無さそうな刀
そして誰の血だろうか?鞘の中からドス黒い血が垂れていた
にも関わらず刀は全く血がついてる感じがない
一言で表すなら正しく―――妖刀
アナト「【お前らはアイツらじゃない…コイツは違う…全員…アイツらしゃない……!】」
艦娘s「っ!」
そう言うとアナトが左手で水面を思いっきり殴りつける、そしたら10m以上も水飛沫が飛び散り艦載機を巻き込み私達さえ飲み込んでいった
長門「うわ!」ブクブク
北上「ちょっ!」ブクブク
大井「きゃっ!」ブクブク
陸奥「ちょっと!」ブクブク
翔鶴「長門さん!」ダッ
瑞鶴「翔鶴姉!」ダッ
川内「待ってください!あの人がこっちに来てます!」
翔鶴「クッ…取りあえず瑞鶴、川内迎えるわよ」
アナト「――もう遅い」
翔鶴「えっ!」
ザンッ
翔鶴「―――っ――ぁっ――」
アナト「――次」
翔鶴は腹を横に切られ衝撃波なのだろうか?激しく吹っ飛ばされ観客席の壁に激しく激突
腹にベットリとペイントがありあの量だと大破を超えて轟沈判定レベルだろうか?
しかも動いてない事から気絶しているかもしれない流石に死んではいないだろうがペイントでの轟沈判定は前代未聞だ
瑞鶴「翔鶴姉!」
アナト「まずは自分の心配をしろ」
瑞鶴「っ!」
ザンッ
瑞鶴「あっ―――っ」
アナト「――次」
今度は肩から脇腹までを縦に切られ翔鶴と同じく吹っ飛ばされ観客席の壁に激しく激突
翔鶴と全く同じくらいのペイント量で全く動かない
アナト「全砲門…撃て」
川内「っ!」
ドガァァァン
アナト「――次」
アナトが後ろの艤装から主砲を撃ち川内に命中こちらは翔鶴、瑞鶴程では無いがかなりの量であり一応大破判定だが全く体が動かない…いや動かせない
長門「っ!翔鶴、瑞鶴、川内!」
陸奥「あら……」
北上「…ヤバいねこれは」
大井「あっ………あぁぁ」
アナト「………」ニヤ
長門「っ!来るぞ!」
アナト「【光度上昇・迷彩】」
長門「えっ」
陸奥「何処に…」
北上「これ…ヤバくない?」
大井「ヤバいです…北上さん」
アナトは【光度上昇・迷彩】と言うとアナトの姿が完全に消えた。さっきまでの高速移動ではなくいになり視野から消えたのだ
このままでは何処からあの強烈な攻撃が来るのか分からない為対処のしようが無い
北上「何処から…」
アナト「後だ」
北上「ゴハッ…」
大井「北上さん!」
アナト「――次」
アナトは後ろから北上を思いっきり殴りしかもさっき壊れた筈の青い装甲を纏って北上が翔鶴達と同じく飛ばされ観客席の壁に激突そこから全く動かない
あの青い装甲は恐ろしい硬さなのでその状態で殴られればただではすまないだろうしかも
手にはペイント判定が無い為そのままのダメージが入ってしまう
流石に殺してはいないだろうが…
大井「よくも北上さんを!」
大井が主砲をアナトに構えるがアナトはそれよりも早く大井の懐に入り北上と同じ青い装甲を纏って腹を殴る
なんとか踏みとどまって吹っ飛ばされてはないが膝をついてしまった何とか立とうとするが…立てない…しかも口から血の味がし急いで手を当てると手には血がべっとりと付いていた
大井「あっ………」
アナト「――次」
陸奥「クッ…!」
長門「ッ!」
陸奥、長門がアナトに向けて撃って入るがアナトは刀を使い全て切ってみせた
いくら艦娘でも刀を使い弾を全て切るのはできない
アナト「狙いは良いが…」
陸奥「っ!」
アナト「惜しい」
ザンッ―――
また刀で今度は腕を切られた、切断とまでは行かなかったがあのペイント量だと大破は確定艤装も動かせないだろう
しかも手からは大量に血が出ていた
通常ペイント判定の武器は切れ味や殺傷能力が激減しておりたとえ演習用艤装で大和型が艦娘を殴ったとしてもせいぜい内出血が限界だ
だがいくら刀だとしても手を切るのはほぼ出来ない
しかも戦艦陸奥の装甲は恐ろしく硬いのにそれを切るのは艦娘だろうと絶対に出来ない
陸奥「ああぁぁぁぁあ!!」
アナト「……」
長門「陸奥!」
アナト「後はお前だ」スッ
長門「っ!」
ガキィィィン
アナトの振るう刀を私は艤装での防御に徹したここまで来るともう攻撃も助けも呼べない、私は防御に徹するしかないしかしアナトの刀が艤装に当たると共に嫌な音がし艤装にどんどん傷が着いていく。
自分自身はまだ大丈夫だがこのままでは艤装が壊れいずれ私に刃を向けるだろう
そうなればただでは済まない
――――――――――――
こうなるとは予想外だ
アナトの実力は上官から聞かされてはいたもののまさか一軍を圧倒するとは…
大淀「提督!演習を辞めましょう!これではそのうち死者がでます!」
提督「…大丈夫だ」
大淀「何が大丈夫なんですか!」
提督「アナトは俺達の味方だ、殺すまでには行かない」
大淀「なんで…いつもの貴方は何処に行ったんですか!」
大淀「いつもの貴方なら既に演習を止めています!」
提督「……」
自分自身何故か分からない
俺は艦娘思いだ、自分でもそう思っている。だけどこの演習だけは止めたくないという意思が強い。
俺は心の何処かで………
艦娘の戦闘を見て楽しんでいるのかもしれない
――――――――――――
長門「がっ………ぎっ……!」
アナト「ほらほら、攻撃してみろよ!」ガキンッ ガキンッ
長門「……クッソ!」
アナト「おらぁ!」
長門「ガッ…!」
ついに……アナトの刀が長門の手を捉えた。陸奥のように切られ、血が吹き出る。ペイントが傷に染みて物凄く痛い。そして衝撃波によりバランスを崩してしまう。アナトの目が私の目を捉えた―――
その目はまるで………
獲物を狩る狩人の目に見えた―――
「やめて!」
アナト「っ!」
長門「えっ?」
演習場に声が響き渡ると同時にアナトが攻撃の手を止め、アナトが声が聞こえた方向に振り返ったその声の持ち主は……
川内「はぁ……はぁ……」ボロボロ
川内だった彼女は攻撃されダメージを受け破状態だったはず…でも何故川内の声でアナトが攻撃をやめたのだろう?
私はアナトから距離を離し手を見た………赤い血がドロドロと流れ傷口にはピンク色のペイントがベッタリ血のように張り付いていた
艤装もボロボロで所々から火花がバチバチと音を鳴らし、防御として使っていた主砲は一つ駄目になってしまった。
私は切られた手を反対の手で抑えながらアナトを見た―――
川内「…良かった……間に合って……」ハァ
アナト「―――あっ―――っ!」
『おい、大丈夫か!――』
『ごめん、ちょっとね…』
『いいから入湯してこい!』
『うん…わかったよ』
アナト「ぁ…………あ……あ」
川内「アナト……?」
アナト「あぁっ!ああ"あ"あ"あ"あ"あ"ッッ!!」
川内「え?」
長門「っ!?」
提督「アナト…?」
さっきまでの艦娘のざわつき声はなくなり
気づいたら演習場は波の音と風の音そして
アナトの叫び声だけが広がり
アナトはその場でうずくまり叫び、発狂していた―――
――――――――――――
【アナト自室】
アナト「………」
やり過ぎた、正直アイツらがあんな捨て身の攻撃をしてくるとは予想外だった……
いや、それでも【全砲門装填】を使用するのはやり過ぎた……【全砲門装填】を使わなくても刀一本で十分圧倒できるはずだが、何年ぶりに攻撃を貰ってしまいつい熱が入ってしまった………
あの後それぞれの艦娘は皆入湯……翔鶴、瑞鶴、北上は気絶。
川内は俺を止めに行ったときに足のにヒビが入ってた
大井はアバラを数本持っていかれてた
陸奥は腕の血管が切られた
長門は腕の創傷が陸奥よりも酷く高速修復材を使用したのにも関わらず手がしびれて動かせない
あの後提督に怒られると思ったら『止めなかった俺が悪いからアナトが悪いんじゃない』と言っていた
まあ…あそこまで暴れたのなら艦娘は俺には関わってこないだろう。
俺は誰にも関わりたくない
提督が言った指揮に従い深海棲艦を殺す
そしてアイツらの―――
……まぁそんな考え辞めて今日は………
俺は元から壁にかけてあったカレンダーを見て
【あの日】かどうか見た………
俺は自室のすみに置いてある数少ない私物を取り出し、私服と携帯、使い古した財布を取り出し今では完全に流行してないであろう質素な私服を着て、カーテンが締めてある窓の前に立ちカーテンを開けた
アナト「うっ」
眩しさにとっさに目をつぶり光がなれてきた頃を見計らって再び目を開ける。
目の前には綺麗な海の水平線が見え、そろそろ日が落ちるであろう時間帯だ
そろそろ行かなくては
俺はそう思いカーテンを閉め入り口のドアに手を掛け開き、ある場所に向かった―――
――――――――――――
【川内型:自室】
神通「…姉さん大丈夫ですか?」
川内「大丈夫なわけ無いでしょうが足にヒビ入ってたんだよ」
神通「今は高速修復材で治ってるじゃないですか」
那珂「そういえば結局分かったの?」
川内「分からなかったよ……というより見たことがあるって確信を持って言えないんだ……ただの勘違いかもしれないレベル」
神通「そうですか…そういえば最後はどうなったんですか?」
川内「あー提督から聞いたんだけど『最後の攻撃時アナトに攻撃が当たる瞬間にバリアと謎の青い装甲を展開、長門達へ攻撃がいかないようにしていた』だってさ」
神通「結構艦娘思いなんですかね?」
那珂「艦娘思いならあそこまで暴れるかなぁ?」
川内「なんか暴走していた感はあるよね、私が止めたら辞めたし」
神通「でもなんで攻撃をやめたんでしょうかね?」
川内「この前上官に私呼ばれたじゃん?」
那珂「あーそんな事あったね」
川内「その時に『明日新しい子が来るからもし何かあったら止めてあげてくれ【絶対に川内のゆうことを聞くから】』って」
神通「なんで姉さんのゆうことを聞くんでしょうかね?」
川内「さあ?聞いたら答えてくれなかったよ」
那珂「ますます意味が分からないよね」
川内「ん〜…」
神通「どうしたんですか?」
川内「よし!ちょっと行ってくる!」
神通「えっ!ちょっと待ってくd」
那珂「……いないね」
神通「……はい」
――――――――――――
【食堂:厨房】
鳳翔「……」グツグツ
間宮「あ、鳳翔さん火、止めてください」
鳳翔「……」グツグツ
間宮「鳳翔さん?」
鳳翔「……」グツグツ
間宮「鳳翔さん!」
鳳翔「あ、はいなんですか?」
間宮「あの煮物もう取り出してください」
鳳翔「あ、すみません…」
間宮「どうしたんですか?」
鳳翔「え?」
間宮「考え事でも?」
鳳翔「まぁ……そう…ですね」
間宮「私で良ければ言ってくださいね」
鳳翔「ありがとうございます」
鳳翔「実は………気になってる人が居まして」
間宮「え?」
青葉「え?」
間宮「ちょっ、青葉さんいつの間に…」
青葉「どうも恐縮です、青葉です。鳳翔さんが気になってる人がいると聞いてきました」
間宮「ここまで来ないでください」
青葉「まぁまぁ、それよりも鳳翔さん気になってる人とはズバリ提督ですか?」
鳳翔「違います」
青葉「え? 提督とカッコカリしてるのでてっきり提督なのかと…」
鳳翔「いや私が気になってる人は…」
青葉「はいはい誰でしょうか」メモチョウカキナガラ
鳳翔「その……アナトさんです」
間宮「え?」
青葉「ほうほう!」
青葉「で、アナトさんのどこが気になるんですか?」
鳳翔「えっと…この鎮守府で一部の艦娘が胸がモヤモヤする人がいますよね?」
青葉「あー確かにちょくちょく青葉の新聞ネタにはなってますよね」
鳳翔「私もそうだったんですけどアナトさんを見てからその、【胸のモヤモヤが大きくなってしかも、あの人何処かで合っているはずなのに全く思い出せない】んですよ」
青葉「胸のモヤモヤが大きくなるはよく分からないですけど、合っているはずなのに全く思い出せないってホントですか?」
鳳翔「はい」
間宮「全く思い出せないんですか?」
鳳翔「はい、でも絶対に何処かで合っているはずです。これは確信を持って言えます。」
青葉「うーん…それじゃあ青葉がアナトさんについて調べてきます!」タッタタ
間宮「大丈夫ですかね?」
鳳翔「さあ?」
間宮「あー煮物が焦げてる!」
鳳翔「え?ちょっ!あ!」
――――――――――――
【横須賀鎮守府正面玄関】
俺は外に出る為に正面玄関に出てきた
ここまでに来る途中艦娘に数人あったが皆俺を避けて他の艦娘とヒソヒソ話している。
一部の艦娘が俺に話しかけようと声を掛けてきたが俺と目が合うと怯えた感じで逃げていった、やっぱり演習での騒ぎのせいだろう
だが俺にとってはかえって好都合だ
正面玄関の正面には門があり憲兵に確認してもらってから外に出るとゆうシステムだ
アナト「…外に出たいんだがいいか?」
憲兵「ん?あぁお前か…提督殿からの許可は?」
アナト「取ってない」
憲兵「はあ…まぁいいや、お前なら大丈夫だろうしな…ほら、出ていいぞ」ピッ ガラガラガラ
憲兵がボタンを押すと門が左右に開き外に出られるようになる
憲兵「ほら、行ってこい」
アナト「……」タッタタ
――――――――――――
【とある海岸】
アナトはある海岸に来ていた…と言っても横須賀鎮守府のすぐ近くにある海岸だが
今日…いや毎年同じ日にこの場所に来ている
景色は最高で太陽がちょうど海に沈んでいき水平線が明るくひかり、絶景となっていた
波が海岸に打ち付けられ激しい音を鳴らし
心地よい風がアナトの髪を揺らし
鳥の鳴き声が周りには響き渡った
アナトは流れ着いていた流木に座りその景色をずっと見ていた
アナトの目は懐かしいような…死んだような目や悲しいような そんな色んな感情が見て取れた
アナトは景色を見ながら懐に手を…
「なにしてるの?」
アナト「っ!」バッ
した所で声が掛けられた
普通は海岸などの海から近い場所は一般人は深海棲艦が居るかもしれないという事で法律で禁止されている。
ここでアナトに声を掛けてくるのは海軍関係の人か艦娘だけだ
俺はその声が聞こえた方向に目を向けると…
川内「…?」
いたのは川内だった
しかも演習で散々怪我させたばかりにも関わらずこうして話しかけてくるとは………
アナト「…何のようだ」
川内「ちょっとお話ししたくてね……隣座っていい?」
アナト「………」ユビサシ
アナトが指差した場所を見るとアナトから数メートル離れた流木を刺されていた
ここに座れとゆうことだろう
川内「ありがとう」
川内はアナトに礼だけ言うとアナトが指差した場所に素直に座りアナトと一緒に落ちていく太陽を共に見守っていった
場には重い空気が出てきておりアナトは無言で太陽を見ている。まるで川内には興味が無いような感じだった
アナト「……それで」
川内「ん?」
アナト「何のようだ?」
川内「あー」
川内はここに来た理由…とゆうかアナトを追いかけて来てこんな場所に来てしまったが本来の目的を思いだす。太陽の綺麗さに見とれててしまってた
川内「お礼を言いたくてね」
アナト「…は?」
アナト本人は意味が分からない感じだった
まあそうだろう、散々演習で艦隊を怪我させた挙句に演習終了した後もアナトは演習場のど真ん中で叫び続けていたからだ
提督が何とかアナトを自室に連れて帰ったが場にいた艦娘は心底アナトに恐怖していただろう。演習で一軍相手にほぼ無傷で圧勝し、それぞれに深い傷を追わせた
翔鶴さん瑞鶴さん北上さんは壁に激突し気絶。
大井さんはアバラを数本持ってかれ重症だった。
陸奥さんに至っては血管を完全に切られ高速修理材が無ければ血がなくなり死んでいただろう。
長門さんもかなりの重症で陸奥さんよりかわマシだったらしい
しかもアナト本人は知らないだろうがあの時…アナトが攻撃している時笑っていた……
その笑い顔は子供のような笑顔ではなく…
獲物を狩る楽しさを感じているような笑顔だった
川内「この前私を助けてけれた時のお礼」
アナト「………え?」
川内「覚えてない?大本営近海に深海棲艦が攻めてきた事件」
アナト「………」
あの事件は本来であれば大本営防衛鎮守府としての役割でもある横須賀鎮守府の提督に責任が伴ってしまう。
だが上官は提督を罰せずに大本営にある24時間稼働している、【深海棲艦巨大探知電探】の故障と世間に発表し提督の風当たりを守った。
だがこれは世間が知っている情報であって、海軍内では深海棲艦巨大探知電探の故障ではなく、【深海棲艦が電探の効かない者が出て来た】と言ってある。
だが、一部の提督達はそれでもちゃんと深海棲艦の接近に気づけなかった横須賀にも問題はあるんじゃないだとか、本当に電探が効かない深海棲艦が出たのか?と疑う奴まででてきている。
川内「あの時、横須賀鎮守府の艦娘として大本営近海にきた深海棲艦の駆除に回ってたの」
川内「でも想像以上に敵の戦力が大きくて、私の艦隊は皆大破、中破しちゃってね?」
川内「私は皆を助けなきゃ!って思って囮になって皆を深海棲艦から引き剥がしたの」
川内「そして私が囮となって艦隊から深海棲艦を引き離していた時に貴方に助けられたの」
アナト「………」
川内「あの時、死ぬかと思っていたけど貴方が助けてくれた、しかもすぐ近くまで増援部隊が来ているのに、少量の修復剤と弾薬、燃料をくれた」
川内「遅くなっちゃったけどありがとう」
川内「それと、あの時のポーチ返すね。」
アナトは川内からポーチを受け取ると懐に入れた
川内「………それと気になってたんだけど」
アナト「…?」
川内「私と貴方…何処か出会ってる?」
アナト「……え?」
川内「いや、何処かで会っている気がして……」
アナト「…………知らない」
川内「そう……」
川内「そ、それじゃあ私は行くね……」
川内は立ち上がり名残惜しそうにしながら最後に―――
川内「ありがとう」
『ありがとう――!』
アナト「―――っ―!」ギリ
「やあ」
アナト「っ!」バッ
妖精「久しぶり」
アナト「あ………」
アナトの後ろにはいつの間にか一人の妖精がいた
妖精「驚いた?ごめんね」
アナト「いや…」
妖精「……ここに居るって事はまだあの事を悔やんでるの?」
アナト「…当たり前だ…俺のせいなんだ」
妖精「…誰も貴方を攻めないよ」
妖精「…貴方は何も悪くない」
妖精「…だからさ」
妖精「そんなに自分を攻めないで?」
アナト「…やめろ」
妖精「ほんとはあんな鎮守府にいたくないんでしょ?」
アナト「やめろ」
妖精「上官には後で謝ってさ」
アナト「やめろっていてんだろうがっ!」
妖精「……」
アナト「…すまない」
妖精「いいよ。私も言い過ぎたごめんね?」
アナト「………」
妖精「…他の妖精も貴方の事何も思ってないよ?」
アナト「……ほんとか?」
妖精「うん!皆貴方の味方だよ!」
アナト「……そうか」
アナト「………なあ」
妖精「なに?」
アナト「アイツが言っていたのは…ほんとか?」
妖精「………アイツって…川内さん…?」
アナト「……あぁ」
アナト「どうなんだ」
妖精「あってるよ」
アナト「なんで…」
妖精「……これは私の予想だけどね?」
妖精「―――なんじゃないかな?」
アナト「そんな事あるわけ…」
妖精「確証はあるの?」
アナト「っ!」
妖精「…もしさ」
妖精「あの娘達が貴方の昔を思い出したら」
妖精「貴方はどうする?」
アナト「……」
アナト「今までと変わらない」
アナト「アイツらはアイツらじゃない」
アナト「記憶が有ろうが無かろうが関係ない」
妖精「そっか」
アナト「…」タチアガリ
妖精「もう行くの?」
アナト「…あぁ」
妖精「なら私も行こうかな」
妖精はそう言うとアナトの肩に座り足をブラブラ揺らした
妖精が肩に乗っているが全く重さが感じず違和感すら全く感じない
妖精は謎の生き物だ
妖精は或る人物が開発した艦娘の時偶然妖精が生まれた
妖精は主に艦娘の補佐をやっていてくれて主砲や魚雷さらには艦載機にすら乗っており色々なサポート主に戦闘などで頑張ってくれる存在だ。だがそのぶん謎が多い
妖精の分かっている事は妖精が観える人間は極少数その中でも妖精と喋れるのはさらに限られた人間だけだ
妖精が見える人物は皆妖精から認められた人物だけであり、喋れるとなるとさらに妖精から認められ信用されなければならない
たが艦娘は皆妖精の事が確定で見ることができる
現在分かっている事と言えばこのくらいだ妖精自身に聞いても教えてくれない。
特にこの妖精はかなり謎が多く、いきなり目の前に現れてきた、しかも他の妖精とは違い片言ではなく流暢に喋ってくる。
アナトは妖精を払うことも嫌がる素振りすら見せずに最後に夕日を少しだけ見て横須賀鎮守府に帰っていった―――
帰り道に妖精がアナトの肩に座りながら話し掛けてきた
妖精「そういえば青葉って艦娘が貴方のことを調べていたよ?」
アナト「…本当か?」
妖精「うん」
アナト「…そうか」
妖精「…止めに行かないの?」
アナト「ソイツが俺のことを調べても何もわからんだろう、それにもし分かったとしても何も変わらない、俺は深海棲艦を殺す。それだけだ」
妖精「そっか…」
妖精「あ、お菓子買ってくれる?」
アナト「…いいぞ」
妖精「ありがとう」ニヒヒ
アナト「…」フフ
妖精「あ、今笑った」
アナト「っ!」
妖精「笑えるなら大丈夫だよ」
アナト「……」
妖精「…さ、お菓子買いに行こ?」
アナト「…あぁ」
――――――――――――
セ○ン○レ○ン
店員「1080円になります」
アナト「……じゃあこれで」カードサシダシ
店員「ありがとうございます(うっわブラックだ初めて見た)」
店員「ありがとうございました」
――――――――――――
妖精「ありがとう」
アナト「……」
妖精「いいの?他の妖精の分もあるけど?」
アナト「……これで口止めしとけ」
妖精「わかったよ」ニヒヒ
アナト「……キレイだな」
妖精「何?プロポーズ?」
アナト「…違う夕日がだ」
妖精「なんだ〜」
アナト「何を残念そうにしてるんだ」
妖精「え?貴方にプロポーズされたって他の妖精に自慢できるから」
アナト「埋めるぞ」ツマミ
妖精「分かった!ごめん!ごめんってば!」バタバタ
アナト「……ん?」
キャッキャッ
ワーワー
妖精「艦娘だね、しかも駆逐艦だけ」
アナト「…」タッタタ
妖精「話しかけないの?」
アナト「話しかけてどうする。この辺は横須賀鎮守府以外の鎮守府はないんだぞ?横須賀の艦娘なら俺のことを知ってるだろ。俺が話しかけたら逃げるぞ、それに話したくない」
妖精「だからこそじゃない?」
アナト「あ?」
妖精「いい加減艦娘と接触ぐらいしたら?」
アナト「…」
妖精「確かに貴方が【あの娘達以外を艦娘として認めてない】のはしってるけどさ」
妖精「でも」
アナト「喋んな」
妖精「っ!」ビクッ
アナトは妖精の言葉を遮り殺意が籠もった瞳を妖精に向けていた
演習の時の長門に向けた以上の殺意だ
正直駆逐艦や軽巡洋艦なら気絶しそうの程の
アナト「それ以上言うな…いくらお前でも許さんぞ」
妖精「…うん、ごめん」
アナト「分かればいい」
マアイチニンマエノレディトシテコレグライトウゼンヨネ
アトデカエッタラタベヨー
ダメナノデス!コレハアシタカラノオヤツナノデス!
ハラショー
アナト「ほら…行くぞ」
妖精「う、うん」
「ん?」
「どうしたの?」
「あの人…今日着任した人じゃないかな?」
「え?あ、ホントなのです」
「あ、あああの人ね」ブルブル
「暁大丈夫?」
暁「だ、大丈夫に決まってるわよ!こ、これくらい一人前のレディとしてあ、当たり前だわ!」
響「ハラショー」
雷「のわりには震えてるよね」プププ
電「はいなのです」
暁「う、うるさいわね!」
雷「まあ、横須賀鎮守府のビビリエースだしね」
電「そこまでじゃない…のです…」
響「ハラショー」
暁「電確信持ってよ!」
雷「アハハハ!」ケラケラ
暁「こ、こうなったら私が話しかければいいんでしょ!」
電「出来るのです?」
暁「そ、それぐらい一人前のレディとしてできるわ!」
響「ハラショー」
アナト「…」
これだから駆逐艦は嫌だ
くだらないことで言い合って…強がって
演習で散々やったつもりだったのにまだそれでも俺に関わってこようとするのか………
妖精「(・∀・)ニヤニヤ」
妖精に至っては何が面白いのか俺の肩に座りながらニヤニヤ見てくるし…迷彩使うか
アナト「【光度上昇・迷彩】」
妖精「あ、ズルい!」
暁「ってあれ?」
電「どうしたのですか?」
雷「まさか行かないの?ここまで来て?」ニヤニヤ
暁「違うわよ!ほら、あの人がいないのよ!」
電「え?…あ、ほんとなのです」
雷「どこいったのかしら?」
響「さっき何かつぶやいたら姿が消えたよ」
暁「ちょっ!響早く言いなさいよ!(よ、よかった〜)」
響「理不尽」
?「……」ニヤ
アナト「……ん?」
妖精「どうしたの?」
アナト「今なにか…」
「アナトさんどうも」トン
アナト「っ!?」
妖精「え?」
通常【粒光度上昇・迷彩】は完全に擬態とまででは無く擬態中は周囲の色に溶け込んで擬態する。
(カメレオンと同じと思ってくださいby作者)
だがその擬態能力がとんでもなく間近で目を凝らして見ても全く見えないレベルだ
距離が離れると余計見えづらくなり発見はほぼできないだろう
だがこの女性はアナトの位置が分かっているかのようにアナトの肩に手を乗せてきた
しかもアナトの名前を知っているのは極一部だ
上官と横須賀の艦娘、提督ぐらいだ
この女性はアナトが紹介された時は見かけていない
海軍関係者でもアナトは大本営着任時は艦娘とはほとんど喋っては無いし
人間なんか上官以外話さないし会わない
と言うか上官がそのように手配してくれていた
後は大本営の妖精ぐらいだ
だがこの女性は妖精でもない
「あれ?忘れちゃいましたか?アナトさん?」
アナト「……明石か?」
妖精「あっ!」
明石「そうですよ〜まさか忘れてたんですか?」
工作艦明石―大本営での工作艦であり大本営の工廠で日々対深海棲艦用兵器や大本営着任の艦娘の艤装メンテナンスなどを行っている。
基本工廠から出てこない為工廠に用がない人などは存在自体は知っているが見たことが無い人のほうが多いほど工廠に引き篭もっている
昔は艦娘を生産する【溶鉱炉】を管理していた艦娘である。(現在は管理人がいる為管理していない)
アナト「…最近会ってないからな」
明石「まあそうですよね〜私としてはもっとグイグイ来てほしいんですけどね〜」
アナト「……お前は知ってるだろうが」
明石「まあ知ってますよ〜だから割り切ってますね〜」
明石はアナトの過去を知っている唯一の艦娘であり最近会ってなかったが稀に一緒に酒を飲んでいる。
明石「と、妖精さん久しぶりですね」
妖精「そうですね」
アナト「……それで?」
明石「はい?」
アナト「明石、なんでここに居るんだ大本営勤務じゃないのか?」
明石「まあそうなんですけどね〜最近横須賀に着任したんですよ」
明石「でも驚きましたよ。アナトさんが鎮守府に着任するなんて」
アナト「…上官からだぞ」
明石「あ〜そう言うことですか」
明石「にしてもあいからわず優しいんですね」
アナト「………何がだ」
明石「演習のときですよ。【本気じゃない】でしょう?」
アナト「…本気でやったら死人がでるぞ」
明石「そこまでですかね?」
アナト「お前は知らないからだ」
明石「なるほど」
明石「それにしても私と喋れるなら他の艦娘と喋っては?」
アナト「……それはない」
明石「え〜」
アナト「明石だけだ……【唯一喋れるのは】」
明石「そうですか、ちょっと嬉しいですね」ニコ
アナト「……」
明石「そういえば駆逐艦の娘達がコッチ見てますけど?」
アナト「は?今は擬態中だろうが」
明石「えっ………あ、いや……その…」アセアセ
アナト「どうした…?」
妖精「あっ……」
明石「私が開発した機械で…アナトさんの擬態が分かるんですけど…」
アナト「お前…いつからそんな物…」
明石「えっと…これアナトさんに触れると自動で擬態が解除されてしまうみたいで…」
アナト「…は?」
自分の体を見てみると擬態中は透明なのに今はハッキリと体が見えているつまり…
アナト「……」
暁「ア、アワワワワ」
電「凄いのです!」
雷「ほらほら暁?行かないの?」(・∀・)ニヤニヤ
響「ハラショー」
アナト「…明石」
明石「は、はい」
アナト「後でその機械壊せ」
明石「…はい」
アナト「…走るぞ」
明石「はい……ってちょっと待って!アナトさん走るの速いんですよー!」
妖精「……うん…頑張って」カタニノリナガラ
明石「…クッソォォッ!」タッタタ
暁「( ゚д゚)ポカーン」
雷「( ゚д゚)ポカーン」
電「( ゚д゚)ポカーンナノデス」
響「( ゚д゚)ハラショー」
――――――――――――
【横須賀鎮守府正面玄関】
アナト「……遅いぞ」
明石「はぁ……はぁ……当たり前じゃないですか……はぁ…はぁ…私基本工廠から出てこないですし…」
アナト「少しは外にでろニート」
明石「仕事してますからニートじゃないですよ!」
アナト「…そうだな…じゃあ引きニート」
明石「引き篭もりは認めますけどニートじゃないですよ…」
アナト「まあいいや」
明石「ええ!?」
アナト「入るぞ」
明石「わ、分かりましたよ〜」
その後明石は工廠に引き篭もりアナトは自室に帰った妖精は付いてきたが
変わらず艦娘が俺を見つけると、何かを他の艦娘と話していたが気にしなかった
青葉が取材とか言って、話しかけてきたが今は誰とも話したくない、少しだけ睨むと怯えすぐさま走り去って行った
それを見た他の艦娘は黙ってどこかに散っていった
――――――――――――
【アナト自室】
アナト「はあ…」
妖精「疲れた〜」
アナト「お前は俺の肩に乗ってただろうが」
妖精「まあ、そうだけど」
妖精「ん?」
アナト「どうした?」
妖精「あれ…」
妖精が指差したのは見に覚えの無い雑誌だった
しかも表紙を見ると成人用と書いてあった
見覚えが無いからきっと艦娘がイタズラで置いたのだろう…さっきから気配はする
アナト「……」
妖精「…?何してるの?」
アナトは天井を見上げると刀を抜いた
刀は演習のときに使った刀では無く刃は黒曜石のように黒くギラギラと怪しい光を出していた
しかも演習の時よりも切れそうな刃
あんな刀で切られれば簡単に艦娘の体など切断できそうな程だった
妖精「ちょっ!危ないよ!」
妖精が忠告しているがアナトは無視し天井に刀を刺した
「ヒッ!?」
天井からそんな声が聞こえた後直に天井からドタドタと走り去る音が聞こえた
だれか天井裏にいたのだろう
天井裏にいるから青葉かな?
アナト「………はぁ」
妖精「誰かいたらしいね」
アナト「ああ、しかもご丁寧に盗聴器に隠しカメラまであるぞ」
妖精「えっ?」
アナト「………ほら」
妖精「あ、本当だ」
アナトが部屋の隅から見つけたのは小さな盗聴器と小型カメラがあった
アナト「…」グシャ
妖精「わお」
アナトは小型カメラと盗聴器を手に持つと力を込めて粉々にした
これでは盗聴も監視も不可能だろう
妖精「よく素手で壊せるね」
アナト「普通だろ」
妖精「普通じゃない」
アナト「そうか」
妖精「というより真剣抜かないでよ危ないよ」
アナトの刀は二種類ある
一つは演習の時使用した偽刀―これは刃が透明で刃にペイント判定がある
だが思いっきり切るとアナト程の力があればある程度の物は切れてしまう
(陸奥の手が切れたのもそのせい)
もう一つは真剣―これは黒曜石のように黒く
偽刀よりも簡単に切れてしまう
しかも刃が傷つかない為メンテナンスも不要
アナト「…大丈夫だ当たってない」
妖精「危ないからとりあえず閉まって」
アナト「あぁ…」
妖精「それで?この雑誌は何?」
アナト「知らん艦娘のイタズラだろ」
妖精「ふーん、それでこれどうする?いる?」
アナト「いらねぇよ、燃やしとけ」
妖精「あいあいさー…ま、それじゃあね〜」
アナト「あぁ……」
アナト「……………で」
アナト「いつまで隠れてんだ?」
「っ!」ビクッ
アナト「提督さん?」
提督「あれ?バレてたかのか」
アナト「……気配でバレバレだ」
提督「ほんと?すごいな」
アナト「……何のようだ」
提督「……あー……まあ……一緒に風呂でも入らないか?」
アナト「………は?」
提督「あ、いやいや別に嫌だったら断ってもいいんだよ、ただちょっと話がしたくてね」
アナト「ならここでしろよ」
提督「いやそれだとアナトが嫌がるかなと…」
アナト「……」
提督「駄目かな?」
アナト「……少しだけだぞ」
提督「おお、ありがとう!」
アナト「……」
正直この男は指揮官に向いてないと思う
上官などに対しては敬語だがそれ以外では自分に厳しく艦娘には甘い
そんな方法だといつか自分の体を壊してしまうだろう確実にだ、しかも誰も止める相手が居ないのだ
艦娘に甘いのはまだ分かるがこんな甘い性格だといつか絶対に痛い目に見る
そんな考えで行くならいつか仲間を失うぞ
提督「それじゃあ…風呂は…今は艦娘が使ってるか……えっと21:00からになるけどいいかな?」
アナト「……構わん」
提督「分かったそれじゃあ大浴場の位置なんだけど…」
アナト「分かるから問題ない」
提督「え?そう?案内したっけ?」
アナト「………上官から教えてもらってる」
提督「…?そうそれじゃあね」
提督「あ、あと艦娘がイタズラしてごめんね」
アナト「……気にしてないから大丈夫だ」
提督「ごめんねそれじゃあ」バタン
アナト「………」
部屋はさっきまでの会話は無かったかのように静かになった
窓から指し伸びる少しだけ明るい太陽の光だけが部屋を照らした
アナトは部屋の机の上に置いてある写真を持ち上げ見る
写真には一人の男性と明るく笑った女性がたって互いに腕を組み合いながらピースをしていた
男性はアナトではなく白い髪の毛で目が赤く全くアナトとは別人だった
女性は髪飾りをし笑顔でカメラに向かって笑っていた
アナト「………………すまない」
アナトはそう小さく呟くと写真を机の引き出しにしまい込みベットに腰を掛けた
そのまま頭を手で支えながらじっと時間が流れていくのを静かに待った――
――――――――――――
【球磨型:自室】
大井「………」
球磨「…」
多摩「…」
北上「…」
木曽「…」
部屋には不穏な空気が充満していた
あの演習の時―――アナトが私達に攻撃してきた時何も抵抗できずにやられていった
アナトが攻撃してから終了までに数十秒程だった
演習が終了し艦娘は急いで入湯、高速修復材を仕様したため何とか命に別状は無かった
大井は部屋に帰ってから布団に潜り込みそこから一歩も動かなかった
大井がこんな事になるなんて一度も無かった
艦娘の部屋はそれぞれの姉妹艦と同室であり、基本球磨型の部屋は一人は誰か居る。
大井がここまでなるなんて今まで無かった為皆動揺している。
北上「…大井っち…いい加減に出てきてよ…」
こんな空気にしびれを切らしたのか何時もマイペースな北上だが今回は珍しく空気を読んでいつものような口調ではなく、普通に話しかけた
大井「………」
北上「…あのアナトって奴の事が思い出せないの?見たことあるって言ってたけど」
大井「………はい」
大井はやっと喋ったが布団から出ようとはしない
大井が言ったアナトを見た事があるとはなんだろう?
北上「大井っちはなんでアイツの事を知ってるの?」
大井「知ってる…というか……」
大井「あの人…何処かで会ったことも…多分、喋った事もあるはずなんです」
大井「あんな青白い髪の毛の人なんて忘れるはずが無いのに…何故か思い出せないんです…」
大井「多分私がここに着任する前です…会ったことがあるのは…」
北上「でも大井っちはここで建造されたんでしょ?」
大井「……はい」
横須賀鎮守府の艦娘は提督がブラック鎮守府から救ってきた艦娘が多い。
最初は提督に怯えていた艦娘が多く、苦労したらしいが今は皆提督の事を信用している。
なので大井のような横須賀鎮守府で建造された艦娘は数人名しかいない
そして北上はブラック鎮守府に着任していた
だがまだましな部類で疲労だろうが関係なく、出撃されたが補給や中破以上だが入湯もさせてもらえた
これがましな部類ってのが嫌になるが…
大井「私の記憶ではここで建造されて初めて会ったのが北上さんと提督でした…」
大井「あの人とはここで建造されてからは会っていないはずです…」
北上「…大井っちの勘違いってことはないの?」
大井「…最初それも考えましたが…絶対に会ったことがあるはずです…」
大井「勘違いならここまで考えていたせん」
北上「もし、大井っちが建造される前にアナトに会っているならそれは【前世の記憶】になるよ?」
北上「それが【艦としての記憶か、前の艦娘としての記憶】かどうか分からないけどさ」
大井「……」
多摩「…どうゆうことだニャ?」
球磨「よく分からないクマ」
木曽「いや、何で今の話で分からないんだよ…」
北上「まあ、ウチの姉さん達は天然だから」アハハ
多摩 「ニャ?」
球磨「クマ?」
――――――――――――
【秘密の部屋】
青葉「うへーー全く出ないですね」カタカタ
今は私専用の秘密の部屋で今日着任したアナトについての情報をネットで調べていた
あそこまでの強さに改造人間という凄く目立っている存在なのだから、ネットで調べればアナトの色んなことが分かるかと思っていた
だが実際は違った
いくら調べてもアナトの情報がなく、唯一見つけた情報はアナトと何かの小さな動物がアナトの肩に乗っている写真があった
写真ではアナトが小さく、全く動物が見えないが青白い髪の毛のためアナトでほぼ間違いないだろう
写真を撮った人へ『この写真は何処で撮ったもとですか?』コメントしてみると
『教えられない』の一点張りで後日また見てみるとそのサイトは消されていた
この調べ事は青葉個人の興味もあるが一番はまさかの食堂のお母さん的存在である鳳翔さんがアナトの事を気になっている
こんな特ダネなど初めてだ!
こんなチャンスは絶対に見逃せない
ネットで調べてもダメだったので仕方なくアナトと関わった艦娘に取材してこよう
私はそう考えをまとめると長らく使用しているメモ帳とペンと司令官から貰ったカメラを手に持ち艦娘達に取材をしに行った―――
秘密の部屋から屋根裏に行きそこから廊下へ飛び降りた
さっきまでいた部屋は着任当初に何処か一人になれる場所は無いか探していた時に発見した場所だ
部屋にはホコリがかった机と椅子があり昔誰かが使っていた場所なのだろう
でも何故だろうか?あの場所に行くと心が落ち着く
まあそんなことよりも取材だ、でもアナトは今日着任した人だが、艦娘と喋っている姿すら見てないからなぁ…
そういえば演習の時にアナトが艦娘と人間には関わりたくないって言ってたな…
それに川内さんとは特にって言ってたし
青葉「これは取材する価値ありますねぇ」
よし、決まれば川内さんを見つけよう、大抵川内型の自室か、執務室で夜戦やらせろ講義をやっているからそのどちらかにいればいるはずだ
――――――――――――
【川内型:自室:屋根裏】
屋根裏まで来ましたが…神通さんしかいませんね…
本を読みながら何かの歌を歌ってますね。
青葉歌は全く分からないので分からないですが何の本を読んでいるのでしょうか?
…そういえば川内型の自室には確か隠しカメラがあったはず……
青葉「スマホさえあれば見えますね」
青葉「おっ!見えましたね…えっと……」
青葉「うわぉベタベタの恋愛小説ですね」
青葉「以外ですね〜あの戦闘狂からして格闘漫画でも読んでそうなんですが…」
青葉「まあこれはネタにはなりなさそうですかね?…いや一応載せておきましょうか」
青葉が新聞にこの事を乗せて、意外と乙女と艦娘に思われ神通によって青葉がしばかれたのは別のお話…
えっと…那珂さんは…外でアイドル活動(笑)をしていますね。
川内さんはそうなるとどこになるんだろう?執務室は先に行ってきたが司令官と大淀さんしか居なかったしなぁ…
青葉「一応アナトさんの自室にでも行きましょうかね」
神通「〜〜〜♪」
――――――――――――
【アナト自室】
青葉「〜〜〜♪」
青葉「よし、とりあえずこれで隠しカメラと盗聴器を隠せれましたね」
これからどうしようか?アナトさんは今日着任した人なだけあって、注目度は高いだろうが一部の駆逐艦の娘たちが演習見て怖がっていたんですよね
何かネタになる物は…
青葉「あ、そうだ」
私はカバンを漁ると見つけた
昨日憲兵が持っていた雑誌(成人用)をベットに置くと廊下でアナトの帰りを待った―――
――――――――――――
【廊下】
この廊下はアナトさんの部屋に続く廊下だからここで待っていれば必ず来るはず…
青葉「あ、来ましたね」
アナト「…」タッタタ
青葉「…?妖精さんが肩にいますね、仲いいんでしょうか?」
青葉「あのーすみません取材いいですか?」
アナト「…」タッタタ
青葉「……あの」
アナト「…」ギロ
青葉「っ!」ビクッ
青葉「えっと…すみませんでした」
アナト「…」タッタタ
青葉「( ゚д゚)ポカーン」ツンツン
青葉「ん?」
妖精「えっと…ごめんね」
青葉「え?妖精さん?」
妖精「それじゃあ」
青葉「……え?」
珍しいですね、あの妖精さんって【人間を嫌ってる】んですけど…
何故アナトさんに懐いてるんでしょうか?
青葉「これはますます調べる価値ありそうですねぇ」
そういえば隠しカメラをアナトさんの部屋に仕掛けたな…見に行ってみるか
――――――――――――
【アナト自室:天井裏】
青葉「えっと…あ、いますね」
アナト『はあ…』
妖精『疲れた〜』
アナト『お前は俺の肩に乗ってただろうが』
妖精『まあ、そうだけど』
妖精『ん?』
アナト『どうした?』
妖精『あれ…』
青葉「お、青葉が仕掛た雑誌に気づきましたね、今回はこれを新聞に……あれ?」
青葉「刀を抜いて…あれ?あの刀黒いですね、演習の時は透明だったのに……」ザン
青葉「ヒッ!?」
青葉の顔のすぐ横にあの黒い刀が突き刺さりギラギラと輝く
この刀にもし当たっていたらきっと致命傷…いや死んでいただろう
青葉「…これは降参ですわ」ドタドタ
――――――――――――
【廊下】
青葉「(う〜んこうなると艦娘に取材するしか方法はなさそうですよねぇ…演習メンバーにでも取材してみましょうかね?…いやでもなぁ…)」
青葉「(……ん?あそこに居るのは横須賀のビビリエースの暁ちゃんですね…そうだアナトさんのことを聞いてみよう)」
青葉「どうも恐縮です青葉です!アナトさんについての取材いいですか?」
暁「ん?えっ?アナトさんについて?」
青葉「そうです横須賀のビビリエースの暁さんはどう思いましたか?」
暁「び、びびってなんかないわよ!」
雷「のわりにはさっきびびってたよね」クスクス
電「はいなのです!」
響「ハラショー」
暁「ビビってなんかないわよ!」
青葉「ん?さっきって事はアナトさんと喋ったんですか?」
電「違うのです。私達はさっきコンビニでお菓子を買いに行ったのです!その時にアナトさんが明石さんと一緒にいたのを見ただけなのです。」
青葉「明石さんと一緒?」
雷「ああ…そうだったねでも珍しくない?明石さんっていつも工廠に引きこもってるか売店にいるくらいでほとんど外に出ないのに」
青葉「ほうほう」カキカキ
青葉「情報ありがとうございます!ちょっと明石さんの所に行ってきますね」
――――――――――――
【工廠】
工廠――それは艦娘の艤装や艦娘の生産、武器の生産などをおこなっている場所だ
主に工作艦である明石が担当しているが機械イジリが好きな夕張なんかも工廠担当になっている
明石さんを見つけると何かの作業をしていた
作業服は油や汗でベタベタで周りの空気は蒸し暑い
所々にいる妖精さんも皆汗水流して働いている
明石「ん〜と…あぁあとこれとこれ持ってきてくれる?」
工廠妖精「ワカッタ~」
明石「よし、とりあえずこれはお終い、後は…」
青葉「すみません取材いいですか?」
明石「ん?取材…まあいいよ一旦休憩入ろっか」
工廠妖精「ハーイ」
明石「で、取材ってなんの?」
青葉「ズバリ!今日着任したアナトさんについてです!」
明石「…」ピク
青葉「第6駆逐隊に聞いたんですけど今日コンビニで一緒にいたと聞きましてねぇ」
明石「…あいからわず情報が早いね」
青葉「そうじゃなきゃ記者として失格ですよ」
青葉「で、アナトさんと明石さんは一旦とんな関係ですか?」
明石「う〜ん…まあ昔の仲ってやつだね」
青葉「ほうほう」カキカキ
青葉「では、明石さんはアナトさんのことをどう思ってます?」
明石「どう?どうってなぁ…」
明石「…まあ【悲しい人】だよね」
青葉「悲しい人ですか…なぜ?」
明石「ごめん、それは話せない」
青葉「そうですか…」
明石「あれ?追求ないんだね」
青葉「何か知ったら殺されそうですよ」
明石「やるかなぁ……」
青葉「では明石さんはアナトさんのことが好きですか?」
明石「……それは仲間として?」
青葉「いいえ、異性としてです」
明石「………」
青葉「………」
明石「まあ、そうだね好きだよ、異性として」
青葉「ほうほう!」
…………?
なんだろう………今胸が少し痛かったような
いやこれは確実に痛いズキズキ胸にまるでナイフが刺さったみたいに痛い
胸が切り裂くような感じだ
明石「だけど【諦めてる】」
その言葉を聞いた途端その胸の痛みは消えて無くなった
何だったんだろう………
私は疑問を考えながらも取材を続けた
青葉「…何故?」
明石「それを知るにはまだ早いね」
青葉「?」
明石「…まあいずれ分かるかもね」
青葉「いずれ…ですか?」
明石「そうそう」
明石「取材はもう終わりかな?」
青葉「あ、はい…今日の取材新聞に出しますけどいいですかね?」
明石「それはやめて」
青葉「…えっ?」
明石「アナトさんの事を知るのは良くない」
青葉「……何故?」
明石「……それは自分で考えな」
青葉「…そうですか…一応今日の取材内容の新聞は辞めときましょうか…残念ですけど」
明石「まあ、その方が安全だろうね」
明石「さ、私もまだやりたいことがあるからさ、取材は終わりでいい?」
青葉「あ、はい分かりましたありがとうございます」
明石「じゃあね〜」
明石「……」
明石「……ごめんね」
何故か躊躇してしまった
皆にアナトさんに関して知られるのを……
アナトさんの事を………何故だろう?
妖精「どうも」
明石「あれ?いたんだ」
妖精「これを燃やしにね」っ雑誌
明石「何これ?」
妖精「成人用雑誌、多分青葉がイタズラで部屋に置いたと思う」
明石「なるほど」
明石「そうだ久しぶりに話してくれない?」
明石「【昔の横須賀鎮守府の日常を】」
妖精「変わらず好きだねー」
明石「まあ【アレ以外】は聞いてて楽しいからね」
妖精「まあそうだろうね…」
妖精「…あんな日々が続けばよかったのに」
明石「…ごめん、思い出させちゃった?」
妖精「ううん、大丈夫だよ、それに私は【アレは実際には見てないからね】」
明石「あれ?そうなの?」
妖精「うん…―――…いや、やめておこう…アナトも見てない」
明石「それは確かアナトさんの…」
妖精「そうだね…でも言うのはやめてね、怒られちゃう」
明石「了解」
――――――――――――
言われたとうりに21:00に大浴場にいると
軍服の上着を脱いで右手には袋を持っている提督がいた
ちなみに俺の格好はさっきの私服と風呂の用意と刀をかけた状態だ
提督は俺を見つけると嬉しそうに手を振ってきた
もちろん俺は手を振らないが
提督「おおこっちだよ」
大浴場の位置など知ってると言ったのにも掛からわず場所を教えてくる
提督「ん?風呂の時は刀はいらないんじゃないかな」
アナト「……すまないがこれだけは手放したくない」
提督「…そうか」
提督「まあ、入ろうか話はそこでしよう」
アナト「…分かった」
大浴場は艦娘用と提督用に分かれている。
艦娘用は2つあり入湯と普通のお風呂で別れている。普通のお風呂は傷の癒やしなどはできないが唯一心が落ち着く時でもあるためかなりの人気だ
艦娘の人数が多いためかなり広い
提督用は提督一人しか入らないのにも掛からわず広く無駄に浴槽がデカイ、しかも露天風呂まで付いておりサウナなどもある
風呂の種類も豊富で泡風呂や電気風呂その他色々ある、正直ここまでいらないのだが一応鎮守府の長となるためなのかかなりの豪華具合だ
ただ広すぎるため大抵の提督が自室に付いてある風呂で済ましている。
先にそれぞれ体を洗い風呂に入る
アナト「…それで、話はなんだ?」
提督「ああ、今後の予定と上官からの伝言をね、えっと…どっちからがいい?」
アナト「……どちらでも」
提督「そうか…それじゃあ今後の予定から」
提督「今日やった演習でアナトは一軍に入ることになったんだけどまだ怖がっている艦娘が居るんだのよね」
提督「そこで艦娘とのコミュニケーションをかねて一軍に正式に入る前に一緒に出撃してほしいんだ」
提督「で、ウチは艦娘にその場での現場指揮もできるようにしてるんだけど…アナトはそれはできるか?」
アナト「……一応」
提督「そうか、それじゃあ説明はいいか…艦娘との出撃のさい現場指揮をしてほしいんだ」
アナト「………は?」
提督「もちろん危なくなったら俺が指揮する、艦娘の娘たちも良い子だから言うことは聞いてくれるよ」
提督「いいかな?いやなら断ってもいいけど…」
アナト「………」
『―――はもっとコミュニケーションを取りなよ〜』
アナト「……っ……いいぞ」
提督「そうかありがとう!」
提督「そして…ウチは一年に一度の艦娘の全体…と言っても一軍と一軍補欠二軍だけだが射撃訓練をかねたレースをするんだ」
アナト「…レース?」
提督「そう、レースと言っても最初は的に向かっての動きながらの射撃、魚雷での攻撃」
提督「その後二軍による射撃、魚雷等の避け鎮守府に帰るっていうの」
提督「アナトの実力が想像以上だったから今回はアナト専用に変えようと思ってるんだ」
アナト「……はあ」
提督「最初の射撃訓練は一緒だけど一軍に二軍の代理をしてもらおうと思ってるんだ」
アナト「……それは俺も攻撃するのか?」
提督「そうだね……一応最後に一軍トップ集団との乱戦アナト一人だけどまあ戦闘させる予定だね」
提督「この戦闘で相手の弱点が分かるだろうし、出撃のさいその点をカバーしやすいしね」
アナト「……なら一つだけ言うことがある」
提督「なんだい?」
アナト「【艦娘は入湯で傷は治るが傷付いたという記憶自体は消えない】」
アナト「…これは覚えとけ」
提督「……分かった」
提督「え、えっと…上官からの伝言言っていい?」
アナト「……ああ」
提督「『明日用事があるから大本営に来てくれ』だって」
アナト「…」ピク
提督「まあ明日は別にアナトの出撃や演習は無いからさ、なんなら車だそうか?」
アナト「……いや、いい多分向こうから迎えに来るだろうから」
提督「そうかい分かった」
アナト「……これで終わりか?」
提督「そうだけど、ちょっと俺からも個人的に話したい事があってな」
アナト「……なんだ?」
提督「えっと…青葉から聞いたんだけど演習を始める前に【川内とは特に関わりたくない】って言っただろ?」
アナト「っ!」
提督「もしかして川内と何かしらがあったと思ってな…」
アナト「………」
確かに提督の言うことはあっている
だが言う意味も無いし言うつもりもさらさら無い
言ったとして何か変わるわけでもなければ、アイツらの事を思い出してしまうだけであって、アイツらが帰ってくるわけでもない
それにまだ提督の事を信用しているわけではない
俺が唯一信用するのは上官とアイツらだけだ
アナト「………」
提督「……まあ言えないのならいいよ、無理して聞くものでもなさそうだしな」
アナト「……そうだな」
提督「分かった俺はもうでるからゆっくりしてな演習疲れただろうし」ザパァ
提督「それじゃあ」タッタッタ
アナト「………」
――――――――――――
あれから風呂を出て自室に戻るとちょうど上官から電話がかかってきた
アナト「……もしもし?」
上官『おお!繋がった』
アナト「…それで、要件は?」
上官『冷たいなぁ…まあいい、提督から聞いたか?』
アナト「ああ」
上官『まあ俺がアナトに来てくれと言えば要件は分かるよな?』
アナト「……まだあったのか」
上官『ああ、ブラック鎮守府だ』
アナト「……ちっ」
上官『まあ、まあ、落ち着け』
上官『結構日は明日だ明日大本営に一旦来てくれそこで詳しい事を話そう』
アナト「分かった」
上官『今回は俺が迎えに行くから憲兵共じゃあ嫌だろ?』
アナト「……まあ」
上官『いい加減にその人嫌い辞めたらどうだ?』
アナト「俺の場合は違うだろ【人間を殺してるんだぞ】」
上官『過去にな』
アナト「……まあ、そうだが」
上官『まあ、アレは仕方ないだろ、というか海軍で知ってる奴らは皆【真相を知らん】』
上官『俺だってあんなゴミどもは殺したいわ』
アナト「上官が使っていい言葉使いじゃねぇな」
上官『気持ちは分かるだろ?』
アナト「まあ…」
アナト「そういえばお前いつの間に明石をコッチに着任させたんだ」
上官『ん?明石か?明石は…大体一ヶ月前に着任させたな、アナトも喋れる相手がいたらいいだろ?妖精だけじゃあつまらんだろ?』
アナト「……俺は一人がいい」
上官『…変わったなぁ』
上官『昔のアナトなんて誰にでも優しくて―――』
アナト「やめろ」
上官『と、すまない…昔話は禁句だったな』
アナト「…………なあ」
上官『ん?なんだ?』
アナト「お前はどうやってあの悲劇を、あの日々を忘れた?」
上官『昔話は禁句じゃなかったか?』
アナト「……気になったたけだ」
上官『そうか………まあ、忘れてない、ただ逃げてるだけだ』
上官『今だって夢に出てくる、その度に期待してしまい夢から冷めて絶望する』
上官『もう、あんな日々は帰ってこない』
上官『俺は逃げてるだけにすぎない』
アナト「………そうか」
上官『……アナトはどうなんだ?』
アナト「…………え?」
上官『あの悲劇を、あの日々をどうやって忘れようとしている?』
アナト「………」
いや、違う………忘れてない、俺はアイツらの約束を成し遂げる為だけに動き、頭を巡らせる
あの楽しかった日々はもう帰ってこない
あの最悪の俺の全てをアイツらを奪った悲劇も
あの悲劇をもう二度と起こさない為にも
アイツらを死なせてしまった俺にできる唯一の償い―――
アナト「…………忘れるわけがない」
アナト「俺はアイツらを死なせてしまった」
アナト「だからこそせめてもの償いとしてあの時の約束…」
アナト「そしてアイツらの事は絶対に忘れるわけにはいかないんだ…!」
上官『………そうか……アナトは強いよ』
アナト「違う……」
上官『………もう辞めようか【今日があの悲劇の日】だからな……思い出すのにはいいかもしれんが俺は無理だ』
アナト「………ああ」
上官『それじゃあな、明日10:00時に迎えに行くから』
アナト「……分かった」ピッ
アナト「……………」
――――――――――――
【次の日横須賀鎮守府正面玄関:10:00時】
上官「おーい、ここだよ!ここ!」
アナト「……五月蝿い」
上官「そうか?まあいいや、ほれ、さっさと乗れよ」
アナト「………ああ」
――――――――――――
【車内】
上官の車は決して高いものでもなく普通の一般車両だ。
理由は海軍関係者とバレにくいかららしいが
かなり古くから使われている上官の愛車でもある。
車の中には少量の音のジャズが流れており
変なカスタマイズなども無しである
上官「今回のブラック鎮守府に関してちょっとだけ説明するぞ」
アナト「……ああ」
上官「鎮守府の名前は南西諸島海域の攻略を担当をしている通称【南西鎮守府】だ」
上官「内容は、艦娘の酷使、暴力、性処理道具、そして資材の横流しによる資金、鎮守府運営に使う資金の横暴だ」
上官「とまあ、ざっとこんなもんだな詳しい事は大本営にて説明するから」
アナト「……分かった」
上官「しかし、ブラック鎮守府の再発防止をしてるのにまだ完全には無くならないなぁ…」
アナト「……まだ【あの男のクソ命令】を真に受けている奴らが多いだけだ」
上官「あぁ…あのバカか…何故真に受けているだろうな?」
アナト「……お前のやり方では気に食わない奴らも多いんだよ、そのやり方なら艦娘は沈むことは格段に減るだろうが、提督自身の出世は遅くなる」
アナト「所詮、提督共は自分の命、そして出世が最優先だ。艦娘なんぞただの道具としか見ていない」
上官「そうだけどなぁ……艦娘の轟沈数は減らしていきたいんだよ、この前の大本営を襲撃しようとした深海棲艦だって【新型】って噂だし」
アナト「……新型?」
上官「あぁ…襲撃のさい、大本営近くにある巨大電探が反応しなかっただろ?もしかしたら深海棲艦側は俺たち人間の電探が効かないんじゃないかって噂があるんだ。しかも横須賀の艦娘の報告だとフラグシップの戦艦レ級の目が空母ヲ級みたいに青く光っていたらしいぞ?」
アナト「……フラグシップの影響か?」
上官「こればっかりは鹵獲して調べるしかないんだよ…基本的に深海棲艦側の方が技術は発展しているって言われてるしな」
上官「アナトは新型って感じの深海棲艦にあったことはないか?日々最前線の奥の奥に行ってるからさ、何か知ってる?」
アナト「……知らん、知ってるのなら伝えとる」
上官「それもそうか…」
上官「そうそう、アナト演習でやらかしたそうだな」
アナト「……まぁ」
上官「まあ気おつけろよ?アナトの力なんぞ艦娘と比較すらできないレベルだからな」
アナト「………怒らないのか?」
上官「ん?」
アナト「…演習とは言え艦娘に怪我をさせたのは事実だ、それに止められなければ俺は……長門を殺していたはずだ」
上官「なに、実際に殺してなければ大丈夫だよ」
アナト「だがっ!」
上官「……なんだ、なんだかんだ言って優しいじゃないか」
アナト「っ…!?」
上官「そんなに心配してるのか?大丈夫だよハッキリ言ってしまえば艦娘は轟沈しなければ死ぬことはないよ」
上官「それにアナトは艦娘を殺せるのか?」
アナト「………」
上官「無理だろ?アナトは口では艦娘を嫌ってはいるが」
アナト「それで?」
上官「え?」
アナト「俺が本心から艦娘を嫌っていようが嫌ってないだろうがお前には関係ない……そうだろ?」
上官「…いや、そうでもないな」
アナト「…え?」
上官「アナト、これから横須賀鎮守府でお前は生活するんだ、今までの大本営との暮らしとは全く違う、鎮守府だから艦娘との交流も必須だし、いくらアナトが強かろうが向こうは団体行動だぞ?アナトが艦娘を嫌っているのかどうか大きく影響する」
アナト「………」
上官「まあ、ゆっくりやっていけよ、そうそう、横須賀鎮守府の提督はどうだ?」
アナト「……まあ、艦娘との信頼も厚いようだし…あの艦娘の練度や技術はいいと思う」
上官「そうか、安心したよあの提督は腕はいいがまだまだ若いからな…どうだ?比べてると」
アナト「………論外」
上官「だよなぁ…」
アナト「……実際の指揮は見てないから知らんが、艦娘の現場指揮はかなり酷い、正直あれだと深海棲艦に囲まれたら艦娘だけでは対処できないだろうな。」
上官「そうか……」
アナト「……多分、基本知識はあるだろうが今回の演習みたいな予定外や想定外の対処に関してはまだまだって所だ……そこさえ磨けばまだ、アイツらには近づく」
上官「そうか……まだアイツら以上はいないもんな…前回の大本営襲撃に関してもそろそろ深海棲艦側が本格的に攻撃してくるはずだからな…今のうちに少しでも戦力を上げておきたいからな、今度命令だしとくか」
アナト「………そうかもな」
上官「お、話してたら付いたぞ」
アナト「………」
上官「…分かってると思うが…気をつけろよ?」
アナト「……あぁ」
上官「それじゃあ裏道から行くか、あそこなら通る奴はあまり居ないからな」
アナト「………」
上官「……それじゃあ行くか」
アナト「………あぁ」
――――――――――――
【横須賀鎮守府:工廠】
明石「……で、話ってなに?」
川内「えっと…アナトさんについてなんだけど…」
明石「……」
またか…大方青葉から聞いた情報だろう、青葉には公開させないよう言っておいたがあの性格ゆえ我慢できなかったんだろう。よりによって川内ってのがたち悪いけど……
さて、どうしようか…本来であればアナトさんに関してはあまり話したくないけど、青葉はまだしも……
明石「……青葉から聞いたの?」
川内「い、いや昨日暁ちゃん達から聞いて…」
あーそっちからだったか……
あれ見られてたのは正直恥ずかしいね。かなりフレンドリーに会話していたからね…親しい仲とでも思われたら私が怒られちゃいそう
明石「で、聞きに来たと……」
川内「そうゆうことです」
明石「………」
川内「……ダメ…ですかね?」
明石「そうだねぇ……」
正直、青葉みたいな奴はまだ大丈夫なんだけど……川内となるとそうそう教えることはできない……
………ごめんね
明石「……そこまでして何が知りたいの?」
川内「え?」
明石「アナトさんの事が知りたくてきたんでしょ?なんでなの?」
川内「えっと……何というか、あの人何処かで見たことも、喋った事があるはずなのに思い出せなくて……それで明石さんが詳しそうだから聞きに来たんですけど……」
明石「……」
へえ、妖精さんの言うとおり本当にあるんだ…
……でも、川内には悪いけど教えることはできないね。
明石「……アナトさんとは掛からわない方がいいよ」
川内「……え?」
明石「だって考えてみて?あの人は深海棲艦を攻撃できるんだよ?本来であれば艦娘だけでしか攻撃が通らないのにね」
川内「あっ…」
明石「深海棲艦は大日本帝国海軍沈んでいった艦の怨霊の塊と言われている。それが本当なのか違うのかは分からないけど、それにたいして攻撃できるのは大日本帝国海軍の艦を参考にして建造された艦娘のみ」
明石「でもアナトさんは艦娘でもなければ大日本帝国海軍の艦でもない、改造人間とは言ってるけど、あの人はそれ以上の何かがあるよ」
明石「本当に関わりたいのなら」
明石「【殺されるのも覚悟しといたほうがいい】」
川内「……え?」
明石「………まあ、それでもなお知りたいのならお好きにどうぞ、私からの忠告はこれだけだから……知りたければまた来なさい」
川内「………」
明石「……まあ、考えときな」
川内「…はい、ありがとうございました」タッタタ
明石「………」
さっき話した話は全て本当だ、青葉ならまだ大丈夫だ、彼の本性、過去を知られても青葉ならまだ大丈夫だ……
でも、川内だけは絶対にダメ、これはアナトさんの為でもあるし、川内の身のためでもある。
彼の怒り、恨み、憎しみは深海棲艦なんて比べ物にならないほどだ
彼が深海棲艦を攻撃できるのは艤装のせいだけじゃない。
深海棲艦の怒りや恨み、憎しみが超えているからこそ攻撃できる。
………でも、もし…
私が知らされている以外にも重要な事があるのなら……
私だけじゃあフォローできないよ…?
それにアナトさんはもう限界が近い、いつこの感情が爆発するのか分からない。
その時は周りに尋常じゃないほどの被害が出るだろう……
その時唯一止められるのは川内しかいない
でも―――
悪化する可能性も十分にある
――――――――――――
【大本営:上官室】
上官「それじゃあ今回のブラック鎮守府のことを話すな」
アナト「……」コクリ
上官「よし、さっき言ったとうり鎮守府の名前は南西諸島海域担当をしている通称【南西鎮守府】だ、内容は、艦娘の酷使、暴力、性処理道具、そして資材の横流しによる資金、鎮守府運営に使う資金の横暴だ」
上官「そして、今回の鎮守府にはアメリカ海軍から正式に来た超弩級戦艦の艦級Colorado級、そのネームシップ艦【Colorado】(コロラド)がいる」
アナト「………は?」
普通、海外艦娘などは日本では作ることができない、現地だけその国の艦娘が作ることができる。
海外では日本の艦娘、例えば有名どころの戦艦大和なんかは日本だけしか生産できてない
なので海外艦娘とは海外から直々に来た艦娘でありもし、その艦娘に何かしらがあれば国家問題になりえる
そんな大切な艦娘をブラック鎮守府に着任させているのだ、上官の事だから薄々気づいてはいるはずだし、そんな艦娘を危険なブラック鎮守府に着任させる理由が分からない
上官「まあ、まあ落ち着け、Coloradoは情報提供者としてあの鎮守府に着任させたんだ、勿論提督になるものだから、海外艦娘に何かあってそれがバレたら自分の首が飛ぶのは熟知している。だからこそあの鎮守府に着任させたんだ」
アナト「………そうか」
上官「いいか?話を戻すぞ?Coloradoからの情報はもう十分だから今回アナトに頼んでそのブラック鎮守府の提督を……その、殺してきてほしい」
アナト「………は?」
今までに上官の命令――いや、頼みでブラック鎮守府を制圧するのは何度かあった
だけども頼みは艦娘の保護、そして提督の無力化だけだった
今までに提督を直接殺せなどそんな命令は一度も無い、ここで提督を殺せば世間にバレて一気に海軍の信頼が下がるだろう
そんなリスクやデメリットが多くある、さらに深海棲艦が活発になっている時にやる意味は無い
コイツもそこまで考えているはずだ、そこまでのバカじゃないし、そこらの鎮守府の提督よりも圧倒的に頭が切れる
上官「あぁ、正確には俺からじゃなくて、Coloradoからの依頼だ」
アナト「………」
海外艦娘の方が暗黙の了解で立場が高い。
当たり前だろうが、海外艦娘に何かあれば国家問題になりうるし、海外からすれば自分の国の方を優先したい。
深海棲艦と人類の最前線国である。日本が苦戦しているため支援として海外艦娘を派遣するが、海外からすれば大事な同盟国だろうと、艦娘は自分の国を守る方を優先したい。
いくら日本が深海棲艦との最前線国であろうと海外の深海棲艦も少なくとも襲撃はしてくる。
それに基本、海外艦娘を派遣するときは空路での輸送ができていたが近年深海棲艦側の勢力の増加により、制空権が微妙で海路での派遣しかできなくなった。
海路での移動途中に深海棲艦に襲われ海外艦娘が深海棲艦に人質とされる事件も近年でてきてる。
そのリスクがあるため暗黙の了解ではあるが基本、日本が海外艦娘に逆らう事ができない
そのため日本海軍の最高責任者である上官だとしても基本的に海外艦娘に脅されでもすれば逆らう事ができない。
アナト「……脅されたか」
上官「……いや、脅されてはない」
アナト「……え?」
上官「正確にはColoradoからのお願いだ、Coloradoいわく出来ないのならそれでいい、ただし絶対に何かの罰を与えてほしいと言われた」
アナト「………で、殺すのか?」
上官「うーん俺自身殺したくないんだよ、ただColoradoは鎮守府の皆のことを思っての発言だろうな、実際ブラック鎮守府の艦娘は提督をかなり憎んでるからな、殺したい奴らも当然いるだろう」
ブラック鎮守府の種類は様々だ、艦娘酷使や性処理道具、駆逐艦を盾に使ったり、パワハラ、セクハラ、捨て艦などなど
だがどのブラック鎮守府にも共通する点が艦娘がその鎮守府の提督、及び人間に恐怖心や恨み、憎しみが貯まる。
実際にブラック鎮守府に耐えられなくなった艦娘が暴走し、ブラック鎮守府の提督を殺すなどの事件も何度か発生している
普通その艦娘は人間に危害を加えたとして解体―――艦娘で言う死刑判決をされる。
が、ブラック鎮守府の場合だけは精神状態の確認後その結果次第だが普通は一ヶ月の謹慎だけだ
まあ、艦娘に罪は無い、罪があるのはブラック鎮守府を運営していた提督そして対策ができてない大本営及び上官に責任がくる
上官「殺すか、殺さないかはアナトが決めてくれ」
アナト「………」
ハッキリ言ってしまえば人間など艦娘以下に脆く簡単に壊れてしまう。
殺そうと思えば苦戦する事なく殺すことは可能だ、ただここで俺が殺すと大本営の幹部連中が五月蝿くなるだろう。奴らは俺の事を良く思ってないからな………
アナト「……幹部達は知ってるのか?」
上官「そりゃあブラック鎮守府奪還だからな幹部のアホ共は知っとるよ」
アナト「………見てから決める」
上官「…そうか、すまない嫌な役目ばっか押し付けてしまって」
アナト「いや、いい」
上官「………そうか」
アナト「それで、その鎮守府はどこにある?」
上官「ええっとここから車で一時間程度だな、海路じゃあもっと時間短縮できるはずだが」
アナト「分かったそれじゃあ海路で行くから」
上官「分かった、少し待っとれ今から船出すから」
アナト「いや艤装で行く、船だと深海棲艦と戦闘になると面倒い」
上官「分かった、ちょうど今の時間だと大本営の艦娘達は出撃や遠征だからいないだろう」
アナト「分かった」
俺はそう言うと擬態を使い上官室から出て行き南西鎮守府を目指していった
――――――――――――
【長門型自室】
長門「………」
陸奥「………で、反省してる?」
長門「あ、あぁ」
陸奥「今回の演習は長門から誘った物だから向こうに批は無いわよ?」
長門「うぅ…」
今回の演習はアナトからではなく長門の煽り行為によって勃発した演習だ
その演習で、危うく轟沈が出るほどまでに私達は大打撃を受けた
トラウマになる娘は居なかったが、一部の駆逐艦やいわゆるビビリ艦などはアナトを怖がってしまっていた、着任初日なのにも関わらずあの様に大暴れしてしまい大きな傷をつけてしまったアナトは鎮守府に居づらくなってしまうだろう
アナト自身は提督に謝ってきたと提督から聞いて入るものの自分から誤りに来る気配は今の所感じられない、謝られたらむしろこっちが申し訳ない……基本的に艦娘である私達、特に演習の原因を作った長門が悪い
陸奥「なんで、あんな煽りみたいな行為をしたの?」
長門「……なあ陸奥」
陸奥「なぁに?」
長門「私は……弱いのだろうか?」
陸奥「はあ?」
長門「どうなんだ?」
陸奥「どうって……」
長門は横須賀鎮守府内ではトップ1を競うほどの強者だ、あの戦艦武蔵すら一目置く存在であり、その強力な主砲と優れた頭脳で艦隊の指揮をする姿は圧巻だ
陸奥「長門は強いわよ?扱いが難しいと言われている戦艦の艤装を完璧に扱えてるし、現場指揮も的確だと思っている。火力なんかは大和型に劣ってしまうけどそれでも長門は十分強いと思うわ」
長門「そうか………」
陸奥「いきなり何なの?今回のと関係あるの?」
長門「……」
長門「……私は…提督以外の男が怖いんだ」
陸奥「はあ?」
長門「陸奥なら知ってるだろ?私達は元はブラック鎮守府の艦娘ってことを」
陸奥「うっ……」
長門は元はブラック鎮守府の艦娘だった
しかも秘書艦をやっており戦闘と秘書艦としての仕事で大変だったらしい、当たり前だがブラック鎮守府だから休みなんてものは存在しないし、戦闘でも使えないと判断されたら即座に解体か、捨てられる。
そしてブラック鎮守府が大本営所属の最高責任者、及び最高司令官である上官に知れ渡り、ブラック鎮守府は解体、そこに着任していた提督はクビにされ、さらに現在では海軍内での牢屋にいるらしい
長門は元ブラック鎮守府の艦娘が多い横須賀鎮守府に着任、元の性能もかなり高く、最前線にも関わらず戦果を上げることができていた
だが、唯一長門の苦手としたのが提督とのコミュニケーションだった
元々ブラック鎮守府の艦娘であった長門は提督という存在を疑っていて最近やっと普通に喋れるようになったぐらいだ
長門の言い分だと"男"という存在自体前みたいに疑っているらしい…ブラック鎮守府の提督が男だったかなのか……
長門「あのアナトって奴は男だ……私は昔のトラウマ……いや、違うか…私のトラウマはあの提督であって男自身では無い……だけど提督でもなく性別があの男と類似しているだけで体が震えるし、怖い」
長門「あの煽り行為………本当はあの時にアナトに勝利して、苦手を克服したかったんだ」
陸奥「はあ?」
長門「自分よりも弱い存在だったら怯える心配なんて無い、何かされれば力でねじ伏せられるし…どうにでもなる」
陸奥「だから演習に誘おうと?」
長門「あぁ…というより、他の艦娘もアナトに恐怖している艦娘もいるはずだ、ここの鎮守府はただでさえブラック鎮守府出身の艦娘が多い、提督という存在に慣れたとしても、私みたいに男自身に怯えている奴らもいるかもしれない……」
陸奥「そういう事ね……まあ、理由は分かったわ長門も皆にちゃんと謝っておいてよ?特に川内にはね」
長門「わ、分かっている!」
【翔鶴型自室】
瑞鶴「………へ?」
瑞鶴「しょ、翔鶴姉…今なんて?」
翔鶴「だから、あのアナトさんの事を知っているのよ」
瑞鶴「知ってるって…何処かであったの?」
翔鶴「会った……まあ、そんなところね。…えっとこの前の大規模作戦を覚えている?」
瑞鶴「ん?…えっとぉ…あの最終海域で補給地点を敵本陣のすくそばに設置したやつだよね?」
翔鶴「えぇ、そうなんだけどその補給地点で変な音が聞こえてね?」
瑞鶴「音?」
翔鶴「えぇ、あれは…戦艦の砲撃音だったわ 」
瑞鶴「砲撃音?それぐらないなら普通じゃない?」
翔鶴「じゃあ、もしその砲撃音が敵本陣から聞こえたら?」
瑞鶴「!」
翔鶴「その、砲撃音は敵本陣から聞こえたの近くにあるから戦艦の砲撃音は十分に聞こえたわ」
瑞鶴「私は聞こえなかったんだけど…」
翔鶴「……空母は基本皆耳がいいんだけど…」
瑞鶴「………」
翔鶴「ま、まあそれは置いといて、一度だけの砲撃音なら相手の誤射になるわでも、その砲撃音は何度も聞こえてね?音的に戦闘をしている感じだったの」
瑞鶴「深海棲艦の中での戦闘?」
翔鶴「違うわ…まあその謎の砲撃音が気になって黙ってたんだけど、こっそり艦載機で偵察したのよ」
瑞鶴「うんうん」
翔鶴「で…アナトが深海棲艦の本陣に単騎突撃していて深海棲艦を殺していたのよ」
瑞鶴「単騎って…よく生存できたね」
翔鶴「でも、あの腕だと余裕で生存できそうじゃない?」
瑞鶴「………」
翔鶴「まあ、結局艦載機は深海棲艦に壊されちゃって詳しいことはわからなかったわ」
瑞鶴「………私達の作戦を手伝っていた?」
翔鶴「それがあってるのなら多分極秘裏でね」
瑞鶴「本当に…何者なのよ…」
――――――――――――
【南西鎮守府:Colorado自室】
やっとだ………
やっと大本営が今日あの忌々しいクソ提督を捕まえてくれる。
一応要望で殺してほしいと頼んだけど本当に引き受けるのかは分からない
皆はあのクソ提督が捕まっただけじゃあ納得いかないかもしれないが、とりあえず今日耐えればこの地獄だった日々に平和が訪れる
私が調査艦として調べた結果は最悪だった
駆逐艦の酷使、捨て艦やいらない艦娘は直ぐに解体、暴力やセクハラも日常的に起こってるしまともなご飯もくれない
補給や入湯すらしないわ、頭がバカなのか知らないが全海域を戦艦、正規空母の脳筋艦隊だし、駆逐艦は盾同然の扱い
そして私達の事を兵器、化け物、使えないゴミ共、家畜と言う
海域攻略が進まなくなるとストレス発散の為に私達を殴ったり………
いやな思い出しか思い出せない
正直ここまで日本海軍が腐ってるとは思いもしなかった
こんなのならまだ指揮は下手くそだが扱いだけはまだいいアメリカ海軍の方がいいかも知れない
でも、日本に渡ったIowa級戦艦、Iowa(アイオワ)はAdmiral(提督)はいい人と行っていた
Iowaが嘘をつくとは到底思えないし、あの上官もいい人そうだったし、もしかしたらブラック鎮守府なんて運営している人は極少数なのかもしれない
上官曰くこの調査が終われば現在の最前線である鎮守府、横須賀鎮守府に着任できるらしい
あそこにはIowaも航空母艦、Saratoga(サラトガ)もいると聞いている。
だけど、日本の最前線鎮守府=世界では世界でもっとも危険な鎮守府になる。
正直怖いし、轟沈する可能性も十分にある。一つのミスすら許されない現状、最前線なんて行ったらもう、艦娘個人の強さ次第でミス一つしなくても轟沈する可能性はある。
だけどアメリカの時に仲良くしていたIowa、Saratogaと再会できるのは本当に嬉しい!
だけどここにいる艦娘はどうなるのだろう…?
かなりここの艦娘達は精神が崩壊しており提督に対して大きな恨み、憎しみがある。
上官曰く精神鑑定されその結果次第で決まると言われた、解体は流石に無いとは思うが現場復帰にはかなりの時間がいるだろう
Colorado「はあ…」
こんなことを考えると頭が痛くなる…
多分、今日の昼の頃には憲兵隊が来るはずだなら取り敢えず、そこまで頑張ろう
Colorado「よし」
私は考えを辞めると行きたくない執務室に足を運んだ―――
――――――――――――
【南西鎮守府:執務室】
Colorado「Admiral…今来ました」
南西提督「あぁ、さっさと始めろ」
Colorado「わかりました」
私が執務を開始する横でAdmiralはパソコンをカタカタを打っていた
どうせパソコンゲームの類いか何かのサイトでも覗いているんだろう
コイツは基本的に執務をしない全部秘書艦である私に任せっきりで、Admiral自身の確認がいる書類ですら『勝手にしとけ』と言われる
そもそも、私がこの鎮守府に着任してから一回も出撃していない……
理由を聞いてみたら『お前が轟沈したらオレがやばいからだ』と言われた
どれだけビビリなのだろうか…仮にもアメリカ海軍からの援軍としてきた私が、こんな最前線でもない海域で轟沈するはずが無いのに……
いや、そんな事をして無断で出撃しても私が怒られるだけだし、海外艦娘として手が出せない提督のストレスが他の艦娘に行ってしまう……
実戦が出来ないのは残念だが、ちゃんと訓練とトレーニングを怠らなければ十分に戦線復帰もできるはずだ
だけど、皆が疲労困憊の状態で出撃をしているのに、私だけ楽な執務をやるのは心にクルものがある……
執務関係は私に丸投げするのに、出撃や遠征はAdmiralが全部やるせいでこのブラック鎮守府状態は続いてしまっている
どうにかして権限を私に持ってこようとしてみたものの結局失敗に終わり、そのぶん皆にAdmiralは当たり、余計な怪我を負わせてしまった
それ以降はちゃくちゃくと執務をやり、皆の怪我を治しながら大本営に秘密裏に連絡する日々だった
Colorado「………」カタカタカタ
――――――――――――
【南西鎮守府:港】
アナト「(さて………取り敢えず付いたがどうやって行こうか………)」
アナト「(普通に大本営から来たと言えば一発で通れそうだな……)」
アナト「……………行くか」
アナト「……………」
【南西鎮守府正面門】
アナト「………これか」
正面門の横にあるボタンを押すし、数秒すると恐らくColoradoと思える艦娘の声が聞こえた
『貴方が憲兵…?』
アナト「…………いや、大本営の者だ」
『ん?憲兵じゃないの?』
アナト「……まあな、取り敢えず開けてくれるか?さっさと南西提督を捕まえたいんだが…」
『え、ええわかったわ……』
そうして数秒後にガラガラと門が自動で開いていった、そして玄関にはアメリカから正式に来た戦艦の艦級Colorado級、そのネームシップ艦【Colorado】がいた
髪型は金髪のショートボブで、髪の一部が左右で三つ編みに結わえられている。また、瞳の色が空色で吊り目でなんか、起こっているような印象をうける
服装は、上半身には両脇の大きく開いた白のブラウスを身に着け、防寒目的のためなのかわからないが、その上にさらにケープを羽織っている。このケープは表と裏で色が違い、表側はコルセットとお揃いのグレーだが、裏側は青色であり、この色はおそらくアメリ艦娘共通のものと推測される。
また、ブラウスにはネクタイが巻かれているのだが、よく見ると星印と艦番号である「45」という数字があるのが確認できる。
腰の部分には青色のフレアスカートを穿いており、その下にストッキングを身に着けている。また、両腕には長手袋を着け、その上にさらに手甲状にグレーのカバーを付けていた
Colorado「始めましてColorado級、そのネームシップ艦Coloradoよ!」
アナト「……………どうも、」
Colorado「………まあ、取り敢えず中に入って、Admiralのところに連れてってあげるわ」
そう不機嫌そうに言った
【南西鎮守府:応接間】
Colorado「Admiral…連れてきました」
南西提督「わかった、お前は執務をやってていいぞ」
Colorado「……失礼します」
アナト「……………どうも」
南西提督「ええ、始めまして私はこの鎮守府の提督営んでおります。南西提督です」
南西提督「いきなりの本題ですが、何故大本営の方がこんな貧相な鎮守府に…?」
アナト「………予想できるだろ南西提督、お前をブラック鎮守府運営をしていたという事で大本営に来てもらおうか」
南西提督「断る」
アナト「………なに?」
南西提督「そもそも、何故ブラック鎮守府を運営しているという事になってるんですか?せめて証拠を出してもらわないと納得できません」
アナト「……証拠なら大本営に大量にあるぞ、Coloradoから全て聞いている」
南西提督「あいつ…!」
アナト「暴れても余計な時間を食うだけださっさと………」
南西提督「おっと、いいのか?今ここで俺を捕まえたら今出撃している家畜共に影響がでるぞ?」
アナト「……………本当に人間は信用できない」
南西提督「は?」
アナト「………お前には関係ない事だ、それじゃあ」
アナト「死のうか」
【横須賀鎮守府:執務室】
提督「………ううむ…」
阿武隈「どうしたんですか?」
提督「ああ、いやね、昨日南西鎮守府っていう提督が殺されてたらしいんだ、死因は深海棲艦の襲撃らしくてね、艦娘は無事らしいよ」
阿武隈「深海棲艦の襲撃で提督だけ死ぬなんておかしくないですか?」
提督「その鎮守府は少し前からブラック鎮守府だと巷でも噂されていてね、現在調査中だったらしいんだけどね………」
阿武隈「ブラック鎮守府ですか…………」
提督「すまない、思い出させてしまったか?」
阿武隈「い、いえ!大丈夫ですからぁ!それに昔の鎮守府こと何にも覚えてなくて……」エヘヘ
提督「そうか……まあ俺的にはこの事件は提督としてどうなのかもしれないが良かったな…深海棲艦の襲撃のおかげで解体途中だった駆逐艦が助かったらしいから」
阿武隈「そうなんですか?それは危なかったですね……………」
提督「ああ、ブラック鎮守府を運営する提督なんて皆死ねばいいと思う、艦娘を兵器当然に扱うなんて論外だ!」
阿武隈「そうですね……………」
阿武隈「…………………………」
阿武隈「あの、提督すみません」
提督「うん?」
阿武隈「ちょっと部屋に忘れ物しちゃいまして…取りに戻っていいですか?」
提督「ああ、いいよ取りに行っておいで」
阿武隈「ありがとうございます」
【長良型:第2部屋:自室】
急いで部屋に戻ると部屋の中に誰もいないことを確認してベットにダイブする
勢い余って少しだけベットの木に当たってしまったがそんなことも気にせずにすう〜っと深く深呼吸をする
目には涙が一杯に溜まっていてそれを枕で強引に拭う
昔のことを思い出してしまった、私はこの鎮守府では珍しくもないブラック鎮守府出身の艦娘だった
日々遠征にだされ休みも無しに働かされた、十分な食事もくれず味の薄めたスープと一欠片のパンが配られるだけだった
そして、改二になっからそんな日々はより過激になった
改二の能力値上昇により二軍補欠から一気に一軍にまで登り積み、いきなり慣れもしない本当の戦場にだされた
最初は順調に成果を上げていったがサーモン海域の攻略が思うように行かず、私は解体対象になってしまった
ついに解体される日が来ると夜は眠れなかった、歯をガチガチと震わせ、体の震えが止まらず涙をボロボロ流して泣いて、発狂していた
そして解体時間がきた
艦娘を解体する特殊機械に拘束され目の前には鋭いドリルなどが迫って来た
だが、その時轟音が聞こえた
明らかに戦艦などによるレベルの射撃音で、緊急事態と言うことで機械は止まった
私はわけも分からず混乱していると一人の見たことのない男性が手を指し伸ばしてきた
『…………大丈夫か…?』
あの人はその後すぐに何処かに行ってしまいその後駆けつけた憲兵団によって私は保護された
つい、提督の【解体】と言う声に反応してしまい、あの時を思い出しそうになってしまいま怖くて提督の前から逃げ出したくなって部屋に駆け込んでしまった
「…………大丈夫…?」
阿武隈「っ!」
急いで枕から顔を上げ声の持ち主を見る
由良「大丈夫?」
違った、同居人でもあり大事な姉妹艦である由良だった
阿武隈「ああ…大丈夫だよ、ちょっと、ね?」
由良「ならいいんだけど…というか執務室行かなくていいの?大淀さんが今日大本営にいってるからって理由での代理秘書艦だったでしょ?」
阿武隈「あ!、い、行ってくる!」
由良「ふふ…………」
由良「……………」
由良「泣いて……いたよね」
――――――――――――
【執務室】
阿武隈「す、すみません提督遅れてしまいました…………」
提督「ああ、大丈夫だよ」
アナト「……………」
『何でいるんだ』そう言っているような目線を送ってくる。正直怖い
阿武隈「ええっと………なんでアナトさんが?」
提督「実は今度、アナトと艦娘の混合出撃を予定していてな、それの作戦会議…と言ったところだ」
阿武隈「作戦会議なら会議室使ってくださいよ……」
提督「まあいいだろ機密情報でも無いし、阿武隈にも出撃してもらう予定だぞ」
阿武隈「そうですか……所で何処に出撃するんですか?」
提督「サーモン海域だ」
阿武隈「っ……」ビクッ
アナト「………サーモン海域…?確かもう制圧している海域じゃ……」
提督「そうなんだけど、最近の情報でサーモン海域にまた強力な深海棲艦がいるって情報があったんだよ。姫級とまでは行かないが戦艦ル級のフラグシップぐらいはいるだろうね」
提督「しかも、基地が設立されているって言われていてね今回、アナトと艦娘の出撃はその基地に関しての情報を手に入れてほしい」
阿武隈「………じゃあ隠密作戦?」
提督「まあ、そんな所だね現状の出撃部隊は旗艦にアナト、霧島、鈴谷、阿武隈は決定している…今回は通称下ルートで行くから後3人駆逐艦がいる」
提督「まあ、それはおいおい決めていくとして、ここに基地がある」
アナト「………Mマス付近の孤島か」
提督「ああ、まだ正確な位置は見つかってないが恐らくMマス付近だ」
阿武隈「面倒くさい場所に………」
提督「そうだな、サーモン海域は下ルートの場合確実に1日以上かかる戦闘だ、しかもMマス前に大抵夜戦艦隊がいる…そこでどれだけ被害を抑えられるかだ」
阿武隈「支援艦隊は確か出せますよね?」
提督「確かに支援艦隊は出せるが、これで深海棲艦にバレたらこの作戦は失敗だ支援艦隊の運用はできない」
提督「しかも、制圧している海域とはいえ油断はできない…深海棲艦がこの海域に基地を設立した以上、何か向こうに利点があるに違いない恐らく、何かしらはある」
提督「まあ、アナト、阿武隈同じ艦隊に組み込むから仲良くしろよ!」
阿武隈「わ、私はいいですけどぉ…あ、アナトさん…よろしくお願いします」
アナト「……………よろしく」
阿武隈「………はい」
私の第一印象のアナトさんは最悪だった
――――――――――――
【アナト自室】
妖精「頑張ってねサーモン海域」
アナト「……誰から聞いた」
妖精「他の妖精から」
アナト「………」
そう言えば、執務室に何人か妖精がウヨウヨしてたな…………
妖精「怒んないの、別にいいでしょ?妖精が作戦をしるくらい、極秘でもないしさ」
アナト「………そうだが…」
妖精「…?」
アナト「………嫌な予感がする…それだけだ」
妖精「嫌な予感?」
アナト「なんて言うか、言葉に表しづらいんだが………あの阿武隈がちょっとな………」
妖精「阿武隈…?彼女がどうしたの?」
アナト「……………いや、何でもない」
妖精「えーなんだよ〜教えてよ〜」
アナト「うるさい………」
こいつの言うとおりもし、アイツらの記憶があるのなら………
アイツは……ただの直感にすぎないが
アナトは立ち上がると壁に掛けてあった刀を手に取って、扉に歩いていった
妖精「ちょっ、何処行くの?」
アナト「海に出る。少しだけ深海棲艦を狩って来る」
妖精「提督からの許可は?というか貴方の言うちょっとは何百体だからね!?」
アナト「うるさい」
妖精「ああ!ちょっと待って…!」
――――――――――――
【サーモン海域】
アナト「………お前、付いてきていいのか?」
妖精「だって貴方が守ってくれるでしょ?」
アナト「お前雑用妖精だろ……」
妖精「いや、雑用と言っても一番忙しいからね!?と言うか、長年貴方のサポートをやってきたんだから私の忙しさがわかるでしょ!?」
人間を嫌っているのだから忙しくないはずだが………
アナト「そんなん何年前だと思ってるんだ覚えてねえよ」
妖精「酷い!」
妖精「というか、なんでサーモン海域に来たの?」
アナト「事前調査なだけだ、稀に艦隊の裏を付いて殺してくる奴らがいるからな」
妖精「それは作戦を進行しやすくするため?それとも艦娘達のため?」
アナト「は?」
妖精「いや、なんで事前調査するのか理由が気になって」
アナト「………作戦を進行しやすくするためだ」
妖精「………フフ」
アナト「何がおかしい」
妖精「いやー貴方ってツンデレだなって」
アナト「は?」
妖精「貴方は嘘が下手なんだから気をつけなよ〜〜」
『相変わらず嘘が下手だね、長年一緒だとすぐに気づくよ?』
アナト「……………」
妖精「"彼女"もよく言ってたよね」
妖精「確か、あの子もよく…」
アナト「おい」
妖精「っと、禁句だったかな?」
アナト「お前……わかってて言ってるだろ」
妖精「どうだろうね」
アナト「……………」
妖精「どうした?」
アナト「……深海棲艦だ、隠れてろ」
妖精「わかった…ん?アイツは?」
現在位置から数百メートル離れた所に黒く禍々しい色を出した深海棲艦がいた
だけど、一人だけ見たことない深海棲艦がいた
アナト「昨日、上官から聞いた新型だ名前は」
アナト「【重巡ネ級改】」
妖精「………しかも、水上打撃部隊だね…そしてあれは…」
アナト「ハンターキラー……」
ハンターキラーとは対潜水艦の艦隊で潜水艦達からはハンターキラーと呼ばれている。恐らく、提督はハンターキラーの出陣をよんでおり俺たちに任務を出したのだろう
今回のような基地の偵察は潜水艦数人で数日で終わる任務だ、潜水艦なら深海棲艦のソナーに気おつければ十分に遂行可能だ
だが、ハンターキラーがいた場合は話が違う。
基本、どの深海棲艦にも電探およびソナーは備わっているが、基本どの深海棲艦も電探が優秀でソナーに関しては劣っている。
駆逐艦や軽巡洋艦は護衛艦隊としての役割ならソナーは優秀だが、高練度の潜水艦ならそれも対処は十分に可能だ
だけど、ハンターキラーはそれ以上の高練度なソナーを装備しており、いくら経験を積んだ熟練の潜水艦でも対処は厳しい
第一、昔は深海棲艦の基地や泊地が多かった為潜水艦による事前調査や隠密作戦は行われていたが、近年基地や泊地の破壊によりそのような機会は無くなってきている
ハンターキラーの弱点は潜水艦に特化しすぎたせいで通常の艦隊決戦には弱いのが弱点だ
しかし、今のハンターキラーは水上打撃部隊の中におり、連合艦隊を思い出させるような艦隊になっていた
アナト「各個撃破が望ましいが難しそうだな……」
妖精「う〜ん……これは戦闘を避けたほうがいいだろうね。重巡ネ級改の実力もまだわからないんでしょ?」
アナト「ああ、今回大本営の調査艦が発見して名前が決定されただけだ、重巡ネ級の亜種とでも思えばいい」
妖精「一応、旗艦みたいだね…あの敵艦隊には姫級、鬼級がいないから当然か」
アナト「だが、基地には陸上型の深海棲艦はいそうだな……基地の建設の進み次第ではリコリス棲姫も出てきそうだ」
妖精「リコリス棲姫までは出なくない?そこまでサーモン海域は重要じゃないでしょ…?」
深海棲艦の基地や泊地の場合高確率で陸上型の深海棲艦がボスとして君臨している。その中でもリコリス棲姫はボス級とまではいないが、艦載機の量が異常なほどに多く、基地や泊地に近づいてくる艦隊に艦載機による奇襲や索敵が可能なためかなりやっかいな深海棲艦だ
アナト「何を言っている。サーモン海域を制圧されたら海上交通網(シールレーン)が艦載機による奇襲が可能になる。それにサーモン海域を制圧されると南方海域まで被害が出る。サーモン海域が制圧されたら時間の問題だ」
妖精「なるほどね………じゃあもし、深海棲艦が海上交通網に奇襲を掛ける予定なら基地防衛の為にリコリス棲姫の艦載機による奇襲もありえるのか…」
アナト「予想としては夜戦の合間にやってくると思う。リコリス棲姫の艦載機の正確な数は現時点でも不明だが、恐らく第二次攻撃隊までは行えると思う。下ルートの場合、艦載機は俺以外には出せない」
妖精「う〜ん……どうする?」
アナト「まだ、なんとも言えないリコリス棲姫だっていない可能性もあるし基地のボス深海棲艦が不明な現状作戦もクソもない………それに」
妖精「…?」
アナト「今回の作戦かなりおかしい」
妖精「え…?」
アナト「そもそも、偵察ならば潜水艦だけで十分なはずだ、ハンターキラーが出てくると予想していたとはいえ、訓練を積み重なった潜水艦ならハンターキラーぐらいどうにでもなる」
アナト「しかも、下ルートの推奨艦隊と似ているのもおかしい…戦艦枠が霧島なのが謎だ、夜戦を視野に入れているのなら霧島の運用は理解できるが、今回はあくまで偵察だ夜戦なんて行えば深海棲艦にバレる」
妖精「つまり…?」
アナト「提督は最初から基地の破壊を目論んでいる」
妖精「え……」
アナト「確信は無い…取り敢えず、これ以上ここにいる理由もほとんど無い、一旦鎮守府に帰るぞ」
妖精「……わかった」
――――――――――――
【上官室】
上官「ううむ…わかった詳しい事はこちらで全部調べるよ、ありがとう」
アナト『構わん……それと、一つだけ質問がある』
上官「なんだ?」
アナト『お前は横須賀の提督に基地の調査を依頼したのか?』
上官「ん?なんじゃそりゃ俺は基地の破壊を命令したはずだぞ」
アナト『………そうか』
上官「なんだ?横須賀の提督がお前に嘘をついた感じかな」
アナト『まあ、そんな所だ』
上官「一応言っとくが、変な事はするなよ?横須賀の提督が何を考えているのか俺には分からんが、少なくともお前にメリットのあるはずだから……」
アナト『………メリット…か……』
上官「……アイツ…切りやがった」
――――――――――――
【同時刻:執務室】
提督「……………わかったありがとう。それじゃあ大淀はもう帰ってもらって結構だよ、後は俺に任せてくれ」
提督「うん、それじゃあ」
そう大淀に告げると、机の上に置いてある電話を置いた
提督はふう…と気だるそうに息を吐くと、胸ポケットから小さなマイクのような物を出し、電源を入れる。
電源が入ったことを確認することができるランプを光ったのを確認すると、少しだけ息を吸い込みこう言った
提督「兵器アナト至急、執務室に来るように…繰り返す、兵器アナト至急、執務室に来るように…」
――――――――――――
【アナト自室】
『繰り返す、兵器アナト至急、執務室に来るように………』
アナト「……………」
妖精「……………」
妖精「何をしでかしたの?」
アナト「何もやってないはずだ……無断許可での出撃以外……」
妖精「確か、外出許可も貰ってないよね」
アナト「……………」
妖精「さあ、何をやったのか知らないけど怒られに行こうか」
アナト「叱責確定させるな…」
『なお、この放送はアナトの自室だけ音が出るようにしている。至急執務室に来るように』
アナト「……なに?」
――――――――――――
アナト「失礼する」
あの放送から数分後、アナトは執務室に来た。格好は私服ではなく演習の時にも着用してきた服を着ていた
提督「ああ、すまないね。いきなり呼び出しちゃって」
アナト「……なに、構わない……それより要件は…?」
提督「まあ、立って話すのも何だしほら座ろうじゃないか」
アナト「………ああ」
提督「さて、君を呼び出した要件なんだけど……まだ来てないな」
アナト「……?」
明石「提督、失礼しまーす!」
いきなりドアが大きな音を立てて開いたと思ったら汗を書いた明石が飛び出してきた
俺と提督の目線に気づいたのか少々気まずそうにしながらも明るく喋った
明石「えっと…それで、提督!何故私を呼んだんですか?それと何故アナトさんまで……」
提督「ん、それは今から話そうか明石も座りな」
明石「はーい」
明石はちゃっかりと俺の隣に座ってきた
なんだか、距離が近いような気がするが………
提督「さて、それじゃあ要件なんだが……」
提督「アナト、すまないが自分個人で君のことを調べさせてもらった」
アナト「………」ピク
明石「…!」
提督がその一声を言うと、何というか雰囲気がガラリと変わった
普段ののほほんといた雰囲気ではなく、周囲に威圧感を与えるような感じの雰囲気で顔は笑っているが、目が明らかに違った
そんないきなりの変化に少々驚いたが、提督は構わずに続ける
提督「アナトと明石は大本営書物庫にあるセキュリティシステムは知っているかい?」
明石「は、はい…5つまでに分類されていて許可証が無い人にしか入れない場所ですよね?」
提督「うん、そうだよそこのセキュリティはレベルが上がるごとに海軍の機密情報があってね
…自分はLV.3までしか所持してないけと、大淀は元上官の秘書艦ともあってね、LV.5の許可証を持っていてね」
提督「個人的に君のことが気になっていて大淀を使ってセキュリティのある書類をあらかた調べてもらったんだ」
アナト「……………」
明石「……結果は…?」
提督「もちろん、無かった………だけど、おかしな書類があってね」
明石「え?」
アナト「………」
提督「艦娘の履歴書…みたいな物だね、何年何月に建造されて何処の鎮守府にいるかどうかとか、そんなことが書いてあるんだ」
提督「しかも、その艦娘が同じ艦娘で何番目に建造されたのかも書いてある」
提督「で、ここからが問題だ」
提督「自分は見れないからなんだが、駆逐艦吹雪の書類で一番最初に建造された吹雪の建造履歴が【9年前】だったんだ」
明石「っ、!」
アナト「………」
提督「君たちも知っているだろうが、深海棲艦が現れたのは今から24年前……実際に22年前に大規模作戦が行われていて艦娘の名前書いてある」
提督「つまり、その間まで吹雪と言う艦娘が【書類上存在してないんだ】」
提督「もちろん、それはおかしいと思った大淀は徹底的に他の艦娘も調べたらしい……だけど全部9年前と記録されていたんだ」
提督「しかも、その最初の建造された艦娘が皆、横須賀鎮守府に着任していた」
提督「君もふまえてね、明石」
明石「っ………」
アナト「………」
提督「だけど、明石の番号だけおかしくてね……本来1番のはずなのに明石だけ0番と書かれていたんだ」
提督「しかも、工作艦明石と書いてあるはずの書類には君は普通に明石としか書かれてなかったんだ」
提督「まるで、君が艦娘じゃないとでもの言い方だよね、この書類だと」
明石「わ、私はちゃんとした艦娘です!」
提督「別に明石を攻めているわけじゃない、答えなくてもいいからもし、この事に関して知っている事があれば是非教えてほしい」
明石「ありません!」
アナト「……ない」
提督「わかった、それじゃあもう解散でいいよ、要件は全て終わったからね」
アナト「……まて」
提督「ん?なんだい?」
アナト「俺から一つだけ、質問がある」
提督「なんだい?」
アナト「サーモン海域の敵基地についてだ」
提督「………」
アナト「ついさっき、勝手にだが出撃して調べさせてもらった……」
アナト「提督は作戦内容は偵察だと言ったよな?なら何故潜水艦を出さない?」
提督「それは、ハンターキラーがいると思ったからだ…実際にいた?」
アナト「確かにハンターキラーはいた、しかも水上打撃部隊との合体でかなりの大型な艦隊だ………もし、俺たちだけでの偵察ならほぼ間違いなく見つかる」
アナト「しかも、新型の深海棲艦【重巡洋艦ネ級改】がいる……これに関しては認知していたのか?」
提督「そうだね」
アナト「なら、道中で確実に戦闘になるのは分かるはずだ、潜水艦なら見つかってもハンターキラーにさて気をつければ逃げれることも十分にできる」
アナト「………何故、今回の作戦に俺を投入した?何故潜水艦を意地でも使わない?」
提督「………」
提督「わかった、降参だまいったまいった」
提督は両腕を上げ降参ポーズをとるその途端先程の雰囲気はなくなり普段どおりの雰囲気に戻る
提督「確かに、アナトの言うとおり今回の作戦は潜水艦が必須だ…ハンターキラーがいるとはいえ今の条件下じゃあ無理にでも潜水艦を出撃させたほうが断然に良い」
アナト「……何故、潜水艦にしなかった?」
提督「ん〜…まあ、直球に言うとアナトの実力を知りたかった」
アナト「………」
提督「アナトはあの演習だけじゃ到底全ての技なんて出し切ってないだろ?なんだか暴走みたいな感じになっていたけどまだ本気じゃないと見て取れた」
提督「指揮官という立場にとって戦場で戦う君達の技量は全て知っておきたい、今回のサーモン海域での戦闘ですべて分かるとまでは言い難いが、少なくとも今よりかはわかる」
提督「本当なら別の作戦に参加させたかったがあいにく無くてね……現在可能な大規模な作戦はサーモン海域しかないんだ」
提督「後日行われる訓練でも演習のようになれば最悪、鎮守府の機能が停止してしまうほど艦娘が怪我を負いそうだからね…その時は艦娘に怪我が無いようにだけ気おつけてくれればまた技量を測らせてもらうよ」
提督「その他を踏まえて、今回の作戦に無理やりだが艦隊を組んだ……もちろん、偵察とは言わない、基地の破壊が本来の目的だよ」
提督「もちろん、後日艦娘達にも言うつもりだ…恐らく、艦隊に入る艦娘達みんな予想できているだろうけどね」
提督「……と、こんなもんかな何か質問はある?」
アナト「………いや、十分だ」
提督「ん、それじゃあありがとうね、少しだけどアナトとも話すことができたし……それじゃあ帰ってもらって結構だよ」
アナト「…失礼した」
明石「し、失礼しました!」
ドアが閉まり、先程までの空気とはまるで場違いかのように提督背伸びをすると、深く息を吐いた
提督「ふう……」
提督「(あの案件は俺には教えられない…か……)」
提督「(大淀の報告が本当なら、書類上、一度艦娘は全滅した事になってるな……)」
提督「(誰かが書類を書き換えた可能性も考えられるな…)」
提督「(大淀は口調的に初めて知ったみたいや感じだったな……)」
提督「(アナトはほぼ確実に知っているだろうな……明石は……………)」
提督「(どうだろうか……仮にもセキュリティレベル5に保管されている書類だ、明石がセキュリティレベル5を閲覧できるほどの許可証は持っていないはず………)」
提督「(それじゃあアナトから教えてもらった感じか…?なんか、仲良さそうな感じだったし)」
提督「う〜ん…」
――――――――――――
【アナト自室】
妖精「ちょっと、マズイことになってきたね」
アナト「………聞いていたのか」
妖精「うん」
アナト「………アイツ…思っていたよりも勘がいい…それに思ってた以上に頭が回りやがる……………このままじゃ勘付かれるぞ」
妖精「どうする?」
アナト「………取り敢えず、上官に報告する…叶うならば大淀からセキュリティレベル5の許可証を剥奪させる………それか、あの書類全てを【特殊クリアランスセキュリティルーム】に運ぶかだ」
妖精「………」
アナト「仕方無いが、こうするしかない……いくらアイツでもこの事に関して知られるのはかなりマズイ」
妖精「確かに……」
アナト「……………」
――――――――――――
【執務室】
コンコン
何とも言えない重苦しい空気の中、ドアからノックが鳴った
提督「どうぞ」
大淀「失礼します……って、何ですかこの重苦しい空気」
提督「ああ…ちょっと………ね?」
大淀「何したんですか………」
大淀はこみかみを手で抑えながらはあ…と息を吐いた、そして提督の机の前に立つと、先程までの顔をどうしたのかいつになく、真剣な表情で見つめてくる
提督「ん?どうした?」
大淀「えぇ…上官から聞きましたよ、サーモン海域の事」
提督「ああ、サーモン海域?艦隊ももう決まってるし、今回は実験的にアナトを投入するから変なアクシデントさえおきなければ大丈夫……」
大淀「提督、艦隊の変更をお願いします」
提督「……ん?」
大淀「今回の作戦であるサーモン海域敵基地破壊作戦……軽巡洋艦阿武隈を艦隊から外して欲しいんです」
提督「………理由を教えてもらおうか」
大淀「まず、本作戦において阿武隈は必要ないと思います。彼女は一軍の中でもトップクラスに射撃命中率が悪いですし、なんなら止まっている的にすら当たりません」
大淀「唯一の武器とも言える魚雷は確かに鎮守府1ですが……今回の敵基地のボスは高確率で陸上型深海棲艦です、魚雷で陸上型に対しての攻撃はほぼ通用しないです…しいていうなら随伴艦の迎撃ぐらいしか使い道がないです………それに………」
大淀「彼女が最も活躍できる独擅場は【撤退時】のみです……逃げながらの迎撃なんて本作戦ではそんな状況下に陥るわけがありません」
大淀「以上の理由です…」
提督は大淀の説明を終えるとう〜んと顔をひねらしたあと、優しげに問いかけて来た
提督「大淀、何故阿武隈が一軍なのかわかるか?」
大淀「え?……え、えっと…魚雷の命中率が鎮守府1なのと、やはり、撤退戦の異様な撤退率でしょうか………」
提督「そうだ、阿武隈の独擅場でもある撤退戦……何故阿武隈は撤退戦が得意だと思う?」
大淀「え…?…………そ、それは………」
提督「阿武隈にとって勝利は二の次なんだ、どれだけ仲間を無事に鎮守府に返す事ができるか、阿武隈はそれだけの事を考えて行動する言い方は悪いが機械のようにな」
大淀「………」
提督「逆に敵に撤退戦を持ち込むことさえできれば阿武隈の才能は開花される。実際に同じ艦隊にいた艦娘から聞いた話では普段とは想像のできないほど射撃命中率が上り、その場の咄嗟の判断もできるようになっていた」
提督「阿武隈は決して他の艦娘よりもおとっているわけではない、ただ訓練や演習では【死ぬ必要の無い戦い】だからこそ彼女の才能は開花されず、成績が悪いんだ」
大淀「ですが…それだとしても本作戦とは関係ありません、撤退戦に持ち込むような作戦ではないですし……」
提督「今回の作戦はなるべく道中の深海棲艦との戦闘は避けての基地破壊になる……霧島とアナト、夜戦で火力が上がった駆逐艦なら増援が来る前までにほぼ確実に仕留めることができる」
提督「そして、敵基地のボスを倒せば後は彼女の独擅場だ、サーモン海域は現在大量の深海棲艦がいる海域だから撤退中にも交戦は避けられない、基地破壊までは阿武隈は必要最低限で駆け抜けてもらい、撤退戦では彼女に頼りながら確実に帰還する………とまあ、そんな作戦だ」
大淀「………そうですか…わかりました、あまり把握してない状態で作戦に指摘してしまいすみませんでした」
提督「いやなに理解してくれたのなら俺はいいよ?……ああ、そうそう大本営から帰ってきたばっかりだろ?今日の書類ももうすぐ終わるし、もう上がってもらっていいよ」
大淀「……では、失礼します」
提督「お疲れ〜〜」
――――――――――――
【工廠】
明石「艤装を見てほしい?」
アナト「あぁ……できないか?」
明石「いやまあ…できないことはないですけど…アナトさんの艤装がどうなっているのかわかりませんよ?アナトさんの為だけに作られたオーダーメイド品と一緒ですし………説明書とかありません?」
アナト「……………捨てた」
明石「はあ……まあ、理由は聞きませんけど………というより、何故今見る必要があるんです?演習では問題無く動いてたじゃないですか」
アナト「……お前はサーモン海域について知ってるか?」
明石「えぇ、知ってますよ。結構噂になってますね」
アナト「……噂?」
明石「はい、アナトさんの初陣のせいなのか作戦に参加する艦娘以外でもかなりの艦娘が知っていると思いますよ、ソースは青葉さんです」
アナト「………………」
明石「まあ、そんなことより艤装ですね?出してもらってもいいですか?」
アナト「あぁ………」
アナトは小さく頷くと、背中から明るい粒子のよつな粒が集まっていき、主砲が大量に装備させられている重々しい艤装が露わになった
主砲の数は右左に15砲、脚部には魚雷をしまう機構が備わっており、全体的に重そうな代物だった
私はその艤装の重量さに怖じ気づきながらも、艤装に手をかけた
明石「うわぁ…中身ごっちゃすぎて意味分かんないですよ……今まで艤装どうしてたんですか?」
アナト「……そもそも、艤装自体使うのが珍しい………大抵、刀と魚雷があればどうにでもなるし、艤装を使わなくても主砲や魚雷などのやり取りはできる」
明石「相変わらずめちゃくちゃですね………普段深海棲艦の大群を相手しているのに、本名である艤装使わずに倒すとか……………というより、何故艤装点検なんてするんです?サーモン海域では使わないでしょう?」
アナト「……上官の報告しだいだが、予想ではかなりの数がサーモン海域に集中している、それに今回は艦娘もいるんだ、何かあって轟沈したら嫌だし、俺のペースで進軍できない」
そうどうでもよさそうに言うが、それよりもアナトさんが艦娘の事を気遣っているのに驚いた
私が驚いた表情を知ったアナトさんはすぐに私を鋭い目線で睨むと
アナト「………点検が終わったら教えてくれ、自室にいる」
明石「え、ちょ!…………」
明石「やっぱり、根は昔から変わらないようです」
そう、少しだけ安心した声で一人呟いた
少し次の更新には時間が空きそうです
――――――――――――
第1章 ←中盤
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
第7章
第8章
最終章
これ、どれくらい掛かるかな………
――――――――――――
元師…現在諸事情により元師という階級が無い
上官…胸元に金色の桜のバッチがある。
ーーー日本海軍最高司令官
大将…胸元に銅色の桜のバッチがある。
中将…胸元に銅色の策のバッチがある。
ーーー大本営着任
少将…胸元に少将の勲章がある。(横須賀提督)
大佐…胸元に大佐の勲章がある。
中佐…胸元に中佐の勲章がある。
少佐…胸元に少佐の勲章がある
中堅少佐…胸元に中堅少佐の勲章がある。
ーーー地方の鎮守府着任
新米少佐…何も無し。
ーーー士官学校
現在、元師の階級がないので現在の日本海軍総責任者は上官
――――――――――――
クリアランスセキュリティ制度
LV.1クリアランス ーー 【保管書類】
深海棲艦(駆逐艦・軽巡洋艦・雷巡洋艦・重巡洋艦・戦艦・軽空母・正規空母)の詳細資料
各海域に関しての詳細資料
過去に行われた大規模作戦の詳細資料
【閲覧可能になる方法】
正式に提督として鎮守府に着任した場合のみ手に要られる。
LV.2クリアランス ーー 【保管書類】
深海棲艦(姫級)の詳細資料
海外艦娘の詳細資料
【閲覧可能になる方法】
姫級轟沈、または海外艦娘の着任許可がでた提督のみ手に要られる。
LV.3クリアランス ーー 【保管書類】
深海棲艦(鬼級)の詳細資料
特殊艦娘の詳細資料
(明石や大淀などの鎮守府での建造では出ない艦娘の事を特殊艦娘と言う)
【閲覧可能になる方法】
少将の勲章以上の勲章を持っている提督及び特殊艦娘の着任許可がでた提督、または大本営所属幹部、また鬼級撃破でも可能
LV.4クリアランス ーー 【保管書類】
???
【閲覧可能になる方法】
大本営所属幹部が手に要られる。
LV.5クリアランス ーー 【保管書類】
全艦娘の建造履歴書
新型深海棲艦の詳細資料
【閲覧可能になる方法】
大本営所属幹部の最高峰4人及び上官・大淀・アナトのみが手に要られる。
特殊クリアランスセキュリティルーム
【保管書類】
???
【閲覧可能になる方法】
???
――――――――――――
今回はオリジナルキャラ【アナト】を主軸にしてるのですが、アナトという名前はちゃんとした元ネタがありまして、【ウガリット神話女神-愛と戦争の女神】としてちゃんとした元ネタがあります。(気になる方は調べてみてください)勿論、ちゃんとした意味も込められてますし、神話にもとづいた描写も書いてますので是非探してみてください。
女神なので女性キャラにしようかなと思ったんですが艦娘も女性なので男性キャラとして書いてみました!
更新楽しみにしてます!面白かったです!
ありがとうございます!
更新はかなり遅いですが頑張っていきます!
とても面白かったです
ありがとうございます!
更新頻度は遅いですが頑張っていきます!
これからもよろしくお願いします!
続き楽しみです!!
ありがとうございます!
更新頻度は遅いですが頑張っていきます!
今後もよろしくお願いします!
それは...悲しいですね
更新は気長に待ちますので受験頑張ってください!応援してます!
ありがとうございます!
受験で更新はあまりできませんがせめてコメント返信はしていきます。
受験が終わるまで気長に待っていてください。
7です!了解しました!
ありがとうございます!
現在の下書きは【アナト対艦娘の演習】が終わりましたら更新します!
それまで待っていてください
受験勉強頑張って下さい!待ってます!
ありがとうございます!
現在受験勉強頑張ってます!
なんとか更新はできそうです。
ゆっくりですが待っていてください!
楽しみ
ありがとうございます!
期待に答えられるように頑張っていきます!次からはアナトの日常編です。
更新ペースは遅いですが待っていただけると助かります。
今後も【男は兵器に成り下がった】を読んでいってください!
面白かったです!受験勉強頑張ってください!応援してます!
コメントありがとうございます!
受験勉強も頑張ってやっています!
休憩のときにssは書いてますので結構更新できて自分自身驚いてますw
休み過ぎなだけな気がしますが…
更新キター!ヾ(⌒(ノ'ω')ノ
コメントありがとうございます!
少し忙しくて更新できませんでしたが昨日更新することができました!
こうやって自分のssを読んでいただける人がいて大変嬉しいです。
夏休みももうすぐ終わりそうですが、更新はしていきたいと思います。更新は遅いですがどうか待っていただけると幸いです。今後もよろしくお願いします。
更新楽しみにしてます頑張ってください!
コメントありがとうございます!
そう言っていただけると大変嬉しいです!一回の更新自体は少ないですがどうか待っていただけると嬉しいです。
まだ日常編が完全に決まってはいないため、あまり進展はなさそうですね。
アナトの過去はかなり引き延ばそうと計画していますw
これ今後どんな展開になるのか全然想像つかないな…
コメントありがとうございます!
今後の展開は全く思いついてないんですよねw
まあ提督から少しだけだ今後の展開のお話がありますがそれが終わったらどうしようか考え中です。
最悪コメントでのリクエストもワンチャンありそうです。
あと8万って…1章だけでどれだけ長いの…w
他の章もこんな感じなんですかね?
コメントありがとうございます!
1章に後8万はあくまで大まかな見積もりをした結果ですけどね。多分鉢も行かないと思います。
実際は17章まであるんですけど長すぎますし、自分のモチベーションも持たないのでかなり抜粋して現在の9章まで減らしました
他の章もこれぐらいの量はありますね
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