＊食堂＊

アルミン　「暇だね～」

ミカサ　　「アルミン、本は読まないの？」

アルミン　「全部もう読んじゃった。今日買いに行こうと思ってたんだけど」

クリスタ　「この雨だもんね」

サシャ　　「今日は食べ放題の日だったのにっ…。惜しいことをしました」

ユミル　　「で、全員食堂でごろごろかよ」

ジャン　　「いんや、ライナーとベルベルトはレポート作成。死に急ぎは知らねえ」

マルコ　　「フランツはハンナと雨の中デートに」

ユミル　　「あのバカップルが。で、女子は？」

クリスタ　「ミーナとアニは部屋でファッションショーしてた。ハンナはフランツと」

ミカサ　　「じゃあ食堂にいるのは私、アルミン、クリスタ、サシャ、ユミル、ジャン、マルコ。この人数での暇つぶしはなんだろう」

アルミン　「う～ん…」　

バリイイン！！！！！！！！！！！！！！！！！

一同　　　「！？」

？　　　　「そこを動くなガキ共！」

ミカサ　　（私なら取り押さえられる。相手は一人！）シュダッ

？　　　　「そうはいかねぇ」バシィッ

ミカサ　　「立体起動装置とブレード！？」

アルミン　「頬に自由の翼の刺青…」

アルミン　「まさか！」

ユミル　　「わかったのか！？」

アルミン　「街中で恐れられてる強盗だ。その残虐性と金の亡者で有名な、もと調査兵団だ！」

ジャン　　「な、なんだってぇ！」

強盗　　　「よくわかるな、ちび。女のくせによぉ」

サシャ　　「アルミンは男です」

強盗　　　「…は？」

クリスタ　「アルミンは男だよ」

強盗　　　「いやいや、まさか」

アルミン　「僕、男ですが」

強盗　　　「…」

強盗　　　「ええい、仕切りなおしだ。とにかく、縛らせてもらうぜ」

マルコ　　「あれはワイヤー！」

ジャン　　「軽々と曲げやがった」

ミカサ　　（さすがの私でも、ワイヤーは不可能…）

ユミル　　「クッソ…」

強盗　　　「お前らを人質にして、金を取る。訓練兵団からも、親からも取れるって寸法だ」

アルミン　「…」（親いない）

ミカサ　　「…」（親いない）

ユミル　　「…」（親いない）

クリスタ　「…」（いるにはいるが縁を切ってる）

強盗　　　「ともかく、大人しくしてろよ」

クリスタ　「行ったね…」

アルミン　「おそらく、食堂の封鎖、爆弾の設置、エレンたちへ要求を伝える、人質の殺人道具探しをいっぺんにやってるんだろうね」

ジャン　　「どうしてそんな冷静なんだ！？」

アルミン　「僕の数少ないとりえだよ」

マルコ　　「まあ、アルミンの考えが妥当だろうね」

サシャ　　「ミカサにこのワイヤーは…？」

ミカサ　　「無理だった」

サシャ　　「そうでしたか…」

ユミル　　「今のところの希望はライナー、ベルトルト、アニ、ミーナ、エレンの五人か」

クリスタ　「キース教官は教官たちと出かけたしね」

サシャ　　「ハンナとフランツは数に入れないんですか？」

アルミン　「街にいるしね、そもそもあの二人だよ？」

サシャ　　「…時刻ぎりぎりまで街にいそうですね」

マルコ　　「そういうこと」

ジャン　　「さて、とりあえず持ってるものをみんな確認しようぜ」

ミカサ　　・エレン、アルミン、ミカサの写真

　　　　　・マフラー

　　　　　・ブレード（刃こぼれしている）

アルミン　・本

　　　　　・メモ　　

　　　　　・救急セット（包帯二巻き、消毒液、胃薬、テープ、軟膏）

ジャン　　・立体起動装置の携行用ガスボンベ（携行用のため中身は少量）

　　　　　・トランプ

マルコ　　・ペンチ

　　　　　・胸用プロテクター

ユミル　　・歯車二つ

　　　　　・ヘアピン

クリスタ　・ヘアピン　

　　　　　・ブックカバー

　　　　　・裁縫セット（糸きりバサミ、針一本、赤と黒の糸）

サシャ　　・芋二個

　　　　　・芋の皮

　　　　　・ヘアゴム

ミカサ　　「たったこれだけ」

サシャ　　「なんでユミルは歯車なんて持ってるんですか…」

ユミル　　「じゃあなんでお前は芋持ってんだよ…」

マルコ　　「使えそうなのはミカサのブレード、ジャンのガスボンベくらいか…」

ミカサ　　「私のブレードは刃こぼれしていて、ワイヤーは切れない。マルコのペンチは？」

マルコ　　「これだと曲げるのが精一杯ってとこだよ」

クリスタ　「もうすぐ死んじゃうのかな」

ユミル　　「クリスタ、泣くな！」

ミカサ　　「！」

ミカサ　　（あの手を使えば！アルミンの精神には犠牲になってもらうが、いつものことだし大丈夫！）

ミカサ　　（…しかし）

ミカサ　　（短期決戦とならないとアルミンが危ない）

ミカサ　　「アルミン」

アルミン　「なんだい」

ミカサ　　「短期決戦にできる？」

アルミン　「？」

サシャ　　「どういうことですかミカサ？」

ミカサ　　「アルミン、できる？」

アルミン　（よくわからないけど、僕、ミカサに頼られてる…）

アルミン　（嬉しい！）

アルミン　「もちろん！」

ミカサ　　「ならば」

ミカサ　　「アルミン、あなたは弱虫」

一同　　　「！？」

ジャン　　「気でも狂ったのか！？」

ミカサ　　「私たちに守られることしかできない」

アルミン　「…」

ミカサ　　「違う？」

アルミン　「はは。そうかもね…」

ミカサ　　「昔のあなたはもっと勇気があった」

ミカサ　　「変わってしまったのは、クリスタに恋をしたからだと仮定する」

アルミン　「なっ…！」

ミカサ　　「つまり、クリスタを殺せばアルミンは素に戻る」

ジャン　　「ミカサ！クリスタに恋をしたって証拠はあんのかよ！」

ミカサ　　「分かる。最近洋服に気を使うようになってきていたし」

ミカサ　　「恋愛小説ばかり読むし、ため息をよくつくし、クリスタをじーっと見るし」

ミカサ　　「すべてが恋する乙女の特徴」

マルコ　　「本当だ。今もってる本は『恋愛手引』…恋愛小説でも難い本ばかり読むねアルミン」

ミカサ　　「クリスタ…死んでもらう」

クリスタ　「み、ミカサ」

ユミル　　「クリスタに手をだすことはゆるさねえぞ！」

ミカサ　　「私の特技は肉を削ぐこと…必要に駆られればいつでも披露します」アイコンタクト

ユミル　　（分かったミカサ、貸しにしといてやる！）アイコンタクト

サシャ　　「え、え、分からないんですが」

マルコ　　「うん、サシャは黙っていようね」

ミカサ　　「さあクリスタ…死ね！」

クリスタ　「キャッ！」

アルミン　「ミカサ…たとえ幼馴染でも許さないよ…」

アルミン　「僕が守るんだっ！！！」

強盗　　　「ほお…そこのガキ、おとなしくしてろ。そこの女、こっちこい」

クリスタ　「私ですか？」

強盗　　　「そうだ。はやくしろ！」

強盗　　　「まずはこいつから殺してやるぜ…すでに身代金要求はすんでる、金ももらったからな…」

アルミン　（このままじゃ、クリスタがっ！）

アルミン　（考えろアルミン、何か手立てはないのか！）

アルミン　（…あった）

アルミン　（単純明快じゃないか）

アルミン　（これで、クリスタを助けみんなも助ける！）

ジャン　　「おい！アルミンの瞳が赤になってるぞ！」

ミカサ　　「よっしゃキター！」

マルサシャ「！？」

ミカサ　　「あれはアルミン覚醒状態」

ミカサ　　「世界でもっとも愛してる人が危険にさらされるとああなる。体力も上昇するけど、何日か後まで『前払い』している状態らしく、そのぶん眠る」

ユミル　　「おい、アルミンがなにか組み立てたぞ！ワイヤーを」

ミカサ　　「器用さもあがる」

ジャン　　「ありゃ立体起動装置だ！」

アルミン　「うぉぉぉっ！」

強盗　　　「ガキがぁっ！」

サシャ　　「あれ、ミカサのブレードですよ！」

マルコ　　「上から攻撃することで、威力をブーストしてるんだ！」

ミカサ　　「火花がすごいっ！」

ユミル　　「アルミンが押されてるぞ！」

ジャン　　「筋力そのものが変化してねえからだ！」

アルミン　「僕が＿＿＿守るんだぁぁぁぁ！！！」

サシャ　　「目が青に戻りましたよ！」

ミカサ　　「大丈夫。もともとアルミンは強いから」

マルコ　「ガスを発火させた！」

アルミン　「うぉぉぉぉ！！！！」

クリスタ　（あの事件から一週間）

クリスタ　（アルミンは、まだ眠ってる）

クリスタ　（もう、すっごいやせ細ってて…今、開拓地送りが決まった）

クリスタ　「アルミン、ごめんね」

クリスタ　（最後にわたしの気持ち…受け取って？）ちゅっ

終