もう勇者やめていいですか?2
オリジナルss 世界を救った勇者の次なる人生とは…?
どこかの森
「ん...んん...」
微かに音が聞こえる、鳥の鳴く声、風が吹き抜ける音、川の流れる音。まるで今まで昼寝していたかの感覚に陥っていた。
グレン「......はっ!」
目が覚めると異様な光景が広がっていた。さっきまで朽ち果てていた魔王城だったはずの場所が自然豊かな森になっていた。
日の光が優しく辺りを照らしていてまるで最初から何もなかったかのようだ。
いや、待て、これはおかしい。どう考えてもおかしいぞ。あの出来事が夢の筈がない。ていうか俺は死んだはずじゃ...!?
自分の身体を見る、そこで驚いた。悪魔にやられて負った傷が一切ない。擦り傷1つも。だが服はボロボロのままだった。傷だけ治ったとでも言うのか...?
あの状態で生きられるはずはないんだがな...
奇跡的に生きていたとしてもこんな森の中にいるのは何故だ?一体俺の身に何が起きている?
グレン「...そういえば意識を失う前に声が聞こえたな」
そう、確かに聞こえた。その記憶だけは何故か鮮明に覚えている。その声の主が俺を生かしたのか?なんのために...
ぶんぶんと首を振る。色々疑問はあるがわからないことを考えても仕方がない、今俺がやることはここがどこであるかだ。まずは自分がどんな状況でどこにいるかを把握しないと...
仮にも全世界を旅してきた勇者である。想定外の事態なんて星の数ほど遭遇してきた。今更この程度で狼狽えるほどやわではない。
.....流石にこんな状況は初めてだが。
「お?目覚めたかマスター」
グレン「うん?」
木の横からひょこっと少女が出てきた。
金色の髪は肩まで伸びておりフリフリしている黒と白を強調した丈の短いワンピースを着ている。歳は13、14といったところか。しかしなんといっても目立つのがそのオッドアイだ。左目が俺と同じ藍色で右目が金色だ。
グレン「誰だ?なんで子どもがこんなところにいる。てかマスターってなんだ」
「うん...?おかしな事をいうのだなマスター」
おかしいのはどう考えてもお前だろ!
というツッコミを脳内で済ませあくまで冷静に対応する。
グレン「悪いが俺はお前のマスターじゃない、人違いではないか?」
俺の知り合いにこんな金髪オッドアイな子はいない。仮にいたとしてもこんな印象の強い子忘れる筈がない。
「...??あぁそうかそうかそういうことか」
うんうんと頷き何故か1人だけ納得している。
なんなんだこいつ、一体何者...ん?
無い...俺の武器が無い。いや、正確には鞘に入っていた"剣"が無い!?一体どこにいった?まさかこいつ...
グレン「おいお前、俺のこの鞘に入っていた剣をどこにやった」
「む...?」
少女はきょとんとし首をかしげる。わざとらしい反応をするな。十中八九お前が盗んだんだろうが!
グレン「今素直に返せば軽いお仕置きくらいで許してやる」
「何故マスターにお仕置きされなければいけないのだ!」
グレン「だから俺はお前のマスターじゃねぇ!」
ついツッコミをいれてしまった。ふざけた態度を取るやつだ、少し脅してやるか。
グレン「俺が何もしないと思っているんだろ?舐められたもんだ。」
「ん?まさか、マスターの実力は十分に知っているつもりだが」
グレン「てめ...いい加減にしないと痛い目にあうぞ」
「ふむ、具体的に何をされるんだ?」
ぐっ、まさかここで言い返されるとは。なかなか肝が据わっているな、いやただ危機感がないだけなのか?よし、ここは...
グレン「そうだな...お前の尻を、赤くなるまで叩く」
「なっ...!?」
金髪少女は驚いた顔をし少し顔を赤らめた。
ふふ、そうだろう。なんせ俺も子どもの頃は悪い事をして母さんに尻を叩かれまくったからな。それはもう痛かった、尻がもう2つに割れるところだったぜ。
金髪少女は冷ややかな目で俺を見る。
「マスター...わたしのお尻を触りたいからってそれは流石に...」
グレン「おい、誰がお前の尻を触りたいって言った!?」
「マスター」
グレン「言ってねぇ!てかマスターじゃねぇ!」
なんなんだこのガキ...調子に乗りやがって。どうせ触るなら美人なお姉さんにお願いしたいぜ!
いや、それは今どうでもいい。問題は剣がないことだ。
グレン「おい、もう茶番は終わりだ。いい加減に剣返せ」
「はぁ...」
金髪少女は呆れた顔をし、ため息をついた。
グレン「なんだよ」
「まだ気付かんのかマスター?」
グレン「なにがだ」
まったくもって意味がわからん。なにが気づいていないというのか。俺はこれでも敏感な方だぞ。
すると金髪少女は髪を手で払い高々に声を上げる
「何を隠そうわたしがその剣なのだ!」
「...は?」
何を言っているんだ?それではまるで剣が人になったみたいじゃないか。何をバカなことを...
いや...そんなまさか...
グレン「...俺のこの剣の名前を言ってみろ」
「うむ」
金髪少女はこほんと一咳し再び目を見つめる
「神剣...いや、雷神剣"鳴神"。それがわたしの名だ。」
「!!」
神剣の真の名を知る者は神、天使、又はその血を継ぐ者しか知り得ない。その他のものが知ろうとするとその名はぼかされてしまう。
おそらく神剣を悪用されないために神が枷をかけたのだろう。神剣は真名を知らなければ本来の力を引き出せない。そのまま使えばただの良く切れる鈍にすぎない。
故にこの剣の名前を知っているのは少なくとも神の血を引いているかあるいは
グレン「...あんたが鳴神本体だって言うのか?」
...本物の神かだ。
「いかにも、わたしが鳴神だ!」
これが俺と鳴神との最初?の出会いだった。
ーーーーー
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ーーーーー
グレン「あんたが...いや、あなたが四大神の1柱、鳴神様か」
この金髪少女もとい、鳴神様は本当に神剣らしい。腕に剣と同じ刻印が刻まれていたのを見せてもらい信憑性は増した。
「ふっ、何改まって様付しているのだマスター?呼び捨てで良いぞー?なんならあだ名で呼んでくれても構わん!」
グレン「いやそれはさすがに...」
神様を呼び捨てにするなんて罰当たりにも程がある。さすがの俺でもそれは弁えている。
鳴神様は困ったやつだと言うようにやれやれと肩をすくめる。
「神様と言ってもただの神力を持った人間と変わらんよ」
グレン「普通の人間は神力は持たないんですが...」
「まぁ良いではないか、今までわたしを武器として使ってたくせして。人型になった途端に神様扱いかー?随分と手のひら返しが早いではないか」
グレン「ぐっ、仰る通りです」
うむむ...すごくやりづらい。まぁ確かに気を遣う必要は無い、のか?
グレン「うーん、わかった。それじゃ普通にするわ。...なんて呼べばいい?」
「そうじゃなー、なんかあだ名で呼んでくれマスター」
グレン「えぇ...」
この神様無茶を言いおる。あだ名...あだ名ねぇ...神にあだ名とか付けたことないからなぁ...逆にいたらびっくりだが。
鳴神だろ?鳴神...ナルカミ...
グレン「...ナル、なんてどうだ?」
「うむ...少し安直すぎないか?」
グレン「うぅ、すまん。こういうのセンスなくて」
そういう名前をつけるの苦手なんだよなぁ。ペットとか、いや神様とペットを同じにしちゃあまずいけども。
グレン「んー、ちょっと待ってくれ。もう少し考えるから...」
うんうんと唸る。ダメだ、他が思いつかない。この手に関しては完全に範疇外だ。
「いいや、ナルで良いぞ」
グレン「え?」
こりゃまた意外だ。てっきり嫌がっているもんだと思っていたのだが案外お気に召したらしい。
「マスターっぽく真っ直ぐで素直に分かりやすいあだ名なのだ」
グレン「それは俺を単純バカだと言っているのか?」
「ふっ、褒めているのだよ、マスター」
ふふんと髪をかきあげ、左手を腰にあてこちらを見上げる。
しかしこうして改めて見ると人形みたいに綺麗だな。正体を知らなければどこぞの貴族の娘と言われも違和感がない。
ナル「わたしの名前は今日から"ナル"だ!今日から頼むぞマスター」
グレン「おう...よろしくな、ナル」
ナル「うむ、マスター」
グレン「ところでそのマスターってのなんなんだ?」
なんか今までそういう呼び方されたことなかったからこう、身体中がムズムズするんだが。
ナル「これかの?ふむ、マスターはマスターだからなぁ...そう呼ばれるのは嫌か?」
グレン「嫌じゃねぇけど、なんかムズ痒いんだよな。名前呼びはダメなのか?」
ナル「ふむふむそうか...なら」
少し考えて思いついたのか冗談混じりに言い放つ。
ナル「マスターがちゅーしてくれるなら名前で呼んでやろうぞ!」
グレン「うん、マスター呼びでいいぞ!」
俺は光の速さで名前呼びを諦めた。
ナル「な、なんでじゃー!!」
グレン「いやぁ、さすがに...ねぇ?そんなことしたら罰が当たりそうだし」
ナル「むむ、人を厄病神みたいに言うでない。むしろこんな美少女とちゅーできるのだから役得ではないか!」
うわこの人、もとい神、自分で美少女って言ったよ。否定しないけど。もう少し年を重ねていたらもしかしたら俺は惚れていたかもしれない。
グレン「...ところでずっと疑問に思ってたこと言ってもいいか?」
ナル「おい、話を逸らそうとするでない!」
しばらくちゅーだのなんだのの話をのらりくらりと躱し続けようやく諦めたのか少し不機嫌になりつつ話を聞いてきた。
ナル「...で?疑問に思ったこととは?」
ぷくーっと頰を膨らませながら睨みつけてくる。正直悪いとは思っているがそんなことは気にせず話を続けた。
グレン「おう、じゃあ遠慮なく」
ふぅ、と一呼吸置く。いや、だってぶっちゃけ"これが"1番気になるだろ?
グレン「なんで剣が人になってんだ?」
ナル「ふむ、やっとそこに触れてくれたか」
どうやらその質問に触れてほしかったらしい。
こう見えても古代の歴史の知識は多少はある。勇者時代に嫌というほど勉強させられたからな。あまり役に立った記憶は無いが。
神剣の歴史の中で人型に変身したとか人格があるという記述は見たことない。少なくとも俺の勇者時代にはもちろん人型になったこともないし声が聞こえてきたこともない。
なら何故今ナルは人型になったのか。
剣が人になった衝撃で思考が停止していたがようやくその疑問について考えることができた。
だが返ってきた答えは予想だにしてなかった。
ナル「わたしにもわからん」
グレン「いや、なんでだよ」
どうやら本人もわからなかったらしい。どういうことだ、頭がごちゃごちゃしてきたわ。
ナル「わたしは気付いたらマスターの横にいたのだ。それ以前の記憶はマスターと共に歩んできた記憶とわたしが神である記憶しかない。」
グレン「そうか...」
ナル「だが、神の武器を人に変えるなどという芸当、普通のやつなら出来んだろうな。」
どうやらこれ以上は何もわからないらしい。まぁなんだかんだあって神の奇跡やらが起きて人型化したんだろう。
まぁ大体の原因は想像つく。おそらくは俺が完全に気を失う直前の声...その主が犯人である可能性は極めて高いだろう。...人かどうかはわからんが。
グレン「それよりもナル」
ナル「なんじゃ?」
グレン「剣には戻れないのか?」
ナル「戻れん」
グレン「即答かよ...」
手詰まりらしい。剣が無いと俺素手で戦うことになるんだが?まぁ戦えないこともないが...
ナル「いや、語弊があったのだ。正確にはまだ戻れん、だな」
グレン「そりゃどういうことだ?」
ナル「ふむ、どうやら人型になった時に内包されていた神力が外に溢れてしまったらしく今わたしの中の神力がほぼないのだ」
なるほど、人になるのが初めてっていうんなら神力のコントロールも出来ないってことか
そいつは参ったな。つまりナルは今神力が溢れっぱなしってわけだ。剣の時は度々俺の神力を注いで補充をしていたが...ん?
グレン「なんだ、だったら俺が神力を注げばいいじゃないか」
簡単なことだ、無いのなら補充をすればいい。
神力の補充をするべく立ち上がる。と、少し違和感を覚えた。いつもより視線が低いような、ナルの背も低く感じたのだがそれほど小さくもないような。
まるで自分の背が縮んだかのような。
ナル「まぁそれは今は無理だマスター。というか気付いておらんのか?」
グレン「ん?なんのことだ?」
まるで身に覚えがない、一体何に気づいていないと言うのか。
.......ん?
というかさっきから俺の声が変な気がする。気が動転していて今更ながら気がついたのだが。
グレン「...あー、あー」
試しに声を出してみる。やはりこの妙に高い声...男では到底出せない声が自分の喉から出ている。
これはまさしく...女の声だ。
そう理解した途端思考が急速で回り始めた。自分の体を再度確認する。狭くなった肩幅、華奢な身体、細い腕や足。白く生えた髪も少し長くなっていて毛先が黒く変色している。胸には筋肉ではない妙な膨らみ...そして...
グレン「ぁ...ぁぁぁ...ない...」
お...俺のもう1人の俺が...ない!!?
グレン「ナル...俺は一体...どうなってるんだ...?」
恐る恐る聞いてみる。だがその答えは想像通りの答えだった。
ナル「うむ、どこからどう見ても女なのだ!」
グレン「..............」
え、なに。理解が追いつかない。女?俺が女になった?どゆこと?
流石にこの状況では頭が上手く回らない。もはや剣が人間になったことなんぞ霞むくらいには動揺している。
ナル「マスター?大丈夫かー?」
グレン「...頭が痛い」
ナル「それは大変なのだ!しばらく横になるがいいぞ!」
グレン「いや、体調が悪いわけではない」
正直どうしたらいいのかわからない。こんな体験は初めてだ。というかこんなことあってたまるか。
グレン「まじでどうなってんだ俺の身体...」
ナル「ふむ...恐らくだがマスター。わたしは原因がわかるぞ」
グレン「なんだと?」
その原因が分かるなら是非とも教えてほしい。この異常事態に納得できるほどの原因が果たしてなんなのか。
ナルが神妙な顔つきになる。この感じからして冗談を言うような感じではないだろう。
やがて目を開き真剣な表情でこちらを見る。
ナル「おそらく、マスターは悪魔の血を浴びすぎたのだ。」
グレン「血を浴びすぎた?」
ナル「悪魔の血は人にとっては猛毒。一度浴びれば忽ち身体中が崩壊してしまうだろう。それを浄化するために神力は必要不可欠なのはマスターもわかっていると思う」
グレン「あぁ、だから悪魔を安全に殺すことができるのが勇者なんだ。それがなんだって言うんだ?」
ナル「ふむ、だがそれでも血を完全に浄化することは出来ん。だから悪魔との戦いの後はいつも神力を高めて浄化の儀を行っていただろう?魔王を倒した後はそれを行っておらん。」
グレン「......」
ナル「そして大量の悪魔の軍勢。いくら神力が血を浄化しようとも少なく見積もっても数万体の血を浴びておる。そのため浄化が追いつかなくなっていったのだろうな。」
グレン「...つまり、俺の身体はどうなったんだ?」
悪魔の血を浴びれば常人の身体であれば身体中が崩壊し朽ち果てる。だが稀にその血が適合し相応に身体が変化するものがいる。
そしてその変化した種族を総称で"魔族"という。
グレン「俺は、魔族になったっていうのか?」
世界を、仲間を守るために悪魔と戦った結果がこれか?悪魔を憎く殺意すら持っているのに魔族堕ちするとは皮肉にも程がある。
ナル「いいやマスター。厳密には魔族にはなっていないと思うぞ。」
グレン「なに?どういうことだ?」
ナル「理由は1つ。完全に魔族化してしまったのなら神力を持つことはできない」
グレン「確かに。完全な魔族なら神力を内包できるはずがない。自らの身を滅ぼしかねないからな。」
魔族は悪魔の血が入っている。その中に神力など入れば身体中が拒絶反応を起こしてしまうだろう。悪魔みたいに身体が消失することはないがそのかわり死を絶するような痛みが襲うことになる。
ナル「たどり着く答えは1つなのだ。マスターの人間としての身体は悪魔の血により魔族化してしまったのだ。」
グレン「人間として...?」
ナル「うむ、人と天使のハーフ故に全身に悪魔の血が巡ることなく人間の部分であるところが魔族化して身体が変換した。というところなのだ」
つまりは曲解的にもう俺は人と天使のハーフではなく悪魔と天使のハーフとでも言うべきだろうか。
あぁ...今まで頑張ってきたのがバカみたいに思えてきた。
グレン「んで、なんかデメリットはあるのか?いや、もう女になったことがそれなんだが、命に危険はあるのか?」
ナル「ないぞ」
グレン「はぁ?それは本当か?」
ナル「うむ、多少性格が変わることもあるみたいだが今までと何ら変わらんと思うぞ!」
グレン「俺が変わったのは性格じゃなくて性別なんだが...」
ナル「それは些細な問題なのだ」
グレン「んなわけあるか!!」
なんだか話しているだけなのにどっと疲れた。当たり前だ。こんな短時間で死にかけるわ剣が人になるわ堕天するわ女になるわで、今まで生きてきた中で一番濃い内容だったかもしれない。
ナル「だが、1つ気になることが...いや、これは...」
グレン「なんだよ」
ナル「...いや、これはまだよい。確証はないからの」
なんだか気になるが疲れているので問い詰めるのはやめておいた。てか教えてくれそうにもないしな。
まぁ俺の話はもうこれくらいでいいだろう。まだまだ自身の謎は残るが今それは然程重要なことではない。
ていうかもう考えたくない、女になったのは不本意だが事実を事実として受け止めるしかない。あんなことがあったときに比べればこんなの...
気を取り直して、まずは目の前の問題から取り組んでみようか。
辺りを見渡す。木々が生い茂ってはいるが日の光が差し込んでいて周りは明るく近くでは小さな川が流れている。
鹿やリスなどの動物も見受けられ、とても自然が豊かだ。おそらくここら辺はあまり人の手が渡ってはいないのだろう。
規模的には割と広めの森なのではないだろうか。
グレン「ここは、どこなんだろうな」
ナル「それがわかれば苦労はせんの」
グレン「そうだな」
魔王城の跡地にいたはずなんだがな、どこかに転移でもしてしまったのだろうか。誰がこんなことしたのかはわからんが。
仕方ない、確かめてみるか。
グレン「ふぅ...」
体内の魔力を練り上げる。身体を伝うように流れ足元に集中する。
そして頭に浮かんだ魔法陣を展開させる。
グレン「身体強化、脚力上昇付与」
地を踏み込み力を入れそのまま空へ向かってジャンプする。何倍にも強化された脚力で木々を軽々と飛び越えた。
木々の上空に到達し周りを見渡した。すると少々見た光景に驚いた。
...周り数キロ先まで全て森であった。
やがて飛んだ際の勢いが失われそのまま落下し地面に着地する。
これは参った、ここは想像より大規模な森林らしい。なにか街でもあればそこへ向かおうとでも思ったのだがそれさえも叶わない。
とりあえずここにいても何もわからない。まずはこの森をでて人のいる街へ行き、自分がどの辺にいるのかを知ろう。
グレン「よし、行くぞナル。まずはこの森を出よう」
ナル「うむ、わたしもそう思っていたところだ」
奇妙な状況になってしまったが第1の目的を掲げ俺たちは森の中を歩き始めた。
前に書いてたものをss風に直して書きました。ほぼ思いつきです、ご了承ください。
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