救い ①
女性が突如として爆発的に増加した地球。さらに発生源不明の深海棲艦が勢力を拡大、人間はこれを阻止するべくあらゆる兵器を開発、実戦投入するがことごとく破壊された。
しかし、深海棲艦を一時的に封じ込めることに成功。だが、それまでに地球上の資源、主に金属の大半を使い果たし兵器の開発、運用、維持は困難を極めることとなった。深海棲艦の技術を取り入れた兵器の開発も進められているが実用化は夢のまた夢である。幸いな事に、燃料は問題なく供給され続けており、残った僅かな艦艇、飛行機、戦車を動かすことはできるが、弾薬の供給は少なく、皮肉な事に本来なら戦っているはずの艦艇、飛行機、戦車は兵士を乗せて撤退する手段として用いられる事となっていった。
そこで各国の首脳陣は増え過ぎた女性と艦を合体した『兵器』「艦娘」を開発。だが、様々な問題により陸と空で同様の『兵器』は運用できず、特に地上戦闘は依然『人間』が主戦力である。空は空母化した艦娘の無人艦載機とそれを応用した無人陸上機が主戦力になった。
艦娘は低コストかつ一定の戦果を挙げたことから世界の主力兵器となった。
一方、女性を兵器として扱うことに反対する国も少なくなく、首脳陣の意見は食い違い互いに対立していった。今まで締結していた同盟も破綻寸前であり国どうしの連携など取れなくなっていた。
さらに国どうしの紛争が相次ぎ艦娘どうしが争うという非常事態となった。
海は荒廃し、鉄屑の山がいたるところに存在する。人々はそれを『鉄の珊瑚礁』と呼ぶようになった。また、『鉄の珊瑚礁』から採れる鉄を巡り各地で紛争、俗に言う「鉄戦争」と呼ばれる争いが絶えない。
艦娘
人間と艦が融合した『兵器』。様々な艦種に分類される。脳手術と身体改造を施し能力を向上させた人間に艤装を取り付ける。
なお全ての艦にシールドというバリアが展開されている。機関部が損傷するか耐久値を上回ると消滅する。物理的な盾を装備した艦も存在する。
艦娘の技術は深海棲艦の技術を取り入れた唯一の成功例である。
皆さんはじめまして!初投稿で、未熟な部分だらけですが、どうか温かい目で見守ってやって下さい…
人物
提督(34) トラック泊地所属。以前は陸戦隊小隊長、戦艦砲手・艦長など様々な役職を転々とし、大湊の提督として着任するが軍上層部と意見が対立し、栄転という名目で前線近くのトラック泊地へ左遷させられる。トラックへ来て3年が経つ。 (少将)
元提督 トラック泊地の前提督。前歴などはあまりわかっていない。(大将)
『女は鉄より安い』
とある艦政本部職員の言葉
勝利だけが…
ねぇ、提督…私はーーー
パッパラッパパッラッパパッパラッパハッパパー
提督「…っん」バサッ「誰だ…」
コンコン シレイカン,オハヨウゴザイマス
電「司令官おはようございますなのです」
提督「君は……いや違うか」
電「ん?なんのことなのです?」
提督「あ、いや、なんでもないさ。ちょっと寝ぼけてたかな…」
電「???」
提督「さて、さっさと着替えて朝めs
バタァァァァァァン!!
ちょっと電!?いつまで待たせるつもり!?
電「はわっ!?お姉ちゃん!忘れてたのです…」
雷「ひっどーい!ていうか電!早く行かないと数量限定のプリン無くなっちゃうわよ!!」
電「あっ!お姉ちゃん待ってなのですー!」
ダダダダダダダダダダダダ....
提督「結局置いていくのか…」
オネエチャンハシルトアブナイノデス!! ダイジョウb ドタ--ン!!!
アアアア!!オネエチャン!!ダイジョブナノデス!? ヘ ヘイキヨ....イタタ
提督「やっぱり腹が空かねぇ…」
〜食堂にて〜
提督 (さて、雷電姉妹には置いていかれたから一人で食うか…)
【メニュー】
・焼鮭定食
・卵焼き定食
・きつねうどん
・五目そば
………
……
…
提督「おっ、沢山あるじゃねえか…だが、いつも決まって俺は…」
提督「おーい鳳翔さーん俺ご飯と卵とみそ汁で!」
鳳翔「はーいいつものですね」
提督「やっぱりこれに限るな…」
食堂の隅へ行く
提督(隅が落ち着く…)
ワイワイガヤガヤ!!!ザワザワザワザワ!!!
提督(わけではない)
アッ!シレ-カン!!オハヨ-ゴザイマ-ス!!!
提督「おぉ吹雪か。おはよう。今日も元気だな」
吹雪「おはようございます!相変わらず食べる量が少ないですね…」
提督「ああ、朝はどうしても腹が空かなくてな」
吹雪「しっかり食べないと体調崩しますよ?」
提督「心配かけてすまんな。どれ、あと一品何か食おうかな」(言われたの何回目だろう)
スタスタ..........
提督(とは言ったものの、何を食べよう…)
あれ、司令官?まだ食べるの?珍しいわね
提督「おお、暁。実は吹雪に勧められてな。体調を崩すからもっと食えって言われちまったよまったく…これで何回目だか…」
暁「確かにもう少し食べないと体に悪いわ」
提督「うーん…体は丈夫だったからなぁ…」
暁「それでも、食べないとどんどん体が弱くなるわよ。響もそう思うでしょ?」
響「全くその通りだ。司令官、貴方は我々を指揮する立場だ。体調を崩されては作戦行動に支障をきたす。それはあってはならないことだ。」(私のように…って忘れろ忘れろ!!)
提督「そ、そこまで言うか…では響、俺は何を食べればいいと思う?」
響「司令官の食事には野菜がない。つまりビタミンが不足がちになる。サラダはどうだろうか?」
提督「なるほど。よし分かった……鳳翔さーん!サラダくれー!」
ハ-イタダイマ-!
暁「響、まだ根に持ってるの?あの『腹痛出撃事件』の事」
響「ッ!!」
……………
…………
………
……
…
〜提督室〜
電「朝ご飯美味しかったのです」
提督「いつも言ってるな…」
電「鳳翔さんの料理がいつでも美味しいのでつい言ってしまうのです!」テヘペロ
提督「ところで、電は何を食べたんだ?」
電「目玉焼きワンプレートなのです!ちなみに黄身は半熟です。あの黄身がたまらなく美味しいので、週3回は必ず食べるのです。司令官はやっぱり卵かけご飯ですか?」
提督「そうだな。というか、俺毎日同じものしか食ってないな…」
電「たまには違うものを食べてみたらどうなのです?」
提督「そうだよな…毎日同じものを食うって普通の人から見たら異常だよな?」
電「異常の極みなのです」
提督「極まってるか…」
電「他の娘が言ってたのです」
提督(絶対雷だな間違いない)
提督「他のみんなは何食べてんだ?」
電「電は基本的に洋食なのです。さっき言った目玉焼きとか、オムレツとかフレンチトーストとかを食べるのです。吹雪さんは和食ですね。焼鮭とか、卵焼きとかを食べますね。響お姉ちゃんはちょっと変わってますけど…」
提督「どんな風にだ?」
電「食事前に必ずカロリー計算するのです」
提督「…なんでだ?」
電「本人曰く、『過剰または過少なカロリー摂取
は戦闘に影響が出る』だそうです。」
提督「なんとも響らしい考えだな。どうしてあんなに食を気にするのかはよくわからんが。」
電「それは響お姉ちゃんが…あっ!?」
提督「ん?どうした?響がなんだって?」
電「こここっここの事は第六駆逐隊だけの秘密になってるのです!!電には守秘義務があるのです!!!」
提督「おっおう、分かった…聞かなかったことにしよう。」
電(響お姉ちゃんが食べすぎてお腹壊して出撃したなんて言えない…!!)
提督「話が脱線したな。結局俺は何を食べればいいんだか…」
電「とっとにかく、栄養バランスに偏りが無く、胃に優しく、体を温められるものがいいと思うのです。今の司令官はもっと食べましょ
う!」
提督「うーん、どっちかというと洋食派だから、電の言ってた目玉焼きワンプレートが気になるな。」
電「あれは電オススメなのです!」
提督「じゃあ今度食べてみるかな」
電「よかったら明日、ご一緒していいですか?」
提督「ああ、もちろんさ。」
電「じゃあ、目玉焼きに合うスープも教えるのです!」
提督「お!それはぜひ聞いておきたいな!」
コンコンテ-トクオオヨドデス ガチャァ-
大淀「失礼します、提督、書類をお渡ししに参りました。それと、早く執務を始めないと終わらなくなります」
提督「おっと失礼。朝飯の話で盛り上がってしまってな……さて電、始めようか」
電「はいなのです!今日もよろしくお願いします」
提督「うわぁ…今日も多い…」
大淀「ぼやいても何もありませんよ?」
提督「すまないが少し手伝ってもらえると…」
大淀「この後明石の所へ行くので私はここで失礼します。あと、最近遠征にめっきり行かなくなりましたが…」
提督「上からの連絡でな」
大淀「そうでしたか。では失礼します」
提督「うん…いってらっしゃい」
ガチャァ- バタン
電「司令官、私がいるのです!」
提督「おっ、手伝ってくれるのか?」(今のセリフって…)
電「はいなのです!」
提督「すまんな…じゃあお言葉に甘えて、この「鉄の珊瑚礁遠征においての獲得鉄量報告書」の記入を頼む。鉄量はこっちの紙に書いてある。」
電「はい!」カリカリカリカリ
提督(あぁ…助かる)
電「…司令官、最近の獲得鉄量がゼロですよ!?」
提督「遠征に行かせてないからな」
電「何かあったのですか?」
提督「あぁ、どうやらここ最近『例の国』の艦の目撃情報があったらしい。そのせいで遠征に行けなかったってわけだ」
電「聞いてないのです…」
提督「あえて教えなかった。君たちを不安にしたくなかったんだ。上からの通達では『遠征回数と時間を短縮せよ』と伝えられたんだが、俺は行かせなかった」
電「なぜなのです?私たちの実力なら遭遇しても対応できるのでは…」
提督「俺は艦娘同士を争わせたくない。よく考え
てみろ、おかしいと思わないか?艦娘といえども実際は人間だろう?ましてや深海棲艦の襲撃を受けているのに深海棲艦そっちのけで国どうしが艦娘を使い争っている。戦うべき相手は人間じゃないだろ?何より作業中に襲われたら大損害を被ることになる。」
電「…確かに」
提督「俺はそんなくだらないことで君たちを危険に晒すことなどしたくない」
電「…どうしてこんな世の中になってしまったのでしょう…」
提督「…まぁ、とにかく今のところ遠征は無しだ。作業を続けよう」
電「はい」
コンコン オオヨドデス シツレイシマス
ガチャァ-
大淀「提督、書類が届いているらしいのですが、今忙しくて取りに行けないので、取ってきていただいても?」
提督「わかった今行く」
電「司令官、私が行ってくるのです」
提督「ん?そうか?ならお願いするよ」
電「では行ってきます」
ガチャァ- バタン
提督(しかし、鉄がないと艤装の防御力強化ができないな。どうしたものか…とにかくしばらくの間海に出ない方がいいだろう。いや待て、本土への鉄輸送はどうする?ただでさえ鉄がない本土への輸送が滞ってしまえば、影響が出るぞ…ここは一度偵察が必要だな。だが、曖昧な情報のために艦娘を危険に晒すわけには…空母や陸上機の行動範囲にも限界があるし……うーんどうする…?)
ガチャァ-
電「司令官、書類を取ってきたのです。」
提督「おっおう助かる…」
電「司令官、どうしたんですか?そんなに焦って…」
提督「あぁすまんな。今後の艦隊運用について考えていたんだ。」
電「よければ電も手伝いますか?」
提督「そうだな、1人より2人、2人より3人というからな。必要になったら頼むよ」
電「はいなのです!」
提督「で、その書類はなんだったんだ?」
電「えーっと…」ガサガサ「艦政本部からのメッセージなのです」
提督「(艦政本部…?こんな時に?)内容は何だ?」
電「艦建造の命令なのです」
提督「…!艦種は何だ?」
電「重巡洋艦なのです」
提督「そうか…『任命された人』は来たのか?」
電「あと少しで到着するかと…」
提督「そうか…また兵器にされる女が増えるのか…はぁ…」
電「…司令官?」
提督「電、俺には妻がいて娘もいた事は話したと思う。」
電「確か…妻は『文乃』さんという方でしたね娘さんは確か…」
提督「『睦美』だ。娘とは数えるほどしか遊んだことはないが、遊べる時にはとことん可愛がってやった…笑顔が俺の疲れを心身共に癒して
くれた…」
電「電のお父さんも軍人なので、ほとんど家に帰ってこなかったのです…」」
提督「(となると、陸戦隊か幹部か?)軍人どうし気が合いそうだ。そして娘が10歳になるかならないかの時、政府から召集状が来た…『艦娘になれ』と…俺達に拒否権は無かった…女性の人口削減は世界共通の目標であり…断れば家族に酷い仕打ちがあるし俺は最前線へ送られてあっという間に死ぬだろう…俺は悔しかった…何もできなかったから………」
---------お父さん!おかえり!やっと帰ってきたんだね!ねぇ早く遊ぼっ!!---------
提督「…クソッ…!」
電「そうだったのですか…司令官…その娘のなった…艦は…?」
提督「…睦月型駆逐艦1番艦睦月…の『52代目』だ」
---------お父さん…私、どうなるの…?お父さんといっしょにいたい…お母さんと離れたくない…---------
電「え!?52代目!?そんなに!?どうしてそんなに代替わりしているのですか!?」
提督「睦月型は君たち特型駆逐艦と比べて建造費が安い。さらに、61センチ魚雷も装備できるから攻撃力もそこそこある。そして何より燃費が良く修理に使う鉄が少ない。しかし、その分装甲が薄く対空装備も少ない。ダメージコントロール能力も十分とは言えない。だから艦政本部は睦月型を半ば鉄砲玉のように使い捨てている。」
電「なっ…」
提督「まぁ、君たちには知らされてなかっただろう。こんなことを聞いたら士気や統制に関わる問題が発生するからな。」
電「そのようなことを艦政本部は隠していたなんて…」
提督「だが、量産された睦月型の活躍により敵を一時的に撤退させることに貢献したのも事実だ…」
電「そんな……」
提督「艦娘にされる日の朝、娘は笑顔で家を出て行った…どんな艦にされるかも知らされぬままな…」
-------じゃあね!行ってきます!お父さん!お母さん!まっててね! 必ずー-------
電「し、司令官…司令官の娘さんは今どこに…?」
提督「死んだよ…4年前にな」
-------お父さん! お母さん! やだ……--------
電「死、んだ………」
提督「知らせは葉書一枚だけだった。ハワイ沖の最前線…最期を見たのは妙高型3番艦の足柄(3代目)…敵旗艦を撃破するために切り札である戦艦を死守しろとの命令で、果敢に戦ったが最終的に戦艦の盾にされ、蜂の巣にされて沈んでいった…と書いてあった…」
電「…ひどい…」
提督「しかも敵旗艦の撃破に至らず、反撃を食らい撤退したって言うじゃねぇか…」
電「……」
バァン!!!!!!
提督「…どうしてこんな事にッ……!!どうして人の幸せを奪うんだ!!あいつの誕生日も祝わせてくれないのか!?この戦争は間違って
る!!この世界の先にあるのは…地獄だ…!」
電「司令官…」
提督「どうして世界は地獄になった…!?あいつは何も悪くない!」
電「…司令官、電もそう思います。電に幼馴染みの友達がいたのですが、ある日を境に一切見かけなくなりました。その娘のお母さんに聞い
たら『艦娘にさせられた。拒否権は無く、拒否すれば財産を没収すると政府に言われた』と聞いたのです。」
提督「…!」
電「そして半年経った後そのお母さんが玄関で泣いているのを見たのです。聞いたら『娘が死んだ』と言われて…」
提督「…ッ!」
「電はその日ずっと泣いていました…こんな理不尽な事であの娘は人生を奪われたのか…もうあの娘と遊べないのか…どうして家族を奪うのか…と。そして次は電の番が来るのかと考えると恐怖に駆られて…。もう…電はもうこんな思いはしたくないのです。死ぬ気もないのです。だから、司令官…」
終わらせましょう…この地獄の連鎖を
提督「………ああ…俺たちで…終わりにしよう…この負の連鎖を、断ち切る…」
コンコン....
提督「…ッ!来たか」
電「時間通りに来たのです」
提督「お入りください」
シツレイイタシマス...ガチャァ-
提督「なっ…!?」
???「久しぶり。『お父さん』」
提督「文乃!?」
電「えっ?…」
提督「なんでいるんだ!?」
電「司令官…文乃さんって…」
提督「俺の妻だ…」
電「司令官の奥さんがなんでここにいるのです?」
文乃「お父さん…よかった…生きてたのね」
提督「まだな…」
文乃「でもまさかお父さんが前線に行くなんてね」
提督「聞いてなかったのか?」
文乃「出世したとしか…」
提督「出世という名の左遷だよ…軍令部からは嫌われてるからな」
文乃「そうだったの…」
提督「というかお前こそなんでここに?」
文乃「…徴兵…されたの」
提督「はぁ!?」
文乃「あの娘と同じ…」
提督「て、てことは…お前が…」
文乃「そう…私が今日建造される妙高型重巡洋艦3番艦『足柄』(4代目)になるの」
提督「そんな馬鹿な!?先代はどうした!?」
文乃「沈められたの…『例の国』の艦に」
提督「『アメリカ』…!!クソッ!!なんでだ!!」
文乃「詳しい状況は教えてもらえなかったけど遠征中だったって聞いたの」
提督「遠征中…!『横取り』されたか…」
文乃「横取り…?」
提督「アメリカ艦がよくやる手口だ。鉄を回収しているところに戦艦を含む高火力の艦隊を送り込み、相手を殲滅。その後、別動隊に回収させる。その際に艦娘の艤装も剥ぎ取られるらしい。横取りされた艦娘たちは、必ず艤装を身につけていない状態で発見されるようだ」
電(確かに、採取は基本的に駆逐艦が行う。採取中は無防備になるし何より動けない。護衛はついてるけど、攻撃を回避できなければただの的同然…護衛の艦も駆逐艦の速力に追従できるのは重巡洋艦まで。相手に戦艦がいれば勝ち目は無い。)
(また、いつ、どこに出没するかも分からないまま遠征に行かせるのはリスクが大きい。万が一攻撃されれば全滅は免れない…司令官の判断は正しかったみたい)
提督「というか、何故お前が徴兵されるんだ!?もうお前の年齢じゃ…」
文乃「志願したの、それに、私だってまだ34。まだまだ動ける。」
提督「志願!?なんで志願なんかしたんだ!!よりによって艦娘に…!!」
文乃「お父さん、さっきの秘書艦との会話、全部聞いてたの。」
提督「なっ!?いつの間に…!?」
文乃「実は事前にもらった書類の中にお父さんの名前があったの。お父さんの言う通り、あの子は何も悪くない。悪いのは国と軍令部」
提督「じゃあなんで志願なんか…!」
文乃「落ち着いて…。確かに私は国と軍令部が憎い…でも、怒る気にはなれなかった…悲しみが憎しみよりも大きかったから…たった1人の娘が理不尽な世界と組織に殺された…その悲しみは何よりも大きい。誰よりも大切にして育ててきた小さい命が紙切れ1枚で死に追いやられた…私は悲しくて悲しくてしかたなかった…そして、睦美に会いたかった…今まで4年間耐えてきたけど、もう限界なの!こんな世界に居たくない…いっそのこと死のうかと思った。でも、それじゃいけないと感じたの。睦美は地獄のような苦痛を受けながら死んでいった。なのに私は簡単に死んでいいのか…?って。私はせめて睦美の仇を討って、同じ苦痛を受けながら死にたい。それが今、私が唯一睦美のためにできることだと思うの」
提督「違う!!!睦美はそんなこと望んでない!!!お前が艦娘になる必要も無い!!!」
文乃「じゃあ私はこのまま独りで誰のそばにもいれずに生きろっていうの!?そんなのいやだよ!!!」
提督「なぜお前は死のうとするんだ!?」
文乃「だから!睦美の仇を討ってそばにいてあげるために……!」
提督「…なぜ人を不幸にしようとするんだ?」
文乃「っえ?」
提督「なぜ、不幸を連鎖させるんだ?」
文乃「ど、どういう…」
提督「なぜ、自らを不幸にするんだ?」
文乃「……」
提督「俺は、誰一人として死なせたくない。誰かを不幸にさせたくない。悲しませたくない。さっきの話で俺は言っただろう、『俺たちで負
の連鎖を断ち切る』と」
文乃「…」
提督「この間違った戦争、世界のせいで不幸になる人、悲しむ人をこれ以上増やしてはいけない。俺だってその一人だ。睦美が死んで、そしてお前が死ねば…俺は家族を失う。家族を失えば生きがいだって失う。生きがいを失えば、俺は何のために生きることができる…?」
電(そういえば、私は一体何のために生きてきたんだろう…)
提督「だからもう、やめてくれ…」
文乃「…じゃあ、私も戦わせて」
提督「…だから!!何度も言わせ
文乃「お互いのために」
提督「ッ!?」
文乃「お父さんと睦美が私の生きがいだった。お父さんだって私と睦美を生きがいとして戦ってきた。私がこのまま引き下がればお父さんのところへはもう来られない。そしていつか、軍人のお父さんは死ぬかもしれない。私は何もできずにただ人を亡くすなんていやだ。私が戦ってお父さんを守れるのなら本望。お父さんが私を守るなら私は戦ってお父さんを守る。私の『負の連鎖を断ち切る』ために」
提督「…本当にそれでいいのか…?俺なんかに人生を投げうって…」
文乃「お父さんだからこそ命を懸けられる。だからお願い!私を、艦娘にして!」
提督「………電、明石に電話しろ。「建造」するぞ」
電「いいのですか…?」
提督「二言はない。文乃が艦娘になるなら俺は提督として守るまでだ」
電「了解…なのです!」
ガチャ ピッピッピッピ
電「もしもし、明石さんですか?」
明石『はい、こちら明石です!どうしたんですか?』
電「実は建造の準備をお願いしたいのです」
明石『え?建造?珍しいですね…まぁ、分かりました!明石にお任せください!!』
電「はい、よろしくなのです」
ガチャ
文乃「これで、私も戦える…」
提督「文乃、これから厳しい日々がはじまるぞ」
文乃「覚悟はできてるよ」
提督「…お前を死なせない」
文乃「私もあなたを死なせない」
絶対に、守り切ってみせるから
救い ① 完
_________________
お読みいただきありがとうございます!!
よろしければコメント等をしていただけると筆者が歓喜で昇天します。また、リクエストや質問等もぜひお寄せください!
オリキャラ説明
・文乃(ふみの)
提督の妻(34)20歳で提督に出会い結婚。睦美を出産する。
・睦美(むつみ)
提督の娘
名前の由来…睦月ちゃんから。また、「睦」には「親しい」という意味があり素敵だと思って名付けた
※本作品に差別的意図は一切ございません。
もっと知名度上げたいから誰かYoutubeとかに転載してくれないかなぁ…(貪欲&他力本願)
誤字を発見したので修正しました。(9/17 23:15)
あとがきを書き加えました。(10/14 0:43)
全体的に読みやすくするために行を少し広げました。(11/4 2:15)
なんでもコメントしてクレメンス()
(自分で自分の作品のPV数を上げる投稿者の鑑)
これは・・・感動作の匂いがする(;ºДº)ハッ
僕はそうゆうの好きなので投稿などヲタ頑張ってくださいね(*`・ω・)ゞ
期待しています( ^ω^ )
これは・・・感動作の匂いがする(;ºДº)ハッ
僕はそうゆうの好きなので投稿などヲタ頑張ってくださいね(*`・ω・)ゞ
期待しています( ^ω^ )
言い方悪かったらすみませんm(_ _)m
>>2・3様
返信が遅くなり大変申し訳ございません!コメント誠にありがとうございます!そう言って頂けると本当にうれしいです!!どうか次回もご期待ください!