2020-04-09 23:14:41 更新

概要

提督(指揮官)が彼女(ベルファスト)によく会いに行くが、何か様子がおかしい?


前書き

キャラ紹介、

指揮官(提督):階級は元帥、秘書艦は海風。

ウォースパイト:ロイヤル拠点戦艦、訳があって提督の鎮守府に着任している。

ベルファスト:ロイヤル拠点軽巡、拠点にいるはずが何故か廃墟の側で生活している姿を見つけ・・・


「・・・また貴方ですか?」


気配に気づいた女性が相手を見る。


「いい加減、私に付き纏うのは止めて頂けませんか?」


「いや、そんなつもりは無いんだけど。」


相手は否定するも、


「今日で何度目か覚えているでしょうか?」


「え~っと、確か7日だった気がするけど?」


「違います、正確には7日間14時間26分です。」


「・・・よくそこまで覚えているね。」


相手は関心する。


「・・・とにかく! もう私に関わらないでください!」


相手に向かって叫び、


「分かった・・・もう去るからさ。 オレはただこれを届けに来ただけだから。」


そう言って、相手は何かの入れ物を近くに置いて、


「じゃあ・・・また来るから。」


相手は彼女の前から消えていく。


「・・・」


女性は置いて行かれた入れ物を手に取り、


「・・・全く、頼んだわけでは無いのに。」


そう言って、入れ物をポケットに入れてその場から去る。


・・・

・・



それは本当に偶然の事だった。


提督が街中を歩いていた時の事である。


「おや? あの人は確か・・・」


見覚えのある人間を見て、提督は思い出す。


「ベルさん? でも、何であそこに?」



そこにいたのは、ロイヤル拠点で給仕をしているはずのベルファストが


何故か廃墟らしき建物で生活をしている。


「?」


ベルファストは提督に気付く、


「どうしたのベルさん、こんな場所で?」


提督が尋ねると、


「・・・貴方様は誰でしょうか?」


「えっ、誰ってオレだけど?」


「・・・申し訳ありませんが、私と貴方様は初対面です。いきなり女性に


 気安く話しかけるのは紳士としていかがな物でしょうか?」


「・・・」



提督とベルファストはロイヤル拠点で面識がある、だからベルファストが


提督を知らないわけがない筈であるが、


「申し訳ありませんが、私はこれから用があるので・・・失礼します。」


そう言って、ベルファストは提督の前から去る。


・・・


翌日、提督はまたあの廃墟に行って見る。


「・・・」


目的はもちろん、ベルファストに会うためだ。


「あっ、いたいた。」


見つけたようで、提督は彼女に近づくも、


「何ですか? 私に一体何の用ですか?」


急に不機嫌になるベルファスト、


「いや、だからさ。オレの事覚えているだろ? 一緒に料理を作ったり、


 話したりしてただろ?」


提督の言葉に、


「・・・何度も言いますが、私と貴方様は昨日初めてお会いしました、


 それなのに一緒に料理をし、お互いに会話をしたと? 貴方様は頭がおかしいのですか?」


「いや、本当の事だって! それとも覚えていないのか?」


「覚えておりません! 一度頭を冷やしてみてはいかがでしょうか?」


そう言った後、ベルファストは提督の前から消える。


・・・


ベルファストの態度が明らかにおかしいので、一度ロイヤル拠点に赴く提督。


「どうかされましたか給仕様? ベルファストの顔に何か付いていますでしょうか?」


ベルファストが不思議そうな顔で提督を見つめる。


「いや、ちょっとベルさんに会いたくて来ただけなんだ・・・気にしないでくれ。」


「はぁ・・・そのような理由でわざわざここに赴くなんて、給仕様も物好きでございますね。」


そう言って、ベルファストは厨房へと戻る。


「・・・やっぱりベルさんはオレの事を覚えている、じゃああそこにいたベルさんは・・・」


提督は考えるも、既に予想が出来ており、


「2人目・・・重複艦船のベルさんと言う事かな。」


思いたくは無いが、別の場所同士で同じ人間を見た以上、そう思わざるを得ない。



数日後に、また会いに行こうとする提督。


「おや?」


いつもと同じ様に、ベルファストはいたが、何か様子がおかしい。


「ううっ・・・」


苦しいのか胸を押さえているように見え、


「おい、大丈夫か? どこか苦しいのか?」


咄嗟に彼女に近づき手を添える提督、


「! これは・・・」


提督は何かに気付くも、直後に、


「!? また貴方ですか! 今度は一体何の御用ですか!?」


提督の手を振りほどくベルファスト、


「誰の差し金ですか? 私を殺そうと誰かに雇われたのですか?」


ベルファストはポケットからナイフを出し、提督に向ける。


「落ち着け、お前を殺すわけないだろう? オレはただ話に来ただけだ。」


提督は説得するも、


「嘘を付かないでください! 大方重桜の差し金でしょう?

 

 私が生きていることがさぞ邪魔なのでしょうね?」


「・・・」



ベルファストの口から出た「重桜の差し金」、その言葉に提督は


1つの可能性を予想する。


「ベルさん、とにかくナイフを下ろして・・・話だけでも聞いてくれないか?」


再び説得をするも、


「・・・私は貴方様と話す気はありません、すぐにこの場から消えてください、


 そしてもう二度とここへは来ないでください!」



ナイフを下ろし、再び胸の部分を苦しそうに押さえながら、その場から去るベルファスト。



「・・・あの傷、かなり深かったな。」


提督がベルファストに手を添えた時、見えた物は彼女の体にあった無数の傷跡、


まるで拷問を受けたかのような深い傷があり、彼女が苦しそうな顔をしたのはそのためだろう。


「・・・あいつに聞いて見よう。」


そう言って、提督は鎮守府に戻る。


・・・


「指揮官どうしたの?」


提督が呼んだ相手、それはロイヤル拠点で陛下の側近且つ妹であるウォースパイト。


「実は・・・」


提督はこれまでの経緯をウォースパイトに話して行く。



ベルファストが廃墟の側で生活している事、体には無数の傷跡があった事。


彼女には無縁のはずの重桜の存在、提督は包み隠さず報告する。


「・・・」


ウォースパイトは無言のままだ、


「・・・以上が、オレがお前に言いたかった事だ。」


「・・・」


「・・・何も言わないって事は、思い当たる節があるって事かな?」


提督の質問に、


「・・・ええ。でも、ごく稀な事態なんだけど。」


ウォースパイトは説明する。


「年々各拠点での技術や戦力が向上していく中、新たに導入された艦船を迎えるために大規模な建造を行う時があるの。」


「・・・」


「もちろん、重桜では重桜専用の艦船、ロイヤルではロイヤル専用の艦船と、割り振った素材を設定した上でね。」


「・・・」


「でも、本当にごく稀に拠点とは関係ない艦船が生まれることも有るの。」


「それが・・・あのベルさんと言う事か?」


「ええ、彼女の口から「重桜」と出たのなら、間違いなくそのベルは重桜拠点での建造で生まれた存在ね。」


「・・・それで? もし、関係ない艦船が生まれた場合はどうするんだ?」


予想は出来ていたが、敢えて聞く提督。


「もちろん、すぐに退役(解体)するのが一般的だけど、中には敢えて生かして拠点内のスパイとして送り込んだり、


 因縁である艦船なら地下で拷問をしていたとの記録もあるわ。」


「・・・」



ウォースパイトの言っていることが事実なら、あのベルファストは退役させずに拷問をされていたという事になる。


「指揮官、こればかりはどうにも出来ないわ。そのベルみたいに別拠点から生まれてしまった場合、


 私たちがいくら「ベルを返して」と思っていても、それを言う権利は無いの。」


「・・・」


「仮に拠点に戻って来れたとしても・・・同じ艦船は2人も必要無い。 結局、退役される運命にあるわ。」



残酷な事を言っているウォースパイトであるが、これが長年に渡り各拠点でのルールとして決めていたようだ。


「指揮官、今度ばかりは私は力を貸せないわ・・・そのベルの言う通り「もう二度と会わない」、


 それが唯一の解決方法よ。」


そう言って、ウォースパイトは執務室から出て行く。


・・・


ウォースパイトに言われて、提督は諦めるだろうと思いきや、


「また来たのですか、貴方は人の話を全く理解出来ないのですか?」


懲りずにベルファストに会いに行く提督。


「そんなに怒らなくても・・・オレは君に危害を加えないし、どこの拠点の差し金でも無いから。」


提督は敵意が無い事を伝える、


「ふん、男性と言うのはいつもそう。 私の事が心配と気を遣う振りをして油断させ、乱暴しようとする。


 貴方もその類なのでは無いですか?」



今の話を聞く限り、ベルファストは拷問以外に性的暴行も受けていた様子だ。


「そんな気は無い、オレを他の男と一緒にしないで欲しいね。」


流石の提督の少し怒り気味。


「ではどうして何度もここに来るのですか? 納得できる説明を願います!」


「納得できる説明? そうだな・・・」


提督は少し考えるも、


「ごめん。説明は出来ない・・・ただベルさんと話したかっただけだから。」


「そうですか・・・ならば早くこの場から消えてください。また来るようなことがあれば、


 次は容赦しませんよ!」


そう言って、提督を睨みつけるベルファスト。


「分かった分かった・・・じゃあ帰るよ。」


提督は諦めて去ろうとする。


「せめてこれだけ置いて行くから・・・痛み止めの薬、これを飲んで安静にしていろ。」


そう言って、近くの置台に薬の入った入れ物を置く。


「・・・余計なお気遣いは無用です。」


提督よりも先にベルファストの方が去って行く。


「・・・」


そのまま放置された入れ物だが、提督は敢えて置いたままで鎮守府に戻って行く。


・・・


数日後、懲りずに提督はまたあの場所に向かう。


「・・・いないか。」



いつも見かけるはずのベルファストが見当たらない、別の場所へ移ったのだろうか?


「・・・入れ物も置いたままだ。」


数日前に薬の入れた入れ物が置いたままであることに気付く。


「・・・」



ベルファストに言われた「余計な気遣いは無用」、確かに余計な気遣いだったかもしれない。


「まぁ、ベルさんがいらないって言ったんだから持って帰ろう。」


そう思い、入れ物を手に取ると、


「あれ? 何だか軽い?」


違和感を感じて入れ物の蓋を開けると、


「・・・」


入れてあったはずの薬が減っていることに気付く。


「・・・いや、もしかしたら別の人間が取って行ったかもしれない。」



あくまで彼女とは限らないと思うも、


「・・・試しにこれを置いて見よう。」


提督が次に置いたのは、女性が使う化粧品?


「・・・今日は帰ろう。」


提督はそのまま背を向け、戻って行く。



「・・・」


数日後、またも彼女に会いに行く提督。


「あっ、今日はいた。」


目の前には昨日の雨の影響からか、辺りの掃除をしているベルファストの姿が、


「・・・また来たのですか? 本当に懲りないお方ですね。」


ベルファストは警戒こそしていないが、呆れた顔をする。


「おや? 「今度会ったら容赦しない」って言ってたけど、何度も来るから好意的になってくれた?」


「そんなつもりはありません・・・何度も来るので、呆れて物が言えないだけです。」


そう言いつつ、掃除を続けるベルファスト。


「・・・」


提督はおもむろに近くに立った木を揺らしてみる。


葉に乗っていた水滴が、ベルファストの頬に滴り落ち、


「なっ! 一体何のつもりですか!?」


提督を睨みつけるベルファスト。


「・・・」



提督は何故か臭いを嗅ぐ動作をする。


「そうか、うんうん。 やはりベルさんが使っていたか。」


納得すると、提督は何故か笑い、


「オレは帰るから・・・そうだ、ここに薬を置いておくよ、痛むようなら飲むといい。」


そう言って、またも薬の入った入れ物を置く。


「・・・何度も言いますけど、私に余計な気遣いは無用です!」


ベルファストは反論するも、


「分かった分かった・・・それじゃあ!」


彼女の言い分などお構いなしに、提督は去る。



・・・実は、数日前に提督が置いた瓶に入った化粧品には特殊な効果があり、”水に触れると花の香りが漂う”のだ、


そこで、提督はベルファストの近くの木を揺らして彼女の頬に水を滴らせた・・・その結果、


ベルファストから花の香りがしたため、提督は「使用したのはベルさんだ」と確信したのだ。



それ以降は直接会わずに提督は近くの台に、入れ物を置くようになり、数日後に回収しに訪れる。


中身は薬だったり、食べ物だったり消耗品だったり様々である。


そのうち半数は、そのまま残っていたが、減っている時もあり、提督はその後もずっと彼女のために支給を繰り返す。



この提督とベルファストの奇妙な交際は1か月以上続いた。


・・・


「・・・また来たのですか?」


提督とベルファストが顔を合わせるのは、これで8日目。


「お願いです・・・これ以上私に会いに来るのはもうお止めください。」


ずっと警戒していた彼女の口調が急に変わり、


「だからオレは君をどうこうするつもりはない、ただ話をしに来ただけだから。」


提督はあくまで”会話をしたい”と言う。


「ではお聞きします・・・私を一体どうしたいのですか?」


「? どうって?」


提督はベルファストの言っている意味が分からない。


「私を重桜に差し出すのですか? それともロイヤルに連れて行って私を処分するおつもりですか?」


「・・・」


「同じ艦船は必要ない・・・それは私も百も承知です! ですが、駄目なのでしょうか?


 僅かでも、生きたいと思う気持ちを持っては駄目なのでしょうか?」


ベルファストの表情は徐々に悲しそうな顔になって行き、


「教えてください・・・やはり私は、処分されるべき存在なのでしょうか?」


「・・・」



今まで警戒し、ずっと提督を睨みつけていたベルファストが・・・今にも泣きそうな表情で聞いて来て、


「そんな事は無いよ、ベルさんだって生きる権利はある。 オレは君を処分するために来てるわけじゃない。」


「・・・」


「それに・・・ずっと言いたかったけど、こんな廃墟の側で1人で生活して幸せか? 


 君はずっとこんな場所で一生貧乏生活をし続けるつもりなのか?」


「・・・」


「どうなんだ、君の本音を聞かせてくれ・・・本当はこんな場所で生活をしたくない、でも戻った所で処分されるのは


 目に見えている・・・だから人のいないこの場所で隠れて生活するしかない、そうじゃないのか?」


「・・・」


「もしそうなら・・・オレが君のために部屋を用意する、そこで普通の生活をさせると約束する・・・それでどうかな?」


「・・・」


「その前にまずはオレを信じて欲しい! どうだ、ベルさん?」


提督の言葉に、


「・・・確かに、このような生活から今すぐにでも抜け出したい、それが今の私の本音です。」


ベルファストの口から本音が漏れるも、


「でも、申し訳ありません・・・私は貴方様をどうしても、信じることは出来ません!」


「ベルさん!」


提督は叫ぶ、


「・・・」


「じゃあどうすれば・・・どうすれば、オレを信じてくれるんだ?」


提督の質問に、


「・・・私が。」


「?」


「私がこの世界で・・・生きていても問題ないと分かる証明をしてください。」


「? ベルさんが生きてもいいと言う証明を?」


「はい・・・それがもし、証明できるのであれば、このベルファスト、貴方様の事を信じます。」


そう言って、ベルファストは静かに提督の前から消える。


・・・


鎮守府に戻り、ウォースパイトに相談すると、


「いい加減にしなさい、指揮官!」


ウォースパイトは怒り出し、


「二度と会わない、それが唯一の解決方法! 私は言った筈でしょ! それなのにまた何度も会いに行ってたなんて!」


「・・・」


「それで、私がベルに会って説得して欲しいって? お断りよ、大体私ではどうにも出来ないわ!


 他の拠点から生まれたなら尚更ね!」


「・・・」


「それに・・・仮に本来の拠点に戻れたとしても、皆は即処分するわ。既にロイヤルにはベルはいるわけだし、


 2人いる必要は無い、いずれもあの子は処分される身なのよ! 指揮官も現実を見て・・・」


ウォースパイトの口が途中で止まる。


「・・・」


提督は何と言うか、睨んでいる様な怒っている様な複雑な表情を浮かべている。


「な、何よ? 文句があるなら直接意見すればいいじゃない!」


ウォースパイトの言い分に、


「そうだね、ベルさんは既に拠点にいるね? 2人も必要ないよね? うん、そうだよね。」


「・・・」


「じゃあ1人にすればベルさんは生きる権利が与えられるわけだね。」


「えっ・・・指揮官、一体何を言って?」


一瞬提督が何を言ったのかが分からないウォースパイト。


「いいや、ベルさんだけでなく、いっその事ロイヤルの艦船全員! この世界から消した方が手っ取り早いかもね!」



話の通じないウォースパイトに遂に提督の堪忍袋の緒が切れた様子、


「指揮官! どうしてそんなに苛立っているの!? たった1人の艦船のために何でそんなむきになってるのよ!!」


ウォーパイトは急に焦って、説得を試みるも、


「たった1人? たった1人も守れないお前たちが全員を守れると本気で思ってるのか?」


「・・・」


「まぁ・・・ウォスパに相談したオレがバカだったよ、じゃあお前たちの言うルール通りに! ロイヤルにいるベルさんを


 始末する、それなら1人になるから生きる権利を与えられるよね。」


「・・・」


「もちろん、それに反論する艦船もいるだろうから・・・その時は全員始末する、何か異論はあるまいな?(睨)」


普段提督は怒ることがほとんどないため、怒り心頭の提督の表情を恐怖を覚えるウォースパイト。



「待って、指揮官! 落ち着いて!!」


ウォースパイトは再び説得する、


「丁度いい・・・最近皆のために最新鋭の武器を明石に開発させたところだし、


 それを装備させてロイヤルを襲撃してやろうかなぁ~。」


「指揮官! 何をふざけた事を言ってるの! お願いだからそんな馬鹿な真似は止めて!!」



ウォースパイトは提督の戦力を十分に把握しているわけでは無いが、勝率と戦果を見る限り、


どの拠点よりも遥かに上だと言う認識は持っており、当然ながらロイヤル拠点を簡単に壊滅出来る程の力が


ある事も分かっている。


「指揮官! 私の目を見て、ちゃんと見て!!」


ウォースパイトは何度も説得をするが、


「そうだな・・・まずは上空からの空爆プランを立てて、そこから一気に制圧部隊を突撃させてそれから・・・」


提督が既に襲撃する計画まで立て始めていた、



「お願い指揮官!! 私の話を聞いてよ!!!!」


ウォースパイトの声が執務室内に響き渡る。


「・・・」


「・・・はぁ。」


ウォースパイトはため息をつき、


「・・・分かったわ、そのベルに会うから・・・それでいいでしょ?」


「・・・」


「でもね、指揮官の考えは間違ってるわ。 確かにそのベルが可哀そうなのは分かる・・・でも、


 今までずっとそうして来たの、各拠点がルールに従ってね。」


「・・・ならそれを本人に直接言う事は出来るのか?」


提督の質問に、


「い、言えるわよ! ・・・残念だけど貴方は処分されるべき存在、可哀そうだけど世界のために・・・って位言ってやるわ!」


そう言って、支度をすると提督はウォースパイトを彼女がいる場所へと連れて行く。


・・・

・・



「!? ウォースパイト様!?」


ウォースパイトを見た瞬間、すぐに目の前で跪くベルファスト。


「ベル・・・」


彼女を見たウォースパイトは言葉を失う。


「どうしたウォスパ、早く言えよ? ベルさんの今後の処置を・・・さっきオレに言った事をそのまま、


 ベルさんに言って見ろよ。」


提督の意見に、


「・・・」



先程まで偉そうに言っていたウォースパイトだが、


見るからに人の住む場所では無い廃墟、ベルファストの服装は所々黒ずんだ部分が多く、体には無数の傷跡。


それでも、礼儀作法を大事とするロイヤルの艦船らしく振る舞う彼女の態度にウォースパイトは何も言えない。


「ベル、あのね・・・貴方の処遇は・・・」


それでも、僅かに声を細くして話すウォースパイトに、


「ありがとうございます、ウォースパイト様。 これでもう思い残すことはありません。」


「えっ?」


「重桜で生を受けたこの身、隙を見て逃げ出すも、既に私は人目に出てはならない存在・・・それでも、私のために


 自ら足を運んでくれた事・・・このベルファスト、もう未練はありません。」


「・・・」


「覚悟は出来ております・・・この世界のルールに従い、どうぞ私を処分してください。」



ベルファストは最初から処分されることを望んでいた。


「・・・」


ウォースパイトは何も答えられない。


「どうした? ベルさんはもう覚悟をしているんだ、さっさと処刑しろよ?」


提督が冷酷に語る。


「どうした? オレに散々ルールだと言っておいて、やっぱり出来ないって事か? どうなんだ、ウォースパイト!」


「・・・」


「この世界のルールなんだろ? 2人は必要ないんだろ? ならさっさと処刑しろよウォースパイト!!」


提督の叫びに、


「・・・」


ウォースパイトは急に悲しそうな表情に変わり、


「ベル・・・顔を上げて。」


「・・・」


彼女が顔を上げると、


「ベルは・・・貴方には生きる権利がある。だからそんな事は言わないで頂戴。」


「えっ、ウォースパイト様!?」


「もちろんルールは大事よ、でもそれ以上に必死に生きようとする命を摘むなんて事、私は絶対に出来ない!」


「・・・」


「私のいる拠点なら・・・あそこならベルは処分される事は絶対に無いわ。 だから私と一緒に来なさい、分かったベル?」


ウォースパイトの言葉に、


「・・・か、かしこまりました。」


ベルファストは素直に従う。


・・・


「鎮守府(拠点)にようこそ・・・まず最初にやるべきことは、と。」


そう言って、2人にバスタオルを渡して、


「まずは入浴した方がいいな、服は入浴場の籠に入れて置いてくれていいから。」


提督は2人に入浴するように促す。




「大丈夫? 痛くない?」


ベルの背中を洗い流すウォースパイト、


「お気になさらず・・・この程度の痛みで声など発しません。」


「・・・」



背中には何度も拷問を受けたせいか、痛々しい傷が無数にあり、洗い流すと血が滲み出る。


「痛いわよね? 素直に「痛い」と言っていいのよ?」


ウォースパイトの言葉に、


「私に情けは無用です、ウォースパイト様に背中を洗い流して貰えるだけでこのベルファスト、


 感謝以外の何物でもありません。」


あくまで上下関係を優先に振る舞うベルファスト、


「・・・」


ベルファストの忠誠さにウォースパイトは言葉が出ない。


・・・


「ウォースパイトと一緒の部屋にする? それとも、別々の部屋に?」


風呂から上がったベルファストに部屋の場所を尋ねると、


「私はベルと一緒でも・・・」


ウォースパイトは一緒で構わないと言うも、


「別でお願いします・・・ウォースパイト様と私のような下層の人間、一緒の部屋など


 とても申し訳ない事ですので。」


そう言って、別の部屋の鍵を受け取り執務室から出る。


「うーん・・・」


提督は少し困った顔で、


「ベルさんとウォスパって仲悪いの?」


提督の問いに、


「別に・・・拠点ではいつもの事よ。」



ただの上下関係なだけで、ベルファストがウォースパイトを気遣っているだけだと言うが、


「ルールって不便だな、ベルさんは忠実に行っているだけだと思うけど・・・


 気持ちの安らぐ時間なんてこれっぽっちも無いんじゃないかな?」


「・・・」


提督の意味ありげな発言にウォースパイトは思い詰める。



ベルファストが鎮守府に来て数日が経ち、


「今までのご無礼をお許しください。」


提督の前で深く礼をする。


「貴方様のおかげで私はこの世界で生きる権利を頂き・・・貴方様には感謝してもしきれない恩を貰いました。」


「そんな・・・少し大げさすぎだけど。」


「私のこれからの役割ですが、何なりとお申し付けください! 私は貴方様の手足となり、働いて行く所存でございます。」


ベルファストの言葉に、


「いや、それはベルさんが決めていいよ。」


「はっ? 一体どういう事でしょうか?」


「そのままの意味だけど? 出撃をしたければ編成を考えるし、給仕をしたければ食堂の責任者に相談する、


 雑用をしたければ物置の場所を教えるし・・・全てはベルさん次第だよ。」


「・・・」


・・・しばしの沈黙。


「少し時間を頂けますでしょうか? 明日までに結論を出しますので。」


「うん、ゆっくり考えてきて。」


話を終え、解散する2人。


・・・


「私がするべき事・・・」


ベルファストは廊下を歩きながら今後の役割を考える。


「?」


廊下ですれ違う艦娘、


「・・・」


ベルファストを見た瞬間、会釈だけしてすぐに去る艦娘たち。


「・・・やはり皆様にとって私は厄介者なのでしょう。」


彼女は「ふぅ~」とため息をつき、


「ならば私は皆様にご迷惑が掛からぬよう、雑用が適切かもしれませんね。」



雑用(主に掃除)なら皆が寝静まった時間帯や、出撃と演習中を見計らって済ませばいいと考えたベルファスト。


「そうと決まれば、指揮官様に物置の場所を尋ねないと。」


そう言って、元来た廊下を戻るベルファスト。



「あら?」


最初に歩いた時には見かけなかった光景、


「いたたた。」


廊下でうずくまっている女の子の姿が、


「大丈夫ですか・・・お怪我はありませんか?」


すぐ側に駆け寄るベルファスト。


「! えっと・・・」


彼女を見て驚いたのか、すぐに立ち上がろうとして、


「動かないで! ・・・少しお待ちください。」


そう言って、ポケットから包帯と消毒液を取り出し、治療する。


「これで大丈夫でしょう・・・次からは気を付けて歩くようにしてください。」


そう言って、ベルファストは立ち去る。



「ふぅ、私とした事が習慣で遂・・・」


執務室に戻るつもりが、先程の事もあり部屋に戻って行く。


「ふぅ~・・・」


ベルファストは部屋に戻るや否や、深いため息をつく。



ロイヤルでは特に当たり前な行動であるが、ここはロイヤルでなく全く別の拠点。


無意識とは言え、廊下で艦娘の手当てをした行動は彼女にとって、


”厄介者である私が、相手に気安く声を掛けて不安がらせてしまったのでは?”と思った様子。


「・・・今日はずっと部屋で過ごしていましょう、また誰かと鉢合わせになると行けませんので。」


そう思い、私服に着替えて部屋でくつろごうとしたその時、誰かが扉を叩く。


「・・・」


開けてみると、そこには先ほど怪我をした艦娘が立っており、


「あ、あの・・・さっきは手当をしてくれてありがとうございました。」



どうやらお礼を言うために、彼女の部屋の前まで来たようだ。


「いえ、当然の事をしたまでです・・・」


冷静に言葉を返すベルファスト。


「お姉ちゃんは入ったばかりだよね? どこからやって来たの?」


「・・・」


今度は普通に話しかけて来た・・・流石のベルファストも驚き、


「私の事が怖くないのですか?」


てっきり周りから嫌われていると思っていたベルファストだったが、


「怖い? 何で? お姉ちゃんは優しいから、あたしはお姉ちゃんの事が好きだよ。」


と、今度は笑顔で振る舞ってくる艦娘。


「優しい? 私がですか?」


今まで言われた事のない言葉に、僅かながら困惑するベルファスト。



これ以降、ベルファストは他の艦娘達からも話しかけられる様になる。


・・・


翌日、


「どうだベルさん、やりたい事を見つけたか?」


提督の質問に、


「はい・・・このベルファスト、不肖ながらこの鎮守府で皆様のサポート役をしたいと存じます!」


「サポート役・・・つまり、雑用って事かな?」


「いえ、雑用と言うわけではありませんですが、何と言うのでしょう・・・鎮守府の皆様が、


 私の事を頼りにしてくれているようですので・・・その期待に私はお答えしたいのです!」



ベルファストの言う通り、艦娘たちから彼女の元に、既に何十件かの依頼が届いている様で、


「そうかそうか、じゃあこれからも皆のサポート役になってくれ。」


「承知しました・・・ご主人様!」


ベルファストは提督に敬礼をする。




「た、大変よ指揮官!」


血相を変えたウォースパイトが執務室に入ってくる。


「どうした? そんなに慌てて?」


「ベルが・・・ベルが!」


「ベルさん? ベルさんがどうした? 何かあったの?」


ウォースパイトが息を荒くして話すので、提督は冷静に話を聞いて見れば、何てことは無い。


「ベルが他の皆と外で遊んでいるのよ!!」


「・・・はい?」


提督は思わず拍子抜ける。



「凄い凄い! ベルさんが記録を塗り替えたよ~!」


そこには、駆逐艦娘と一緒に大縄跳びをしている光景が。


「よぉ~し、もっとスピードを上げよう!」


と、2人が腕を速めると縄跳びのスピードが増す。


「ふむ・・・中々の難度ですがまだまだ余裕ですよ♪」


そう言って、スカートを持ち上げながら淡々と飛び跳ねて行く。


・・・


「あのベルがあんなに楽しそうに遊んでいるなんて初めて見たわ。」


ロイヤルでは朝から晩までずっと拠点内で働き詰めなベルファスト、それ故に他の人間と遊んでいる光景など


見た事が無かったウォースパイト、



「ほぅ、彼女は皆と無事に打ち解けられたって事だね。」


提督は安心して、


「ほら、ベルさんの表情をよく見て見ろよ。」


「? ベルの表情を?」


提督に言われて、ベルの顔を凝視すると・・・


「・・・」


ロイヤルでは決して見られない、自然な笑顔をしており、


「笑っているだろう? 彼女は今、本当に幸せなんだよ。」


「・・・そうね、幸せそうな笑顔ね。」


それを見て、何故か羨ましそうに感じるウォースパイト。


「何だ、そんな羨ましそうな顔をして?」


「!? べ、別にそんなわけじゃあ・・・」


見られて恥ずかしかったのか、顔を逸らすウォースパイト。


「・・・そう言えば、ウォスパはここへ来て結構経つけど、あまり皆と交流していなかったっけ?」


「うっ・・・」



ウォースパイトは決して人見知りでは無いが、ロイヤルでは常に陛下の側で朝から晩まで仕えており、


休日や遊ぶと言った概念が存在していなかった・・・そのため、相手に話を切り出す勇気が持てなかったようだ。


「なら・・・ほらほら、せっかくベルさんが皆と遊んでいるんだ、お前もその輪に入ってこい!」


そう言って、ウォースパイトの背中をぐいぐいと押す提督、


「ちょっ!? 指揮官!? わ、私は別にいいわよ・・・別に羨ましくなんか無いって!」


ウォースパイトの意見などお構いなしに、提督は皆の所まで押して行く。



「あら? ウォースパイト様? どうかされましたか?」


遊びを止め、不思議そうな顔で見る駆逐艦娘とベルファスト、


「あのね、ウォースパイトさんも皆の輪に入りたいんだって~(笑)」


「ちょっと指揮官! そんな事言ってないわよ!! 私はただベルが楽しそうだから見ていただけで・・・」


ウォースパイトが顔を赤くして反論する光景を見て、


「ふふ・・・ウォースパイト様はご主人様と仲がよろしいのですね。」


そう言ってくすくすと笑う。


「うう~・・・」


恥ずかしいのか何も言えないウォースパイト。


「私も先程、こちらの皆様から「一緒に遊びませんか?」とお誘いがあったので、喜んで参加しているのです。


 ウォースパイト様も、興味がおありでしたら是非参加してみてはいかがですか?」


「い、いやだから! 私はその遊びのルールを知らないし、本当の初心者なのよ!」


「大丈夫ですよ、このベルファストでもとても楽しむことが出来ましたから♪」



ベルファストが何度も勧めて来るので、


「わ、分かったわ・・・じゃあ、少しだけ。」


渋々遊びに参加する。


「では最初はゆっくり回します・・・行きますよ。」


そう言って、駆逐艦娘と一緒に縄を回し始める。


「ふん、ふん・・・な、中々簡単ね? これなら何度でも飛べるわ。」


コツを掴んだ様で徐々にスピードが上がってもテンポよく飛び跳ねるウォースパイト。




「ふふ・・・何だかんだ、皆に溶け込んでいるじゃん、ウォスパも。」


2人の打ち解けを見て安心する提督。


「・・・ここでは上下関係なんて規則は無いから。 自由で皆は同じ平等、そしてお互いに助け合う・・・


 それがこの鎮守府のルールだよ。」


そう言って、提督はその場を去る。


・・・


ベルさんが来て、鎮守府生活に慣れてきた頃、


「ちょっと外出する、帰りは夕方になるかな。」


残りの書類を秘書艦の海風に任せ、提督は支度をして外に出て行く。


・・・その30分後、


ベルさんが提督と海風に昼食を持って来る。


「失礼します、ご主人様! 昼食をお持ちしました・・・おや?」



提督がいない事に気付くベルさん。


「海風様、ご主人様はどちらへ?」


「ああ・・・提督でしたら今、外出していますよ。」


「外出・・・」


「はい、夕方に帰る予定だそうです。」


「・・・かしこまりました。」


そう言って、海風の分だけの食事を置き、残りの食事を持ったまま執務室から出て行く。



夕方になり、


「ただいま、今戻ったよ。」


提督が帰還する。


「おかえりなさい、提督。」


提督を迎え、執務状況を報告する海風。


「ありがとう、じゃあ今日は21時までには終わりそうだね。」


そう言って、椅子に座り書類整理に励む提督。



「失礼します、ご主人様。」


ベルさんが夕食を持って執務室に入る。


「今日の夕食のお届けに参りました。」


そう言って、手際よく机に並べていく。


「ありがとう、ベルさん。」


「感謝の気持ちなど無用です、私は当然の事をしているだけです。」



メイドは余計な感情を持つ必要は無い、日々の作業は当然の事だと思っているベルさん。


「そうそう、ベルさん。今夜オレの部屋に来て欲しいんだけど。」


「? ご主人様の部屋にですか?」


「うん、忙しいなら違う日でもいいけど。」


「・・・」


ベルさんは少し考え、


「この後、皆様の食器を洗った後、就寝の準備を致しますので・・・その後でよろしければ構いませんが。」


「うん、分かった。 オレも21時に終わる予定だから、部屋で待っているよ。」


「・・・かしこまりました。」


話が終わり、執務室から出るベルさん。


・・・


「これで今日の作業は終わりました、後は・・・」


ベルさんは時計を見る、


「・・・」


後10分ほどで21時になる時間で、


「こんな時間に部屋に来て欲しいという事は・・・やはりご主人様も男性と言う事ですね。」


夜、女性を部屋に誘うとなれば、やる事は1つしか思い浮かばず、


「明日の朝も早い事ですし、ご主人様の性処理を済ませてすぐに就寝致しましょう。」


そう思い、身なりを整え提督の部屋に向かう。



「待っていたよベルさん。」


提督が椅子に座って待っていた。


「報告したい事があってさ、取り敢えず椅子に座って。」


「・・・」


てっきり、夜戦の誘いかと思っていたベルさんは拍子抜け、言われた通り椅子に座る。


「この書類をベルさんに渡そうと思ってね。」


そう言って、封筒から何かの書類を取り出し、ベルさんに手渡す。」


「・・・」


ベルさんは驚く、そこに書いてあったのは”今後貴方には危害を一切加えない”と書かれた、重桜からの解放証明書である。


「実は今日、重桜の陣営に行って来た。」


提督は今日の外出理由を話し始める。


「責任者である加賀に事情を説明して、ベルさんに二度と関わらないように交渉した。」


「・・・」


「もちろん却下された上に、刀で殺され掛かったけどね。」


「・・・」


よく見ると、提督の首の横に鋭利な刃物による傷跡があり、


「怪我をしております、動かないでください。」


すぐにガーゼを取り出して、治療を行うベルさん。


「大した事じゃないよ、ただかすっただけなのに。」


「・・・」


「まぁ、無事に帰って来れたし、証明書も加賀に書かせた・・・これでベルさんは正真正銘、本当の自由だから。」


提督の言葉に、


「・・・どうして。」


「んっ?」



振り向くと、ベルさんがすすり泣いているのが見え、


「私のために、どうしてそんな危険を冒したのですか?」


「・・・」


「私はご主人様に拾って頂いた身、ご主人様のためならこのベルファスト・・・命を捨てる覚悟はいつでも


 出来ております・・・それなのに、何故ご主人様はそんな危険な場所に1人で行ったのですか?」


ベルさんの質問に、


「だって・・・ベルさんはこの鎮守府の人間だろ? その人間を支えるのがオレの役目。


 オレはただ当然の事をしただけだよ?」


「・・・」


「だからベルさんは今日から本当の自由、分かった?」


「・・・ありがとうございます、ご主人様。」


ベルさんは深く礼をする。


「あー、後もう1つ。」


提督が急にベルさんの首に手をやり、


「この鎮守府ではそれは相応しくないからさ・・・」


そう言って、ベルさんの首・・・ではなく、首輪を掴んで、




カチャッ




首輪を外す提督。


「これでベルさんは、本当の自由だからね。」


提督は改めてベルさんに自由であると伝える。


・・・

・・



翌朝、


早朝、ベルさんはいつも通りに早く起き、鎮守府廊下の掃除を始める。


「ベルさん、おはようございます。」


艦娘たちから挨拶を受ける。


「おはようございます。」


ベルさんも同様に皆に挨拶をする。


「? あれ?」


艦娘の1人がベルさんを見て首を傾げる。


「? どうかされましたか?」


「いえ・・・首にあった物が無いなぁと思って。」



いつもは目立つように首に掛けてあった首輪が無い事に気付く艦娘たちに、


「ご主人様に外されました・・・この場では相応しくないと言われまして。」 


首輪の経緯を簡潔に説明した後、


「朝食はご用意してあります・・・その後の出撃・遠征もお気を付けて行ってください。」


「はい、いつもありがとう~♪」


艦娘たちは食堂へと向かって行く。


「・・・ふふ。」


ベルさんは自然と笑い、


「今日から私は自由・・・自由と言う気持ちは、こんなにも晴れやかになる物なのですね。」


そう思いつつ、再び廊下の掃除を始める笑顔のベルさんの姿があった。










「指揮官とベルファスト」 終










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2020-03-30 02:27:46

このSSへのコメント

3件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2020-04-01 21:38:23 ID: S:jcZoQM

この提督は自分の発言を理解してるのかな?
確かに二人目のベルの事情には同情するが
だからといってロイヤル陣営を壊滅する
発言は冗談でも言ってはならない。
重複艦が禁じられているならば
こっそりと鎮守府に連れ帰れば済む話だ。
というか、提督とヴォスパの話しだけど
他の者に聞かれなくて良かったな。

この提督は力で物事を解決するのが好きだが
もしも、力が失われたらどうするのだろうか?


2: SS好きの名無しさん 2020-04-01 22:57:59 ID: S:KkzYR5

>1さん
ここの提督さんは、そーいう話題には頭に血が上るタイプだからな
何故血が上るかは、提督さんシリーズの過去作品で判るよ

ベルさんとロイヤル陣営にいるベルさんとの入れ替わりネタはありそう

3: SS好きの名無しさん 2020-04-02 01:16:27 ID: S:0mYNRD

1だが、自分も過去は知ってます。
だが、それでも冷静になって欲しい。
強大な力を持ち…過去にロイヤル陣営の
問題を解決した者なら尚更です。
この先、重複艦が登場する度に
今回の様な発言をしている様では
周りからの信用を失うだろう。


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