2020-05-16 19:34:09 更新

概要

【トラブルから始まった幸せ】の三作目ですがタイトルの通り今回はガングートがメインになります。
ガングートのSSも少ないですね(半ギレ)コメント・指摘もよろしくお願いします。


前書き

今回は自分が書いたSSの中で一番検索量が多くなりました。お酒の知識皆無な人間が書いたのでおかしい点があると思いますが付け焼刃にしては頑張った方という事にしてください。




 1914年、ロシア海軍初の弩級戦艦四隻の中で栄えあるネームシップとして【Гангут】の名を与えられ、1925年にロシア革命の

 影響で【Октябрьская Революция】(十月革命)へと改名されたが1931~1934年にかけての改装の後1942年に再び【Гангут】

 となった。竣工が1914年のせいで艦隊最古参などと呼ばれて何かと年上扱いされるが,,,


 ガングート「私だってうら若き乙女なんだぞ」ムクッ


 提督「寝起きの一言がそれでいいのかお前は」



  ー摩耶到着の夜,執務室ー


 ガングート「,,,此処は何処だ?」ソファーの上


 

 目を擦りながら気だるげに体を起こしたのは灰色の髪をした戦艦 ー



 提督「お前が中に忍び込んでグッスリ寝こけてたコンテナの目的地だ」


 ガングート「貴様は,,,」


 提督「久ぶり、随分と可愛い寝顔だな」


 ガングート「て,,,隼三か」


 提督「なんでわざわざ言い直したオイ。てか何で俺の下の名前知ってんだ」


 ガングート「見たところ舞鶴ではないようだが」


 提督「話聞け」


 ガングート「,,,秘書官をやっていた頃にお前が目を離した隙に見た。解読には苦労したぞ」


 提督(人の名前を暗号みたいに,,,)


 ガングート「今度は私の質問だ。此処は何処だ?舞鶴にしては気温が低い。はぐらかそうとしても無駄だぞ、私が質問に

       答えたからには隼三にも答えてもらう」


 提督「,,,此処は大湊警備府だ。下北半島の陸奥湾側に在る」


 ガングート「そこは既に運用されていないと聞いているが」


 提督「もうその反応は聞き飽きた、理由を知りたきゃ今風呂に入ってるやつらから聞け」


 ガングート「此処には誰がいるんだ?」


 提督「初期艦兼嫁の若葉と舞鶴の武蔵、摩耶、黒潮とお前で全部で五人だ」


 ガングート「隼三も入れて六人という訳だな」(嫁だと?あれだけケッコンを拒んでいた隼三に実の嫁ができたというのか?)



 普段から竪物な彼女はおいそれと感情を表に出さない



 提督「その呼び方なんとかできねえのか?昔は貴様とか提督って呼んでただろ」


 ガングート「舞鶴にいる筈の隼三がこんな所にいるということは大方左遷でもされたのだろう?今更敬意を持って呼んでやる

       必要は無い」


 提督「お前が飛び出してニ年半近く経つってのに勘の鋭さだけは変わんねえな」(貴様って呼び方に敬意なんてあるのか?,,,)


 提 ≪俺が左遷される原因になった大規模作戦の一つ前の作戦でな,,,≫


 ガングート「ああ,,,あれからそんなに経つのか,,,,,」


  ー二年半前,大規模作戦中ー


 提督『長門が大破!?ガングートを救援に向かわせろ!あいつが一番近い!』


 長門『不覚をとった,,,単独行動中だというのに背後からの魚雷に気がつかないとは,,,』ヨロッ


 長門『だが,,,これしきのことで!,,,ッッ』ガクン


 ガングート『間に合えっ,,,』ザアアア


 長門『マズい、また魚雷が,,,次くらえば間違いなく沈む,,,!動けっ,,,!』グググ


 ガングート『отчет!(届け!)』バシュッ


  ドーン、 ザザザザザ,,,ドーン


 提督 ≪ガングートが放った最後の二本の魚雷の内一本はうまく信管が作動し、敵魚雷を破壊。もう一本はガングートが盾と

     なって防いだ≫


 ガングート『くっっ,,,』中波


 提督 ≪だが二本目は信管が作動せず、取り逃がしてしまった最後の敵魚雷は満身創痍の長門に直撃≫


 長門『ぐあっ,,,!』ドーン


 提督 ≪ガングートの曳航で轟沈こそ免れたが、艤装も失った長門はその後集中治療となりリハビリから戦線復帰まで一年

    もの時間を要した≫


 提督 ≪あそこで敵の魚雷を防ぎ切れなかったのは自分の慢心と整備の怠りによるものだと主張するガングートに長門は

    命の恩人だと言ったが、俺と周囲の制止も聞かずに損傷の修理もままならないままガングートは鎮守府を飛び出して

    行方不明になった,,,≫


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  ー執務室前ー


 若葉『黒潮、入らないのか?』ヒソヒソ


 黒潮『何やら榎本はんが女連れ込んでるたいやねん』ヒソヒソ


 若葉『,,,誰だ?』ヒソヒソ


 摩耶『なーんか聞き覚えある声だな,,,だれだっけ?愛宕姉え』ヒソヒソ


 愛宕『私も分からないわね,,,確かに聞き覚えはあるんだけど』ヒソヒソ


 武蔵(この声,,,ガングートか。何故此処にいるんだ?)


  ー執務室ー


 提督「あの後、大本営にお前を探させない為の処理から潜伏場所の特定までまったく苦労させられた」



 大げさな素振りで誇張しているが、実際は大規模作戦で艦娘が失踪するのは珍しくなく処理は簡単だった



 ガングート「それはすまなかったと思っている。が、潜伏場所が割れていたということは時折流れ着いていたあの物資は

       やはり,,,」


 提督「そ、感謝しろよ?燃料弾薬に加えて修復材に食糧まで。潮流を計算して遠征ついでに流してやってたんだ」


 ガングート「ピロシキにブリヌィ、ゼフィールからウォッカ、ウィスキーまで入っていたのは驚いたがな。ボルシチやビーフ

       ストロガノフが無かったのは残念だったが」


 提督「あそこまでしてもらって文句言うなよ、響やタシュケントがドラム缶の中でも大丈夫なようにと配慮した結果だ。二人共

    舞鶴で元気にやってるから今度顔出してやれ」

 

 ガングート「そうさせてもらおう。しかし、何も考えずに飛び出して何処かの海上で最期を迎えるつもりだったんだがな。

       何度場所を変えてもあんな物を送って来られれば死ぬ気も失せる」

 

 ガングート「それにちっこいのが作るザクースカはウォッカに良く合うし、ちゅうくらいのが作るゼフィールは疲れた身体

       には有難い。それをわざわざ無下にはできないというものだ」


 提督「喜んでくれていたようで何より。,,,それより、お前達はいつまでそこで盗み聞きしてるつもりだ」


  ードアの向こうー


 黒潮『ヤバッ、皆退散退散,,,』


  ソソクサ,,,,,


 若葉「提督」ガチャ


 黒潮&摩耶&愛宕(なにやってんだ若葉ァー!)


 武蔵「,,,」


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 若葉「そこにいるのは誰だ?元舞鶴所属の様だが」


 提督「ガングートだ。俺の戦友みたいなもんだな」


 ガングート「見慣れない艦娘、貴様が若葉か。駆逐艦にも関わらすガードの固い隼三の横に陣取っているとは、デキるようだな」

       

 愛宕 ≪隼三,,,?提督の事かしら≫


 若葉「何を,,,いや、ナニを教えたんだ?」


 若葉 ≪初対面でこんなことを言ってくるという事はあの人に何か吹き込まれたな≫


 提督「女騙してる詐欺師みたいに言うなよ、此処に所属してる奴らの説明と若葉が嫁って事を教えただけだ」


 若葉「そうか、悪くない」ニコッ


  イチャイチャ,,, イチャイチャ,,,,,


 武蔵「,,,提督よ。この際だから言っておくが、此処にいる者は全員少なからず提督を好いている」


 ガングート「,,, 」


 提督「,,,つまり?」(いやガングートは流石に,,,どっちかというと親友に近いし)


 武蔵「今は私達だけだから問題になっていないが、人数が増えてくると新規に着任した艦娘の中からもそれなりに提督に好意

    を抱く者が現れるだろう。そうなると、あまり公の場でそういうことをすると修羅場に発展しかねない。、

    そうならない為に少しは控えるべきではないか?」


 提督「それを吞んだ場合、人前では軽いスキンシップ程度が限界になる代わりに見られていなければ今よりもっと愛していいということ

    だな?」


 武蔵「まあ,,,それでいいだろう」


 黒潮(ええんや,,,)


 提督「呑もう。覚悟しろよ、若葉」


 若葉「ああ。受けて立とう」


 黒潮「おお、ついに一線を?」


 提督「越えません」


 愛宕「夜戦で気持ちよく?」


 提督「やらねえっつってんだろ!」


 摩耶(他がどんどん話を進めるせいで出番無かったじゃねえか,,,)チラッ


 ガングート「」プスプス,,,


 摩耶(アタシもああなるところだったぜ、危ねえ危ねえ)ドキドキ


 ー大湊の再建ー※二回目


 提督「とりあえずガングートは海上発見て事で此処に着任でいいな?」


 ガングート「ああ,,,それで構わない。この戦い、私も貢献しよう。私に任せておけ」


 摩耶「提督と武蔵さんに黒潮、アタシがいてガングートが着任、本当にあの時みてえだな」


 提督「懐かしいな、またガングートの着任の言葉を聞くことになるとは思ってなかった。唯一違うのは俺に嫁がいることぐらいか」

   

 若葉「だが四人の公的な扱いはどうなっているんだ?最初の三人は大本営から脱走してきた身のうえ、ガングートはかつて鎮守府を

    飛び出したんだろう」


 ガングート ≪脱走?物々しいな,,,どういう経緯だ?≫

 

 提督「ガングートの件については俺のコネをフル活用して戦闘中に行方不明ってことに出来た、これについては現舞鶴提督の

    あいつすら知らない。知ってるのは当事者で現場に居た長門と明石、夕張、大淀くらいだ」


 ガングート「隼三には随分と迷惑をかけたようだが、かつては私も顎で使われていたからな。等価交換だ」


 提督「そりゃねえだろ、週休二日で有休までしっかりとれるホワイトな鎮守府はあの頃じゃ舞鶴くらいだったぞ」


 愛宕 ≪休日に人数がどうしても足りないからって出撃させてたのは何処の提督かしらね≫ ジトー


 提督「埋め合わせはしたろ?」


 愛宕「何も言ってないですよ~?」


 提督「表情に出てる。舞鶴艦隊の初重巡だからな、それぐらい解る」


 愛宕「私のこと、ずっと見ててくれてたんですね~?うふふ ♪」


 提督(紛らわしい言い方を,,,)


 若葉「スス,,,」提督に近付き


 黒潮「,,,うちらはどうなん?大本営も随分と躍起になって捜索してた筈やけど」


 提督「俺も各鎮守府に聞きこみでもしてくるかとヤマ勘張ってたけど何も無かったしな、そんなことがあればあいつが連絡

    しない訳が無いしそう簡単に諦めてもくれないだろ」


 ガングート「なら他に考えられるのは,,,アレぐらいか」


 提督「さすが艦隊最古参は勘が鋭い、話の進行が早くて助かる。アレってのは諜報員のことだ」


 ガングート「その名で呼ぶなと言ったのを忘れたか?」頭掴み


 提督「あっゴメンナサイほんと,,,あの、手放して,,,陥没する」ギリギリ,,,


 若葉「そこまでだ」手放させ


 ガングート「,,, 」スッ


 ガングート ≪この有無を言わせない発言力,,,本当に駆逐艦か?≫


 摩耶「それで?諜報員ってのは現地に送り込まなきゃ意味無えだろ」


 武蔵「成程、つまりはそういうことか」

 

 若葉「そういうことだな」

 

 愛宕「今後大本営から艦娘が派遣されるようなことがある場合諜報員の可能性が高いから注意しろってことね?」


 黒潮「言われんくても怪しさMAXやけどね」


 提督「これからの艦隊行動は慎重に行わないとな」


 摩耶「んだよ、解んなかったのアタシだけかよ,,,」


  ー朝食を済ませ,出撃ドックー


 武蔵「こんなに陸の方に出撃ドックがあるのか?随分と不便な造りをしているんだな」


 提督「此処の構造はちと特殊でな、施設が入り江に面してるから急いで外洋に出る時不便だって意見が多くてその為の地下水路

    が造られたんだよ。そこになるべく短い時間で降りる為に出撃ドックはここに建てられた。結局大した運用もせず放置

    されてた訳だが、今はそれのお陰で湾を通らずに津軽海峡に出てから外洋に出られるって寸法だ」


 若葉「出口の付近に住民はいないのか?見られると不味いんだろう」


 提督「このご時世海沿いに住む酔狂なやつはそういないし、出口の辺りはちゃっかり立ち入り禁止区域になってるから問題ない。

    一つ問題があるとすれば水路が入り口から出口まで30kmはあるところだな」


 摩耶「30km,,,帰りも通ることになるから今回の燃料じゃそう遠くへは行けねえな」


 提督「まあ最悪水路まで戻って来さえすれば高速艇でも使って迎えに行ってやる」


 愛宕「行ってらっしゃ~い ♪」


 ガングート「,,,行くとするか」ガシャ


 提督「あ、悪い。今回ガングートは待機だ」


 ガングート「何?私の能力に不満でもあるのか。言ってみろ」


 提督「そうじゃなくてな、武蔵、摩耶、黒潮の三人は表向きは此処にいないことになってるから今回の出撃は若葉独りって

    体だ。それでもし出撃中に査察なんか入ろうものなら上手く言い訳出来る自信が無いから誰かに居てもらおうと思っ

    てな」


 ガングート「若葉を残しておくのは?」


 提督「実戦の一回くらいは経験させておいた方がいいだろ、他三人が強すぎて何も出来ないかもなしんないけどな」


 ガングート「,,,愛宕は?」


 提督「どんだけ出撃したいんだよ,,,愛宕は昨日遅かったから泊まっただけでもう帰るぞ」


 愛宕「お留守番よろしくね~?」ヒラヒラ


 ガングート「仕方無い,,,埋め合わせはしてもらうぞ隼三」


 提督「晩酌付き合ってやる」


 武蔵「では改めて。旗艦武蔵、第一艦隊出撃するぞ」


 提督「おう、まずは水路の出口まで頑張れ。門は上げてる」


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 提督「,,,行ったか」


 ガングート「さあ隼三、飲むぞ。酒とつまみを用意しろ」


 提督「いくら暇でも昼間から飲む訳無えだろ、夜だ夜。愛宕見送って執務室戻るぞ」


  ー埠頭ー


 愛宕<提督の本名って隼三だったんですね?>


 提督<あっ,,,違和感無さ過ぎて忘れてた,,,。 言うなよ?>


 愛宕<分かりませんよぉ ?♪>


 提督<勘弁,,,>手合わせ


 ガングート ≪顔を近づけて何を話しているんだ,,,?≫


 提督「あいつによろしく」


 愛宕「はぁ~い ♪」


 

 独特な調子の返事と航跡を残して、輸送艇は水平線へと離れていった



  ー執務室ー


 提督「戻ってきたはいいんだが,,,」


 ガングート「艦隊が出撃しているのだから本来通信室に行くべきだろうな。[本来は],,,だが」


 提督「お察しがよろしいようで」


 ガングート「舞鶴に着任して短くないからな」


 提督「此処は大湊なんだよなあ,,,まあ俺の左遷話はもうあいつらから聞いたろ」


 ガングート「聞いていないぞ」


 提督「聞く時間,,,」


 ガングート「多少はあったが是非とも御本人の口からお聞きしたくてな」


 提督「変わらんなあその性格,,,絶対話さんからな他の奴から聞け」


 ガングート ≪折れそうにないな,,,食い下がっても無意味だな。酒の席で吐かせるとするか,,,それよりも≫


 ガングート「分かっていながらわざわざ執務室に連れてきた理由を聞かせてもらおうか」


 提督「分かってるくせに,,,あの後の長門の事」


 ガングート「,,,?」


 提督「艤装はなんとか修復出来たモノの、接続部をやられたのが後々になって判明して,,,」


 ガングート「まて。知らんぞそんな話」


 提督「え,,,言わなきゃ良かった。時間無駄にしたわ」


 ガングート「,,,何だその言い方,,,いや扱いは。随分と軽く見られているらしいな私は」睨み


 提督「この程度の挑発で怒り出すたぁ性格が変わってなけりゃその異常に低い沸点も御健在のようですなぁ?」立ち上がり


 ガングート「独り暮らしでそろそろストレス発散がしたかった所だ。調度いいサンドバッグが見つかった」襟首掴み


 提督「会わない内に腕が鈍ってない事を祈るんだな」掴み返し


 提督&ガングート「,,,,,,,,,,,,」


 ガングート「Умереть!(死ね!)」フッ


 提督(殺気!?)フッ



 両者の拳一閃、互いに急所を正確に捉えている



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 提督「,,,鈍ってないな、恐ろしい子。てか初手眼潰し狙いはヒドイだろ流石に」


 ガングート「女性の首骨を折ろうとした男のセリフでは無いな」


 提督「殺す気でやんなきゃ殺されるから致し方無し」


 ガングート「だが、初手引き分けはこれで二回目だな」


 提督「着任したばっかの頃はそんなにだったのに何時の間に,,,って感じで負け続けてたからな。強くなっちゃって,,,」


 ガングート「,,,もう一戦いくか?」


 提督「結構。嫁遺して死にたか無いんでね、,,,で、ガングートは何の話だと思ってた?」


 ガングート「それだ私が言いたかったのは。隼三、貴様私の秘蔵酒を盗み飲みしていただろう」


 提督「こんなトコで駄弁ってないで通信室行くぞーガングート」


 ガングート「はぐらかすつもりか?証拠は挙がっているぞ、ちっこいのに聞いてみろ。写真もある」肩掴み


 提督「ガングートさんも最初はぐらかしましたー」(流石KGB,,,証拠写真まで、いつの間に)


 ガングート「名前の事か?あれなら答えただろう」


 提督「,,, 」



 正論を突き付けられては、口で切り抜ける事は出来ない



 ガングート「答えて貰おうか」ニコォ


 提督「,,,すいませんでしたっ!」ダッ


 ガングート「Подождите!(待て!)」ダッ


 提督「ロシア語で喋んな!訳解んなくなるから!」ダダダ,,,


 ガングート「Стоп!Вы хотите сломать руки!Или это смертный приговор!?(止まれ!腕を折られたいか!それとも銃殺刑か!?)

                                        

 提督「凄い長文叫んでるんですけど!?内容が怖いんだが?」ダダダ,,,


  ー外ー


  パスッ! パスッ!


 提督「アホか何PSSぶっ放してんだ!あげたの俺だけど!」( два の記念に夕張に頼んだやつまだ持ってたのかよ!弾薬は無い筈なのに)


 ガングート「чип,,,Вы удалили、Еще 4 выстрела,,,(チッ,,,外したか、あと四発,,,)」カチッ,,, パスッ!


 提督(PSSの射程が短くて助かった,,,ついでに弾薬も消音タイプで良かった!)ビシッ


 提督「危なっ!」ダダダ,,,


 ガングート「Быстрый парень,,,!(すばしっこい奴,,,!)」ダダダ,,,


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 ガングート「!」ダダダ,,,


 ガングート「Вы поворачиваетесь!(曲がれ!)」ダダダ,,,


 提督「日本語で言えって!」ダダダ,,,


 ガングート「Смотри вперед!(前を見ろ!)」ダダダ,,,


 提督「Can you say Japanese!?」ダダダ,,,


 ガングート「前を見ろと言っているんだ!落ちるぞ!」ダダダ,,,


 提督「前ってこの先は出撃ドック,,,」ズルッ


 提督 ≪は!?≫


 ガングート「此処の出撃ドックが陸の方にあるというのは隼三が言った事だろう!」


 提督 ≪やっべ舞鶴と間違えた,,,≫グラッ


  ドボーン,,,


 ガングート「Не говори,,,!(言わんこっちゃ無い,,,!)」バッ


  ザプッ,,,


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 提督(水冷たっ!どっか岸にあがれる所,,,ん?)


 ガングート「」ゴボゴボ,,,


 提督(,,,あいつ泳げるよな?とりあえず助けよ)


  スイー,,, グイッ


 提督(重っ!外套が水吸ってんのか,,,今は本人が優先だな、回収できる物は回収しとくか)


 提督 ≪着衣水泳に寒中水泳,,,講習受けといて正解だった≫


  ー警備府内,大浴場横檜風呂ー


  カポーン,,


 ガングート ≪妙に身体が温かい,,,それと木の香りに左腕の感触、何だ?≫スウ,,,


 提督「やっと起きたか寝坊助」ゴシゴシ


 ガングート「,,,ナニをしている?」


 提督「下心があるみたいな言い方すんなよ。そっちの文化に則って浴槽内で身体を洗ってやってるだけだ、流石に洗剤は使わずに軽く

    揉む程度にしてあるがな」


 ガングート「私の秘蔵酒,,,」


 提督「まだ言うか。まあそう言うと思って,,,ほれ」チャプ,,, コト


 

 浴槽の淵に掛けてあった籠の様な物から姿を現したのは、和紙で蓋をされた陶器の酒瓶



 ガングート「日本酒か」


 提督「檜風呂で作った純米酒の熱燗だ、味は保障する」


 ガングート ≪蓋の和紙を外した徳利の口から洩れるこの香り,,,≫


 ガングート「秘蔵酒の埋め合わせには秘蔵酒という訳か」


 提督「今日は豪勢に一本丸ごと飲み干すから途中で潰れんなよ?」


 ガングート「その言葉お返ししよう、ウォッカで慣らした私が日本酒で酔い潰れるものか」


 提督「そう言って昔酔い潰れたのは誰でしたっけねえ本当,,,」ぐい呑み渡し


 ガングート「ッあの頃はまだ酒に強くなかったから仕方無いだろう、同志から送られてくる酒の山々で鍛えられた私の肝臓を侮るなよ」


 提督「武蔵には用事で通信出来なくなるから指揮を任せるって言っといたから、帰等まで時間は十二分にある。昔話に花を咲かせると

    するか」


 ガングート「ん,,, 」トクトク,,, グイッ


 提督「早い。けど相変わらずいい飲みっぷりしてやがる」トクトク,,,


 ガングート「,,,ふぅ。香りがいいな、米の香りだ」


 提督「そりゃぁ純米酒だからな。酒米だけで作られてるだけの事はある」グイッ


 ガングート「鳳翔さんを思い出すな」


 提督「ああ,,,鳳翔さんには色々と世話になった」


 

 鳳翔『提督、お風呂でお酒を飲み過ぎるのはお体に良くないですよ』



 ガングート「特に酒の面でな」


 提督「」ギクッ


 提督「まあ,,,ああして止めに入ってくれるお陰でヤケ酒した次の日も二日酔いで済んだんだけどな」


 ガングート「面倒くさい面倒くさいと言っていた朝礼の場で嘔吐したのは傑作だったが」トクトク


 提督「青葉に吐く瞬間をバッチリ捉えた写真まで撮られた上に日報にされたからな,,,視線がキツかった。特に駆逐艦からの」トクトク


 ガングート「あの後散々イジられた感想は?」


 提督「たまにはイジられる側も悪くないって思えた」グイッ


 ガングート「命を預ける上官がこんな威厳も何も無い男だとは思わなかったな」グイッ


 提督「放っとけ。酒といえば、その点ガングートにも随分と世話を焼かされたな」


 ガングート「それは,,,やめておこう」


 提督「響に煽られて,,,」トクトク


 ガングート「その話はするなと,,, !」バシャッ


 提督「あんまり動くと見えるぞ」


 ガングート「隼三と私の仲だ、今更気にするところでは無い」口塞ぎ



 彼女はそう言い切るが、実際色々見えてしまっている



 提督「正面に居られるとこっちが目のやり場に困るんだが,,,あと手放せ、塞いでも喋れるし」


 ガングート「その話題を金輪際持ち出さないと誓うのならば落ち着いて酒を飲ませてやる」


 提督「,,,じゃ話題提供してくれ。なるべく面白いやつ」


 ガングート「そうだな,,,なら私が改装でロシアに行った時の話を聞かせてやろう」


 提督「かつての生まれは向こうでも今の祖国は完全にこっちになってるな」グイッ


 ガングート「当たり前だろう、私がこの姿で生を受けたのは日本だからな」トクトク


 提督「あ、話の腰を折る様で悪いけどお前PSSの弾薬何処で手に入れた?夕張が内部構造まで完璧に仕上げてたから確かに

    弾薬さえあれば実銃として使えたけど」トクトク


 ガングート「調度今から話す所で手に入れたぞ、無防備に置いてあったから少しばかり拝借させてもらった」グイッ


 提督「世話になった所から弾薬くすねるお前も大概だけど殆ど本物の銃を渡したのが自分となると何とも,,,」グイッツ


 提督「まあ,,,聞かせてもらいましょうかね」


 ガングート「ああ,,,向こうに行ったのは第二次改装の時だったな」トクトク


 提督「一回目は艤装改修が殆どだったから日本にある資料で何とかなったからな、それでも苦労したけど」トクトク


  ー三年半前,ロシア,サンクトペテルブルクー

 

 ガングート『日本から直行でも十時間程度か,,,戻ってきたな』(Аэропорт Пулково(プルコヴォ空港)のある郊外から車で約19分)


 ガングート「Адмиралтейские верфи(アドミラルティ造船所),,,。まだ指定の時間まで余裕がある、時間潰しに街を周ってみるか」


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 ガングート「川沿いに進んで行けば,,,見えて来たな。提督と来た時に行ったのは確かあの店だったか,,,」


 ガングート ≪ Гости́ный дво́р(ゴスチーヌイ ドヴォール)の東、一番奥にある壁に埋め込まれる形のкафе(カフェ)≫


 

 提督「そういや第一次改装祝いに二人で旅行行ったんだったな、冬宮殿の近くのホテルだったか」グイッ


 ガングート「武蔵の時はクルーザーまで買って釣りに行っていたな。加賀は貸し切りでスイーツバイキング、古鷹は天体観測で

       比叡は山登り,,,と希望は三者三様で意外なものもあったな」グイッ


 提督「誰かさんがロシア旅行に行きたいって言い出した時が一番驚いた記憶があるんだがなあ,,,大概だろ」


 ガングート「よほど過激な内容でない限り全て快諾していた隼三も原因の一端だろう、実際私の改装祝いを境に希望がどんどん

       エスカレートしていた。かかる金額も安くは無いだろうに,,,よく続けられたな」トクトク,,,グイッ


 提督「提督やってると給料は高いのに使う機会が無くてな、増え過ぎた口座残高を減らすって目的もあった」トクトク,,,グイッ


 ガングート「贅沢な悩みだな、だがそのお陰で私含め舞鶴の艦娘は無二の思い出作りが出来た訳だな」トクトク


 提督「皆幸せそうな顔すんだよなあ,,,あの顔が見たくてやってた部分も大きかった。それにガングートも例に漏れず,,,な」トクトク


 ガングート「私がか?特に表情を緩ませた覚えは無いぞ」


 提督「さしもの竪物も寝顔までは抑えられないみたいでな、ふとお前の方を見たら満面の笑みで寝息を立ててた」


 ガングート「女性の寝顔を盗み見るとは随分と御大層な趣味をしている」グイッ


 提督「そりゃまあ,,,ねぇ?寝言で〈隼三,,,〉なんて呼ばれれば見ない訳にはイカンでしょうよ」


 ガングート「,,,今まで知らないフリをしていたんだな」


 提督「お陰でバレた原因が把握出来た、今後の執務は書類から目を離さずにする」グイッ


 ガングート「その書類が此処には一つも回されて来ない訳だがな」トクトク,,,クピッ


 提督「正式な拠点として登録されていないのか,,,元帥の嫌がらせかは知らんけどな」トクトク,,,グイッ


 ガングート「どうだかな,,,本当はこの機会に隼三から左遷の経緯を聞き出す腹積もりだったんだが,,,,,少し酔い過ぎたらしい」スッ 


 提督「んっ,,, ガングートの熱燗って所か、甘い酒も悪くない」


 ガングート「ほう?嬉しい事を言ってくれるな。もっと味わわせてやろう」ガシッ グイッ


 提督「日本酒のラッパ飲みか?中毒起こすなよ」


 ガングート「,,, 」スッ


 ガングート&提督「んっ,,,」



 火照った唇と唇が重なり合い,,,



 提督「,,, 」クピッ,,,クピッ,,,,,


 ガングート「,,,ふう。どうだ、堪能出来ただろう?」


 提督「ああ,,,取り敢えずちょっと引き揚げてくれ、逆上せも合わさってこっちが中毒起こしそう」


 ガングート「まったく,,,雰囲気も何も無いな、その方が私達らしいが」ザバッ


 提督「もうお前と気兼ねなく風呂には入れないって事だな」


 ガングート「私は構わないがな。まあ形はどうであれ、これが私の想いだ」


 提督「そのうち誰かが仕掛けてくるとは思ってたけどトップバッターがあのガングートとはな、こりゃ修羅場も近そうだ」


 ガングート「それは分からないぞ?ふふっ」


 

 そう言った彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべ、軽く手を振りながら引き戸の向こうに消えた



 提督「,,,若葉の時といい今回のガングートといい此処の風呂はそういう系の呪いでもあるのか?」ザバッ



 あのガングートなら言いふらす事は無いだろうと内心安心しながら、逆上せた身体に圧し掛かる酔いを引きずって

 そろそろ帰等する艦隊の面々を迎える為に男は更衣室へと向かう,,,



 つづき、いつか書きます


 [link_sstoko: SS投稿速報作品URL ]

 [link_ssmatome: SSまとめ速報作品URL ]


 


後書き

ネタが持たなくなってきているので施設改装編は次回に回します、すいません。

ー用語説明ー
ピロシキ・東欧の惣菜揚げパン
ブリヌィ・クレープやパンケーキの様なロシア料理
ゼフィール・泡立てた果実のピューレに砂糖と卵白を合わせたフワフワとして柔らかいマシュマロの様な
      ロシアのお菓子
ウォッカ・主に東欧の旧ソ連圏で生産、消費されている蒸留酒。アルコール度数が高い
ウイスキー・蒸留酒の一つで、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を麦芽の酵素で糖化しこれを発酵させ
      蒸留したもの。世界共通の明確な定義が無い
ボルシチ・ビーツとタマネギ、ニンジン、キャベツ、牛肉などの材料を炒めてからスープでじっくり煮込んで
     作る、近世以後東欧に普及したウクライナの料理。世界三大スープの一つでバリエーション豊富
ビーフストロガノフ・牛肉の細切りとタマネギ、マッシュルームなどのキノコをバターで炒め、若干のスープ
          で煮込んだ所にサワークリームをたっぷり入れるロシアの牛肉料理伝統料理とも創作
          料理とも
ザクースカ・ロシアやウクライナの料理でビュッフェ形式で出される前菜で複数系はザクースキ。燻製肉や
      サラダ等の冷菜以外にピロシキやブリヌィ等の温菜も含まれる酒(主にウイスキー)のつまみ
PSS・1983年にKGBが開発した特殊自動装填拳銃。それ自体に消音効果を持たせた特殊な弾薬によって
   発砲音を抑えて使用できるが、射程が短い。主にKGBで運用された


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2件コメントされています

1: ????? 2020-05-10 15:18:53 ID: S:5AHzkS

流石同志でっかいの……実にхорошийですね

ЭК-31「PSSの弾と…後はБHと、НРСを入れてあげれば完璧っしゅ!」
国後 「ちょっと姉さん!海防艦の集まりに遅れるわよ」

お酒とネタはジックリと寝かせてもいいと思いますので、
次回もジックリとお待ちしております

2: 単装より連装 2020-05-11 19:34:28 ID: S:zeJjEv

Тошкент「その装備、君もтоварищなんだね!?」
Верный「じゃあ行こうか。ソビエト再興の為に」


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