2021-03-28 13:15:15 更新

概要

黒い空 赤い海 の後編です。ぜひ前編を読んでから読んでください


前書き

私の妄想でキャラクターの性格、関係が作られています。ご注意を

コメントして頂けると嬉しいです


登場人物紹介


加藤修司 宿毛鎮守府の提督。時間の速さをコントロール出来るが、体力を奪われるので使わない。黒と勝手に読んでいる物体を使う。


霞    加藤の初期艦で秘書艦。混浴(同居)組


朝霜   隻眼。加藤の秘書艦。混浴(同居)組


金剛型  朝霜をブラ鎮から逃がした縁で宿毛鎮守府に来た。


田中   加藤の命の恩人。最近はお互い忙しく話をしていない


マツダ  加藤が黒によって作った。鬼の能面をつけている。


時系列


16年前 加藤誕生

1年前 加藤高校入学

0   深海棲艦X県襲撃事件(よく加藤が”あのこと”とか”あれ”とか言っている)

1月後 兵学校高等部編入(霞と会う)

2年後 兵学校卒業。宿毛へ(すぐ朝霜を保護)

追悼式で色々とやらかす

3年後 呉提督をボコボコにする

4年後 現在


後編の本編


かの祭りから数カ月がたち木々も枯れ、風は鋭さをまとい始める。


霞  「冷えて来たわね」


加藤 「ああ、ほんと空調の設備してほしいよ」


四国といえど冬は冬だ。手はかじかむす。息は白くなる。空調はなく。買ってきたストーブを適当な場所に置いているだけ。最近はクリスマス特集やら年末特番やらがあるらしい。ここら辺では出かけるのにも、遊ぶ場所がないので、テレビやネット、ゲームぐらいしか娯楽はない。


天龍 「艦隊帰投したぜ」


加藤 「お帰り、暖まってきな」


遠征組が帰って来た。艤装を付けていると寒さを和らぐらしいが・・・


龍田 「はい、報告書よ~」


加藤 「お疲れ。」


響(ヴェル)と龍田に大発を載せて、天龍型と暁型に遠征に行ってもらった。大量の燃料と弾薬を持ち帰って来てくれた。


加藤 「響さん・・それって・・」


響  「ウォッカだが」


加藤 「寒いけど昼間から酒って・・」


響  「安心しろまだ40度だよ」


え?40度?結構飲んでるよね


暁  「響飲みすぎよ」


響  「大丈夫さ45度まではただの水だからな」


さすがソ連。酒の耐久が半端じゃない。


しばらくし、6人は外へ出て行った。


朝霜 「あたいも酒は飲むけど40度は」


どう考えても子供の見た目をしているが。飲む子は飲む。響もだが朝霜もつぶれる前に辞めさせてはいるが。飲んだ瞬間吐き気をもよおす俺にとってはうらやましい。


そろそろクリスマスか・・・さてプレゼントをどうするか・・・これまでそれぞれの希望を(軍の金で)買っていたが、


加藤 「ちょっと出かけて来る」


霞  「どこ?」


加藤 「食材の確認」


まだ1週間あるが計画を立てないと失敗する。今、うちには。100人艦娘がいるから。


加藤 「ちょっといいか?」


間宮 「どうしました」


加藤 「クリスマスについて」


間宮 「はい。」


加藤 「何か作る予定は?」


間宮 「みなさんにケーキをと」


やはりさすがにそれは計画していたか


加藤 「なるほど、では・・・」



間宮 「怒られますよ?」


加藤 「気にしてはいますがまぁ彼女自身、自らへの忠告のようにとらえているので」



執務室に戻る。帰り道で大体、アイディアはまとまった。



加藤 「ただいまー」


霞  「お帰り」


計画を進めるにしろ目の前の仕事を片付けなけなくては始まらない。まぁ最悪は、時間を遅くすればどうにかなるが


遠征の計画書をまとめ、その他執務を終わらせる。


加藤 「おつかれ」


早く終わった。普段も大してかかるわけではないが・・・


作業を始めようと電話が鳴る。演習か?呉をボコボコにしていらい月1ぐらいで依頼が入る。水雷戦隊で魚雷を使わないとか。2隻だけで相手させたりと、まぁ完膚なきまでにしてお返しした。


田中 「もしもし、久しぶり」


懐かしい声が聞こえる


加藤 「おお!お久しぶりです!」


かなりテンションが上がっている。お互い忙しく半年ぶりぐらいに会話をしている。


田中 「聞いたよ、舞鶴の中将だっけ」


舞鶴・・ああ、戦艦に機銃だけ積ませた時の


その時や他の演習での話をした。


田中 「楽しそうだな」


加藤 「結構面白いです」


田中 「そろそろ本題に入ろうか」


すこし声が低くなる。気を引き締める。


田中 「これまで大学部で何人もの学生を提督にしたんだが、指揮がうまくいかないらしい。」


俺みたいに作戦を分析していないと難しいだろう。現に俺がここまでやれているのはあの時、分析をしていたお陰だろう


田中 「それで、卒業目前の大学部の学生を各鎮守府に送って見習いという形をとることにした」


なんか嫌な予感がする。絶対面倒くさいことだ


田中 「君の所にも1人頼みたい」


やっぱり。そう来たよ。


加藤 「俺よりも他がいいのでは?」


抵抗を試みる


田中 「君は卒業すぐでもかなり戦果を挙げていたからね。しかも高等部で」


逃げ道を完全に潰された。完敗か。いやだなぁ。だってあいては22でしょ。俺まだ20だよ。年上の人に教えるって。お互いやりずらいじゃん・・・


田中 「気持ちは分かるが頼む。安心しな彼は成績トップだから。」


逆だよ!なんで俺にトップを持ってくんだよ!あんたのほうがいいだろ!


加藤 「分かりました。彼の名前、訓練艦、来る日を教えてください。」


田中 「ああ、・・・」


名前は高橋。やはり歳は22。訓練艦は大鳳らしい。よかった。戦艦じゃなくて。1/6に来るらしい。


田中 「では。よろしく。君の好きなようにして構わない」


加藤 「了解です」


電話を切る。どうしよう、めっちゃ叫びたい、転がり回りたい


霞  「どうしたの?」


詳しく話す


朝霜 「面倒なの押し付けられたな」


加藤 「ああ、田中さんのお願いだしさ・・・けど22て」


霞  「さすがに相手もあなたの年齢は分かっているからね。」


加藤 「まぁ、承諾しちゃったし。舐めてかかってきたらそれ相応の対応するし」


朝霜 「顔が完全犯罪考えているあれだよ」


まだ来るのは先出し、こっちを終わらせるか。


聖夜が今年もやって来た。宿毛には綺麗なイルミネーションもカップルもいないし。クリスマス感が一切ない。うちの鎮守府以外。


運動場の中心にはモミの木が置かれ、みんなで装飾したのか星やら、靴下やらが飾られている。よく見るとライトも付けてある。夜に見るのが楽しみだ。


夜にパーティーを開くので、そこまでは通常通り行う。数名、コスプレをしたいと言ってきた。非常時すぐ着替えられるならOKと伝えた。


霞  「おはよう」


朝霜 「おはよう」


二人は衣装がなかったらしい。(二人の限定グラ待っています!)


加藤 「今日はちょっと哨戒するだけでいいか。」


霞  「いいんじゃない」


数名で近くの哨戒を頼んだ。彩雲で水上機は見つかるが、潜水艦は無理なので。ソナーをもって行かせた。


鎮守府を歩いて。みんなの衣装を見に行った。予想通りの子たちもいたが一番驚いたのは筑摩だ。完全に鹿になっていた。角生やしていたのはいたけど。100%鹿は彼女だけだった。全身タイツは辞めてほしい。


加藤 「なんで鹿なの?」


筑摩 「トナカイです!私は利根姉さんを運ぶ任務があるので」


加藤 「・・・がんばれ」


アホなの?騒がしいぐらいがちょうどいいか。



夜になり。みんなが食堂に集まる。夜間偵察機を飛ばし、索敵をしている。


赤城 「すごい・・・ご馳走・・・」


加賀 「ええ・・・」


龍驤 「よだれ拭け!」



加藤 「全員いるか?」


見える位置を確認する。誰も報告がないので問題ないだろう。


瑞鶴 「提督さん。これなに?」


布で覆われたものを指す。


加藤 「めくってみな」


勢いよく布が空に飛ぶ。すぐに歓声がわく


瑞鶴 「これって私?」


目の前に空母瑞鶴の模型が現れる。これは無論ただの模型じゃない。


加藤 「飛行甲板持ち上げてみ」


瑞鶴 「分かったわ・・・ねぇ提督さん・・・」


飛行甲板の下・・・格納庫には七面鳥・・のような鳥の丸焼きがある。


瑞鶴は七面鳥に反応こそするが、本人は、マリアナの件は自分の失態と考えているらしく。定期的に言ってほしいらしい。どうやら気が引き締まると


加藤 「これはニワトリだから」


瑞鶴 「いいアイデアね、クリスマスで七面鳥で私って」


ちょっとした茶番を終わらせ。食事を始める。ピザにナポリタン・・・普段あんまり食べない食事にみんな喜んで食べている。


しばらくすると背中に気配を感じる。そっと離れようとするも・・


隼鷹 「ていとくーどこ行くんだい?」


千歳 「さぁ飲みましょ」


人捕まえるときは異様に速いなあいつら。酔っててまともな思考できていないな。


那智 「提督、遠慮するな」


加藤 「吐くから、俺、食ったもの以上を口から出すから!」


拘束が解けない。


妙高 「那智・・・何しているの」


那智 「みょ、妙高姉さん」


なんとかなった。


鳳翔 「あなたたちもですよ。隼鷹、千歳」


千隼 「鳳翔さん・・」


助かった。しかし、めっちゃ怖い。ふだん穏やかな二人が・・・


妙高 「あなた、提督がお酒飲めないの知っていましたよね」


那智 「すまない、提督、悪乗りで」


鳳翔 「あなたたちも」


千歳 「すみません、酒の勢いで」


隼鷹 「はめをはずしすぎた。ごめん」


加藤 「よし!酒はほどほどにな、ちゃんと飯も食えよ」


しっかり反省しているし。毎回思うが、やる前に気が付け・・


言葉以外も俺の伝えたいことが分かったのか去っていった。


妙高 「すみませんでした」


加藤 「いいよ、未遂だし」


その後は特に問題もなく、食事を楽しんだ。


加藤 「お疲れ、これでお開きだ。みんな部屋に戻って寝な。」


一同 「はーい」


デザートの間宮が作ったケーキを食べ終え、パーティーは終了。ごはんも酒もすべて食べつくした。前者はいいことだが後者は・・・酒かなりあったはずだが。


間宮 「お片付けですね」


伊良湖「ええ、頑張りましょう」


鳳翔 「そうですね」


加藤 「手伝います。」


間宮 「大丈夫ですよ」


加藤 「いいんです。俺がやりたいだけなんで。あと二人います」


霞も朝霜も手伝い、すぐに食堂は綺麗になった。


鳳翔 「ありがとうございました。ではいい聖夜を」


加藤 「あなた方も」


食事を出て。執務室に向かう。ともう気が付いたか。


朝霜 「なんだこれ?」


加藤 「プレゼントさ」


暁  「司令官、これ、かわいいわ!」


鳥海 「私たちそっくりです」


俺が彼女達へのプレゼント・・・表札だ。部屋のドアが殺風景すぎたので作ったみた。二頭身の彼女らの似顔絵を描いた。


一度加賀を焼き鳥屋にしようとしたがやめといた。


祥鳳 「提督、この裏のやつは何ですか?」


加藤 「何だと思う?」


祥鳳型は二面ある。表はみんなと同じようなイラストだが、裏は二人がガソスタ店員のにしてみた。


瑞鳳 「ん~ガソリンスタンド・・・ガソリン・・あっ」


気が付いたか


瑞鳳 「給油艦の高崎と剣埼でしょ」


正解だ。空母になる前の二人をイメージした。


祥鳳 「いいですね、ありがとうございます」


作った側としてはそういわれると嬉しい。みんな感想を伝えに来てくれた。


朝霜 「あたい達にはないのか?」


加藤 「あるさ」


机から袋を取り出す。


加藤 「はい、こっちが霞でこっちが朝霜」


朝霜 「なんだろうな?」


袋を開ける。霞の袋の中から黒のマフラー。朝霜は白のマフラー制服にも似合いつつ、どれにも合いそうな色にしてみた。


霞  「いいわね、ありがとう」


朝霜 「ありがとう、司令」


我ながらかなり綺麗に作れたと思う。


彼女らは首のマフラーを巻く。細い首を温める。


加藤 「俺のは?」


冗談めいて言ってみた。


霞  「あるわよ」


加藤 「え!」


朝霜 「なんで聞いておいて驚いているんだよ!」


包装された箱をもらう。開ける許可をもらい。紙を取り、箱のふたを開ける。


加藤 「財布?」


朝霜 「ああ、壊れていただろ?」


今のは学生の時、適当に買った安物だ。糸がほつれていたり、チャックが壊れていたりボロボロだった。


加藤 「ありがとう」


ポケットからも取りやすい大きさだ。手にもしっかり馴染む。ちょうどいいのを探してくれたのだろう。


気が付いたら、日付が変わる直前だった。パーティーが長かったから時間感覚が狂ったのだろう。


加藤 「お疲れ様、寝ようか」


部屋に向かう。


寝っ転がると、上に温かい感触がある。


加藤 「なんで入って来るんだよ」


二人が体の上にいる。上手い具合に並んでいる。


霞  「遅くなっちゃったけどメリークリスマス」


朝霜 「メリークリスマス!」


加藤 「ぎりぎりだな。メリークリスマス。お休み」


結局このまま俺の上で寝ていた。


12/30~1/3は年末年始の休みとして、出撃、遠征を一切行わない。索敵機は発艦してもらうがそれ以外はフリーだ。少し遠出したり、部屋でごろごろしたりと、わずかながら休みを充実させている。


我々もおせち作りを手伝ったりしている。今回は外出許可をもらうためにかなりの子が執務室に来るのでずっとここにいるつもりだ。


霞  「これっていつのドラマ?」


加藤 「わかんねー俺もあんまり見ないし」


朝霜 「面白いしいいんじゃね」


普段が忙しすぎて、ドラマとか見る暇がない。多少ニュースでみた芸能人がいるぐらいだ。話はそこそこに面白い。


朝潮 「失礼します司令官」


加藤 「どうした?」


満潮 「霞もらうわ」


霞  「え?」


加藤 「どこ行くの?」


朝潮 「温泉に行こうと」


加藤 「おお、今日大晦日だから、まぁ日付変わる前には帰ってきな」


大潮 「アゲアゲで行ってきまーす」


荒潮 「ついて行ってもいいのよ」


加藤 「他に外にいくのもいるかもだからパスで」


霰  「一応、許可証持ってきた。」


加藤 「道後まで行ってくんのか。」


超有名地じゃん、俺はゆっくりできればどこでもいいのだが


朝潮 「まもなくタクシーが来るので私たちは失礼します」


しっかり準備していたんだな。


朝霜 「霞、ちゃんと女湯はいれよ」


霞  「そんぐらい分かっているわよ」


加藤 「いってらっしゃい」


彼女らは出て行った。かなり大人数だから、大きいの頼んだのかな?空いたドアから寒い空気が流れて来る。点いたままのテレビ、ソファにだらしなく座る朝霜。


霞がいないだけで一気に寂しくなるな


朝霜 「霞行っちまったな」


朝霜も寂しいのか?反対側のソファに移動し、隣に座った。


加藤 「暇だーーー」


朝霜 「暇だーーー」


外に出れないし、やることやりつくした。あと三日も休みあるのに・・・


朝霜 「にしても霞いないの久しぶりだな」


加藤 「2年前に一緒に高知行ったいらいかな」


最近は仕事で一緒に出掛けられていない。


朝霜が足に乗って来る。


しばらく、テレビを見ていた。ただボーッとしている。


朝霜 「鎮守府内回ろうぜ」


退屈したのかそう言ってきた


加藤 「ほとんど誰もいないけどな」


足の上の彼女を持ち上げ立ち上がる。テレビを消し。部屋を出る。外出したいときは俺の携帯に電話しろと張り紙を張って出る。


武道場へ向かう。


掛け声が聞こえる。


加藤 「失礼します」


天龍 「おお、来たのか!」


木曾 「珍しいな。あれ、もう一人は」


この眼帯コンビだ。ちょくちょくここで剣道している。たまに様子は見に来ている。


加藤 「霞は姉妹と道後行った。」


木曾 「へぇ道後か・・お前、今日はやるか」


加藤 「ちょっとな、今、着替えて来る」


朝霜 「あたいはここで見ているわ」


ずっと着ていない道着が隅に置いてあった。素早く着替え、戻る。


加藤 「ちょっとアップしたら稽古たのむ」


天龍 「ああ」


体自体は常に訓練をしているから、問題ないが剣道はしばらくやれていない。素振りをしばらく行い体をほぐす。面を着け、切り返しを受けてもらう。冷たい床が足の神経を麻痺させる。懐かしい感覚だ。


加藤 「じゃぁ、お願いします」


木曾 「まずは俺からだ。・・・お前上だろう」


立場上は上(?)だが。後から入って来たのだから下に入るべきだろう。譲り合っていたが負け、礼、蹲踞した。


天龍の号令で立ち上がる。剣先が触れる。お互いどこが危険かは理解している。慎重に間合いを管理する。木曾の姿勢が少し変わる。これは来るな。ぎりぎり届かない所で相手を焦らす。さすがに理解しているのか、打っては来ない。


お互い牽制し、技を打つもしのがれるそんな状態が続く。チャンスが訪れる。木曾が前に詰めようとする。そのタイミングで飛び出す。パンッと乾いた音がした。


木曾 「参りました」


加藤 「お疲れ。」


ぎりぎり反応できたが、少しでも遅かったら、返されていただろう。


加藤 「強くなったな」


前は苦労せずに一本とれたのだが


木曾 「お前のお陰さ」


一時期は、二人に教えて時もあった。間合いの詰め方。呼吸のしかた。・・・俺も楽しくやっていた。


天龍 「次は俺だな」


天龍は木曾と違い、突撃気味だ。とは言ったものの、詰め方もうまいので対応していかないと難しい。


稽古を始める。序盤から積極的だ。なんとか防いでいるが速い。だんだんと理解してきた。攻め方は何種類かあるが裏(自分の左)から入るときは下から回し面を打つ。一瞬中心を外れるため、そのタイミングだ。他も撃つ可能性がある。


裏から入って来た。今出ると小手を打たれる。しっかり見極める。下を回り、ここだ!中心が外れた瞬間に打った。少し浅かった。


天龍 「さすがだな」


その後お互いに切り返しをし礼式に移る。これで稽古納めらしい。


加藤 「いきなりすまんな」


天龍 「俺たちも楽しかったしありがとな」


木曾 「また来年もよろしくな」


朝霜 「すげぇな」


着替え、武道場を後にする。ちょうどお昼時だったので四人で食堂に向かう。


加藤 「こんにちは」


間宮 「いらっしゃいませ」


木曾 「鳳翔さんは?」


伊良湖「空母のみなさんとお出かけに。スイーツを食べるとか」


あっあの店今日は大損だな。


加藤 「年末に申し訳ない」


間宮 「いいんです。私たち楽しくてやっているんで」


天龍 「今日はこの焼肉定食で」


加藤 「俺も同じく」


木曾 「俺は、アジフライ定食で」


朝霜 「あたいも」


間宮 「焼肉2のアジフライ2ですね」


今日も普段より静かだ。昼飯を外で食べるっていうのもいたからな。


ご飯が出来たらしい。取りに行く。ほかほかのご飯と、焼肉にみそ汁。定食の定番だがうまい。さすが二人とも。


加藤 「ごちそうさまでした。二人もちょっと出かけに行ったら?」


間宮 「いえ、片付けとかありますので」


朝霜 「そんぐらい、あたいにもできるさ」


間宮 「でも・・」


加藤 「こっちには上官命令もあるんだぞ?」


間宮 「分かりました。伊良湖ちゃん、すこしお出かけしましょう」


伊良湖「提督、ありがとうございます」


加藤 「ゆっくりしてな行ってらっしゃい」


二人は、洋服を買いに行くらしい


天龍 「すまん、俺もちょっと龍田とちび達と映画、見に行くから」


加藤 「楽しんで来な」


相変わらず六駆とは仲がいい。


朝霜 「木曾は?」


木曾 「俺は特に無いぜ。」


加藤 「球磨たちは?」


木曾 「球磨姉と多摩姉は動物園、北上姉と大井姉は本買いに行ってる」


しばらく待っていたが誰も来なかったのでフライパンも洗い始める。


加藤 「お疲れ。ありがとな木曾」


木曾 「気にするな、俺とお前の仲だろ」


かっこつけたこと言っているし、実際かっこいい。だいたいの男より木曾のほうがかっこいいじゃないか?部屋はかわいいが


朝霜 「じゃぁな」


木曾 「良い年を!」


加藤 「お前もな!」


木曾と別れた。さてどうしたものか。また暇だ。空母は帰ってこないだろうし。俺の記憶だと・・・


加藤 「金剛のとこ行くか」


朝霜 「そうだな」


だいたい用事がないのでほとんど行かない寮。金剛型はそれぞれ個室だったが。一部屋だけうるさいな。


ドアをノックする。


金剛 「What・・提督と朝霜じゃないですカー」


加藤 「暇つぶしにな」


金剛の部屋はしっかり物が整理されていた。小さいパンジャンドラムが置いてあった。英国面に・・・


榛名 「ちょうどお茶していたんですどうぞ」


霧島 「司令、どうぞ座って」


加藤 「いいよ、いきなりこっちが来たんだし。」


金剛 「朝霜、come on!」


金剛が朝霜を持ち上げ膝に乗せる。


比叡の様子が少し変だ


加藤 「比叡、どうした?」


比叡 「え!あぁ ちょっと前の鎮守府を思い出しちゃって」


そういえばこのメンバーは、あそこの鎮守府から来たな


その後少し話を聞いた。どうやら、提督と長門型、伊勢型、扶桑型が駆逐艦への暴力を行っていて他の艦娘はこのことを知らなかったたらしい。


朝霜が見せしめに目をくり抜かれたとき。朝霜は逃走を決意。なんとか地下の部屋から抜け出した。目の傷が癒えないままだったため、血が廊下に落ちていた。


それを金剛型が見つけその先で血の涙を流している朝霜を発見。部屋に運び応急処置をしつつこのことになった経緯を説明される。


朝霜の逃走を手伝う。その後、地下に入り提督共々叩き潰そうとするも失敗。駆逐艦たちと同じ目に。


朝霜は、逃走中、敵に見つかり、大破。大破の衝撃を細い痣まみれの体が耐え切れず気絶。そして、宿毛に流れ着いた。


提督、長門型、伊勢型がここに来ている間にマツダによる襲撃で扶桑型を捕まえ、金剛型及び駆逐艦を解放。


加藤 「お前らも辛かったな」


金剛 「No、私たちは全然。ずっと殴られていた駆逐艦や朝霜に比べたら。」


榛名 「ええ、私たちは2,3日だけだったので」


朝霜 「ありがとな、あの時」


比叡 「いいえ、あんなことしか出来なかったですし」


加藤 「まぁ、朝霜を傷がきれいになくなったし、他もひどいことされていないみたいだし」


霧島 「それもそうですね。しかし、あの鬼の方はいったい」


マツダの正体は俺だけが知っている。


加藤 「うん、ただ害はなさそうだな」


朝霜 「なんか暗い雰囲気だな」


金剛 「ちょっとtea timeにしましょうか」


その後はお菓子を食べながら談笑した。


榛名 「あれ?霞ちゃんは?」


加藤 「朝潮型で道後行ってる」


比叡 「温泉ですか行きたいですね」


霧島 「今度、行きましょう、朝霜も一緒に」


朝霜 「ああ」



加藤 「邪魔したね」


金剛 「いえ、楽しかったデス」



部屋から出る。


向かう場所もないので執務室に戻る。


加藤 「きれいになったな」


朝霜 「まぁな」


加藤 「目はどうにもならなかったな」


右目に架かる髪をどかす。何も入っていない目が現れる。改二改装の時ワンチャンと思ったが、ダメだった。


朝霜 「そんな顔すんなって。司令がここに来なかったらあたいは野垂れ死んだぞ」


加藤 「そうか」


加藤 「暇だし、眠いから1時間ぐらい寝ようか、ちょっと来て」


朝霜 「ん?」


朝霜を抱き上げ、体の前に持ってくる。抱き枕のようにしてソファに横になる。彼女の温かさで眠りに就く。



何か上で動いている。・・ああ朝霜か。どうやら彼女も寝起きらしい。


加藤 「おはよう」


朝霜 「おはよう」


彼女の脇腹を持ち、床へ移動させる。起き上がり時間を見ると16:30だった。ちょうど1時間ぐらいか。どうやら、何人か帰って来ているらしい。


と何かこちらに駆けて来る音がする。


夕立 「提督さーん夕立帰って来たっぽい」


勢いよく飛び突かれた。白露型は・・・高知に買い物かあそこで絶対誰かと会っているな


加藤 「お帰りー」


時雨 「ただいま、あれ一人足りないね」


加藤 「ああ、霞は道後にいった」


村雨 「いいわね道後」


加藤 「なんかいいの見つかった?」


レジ袋から段ボールの箱を取り出す。


白露 「これ、きれいでしょう」


切子のようなものをらしい。


加藤 「いいね」


五月雨「これ、水のような模様で私たちにピッタリかなって」


確かに白露型は水ないし雨の名前が多い。このコップに光が反射する。模様がコップに流れていくしずくに見えた。


白露型と別れる。再び静かになる。


何人かはここに来て。お土産話をしてくれた。


朝霜 「そろそろ夜ご飯だな」


加藤 「そうだね、行くか」


昼よりかは人数が多いものの、普段の半分もいない。


加藤 「どうだった?」


間宮 「ええ、いいものが見つかりました。ありがとうございます」


加藤 「気にしないで、じゃぁ海鮮丼で」


年越しそばはもう少し遅くに食べるらしい。


しばらく刺身を食べていないしちょうどいいだろう。


夕食を食べ終えた執務室に戻るがやる仕事もなく暇だ。


電話が鳴る


加藤 「もしもし」


朝潮 「こちら朝潮です。いまから宿毛に帰ります」


加藤 「気を付けてね」


いまからだと・・・だいたい21:00には帰って来るだろう。


加藤 「風呂入って来るわ」


朝霜 「あたいも」



男湯は、基本、我々と霞しか入らないので、いつも一番風呂だ。


朝霜が座る。


朝霜 「よろしく!」


加藤 「水は自分で浴びろよ。」


彼女は自分でシャワーを浴びる。癖のある髪が水で真っ直ぐになる。


朝霜 「よし!今度こそよろしく」


加藤 「前髪、動かすぞ」


髪を後ろにする。シャンプーを手のひらに乗せて、馴染ませる。きれいな白髪に手をかける。指が通しやすい。指の腹で弧を描く。ここまで柔らかい髪になるとはな。初めて会ったときは、ぼさぼさだったのに


加藤 「目、つぶってな」


朝霜 「ああ」


シャワーで頭を流す。泡が水と共に流れていく。


加藤 「よし!終わり!」


朝霜 「ありがと」


自分の頭を洗い始める。背中に気配がする。手が触れる。


加藤 「どうした?」


朝霜 「洗ってやるよ」


加藤 「いける?」


ザラザラとした背中。一生消えないであろう火傷。ただれ、皮がむけ、焦げた。今こそ痛みはしないが傷を負ったときは常に痛かった。だが、生き残った代償にしては安いほうだ。


朝霜 「痛かった言ってくれよ」


加藤 「じゃぁ頼む」


手が背中をなでる。小さく優しい手だ。おそらく、割れた場所を避けて洗ってくれているのだろう。


朝霜 「痛くないか」


加藤 「大丈夫だよ」


洗い終わり、背中を流してもらう。


加藤 「ありがとうな」


体を洗い湯船に向かう。


冬の空気で、冷え切った身体を風呂が芯まで温めてくれる。


加藤 「あったけー」


朝霜 「そうだなー」


広い湯船に二人。全く寂しい気はしない。


朝霜 「ここいいか?」


膝の上に乗って来た。腕を彼女の肩に回す。背中が俺の胸に触れる。


朝霜 「今日は霞いないからな」


諮ったか・・


しばらくこのまま暖まった。


朝霜 「上がるか」


彼女の体が上がる。目の前に脚が見える。俺も立ち上がる。


脱衣室で体を拭く。適当な服に着替える。


朝霜 「髪乾かしてくれ」


自分で出来る癖に・・・もう鏡の前の椅子に座って待っている。ちゃっかりしているな。右手にドライヤーを持ち。左手で彼女の髪に触る。だんだんと湿り気が消えていく。左側に水滴は飛び散っている。


加藤 「こんなもんだろう」


やりすぎると乾いて髪がちりちりになってしまうからな。


朝霜 「ありがとな」


執務室に早足で向かう。せっかく暖まった熱が冷まされそう。


朝霜 「いやぁ寒かった」


加藤 「ああ」


テレビを点ける。公共放送で歌番組が始まる。近くに置いてあった、カーペットとこたつを持ってきた。


朝霜 「いいねぇ」


加藤 「この時期しか使わないからな」


これも町で安く売ってもらったものだ。普段は机で書類をまとめているので使う機会がない。電源を入れ、中に入る。


朝霜 「あんまり温かくないな」


加藤 「すぐ温まるさ」


まともに歌を聞かないので誰が誰だか分からない。


加藤 「これいいな」


朝霜 「そうだね」


そんなことを喋りながらテレビを見る。足音が聞こえる。


朝潮 「帰ってきました」


道後組が帰って来た。


加藤 「お帰り、どうだった?」


荒潮 「よかったわよ~」


大潮 「ゆっくりできました!」


霞  「お土産よ」


袋の中をのぞく饅頭が入っていた。


朝霜 「ありがてぇいただくよ」


朝潮 「では!失礼します」


朝潮型が帰っていく。


加藤 「お疲れ、軽いのに着替えてきな」


霞  「そうするわ」


こたつが暖まってきた。寝間着姿の霞が入って来た。


霞  「ここいいかしら?」


テレビの真正面に霞、彼女の右側に俺、左側に朝霜が座る。


霞  「多いわね」


加藤 「一人一人よくわからないな」


大人数のアイドルグループだ。メンバーも姉妹グループが多く、よく分からない。


そんなことを話していると途中のニュースが入る。


加藤 「上着来て行くぞ」


霞  「どこに?」


加藤 「そば」


朝霜 「行くか」


厚着をして、食堂に向かう。息が白い。


加藤 「こんばんわー」


鳳翔 「提督こんばんわ」


加藤 「そろそろすか?」


間宮 「ええ」


予め聞いておいてよかった。温かいものを食べたいからな


椅子に座って待つ。


間宮 「できましたよ」


湯気が上がっている。そばの上に野菜や肉が浮いている。


霞  「ありがとう。いただきます」


そばをすする。歯ごたえもよい


朝霜 「これ食べると年越しって感じだな」


ドタドタと足音が聞こえる。


赤城 「おそばです!」


加賀 「やりました」


加藤 「うるせぇ」


ほんと食いもんに目がないとはこのこと


赤城 「いやぁお腹すいて来てちょうど食べたいなって」


加藤 「お前ら食べ放題いったんだろ」


加賀 「そこの食べ尽くしました」


霞  「え?」


ふつうああいうところってかなりストックしているよね。


加藤 「誰が行ったの?」


鳳翔 「空母全員です」


11人で食い尽くすって・・・


朝霜 「やべぇこいつら」


鳳翔 「正規空母が8割ぐらい食べていましたよ」


え?軽空母が2割。正規以外も食うな・・・


加藤 「ごちそうさま」


霞  「おいしかったわ」


間宮 「ありがとうございます」


執務室に戻る。


マイクを付ける。


「こちら加藤、こちら加藤、23:50に出撃港前に全員集合。ただ寝ているのは起こさなくていいぞ。23:50に出撃港。あと、年越しそばが出来たらしいので一航戦に食べ尽くされる前に行ってらっしゃい」


その後、しばらく歌番組を見ていた。時計が23:30を指す。


加藤 「着替えるわ」


霞  「そうね」


朝霜 「ああ」


それぞれ制服になる。すぐに歌番組も終わり。年越し番組になる。


加藤 「行こうか」


外に出て、出撃港へ向かう。数名の影が見える。


吹雪 「司令官!こんばんは」


加藤 「相変わらず早いな」


その後ぞろぞろと集まる。数名は寝ていて。空母2隻は酔い潰れているとか。


加藤 「あと3分か」


鐘の前に立つ。紐を持つ。


ゴーン   ゴーン   ゴーン   ゴーン   ゴーン   ゴーン   ゴーン   ゴーン


鐘を8回鳴らす。年明けまであと15秒。10・・・5 4 3 2 1


ゴーン   ゴーン   ゴーン   ゴーン   ゴーン   ゴーン   ゴーン   ゴーン


再び鐘を鳴らす。


去る年に8回、来る年に8回、鐘を鳴らす。


海に向かい全員で敬礼する。


しばらくし手を降ろす。振り返り、仲間たち一人一人の顔を見る。


加藤 「明けましておめでとう」


おめでとう、と場が盛り上がる。


霞  「おめでとう」


朝霜 「おめでとう」


その後、新年のを済ませる。


加藤 「日の出は7:00ごろだから見たい奴は・・6:45にまたここで」


ここは立地上、初日の出が少し遅い。そのため海に少し出て見に行く者もいる。


みんなと別れ、部屋に戻る。再び寝巻に着替え、寝る


加藤 「今年もよろしくな」


朝霜 「よろしくな!」


霞  「こちらこそよろしく」


眠りに就いた。


しばらく眠り、6:00に起きる。二人はまだ寝ている。軍服に着替え外の空気を吸う。新年の空気は何か特別な何かを感じる。さっぱりとしている空気だ。


早めに出撃港に着いた。


ただ海を眺める。はるかに広がる海を。この海を平和にするのが俺の仕事だ・・・


霞  「おはよう」


朝霜 「起こせばいいのに」


二人がやって来た。それに続き他の子も集まる。


比叡 「今回は私が司令を引きます」


加藤 「おお!よろしく」


しばらくし、目的の時間となる。


加藤 「じゃぁ行くか」


比叡に縄を引かせ。桶のようなものに乗る。去年はスキーで行ったとき、止まられて沈んで凍死しそうになった。


海が広がるところまで来た。東の空が明るきなって来た


加藤 「そろそろだね」


炎が海から出て来る。それが徐々に円を作っていく。最後の一片が海から離れると感嘆の声が聞こえる。


初日の出だ。


自然と足が鎮守府へ向かう。


無事に鎮守府に着いた。食堂ではおせちの準備がされていた。


加藤 「うまそうだな」


ほとんどのメンバーが集まり食事を始める。


彼女たちの料理はどれも美味い。形だけの俺の料理とは全然違う。


朝食を終え、執務室でゆっくりとしていた。


二人が外に出る。しばらくし戻って来た


霞  「どう?」


朝霜 「いいだろ」


霞は赤の朝霜は白の着物を着ていた。霞は金などで装飾された。花や梅の木が入っている。朝霜はほぼ無地でよく見るとわずかに装飾がされている。


加藤 「めっちゃきれい」


霞  「ありがとう」


朝霜 「だろ?」


そろそろ初詣に行くか。


海岸を歩いているとここの人に会った。挨拶をしつつ神社へ向かう。


石の鳥居には苔が生えていたり、一部、割れているところがある。そのまま進むと本殿が見える。こちらも手すりにつやが出ていたり、汚れがある。


二人に賽銭を渡す。


賽銭箱に入れて、三人で縄を振り、鈴を鳴らす。その後、手を合わせた。


加藤 「帰ろうか・・・」



朝霜 「何かお願いしたのか?」


加藤 「いや、今年もしていない」


あれ以来、神頼みの類はしていない。神の存在自体は肯定も否定もしないが、ファンタジーのような神の能力は信じない。何も悪事を働いていない、人々が死んでいったのだ。まだ物心ついていない赤子も・・・もし生死を司る神がいるのなら、俺はどこへでもそいつを追い、俺自身がどうなろうとそいつの首を落とすだろう。


それ以来、神社に行くときは、無差別に人を殺そうとするなら何者であろうとあのときに死んでいった者のようにしてやる、と言っている。



その後、特に何もなく3が日は過ぎて行った。


加藤 「ふぅ久しぶりの仕事かー」


霞  「今日は?」


加藤 「現状、出現報告は出ていないし。遠征と少し遠くまでの哨戒かな」


ただ、新年早々、悩みがある。悩みというよりかは不安かもしれない。研修という名目で学生が来ることだ。俺は今20で彼は22。こちらが教える側だがあちらのほうが年上。本当にやりにくいだろう。伊能忠敬に測量を教えた人になった気分だ。


彼が功績を残す残さないにかかわらずだ。こちらは立場は上だが堂々威張れるわけでもない・・・考えるだけで気分が重い。


朝霜 「学校のやつか?」


さすがに気が付かれた


加藤 「ああ」


朝霜 「司令は大丈夫さ。」


励ましてくれる朝霜がありがたいが、不安は消えない・・・ここで悩んでもあっちは来るんだし、とりあえず今日は頑張るか。


加藤 「哨戒は阿武隈・・・・、霞、朝霜にする」


霞  「わたしたち?」


加藤 「しばらくまともにやっていないから万が一強敵が出て来た時に」


朝霜 「ソナーと主砲でいいか?」


加藤 「一応、誰かは魚雷を持って行って」


淡々と仕事をこなし、とうとう6日だ。昨日、田中さんから連絡があり、今日の9:00には着くらしい。あと1時間・・・


霞  「もっとリラックスしなさい」


霞に肩を叩かれる。深呼吸する。多少はマシになった。


加藤 「一応外に出ておくか」


さてどんな奴だ?主席らしいが、訓練艦の大鳳がどのぐらいか、どんな作戦を組むのか、楽しみだ。


期待と不安がグルグルのめぐる。交ざるが混ざらない奇妙な感覚だ


朝霜 「あれじゃないか?」


それらしい人影を見つけたらしい


身長は180cm以上、体格もがっちりしている。


加藤 「こんにちは」


彼らに向かい、敬礼をする。


学生 「3カ月お世話になります、高橋誠一(たかはしせいいち)と申します」


大鳳 「佐藤の訓練艦の装甲空母大鳳です。」


やはり違和感しかない。2つ上ってことは中学1年の時に、3年の先輩を教えるのだから・・・


霞  「執務室に行きましょう」


加藤 「では、案内します。」


高橋 「はい、失礼します」



加藤 「では、いくつか質問を」


目の前には学生と艦娘。隣には朝霜がいる。


霞  「どうぞ」


お茶を持ってきて、二人の前に出した。


加藤 「えーっと、東京海軍学校大学部4年の高橋誠一さんとその訓練艦の大鳳さん」


高橋 「はい、”さん”なんて付けなくて結構ですので」


そういわれてものな・・・


加藤 「自衛隊の時からあの学校にはいたんですか?」


高橋 「はい、入学後すぐに軍に変わってしまったんですけど」


そうか、たった1月の自衛隊の学校での勉強だったのか


加藤 「学校が軍になった時に辞める選択肢は?」


高橋 「もとから、人を助けたいと思っていたので辞める気はありませんでした」


救急ではないのは災害とかでの救助だろう。


加藤 「なぜ訓練艦は大鳳に」


高橋 「空母の戦闘を学ぶ上で興味を持ったからです」


これは面白い・・・空母での戦闘か・・・


加藤 「他にも空母はいたのでしょうがなぜ彼女に?」


高橋 「あ、・・え・・」


何か隠しているな、人がテンパっている所は見てて気分がいいな。・・いつの間にかに性格変わったな俺


高橋 「・・・かっこいいと思って」


加藤 「え?」


高橋 「彼女を初めて見たときかっこいいと思い訓練艦にしました」


加藤 「一目ぼれと」


高橋 「・・まぁ、はい」


加藤 「彼女の訓練はどうしました?」


高橋 「的での攻撃訓練や、同輩の訓練艦との演習で」


ほとんどが海上か・・・だと、普段は見ているだけか・・・


加藤 「あなたがここで学びたいことは?」


高橋 「作戦の立て方や、指揮を見てみたいと」


そっち系ね


加藤 「なぜうちを?」


高橋 「ちょっと他の方は誰か存じ上げていなかったのですが、貴官だけは顔も名前も知っていたので」


もうあれ、3年近く前だけどよく覚えているね


加藤 「ありがとうございます、では大鳳さん」


大鳳 「はい」


加藤 「あなたは学校で訓練をしていましたか?」


大鳳 「同じ訓練艦のみんなとの演習や、的への射撃訓練です」


まぁ、普通はそうか


加藤 「あなたは、あの学校の空母の中では実力はどのぐらいですか?」


大鳳 「え、・・何番だろう」


加藤 「別にいくつでもそれであーだこーだ言うわけでもないので」


大鳳 「一番だと」


加藤 「なるほど、ありがとうございました」


大体聞きたいこと聞いたし


加藤 「二人は?」


霞  「ないわ」


朝霜 「同じく」


加藤 「お二方は?」


高橋は何か言いたいようだ


加藤 「どうしました?」


高橋 「なぜ、秘書艦が二人もいるのかと」


あ、そういえば秘書艦二人って珍しいのか


加藤 「二人とも初めの時からいて、しばらくここで過ごしていたら自然と」


何か自然とそうなった。誰に決められたわけでなく


加藤 「では、少し大鳳さんの実力を見たいのでうちの空母と演習してもらいますか」


大鳳 「演習ですか?」


加藤 「うちには赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴がいるので、誰でも好きな奴を」


大鳳 「では・・・瑞鶴さんで」


なんとなくそんな気がしていた


加藤 「そうですか、俺は瑞鶴を呼んで来ますので、お二方は彼女らが案内します」


加藤 「じゃ、よろしく」


霞  「こっちです」


弓道場へ向かう。数名居るようだ


加藤 「瑞鶴ぅーー」


瑞鶴 「どうしたの提督さん?」


加藤 「大鳳と”さし”を頼む」


瑞鶴 「分かったわ、行ってきます」


出撃港へ走り出す


加藤 「ボコボコでいいよ」


瑞鶴 「えぐいこと言うね」



加藤 「お待たせしました」


もうすでに大鳳は艤装を着けて海に立っていた。まもなく瑞鶴もこっちに来た。


加藤 「ルールはお互い第1,2スロットに烈風、第3スロットに流星、第4スロットに彗星を搭載し、演習。轟沈判定したら負けで」


二人はすこし離れ、向かい合って立っている。


加藤 「では、始め!」


お互いの艦載機が飛び出す。空を埋め尽くす。


しばらく艦載機の動きを見る。


加藤 「全然だな」


霞  「そうね」


朝霜 「ああ」


大鳳自体動きは悪くないがどうも単純だ


高橋 「すごい・・・」


間もなく、大鳳の動きを理解したのか瑞鶴は大鳳の艦載機を枯らし、魚雷を投下。


難なく命中し大鳳はワンパンされた


加藤 「お帰り、戻っておいで」


機関部は狙っていないらしく、大鳳は自分で帰って来た。


大鳳 「完敗です・・・」


バケツを掛けて、ダメージを修復する。


加藤 「負けた原因は?」


大鳳 「動きが違いました。旋回も狙撃も瑞鶴さんのほうが上手です。」


瑞鶴に聞こうとしたが長くなりそうなのでやめる。


加藤 「あなたは見ていてどうでした?」


高橋 「大鳳のばかり撃ち落されていたのは分かりますが速すぎて・・」


普通の人間はそうだ。


その後、要点だけを伝えた。回避がワンパターン、攻撃機、爆撃機をすぐ発艦させたので、相手の戦闘機の餌食になった。堅実に1機ずつ倒そうとしているが、集中しぎて、返り討ちに・・などなど


加藤 「こんなもんだよね」


瑞鶴 「うん」


高橋 「すごい」


加藤 「ここからがあなたの仕事です、これからこの問題を解決する方法は?」


高橋 「私が考えるのですか?」


加藤 「まぁ一人でなくても彼女と相談してもいいですし、無論我々も。メニュー自体はいくつかあるので何を改善するか決めた下さい」


悩んでいるようだ、訓練は一方的させていたのだろう。動きを見て、問題点を考えることはやっていないのだろう。


高橋 「艦載機の動きを改善すべきかと」


加藤 「ええ、それがいいと思いますよ」



高橋 「それは?」


加藤 「機銃ですが?」


瑞鶴に海上へ運んでもらう。


高橋 「なぜ貴官がそこに」


加藤 「俺がやるからです」


大鳳に戦闘機のみを発艦させ、10分で枯らせたら俺の勝ち。枯らせなかったら俺の負け。


すぐに始まる。旋回を工夫しているが単純だ。空母が来たばかりの頃が懐かしい。ものの5分で枯らした


大鳳 「え・・・」


もう見慣れて来た。


加藤 「どこぞの誰か以外はみんなこうだったな、そいつは飛行甲板で殴りにかかろうとしてきたから」


瑞鶴 「さ、さぁー誰だろうねー加賀さんかなぁー?」


今、冷静でいると自分自身がしようとしていたことが馬鹿みたいになのだろう。その後は、なんとか逃げ無事でした。


加藤 「これ、戻して」


瑞鶴 「はい」


陸に上がる。


高橋 「え・・・」


こちらも驚きを隠せないらしい。


加藤 「とりあえずは、一機で動きを極めてから増やしていく感じかな」


大鳳 「はい」


加藤 「さすがに詳しい動き方は教えられないから色んな空母に聞いてきな。多分、ほとんど弓道場にいるから」


瑞鶴 「着いてきな」


二人と別れた。


高橋 「よくあれを堕とせますね」


加藤 「結構やっていましたから」


高橋 「私はよく彼女の動きを見ていなかったようです。ただ、あれやれこれやれと言っていただけでした」


絶対これが卒業した奴が指揮上手くいかない原因だろう。


ただ上辺だけの知識は役立たない。初めは数も少ないからうまくいかないのだろう。自衛隊の時からの人らは、人数が多くどうにかなったのかもな


執務室に行き簡単な座学。


加藤 「提督の仕事は何だと思いますか?」


高橋 「作戦の指揮、遠征の計画。そして、訓練」


加藤 「まぁ訓練は状況によってですね。ただ、一番大切なことは彼女たちを理解することです」


高橋 「理解すること?」


加藤 「ええ、例えばこいつらは艦載機を飛ばせないとかそんな感じです。」


加藤 「各々の得意不得意を理解しないと、作戦もクソもありませんから。」


高橋 「はぁ、この二人の得意不得意は」


加藤 「二人とも駆逐艦なので砲撃は牽制程度しかありません。そこが大きな弱点ですね」


駆逐艦は火力がない。火力がある綾波や夕立でも戦艦や重巡とは比べ物にならない。


加藤 「しかし、駆逐艦は夜戦は得意です」


高い回避力で砲撃や雷撃を避け、暗殺者のように相手を沈める。


加藤 「他にも霞は魚雷の扱い方が上手いです。」


魚雷を流し進行方向を絞らせ、間合いを詰め、倒す。場合によっては、波状攻撃でどこに行っても魚雷に当たる、ということもある


加藤 「朝霜は電探の使い方が飛び抜けています」


自分の無い目のように扱い、全ての位置を正確に測る。


加藤 「回避力は二人とも半端ないです」


ここで二人しかいない頃にひたすらやった。


加藤 「こんな感じですかね」


高橋 「なるほど・・・理解ですか」


昼食を済ませ、しばらくすると。


白露 「いっちばーんに到着しましたよ!提督今日訓練の日・・って誰?」


時雨 「白露、前に提督が言っていたじゃないか。僕は時雨、よろしく」


村雨 「こんにちは、白露型3番艦の村雨です」


夕立 「夕立っぽい!」


春雨 「春雨とです」


五月雨「五月雨と申します」


高橋 「よろしくお願いいたします」


体育館へ向かう


加藤 「どうする全員か?」


時雨 「今日は勝よ」


白露 「張り切っていきましょう」


高橋 「何するのですか」


霞  「見ていなさい」


相変わらず容赦がない。たまに変化球投げて来るし。玉を拾おうとしたらやられるな、しっかりと連携も取れている。


高橋 「速い」


朝霜 「ほんとよく当たらないよな」


リスクはあるが右へ動く。夕立や時雨との距離が近くなるが春雨、五月雨との距離は遠くなる。よし!なんとか取れた。ボールが減って来た。


五月雨がボールを持っていない。手に持つ前に投げる。なんとかヒット。


五月雨「やられちゃいました」


攻撃の波が少し収まる。移動読みをされて危うく当たりそうだったが、足を踏みとどめる


高橋 「何なんですか」


霞  「全員の動きを見て、いつどこに投げて来るかしっかり見ているのよ」


止まるのを予想していたか、3球か・・すぐ避け反撃する。あそこは1球で十分だったが熱が入ってしまったのだろう。


村雨 「ん、もう」


春雨 「避けられますん」


あと3人


あっちも隙が無い。


ボールを両手に持つ。誰だ・・・時雨か。1球を投げた直後、右に上体が動く。そこをすかさず残った1球を投げる


時雨 「さすがだね」


ここまでくればかなり楽だ。


フェイントを掛けると、一瞬体が傾く


白露 「またこれだよ~」


毎回、引っ掛かるなあいつ


夕立 「負けないっぽい」


あいつマジになるとほんと怖い


なかなか起点を作れない。


夕立 「突撃するっぽい」


突っ込んで一撃必殺を仕掛けて来る。どのタイミングでくるか。重心が後ろになる。


夕立 「ぽい!」


なんとか避けた。彼女の手にはボールがない。こっちが攻撃だ。最大のチャンスだ。間合いを詰める。夕立が横に移動しようとする。足が開く。ここでは何もできない。


腰を目掛けて投げる。


加藤 「疲れたー」


寝っ転がる。上に夕立が乗って来た。


夕立 「あと少しだったぽい」


あの時は、投げるタイミングを見えていなかったら分からなかっただろう。


高橋 「お疲れ様です」


なんかもう一人乗って来た。


時雨 「提督の身体能力どうなっているのさ」


あ、この二人ね少し意見交換し、二人にはどいてもらった。


高橋 「すごいですね」


加藤 「人の動きを見るのが重要ですね」


全体を見ることなどを伝えた


加藤 「五月雨、よろしく」


五月雨「お任せください」


加藤 「ひたすら避けてみてください」


高橋 「はい」


しばらく様子を見る。初めはほとんど当たっていたが、コツをつかんだのか何度か避けられるようになっていた


加藤 「お疲れ様です。五月雨もありがとう」


五月雨「いえ」


高橋 「すごいですね」


加藤 「どのタイミングで相手が攻撃してくるかを自分で理解しないと相手には教えられないですからね」


高橋 「なるほど」


執務室に行き書類をこなす。


高橋 「手伝います」


加藤 「これは誰でも出来るし、すぐ終わるのでここを巡ってみては」


高橋 「はい、では失礼します」


高橋は執務室から出て行った。


霞  「おつかれ」


加藤 「どうしよう、めっちゃ疲れる」


朝霜 「司令、やるにくそうだな」


加藤 「ああ、まぁ頑張るさ」



高橋 「ただいま戻りました」


加藤 「今後のことについてお話ししたいのですが」


高橋 「はい」


彼が行いたいことを考え、俺たちがアドバイスをする体制とした。


加藤 「今日は以上ですかね。部屋でごゆっくりしていてください」


高橋 「はい。ありがとうございました」


大鳳も瑞鶴たちに教わっていたらしい


加藤 「もしもし」


田中 「もしもし、俺だ」


加藤 「彼ですか?」


田中 「ああ、どうだい?」


加藤 「学生としては優秀そうです」


田中 「その引っ掛かった言い方について聞かせてくれ」


彼は知識はあるが実戦の経験がないと伝える


田中 「なるほど、艦娘に完全に任せるのはよくないと」


加藤 「はい、ある程度の練度があるなら別ですけど。しっかりといい所も悪い所も見れるようにするべきかと」


田中 「そうかい・・・ありがとう」



加藤 「飯食いに行くか」


食堂から声が聞こえる


飛龍 「へぇそうなんだ」


高橋 「はい。」


蒼龍 「いいねー」


二航戦・・・何、逆ナンまがいのことしているんだよ


加藤 「お前ら何してんだよ」


飛龍 「あ!提督!いいね彼、イケメンだし頭いいし」


蒼龍 「お酒も飲めるし」


俺への当てつけすか蒼龍さんよ・・・


赤城 「よく食べますね、大鳳さん」


大鳳 「赤城さんほどは」


大鳳、めっちゃ食うな。空母だし予想はできていたけど。


その後、牛丼を食べて、帰った。


加藤 「風呂、入るわちょっとゆっくりしよう・・・」


相変わらず、二人も付いて来た。もう気にもしない。どうせこっそり行ってもバレるし。


加藤 「ふぅー疲れたー」


朝霜 「年上の人を教えるのってストレス溜まるのか」


加藤 「ああ、やりにくいし、相手もこっちに気を掛けてるしでな」


霞  「年上に抵抗するのは得意なのにね」


加藤 「あそこまで離れると話は別だな」


風呂の縁に頭を乗せる。これがあと三か月か・・・


朝霜 「ん?空母か?」


飛龍 「提督ー来たよー」


蒼龍 「あっち混んでるから」


脱衣室の方から聞こえる。確かにこの時間はみんな入るからな。


あれ?足音がもう一つ


加藤 「もう一人は?」


大鳳 「・・・」


加藤 「は?」


初日でいきなりこっちなの お前らちゃんと説明した?


飛龍 「連れ付来ちゃった!」


ふざけんな


大鳳 「え、あの誰もいないからって」


あいつら・・・明日、死ぬほどボコボコにする


蒼龍 「まぁもう脱いじゃったしね?提督もいいよね」


加藤 「お前ら、明日覚悟してろよ、どうなってもいいんだろうから」


飛龍 「あ・・・」


蒼龍 「さよなら、この世・・・」


結局、大鳳はそのまま入って来た。あっちに行けばいいものを


大鳳 「あの・・・」


加藤 「ん?」


大鳳 「提督さんは恥ずかしくないんですか?」


飛龍 「違うよ、提督の趣味!」


蒼龍 「そうそう」


加藤 「お ま え ら」


二航戦「すみません。私たちが好きで入っています」


加藤 「もう慣れたし。悪い方向に」


大鳳 「はぁ」


加藤 「ん?一航戦か?」


扉が開く。そこには、彼の姿が


高橋 「え?」


一同 「え?」



彼は、脱衣室にダッシュで戻る。


しばらくし、落ち着いた


飛龍 「びっくりした」


加藤 「今回は10割我々が悪い」


脱衣室に向かう。


大鳳 「え?何あれ・・」


飛龍 「ああ、」


脱衣室にはまだ彼がいた


加藤 「申し訳ないです。うちのあほが」


高橋 「いつもあんな感じですか?」


加藤 「空母はたまに混んでいるときは来ます」


高橋 「では、二人は」


加藤 「ちょっとしたことでそれ以来一緒に」


高橋 「はぁ」


加藤 「申し訳ないですが一旦外に」


高橋 「はい」


加藤 「お前ら上がれ!」


飛龍 「えー」


加藤 「お前らなにをしたか覚えているのか?」


全員、湯船から上がる。服に着替え、出て行った。


加藤 「お待たせしました」


高橋 「はい、貴官は?」


加藤 「もうしばらく入っています」


彼も湯船に入って来た。


高橋 「貴官はなぜ海軍に」


加藤 「他になかったからですね」


高橋 「と言いますと?」


加藤 「いや、骨でさえも残っていたらラッキーっていう所から生き残ったのですが」


加藤 「家族が保険に入っていてもその会社も資料と共になくなり生命保険は降りませんでした。」


高橋 「ええ」


加藤 「一文無しでどうするかって途方に暮れていました」


加藤 「そこで高等部に来ないかって誘われてそのまま軍に入った。」


加藤 「実際、深海については知りたかったしちょうどいいななと」


高橋 「それはいつの時ですか?」


体に熱が溜まって来る。そんなものは気にならなかった


加藤 「あれから1月後ですかね」


高橋 「え・・・」


加藤 「あの時は生きることが最優先でしたから」


高橋 「貴官は悲しくなかったのですか?」


加藤 「どういうことですか?」


高橋 「どうも、前向きといいますか・・そんな感じがします。家族を失った者の心情には見えないと」


加藤 「悲しかったけれど、割り切ったのです」


高橋 「割り切った?」


加藤 「ええ、どんなに泣き喚いたってあそこが元に戻るはずもなく、俺の大切な人は生き返らない。どうしようもないことを嘆いても仕方がないと割り切ったんです」


高橋 「・・・」


高橋 「強いのですね」


加藤 「ん?」


高橋 「辛いことが合っても一人で乗り越えるなんて貴官は強いと」


加藤 「いや、俺はまだあの時のことなんか乗り越えていないですよ」


加藤 「今でも家族が生きていれば・・って思いますし」


加藤 「あと、俺は一人だったらこんな人生ではないと思います」


加藤 「あそこから助けてくれた自衛官にはあの学校を進めてくれましたし。秘書艦の二人にも何度も助けられましたし」


高橋 「そうですか」


そろそろのぼせそうだ


加藤 「では、俺はこれで」


高橋 「はい・・・え?」


加藤 「これですか?」


背中を指す


高橋 「はい」


加藤 「生き残った代償ですね。あとあのことを忘れないための印ですね」


そのまま脱衣室に向かう。


加藤 「ただいまー」


霞  「お帰り長かったわね」


加藤 「ちょっと話をな」


朝霜 「あの時はびびったな」


加藤 「これを機に女湯に行ってください」


霞  「とりあえず彼がいる間はね」


絶対直す気ないな・・・


布団に向かう。


加藤 「ちょっと来て」


久しぶりに昔の話をして、無性に人肌を感じたくなったのだろう。


二人が布団に入って来てくれた。すぐ隣で横になる


加藤 「ありがとう」


霞  「いつもわがまま言っているからね」


加藤 「自覚しているのなら直してほしいです」


朝霜 「それは無理な注文さ」



加藤 「レ級が出たって」


彼らが来て1カ月。大鳳も形になって来た。


霞  「あそこ?」


加藤 「ああ、レ級2の南方戦棲姫とツ級と駆逐艦」


朝霜 「今回は回復早いな」


前は2カ月前に別の所が倒している。普段は4カ月ぐらい回復にかかるのだが(撃破された深海棲艦は艦娘になるか回復し戦線復帰するか)


加藤 「今回も空母4の雷巡2かな」


高橋 「私が指揮をしてもよろしいですか」


加藤 「ええ、問題ないですが非常時は交代しますよ」


高橋 「はい。では旗艦 加賀 赤城 瑞鶴 翔鶴 大井 利根で」


加藤 「なるほど」


すぐに放送を流し、メンバーが集まる


大井 「今回は彼なのですか?」


加藤 「ああ、非常時には変わるさ」


高橋 「では説明します。」


利根は制空補助。五航戦は装甲空母化。一航戦は夜間空母化している。空母4隻だと夜間はそうでもしないと手数で負けるからな


加賀 「了解です」



高橋 「様子はどうでしょうか」


加賀 「聞きすぎよ落ち着きなさい」


高橋 「はい」


最初の指揮が強敵とは・・度胸あるな


潜水艦は雷撃を避けつつ逃げたらしい。


赤城 「敵空母群と接敵します」


多少のダメージを負ったものの無事撃破。ただ、あそこの海域はもっと厳しい。


加賀 「レ級がいるわね」


やはり、主力艦隊ではないレ級の編成だ。どんだけあそこにレ級がいるんだ?周りはジャングルしかないから問題ないのだが


利根が小破したが無事撃破。


加賀 「これより主力艦隊との接敵を開始します」


高橋 「頑張ってください」


開幕攻撃でツ級と駆逐艦は撃破。しかし、レ級の雷撃で翔鶴が中破。飛行甲板は無事らしいので戦闘にそのまま参加。昼戦で主力艦隊を撃破。


加藤 「お疲れ様です」


高橋 「さすがです貴官の艦娘は」



瑞鶴 「・・あれなに?」


加藤 「ん?どうした?」


瑞鶴 「なに・・これ」


赤城 「艦娘であるのは確かなんですけど・・」


黒でも見つけた。あれは確かに艦娘だ


利根 「どう見ても捨てられているようじゃ」


加藤 「そいつを回収し帰って来て」


大井 「了解」


黒もマツダも情報がない・・・場所が離れていたからさっき撃破した奴ではない。ただ、捨て艦にしては近くに主力艦隊もいいない。


高橋 「提督!」


加藤 「申し訳ない、ちょっと考え事を」


加藤 「どうした?」


加賀 「彼女、逃亡しているようです」


見た感じ外傷はない。だとすると、外部へ報告するためか?


加賀 「おそらくですが、こちらの言っていることが聞こえないみたいです」


加藤 「了解、そいつを連れて帰ってきてくれ」


加賀 「はい」


頭を巡らせる。耳が聞こえない原因は、外的要因、病気、あと遺伝子疾患か・・・今回の件でないとは限らないが艦娘の遺伝子疾患は確認されていない。となると外的要因か病気か。


病気の場合だったらわざわざ逃げる必要もないしな。


ただ、外的要因だと・・そうか、かなり前に暴力を受けた・・だとしたらなぜ今更?


しばらくし帰って来た。


赤城 「戻りました」


加藤 「入渠しておいで」


加賀 「彼女です」


白い服に何といえない髪色。顔は外国人のようだ。


加藤 「お前らの記憶には?」


みんな知らないようだ。


紙に手を取り、ペンで書く


「Who are you?」


それを渡し、彼女は書き始める


「I'm USS aircraft carrier Saratoga」


Saratoga・・・ああ、ビキニ環礁のか。たしか第二次ソロモンで


加藤 「ちょっと龍驤呼んできて!」


その間に彼女と筆談した。


彼女は装甲空母で、C鎮守府で建造された。


改二(mk.2)に改装されてた直後、事故で耳が聴こえなくなったらしい。


その後、出撃したが燃料がなくなる。他は曳航できる大型艦が居なく、通信でC提督が彼女の迎えは今向かわせているからと伝え、駆逐艦4隻、軽巡洋艦1隻をか帰らせた。しばらく待っても、誰も来ない。流されてあそこまで来た。加賀たちが見つけたのはあれから4日後らしい


加藤 「轟沈記録は」


PCを起動する。上を脅・・・頼み、もらった。


えっとC鎮守府・・・これか


加藤 「沈んでる」


霞  「どういうこと?」


加藤 「彼女、沈んだことになっている。」


燃料がないこととこのことを鑑みると・・・彼女は捨てられたと考えられる。


龍驤 「司令官どうした?ってなんやこのべっぴんさん」


加藤 「来たか」


龍驤 「あんたサラトガやないか」


加藤 「やはり」


龍驤 「ああ、うちを沈めたんやからな」


加藤 「すまんな辛いこと」


龍驤 「気にすんなって」


彼女が本当にサラトガだと分かった。


怒りが湧いて来る。ふざけるなよ。本人に何も言わず不要だから捨てると・・・


龍驤 「司令官、怒っているん?」


加藤 「イヤ、ゼンゼン」


龍驤 「もろで怒っているやん」


加藤 「チョットイッテクル」


窓を開ける。


高橋 「ここ3階ですよ!」


霞  「どいて」


朝霜 「いったろ!」


出撃港に着く


霞  「行くわよ」


加藤 「頼む」


朝霜 「行くか」


しばらくはスキーに乗る


加藤 「もういいぞ」


うちの索敵範囲を出る。スキーを降り、海に立つ。足裏を黒に支えられている。


加藤 「じゃ行くぞ」


朝霜 「それなんでもできるな」



C鎮守府に着く。


加藤 「さて、どうするか」


朝霜 「強行突破か」


加藤 「処理すんのが面倒だからな」


霞  「執務室はどこ」


加藤 「3階の右から4つ目」


加藤 「魚雷かせ」


魚雷を一本投げる。爆発音とともに注目がそっちへ向かう


加藤 「行くぞ」


二人を持ち上げ執務室に投げる。


ダッシュし、目的の場所へ向かう。


窓を割り突入。


C提督 「誰だお前」


加藤 「サラトガ」


C提督 「なんだ」


加藤 「難聴のサラトガをご存じで?」


C提督 「ああ、つい最近沈んでしまった。」


加藤 「本当は?」


C提督 「どういうことだ?」


加藤 「うちで彼女を見つけたのですが、海流から計算しても燃料が足りなくなることはないですよ」


C提督 「補給し忘れたんじゃないか」


加藤 「それもそれであれだけどなただ、彼女から・・・そこにいた軽巡から通信来ていますよね」


C提督 「グラーフ」


グラフ「動くなよ、頭を抜かれたくなければ。お前らもだ」


霞  「くっ・・・」


朝霜 「まずいな・・・」


加藤 「そんなんで抜ければの話だけど」


グラフ「だまれ!」


加藤 「で、あなたが捨てたことを誰が知っているんですか?」


C提督 「いい冥途の土産に教えよう。」


C提督 「俺とこいつだ」


加藤 「そうか」


グラフ「じゃぁな」


まだ引き金は引いていない。音が聞こえた瞬間。しゃがむ。銃弾が頭の上を飛ぶ。俺は前の男を、二人は、空母を攻撃。


無事二人とも気絶。憲兵隊に電話した。


C提督 「ふふ」


加藤 「どうした」


C提督 「いらな奴を捨てて何が悪い」


加藤 「別にお前がどう考えているのか興味ないしな。ただ、彼女はお前のくだらない主張の犠牲になる必要はないだろ。」


加藤 「このまま野放しする気はないし。ムショもシャバも空気は冷たいだろうな」


C提督 「・・・」



加藤 「帰るか」


霞  「そうね」



加藤 「ただいまー」


高橋 「おかえりなさい。後ろのは」


加藤 「自己紹介よろしく」


プリン「重巡プリンツオイゲンです。よろしく」


加藤 「サラトガの鎮守府から付いて来たプリンツ」


サラ 「・・・」


プリン「よかった、サラトガさん。生きていて」


死んだとされた仲間が生きていたのだ。うれしいはずだ


加藤 「また変なのが増えた。」


まだ問題は山ほどある。彼女は耳が聴こえないとなると艦隊行動は厳しいな。


加藤 「ちょっと着いて来て」


サラトガの目の前にそう書いた紙を見せる


加藤 「病院に行くよ」


プリン「なぜ、病院に」


加藤 「どこがダメで聴こえないかを調べてもらう」


プリン「私も付いていくわ」


加藤 「よし!じゃぁ来い!」



医師 「外耳、鼓膜が傷ついていますね」


プリン「治るのですか?」


医師 「艦娘の体はよくわかりませんが、人間の場合は無理だと・・」


加藤 「内耳は?」


医師 「問題ないです」


加藤 「ありがとうございました。失礼します」



加藤 「明石ー」


明石 「どうしました?」


加藤 「できた?」


明石 「おそらくは」


明石 「はい、サラさん」


サラ 「??」


明石 「着きましたねでは、起動します。」


サラ 「!?」


プリン「どうしました?」


サラ 「」


サラトガが涙を流し、崩れ落ちた


加藤 「これ、骨伝導」


プリン「骨デンドー?」


加藤 「ああ、骨で振動を伝えて聞こえるようにする。多少、音が変わるけど」


プリン「え!サラトガさん、オイゲンの声聞こえます?」


サラ 「ええ」


プリン「よかった」


明石 「良かったですね、内耳が無事で」


加藤 「ああ、あと戦闘でも動かないように改良をよろしく」


明石 「お任せを!」


加藤 「サラトガ、聞こえるか」


サラ 「はい」


加藤 「徐々にそれに慣れさせていく。問題ないか?」


サラ 「大丈夫です。Thanks!」


加藤 「二人の部屋もあるからそこに荷物を」


プリン「はい!」


二人はそのまま部屋へ向かった。


加藤 「ただいまー」


霞  「お帰りどうだった」


加藤 「骨伝導でどうにかなった」


朝霜 「おお!よかったな!」


高橋 「少しお話よろしいですか?」


加藤 「はい」


誰もいないような場所に連れてかれた。


高橋 「質問よろしいですか?」


加藤 「ええ」


高橋 「艦娘のためにあそこまで一生懸命なんですか?」


加藤 「??」


高橋 「貴官が艦娘を保護のための法律を作るためご尽力されていたことも知っています」


高橋 「私は一部の教官には艦娘は兵器だと言っていました。使い捨てられると」


高橋 「ほかの提督を知らないのですが、貴官は艦娘のことをしっかり見て、艦娘に気を掛けています。なぜですか?」


加藤 「・・んーー」


加藤 「理由は2つですかね」


加藤 「1つは、彼女らを尊敬しているからです。」


加藤 「俺は、見ず知らずの人に命をかけて戦う気にはならないですが、彼女らは場合によっては命を顧みず、人々の安泰のために戦っています。その姿を尊敬しています」


加藤 「もう1つは、後悔ですかね」


高橋 「後悔?」


加藤 「ええ、家族に優しくできなかったのが今でも心残りで。罪滅ぼしみたいなものですが今、彼女らに優しくしようと」


高橋 「そうなんですね」


加藤 「ええ、あなたがどう考えても構いませんが艦娘に手を上げる場合は許さないからな」


高橋 「分かりましたわざわざすみません」



しばらく経ち、サラトガを骨伝導に慣れ、大鳳たちと訓練をする。プリンツもここに馴染んでいる。


加藤 「旅行!?」


高橋 「ええ、私がここにいるので」


加藤 「まぁ、それはいいのですが。」


高橋 「私もここにいるの時間がもう少ないのでお礼を、と思いまして」


冬の厳しさも去ろうとしている。あと2週間で彼も提督になるのか。そろそろ黒潮からの暖かい風が吹いてきそうだ。


彼も問題はないが、さすがに研修中に教師的立場の俺がいないのは・・・


鳳翔 「行かれてはどうでしょうか」


加藤 「んぉっ!鳳翔!珍しい」


基本的に弓道場か食堂かでしか会ったことがない


鳳翔 「ちょっと移動中に聞こえて来たので。」


鳳翔 「無理な出撃が無い限りはあの子たちなら問題ないですし」


加藤 「そうだけど・・・」


鳳翔 「たまには、ごゆっくりしてほしいんですよ?」


加藤 「結構、ゆっくりしているんだけど・・・」


鳳翔 「もう!行きなさい!」


怖い!鳳翔たまに怖い時あるんだよな


加藤 「はい!非常時はすぐに連絡して」


鳳翔 「今日は出撃しないのでしょう?」


加藤 「ああ、ではよろしくお願いいたします。」


高橋 「あの・・・」


何か言いたげだ


加藤 「どうしました?」


高橋 「2泊3日です」


加藤 「え?」


高橋 「2泊3日で宿を取っています。」


え?ていうか宿?君、学生だよね?


加藤 「どこですか?」


高橋 「沖縄です」


ちょっと宿も見てみた。結構高いなこれ


加藤 「本当に予約したんですか?」


高橋 「はい」


そこそこの値段するよね。さすがに俺みたいに持ち金がないからバイトとかってできないだろうし


加藤 「かなり掛ったよね」


高橋 「ええ、でも親に少し借金して」


元の貯金と親に借金って・・・行きずらい


加藤 「失礼ですがいくらですか?」


高橋 「ご、5万です」


加藤 「本当に?」


高橋 「8万です」


加藤 「はい、さすがに学生におごられるのは、いやだから」


高橋 「でも」


加藤 「機会を作ってくれてありがとうございます」


鳳翔 「ふふ、提督も嬉しいので」


高橋 「そうですか」


加藤 「で、飛行機ですか?」


高橋 「はい、タクシーもあるので」


準備いいな!


加藤 「ありがとうございます。準備するぞ」


朝霜 「ありがとな」


霞  「ありがとう」


さっさと荷物をまとめた。必要そうなのは全部


加藤 「本当にありがとうございます」


鳳翔 「行ってらっしゃいませ」


高橋 「楽しんで行ってください」


車に乗る。


運転手「松山空港までだっけ」


加藤 「ええ、お願いします」


出発する


鳳翔 「行きましたね」


高橋 「はい」


高橋は万札をビリビリに破く。


鳳翔 「どうしました?」


高橋 「これで旅費を払いたい私と自分で払いたい提督殿の望みがどっちも叶いました」


鳳翔 「ふふ、そうですね」


これ黒で見ているの申し訳ないな。けど、面白い人間になったな


霞  「なに笑ってんの?」


加藤 「秘密ー」


朝霜 「ちぇー」


運転手「お疲れ様。もうもらっているんで行っていいよ」


加藤 「ありがとうございました」


空港に着く。チケットは10:30発那覇行きか。


加藤 「こっちだな」


空の旅は2時間らしい。昼食はあっちかな


飛行機が見える。白い機体が光を反射させる。


朝霜 「おぉでかいな!」


加藤 「えっとこれだな」


ゲートが開く。それなりの客と共に席に着く。よかったビジネスクラスで。ファーストだったら心臓止まってた。


しばらくし、アナウンスが聞こえる。


朝霜 「そろそろだって」


霞  「そうね」


飛行機が動き出した。スピードが上がり、耳に違和感が、気圧が変わったのだろう


霞  「痛いわね」


加藤 「すぐ治るよ」


しばらくすると機体が安定し、耳が慣れる。


加藤 「すぐ着くんだけどな」


ゆっくりとしていたら、高度が下がっていく。再びあの感触に襲われる。


朝霜 「そろそろか?」


霞  「そうみたいね」


間もなく、着陸して感覚を感じる。


しばらく動き、そして止まった。


加藤 「ついたな」


霞  「まさかあっさり沖縄に着くとはね」


朝霜 「確かに」


飛行機を降りる。もうすでに温かい。さすが沖縄、長袖いらないか?


降りる手続きも済ませ、荷物を持ち、空港を出る。


朝霜 「あったけぇな」


もう夏のような気温だ。まさしく亜熱帯だ。


食事を済ませ、ホテルにチェックインをした。


加藤 「さて、どこへ行こうか」


さんさんと輝く太陽の元、三人の濃い影地面に映る。


朝霜 「とりあえずあそこだな」


沖縄本島の南の端。沖縄戦で命を落とした者の慰霊碑がある。何十万人もの犠牲者の名前が載っていた。


手を合わせ冥福を祈る。彼女らには思い入れが大きいのだろう。沖縄を守るため向かうも、散っていった。


何を思って手を合わせているかは知らないが、罪悪感や後悔を思っているようには見えなかった。


そのまま、公園を歩く。騒ぐ子供たち、それを見守る親、ウォーキングをする夫婦、木や空を眺める老人・・・幸せそうな顔だ。もう二度とあいつらをこの土を踏ませない。


霞  「頑張りましょう」


朝霜 「やるだけやるさ」


加藤 「そうだな」


しばらく、公園の緑と海の青を眺めていた。


老人 「もしもし」


しわだらけの老人が話しかけていた。手の皮は肉に余り、腰は曲がりかけている


加藤 「どうしました?」


老人 「見ない顔でして、隣よろしいですか?」


震える足がベンチに近づく。体重をベンチに預けると震えは止まった。


老人 「どちらから?」


加藤 「高知からです」


その後しばらく老人と話していた。


老人 「年寄りの暇つぶしどうも」


加藤 「いえ、我々も楽しかったので」


立ち上がろうとする老人を支える。


老人 「では、ご武運を」


しわだらけの手を顔に近づけた。気が付いていたか


加藤 「ありがとうございます」


老人はゆっくりと去っていった。


霞  「バレていたのね」


朝霜 「面白い爺さんだったな」


気が付かれた日が海に沈もうとしている。どこも海なのだが。


ホテルへ向かう。


和室のいい部屋だ。どうやら、夕食が来るらしい。あいつ、どんだけ高いの頼んだんだよ


宿員 「お夕食を持ってまいりました」


加藤 「ありがとうございます」


ここの近くで獲れた魚の刺身らしい


朝霜 「おぉ!いつものよりうまそうだな」


どこかの空母が質より量だからな


霞  「おいしいわ!」


とてもうまい、醤油との相性や、舌の感触、いつも食べているものの完全上位互換だ。値段も


宿員 「では、しばらくしましたらまた参ります」


食事を楽しんだ。


加藤 「おいしかったな」


朝霜 「毎日食いてよ」


霞  「おいしかったー」


宿のスタッフが食器を下げに来た。


霞  「ここのお風呂ってどんなのだろう?」


朝霜 「こっちだな」


確か、ヒノキ風呂らしい。


霞  「あなた来て!露天風呂よ!」


霞がハイテンションだ、酒は飲んでいないが


加藤 「おぉ」


那覇の夜景と奥に首里城(燃えてない)そして海が広がっている


朝霜 「はいろうぜ!」


露天といっても寒さを感じられない。ヒノキの匂いや、お湯の暖かさが体に染みる。


少し狭い気もするが気にはならない


霞  「一緒は久しぶりね」


加藤 「そうだね、」


朝霜 「まぁもうすぐ、戻るんだけどな」


あ、やっぱりそうなのね、一人でゆっくり入れると思ったのに・・・


霞が縁に腕を乗せ外を眺める。


霞  「綺麗だね、沖縄」


夜景は他も見れるが、ここは、また別だ。高いビルもない、生活感もあり、親しみやすい夜景だ


朝霜 「いいとこだな、沖縄」


加藤 「ああ」


しばらく、景色を楽しみながら風呂に入っていた。


加藤 「髪、乾かせよ」


霞  「あったかいから大丈夫よ」


朝霜 「ちょっとやそっとじゃぁ風邪ひかないからな」


絶対フラグじゃん、絶対ホテルから出られなくなるじゃん


加藤 「はぁー来な」


朝霜 「あたいらの勝ちだな」


霞  「ふふ、ええ」


霞が膝に座って来た。濡れた髪がすぐそばだ


加藤 「近すぎる」


霞  「いいじゃない」


こちとらやりずらいんだよ。


不満を唱えつつも髪を乾かし終える


霞  「ありがとね」


笑顔しても、放免しませんよ。嬉しいのは分かったけど


朝霜 「次はあたいだ!」


もう一人いるのか・・・


丁寧にをさっさと乾かした。


朝霜 「ありがとな」


布団・・ベッドへ向かう。3つある。それぞれかなりの大きさだ


朝霜 「柔らかっ!」


ふかふかだ、よくこのホテル見つけたな


霞  「ほんと最高!」


霞さん、ずっと修学旅行の女子の典型的なテンションなんだけど。中身一緒だよね?


しばらく二人はベッドで遊んでいた。さすがに枕投げは辞めさせた。


加藤 「そろそろ寝るか。電気消すよ」


立ち上がりスイッチを切り戻ろうとすると、気配が、まじでこういう時の俊敏さは何なんだよ


加藤 「せっかくベッド3つあんのに・・・」


朝霜 「あれは遊び用」


加藤 「何だよそれ」


両側にやって来た。もうこの状態ではどうにもならないので諦めた。


いつもより遅くに起きた。ちょうど二人も起きたらしい。


霞  「おはよう」


半開きの目がこっちを見る。布団から出る。


加藤 「今日はどこ行こうか?」


朝霜 「海で遊びたい」


霞  「水族館行きたい」


確か、この時期には海開きしているはずだし。まだ、水族館は開いていないだろ


加藤 「飯食べて、海行って、午後、水族館行くか!」


朝食を済ませ、海水浴場へ向かう。


あんまり露出が多いとまずいので、半袖、長ズボンの水着を買ってきた。火傷はさておき、銃創は警察沙汰になりそうだからな。


霞  「お待たせ」


また変な水着を・・


朝霜 「お待たせ!」


こっちもか


霞  「結構、厚着ね」


加藤 「一応な」


朝霜 「こっち!」


無難だがバレーをしたり砂いじったりしていた。


昼は、近くに屋台的なのがあったのでそこで済ませた。そこで売っていたアイスを食べた。


水族館へ向かう。沖縄の水族館といったら美ら海だろう


メインの大水槽へ向かう。


加藤 「おぉ」


何度もテレビで見てきたが、圧巻だ。ジンベエザメが目の前を泳いでいく、世界最大の魚か・・・


霞  「見てこれ!かわいい!」


朝霜 「すげぇ」


二人とも魚に夢中だ。


この海にあいつらがいるのか。


その後も練り歩いた。お土産屋でみんなへのお菓子を買っていった。かなり大荷物だったので、郵送してもらうことに。


霞  「楽しかったわ」


加藤 「それはよかった。あとでお礼言っとかないとな」


朝霜 「そうだな」


ホテルに戻った。夕食を食べ風呂へ向かう。


何度、見ても飽きないような夜景だ


霞  「沖縄もここまでになるとわね」


朝霜 「ああ、ひどい有様とは聞いていたがな」


天一号と時の話か・・・


加藤 「あれ以来、災害こそあったけど日本は平和になったさ」


霞  「でも、続かなかった」


朝霜 「あそこが焼け野原になった」


加藤 「ああ、本土を攻撃されたのはな、あの戦争以来だな」


加藤 「あれはもう誰にも見させたくない」


朝霜 「がんばろうな」


霞  「ええ」


加藤 「これからもよろしく」


ここもあそこみたいだったのかな。何度か、ここの様子はテレビで見た。防空壕へ爆弾を投げ入れる米兵、決死で突撃する日本兵。道端に転がる死体。


あの時も似たような風景だった。しかし、懐かしさは一切ない。国や家族のためと散っていった先人を超えて、今、生きている。今、ここの綺麗な風景を楽しめる。今、愛する者と居られる。彼らの想いを絶対、守る。沖縄にこれてよかった。


霞  「おはよう」


久しぶりに起こされた。今日が最終日か。確かフライトが12:30だったな。布団をどかす。


さて、今日はどうするか・・・


朝霜 「赤いな」


霞  「ここにしかない模様よね」


加藤 「首里城はまた、独特な雰囲気があるよな」


琉球文化の結晶というべき場所だ。何とも言えない模様。朱色に金色に花の模様。


あそこで笠をかぶって踊っているな。首里城の模様と同じような衣装を着た女性方が踊っている。


朝霜 「これなんて言うんだっけ?」


霞  「琉球舞踊」


加藤 「確かな」


しばらく、踊りを見ていた。


加藤 「そろそろ空港行くか」


霞  「そうね」


空港へ向かう。今日はちょっと早めに昼を済ませた。


朝霜 「楽しかったな」


霞  「また行きたいわね」


その後、何事もなく松山に着いた。


加藤 「ここってこんな寒かったけ?」


霞  「完全に体が沖縄に慣れちゃったわね」


よく考えたら、あっちがあったかすぎたんだ。


ここにタクシーが・・・あれか


加藤 「お願いします」


運転手「宿毛へかい?」


加藤 「はい」


車に揺らされ見慣れた景色が見え始める。


運転手「到着っと」


加藤 「ありがとうございました」


勝手にドアが開き、懐かしい空気が入って来る。


誰かが門の前に立っている


高橋 「楽しめましたか」


加藤 「はい、ありがとうございます」


その後しばらく、思い出話をしていた。


桜がまた咲き始め、ここにも温かい風が吹いて来た


高橋 「お世話になりました。」


この二人は4月には千葉の鎮守府に着任するらしい。


加藤 「ごゆっくり向かってくださいね」


高橋 「はい、ありがとうございます」


加藤 「あ、おそらく、あっちに着いたら、ささやかですが、着任祝いを」


千葉に大鳳の艤装を運ぶ際、天山友永、彗星江草、烈風改二も送っておいた。


加藤 「あっちに着いた時のお楽しみってことで」


高橋 「ありがとうございます。みなさんご武運を!」


加藤 「あなたがたも」


敬礼をし二人は駅へ向かった。


霞  「行ったわね」


朝霜 「なんやかんやで楽しかったな」


二人の影が消えてもしばらく、そこに立っていた。


その後は、前のように執務をこなしていた。


加藤 「はぁ、結局ついてくんのか・・・」


霞  「いいじゃない」


朝霜 「こっちの方が広いんだしな!」


別にいいけどさ・・・


龍驤 「お!司令官したんか」


加藤 「珍しいな。ん?」


後ろの外人さんって


加藤 「なんでサラトガ来てんだよ!」


サラ 「龍驤が日本の混浴を教えてくれるって」


加藤 「お前分かっているよな?」


また変なこと教えやがって


龍驤 「なんでサラがうちらの喋って言ること分かるん?」


骨伝導機が壊れた時のため彼女に読唇術を教えておいてよかった。


加藤 「ここはれっきとした男湯でこいつらが勝手に入ってきている」


サラ 「でも龍驤は、提督の趣味って」


霞  「死んだわね」


朝霜 「そうだな」


加藤 「明日、機銃装備で戦艦と戦ってこい」


龍驤 「え・・」


加藤 「安心しな沈む前には助けるから」


安心できない顔してんな。誰だっけ機銃で戦艦倒したの・・・ああ、あの元戦艦s(一航戦)か


龍驤 「にしても司令官よくこの状態でもうちらに手を出さないよな」


加藤 「やる気が出ないからな、じゃ出るわ」


サラ 「え、提督、背中」


加藤 「ああ、あんときの」


海軍のほとんどは俺が何者かは知っている。彼女も俺が名乗ったとき気が付いていた


サラ 「こんなに・・」


加藤 「まぁもう痛くないんだけどね」


脱衣室へ向かった。


そのまま部屋に戻り寝た。



加藤 「離島さんが出て来たな」


霞  「最近、活動が激しいわね」


朝霜 「ここまで出て来るのはなかったな」


加藤 「砲台と集積地もいるらしいな」


陸上型も頻繁に出てきている。


加藤 「霧島、由良、熊野、満潮、綾波、浜風かな」


メンバーを呼び、作戦を伝えた。由良は水戦で熊野の水戦援護と甲標的で水上艦を狩り、霧島は火力でごり押し、綾波も同じく、満潮はカミ車、戦車隊、ロケランで陸上型対策、浜風は防空。


基地さんにも手伝ってもらう。あのメガネは火力は高いがカミ車とかにみっきり弱い。砲台は固いがロケランでどうにか、ゴスロリは地道に攻撃しないと厳しいな


霞  「今回は私の出番はないのね」


加藤 「基本ローテーションで」


由良 「提督さん、そろそろ前衛隊と接敵いたします。」


最初は水雷戦隊。大して脅威はない。その後空襲にも遭ったが全員回避。


霧島 「今度はなかなかなのがいますね」


戦艦2隻に軽空母。彼女らの水戦と対空砲火で空母はどうにかなっても戦艦がな・・


加藤 「今回の目的はゴスロリをぶっとばすことだから最悪、追われないようにやってくれ」


とは言ったが、浜風と由良が小破した以外損傷はなく、敵艦隊を全滅させた。


由良 「これより主力艦隊です」


加藤 「頼む」


基地さんで砲台と近くにいた水上艦は倒した。


満潮 「あのメガネは私がやるわ」


霧島 「私じゃないですよね!?」


なに冗談話してんだよ。


無事、集積地は撃破。残すはゴスロリと砲台。


由良 「すみません思いっきりやられちゃいました」


由良が中破。カミ車を出せなくなった。それ以外は問題ないらしい。


熊野 「とぉおおおおお」


砲台を撃破。


霧島 「私は三式弾、みなさんはロケランで一斉射を」


ゴスロリが損害。あと一息だ


満潮 「っち、一矢報われた」


対地攻撃に特化した満潮が大破。まずいな・・・


綾波 「うてぇぇぇ」


綾波のロケラン攻撃で撃破。駆逐艦最強の火力は伊達じゃないな


加藤 「お疲れ、気を付けて」


由良 「由良と満潮ちゃん中心の輪形陣でお願いします」



中大破したが、問題なく撃破。


長良 「司令官!大変!」


哨戒中の長良隊か。近くに戦艦がいるな。


加藤 「空母組に、ただいまここから南東に戦艦を発見。艦載機を頼む。」


ここに戦艦が出るのは珍しい。何かこれまでと確実に動きが違う。ただ、上陸する気配がない。


霞  「不思議ね」


あの戦艦は流されたわけではないなここに意図的に来ているな。なぜだ・・・


無事、戦艦戦隊は退けた。なにが目的なんだ?一応、黒で奇襲はどうにかなるが


由良 「帰ってきました」


長良 「ただいま!」


加藤 「お帰り、補給と入渠してきな」


出撃、哨戒メンバーは出て行った。


ただ、これまでと違い敵が戦線復帰する速度も早い、近海に大型艦もちらほら現れる。


仮説だが、何か準備をしている?哨戒の隙をついて上陸するチャンスを伺っているのか?


加藤 「もしもし。加藤です」


田中 「君から珍しいな、どうした」


今ここの近くで起きていることを話した


加藤 「そちらも同じようですか?」


田中 「ああ、だとすると・・・」


加藤 「はい、防衛線の強化が一番かと」


相手が攻撃してこようとしている。目的も場所も分からない


加藤 「俺が上に使えるよりも田中さんのほうが有効的かと」


田中 「ああ、分かった」


加藤 「すみません。お願いします」


田中 「気にすんなって」


さて防衛線をどうするか、索敵は黒で問題ないが・・・ここから一番近いのは東は須崎漁港の近く。西は宇和島湾か沿岸にはそこそこの町まある。


加藤 「なぁ」


霞  「どうしたの」


沿岸の町に、彼女らを送り防衛を頼むしかない。資源には余裕があるが疲労がな・・


朝霜 「うちにどんだけ居ると」


ここを含め10に基地のようなものを作り、20の隊を作り、午前午後ぜ交代制にした。


次の日にはもう大本営からの通達が届いた。


日本各海岸の防衛の強化。半径20km毎に哨戒隊を作る。日に一度以上交代。疲労が溜まる場合は近隣と協力し、無理は禁止。


艦娘に対しての優遇もある。上からにしては珍しいな。



その後、大型艦が日本近海に多出したが特に攻撃は行われなかった。2カ月に渡る警戒は解かれた。


加藤 「ふぅーよかった」


朝霜 「何事もなかったな」


霞  「めっきり減ったわね」


深海はだんだんと数を減らし、今では小型艦がちらほらという感じだ


加藤 「ほんとにありがとう」


警戒解消後、しばらくは少人数での哨戒にし、多めに休みを取った。


電話が鳴る


加藤 「もしもし」


田中 「よかったな、何事もなく」


加藤 「はい」


どうやら、このことの責任問題があったらしい。田中さんが中将から大佐への降格が予定されていたが、俺が提案し彼が伝えたと言ったところ、その件は白紙になったらしい


田中 「まだ君にビビっているんだね」


加藤 「あれ、そんな衝撃的だったんですかね」


田中 「ははっそうかもな、まぁ最悪の事態は防げたしよかったな」


加藤 「はい!」


本当に良かった。またあのようなことが起きなくて・・・



しばらく、鬼姫級の出現数は少なかった



ここに来た何度目かの夏が訪れる


朝霜 「あちーーーい」


霞  「まだましよ!外は酷いんだから」


ある程度、金があったのでここや各自の部屋、食堂には空調を設置した。よくこれまで冷房なしで生きていけたな・・・


青葉 「司令官!お手紙です!ここ涼しいですね」


カメラを物色しに行くと言って出かけた青葉が帰って来た。なかなかの汗だな


加藤 「どこから?」


宛先を見る。大本営か・・・封筒の端を机に叩き、上を開く。


青葉 「なんですか?」


加藤 「大本営に招集がかかった」


今回、深海棲艦に大打撃を与えるため、大規模作戦を全国の鎮守府一斉に行うらしい。詳しい説明を東京でやるらしい。


加藤 「日帰りか・・めんどくせぇ」


霞  「私たちは留守番ね?」


加藤 「ああ、ここ本当に交通の便悪いからな」


青葉 「で、いつ出発で?」


加藤 「えっと8/20だから・・・」


朝霜 「3日後か」


早!緊急なのかな?


8/19には出発しないとだから・・・あんまり余裕ないな


荷物をまとめ、新幹線の予約を取った。遠征と哨戒の予定をまとめたりとしていたら、一瞬でカレンダーは19日になっていた


霞  「行ってらっしゃい」


加藤 「ああ、気を付けて」


朝霜 「大丈夫さ、敵が来たら返り討ちにするだけさ!」


二人の頭を撫でた。


加藤 「じゃぁ行ってくるわ」


真っ赤な日差しも下、駅へ向かった。汗が垂れる。露出した首が熱い・・・川は太陽の光を反射し容赦なく顔を照らす。


加藤 「ここからってのに」


最寄り駅で一苦労だ。


電車にしばらく揺らされていた。


加藤 「とりあえず特急か」


そのころには、俺が出発したほうに日が沈んでいた。


加藤 「岡山で軽く食事か」


この駅に来るのは、宿毛へ行くとき以来か・・・懐かしいな。


うどんを食べて、新幹線に乗る。東京に着くのは、日付が変わる頃だろうか


そのまま車内で仮眠をとる。9時に集合だからしばらくぶらぶらしているか・・・


東京に着いた。乗車券を改札で出し、外に出る。


もわっとした空気が体を包む。アスファルトやレンガの地面は熱を吸わないのだろう。


この時間にやっている店は少ない、所々居酒屋や開いているぐらいだ。出勤帰りのサラリーマンがこんな時間まで飲んでいる。


外装のはげたビジネスホテルを見つける。ここは開いているらしい


加藤 「こんばんわ」


管理人「どうされますか」


1泊の安い部屋を取った。所々壁紙が黄色くなっている。


ベッドに腰を掛ける。固いマットレスに薄い布団。


すぐに横になった。今日は隣で寝る、二人はいない。なぜだろういつもは鬱陶しいのに今は寂しい。彼女たちの寝顔を眺めているのも今日は出来ないのか・・・


朝、この時期はもう東の空が明るいのだが、ビルで一切分からない。管理人にお礼を言い、外へ出る。夜と同じような空気だ。


コンビニで朝食を済ませる。


地下鉄で目的地に向かう。この時間でないと、通勤、通学者であふれるだろう。


地上に上がる。日差しが差し込み、すっかり明るくなっていた。


まだ時間に余裕があるので散歩してみた。食べかすをついばむハト、放置された自転車、生気のない顔で会社へ向かう会社員。東京はこんな所か・・


騒ぎながら俺とすれ違う黄色い帽子。高くそびえるビル群、晴天の空。


人間も風景も色々あって面白い


集合の1時間前だ大本営のある建物へ向かう。


黒ずんだコンクリート建築。周りを囲う鉄柵、屈強な門番。初めて来た。


広場には軍服が居る。やはり、多いな


加藤 「宿毛の加藤大佐です」


門番 「はい」


中に入る。後ろから聞きなれた声が聞こえる


高橋 「銚子の高橋少佐です」


振り向く久しぶりの顔だ


加藤 「お久しぶりです」


高橋 「お久しぶりです」


当り前だが彼もいる


加藤 「どうですか?」


高橋 「何人か着任して遠征を出撃もはかどっています」


加藤 「それはよかった」


高橋 「あっ!あの艦載機本当にありがとうございました!大鳳も喜んでいました!」


着任祝いか・・・友永に江草、烈風改二、かなり質は高い。


少佐 「お!高橋!久しぶり!」


彼の同級生だろうか


高橋 「おぉ、では、失礼いたします」


彼は一礼をし去っていった。


元気そうでよかった。黒で様子は見ていたから近況は知っていたが話をできてよかった。


軍人 「あいつ」


軍人 「ああ、知っている加藤だろ」


軍人 「演習でALL機銃で勝ったんだろ」


軍人 「あとあの生き残りだ」


そんな珍しいか?俺?


田中 「顔を合わせるのは何年ぶりかな」


加藤 「おお、変わらないですね」


田中 「いや、思うように体が動かなくなってきたよ」


談笑をしていると扉が開く。ぞろぞろと白いものが動いていく。


田中 「行こうか」


加藤 「はい」


歩いてすぐ提督達がある部屋に入っていく


田中 「ここが大会議室だ」


入ってみるととにかく大きい、国会議事堂の議会室を思い出す。


田中 「ここが空いているな」


ちょうど2つ席が空いている。そこに腰を掛ける


しばらくし、提督が着席した。


加藤 「思っていたより女性も多いんですね」


田中 「ああ、直接体を動す必要がなくなったのも大きんじゃないか?」


そんなことを話していると全員が立ち上がり敬礼をする。


あれは元帥か。


元帥 「直ってくれ」


その後しばらく話した、最近までの警戒の協力に対する感謝などを


元帥 「これからが本題だ」


正面スクリーンに海図が写される。


元帥 「君たちには各海域を協力し深海棲艦を殲滅してもらう。」


どうやら、47都道府県の鎮守府に別れ、それぞれが目的の海域へ向かう。


軍人 「意見具申よろしいですか」


元帥 「認める」


軍人 「ありがとうございます。深海棲艦は沈んだ後も回復するので意味がないのでは?」


元帥 「失礼、説明を忘れていた」


次のスライドになった。何やらクレーンのようなものだ。これで深海棲艦を鹵獲し捕まえる。


元帥 「どうぞ・・・」


目が合う、気が付いたようだ


加藤 「その鹵獲した深海棲艦は?」


元帥 「本土へ持ち帰り殺すが」


加藤 「深海棲艦は艦娘の慣れ果てで、艦娘に戻りますよね」


元帥 「では、戻し方を知っているのか?」


お?これは失言じゃないか?元帥に向かい、不気味に笑って見せた。


その表情から察したのか


元帥 「失礼、確かにそうだな、それを考えねば」


加藤 「以上です」


座る


田中 「知っているのか?」


加藤 「ん?俺はただ笑っていただけですが」


田中 「またずる賢くなったな」


加藤 「ふふ、ありがとうございます」


深海棲艦の処理方法は保留となったが、出撃先、日時が伝えられた。出撃先は俺たちはミッドウェー出撃日は10/20ちょうど2カ月後だ。


元帥 「これより、各海域で話し合いを頼む。1カ月後に全体で打ち合わせを再び行う」


またここに行かなきゃなの?めんどくさ


田中 「では、俺はここで」


加藤 「はい、ではまた」


高知は鎮守府の数が少ないので四国で合同らしい。四国と書かれた張り紙のある部屋に入る。


十人ぐらいの椅子が置いてある。


四国提督s


今治  大将

新居浜 中将

高松  中将

鳴門  中将

室戸  少将(女)

宇和島 少将

宿毛  大佐(加藤)

高知  大佐

松山  大佐

海南  少佐


へぇ今治に大将か・・


今治 「では、始めようか」


やはり、大将が仕切るんだな


今治 「では各鎮守府の戦力を」


今治 「なるほどな、みんなそれなりにあるな」


新居浜「宿毛は巡洋戦艦4隻か」


加藤 「色々ありまして」


今治 「まぁいい、それぞれ数を把握できた」


他は航空戦艦とか長門大和型が居るけどさ・・・絶対喧嘩売っているよね


海図を取り出す。


鳴門 「海ばかりですね」


室戸 「囲まれたらまずい、どのルートを通っても変わらないか」


囲まれても問題はない。水雷戦隊を孤立させるのはまずいな、あと一番の脅威は潜水艦か・・・


高知 「ただ、どれぐらいの規模で行くか」


今治 「8割は出撃、2割は防衛だ」


そのぐらいだろうな。


松山 「空母が多いな」


宇和島「防空力が必要だな」


水雷戦隊と空母ないし戦艦を一編成とし、潜水艦を鹵獲する。


話はかなり掛った。


加藤 「問題は鹵獲ですね」


今治 「ああ、沈む前に捕まえなくてはならない」


高松 「駆逐艦に任せるか」


リスクが高い。姫級が健在の時は大破で済まないだろう


加藤 「うちに任せていただけますか?」


鳴門 「どうやって」


艦載機に錨を付けて引っ掛けて運ぶ


海南 「それって可能なんですか」


加藤 「できます」


室戸 「問題は空母棲姫と中間棲姫ですね」


一発で大破まで持っていかれる可能性がある。


今治 「では、駆逐艦を前線に出し、大型艦は後方に」


加藤 「回避力の高い駆逐艦を前に出し、命中を上げる」


今治 「ん?」


加藤 「ん?」


高松 「ん?」


何か変なこと言った?


鳴門 「何言ってんだ宿毛の」


弾が当たらりにくい駆逐艦を出すことで正確な位置や砲撃のタイミングを分かるよな


宇和島「駆逐艦に弾を集中させるのだが」


新居浜「弾避けだが」


加藤 「はぁ?」


高知 「なんで分からないんだ?駆逐艦は囮だ」


馬鹿なの?


加藤 「いつもあなた方はそうなんですか?」


今治 「当り前だが」


くそだな


加藤 「駆逐艦の使い方がなっていませんね」


新居浜「お前!何をいう」


加藤 「失礼、駆逐艦を弾避けにしか使えないあなた方が可哀そうで」


怒りを感じる


鳴門 「じゃぁお前はどうするんだ」


加藤 「小回りがきくし、弾幕張れるし、魚雷の威力が強いし、夜戦では鬼と化すし」


高松 「お前はできるのか?」


加藤 「少なからずあなた方よりは」


殺気まで感じてきた。


加藤 「そんな扱いして沈めたとかないですよね?」


目には目を歯には歯を殺気には殺気をだ


数名は怯む


今治 「で、お前はどうするんだ?」


加藤 「魚雷や弾幕で相手の回避先を絞り、避けたところに爆弾や戦艦の弾をドーンですね」


新居浜「そんな連携が出来るか!」