2016-02-27 20:30:45 更新

概要

鬱くしい(不定期更新)


前書き

虚無の世界












エリ「…話についてこれてる?」


「…」


こくり、と頷きYesと答える。




ノゾミ「えりち、コーヒー持ってきたで」



エリ「ありがとう、ノゾミ。」


エリ「さて、話を続けましょうか」



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「我らが主に祈りを」


「神のご加護を」


「Amen(エイメン)」





胸元で十字架を切り、大勢の兵士が戦闘態勢へと入る。


ヘルシング。

吸血鬼を駆逐するために作られた組織…

もうこの下りは必要ないだろう。


国王の命により作られた組織だが、反対派も数多く存在している。


そもそも「駆逐」という名がこの組織の誤解を生んでいるのだ。


彼らは聖地オトノキを守るために作られた組織でもある。いわば警察のようなものなのだ。


小さな事件は地元の警察にでも任せればいい。


ヘルシングが担当するのは大きな殺害事件等なのだ。



今宵もまた、吸血鬼による事件が勃発したようだ…



ウミ「はああっ!!」


リン「にゃははっ!!」



ウミ、リンの2人が独自のコンビネーションで吸血鬼を圧倒する。



「な、なんなんだよこいつらっ!!」


「くそおっ!」



吸血鬼は腕から多数のコウモリを放出する。


しかし、ウミは剣で全てを斬り落とした。



ウミ「今です、リン!!」




リン「チェックメイト…Amen」


リンは銃口を吸血鬼の心臓へ向ける。





「くっそおおおおおおお」


「おがぁッッ!?」



リン「!?」


ウミ「新手!?」



吸血鬼は後ろから貫かれた。


そのまま高く引き上げられ、ウミたちの方へ投げてきた。



「ヘルシング…だね?」




新手はウミたちに質問してきた。




ウミ「だとしたら…なんですか」




「貴女の瞳に惚れた吸血鬼だよ、私は」



リン「意味不明にゃ」



リンは間髪入れずに新手に向け、射撃した。


しかし新手はそれを紙一重でかわし、ウミの目の前に近いた。


ウミ「ーーーッ!?」



ウミ「やられるー!?」




新手はウミのサラサラの髪の毛に触れ、匂いを嗅いだ。


「美しい…人間(ヒューマン)にもこんな存在がいるとはね…」


「…私のモノにしたいなぁ」


ウミ「戯言をッッ!」



ウミは新手と数センチという近さから、得意の横の斬撃を放つ。


「あはははっ、あはあは」


「滑稽だね」



「なんのために戦うの?」


「守るため?殺すため?君たち人間(ヒューマン)は相変わらず考えることがわからないなぁ」


「君たちは同志を殺されれば嘆き悲しみ、それ以外が殺されれば嘲笑う…」


「滑稽、滑稽でしかない」



ウミ「何を…!?」


リン「惑わされちゃダメにゃ、ウミちゃん」


ウミ「ええ…」



「吸血鬼(ヴァンパイア)にだって感情はあるよ。怒るし、泣くし、笑ったりもする。人間(ヒューマン)となんら変わりないの。」



ウミ「黙りなさいッッ!」


ウミの刃はかすりもしない。

新手の回避能力が凄まじいのだ。



「今日のところはお暇するよ。荒々しい歓迎ありがと」


「私、ホノカっていうの。貴女は?」



ウミ「…ウミ」



ホノカ「ウミ…素敵な名前…!」


ホノカ「また会おうね、ウミちゃん」








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ウミ「…なんてことがありまして」


ヘルシング本部。先日あった出来事を食堂で話していた。



コトリ「やんやんっ!ウミちゃんてば〜」


彼女はコトリ。ヘルシング15番隊、副隊長を任されている。

ウミの右腕的な存在だが、最近はリンにその役を取られて少し妬いてるのである。

銃撃を得意としている。



コトリ「そんなカッコイイ吸血鬼ならコトリも会ってみたいなぁ〜」


ウミ「あの…吸血鬼、女でしたよ?」


コトリ「ちゅぅん!?!?」



コトリ「こ、これは…百合の香り…ッッ」



ウミ「平常運転ですね」



コトリ「も〜最近はアンデルセンとかホノカとかカッコイイ人ばっかりだね!みんな犯罪者だけど…」


ウミ「アンデルセン?」


コトリ「知らない?殺し屋、神父アンデルセン。」


コトリ「この辺りを騒がしている殺し屋さんだよ。顔見た人がクールでカッコイイって言ってたんだぁ〜。」



ウミ「神父アンデルセン…」



「私にもその話、聞かせてくれる?」



コトリ「ぴゃぁッッ!?」



話しかけてきたのは、金髪のポニーテールが特徴の、女性だった。


彼女はエリ。

ヘルシング団1番隊、隊長を務めている。

マキの推薦により、ヘルシングに入団。以降、凄まじい速さで1番隊隊長へと昇格した。

剣技を得意としている。


コトリ「ア、アンデルセンの話ですか?」



エリ「いや、その前のホノカって吸血鬼の話」



コトリ「かくかくシカジカ」



エリ「…ウミ」



ウミ「は、はい!」



エリ「吸血鬼に余計な感情なんていらないわ。必要なのは正義を貫く意志と殺意。覚えておきなさい。」



ウミ「了解です!」




リン「あの吸血鬼は相当強いにゃ、今後は奴に警戒して任務を進めないと…」


ウミ「…吸血鬼、ホノカ…」



リン「リンはそろそろ帰るにゃ、かよちんとラーメン食べに行くんだ〜」


コトリ「私たちもそろそろ帰ろっか」


ウミ「そうですね、皆さん、お疲れ様でした。」


リン「お疲れにゃ〜」


エリ「お疲れ様。」


全員が食堂から出ると、マキがやってきて言った。



マキ「エリー、話があるの。来てもらえる?」



エリ「ええ…わかったわ」



この時のエリの表情は普段と違い、楽しそうに笑っていた…ような気がした。

(後にウミはこう語る)




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後日。






リン「ウミちゃんウミちゃあああん!!」



訓練所で素振りをしてしたウミの元に、リンが慌てた様子で駆けつけた。



ウミ「どうかしたのですか?」



リン「ヘルシングが…ヘルシングが…」





ウミ「…えええ!?か、解散!?」



ーーーーー


ヘルシングのメンバーは聖地オトノキの中心とも言える場所、アルパカ宮殿へと来ていた。




マキ「…全員揃ったかしら?」



マキ「ヘルシング解散について説明するわ、耳かっぽじってよく聞きなさい」




マキ「この聖地オトノキは元はUTXって街の一部だったの。この地に神が宿ると言われてからは聖地オトノキは独立したのだけれど…」



ウミ「UTXがヘルシングのことを聞いて動き出した、と」


リン「ヘルシングのイメージ相当悪いってよく聞いたにゃ」



エリ「そんなことで解散…?」




マキ「ヘルシングはここで解散になるけど、王を守る任務は終わってはないわ」


マキ「ここにいる全員が職を失うことはないってこと」



「代わりに私たちがこの地を守るってことになるの」




マキ「…読んでから来てって言ったわよね」



マキ「ツバサ中将」



ツバサ「あら、ここぞって時に出てきただけよ。ねぇアンジュ、エレナ。」


ツバサ「今日からこの聖地オトノキを守護することになったツバサよ。よろしく」



アンジュ「アンジュでーす」


エレナ「エレナだ。よろしく」




ハナヨ「ぴゃぁあああ!?」


リン「かよちんどうしたにゃ!?」


ハナヨ「つ、ツバサ中将…本物だあああ!!」




ツバサ中将

王都アライズを統一する権力者の1人と言われている。

剣技を得意とする彼女は、一流の剣士10人を同時に相手し、無傷で勝利したという武勇伝まである。




マキ「今さら王都から来るなんてのんびりさんなのね」


ツバサ「貴方たちのやり方が気に食わなかったからこっちから来たまでよ」



マキ「これでオトノキを守れなかったら…責任はそっちだから、覚えておきなさいよ」



ツバサ「ヘマなんておかすわけないでしょ」



マキ「…ッ」





マキ「…俗物が」






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ヘルシングの部隊長たちは元本部の食堂に集まっていた。




ウミ「この食堂を使うのも今日で最後なんですね…」



リン「寂しいにゃ…」



エリ「…」



コトリ「ウミちゃん…みんな…」




「なーにシケたツラしてんのよ、あんたたち」



ウミ「ニコ…」



彼女はニコ。

ヘルシングの食堂で働く給仕。

彼女の料理は絶品で、昼休憩に入ると行列が出来るほど。



ニコ「どーせこの後も、王を守る仕事があるんでしょ」


ニコ「何も変わらないじゃない」



リン「…」




リン「ニコちゃんはどうするにゃ?」



ニコ「私はこれから店でも開こうと思っていたわよ」


エリ「ふふっ…ニコらしいわ」



ニコ「何よーーーッ!!」



リン「あははっ」






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ツバサ「ね?ちょろかったでしょ?」


アンジュ「まさかこんなにあっさり行くとは思わなかったわ〜」



エレナ「…ヘルシングも所詮その程度か」




ツバサ「じゃ、始めましょうか」





ツバサ「夜のショーを」













後書き

おれはおまえだ、おまえはだれだ
おまえはだれだ、おれはだれだ

おれは…誰だ?
かえせ、おれをかえせ


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