「スタートライン」
絡めた小指シリーズケジメ奉仕部編です。
温かい目で見てあげて下さい。
実は大学時代落研の方と仲が良くて
その人達を思い出して書いてみました
これもまたスピッツの…って良いかそんなもん笑
わたしがスピッツ大好きって事だけですから
基本洋楽しか聴きませんがSPITZだけはずっと好きなんです
「一色さん1見え2男3金4芸5精6おぼこ7ゼリフ8力9肝10評判と言う言葉を知ってるかしら?そこのクズ谷君にその条件を満たしている所はあるかしら?いえ、ないわね仮に一つでも条件を満たしていた物があったとしても最後の10の評判たるや−10に値するわ…少し考えなおして見てはどうかしら?」
と私に先輩に指を差しずばっと私に言ってくる雪ノ下先輩。
付き合い始めた次の日の奉仕部に行って
付き合い始めた事を伝えたら
付き合い始めたのが納得できないようで
第一声がこれですよ…修羅場は想定内でしたがいきなり考えなおせっては失礼じゃないですかね…?
「流石にクズ谷くんはなくね?泣いちゃいそうなんだけどしかもそれ落語の色事根問(いろごとねどい)ですよね?男共が女が出来る10箇条ですよね…?それ今関係あるのん?」
とか先輩がボソッと反論しようものなら
「っつ…!黙りなさい笑福亭クズ谷君。
それは揚げ足を取ったつもりなの?」
「お前は笑福亭一門に取り敢えず謝れ」
この夫婦漫才ですよ…私が少し嫉妬していると先輩は手をギュッと握ってくれました!えへへー!
さっきまで霊圧が消えていた結衣先輩が突然言い出す
「ヒッキー…」
「なにお前いたの?」
「失礼すぎるし!…ヒッキーはその…いろはちゃんと付き合ってるんだよね?」
「今さっき一色が言っ「いろはです!!」あぁ…いろはが言っただろ?なんだよ?」
「ヒッキー幸せ?」
「これ以上無いくらいにな」
「そっか…今私が好きって言ったらどうする?」
「…は?」
「私ずっと好きだったんだよ?いろはちゃんより前に私が告白してたらヒッキーどうしてた?」
「わ、私も異性としてあなたに好意を持っていたわ…」
やっぱりこうなりますよね…もし…2人のどっちかを選んだらどうし…
「ないわ無理。お前ら2人とは絶対付き合ってない」
即答!?私がビックリですよ…だってお二人は先輩が本物を見つけ出そうとしたお二人ですよ!?
「ど、どうして…かな?」
泣きそう!泣きそうですよ!結衣先輩が涙を溜めながら必死で言葉を紡ぎだす
「現段階で俺は一色以外「いろはです!!」…い、いろは以外そういうのはもう見えないし見てもない。これ以上はたらればは無しだ勘弁してくれそれに…納得できる答えを提示できる気がしない…ただ…」
先輩はそう言って頭を撫でてくれる
静寂が部室を包む
「…恋愛とかは無理だがお前らは凄く大事な存在だ…それだけは分かって欲しいんだ…その…なんだ…この部室も俺は…好きなんだ、由比ヶ浜が実の無い話をして雪ノ下が美味しい紅茶を淹れてくれていっし…一色が「いろはです!!」……いろはが意味なく遊びに来る…最初は無理矢理平塚先生に連れて来られただけだったでもな…俺は俺なりに凄く愛着があるんだ…でも俺といるのがもう嫌ならそう言って欲しいんだ」
「ヒッキー…」
「比企谷君…」
「せんぱ…「八幡です」ちょっ!人の真似しないでください!」
不器用な先輩が必死で紡ぎだす言葉に私達は心を奪われた。そんな彼が必死で伝える言葉は温かかった。
「はぁ…ヒッキーいろはちゃんと仲良くするんだよ…応援してるから…」
「そうね…一色さんそこの男が何かしたら私達に相談しなさい後、奉仕部部長として命じるわ…ちゃんと部活動に来ることただ平塚先生には私から説明して比企谷君は自由参加にして貰うわ…」
「へっ?なんで自由参加なの?」
先輩は呆気に取られて言う
「平塚先生からの依頼は貴方の孤独体質の改善よ?それに…生徒会が無い日位は一色さんと一緒にいたいでしょう?」
「雪ノ下…悪いその…サンキューな…でも平塚先生には直接俺が…「よしなさい独身を拗らせた大人よまた殴られたいの?」よろしくお願いします」
「よろしい。では今日はここまでね…私と由比ヶ浜さんはその…この後用事があるの…部室の鍵を返してくるから比企谷君と一色さんは帰りなさい」
「………………サンキューないろは行くぞ」
「はいっ…」
恋愛には勝者と敗者が必ずいる。
そんな事分かってたのに先輩の大事な空間を壊しかけたんだ…そんな気持ちが私の中に黒くのしかかる
「いろはそんな顔やめてくれ…あの2人に失礼だ…だからやめてくれそんな顔するのは俺だけでいい」
「なら余計ダメですね私もちゃんと考えなきゃダメです」
今好きな人といるのに心が晴れない自分がいるこうなる事は分かってたのにこれは時間が解決してくれるのだろうか…
辛い…辛い。わたしは先輩が大好きだったでも結衣先輩も雪ノ下先輩も好きだった
勿論好きのベクトルは先輩とは違う。
でも辛く思うんだ…
無言で手を繋ぎ静かな廊下に2つの足音だけが聞こえるそして一つの足音が止まる
「………少し部室に戻るぞ」
「えっ!?」
先輩は私の手を握り奉仕部の部室の前へ行くとノックをした
「…どうぞ」
雪ノ下先輩の透き通る様な声が聞こえる
ガラガラと音が鳴りドアを開けると
いつもと変わりがない奉仕部の部室だった
先輩はお二人の前に座る
「いろは横に座れ」
先輩に言われさっき私が座ってた椅子を持ってきて先輩の横に座る
「一つ…依頼がしたい」
2人はビックリした顔をする
「何かしら?」
雪ノ下先輩は凛とした表情で先輩の顔を見る
先輩は目を瞑る
そして目を開けて「ふぅ…」と一息ついて
「俺の好きな人が大事な場所を壊しかけたんじゃ無いかと責任を感じてずっと暗いんだ…力を貸してくれ俺にはその…そういう経験が少なくて…分からないんだ…笑顔にしたい…」
先輩は2人を見ながら呟くように言う
「その依頼受けたわ」
雪ノ下先輩がニコリと笑う。それを見て横の結衣先輩も笑う
ホントに綺麗な人達だ…改めてそう思う
「はぁ…早速前途ね…一色さん?私達は何度も間違えては壊れかけたわこれから私達3人の付き合い方彼の前に依頼した『本物が欲しい』という依頼のスタンスは少し変わるかもしれないわ…でも私達は違う『本物』を3人で模索して苦しんでまた間違えるかもしれないわ…でも必ず見つけるわその時貴方もいて4人だとその…嬉しい…のだけど?」
「雪ノ下先輩…」
「そうだよいろはちゃん」
結衣先輩は私の所にきて私を抱きしめる
「私達のせいで変な責任感じさせてごめんね?でもゆきのんの言うとおりだから…ね?」
やっぱりこの3人は凄いなぁ…
「あ゛だしは…三人共だいすぎなんですううぅうわぁぁあんんん」
3人の前で大泣きをした
2日連続こんな泣くとは思わなかった
結衣先輩は泣き止むまでずっと抱きしめてくれた。
少し落ち着いて来た頃に
コトッと温かい紅茶が私の前に置かれた
「あ、ありがとうございます」
私は嗚咽が止まらない手で紅茶を手にする
「全く…早速そこのダメ谷君が何かしたのかと思ったわ…」
「はぁ…ダメ谷ってなんだよ…」
「そだよ!ヒッキーまじキモい!」
「バカガハマさん?何でもかんでもキモいキモいって言ってれば成立すると思ってないかしら?そんな事は無いわ今すぐやめなさい」
先輩が雪ノ下先輩の真似をしてる
初めてみた…無駄に高いクオリティだ
「それは…誰の真似かしら…」
雪ノ下先輩から物凄いオーラが出てる気がする…!怖いですっ!怖いですっ!って先輩もびびりまくってるじゃん!なんでしたの!?この人!
「あはは!無駄にヒッキーはゆきのんの真似旨いよねってかバカって言うなし!」
「事実だろ?」
「むかつく!まじキモい!」
自然に笑顔が出る
「はぁ…依頼解決で良いかしら?」
「あぁ…ありがとな二人共」
「「どういたしまして」」
「一色さんその私も…その…大事な後輩だと思ってるからその…「ゆきのーーーん!」ちょ、ちょっと暑苦しいわ…由比ヶ浜さん」
「ねぇ!サイゼ行こ!サイゼ!小町ちゃんも呼ぼう!いろはちゃんにヒッキーがどれだけめんどくさいかちゃんと伝えなきゃ!」
「えぇ…まぁ…そだな…もう帰ってるだろうしちょっと小町に電話してくるわ」
先輩は何かを意図したのか部室を出る
「ヒッキーの事任せるからね!いろはちゃん!」
「私からも任せるわさっきも言ったけどアレがなにかやったならすぐ言いなさい」
「はいっ!!」
私はこの人達が大好きだ
私はこの人達に少しは近づけただろうか…
どんどん私は素直になる可愛らしくなるために施したメッキが剥がれて行くのにどんどん綺麗になる気がした
その後サイゼで付き合ったことも何も聞かされてなかった小町ちゃんは拗ねて先輩はめっちゃ怒られて必死にご機嫌取ってた…ちょっとかっこ悪い
その後も雪ノ下先輩や結衣先輩や小町ちゃんから告白した時を根掘り葉掘り聞かれて
一回は私を辛辣な事を言って先輩が振ったこととかボロっと言ってしまい
また3人から先輩はまたボロカスに怒られてた
夜の9時位までサイゼで盛り上がった後
皆でバイバイした。
「わたしは明日やすみだからゆきのんち泊まっていい!?」
「えぇ…構わないわ」
そんな流れで彼女たちは
私達の前から仲良く歩き去っていった
「いろは…送るぞ」
「おにぃちゃん待って!いろはさんウチに泊まって行きませんか!?」
「へ?」
「は?」
2人揃って呆気に盗られた声を出すがすぐに先輩が
「ダメだ…小町。いろはを送っていくからお前先帰ってろ」と言う多分少し怒ってるんだ
でもダメって言われたことが少し心に痛みを覚える
「はぁ…ごみぃちゃん…いろはさんは彼女なんだよー!泊まってっても良いじゃん!小町もお話したいし!夜2人で何してても小町は聞こえないフリするし!」
「小町…いい加減にしろ」
先輩は今まで聞いたこと無い位怖い声で怒った
小町ちゃんは少したじろいだと同時に先輩はため息一つつき呟くように
「あのな、小町、俺もいろはとずっと一緒に居たいし泊まってくれるなら嬉しいんだ。でもな誰かに決められたりとかそう言うのは嫌なんだ。俺はその…なんだ…
一色いろはを大事にしたいんだ…お互いのペースで居たいんだ…言い過ぎは謝る、ただ分かってくれ…」
こんなの嬉しすぎてダメだ…
私は先輩に思いっきり抱きついた
小町ちゃんが顔を真っ赤にして私達を見てから
「はぁ…小町が悪かったです…でも今度是非泊まりに来てくださいね!でわでわ!」とそそくさと帰ろうとする
「小町!」
先輩が珍しく大声をあげ小町ちゃんを呼ぶ
「な、なに?」小町ちゃんはまた怒られるのかと思ってるようでバツが悪そうな顔をしてる
「小町、お前は罰として俺と一緒にいろはを送る刑に処する。ほれ帰りにお菓子を2個買ってやるからほれ行くぞ…ただし300円以上はお兄ちゃんお菓子と認めません」
小町ちゃんは泣きそうな顔をして私達を見て
「うへぇー300円以下ってけち臭いなぁー」と言いながら満面の笑顔になる。本当に良い兄妹だと思う。
そうして3人でわいわいと帰った
もうすぐ家につく時に
「小町ちょっとそっちで待ってろ」と先輩が言い私は少し離れた所に連れて行かれた
「あ、愛してるいろは」と言い唇を奪われた。
幸せなやさしいキスなのにこんなに心がドキドキする…
「ちゃ…ちゃんと言ったからな!おやすみな!いろは!」と顔を真っ赤にして走るように去っていく
可愛い…可愛すぎる!
「私も愛してますよー!おやすみ!八幡!小町ちゃん!」
わたしは2人に聞こえる様に大声で言った
「ばっかお前!やめろ!」とこっちを見てニコりと笑う先輩達に手を振った
その後小町ちゃんにウリウリされて焦りまくってる先輩の後ろ姿を消えるまで見続けた。
ようやく私と比企谷八幡のスタートを切れた気がした一日だった。
後日談だけど雪ノ下先輩は自由参加の件をうっかり伝え忘れててサボりと間違えられた先輩は思いっきり鳩尾を殴られて保健室に運ばれたらしい…
「雪ノ下を絶対許さないリストに入れといた」とかブツブツキモいことを言ってました
付き合おっか?ってなった時
私の場合その日ってあんまり思い浮かば無いんですよね。
付き合い初めて自分に踏ん切りが着いた時とかにようやく心のスタートラインが引けた感じがするんですよね
作者の恋愛観残念すぎるほどサバサバしてるので彼らくらいは甘く誠実に書きたいもんです(遠い目)
このSSへのコメント