2016-02-06 03:31:25 更新

概要

♯3表記ですが♯2でここまで書きたかったのですが、長くなりすぎるため泣く泣く削った所を3としてアップしておきます

これもホントは24000字有ったんですけど
4月16日の前半パートを区切りたかっんで敢えて大幅にカットしてシンプルに書きました。
ご指摘に有った句読点は本人曰く多めに入れたつもりだそうです。


前書き

キッカケ一言、後から大事


一色いろはの宣戦布告

比企谷小町の怒り

戸部翔の誤解


そんな言葉が真実を濁らせ、大きな誤解、気持ちの歪みを産む。




4月15日金曜日午後8時34分雪ノ下家リビング







わたしの『どうなるのかなぁ』



…この言葉からお互いまだその事に関する事は一切発してない。


お互いが『これから』について避けるように会話をしていた



かれこれ30分は経ってると思う。



ゆきのんはずっと何やら宿題をしてるみたいだった


こちらを見ずひたすら逃げるように勉強に勤しむ彼女を見ていると少しだけ苛立ってきた


『わたしの知ってるゆきのんはこんなに逃げる人じゃない』



わたしは身勝手にゆきのんを心で責めた



でも、この現状をわたしも変えられるハズなのに


わたしはやっぱりズルい


なにか現状を話しあうこともせず、ゆきのんから話しかけてもらおうと待ってるだけ



こんな場所にいたくない




「ゆきのん、今日は帰るね…明日朝からあえる?夕方からちょっと家族で用事が有るんだけど…」



「えぇ…明日は構わないわ…9時に千葉駅でお願い…3時からその…少し用事が有るのよ、それじゃ気をつけて」



ゆきのんはこちらを少し見て安心したような顔をしてまた宿題をやり始めた






私は暗い夜道を1人で歩いているとちょうどお客さんを降車させたタクシーが目の前にいた


少し夜道も怖かったので「すみませーん」と手を振り、そのまま乗らせて貰うことにした。





――――――――――


4月15日金曜日午後20時42分雪ノ下家マンション






わたしには分からない。



だから由比ヶ浜さんの問いかけに一色さんにも小町さんにも何も自分の気持ちについて答えられなかった。



由比ヶ浜さんも、もしかしたら小町さんとおんなじ気持ちで帰ったのかも知れない



私、雪ノ下雪乃はそれに情けなさを感じていた。


自分にだって思うことはある。


一色さんに毎回比企谷君を連れて行かれている事にひたすらモヤモヤと黒い感情が芽生えてる。


それを『恋』と決めつけてしまうには余りにも黒ずんでいて醜さを感じる


私は


彼と一緒にいたい。


彼が一色さんに連れて行かれるのは嫌だ


彼に雪ノ下雪乃を理解して欲しい




なのに何で…



どうして…



私は何をすれば良いのか分からないの?



情けない…情けなさがこみ上げる



その本音を誰かに聞いて欲しい


そんな時にはもう私の唯一の友人は家に帰っていた。



明日この気持ちを彼女に聞いて貰おう


必ず…聞いて貰おう




「比企谷君…」



私は1人、彼の名を呟き寝ることにした。




――――――――――


4月15日金曜日20時58分由比ヶ浜家






「ただいまー」




私は別に何事もなく15分もかからず家に着いた。



私も明日の朝までになにか少しでもいろいろ考えたい。



自分の部屋に戻ろうとするとお母さんがスリッパの音を鳴らしながら玄関に向かってきた



「おかえり〜あれ〜?結衣?ゆきのんちゃんのお家に泊まるんじゃ無かったの〜?晩御飯ないわよ〜」



「あぁ!いやぁ…あはは晩御飯は大丈夫だよ!ありがとママ!」



「そう…喧嘩でもしたの?」



「あー!ぜんぜんっ!何となく帰ってきただし!心配しないで!」



お母さんに少し「後輩から私がヒッキーを貰う!って宣戦布告しにきた!」って言われたとか聞いて貰おうか?と、思ったけど…説明するのも面倒が正直、勝ってしまった



なにより本当に『自分』で色々と考えたい。



お母さんと適当に応対し、自分の部屋へ向かいベットに倒れこんだ



色んなことが起こりすぎて頭が痛いよ…



ここ最近の私達はうまくやっていたと思う。



いろはちゃんにヒッキーが呼ばれてなくて奉仕部にヒッキーがいる時は小町ちゃんも含めて4人で『楽しくおしゃべり』したりしてたし。



生徒会選挙からクリスマスイベントの間のあの空っぽの空気でもなかったし



バレンタインのあの日から私達は本当に良くなったと思う




最近のわたし達を不安定にさせてるのはなんだろう?なんでこんなに悩んでるんだろう


ひとつだけ…1人だけ理由が思い浮かんだ。


「最悪の気分だ」



私は見慣れた天井を見つめながら頬を伝う涙を拭う力さえ無く見続け呟いた。




私の意見は纏まらないこれ以上はもう考えられない。



明日ゆきのんと話した時考えよう。



また逃げてる自分に嫌気を感じながら目を閉じた。


「ヒッキー…」



わたしはひとり呟いた




――――――――――


4月16日午後12時14分比企谷家




ふと、目が覚めるとカマクラが小町の布団に入ってきてた。



「かー君ーもふもふですねー」

と布団に手を突っ込み、柔らかいカマクラを撫でていると携帯が光ってるのに気づき、メールを確認した


…もーお兄ちゃんってホントゴミぃちゃんですよ…


どーやら部屋にプレゼントを忘れたらしく、持ってきてと頼んで来た


まぁーなんでも言うこと聞いてくれるらしいので!それくらいはやってあげますかー!


そーだ!新しいイオンの出るヘアアイロンでも買ってもらおー!とカマクラをふっ飛ばして自分の部屋を出る



お兄ちゃんの部屋に入ると机の上に綺麗にラッピングされた、この質素な部屋に全く似合わないモノを見つけた


そこで小町推理ショーの始まりだ!どんどんぱふぱふー!


箱は小さい!


物は軽い!


振るとカラカラと音がする!



んー…まぁアクセサリーだな!こりゃ!


そのピンクのラッピングを少し見てみると小さくviviane westwoodと書いてあった…



おお…おお…まじすか!お兄ちゃん!


こんな良いものを買ってたとは!


円盤みたいなやつかー!


ネックレスかピアスだなー!こりゃ!


よーし取り敢えずお兄ちゃんから返信は…


来てる来てる!


ほー…あー!あの千葉駅からちょい離れたところか!


いろは先輩のチョイスかなー?取り敢えず着替えて行くかー!



おにいちゃん頑張ってるかな…?



―――――――――


4月17日午前13時28分千葉駅周辺イタリア料理専門店(八幡回想)




「せんぱーい!何食べますかー?ってかせんぱいがこんなお洒落な所知ってたってのが驚きです!」



…どうやら漫画喫茶で寝たことがかなり良かったようで、一色はいつもの調子を取り戻していた。


道中もキャッキャキャッキャと嬉しそうに生徒会の事や家族の事を話してくれた。



「おー元気になったな‥好きなもの食えよ、ここはクリームパスタが旨いからオススメしとくぞ」



「えー!でもこの生トマトの冷製パスタってのもおいしそーですよ!」



「一色」



「え?なんですか?」



「トマトは食べ物じゃない」



「え?」



「トマトは食べ物じゃない」



「…嫌いなんですか?…トマト」



「あぁ…食えない」



「えっ…でもお弁当に入れたりしたけど食べてくれてたから…ごめんなさい…」



「いや、俺も何も言ってなかったからな…これから知ってくれれば嬉しいな…」



「ふぇっ!?それは…はいっ…あの…今度から教えて下さいね……んじゃ!トマトソース系はやめときますね!」



「一色」



「はいはいなんですか??」



「トマトソースは好きだ」



「超めんどくさいです…」



「すまん…」



あの時なんでコイツがこんなに顔が真っ赤になったのかやっと分かった。



俺何言ってんの?バカなの?死ぬの?



間接的に飯を作ってくれみたいな事サラッと言ってんじゃん!


俺は何処のジゴロなの!?

こうやって思い出してみると一色がたまに焦ってるの見るけど、こういうのしれっと言ってんだろうな…こえぇ…



一色は俺のオススメ通りにカルボナーラを俺は帆立のペスカトーレ


あと小さいサイズでルッコラのサラダとライスコロッケを注文した。


トイレに行くついでに店員さんにお金を払うので「なにか誕生日のサプライズのケーキかなんかができたらお願いします」と伝え、小町にここにいるとメールをした




「せんぱい!このカルボナーラ超おいしいです!」



「そうか…そりゃ良かった、こっちのペスカトーレもヤバいぜ…こりゃ帆立がな…くそっ…後一個しかない…」



「もらいー!」ヒョイパク



「あっ…俺のラスト帆立ちゃんが…一色…食べ物の怨みは怖いって習わなかったか?」



「わー!それすごい美味しいですね!あ、サラダワケワケしときますね♪」



「ぜんっぜん話聞かないのな…お前‥ってかお前、そういう気遣い出来るんだな…」



「せんぱいはホント私をなんだと思ってるんですかね…ライスコロッケもこれ初めて食べました!次はお腹いっぱいで動けなくなりそうです!」



「おまえホント幸せそうに食べるな…」



「ほへえふか?へんはいかくらすひるはへひゃないれふか?(そですか?せんぱいが暗すぎるだけじゃないですか?)」



「そだな。飲み込んで喋ろうな」



わーわーと言いながら2人で完食してすぐに食後のコーヒーを持ってきてくれた



店員さんがこちらを見て頷いて来たので

俺も軽く会釈した。


店内の照明が暗くなり


「誕生日おめてとーございまーす!」


と若い女性の店員さんがロウソクを立てた小さなホールケーキを持ってきた


ここまでやってくれるとは思わなかったので俺も一緒にビックリしたが


一色は少しビックリした後、こっちを見て満面の笑みで喜び、2人で店員さん達にお礼を言った後、嬉しそうにロウソクを消した



「すごいです!すごいですよ!せんぱい!超うれしいです!」



「そうだな午前中寝てたから色々取り戻さなきゃな…」


「殊勝な心意気ですね!八幡くん!」


「何様だ、お前は…」


その後、そのケーキをカットしてもらい2人で食べた。

店員さんも彼女の喜ぶ姿に大満足で「また来てくださいね!」と満面の笑顔で言われ、店を後にした。



ちゃっかりローソク代まで入ってたのは少し気になったんだけどな…


小町は近くに来てた様なので歩きながら千葉駅に向かい一色に少し断りを入れて電話をする。



『も…もしもしおにいちゃん?』


「あぁ…わりーな、小町今度埋め合わせはする」


『あの…少しマズイことになったんだよね…』


「はぁ?なんだよ…それまさか無くしたのか?」


『いやいやいや!おにいちゃんそれはあるから大丈夫だけど…』


「はぁ?だけどなんだよ?」


『小町、結衣さんと雪乃さんに見つかっちゃったんだよ…』


「はぁ…そうか、別になんでもねーだろ?構わねーよ。んで、何処にいるんだ?」



『えーと…ほんとに大丈夫?結衣さん達から話聞いたんだけど?』



「は?何の話だよ?逆になんで大丈夫じゃねーんだよ…」



『あっ…お兄ちゃんたち見つけた…』



ブチッと電話が切れ、辺りを見渡すと小町がこっちに向かってた。



後ろから見覚えのある2人も小町を追いかけるように引き連れて。





―――――――


4月17日午前5時01分月曜日都内某所




ここだ…ここからだ



ここから大きな事になっていったんだ。



何回思い出してもここまで嫌な瞬間は人生で一度も無かった。



4月16日が狂った瞬間だった


あの時…小町の忠告にちゃんと耳を傾けていれば…


俺がちゃんとしていれば…








一色はあんなに泣くことは無かったのに…



あの最悪の出来事を思い出せ…



その中で「最高の答え」を見つけ出せ…





――――――――――


4月16日土曜日午前9時17分千葉駅バス停裏



「おはよ…ゆきのん…ほんとごめんね遅くなっちゃった」



「えぇ…全然構わないわ…おはよう由比ヶ浜さん」



少し朝が早かったので私は寝坊して遅くなった。



バス停の近くにあったベンチに腰掛け


「ゆきのん、今すぐ少しお話いいかな?」



「えぇ…構わないわ…何処かに入りましょう」


「ううん…ここで良いよちょっと飲み物買ってくるね!ゆきのん何か要る?」


「いえ、私は結構よ」


「なら、わたしもいいや…ねぇゆきのん…昨日の話の続きなんだけどさ…何で昨日もだし、ずっとだけどなんでそんなにあの事から逃げるの?」


「いえ…別に私はにげてなんか…」


「逃げてるじゃん!!ずっと!」


わたしはこの後に及んで逃げようとしてるゆきのんに少し怒りを覚え言葉がドンドン大きくなっていった


「違うわ、朝から大きな声を出さないで」


「何が違うの?いろはちゃんの時も小町ちゃんの時もわたしが家で言った時もずっと逃げようとしてたじゃん!なにか言い難い事があるの?ちゃんと言ってよ!ゆきのんだってこんなの嫌なんでしょ!」



「貴方だって…貴方だって何も言わなかったじゃない!なぜ私だけを責めるのよ!いつもいつも他人任せの癖にこんな時だけ調子に乗らないで!!」



「それはそうだけど!露骨に逃げるからこっちだって言えなかったんじゃん!!

いつものゆきのんじゃないんだもん!!」



「ふざけないで…ふざけないでよ!!あなたに私の何が分かるっていうのよ!!」



わたしはゆきのんの頬をビンタした。

分かってあげたくて言ってるのになんで分からせようとしてくれないの?


…そんな悲しさが、そうさせた気がした



「そんなの分かるわけ無いじゃん!!!自分の意見なんて一回も言わなかった人の事なんて分かるわけ無いじゃん…」



人なんてはばからず2人で大声で怒鳴りあった。


ゆきのんの目には大粒の涙が溢れ、わたしも頬を伝う感触が分かった




「私は…私は…何も分からなくて…どうして良いかも分からなくて…ずっと何も言えなくて…情けなくて…ねぇ…どうしたら良いの…由比ヶ浜さん?」




「わたしはゆきのんの事を分かりたくて…辛かったんだよね、分からないって辛いもんね…私も分からないけどこんなの辛すぎるよ…」



2人で少し落ちつくまでベンチに座ってた。


ずっとココに座ってるのも目立っちゃったので、すぐ近くのオープンカフェに向かい


春の陽気とは裏腹なこの重い空気の中

お互いに本音をぶつけあった。



少しの静寂の後、





「私の本音ってほんと情けないものだったのね…」



とゆきのんは言った



「私もだよ…ほんとに大きな声を出してごめんねゆきのん…ほっぺた痛くない?」




「えぇ…由比ヶ浜さんこそお互い朝も早くから何をしてるのかしらね」




「あはは…そだね!」





「わたしは…ヒッキーが好き。ねぇゆきのんは?」




「私はこの気持ちがまだ恋なのか分からないの…でも、彼を意識してるのは認めるわ…私は比企谷君に私を知ってほしい、そういう気持ちがあって…その…最近一色さんが比企谷君を連れて行くことに、モヤモヤする気持ちになってた。」




「多分、ゆきのんもヒッキーの事好きなんだよ!」



「一色さんが比企谷君が好きって私達に言ってきた時、その時も分からなかったの…小町さんが言ってきた時も…貴方がお風呂上りに行ってきた時も、この気持ちが分からなかった…だから何も答えられなくて…貴方が言うなら私は、きっと比企谷君が好きなのかも知れないわね…」




「そうだよ…それなのにわたしはずっと3人の関係が潰れるんじゃないか?って思って、ヒッキーに何も言えなかったの…でも、最近の奉仕部は居心地が良かったの…いろはちゃんにヒッキーが連れてかれて無い時は小町ちゃんも含めて凄く『4人で仲良く出来てた』じゃん…もし潰してしまったらって思うと…って思ってた時にいろはちゃんが、いろはちゃんが言う所の、宣戦布告してきたの…」



「そうね…私は自分の気持ちにわからなかったわ…これからは比企谷君大変ね…私達も一色さんも彼に好意を持たれてるなんてビックリするでしょうね…」



「あはは…そうだね!でも!ゆきのんに負けないから!」



「私もよ。由比ヶ浜さん。ねぇ…少しここで何か食べながらお話しない?」



「えー!良いよ!何のお話するの?」



「決まってるじゃない…ガールズトークよ」



と微笑むゆきのんはほんと全然勝てないなこりゃ…って位可愛かった。


そして…





「アレ〜結衣じゃん!なにしてんー?」






――――――――――


4月16日土曜日午後2時17分千葉駅前





「ねぇ…2人は何してたの?」



小町の後ろから着いて来た由比ヶ浜がボソリと聞いてきた



「は?かんけーねーだろ」



「戸部っちから聞いたよ…ねぇ…私達の気持ちとか考えたこと…ある?」



思い出すだけで腹が立つ。

いつぞやも言われたな…あれは修学旅行の時だったか…。



「なんだよ…お前らの気持ちって」



「結衣さん、雪乃さん!私達は行きますよ!いろは先輩!じゃあ!誕生日おめでとうですよ!お兄ちゃんもまたお家でね!」



小町は焦ったように由比ヶ浜と雪ノ下の袖を掴み、踵を返そうとした。




「小町ちゃんは黙ってて。ねぇいろはちゃん…そういう事…だったんだね?」



「結衣先輩、さっきからなにを言ってるんですか?」



「とぼけないでよ…私達に昨日ヒッキーの事を心から好きだとか言ってきて…好きなんでしょ?ヒッキーの事…あんな大きな声で私達に言ってくるんだもん…2人はやることやってたんじゃん…それであんな宣言をして、苦しむ私達の事を影で笑ってたの?私達をぐちゃぐちゃにして楽しい…?ねぇ…」




…一色が俺を好き…?それを雪ノ下と由比ヶ浜に言った?ぐちゃぐちゃにした?


何の話か分からない…


俺は一色の顔を見ると今までの満面の笑顔は無く脆く潰れそうな…見ていて辛い表情をしてた…




「なんで…なんで私の大事な気持ちを…あなたが言うんですか…?」



「ちゃんと…伝えたいのを一生懸命我慢して…なんで…なんでなんですか…?」



そう言って一色は千葉駅の方に走って行った。



「一色!!!」



俺の言葉など耳を貸さず彼女は駅に向かい続けた



それでも一色の事なんてお構いなしに

由比ヶ浜は続けた



「ねぇ?ヒッキー?いろはちゃんのところにいくの?私達だって傷ついてるんだよ…あの子だけじゃないんだよ…ヒッキーが!もっと私達のことを…」



バチン!!!!



大きな音が鳴った



一色を目で追っていた俺はその大きな音に振り返ると、怒りに燃える目を滾らせた小町と頬を擦る由比ヶ浜がいた



「いい加減にしてください!!お兄ちゃん!はやくいろはさんを追いかけて!



小町の大声が駅前に響く。



「いったい…」



と言った所で小町がコチラを睨みつけ



「私の言うこと聞くんでしょ!!いろはさんを笑顔にすること!!良いから!!行け!」



俺の思考は停止していたでもやるべきは分かってる。


「あぁ」


とだけ返事をして後ろに踵を返した


まだ後ろ姿は見える…追いつく…



「おにいちゃん!!」



また小町の声が聞こえると小さな箱が飛んできた!!



「お願い!頑張って!!」



小町は怒りの中に少しの笑顔を見せつつ

必死の大声で叫んだ



自分がどんな顔をしてたのか分からない…けど俺はここでやらなきゃ



こっちを無表情に見る2人と小町



俺は…




『私も欲しくなったんです…本物が』




俺は…




『責任…取ってくださいね?』




俺は…







『私は先輩を誰よりも信用してます』






俺は…





『これはそのお礼です♪』





俺は…!





『すごいです!すごいですよ!せんぱい!超うれしいです!』





俺は…!!




『なんで…なんで私の大事な気持ちを…あなたが言うんですか…?』







俺は…!!









『私がせんぱいの居場所になってあげます』












俺は許さない。





「ふざけんな!!俺の大事なものぶち壊して!!絶対にゆるさねぇ!!お前絶対ゆるさねぇからな!!」





何のことか分からない。




こんな感情は初めてだ




抑えきれない感情を吐き捨てて俺は一色に向かい走りだした。






まだ姿は見える


千葉駅の改札に向う一色の姿が見えた


その横顔は誰でも見てとれるほど泣いていた。




ふざけんな。




今日は嬉しかったんだ。





手を繋いで歩いたことも





漫画喫茶で見て感じた女の顔も





ニコニコと話してくれる横顔も






ロウソクを消した時の満面の笑顔も






その表情一つ一つが嬉しくて仕方なかったんだ。




次はどんな顔をみせてくれるんだろう?

白いキャンバスに描く時間を駆ける空のように色々な明るい色を見せてくれる一色の顔が嬉しくてしかたなかった。





それを…潰した。






俺はSuicaをタッチするが残高不足で改札に弾かれる



「一色!!!」



周りの顔がコチラを見る



だが、一番向いて欲しい奴はそのまま東京方面のホームへと歩いて行く




すぐに駅の改札員に向かい




「後で払う」と大声で伝え。


許可など聞かずにホームに向かって走りだす。




電車の俺の目の前で扉が閉まる




中年のおっさんが俺の前で半歩前にでて

挟まりもう一度扉が開いた。




「すみません!ありがとうございます!」



と感謝を述べ、ひたすら走る電車と同じ方向に歩き出す



「一色!!」




喉が痛い。必死で叫ぶ周りの迷惑そうな顔なんて見てられない



姿の見えない彼女を見つける為に

なんどもなんども大きな声で叫んだ




前から二両目に来た時



周りの人に傷物を見るような視線で見られながら座り込み、泣いている弱々しい彼女を見つけた。



「一色…」



彼女はこちらを見ようともしない





「おい…一色」





胸が苦しい。





でもあいつはもっと苦しいんだ



「いろは!!!」



こっちを『ハッ』とした様子で見る



「せん…ぱい」



その暗く歪んだ顔を見て俺は辛かった




一色の駅前での最後の言葉で気づいて感じた『一色から聞きたかった』悔しい気持ち



やり場の無い怒り



彼女の笑顔を台無しにした由比ヶ浜に対する憎悪



その顔を見てしまい感じた哀しい気持ち



痛々しい今の一色いろはを見て感じ辛い気持ち。




見つけた事による安心感。




この感情は何なんだよ…





《感情は、それと反対の、しかもその感情よりもっと強力な感情によらなければ抑えることができない》




心理学者のスピノザはこう言った。





今のぐちゃぐちゃの気持ちはなんなんだよ…




反対の強烈な感情ってなんだよ…




もっと笑顔を見たいんだよ…




なにが俺を…




そんなのじゃねぇんだよ




一色をどうすればまたあの笑顔にできる…




そんな頭で分かる精神論じゃねぇんだよ…






俺は電車の床にへたりこむ一色を見続けることしか出来なかった。








             次回に続く

            



後書き

〜次回予告〜Rescue a depressed angel


「俺はお前が笑顔じゃなきゃ嫌なんだよ!!」



「わたし…ヒッキーに…ヒッキーにちゃんと謝らなくちゃ…」

「ガハマちゃん…貴方って本当にバカなんだね」

そして…あの時口を開かなかった雪ノ下雪乃は大きな決断をする。





つーわけで予想以上に早くアップしましたが
今回までは「触り」なんですよね。

これさぁ…ゆいゆい派の方に怒られるんじゃね!?

大丈夫ですよ。

悪いようにしません(ゲス顔)


後、私はやっぱり『ハッピーエンディング』が好きです!

またコメントお待ちしてます!
多いとやる気出まくるんですよね!


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1: SS好きの名無しさん 2016-02-05 23:17:09 ID: 5ubnxYXd

更新待ってます。頑張ってください!
最初の文字抜けてるんで

2: SS好きの名無しさん 2016-02-05 23:59:10 ID: 9b0DNDOZ

由比ヶ浜派すまん...
俺にはいろはルート以外いらないんだ

3: SS好きの名無しさん 2016-02-06 00:27:36 ID: Kf5Iqt-M

すごい楽しみです♪

4: SS好きの名無しさん 2016-02-06 00:33:17 ID: 85sYE2AN

大体戸部のせい…

更新待ち遠しいなぁ!ちくしょう!応援してます!

5: SS好きの名無しさん 2016-02-06 00:51:48 ID: mdJVMnfN

おもしろい。おもしろいよ?
けどさ、あまりにも由比ヶ浜と雪ノ下が不憫でならないよ…

6: SS好きの名無しさん 2016-02-06 01:08:12 ID: mtx96nUe

米2に完全同意です。
ゆきのん、ガハマ推しの方には申し訳ないですけど自分の中ではいろはす一強です。(真顔

すごい引き込まれます。
次回も楽しみにしてます!

7: SS好きの名無しさん 2016-02-06 01:28:17 ID: _4yiAPq0

前回コメントしたものです
今回も楽しませていただきました‼
次回の更新も楽しみにしてます。

8: SS好きの名無しさん 2016-02-06 02:15:44 ID: gyfdljTg

うん、戸部が悪いな

9: SS好きの名無しさん 2016-02-06 03:14:27 ID: tcWkGngn

いままで見た俺ガイルのssで一番面白いと思いました。更新まってます!

10: たまご 2016-02-06 03:35:50 ID: EI_eW1FM

>>1さんへ!コメント&ご指摘ありがたいです!修正完了です!ほんと本人って気づかないもんで…助かります!

>>2さんへコメントありがとです!…ほんとね!あたしもいろはすファイト!って思ってます後、いろはすの置かれてる乗って実はこれはあたしの実体験。。。ゴホゴ…ホテルとかでは無いですが、高校の時にあった事なんですよねー。あたしも当時『自分でちゃんと伝えたかった』人間ですので…

11: たまご 2016-02-06 03:38:44 ID: EI_eW1FM

>>3さんへコメントありがとでふ!
これからこの穴だらけのお話が埋まっていくと思います!期待し過ぎずでお待ちくだせぇ!

>>4さんへ!コメントありがとです!がんばれ!いろはす!負けるな!いろはすですよ!書いてる本人も思ってますから!でもガハマさんにも頑張って欲しいんです。彼女はきっとこの後…グヘヘ

12: たまご 2016-02-06 03:44:54 ID: EI_eW1FM


>>4さんへ…他の人へのコメントとまちがえました照

だいたい戸部のせいですかー!
なるほどー!これを言っちゃうとネタバレになっちゃうので言いませんが最後まで期待して下さい!

>>5さんへコメントありがたやー!

あたしも書いててココらへんはガハマさんとゆきのんが可哀想で仕方無かったです。正直怒る人もいるレベルで扱ったので…

13: たまご 2016-02-06 03:52:09 ID: EI_eW1FM

>>6さんへコメントありがとです!
たまご自身もいろはす以外選ぶ事情が掴めない派です!

引き込めるほどの文才があたしにあるのか…やっぱりね、他の方ほど綺麗な言い回しが出来ないタイプなので…

他の所で差をつけれるよう頑張りますよー!

>>7さんへコメントthxです♪
前回も!それは嬉しいですよ!

次もぜひ読んでやって下さい!

14: たまご 2016-02-06 03:57:23 ID: EI_eW1FM

>>8さんへ!コメントありがとです!
戸部っち…嫌な役にしちゃったなぁ…

あたし次とべっちと姫奈のSS書きたいんですよねー…って関係ないか!

>>9さんへ!コメントありがとです!
嬉しい気持ちでいっぱいです!ただもっとすごい方もおられるので他の方のもガンガン読んで欲しいです!

15: SS好きの名無しさん 2016-02-06 07:01:09 ID: vT44DHKn

書き出しからなんか面倒くせぇ奴だな…
てか、いちいち分けないで続けて書けばいいんじゃない?

16: SS好きの名無しさん 2016-02-06 09:46:47 ID: dwFwtump

>>15
それな。字数を気にしてる意味がいまいちわからん

カットされまくったのより長くてもしっかり書いてくれたやつを読みたいのに

17: SS好きの名無しさん 2016-02-06 10:18:20 ID: ZdwdPNzS

しおり挟むより分かれてるほうが俺としては便利だと思うけど…
面倒くせぇ奴とは思わんなあ

18: SS好きの名無しさん 2016-02-06 10:46:38 ID: RaUvIu8W

単にくせぇ奴とは思ってる

続き期待

19: たまご 2016-02-06 10:50:54 ID: EI_eW1FM

>>15さんへコメントありがとうございます。

例えばこれここまでで書きたいこと全部書いたらドンドン長くなるんです。

自分の語彙力を総動員すると、一つの所為、動作を伝えるために長ったらしく色んな事を書き殴る癖が有りまして…そこらへんは上手くやるようにしますね。ご指摘感謝です!

書き出しからめんどくさいですか…んーあたし自身が面倒くさい女なのを自負してますのでしかたないです!なんともなんないっス!

>>16さんへコメントありがとです!

前記でも言いました通り、ですがこの辺りは出来る限り起こったことを書き、読み手の方にもぼかす様に伝えたい部分もあり、しっかりと書いてない部分も多々あります。次から解決編に向かうので16さんがご指摘の通りの「しっかりした文」を作りこむ事になると思います。より、気を張らして書くよう心がけます!ご指摘感謝です!

20: たまご 2016-02-06 10:55:44 ID: EI_eW1FM

>>17さんへコメントありがとう御座います。これは小説じゃないのでやっぱり一気に見て欲しいんですよね。

わたしもSSは読みますが長いと疲れちゃいますので…まぁ頑張りますよ!ありがとでした(﹡'ω'﹡)

21: SS好きの名無しさん 2016-02-06 11:34:10 ID: zepCiOEU

いやあ最高ですねこれ、面白いです。
まさかここから八雪とか八結になるとは思えませんが
奉仕部の二人苦手なんでこのまま八色でお願いしたいです。

イチャラブもいいけど修羅場シリアスもいいねえ
いろはすはダメージでかそうで心配です、負けるないろはす!
戸部が学校で余分なこと言わなきゃいいが…

22: SS好きの名無しさん 2016-02-06 13:13:43 ID: C0GG2TdB

最高。他の一色SS見てると奉仕部の女2人(特に由比ヶ浜)がいつもうざいから、これくらいバッサリ切り捨ててくれると気持ちいい

23: aoi 2016-02-06 14:29:36 ID: l8YTFzWc

早く続きが読みたい!

24: SS好きの名無しさん 2016-02-07 00:20:58 ID: 0xtiafuc

半歩前に足だしたおっさんがかっこいい

25: SS好きの名無しさん 2016-02-07 13:16:20 ID: dWGD7EXp

原作でも無能さ、性格の悪さ丸出しの奉仕部のヒロイン2人よりはいろはすのほうが100倍マシ

26: そこの 2016-02-09 02:20:30 ID: oiOfZFMW

最高ですね!
ガハマさんヤンデレルートですかね?(笑)
これからどういう展開になるのかのか楽しみです^_^
無理のないように更新頑張ってください
(`_´)ゞ

27: SS好きの名無しさん 2016-02-09 05:34:04 ID: Kop2dAXX

つーかガハマうぜー

28: たまご 2016-02-09 15:01:42 ID: UkeAkiYt

>>18コメントありがとです!
く、臭いとは失礼な!!私匂いに敏感なんです!それだけは許せませんよ!

ともあれありがとでした!続き今日投下します!

>>21さんへコメントありがとう御座います!
八結はムリですねぇ…ただ彼は間違いなく全員を救いますよ!いろはすも勿論救うでしょう!

>>22さんへコメントありがとうです!
そうなんですよ…原作で私が一番気に入らないのってぶっちゃけあの2人なんですよね…。正ヒロイン選ぶ位なら戸塚ルートのがいいと思うんですよねぇ…

29: たまご 2016-02-09 15:06:29 ID: UkeAkiYt

>>aoiさんへ!コメントありがとうございます!今日続き投下しますのでぜひ読んで下さい!

>>24さんへ!コメント感謝です!
これもあたしが実は就職活動中に寝ぼ…ノッピキナラナイジジョウデデスネ…遅刻しかけてですね…その時、本当にして貰ったことなんですよ!そのおじさんは「いてぇー」って言いながら「間に合って良かった」って言ってくれました。あの時も感謝を述べましたがここでも少し出て頂き、感謝を分かんないだろうけど伝えたくてここで書きました!

30: たまご 2016-02-09 15:14:27 ID: UkeAkiYt

>>25さんへ!コメントありがとうございます!
あたしも原作もいろはすルートが良いです!
だって一番多分ヒッキーを理解してくれるタイプだと思うんですよねぇ…まぁゆきのんかなぁとか思うけど「間違ってる」らしいんで可能性にかけたいっす!


>>そこのさんへコメントありがとです!
ガハマヤンデレルート笑。
ちょっとアリかとか思いましたね…拘束して…軟禁して…ハニトーを……うわぁ…やめとこ!想像したら怖くなりました!


>>27さんへコメントありがとです!

もちろん救いますが、あたしは彼女には悪いことをしたと思ってます。

一番空気は読めても人の感情よりも自分の感情タイプなので分かりやすく『悪』になっちゃいましたね…


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1: SS好きの名無しさん 2016-04-05 17:29:15 ID: XXCNsdJV

面白いです


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