絵里「解放……フフ、いい響きね」

絵里「思うのよ。たまにね」

絵里「自分を解放させたいって」

絵里「昔の私は、堅苦しい鉄面皮、棘の衣を纏った子狐だったわ」

絵里「そうだった事実は残るし、そうだった過去は変わらない。恥じて後悔することもある」

絵里「でももう私は生徒会長じゃない。次の世代へとその座を明け渡した老兵と言っても過言ではないわ。次へと繋ぐ鎹(かすがい)になれた自分を誇りに思う」

絵里「今の私は生徒会長じゃなく、一人の女の子として、自由気ままに、大いなる世界の流れに身をたゆたわせるの」

絵里「そう、それはまさにAQUA BLUEへと溶けるSNOW」

絵里「これが私なの……ってね」

絵里「私が私を解放するとき、一番近くにいるのは……希……あなただと思っているわ」

絵里「だからね……いい？希……」

絵里「解放……しても……」

希「絶対あかんよ！！お風呂の中でオシッコしたら！！」

絵里「……フフ、フフフ……酷なことを言うのね……私は、ただ自己という名の殻から一時解放したいだけなのに……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

希「いやいやいやいや！！膀胱からオシッコ噴射したいだけの話やろ！？なにを仰々しいこと言うてるん！？」

絵里「人はどこから来てどこへ行くのかしらね……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

希「知らんけども！！とりあえずはよお風呂上がっておトイレ行っておいでよ！！」

絵里「動かすと……出るわよ……」

希「なんでそんなになるまで我慢を！！」

絵里「自分の限界を……知りたくてね……」ﾌﾞﾙﾙｯ

希「限界知れてよかったね♪ってアホォ！！小学生か！！とんだポンコツやん！！賢かった名残の欠片すら無いやん！！」

絵里「希……かしこいかわいい～？」

希「エリーチカ～♪ってやらさへんの！！！なにが悲しくてこんな状況でコルレポ！？希パワー注入するよほんま！！」

絵里「なんだかんだノっちゃうのんたんまじえんじぇーだけど……いただきたいけど、そんなえんじぇーの前で粗相しちゃうのもまた一興……」

希「一興やなくて絶叫するハメになるけど！？」

絵里「何故そこまで私が私を解放することを拒むのよ……私はもう、私を抑えられない……」

希「中二病かぁ！！拒むに決まってるやん！！ここがうちの家のお風呂場で、うちが一緒に入ってるんやからぁ！！！」

絵里「じゃあ出ればいいわよ……その瞬間、ここが私の楽園……もとい硝子の花園に変わる……」

希「なら後ろからがっちりうちを掴まえてるこの腕を離してもらってもええかなぁ！！？ていうかうちのお風呂汚さんといてよ！！」

絵里「入浴剤入れてるからわかんないわよね……」

希「そういう問題じゃないってわからんの！？」

絵里「ああ……わかる、希……？私の胸の突起が……希の背中をつついてるわ」

希「んっ///わかるよ……えりち……///惑わされるな希ぃ！！！」ﾋﾞｼｯ

希「なんでえりちも勃たせてるんよ！！オシッコ我慢して興奮するってどんなプレイ！！？そんな下劣なユリの迷路迷い込みたくないんやけど！！」

絵里「全ての神経が覚醒しているみたい……今ならなんでも出来そう……」

希「おもらし以外やろ！？おもらし以外の話やなぁ！？」

絵里「そもそも私たち付き合ってるのよね？じゃあいいじゃない。汚いところも受け入れてこその彼女よ……」

希「限度って言葉知ってる！！？ロシア語辞典にマーカー引く！！？このままやと別れることもやむ無しやけど！！？」

絵里「そうだわ。いっそ希もおもらしすればいいのよ……みんなでおもらしすればおもらしはおもらしでなくなり……おもらしのおもらしによるおもらしのための……」

希「正気に戻れぇ！！そんな人類補完計画あるかぁ！！もういっそおもらしすればいいから！！いいから腕をほどいて！！」

絵里「死なば……もろとも……」

希「なんなん！！？うちなんか悪いことしたっけ！！？晩ごはんに梅干し出したから！！？えりちのペリメニ勝手に食べたから！！？」

絵里「ドンキーに……担がれたまま……一緒に落とされた……」

希「スマブラぁ！！！？」

希「ゲームくらいでこんな仕打ちにおうてるのうち！！？死なばもろともてそういうこと！！？フォックスをギタギタにしたこと恨んでるの！？ドンキーにリフレクターとかムダやとか言ってドヤ顔でジャイアントパンチ叩き込んだから！？わかった！！もうドンキー使わへんから！！クッパとかにしとくから！！投げ技禁止でいいから！！」

絵里「フフ、いいのよ希……いいのよ……」

希「え、えりち……？」

絵里「私が悪かったわ……」ｽﾙｯ

希「腕を……」

絵里「たかがゲームで大人げないことをしてしまったわ……ゴメンね」

希「え、ええんよええんよ！ほら、はよおトイレ行っておいで！」

絵里「希……」

希「なに？」

絵里「自分を解放するのって、気持ちいいのね……」

希「えりちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ！！！」

おまけ

穂乃果「自分を解放したい……解放するのはいーまーなーんだーときーがつーいーてー♪……なーんて、というわけでおトイレ～♪」

ｶﾞﾁｬｯ

海未「ようこそ」

ﾊﾞﾀﾝｯ

穂乃果「…………」ｿｰｯ

ｶﾞﾁｬ……

ことり「あーん♪」

ﾊﾞﾀﾝｯ！

穂乃果「…………解放できない」