絵里「パンケーキが食べたいわ」
読んで甘い気分になっていただければ幸いです。
ことりちゃんと絵里ちゃんのパンケーキSSを召し上がれ♪
ただのパンケーキSSか、ことえりかは読んでからご判断くださいm(__)m
絵里「ね?」
ことり「ゴメンね絵里ちゃん。絵里ちゃんが何を言ってるのかわからない」
絵里「エリチカ、パンケーキ、食べたい」
ことり「……うん、じゃあ食べに行ったらいいんじゃないかな?」
絵里「ふぅ……」
ことり「なんでそんな哀れんだ目でことりを見たの?ねえ?」
絵里「いいことり?確かにお店に行ってお金を払えばパンケーキは食べられるわ。どこの誰とも知らない人が作った、マニュアル通りのありふれたパンケーキの果てがね」
ことり「果てって何?どこ?」
絵里「そうじゃないの。私はね、知ってる人が私のために心を込めて作った、温かみのあるパンケーキが食べたいの」
ことり「じゃあレンジでチンしてあげるから、コンビニの工場生産のパンケーキ買いに行こう?」
絵里「エリチカにパンケーキを作ってください」
ことり「なんでことりに言うの?」
絵里「ことりってお菓子作り得意じゃない。パンケーキも作れるでしょ?」
ことり「作れるけど……」
絵里「お願いよぉ。美味しいパンケーキが食べたいの~」ズイッ
ことり「近い!///……まあ、いっか。じゃあ材料買ってことりの家に行こっか」
絵里「ええ♪」
絵里「さて、やってきましたことりんち」
ことり「じゃあ早速作るね」
絵里「ありがとうことり。エリチカ嬉しい。そしてことりんち落ち着くチカ」
ことり「絵里ちゃんっていつもそんな感じだったっけ」
絵里「ことりと二人きりだし、多少だらしなくてもいいかなって」
ことり「……そっか」
絵里「ええ」
ことり「……………………」
絵里「どうかした?」
ことり「ううん。それじゃ、今日はスフレパンケーキを作るね」
絵里「スフレ?」
ことり「普通のパンケーキにメレンゲをくわえた、フワフワサクサクのふっくらしたパンケーキだよ」
絵里「ハラショー♪なんだかとっても美味しそう!」
ことり「まずは生地作りね。卵、牛乳、サラダ油、バニラエッセンスを混ぜ合わせて、そこに市販のホットケーキミックスをくわえます」
絵里「手際がいいわね」
ことり「エヘヘ。粉がダマにならないようにしっかり混ぜたら、このまましばらく置きます」
絵里「すぐに焼かないの?」
ことり「作ったばかりの生地は膨らみにくいから。その間に、次はメレンゲだね。絵里ちゃんも手伝って」
絵里「もちろんよ」
ことり「卵を割ってボウルに卵白だけを分けるよ。殻と卵黄が混ざらないように気を付けてね。別の容器に一度割ってから、この大きなボウルに入れるといいよ。卵を割るのを失敗しても平気だし、万が一傷んだ卵があっても混ぜる前に取り除けるから」
絵里「なるほど」
ことり「卵白を取り出したら今度はスフレ用の粉を入れて、メレンゲ状になるまでかき混ぜます。絵里ちゃん、お願いね♪」
絵里「任せて!ところで、どのくらいでメレンゲになるものなの?」
ことり「腕がもげそうになるまで♪」
絵里「…………え?」
ことり「頑張ってね♪」
絵里「エリチカ、おうち」
ことり「帰ってもいいけどパンケーキは食べられないよ?」
絵里「……帰らないチカ」
ことり「よしよし♪それじゃ、はい♪」つボウル
絵里「チ、チカアァァァァァァァァァ!!!」シャカシャカシャカ
ことり「絵里ちゃんがメレンゲを立ててる間に、ことりは果物を切っておくね~」
絵里「はぁっ!はぁっ!」
ことり「よく頑張ったね♪」
絵里「ぜぇー!ぜぇー!う、腕が……腕が……」プルプル
ことり「まあ手で混ぜなくてもハンドミキサーを使った方が楽だし早いんだけど」
絵里「ことりぃ!」
ことり「苦労もスパイスだよ♪それじゃ、天板に薄くマーガリンを塗って♪マーガリンを塗りすぎるとパンケーキの表面が黒くなっちゃうから気を付けてっと。それから、このセルクルを置くよ」
絵里「セルクル?」
ことり「お菓子作りに欠かせない焼き型だよ♪内側にセルクルに合わせた耐熱シートを一回りさせて、いよいよ焼きにかかるよ」
絵里「ようやくね」
ことり「絵里ちゃん何個くらい食べる?」
絵里「今なら生地を飲み干せそう」
ことり「じゃあいっぱい焼くね♪パンケーキ生地にメレンゲを合わせて、空気を含ませながらメレンゲを潰さないよう切るように混ぜます。これをセルクルに流し込んだら、軽く作業台にトントン叩きつけて、ヘラで生地の真ん中をトントン叩きます」
絵里「それにはなんの意味があるの?」
ことり「美味しくなーれっていうおまじない♪」
絵里「本当は?」
ことり「天板を軽く叩きつけてセルクルの底に生地がまんべんなく行き渡るようにするの。そうするとまーるい形で焼けるから。ヘラでトントンするのはね、こうするとメレンゲを混ぜた生地が真上に膨らむから、きれいな形で焼き上がるの」
絵里「一つ一つの作業が丁寧ね。ことりの作るお菓子が美味しい理由がわかったわ」
ことり「さあ、それじゃ焼くよ~♪百七十度に熱したオーブンで、最初は八分焼きまーす♪次は絵里ちゃんやってみる?」
絵里「やるチカ!」
ことり「次は生地にバナナを混ぜてみようか」
絵里「バナナ?」
ことり「薄く切ったバナナを生地に埋め込むの。焼いてる間にバナナが溶けて、トロ~っとして美味しいよ」
絵里「」ダラー
ことり「クスッ、よだれよだれ」
ピピピピピピピ
ことり「八分経ったね。それじゃ、パンケーキをひっくり返すよ」クルッ
絵里「ハラショー!ことりことり!私もやりたい!」
ことり「いいよ♪熱いから気を付けてね」つヘラ
絵里「ん、いくわよ」
ことり「あ、先に言っておくけど、真剣に熱いからふざけてロシア返し!とかやると火傷するから。そこだけは本当に気を付けてね?」
絵里「さすがにやらないわよ!?ことりの中の私像どうなってるのよ!?」
ことり(……ポンコツって言ったらどういう顔するかな)
絵里「見てなさいよ……えいっ」
ことり「絵里ちゃん上手!」
ことり(絶対崩すと思ったのに、さすがやれば出来る子。かしこ…………かわいいエリーチカ!)
絵里「ウフフ♪」
ことり「うん、いい具合に焼けてる♪それじゃ、もう三分焼くよ~」
絵里「いい香りね。お腹すいてきたわ」
ことり「この間にホイップバターを作っておこうね」
絵里「ホイップバター?」
ことり「バターにはちみつをくわえて軽くレンジでチン♪生クリームに食塩をいれて、ホイップクリームを作るよ。八分立てのホイップクリームに温めたバターをくわえて、さらに混ぜる。そうすると甘くとろけるホイップバターの出来上がりだよ♪絵里ちゃん、ホイップクリーム作って♪」
絵里「……今度はハンドミキサーを使ってもいいわよね?」
ことり「絵里ちゃん、顔、顔」
ピピピピピピピ
ことり「パンケーキ焼けたよぉ~なーんて♪セルクルを外して、耐熱シートを少し剥がして、金串を刺して……と。うん、生地がつかない。ちゃんと焼けてる♪」
絵里「厚みもあって、きれいな円柱状に焼けたわね♪ことりのおまじないが効いたのかしら」クスクス
ことり「もう絵里ちゃんたら」プクー
絵里「ああ、もう待ちきれないわ。早く食べましょう、ことり♪」
ことり「慌てないで♪まず一枚、お皿に乗っけてホイップバターをパンケーキにトッピング♪仕上げにメープルシロップを上からトロ~♪」
絵里「焦らさないでことりぃ!」
ことり「はい、スフレパンケーキの完成♪熱いうちに召し上がれ♪」
絵里「いっただっきまーす♪」
ワフッ
絵里「ーーーーーーーー!!///」バタバタ
ことり「美味しい?」
絵里「ングング ゴクン!ハァラショオ~!!何これ何これ!!サクッフワッてしたわ!生地の優しい甘さが口の中にじんわり広がった!こんなに美味しいパンケーキ初めて!今まで食べてきたパンケーキと全然違う!メレンゲをくわえるだけでこんなに変わるの!?」
ことり「ちょっと手間はかかるけどね。食感が柔らかくて口の中で溶けていくでしょ?」
絵里「モグモグ♪ええ♪ほんのり甘じょっぱいホイップバターもパンケーキと相性抜群♪香りのいいメープルシロップの甘さも、生地の甘さを引き立ててたまらないわあ♪あっという間に一枚食べちゃった♪」
ことり「それじゃ、次はバナナ入りをどうぞ♪軽くパウダーシュガーを振りかけて、上にバニラアイスを乗せる。さらにチョコレートソースをかけて……」
絵里「チョコレート!」
ことり「絵里ちゃんチョコレート好きだもんね♪たーっぷり掛けるよ♪」
絵里「一枚食べたばかりだけど、もうお腹がすいてきたわ」
ことり「さあ、どうぞ絵里ちゃん♪」
絵里「スダヴォーリストゥヴエム!」
ことり「え?何?」
絵里「んぉお~いしぃ~!」
ことり「なんて言ったの今!」
絵里「温かい生地の中で半熟に溶けたバナナ、冷たいアイスが程よいアクセントだわ!チョコレートとの踊るような掛け合いも夢のよう!」
ことり「急に食レポみたいになったけど。喜んでるならよかった♪まだ食べる?」
絵里「食べる!」
ことり「次は果物をトッピングね。パウダーシュガーを振って、ホイップクリームを絞る。イチゴにブルーベリーにラズベリーをあしらって、上からベリーソースを掛ければ、はい完成♪」
絵里「ソースの掛かったベリーが宝石みたいにキラキラしてる!可愛い見た目が食欲をそそっちゃう♪ことりことり!」
ことり「なーに?」
絵里「あーんして?」
ことり「絵里ちゃん子どもみたい♪」クスクス
絵里「いいのよ。ここには私とことりしかいないんだから♪はやくはやく♪あーん」
ことり「はいはい♪あーん♪」
絵里「ハラショー……」トロン
ことり「ベリーのトッピングは外れないよね♪」
絵里「甘酸っぱいベリーはパンケーキと出逢うためにこの世に実ったのね。それにこのソースも美味しいわ。ことりの手作り?」
ことり「うん♪はい、もう一口。あーん♪」
絵里「あーん♪モグモグ おいひいわ。ことりに食べさせてもらうとより甘くなるわね。さすが伝説のメイドさんだわ」
ことり「絵里ちゃんたら、口元にクリーム付けちゃって」
絵里「ホント?じゃあ、ん」
ことり「絵里ちゃん?」
絵里「舐めて取ってくれる?」
ことり「……」プイッ
絵里「つれないわーーーー」
ペロリ
絵里「…………え?」
ことり「…………言ったのは絵里ちゃんだから」
絵里「今私の唇とことりの唇が触れたような気がするんだけど」
ことり「……触れた……かもね」
絵里「ことり?」
ことり「」プイッ
絵里「…………///」
ことり「…………///」
絵里「も、もう一口もらおうかしら!///」
ことり「は、はい!かしこまりましたご主人様!!あーん!」
ことり「まだパンケーキあるけど、どうする?」
絵里「ん、ちょっとお腹が膨れてきたかも。パンケーキってお腹にたまるのね」
ことり「メレンゲで膨らませてるから一枚一枚ボリュームはないけど、やっぱり生地自体は重いから三枚も食べるとね。余った分は持って帰っていいよ。レンジで軽く温めてからオーブンで一、二分焼いてもらうと、時間が経ってからもまたフワフワサクサクのパンケーキを味わえるから」
絵里「本当に美味しかったわ。ありがとうことり」グデー
ことり「どういたしまして♪食べてすぐ横になると牛さんになっちゃうよー。あ、パンケーキは袋に詰めておくね」
絵里「急なお願いで悪かったわね。でも、どうしても食べたかったの」ゴロゴロ
ことり「絵里ちゃんって、そんなにパンケーキが好きだったっけ?」
絵里「好きよ。大好き。甘くて、フワフワして、とろけそうで。まるで大好きなことりみたいだから」
ことり「」ピタッ
絵里「あ」ピタッ
ことり「……絵里……ちゃん?」
絵里「」ガバッ
ことり「あの……今……」
絵里「あーっと、その……パンケーキごちそうさま!あ、これは持って帰って亜里沙と一緒に食べるわ!それじゃ、また明日ね!」ダッ
ガシッ
絵里「……ことり……?」
ことり「……ことり、まだおやつ食べてないから」
絵里「そういえば……パンケーキも私に食べさせてくれて、自分は……。なんで一緒に食べなかったの?」
ことり「絵里ちゃんが美味しそうに食べてくれるのが嬉しかったから。……美味しかった?」
絵里「え、ええ!とっても!最高だったわ!」
ことり「本当に?」
絵里「本当よ!毎日食べたいくらーーーー///」
ことり「毎日、ことりのお菓子を食べてくれるんだ。海未ちゃんに太りますよ、なんて怒られちゃうね」
絵里「そ、そうね!じゃあ今のはなーーーー」
ことり「無しにしたいの?」ウワメ
絵里「ええっ!?いや、その……///」
ことり「絵里ちゃん」
絵里「な、なにかしら……?」
ことり「ことりも……食べたいな」
絵里「じゃ、じゃあこのパンケーキを温めてーーーー」
ドンッ!
ことり「……………………///」
絵里「な、なんで私はことりに壁ドンされているのかしら……///」
ことり「なんでだと思う?///」
絵里「……わ、わかんないわ///」ドキドキ
ことり「甘くて、フワフワして、とろけそうなことりを……もっとよく見て、味わって……ほしいから///」
絵里「こと……!!?///」ムグッ
プハッ
ことり「その代わり……」
ことり「絵里ちゃんを、ことりのおやつにさせて……。いいよね?絵里ちゃん♪」
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