2016-05-11 20:36:35 更新

概要

うみぱなです。ここ最近アホなのと変態なのしか書いてかなったので、結構ガチめなシリアスを書いてみました。
グロ要素、胸糞要素0です。微エロ有り。




ことり「穂乃果ちゃんのことが好きです!ことりと、付き合ってください!!」


穂乃果「……はい、喜んで……///」




二人しかいない教室。


薄い扉を挟んだその向こう。


私の大切な幼なじみが、私の尊敬する親友が……私の大事な仲間のことりが……私の大切な幼なじみで、私の尊敬する親友で……私の愛した穂乃果と結ばれた。


一つの愛が生まれた歓喜の瞬間を見たとき、こんなにも心が空っぽになるとは思いませんでした。


二人は私に一番に付き合い始めたことを伝えてくれるでしょうか?


私と変わらず仲良くしてくれるでしょうか?


私は二人に気を遣わなければいけませんね。


……などと、現実から目を背けたように的はずれなことを思い。


嬉しさも、切なさも、悲しさも、喜びも、寂しさも……全てを汚ならしくかき混ぜたような重さだけを感じて、私はその場を離れました。


穂乃果……


ことり……


穂乃果……


ことり……


穂乃果……


私は……


嗚呼……この世に神様がいるのなら、どうか……私のこの思いを消してはいただけないでしょうか……


胸を締め付けるこの痛みを……拭い去ってはいただけないでしょうか……




――――――――




次の日、いつも通りに二人と登校前の待ち合わせ。


いつも通り、私が一番早くに到着しました。


そして、いつもとは違う……ことりと穂乃果が一緒に来ました。


固くお互いの手を繋ぎながら。




――――――――



ことり「……ビックリ……した?」


海未「え、ええ。まあ……そうですね……。なんと言いますか、おめでとうございます……?で、いいんでしょうか……?」


穂乃果「いやぁ♪照れるなあ……///」


海未「……ふぅ、そんなニヤついた顔では、すぐにみんなに知れ渡ることでしょうね」


ことり「とりあえずμ'sのみんなには伝えておこうかなって。でも、やっぱり一番最初に海未ちゃんに伝えないとって、穂乃果ちゃんが」


穂乃果「なんたって、海未ちゃんは最っ高の幼なじみだからねっ!」


ズキッ


海未「……ありがとうございます、穂乃果。改めて、二人とも……おめでとうございます」ニコッ


穂乃果「ありがとうっ!」


ことり「ありがとう///」




――――――――




告白はどちらからですか?


……知っています。


きっかけはなんだったのですか?


……想像がつきます。


もう、口付けは済ませたのですか?


……知りたくありません。


私は深く聞かず、口を結び、幸せそうに手を繋ぐ二人を静かに見つめました。


そんな下世話な質問をして苦しむのは、きっと私の方なのですから。



――――――――




絵里「ハラショー!!穂乃果とことりが!?」


希「おー♪おめでとう♪」


にこ「アイドルは恋愛禁止!……って怒鳴るのもヤボよね。でも、アイドルとして、節度ある交際を心がけなさ――――」


穂乃果「こーとりちゃーん♪」モッギュー


ことり「やーんっ♪」モッギュー


にこ「聞きなさいよ!!」


希「んふふ~♪ではでは~♪」


絵里「馴れ初めなんかね~、詳しく聞いちゃおうかしらね~♪」


ことり「ふぇっ!?は、恥ずかしいよぉ~///」


穂乃果「エヘヘ~///」


にこ「うわ、全力でニヤけてるわね……」


海未「知らぬ仲でなし、なにを照れているのですか……まったく」


海未「……………………」


海未「……ああ、ちょっと失礼します。喉が渇いたので、なにか飲み物でも買ってきます」


穂乃果「あ、私も行くー」


海未「穂乃果の分も買ってきてあげますよ。その間、根掘り葉掘り聞かれてしまいなさい」


穂乃果「うえぇ!?」


海未「……では」


絵里「観念しなさーい♪」


ことり「だ……」


ことほの「だれかたすけてぇ~!」




――――――――




ダメですね……私は……


気を抜いたとたん、笑顔が崩れそうになってしまう。


二人が結ばれて、喜ばしいのはもちろん本心です。


共に同じ時間を過ごし、思いを募らせた……かけがえの無い友人。


喜ばしくないはずがありません。


だからこそ……


素直に二人を祝福出来ない自分が、とてつもなく嫌な存在に感じました。


このやり場の無い思いは、いったいどうすればいいのでしょう。


と、そんなやるせなく歩を進めていた私の耳に届いた――――




好きなの――――




という、甘く情熱的な言葉。




――――――――




真姫「……………………」


凛「……………………」


真姫「……………………好きなの、凛。……あなたのことが好き。お願い、私と……付き合って」


凛「……………………うん///」




――――――――




間女のように物陰に隠れ、初々しく言葉を交わす一年生二人を見て、盗み見を懺悔しながらも私は昨日の出来事と重ね合わせました。


リフレインする光景。


告白した側とされた側。


紅潮した頬も、気恥ずかしそうに泳ぐ視線も。




そんな二人を見てしまい、希望と絶望が入り交じったような表情の花陽も。




全てが昨日を思い返させる。


私もきっと、あんな顔をしていたのでしょう。


形容し難い感情を塗りたくった、仮面のような顔を。


ふと花陽と目が合うと、花陽はなんとも切ない微笑みを浮かべました。


笑みを作る気にもなれずに、私は音も無く……気配も無く、そっとその場から姿を消しました。




――――――――



ピッ


ガコン


海未「………………これ、炭酸じゃないですか……。何故こんなものを……」


海未「……こう何度も告白の現場を目撃するとは、天文的な確率ではないですか……歌詞の一つや二つ出来てしまいそうですね」


海未「………………真姫と凛が……」


???「ビックリ……した?」


海未「……………………花陽」


花陽「エヘヘ……」


海未「…………そうですね。多少、驚きました。が、今はそうでもありません。人が人を好きになるのに、理由は要りませんから。それがたとえ、友人同士だとしても」


花陽「そうだよね……」


海未「……………………つかぬことを伺います」


花陽「うん……」


海未「……凛のことが、好きでしたか?」


花陽「……………………なんで?」




――――――――




昨日の私と、同じ顔をしていましたから。




――――――――




海未「別に、なんとなくです」


花陽「海未ちゃんでもそんなこと言うんだ。ちょっと、意外。……うん、好きだった」


花陽「大好きだった。……ううん、大好きだよ」


花陽「子どものときからずっと一緒に遊んで、一番の仲良しで、私が一番……凛ちゃんのこと好きなんだって……凛ちゃんもきっと、私のことが一番好きなんだって……勝手に……そう思ってた……」




――――――――




同じです。


花陽……


私も、そう思っていました。


誰に言われるでもなく、いつしか自然と交際の始まるような……そんなこと、あるはずもないのに。


約束したわけでもないのに。


ただ勇気が出なかっただけの言い訳は、湯水のように溢れ出てきました。




――――――――




花陽「真姫ちゃんが凛ちゃんに告白したときね、私……嬉しかったんだよ?私の大好きな二人が付き合うことになって、とっても嬉しかったの……でもね……やっぱり、ちょっぴり寂しくて……泣きそうになっちゃった」


海未「……………………」




――――――――




私もです。


だけど、泣くに泣けなかった。


それはあの二人を否定することになるのですから。


何故私でないのですかと。


何故横から拐うようなことをするのですかと。


私だけのものなのに。


そんなことを言う資格も思う権利も、誰にも有りはしないのに。


花陽を見れば、今にも泣きそうに身体を小さく震えていました。


スカートの裾をギュッと握って。


告白の瞬間を見ちゃうなんて、二人に悪かったかな……アハハ……


取り繕った笑顔を見るのが、心苦しくなりました。


だから――――――――


私は――――――――



――――――――




海未「……泣くことが出来ないなら、せめてその憂いは、私が片棒を担ぐことで楽にはなりませんか?」


花陽「……海未……ちゃん?」


海未「花陽……穂乃果とことりも、付き合うことになりました」


花陽「穂乃果ちゃんと……ことりちゃんが……?」


海未「ええ。……花陽、私も同じです。思い続けた愛しい人が、大切な友人と交際することとなり、どこか寂寥感のようなものを抱いています」


海未「けして憎くはないのです。それでこの先、関係が崩れることを望むはずもなく、関係を崩すこともしたくはない。無論、二人を愛憎故に傷付けることなどもっての外です。ですが……このやり場の無い思いは、一人で抱え込むにはツラいのです。張り裂けそうに脈打つ鼓動も、耳の奥でつんざくような耳鳴りも……私は花陽の苦しみを、花陽は私の苦しみを、お互いに少しずつ分けあうというのはどうでしょう」


花陽「……どういう……こと?」




――――――――




どうやら神様は無く、いたのは……冷たい血の悪魔だったようです。




――――――――




海未「花陽、私と付き合ってはみませんか?」




――――――――




腕を引き、身体を抱きしめ、耳元で甘く囁き、頬を撫で、目を見つめ、唇を重ねる。


唇を離すと、今度は花陽から唇を重ねてきました。


これが返事だと言わんばかりに。


なんの感動も無い……それは花陽も同じ。


なんと滑稽な。


なんと醜悪な。


そう思うのも無理はないでしょう。


お互いに、欠けたものを埋めるためだけの共依存。


誰でもいい。


花陽である必要も、私である必要も皆無。


ただ、都合が良かっただけのこと。


穂乃果と凛の代替品として。


恋愛という、光より眩しく、炎よりも熱い、何よりも尊い感情の一片も、ここには有りはしなかったのですから。




――――――――




花陽と付き合うことになってから、一週間。


穂乃果とことり、凛と真姫たちが幸せそうに毎日を謳歌するのと同じくして、私たちも仲を睦まじいものにしていました。


私たちの仲は、誰にも話してはいません。


騒がれるのは好きではありませんし、穂乃果とことり、凛と真姫は、きっと私たちに気を掛けるでしょうから。


何よりも……話せるほど誇らしいものでもないことです。




――――――――



花陽「海未ちゃーん♪ご飯炊けたよー♪」


海未「花陽……家に泊まりにと呼んで、さっそく食事というのはどうなのですか?」


花陽「ううっ……だって、練習たくさん頑張って、お腹すいたから……」


海未「ほどほどにしておかないと、またすぐダイエットする羽目になるんですよ。日頃から節制していれば、そんなことにもならないでしょうに」


海未「三食をしっかり食べるのは基本中の基本ですが、食べ過ぎは論外です。間食も本当は抑えるべきなんですよ。わかっていますか?はな――――」グウゥ


花陽「……………………」


海未「~///」カアァ


花陽「……おにぎり、食べる?」つ△


海未「……いただきます///」ハムッ


花陽「おいしい?」


海未「ええ……とても」


花陽「よかった♪」


花陽「海未ちゃん、ご飯つぶついてる」


海未「んむ?」


花陽「」ペロッ


海未「……………………///」


花陽「おいしいね、海未ちゃん♪」


海未「…………ええ」


海未「そういえば、ご両親の姿が無いようですが」


花陽「町内会の慰安旅行だって。明日の夜には帰ってくるみたいだよ?」


海未「そうですか……」パクッ


花陽「……海未ちゃん」


チュウ


プハッ


花陽「エヘヘ……甘いね」


海未「……食事中ですよ。甘いのは、お米のせいです」


花陽「うん。そうだよね……」




――――――――




甘いはずがないことなど、わかっているでしょう。


なんせ、私たちは……お互いを好いてはいないのですから。


足りないものを埋めるだけの、ギブアンドテイクの関係。


恋人ごっこと言うならばそうでしょう。


つまりは……ただの慰め合いです。




――――――――




花陽「お風呂湧いたけど……一緒に、入る……よね?」


海未「ええ。もちろんです。私たちは、恋人なのですから」


花陽「うん……///」




――――――――




私は凛の代わり。


花陽は穂乃果の代わり。


それを理解し、受け入れた。


愛情などまるでない、酷く歪んでいることをわかっていながら、私たちはお互いを求めました。


お互いを見ようとはせず、重ねた影に思いを馳せるだけで。




――――――――




花陽「気持ちいいね」


海未「ええ」


花陽「狭くない?」


海未「強いて言うなら、花陽の胸が邪魔ですね」ツンッ


花陽「ぴゃあ!?う、海未ちゃんっ!」


海未「フフ、つい。羨ましいと思いまして」


花陽「う、海未ちゃんだって……スタイルよくて……羨ましいよぅ……。この控えめな胸も……まるで、凛ちゃんみたいで……」ツウゥ


海未「っ……///」


花陽「感じる?」


海未「……………………っ」


チュッ


花陽「ん///」


海未「続きは、ベッドの上にしましょう……」


花陽「……ガマン、したくないの」


海未「はな――――」


ンムッ




――――――――




小さな浴槽の中で、私たちは唇と肌を重ね合わせました。


濡れた髪を掻き上げ、首もとに舌を這わせる。


白い肌に吸い付き、小さな赤い点を作った。


爪が背中をを柔らかく引っ掻くのがくすぐったくて、ピクンと身体を震わせてしまったり。


胸を……腹部を……大腿を……お湯の中で指が秘部に触れる。


慣れない手付きで、探り探りで。


時折口の端からもれる声が、色香を増しているようにも思えました。


憂い潤んだ瞳……上気する息遣い……


もしも……私が花陽を"ちゃんと"好きだったら……


もしも……花陽が私を"ちゃんと"好きだったら……


これはどれだけ……甘美な時間に成り得たことでしょう……




――――――――




花陽「お願い……海未ちゃん……。にゃあって……言ってくれないかな……?」


海未「……にゃあ」


花陽「丁寧な言葉遣いもやめて……自分のこと……名前で……呼んでくれないかな……?」


キュッ


花陽「ほら……私も……サイドテールにしてみたよ……。どうかな、海未ちゃん……」


海未「……かよちんがそれを望むなら、海未は……そうするにゃ」




――――――――




また重ねた唇は、もはや苦くしかなく……


そんなことをしても、なれるはずなんかないこと……私たちは、わかっているのに……


口の中に滑り込ませる舌を絡ませながら、頬に涙を伝わせた……


好き……


胸に歯を立てて。


好き……


秘部に指を沿わせて。


大好き……


強く身体を抱きしめながら、喘ぎ声と嗚咽とを混じらせて、けしてお互いにではない無情な愛の言葉を囁く私たち。


愛してる……


実るはずのない目の前の恋。


私たちは……これが間違いだとしても、お互いを求め続けるのでしょう。


お互いを見ぬまま。


二度と叶うことのない恋を抱いて。




――――――――




花陽「好きだよ……凛ちゃん……」


海未「海未もだよ……穂乃果……」




――――――――




そして私たちはまた口付ける。




吐瀉物のように込み上げてくる、途方もない不快感を甘露として呑み込みながら。




誰も正さない過ちであるも。




たとえそれが、どれだけ歪んだ形だとしても――――――――


後書き

報われない恋とかわりと好きですが、どうでしたか?

感想と次回作希望あったらコメよろです。


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SS好きの名無しさんから
2016-05-16 23:27:27

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1: SS好きの名無しさん 2016-05-16 23:27:20 ID: FnQgl-Uj

やべえ切ない


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