穂乃果「ほんとうにあった怖い話」
身の回りにありふれた恐怖を、ごくごく短編でご堪能くださいませ……
穂乃果「なんでもないときに、ふと、誰かの視線を感じることってない?」
穂乃果「夜一人で歩いてるとき、お風呂で髪を洗ってるとき、そうやってスマホやパソコンを触ってるとき」
穂乃果「私もあるよ。そういうこと」
穂乃果「バッ!って後ろを振り返っても、だーれもいない」
穂乃果「気のせい気のせい」
穂乃果「……そう思う?」
穂乃果「本当に誰かが見てるのかもしれないよ?」
穂乃果「これは、実際にあった話なんだけどね……?」
――――――――
穂乃果「たっだいまー」
穂乃果「って、そういえば今日は誰もいないんだっけ。まったく~、私を置いて出掛けちゃうなんてプンプンだよ」
穂乃果「でもその分一人を堪能しちゃうもんね~♪」
穂乃果「ベッドの上でだらしなくゴロゴロしちゃうよ~♪」
穂乃果「意味もなく廊下で反復横跳びとか~♪」
穂乃果「冷蔵庫に羊羮発見!あんこ飽きたけどいっただっきまーす♪」
穂乃果「おっと、ちゃんと宿題もやらないと~♪……海未ちゃん怒るし……」
穂乃果「たまにはお掃除だってしちゃうも~ん♪机の引き出しも~、箪笥(たんす)の中のお洋服も~♪」
穂乃果「ぃよーっし、お風呂にも入っちゃうぞ~♪」
穂乃果「ん~♪一人最高~♪ビバ一人~♪」
ジーッ
穂乃果「!!」バッ
穂乃果「……今、誰か……いた?」
穂乃果「き、気のせいだよね?」
穂乃果「ね、ねぇ……誰か……いるの?」
穂乃果「な、なーんちゃって!一人言だけど!」
穂乃果「うぅ……なんかおトイレ行きたくなっちゃった……」
穂乃果「……よし、ススメ➡おトイレ!怖くなんかないもんねー!」
テクテク
テクテク
テクテク
テクテク
ピタッ
ピタッ
……テクテク
……テクテク
テク…
テク……
穂乃果「!!」バッ!
穂乃果「今……誰か着いて来て……そ、そんなはずない!そんなはずないよね!!」
穂乃果「この家には今私だけなんだもん!」
穂乃果「…………私だけ……だよね?」
「そうだよ?」
穂乃果「!!!」バッ
シーン…
穂乃果「……だ、誰……?」
穂乃果「ねぇ……誰かいるんだよね……?」
穂乃果「ねぇってば!!ねぇ!!誰!?隠れてないで出てきてよ!!」
穂乃果「……やだよ…………怖いよぉ」
「怖がる穂乃果ちゃんかわいぃよぉ」
穂乃果「――――――――」バタッ
………………のか
………………ほのか
………………穂乃果
海未「穂乃果!!」
穂乃果「!!」
海未「よかった、目を覚ましましたか……」
穂乃果「海未……ちゃん?」
海未「ええ」
穂乃果「どうして……」
穂乃果「……あれ、私……」
海未「理由はわかりませんが、倒れていたようですね。どこか痛むところはありませんか?」
穂乃果「うん……大丈夫……。そっか……私倒れて……」
海未「安心しました。何も無いなら何よりです。ところで穂乃果」
穂乃果「?」
海未「どうして私の家に?」
――――――――
穂乃果「あのときの声は誰のものだったのか、それは今でもわからない」
穂乃果「ただ一つはっきりしているのは、私が海未ちゃんにこっぴどく怒られたという事実のみ……」
穂乃果「私はただ……海未ちゃんの家に勝手に入っただけなのに……」
穂乃果「いつもみたいに……ね」
ようは人間が一番怖いっていうことです。
それにしても、穂乃果ちゃんに語りかけたあの声は、いったい誰だったんでしょうね……?
もしかしたら、あなたにも語りかけるかもしれませんよ?
ほら、今もあなたの後ろに……
「ちゅんちゅん」
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