みほ「ボコの配置が変わってるんだけど、誰か動かした?」
みほ「昨日ご飯会したよね?」
みほ「今朝ボコのぬいぐるみの配置が変わってるのに気がついたんだけど、誰か動かした?」
華「私は何もしてませんよ」
優花里「てか配置決まってたんですね~」
麻子「わざわざ動かす奴なんているのか」
沙織「なんかみぽりんってそういうのこだわりありそうだし」
みほ「ふぅん...」
沙織「そんなに気になるの?」
華「何かの勘違いということもありますし、そこまで気にすることではないかと」
みほ「うーん・・・」
みほ「実は、ボコ以外にも色々と物の配置が変わってるんだよね・・・」
麻子「たとえば?」
みほ「いつも制服置いてある位置に別の服が置いてあったり、下着が不自然なところに落ちていたり・・・」
沙織「それを早く言ってよ!!!!」
みほ「いや、服や下着については何かの勘違いということもあるだろうけど、ボコの位置を変えるのはありえないから」
優花里「えぇ...」
みほ「優香里さんだって、気づいたら部屋のプラモの位置が変わってるとか、テレビの上に置いてある砲弾の数が変わってるとかいうことないでしょ?」
優花里「!!!!それはありえないことであります!!!!」
沙織「ふ、ふーん...」
華「それで、みほさん。そういうことが起こるのは、昨日が初めてなのですか?」
みほ「うーん、思い返せば、一週間前からおかしいなと思うようなことはあったような・・・」
みほ「でもボコの位置を変わったのは昨日が初めてだよ」
沙織「みぽりん、もうボコはいいから」
みほ「はい」
麻子「しかし、そうすると、誰かが一週間前から頻繁に部屋に侵入してる可能性があるということか?」
優花里「ボコの配置が変わってることに朝気がついたということは、恐らく夜、西住殿が寝てる間に・・・」
華「大変じゃないですか」
沙織「もしそうだったらどうするのみぽりん」
みほ「え、うーん・・・」
沙織「引っ越そう!今すぐ!私の部屋に来てもいいから!!!」
みほ「え、えぇ...」
華「まあ、まだ住居侵入があると決まったわけじゃありませんし、ここは事実をはっきりさせないと」
沙織「よし!じゃあ今日はみんなでみぽりんちに泊まろう!」
麻子「四人でか?」
沙織「5人一緒なら大丈夫だよ!」
優花里「そういうことではなく・・・西住殿に迷惑ではないですか?」
沙織「どう、みぽりん?」
みほ「うーん・・・布団の数が足りないかもだけど、それでいいなら・・・」
沙織「オッケー!?それじゃあみんなでみぽりんちにレッツゴー!」
*
西住みほの部屋にて
みほ「なんか、2日連続ご飯会になっちゃったね」
沙織「いいじゃんいいじゃん、楽しいし」
華「ふう、お腹いっぱいです」
優花里「それで、問題はこの後のことですよね」
みほ「あ、どうしよう。案の定布団足りない。」
沙織「幾つあるの?」
みほ「2組」
麻子「足りないどころの話じゃ・・・」
沙織「私はみぽりんと一緒にベッドで寝るとして、あとの3人は・・・」
優花里「あー、ずるいであります!私も西住殿と寝たいであります!」
みほ「言い方...」
華「ではわたくしも」
麻子「私も立候補するぞ」
優花里「そんなぁ」
沙織「みぽりんは誰と一緒に寝たいの!?」
みほ「え、うーん・・・」
みほ「そうだ。布団を2つとも床の上に敷いてさ、みんなで一緒に寝ようよ」
麻子「そんなスペースあるのか?」
みほ「ベッドをつって移動させよう」
優花里「手伝わせてください!」
華「わたくし達はお布団を敷きましょうか」ズルズル
沙織「そうだね」ズルズル
優花里「さぁ仕度も出来たことですし、寝ましょうか」
みほ「えー、もう寝ちゃうの?」
沙織「特にすることもないんだしいいじゃん」
華「それに夜のお喋りは消灯後からが本番ということもありますしね」
麻子「私ももう寝たい」
みほ「ならもう寝ちゃおうか」
沙織「じゃあみんな早くお布団の中に入っちゃって!」
沙織「はい電気消すよ!おやすみ~」パチッ
みほ「・・・・・・・・・・」
華「・・・・・・・・・・」
麻子「・・・・・・・・・・」
優花里「・・・・・・・・・・」
沙織「・・・・・・・・・・」
沙織「・・・あれ?」
沙織「みぽりん?」
みほ「zzz...」
沙織「華ぁ?夜のお喋りはこれからが本番って・・・」
華「zzz...」
麻子「zzz...」
優花里「zzz...」
沙織「なんだ。みんなソッコーで寝てんじゃん」
沙織「私も寝ようっと」
沙織「zzz...」
数時間後
ガサゴソガサゴソ...
沙織「・・・ん?」
みほ「・・・・・・」テクテクテク
沙織「あれ?みぽりんどこ行くの?」
みほ「・・・・・・」テクテクテク
沙織「ちょっと、ボコのぬいぐるみなんか持ってどうするの?」
沙織「みぽりんってば」
みほ「・・・・・・」
沙織「???返事してよ」
華「ちょっと、沙織さん沙織さん」
沙織「あれ、華起きてたんだ。みぽりんが変なんだよ」
華「わたくしも先程から見ておりました。もしかしたらみほさんは眠ったままなのかもしれません」
沙織「え?」
華「眠っている時に無意識に行動してしまう、そんな症状をお持ちの方がいらっしゃると聞いたことがあります。もしかしたら、みほさんも」
沙織「病気でってこと?それにしては足取りがしっかりしてるけど・・・」
沙織「あ、今みぽりんがボコのぬいぐるみの位置変えた」
華「部屋の中の物の位置が変わるのも、夜中にみほさんが無意識にやってることだとしたら辻褄が合いますね」
沙織「そしたらみぽりんの部屋に侵入者なんていなかったってことか、よかったー」
華「果たしてそこまで喜べることでしょうか...」
沙織「え?でも夜中に部屋の中をうろつきまわるだけだったら、そこまで心配することないんじゃない?」
華「部屋の中をうろつきまわるだけなら、そうですね。でも見てください」
みほ「・・・・・・」ヌギヌギ
沙織「みぽりんがパジャマを脱いで着替えだしてる・・・あ、制服着た」
華「でもあれは大洗の制服じゃありませんね。転校前の、えーと、なんて名前でしたっけ?」
沙織「黒森峰だよ。でも、なんで黒森峰の制服なんか・・・」
みほ「・・・・・・」ガチャッ
沙織「あ、出掛けてった」
華「あとを追いましょう。起きてください秋山さん」
優花里「・・・うーん・・・何でありますか・・・?」
華「みほさんが眠ったままどこかへ行ってしまわれたんです」
優花里「えっ。それはどういうことでありますか!?」ガバッ
沙織「ほら、麻子も起きて」
麻子「む・・・朝・・・か?」
麻子「違うじゃないか・・・おやすみ」
沙織「大変なことになってるの!だから起きて!」
麻子「大変なことになってても無理なものは無理だ」
沙織「もー」
沙織「みぽりんがオバケにとり憑かれてるかもしれないのに」
麻子「オバケ!?」ガバッ
沙織「あ、起きた」
*
路上にて
沙織「みぽりんどっちに行った?」
華「うーんと・・・」
優花里「あ、あっちにいますよ」
沙織「うわ、不用意に横断歩道渡ってるよ。危ないから起こした方がいいんじゃないの?」
華「それはどうでしょう」
華「中途半端に起こした方がむしろパニックに陥りやすいと聞いたことがありますし、それに」
華「このままみほさんが何処へ向かおうとしてるのか、気になりません?」
麻子「確かに」
優花里「ちょ、変なところに着いてしまったりしたらどうするんですかー!」
沙織「学園艦の上だから変なところなんて特に無いと思うけど・・・」
華「あ、みほさんが角を曲がっていきますよ。追いましょう」
優花里「了解です!」
みほ「・・・・・・・・・」スタスタ
沙織「わわ、みぽりん歩くの速い~」
麻子「ずいぶん迷いなく歩いてるな」
みほ「・・・・・・・・・」スタスタ
華「どこか目的地があるのでしょうか」
優花里「わ、私の家とか...」
沙織「え?今なんて?」
優花里「なんでもないであります」
みほ「・・・・・・」スタスタ...
みほ「・・・・・・」ピタッ
華「あら、止まりましたわ」
沙織「でもここただの道端ですよね?」
麻子「分からんぞ。私達にはそう思えるというだけかも・・・」
みほ「・・・・・・・」
みほ「・・・・・ココジャナイ・・・」
みほ「・・・・・・」クルッ
華「あ、みほさんが来た道を戻り始めましたね」
優花里「帰るのでしょうか?」
麻子「それ以外考えれんだろ」
沙織「一体ここに何しに来たってわけ?」
優花里「さぁ・・・」
沙織「もういいや。起こそう?これ以上あんなみぽりん見てられないよ」
沙織「みぽりん!」
みほ「・・・・・・ん?」
沙織「みぽりん!起きて!どうしたの?」
みほ「・・・はっ、あれ?私どうしてこんなところに?」
沙織「みぽりん、自分の足でここまで来たんだよ?覚えてないの?」
みほ「え・・・いや・・・まったく・・・」
麻子「これが最近の不可解な現象の原因だったんだ」
みほ「ど、どいうこと?」
*
3日後の朝、西住みほの部屋にて
みほ「うぅ・・・なんだか寝たはずなのにすっきりしない」
みほ「昨夜も夜中に歩き回ってたのかなぁ・・・?なんかまた部屋のものの配置が違う気がする」
みほ「ああ、やっぱりそうだ。写真立ての横のボコが6体になってる。5人で写った写真だから5体置いてあるのに・・・」
みほ「どうしよう、お医者さんとか行くべきなのかなぁ?でも、そのためにわざわざ学園艦を離れるとなると届け出も要るし、お母さんやみんなに心配かけちゃうかも・・・」
みほ「今日から夏休みだし、もうすぐ寄港するからその時に・・・」
ピンポーン
みほ「ん?」
みほ「はーい」
沙織「みぽりーん、私達だよー」
みほ「あ、今開けるね」ガチャ
優花里「西住どの!おはようございます!」
華「あの、もう支度は済んでおりますか?」
みほ「支度って・・・」
昨日の沙織『お出かけ出来るように荷物まとめといてね!』
みほ「ああ、うん。一応簡単には。でも朝から出かけるんだね?」
沙織「いつから出かけると思ったの?」
みほ「だって、麻子さんがいるから・・・」
麻子「うぐ」
沙織「あっははは」
みほ「じゃ、ちょっと待っててね」
沙織「はぁい」
みほ「ところで、今日はどこ行くの?学園艦の中?」
沙織「ふふ・・・今日は特別に会長から許可を頂いて」
沙織「小旅行しちゃいます!行き先は熊本!」
みほ「え、熊本って・・・」
華「みほさんのご実家があるところですよね?」
優花里「やはり、西住殿にとっては迷惑なのではないですか?別に無理して私達に合わせることはないのですよ?」
みほ「い、いや、無理してるとか、そんなことはないよ」
みほ「私が観光ガイドになればいいんだね。分かった、行こう」
沙織「ホント!?ありがとう!みぽりん」
沙織「さ、そうと決まったら早く行こう。船の時刻に間に合わないよ」
みほ「う、うん」
優花里「うまくいきましたね、冷泉どの」コソッ
華「しかしなんで、みほさんをご実家にお連れしようというのですか?」コソコソ
麻子「夢遊病の原因は、ストレスであることが多いようだ」
麻子「夢遊している際に黒森峰の制服を着ていたことを併せて考えると、西住みほを発病までに至らせるストレッサーは実家のことだと結論づけるのが普通だろう」
華「なるほど。お母様と和解すれば、ストレスも改善してご病気もおさまるというわけですね」
優花里「うまくいくでしょうか・・・」
麻子「分からん。それはこれから次第だ」
*
熊本・バス内にて
みほ「・・・あれ、こっちって私の家がある方じゃ・・・」
沙織「あのねみぽりん。これを機に、ちゃんとお母さんと仲直りした方がいいと思うの」
みほ「やっぱり、そういうことだったんだ・・・」
華「悪く思わないでください。でも、最近みほさんの体調が悪い原因は、そのことにあるのではないかと」
みほ「私のこと気遣ってくれたんだね・・・でも・・・」
車掌「次停まりまーす」
沙織「ほらみぽりん、着いたよ。降りよう」
みほ「うん・・・」
優花里「ふー、降りてみると、バス停以外には何も無いところですねー」
麻子「だから戦車とかも乗り回せるんだろうな」
沙織「ここから近いの?みぽりんの家は」
みほ「ていうか、すぐそこ」
みほ「ちょっと待って、心の準備が・・・」
沙織「みぽりん・・・」
華「みほさん・・・」
優花里「西住どの・・・」
まほ「みほ・・・」
みほ「お姉ちゃん・・・ってあれ!?」
沙織「みっ、みぽりんのお姉さん!?いつからそこに立ってたんですか!?」
まほ「君達がバスから降りた時くらいからだ。」
まほ「それより、みほ。また戻ってきてくれたんだな」
みほ「お姉ちゃん・・・」
まほ「家、あがっていくか?」
みほ「あっ、それは・・・その・・・」
華「あの、それでは、ちょっとここら辺を散歩してみませんか?」
まほ「散歩?特に観光するところはないが・・・」
華「そういうことじゃなくて。みほさんが夢遊してた時に、どこへ行こうとしてたのかを知りたいんです」
沙織「どうやって?」
華「実は、あの時みほさんが辿った道筋を細かく記録しておいたんです」
華「何ブロック直進したとか、何個目の信号で右に曲がったとか、そういうことを」
沙織「あーなるほどね。今度はその出発点をみぽりんの実家にしみようというわけね」
麻子「でも、学園艦とこことじゃ道の作りが違うから・・・・」
優花里「確かにそうですけど、1回試してみる価値はありそうです」
みほ「そうだね」
華「では早速参りましょうか」
優花里「了解!前進!」
麻子「おー」
沙織「あ、みぽりんのお姉さんも一緒に行きますか?」
まほ「うん、勿論。それより、さっきから何の話をしてるのか分からないのだが・・・。みほに何かあったのか?」
沙織「それが・・・みぽりん、最近体調を悪くしちゃったみたいで・・・」カクカクシカジカ
まほ「夜中に歩き回って・・・か、そんなことがあったなんて」
まほ「電話で私に相談してくれればよかったのに・・・」
沙織「お姉さんに心配かけたくなかったんだと思いますよ」
まほ「ふうん。しかし、それってホントに夢遊病なのか?」
沙織「え?」
まほ「症状が微妙に違う気がするんだが・・・」
沙織「そうなんですか?」
まほ「あ、いや、私も夢遊病については医者志望の友人に聞いたことがあるだけだ。いい加減な知識だから気にしないでくれ」
沙織「はぁ・・・」
華「ちょっと沙織さん、お姉さん、次のところ右に曲がってくださいね」
沙織「あ、はーい」
まほ「右に?森の中に入っちゃうじゃないか」
華「うーん、そうなんですよね・・・」
みほ「まぁでも行ってみようよ」
華「そうですね。森の中に入った後は真っ直ぐ進むだけみたいですし」
優花里「そうと決まれば草をかきわけパンツぁーフォーであります!」
沙織「なんかゆかりんってこういうサバイバル感溢れるところになればなるほど生き生きしてくるよね。」
沙織「森の中歩くなんて疲れるだけなのに・・・」
麻子「細かい起伏が多い」
優花里「私は小さい頃からこういうところを見つけては一人サバイバルごっこをやっていたので馴れてるであります!」
「アッハハハハハハ」
優花里「あー、そんなに笑わないでくださいよ!酷いであります!」
みほ「え?」
華「はい?」
麻子「誰も笑ってないぞ」
沙織「みぽりんのお姉さん、笑いました?」
まほ「いいや。」
沙織「と、いうことは・・・」
沙織「ゆかりんにだけ聞こえる謎の声・・・」
麻子「おい、やめろ」
沙織「もう出られない!呪われた森に入りし6人の運命やいかに・・・」
麻子「やめろやめろ」
沙織「あっははは~」
麻子「まったく沙織は・・・単なる空耳ではしゃぎすぎだ」
優花里「やっぱり空耳ですよね。結構はっきり聞こえたと思ったんですけど・・・」
「ミツケタヨ...ウフフ」
優花里「!?」
優花里「なんか今、また何か聞こえたような・・・」
優花里「また空耳か・・・朝早く起きたせいで疲れてるのかな?」
沙織「ほらみんな、立ち止まってないで早く行こう!」
みほ「ちょっと待って。何か看板があるよ?」
『この先 危険』
華「危険って何でしょう?」
沙織「わかんないけど、ちょっとくらい行ってもいいでしょ。私が行ってちょっと見てくる」
麻子「慎重にな」
沙織「わかってるわかってる」テクテクテク
沙織「あー・・・」
優花里「ど、どうなっているのでありますか!?」
沙織「あのねー、そっからじゃ分かんないと思うけど、この先崖になってるんだよー。下は海~」
華「そうなんですかー」
まほ「なるほど、緩やかな上り坂になってて、しかも視界が悪いから、先が崖になってることに気づきにくいのか」
優花里「夜に自転車とかでこの道を走ると、もしかしたら勢い余っておっこちちゃうかもしれませんね」
華「ん?ということは、もしみほさんがこちらで夢遊していたら、崖から落ちていたということですか?」
みほ「えっ」
まほ「なんだと」
華「あくまで、あの時と同じルートを辿れば、という話ですけれど」
優花里「不気味ですねぇ・・・」
麻子「おいおい・・・」
沙織「ま、でもただの偶然でしょ?深く考えることないよ」
まほ「ん?ちょっとまてよ...」
優花里「どうかしましたか?」
まほ「この場所・・・確か・・・」
みほ「ここがどうかしたの?お姉ちゃん」
まほ「確かこの場所、昔戦車道の事故があったところだと思う」
沙織「うぇっ、それは本当なんですか?」
まほ「古い話だが・・・詳しいことは家に帰って資料を見ないと分からん。家に戻ろう」
みほ「え・・・」
華「家にはお母様がいるのでは・・・」
まほ「ああ、母は今日は仕事で夜まで帰ってこないぞ?」
みほ「そうだったの!?」
沙織「なーんだ、だったらこんな変な散歩することなかったじゃーん」
優花里「先に言ってくださいよ~」
まほ「・・・訊かれなかったのだが」
麻子「なんでもいいが、早く行かないか?なんだかここは気味が悪い」
*
西住邸にて
まほ「みんな飲み物でも飲んで待っていてくれ」
沙織「はーい」
まほ「えぇと・・・ここだったかな・・・」ガサゴソ
みほ「そ、そこの本棚、勝手にいじくっていいの?お母さんの仕事関係のじゃ・・・」
まほ「戦車道の仕事なら、私達にも関係あるだろう」
みほ「ふ、ふーん」
みほ「昔の話って言ってたけど、いつぐらいのことなの?」
まほ「お母さんが高校生の頃だ。あ、あった」
まほ「みんな見ろ。これだ」
沙織「これは・・・古い写真?」
優花里「こっちは新聞記事ですね」
まほ「地方紙でしか報道されなかったから、あまり有名じゃないんだが、黒森峰女学院の3号が練習試合中に崖から落ちた。地図的に、あそこの崖だろう」
まほ「そして残念ながら5名が死亡した・・・」
みほ「3号は5人乗りだもんね」
まほ「実はその3号にお母さんは乗る予定だったんだ」
沙織「え!?みぽりんのお母さんは崖から落ちて助かったの!?」
華「乗る予定だった、ですから、乗らなかったのでは?」
まほ「うん。事故当日は風邪をひいていたらしい」
まほ「それで、この写真だ」
まほ「チーム3号の集合写真だ。年度始めに撮ったものらしい」
麻子「6人いるな」
沙織「5人乗りの3号なのに、チームは6人なんですか?」
まほ「は?補欠がいるだろ普通」
華「うちにはいませんねー」
みほ「人数がギリギリだから・・・」
優花里「誰かが体調崩して休んだりしたら危なかったですねー」
沙織「ねー、誰かが朝起きなかったりとか」
麻子「うるさい。最終的に遅刻しなかったからいいだろ」
みほ「あはは・・・」
まほ「その右端の一年生の子・・・それが補欠で、事故の日母の代わりに入って操縦手をやっていたのだが、まだ砲の音にも馴れてない初心者だったらしい。」
まほ「練習試合なんか無理して出ることないのに、他の人に迷惑かけまいと無理して頑張ってたんだろうな・・・」
みほ「かわいそう・・・」
優花里「えぇ・・・」
華「・・・・・・」
沙織(なに、この湿っぽいムード)
沙織(旅行に来たのに、こんなの嫌だ!)
沙織「あ!この真ん中の人がみぽりんのお母さんですか!?」
まほ「そうだよ」
沙織「わあ、やっぱり!みぽりんに似てるからすぐ分かっちゃった」
優花里「ほんとだ。髪型が違いますけど、顔がそっくりです」
麻子「意外だな。性格は全然違うのに」
みほ「性格はお姉ちゃん、容姿は私に遺伝したのかな」
まほ「そうか?私とお母さんだって性格は似てないぞ?」
まほ「だいたい私はみほを追い出したりしない。むしろ・・・」
みほ「ありがとう、お姉ちゃん」
沙織「あ、そうだ。お母さんで思い出した。結局みぽりんはお母さんと話してくの?」
華「夜まで待てば、お会いできるのですよね?」
まほ「うん。だけど、今日はやめといた方がいいかもな」
みほ「なんで?」
まほ「今日の仕事はストレスの溜まるものらしくてな、多分イライラして帰ってくる。そんな時に話し合いを持ち込むのは、得策ではない」
みほ「そっか・・・」
沙織「じゃあ日を改めます。数日間こっちに滞在する予定なんで」
みほ「え?」
麻子「おい、日が傾きかけてるぞ」
優花里「長居してしまいましたね」
華「ではわたくし達はこれでお暇しましょうか」
まほ「別にもうちょっといてもいいんだぞ」
みほ「ありがとう。今度は二人だけでゆっくり話したいね」
まほ「ああ。またな、みほ」
みほ「またね、お姉ちゃん」
沙織「お邪魔しましたー」ガラガラガラ
まほ「・・・・・・・」
まほ「久々に家が賑やかだったな」
まほ「変な話をしてしまったが、気分を害してないだろうか」
まほ「死んでしまった人の写真を見るというのは、なんだか妙な気分になるものだからな・・・」
まほ「・・・・・・・」
まほ「そういえば確か、あのみほの友達の話では、みほが夢遊してる時にボコのぬいぐるみの位置を動かしたとか」
まほ「あんこうチームの5人が写る写真にみたてて置いてある5つのボコのぬいぐるみの横にもう1つを置いた・・・」
まほ「つまり、5に1を足した・・・?それが意味することって・・・」
まほ「いや、ちょっと考えすぎか」
*
路上にて
沙織「んー。船に乗ったりバスに乗ったりしたから疲れちゃったね」
華「少し早いですけど、宿に向かいましょうか」
みほ「泊まりだったんだね」
沙織「なんだかんだでみぽりんには言ってなかったね」
麻子「着替えとかパジャマとか持ってきてるか?」
みほ「いいや・・・」
沙織「だろうねその鞄の小ささじゃ」
華「困りましたね、変にサプライズみたいにしようとするからですよ」
沙織「えー、でもさ、5人で旅行するってなったらさ、みぽりんのことだから仕事分担しようとするじゃん?」
沙織「でも今回はみぽりんに仕事させたくなかったんだよね」
優花里「なるほど」
麻子「思いやりゆえのすれ違いだな」
みほ「すれ違いとまでは・・・」
沙織「でもごめん!代わりに私の服貸すから!」
みほ「え、じゃあ沙織さんはどうするの?」
沙織「私は2日連続で同じ服着るから!」
華「こないだ、同じ服を洗わないで着るのは女子失格だって仰ってませんでした・・・?」
沙織「いいもん!みぽりんのためなら女捨てる!」
みほ「い・・・いやいや、町に行けば何か買えるからいいよ」
麻子「それより早く落ち着かないか?疲れた」
沙織「そうだったそうだった」
みほ「泊まるとこ探してあるの?」
華「沙織さんが担当でしたよね?」
沙織「そうだったんだけど、実はゆかりんがどうしても代わってほしいって言うから、代わったんだよ。ね、ゆかりん?」
優花里「はい!準備万端であります!」
華「何処を予約なさったんですか?おいしいものが食べられるところですか?」ワクワク
優花里「予約などしておりません!」
沙織「・・・へ?」
麻子「嫌な予感・・・」
優花里「名付けて、サバイバルキャンプin熊本!!!」
みほ「つまりそれって・・・」
優花里「キャンプに必要なテント、ランプ、おいしいレーションは持ってきておりますよ!ご安心下さい!」
みほ「ノープランってやつだよね・・・?」
優花里「!なぜでありますか!?こんなに計画的なのに!」
沙織「いやだって、どこにテント張るの?って話でしょ?」
優花里「場所なら、無限に広がっているじゃないですか!」
みほ「多分殆ど私有地だよ・・・」
華「そういうのはキャンプ場でやりませんとー」
優花里「えー、だってキャンプ場でのキャンプはサバイバル感が足りないじゃないですか。こう、明日はどうなるか分からない感じが・・・」
沙織「なくていいよ」
麻子「どうするんだ?結局」
華「今からホテルか旅館、取れるでしょうか?」
みほ「街に出ればカプセルホテルとか・・・あったかなぁ?」
沙織「変なとこやだよ。ネカフェとか」
麻子「今から街へ行くと、着く頃には夜だな。それで、もし宿が見つからなかったらどうするんだ?」
華「どうしましょう・・・」
優花里「ここはやはりサバイバ・・・」
麻子「だまれ」
沙織「みぽりん!ここら辺でどっか泊めてくれる人いないの!?」
みほ「え・・・それ、他人の家にお邪魔するってこと?」
沙織「みぽりんのローカルな人脈を生かしてさあ!お願い!」
みほ「うーん・・・そう言われても・・・あ」
*
エリカ「はぁ!?うちに泊まりたい!?」
みほ「エリカさんって一人暮らし・・・だったよね?お願い!」
エリカ「あなた一人ならいいけどさぁ・・・」
沙織「えへへへ」ニヤー
エリカ「5人て・・・」
みほ「お願い!エリカさんしかいないの!」
エリカ「・・・分かったわ」
エリカ「その代わり、不便があっても、例えば断食するようなことになっても文句は言わないことね」
みほ「ありがとう!」
沙織「やったーーーー!」
麻子「ホッとしたぞ・・・」
華「親切な方ですねー」
エリカ「べっ、別に・・・」
エリカ「泊めてあげるだけよ。食べ物とかも無いんだし・・・」
優花里「それはご心配なく!こういう時のためのレーションです!」
沙織「えーそれ殆どただの缶詰じゃん」
沙織「コンビニ無いの?私行って弁当でも買ってくるよ?」
エリカ「コンビニ・・・あるにはあるけど・・・」
みほ「・・・ここからバイクで片道30分くらいのところに」
沙織「えー・・・」
エリカ「というか、缶詰があるならこれ使って何か作ればいいじゃない」
エリカ「スパムもあるみたいだし、これだったらチャーハンくらい作れるわよ」
みほ「い、いいの?ご飯まで作らせちゃって・・・」
エリカ「別に、一人分も六人分も手間は大して変わらないわよ」
華「そうでしょうか・・・?」
沙織「あっじゃあ私手伝います!料理得意なんです!」
エリカ「そう?ありがとう」
優花里「はい!私も手伝うであります!」
エリカ「台所が狭いから無理。座って待ってなさい」
優花里「うぅー、なんだが逸見殿厳しいであります・・・」
みほ「優しさだと思うけどな」
*
華「ご飯まで頂いた上に、お風呂まで使わせて頂きましたね~」
沙織「華はもうちょっとお代わりを自粛した方がいいと思ったね」
華「そうでしょうか?」
エリカ「さ、そろそろ寝るわよ」
沙織「はーい」
優花里「そういえば西住殿、寝間着はどうするのでありますか?」
みほ「そうだった・・・」
エリカ「寝間着が無いの?」
エリカ「仕方ないわね、私の学校のジャージを使うといいわ」
みほ「あ、ありがとう」
優花里「布団はどうやって敷けばいいのでありすか?」
エリカ「私のベッドとは別に布団が2つあるから、二人一組になって3つに分かれて寝ればいいんじゃない」
沙織「じゃあ私はみぽりんと寝る!」
優花里「えっ」
エリカ「えっ」
沙織「えって何?」
エリカ「いや、別に・・・」
沙織「みぽりんは誰と寝たいの!?」
みほ「えっ・・・じゃ、じゃあ沙織さんと・・・」
沙織「やったー!」
華「では私は麻子さんと」
優花里「私は逸見殿とでありますか・・・」
みほ「ちょっとちょっと、沙織さん」コソコソ
沙織「なに?」
みほ「どうしよう」
沙織「どうしようって?」
みほ「あの・・・ほら、今夜寝てる時に、また前みたいに私が勝手にフラフラ歩き出しちゃったりしたら困るなって・・・」
みほ「エリカさんにも迷惑がかかるし」
沙織「ああ」
沙織「じゃあ私が起きてて見張っててあげる」
みほ「えぇ?」
みほ「それって徹夜するってこと?」
沙織「なんか、みぽりんの友達の家に押しかけることになっちゃったのも元はといえば私がこの旅行を発案したのが発端なんだし」
沙織「責任とらなきゃねってことで!」
みほ「でも・・・」
沙織「平気平気。1晩くらい徹夜したって大丈夫だよ!」
エリカ「ほら、そこの二人、早く布団に入りなさい」
沙織「はーい」
エリカ「私いつも冷房つけて寝てるけど、冷房が嫌いな人いる?」
みほ「みんな大丈夫だよ」
エリカ「分かったわ」ピッ
華「では、電気消しますねー」
沙織「おやすみー」
優花里「おやすみ」
麻子「おやすみ」
パチッ
エリカ「zzzzz」
優花里「zzzzz」
華「zzzzz」
麻子「zzzzz」
みほ「・・・・・・・」
沙織「・・・・・・・」
みほ「なんかみんな寝るのはやいね」
沙織「そうだね」
みほ「なんだか取り残された気分・・・」
沙織「大丈夫だよ、私はずっと起きてるから」
みほ「そう・・・なら・・・」
みほ「安心・・・かな・・・」
みほ「・・・・・・・・」
沙織「・・・・・・・・」
みほ「zzzzz」
沙織「あれ?みぽりん?」
沙織「寝ちゃった・・・」
沙織「まぁそりゃ、疲れてるよね。色んなことがあったし」
沙織「私も眠いけど、ここは約束通り起きてないとね」
沙織「何して過ごそうかなあ」
沙織「本でも読もう」
沙織「暗くて字が読めない・・・」
沙織「どうしよう、することがなくなっちゃった」
沙織「暇だな・・・」
沙織「・・・・・・・・・」
沙織「・・・・・・・・・」ウトウト
沙織「zzzzz」
みほ「zzzzz」
オイデ...オイデ...
みほ「・・・・・・・・」ムクッ
*
エリカ「・・・ん?」
エリカ「暑い・・・冷房の効きが悪いわ」
エリカ「窓でも空いてるのかしら・・・って、うわっ」
エリカ「玄関の扉が開いてるじゃない。どっ、どういうこと?」
沙織「うーん・・・」ムニャムニャ
沙織「はっ、寝てしまっていた!
沙織「あんなに気をつけてたのに!」
エリカ「"しまっていた"ってどういうこと?起きようとしてたの?」
沙織「みっ、みぽりんは?」
エリカ「そういえばいないわね。玄関が開いてたけどもしかして・・・」
沙織「フラッと出てっちゃったんだ!」
エリカ「えっ何それは・・・」
華「どうしたんですか・・・こんな真夜中に・・・」ネボケー
沙織「大変だよ華!みぽりんがいなくなったの!」
沙織「ほら、ゆかりんも麻子も起きて!」
優花里「は、はい?」
麻子「む・・・なんだ・・・朝か?」
華「どこへ行ってしまったんでしょう。まさか、あの場所へ・・・?」
優花里「例の崖ですか?でもあそこには、西住殿のご実家から出発しないと着かないのでは?」
沙織「そうとも限らないかもよ・・・もし幽霊の仕業だったら、自分の本拠地に近ければ近いほど力が強くなるだろうし・・・」
華「とにかく、行ってみましょう」
沙織「エリカさんはみぽりんのお姉さんに連絡して頂けませんか?」
エリカ「ああ、うん」
華「走りながらでいきましょう」
麻子「ねむい・・・」
優花里「あっどうしましょう、私達パジャマです」
沙織「そんなこと気にしてる場合じゃないでしょ!」
沙織「ほら早く靴はいて。行くよ」
優花里「りょ、了解であります!」
華「パジャマで路上に出るなんて、わたくしなんだか新鮮な気分です」
エリカ「えぇ・・・」
麻子「・・・でも本当にみほはあの場所にいるんだろうな?」
麻子「みんな、お化けの仕業かもしれないって説を信じてるのか?ただの夢遊病かもしれないじゃないか」
沙織「分からない。でも・・・」
沙織「なんとなく、みぽりんはあの崖に向かってる気がするんだよね」
麻子「なんとなく?」
沙織「はっきりそう思う」
麻子「どっちなんだ・・・」
華「なんとなくですが、はっきりそう思うんですよね?」
麻子「なんだそりゃ」
麻子「まあ、私も同じ思いだがな」
優花里「あれっ。皆さん、何か向こうから戦車っぽいものが走ってきますよ?」
沙織「ん?ホントだ」
エリカ「あれって2号じゃない?ってことは・・・」
まほ「やあ」バァーン
沙織「みぽりんのお姉さん!」
まほ「話はエリカから聞いた。これに乗っていった方が早いだろう。」
沙織「ありがとうございます!よーしみんな乗り込んでー!」
まほ「待った。これは3人乗りだぞ。2人だけ中に乗って、残り3人は戦車の上に乗ってくれ」
優花里「タンクデサントでありますね!了解です!」
まほ「あっそうだ。あんこうチームの砲手は誰だ?」
華「わたくしですが・・・」
まほ「砲手席に座ってくれ」
華「わたくしは別に戦車の上でも構いませんが・・・」
まほ「なんとなく砲手が必要な気がするんだ」
華「そういうことなら」スッ
沙織「あー華いいなー!じゃあ私は装填席に座る!」
麻子「わがままだな」
エリカ「いいから早く行きません?」
まほ「そうだな」ガコン
コトコトコトコトコトコトコトコトコト
沙織「おー、ちっちゃい戦車なのに全然揺れない」
華「運転、凄くお上手ですね」
沙織「車長もやれば操縦手も出来るんですね!」
まほ「まあな」
まほ「黒森峰の生徒は操縦、砲手、通信、装填、車長全て満足に務まるように教育されている。このくらい当然だ」
沙織「へ、へぇ・・・」
華「すごい...」
まほ(私は幼い頃からもう戦車は操縦出来たから、黒森峰かどうかは関係ないけど、まあ気分がいいからそういうことにしとくか)
沙織「あっ、もう森が見えてきたよ!」
華「やっぱり徒歩とは全然違いますね」
沙織「みぽりんいるかな・・・」
華「暗くてよくものが見えませんね」
沙織「戦車って視界悪ーい!」
まほ「そ、そういうものだ」
優花里「武部殿!武部殿!」コツンコツン
沙織「どうしたの?ゆかりん」ガチャッ
優花里「な、何か変な声が聞こえたであります!」
沙織「えぇ、それホント?」
エリカ「私達には聞こえなかったわ」
優花里「確かに、かすかな声ではありました。でも、聞き間違えでは決してありません!」
麻子「こう言ってるんだが」ブルブル
沙織「そんなことって・・・」
華「あ、何か見えますよ!何でしょうかあれは」
みほ「・・・・・・・・」テクテク
まほ「あれって言い方はなんだ・・・みほじゃないのか?」
みほ「・・・・・・・・・」テクテク
優花里「確かに西住殿であります!」
華「いや、みほさんのことではなくて、その奥です」
エリカ「奥ゥ?あっ・・・」
3号「・・・・・・・」
まほ「さすが砲手、目がいいな」
エリカ「あれってやっぱり、我が校で唯一事故を起こした、あの3号ですか?」
沙織「海の底から復活してきたんだ・・・みぽりんを呼ぶために・・・」
3号「オイデ...シホ...」
みほ「うん・・・」テクテク
エリカ「くそっ、だったら黒森峰のジャージなんて着せるんじゃなかった!」
エリカ「副隊長に似合うと思って買っておいたパジャマは山ほどあったのに」
まほ「ん?今・・・」
エリカ「なんでもないです」
沙織「おーい!みぽりん!みぽりーん!」
華「みほさーん!」
優花里「西住殿ォーーーー!!!!」
みほ「・・・・・・・・」テクテク
沙織「駄目だ!完全に操られてる!」
3号「オイデ...ワタシタチト...イッショニ...」
まほ「くっそ、こうなったらあの3号を撃つぞ」
まほ「徹甲弾装填!」
沙織「・・・・・・」
華「・・・沙織さん、早く」
沙織「あっそうか、今は私が装填手か」
沙織「えー、私力無いのに・・・よいしょ」コロン
沙織「装填完了!」
まほ「戦車道用の戦車では装甲を貫通することは出来ない。よって衝撃で相手を崖の下に突き落とす」
まほ「相手の車体下部を狙え」
華「了解。照準あわせました」
まほ「撃て!」
バン!
まほ「命中確認。もう少し下を狙え」
まほ「もう一度AP」
沙織「はい・・・」コロン
沙織「これで腕に筋肉ついちゃったらどうしよう」
華「下方修正、完了しました」
まほ「撃て!」
バン!
3号「グヌヌ...グヌヌ...」
まほ「命中。敵戦車より発火!」
3号「ナゼダ...ナゼダ...」
3号「オマエノセイナノニ...」
まほ「違うね。お母様は悪くないし、ましてやみほは巻き込まれただけだ」
まほ「自分の不幸を慰めるために他人の死を望むなんて・・・貴様らに戦車道をやる資格はない」
沙織「あっ、3号が崖から落ちていくよ!」
華「やりましたね!」
沙織「おーーーい!みぽりーーん!」
みほ「・・・・ハッ」
みほ「私・・・どうしてここに・・・」
沙織「やった!気がついた!」
まほ「みほ!早く戦車に乗れ!」
みほ「う、うん」
華「こんなところ、早く脱出しましょう」
優花里「ほら西住殿、私の手に掴まってください」
みほ「うん」ギュッ
優花里(ひゃっほう!)
まほ「乗ったか?走り出すぞ」ガコン
優花里「西住殿~、無事に帰ってきてくれて嬉しいであります!」
みほ「ありがと・・・あの、私、また夜中に歩き出しちゃったの?」
沙織「あー、うん」
みほ「そうなんだ・・・私どうしたら・・・」
沙織「そのことなんだけど、多分もう全部解決したよ」
みほ「そうなの?」
優花里「まあ帰ったらゆっくり説明しましょう。それよりどうします?これからの熊本旅行は」
華「とても続行する気分じゃないです・・・」
みほ「ねむいし・・・」
麻子「朝昼かまわず寝ていたい」
沙織「今回ばかりは麻子に賛成・・・かな」
翌朝、あんこうチーム一行は大洗学園艦へと帰っていった。沙織の予想通り、その後西住みほに奇妙な症状が現れることは無かった。
例の崖については戦車道連盟が調査を行ったが、先の潰れた徹甲弾2つ以外何も見つからなかったという
完
続きはどうしたぁ!!
全体的によかったと思うが亡くなった生徒達をもう少し思ってやって欲しかったな
例えば
また、まほから説明を受けたしほは近くの寺の住職を招き黒森峰女学院及び遺族の合同主宰による慰霊祭が現場で行われた
慰霊碑も建てられる予定であり今後、毎年事故日には戦車道部の生徒が献花に訪れる事が決定された
みたいな。話を勝手に付け足してしまったけど。
西住家に合った二号は機関砲つけたタイプじゃないけ?
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恐すぎデスヨー!