2016-06-03 23:54:12 更新

概要

第4話「さだめの天秤」


前書き

ss更新が遅れてしまい、誠に申し訳ございませんでした。








〜西木野総合病院、とある病室〜



ベッドに静かに横たわっている男のそばに、心配そうに寄り添う女がいた。



穂乃果「…橘(たちばな)くん」



突如現れた謎のグールにより、強烈な一撃を喰らってしまった橘 龍也。


彼がグールでなければ、ごく普通の人間ならばあの一撃で即死だったであろう。


それでもグール特有の治癒能力がすぐさま働かなければ…まずいことになっていた。


今では橘の腹の傷は塞がったが、彼が意識を取り戻すことは無い。


穂乃果はプルプルと震えながら、橘を見つめていた…


すると、病室のドアのノックが鳴る。




仁美「失礼するぞ」



穂乃果「仁美ちゃん…!」


穂乃果「…その、橘くんが」



仁美「知ってる」


仁美「こいつは昔からそういう奴なんだ…」



穂乃果「昔、から?」


穂乃果「(そういえば橘くんの話、聞いたことないな…)」



仁美は穂乃果の表情を見るなり、穂乃果に言った。


仁美「知りたいか?あいつの物語(はなし)」




穂乃果「!」


穂乃果「うん!」




仁美「…もう2年くらい経つのかな」




ーーー


ーーーーー

ーー


ーーー




〜場所は変わり、秋葉原某所〜



「あ」



「あ」



「あ」



「あ」







「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」





ガラス張りの小さな部屋で、暴れ狂った人間がいた。



「…やはりこの子も失敗か」


「血液型は羆(ひぐま)と同じだから大丈夫と思ったのだが…」



真っ白い白衣を着た男と、大きなローブをまとい、猫のマスクを着けた凛が話していた。



凛「…また、被験体が必要になる?」



白衣の男「そうだな、助かるよ」



凛「わかったにゃ」




一言言うなり、凛はすぐさまその場を離れた。





凛「…」



凛「かよちん」



凛「…みんな」




凛「もう少し…もう少しだけ…」




白衣の男「…どうした?」



凛「なんでもないにゃ」



凛「西木野センセ」








ーーー


ーー



ーーーー




〜西木野総合病院に戻る〜



仁美「…とまぁ、こんな感じだな」



穂乃果「へぇ〜…」




仁美「…こいつの話をしたのは、お前が初めてだよ、穂乃果」



穂乃果「…!」



穂乃果「いいの?私なんかに話しても」



仁美「こいつが気にする奴に見えるか?」



穂乃果「…」




そう言われるとそうだろう、そんな表情を穂乃果は浮かべていた。


数秒、沈黙してから仁美は深くため息を吐いた。


穂乃果もこの沈黙を破るために何か一言、必死に考えた。





穂乃果「起きたら、すぐにお礼しなきゃ…」






仁美「…お礼、か」



「全くよ、ねぇ?」



穂乃果、仁美「!!?」





病室の中にある唯一の窓。


そこに謎の人物が座っていた。



「彼がいなかったら貴女、花陽に殺されてたのよ?」



「感謝しないと」



全身を包帯で巻かれていて、顔が全くわからなかった。

身体全体も、覆われるローブによって確認できなかった。




しかし、眼だけはハッキリと見えた。




仁美「…誰だお前」




「誰…って、名乗る時は自分から名乗るべきじゃない?」



仁美「ふざけやがって」


仁美はすぐさまクインケを起動した。

スナイパーライフルのようなクインケを謎の人物に向けた。



穂乃果「待って!!」



仁美「!?…なんだよ」



穂乃果は数秒の沈黙の後、謎の人物に向けて言い放った。



穂乃果「わかるよ…聞いたことある声だもん」


穂乃果「どうしてそんな姿になってるの…?」




穂乃果の脈が加速する。


確かに見た、聞いた。


冷徹ながらも、熱意を持っていたアイスブルーの眼。


いつも自分の隣で、大人な声で歌っていた。





穂乃果「…絵里ちゃん」




顔の部分の包帯だけくるくると外していく。


見覚えのある金髪がキラキラと輝く。




絵里「…もうこんな再開は飽きた、って顔ね」


絵里「久しぶり。穂乃果…」




穂乃果「絵里ちゃんまでグールになってるっていうの…?」



絵里「私は、1度死んだのよ。帰ってくるためにグールになった。それだけ」


絵里「帰ることと引き換えに私に1つ、使命が与えられた…」



絵里は言うなり、穂乃果を指差した。



絵里「あなたを先生の元へ連れて帰る」


絵里「それが私の…私”たち”の使命よ」




穂乃果「!?」






〜秋葉原某所〜



秋葉原のとある場所で、石川たち捜査官がグールを討伐していた。



石川「高坂の言っていたガスマスク集団…俺たちの元にも来るとは」



にこ「まったく…嫌になっちゃう」



海未「まあ、しかし…1人捕らえられたので尋問しましょう」



取り残されたガスマスクのグールは、ブルブルと震えていた。



海未「…そんなにも怖いのですか?」



ガスマスク「あ…あ…」



ガスマスク「殺られる…猫が…猫が来る…」



海未「猫…?」



その瞬間だった。


石川の後ろで待機していた捜査官たちが一度に吹き飛ばされた。



「「うわああああっっ!!」」



「「な、何が起き」」


「「ぐべら」」


「「ぎゃあ」」






石川「!?…お前らぁ!!」



石川も気づき、後ろを振り返る。



そこには尻尾の様な赫子を展開したグールが立っていた。


そのグールは、猫を彷彿とさせるマスクをつけていた。




にこ「…!!」



海未「SSレート…キャット!」








キャット「…その捜査(しごと)」




キャット「中止」




ギラリと赫眼が輝く。



後書き

うぷ主「そういえば過去の作品に仁美が出てるって知ってた?」
にこ「え?そうなの?」
仁美「それ内緒って言ったつもりなんだが…」
穂乃果「穂乃果はちゃんと覚えてるよ!」
仁美「やめて…恥ずかしいからやめて…(涙目)」


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