2017-02-21 17:55:49 更新

概要

捨てられた提督は仲間を見つけた居場所を見つけた

過去と未来・・君の居た鎮守府から自分に出来ることを見つけていこう

そしてこれからを共にこれからも歩んで行こう

過去に負けない様に・・

研修生達との日々も後少しで終わりを迎える

毎日毎日が退屈のない日々だった

でも、それも後少しで終わる

研修が終わった時きっと研修生たちも提督も大きく成長出来るだろう

彼等なら


前書き

これは【捨てられた鎮守府と捨てられた提督】の続編の【おんぼろ鎮守府と捨てられた提督】の続編の【おんぼろ鎮守府と歩み続ける提督】の続編の【大切な鎮守府と歩み続ける提督】の続編の【大切な鎮守府と道を照らす提督】の続きになります。まず、それらから見てもらわないと全く分かりません

もう何が何だか分かりませんね!!

専門用語とかは全く分かりませんし、文章もおかしかったりしますが、中傷コメなどはせず、気にいらない方はそっと戻るボタンを押して忘れてください

それでも良い方はどうぞ見てやってコメントを残してやってください

キャラ崩壊注意ですよ!


現在までの西鎮守府の面々


【妙高】


先代の西提督の代からいる艦娘で昔に現在の西提督と出会っており


子供がするような簡単な約束(将来はパパと結婚するの!と言う娘のようなくらい)をして


その約束で西提督と再び出会い妙高は隠居はまだ早いと決め


部分解体の予約をドタキャンして西鎮守府へ居続ける事を決めた


尚、初期艦は妙高ではない


【文月】


ドロップ艦だったが見捨てられてしまうが自力で海を脱出


しかし、浜で力尽きて倒れてしまう


そこをジョギング中の西提督が見つけ連れて帰った(事案発生)


最初は艦娘とは気づかずに親を探していたが艦娘と知り西鎮守府へ受け入れた


最初の頃はよく泣いていたが妙高にあやしてもらいなんとかなった


駆逐艦の中では一番強い


【川内】


西提督との肉体言語(戦い)によりその熱い拳に何かを感じて仲間になる


最初は西提督を暗殺する目的だった


大体諜報活動でほとんど鎮守府に居らず忍者のように気付いたら居るという事もある


東鎮守府にいる妹であるアイドルの那珂を影から応援している


そして批判する奴らを影から・・


【イムヤ】


西鎮守府で野良艦娘期間が一番長い艦娘であり


その所為か生への執着が異常で生きる為なら海の底の藻を食べたり、人に言えない物も口にしたりして何がなんでも生きようとする野性心を持っている


出会いは海の底で空腹の限界を迎えて力尽きようとした時水面に大きな影を見つけて咄嗟に噛み付いたら


西提督のケツだった


西提督の条件反射で殴られて弱っていたのもあり気絶した


そして気付くと西鎮守府にいた


そこから最初こそツンだったが今ではデレとなっている


イムヤは今でも西提督のケツの噛み付いた感触を忘れられず


ムンムンしている


ケツの歯型はお気に入り


イムヤ大事ランキング


1位、西提督のケツ


2位、仲間達(西提督本体や研修生達も含む)


3位、カロリーメイト(メープルシロップ味)


4位、イムヤを釣り上げた釣竿


【愛宕】


一人小型船で遠征に挑戦していた西提督の前に二つの山が浮いていた


仰向けに浮いていた愛宕だった


野良艦娘だったが燃料が尽きてしまい沈む寸前だった


助けようとしたが愛宕に敵と間違われ水中へ引きずり込まれ


なんやかんやで二人して西鎮守府の近くの浜へ流れ着き


海を忘れられずこっそりと海を見に来るライフセイバーの木嶋さんに助けられどうにかなった(その後ライフセイバーの木嶋さんは禁止区域侵入により捕縛され然るべき措置をされたと言う)


今は温厚な性格だが、西鎮守府に来た頃は喧嘩夜露死苦状態だったが妙高に負けて改心した


彼女がよく使うパンパカパーンと言う言葉は他の愛宕が言ってるのを見て真似ているだけで本人も意味はよく分かっていない


【阿武隈】


イムヤの次に野良艦娘期間が長かった艦娘である


彼女もイムヤ同様生きようと必死だった為に阿武隈によく見られる前髪を気にする素振りは全くない


寧ろ前髪を邪魔だと思って切ろうとしたところを他の娘に止められ渋々そのままにしている


本人は坊主でも良いと思っている


出会いは阿武隈から西鎮守府にやって来たのだ


しかし、全てを諦めきった目に痩せ細って今にも倒れそうだった彼女は明らかに生きる気力をなくしていた


生きる事に疲れてしまい自ら解体を望んだが西提督はそれを拒否


温かい食事と住居を提供して段々と元気になった


そしていつの間にか解体される為に来たのを忘れて西提督の恩返しの為に西鎮守府へ着任した


今ではみんなに振り回されて苦労していたりするがその目は昔と違い輝いていた


此処に来る前に何があったのかは不明


【朝潮】


遠征中にいきなり襲って来たのを捕まえて西鎮守府へと連れて帰った


かなり人を恨んでおり説得するも聞く耳を持たず


このままにしておく事は出来ず苦渋の決断により解体する事になった


しかし、荒潮がそれを拒否して助け出そうとする


妙高と西提督に涙を流しながら一人でかかって行く荒潮の姿


そして途中で西提督も加わりの妙高へかかって行く姿に


もう一度だけ信じてみようと決めた


尚かかって行った二人は数秒で無力化された


今では人に対して寛容にはなってるが悪い噂などのある人には厳しい態度をとってしまう


最初の提督への裏切り者の息子の一件による自分のしていた態度を気にして金髪に対して普通に接っする事に少し抵抗がある


【荒潮】


ドロップ艦だったが相手の提督が荒潮の受け入れを拒否その場での処分を言い渡したが


相手の提督がクソ野郎な為に艤装の燃料が切れるまで追いかけ回すように命令して荒潮は逃げ回るがやがて艤装の燃料が切れてしまい溺れてしまう


しかし、周りの艦娘達はそれをただただ見ていただけだった


荒潮の海への恐怖心は此処から来ている


その後偶然通りかかった妙高率いる第1艦隊にギリギリ救助され、命令とは言えこんな事をした相手の艦娘達に妙高の怒りの説教により全員精神的大破


後日その鎮守府には西提督が遊びに行ったらしい


相手の提督は・・・・


最初は艤装を付けていても海へ出る事が出来なかったが妙高の優しくもない訓練により出れるようになったが妙高に少し苦手意識が出来てしまった


でも、感謝はしている


【祥鳳】


西鎮守府に艦載機が引っかかり回収


その後日たくさんの艦載機が強襲


皆の力もあり全てを撃ち落とすと真っ白に燃え尽きた祥鳳を発見


どうやら一機なくなっていた艦載機が西鎮守府にあると知り取り返そうとしていたらしく


その後艦載機を返すと涙を流して喜び西鎮守府に住み着いてしまいなんやかんやで西鎮守府所属になった


艦載機に対してかなりの愛着があり一機落ちると数時間の黙祷をしてしまうので実戦には向かない


でも、西提督船を誰よりも上手く操縦出来るので必要な人材ではある


【雷】


暁、響、雷、電の四人で協力しながらどうにか野良艦娘として海で生きていたが深海棲艦に襲われみんなと別れてしまう


その後単身別の深海棲艦に襲われた所を西鎮守府の艦隊に助けられた


最初こそ警戒していたが姉妹探しに協力してくれるという事で正式には西鎮守府所属ではないが西鎮守府で力を貸しながら姉妹を探している


電はおんぼろ鎮守府に居て本人も残るとの事なのでそのままにしている


最終的には姉妹を連れて再び海へを目指していたが


段々と変わってきている


最近初めての事が多くて戸惑っている


【西提督】


筋肉であり筋肉なのだ


おんぼろ鎮守府所属の面々と予定


【人】


提督(夕立、時雨)、憲兵


【艦娘】


如月、電、不知火、間宮、まるゆ、鳳翔、大井、曙、羽黒


【元艦娘】


明石、夕張


【???】


北上、吹雪


自分を信じて


研修4日目の提督が眠りについて少しして


誤報だという事が分かり残った眠っていない艦娘達は防衛の為に準備していた物などの片付けをしていた


起きている者は数にして半分以下で中には震えて動けない娘やボコボコにされてピクピクしてる娘もいた


誤報だったとしても確かに相手はいた


そして相手に執務室まで侵入を許してしまった


相手が敵でなかったから良かったがもし敵なら大変な事だった


元艦娘だとしても人間と変わらない


彼女達はそれを理解してるだからこそ


その人間に此処までやられてしまった


愛宕防衛ラインは愛宕を除いて全員がボコボコにされていた


幸いな事に傷は一つもなかった


でも、それは相手に手加減をする余裕があったからとも言える


彼女達は悔しさを噛み締めながら中には泣きながら片付けをしてる娘もいた


鎮守府内は完全にお通夜雰囲気だった


そう、悔しさで・・・


と言うのは嘘である


本当はこんな紙にも等しい防衛戦により最低の結果を出した事により


彼女達は怯えていた


我らが秘書艦妙高の怒りを完全に買ってしまった事に


説教は数時間に及ぶだろう


特別メニューの訓練は数週間に及ぶだろう


これは確実だ


そう思うと彼女達は自分も撃たれて眠ってしまえば良かったと何故もっと前に出なかったんだと後悔する者と怖くて仕方なく泣いてしまう娘が出来てしまった


普段は優しいが戦いの事になると鬼になる


でも、その鬼も余程の事がないと起きない


でも今回はその鬼に彼女達は踏みつけながら唾を吐きつけて起こしたのも同然


いつお呼びがかかってもおかしくない状態だ


恐怖のあまり過呼吸になる娘が続出した


これがなかったら彼女達は鼻歌まじりに今日の夕飯何かな?と考えながら片付けをしていただろう


だって相手は敵ではなかったし誰も犠牲者は出ていない大怪我をした者もいない


どんまいと言う事なのだから


でも、現実はそう甘くないこの事態を妙高が見逃す筈がない


そう言うわけで彼女達はビクビクしながら片付けをしていたのだった


その中を一人の少女が慌しく走っていた


その少女は執務室へ向かっていた


その慌ただしさから大変な事が起こったかもしれないと周りの娘達は思うだろうが今の彼女達はその足音にすらびびっている状態だった


少女は研修生の一人で黒髪だった


黒髪は迷わず執務室へ向かー


黒髪「あ、こっちじゃなかった!」


少し迷って執務室へと向かった


ドアの前に貼ってある入室禁止の札を無視してドアを開けた


〜ちょっと前〜


ー西鎮守府執務室ー


西提督「その・・すまん嫌だったよな」


妙高「い、いえ、嫌ではなかったです。寧ろ嬉しかったです」


西提督「え?今なんて」


妙高「なんでもありません!これも秘書艦として当たり前の事ですから」


西提督「そ、そうか」


妙高「そうです!」


西提督「・・・・・・」


妙高「・・・・・・」


西提督「提督がくれたチャンスなんだ・・男を見せろ俺」ボソッ


西提督「妙高!好きだ!」


妙高「へ?すき焼き?」


西提督「違う!好きなんだ!俺は妙高の事が異性として好きなんだ!」


妙高「っ!」耳ふさぎ


西提督「お、おい!」


妙高「今のは聞かなかった事にします・・だから」


西提督「そうか・・すまない。そうだよなこんな男・・気持ち悪いよな、ははは」


妙高「っ!違います!そう言う意味では!」


西提督「無理に言わなくて良い・・気持ちを言えただけでもスッキリ出来たからな・・悔いはない・・」


妙高「違うんです!そ、その」


西提督「少し外を走ってくる」ダッ


妙高「もう!待ってください!」ガシッ


西提督「っ!・・離してくれ少し一人にしてくれないか・・・少しで良いから」


妙高「聞いてください!私も好きです!西提督が好きなんです!」


西提督「すき焼き?・・好き?・・妙高が俺を?俺に言ったのか!」


妙高「貴方以外に此処には誰もー」


ダンボール「」がさがさ


ダンボールオープン


イムヤ「あぁ・・うぅ・・はぁ・」プルプル


妙高「・・・・・・・」ダンボールをそっと閉じる


妙高「貴方以外に誰もいません!」


西提督「お、おう、なら何故」


妙高「人と艦娘の恋愛はよく思われませんし確実にこれから茨の道を進む事になります」


妙高「私は良いんです・・西提督と一緒に居られるなら・・でも!貴方が苦しむ姿は耐えられません」


西提督「俺はお前が居てくれるならどんな辛い事も苦とは思わん」


妙高「みんなから軽蔑の目で見られるのですよ」


西提督「睨み返してやる」


妙高「上層部から嫌がらせもあるでしょう」


西提督「妙高や仲間に手を出すなら容赦しない」


妙高「だから不安なんです!私の所為でみんなを敵に回すなんて馬鹿げています!」


西提督「馬鹿だろうが!アホだろうが!俺はそう決めた!」


妙高「っ!嫌いです!西提督なんて嫌いです!」


西提督「俺は好きだ!妙高が好きだ!」


妙高「も、もう!知りません!勝手に・・」


ギュッ


妙高「っ!」


西提督「離さないからな、もう俺は決めた。お前を守る!何があっても離さない!」


西提督「俺が死ぬまで側に居てくれ」


妙高「・・・・・・」


妙高「嫌です・・・」


西提督「そうか・・・」


妙高「死ぬ時は一緒です・・」


西提督「っ!妙高」


妙高「西提督」


二人の顔が近づく


そうそれはもう言うまでもなくあれだ


お互いの愛のしるしをー


その瞬間


ガチャ


黒髪「西提督さん!先輩が!提督さん・・・が・・っ!」


西提督、妙高「「あ・・・」」


黒髪「こ、これは」


目の前でまさに西提督さんと妙高さんがキスをしようとした瞬間に入って来てしまったようだ


お互い同意の上でなら好きにすればいいと思うけど


黒髪「・・・・」チラッ


ダンボールオープン


イムヤ「あぅ・・・・ああ〜」ピクピク


二股はどうかと思う


あのイムヤさんの顔は女の顔だ


つまりそう言う事なのだろう


ダンボールをそっと閉じた


妙高「あわわ!」


西提督「そ、その聞いて欲しいこれはだな」


黒髪「・・・・・・・」


でも、そんな事は後回し今は


黒髪「西提督さん提督さんが大変なんです!すぐに来てください!」


西提督「っ!何があった!」


黒髪「とにかく来てください!」ダッ


西提督「分かった!」ダッ


妙高「私も行きます!」ダッ


バカップルを連れて先輩の所に急ぐ


イムヤさんは悪いけどお留守番


走りながら事を説明しようとしたけどすれ違う艦娘達が此方を見る度に悲鳴をあげているので声が聞こえない


妙高さんが一喝すると大人しくなるけど泡を吹いて倒れる娘もいた


私も少し・・いえ、かなりびびった


妙高「もう大丈夫よ」


黒髪「あ、ありがとうございます」


黒髪「部屋に戻って来て疲れて寝てしまった所までは良かったんですが、段々顔色が悪くなってきて・・それで・・先輩に何があったんですか!あの傷はなんなんですか!」


西提督「くっ!提督!」ダッ


妙高「急ぎましょう!」ダッ


黒髪「あ、待ってください!」ダッ


西提督「むっ!」


朝潮「西提督さん!」サッ


朝潮「私は今回・・戦場で寝てしまうなどと海軍人としてあるまじき行動を取りました!それだけではなく勝手に脱水症で死にかけるなんて・・どうか罰を!」


西提督「どけ!」


朝潮「嫌です!罰をくれるまでは!せめてその軍刀で私をー」


ガシッ


朝潮「・・・・・」


西提督「面倒だ!このまま行くぞ!」ダッ


朝潮さんを片手に抱えて走る


阿武隈「西提督さん!今回あたしはー」


ガシッ


阿武隈「あれぇ?」


阿武隈さんももう片方の手で抱えて走る


西提督「どいつこいつも罰罰と煩い!くそっ!さっきまでの自分を見てるようだ・・提督・・すまん」


阿武隈「どこ行くのかな?」


朝潮「きっと解体されるんですよ」


阿武隈「そうなのかな・・・」


朝潮「そうです・・」


朝潮「必要な時に寝てしまい勝手に自滅するような奴が必要だと思いますか?」


阿武隈「うぅ・・・確かに・・解体か痛いのかな・・」


朝潮「さぁ、分かりません・・ですが悔いはありません。元々はとっくにされている身ですから」


阿武隈「それもそうだね」


黒髪「解体・・・・・」


小脇に抱えられた二人が物騒な話しをしている


そして私達三人とプラス二人は部屋へと着いた


ー研修生部屋ー


ガチャ


西提督「提督!」


金髪「西提督さん!」


メガネ「・・・・・・」


黒髪「さっきより顔色が悪くなってる・・早くどうにかしないと」


西提督「おい!しっかりしろ!提督!妙高!医者は来れそうか!」


朝潮「?」


阿武隈「?」


妙高「今日は専門の方は遠くへ行ってるという事で来れても明日になると」


西提督「此方で明日まで保たせるしかないか妙高頼めるか?確か医師免許を持っていたな」


妙高「歯科医のですが・・やってみます!」


布団を半分までめくり手際よく先輩を診る


私にも医療の技術があれば・・何も出来ない自分が嫌いになりそうだった


黒髪「・・・・・」


何か出来る事は・・でも、私には・・


出来るのかな?何か役に立てるのかな?


無理かも・・・・


黒髪「あ、あのー」


阿武隈「何が起こってるか分からないけど提督さんが危ないってのは分かる」


朝潮「妙高さん私に出来る事は何かないですか!」


阿武隈「あたしも!」


黒髪「私にー」


妙高「二人は他の娘達に部屋へ待機するように言って来てください!後この事は秘密にしてください混乱状態や部屋に来られても困りますから」


朝潮、阿武隈「「はい!」」ダッ


黒髪「っ・・・」


西提督「で、どうだ?分かったか?」


妙高「呼吸が早くて脈拍は弱いけど速い汗も酷いです・・唇は紫色をしてますし体温がかなり低い・・意識も昏睡状態にあります」


妙高「この感じは多分ですけど・・出血性ショックの可能性が高いです」


西提督「随分具体的だな」


妙高「戦場でもこのような症状をたくさん見て来ましたから大抵は出血によるショック症状でした」


西提督「成る程・・ならやはり背中の傷が原因か・・くそっ!」


妙高「ですが言っておいてなんですが止血はした筈です・・出血量はそんなにはなかった筈です!」


西提督「だが、現に今昏睡状態なんだ。可能性ならそれが一番近いだろ。血が足りてないんだ・・」


金髪「血が足りてないって・・襲撃はなかったんだろ!なのに・・この背中の傷も何があったんですか!まさか、あの時襲って来た女か!」


西提督「女?」


メガネ「・・・・・少女」


西提督「そいつは客人だ勘違いをしていただけだ。彼女はなにもしてない。したのは・・俺だ」


金髪「それはどういう意味だ!」


西提督「・・・・すまん」


金髪「大将に何をした!」


黒髪「ど、どうしよう」オロオロ


金髪「答えろ!!」シュッ


ドゴッ


金髪「ぐぁ!!」


メガネ「・・・・・・」


西提督「お前・・・・・」


黒髪「メガネ・・・・」


メガネ「・・・・今は争ってる暇はない」


金髪「・・・・そうだな。西提督さん後で必ず話しを聞かせてください」


西提督「あぁ、後で必ず」


金髪「メガネありがとなお陰で頭が冷えた」


メガネ「・・・・・・・」


黒髪「よ、良かったです・・」


妙高「・・・・・・」


妙高「まず原因を探らないと口からは吐血の後はありませんし・・背中の傷も包帯に血は滲んでいますが多量に出血のあとはないです。考えられるのはそれ以外にも傷がありそこから出ているとしか」


西提督「全身を隅々まで調べるぞ!」


金髪「大将には悪いが全裸になってもらおう」


黒髪「全裸にまでしなくても・・」


メガネ「・・・・・」布団めくり


妙高「っ!」


金髪「その必要はなさそうだ」


布団で分からなかったが足元が血だらけになっていた


西提督「酷い・・かなりの出血量だ」


妙高「どうして足から・・捕まえた時には足から出血なんてしてなかった筈です」


西提督「とにかく傷の確認と止血だ!」


妙高「はい!」


金髪「何か出来る事は?」


メガネ「・・・・・」コクリ


妙高「綺麗な布を持ってきて傷口の血を圧迫して止めます」


黒髪「あ、ハンカチがあるけど使ってるし・・えっと他には」


金髪「ハンカチがある!使ってないから綺麗な筈だ」


妙高「ありがとう」


メガネ「・・・・触るといけない」ビニール袋


妙高「助かります」傷口押さえ


妙高「これで止まればいいけど・・元々こんなに出血するような傷じゃない」


金髪「他にはなにかないか?」


メガネ「・・・・・」コクリ


妙高「こっちは私に任せて」


西提督「よし、それなら二人は阿武隈と朝潮を手伝って他の娘達を自室へ誘導してくれ。それが終わったら二人を連れて医務室で輸血の準備をしてくれ止血が終わったらそちらに運ぶ」


金髪「分かった。行くぞメガネ」ダッ


メガネ「・・・・・」ダッ


黒髪「っ!」


私も何かしないと


私だけ何も出来てない


でも、何をすれば・・どうしよう


どうすれば!


黒髪「あ、あの・・」


妙高「おかしい!ちょっとした切り傷なのに・・こんなのほって置けばすぐに血なんて止まるのに全然ダメです!押さえてる方が血がたくさん出てる!」


西提督「もっと強く押さえれば俺に代われ」


妙高「お願いします」


西提督「提督!今助けてやるから頑張れよ!」傷口押さえ


黒髪「わ、私はどうすれば」オロオロ


妙高「黒髪」


黒髪「は、はい!」


妙高「貴女が何かをしてくれようとしてるのは分かりますが今の貴女には何も任せられません」


黒髪「っ・・それは私が無能だからですか・・でも!」


妙高「そうじゃありません!それは貴女が自分で思っている事ではないですか?」


黒髪「そ、そんな事・・・」


黒髪「そうですよ・・私は金髪みたいに積極的に動けませんしメガネのように冷静に周りを見る事も出来ませんし・・・先輩のように・・」


何事にも全力で当たっていく勇気もありません


なら、私は何があるか・・・


何もない・・・今まで人に無関心で周りが何をしようが気にしなかった


だって気にしても意味がないから


どうせ周りも私に無関心


でも、西鎮守府の研修での仲間達は違った・・最初こそ興味はなかったけど


一緒に研修生活を続けていくうちに


気になって・・気づいたら


大切な仲間になっていた


金髪もメガネも先輩も


私にとって初めて出来た仲間


だからこそ助けたい!力になりたい!


でも、方法が分からない・・いえ、分からないんじゃない


出来ないんだ


出来る力が知識が私にはなかった


黒髪「私・・邪魔ですね・・・部屋を出ていますね」


妙高「そうですね。邪魔です出て行ってください」


黒髪「はい・・・グスッ・・」


部屋を出て私はドアの横に座り込んだ


ただ、先輩の無事を祈った


これで良かったんだ


私が居たら逆に邪魔になるし


先輩の為に出来る事を出来たんだ


なのに・・・なんで


黒髪「涙が止まらないよ」ポロポロ


なんで・・なんで止まらないの・・私病気になったのかな?


その時ドアが開き誰かが出てくる


西提督「悔しいか?」


西提督さんだった


黒髪「悔しくなんかないです」


西提督「なら、その涙はなんだ?」


黒髪「嬉し涙です!それより先輩はもう大丈夫なんですか!」


西提督「いや、まだ血も止まらない・・幸いのが傷口が小さいから血の出る量は少しずつだがそれでも危険な事には変わらない。輸血をしながらどうにかするしかないから今から医務室へ運ぶ」


西提督「今のこの時代血液はどれも不足している。鎮守府に置いてる分でも金にしたらかなりの額になるがあいつの為なら全てを使っても良い明日まで保たせて病院へ連れて行く」


黒髪「なら、早く連れて行ってください・・私に構ってる時間なんてないですよ・・」


西提督「妙高はな別にお前が無力だから出て行けと言ったんじゃない。それに俺も妙高もお前が無力だとは思わない」


黒髪「慰めなら要りませんから・・」


西提督「まぁ聞け黒髪」


西提督「お前は何故海軍に入ろうと思う」


黒髪「・・・・・守りたいからです。この海を母がそうしていたように私も出来る事をしたかった」


西提督「海軍と言っても色々と役割はある後方支援やクソみたいな雑用をやらされる所もあるし偉そうに毎回意味のない会議を開いては無駄に過ごしている奴等もいる」


西提督「そういう奴らは海なんて中々見ない。俺のように鎮守府を任されている者からすれば海を見ることなんて親の顔よりあるかもしれない」


黒髪「何が言いたいんですか」


西提督「お前は何処を目指す」


黒髪「私も自分の鎮守府を持って戦いたい!でも・・それは無理だって此処に来て嫌と言うほど分かりました」


黒髪「なら、せめて誰かの役に立ちたかった・・それも無理なようですが」


自虐的に笑う


今の私は見れたものではない


先輩が見たらきっとモンエナを大量に持ってくるかもしれない


そしていつの間にか笑っているんだろう


先輩・・・


西提督「ふっ、若いな」


黒髪「え?」


西提督「妙高が出て行けと言った理由はなお前が余りに自分を信じてやれなかったからだ」


西提督「自分を信じてもいない奴には誰も着いて来ない。それは鎮守府で司令官をやって行く上では必ず壁になる」


西提督「無理矢理従わせる事もあるがそう言う奴にはなって欲しくない」


黒髪「それは・・私も嫌です」


西提督「良いか?どんなに困難で泣きたくなっても泣いてはいけない。それはお前の背中を信じて着いて来てる仲間達も不安にさせてしまうからだ」


黒髪「・・・・・でも、私には」


西提督「黒髪、出来ない事を嘆くのは海軍人じゃない。出来なくても顔に出すな。自分を信じてやってみろ」


西提督「仲間達が泣いている中で一人笑っているくらいでいろ・・司令官が泣いて良いのは・・全てをやりきって結果が出た時だけだ」


西提督「いや、本当の嬉し泣きの時にみんなで泣け」


黒髪「私に出来るかな・・なんの取り柄もない私に」


西提督「それはお前次第だ。でも幸運な事に良い手本がいるだろ?まだ研修は終わってない終わらせない!そうだろ?」


黒髪「っ!」


西提督「もう泣くのはお終いだ!涙を拭け!立ち上がれ!お前は海軍人だろ!」


黒髪「っ!」


黒髪はさっき提督からもらったモンエナを取り出し腰に手を当てて一気に飲んだ


ちょっとぬるいけど仕方がない初めて飲む物には結構飲むまでに時間がかかる


不味かったらどうするとか考えちゃうし


モンエナの独特の甘みと強い炭酸それになんか色んな成分により黒髪の沈んだ気持ちを一気に回復させた


黒髪「ぷはぁ!げふ・・中々美味しいです」


これは好みの味です癖になりそうです


西提督「一気に飲むとは・・やるな!」


黒髪「私はもう泣きません!逃げません!西提督さん私に何かさせてください!仲間を助けたいんです!」


西提督「その言葉が聞きたかった!」


妙高「西提督、提督さんを運び出す準備が出来ました」


西提督「よし、行くか!」


黒髪「西提督さん、私も!」


妙高「・・・・・」ジーーー


妙高「うん、マシになりましたね。黒髪」


黒髪「はい!」


妙高「提督さんを今から西提督と医務室へ運びます。向こうも準備をしていてくれていると思いますが時間が時間なのでまだかもしれません。だから、私達は提督さんから離れられません」


妙高「ですが、問題があります。それは提督の血液型はプロフィールにも書いておらず誰も知りません」


黒髪「それは!」


確率はA、B、O、ABの4通りでかけると言う事なのかな?


いや、でも血液型を調べる機会があれば


妙高「生憎血液型を調べる機械はありませんし今から病院へ行って調べていては多分手遅れになります」


黒髪「じゃあ、どうすれば・・まさか!」


黒髪「4分の1で・・」


妙高「そんな事はしません!」


妙高「幸いな事に今一人この鎮守府の何処かに彼の事をよく知ってる方がいます。彼女なら分かるかもしれません」


此処まで言われれば分かる私のするべき事が


黒髪「その人を連れて来れば良いんですね」


妙高「はい、彼女の名前はきさー」


黒髪「よーし!ファイトォオオ!」ダッ


妙高「あ、ちょっと!名前をまだ!」


西提督「ふっ、誰かにそっくりだな」


妙高「本当に・・何とかしてくれるって勘違いしそうになります」


西提督「いや、今の彼女ならなんとかするだろう」


妙高「そうですね。信じましょう彼女を」


西提督「提督・・部下達を残して死んだら許さねえぞ」


西提督「お前のくれたこの命お前なしでは意味がない・・絶対に死なせない!行くぞ妙高!」


妙高「はい!」


黒髪は見つける事が出来るのか!


走れ黒髪


走る黒髪


妙高さんに言われた先輩をよく知る人物を探す為に


しかし、途中で気付いてしまう


名前も姿も知らないと


黒髪「ど、どうしよう!」


聞きに戻る?でも、名前を言ってなかったし妙高さん達も知らないとか?


だとしたら時間の無駄になるし西提督さんが言っていた事を思い出せ


西提督『自分を信じてやってみろ』


黒髪「自分を信じて・・・うん!」


きっと西提督さんは私を信じて頼んだんだ


なら、なんとしてもやり遂げないと!


黒髪「まずはどうしよう・・う〜ん」


とりあえず近くのゴミ箱にモンエナの缶を捨てた


また機会があったら先輩に頼んで貰おう


金髪「黒髪」


黒髪「あ、金髪・・って何してるの?」


金髪「ん?眠ってしまってる艦娘達の回収だ」


愛宕「ふにゅ〜上等だ〜こら〜」睡眠中


金髪「眠ってる奴が多くてな部屋に運んでる途中だ」愛宕背負い


愛宕「こんにゃろ〜〜」ギュッ


ムニュ


金髪「っ!」ちょっと鼻血


黒髪「金髪・・」ジトーー


金髪「い、急がないとな!じゃあな!黒髪も頑張ってくれ!」ダッ


黒髪「言われなくてもやってやります」


メガネ「・・・・・」テクテク


黒髪「あ、メガネ」


メガネ「・・・・・駆逐艦達は任せろ」文月背負い


文月「むにゅ〜〜」ギュッ


メガネ「ふっ・・」鼻血


駆逐艦達「「「・・・・」」」ぞろぞろ


黒髪「うわぁ〜」


メガネって子供に好かれるんだ意外だけどなんとなく納得出来る


でも、見た目が危ない人


本人はそう言うつもりはないんだろうけど


黒髪「たくっ!男達はたくましすぎるっての!」


こんな男達ばかりなら私も・・・


ううん、そんな事なら出会えなかった


今に感謝して


黒髪「ありがとう・・よし!」


二人は頑張って出来る事をしてんだから


他でもない仲間が頑張ってんだから負けられない!


黒髪「私も頑張らないと!」ダッ


しらみ潰しに探す時間はない


考えて!


妙高さんが言っている感じでは西鎮守府の人ではない


つまりお客さんという事で今までで私が見た事ない娘を探せばいい


自慢じゃないけど記憶力には自信があるから一度会ってれば多分だけど分かる西鎮守府の娘は把握してる


多分


さっきの駆逐艦達はみんな見た事があるから西鎮守府の所属


お客さんではない


黒髪「お客さん・・お客さん・・あ!」


まさか、あの襲って来た人かも!


西提督さんは客人だと言っていたしそれに私が先輩の後輩だと分かった時のあの反応


彼女は先輩を知ってる


そして彼女こそが先輩をよく知ってる人なんだ


えっと、私と同じ黒い髪に顔は・・何かを塗っていたと思う


特殊メイク?かな?結構怖かった


あのまま出歩いたら他の娘も怖がると思うし


それに


黒髪「あの時掴まれた時少し汗臭かったし・・」


かなり動いて汗びっしょりになってる筈


女の子ならそんなのは長く耐えられない


彼女はきっとお風呂にいる!お風呂であの変なメイクも汗も落としている筈!


黒髪「急げ!」ダッ


ー風呂ー


黒髪「う〜ん・・いない・・」


お風呂にはお湯すら入っていないし今日使った形跡もない


黒髪「もう!お風呂くらい入りなさいよ!」


此処じゃないとすると一体何処にいると言うのか


黒髪「お腹減ったから食堂?それとも何かの修理とかで工廠?それともトイレ?はたまた買い物とか?」


全てを回ってたら先輩が死んじゃう


ミイラになっちゃう!そうなったらモンエナあげても手遅れ


黒髪「そんなのは嫌だ!」


朝潮「誰か居るんですか?部屋への待機命令が出ている筈ですよ!」


黒髪「あ、朝潮さん」


朝潮「あ、黒髪ですか。こんな所で何をしてるんですか?」


黒髪「人探しをしてまして」


朝潮「人探しですか?誰ですか?」


黒髪「それが名前が分からないんです。提督さんをよく知ってる人物だとしか」


朝潮「どの程度知ってる人なんですか?此処のみんなは提督さんの事は知ってますよ」


先輩って結構艦娘達に人気だったり?


黒髪「その、血液型が分かる人なんですけど」


朝潮「血液型ですか・・という事は皆さん知らないんですね?」


黒髪「はい、その人なら知ってるかもという事で探してるんですが」


血液型を書き忘れたのかどうか分かりませんが先輩には後で文句を言わないと


朝潮「困りましたね。実は私も血液型を聞きにそちらへ向かう途中だったんです。医務室で準備するにも血液型が分からないと準備のしようがありませんから」


黒髪「早く探さないと!朝潮さん場所に心当たりはありませんか?お客さんを此処へ通したとかって言うのは聞いてたりは」


朝潮「聞いてませんしお客さんが来たというのも先程知ったばかりです」


黒髪「そうですか・・・」


朝潮「ですが、よく知る人ですか・・おんぼろ鎮守府の人達なら分かりますがそれ以外にいるのでしょうか?身内であろうと関係ない人は鎮守府へは通せませんし」


朝潮「それに提督さんの身内の方が西鎮守府に来る理由もありませんし、やはりあり得るならおんぼろ鎮守府の人達でしょうか」


黒髪「おんぼろ鎮守府?なんで先輩と鎮守府が関係を?先輩はまだ養成学校の四年生では?」


朝潮「あ、すみません・・・忘れてください」


黒髪「なんなんですか!教えください!手かがりになる事は何でも教えください!時間がないんです!お願いします朝潮さん!」


黒髪「話せない事だとしてもお願いします!絶対に誰にも言いませんから!なんなら!この命をかけますから!」


朝潮「黒髪・・そこまで・・」


朝潮「おんぼろ鎮守府・・提督さんの事をよく知ってるなら彼女達以外には私は知りません」


朝潮「おんぼろ鎮守府と彼は深く関係があります。だから知ってる可能性はあります。勿論彼女達が来てるとは聞いてませんが」


黒髪「彼女達?もしかして艦娘なんですか?」


朝潮「はい、そうです」


普通に研修生であればまず艦娘との縁なんてない


だから、私はよく知る人物を人間だと思っていた


でも、違った


先輩は何時も予想の遥か先を行く


本当に何者なんだろう


でも、これで分かった


黒髪「入渠ドッグです!」ダッ


朝潮「え?」


もし、その彼女が艦娘ならお風呂じゃなく入渠ドッグに行ってもおかしくない!


ー入渠ドッグー


電「絶対に許さないのです!」


如月「まぁまぁ、騙した私達も悪かったんだしね?」


電「如月もなのです!置いて行くなんて酷いのです!」


如月「気がつかなかったのごめんね?」


電「本当なのです?」


如月「本当よ・・」


電「なら仕方ないのです。三日月は許さないのです!」


三日月「私が一番の被害者なのに・・」


如月「ふふふ・・・」


電「如月・・・」


三日月「何か無理してない?」


如月「え?なんで?そんな事は」


電「あるのです。何かあったの?」


三日月「入渠ドッグに入る為に起こしてしまったから変に疲れてしまったんでしょう。入渠ドッグから出たら今度こそゆっくり休んでください」


電「いきなり首をグキッってされて起こされるのは初めての体験だったのです。それで如月もダメージを受けたのです!電は痛かったのです!」チラッ


三日月「うぅ・・ごめんねこう言う起こし方しか知らなくて・・」


如月「・・・そうじゃないの確かに疲れているのだけど・・何か」


三日月「何か?」


如月「胸騒ぎがするのよ」


如月「ただの気の所為だとはー」


ガチャ


黒髪「提督さんが大変なんです!すぐに来てください!!」


如月、電、三日月「「「っ!」」」


如月「気の所為じゃなかったわ!」


黒髪「早く来てください!提督さんを一番よく知っているんですよね!」グイッ


三日月「え?私?ちょっと!待って私はまだそこまでは!お互いゆっくりと!」


電「司令官が!はわわ!急ぐのです!」ツルッ


ゴンッ


電「ぐへっ!」ピクピク


如月「何があったの!」ガシッ


黒髪「今は急を要します!邪魔しないでください!ほら、来てください!」


三日月「で、でも・・ううん!行きます!私が行きます!私が提督さんを一番よく知ってます!」


如月「三日月じゃないでしょ!」ゴスッ


三日月「ふにゃあ!」


黒髪「あ、大丈夫ですか!」


如月「提督は何処?何処なの!答えて!」


黒髪「だから!貴女ではなくてー」


朝潮「如月さん!来ていたんですね。提督さんならそろそろ医務室へ向かっていると思います急いでください!」


如月「医務室ね!行くわよお嬢ちゃん!」首根っこ掴み


黒髪「ひゃぁあああ!せめて!タオルをぉおおお!」


如月「いらないわ!!」ダッ


三日月「・・・お姉ちゃんにぶたれた・・グスッ」


電「」ピクピク


朝潮「私も急がないと!如月さんの着替えもっと」ツルッ


ゴンッ


朝潮「転けましたね・・・痛いです」ガクッ


呪いの傷口


ー西鎮守府医務室ー


如月「提督!」


黒髪「死ぬかと思った・・」


西提督「来たか!って!おい!」


如月「なに?」全裸


黒髪「抵抗したんですが・・無理でした。せめてタオルを」


如月「いらないわ」


黒髪「はぅ・・・・」


西提督「妙高・・頼む」目瞑り


妙高「はい、如月さんそのままでは風邪ひきますよ」


如月「関係ないわ!それより提督よ!」


妙高「駄目です!その様な姿で医務室へは入れられません!着替えは入渠ドッグですね?着替えてから来てください!そのくらいならまだ大丈夫ですから」


如月「でも!」


妙高「文句言わずに従ってください!私は引きませんよ!西提督にそんな姿は見せられません!」


妙高「心変わりしたらどうするのよ」ボソッ


如月「っ!分かったわよ・・・ふふ」


〜数分後〜


如月「これで良い?後、入渠ドッグに居た娘達を連れて来たわ」


朝潮「」くてぇ〜


電「」ピクピク


三日月「お姉ちゃんがぶった・・・」ショボーン


妙高「はい、大丈夫ですが・・なにがあったんですか?」


如月「何もないわ」


妙高「そ、そう」


西提督「もう目を開けられるな」


黒髪「ずっと瞑ってなくても良かったと思うけど・・」


阿武隈「朝潮ちゃんまた寝てる・・疲れているのかな?」


妙高「そっとして置きましょう。空いてるベッドへ」


西提督「電はー」


如月「起こすと煩いだけよ」


妙高「同じくベッドへ」


三日月「お姉ちゃんが・・」ぶつぶつ


妙高「あれは無視で」


西提督「あぁ」


如月「それで提督は何処にいるの?」キョロキョロ


妙高「此方に寝かせています」


如月「っ!」ダッ


提督「」


如月「提督?ねぇ提督返事をして・・ねぇ!提督!」


西提督「落ち着け出ている血の量は少量だ。今すぐどうにかなるって事はない」


如月「一体何があったんですか!さっきまで元気だったじゃない!」


妙高「如月さん提督さんの血液型を教えてください。輸血しないと危険なんです」


如月「血液型・・輸血・・どうしてそんな事に」


西提督「足からの出血が止まらないんだ。だから輸血してどうにか保たせるしかないんだ」


阿武隈「全ての血液型を用意したけど提督さんはどれなの?あたしはAだと思うけどABもあり得るかな?」


如月「・・・・・・ないわ」


阿武隈「え?ないって?」


如月「そこにある血液はどれも提督には合わない絶対に使わないで」


妙高「もしかして提督さんはrh−なんですか?それでしたら少しですがありますから」


如月「違うのよ・・」


妙高「それ以外ですか・・・まさか艦娘と同じとか言うんじゃ」


如月「それも・・違うわ。少なくとも西鎮守府で用意されている中にはないわ」


西提督「では、なんだと言うのだ!このままでは提督が!」


黒髪「あの、落ち着いてください」


西提督「っ!」ギロッ


黒髪「ひっ!」


西提督「す、すまん・・そうだな」


妙高「血液型を書いてなかったのは特殊だから書けなかったという事ですか」


如月「特殊と言うより・・ううん、そうね特殊」


黒髪「どれも合わないって・・おかしいです!だってそれじゃあ提督さんだけ人として仲間外れじゃないですか!こんなの提督さんがあんまりに・・可哀想です!」


如月「そうね・・おかしい・・こんな身体に産まれてしまって・・人として生きさせてあげたかった・・」


如月さんの目からは私でも分かるほど悲しい目をしていた


その目を見た時私の中で諦めるという言葉が出てきた


だって血が足りないのに


その血がなくてしかも血が止まらない


諦めたくない・・諦めたくないけど・・


でも、やがてその目は強い決心を感じさせるほどの強い目へと変わった


如月「でも、どうにか出来るかもしれないわ。ううん、する!」


西提督「なんだ!なんでも言ってくれ!」


妙高「ええ、なんでもしますから」


阿武隈「うん、あたしにも何かさせて」


黒髪「勿論私もです」


如月「みんな・・・」


如月「提督にこんなにたくさん仲間が出来ちゃって・・寂しいけど嬉しい・・良かったね提督」ボソッ


如月「絶対に助けてあげるからね提督」


西提督「それで?どうすれば良い」


如月「まずは前提として血を止めないといけません。提督に合う血は用意出来ますがそれは一度きりです。量としては出血している状態では明日までも保ちません」


如月「ですから止めないと足りなくなります」


妙高「ですが、色々とやってはみたんですが止まらないんです」


阿武隈「こんな症状初めてだよ!もう何が何だか・・」


西提督「傷自体は少し切っただけの傷なんだが」


黒髪「縛って止めるとかは?長い間は駄目だけど少しの間なら」


妙高「もう試しましたが意味ありませんでした」


如月「傷を見せて」


妙高「はい、此処です」


傷は先輩の足首に刃物のような物で少し切れたようになっている


傷は浅いし大きくない


だけど今も血が出ている


如月「・・・・確かにおかしいわね」


西提督「あぁ、本来ならほっておいても治る程度の傷だ」


妙高「ちょっと危険ですが血が固まりやすくなる薬も投与しましたが意味ありませんでした」


如月「・・・・・・そう」


阿武隈「何をしてもまるで回復する兆しが見えない・・あり得ないよ」


黒髪「これじゃあ・・まるで呪いです・・どうする事も出来ない・・」


如月「っ!」


阿武隈「その通りだね・・そうだったらもう駄目だね」


西提督「そんな事!そんな事・・あるわけないと信じたいが・・一番しっくり来てしまう・・」


妙高「もし本当に呪いだとするなら治し方なんてありません・・だって聞いた事もありませんから・・一番厄介ですね」


如月「いいえ、そうでもないわよ?呪いだとするなら一番簡単です」


黒髪「え?そうなの?」


西提督「呪いだとして治し方が分かるのか!」


如月「ええ、呪いをかけた奴を殺せば良いのだから」


西提督「成る程!」


黒髪「そ、そうなのかな?」


物騒だけど・・そうかもしれない


妙高「ですがそれは誰が呪いを付けたか知っていればの話しで、まず呪いかも分かりません」


如月「それを今から確かめます」


妙高「本当に呪いなんて・・」


如月「この足の傷はなんで付いたかは?」


西提督「すまん、分からないんだ」


如月「背中の傷は?」


西提督「それは・・俺だ」


阿武隈「・・・・・そうなんだ」


西提督「すまない・・・」


如月「何を使ったのかを聞いてるの」


西提督「この軍刀だ。本来なら人間は斬れない筈なんだが・・」


如月「提督は斬れるわ。それで軍刀に血は付いた?」


西提督「あぁ、結構付いていたが・・そう言えば付いていた血は誰が拭いてくれたんだ?綺麗になっていたが妙高か?」


妙高「いえ、私は何も自分で拭いたのを忘れたとかでは?」


西提督「いや、あの後から回収する時まで触っていなかった筈だが・・」


如月「ちょっとその軍刀を貸してくれる?」


西提督「あぁ」


西提督さんから軍刀を借りた如月さんは剣を抜いて刃を見る


如月「・・・・・」くんくん


匂いを嗅いで


如月「・・・・・」ペロッ


舐めた


如月「血の味がしない・・だとするならやはり・・」


西提督「お、おい、危ないぞ」


そして


如月「・・・・・」スチャ


自分の腕に刃を押し当て


西提督「なにやってる!」


妙高「それは艦娘に対しては凄く斬れるんです!危険です!」


阿武隈「腕が持ってかれちゃう!」


黒髪「まさか・・諦めて提督さんを追おうと」


如月「そんな事にしないわ。私は絶対に諦めない。私が死んで提督が助かるなら迷わずそうするけどね」


如月「今回は確かめたいだけよ。これで私の予想通りの結果になれば!」


如月は自分の腕を切った


西提督「っ!」


妙高「嘘・・・・・」


阿武隈「あれは西提督さんの軍刀なんだよね?なのに・・」


黒髪「切れてない・・あんなに鋭いの傷一つない」


如月「原因が分かったわ」


如月「巻き込んでしまってごめんね・・」ボソッ


軍刀に向いて一人呟いた


元凶


西提督「なんなんだ原因は」


如月「原因は提督の傷じゃないこれよ」


黒髪「え?」


そう言って西提督さんの軍刀を見る


妙高「軍刀?まさか軍刀の呪いとか言うわけでは?」


如月「正確には違うけど大体そうよ」


西提督「本当なのか・・こいつが・・俺のこの軍刀が提督を・・苦しめているのか?」


如月「うん、間違いないわ」


西提督「すまない説明してくれないか・・今が一分一秒を待ってくれない状況だとは分かってはいるが・・そいつは俺が司令官になる時に貰った大切な軍刀で・・今まで共に歩んで来た相棒なんだ」


如月「・・・・・・・」


如月「提督・・」提督の手を握る


黒髪「・・・・優しい目」


思わず見惚れてしまう程だった


如月「もし、みんなが貴方を嫌っても私だけは味方でいるからね」ボソッ


黒髪「え?」


一番近くに居た私だけが聞こえたと思うけど・・どういう意味なんだろう?


この人は先輩にとってどういう人なのかな?もしかして・・


如月「良いわ。説明するけど提督を助けるのが先よ。だからまずは」


如月「出血の元凶であるその軍刀を折って」


西提督「っ!」


妙高「貴女は!そんなに簡単に言うけどこの軍刀が西提督にとってどれだけー」


如月「黙りなさい!私は西提督に言ってるんです!西提督!提督と軍刀どちらが大事なの!答えなさい!」


如月「返答によっては・・」ギロッ


黒髪「っ・・・」


こ、怖くて動けない・・・さっきまでの優しい目をしていた人と同じだなんて思えない


でも、他の人達はこのくらい平気なのか?


阿武隈「っ!!」プルプル


そうでもないみたいです


如月「元は貴女達が起こした事になんの罰も対価もなしに許されると思ってるの?」


妙高「っ・・それを言われると・・すみません西提督」


西提督「・・・・・・・」


如月「提督は優しい・・だからどんな事があってもきっと許してしまう・・そして一人溜め込んで・・倒れてしまう・・だから私が彼を支えてあげないと彼の足りない部分を補わないといけないの」


如月「提督が許しても私が許しません・・・本当は今からでも暴れてやりたいくらいなのよ?」


如月「でも、それは提督が悲しむからしない・・私が我慢出来るならそうする・・でもね?それは提督が生きていてこその話であって・・」


如月「それを脅かそうとするなら・・誰であろうと・・容赦しません」ギロッ!!


阿武隈、黒髪「「ひゃぁああ!」」ビクッビクッ


妙高「っ・・・・身体が勝手に」後退り


西提督「・・・・・・・」目を瞑り


如月「どうする?相棒と死ぬ?相棒を殺す?どっち?」


西提督「・・・・・・・」


如月「・・・・・・・・」


西提督「すまない!」グワッ!


鞘から刀を抜き妙高へとその刃を向ける


妙高「っ!」


黒髪、阿武隈「「っ・・・」」ガクブルガクブル


西提督「妙高・・お前の力で折ってくれ。艤装展開を許可する!」


妙高「西提督・・・分かりました!」


西提督「行くぞ!」シャキン


妙高「はい!」艤装展開


提督の軍刀「」ピカッピカッ


一緒に持って来ていた提督の軍刀が強く何度も光る


妙高「そうですか・・せめて貴女が」


西提督「すまない!こんな俺は絶対に許すな!良いな!相棒ぉおお!」シュッ


妙高「お願いします・・」提督の軍刀


西提督「っ!」グッ


提督の軍刀を持った妙高を見て構えを変えて全力で斬りかかってきた


この時西提督が持っている軍刀はかなりの重さになっていた。それも常人では持てないほど重く


軍刀が抵抗していたのだ。それが何を意味するのか


西提督「っ!!」


全身の筋肉がフルで動く。いや、とっくに限界を超えている


此処で躊躇う事は彼女を苦しめ友を失う事になる


それだけは駄目だ


それにそんな気持ちで打ち込めば妙高に直撃させてしまう可能性もある


迷いを捨て全身全霊で軍刀を握った


目の前の相手を信じて全力で振る


それだけを考えた


西提督「うぉおおおおお!!」


妙高「っ!」


当たれば妙高でも重症だ。下手をすれば死ぬ


だけど、妙高は西提督を信じている


彼女を苦しませないように一発で決めてくれると


そして今彼女が持っている軍刀もだ


折れてはいるけど私は知っているこの娘の本当の輝きを


だから、怖くない


妙高「・・・・行きます!」シャキン


妙高「はぁああああ!!」


西提督「相棒ぉおおお!!」


ガキンッ!


西提督「ぐっ!」


妙高「くっ!」


お互いの軍刀が大きな音を立てて当たったその衝撃はかなりのものだ


西提督はわざと軍刀に負担の掛かる斬り方をした


逆に妙高は最低限の負担でそれを受け止めた


そして少しして西提督の軍刀は真ん中から砕けちるように折れた


刃から生気が消えるのが分かった


西提督「・・・・・・終わったか」


妙高「・・・・・・はい」


提督の軍刀はヒビ一つなく輝きを失っていなかった


折れた軍刀を慰めるかのように少しの間光り続けた


西提督「・・・・俺はこの日を絶対に忘れない絶対に!」


妙高「はい!私もです」


如月「・・・・・・・・」


阿武隈「・・・・こんな事して意味あったのかな・・こんな・・」


黒髪「分からないです・・でも、なんかよく分からないけど・・辛いです。でも泣きません・・阿武隈さん先輩に何か変化は?」


阿武隈「えっと・・っ!うそ・・血の勢いが弱まってる・・西提督さん!妙高さん!血が弱まってます!」


妙高「え!見せて!本当だ・・少し出ていますが勢いが弱まってる!これなら止血出来ます!」


黒髪「手伝います!」


阿武隈「あたしも!」


妙高「お願い!」


西提督「あぁ・・本当に良かった・・」


西提督「これで良かったんだ・・これで・・」


西提督は折れてしまい柄だけになってしまった軍刀を手にとって言った


西提督「俺はお前の犠牲を無駄にはしない。これから俺は大事な仲間を友をどんな事があっても守る。守り抜いてやる。その為ならどんなに醜くても生きる生き抜いてやる」


西提督「西提督が生涯をかけて此処に誓う」


その軍刀を力強く見つめ強く強く誓ったのだった


刃のない軍刀を鞘に収めた


不思議と鞘から落ちる事はなかった


もう抜く事も手入れをする事も出来ないけど


これからも共に歩もう


そう、心の中で言ったのだった


峠を越えろ


妙高「止血終わりました!ですが血が足りません!すぐに輸血を!」


西提督「如月!提督に合う血液は何処にあるんだ!必要なら俺が走ろう!」


如月「必要ないわ此処にあるから」ガシッ


三日月「ぶった・・ぶった・・お姉ちゃんが斜め45°でぶった・・」ぶつぶつ


如月「三日月の血液なら提督に合うわ」


西提督「三日月が?彼女は元艦娘だぞ?いくらなんでも・・いや、疑ってる暇はないな信じよう如月を・・妙高準備を」


黒髪「元艦娘だったんだ・・」


妙高「もうやってます!三日月さんこのベッドに横になってください」


如月「ほら!しっかりしなさい!」グキッ


三日月「ぐぇ・・あれ?此処は?私は誰?・・・あ、三日月でした」


三日月「・・・・・・」チラッ


提督「」


三日月「っ!提督さん・・顔色が・・こ、これは・・」


三日月「・・・・・」キョロキョロ


三日月「・・・・・」くんくん


三日月「ふむ・・・・」


三日月「私は何をすれば良いの!此処に寝れば良いんですね!」ベッドにダイブ


三日月くらいになると場を少し見ただけで大体状況を把握できる


三日月は今提督が大変な事になっていて自分が必要とされている状況だと察した


如月「察しが良くて助かるわ。三日月貴方の血を提督に分けて欲しいの」


三日月「え?血を?いえ、今は理由なんて聞いてる暇はありませんね。ただ一つ私は元艦娘だけど元は艦娘なんです。人と全く同じ血ではないという事だけは理解してますか?」


如月「ええ、大丈夫よ。その事については貴女より理解してるわ。貴女の知らない事もね」


三日月「へぇ・・・・」


三日月(これって結構裏事情な筈なんだけど・・)


如月「時間がないわお願い妙高」


妙高「じゃあ、血を分けてもらいますね」


三日月「大丈夫です自分で出来ますから腕で良いですよね?」ナイフ取り出し


妙高「え?」


三日月「えい」ザクッ


三日月以外「「「っ!」」」


三日月「どうぞ」血プシューー


妙高「自分の腕を刺してなにしてるの!馬鹿なんですか!」


三日月「え?だからいるんですよね?止まらないうちにどうぞ」


如月「はぁ・・三日月貴女ね・・」


阿武隈「なんと言うか・・バカなんだね」


黒髪「はは・・・・・」


西提督「とにかく傷の手当てだ」


妙高「じっとしていてください!」


三日月「え?え?いらないの?」


妙高「正規のやり方と違います!」


三日月「あ、そんなのがあるんですか勉強になります」


妙高「とにかく止血と手当てを」


三日月「あ、自分でできー」


妙高「やりますから!じっとする!」


すぐに傷の手当てが終わり


三日月から血を採取し始める


イムヤとの戦闘に続き先程の腕からの出血により採取できる血の量はあまりない


気分が少しでも悪くなったらその時点で止めないと三日月も危険な状態になる


三日月「すみません・・輸血なんてした事なかったんで注射で取るんですね」


妙高「当たり前です!貴女のようなやり方では使い物になりません。それより気分は悪くないですか?」


三日月「大丈夫です。それよりまだ足りませんよね?どんどん採ってください」


妙高「いえ、そろそろ止めておきましょう。本音を言う気はないようですし」


三日月「まだ大丈夫ですって言ってますが?」


妙高「嘘ですね冷や汗が出ています。これ以上は危険です」


三日月「平気ですから採ってください!」


妙高「やめます!阿武隈すぐにこの血を提督に輸血します準備を」


阿武隈「はい!」


三日月「っ!これじゃあ提督さんが!」


妙高「大丈夫ですこれだけあれば死ぬ事はないです。残りの足りない分は提督さん本人で補ってもらいます。大丈夫です人間はそう簡単に死にませんから、それにこれ以上採ってしまえば貴女が大変な事になります下手をすれば死にます。それを提督さんがどう思うか考えてください」


三日月「・・・・・本当に大丈夫なんですか」


妙高「大丈夫ですから」


三日月「そうですか・・あの」


妙高「後は任せて休んでください」


三日月「すみません・・後はお願いします」


そう言うと三日月は眠ってしまった疲れと貧血で三日月はくたくただった


如月「三日月・・ありがとう」


西提督「提督もうすぐだからな待ってろよ」


妙高「さて、もうひと頑張りです!」


その後金髪達も戻って来て提督への輸血は途中脈拍が乱れて死にかけはしたものの突然脈拍が正常値に戻り汗も引いて呼吸も安定した


そのいきなりの変わり様にみんながびっくりしていたが提督が助かった事に皆喜んだのだった


あれから一時間後


先輩は全てが正常値で顔色も元に戻って今はただ眠っているだけだった


妙高さんが言うには回復力が高いので時期に目覚めるだろうという事だ


提督「すぅーすぅー」


三日月「ふにゅー」抱きつき


電「っ!!」しがみつき


妙高「この二人何時の間に・・まぁ良いか・・疲れた」


朝潮「記憶が混乱しています・・後頭部が痛いです」


阿武隈「提督さんはもう大丈夫だって事が分かれば良いでしょ?」


金髪「大将が死んだら俺は・・本当に良かった〜」


メガネ「・・・・・」コクリ


皆が落ち着いてきて場の雰囲気も明るいものへと変わっていった


でも、まだ此処でその雰囲気に身を投じるわけにはいかない


何故なら


黒髪「・・・・・・」チラッ


如月「・・・・・・」ガチャリ


如月が医務室を出て行こうとした時


西提督「待てよ。まだ話してもらってないだろ?」


そう、まだ肝心な事を聞いてないから


この事態の説明と先輩の事を


それなのに何も言わず逃げようとした様に見えた


西提督さんが怒るのも無理ない


私は少し怒り気味な声で言う西提督さんの隣に立って言った


黒髪「先輩の事聞いてません」


西提督「逃がさねえからな如月」


場の雰囲気がまた冷たく暗いものになった


その場で一人如月さんだけは自虐的に笑い言った


如月「忘れてくれれば良かったのに」


絶対に忘れない。だって此処からが本番だから


三途の川ウォーズ前編


ー???ー


提督『また此処に来たのかよ・・』


今俺のいる場所は天国へ続く途中の場所で一度来た事があった


あの時は夕立と時雨のいきなりの裏切りにより突き落とされて


それから・・・あ、生き返ったんだ


あれ?でも、此処にいるって事は


提督『俺また死んだのか?』


なんで?何があった俺!全くとして身に覚えがない


提督『黒髪に刺された?』


いや、あり得ない!恨まれるような事はしてないし第一にそんな事をするような奴じゃない


やるなら堂々と正面から・・いやいや!ないない


しかし、此処に居るという事は死んだという事になる


でも、前と違う点が二つある


一つ、俺の身体が透けているという事だ


なんか変な感じだ痛みとかは全然ないけど


二つ、前とは風景が違う


前来た時は綺麗に花が辺り一面ずっと続いており空も雲一つない青空だった


今思えばあの時は日差しも強かった筈だけど全然暑くなかったな


まぁ、死後の世界だから気にしても仕方ないだろう


問題は前と違い花は枯れてしまい空は曇り空で暗い


雷なんか鳴ってるし


まさかの地獄への道とか?


提督『うん、帰ろう!舌を抜かれるとか洒落にならないからな!』


夕立『何処に?此処は確かに前来た場所っぽい』


提督『あ、殺人犯』


夕立『いきなり喧嘩売ってるっぽい!やるならやる!かかってくるっぽい!』構え


時雨『まぁまぁ落ち着いてね?提督は記憶がごっちゃになってるだけだよ』


提督『いや、俺は正常だけど?確かにお前らに突き落とされて・・・あ、生き返ったんだな』


提督『時雨は救世主だな。ありがとな背中を押してくれて』


時雨『ふふ、どういたしまして』


夕立『で?夕立には何か言う事は?』イライラ


提督『突き落としやがって血も涙もない女だ!』


夕立『よしっ!もう本気で怒った!その顔面潰して帆の一部にしてやるっぽい!って!止めるな時雨!』


時雨『そんなグロい事はやめようね?提督も悪気があって言ったんじゃないと思うしね?』羽交締め


時雨『ほら提督も謝って』


提督『へっ?すまん』鼻ほじり


夕立『悪気なしで言える言葉じゃないっぽい!それにその態度ムカつく!』


時雨『とにかく今はこの状況をどうにかしないと僕達も死んじゃうよ?』


夕立『それは困るっぽい!提督ささっと此処から出る!』


提督『そうだな夕立をからかうのは此処までだな』


夕立『くぅーー!からかってたのね!』


時雨『夕立が表情豊かになって僕は嬉しいよ。喜怒哀楽の怒しかないけど』


夕立『もう・・・』


時雨『お?これは喜もあるね』


夕立『そこうるさい!』


時雨『ふふ、ごめんね』


提督『それで此処は本当に前来た場所なのか?』


夕立『たくっ・・そう、勘だけど』


時雨『夕立の勘は結構当たるよ。例えるなら宝くじの連番を10枚買って300円が当たるくらいには』


なんか微妙・・・


提督『まぁ、充分だ。俺もそうかと思っていたしな時雨はどう思う?』


時雨『うん、間違えないよ匂いで分かる!例えるなら宝くじのー』


提督『うん、もう良いから』


時雨『そう・・・』シュン


提督『三人が皆そう思うなら此処はそうなんだろう。だとするなら』


母さんがいると思うんだけど


まさか、三途の川を諦めて天国の門へ?いや、六文銭がないと入れない筈だ


母さんは三途の川がない事に怒り六文銭を全力投球してなくしてるから入れない


何処かにいると思うけど


提督『此処ってどのくらい広いんだろう・・』


夕立『東京ドーム何個分くらいとかでは表せない程はあるっぽい』


時雨『そんなの関係なく永遠に道は続いてると思うよ?終わりを感じない』


提督『探すのに何年も掛かるとかは勘弁だぞ?』


とにかく早く戻らないと黒髪達や西提督さんに迷惑をかけてしまう


母さんを探してもう一回あの道を通ろう


黒い手はまた夕立に頑張ってもらおう


提督『あ・・・・』


ふと気付く


あの時と違う点が多過ぎる事に加えて俺の身体が透けている


もしかして手遅れじゃないのか?


もう既に死んでしまったとか?


なら、こんな事をしても意味はない


大人しく天国への門へ行って・・って六文銭ないじゃないか・・


母さんが投げた六文銭を探すか?


絶対無理だろうな・・・


提督『はぁ・・・』座り込む


夕立『どうしたの?早く探すっぽい』


時雨『疲れたなら少し休むかい?』


提督『いや、違うんだ。もう手遅れなのかもしれないって思うとな・・理由は分からないけど死んだんだろ?俺』


本当・・俺ってマンボウもビックリの貧弱ぶりじゃないか・・黒髪ごめんな・・少し寝るって言ったけど来世までだったよ・・


もし願うなら来世で起こしてくれ


モンエナ一つは供えてくれよ


夕立『まだ死んでないっぽい!』


提督『っ・・なんだよ・・ぽいって・・曖昧だな・・夕立は何時も曖昧な言葉しか言わない。もう少し自分の発言に自信を持て』


夕立『これは口癖っぽい!わざわざ言わせるなっぽい!』


提督『うん、知ってる。あんだけぽいぽいぽい言ったら分かるって』


夕立『ムキーー!からかうな!』


提督『最初の一言で死んでないって言われたら安心しちゃってな』


夕立『え、そ、そうなら仕方ないかも・・うん』


時雨『一言で信じるんだね』


提督『こういう時の夕立は嘘はつかないって思えるからな。よくは分からないけど君達二人の事はよく分かるんだ』


なんでだろう二人には素の自分で接する事が出来る


まるで長年の付き合いの親友?いや違うな恋人?いやそれも違う夫婦?どれもしっくり来ない


俺自身みたいな?一部とか?


分からない・・でも一つ言える事は隠し事をしても意味がないように思える


分からないけど不安にもならない


この関係・・悪くない


時雨『ふふ、嬉しいね。少しは意識してきてくれてるのかな?もしかしたらちゃんと認識してくれるのも近いかも』


夕立『ふん!』


提督『でも、聞いて良いか?なんで死んでないって分かるんだ?なんか俺消えそうなくらい薄いけど』


手をかざすと手を通して前が見える


時雨『薄いから良いんだよ。まだこの場所に完全に来ていない』


夕立『まだ提督は生きてるっぽー・・生きてる』


時雨『きっと君を助けようと皆が動いてくれているんだ』


提督『そうなのか・・はは、なんだよビックリさせやがって・・』


薄いのが良いなんて・・なんて皮肉なんだ


でも、それならなんで俺は此処に?


時雨『でも、此処にずっといればきっと君はやがて薄くなくなる』


今の状況を理解していないなら俺は喜んで此処に居続けると言うだろうな


だって薄くなくなるんだぞ?まぁ、俺のは人よりちょっと髪の毛が細いだけだけど


薄いと思う人も居るし!薄いって事にする!してやる!


提督『どうすれば帰れる』


時雨『ごめんそれは分からないんだ本来此処に来るのは死んだ後の筈だから提督が来る事はあり得ないんだ・・多分』


夕立『多分って曖昧っぽい』


時雨『僕も此処に来るのはこれで二回目だからね分からないんだ。長年世界を見続けて来たけどこればかりはね・・』


夕立『うぅ・・それは夕立にも言える・・』


提督『とにかく此処でじっとしていたら本当に死んでしまう可能性があるって事だな。なら、やっぱり母さんを探すしかない』


提督『一度目も母さんのお陰で帰れた』


向こうでは如月が頑張ってくれた


でも、如月は此処にはいない


提督『行こう』


時雨『探すんだね』


提督『あぁ』


夕立『行くっぽい!』


こうして俺達は母を探して三千里の旅に出た


この荒廃した道を三人で歩いて


提督『なぁ、あれなに?』


夕立『知らない時雨は?』


時雨『僕も分からないかな?』


天使『』ピクピク


羽の生えた多分天使だと思われる人が倒れてピクピクしていた


ピクピクする身体に合わせて羽までピクピクしてる器用だ


羽は身体を包めそうなくらい大きい


モフモフしたい


服装は布を最低限巻いているだけだった


胸が小さいお陰ではみ出る事はなさそうだ


これが巨乳なら目のやり場に困る上にはみ出ている


少し残念な気持ちと良かったと思う気持ちがあり複雑だった


提督『むむ・・・・小さいか』


時雨『小さくてごめんね』


提督『へ?』


夕立『・・・本来の力が出せれば改ニに慣れるのに・・そうすれば』


提督『いやいや、別に俺は』


時雨『うん、分かってるから』


夕立『提督・・・』ジトー


駄目だ分かってない話しを変えよう


提督『あ、あれを見てよ輪っかが頭に付いてるぞ!天使だよ!うん!天使だ絶対!』


時雨『天使さん・・大きくしてください』拝み


夕立『夕立は必要ないし!』強がり


提督『はぁ・・・・』溜息


二人を無視して天使に近づく


夕立『・・・・あのバカ』


時雨『夕立』


夕立『分かってる』


するとさっきまでごちゃごちゃ煩かった二人が黙った


どうしたんだろう


提督『あの・・大丈夫ですか?』


天使『』ピクピク


近くで見ると結構可愛い顔をしている白目むいてるけど


提督『あの!大丈夫ですか!』ユサユサ


天使『っ!』ピクッ


良かった気が付いたようだ。天使ならもしかしたら母さんの場所が分かるかもしれない


起きたところ悪いけど本題を


提督『なぁ、実は人をさがー』


天使『人間だぁあああ!!』グワッ


提督『っ!』


いきなり天使が飛びかかってくる


なんで!なんでなの!起こしたからか?どんだけ寝覚め悪いんだよ!


顔がもう悪魔


提督『いやぁあああ!』


ダッ!!


提督『っ!』


時雨『起こしてごめんね!』ドゴッ


天使『ごほっ!』


夕立『お休みっぽい!』ゴスッ


天使『ぐはぁ!』


天使『うぅ・・これは入ったわ』バタッ


天使が飛びかかって来たと同時に二人が殴りかかった


天使はあっという間に地面に倒れた


助かったけど二人から距離があったと思ったんだけど


提督『二人とも助かった』


夕立『不用意に近づくなんてアホの極みっぽい!』


時雨『うん、これは僕もおこだよ!ぷんぷん』


可愛い・・・


提督『ご、ごめん』


時雨『分かったなら良いよ。でも、あまり心配させないでね?ぷんぷんだぞ!』


提督『あ、あぁ』


それ気に入ったのか?


可愛い(確信)


夕立『さてと・・・おら起きろ』ガシッ


天使『た、助けて・・食われる!天使が大好物って顔してる!』


夕立『あぁ?そんなわけなー』


時雨『食われたくなかったら僕達の質問に嘘偽りなく答えるんだよ?言っておくけど空腹の夕立は僕でも止められないから』


時雨『ね?分かった?』


夕立『・・・・・・・』


提督『ぷっ・・』


夕立『きっ!』ギロッ


提督『・・・・・』目そらし


天使『ひ、ひぃいい!わ、分かりましたから食べないで〜』


時雨『提督どうぞ』


提督『あ、あぁ、悪いけどちゃんと答えてくれれば何もしないからね?ちょっとの間我慢してくれ』


天使『は、はい』


提督『恩に切ります』


提督『では早速ですが此処は何処なんですか?貴女は一体誰なんですか?』


天使『わ、私は天使です。そして此処は天国へ続く道です』


提督『どうやら合っていたようだな』


提督『人を探してんだが分からないか?提督母って言うんだが』


天使『っ!何故その名を!やはりお前もあいつの!』


提督『え?』


天使『お前も消してやる!!』


ゴンッ!


天使『いたっ!』


夕立『口に気をつけろ・・じゃないと消すのはお前っぽい』


時雨『今の言葉を夕立語に訳すとお腹減ってきたって』


天使『ひぃいい!!』


夕立『・・・・・・・もう良いや』


時雨『今のは頂きますだね』


天使『ひぃいやぁああああ!!』


提督『はぁ・・・もう良いだろ離してやれ』


時雨『良いの?何か勘違いしてるように見えるけど』


提督『でも、このやり方はやっぱり嫌だな。夕立離してやってくれ』


夕立『ちっ!』パッ


天使『ひっ・・・た、助かったの?』


時雨『提督に感謝するんだよ?じゃないと今頃はその羽は付け合わせのポテトになってたよ。勿論メインは、き、み、だ、ぞ』


天使『ひいっ!そ、その・・あ、ありがとうございました!』


提督『お礼は良いから教えてくれないか?母さんの事を俺達は此処に来たばかりで何が起こったか分からないんだ』


天使『そうだったんですか!それにあの人の息子さんですか!これは・・もしかするかも』


提督『あの、天使さん?』


夕立『やる?』


時雨『指示待ちだよ』


夕立『ぽい』


夕立、時雨『『・・・』』キラン!


天使『貴方の様な優しい方なら・・あの!力を貸してもらえないでしょうか!あの人を提督母を説得してください!』


提督『え?説得って・・』


天使『あ、全く知らないんですよね?なら説明しますけど・・その前にあの殺気を放ってる二人をどうにかしてもらえないですか?怖くて・・』


夕立、時雨『『・・・』』キラン!!


提督『二人ともsit!』


夕立、時雨『『っ!』』おすわり


提督『これで良いだろ?』


天使『は、はい実は』


天使の話しはこうだった


三途の川を諦めていない母さんが天国の門へ同志達を引き連れて抗議のデモ起こしたのが始まりだった


穴を掘ってもすぐに元に戻ってしまう仕様を変えろと言った


しかし、天使の頂点に君臨するセラフィムであるミカエルはそれを無視して天使達に全員の天国強制連行を指示した


そこから人間と天使の全面戦争が始まった


最初こそ天使達が優位に立っていたが人間達の高度な作戦により手も足も出なくなった


デカイ要塞を建て周りに兵を散りばめて近づけないようにしたのだ


戦っても天使達は人間に負けてしまう


人間達には武器があるが天使達には一応あるけど・・問題があるらしい


そしてこの天使は仲間と戦場へ向かう途中で羽がつって落ちたらしい原因は運動不足だ


そして気付いたら俺達と出会ったと言うわけだ


このままでは様々な負の瘴気が溜まりやがて爆発して此処は滅んでしまい天国までに及んでしまうらしい


そうすれば時期に地獄と繋がり大変な事になるらしい(主に地獄と天国の事務の方が)


そしてもうあまり時間が残されていない


この天候がそれを物語っている


元に戻すには母さんを説得してその大きな瘴気の元である三途の川への執念をなくさないといけない


天使『こんな事を頼むのもおかしいですがお願いします!貴方の母を止めて此処を救ってください!』


天使『これから来る人生を終えた方の安らぐ場所を・・壊させないで』


天使『私の!やっと手に入れた職を奪わないで!!もう面接は嫌だぁああ!』


最後の言葉が一番強い気持ち感じたけど気の所為だよね


提督『・・・・・天使さん』


母さん・・・何やってんだよ


思いつきで唐突に何かをする事はよくあるけど


でも、絶対に人の迷惑になる事はしなかった


なのに・・・・


止めるしかない


提督『母さんの所へ案内してくれるか?』


天使『それじゃあ!』


提督『あぁ、母の責任は息子が負うものだ』


かつて母さんがそうしてくれたように


今度は俺が!


提督『行こう』


天使『はい!』


二人が戦場へと歩を進める


その背中には大きな決意とつよさが感じられた


一人は羽で背中は見えないけど


その一人の背中と一人の羽を寂しそうに見る二人


夕立、時雨『『・・・・・』』おすわり


彼女達は主人の指示待ちだった


提督『あ、二人ともcome!』


夕立、時雨『『っ!』』ダッ


そして四人は提督母の居る要塞へ向かった


長くなるようで短い戦いが始まった


因みにこの時点で現実世界ではようやく黒髪が如月を連れて来たぐらいだったりする


提督の姿が少し濃くなった


知る覚悟


医務室が静寂に包まれる


さっきまでの安堵の声や関係ない雑談は聞こえず


ただ皆が事の成り行きを見守っていた


西提督「今更話してくれないなんて言わないよな?如月」


西提督さんは味方の筈だけど隣にいるだけでも吹っ飛ばされそうな気がした


飛ばされないよね?


金髪やメガネが手で合図をしている


金髪「っ!」パッパッ


メガネ「・・・・・」クイクイ


多分だけど


金髪『そこは危ないからこっちへ来い』


メガネ『メガネ〜』


とでも言いたいのだろう


でも、そっちへ行ったら私はただの傍観者になってしまう


それは嫌だ下手をすれば教えてもらえないかもしれない


それに、大事な仲間の事だから傍観を決め込むのは嫌


しがみ付いてでもこの場に残る


ただ、二人も私を心配してくれているのは分かる


ごめんね二人とも


如月「ふっ・・嘘はつかないわ提督に怒られるもの」


西提督「なら、話してもらおうか」


如月「でも、条件があるわ」


西提督「お前は此の期に及んでまだ条件を出すのか!いい加減にしろ!」


如月「これで最後よ。この話しをするのは西提督さん貴方だけよ他には話せない」


西提督「・・・・分かったそれで良い」


黒髪「っ!」


やはりもしかしたらと可能性は考えていた


さっきから如月さんは私に目すら合わせてくれない


まるで私が西提督さんの隣にいるのに気付いていない


いえ、私なんて眼中にないんだ


隣にはいるけど完全に蚊帳の外なんだ


黒髪「良い性格してますね・・」


例えるならサッカー漫画で主人公とライバルのボールの奪い合い


そして主人公はゴール間近までボールを守って走る


でも、ライバルも負けずと奪おうとする


時間もあと僅かで緊迫している状況


チャンスは一度しかない一か八かの勝負


でも、私という名無しのモブがゴール前の良い位置で待機している


パスさえしてもらえればノーマークの私なら確実にゴールに入れられる


必死にパス!と叫ぶ


でも、主人公は私を無視して一か八かの勝負を選ぶ


何故か?モブの私など眼中にないからだ。それに展開的にもモブの私が入れたら面白くない・・しらけてしまう


こういうキャラは漫画のコマの端にすら書かれない存在で読者にさえ認識してもらえない


だって作者ですら知らないんだから


それが今の私・・・・どんなに近づいても主人公の横を並走していても耳元でパスしろ!と叫んでもガン無視される


ならどうするか・・指を咥えて見てるか?解説役に徹するか?違う!


もう逃げないって決めた!無関心でいるのはもう終わり


逆にどんどん踏み込んでやる!私なりの覚悟を持って


西提督「みんな悪いが医務室から出てくれないか?」


そう言われて西提督さんと如月さんだけが残る状況が出来ようとしている(当事者の先輩にそれから三日月さんとあと一人は眠っているのでノーカン)


私はその場に残る


金髪達が出て行く際に連れて行こうとしたけど私の顔を見て何を思ったのか連れて行こうと掴んだ手を放して小さな声で言った


金髪「頑張れよ」


メガネは相変わらずメガネをクイクイさせていたけど唐突に自分のかけていたメガネを私にかけて出て行った


度が全然入っていなかった。折角なので付けたままにしている


阿武隈さんと朝潮さんも私を止めずに黙って出て行った私の前をゆっくりと通って


その隙に私は二人の影に隠れてベッドの下へと隠れる小さい身体がこの時は役に立った


みんなありがと


西提督「さて、話してもらおうか」


如月「待って・・・出てきなさい」


やっぱりばれてしまうかな・・・


でも、それは想定内


黒髪「・・・・・・」


西提督「黒髪出ろ如月と大事な話しがあると言っただろ」


黒髪「・・・・・・・」


モブが指を咥えて見てるのはモブだと認めてしまった奴だけ


どんなにパスを叫んでも無視をされてしまうなら


黒髪「いえ、私も聞きます。動きませんから」座り込み


主人公とライバルからボールを奪ってしまえば良い


なんならボールを手で掴んでそのまま逃亡と言うのも良いかも絶対に無視出来ない


KOを取るのも良いです


要は無視出来ない程まで踏み込めば良いという事


本当に西提督さんと如月さん相手にKOを取れという事ではない


メガネを一度クイッとさせて知的風に言う


黒髪「さぁ、話してください」


西提督「駄目だ出ろ」


やはりそう言うよね・・怖いけど


逃げない!


黒髪「嫌です!私も聞きます!聞かせてください!先輩の部下として聞く義務があります」


如月「部下・・・ね」


西提督「駄目だ!部下だろうがなんだろうが皆に話せない理由があるのが分からないのか!何のために如月が俺だけに話そうとしてるのか!その意味を考えろ!」


黒髪「考えましたけどそれでも知りたいんです!教えてください!秘密は守りますから」


西提督「駄目だ!出ろ!」


黒髪「嫌です!」


西提督「いい加減しろ!動かないと言うなら無理矢理にでも!」


黒髪「そ、そんな事するならセクハラで訴えますから!本気ですから!」


西提督「あのな・・・それは困るぞ」


如月「ふふ、面白い娘ね」


西提督「ほとんどを提督に任せていたからな提督の部下だと言っても過言ではないだろう。こういうところは似てきている喜ぶべきか迷うがな」


西提督「だが、まだ一年生の研修生でありヒヨッコ以下だ」


如月「将来が楽しみね」


西提督「あぁ」


如月「だからこそこの話しは聞かせられない。研修生ごときに背負える重みじゃない」


如月「提督の事を心配してくれてるのは凄く分かる。でも、分かって提督の為を思うなら知らなくて良いこともあるの」


黒髪「知らなくて良い事があるのは分かります。でも!命に関わる事を知らなくて良いなんて言えません!私は先輩の提督さんの部下でー」


如月「その部下って言うのやめてくれる?」


黒髪「何故です?部下だから部下と言って何が悪いんですか?」


如月「気に入らないのよ・・・勘違いでもそう言われるのは」


黒髪「勘違いって・・どういう意味ですか?先輩は私達の上官で私達もそれを認めてます。何処に勘違いが?」


如月「それは研修での話しでしょ?そんなの上官部下の関係じゃないわ」


如月「結局貴女は好奇心から部下であると言う理由を使って聞き出そうとしているんでしょ?」


黒髪「っ!好奇心じゃなくて!私は本当に先輩が心配で!もし次にこんな事があった時にー」


如月「次はないわ私が守るから、それに貴女と提督の関係も研修が終われば生徒と軍人よ」


黒髪「え?待ってください!先輩だって研修生で!学年は四年生ですが練習生の筈では」


如月「あら?西提督さんこれは?」


西提督「提督は四年生だという事だ間違いはないだろ?」


如月「成る程ね・・」


黒髪「え?どういう事ですか?先輩はもしかして・・」


如月「四年生よ。もう着任する鎮守府は決まってるけどね。だから練習生だという事を忘れていたわ」


黒髪「っ!」


卒業しても中々鎮守府に着任する事は難しいと聞かされているのにもう着任にを約束されている


先輩はやっぱり凄い人だった


黒髪「先輩・・・」ポーッ


如月「へぇ・・・・」ニヤリ


西提督「すまん如月って如月顔がにやけてるぞ」


如月「気にしないでそれより」


黒髪「私も頑張らないと!」


如月「今の顔はもしかして」


西提督「如月、時間も無限にあるわけじゃないそろそろ無理矢理にでも俺が追い出そう」


如月「いえ、ちょっと確かめたい事が出来たわ。答え次第では彼女にも聞いてもらう」


西提督「良いのか?」


如月「もし私の思う通りなら彼女には聞いて欲しい。そして選んで欲しい。ごめんなさいもう少し時間をくれる?」


西提督「分かった。俺は出た方が良いか?」


如月「そうねお願い」


西提督「分かった終わったら呼んでくれ」


西提督「黒髪少し席を外す」


黒髪「先輩・・って、え?あれ?まさか話し終わった!」


如月「まだよ。貴女に聞きたい事があるから少し席を外してもらっただけよ」


黒髪「え?私に?」


如月「単刀直入に言うから嘘をつかないで答えて良い?」


黒髪「あ、はい」


如月「黒髪・・貴女は提督の事好きなの?」


黒髪「ふぇ?好き?すき焼きは好きですよ?」


如月「貴女本当に18?年齢詐欺じゃないの?5歳くらい誤魔化してない?提督を異性として好きか聞いてるの」


黒髪「異性・・・提督さん・・あわわわわ!」


黒髪「な、な、何を言って」


如月「答えて大事な事なの」


黒髪「そ、そんな事言われても」


如月「もういいわ西提督さんに外に出してもらうから」


黒髪「あ、待ってください!答えますから」


先輩は普段はだらしなかったり時たま変な事をしたりするけど、その行動には何か意味があってそれに救われた人もいた筈で


私もそうだったその何気ない行動に私は救われた


後、モンエナくれた


でも、部下達の事を一番に考えて自分の事は後回しにするし悩みがあっても溜め込んで・・話してくれない。それだけは不満


私が言うのも変だけど頼って欲しかった


尊敬もしているし先輩のようになりたいと思った事もあるし今も思ってる


でも、好きかどうかと言われると


嫌いじゃないのは分かる


でも、異性として先輩は・・・ないとも言えないしあるとも言えない


正直言うなら


黒髪「すみません・・分かりません。先輩は嫌いじゃないです尊敬もしていますし一緒に居ても嫌じゃないです。ドキドキしたりした事もありましたがそれが恋なのか不整脈なのか分かりません」


好きなのかもしれない


でも、こんな曖昧な気持ちで先輩を好きだと言えない


もっとはっきりした時に


今は曖昧かもしれないけどこれが私の正直の答え


黒髪「それが答えです」


如月「そう・・そうなの、ふふふ」


黒髪「如月さん?」


如月「ちなみに私は彼を愛してるわ」


黒髪「っ!」ズキッ


今一瞬胸に痛みが


やっぱり不整脈なの!


如月「最後に部下だと言うのはただのそれらしい理由を探して出た言葉で本当は・・違うんでしょ?」


黒髪「それは本当です!私は先輩の部下として・・部下として・・・・っ」


ズキッとまた胸が痛んだ


それ以上さっきの言葉を言う事が出来なかった


言いたくなかった


如月「どうしたの?」


黒髪「・・・分からない。さっきまではそう思ったのに・・」


黒髪「如月さんの言う通り違うのかもしれません・・でも、本当に先輩が心配で好奇心なんかじゃないってのは信じてください」


黒髪「こんなに人に興味を持ったのは初めてで・・どうすれば良いとか分からなくて不安で・・その、そう見えたかもしれませんが・・絶対に違うんです!」


如月「・・そう貴女にとっては私の思うより遥かに大きな一歩だったのね」


如月「もう充分よ。貴女苦労してきたのね・・」


黒髪「・・・・・そんな」


如月「嘘ついても顔はそうって言ってるわよ」


黒髪「そんな事は・・ううん、そうですね。何度産まれてきた事を後悔したか分からないほどには」


如月「何があったの良かったら話して無理にとは言わないけど誰にも言わないから」


黒髪「如月さん・・・」


そんな優しい目で見られたら


気付くと口が動いていた


黒髪「無視されるのは当たり前だったかな・・だから私も無視して周りに無関心になったけど・・そんなのはつもりだっただけで・・本当は構って欲しかった」


黒髪「無関心でいれば何もされなかったけど・・・辛かった悲しかった」


如月「もしかして貴女の父親も海軍関係者だったの?だから無視されたりしたとか?」


黒髪「ううん、海軍関係者だったのは母の方で・・あまり良い噂は聞きませんでした。艦娘のメンタルケアをしていたらしくてそれが他の海軍の人達からしたら兵器相手に何をやってんだってなって・・・味方である海軍からも見放されてあっという間にその噂は広まって・・」


如月「メンタルケア・・・もしかしてこの娘」


黒髪「母も行方不明になって裏切者の仲間なんて言われて」


如月「そう・・・貴女も」


黒髪「でも、此処に来れて先輩達に出会えた事でそう思わなくなって今が楽しくて・・」


黒髪「辛かったけどもう大丈夫ですって今なら言えます」


黒髪「今までの事がこの為の布石だと思うとなんかどれも良い思い出に思えます」


如月「その強さ・・そっくりね」


如月「黒髪、合格よ」


黒髪「え?」


如月「提督の事を話してあげる。ううん、聞いて欲しいの貴女には知る資格がある」


黒髪「如月さん・・はい!お願いします!」


如月「西提督さんを呼んで話すわ」


黒髪「はい!」


穢れた血


西提督「黒髪にも話すんだな」


如月「えぇ、構わないわよね?」


西提督「あぁ、如月が良いなら俺は何も言わないが気になるな」


如月「部下としてではなく将来のお嫁さん候補として聞くなら良いって事よ」こそこそ


西提督「ほう・・・・成る程な」ニヤリ


如月「・・・・・・」


如月「私って何がしたいのかしら・・本当にバカ」ボソッ


黒髪「あの、二人で何こそこそ話してるんですか?」


西提督「な、なんでもないぞ!さぁ、如月話しを始めてくれ」


如月「ふふ、そうね」


如月「その前に確認をさっきも言ったけど絶対に誰にも喋らないでって約束出来る?勿論提督にもよ」


如月「まだ、あの子にはまだこの事実を受け止める事は出来ないから」


黒髪「・・・・・・・」


先輩の知らない先輩の秘密を知るなんて


なんか複雑です・・


西提督「あぁ、この軍刀に誓おう」


黒髪「誓う物はないですけど絶対に喋りません!あ、この先輩に貰ったモンエナの缶に誓います!」


如月「よろしい、じゃあ、まずは何処から話しましょうか」


西提督「なら聞きたいのだが俺の軍刀に何が起こったんだ」


如月「軍刀に艦娘の魂が宿っている事は知ってるわよね?」


西提督「あぁ、解体した時に稀に出てくる艦魂(かんこん)から出来ていると言う事も知ってる」


黒髪「へ?軍刀って生きてるの?」


西提督「覚えておけ軍刀には彼女達の魂が宿っている。もし司令官になって軍刀を手に入れることがあるなら大事にしろ良いな?それはお前の魂であり海軍人の誇りになる」


黒髪「はい!ですが、冠婚(かんこん)で出来てると言うと愛で出来るんですね」


式場とかは儲かってるのかな?


キスすると出てくるとか?


西提督「ふっ、愛か良い表現だ」


如月「あながち間違ってはないわ理解が早くて助かるわ」


黒髪「えへへ」


如月「彼女達は私達と同じで意思がある。今回はその意思が暴走状態になってしまった」


西提督「その要因が提督と関係が」


如月「彼女が暴走したのは提督の血を吸収してしまったから」


西提督「血を?いや、特殊な血だ。何かあるのか?人の血や艦娘の血を受け付けずに元艦娘のを受け付ける」


西提督「元艦娘と人又は艦娘達との違いがあるとするなら・・まさか!だとするなら納得が出来る」


黒髪「??」


一人で納得されても困るのだけど・・


如月「そう、提督の血は人間の血と艦娘の血が混じってるのよ。だから入渠ドッグも使えるし軍刀にも反応をした」


黒髪「先輩艦娘だったんだ!」


艦息?でも、艦はないから、息?


西提督「元艦娘達と同じって事か」


黒髪「成る程!それなら艤装がないのも頷けます!」


如月「ちょっと違うのよ。元艦娘は人間の血を少しずつ決まった量を何度も時間をかけて投与する事で艦娘としての力を失い艤装が外れてしまう。部分解体を用いて生まれる存在で艦娘の血に人間の血が少し混じってる状態よ」


如月「でも、提督は人間と艦娘の血が半々で元艦娘とは混じりの割合が全然違うのよ」


西提督「半々だって?どういう事だ」


如月「提督は艦娘と人との間に産まれた子なのよ。でも、あくまで人間ベースだから艦娘のように艤装を展開したりは出来ないけど」


西提督、黒髪「「っ!」」


西提督「待て!人間と艦娘の間に子は出来ない筈だ!人間と艦娘の血は相性は最悪だと聞いてるお互いが潰しあって最終的には身体の血は全て蒸発してしまう筈では」


西提督「部分解体では何度も少量の人間の血を吸収させて艦娘の血自体を変えてしまうと聞いたが半々はあり得ない」


如月「ゼロじゃないのよ。本当にゼロに近い確率だけど二つの血がお互いを受け入れる事があるのよ」


西提督「あり得ないが・・納得は出来てしまう。だが、もしこんな事が上層部にばれてしまえば・・提督は間違いなく捕まる」


如月「実験台にされるわね・・これからの未来の為の尊い犠牲として」


黒髪「先輩・・・・・」


如月「もしばれても提督が海軍人である間は大丈夫よ。上も鎮守府を任せている人物を簡単にはどうこうする事が出来ないの市民の不安心を煽るのもそうだけど艦娘達を使って反乱なんて起こさせてしまっては大変な事になるから」


如月「それにそんな人がまさか司令官になろうとするなんて思いもしないでしょ?普通なら海軍とは関係ない所でひっそり暮らすものよ」


如月「これは流石元帥ちゃんね。そう言うところはちゃんと考えてある」


西提督「何を考えているか分からんがな今回の研修の意味は大体理解しているが少しばかり贔屓過ぎると思うが」


如月「彼は不器用だから」


西提督「便利な言葉だな」


如月「ふふ、そうね」


半分以上置いてけぼり状態・・・


黒髪「あれ?でも先輩はまだ正式には・・」


如月「細かい事は気にしたらダメよ。時期に任されるんだから同じよ」


黒髪「あ、はい・・・」


西提督「父親は行方不明になったと聞いてるがなら母親は何処に」


如月「提督が産まれて少しして海域攻略問題が起きて仲間を逃す為に犠牲になったのよ」


西提督「そうか・・艦娘の宿命を全うしたんだな。立派な艦娘だったんだな」


如月「・・・・・・っ」


黒髪「私はそうは思いません・・だって自分の子を置いて死んじゃうなんて最低です・・なんで近くにいてあげなかったんですか・・どうして先輩を一人にしたんですか」


黒髪「父親はどうして母親を出撃させたんですか」


黒髪「先輩の父親も母親も最低です」


西提督「軍人としては立派だったが親としては・・そうだな」


如月「っ・・・・・そうね、私もそう思うわ」


如月「本当に最低よ」


西提督「もうそれくらいにしよう提督にとっては大切な家族だ。眠ってるとは言え本人の前で言う事ではない」


黒髪「言い過ぎました・・すみません」


如月「良いのよ本当の事だから」


西提督「この話しは終わりだ。次は提督の血がどうして軍刀を暴走させた。それに暴走とはなんだ」


如月「それを言うには少し血の説明をしないといけないのだけど・・元艦娘の血が現艦娘にとって毒と言うのは知ってる?」


西提督「毒だと?」


如月「私達艦娘には艦娘としての血が流れてる。でも、元艦娘には人間の血も流れているの」


如月「黒髪、A型の人にB型を輸血したらどうなる?」


黒髪「そんなの血液型が合わずに拒否反応が起こって死んでしまいます」


如月「艦娘も同じで現艦娘の血がA型とするなら元艦娘の血がB型みたいなものなのよ」


西提督「なら、艦娘は死ぬのか?」


如月「ううん、死なない。人間にすれば死ぬけど艦娘の血はね獰猛なの」


黒髪「獰猛?襲ってくるんですか!」


如月「違うのよ他の外敵を絶対に許さない吸収してしまうのよ。だから元艦娘の血が入っても時間は掛かるけど吸収されてしまうのよ。人間の血も同じよ」


如月「でも、人間の血は何度も決まった量を吸収させる事で艦娘の血自体が変わってしまうけど」


黒髪「それで元艦娘になるんですね」


如月「そうよ。でも、一度にたくさんの量を一気に入れると吸収が間に合わずに半暴走化してしまう」


西提督「半暴走化するとどうなる」


如月「本人は意識もあるし半暴走してる自覚もなくその時の一番の欲望に強く執着してしまうの戦闘が好きなら戦闘狂になったり、お腹が減って食べ物の事ばかり考えている娘なら暴食する」


黒髪「暴食・・・・」


下手をすれば1日で大きく太る可能性もあると


なんて恐ろしい


西提督「知らなかった・・そんな事があるのか詳しいんだな」


如月「そう言うのを調べていた娘の記憶があるから詳しいだけよ」


黒髪「あ、知ってます。同一艦の記憶を引き継がれるんですよね!記憶は宝とも言いますし羨ましいです」


如月「そう?ふふふ」


西提督「・・・すまない」


如月「良いのよ悪い事だけじゃないし」


黒髪「??」


まさか?まずい事でも言った?


西提督「なぁ、もし艦娘が半暴走化したら・・やはり軍刀と同じようにするしかないのか」


如月「そうだと言ったら?」


西提督「駄目なのか・・・」


如月「ふふ、大丈夫よ半暴走化ならまだ助かるわ」


黒髪「ん?なら?」


まるでそれより先がありその先になると手遅れと言っているようだった


西提督「本当か!どうやってだ教えてくれ!もしいつか半暴走化してしまう娘が現れないとも限らない頼む!」


如月「半暴走化は吸収が遅れるだけで時間が経てば落ち着いてくるわ。会社で例えるなら仕事を一気にたくさん持ってこられてモチベーションがダウンして何時もより時間を掛けてしまっているだけよ」


如月「就業時間も過ぎてしまいこんなに仕事を押し付けた上司に腹を立てながら仕事をしてる状態よ」


西提督「成る程それは内心穏やかではないな。だが、時間が解決してくれるのか・・良かった」


黒髪「でも、ほって置くと少なからず被害はあると思います。暴食状態とかは私なら早く止めて欲しいと思いますし」


如月「途中で止める方法を二つあるわ。一つは縛って逆さ吊りにすれば頭に血が上って大人しくなるわよ」


西提督「暴食状態なら捕まえられそうだが戦闘狂とかなら骨が折れそうだな」


黒髪「私には無理です・・逆さ吊りなんて可哀想で出来ません」


如月「なら、二つ目よ。それは見せた方が早いわね」


西提督「どういう事だ」


如月「さっき三日月達を連れてくる時に医務室の外にダンボールを置いてるの持ってきて」


西提督「あぁ、分かった」


ガチャ


西提督「これか?何処かで見た事あるような」ダンボール


如月「開けてみて」


ぱかっ


イムヤ「あぅーー!あひ〜〜」プルプル


黒髪「イムヤさん・・・」


西提督「執務室に忘れていたが今思えばずっとこうなんだが・・大丈夫なのか?」


如月「実はイムヤさんには二つ目の方法をしてるのよ」


西提督「待ってくれ!それじゃあイムヤが半暴走化していたように聞こえるが」


如月「そうよ。三日月との戦闘で彼女噛み付いて結構血を吸っちゃったのよ」


西提督「なんて事だ・・噛み癖治ってなかったのか」


イムヤさんって犬?


黒髪「もし半暴走化したならイムヤさんは」


如月「そうね・・野生化していたわね」


西提督「野生化して此処まで大人しくなるとは・・その方法は如月がやったのか?」


如月「そうよ。仕方なかったのよ三日月ではそう言う知識はないと思うし」


西提督「知識?」


如月「さっき言ったけど一番の欲望に執着するならその一番を変えてあげれば良いのよ」


黒髪「それって・・」


如月「彼女が戦闘狂なら、それを遥かに超える欲を与えるのよ。例えば性欲とかね」


西提督「っ!まさか!」


黒髪「イムヤさんを!」


如月「ふふ、例えの話しよ?何をしたのかは想像に任せるわ。でも、中途半端な欲は意味ないからよく考えてね?」


西提督「あ、あぁ・・・」


黒髪「イムヤさん・・」 ダンボールそっ閉じ


次会う時は何時ものカッコ良いイムヤさんです


西提督「如月、半暴走化があるなら暴走化もあるんだろ?」


如月「あるわ。暴走化したら意識は完全になくなってしまう欲望も何もかもがぶちまけられて狂った様に死ぬまで暴れてしまうわ」


西提督「死ぬまで・・助ける方は」


如月「ないわ。会社で例えるならあまりの仕事の量に捌ききれずに無理をして過労死してしまい誰も仕事をする人がいなくなってしまった状態よ」


如月「吸収をしなくなってしまい不安定な血に身体も心もついて行けずに壊れる。こうなったらやってあげられる事は誰かを殺して殺人犯のレッテルを貼られる前に殺してあげる事よ」


黒髪「・・・・本当にどうにもならないんですか」


如月「身体は動いていても既に死んでしまっているのよ」


黒髪「そうですか・・・」


西提督「そう言う事が起こらないように気をつけるしかないな。知っているのと知らないとでは起こる確率もぐんと減る黒髪知るという事はこういう事だ。辛いならもう出ても良いぞ」


黒髪「いえ、大丈夫です。全部聞きますから」


如月「無理はしたらダメよ?」


黒髪「はい」


西提督「暴走化の事は理解した軍刀も艦娘の魂で出来ているのだから血を吸ってしまえば暴走してしまう事も分かった」


西提督「だが、イムヤは三日月の血で半暴走化したが軍刀は提督の血で暴走している提督の血も毒なのか?」


如月「そうよ・・でも、さっきも言ったけど元艦娘と違い血は人と艦娘で半々」


如月「元艦娘よりも毒性は強いわ。しかも軍刀にとっては我慢できない程のご馳走になるの」


西提督「ご馳走だと?」


如月「軍刀は血が付いても本来なら平気なのよ。吸う事さえしなければね危険だという事も軍刀は理解してる」


如月「軍刀には自分の血が入ってないから入ってしまえば打ち消す事も出来ず残ってしまう事も分かってた筈よ」


如月「でも、吸っちゃったのよ。分かってても吸っちゃうくらいに提督の血は・・惑わせてしまう」


如月「提督の血には艦娘達を惹きつける何かがあるのよ・・」


如月「こんな事言いたくないけど・・提督が艦娘達に好かれやすいのはこういう事も少なからず関係しているのかもしれないわ」


西提督「いや、それはないだろう。提督が好かれているのは提督の人としての実力だ。でなかったら人間である俺も黒髪も提督を好いていない。そこは信じてやれ」


西提督「俺は中々人は認めないからな!そんな俺を認めさせたんだ提督の実力は本物だ」


如月「西提督さん・・・・」


黒髪「す、好いてるかは別として尊敬はしてます。これが血の所為だとは思えません!」


黒髪「金髪もメガネも先輩を信じてます!こんなに人から好かれているのに血の所為だなんておかしいです」


如月「黒髪・・ありがとね二人とも・・そうよね提督を信じてあげないといけないわね彼は彼だからこそみんなが着いてきてくれる信じてくれる」


如月「私少し疲れてるのかもしれないわね。でも、もう大丈夫よ!」


如月「で?何処まで話したっけ?」


黒髪「本当に大丈夫なのかな・・・」


西提督「提督の血がご馳走だというところだ」


如月「あ、そうだったわねそれで今言っても遅いと思うけど多分彼女は耐えたと思うのよ。吸わないように我慢していたんだと」


如月「だからすぐに血を拭いてあげれば良かったのだけど言っても遅いわね」


黒髪「そんな簡単な事で防げていたんですね」


西提督「何故そう思う・・」


如月「と言うと?」


西提督「何故耐えていたと言えるすぐに吸ってしまったかもしれない。慰めるつもりで嘘を言ってるならやめてくれ」


如月「残念ながら私もそう言う嘘は嫌いよ?そう思ったのは彼女が艦娘としての誇りを捨てていなかったからです」


西提督「誇りを?」


黒髪「埃?」


如月「軍刀を折るとき抵抗された?重くなったりとか」


西提督「あぁ・・いきなり凄く重くなったがどうにかギリギリ持てていた」


如月「彼女が本気で抵抗していたなら人では持てないわ。抵抗していたのはきっと貴方にではなくて暴走化にだったのよ」


西提督「っ!」


如月「最後の最後で貴方を信じて貴方の持てるギリギリまで耐えたのよ。そんな娘がすぐに血を吸ってしまうなんて思えないからよ」


西提督「そうか・・・そうだったか。よく頑張ってくれたな」


腰に下げている軍刀に手を置き微笑んだ


黒髪「・・相棒か」


私にもいつか出来るかなお互いがお互いを信じて戦ってくれる相棒が


先輩の顔が一番に浮かんだけど近くにいるからであって偶然


黒髪「・・・・・ふふ」


如月「今まで言った事を踏まえて結論を答えるわね」


西提督「あぁ、正直色々聞いて混乱してるからまとめてもらえると助かる」


黒髪「メモしていたんですが読めないのでお願いします」


如月「どうして提督の傷が軍刀と関係があったのか、そして軍刀に何があったのか」


如月「軍刀は提督を斬った事で血が付いてしまい耐えるけど吸ってしまい暴走化」


如月「舐めた時に血の味が全くしなかった事から付いた血は全部吸ってしまった量からすれば暴走化するには充分過ぎる程あった」


如月「それから何かしらの方法で提督の足に傷を付ける事が出来た。多分だけど縛られていたから軍刀で紐を切ろうとしてその時に切ってしまったのね」


如月「暴走状態の軍刀は血を欲していた。だから切ったと同時に傷口に血が止まらないように呪いをかけた。これは私が軍刀で自分を斬った時に確信したわ」


如月「艦娘である私が斬れなかった。それ程までに全ての力を使っているしかも継続的な何かにね」


如月「だから折る事で無理矢理その力を解除させた。でも、最後の最後で彼女は正気を取り戻したようだけどね」


黒髪「呪いですか・・なんかあまり納得は出来ないですね」


如月「私も呪いとかよく分からないけど分かりやすく言うとそう言う言葉を使ってしまう軍刀化した艦娘の力はまだあまり解明されていないのよ」


西提督「もし、呪いと言うのが自由に使えるようになるとあまり想像はしたくないが人間同士の争いは更に増えるだろうな。隠しておいた方が良いだろう」


如月「だから彼女達も隠していたのかもしれないわね」


黒髪「こんな力になんの意味が・・」


西提督「さぁな・・どんな物も使いように寄れば武器にも何にでもなる呪いもそうだろう」


如月「以上が私の知っている事と予測を兼ねた答えよ」


如月「元艦娘や提督の血は危険だけどそれこそ大量に摂取する事なんてないと思うし・・それ以外は妖精さんに不安定な存在としてちょっと・・いえ、かなり・・いえ、凄く・・いえ、怪物級として怖がられている以外は普通の人間と変わらないのよ」


如月「だから、二人とも提督をそして元艦娘達を嫌いにならないでください・・お願いします!」


西提督「ふっ、友を裏切る事は絶対にない。それは今も変わらない。元艦娘達だって必死に生きている者を愚弄などしない」


黒髪「私もそのくらいで先輩を嫌いになんてなりませんからモンエナくれましたし元艦娘達も私達と変わりません嫌いになるなんておかしいです」


如月「ありがと・・ありがと・・」ポロポロ


如月「提督良い人達に出会えて良かったね!」ゴソゴソ


お礼を言うと如月さん愛おしいそうに提督の元へ行って布団へ潜り込んだ


その流れるような仕草で潜り込んだのでおかしいとは微塵も感じなかった


そう、それがまるで当たり前のようかのように


西提督「さて、難しい話しは終わりにするか」


黒髪「そうですね」


西提督「おっと、あと一つ重要な事を聞いていないぞ」


西提督「如月最後に一つ、何故三日月の血は提督には大丈夫なんだ?元艦娘の血は提督の血と比率は違うだろ?」


黒髪「あ、そうです!これを聞かないと」


軍刀の話しが濃すぎて忘れてしまっていた危ない危ない


布団から顔だけだした如月さんが眠そうに答えた


如月「提督の母親が睦月型の娘だから。元艦娘になると型によっても血液型が変わるから睦月型の元艦娘の血じゃないと受け付けないのよ。比率に関しては提督にも艦娘の血があるのだから比率が違ってもどちらか一つの純血じゃなければ吸収してくれるわ。提督の血は毒性も強いけどその分獰猛差もマシマシよ〜ふぁ〜」


如月「私は疲れたわ〜もう寝る・・お休み」スポッ


そう言って亀のように布団へと首を引っ込めた


如月「あ、そうそう、黒髪、その眼鏡渡しなさい」


と思ったら布団から手だけだして眼鏡を要求した


黒髪「あ、はい、どうぞ」


ちょっと気に入ってる眼鏡を外してその手に置くと


グシャ!


握り潰した


黒髪「へ?な、何をしてんですか!これは借り物で」


西提督「何かあったのか?」


如月「こっそり会話を録音して後で聴くつもりだったのよ。やるわねあの子」


西提督「うむ、この眼鏡になんか付いてるな」


如月「ボイスレコーダーよ」


黒髪「え?そんな」


私もしかして利用された?


如月「後はそこにビデオカメラが隠してあるわ」指差し


西提督「むむ、油断も隙もないな!気に入ったぞ!」ビデオカメラ破壊


黒髪「何処でこんなの手に入れたのか・・西提督さんカメラごと破壊しなくても・・」


如月「そことそこにもあるわね。そこにも」指差し差し差し


西提督「ふははは!!」破壊破壊破壊


黒髪「はぁ・・・・」


如月「これで安心よ・・お休み」


西提督「如月の方が上手だったな!ふははは!」


なんで西提督さんはこんなに嬉しそうなのか


黒髪「メガネ・・後で文句言ってやる!」


くしゃくしゃになった眼鏡を持ってそう思った


でも・・・・・


黒髪「・・・・・・」


先輩が人間じゃないとか艦娘とのハーフだとかばれたらやばいとか色々聞いたけど


私にとってどれもそんなに深く考えるような事ではないと思う


先輩は先輩でどんな過去があっても私が会って見て感じた先輩が先輩なんだ


この事は秘密にするけど


気付いた時には忘れてるかもしれない


それで良いんです


黒髪「先輩・・これからもよろしくお願いします」


そしてその日が終わったのだった


メガネにくしゃくしゃの眼鏡と西提督さんが破壊した諸々の機器を返したらガチ泣きされたので自業自得とは言え怒れなかった


こうして研修4日目の先輩の知らない話しは終わりです


三途の川ウォーズ中編


ー???ー


永遠に続く花の枯れてしまった花畑で拳と拳で語り合う二人とそれを見守る三人がいた


一人は一心不乱に相手の命を狩ろうと攻撃する者


もう一人は戦う事に抵抗があるようで防御に徹していた


しかし、それも長くは続かず終わりは突然と来た


提督『佐藤さん!話せば分かります!少しで良いから話しを!』


佐藤『黙れ!くらえ!佐藤、ザ、パンチ!』シュッ


提督『当たるか!』サッ


天使『危ない!避けて!』


佐藤『甘い!佐藤二連撃だ!二発目は痛いぞ!』ドゴッ


提督『ぐぁ!』


佐藤『さぁ!寝ろ!』ゴスッ


提督『うわぁ!』


佐藤『この天使に味方する裏切り者めが!』首絞め


提督『ぐぅうう!』


佐藤『抵抗しても無駄だ!我らが姫の創る三途の川の礎となれ!』


提督『あ・・ぐっ・・』


意識が・・・・


くそ!こんなところで・・・・


時雨『・・・・・・』


夕立『・・・・・・』


二人は俺を強い眼差しで見ていた


その目は・・まだ信じてくれるのか俺を・・


そうか・・・そうだな


諦めるなんて俺じゃないよな


提督『っ!』ガシッ


佐藤『っ!』


二人が見てるじゃないか!情けない姿見せてんじゃねぇぞ!


目が霞む・・一心不乱に首を大きく前へ振った


提督『ぐぁああ!!』頭突き


佐藤『ぐっ!』


手の力が弱まった!苦しさを我慢して拳に力を込めて殴る


提督『おらぁあ!』ドゴッ


そのまま相手の上に乗り掛かるように飛びつきマウンドポジションを取る


佐藤『ぐはっ!』


提督『形勢逆転だ!』


佐藤『くっ!殺せ!』


提督『馬鹿を言うな!俺はだだ話しがー』


天使『提督さん!これを!こいつで殺っちゃって!』石ころ


本当に天使なんだろうか・・撲殺を推奨する天使なんて聞いた事ないぞ


提督『俺には無理だ!』


天使『さっきも説明したでしょ!此処での死は天国へ強制的に連れて行くだけだって!これは魂の救済なの!迷える魂を助けてあげて!』


提督『だけど!』


道端の石ころ(拳くらいの大きさ)で救える魂なんてあるのか!


佐藤『ふっ!甘ちゃんは帰ってママのおっぱいでも飲んでな!まぁ、お前のママなんてクソみたい奴だろうがな!』


そのクソみたいな奴があんたらが姫って言ってる奴なんだけど・・


でも、母さんは!クソじゃない!ちょっとアホなだけだ!


いや、かなりアホだ!


提督『っ!言われなくても今からそのママの所へ行くんだよ!天国で安らかに暮らしやがれ!』シュッ


佐藤『え?本当にやー』


ガッ


クリティカルヒット!!


佐藤『あぁ〜心が〜』


佐藤さんは光の粒子になって消えた


本当に救われたよ道端の石ころで


提督『佐藤さんさようなら・・・天国でも元気で』


天使『地獄へ行ってしまぇええ!』


天国『天国も甘いな!』ペッ


提督『・・・・・・・』


夕立『あれも救っとく?』石ころ


時雨『気持ちは分かるけど手遅れだね悪魔は天国には行けないよ』


これが最初の戦闘だった


石ころに付いている血には俺の心を地獄へと誘うかのようにキラキラと不気味に光っているようだった


提督『っ・・・・』


石ころをその場に置いて先へと進んだ


これから先で自分を見失わない様に強く心を保ちながら


そして此処から本格的に戦闘が始まった


俺が敵だと相手側に伝わってしまったからだ


天国勢はボロ負けしているが死ぬ事はないらしい


所々倒れてるのを起こして仲間を増やした


顔に傷がある娘や羽が片方ない娘や筋肉モリモリの娘までもが俺の後に続く


数は徐々に増えていく


多分二桁は超えてると思う


みんながみんな俺を隊長と呼んでいる


天使達が負けてしまうのには理由があった


提督『なぁ、武器を貰ってんのにどうして全く勝てないんだ?』


片翼の天使『うむ、それが私にも分からない』


提督『え?分からないって?』


頬傷の天使『見てみるでござる』


渡されたのは天使には正直似合わないロケットランチャー(RPG-7)だった


提督『天使の癖に物騒じゃないか!槍とかじゃないのかよ!』


幼女天使『刃物は危ないからこれ使えって』


提督『いや、これの方が危ないだろ!当たれば痛いってレベルじゃないからな!』


幼女天使『大丈夫だよ!つよい天使なんだから』ぴょこぴょこ


翼がまだ小さくぴょこぴょこしてる可愛い


提督『そうかつよいかそれなら安心だな。よしよし』ナデナデ


幼女天使『ふぁ〜』


夕立『むっ・・・・』


提督『でも、これなら剣とか素手で来る奴らなんて簡単に倒せると思うんだが・・』


最初に会った奴なんて素手だったし


確か名前は・・・忘れた


ロケットランチャーを手に取ってみる結構軽い


提督『まさか使い方が分からないとか?』


天使『使い方なら熟知してます!でも、弾が出ません!』


提督『弾が出ないのか・・・それじゃあただの筒だ』


鈍器にはなるけど


天使『壊れてはないと思うんだけど、どうにかならない?隊長』


提督『う〜〜ん、まるゆが居れば良かったんだが・・』


その為に死んで来いなんて言えないしな


口に出したら万が一でも来そうなので言わない方が良いだろう


ダメ元で調べてみるとすぐに原因が分かった


注意書きがあった


そこには心の清い者しか使えませんと書かれていた


そこだけ天使らしい武器と言えるが


天使達は人を見ると豹変して襲いかかるので清い心は微塵もない


そして弾が出ないのにずっとカチカチやって斬られたり殴られたりしてやられているらしい


天使達はどうやら戦い方をそれしか知らないらしく翼あるんだから飛べば良いのにと言ったらみんなから驚かれた


薄々は感じていたがこの天使達は馬鹿だ


とりあえず、翼を使った戦い方を教えてみた


あくまでお互いが無事で済むような戦い方を


例えば相手を掴んで高い所へ飛んで脅して降参させる


流石に彼らでも高い所では何も出来ないから軽く脅せば戦意喪失するだろう


筋肉モリモリ天使『さぁ、空の旅だ!』ガシッ


山田『や、やめろ!た、高いのはダメなんだ!降参する!降参するから許してくー』


筋肉モリモリマッチョマンの天使『ふはは!お前を殺すのは最後だと言ったな!』


山田『え?初対面ですよ!』


筋肉モリモリマッチョマンの天使『あれは嘘だ』パッ


山田『うわぁあああ!』


筋肉モリモリマッチョマンの天使『ふははは!!』


提督『・・・・・』


落とすなよ・・・・


高い所から石ころを投げて牽制する


彼らは高い所にいる天使達に手も足も出ずに降参するしかない


天使達『『『潰れろぉおお!』』』大量の石ころ


人間達が『『『うわぁぁああ!』』』


佐々木『石だ!石の雨だ!総員退避!私は!この木だけは守る!』ダッ


頬傷の天使『甘いでござる!』石ころ投てき


ゴスッ


佐々木『』バタッ


人間達『『『佐々木のじいさーーん!』』』


気弱そうな天使『ヒャッハー!ナイスヒット!』


提督『・・・・・・・』


当てるなよ・・・・


天使達は腕力も人とは比べものにならないのでそれを見せつけて戦意を削ぐ


筈なのだが


今空中では人間をボールに見立てた人間キャッチボールが行われていた


幼女天使『いっくよ〜それ!』ポイッ


伊藤『ひゃぁああ!犯罪的だ!』


人間達『『『助けてくれー!うわぁあああ!!』』』


天使達『『『ひゃははは!!待て待て〜』』』


提督『・・・・・・・』


たくさんの人間達が縦横無慈悲に空を駆け回っていた(強制)


夕立『私達・・味方する方間違えてないっぽい?』


時雨『あ、落とした、痛そうだね』


提督『悪魔だ・・悪魔がいる・・』


これ、俺の所為だよな・・・止めないと・・これは戦いじゃない


ただの虐殺だ


もしかしたら天使達の上位種はこうなる事が分かっていたからこそあの武器だったのかもしれない


武器以外の戦いの方法をわざと教えなかったんじゃないのか?


馬鹿なのは仕様だった・・安易に知識を教える事をしてはいけなかった


俺は天国の流れを狂わせてしまったのかもしれない


キャッチボールをして遊んでいる天使達に大きな声で怒りを込めて叫んだ


提督『終わりだ戻って来い!!馬鹿天使共が!!』


しかし、天使達は俺の声に反応しない


天使達『『『人間ブーメラン!』』』


人間達『『『ぎゃぁああ!』』』


提督『おい!撤退だ!聞いてるのか!』


夕立『ダメっぽい虐殺を堪能してる』


時雨『聞こえてはいると思うけど無視してるね。チラッて見た天使も居たし』


提督『くっ!』


夕立『なら丁度良いっぽい!このまま無視して先へ行くっぽい!』


時雨『ある意味では天使達が人間達の気を引いているから行けるかもね。天使達も襲っては来ないと思うし』


提督『だが・・・』


俺の所為でこうなったのにこのままにするなんて


今の母さんと変わらない!


此処で無視をして先に行けば俺は母さんを止める資格はなくなる


俺の言葉は全てブーメランとして自分に返ってくる


提督『止めよう・・止めるんだ!』


俺はすぐ近くにあった天使達が破棄した大量のロケットランチャーが積まれている所へ向かった


一つを手に取り構える


夕立『正気?』


提督『けじめはつけないと!起こしてしまった悪魔は・・俺が救う!』


夕立『相変わらずっぽい・・でも、そうだね・・このアホな戦争を終わらせるには両方やった方が早いっぽい!』


時雨『じゃあ始めようか救済活動を』


提督『お前ら・・ありがとう!』ロケラン構え


清い心を持ってないと撃てない


そもそも清い心とはなんだ


まず、ロケランを撃つという行為そのものに清い心をないと思う


だから、もしかしたらこの清い心とは俺の思う清い心と違うのかもしれない


殺したい、戦いたい、爆破したい、傷つけたい


それが清い心を阻害してるなら


思う心は一つ


救いたい


ただ、人間達も天使達も両方を救いたい


そんな甘ちゃんの心を


小さな翼がぴょこぴょこしてる幼女の天使に標準を合わせる


その顔は先ほどの無邪気な顔は完全になくなっており見ていられなかった


あの時の笑顔は嘘だったのか


いや、違う・・・偽物なのは


提督『今のお前達だ!今助けてやるからな!』


そして引き金を引いた


提督『落ちろやオラァ!』ドンッ!


幼女天使『っ!』


坂上『は、吐きそう・・』ピュー


ドカーーン!!


幼女天使と丁度飛んできた人間が落ちる間もなく爆散した


ロケランは一発使い捨てのようだ


時雨『はい、新しいの』ロケラン


提督『サンキュー!』


夕立『今ので夕立達も標的に入ったっぽい!』


提督『上等だ!』ドンッ!


天使達『『『おのれぇええ!!』』』


ドカーーン!!


空にいる天使達にどんどんロケランを撃ち込む


天使の数が減ってくると


人間達『『『おらぁああ!!』』』


今度は人間達が襲いかかる


提督『くっ!これ以上近寄ると撃つぞ!』


人間達『『『姫様万歳!!三途の川万歳!!』』』


提督『退かないだと!』


時雨『彼らは大日本帝国陸軍みたいだよ』


夕立『死ぬ事に恐れなんてない!それ以前にもう死んでるっぽい!』


提督『死んでまでも何故戦う事を望む!受け取れ!永遠の有給届けだ!』ドンッ!


ドカーーン!!


増援天使達『『『人間だぁあああ!』』』


増援人間達『『『矢を放てぇええ!』』』


提督『くそっ!増援だ!』


時雨『両勢力共弓矢を持ってるね』


提督『お互い本気を出したって事か』


夕立『提督は撃つことに集中して!矢は』


ヤンキー天使『死ねぇ!』弓矢


山下『正義の矢を受けろ!山下ーアローーー!』弓矢


二本の矢が真っ直ぐ飛んでくる


夕立『夕立に任せるっぽい!』ガシッ


夕立『その正義返す!』シュッ


ザシュッ!ザシュッ!


ヤンキー天使、山下『『ぎゃぁああ!!』』


提督『時雨!こっちも負けてられないぞ!』


時雨『うん!』


提督『ロケランの数も少なくなってきた集団を狙う!』


集中してなるべく多く巻き込める場所を探して撃ち込む


提督『そこだ!』ドンッ!


人間達、天使達『『『っ!』』』


ドカーーン!!


矢が飛んでくるがギリギリで全部夕立がはじき返したり掴んで投げ返したりしている


絶対に当たらないと夕立を信じて俺は俺の出来ることに集中する!


提督『時雨!次のをくれ!』


コツン


時雨『うん!』


時雨には当たってたりするけど頑丈なのか当たってもコツンと音を立てて矢はその場に落ちる


提督『次だ!』


コツン


時雨『はい!』


コツン、コツン、コツン


提督『大丈夫なのか?痛くないのか?』


時雨『大丈夫だよ・・グスッ』


あ、やっぱり痛いようだ


提督『夕立!時雨も守ってくれ!』


夕立『両方は無理っぽい!』


時雨『提督僕は大丈夫だよ』


コツン


時雨『痛くないから・・』ポロポロ


提督『っ!頼む夕立!』


夕立『もう!分かったっぽい!でも、全部は・・無理!』


提督『出来るだけで良いから頼む!』


夕立『うぉおおら!!』ガシッバシッ


時雨『ありがとう提督・・夕立』


コツン


時雨『・・・・・グスッ』タンコブ


提督『誰じゃぁあああ!』カチッ


提督『あれ?出ない?』覗き込み


時雨『それ・・危なー』コツン


時雨『僕が我慢する事で・・誰かが笑えるなら・・安いもんだよ』ポロポロ


提督『時雨大丈夫か!くそっ!なんで出ない!』カチッカチッカチッ


夕立『提督!清い心を忘れてるっぽい!』


提督『あ、そうか!・・清い心ね清い心・・・誰でいらっしゃいますかぁあああ!』ドンッ!


それからどのくらい時間が経ったかは分からない


とにかく必死だった


肥満天使『死ねぇええ!』飛びかかり


提督『っ!』


時雨『ふんっ!』ゴスッ


肥満天使『ぐべぇら!』


川崎『万歳ーー!』


提督『うっさい!』使用済みロケラン投げつけ


川崎『当たるか』」サッ


ゴンッ


川崎『ぐはっ!』


提督『使用済みのロケランならたくさんあるからな!たくさん投げられる!』


ダッダッダッダッダッ


夕立『ガルルルル!』ガブッ


織田『ひぎゃぁあ!』


ダッダッダッダッダッ


夕立『まだ足りないっぽい!』ドゴッ


片翼の天使『ぐわぁあ!』


ロケランは尽きても敵は尽きなかった増援に増援が重なりいつの間にか


天使達『『『あの三人を殺るぞぉおおお!!』』』


人間達『『『おおおおお!!』』』


二つの勢力は協力して襲いかかって来た


でも、不思議と怖くなかった


三人ならどうにか出来るかもしれないって思えたからだ


三人付かず離れずをキープして敵の武器を奪いつつどうにか戦った


生きる事に必死でもう殺る事に抵抗はなくなっていた


今の俺は確実にロケランを使えない状態だろう


提督『矢がなくなった!矢はないか!』弓矢


時雨『危ない!』ダッ


コツン


提督『助かった時雨平気か?』


時雨『うん、大丈夫だよ・・ちょっと鼻水が出てきたね』鼻血


提督『あ・・それ鼻水違う!手で拭くな!』ティッシュ


夕立『二人は退がってるっぽい!この獲物は夕立のものだ!』赤眼


提督『一人にはさせないからな!死ぬ時は一緒だ!』時雨の鼻ふきふき


時雨『うん!そうだよ!水臭いじゃないか』鼻栓


夕立『提督、時雨・・グスッ・・夕立から絶対に離れるなっぽい!』


提督、時雨『『おう!』』


こんなに心から背中を任せられ仲間が二人もいるんだ!


負ける気がしない!


夕立『敵が来るよ!』


時雨『みんな武器を捨てたようだよ』


どうやら相手にも極小レベルでプライドはあるようだ


同じ素手で戦う事を選んだようだ


でも、人数の時点でお前らのプライド消失してるから!


提督『行くぞおらぁあああ!!』ダッ


ドゴッ


最初の天使『ぎゃあ!!食わないで!』


ゴスッ


徳川『ぶはっ!』


数百の殺気の混じった眼光が提督達を捉える


夕立『さぁて・・ステキなパーティーしましょ!』


時雨『あ、鼻血が止まったよ』


提督『救われたい奴だけ前に出ろぉおおお!!』


血にまみれた拳での戦いは現実世界で言う数日間に及んだ


しかしそれでも現実世界では二時間も経っていないのだった


そして休む事なく続いた戦いはやがて終わりを告げた


提督『提督流奥義!』


頬傷の天使『飛天御◯流奥義!』


ドゴッ!!


提督『・・・・・』


頬傷の天使『・・・・・』


提督『その流派は素手じゃ意味なくね?』


頬傷の天使『っ!・・お見事でござ・・る』バタッ


気付くと立っているのは俺達だけになっていた


提督『ふぅ・・・』バタッ


いくら疲れない天国であってもこれだけ動けば疲れを感じてしまう


痛みも疲労も筋肉痛も限界だった


降り出した雨が身体を冷やして気持ちいい


提督『・・・・・・・』


此処での記憶を現実世界では覚えていない事を喜ぶべきか


今の俺は多分現実世界だろうと人を殺しても何も感じなくなっているだろう


それ程までに俺は心も身体も穢れてしまった


完全に危ない人だ。そう言う意味では喜ぶべきか


ただ、二人の事を忘れてしまうのだけは残念だけど


夕立『・・・・・・また血がたくさん付いてる』ツー


時雨『雨は良いね・・血も涙も洗い流してくれる・・僕は雨が好きだよ』


提督『俺も雨が好きになりそうだ・・・』


これで本当に良かったのだろうか・・俺のやった事は正しかったのだろうか


いや、正しい筈がない・・・でも、こうするしかなかった


俺は最低だ・・・・


三人は雨で血を洗い流した


でも心に付いた血は落ちなかった・・・・


悲鳴が今でも聞こえてくる


現実世界の俺には絶対にこの記憶を渡してはいけない


きっと壊れてしまう


もう俺は別の存在なのかもしれない


俺という別の存在は此処だけで良い


提督『行こう・・もう後戻りは出来ない』


夕立『うん・・・・』


時雨『ずっと降ってれば良いのに・・ね』


三人は再び歩きだしたのだった


もう、提督母のいる場所まであと僅かだった


この時には現実世界での提督は輸血が開始されていた


輸血された三日月の血に対して提督の血が吸収を始めた


そして吸収した三日月の血を自分の血へと替える為に提督の身体は残り少ない体力を徐々に奪っていたのだった


今の弱っている提督には耐えらない


やがて体力は底をつく


それを警告するかの様に向こうの世界での提督の姿がかなり濃くなっていったのだった


孤児院の兄である為に


4日目の夜


皆が寝静まった頃


青年「もうみんなを守るにはこれしかないんだ・・みんなごめん!」ダッ


孤児院を抜け出す一人の青年が居た


その青年には確かな決意があった


青年は迷う事なくおんぼろ鎮守府へと向かった


叢雲と電を助け出し提督を殺す事が目的だった


何度も叢雲と電を返してもらうようにおんぼろ鎮守府へと足を運んだ


しかし、何時も門前払いをくらい電に会わせてもらったと思ったら電には自分から此処へ来たと嘘まで言わせた


孤児だからってあいつは俺達を馬鹿にしているんだ


普通の家庭で幸せに育った彼奴らからしたら俺達は哀れむ存在とでも言うのだろう


それが馬鹿にしてるんだ!


その所為もあり孤児院のみんなは学校では虐められてしまう子が多かった


親のいると言う当たり前がなかった彼ら彼女らには対抗する力がなかった


親がいない・・それだけが皆を苦しめた


理不尽であり不公平だった


親はいないかもしれない・・でも、家族はたくさんいる


みんなを大事な家族だと思う俺がいる


そう思い始めた時から俺はみんなを家族をどんな事をしても守ると決めた


虐めがあれば虐める奴らを片っ端から殴り倒して仕返しに来てもお構いなしだ


無視をするならその分俺が相手にした寂しい思いはさせなかった


孤児院のみんなの笑顔を守る為に俺は強くあろうと皆の兄貴であろうとした


そうやって家族と共に大きくなり17になって気付くと叢雲姉ちゃんに羽黒姉ちゃんそれに電が家族に加わっていた


加わった時期は違えどそんなのを気にさせない程みんなに溶け込んだ


笑顔にさせるのに苦労した子達がすぐに笑顔になった


女子が苦手な子が彼女達には懐いてる


人と話すのが苦手な子が自分から喋ろうとしてる


皆がそれぞれ形は違えど自分から踏み出そうとしていた


それはなんでも守ろうとしていた俺とは違い


自分達からこの人生に挑もうと戦おうとしていたように見えた


逃げずに自分達の手で


確かに成長していた


それが嬉しくてちょっと寂しいと思った


もう俺がいなくても大丈夫だなって思えた


だから俺は此処を出ようと思った。孤児院のみんなが勇気をくれた


だから俺は前から夢見ていた海軍になろうと決めた


今この町に守ってくれる鎮守府はない・・前はあったけどなくなってしまった


孤児院の子達だけじゃなく町のみんなが不安になっている


だから俺が提督になってこの町を守る


だから18になったら海軍養成学校に行こうと決めた


しかし・・18になった時それは起きた。俺が海軍学校の入学を決める訓練を受けに行っていた時に鎮守府に新たな提督が着任した


それは良かったんだ・・でもその提督が叢雲姉ちゃんと電を大切な家族を奪った


守るべき人達を無理矢理戦いに出したのだ


それを知ったのは数ヶ月に及ぶ入学を決める訓練が終わり孤児院へ帰って来た時だった


その時には既に二人がいなくなってかなり経っていた


孤児院の皆は隠しているようではあるけど前のように元気がなくなり弱々しくなっているのは見てすぐに分かった


みんな成長した分我慢する事を覚えてしまった・・辛いのに我慢させてしまっている


そしてそれが海軍である提督の仕業だと知り


学校を辞めた。俺の求めていた海軍はもうなかった


欲にまみれてどんな事も好きにし放題で鎮守府によっては艦娘と呼ばれる彼女達を人として見ず兵器として雑に扱う提督も居た


そしてこの町の提督もそうだった


町での評判は最悪で誰がどう見てもブラック鎮守府だった


しかも、この町を捨てて逃げたあの提督の息子だと言う


親が親なら子も子だ


そして遂に・・あいつは!羽黒姉ちゃんにまで手を出そうとした


脅迫状を送ってきたのだ。羽黒姉ちゃんには悪いけど様子がおかしくなった時に部屋をこっそり調べさせてもらった


そして脅迫状を見つけた


これ以上鎮守府への意味のない抗議を続けるなら羽黒姉ちゃんの事を大本営へ報告するというものだった


羽黒姉ちゃんが艦娘としての役目から逃げて此処にいる事は分かっている


でも、それの何が悪い


人には好きに生きる資格がある


あいつは羽黒姉ちゃんにこれからも揺さぶりを掛け続けるんだ。そして思い通りに・・・・


叢雲姉ちゃんも電も守れなかった・・守ってやれなかった・・彼女達も女の子だったのにそれを俺は艦娘だからと甘く見て


遅いかもしれないけど償いをしよう


みんな・・・もう一度守らせてくれ


チャンスをくれ


あいつを刺し違えてでも殺す!


青年「慈悲はねぇぞ・・悪徳提督」


包丁を持つ手に力が入る


いざ!おんぼろ鎮守府へ


ーおんぼろ鎮守府門前ー


今日は月も雲で隠れており中から此方は見えにくい状況だ


絶好の侵入日和だ


此処は艦娘の数も少ないし、もしばれても彼女達ももしかしたら協力してくれるかもしれない


あんな悪徳提督には嫌々従ってる筈だからな


さて、まずは門より先へ行こう


青年「と言っても確か見張りはいない筈だ」


金が勿体無いのか町のみんなを舐めてるのか憲兵すら雇わない


場所が場所なら襲ってくれと言ってるようなものだ


だけど今回はそれに助けられているけど


門から堂々と入ろうとした時


青年「ん?ライトの光!」


すぐに草むらへローリングして隠れる


勿論音は立てないように


身体能力には少しだけ自信がある。常にみんなを守る為に独学ではあるが鍛えていたからだ


だからこのくらいは朝飯前なのだ


青年「見張りはいない筈なのに」


しかし今日は門の前に一人いる


由良「う〜ん・・なんかな〜?」キョロキョロ


あたりを見回しているところから見張りだという事が分かる


青年「なんで今日に限って・・」


このままでは此処で引き返す事になってしまう


どうするか?見張りの娘に声をかけて協力してもらうか?


だが、もし彼女が提督に従順な奴なら捕まえられてしまう


こんな夜遅くに見張りなんてしてるんだから少なくとも俺がいきなり声をかけても不審者として捕まってしまう可能性が高い


青年「此処までなのか・・・いや、しかし・・」


日を改めるか?しかし、それだけ苦しむ人達がいる・・でも・・


と、半端諦めかけた時


由良「・・・・・・・」


青年「ん?立ったまま動かなくなった?」


それこそ時間が止まったかのように全く動かなかった


よく見ると少しだけ顔が上下に揺れていた


青年「まさか・・・・」


石ころを拾い投げて音を出す


しかし、相手に動きはなかった


青年「おい」


声をかけてみる勿論すぐ逃げられるようにクラウチングスタートの姿勢をとり


しかし、反応がない。さっきより顔が上下に揺れていた


青年「おい!」ダッ


大きめの声を出してすぐさま逃げる


しかし、追ってこないしさっきの場所から動いていない


流石に石ころを当てるのは無理だが確信した


青年「寝てるな」


どうやら提督に無理矢理見張りに出されたが頼まれた彼女は此処を守る価値がないと思っているようだ


じゃなければ見張り中に寝たりしない


きっと休憩も休みもなくこき使われているのだろう


やはり艦娘達にも嫌われてるんだな


俺のやろうとしている事は孤児院のみんなだけじゃなく此処の艦娘達も助ける事になる


俺のやってる事は正しいんだ


青年「よし、行こう」


そう思うと何がなんでもやり遂げようと思えた


一応音を立てないように寝ている彼女の横を通る


由良「ふにゅ〜〜」


立ったままよく寝られるな


青年「ゆっくり休んでくれ。明日にはこんな場所から解放してもらえるからな」


そして彼女の頭を撫でようと思った時


青年「っ!」


身体が彼女を触る事を拒否するかのようにそれ以上動かなかった


身体全体が危険だと警報が鳴っているようだった


震えに冷や汗が止まらない


逃げたい・・・でも、怖い・・彼女から一瞬でも目を離してしまうのが


離した瞬間・・・何が起こるか分からない


どうにか身体を動かせるように考える


撫でるのをやめようとしたら動くようなった


身体は動くようになったが底知れぬ恐怖はまだあった


寝ているだけの彼女に


青年「うぅ・・・っ!」ダッ


勇気を振り絞り全力で逃げるように門の先へ進んだ


もう彼に逃げ帰るという選択肢はなかった


由良「・・・・・・」


由良「侵入者かな?まぁ、問題なさそうだし大丈夫かな」


由良「ふぁ〜、此処は平和過ぎて眠くなっちゃうな〜手を出してくれないと脅威かも分からないくらいだし」


由良「でも、度胸はあったね・・仕方ない仕事しようかな〜」


ただ一心不乱に走った


青年「はぁ!はぁ!」ダッダッダッ


少しして追ってきていないと分かりその場に座り込んで息を整えた


そして帰りたい逃げたいと言う気持ちを押し殺して立ち上がった


青年「はぁ・・はぁ・・どんなもんだい」


まるゆ「・・・・・」シャキン


ガシッ


由良「・・・・・」フルフル


まるゆ「ちっ・・・・」


それから提督が着任する前に何度か此処に来ていた青年は玄関以外から入れる場所を知っていたのでそこへ向かった


おんぼろ鎮守府の裏手にあるよく見ないと分からない程の隙間から床下へと入れ


そして少し進むと一枚手で外れる板があるので外して上がると倉庫室のような場所へと出るのだ


青年「ふぅ・・侵入成功」


ずっと前に侵入した時と変わらない事から今もこの部屋は使われていないようだ


相変わらずボロい


しかし、この部屋を出たらそうはいかない慎重に行かなければ


記憶を頼りに書いたおんぼろ鎮守府内の地図を取り出し確認する


この部屋に来るまでは上手く考えた通りに行けてる


青年「部屋を出て廊下を突っ切るより一度食堂を通った方が安全かな?この時間だから誰もいないだろうけど気を付けないと」


執務室までのルートを考えて部屋を出た


今の時間誰もいないであろう食堂へと向かった


由良、まるゆ「「・・・・・」」


途中に「うぅ〜トイレだぴょん〜此処のは汚いけど仕方ないぴょん〜うーちゃんは我慢強いのです!」とか言ってる娘がトイレへ向かっていたがどうにかばれずに来れた


随分と独り言の多い娘だったけどきっとストレスが溜まっていたんだろうな


悪徳提督め!


卯月「無視はよくない・・ぴょん」


青年「ん?」


卯月「・・・・・・」サッ


青年「気の所為か・・」


まるゆ、由良、卯月「「「・・・・・・」」」


ーおんぼろ鎮守府食堂ー


青年「厨房に誰か居る?」


そこだけ光が漏れていた料理中か?


此処から中は見えないけど誰か居るのは確かだ


そこから声が聞こえてくるのだが・・


独り言なのかな?同じ声が会話をしていた


大本営間宮「駄目よ!こんなのでは間宮アイスを作る許可は出せません!」


間宮「美味しいじゃないですか!何が不満なんですか!」


大本営間宮「力を使いなさい!後レシピをよく見なさい!何度言ったら分かるの!」


間宮「提督は私のオリジナルの料理が好きなんです!貴女のババくさい料理なんて提督に食べさせられません!」


大本営間宮「馬鹿!その人を大切に思うなら使えば良いでしょう!大体力のオンオフが出来るだけでも凄い才能なんですよ?貴女の酷い料理でも力を使えばマシにはなりますし提督も喜びます」


間宮「嫌です・・・そんなチートに頼るなら料理なんてやめます!オンオフが自由に出来るからこそ私は自分の作った力を使わない料理を食べて欲しいんです・・・確かに色んな所で文句を言われて追い出されて来ましたけど・・やっと私の本来の料理を美味しいって言ってくれる人に出会ったんです!」


間宮「本来の私を認めてくれる人が・・」


大本営間宮「・・・・・・・・」


大本営間宮「貴女が片意地を張らずに私の言う通りにしていたら・・時期に私の後釜にだって慣れる程の力はあるんですよ?それでもこんなボロボロのヒヨッコ提督の元で腕を振るうんですか?」


間宮「いくら大本営の間宮さんでも・・私の提督を馬鹿にするなら・・容赦しませんよ」


大本営間宮「私のね・・ふふふ」


間宮「っ!あ、今のは言葉の綾でその・・ううん・・容赦しませんから!」


大本営間宮「意思は変わらないようね・・」


大本営間宮「分かりました。そこまで言うなら認めます。貴女の思う間宮アイスを彼に作ってあげてください。でも、最初くらいは私のレシピ通りに作ってあげてね」


間宮「良いんですか?」


大本営間宮「駄目って言っても作りそうだし。その代わり半端な物を出したら承知しませんからね」


間宮「はい!」


青年「・・・・・・・・」


提督の為にアイスを作っていたようだ


どうやらみんなに嫌われているわけではなさそうだ


まぁ、食堂の人に嫌われるってのも中々難しいと思うけど


時期にあいつの毒牙にかかってしまう


傷付いてしまう前にあいつを


青年「行くか・・」


食堂を通り抜けた


大本営間宮「・・・・誰かしら?」


間宮「・・・・さあ?追います?」


大本営間宮「彼女達に任せましょ」


間宮「・・・・・・いえ、何か嫌な感じがします」


由良、まるゆ、卯月「「「・・・・・・」」」


ーおんぼろ鎮守府工廠ー


青年「あれ?間違えた?」


地図の通りだと二階への階段があった筈なんだけど


青年「あ、間違ってたか・・戻らないと」


「ふふふふふふ・・・・」


青年「ん?」


何か笑い声が聞こえてくる


少し気になってしまい覗いてしまった


やめておけば良かったのに


明石「ふふふふふ・・」カンカン


夕張「ひゃははは・・・」カンカン


青年「な、なんだこれは・・」


一心不乱にただ何かを造っているようだ


目が逝ってる・・・・


そしていきなりスイッチが入ったように


明石「ひゃはははははは!!」ゲス顔


夕張「ぎゃはははははは!!」ゲス顔


狂笑しだした


手の動きは更に早くなっていた


青年「ひぃ!」


カン


足に何かが当たり音が出る


青年「っ!しまった」


明石「あぁ?誰?出て来いよ」ギロッ


夕張「解体希望?おいでよ〜」ニヤリ


明石、夕張「「姿を見せろ〜」」


こ、殺される、いや、資材にされる!


青年「う、ゔわぁーー!」ダッ


全速力で逃げた


追ってきていないと分かり崩れ落ちるように倒れたそして忘れようと努力した


無理だった


少しの間その場で震えた少し吐いたけど拭く為の雑巾がないので悪いとは思うけどそのままにした


人が通らなかったのが幸いだった


更に怖い気持ちを押し殺して立ち上がった


今度は震える手で地図をちゃんと確認して二階へ上がった


青年「うぅ・・・」


気持ち悪い・・・今見つかったら逃げる体力すらなさそうだ


だけどこの鎮守府は全く見張りはいない


提督が襲われようともどうでも良いのだろう


それとも単なる馬鹿か


執務室はもうすぐの筈だ


深呼吸して身体に鞭を打つ


あいつをこの手で・・・そして電と叢雲姉ちゃんを助ける


まるゆ、由良「「・・・・・」」


卯月、間宮「「・・・・・」」


明石、夕張「「・・・・・」」


青年「っ!」


彼女達「「「・・・・・」」」サッ


何か視線を感じるような気がするが誰もいない


きっと気を張りすぎているのだろう


でもあまり良い気分ではないのは確かだ早く終わらせよう


青年「提督・・覚悟しろよ」


彼女達「「「・・・・・」」」天井張り付き


卯月「ぷっぷぷぷ〜〜」


青年「っ!」


笑い声が聞こえたようだが誰もいない・・気の所為なのか?


いや、そうだその筈だ。此処までは完璧なんだから


ばれる筈がない!信じろ俺を


こっそりと音を立てないように細心の注意を払いながら進む事数分


鳳翔「こんばんは」バケツと雑巾


青年「あ、こんばんは」


綺麗な和服の似合う人とすれ違った


青年「あれ?今のって」


思いっきりばれた?いや、普通に素通りされたし鎮守府の人だと思われたのかも


青年「良かった・・・」


もう少し気をつけて動こう


鳳翔「誰ですか?ここで床を汚してそのままにしたのは・・・」ふきふき


鳳翔「あ、な、た?」ニコニコ


鳳翔「それとも・・さっきの?ふふふ・・」


執務室はもうすぐだ


青年「ん?」


少しドアが開いており光が漏れている部屋があった


執務室ではないと思うけど少し覗いてみた


大和「むむ・・おかしい・・」ソワソワ


武蔵「うむ・・・・・」


武蔵「大和よ最近様子がおかしいのだがどうしたのだ」


大和「え?そ、そんな事ないけど?」


武蔵「どうしてそんなにソワソワしてるのだ」


大和「し、してないから!」


武蔵「本当にか?本当に何もないんだな?」


大和「う、うん、何もない」


武蔵「うむ、ならよし」


大和「・・・・・・」


大和「ねぇ、演習の報告書って確かに元帥に渡したよね?」


武蔵「ん?確かにも何も二人で渡したじゃないか」


大和「そうだよね・・・それで元帥何か言ってなかったかな?」


武蔵「だから、二人で行って渡したではないか。何か言っていたか?良くやったくらいしか言ってなかったが?」


大和「それ以外の事を聞いていたんだけど後になって何か私に言っておいてくれとかなかった?」


武蔵「私にか?それなら大和に直接言うと思うが?」


大和「そうだけど・・万が一でもあったのかなーって」


武蔵「まさか?その事でソワソワしていたのか?」


大和「か、関係ないけど!聞いてるの!どうだった?私に何か言ってなかった?例えば異動に関してとか?」


武蔵「異動?何かやらかしたのか?なら一緒に謝ってやるが?」


大和「そういうわけじゃなくて・・なかったの?なにも・・」


武蔵「うむ、聞いてないな。大和が異動するなら私にも何かしら報告はあるだろうしな」


大和「そう・・・・」


大和「元帥本当に報告書読んだの?」ボソッ


武蔵「すまんな大和」ボソッ


大和「もう待つのはやめて明日にでも」


武蔵「それはやめておけ今元帥は忙しいからな個人的な用事はまた今度にしておけ」


大和「むむむ・・でも」


武蔵「何か頼み事があるならその時は私も一緒に頼んでやるから今は待て、な?」


大和「それはそれで・・・分かった」


武蔵「さて、どうするか・・そのうちに西提督に相談するか」ボソッ


青年「元帥か・・・・」


確かに元帥クラスに頼めば此処から異動もさせてもらえるかもしれないな


やはり艦娘達は一刻も早く此処から出たいようだ


青年「助けてやるからな」ダッ


もう迷いはない!執務室へと行こう!


執務室はもうすぐそこだ!


大和「それはそうと今の誰?」


武蔵「うむ、客ではないと思うぞ?包丁を隠していたからな」


大和「どうする?」


武蔵「私達は必要ないだろう」


大和「だけど今の事態からすると」


武蔵「まぁ、気付いていない奴の方が少ないしな相手はド素人だな」


大和「だからよ気付いてないと思われるのもなんか癪だし」


武蔵「仕方ない・・・」


大和「とりあえずこっそりと」


武蔵「あぁ」


部屋の前へと到着する


地図で確認する必要もなく執務室と書いてある


青年「此処が執務室か・・」


この先にあいつが!


青年「ん?話し声が聞こえるな」


中で誰かと会話をしているようだ


ドアに耳を当てて聞いてみた


女性と男性の声が聞こえてくる


多分女性は艦娘でもう一人は・・提督だと思うけど


こんな声だったか?所々聞こえないが・・・


ーおんぼろ鎮守府執務室ー


不知火「・・・・・・」


元帥「どうだ?大本営の艦隊を間近で見た感想は」


不知火「正直言うと私達がどれだけ出来ていないのか嫌と言うほど知りました・・」


元帥「そうだろ?お前達おんぼろ鎮守府の面々はまだまだヒヨッコだからな。こうやってエリートの艦隊と共に任務をさせてもらえるだけでもかなりの経験になる」


元帥「感謝するんだぞ?」


不知火「そうですね。大本営の艦隊の皆さんは凄いです。ですが私は貴方には感謝はしません」


元帥「なんだと?」


不知火「貴方がした事を私は許しません・・だから感謝しません・・ですが経験は積ませてもらいます」


元帥「ほう・・お前達を全員待機にさせてもいいんだぞ?」


不知火「そうなっても勝手に着いて行って勝手に学びます。私達の司令官は提督だけです」


不知火「貴方ではありません」ギロッ


元帥「ふっ・・良いだろう!あいつが帰って来るまでこき使ってやる!精々経験を積むがいい!潰れてしまったら意味はないがな!」


不知火「望むところです」


元帥「今日のところは休め慈悲だ!」


不知火「はい・・では失礼します」


青年「っ!」隠れる


ガチャ


不知火「・・・・・・」


不知火「今すぐ帰ってそしたらみんな見逃してくれる」


不知火「ドアを開けようとしたら・・その瞬間終わります」


青年「っ!」


執務室から出て来た娘はそう言うと去って行った


ばれてる?


いや、きっと独り言だ!此処で帰るなんてあり得ない


もうすぐそこだ!


さっき出て行った娘が見えなくなるのを待ち執務室のドアへ手を掛ける


まるゆ、由良「「・・・・・・」」


卯月、間宮「「・・・・・・・」」


明石、夕張「「・・・・・・・」」


大和、武蔵「「・・・・・・」」


不知火、鳳翔「「・・・・・・」」


大淀「・・・・・・・」


青年「よしっ!行こう!」


ドアノブを回した


不知火「警告したのに・・・・」


そこに居たのは提督ではなかった


そして


元帥「確保しろ殺すなよ」


大淀「・・・・・任務了解」ゴスッ


青年「っ!」


バタッ


すぐに意識が暗転した


元帥「本当に来るとは馬鹿な奴だ・・だが・・」


元帥(あいつの成長の為に使わせてもらうか・・どうなるかはあいつ次第だがな)ニヤリ


そして何事もなかったかのように朝になった


彼がどうなったのか・・それは提督が帰って来るまで分からないのだった


三途の川ウォーズ(後編)【雨は、いつか止むさ】


天使と人との戦い(人天戦争)を乗り越えて提督達は三途の川を造るのを止める為に提督母の元へと向かっていた


雨はまだ止まない


でも、今はそれで良い・・その雨が心地良かったりする


今のこの暗い気持ちを隠してくれるから


でも、この気持ちが晴れる事はあるのだろうか


俺は・・・最低の殺人者だ


正確には違うかも知れない・・でも、この手で確かに俺は・・殺った


感触も悲鳴もこの手に耳に確かに残っている


感触が隙あれば俺を取り込もうする


悲鳴が耳から離れずおかしくなりそうだった


やめろ・・石は駄目だ・・目潰しはいかんよ・・・ケツがぁああ・・俺の髪の毛を返せ


と俺の殺った人達の声が聞こえる


聞いてるだけで俺はどうにかなりそうだった


でも・・雨は感触も音も全て流してくれる


正気を保てる


此処で壊れるわけにはいかない


俺は・・・提督にこの魂を返してやらないといけない


そして一刻も早く俺という存在を消さないと


だから・・・俺は自分を捨てた


夕立『・・・後は頼んだっぽい』ふらふら


提督『あぁ・・そっちは頼んだぞ』赤眼


夕立『ぽい・・・』バタッ


提督『行こう・・夕立がくれた時間を無駄にはしないぞ』


時雨『うん、そうだね。夕立はどうする?置いて行く?』


提督『連れて行くに決まってるだろ』夕立背負い


時雨『うん、そうだよね。まだ提督でいてくれるんだね。安心したよ』


提督『・・・・どうだろうな』


時雨『提督・・提督は提督だよ自分を見失わないで』


提督『・・・・・行こう』


時雨『・・・・・・』


時雨『これはまずいかも・・・このままだと提督が』


俺の姿はもうすっかりと濃くなっていた。現実世界の提督の体力が保たないようで早く魂を戻さないと遅かれ早かれ死ぬ


そうなれば完全にこの世界の存在になってしまう


それだけは何としても避けたかった


早くこの身体から出たかったからだ


まだ綺麗な身体に戻りたい・・いや、帰してやりたい


そして一つだけ死を遅らせる方法があった


それは夕立の力一つを使う方法だ


一度西提督さんと提督が殴り合いの時に発動したあれだ


目が赤くなり自覚はないが語尾が夕立のようになる


あれは夕立とリンクする事でその間は身体の痛み苦しみ全てを夕立が代わりに受ける事で無敵なれるのだ


だから、あの時提督は何度殴られても立ち上がる事が出来た


でも、これには弱点がありリンクを切ると受けた痛み苦しみは全て返ってくるのだ


フィードバックと言うのかな?


耐えた分は一気に来るのか


もしそうなら下手をしたらショック死もあり得る


でも夕立によればいきなり切ったり夕立の限界を超えてしまわなければ少しずつ返す方法が使えるらしい


確実に俺が死ぬ攻撃を受けてしまったらリンクを切った瞬間さようならだけど


あの時は夕立の存在を知らなかった提督と夕立の心が少しの間繋がった事によって発動した為に不安定で途中で切れてしまい殴られた痛みが一気に来たのだ


本来この力を発動させるのはお互いがお互いを知り心を通わせた時に出来ることであの時は奇跡に近かった


そしてこの夕立の力は半分も出されていない。それは提督の夕立達を受け入れる為の器が小さいからだ。夕立達の存在を知ればもう少し大きくなるらしいが夕立達の存在を知らない提督には力を抑えて発動しても少し力が提督を侵食してしまい目が赤くなったり語尾が夕立になったりと夕立化してしまう


ちなみに本気の力を発動させると提督の魂は消えて夕立に乗っ取られてしまう


そうしないのは夕立や時雨が提督を信じてくれているからだ


もう提督じゃない今の俺ならきっとすぐに・・・・・いや、考えても仕方ないか


今の夕立達の存在を知る俺なら語尾まで夕立化する事はない


器はお互いの想いによって大きくなるらしい


そう、お互いがね・・・・


目はどうしても赤くなってしまうがこのくらい気にならない


夕立には感謝してもしきれない


だから俺は夕立が耐えてくれている間に母さんを止めて提督と夕立に時雨の三人を現実世界の提督の元へ帰す


それが俺の償いであり罰だから


でも、それだけじゃない


償いであり罰だからこそ俺は苦しまなければいけない


だから、この世界で受ける俺の痛みは自分で受ける


現実世界の提督や夕立に此処での痛みや苦しみは受けさせない為というのもあるけど


此処での事は痛みであろうと何であろうと現実世界に持ち込むわけにはいかないから


此処での事は此処で終わらせる


だから夕立には現実世界での痛み苦しみだけを受けてもらっている


悪いけどそれは後でフィードバックされてくれ


時雨『・・・・・・・』


提督『・・・・・・・』


無言でただ先へ進む


後少しで着くはずだ


時雨『提督・・・・』


提督『・・・・・・』


時雨『提督!』


提督『・・・・なんだ』


時雨『大丈夫?少し休んだ方が』


提督『いや、大丈夫だ。こうしてる間も夕立はー』


時雨『だからだよ!今の提督辛そうだよ苦しそうだよ!』


提督『・・・・平気だ』


時雨『そうは見えないよ!凄く辛そうだよ!ねぇ少しで良いから休も?ね?疲れてるままじゃすぐにやられちゃうよ!それだと止められないよ!良いの?』


提督『っ・・・・・・・』


時雨『僕は今の提督を見てるのが辛い・・・提督が何を考えてるかも分かるんだよ!提督は提督だって言ってるじゃない!今の提督だって僕らは信じてる!提督の姿が変わっても性格が変わっても性別が変わっても僕らの信じた提督だってのは変わらない!』


時雨『ずっとずっと!死んでも来世でも変わらない!』


提督『時雨・・・・』


時雨『だから・・自分を嫌わないで・・・・約束するよ。どんな事があっても君の側にいると』


時雨『ううん、誓う!』


提督『っ・・・時雨お前は・・・』ポロポロ


気付くと涙が出ていた


雨の中なのに涙だと分かるくらいにポロポロと流れ落ちていた


まだ、俺は泣けるんだ


でも、やはり今の俺を連れて行くわけにはいかない


この俺はきっと現実世界での俺の周りを不幸にしてしまう


だって・・人を殺す事に躊躇いがないんだ・・・色々感じたりはする


可哀想だとか、後悔の念だってある


でも、殺ると決めたらどう思っても殺る


命乞いされようと関係なくだ


これを殺人者と言わず何と言う


だからと言って今を悲観するのは間違っている


最期まで俺であり提督であろう


此処にいる間は提督でいさせてくれても良いよな


時雨『だから・・ね?少し休も?提督が心配だから』


提督『あぁ・・そうだな・・少し休もうかな』


時雨『うん、おいで』


時雨に膝枕してもらって眠った


時雨の膝は柔らかくて雨の中なのに凄く温かい


夕立も隣で眠らせた時雨には負担が掛かるけど嬉しそうだった


この時だけは夕立も嬉しそうに眠っていた


二人の顔を確認するとすぐに意識は静かな闇の底へと沈んでいった


時雨『おやすみ・・僕の大切な人達・・僕は君達の為なら』ナデナデ


雨は更に強くなった時雨はせめて二人の顔に雨が当たらないように前かがみになって優しく抱きしめた


姿勢的には長くいると辛い筈だけど、時雨はそれを苦と感じなかった


時雨『雨は、いつか止むさ・・止ませてみせるから』


そう言って二人の寝顔を見て笑った


その落ちる雫に涙が混じってる事に誰も気付かなかった


本人でさえも


それから数時間後・・いや、数日後かもしれない


もしかしたら数年かもしれない


それ程起きた時スッキリしていた


雨は止み日差しが明るい


悲鳴も嫌な感触もしなくなっていた


一時的ではあるだろうけど・・・それでも今は前へ進める


それで充分だ


提督『行こうか時雨』


時雨『うん』


気付いたら花がまた辺り一面咲いていた


やはりかなり眠っていたのは確かな様だ


夕立はその場に置いてきた気持ち良さそうに眠っていたから


きっとまた向こうの世界で提督と会えるから


そうさせるから


絶対に・・・


三途の川ウォーズ(後編)【1階、アポなし訪問】


ーオフィスビル《バベル》ー


時雨『此処みたいだよ』


提督『此処に母さんが』


いつの間にこんな大きな建物を造ったのだろうか


要塞とは言うがただのオフィスビルだ


街とか行けばそこらにたくさんある


しかし、きっと中には侵入者を入れないように罠や砲台とかあるんだろう


慎重になおかつ迅速に進もう


時雨『なんか出勤してるみたいだね僕はおーえるとか言うのかな?』


提督『なら、俺は社畜だな。栄養剤とお友達になれる』


ー1階受付ー


入った瞬間少しだけ寂しい気持ちを感じたような気がした


まだ、そう思えるんだな・・


提督『受付にも人はなしか・・どうやらこのビルは5階建てのようだな』


アポなしだけど良いよな?


時雨『広いな〜』


提督『自販機があるな・・でも、コーヒーがない』


あるのは紅茶とお茶だけだ。偏っているなジュースもコーヒーもないと困ると思うが


提督『コーヒー飲みたくならないのか?』


扶桑『・・コーヒーが好きなの?』


提督『っ!』


女性の声がして振り返ってみるが誰もいない


提督『気の所為なのか・・ん?これは』


握り潰された缶コーヒーの空き缶が落ちていた


提督『誰だ?ゴミを捨てたのは』


そのままには出来ないので拾ってゴミ箱に捨てた


すると


ヒラヒラ


提督『ん?紙?』パシッ


千円札が何処からか落ちてきた


提督『うむ・・・・・』


とりあえず持っておこう落とした人がいたら渡してあげる為に


別にラッキーとか思ってないから


そう、渡してあげる為に預かるだけなんだから!


時雨『人の気配がしないよ誰もいないのかな?』


提督『油断はするな。常に襲撃が来ても動けるようにしておけ』


時雨『うん、それにしてもまさか普通に入れるとは思わなかったね』


提督『だな・・でも念の為エレベーターを使うのは止めておくか止められたら終わりだし階段で行こう。目指すは5階の社長室だ』


時雨『きっとそこにいるね』


提督『あぁ、いるよ必ずね・・階段はその先だ行こう』


時雨『うん!・・あれ?何これ自動改札機みたいのがあるよ。でも、切符入れる所がないよ?なしで良いの?』


時雨『あれ?でもゲートが開かないよ・・』ゴスゴス


通ろうと何度もゲートに当たるが開くわけもない


提督『多分セキュリティゲートだろうな社員証がないと開かないんだろ?ほら、此処に社員証をかざすんだよ』


時雨『僕は社員証なんて持ってないよ?提督は?』ゴスゴスゴス


尚も突進を続ける時雨


提督『俺もないよ社員じゃないし』


なりたくもないし


時雨『そんな・・・』ゴスゴスゴスゴス


もう此処は要塞じゃなくてただの会社じゃないか三途の川の為に会社まで創設したって事なのか?だとするなら人騒がせにも程がある


こんなに人や天使を巻き込んでそこまでして叶えたい事なのか?


母さん・・・・どうしちまったんだ


提督『・・・・・・・』


時雨『通れないよ・・』ゴスゴスゴスゴスゴス


提督『もし・・止めても無理なら・・俺は・・』


最悪の事態も覚悟しておこう


時雨『むむむ!負けないぞ!』ゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴス


ガシャン!


時雨『あ!ゲートが開いたよ!これで通れるね』


時雨『提督行くよ!此処を通れば良いよ』


提督『ん?あ、あぁ、今行くよ』


提督『母さん待ってろよ・・』ボソッ


時雨が壊したゲートとは違うゲートを飛び越えて通った


ゲートが閉じていても腰くらいまでの高さなので普通に手を使えば飛び越えられる高さだ


時雨の様に一心不乱に突進して壊すよりは良い


時雨『あ、その手があったんだね提督は凄いね』


提督『ほら、行くぞ』


時雨『うん!』


1階を突破した


三途の川ウォーズ(後編)【2階、乙女の秘密】


時雨『3階への階段がなかったね本当は3階から上はハリボテとか?』


提督『いや、違うだろう。多分部屋を通って反対側に行かないとないんだろう』


時雨『え?なんでそんな面倒くさい事するのかな?一気に上がれないよ』


提督『さぁ?テロ対策とも聞いた事があるけど詳しくは知らない。まぁ、一気に上がりたいならエレベーターを使えって話しだな』


時雨『ふ〜ん、意味はあるんだね』


提督『ないかもしれないしあるかもしれない』


時雨『ふふ、なんだいそれ』


提督『分からないって事だよ』


時雨『納得。提督の話しは分かりやすくて良いね』


提督『どーも』


時雨『ふふふ』


提督『ともかく1階上がる度に一度部屋を通って反対側へ行かないといけないから襲撃される可能性も高いし罠があるかもしれない気をつけろよ』


時雨『うん、分かった』


ー2階オフィスー


時雨『机があってパソコンがあって普通のオフィスだね』


提督『此処にパソコンがある時点で普通じゃないけどな』


まぁ、オフィスビル自体が此処にあるのがおかしいわけで今更パソコンで驚いても仕方ないな


でも、花畑にオフィスビルか・・天使達が要塞と言ったのも分かる気がする


多分オフィスビルとか現代の建物を知らないのだろうな


でも、どうやって建てたのだろうか?まず、機材や工具は何処から?パソコンやセキュリティーゲートなどの機器は何処から手に入れたのか?造ったのか?それとも買ったのか?なら電気屋?そしたら何店?やっぱり本店?保証は何年?5年くらい?気にはなるが気にするだけ時間の無駄だろうな


現実世界と此処とでは世界そのものが違う。常識も非常識になりありえない事も当たり前になるって事なんだろう


つまりなんでもありって事だ


母さんは確実にこの世界を熟知してる


適応力が高いのは変わらないか


時雨『ん?これは・・ねぇ提督ちょっと来てこれって』


時雨がパソコンをカタカタして画面を見せる


時雨ってパソコン使えたんだとは口には出さない


提督『これは・・・』


時雨『多分三途の川だよね』


画面には花畑が霞むくらいの大きな川が書かれている絵が映っていた


提督『完成図みたいだ』


かなりの距離と言うか先が見えないくらいに大きな川だ


提督『一、十、百、千、万、十万、百万・・・』


細かい所まで数字も書いているが0の数がずっと横に続いていて数えていたが垓から先が分からず諦めたので正確な大きさは分からないけどとんでもない大きさだとは分かる。地球とか軽く超えるんじゃないか?


しかもその川に対して使うのが木の船という向こうに着くのに何百年掛かるんだよ!せめてモーターエンジンは積んで欲しい


それに向こうまで結構掛かると思うからもっと大きくして何泊も出来るようにしよう一層の事豪華客船にするのも良いな


きっと良い旅にーって!違う!止める立場なのに何を考えているんだ!


提督『こんなの出来るわけない!』


時雨『でも、見てスケジュールも厳密に書かれているよ年単位で』


人員がいなくなる事も配慮されている


代わりは何時でもどうにか出来るってか・・・・やっぱり母さんおかしいよ・・


時雨『提督母は本気みたいだね』


提督『そうだとしてもこんなふざけた計画はやめさせる!』


提督『こいつは消去だ』


時雨『うん、分かった。ちょっと待ってね』カタカタ


提督『此処のオフィス全てのを消すぞ時雨』


時雨『頑張ってね提督』


提督『時雨がやるんだよ』


時雨『ひぇ〜人使いが荒いね・・やるけど』カタカタ


提督『すまないが頼む。三途の川関係のデータも全部消してくれ』


時雨『任せてよ僕の良いとこ見ててよ』メガネ装着


提督『あぁ、凝視する』


バックアップは取っていると思うけどこんなふざけたデータを残しておくのも身内として恥ずかしいし馬鹿げている


意味はないかもしれないが消しておきたい


それから一台ずつ立ち上げては消してを繰り返した


時雨はパソコンをカタカタしてデータを消す


俺は時雨を側でずっと凝視する(特にうなじあたりを)


こうしてこのオフィスにあるパソコン全ての三途の川に関係しているデータを消した


提督『これで全部だな流石時雨だ助かった』


時雨『ふぅ〜疲れた・・・ん?』メガネ置き


時雨も疲れているようだし少し休むか無理はさせられないからな


あまり敵の陣地で同じ場所に止まってるのは良くないが少しくらいなら大丈夫だろう


提督『時雨少し休んだら3階へ、あれ?時雨何処に行ったんだ!おーい!時雨!』


さっきまでいた場所にいない


いや、正確に言うとさっきまで掛けていたメガネはある


でも、時雨は本体がメガネってわけではない・・・筈


まさか!罠にはまって 捕まったのか!


提督『時雨!今助けに行くからな!』


時雨がいなくなってからそんなに時間は経っていない!まだ遠くには行っていない!


走り出そうとした時ヒョコッと時雨が姿を現した


時雨『提督此処だよ!金庫からノートパソコンが出てきたよ』


しゃがんでいたから机で見えなかったようだが・・返事くらいして欲しかった


良かった・・本体がメガネじゃなくて


提督『心配させるなよ・・・』


時雨『ダイヤル式の金庫だけど開けれたよ!凄いでしょ!』


提督『はぁ・・凄いな・・』


人の気も知らないで・・・


提督『でも、暗証番号も知らないでよく開けれたな凄いな時雨は』


時雨『僕にかかればこのくらい楽勝だよ!』


提督『ん?』


金庫には無理矢理開けたであろう跡があり壊れていた


小さい家庭用の金庫だけど普通は力だけじゃ開かない


提督『力技かよ・・』


時雨『えへへ、頑張ったよ』


可愛い・・・・


提督『とりあえずそのノートパソコンを調べてみるか』


かなりボロボロだが動くのだろうか?


ウサギのシールとか貼っているところを見ると持ち主は女性かな?でも、母さんの趣味ではないな


じゃあ誰のだ?そもそも個人のパソコンなのか?


こんなボロボロのノートパソコンがなんで金庫になんかに入れていたのかも気になる


もしかしたら重要な情報が入ってるのかもしれない


提督『起動させてみよう』


時雨『コードはっと・・あった』


起動させてある程度見たが三途の川関係のデータは一つもなかった


あるのはゲームとかの個人的なもので全く関係ないデータばかりだった


やはり誰かの個人のパソコンで間違いない


しかも長い間電源を入れていないのか起動に時間がかかった


でも、大切に使っていたのだろう。こんなにボロボロなのに動くんだから


三途の川についての情報もなければ隠すようなデータもない


結局何故金庫に入れていたかは分からない


これで全てのパソコンを見たと思うが・・一つとしてパスワードが設定されていないのはいけないと思うが・・みんな初心者なのかな?


おかげで見れたわけだけど


一応感謝です


勿論このボロボロパソコンの持ち主にもな


提督『あまり個人のパソコンを覗くのはいけないなシャットダウンして先へ行こう』


時雨『うん、分かった』


時雨『あ、間違えてテキスト開いちゃった』


提督『ん?テキストか・・どうやら日記のようだなパソコンに書いていたんだな』


時雨『・・・・・・』サッ


提督『ん?なんで画面を隠すんだ?』


時雨『読むのは駄目だよ。シャットダウンするね』


提督『待ってくれ少し読んでみないか?』


時雨『提督、人の日記を読むのはいけない事だよ?ましてや乙女の日記は普段の溜まってる鬱憤やその他諸々が全部が書かれていると言っても過言じゃないんだよ?そんなの他の人には見せられないよ』


時雨『同じ・・その・・女性としてそこは譲れないよ!』


提督『でも、もしかしたらそこに何か俺達敵に見られるとやばいような秘密が書いてあったりとかするんじゃないか?だから金庫に入れていたんじゃないか?』


時雨『う〜ん・・そう言われるとそれもあり得ない話しではないけど、ないと思うよ?ただの乙女の日記だと僕は思うけど・・根拠はないけど』


提督『どうしても駄目かな?』


時雨『ごめんね・・いくら提督の頼みでもこれは』


提督『なら、時雨が見て確かめてくれないか?』


時雨『僕が?』


提督『あぁ、それなら良いだろ?同じ女性なんだし』


時雨『提督・・・・うん、任せて!同じ女性だからね!』


提督『あぁ』


漣『ほっ・・・・』


提督『ん?』


漣『あ、やべ』サッ


提督『??』


耳鼻科行こうかな?幻聴がよく聞こえる


時雨『ふむふむ・・これは中々犬小屋に対しての情熱が伝わるね』日記拝見中


時雨『面白いね』


時雨『ん?・・・これって・・』


提督『どうした?』


時雨『でも・・これは・・』


提督『時雨?』


時雨『・・・・・・・・』


時雨『・・・・・・』


時雨『う〜〜ん・・・うん!』シャットダウン


提督『お、おい、どうしたんだ』


時雨『問題なかったよ三途の川のさの字もなかったよ。勿論怪しい事も書いてなかったしただの日記だよ』


提督『そうなのか?でも、さっき何か悩んでいたように』


時雨『内容に関する事は言えないよ乙女の秘密』


提督『本当に大丈夫なんだな?』


時雨『うん!信じて』


提督『分かった信じるよ。そのパソコンはどうする?』


時雨『これかい?これは』


時雨『ふんっ!』バキッ


提督『っ!』


時雨はノートパソコンを真っ二つに折って床に叩きつけて拳で粉々にしてしまった


時雨『ふぅ〜これで乙女の秘密は守られたよ』


提督『そこまでするか・・・』


乙女の秘密とは怖いな・・・


でもどんな内容だったのか凄く気になる


持ち主ごめんなさい


時雨『あれは此処にあってはいけないんだよ例えそれが本物じゃなくてもね』


提督『え?それってどういう』


時雨『さぁ!行こう提督』ダッ


提督『あ、待ってて』ダッ


時雨『・・・・・・・』


時雨『これ以上君に精神的な負担はかけられない・・ごめんね提督』ボソッ


2階を突破した


三途の川ウォーズ(後編)【3階、コスプレはお好きかな?】


3階への階段途中で千円札をまた拾った


やりました


ー3階男子更衣室ー


ガサゴソガサゴソ


提督『26冊目か・・・・』ポイッ


巨乳派が10


貧乳派が11


筋肉派が5


貧乳派の勝利だ


提督『・・・・・・・・』


3階には更衣室がありとりあえず三途の川について何か情報がないかを男子更衣室と女子更衣室とで手分けして探していた勿論破棄する為に


だが・・一枚予定表が出てきただけだった


ビリビリに破り捨てた


後は大人の本ばかり出てくる此処は男子校か?


まぁ一部ちょっとあれだけど、いや、ある意味ではこれも男子高らしいのか?


提督『時雨はまだかな?』


提督『・・・・・・・』


提督『はぁ・・・なにやってんだろうな俺は・・』ペラッ


貧乳派御用達の本を開いて見るのだった


提督『ほう・・これは』


鈴谷『っ!』ガタンッ!


提督『ん?なんだ?』


ロッカー《バニーガールコス(ガールなので勿論女性用でも提督サイズ!)》


提督『はい?』


此処は本当に男子更衣室なんだよな?


ー3階女子更衣室ー


ガサゴソガサゴソ


時雨『う〜ん・・・』ふんどし


時雨『う〜ん・・・』髭剃り


時雨『う〜ん・・・』カツラ


時雨『此処って女子更衣室だよね?僕間違ってないよね?』


時雨『次が最後のロッカーだね』ガチャ


《大量の盗撮写真》


時雨『・・・・・・・』そっと閉める


時雨『なになに・・今のなんなの・・今ので此処が女子更衣室なんだなって納得出来た自分が怖いよ!』


時雨『怖いけど・・確かめないといけないよね・・提督に似ていたような』ガチャ


神通『見たな・・・』


時雨『ひっ!』思いっきり閉める


神通『いたっ』ガン


時雨『へ?なんで?人が?え?え?』


時雨『・・・・・開けますよ』ガチャ


時雨『あれ?いない?写真もなくなってる・・千円札だけ?』


気の所為?疲れてるのかな?さっきの大量の写真もなかったんだね


そうだね!


時雨『って・・思いたいけど・・此処は普通じゃないしあったんだろうね』


日記の内容とさっきの娘と写真それに下の自販機・・もしかしたら・・此処は・・


だとしたらこのビルだけじゃなくて人間達が持っていた武器や道具も全てって事になる


もし、僕の考え通りなら・・・


時雨『止められないかもしれない・・ううん、提督を信じなきゃ!きっと提督は・・』


負けない・・・・そう信じたい


時雨『もうこの部屋に用はないね出よう。提督は終わったかな?』


しかし、ドアが開かなかったノブは回るのにドアが開かない


時雨『あれ?壊れたのかな?』ガタッガタッ


時雨『ふんっ!』ドンッ


時雨『ふぬぬぬ!』ガタッガタッ


時雨『ふんっ!せいっ!』ドンッドンッ


時雨『開いてよ!僕は行かないといけないの!』ガタッガタッ


時雨『えい!えい!』ドンッドンッ


時雨『ふにゅぅうう!』ガタッガタッガタッガタッ


何度も叩いても壊れもしなければ開きもしなかった


時雨『はぁ・・はぁ・・ふぅ・・』


一旦落ち着いて


考える


つんだ・・・・


時雨『・・・・・』ジワッ


時雨『嫌だよ!怖いよ!提督助けて!うぇええん!』ガタッガタッガタッガタッ


時雨『なんでもするから!出してよ!もう一度提督に会いたいよー!』ドンッドンッドンッドンッ


時雨『うわぁあああん提督ーー!ついでに夕立ーー!』ポロポロ


鈴谷『っ!』ガタンッ


時雨『ひっ!また出たの妖怪ロッカー女』


ロッカー《海軍司令官コス(提督の着てるのと同じ勿論男性用でも時雨サイズだ!)》


時雨『ふぇ?』


やっぱり女子更衣室じゃないのかも・・


結果だけ言うとその出て来た服を着たら開いた


最初は提督に見立ててクンクン嗅いでいたら気付いたら着ていた


時雨は自分の姿を見て思った


時雨『ごほん、よーい!てぇーー!』


ありだと


そして提督は


提督『あれ?開かない・・おーい!』ガタッガタッ


提督『おーーーい!』ガタッガタッ


時雨『提督よく聞いて出るにはね』


ドア越しに説明して


提督『まじかよ・・・これを着ろと?』


バニーちゃんに着替えて


提督『こんなのサイズが合うわけー、合った・・・・』


提督『えっと・・・ん?着替え方説明書?なにその無駄な説明書!読むけど・・』


提督『こんな感じか?うさ耳と尻尾はいらないな』


神通『・・・・』うさ耳


スチャ


提督『ん?あれ?付いてる?』うさ耳ピクピク


鈴谷『・・・・っ』尻尾


ズボッ


提督『ぎゃぁああ!』尻尾もふもふ


扶桑『・・・・・』胸パッド


サッ


提督『あれ?胸がある!俺女に!あ、パッドか・・良かった』


提督『泣きそう・・・・』バニー完成


ガチャリ


時雨『提督!開い・・・た・・よ・』


そしてドアが開いて


提督『笑えよ』


時雨『笑えないよ・・』


無事に二人は合流出来た


他の部屋は特に何もなく4階へと続く階段へ向かった


階段へのドアは他の階よりも分厚く頑丈に出来ておりロックも掛かっているようだが


ドア『服装認証・・・該当する2名を確認しました。認証』ガチャリ


普通に開いた


3階を突破した


三途の川ウォーズ(後編)【甘い罠?と明らかな地獄 】


提督(バニーガールコス)『お、千円札発見だ』


また階段に千円札が落ちていた


これで三千円だ


嬉しいね


時雨(司令官コス)『提督!しゃがんだらなんか見えるしその網タイツの足はセクシーとは程遠いよ!』


提督『セクシーだと思ってやってんじゃねえよ!』


時雨『胸の辺りはパッドでも入れてるのかな?その大きさは少し嫉妬しちゃうよ・・』


提督『そうだよ・・気付いたら付いてたんだよ・・てか、男相手に嫉妬するなよ偽物なんだから』


時雨『むぅ・・・』


提督『へっくしゅん!この姿は寒いな・・』うさ耳ピクピク


時雨『もう・・ほら、これ着て』


時雨は上着を脱いでそっと肩にかけてくれた


提督『時雨・・・』


時雨『僕は平気だから』


今の時雨はなんか凄く頼りになる司令官という感じがする


カッコ良い


なんかドキドキするし艦娘の気持ちになれたような気がする・・俺は如月達からこう見えてくれてるかな?


提督(変態バニー司令官コス)『ありがとな時雨その姿似合ってるぞ』もふもふ尻尾フリフリ


時雨(ジャケットオフ司令官コス)『提督も似合ってるよ』腕捲り


提督『いや、それは勘弁・・はぁ、この姿で行くのは嫌だけど仕方ないよな・・』うさ耳シュン・・


時雨『ん?嫌なら脱げば?更衣室出たんだからもう着替えても良いんじゃないかな?僕はてっきりその服装が気に入ったのかと思ったよ』


提督『・・・・・・・』


時雨『・・・・・・・』


提督『ねぇよ!!』


提督は元の服装に着替えた


その時背中の傷を見た時雨が少し嬉しそうにして自分の背中を撫でていたのはなんだったのだろうか?


背中でも痒かったのだろう


時雨は気に入ったようで司令官コスのままだった


まぁ、その場で着替えられたら困ってたけど


そして二人の司令官(一人はコスプレ)は4階へと上がったのだった


ー4階食堂ー


提督『なぁ、此処って』


時雨『うん、どう見ても食堂だね』


食堂がある事に驚きだった


何故なら此処は腹が減らないから食べ物を必要としない


なのに厨房がありテーブルがたくさんある


談話室代わりとは言えないし


やはり食堂なのか?


提督『食うのか?』


時雨『さぁ?』


それより食べる事が出来るのか?


時雨『冷蔵庫があるよ開ける?』


提督『よし、開けてみよう』


時雨『他の家の冷蔵庫って開ける時ドキドキするよね』冷蔵庫オープン


提督『何故?』


中は・・・・空だった


電気屋の冷蔵庫でも食品サンプル入れてるのに・・それすらない


ここが電気屋なら子供達が退屈するな


そしてこれは食堂としては最悪の状況だ


食券販売機は唯の貯金箱と化すだろう


金は帰って来ないけど


うちの初日でのボロボロの鎮守府ですら食券を買えば出てくるのに(美味しいとは限らない)


提督『厨房は飾りかな?』


時雨『食堂風談話室だね』


提督『そんな部屋聞いた事ないな』


時雨『そうだね、ふふ』


提督『此処には何もなさそうだな。それじゃあ5階へ行こう次が最後だ』


時雨『うん!』


提督『よし!行くか!』


吹雪『ふぅ・・・・間に合った』コトッ


時雨『ん?誰かいた?』


テーブル《クッキーの盛り合わせ》


時雨『??』


時雨『・・・・・・』くんくん


時雨『・・・・・これは』ゴクリ


提督『ん?時雨どうした』


時雨『あれ・・・・』


提督『いつの間にテーブルにクッキーが?』


時雨『美味しそうだよ』


提督『馬鹿言うな罠かもしれないだろ?毒薬でも入ってたらやばい無視だ』


時雨『でも・・凄く良い匂いがするよ・・匂うでしょ?この美味しそうな匂いが』


提督『それは・・まぁ・・するけど・・腹は減らないわけだし』


時雨『減る減らないは関係ないんだよ!食べたいか食べたくないかなんだよ!』


提督『だが・・胃の容量は結構重要だと思うが?』


時雨『そんなの気合いだよ!』


提督『まじか・・・・』


時雨『もしもだよ?僕がクッキーを焼いたとしよう。そりゃあ美味しそうなクッキーをね』


提督『出来るのか?お菓子を作れるのか!』


時雨『クッキーは無理・・精々カルメラ焼きくらい』


提督『それはそれで凄いが・・あれ中々膨らまないし』


カルメラ焼きを考えた人は絶対にドMだ


カルメラ焼きを失敗する度に『あは〜ん』とか言ってそう


てか、そっちの方が難しくね?


時雨『もしもだから!カルメラ焼きよりクッキーだよ!』


提督『お、おう』


何時間もかけて何度もやったが結局出来なかったカルメラ焼きを・・・簡単に・・


時雨・・・恐ろしい娘だ


時雨『それで僕が作ったクッキーを食べてくれるよね?』


提督『そりゃまぁ食べるけど』


時雨『つまりそういう事だよ』


提督『ん?』


時雨『僕が作ったのとそこにあるクッキーは変わらないって事だよ』


提督『はい?何を言ってるんだ?時雨が作ったなら喜んで食うよ。でもな?これは誰が作ったかも分からないんだぞ?しかもこれ見よがしに置いて罠以外になんだって言うんだ』


時雨『じゃあ!僕が作った事にするよ!それで良いでしょ!』


提督『良くねぇよ!ああ、もう!クッキーがあるからこうなるんだ!こんな物!』


時雨『何をする気だい!』


提督『こうするんだよ!』ポイッ


吹雪『っ!』ガーーン


クッキーを窓から捨てた。勿体無いとは思うが時雨を惑わせてしまう程の物ならそのままには出来ない


もし、本当に好意で作ってくれていたのなら申し訳ないと思う・・


クッキーに合掌をして窓を閉めた


提督『さよならだ・・・・』


時雨『あ〜〜なんて勿体無い事を・・』


提督『行くぞ』


時雨『・・・・・うん』


提督『あれ?ドアが開かない』ガチャガチャ


提督『閉じ込められたか!時雨お前の力で壊せないか』


金庫を壊せるくらいだ。ドアなんて破壊するのは楽勝だろう


なんならドアじゃなくても壁に穴でも良い


提督『時雨、気合いパンチだ!』


時雨『つーーーーん』


提督『時雨?』


時雨『つーーーん』


拗ねてるのか?


時雨『その技には糖分が足りないよ。糖分頂戴・・クッキーが良いね』


提督『あのな・・クッキーは窓から投身自殺したろ?』


時雨『違うよ!あれは他殺だよ!僕見たもん!』


提督『・・・・悪かったとは思ってるよ。でもな?万が一にも変なのが入ってて時雨に何かあったら俺は・・・』


時雨『提督は僕を信じてくれても良かったのに・・毒が入ってるくらい匂いで分かるのに』


提督『それを先に言えよ!』


時雨『あれ?言ってなかったかな?』


提督『はぁ・・言われてないよ。ちゃんと聞いてなかった俺も悪いけどもうないんだから諦めろ、な?次があったら安全だと言うなら食べさせてやるから』


時雨『うん、分かった。次があると良いけど』


時雨『次は捨てずに食べるのに!』


提督『そんな大声で誰に言ってんだよ・・』


時雨『誰でもない願望だよ』


提督『だが、やはり誰が作ったかも分からないのは不気味だし材料もなかったわけだし』


提督『せめてこのクッキーは私が作った!毒なんて入ってないよ。入ってるのは、あ、い、じょ、う、って言いに来てくれるならまだしも』


時雨『せめてのランクが高すぎるよ・・まぁ、僕は美味しければなんでも良いよ』


提督『それが例え道端に落ちていた飴でもか?』


時雨『うん』


提督『蟻がたかってんだぞ?』


時雨『ふーふーするよ』


提督『べちょべちょに溶けていたら』


時雨『最後は溶けるんだから変わらないよ』


提督『犬の落とし物が付いてたら?』


時雨『流石に洗ってから食べるよ』


提督『まじか・・・食べないって選択は?』


時雨『ないよ?当たり前じゃないか勿体ない』


提督『あのな・・いくら勿体ないからってー』


吹雪『ふぅ・・・』コトッ


提督『甘い匂いがする・・まさか』


時雨『この匂いは』くんくん


提督『嘘だろ・・いつの間に』


テーブル《クッキーの盛り合わせ》


ツンツン


提督『ん?』


吹雪『このクッキーは私が作った!毒は入っていませーあれ?』


吹雪『えっと、なんて言えば良かったっけ』メモ確認


吹雪『よし大丈夫!頑張れ私!』


提督『・・・・・・・』


吹雪『毒なんて入ってないよ。入ってるのは・・あ、あい、愛情です!はい、どうぞ!』クッキー


提督『あ、うん、ありがと・・で?誰?・・っていない?』


消えた?幻覚かな?


提督『・・・・・・』クッキー


でも、手渡しで渡されたクッキーはある


幻覚ではなかった


作ってくれた娘なのかな?別に一語一句同じ事を言えとは言ってないが・・まぁ、作ってくれた人が分かるなら


食べても良いかな?


サクッ


提督『凄く美味しい!もっとないか?』


時雨『うーん!美味しい!』むしゃむしゃ


提督『あ!俺の分も残してろよ!』ダッ


提督『ちょっと!食い過ぎだ!』


時雨『提督はいらなかったんじゃないの!無理しなくても僕が全部食べてあげるよ』


提督『気が変わったの!ほら、俺の分もー』


時雨『っ!』むしゃむしゃ


提督『あ、こら!』


皿にたくさん盛られたクッキーはあっという間になくなった


何か元気が出てきた


今までの暗い気持ちが少し晴れていくのが分かった


甘くて優しい味だった


でも、何故だろう・・少し悲しく感じた


そして皿の上に千円札があった


千円札はクッキングシートではないと思うが・・・


食べ終えたらドアも普通に開いた


ここまで来て確信出来た事がある


誰かいる。それも一人じゃない。そしてその人達は俺達を助けてくれているように思える


辱めてくる奴もいるけどな


何故かは分からないけど


もしかしたら罠かもしれないけど・・そうは思えない


それも分からないけど


提督『次が5階だ。準備は良いか?』


時雨『うん!今の僕ならなんでも出来そうだよ』


しかし、5階へ続く階段の前にもドアがあり4階と同じように頑丈にロックされて閉まっていた


次は通るだけでは反応せずに開かない


提督『くそっ!此処まで来てダメなのかよ・・』


時雨『ふっ!しゅっ!ていっ!』ドンッドンッドンッ


時雨『ダメだね・・僕じゃ壊せないよ』手ヒリヒリ


提督『エレベーターを使うしかないか』時雨の手ナデナデ


時雨『僕見てくるね』ダッ


提督『転けるなよ!』


提督『・・・・・・・』


時雨『うん!動いてなかったよ!』


提督『こうなれば正規の方法で開けるしかないか・・鍵穴とかないか?あるなら鍵を探せば良い』


時雨『ないね・・・空き缶用のゴミ箱ならドアに付いてるけど』


ゴミ箱付きのドアって凄い斬新


提督『それは関係ないだろうな・・はぁ、どうするか・・』


時雨『う〜〜ん・・・』


提督『ん?』


自販機『ぬる〜い飲み物は如何ですか?』


売る気ないだろこの自販機


だが・・・・


提督『クッキーを食って口の中が少しパサパサするしお茶でも飲むか』


目の前に丁度自販機もあるし拾った千円札もある


ぬるいのは嫌だが我儘は言ってられない


少しお茶でも飲んで落ち着くか・・そうすれば何か思いつくかもしれないし


提督『時雨少し休憩しよう奢るぞ?何飲む?』千円札ヒラヒラ


時雨『え!良いの!どれにしようかな〜』


時雨『ん?これって・・・』


提督『どうした?コーヒーとジュースがないのは我慢しろよ?』


此処の人達はコーヒーに恨みでもあるのだろう


時雨『違うよ。この一番端にあるのはお茶でも紅茶でもないよ』


提督『ん?』


《5階の階段へのドアを開ける缶マヨコーラ味》


提督『なにこれ?』


時雨『新しい飲み物かな?マヨコーラだって美味しいのかな?』


提督『味はともかくとして・・もしかしてだがドアに付いてた缶のゴミ箱にこれ入れたら開くんじゃね?いや、なに言ってんの?ってなるかもだけど俺は正気だから』


時雨『うん、大丈夫だよ僕もそう思ったから買う?買うよね!』


提督『あぁ!買うに決まってるだろ!いくらだ!』


こっちには四千円ある。缶の一つや二つドンと来いだ!ぬるくても良いぜ!


時雨『五千円だよ!』


提督『・・・・・・・足りねぇよ』


あと千円足りない・・・・


時雨『あ、僕も持ってるよ女子更衣室のロッカーにあったんだけどこれで足りるかな?』千円札


提督『ナイスだ!時雨!五千円溜まったぞ!』


時雨『これで買えるね!』


ガコンッ


提督『で、まぁ俺が飲むしかないよな・・』


時雨『ふふ、頑張ってね。本当は僕も飲んでみたかったんだけど仕方ないから譲るよ』


自販機『当たりました!もう一本どうぞ!』


提督『ほう・・・・・・』マヨコーラ


時雨『僕はお茶には煩いからね』お茶を押そうとする


提督『っ!』マヨコーラを押す


ガコンッ


時雨『っ!』


提督『ほら、お前の分な。良かったな?もう一本あって』ニヤリ


時雨『お茶・・・・・』マヨコーラ


マヨコーラと聞けばやばいと思うかもしれないがもしかしたら意外と美味しいかもしれー


ゴクゴク ゴクゴク


提督『ぶぅううーーー!!』


マヨの酸味が炭酸とガチの殴り合いを開催


時雨『ぶはっ!!』


甘いような酸っぱいような中途半端などっちかもハッキリ出来ない優柔不断な現代の若者を思わせる味


そして何よりぬるかった


凄く不味い・・・・・


ドア『缶を確認飲み残しなし確認ドアが開きます』ガチャリ


提督『うぇ・・・やったな・・』ゼェゼェ


時雨『そうだね・・・・・』ハァハァ


フラフラになりつつも二人は5階へと上がったのだった


扶桑『・・・・・・・』


漣『・・・・・・・』


神通『・・・・・・・』


鈴谷『・・・・・・・』


吹雪『・・・・お願い』


スッ


提督『ん?・・・』


時雨『どうしたの?吐きそうなの?この缶使う?』マヨコーラの缶


誰かに触られたような気がしたけど


提督『いや、なんでもない。それは捨てておけ』


気の所為だな


時雨『空き缶からまだ匂うよマヨコーラの匂いが・・・』


提督『だから捨てておけって間違っても嗅いだりするなよ?その匂いはやばい』


時雨『そう言われると気になるね・・これは飲んだ時とはまた違う酸味とコーラが上手くない具合に』くんくん


提督『あ、馬鹿!』


時雨『交わっーっ!オヴェ、ピーーーーーー(自主規制)』


提督『・・・・少し休もう』


俺は知った・・どんなに可愛い声だろうとこの時だけは野太い声が出るんだなって・・


知りたくなかった・・・・・


仕方なく階段で少し休憩した


気付くと綺麗なタオルとバケツが置かれていたのでありがたく使わせてもらった


提督『ほら、口を拭いて』ふきふき


時雨『ごめん・・・・』


提督『気分は?』


時雨『最悪・・・・泣きそう』


提督『そうか・・・』ナデナデ


4階を突破した


???『姿見えてるのだが・・・早く来てくれないだろうか』


強敵が5階で待っているのだった


三途の川ウォーズ(後編)【千の力を持つ者】


階段を上がってすぐに待ち構える影があった


時雨『誰かいるよ』


提督『あぁ』


何処かで見た事があるような・・それこそ毎日見ている様な?


いや、毎日はないか


???『ふふ、やっと来たか遅かったな待っていたよ』


提督『待ち合わせの約束なんてしてないが?あんた人を間違えてんじゃないか?俺は此処の社長に用がある』


???『それは私の事だ?』


提督『嘘つくな社長は母さんだって分かってんだよ』


???『ふふふ、ならやはり私の待っていた人だ姫の息子よ』


提督『姫だと?ふざけんじゃねえぞ!大体俺はお前なんて待ってないどけよ!』


時雨『と言うわけで邪魔だからどいてくれるかな?君に用はないよ。僕達が用があるのは君の言う姫だから』


???『元気が良いな。良いでしょうですがその前に確認して良いかな?』


提督、時雨『『だめ』』


提督『茶番はごめんだ』


時雨『君と話してる時間も惜しいよ。ほら、しっしっ』


???『ふふ、なら勝手に聞こう。姫に・・いや、母に会ってどうする』


勝手に聞くとか言いながら通さないように動いている


仕方ないさっさと答えて通してもらおう


提督『止めるんだよこんなふざけた計画を』


時雨『ほら、言ったよ退いて、じゃないと・・』


???『じゃないとどうするのかな?』


提督『外の奴らと同じ様に天国に行ってもらう極限の苦痛と共にな』


金的から始める股間への集中攻撃に玉潰しで終わる《ゴールデンタイム》を覚えた俺は悪魔と呼ばれても仕方ないだろう


潰した玉達の感触がまだ手に・・・


提督『ぐっ・・・落ち着け・・』


時雨『僕らは天使の様に優しくないけどね』


此処の天使達も優しくないけど・・・


???『残念だが止めると言われて通すわけにはいかないよ。私は君の母の夢を応援しているからね』


提督『こんなふざけた計画を応援してるなんて本当にバカばかりだな!良いか?母さんはただの思いつきで動いてるだけなんだ!生前もそうだった!飽きるのだって突然で・・・でも、こんなに周りに迷惑を掛けるような人じゃなかった・・母さんはおかしくなってんだ!俺が止めてやらないと!だからどけ!三途の川計画だって時期に飽きる!』


???『はぁ・・・君は本当に姫の息子なのかい?』


提督『なんだと?』


???『何故そこまでしてやろうとしてるのかを考えた事がないのかい?君は本当になにも知らないんだね母の事も自分の事もね』


提督『どう言う意味だよ!』


???『私はね三途の川などどうでも良いんだ。私が姫の味方をしているのはー』


時雨『提督!そいつの戯言に惑わされないで適当な事を言ってるだけだよ』


提督『あ、あぁ・・・』


時雨『分かりやすい時間稼ぎはやめたらどうかな?いくら待っても仲間は来ないよ』


???『ふふふ、そういう事にしておこうか・・さて、もう一度聞こう何をしに母の元へ向かう』


どうやら向こうもやる気のようだ


これは最後の確認なんだ


敵か味方かの


こいつが強いかは分からないけど邪魔をするなら戦う


提督『止める為に向かう』


???『ほう・・・・・・』


誰であろうと歩みを止めるわけにはいかない!


時雨『退かないなら相手になるよ!』


???『ふふふ、そこまで言うならお前達が姫に会うに相応しいか見極めさせてもらおう』


時雨『やる気だって事だね』


提督『望むところだ!相手になってやる!行くぞ時雨!』ダッ


時雨『うん!』ダッ


???『待て!暴力はいけない!ここはババ抜きでー』


提督『待たない!ババ抜きなんてそんな一人を抜きにする遊びなんてやるか!ボッチなめんな!』


???『ババ抜きはそう言う意味ではない!』


提督『うるさい問答無用!ならお前抜きだ!』


時雨『そうだよ!提督良い考えがあるよ!髪の毛むしってやれば』


提督『それはやめろ・・お互い髪への攻撃はなしだ』


時雨『あ、はい』


???『馬鹿が・・・だが、好戦的な奴は嫌いじゃない』ニヤリ


野口『良いだろう!この黄金のマッドサイエンティストと呼ばれる野口が少しだけ遊んであげましょう!』


黄金のマッドサイエンティスト?アホか!


提督『そこだ!くらえ!』シュッ


俺の攻撃を軽々と避けた野口は両手を広げて叫んだ


野口『幻想の世界よ我呼び声に応えその強き想いを具現せよ!』


ピカッ!


野口の片方の手に百万円の札束(全部千円札)が現れる


提督『何もないところから!札束が!』


野口『これがこの世界での力だ!強き想いは常識の壁を壊す。さぁ!金の重みを味わうが良い!』


提督『ふ、ふざけるな!そんなもので何ができー』ゴクリ


バシッ


百万円の札束(全部千円札)のビンタが提督の頬を襲う


提督『ぐぁあ!!』


野口『おら、もう一丁!』バシッ


提督『ぶはぁ!!』


野口『更に!二連撃!金持ちだな良かったな』バシッバシッ


提督『ぐふっ!ぐばぁああ!』


衝撃は想像を超えていた。だが、何より精神的ダメージが提督を襲った


金で叩かれるのは下の下階級(低所得者)の人間なら誰もが憧れた事だ


しかし、それが千円札だと虚しさを感じるだけだった


そう、何枚集まろうと・・・欲しいけど


電に千円札十枚で頬をペチペチした時のなにやってんだこいつという顔は忘れられないほどの衝撃だった


提督『ほれ、電、金持ちだぞ〜』ペチペチ


電『・・・・・・・・・』蔑む目


ノリの良い電が本気で引いていたのだから


それにしても頬が・・


提督『うぅ・・・・』頬ヒリヒリ


もう色んな理由で倒れてしまいたいが、どうにか倒れないように踏ん張る


提督『金が・・・くっ・・・頬が・・電が・・如月そんな悲しそうな顔で見るな・・』


くそっ!思い出してしまう!あの時の如月のなんとも言えない冷めた目を


如月『提督・・そんな事するのね』


提督『違うんだ!如月聞いてくれこれは』


如月『っ・・ごめんね!うちが貧乏で!』ダッ


提督『如月ー!』


電『最低・・なのです』


少し泣きそうになっていたし、と言うか泣いてたし・・


ちょっとした冗談だったんだよ・・如月、電、ごめん・・・今度は一万円札でやるから


野口『おやおやまだ足りないようですね。そんな欲しがりな貴方に!』


ピカッ!


更にもう片方の手に顕微鏡が現れる


何を見る気だ!プレパラートは持ってるのか!


野口『こいつの鏡台の角は如何かな?意識をも簡単に狩り取るこの形状・・・御賞味あれ!』シュッ


顕微鏡の鏡台の角が提督を襲う


提督『っ!』


それはそんな使い方をする物じゃない!


こいつ・・・狂ってやがる


マッドサイエンティストの名は伊達じゃないってことか・・・当たったら一発で終わりだろうな・・


時雨『させない!』シュッ


野口『ふふふ・・・』ニヤリ


時雨の背後からの隙を見た攻撃に見えたが・・・これは


違う!


提督『っ!罠だ逃げろ!』


くるっとターンを決めると時雨の方へ向いた


野口『そんなに急がなくても・・これは君のだ』


時雨『っ!』


時雨の攻撃も軽々と避けて


提督『時雨!避けてくれ!』


野口『遅い!顕微鏡の前では見れない物はない!故に叩けない物もないのだ!』


ガッ!


時雨『いたっ!!』


避けられず顕微鏡の鏡台の角が時雨の頭に直撃する


最初から時雨が来る事を知って攻撃動作を俺へと向けるが最初から背後へ攻撃するつもりだった


こいつ・・頭が良い!


時雨『あ・・・・ああ!』ウルウル


野口『さぁ!本能のままに踊るが良い』


時雨『いたぁあああ!』ゴロゴロ


顕微鏡『』轟沈


野口『ほう・・顕微鏡の方が砕けるとは電子顕微鏡にするべきだったか』


提督『お前は!!』


時雨に・・時雨に!何をした!!


提督『っーー!』 キュピーン!


自分でもビックリする程の速さで野口へと近づいた


提督『野口!』


野口『む!いつの間に近くに!まぁ良い札束とお前の頬とが織りなす幻想曲を聴くが良い!』シュッ


提督『っ!』サッ


野口『なに!避けただと!聴きたくないのか!』


提督『おらっ!』ゴスッ


野口『うっ!横腹を・・紳士の横腹を殴るその意味を知らないとは言わせないぞ!』


提督『知るか!』バシッ


そして札束を持つ手を叩く


野口『くっ!火傷跡を狙うとは卑怯な!』


野口の持っていた札束が床に落ちる


それを提督は強く踏みつけてくしゃくしゃにする


提督『よくも・・時雨を!お前だけは許さない!』くしゃくしゃ


野口『き、貴様!私の顔に!』


提督『死ねやオラァ!!』シュッ


野口『っ!札束リアー展開!千円札達よ私を守れ!』ギュン


ドクン!


提督『っ!(夕立やめろ!)』


提督の赤い眼が強く光り髪の毛が夕立と同じ色になる


身体の中から自分じゃない感情が溢れ出す


自分が壊されそうになるのを必死に耐えた


提督『ぐぅうううおおおおおおお!!ぽぉおおおおおおい!!』ドゴォオン!


ビリビリビリビリ


野口『ぐはぁぁああ!バリアーを破っただと!』


数メートル吹っ飛んだ野口は壁にぶつかりその場には大きなクレーターが出来た


ビルを貫通しなかったのが驚きだが


野口はそのまま動かなくなった


殺ったのか?いや、消えていないからまだだろうけど動く事は出来ないだろう


それより・・


提督『うっ!・・はぁ・・はぁ・・やばかった・・』


髪の色は戻った。どうやら夕立が更に力を使ったようだ


あまりに強すぎて半夕立化していたが下手をしたら夕立に乗っ取られていた


でも、自分の負担があるのに夕立は・・俺を信じての事ではあったのだろうが、馬鹿が・・こんなピンチにかっこよすぎだっての


大人しく耐えてくれれば良いの余計な事を・・・


次は使わせないからな使わせないように頑張るから


呼吸を整えて自分を自分だと強く想う


そうする事で落ち着いてくる


頭の中から沸き起こるぽいぽい言いたくなる衝動を抑えて


立ち上がった


提督『夕立ありがと・・・っぽい』


一度だけ言った。今度は無自覚じゃなく自分から


時雨『ふぇええん!痛いよぉお!』ポロポロ


時雨は俺が守るから・・次は絶対に!この命を懸けても


提督『時雨大丈夫か!』ダッ


時雨『提督!』ダッ


提督『痛かったな・・よしよし』ナデナデ


時雨『ふぁ〜〜〜』


提督『大丈夫か?病院行くか?あるか分からないけど』ナデナデ


時雨『ううん、もう平気だよ』大きなタンコブ


提督『本当にか?そのタンコブは?』


時雨『平気だよ。すぐに引っ込むから』


提督『そうなのか?』


時雨『うん、でももう少しだけ撫でてくれたら嬉しいかな?』


提督『任せろ』ナデナデ


時雨『ふふふ、役得かな?』


パサパサパサパサパサパサパサパサ


提督『ん?千円札?っ!!』


時雨『な、なに!』


提督『千円札が・・・たくさん飛んでる』


その数はこの階の見える場所全てが千円札で埋め尽くされそうな程だった


金額にしたら・・・数え切れない


でも、俺の鎮守府の総貯蓄額を遙かにに超えているのは確かだ


時雨『あ、あれ』


時雨の指をさした先を見るとそこには


野口『・・・・・・《千の翼》』ゴォオオオオ!


提督『そんな・・まだ立てるのかよ!』


ゆっくりと此方に近づいてくる野口の姿があった


背中にはたくさんの千円札から出来た大きな翼が野口の怒りを表しているようだった


どうやら本気を出したようだ


野口『残念だ・・お遊び程度で済ませておけばお前達を殺すつもりはなかったのだが・・こうなった私はもう優しくないぞ?』クイッ


パサパサパサパサパサパサ


たくさんの千円札が提督と時雨の周りに集まって来た


提督『な、なんだ!』


時雨『提督・・怖いよ』


提督『大丈夫だ・・手を離すなよしっかり握ってろ』ギュッ


時雨『うん・・』ギュッ


そして次第に千円札が二人の間を詰める


提督『逃げ場がないか・・・』


時雨『あっちもこっちも千円札・・』


此処に来るまでに千円札に助けられたのに今度はその千円札に殺されようとしてるなんて・・なんて皮肉だ


野口『千円札に埋もれて死ぬがいい!』グイッ


パサパサパサパサパサパサパサパサ


千円札が二人の周りをくるくると回りながら襲いかかる


時雨『いやっ!』


提督『時雨!』ダキッ


提督は時雨を庇うように抱きついた


意味はないかもしれないけど身体が勝手に動いたのだ


せめて俺より1秒でも長く生きてくれ


でも、その考えは自分の弱さから来ている事に俺はまだ気付かない


気付こうとしなかった


野口『無駄な事を・・・・慈悲はない!お前に踏まれた札達の怒りを噛み締めて逝け』


提督『っ!野口ぃいいい!ーーっ!』


時雨『ーーーーーっ!』


野口は勝利を確信した様に笑みを浮かべた


その笑みからは何故か無理をしている様に見えたがそれも今では何の意味もない


野口『さらばだ・・・・・弱き者よ』


悔しい・・・悔しいけど・・・


どうやら此処までのようだ・・折角夕立が時雨が力を貸してくれたのに俺が弱い所為で巻き込んでしまって・・ごめん


帰えしてやれなくて・・ごめん・・如月・・・


???『諦めないで!』


提督『っ!』


ピカッ!


時雨『なに!』


提督のポケットから光が漏れていた


その光に反応して千円札の動きが止まった


野口『これは・・・まさか!』


提督『時雨!』


時雨『うん!ちょっと失礼』ゴソゴソ


時雨が提督のポケットに手を突っ込みその光っている物を取り出し掲げた


時雨『っ!』ピカッ!!


光は更に強くなり周りの千円札が消滅する


提督『っ!』ガシッ


提督もその光っているそれを掴んだ


提督『力が湧いてくる!』


すると更に光は強くなりその場全てを包み込んだ


野口『くっ!眩しい!』


あまりの眩しさに野口も目を瞑ってしまう


フラッシュのように一瞬だけ強く光った光は次第に弱くなった


野口『うぅ・・っ!千円札が全て消えてるだと!』


提督『光が弱まって』


徐々に光は弱くなりやがて光を失ったそれが姿を現した


時雨『これって!提督』


提督『あぁ、これは!』


失って姿が見える時こそそれは本来の力を発揮する


そう、それは絶対的な権力の更に上を行く存在であり


全ての者達もを魅了するカリスマ性を持った男が描かれている


揺るぎない信頼と豪傑なる力を持つ現代のエクスカリバーと呼ばれるその男の名は


福沢諭吉さんだ


つまり一万円札だ!千円札なんて目じゃない


その余裕の顔がまさに日本を牛耳る男の余裕と威厳を感じさせる


まさに日本の王!


提督『野口・・形勢逆転のようだな!』一万円札


時雨『千円札じゃあ勝てないね。どうする?土下座しておくかな?』


野口『成る程そういう事か』


ギリギリだった・・あと少し遅かったら俺達は今頃千円札に埋もれて窒息死していただろう


そして・・誰も救う事も止める事も出来なくなっていた


あの声があったから助かったんだ


あの時聞こえた声を俺は知ってる


クッキーをくれた娘の声だった


今思えば俺は彼女・・いや、彼女達に助けられていたんだ


彼女達が俺達を導いて先への扉を開けてくれた


きっとこの一万円は彼女達が少ない小遣いから出し合ってくれたものなんだ


働いてる年には見えなかったし未成年だとしたら一万円なんて大金だ


その前に五千円も貰ってるからかなりの額だ


いや、一度捨てたクッキーにも千円札が入っていたかもしれないと考えると六千円か


それにそれだけじゃない。最初のコーヒー(中身なし)も態々買ったのだろうしコスプレ衣装も結構作りは良かったしサイズもピッタリだった特注だろうしクッキーを作る材料費も掛かってるし・・・


あのボロボロのパソコンも彼女達のだったら壊してしまったし買い直すのも入れればかなりの額を俺達に使ってる


そこまでして俺達を・・・いや、彼女達も母さんを止めようとしていたんだ


でも、彼女達だけでは無理だったから


いや、それなら行動を共にしても良い筈だ


何故こんな遠回しの方法をとったのか


詳しい理由は分からないけど彼女達はなんらかの理由でそうする事が出来ないんだ


だから、俺に力を貸してくれたんだ


利用されたとも言えるがそれで良いんだ母さんを止めようとしてくれる人が他にいると知っただけで俺は充分感謝してもしきれない


名前も知らない彼女達だけど


確かに受け取ったからな君達の想いを


後は任せてくれ


提督『ん?はっ!』何かに気付く


でも、もしかしたら・・一万円札と一緒にパソコンの請求書とかも入れられていたりして・・いや、入れられてる筈だ!俺なら入れる!


でもポケットの感じから入ってはなさそうだが・・紙なら気付かない事もある


確認したいけど今は隙を見せるなんて出来ないし


でも、気になる!こう言うお金の事は一度気になると確かめるまでずっと気になって仕方がない!


どうする!ポッケに手を入れるか?


時雨『提督どうする?殺る?天国へ連れて行く?』


殺る?パソの請求書を?って違うな野口の事だな


野口に集中しろ!


野口だぞ・・野口な野口!野口を殺るか殺らないかだ!


物騒だなおい


まぁ、殺る時は殺るけど


請求書の確認は後だ!良いな!俺!


よし、改めて今の自分のするべき事は!


提督『請求書を殺って野口を確認する事だ!』


うん、ダメだ気になってるな


時雨『提督?大丈夫?』


提督『すまん・・今のなしで』


時雨『う、うん、分かった』


やはり確かめるしかない


こうなれば時雨に頼もう


提督『時雨、一万円札以外に俺のポケットに何か入ってなかったか?』


時雨『え?一万円札しか取る暇がなくて・・ごめん』


提督『いや、良いんだ。悪いんだがポケットまさぐって他に何か入ってないか確認してくれないか?』


時雨『え?まさぐるの?今じゃないとダメなのかな?』


提督『頼む今じゃないとダメなんだ』


時雨『う、うん、分かった、そ、その入れるよ?』ゴソゴソ


提督『あぁ、頼む』


野口『何をしようとしてる』


提督『お前は動くなよ!少し待ってろ黙ってな!』一万円持って構え


少しこそばゆいが仕方ない


野口から目を離さずに一万円札をひらひらさせ牽制しつつ時雨に声をかける


提督『どうだ?請求書って感じの紙とか入ってないか?』


時雨『う〜ん特にはないよ反対側も確かめる?確かめなくて良いよね?』


提督『いや、頼む』


時雨『う、うん、なんか恥ずかしいね』ゴソゴソ


提督『言うな・・俺もそうだから』


時雨『あ、そうなんだ・・なんか嬉しいかな』


提督『はは、なんだよそれ変なの』


時雨『ふふ、なんだろうね』


野口『君達こんな所でー』


提督『今度余計な口を聞いたらこの一万円が黙ってないぞ!』


野口『っ・・・・・・』


時雨『・・・・・』ごそごそ


時雨『っ!(クッキー入ってた)』クッキー


時雨『・・・・(誰も見てないし良いよね?)』もぐもぐ


時雨『・・こっちも何もないよ?クッキーとかなかったから』もぐもぐ


提督『クッキー?あったのか?』


時雨『な、ないよ?何もなかったからね!』


提督『そ、そうか、なら良かったが何か食ってないか?』


時雨『・・・・』もぐもぐ・・ゴクリ


時雨『き、気の所為だよ。あ、でもまだ真ん中のポケットを確認してないね』


提督『真ん中?』


時雨『うん、ほら真ん中にチャックがあるよ』


提督『ん?あぁ、これはー』


時雨『確認しろって言うんだよね?分かってるよ』チャック下ろし


提督『っ!』


それは!社会の窓だから開けてはいけない!


提督『ちょっ、まっ!』


時雨『大きなポケットだね』ズボッ


提督『にゃっ!』


時雨『ん?・・あれ?・・・これって・・底がない?このポケットは大きな穴がーっ!』


時雨『提督・・なんか温かい』提督見上げ


提督『・・・・・それは違う。手を引っ込めてくれないか?』


時雨『あ、・・・うん、なんかごめん』チャック上げ


時雨『その・・男の服ってよく知らなくて・・ごめん』


時雨が今着てる服もサイズは時雨に合ってるけど男服なんだが・・


なんて言えないよな・・うん、謝ろう・・とにかく謝ろう


提督『いや、俺こそ・・ごめん』


時雨『僕は気にしてないよ?本当だよ』


提督『・・・ごめん』


時雨『だーかーら!』


野口『そろそろ良いかな?若人達よ青春なら後でして欲しいものだ。色々と思い出してしまうものでね。恋人とそういう事をするなとは言わんが時と場所をわきまえなさい』


提督、時雨『『こ、恋人!』』顔真っ赤


俺と時雨が?いかんだろ!事案だろうが!


提督『な、な、そんなんじゃ!』


時雨『ないの?』


提督『え?』


時雨『僕は君の恋愛対象にはなれないのかな?』


え?どう言う事?時雨はもしかして・・もしかすると!


提督『時雨それって・・』


時雨『ううん、やっぱりなんでもない』


提督『お、おう』


童貞の思い込みって酷だな・・・勘違いして恥ずかしい


事案にならなくて良かった


時雨『なんでもなくないのに』ボソッ


野口『ふっ・・・・若いな』


とりあえず落ち着け俺・・今は敵の目の前だぞ!・・・・・・よし!落ち着いた


気を取り直して


提督『野口これで形勢逆転だ!』一万円札


時雨『千円札じゃあ勝てないね!土下座でもしておくかい?』


野口『・・・・・・・』


野口『くくく、笑わせてくれるな。本気で言っているのか?』


提督『どう言う意味だよ!』


野口『本気で一万円札で私を倒せると思っているかと聞いている』


提督『なんだと?』


時雨『提督まともに聞いたらダメだよハッタリなんだから野口は今内心震えている筈だよ。漏らしに漏らしてる筈だよ!』


提督『あ、あぁ』


時雨『祈りの時間はもうお終いだよ!でも、謝るなら許してあげてもー』


野口『ふっ、ならやってみるが良い。出来るものならな』


時雨『なっ!本気だよ!』


野口『こちらも本気だ早く来い見せて見ろよ一万円札とやらの力を』


時雨『上等だよ!僕はキレたよ!』


提督『待て時雨落ち着け』


時雨『でも・・でも!』


提督『分かってる・・俺に任せてな?』ナデナデ


時雨『提督・・・うん』


野口『早くしてくれないかい?私も君も時間は惜しいだろ?』


提督『あぁ、だから降参してくれないか?無抵抗の人を殺るのは俺も少しばかり抵抗が無きにしも非ずだからな』


野口『ん?無抵抗?ふふ、君は面白い事を言うな。御託は良いからささっと来なさい。そのアホな考えが紳士でありマッドサイエンティストの私には無力だという事を早く知るためにね』


提督『強がりはやめておけ千円札ではどう足掻いても一万円にはかー』


野口『早く来いと言ってる!ノロマが!後頭部ハゲが!』


ぶちっ!


提督『なんやとコラァ!上等だ!なら見せてやるよ!時雨!』


時雨『うん!どうやら早く天国へご案内されたいようだね!』


提督『やりたくはないが仕方ない!恨むなよ!このハゲが!』


野口『ふっ・・若いな』


さっきと同じ様に二人で持って一万円札を掲げた


提督『聖なる光の全てを支配する諭吉の力を受けるが良い!』


時雨『光に導かれて地獄という名の海に沈んでしまえ!』


提督『光れ!』


時雨『輝け!』


提督、時雨『『極光の一番星!諭吉フラッシュ!』』


シーーーーーン


しかし、一万円札から力が湧いてくるどころか光ってもくれず風に揺られてひらひらしてるだけだった


真ん中の透かしから見える諭吉が此方を嘲笑っているように見えた


そうそれはまるでただの一万円札の様に


提督『気合いが足りないんだ!その光を勝利を約束された力を見せてみろ!諭吉フラァアアッシュゥウウウウウ!!』


時雨『もしかしたら違うのかも!諭吉の怒りの炎を見せて!諭吉ファイアーー!諭吉ファーーイァアアアア!!』


シーーーーーン


提督『・・・・・・・・』


時雨『・・・・・・・・』


野口『どうした?諭吉フラッシュでもファイアでも何でも良いぞ?なんならウォーターでも良いが?』


凄く恥ずかしい・・・・


提督『時雨・・どうなってんの』


時雨『僕が聞きたいよ・・さっきは確かに一万円札が光って・・』


提督『凄く恥ずかしいんだが・・・』


時雨『僕もだよ・・・』


野口『だから言っただろ一万円札にそんな力はない。ただ彼女達がそれに一度きりの力を与えたに過ぎない』


野口『こうなる事を予測してな・・だが、これは予想出来たかな?』ボソッ


野口がパチッと指を鳴らすと


提督『あつ!』パッ


時雨『ああ!一万円札が燃えてる!諭吉ファイアーは・・自滅技だったのか・・』


提督『いや、多分違うと思うが・・って!火を消せ!あーー灰に・・』


野口『それはもうただの一万円札だ』


時雨『違うよ・・ただの灰だよ』


提督『なら尚更だろうが!金を燃やすと犯罪になるんだぞ知らないのか!一万円あれば・・はぁ・・』


時雨『もうダメだ・・千円札にまた呑み込まれるんだ!』ガグガグ


時雨『提督以外に汚されるんだ!』


提督『お、おい、大丈夫か?顔色が悪いけど・・てか、俺も汚した覚えないぞ?』


時雨が真っ青な顔で嘆いている。どうやら千円札に対してトラウマになってしまったようで恐怖で少しおかしくなっている


いや、俺も怖いけど・・・諦めるのは早い!


提督『時雨まだ勝算はある!今の野口を見ろ!千円札の翼も何もなくなってる!きっとさっきので使えなくなってる筈だ』


根拠はないけど・・・


時雨『そ、そんな虫の良い話がー』


野口『確かに私は千(円)の翼を封じられてしまっているから先程の様な事は出来ないのは確かだ』


時雨『年貢の納め時だよ!』 復活


提督『切り替え早くね?』


まぁ、元気になってくれたから良いけど


野口『だが・・』


でも、何故態々不利になる様な事を言ったのか黙っていれば良かったのに


いや、そもそも不利になっていないとか?


だとしたら危険だ!


提督『時雨、一度離れー』


ゴォオオオオオオ!


提督『っ!』


時雨『あわわわわ』ブルブルブルブル


時雨がこれまでにない程震えている


時雨バイブルだ


野口『君達は勘違いをしている・・さっきのが私の本気だと思っていたなら随分と舐められたものだ』


提督『さ、さっきの比じゃない・・身体が動かない』


時雨『きゅっ〜〜』コテン


提督『時雨!くそっ!』


野口『さて、どうするか』ゴォオオオオオオ!


提督『ぐっ・・・』


目を開けて立っているのが精一杯だ


少しでも気が緩めば下からも上からも大惨事になる


現に時雨がなんか凄い事になってる詳しくは言えないけど


唯一言えるのがせめて毛布か何かを掛けて見えないようにしてあげたいとだけ言おう


やっぱり死ぬのかな・・・嫌だな


野口『最後のチャンスをやろう』


提督『チャンス・・だと?』


野口『帰るのだ。勿論現実世界にだ。私にはお前達を現実世界に帰す事が出来る。死んでいない今ならな』


提督『っ!』


野口『姫の事は諦めて帰るか、此処で倒されて本当に死ぬか選べ!』ゴォオオオオオオ!!


提督『うっ!・・ぐぅうう!』


野口『此処で帰っても誰も責めないしお前達の世界では誰も困らない!そうだろ!』


野口『此処での人も天使も完全に死ぬ事はない!人の魂は浄化され天国へ誘われ天使はそのうち復活する。本当の意味での死はないのだ。それでも自分の命をかけて止める価値はあるのか!お前だけが本当の命をかけるのか!』


提督『それは・・・』


野口『寧ろ三途の川が出来ればこれから来る人達も喜ぶ。良い事じゃないか!お前の母がこの世界で偉業を成した人物になれるのだぞ!』


提督『でも・・・』


野口『何が嫌なのだ!確かにやってる事はこの世界では反逆行為だ。しかし、時にそうやって反逆者達により世界が良い方向へ進みより良き未来が見える事もある。現に現実世界でもそういう事があったから今がある』


野口『目的の為なら世界をも敵にする覚悟が君の母にはある。それを止める覚悟がお前にあるのか!』


提督『俺は・・・そこまで考えてなかった・・天使達や人間達が争って傷付けあって・・その中心人物が母さんだって分かったら俺・・母さんがそんな事する筈ないって・・』


提督『だって母さんは天然でアホなところは多々あって思いつきでみんなを巻き込んだりしたけど・・誰かを傷付ける事は絶対になかった』


提督『そんな事を母さんは絶対にしないんだ!きっと自分でも歯止めが効かなくなって止めようにも止められなくなって苦しんでいるんだ!だから俺が助けてやらないと!母さんが俺にしてくれたように俺が今度は母さんを!助けたいんだ!』


野口『随分と君の都合にあった解釈だな。それはお前の中の母を押し付けているだけじゃないか?本当の君の母は目的の為なら人をも殺せる無情な奴かもしれない』


提督『違う!俺は何年も母さんと暮らしてたんだぞ!デタラメ言うな!母さんの事は俺が一番よく知ってんだ!あんたよりも!母さんを捨てた父さんよりもな!』


野口『本当にそうだろうか・・近い存在だからこそ隠してしまう事もある』


提督『うるさい!お前が母さんを語るな!俺は何がなんでも母さんを止める!諦めてたまるか!』


提督『その為に覚悟をしろと言うならいくらでもする!俺は世界を敵にしようとしてるアホを・・・戦おうとしてる母さんを!』


提督『もう頑張らなくて良いからって・・・もう頑張ったんだから・・ゆっくりと天国で休んで欲しいんだ。偉業なんて成さなくても良い・・ただ、偶にで良いから見守ってくれればアホだなって笑ってくれればそれで良いんだ』


提督『俺も母さんに似てアホだからなアホなりの覚悟貫かせてもらう』


野口『それが答えか』ゴォオオオオオオ!!!


提督『っ!・・・あぁ、そうだ!』


野口『ほう・・・・』ギロッ


提督『っ・・・・・』ビクッ


やれるだけの事はやってやる!せめて一発だけでも殴って!狙うなら股間だ!《ラストゴールデンタイム》を見せてやる!


野口『ふっ、良いだろう』


と思ったらオーラが消えた


提督『っ、はぁ・・はぁ・・・』バタッ


身体の硬直がなくなり崩れ落ちるように倒れた


汗が凄く出ているし息も上がっている


身体も全身筋肉痛みたいに痛い


俺以上に身体が恐怖を感じていたようだ


おそらく一発殴る体力も残っていなかったんだな


それを自覚させる為にわざとやったのか・・・良い趣味してるよ


くそが・・殺るならさっさと殺れよ


野口『お前の覚悟は確かなようだな認めようじゃないか』


提督『・・・・・殺さないのか』


野口『元から殺すつもりはない。少し熱くなり過ぎたが・・それも彼女達が予測していた事だ問題はなかった』


提督『なんだよそれ・・色々考えてた俺は馬鹿みたいじゃないか』


時雨なんてかなりの醜態を晒してるのに


最初から結果は決まってたのか・・・


どう足掻こうと結果は変わらなかった


それは俺が無力でも同じだという事だ


提督『結局俺は・・・・・』


野口『だが、君が中途半端な覚悟しかないなら無理矢理にでも帰すか殺すかどちらかをしていた』


野口『いや、殺していたな私は中途半端な奴を好かんのでな。例え望まない結果になろうとそうしていただろう』


提督『そうかよ・・・』


野口『つまり何が言いたいかと言えば結果が決まっていたとしてもそれは君の力を信じての予測で導かれた結果だという事を忘れるなという事だ』


野口『予測は予測に過ぎない絶対ではない』


まさか俺の気持ちを察して慰めてくれてる?


提督『フォローサンキュー・・野口さん』


野口『ふっ、さん付けはやめろ今更気持ちが悪い。立てるか?』スッ


提督『あぁ、もう大丈夫だ』ガシッ


野口の差し出された手を掴み立ち上がる


提督『なぁ、野口はなんで母さんに従うんだ?三途の川には興味ないんだろ?』


野口『それを話すにはまず聞きたい事がある。私が誰か分かるかな?』


提督『え?』


そりゃあ、千円札のあの人だろ?


提督『野口◯世ですよね?細菌学者の』


野口『正解でもあるが不正解でもある。私はね野口◯世であって野口英◯でない』


提督『えっと・・どういう事?』


野口『君の知ってる野◯英世は顕微鏡で殴りつけたり千円札でビンタする人だったかい?』


提督『本で知ってるくらいだけどそんな人ではないと思う』


大体千円札を翼にして《千の翼》とか言う痛い奴はいないと思うし


野口『私はね。君の母が創造して創られた幻想◯口英世なんだ。私の性格や力は君の母が考えたものだ』


提督『それってもう偽者なんじゃ』


野口『正確には違うのだ。最初の方にちょっと言ったと思うが幻想を具現化するのは強き想いと更に正確な情報がいる。君の母は私と言う人物を正確に創造して少し自分色に染めてしまったんだ。これも容易に出来る事ではない』


提督『まじか・・・・』


野口『それこそ少しでもその人物の基礎を変えてしまえばその時点で具現化は出来ない』


野口『一人でも気の遠くなる程なのに君の母は私とそれに彼女達を具現化させたんだ。そして私に◯口◯世の姿とチート級の力をくれた』


提督『だから・・あんなに強かったのか・・』


野口『だが、その力も彼女達に比べれば月とスッポンになってしまうがな』


提督『さっきから言う彼女達って言うのはもしかして』


野口『そうだ。君を影から支えてくれていた娘達の事だ。彼女達も私と同じ様に君の母によって造られた存在だ』


提督『え?でも、それじゃあ野口と同じ敵だったんじゃ・・』


野口『彼女達に限っては私と違って余計な事はしていないオリジナルに近いようにしているのだ。だが、その所為で自由な意思を持ち止める側になってしまったがな』


提督『・・なら、どうして彼女達は遠回しにしか協力してくれないんだ?ツンデレなのか?』


野口『ツンデレ?どう言う意味かは知らんが、彼女達も君の母と深い縁がありお互いが信頼していた仲だった止めたいが完全に敵にはなれない』


野口『そんな彼女達の弱さがそうさせたのだろう。私の嫌いな中途半端だ』


提督『深い縁・・か』


野口『君のさっきの質問だが私は君の母に都合の良いように創られている。姫の言葉は絶対と言うのが刻み込まれている』


提督『て事はやっぱり無理矢理!』


野口『いや、違う。私は自らの頭脳と力でそう言う枷は全て壊している。君の母もそれには気づいているがね。私が従っているのは造ってもらった恩と三途の川が出来たその先を見る為だ』


提督『その先?』


野口『そうだ、本当の目的は三途の川の完成ではなくその先にある。三途の川は過程に過ぎない』


提督『っ!それは一体』


野口『私の口からは言えない。君の母から直接聞きなさい。本当に止めようとするならこの話しは避けては通れない。君がそれを知ってまだ止めようとするか君の本当の覚悟が試されるだろう』


提督『分かった・・そうするよ』


どんな理由があろうと俺は!


野口『ふっ、もう言っても遅いが私はね二つ君の母から命令されていた。一つは敵の陽動と殲滅』


野口『天使達をこの私が創り出したオフィスビルを本拠点と勘違いさせてね』


提督『っ!これって野口が創ったのか!』


野口『正確には彼女達もだけどな。あまり乗り気ではなかったが変な所ばかり一生懸命創っていたな』


提督『つまりこのビルは敵を誘き出す為のフェイクで本拠地は別の所にあって、そうなると母さんは此処にいないって事か・・俺もまんまと騙されたと言うこ事か』


野口『フェイクと言うのと君の母が此処にいないと言うのは正解だが、本拠地など最初からないのだ。そう言う意味ではフェイクも本物もない此処を本拠地と呼んでもいいかもしれないがな』


提督『必要ない本拠地を創ってそれを丸ごと餌にしたと』


野口『そう言う事だ』


野口『私達が実際に動いているのは三途の川を造る現場だけだ。君の母はそこで三途の川を今も造っているだろう。きっと一人でな』


提督『え!一人で・・・』


野口『君が全て倒してしまったからね。撤退して現場へ行くつもりだった補助要員も全員ね』


そう言えば逃げている奴も片っ端から追いかけて殺ったな・・見逃しておくべきだったか・・


提督『すぐにそこへ案内しろ!』


倒してしまった事は悪いとは思っていない。そうしなければ俺が死んでいたから


でもだからって一人で途方もない大きさの三途の川を造ってるなんて


そりゃあ待てば人は増えるかもしれないけどすぐじゃない


きっと母さんの事だ休みもしないでずっと動いてるに決まってる


なんであの世でもゆっくりしててくれないんだよ!


皆の為のなのか?


いい加減に休んでくれよ!


提督『行くぞ!』


野口『良いだろう。だが、あと一つの命令がなんだったのかを聞いてからにして欲しい。これだけは君に知って欲しいのだ頼む少しだけ時間をくれないだろうか』


そう言って野口は頭を下げた


野口の頭にはお世辞にもふさふさとは言えない部分がありそれを見せるのは男にとっては屈辱に等しい程だ俺には出来ない


ハゲを見せるならまだ全裸の方が良いという奴がいるくらいだ


野口程の人間にそんな事をされたら嫌だなんて言えないだろうが・・・


少し優越感を感じたのは秘密だ


提督『なんだよ・・教えてくれ』


野口『感謝する』


野口『私が命令されたもう一つは君を現実世界へ帰す事なんだ』


提督『帰す事か・・それを母さんが言ったのか?て事は母さんは俺が此処に来ている事を知っていたんだな』


野口『そうだ最初から知っていた』


知っていてこれかよ・・・・


三途の川を優先していたのか・・・


野口『と言うより君を此処へ呼んでしまったのは他でもない君の母なんだよ』


提督『どういう事だ』


野口『君の母・・提督母は孤独だった。どんなに仲間が増えようと最低限の話しだけをして皆と関わろうともせずにただ三途の川を造る為に動いていた』


野口『この世界では疲れは感じにくいとは言え限度がある。身体をずっと酷使していたら疲れも溜まるし身体も悪くなる君なら分かるね?数日間戦い続けた君なら』


提督『あぁ・・・・・』


最初こそ動けていたが最後の方はどうにか気合だけで立っていたようなものだった


背中を守って共に戦ってくれた夕立と時雨がいたから俺は頑張れた


野口『だが、皮肉なものだ・・身体はもう置いてきた筈なのにまだ気にしなければいけない。魂だけになっても離れられない一生死んでも苦しみを背負わなければならない』


野口『だが、それが人間らしさを失わずに済む薬なのかもしれない。痛みや苦しみ、疲れや辛さ、それら全てを気にしなくなってしまったらそれは人と言えるのか』


提督『今の母さんがそうだと言いたいのか?母さんはもうただ三途の川を造るだけの人形になったと?』


野口『違う、安心しろ提督母は人間だ。だが、だからこそ提督が此処に来る事になってしまった』


提督『それは一体・・』


野口『提督母は休まずにずっと働き続けた。疲れなんていくらでも耐えられたんだ。それが彼女の強さであり皆が姫と呼び従う理由の一つでもあった』


野口『だが、提督母には弱点があった。それは孤独に弱いという事だ』


提督『母さん・・・・』


何時も元気に振舞っていて疲れ知らずの母さんだった


悩みなんてないと・・あの時は本気で思っていた


でも、俺は知っていたんだ・・夜になると声を押し殺して泣いている母さんがいた事を


それでも大丈夫だと思ったんだ


だって朝になると何時ものように元気だったから


でも、それは違っていた母さんはずっと一人で孤独を抱え込んで苦しんでいた


助けを求めていたんだ


でも、俺は泣いている母さんを見ているのが辛くて目を背けて声を掛ける事も出来なかった・・孤独を埋めてやる事が出来なかった


そして母さんが亡くなってから後悔した


今もしている・・・・


野口『同志達が増えて騒がしくなっていく中で提督母は思い出してしまったんだ捨てた筈だった一人でいる辛さを』


野口『そしてそれを自覚してしまった提督母は苦しんだ・・他人ではなく信頼出来る誰かと一緒に居たいと思ってしまった。そして提督母が一番好きな紳士でありマッドな偉人である私と彼女達を創り出した』


提督『それでどうして俺が』


野口『それでも提督母の孤独はなくならなかった。君が初めて此処へ来た時に提督母と話したね?』


提督『あぁ、一緒に穴を掘りながら俺が一方的に喋っていただけだけど』


返事とかは素っ気ない感じだったけど全部ちゃんと聞いてくれていた


それが嬉しかった


野口『あの時だけだったんだ提督母が此処へ来て孤独を感じなかったのは』


提督『っ!それは本当なのか!どうしてそこまで分かるんだ!』


野口『私は提督母に創られた強い想いが具現化した存在であり提督母の強い想い願いそして喜怒哀楽の様々な想い全てが私に入っている。心の奥まで全てを知ってしまっているのだ』


野口『だが、私は全てを語る気はないよ。プライバシーは守られなければいけないからね。いや、喋れないと言った方が良いね』


提督『冗談じゃなくて?』


野口『この千円に誓おう嘘ではない』


そう言って俺の手に千円札を握らせる


くしゃくしゃになる千円札を見てそれで良いのか?と思ったが口には出さなかった


提督『なら本当に・・俺が・・・』


母さんの孤独を一時期的とは言え無くす事が出来ていたんだ


でも・・母さんが生きてる時にしてあげたかった・・・


あの時の自分の事で精一杯だった自分を殴ってやりたかった


あの母さんを認めたくなかった・・ガキだった俺を・・


提督『俺は・・・最低だ・・』


野口『ふむ・・・・・・・』


野口『私は提督母を通して君を知っている。それはもう好きな食べ物から貧乳好きという事もだ。私は言わば君の二人目の母親かな?いや、三人目かな?息子よ』


提督『そんなチョビ髭のおっさんの母親なんかいらん』


それ以前に性別の壁がまず立ちはだかってるし


野口『遠慮するなお母さんと呼んでも良いぞ?さぁ!呼べ!ママと!』


提督『絶対に嫌だ!てか、男だろうが!知ってるからってそれだけで親になれるわけないだろうが!』


野口『元気だな。それだけ大声が出せれば話しを続けられるな』


提督『っ!まさか・・わざと・・』


野口『言った事は全て本音だ。お前を子だと思っているのも本当だ。息子よ』


野口『血の繋がりなど些細な事本当に必要なのは何か君は知っている筈だ。答えなくても良いがそれだけは忘れないようにしなさい』


提督『・・・・・・・・』


そんな事分かってる・・・・分かってるけど・・


喜ぶべきではない・・でも、父さんがこの人なら・・母さんは・・俺は・・いや、やめておこう


そんな・・ありえない未来を想像しても虚しくなるだけだ


野口『ふっ、無駄話しが過ぎたな。許せ』


提督『いや、大丈夫だ・・続きを頼む。母さんはそれからどうしたんだ?』


野口『提督母の孤独は限界だった。人とは苦しみを我慢するのは容易に出来るが幸せを我慢する事は難しいのだ、目の前の幸せを駄目だと分かっていても掴んでしまう・・故に望んでしまったのだ提督にもう一度会いたいと』


提督『俺に・・・母さんが』


複雑な気持ちではある・・・でも


凄く嬉しかった


でも、その感情を持ってはいけない状況だというのも分かっている


だけど・・・この気持ちはこの世界に来てから一番嬉しい事である事は変わりない


それだけは・・・感じておこう・・


提督『じゃあ、俺は母さんが望んでしまったから来てしまったのか』


野口『そう単純ではないのだ。色々な偶然が重なってしまったから起きてしまった事なのだ』


提督『偶然?』


野口『そう、まず、どんなに望んでも人を呼び出す事ましてや生きてる者を呼び出すなんて出来ない』


野口『だが、提督母の想いがそれを可能にする程強かった・・しかも無意識でだ』


野口『そして、偶然に君が瀕死状態になり、一度此処に来た事がある事から此処へ続く門が緩くなってるのもあり、生と死の間で君の魂は呼ばれてしまい小さい子の様に飴一つで不審者に着いて行く勢いで此方へ来てしまった』


提督『・・・・・・・』


俺の魂チョロ!!今時の子供でさえ飴一つじゃ着いて来ないぞ!


え?て事は整理すると


母さんが強く会いたいと無意識で想い偶然に瀕死状態で生と死の間に居た俺の魂が飴一つでその想いに誘われて着いて行ったって事?


母さんの想い『ねぇ、飴あげるから天国来ない?一つだけだけど』


提督の魂『え!飴くれるの!行く行く!』


という事だよな?しっかりしろよ俺の魂!


提督『最悪だ・・・・』


野口『そう言うな提督母が君を頼ったという事なのだから提督母が他を頼る事は中々ない事だぞ?』


俺が言ってるのは自分の魂に対してだ・・


提督『そうだな・・母さんは悪くない』


悪いのは俺の魂だ。頼むからもう少し他を疑う事を覚えて欲しい


野口『分かってくれて良かった。本当ならこの命令を受けた時にすぐにでも君の元へ向かう筈だったんだか・・すまない、敵を誘い込む為のこのビルを創るのに時間を掛けてしまったのもあるが、天使達が途中から無駄に知識をつけてしまいビルを守るのに精一杯で動けなかったのだ』


あれ?


野口『フェイクとは言え何もないとすぐにその意味をなくしてしまうからね全力で迎え撃つ必要があった』


それって


野口『最初の方は部下達に任せれば倒せていたんだが、途中から強くなってしまったのだ。動くに動けなかった』


俺の所為じゃね?


提督『・・・・・・・』


野口『本当にすまない』


俺が天使達に戦い方を教えてしまったから強くなってしまって


提督『いや、あの・・・・』


結局人も天使も倒してしまった


今思えば俺は何がしたかったんだ?


野口『ふっ、少し意地悪が過ぎたかな?』


提督『っ!全部知ってるって事だな・・意地の悪い人だ』


野口『だが、助けに行こうとしたのは本当だ。命令が命令だから他には頼めなかったし此方が落ち着いたら行こうと思っていた。そしていざ行こうと思った時に君が此方へ向かって来ているのが窓から見えてね』


野口『1階で待ってるのも良いが折角だし少し歓迎をしてあげようと思ったのだ』


提督『それって』


野口『宝探しだ。各階に千円札を隠して最後はそれで鍵を買って5階へという事にしていたんだが・・・』


提督『ん?』


野口『お宝を手に入れるにはこの私が考えた謎を解き明かし各階毎に全251問の問題をクリアして色々と困難を越えて先へ進めるという楽しい企画だったのだが・・彼女達がそれをよく思わずに全て壊してしまったのだ・・・』


提督『折角用意してもらったのに残念だ』


彼女達にグッジョブ!


各階毎に251問なんてしてる間に俺の人生終わっていたかもしれないし


それに困難って・・・


提督『マヨコーラの事か・・あれは困難なんてものじゃない』


最後のマヨコーラもどうにかして欲しかったな・・


神通『・・・・美味しいのに』シュン


提督『ん?』


神通『・・・・・・』サッ


野口『今からでもやってみるかい?夏目◯石疾走事件』


疾走って・・走ってるだけじゃん・・


提督『断る!大体時間ないのによくやろうと思ったな下手したら終わる頃には此処の住人だぞ!』


野口『うむ、天使や部下達を倒して来たお前を見ていたら試したくなってな。マッドサイエンティストのお茶目な一面だと思えば良い』


野口『ちょっとばかし本気になりかけてしまったがねそれもお茶目な一面なのだ』


お茶目って・・・・彼女達の力がなかったらそのお茶目な一面で死んでいたと思うとゾッとする


その力の媒体を一万円札にしたのは彼女達のお茶目な一面だったのかもしれない


お茶目な奴らだ・・・・


そう言うところは母さんそっくりだ


提督『そうかよ・・それで最後はどうしてあんな脅すような真似を』


野口『確かめたかったのだ。もし君が私の思う人間ならそれに賭けてみるのも良いかもしれないと』


提督『でも、野口は母さんを』


野口『さっきも言ったが私が見たいのは三途の川が出来たその先だ。それが提督母の求めた幸せの形になるかもしれない・・私はその幸せの形を見たいのだ』


野口『私はね提督母の幸せを何より望んでいる。彼女が笑えるなら三途の川じゃなくても良いのだ』


提督『野口・・貴方は・・』


そこまで母さんの事を考えてくれていたんだ


野口『だが、三途の川が完成してもそれが叶う確率は低い・・・そうなればきっと絶望してしまう。だが、これしか道がないなら私はその低い確率に賭けるしかない』


野口『提督母は今その低い確率でも掴もうとしてる。苦しみから孤独から解放されようとしているのだ。そして解放された時が提督母の幸せの形は完成する』


提督『そんな・・・・』


幸せの形・・・それが三途の川が完成したその先にあるなら・・俺は母さんの幸せを壊そうとしてるのか


母さんが求めている本当の幸せの形は分からないけどこれが自分の為で孤独や苦しみから解放されたいからやっている事なら・・・俺がやろうとしてるのは


母さんにまだ苦しめと孤独でいろと無責任に言う事だってのかよ!


そんな事出来ない・・・出来るはずがない!


だって・・・・


野口『今の君ならもしかすると・・一つしかない道に新たな道を創ってくれるかもしれない提督母を救うもう一つの道をね』


提督『っ!』


提督『俺はどうすれば良いんだ教えてくれ頼む!』


野口『それは私には分からない君自身が見つけるんだ。そうする為に此処まで来たんだろ?君は提督母の夢を希望を奪ってまで我を貫こうとしている』


提督『お、俺はそんな気はー』


野口『それとも今更そんな気はなかったとは言わないだろうな?』ギロッ!


提督『っ!』


野口の鋭い眼光はそれ以上言う事を許さなかった


野口『君が今を止めようとするなら代わりになる今を用意しなければいけない。君にはそれが出来ると思ったから私は提督母の命令を無視して君を先へ行かせようとしている』


提督『・・・・そんな事言われても俺は・・』


自分の夢だと言って始めた事は分かっている・・でも、それよりも他を優先して動こうとするのが母さんだ


だから、今回も自分の気持ちより他を選び他の人達の為に三途の川を造ろうと無茶をしていると思った


弱音なんて絶対に言わない


だからこそ限界を超えてしまい自分では戻れなくなる程になってしまったんだと思った


つまり暴走状態だ。自分を見失ってしまったんだ


だって、母さんが他を仲間達を利用して捨てていくなんて出来る人じゃなかったから・・・


きっと助けを求めてるんだ。母さんも心の奥では止めて欲しいと・・・


・・・・そう思っていた


でも、それは間違いだった・・母さんは自分の為にそれこそ周りが見えない程に他でもない自分の為に成そうとしていた


自分の幸せを掴むために


それを止める資格が俺にあるか?


他でもない俺に・・・・・


俺が母さんに望んでいた事じゃないのか?母さんには自分の為に動いて欲しいって思ってただろ!


それを止められる筈なんてない・・


止めたくない・・・・でも止めないと・・・母さんも他の人達や天使達全員が・・・


野口『さぁ、君はどうしたい』


どうしたいのかな・・俺は・・止めたいと思う気持ちもあるけど応援したい気持ちもある・・


俺がやってる事が正しいのかも分からなくなってきた・・


提督『でも一つだけ・・・分かる』


提督『結局俺は母さんの事を知ってるようで全く知らなかった・・・』


最初に野口に言われた通りだ・・・


きっと俺は自分自身の事も分かってないのだろう・・


提督『俺は向こうでもこっちでも困らせる事しかしてないな・・ははは』


母さんの役に立てた事があったのだろうか・・・息子の俺が何を出来た、何を与える事が出来た、何を残してやれた・・・


答えは出たのかもしれない


提督『親を困らせる事しか出来ない俺に母さんに会う資格なんてないよ・・』


野口『ふっ、若いな』


提督『笑うなら笑えよ・・結局は野口の言う通りになったんだからよ』


野口『私が笑ったのは君が間違った事を平然と言ってるからだ』


提督『え?』


野口『子が親を困らせるのは当たり前だ。それに応えてやり時に怒る、そうやって親と子は絆を深めていく。知らないなら知れば良い他でもない君の親だ遠慮はするな君にはその資格がある』


野口『自分がどうしたいのか、提督母の本心はどうなのか、知りたいなら行け資格がないとか言うなら私が君にその資格をいくらでもやろう』


野口『さぁ!行って困らせて来なさい!』


提督『野口・・・・・』


手に千円札を握らされた


野口から資格(千円札)を貰っても意味なんてないのに・・・ない筈なのに


野口『ふっ、困らせる程に愛おしい子はいないよ。それが子が出来る精一杯の親孝行だ。そこだけは間違ってはいけないのだよ』


提督『・・・・・・・・』ツー


会っても良いのかなって・・思えるんだ


資格(千円札)を握りポケットに入れた


野口『おっと、涙が出ているよ。さあ、この千円札で拭きなさい。いや、拭いてあげよう』ゴシゴシ


提督『・・・・・痛い』


目元に当てられた千円札は吸収性がないのか涙をあまり取ってはくれなかったし紙質が固くてくしゃくしゃして痛い


でも、何か勇気を貰った気がした


そうだよ。知らないなら聞けば良い。どうしたいかもその後に考えれば良い


母さんは迷惑だと思うかもしれない。嫌な顔をするかもしれない


でも、それでも俺は会おう


会ってちゃんと話そう


そして決める!


俺には・・俺だからこそ出来る事をやろう


だって俺は母さんの息子だから精一杯お節介も親孝行もさせてもらう


提督『俺はー』


野口『ふむ、中々涙が拭けませんね寧ろ広がってる?』ゴシゴシ


提督『・・・・・・』バシッ


野口『む?もう良いのか?』


まだ目元を千円札で拭いている野口の手を軽くはね除けた


そんなにゴシゴシやっても拭けないし痛いから


でも、ある意味で目は覚めた


落ちた千円札を拾いポケットへ入れた


これで三千円だ(歓喜)


野口『それで行くのか帰るのかどっちだ』


提督『野口・・いえ、野口さん俺は行きます。自分がどうしたいのかは分かりません・・でも』


提督『母さんの幸せを願っている事だけは分かります。今はそれだけでも充分です』


野口『ふっ、良い目をしている。さっきまでの死んだような目とは違う』


野口『さっきの話しは君を悩ませる為に言ったんじゃない、君には知って欲しかったのだ。提督母は一番に君の事を考えていたと言う事と君がしようとしている本当の意味を知って欲しかったのだ』


野口『終わった後に気付いてしまえば君はきっと大きな後悔をする事になった』


提督『はい、多分立ち直る事も出来なかったでしょう。もし、途中で気付いてしまえばそれこそ俺は終わりでした。野口さんありがとうございます』


提督『俺は最悪母さんの幸せを壊す・・・覚悟はしておきます』


そうなった時はせめて俺がずっと母さんの側にいよう


その時はごめんな・・


野口『もう言う事はない行くがいい!』


提督『はい!』


俺は歩き出した母さんの居る場所へと


もう迷わないぞ!


提督『・・・・・・・』


提督『で?何処?野口さーん!現場って何処だ!』ダッ


野口『ん?忘れ物か?ああ、これだな持って行け』


時雨『』ピクピク


提督『あ、時雨を忘れてた・・それもありますけど案内してくださいよ!』


野口『おっとそうだったな。では、時雨を抱えてその場に立て』


提督『こうですか?』


時雨を抱えてその場に立つ


時雨はまだ女の子がしてはいけない顔をしているのであまり見ないようにしよう


野口『はぁあああ!いでよ!《千の翼》よ!』ゴォオオオオ!


提督『っ!』ゾクッ


野口さんの背中に札束の翼が生えて札束がまたあたり一面に飛び回っている


野口『さぁ!行ってくるが良い!』


パサパサパサパサパサパサパサパサ


提督『っ!札束が身体を!』


札束が提督と時雨を包み込もうとしていた


抵抗すると札束が離れていくがすぐに寄ってくる


提督『野口さんこれは今は使えない筈じゃあ!』


野口『マッドサイエンティストである紳士に不可能はない!ゲージが回復したのだ!私を信じろ札束達に身を委ねるのだ。千円札は君の味方だ』


提督『野口さん・・分かりました信じます』


パサパサパサパサパサパサパサパサパ


身体が徐々に札束に包まれていく


でも、さっきの様に苦しくはなかった


気持ち良い・・・?


時雨『うぅ・・・提督?』


提督『ん?起きたか時雨』


時雨『うん、ごめんね。僕はどうなっーっ!』


パサパサパサパサパサパサパサパサ


提督『時雨さぁ行こう』キラッ


時雨『い、逝くの!なんでそんなに爽やかな顔してるの!なんでー!』


提督『大丈夫これはっーーーーー』


パサパサパサパサパサパサパサパサ


時雨『大丈夫そうに見えっ!ーーーーーー』


パサパサパサパサパサパサパサパサ


野口『さらばだ!強き者よ!《千のテレポーテーション》』


時雨『ーーーーーーーっ!!』


そして二人は札束に包まれ消えた


野口『・・・・・・』


野口『・・・・・・』パチンッ


もう目的を終えたこのビルは必要ない


指を鳴らすとビルは消えた


さっきまで此処にビルがあったのが嘘の様だった程に跡形もなく消えていた


あるのはこの世界では普通である花畑が無限大に広がった道だった


野口『ん?』


夕立『むにゅ〜〜』


どうやら提督の仲間の様だ。こいつも提督達の所へ連れて行ってやらないといけないが・・


野口『ふむ・・・力を使い過ぎてしまったしどうするかな?』


今の野口は《千の翼》を使う事が出来ない程に力を使ってしまった


故に派生技である《千のテレポーテーション》は出来ない


しかし、派生技でない《千のテレポーテーション(手作業)》であるなら使える力は残っている


しかし、それも全身を千円札で包まないと発動出来ない


野口『仕方ない貼るかな?』千円札


倒れている提督の仲間に千円札を貼り付ける


ペタペタペタペタ


夕立『うぅ・・・』パシッパシッ


ヒラヒラヒラヒラ


しかし、眠っているのにも関わらずはたき落とされる


野口『仕方ないのりを使おう許せ千円札達よ』ヌリヌリ


ペタペタペタペタペタペタペタペタ


夕立『うぅ・・、っ!誰っぽっ!ーーーー』ビクッ


野口『っ!』ペタッ!


起きてしまったか・・説明をするのも面倒くさいこのままやってしまおう


最初に煩い口を千円札で塞いだ


野口『少し大人しくしてくれないかな?』


夕立『ーーーっ!(なんて力!いくら弱ってるって言っても!人間相手に全く抵抗出来ないなんて!ありえないっぽい!)』ジタバタジタバタ


野口『全身を包まないといけないがいくら掛かるかな?ふふふ、楽しみだ君が私色に染まるのにいくら掛かるのかがね』ニヤリ


夕立『っ!!(お、犯されるっぽい!)』ビクビク


夕立『(提督助けて!)』ウルウル


その無限大に広がる花畑から一人の悲鳴が聞こえそれはすぐに聞こえなくなったのだった


しかし、その咲いてる花から一つだけ恐怖に怯える手が見えたのは気の所為だ。そう、気の所為だ


野口『ふふふふ、これは良い!』ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタ


それから全身千円札に包まれたミノムシの様な物が出来上がったと言う


野口『素晴らしい!このままずっと飾っていたい!』


千円札のミノムシ『・・・・・(なにこれ?)』


オヒィスビル《バベル》を突破した


三途の川ウォーズ(後半)【長き道の先に】


ー三途の川工事現場入り口ー


千円札達『』パサパサパサパサパサパサ


提督『ありがとな〜』


時雨『』ぶくぶく


時雨が泡を吹いて気絶している


提督『おーい、時雨〜行くぞ?』


時雨『』ピクピク


返事がない。身体はピクピクしてるけど返事ではないと思う


余程怖かったのだろう


このまま起きるまで待つ時間はない


だからと言っておぶって行くのも何があるか分からないこの場所では危険だ


周りを見る感じでは人や天使がいる様には見えない


だけどシャベルやスコップそれにツルハシなどはそこら中に置いてある


花も刈られているし現実世界での工事現場と変わらない


強いて言うなら重機類がない事くらいかな?


母さんには重機類を創造する事は出来なかったのだろう


母さんが創り出せるのはあくまで自分のよく知っている物に限る。人にしても物にしても強く想わないと創りだせない


母さんは工事関係には全く縁がなかった


だから工事に使う様な重機を母さんはよく知らない故に創造しても創りだせない


今も一人手作業でやっている筈だ


急がないと


きっと母さんはこの奥にいる筈だ


提督『時雨起きてくれ時雨』ユサユサ


先程までは泡を吹いていたが今は寝息を立てて眠っているようだ


度胸があるのかないのか分からないな


提督『おーい、時雨〜』ペチペチ


頬を軽く叩いてみる


時雨『うぅ・・・』パシッ


手を叩かれた。睡眠の邪魔をするなという事だろう


提督『時雨さーん朝ですよ起きろて〜』


耳元で囁いてみる


時雨『うぅ・・うるさい!』バシッ


時雨の容赦ないビンタが頬に当たる


提督『うむ・・起きないか・・』ヒリヒリ


このまま此処で時間を食うわけにはいかない


だけど時雨を此処に置いて行くのもどうかと思うが・・・


提督『う〜〜ん・・・ん?』


あれは・・・


少し先に看板が置いてあった。それには工事中につきご迷惑をおかけしますと書かれていた


誰に対しての看板だ?てか、此処に必要か?


しかもそこら中に看板があるな種類も工事中だけと書かれた物や迂回しろと書かれた物から種類が多い


提督『こんなにあるんだな』


ご迷惑をおかけしますの看板に描かれている作業者が頭を下げているイラストが心なしか俺に似ている様な気がするが気の所為だろう


中には女の子バージョンのイラストも混じっていた同じ様に申し訳なさそうに頭を下げている黒髪のストレートロングの巫女服が似合う娘や綺麗な緑色のストレートの髪で学校の制服を着た娘と多数あるがピンクのツインテールの娘だけは謝る気のないドヤ顔だ


中には野口さんそっくりなのもあった


千円札が散らばってる背景絵付きだ


でも、どれも縦長の長方形で倒せば人一人横になれそうだ


そしてそのすぐ近くに青色のビニールシートが置いてある


提督『・・・・・・・・』


確認だ。周りに人や天使は居ない


それは気配からしても感じないし確実だ


そして俺は急いでいる


時雨は眠っていて起きない。だからと言っておぶって行くのはいざという時に危険だ


この先は何があるか分からない。もしかしたら敵の待ち伏せもあり得るが此処は安全だと言える


でもこのまま置いて行くのは駄目だ


せめて隠す必要がある


ビニールシートに縦長の長方形の看板・・・


提督『閃いた!』


まずは、シャベルを拾い看板と同じくらいの大きさの穴を掘る


提督『えっほえっほ!』ザクッザクッ


深さは時雨が隠れるくらいの深さより少し深めに


次にピンクツインテールのドヤ顔プギャーの娘の看板を蹴り倒す(特に意味はない)


なんかイラっときた


適当な看板を選び(折角なので蹴ったのを)掘った穴にはめる。これはベッド代わりだ


そしてそこにビニールシートを敷く。これはシーツ代わりだ


時雨を上に寝かせる


この時点で時雨は丁度地面に隠れている状態だ。下にビニールシートを敷いてるから看板の硬さも多少は緩和されるだろう


提督『お休み時雨』ファサ


更にその上にビニールシートを被せる。これは布団代わりだ


こうする事により周りから見たらただのビニールシートの敷かれた地面だ。時雨は綺麗に隠れている


最後に周りの看板(迂回しろや通行止め関係)を時雨が眠っている周りに置いて出来上がりだ


こうする事で万が一敵が通っても看板通りに通行止めという事で迂回してくれるだろうから近寄る事もない


心なしか自分がしたのは土葬では?と思ったが埋めたわけではないのでセーフだ。地面に穴掘ってビニールシートで隠しただけだ


手を合わせて見つからない様にと合掌した


きっと時雨なら許してくれる


提督『・・・・・・・』


提督『よし!』


やはり此処からは俺一人で行くのが正解だ


だって俺が会うのは母さんだから・・


母親に会うのに付き添いなんていらない


ある意味ではこれで良かったのかもしれない


敵が待ち構えていたらその時はその時考えよう


提督『行ってくるよ時雨』


時雨が眠っているビニールシートの敷かれた看板が不自然にたくさん並べられた場所を横目に見て提督は先へと進んだ


ビニールシート『』


ビニールシート『』ビリッ


時雨『・・・・・・』ヒョコ


それから少し進むがずっと道具類や看板がまばらに置かれ土で補装された凸凹の道が続く


作業速度第一、安全二の次と書かれた看板があったので蹴り倒しておいた


積まれた土がそこら中にある。掘り作業は進められている様だ


前の様に掘っても少ししたら穴が消えたりはしない様になっている


多分この戦争により天使達は場を管理するどころではなくなったのだろう


そして大半を俺達が倒してしまった


もう管理をする天使達がいなくなってしまったのだろう


復活してもこの状態になると取り返すのは難しい


それどころか天使達も管理どころではないだろう


天国に大量の人が一気に流れ込んだんだからその対応で精一杯だろう


地獄の悪魔達も巻き込まれて尻拭いをさせられサービス残業地獄になるだろう


これも俺達が人間達を大量に天国へ送ってしまったからだ


もう此処は無法地帯となり母さんの好きに出来てしまっている実質制圧は成功してしまった


人間側の勝利だ


俺は知らずに母さんの手助けをしていたのか・・しかも特攻隊長レベルの


提督『・・・・・・・』


馬鹿だな俺は・・・今更か


もう勝敗を気にしても仕方ない


立ち止まってる時間はないぞ俺!


提督『母さん何処だよ・・・・』


それにしても長い・・まだ先がずっと続いている


終わりが見えない


この凸凹道は長く歩いていると足を痛めそうだ。もっと歩きやすく補装して欲しかったな


まぁ、道が分かりやすいだけでも良いか


だが、いくら進んでも肝心の掘った穴はないし母さんも見つからない


土の山はたくさんあるのに・・・・


まだ先なのか?本当にこの先に居るのか?


野口さんを信じて良いのか?


貰った千円札を取り出し呟く


その呟きに反応するかのように風が吹き千円札が手から離れる


提督『あ、待て!』


それを追いかけるが中々追いつけない


そして追いかける事数十分・・・やっと千円札は地面に落ちた


かなりの距離を走ったと思う


提督『ふぅ、危うく全財産の三分の一をなくすところだった・・ん?』


すぐ目の前には看板があった


それは周りの看板とは違い人が穴を掘っている絵が描かれている


10㎞先工事中という看板が置いてあった


ご丁寧に上に黄色いランプで点滅させて嫌でも目に入る様にしている


因みにこの穴を掘っている人の絵は・・・多分クッキーをくれた娘だと思う


セーラー服に黒髪セミショートの娘が必死にスコップで穴を掘っている絵だ。潮干狩りをしている様にも見えるけどあの娘だろう


全てが母さんと関係のある人達なんだ


やはり此処にあるのは全て母さんが創り出したんだな・・こんなに・・


提督『無茶しやがって・・』


あと10㎞だ。急ごう


長いな・・・・


少し準備運動をしてから地面を蹴って走り出した


全速力で


提督『うわぁ!』


転けた痛かった


立ち上がりただ無心に10㎞走りきった


勿論走りきっても誰もゴールテープを持っていたり歌を歌っていたりはしなかった


当たり前だが


そして・・・・・・


提督『はぁ・・はぁ・・まじかよ』


遂に目的の場所へ着いた


そこにあったのは穴と呼べるものではなく


まだ完成はしていないがコンクリートで一部は覆われているとんでもなく大きなダムだった


向こう側が見えない程の大きさで底も見えない


現実世界では見られるか分からない程大きい


川を造るにはまず水を溜めるダムや池が必要だ


その後に川となる溝を掘る


三途の川と言うとんでもなく大きな川を造るならとんでもなく大きな池かダムが必要になる


この大きさなら申し分ないだろう・・多分


造るなら避けられない作業・・簡単に出来るものではない


川となる溝よりも深く掘らないといけない危険もたくさんある


それは分かっていると思うけどまさか本当に此処までやるとは・・・・成し遂げてしまうなんて


もう遊びとか思いつきとかでは出来ないレベルだって分かる


本当の本当に本気なんだね母さん・・・


提督『止めろなんて言えないな・・』


俺の中でどうするかが大方決まった


提督『母さんを探そう・・まだダムは完成していないって事はきっと近くに居るはずだ』


きっとまだ川となる溝掘りは始まってない


ダムの底は見えない


でも、きっと底にいる


提督『下に行こう』


近くにロープだけでぶら下がっている昇降機があった


一人が乗りもう一人がハンドルをクルクル回して降ろしていく原始的な電気を必要としない昇降機でしかも木で出来ている


途中でハンドルを離せば落下するし木なので折れるかもしれないし揺れて落ちたりロープが切れたりとかなり危険な昇降機だ


周りはコンクリートとか使ってるのに何故これは木なのか何故此処だけ原始的にしたのか絶対におかしい


これが看板に書いてあった作業速度第一、安全二の次と言うクソふざけたスローガンの結果なのか・・


とりあえず造った奴は会ったら躊躇なく天国へ送ってやる


この昇降機で


まぁ、もう逝ってるだろうけど


昇降機『やったるで〜』ボロボロ


提督『・・・・・ゴクリ』


怖いけど躊躇ってる暇はない


提督『の、乗るぞ、大丈夫だから大丈夫だ絶対に落ちないから』


そう自分に言い聞かせて乗った


昇降機『あ〜〜』バキバキ


かなり揺れるしなんかバキバキ言ってる


折れないよね?大丈夫なんだよね?


バランスをとりながらどうにか手すりを持ち下降体勢をとる


提督『ふぅ・・・よ、よし、良いぞ降ろしてくれ』


提督『・・・・・・・』


あれ?


提督『・・・・・』


動かない?


提督『・・・』


どうして?


提督『あ、そっか』


昇降機は降りない


あたり前だ。もう一人がハンドルを向こうでクルクルする人がいない


時雨を連れて来るべきだった・・


別の方法を考えるか


提督『ん?』


昇降機『も、もう限界や』ブチブチ


提督『あ、ロープが千切れる・・って!やば!降りなー』


ブチッ!


昇降機を支えているロープが千切れて昇降機と一緒に提督は落下した


提督『ああああああーー!』


どのくらいの深さかは分からないけど一つ分かる事はある


このまま落ち続けたら本当の意味で死ぬ!


提督『ぎゃぁあああ!助けてぇええ!時雨!』


来る筈のないビニールシートで埋めて来た時雨の名を呼んだ


すると


ダッダッダッダッダッダッダッダッ


時雨『っ!』ダッダッダッダッ


提督『っ!』


壁を全力疾走して降りて来る土で汚れた時雨がいた


坂なら分かるけど・・垂直の壁なんですけど!なんで足を付けて走れているのか色々ツッコミどころはあるが


提督『時雨!助けに来てくれたんだな!』


時雨『っ!!』グットラック


ダッダッダッダッダッダッダッダッ


グットラックとハンドサインをしてそのまま落下する俺を追い越して下へ降りて行った


提督『え?ちょっと!』


グットラックのハンドサインが意味するのは・・確か別れの挨拶だった様な


え?ビニールシートで埋めた事に怒ってるとか?


いやいや、だからって見殺しにするなんて!


提督『時雨!謝るから!いくらでも土下座するから助けてぇええ!』


地面が見えて来た


落下地点には時雨が両手を広げて俺をキャッチしようと待ち構えていた


時雨・・・信じてたぞ


時雨『提督!』


提督『時雨!』


俺はかなりの速度と重力を携えて両手を広げて待つ時雨へと飛び込んだ


ドシーーーン!!


時雨『あ』ズボッ!


提督『いてて・・俺生きてる?』


周りを見渡す。天国ではない薄暗いダムの底だ


底だけど土は柔らかい。前に掘った事があるがいくら掘っても土は柔らかいままだった


多分余計な物が入っていないからなのだろうな。これならスコップでも掘れる


提督『時雨!おーい!時雨!』


時雨の姿が見えない


確かに居たはずなのだが居なくなっていた


確かにキャッチされた感触はあった地面に激突してないのが証拠だ


なのに時雨がいない


提督『ん?』


足元に手の様な物が二本地面から生えている


提督『これは・・・もしかして』


確か聞いた事があるぞ手の様な形をしたキノコがあるとマメザヤタケと言ったかな?


多分そんな名前だったと思う見た事はないけど


でも、こんなに綺麗なんだな色も見た目も不気味だと聞いたが


死者の指とかゾンビの手とか呼ばれてるらしいがそうは見えない


提督『うむ・・初めて見たけど本当に人の手みたいだ』


てか、生きてる人の手にしか見えない。血色の良い綺麗な手だ


親近感を感じるし良いキノコなんだな


時雨と同じくらいかな?


提督『時雨いないのか?時雨!面白いキノコが生えてるぞ!』


マメザヤタケ?『』ピクッ


返事はないか・・地面に生えたマメザヤタケが少し動いた様な気がしたが気の所為だろう


提督『時雨ーーー!』


マメザヤタケ?『』ピクッピクッ


いないのか?


やはり時雨は幻覚だったのか?考えてみればあの距離を一気に来れる筈もないし垂直の壁を走るなんて普通は出来ない


どう助かったのかは分からないけど此処は普通じゃない場所だ考えても仕方ない


だからダムの底にキノコが生えていてもおかしくはない


そう、おかしくないんだ


もしかしたら俺の強い想いが一瞬だけでも時雨を具現化させたのかもしれないな


言わば幻想時雨だ。しかも垂直の壁を走る足裏に強力な掃除機でも付いてるんじゃないかって言うレベルの


だから一応


提督『ありがとな時雨』


幻想ダ◯ソン時雨にお礼を言っておこう


提督『さて、母さんは何処かな?』


帰りの心配とかは後だ先へ進もう


もうすぐだ・・もうすぐ会える


母さん!


マメザヤタケ?『』ピクッピクッピクッ


マメザヤタケ?『っ!!』ズボッ!


マメザヤタケ?→時雨『ぶはっ!死ぬかと思った。まさかまた埋まってしまうなんてそろそろ土に還っちゃうよ?って冗談はこれくらいで提督無事かい?』地面から顔出し


時雨『提督?おーい提督』


シーーーーン


時雨『あれ?提督?何処にいるの?あれ?出られないよ。うんしょうんしょ、提督いるなら手伝ってくれないかな?一人じゃ出られそうもなくて、提督?聞いてる?ねぇ』


シーーーーーーーン


時雨『あれ?本当にいない?嘘・・嘘だよね?』


時雨『っ!ふぬぬぬ!提督!冗談はやめて返事してよ!姿を見せてよ!助けてよーー!』


時雨『ポケットにクッキーあったの黙ってたから怒ってるの?それとも最初のクッキーで僕が二個多く食べた事を怒ってるの!謝るから土下座するから!この状態じゃ出来ないけどするから!』


時雨『出てきてよ!土の中ジメジメドロドロして気持ち悪いよ!』


地面から顔と手だけが出ている時雨の声はもう提督には聞こえなかった


聞こえる距離に提督はもういなかったのだ(現在全力疾走中)


時雨『・・・・・提督』


時雨『グスッ・・また一人になるのかな・・このまま日も当たらない薄暗い地面で一生を・・・』


???『そんな事はないぞ!』


時雨『っ!誰なの?何処から声が!聞いた事ある様な声だけど』


千の神『私は千の神だ。会うのは初めてだ。姿を見せないのは許して欲しい』


時雨『そ、そうなの?でもなんか聞いた事が・・まぁ良いや、それより千の神でもなんでも良いから助けてよ』


千の神『ふっ、必要ないだろう君は一人じゃない仲間を頼りなさい』


時雨『仲間?でも・・夕立も提督も・・』


千の神『二人を信じて待つのだ。一人は全てを終わらせてくれるだろう。もう一人はきっと君を助けてくれる』


時雨『本当?信じて良いの?』


千の神『他でもない君の仲間だ。信じるのだ・・・信じるのだ・・』


妙にエコーの掛かった声に時雨は不思議と信じる気になった


いや、元から信じてはいたがその気持ちが更に強くなった


時雨『うん、僕は二人を信じるよ!信じて待つよ!』


その瞬間何もない空間から千円札が大量に飛び出した


時雨『ひゃぁあああ!千円札怖い!嫌ぁああ!!』


千の神『千の力よ!その偉大なる力で迷いし少女を助けたまえ!』


千円札が更に増える


時雨『いやいやいやいや!増えないで!』


千の神『さぁ!力は溜まった!感動の再会と行こうじゃないか!友の素晴らしい新たな姿を見て惚れ惚れするが良い!さらばだ強き者達よ!』


千の神『《千のテレポート》』


そしてその千円札が一箇所に集まり何かを落とした


ボトッ


???『痛いっぽい!』


そしてその大量の千円札は何もない空間から消えた


残ったのは落とされた何かだった


大量の千円札に包まれたミノムシのような物だ。ほのかにのりの香りがする


千円札のミノムシ『・・・・・』


時雨『な、なに?』


千円札のミノムシ『ぽい!ぽい!』くねくね


時雨『ひゃぁあああ!なにこれ!近寄らないでぇええ!』


その後それが夕立だと気付くのに少し時間が掛かったのだった


ちなみに地面脱出は夕立ローリング方を使用しました(夕立に近くまで転がって来てもらう→夕立を掴む→前に転がってもらう→時雨が穴から抜ける)


野口『ふっ、世話を掛けさせる。提督、貸しだからな?』


不敵に笑う野口はその場を静かに去ったのだった


三途の川ウォーズ(後半)【母と子】


地面を掘っている音がする


誰かの歩く音がする


シャベルを持って歩く女性がいた


提督『母さん・・・・』


提督母『はぁはぁ・・まだまだ』


辛そうな顔をしている顔色も良くない


歩いてるだけでも倒れてしまいそうだった


確実に無理をしているのが分かる


そんな母さんの姿を見るだけで辛くて目を背けたくなった


提督『っ!』


甘えた事言ってんじゃねえぞ!此処まで来たら覚悟を決めろ!


夕立が時雨が野口さんがあの娘達が繋げてくれたチャンスじゃないか!


提督『母さん!』


ガシッ


提督母『誰?手を離してくれる?邪魔をしないーっ!』


提督『もうやめてくれ母さん!』


提督母『提督・・どうして此処に帰ったんじゃ』


提督『帰れるかよ!母さん何やってんだよ!どうしてこんな事になってんだよ!』


提督母『・・・・・・・』


提督『他の人や天使達まで巻き込んで何やってんだって聞いてんだ!』


提督母『・・・・・・・』


提督『いや、もうそんなのはもうどうでも良い。人だろうが天使だろうが悪魔だろうが誰にでも迷惑でもなんでも掛ければ良い』


提督『でもな・・なんでそんなにボロボロになってまでまだやろうとしてんだよ。見てて辛いんだよ・・母さんの辛そうな顔は・・もう見たくないんだよ!』


提督母『じゃあ・・見なければ・・』


提督『屁理屈言うな!もう・・見て見ぬふりはしたくないんだよ!』


あの時と同じ様に見たくないから・・逃げるなんてもう絶対にしない!


絶対に来るはずのなかった次が来たんだ


目は背けない!


提督『止めてくれ・・それが無理ならせめて休んでくれよ母さん』


もう、俺の中で止めさせる考えはなかった


いや、あるにはあるがそれは最終手段にしたのだ


せめて無理をしないなら・・・これが母さんの心からのやりたい事なら応援する


人だって待っていれば増える。また同士を増やして無理ない計画を立てる事を約束させる


母さんは約束をしたら必ず守る人だから約束さえさせれば俺は安心して現実世界へ戻れる


でも、もしそれが無理なら・・・・


提督母『提督・・・・』


提督母『気持ちは嬉しい・・私の身体を労わってくれる人なんて居なかったから・・凄く嬉しい』


労わってくれる人が居なかった・・・それは俺もその中に入っていたのだろうな


疲れ知らずだと勝手に決め付けて


本当は誰よりも寂しがりで弱音だって吐きたかった筈だ


提督母『でもね・・母さんは休むわけにはいかないのごめんね』


提督『なんでだよ・・一人じゃ何年掛かっても出来ないだろうが!』


提督母『それでもやればいつかは終わりが来る。やらずに文句ばっかり言ってても終わりは来ない』


提督『じゃあ!その終わりが来るまで!三途の川が完成するまで休まないのかよ!』


提督母『・・・・・・・』


提督『いや・・・母さんの目的は三途の川の完成じゃない。その先にあるんだよな』


提督母『っ!野口ね・・余計な事を・・』


提督『なぁ、母さんは三途の川の先に何を得ようとしてるんだ』


提督母『聞いてないの?』


提督『聞いてない。野口さんは母さんに直接聞けって』


提督母『良い性格してる仕返しのつもり?・・まぁ、私がそう創ったんだから仕方ないけど・・本当私好み』


提督母『あ、でもそう言う意味の好みじゃないから勘違いはしないでよ。私が愛してるのは・・きゃは♡』


提督『・・・・・・・』イラッ


提督母『そんな怖い顔で睨まないでよ・・その顔はヤクザも漏らすレベルよ』


別にそんな自覚はないけど露骨に話しを逸らそうとした母さんに少しイラッときていたと思う


後、歳を考えろ


提督『母さん教えてくれ休めないならせめてそこまでしてやろうとする理由を教えてくれ。じゃないと俺は納得出来ないこのまま帰る事なんて出来ない!』


提督母『・・・・・・・』


提督『母さん!』


提督母『ダメよ・・聞いたら絶対に提督は文句言う・・絶対に止めようとする・・そして・・あの人の事を・・そしたら私は・・・』


提督『母さん?大丈夫なのか?顔色がさっきよりも悪く・・』


提督母『大丈夫よ・・とにかく教えられない帰りなさい』


提督『どうしてもか?』


提督母『どうしてもよ』


提督『頭下げるぞ?床に擦り付けてスリスリするぞ』


提督母『本当・・そう言うところ似てる』ボソッ


提督『え?』


提督母『地位と髪のない頭は下げても意味ないのよ。提督は髪がないから無理よ』


提督『なっ・・・・た、頼む』


提督母『ダメよ諦めなさい。大人しく帰りなさい待ってる人が居るでしょ?』


妙に頑固なところはまだ健在か・・良いだろう


なら、我慢比べだ!俺の時間はあんまり残ってない・・俺が死ぬのが早いか母さんが話してくれるのが早いか


もう少し耐えてくれ夕立、そして現実世界の提督


俺も退かない!


提督『嫌だ帰らない』


提督母『帰りなさい』


提督『い、や、だ!』


提督母『か、え、れ!』


提督『嫌だって言ってんだろうが!』


提督母『いい加減にしなさい!遊びじゃないんだから!』


提督『俺は本気だ!本気で母さんの事を知りたいんだ。もう!母さんらしくないなんてアホな理由で目を背けたり逃げたりはしないから!どんな母さんも受け入れるから!』


提督母『っ!・・・い、言うのが遅いのよ・・バカ』


提督『分かってる・・今言っても遅いって事も・・』


分かってんだ今言っても遅いなんて・・でも、言いたかったんだ


母さんの為でもない自分の為に


提督母『提督、貴方は此処に居てはいけないの早くしないと本当に死ぬわよ』


提督『だったら教えてくれそして約束してくれよ無理ない計画をするってそうすれば帰る。そうじゃなきゃ帰らないからな』


提督『このままだったら俺は後少しで・・・死ぬぞ』


提督母『自分を人質にでもしてるつもりなの?聞き間違いよね?そうなのよね?』


提督『違うよ本気だよ。言わないと死ぬからな!覚悟はしてるから!』


提督母『っ・・・・・・・』


提督『・・・・・・・・』


此処でどうでも良い言われたら終わりだ


その瞬間打つ手がなくなり俺は最終手段をするしかなくなる


頼む、少しでも俺の為を思うなら


提督『母さん・・・頼む』


提督母『・・・・・・・』


その沈黙は凄く長く感じた


母さんは俺に背を向けて俯いてしまった


怒ってるのかそれとも喜んでいるのかも分からない


不安や緊張で汗が止まらない


ある意味では此処に来てから人間と天使達を相手にしている時より恐怖を感じた


そんな長い時間は母さんがシャベルを捨てて俺へと向き合った事で動きだした


提督母『っ!』


バチンッ!


提督『っ・・・』ヒリヒリ


頬を叩かれた母さんの目には涙が溜まっており今にでも溢れ出しそうだった


提督『母さん・・・・』


提督母『うっさいバカ!』バチンッ


提督母『このアホ!』バチンッ・


提督母『そんな子に育てた覚えなんてないのに!』バチンッ・・


提督母『どうして!どうして!』バチンッ


提督母『どうして!こんな奴に命なんて掛けるのよ!』バチンッ・・・


提督母『どうして私を母さんと呼ぶのよ!』バチンッ・・・・


提督母『私は貴方に嫌われなきゃいけないのよ!私の為にそんな事しないでよ・・・・』ポロポロ


痛いのは最初だけだった


何度も頬を叩かれたけど二発目からは威力が半減していき最後のは触っているだけに等しかった


野口さんの時のお札ビンタに比べればなんともない


筈なのに・・・


胸が締め付けられるように凄く痛い・・


そして最後の言葉の意味を聞く為の口を開く事も出来ず


唯一出来たのはその場に座り込む事だった


いや、何も出来ないの間違いだな


それを見た母さんは逃げる様にシャベルを持ち辺りをうろうろして穴を掘り始めた


それを俺はただ見ていただけだった


何度も何度も叩かれた頬を撫でながら


溢れ出そうだった涙は最後には溢れ出ていた


その涙を拭いてやる事すら出来なかった


提督『はぁ・・痛いな』


やっと出せた言葉は溜息と共にだった


まるで今まで息を止めていたかの様な大きな溜息だった


もう最終手段を実行するしかない


このままにしていても母さんは遅かれ早かれ時期に天国へと行ってしまう


過労で・・・・


そうなった時母さんは絶望してしまう


自分の所為でこうなったんじゃなくて他の所為でこうなったとなれば・・きっと長い時間をかけるけど立ち直ってくれる


だから俺が他の所為になれば良い・・俺が恨まれるなら・・


怖いけど・・嫌だけど・・・


提督『・・・・・・』


でも、まだ動く気にはなれなかった


もう少しだけこのまま母さんを見ていよう


こうして見てるのも嫌いじゃないから


そう言い訳をしてさっきから止まらない震えを止めようと必死に押さえていた


いつの間にかうずくまっていた


提督『大丈夫・・大丈夫だから・・大丈夫落ち着け・・何度もやっただろ・・大丈夫なんだ大丈夫だ!』


でも、止めようとすれば震えは強くなるばかりだった


震えが止まり落ち着いてきたのは母さんが来て声を掛けてくれた時だった


提督母『立ちなさい』


その言葉に対して


立てないと返した。身体に力が入らないからだ


そんな産まれたての子鹿以下の俺を母さんは面倒くさそうな顔をしつつも優しく手を取り立たせてくれた


それが泣きそうな程嬉しかった


そのまま黙って手を引かれて何処かへ連れて行かれようとしていた


俺はそれを抵抗もせずに付いて行った


母さんの手の感触がずっとシャベルを持っていた所為かお世辞にも柔らかいとかサラサラスベスベしてるとかは言えないけど母さんに手を引いて歩いてもらってると言う事が俺には嬉しくて懐かしくて


昔を思い出せて・・でも、それが悲しくもあった


このまま此処に居ても良いかなって思ってしまう


いや、居たいな・・母さんの側に


提督『母さん・・俺は』


提督母『・・・・・・』ピコピコ


提督『っ!』


でも、その思いは母さんのアホ毛を見た事で正気に戻ったと言っても良いかもしれない


危ないもう少しで受け入れてしまうところだった


母さんのアホ毛がピコピコしてる


この光景(アホ毛ピコピコ)を前にも見た事がある様な気がした


俺の勘が危険だと警告を発している


だが、このおかげで踏み止まれたのも事実


アホ毛に感謝をして母さんに繋がれた手を離そうとした時


提督母『どうしても知りたい?』


提督『え?』


母さんが口を開いた


でも、足は止めずにそのまま歩き続けていた


手を離すタイミングが掴めずそのまま付いて行く


提督母『後悔しない?私・・酷い事を言うかもしれない。いえ、言うわ』


提督『母さん?どうしたんだいきなり』


提督母『聞きたいの聞きたくないのどっちなの?』


提督『それは・・聞きたいよ』


提督母『後悔しない?』


提督『真実なんだよね?嘘じゃないんだよね?』


提督母『私が嘘は大っ嫌いだって知ってるでしょ?約束を守れない人はもっと嫌いだけど』


提督『なら、それがどんな事だろうと俺に関係ある事なら受け入れる。話してくれ』


提督母『そう、強い子ね・・本当にかっこよくなっちゃって・・でも・・』


提督母『許さないで絶対に・・』ボソッ


提督母『まずははっきりさせておくわね。私はね貴方の事が大っ嫌いなのよ。ううん、そんなものじゃないわ貴方が憎い憎くて仕方なかった・・』


提督『っ・・そうなんだ・・ごめん』


提督母『・・・・・・・』


提督『続きをお願い』


提督母『落ち着いてるのね。どうでも良かったの?』


提督『ううん、凄くショックだよ。でも嫌われても仕方ない事をしたから・・・そうかもしれないってのはあった』


提督『だって、母さんを一人にして助けようともしなかった・・俺は自分の事ばかり考えていたし・・露骨に避けた事もあったし迷惑もたくさんかけた嫌われてもー』


提督母『それは違うのよ提督』


提督『違う事なんてあるかよ!俺は悪いと分かってたのに・・・違うってなんだよ・・』


提督『まさか・・まだあるのか?なら、全部言ってくれ』


提督母『全部違うのよ。提督が思ってる事全部ね。良い?そんなの親なら可愛いものよ。反抗期かな?って思うくらいで憎んだりなんかしない。子は迷惑かけてなんぼなんだから』


提督母『一人だと思われたのも私の所為であって提督の所為じゃない。寧ろ私が謝らないといけない事なんだからね?それだけは間違えないで』


提督『じゃあ・・何時なんだよ何時から俺は母さんに恨まれて』


提督母『提督が産まれた時からよ』


頭を鈍器で思いっきり叩かれた様な衝撃を受けた


提督『そんな・・・嘘だよね?だったら俺は』


提督母『提督なんか産まれなかったら良かったって何時も思ってた・・』


生きる意味をなくして誰からも必要とされなかった自分が唯一拠り所にしていた母さんが・・


母さんだけは俺を生きてても良いと産まれてきて良かったんだと心から思ってくれてると思っていた


そう思えたからどうにか此処まで生きて来られた


でも、そうじゃなかった・・・・


俺は・・・


提督『俺は誰からも望まれない存在だったのかよ・・そうだったのか・・はは・・・』


提督母『・・・・・・・』


提督『そうか・・・ははは、いや、凄いよ・・騙されたよ俳優になれば良かったんじゃないか?はは・・』


提督母『そうね・・・貴方がいなかったらそんな道もあったかもね・・』


提督『っ!』


提督『ち、小さい頃・・貴方だけは何があっても守ってあげるって言ってくれたのも・・・母の日に似顔絵をプレゼントした時のあの涙も!勝手にキッチンで火を使った時危ないって本気で怒ってくれたのも!』


提督『死ぬ間際に言った大好きって言葉も全部全部!嘘だったのかよ!!』


提督母『・・・・・・・・』


無言が意味するのは肯定・・


つまりそう言う事だ


繋いだ手を強引に離そうとするが離れない


提督『離せよ!』


提督母『来なさい。そうじゃないと話さないから』


提督『っ・・なんなんだよ!』


提督母『手を離さないで貴方の為なんだから』


為って今更・・言われても嬉しくないんだよ!


提督『そうかよ・・そうかよ!なら!なんで育てたんだよ!憎いなら!殺せば良かったじゃないか!なんで生かしたんだよ!』


提督母『約束だからよ』


提督『ふざけんじゃねえぞ!俺が生かされていた理由が約束だって?俺の価値ってのはそれだけなのかよ!!』


提督母『・・・・・・』


また無言かよ!


提督『・・・・俺はなんでこんな事してんだろうな』


唯一の家族であった母さんを助ける為に来たのに・・母さんは家族と思ってくれていなかったのかよ


俺には家族はいなかったんだ・・誰も


提督『俺を愛してくれる人はいなかったんだな・・』


寧ろみんなから嫌われていた


分かってた事だ・・覚悟していた事だ


今はおんぼろ鎮守府のみんながいる


でも、それでも・・・俺が今まで生きて来た居場所が嘘だったって・・


そんな現実をすぐに受け入れるなんて無理だ


だって血の繋がりはないかもしれないけど・・俺にとっての母親だったんだ


先生とかの他人じゃない・・・・簡単に諦めるなんて出来るかよ!


提督『・・・・・・・』


提督母『・・・・・・』


提督母『提督』


提督『・・・・・・』


提督母『提督!』


提督『・・・・・・・・なんだよ』


提督母『貴方は悪くないのよ。悪いのは私だから』


提督『・・・・・・・そうかよ』


提督母『大きな勘違いがあるから言うね?貴方が産まれて喜んでそして愛してくれた人はたくさんいたのよ』


提督『・・・・・・』


提督母『鎮守府のみんなや貴方の生みの親も・・・提督父もよ』


提督『嘘つくんじゃねえよ!父さんがあいつが俺を愛してたって言うのかよ!あんな母さんを捨てたクソ野郎が』


提督母『提督、それ以上言ったら本気で怒るよ』


提督『っ・・・なんであんな奴を・・分からない!なんで!』


提督母『あの人はね・・・・ううん、私からは言えない』


提督『それも約束かよ』


提督母『そうよ』


提督『約束って便利な言葉だな!そう言えば誤魔化せるんだからな!』


提督『もう良いよ!もう理由も何もかもどうでも良い!こんな所さっさと出て行ってやるよ!それが狙いだったんだろ?凄いよ!流石母さんだよ!』


提督母『提督・・私がね三途の川を造ろうとしてるのはね』


提督『もう良い!話す気が最初からなかったんだろうが!お望み通り消えてやるから手を離ー』


提督母『聞きなさい!何の為に此処まで・・辛い思いをして話したと思ってるの!』


提督『辛いってなんだよ!俺といるのが辛いならすぐに離れてやるって行ってんだろうが!手を離せ!』


提督母『っ!違ーーっ、今更こんなこと言うのもおかしいけど信じて!私は握力には自信あるからね!離さないからね!』


提督『ぐぅう!ゴリラかよ!もう!俺は何を信じればいいんだよ!もう、何も信じられないんだよ!』


提督母『後悔しないって言ったじゃない・・・貴方が覚悟を決めたと思ったから話したのよ!男なら最後まで聞きなさいよ!この!』デコピン


提督『いてっ・・なにすんだよ!』


提督母『少し頭を冷やしなさい!』腹パン


提督『ごふっ!』


提督母『提督父もこうすれば大人しくなっていたわ。やはり親子ね。そう言うところも似てる』


提督『うぅ・・それは違うって・・』


提督母『大体帰れる当てはあるの?ないでしょ?あまり聞き分けが悪いなら・・もう一発いっとく?』


提督『もう良いから!分かった聞くから腹パンはやめてくれ!』


提督母『そう、頭冷えたようね』


提督『だから・・もう良いや。確かに少しは冷静になれたかもな』


提督母『真似しても良いけど使い所は考えなさいよ?』


提督『はいはい、それで母さん・・いや、提督母さん』


提督母『母さんで良いわ』


提督『でも・・・』


提督母『そう呼んで・・ね?』


提督『本当・・・勝手だな』


提督母『今更でしょ?』


提督『そうだな。今更だ』


提督母『聞いてくれる?』


提督『うん、聞くよ』


提督母『これは本当なら生きているうちに伝えなければいけない事だったの・・でも、それに耐えられる程まだ貴方の心は強くなかったから言えなかった』


提督母『でも、それは言い訳で本当は私が言う決心がつかなかった。だって絶対に傷付けてしまうから・・・臆病よね・・』


提督『・・・・・・・』


提督母『でも、傷付けてしまっても嘘で塗り固めた真実は言えない。それは歩んで来た道を否定してしまうから大事な思い出も全て・・・失敗も成功も全てがあったから今があるのよ』


提督母『だから本音を言う!紛れも無い私の歩んで来た道を偽りなく裏も表も全てを伝えたいの他でもない息子である貴方には』


提督母『それが母さんが今貴方に残せる唯一の物だから・・』


提督『母さん・・・・・』


提督母『私はもう一度提督父に会いたい。会ってあの頃に戻りたい。提督が産まれる前の鎮守府に・・・』


提督『え?母さんも鎮守府に?』


提督母『そうよ、あの人の秘書をしてたのよ。楽しかったな・・毎日が充実してたわ』


提督『それを俺が・・壊したんだね』


提督母『そうよ。私はそう思ってる』


提督『ごめん・・・』


提督母『謝らないで言ったでしょ?貴方は悪くないって』


提督『だとしても・・・』


提督母『謝らないで、責めてるわけじゃないのよ』


だから尚更辛いんじゃないか・・・


提督『・・・・・うん、ごめん』


提督母『はぁ・・・馬鹿』


提督『本当にな・・・・』


馬鹿だよな俺は・・


提督『もしかしてだけど三途の川を造ろうとしていたのは父さんと約束をしたからなのか?』


提督母『そう、死んだ時に三途の川で会うって約束をしたのよ。笑えるわよねそれだけの為にこんな事をしてるんだから』


提督『笑えないよ・・・・そんなレベルはとっくに超えてる』


提督母『そうよね・・・・』


提督母『昔・・死について色々考えさせられる事があってね。私もない頭をフル回転させて考えたのよ。そしたら急に怖くなって』


提督『死ぬ事が?』


提督母『ううん、それは怖くないわ。自然の摂理だもの順番通りに死んで行かないと後がつっかえるしね』


提督母『私が怖かったのは孤独になる事だったのよ。死んだら一人になってしまうって思ったらそれが怖くて・・でも表には出さない様にしていたんだけど・・ばれちゃったのあの人に』


提督『父さんか・・』


提督母『一人は怖いって泣いてる私に言ってくれたの今でも一語一句覚えてる』


『なら、三途の川で待ってろよ。時間は掛かるかもしれないけど必ず迎えに行くからよ。その時一緒に船に乗ろうぜ?な?船代奢るぞ?来るって分かってるなら怖くないだろ?気長に待ってろよ。なんならその時が来たら棺桶にルービックキューブ入れといてやるからそれでもやってろよ』


『逆に俺が先に死んだら待っててやるよ。でも、急いで来るなよ?その時は俺の知らない先の未来を話してもらわないといけないからな長生きしろよ約束だからな。後、ルービックキューブは絶対入れとけよ絶対な』


提督『父さんがそんな事を・・・』


俺の知ってる父さんはあまり喋らなかったのに


こんな気さくに喋る父さんもいたのか・・


てか、少しうざい。ルービックキューブへの執着心は何なんだ


提督母『まだ、提督の生みの親とも出会ってない時だったけどあの人はああ言う事では嘘は言わないから。きっと覚えてくれてる筈よ、ううん、絶対に覚えてる』


どうだろう覚えてるかは微妙だけど否定は出来ない


母さんの言う父さんなら覚えていそうではある


もしかしたら本当に完成した時に父さんは来るのかもしれない


来ないと断定出来ない限り俺は母さんにこれ以上言う事は出来ない


提督母『これが理由よ。完成したらきっと来てくれる絶対に、だから休んでる暇はないのよ』


提督『母さん・・・・・』


父さん・・もしいるなら早く来てやってくれよ!


こんなに苦しんでいるのに何やってんだよ!まさか忘れて天国へ行ったとかじゃないよな


それか地獄か?


それともまだ・・・・


いや、行方不明はもう手遅れだ


生きてはない。俺はそう思ってる


なら・・・・どうして姿を見せない


止めに来ない


一番可能性があるのはやはり忘れてしまっている事だ


そうだ、葬式にすら顔を出さなかったくらいだ


母さんの独りよがりでそうであって欲しいと言う願望がいつの間にか現実とごちゃごちゃになって分からなくなってんだ


認めたくないけど母さんはおかしくなってる


なら、やはり止めるしかない


言ってやろう父さんは来ないって来る筈がないって


元々憎まれてるならこれ以上憎まれても変わらない・・失う物はない


提督母『会って色々話したいし、ルービックキューブが無かった事にも文句を言わないと』


提督母『自分から言っておいて酷くない?まぁそんな事する暇はなかったけど』


もう見てられない・・・


大体ルービックキューブなんてー


提督『あれ?待てよ?』


確か棺桶にルービックキューブあったぞ!


火葬の時に怒られると思って俺が回収しておいたんだ


でも、ルービックキューブを入れてる人なんていなかったし・・・


提督『まさか父さんなのか・・・』


だとするなら覚えてるって事になる


提督『どうすればいいんだよ・

・』


小さな望みにかけて苦しみ続けるか、諦めて楽の道へ進むか


決めろ!


母さんじゃない俺が!


提督『母さん・・もう充分だよ』


提督母『何を言ってるの?これからよ』


もう終わらせよう


提督母『提督、これで話す事はもうないわ』ピコピコピコピコピコ


母さんのアホ毛がさっきよりも速くピコピコしてる


まるでレーダーだ


敵とか発見しそうだ


提督『っ!』


思い出した!これは前に来た時に見たんだ!


これはレーダーになっていてどういう原理かは分からないけど、これが示す場所は


此処からの出口であるあの黒い穴、通称ブラックホールだ


あの中は黒い霧で覆われており、無数の黒い手が地獄へと連れて行こうとする


でも、その先へ行く事が出来れば現実世界へ帰れる


俺は手を引かれてそこへ連れて行かれていたのか!さっまで掘っていたのは出口だったんだ!


このまま帰るわけにはいかない!手を無理矢理にでも振りほどいて


しかし、気付いた時には遅く母さんは繋いだ手を前へ持って行き俺の背を押した


目の前には穴があり見た事のあるあのブラックホールがあった


黒い穴『』ゴォオオオオ


押された身体は重力に導かれ穴へと落ちて行く


このまま落ちればあの中に


提督母『さようなら提督』


提督『っ!』ガシッ


咄嗟に掴んで穴にぶら下がっている状態になる


必死に掴んで落ちまいと手に力を入れる


すぐ真下にはブラックホールがある


母さんはそんな俺を冷たい目で見下ろしている


上げてくれる気はないみたいだ


提督母『手を離しなさい』


提督『嫌だ!』


離せばブラックホールへ落ちる


提督『ぐっ!手が!』


提督母『もう時間切れよ。今行かないともう手遅れになるわよ』


提督『それでも!このまま母さんをほってはおけない!』


提督『うぉおおお!』上がろうとする


提督母『良い加減にしなさい!変な意地を張らないの!』邪魔をする


提督『っ!・・良い加減にするのは母さんの方だろうが!』


提督『いくら待ったって父さんは来ない!本当は自分でも分かってんじゃないのか!』


提督母『うるさい!なんでそんな事が分かるのよ!あの人は絶対に来る!』


提督『来ない!来るんだったらとっくに来てんだろうが!どうして戦争なんて大事を起こしてるのに姿すら見せない!母さんの言う父さんなら一番に来るんじゃないのか!何馬鹿な事してんだって言うんじゃないか!』


提督母『っ!ま、まだ気付いてないだけよ!三途の川さえ出来れば』


提督『いやないね!いくらこの世界が広くても此処まで来れば嫌でも知ってしまう筈だ!』


提督『それともなにか?父さんは知ってて母さん一人にして無理をさせてるのか?だとするならやっぱりクソ野郎じゃないか!』


提督母『違う!違う!あの人の事何も知らない癖に適当な事言わないで!』


そろそろ掴んでいる手も限界だ


提督『ぐっ・・限界か・・・』


提督『っ・・・・・・』


せめて最後に・・・


提督『もう良いんだよ・・もう母さんは頑張った。これ以上頑張る必要なんてないんだよ。父さんはきっと三途の川なんかなくてもその時が来たら何処に居ようが来てくれるさ。信じてやれよ父さんを』


提督『愛してるなら信じられるだろ』


提督母『提督、何を言って・・・』


提督『母さん恨むなら俺を恨んでくれ・・一緒には行けないけど、いつか俺も行くからその時必ず償いはするから・・・』パッ


手が離れて落ちる


提督『こんな結果になってごめん!もう一つの道を示してやれずにごめん!』


提督『俺!・・嫌われてても憎まれてても母さんが大好きだから!』


提督母『っ!提督・・提督!待って!本当は私も』


落ちて行く俺に母さんが手を伸ばしながらな何かを叫んでいる


でも、もう届かないし聞こえない


落ちて行く俺の目に見えたのは


悲しむ様に必死に手を伸ばす母さんの姿だった


なんて顔してんだよ落とそうとしていたくせに


そして母さんの背後には片手にツルハシを持ってもう片方の手には千円札に包まれたくねくねと動く何かを担いでいてさっきよりも土まみれの時雨の姿があった


後は時雨がやってくれる・・その手に持たれたツルハシがそれを物語っている


もう片方の手で担いでる千円札に包まれたミノムシの様なものは意図すら読めないが


提督『・・・・・』ポロポロ


悔しいな・・此処に来るまでに数えきれない程の人を救って来たのに


本当に救いたい人は救えないなんて


悔しい・・・・


提督はブラックホールへと消えて行った


時雨『間に合った様だね・・良かった』


千円札のミノムシ『後は夕立達だけっぽい!さっさと行くっぽい!そして早くこれを剥がしたーーい!』くねくね


時雨『あんまり暴れると・・・』


千円札のミノムシ『ぽいぽい!』くねくね


時雨『もう良いや・・先に行っててよ。あ、手が滑った!』ポイッ


穴へとポイっと投げた


千円札のミノムシの『ぽぉおおおい!』


千円札のミノムシ(夕立)はブラックホールへと消えた


時雨『さてと・・』


提督母『提督・・ごめんなさい・・提督・・ごめんなさい・・提督・・ごめんなさい・・』


時雨『いつまでそうしてるつもりだい?』


提督母『私もう・・今は貴方の事恨んでなんかなかった・・・でも、恨んでもいたのは本当で・・だから私は恨まれなければ・・』


時雨『何処までも中途半端だね君は!』


時雨の持つツルハシが振り上げられ


時雨『そんなんだから僕は・・・・君達は中途半端な覚悟でしか戦おうとしない!だから人間は嫌いなんだ!』


振り下ろされた


ーブラックホール内ー


提督『・・・・・・・』


提督『行くか・・・・』


千円札のミノムシ『ぽいっ!』ボトッ


提督『なんか落ちて来た!新しいクリーチャーか!』


千円札のミノムシ『ぽいぽい!』くねくね


提督『え?その鳴き声は・・夕立か?』


千円札のミノムシ→夕立『提督っぽい!』


提督『夕立!何やってんだよ!千円札でこんな真似したら野口さんに怒られるぞ』


夕立『野口さん?千円札のあの人っぽい?』


提督『そうだよ。会ったのか?』


夕立『あ〜・・うん、多分会ったっぽい・・そいつにされたっぽい!』


提督『野口さんが?・・やりそうだな。待ってろ今剥がしてー』


夕立『や、やめー』


提督『あれ?接着されてる?』


夕立『痛たた!やめ!痛い!やめろー!』


提督『これは・・無理だ』


夕立『足手まといになるから置いて行くっぽい・・』


提督『そんな事するかよ。道ずれは多い方が良いだろ?』夕立担ぎ


夕立『提督・・・・・』


提督『時雨・・・・』見上げる


夕立『時雨の事なら大丈夫っぽい。すぐ来るよ』


提督『それは信じてるから分かってるさ・・』


てか、それで見えるんだな。あ、透かし部分から見えるのか


夕立『提督は良くやったっぽいよ。此処まで来れたのも提督が頑張ったからで時雨に任せる事が出来たのも提督のおかげっぽい』


提督『でも、最後の最後で・・・』


夕立『お互いが近過ぎると出来ない事もあるっぽい。ああ言うのは全くの他人がやる方が良い。特に最後はね』


提督『夕立・・・・・』


夕立『いつまでも悩んでたら時雨に怒られるっぽい!ほら行く!』くねくね


提督『ちょっ!暴れるなって!・・ありがとよ。夕立』


提督『そうだな。ぐじぐじ考えても仕方ないよな!行くか!』


夕立『ぽい!』くねくね


提督『だから暴れるなって!』


ーダム工事現場(穴底)ー


時雨『避けないんだね』寸止め


提督母『・・・・・・・』


時雨『僕が来てたの気付いてたよね?』


提督母『・・・・・・・』


時雨『君の話しを聞かせてもらったよ。提督が話しくれと頼んだから話したのは分かるけど正直どれも言い訳だよね?』


時雨『責めてるわけじゃないって?充分責めてるよ。償う機会まで奪ってるそのセリフは全てを吐き出して提督に押し付けてそれを吐き出させないようにしてるのと同じだよ』


時雨『言いたい事は色々あるけど、何も伝えようとしなかった君が提督にとやかく言う資格なんてない』


時雨『呼んだと思ったら帰れと、恨んでると言ったり恨んでないと言ったりで本当に君は何がしたいの?』


提督母『・・・・・・・』


時雨『それも逃げかい?無言は相手によっては肯定にも否定にもとられるよ気をつけないと』


提督母『殺さないの?それはその為なんでしょ?さっさとして今更抵抗しないわ』


時雨『ん?ああ、このツルハシの事かい?こんなの要らないから』ポイッ


提督母『素手でってことね・・・いいわ好きにしなさい』


時雨『随分足掻いた割にはあっさり諦めるんだね』


提督母『・・・・・・・』


時雨『まぁいいや、勘違いしないでね僕は別に君に何かするつもりはないよ』


提督母『良いの?』


時雨『だから勘違いしないでよ僕が手をかけるまでもないって事だよ』


時雨『ほっておいてもそのうち勝手に消えるからね過労死って言うのかな?』


提督母『過労死・・・・私が?』


時雨『現実世界でも過労死だったよね?此処でも過労死って・・君は何回死ねば学ぶのかな?』


提督母『そんな筈!私はまだ・・・あれ?』フラッ


時雨『やっと気付いたようだね。身体はとっくに悲鳴をあげてるんだよそれに気付いてあげられなかった』


時雨『提督の事だけじゃない自分の身体にまで気が向け無くなったら後は死ぬだけだよ。提督はそれを知ってあえて言わなかった・・また、過労死するぞなんて自分が原因だと思ってる人が言える筈ないからね』


提督母『っ!待って!私は提督の所為で死んだんじゃ!』


時雨『提督はそう思ってる・・今もね。言ったでしょ?君は提督の事も自分の身体もそっちのけにしていたんだから』


提督母『そんな・・それじゃあ私は提督に・・何て事を』


時雨『もう今更遅いよ・・また重いものを背負わせちゃったね』


提督母『うわぁあああああん』ポロポロ


時雨『言わなかった提督も悪い・・近いからこそ遠慮して・・期待して・・手遅れになってから気付く』


時雨『皮肉な事に周りはもう気付いてる・・・それが分かれば更に後悔は強くなる』


時雨『僕だってこんな役目・・最後にしたいよ・・』


時雨『やっぱりもう迷いは捨てないと・・・でも・・』


そう言って時雨はブラックホールへと消えて行った


残されたのは大泣きしている提督母と


野口『・・・・・・』


漣『・・・・・・』


神通『・・・・・・・』


扶桑『・・・・・・』


吹雪『・・・・・・』


鈴谷『・・・・・・』


少し離れた場所から見ている六人だけだった


提督母『うわぁあああああん、提督ーー!提督父ー!』


漣『っ!』ダッ


野口『やめるのだ今はそっとしておいてやりなさい時期に眠るだろう。そしたら守ってあげよう。それからの事はその時みんなで話し合おう今度は一人にはさせないさ』ガシッ


漣『はい!何時間でもみんなが納得出来る答えが見つかるまで話そう。楽しい事いっぱい!』


神通『偽物だとしても近くにいます!これからずっと。あの人が来るまで・・』


鈴谷『もう色々と悩むのはやめ!やりたい様にやるよ!息子くん見てたら自分が馬鹿みたいだよ!』


扶桑『せめて私達の存在が彼女の孤独を少しでもなくせるなら。息子さんを安心させないとですね』


吹雪『クッキーならいくらでも焼きます!時雨ちゃんも絶賛してたんだから大丈夫です!』


野口『ふっ、頼もしい言葉だ』


今この瞬間長い戦いに終止符が打たれ


本当の意味での終戦を迎えた


しかし、今この場が元に戻るのはかなりの時間を要するだろう


それこそ人々が生きて死んでいく限り・・(事務作業的な意味で)


野口『これもまた一つの道だ提督』


千円札を一枚空へと投げて提督母の元へと向かって行ったのだった


投げられた千円札は風に揺られて何処かへ飛んで行った


三途の川ウォーズ(最終)【君と共に】


ーブラックホール内ー


黒い霧は前より濃くなっていた


夕立も担いでいる状態で前より突破するのが難しいのは目に見えている


もし捕まっても背に夕立を乗せて這いずってでも行くつもりだ


絶対に突破してやる!


と覚悟を決めて踏み出したは良いけど


全く出なかった。そう、黒の手一つ全く


途中に只今事務作業難により多忙につき御用の方は地獄事務局までどうぞと書かれた看板があったが関係ないだろう


そんなこんなで


出口へと着いた


後は此処を飛び降りれば現実世界へ戻れる筈だ


だけど・・・・・


提督『夕立悪いけど時雨を待つから先に行っててくれ』


夕立『え?先に行けってどうするっぽい?まさか!や、やめー』


提督『そぉい!』ポイッ


夕立『ぽぉおおおおおおおいーー!』


提督『落ちたな〜あ、見えなくなった』


前は落とされたからなそのお返しだと言いたいが時雨を待ちたい気持ちの方が強い


だからこれは仕返しじゃない


ちょっとスッキリしたけど


時雨に相談したい事もあるし


後頭部を触ってみる


よし、まだ薄い大丈夫だ


提督『時雨と話せるのもこれで最後なんだよな・・』


時雨『呼んだ?』


提督『おわっ!出た!』


時雨『酷くない?呼ばれたから来たのに・・』


提督『悪かったよ、いきなりで少しビックリしただけだ』


時雨『ふ〜〜ん・・で?どうしてまだ居るのかな?提督は今の自分の置かれた状況をしっかり把握するべきだよ』


提督『してるさ、ほらまだ後頭部が薄い様な気がするだろ?ほら見てみ?』


時雨『・・・・・で?どうして居るの?』


提督『よく見ろよ』


時雨『見たよ・・で?用は?もうそろそろ死ぬよ?』


提督『まじか!』


時雨『まじだから行くよ!』


提督『あ、ちょっと待ってくれ!』


時雨『もう!なに!』


提督『母さんの事ありがとう・・これだけは言っておきたかったんだ』


時雨『僕はしたい様にしただけでお礼を言われる様な事はしてないよ』


提督『そうだとしてもありがとう俺には出来なかったから』


時雨『そう、ならお礼は受け取っておくね』


提督『あぁ、今思えば母さんが孤児院を始めたのも父さんの帰ってくる場所を作っておきたかったからなんじゃないかなって思うよ』


時雨『さぁどうだろうね?でも、君の母親ならあり得そうだね』


提督『ベタ惚れだからな・・ああ、俺も母さんの様な人と出会えればな・・』


時雨『ふむふむ、提督は母親の様な人が好みと胸は・・まぁ・・うん』


提督『言っておくが俺が言う好みって言うのは死んでも愛し続けてくれる人って意味だぞ』


時雨『あ、そっちか』


提督『勘違いするなよ』


時雨『ごめんごめん』


でも、俺が死んだら追いかけてくるなんて人は嫌だな・・俺の分まで生きて欲しい


そうなったらやっぱり新しい人を見つけて幸せになって欲しい


その人に尽くして欲しい・・


そうなったら・・俺の事を頭の片隅にでも良いから覚えててくれればそれで良いや


最悪忘れても・・・・ね


時雨『もう話しは終わりかい?ならー』


いや、此処からが本題だ。この問題を片付けないと俺は帰れない


きっと時雨はこの解決方を知ってる


それを聞き出す


提督『いや、もう一つある』


時雨『っ・・・でも、もう時間がね?急がないと』


提督『時雨頼む』


時雨『いや、でも、時間が・・またの機会にしない?』


提督『頼む君しかいないんだ』


時雨『はぁ・・君の記憶の事だよね?』


提督『あぁ、俺のこの記憶は現実世界の俺に引き継がれるんだろ?』


時雨『うん、潜在的記憶として現実世界の提督の頭に記憶されるけど潜在的記憶だからね本人は覚えてないよ』


提督『でも、それは頭に爆弾を抱えてるのと同じなんじゃないか?きっかけがあればすぐに爆発する』


時雨『そうだね。君が人を傷付けたり殺めたり両親の事を調べようとすれば思い出してしまうかもしれないしそれ以外にも導火線はたくさんある』


時雨『危険な記憶だよ現実世界の提督には耐えられない』


提督『時雨この記憶を俺をどうにか現実世界の提督に戻さず魂だけを戻す事は出来ないのか?』


時雨『無理だよ。魂は君で君が魂だから』


提督『そうなのか・・なら、せめて現実世界の提督に両親の事を調べるなと忠告を』


時雨『それで爆発するかもしれないよ。それにそんなのは無理だよ』


提督『なら、俺は最悪の土産を持って帰るしかないのかよ』


時雨『・・・・・・・』


時雨『一つだけ方法があるよ。きっかけを起こしても爆発しない方法が』


提督『あるならそれを!』


時雨『でも・・これには』


提督『っ・・駄目だ。この話しはなかった事にしよう。もう祈るしかないな行こう。大丈夫何とかなるさ』


時雨『待ってよ!だから方法はあるんだよ!』


提督『これにはって・・何か大きな代償がいるんだろ?それって時雨じゃないのか?』


時雨『っ!どうしてそう思うの?』


提督『時雨はこの話題に入るのは嫌がって早く帰ろうとしていた。多分俺が残ってる時点でやばいと思ったんだろ?でもな俺は時雨を失う方法なら使わない信用してくれよ』


時雨『信用してるよ・・・その優しさで僕は君の為ならって思ってしまうから!ううん、覚悟はしてた君の記憶は現実世界へ持って帰っては駄目だよ絶対に』


時雨『僕が君の記憶の奥深くまで入り込んで君を出てこない様に抑える』


提督『っ!』


時雨『言わば君と融合するって事かな?こうしたら最後僕は君にもそして夕立にも二度と会えない。君のこれからも見れない』


提督『駄目だ!絶対に駄目だ!』


時雨『ごめん、本当は最初からこうするつもりだったんだよ。なのに僕は知らずに逃げてた。君が残っていた時に焦りもあったけど嬉しさが強かったんだよ。これでいつか来るであろう後悔をなくせるって』


時雨『まぁ、最後の最後までヘタレてた僕が言っても説得力なんてないけどね。君から最後の勇気を貰ったよ』


時雨『夕立には悪いけど・・きっと分かってくれる』


提督『駄目に決まってんだろうが!そんな事をしたら時雨はずっと一人に!』


時雨『このままだと一人になるのは君だよ・・君が僕を一人にしたくない様に僕も君を、現実世界の提督じゃない君を一人したくないんだよ。そして君が君自身を壊す姿を見たくない』


提督『俺は・・一人は平気だから』


時雨『そう言う強がり母親そっくりだね丸わかりだよ寂しいって泣いてるぞ』


提督『うるさい』


時雨『もう決めたから何を言っても無駄だよ!』


提督『時雨・・・・』


提督『分かった・・本当なら俺が頼みたいくらいなんだ。時雨・・そのなんだ、これからよろしく頼むよ』


時雨『うん、よろしくね。退屈させないでよ?』


提督『あぁ、約束するよ』


時雨『ふふ、じゃあ』


時雨が俺に触れる


そしてゆっくりと身体を預ける


俺は気付くと時雨の背に手を回して抱きしめていた


提督『時雨・・』


時雨『また会えるからね?泣かないでよ』


提督『泣いてねぇよ・・』


時雨『そう・・・』


するとゆっくりと時雨の身体が消えていく


それと同時に俺の脳内には時雨の記憶が入ってきた


嫌な感じはしない


時雨がオリジナルで人間を見限り


時雨は海へ出る事を拒否して絶滅艦娘にしてしまった事や


オリジナルである時雨の最期


その全てが自分の記憶の様に思えた


そして全てを知って俺は


無責任だと言われても仕方ない事を言った


提督『時雨・・君が人類には必要なんだ。何より君が彼には必要だ』


提督『もう一度だけ信じてくれ人類を俺を』


時雨『・・・・うん、君を信じる』


そんな無責任の言葉を信じてくれた


提督『時雨・・俺は・・』


そして時雨は完全に消えた


抱きしめていた温もりはまだ残っている


身体全体から時雨を感じられるようだ


確かに時雨は此処にいる


守ってくれている


提督『時雨・・今更言っても遅いかもしれないけど・・好きだ・・お前が好きだ』


本当の言葉で言える最後のチャンスだったから


これで悔いはない


提督『提督・・お前も見つけろよ』


大切な存在を愛する存在を


それはきっとお前を今より強くしてくれる


そしたらいつか・・・・・


提督『会えるかもな』


そして飛び降りた。時雨に会いに行こう


消えていく身体を感じつつ提督は母親を思い、夕立を思い、時雨を思い、野口を思い、此処で会った人達を思い目を瞑った


こうして提督は現実世界へと戻ったのだった


大切なお守りを持って


夕立『・・・・・・馬鹿』


提督の長い長い誰も知らない4日目が終わった


数週間後、各地の鎮守府で駆逐艦時雨が現れ混乱を起こしたらしい


絶滅した艦娘が再び現れたのは初めてでその日が時雨復活の日と定められるくらいになり


たくさんの人が喜んだと同時に提督達の指揮も上がり艦娘達への考え方も良い方向へと少し変わったと言う


でも何故いきなり現れたのかを知る者は誰もいなかった


それは一人の青年の言葉だという事も



【君の居た鎮守府と道を照らす提督】





【君の居た鎮守府と裏と表を行く提督】に続く


後書き

第6章も無事終わらせることが出来ました!ありがとうございます!

どうにか三途の川ウォーズ編は終わらせたので良かったです!

次回もよろしくお願いしますね!

コメなどくれると凄く!凄く!嬉しいです!

リクエストも随時受け付けていますからね。結構為になるリクエストが多く助かってます。そのまま使うわけではありませんが所々使わせてもらいますね

誤字のオンパレードやで

そして番外編の元艦娘社会人適正面接編は本編の気が向いた時に本編の間に挟んでいこうと思います。ちょっと無理矢理な設定もあるけど気にせずに

その際にその元艦娘のリクエストを募集します

名前と年齢と現在の職

それと見た目や性格なども書いてもらうと分かりやすいので助かります

あくまで番外編なので次書くのは未定ですけど思いつき次第書きたいと思います。そして出来るかも分からないので期待しないで待っててくださいね


一応イメージソングというのを自分はこの作品に持っています。それを聴きながら考えたりしているのです

と言っても俺の様なクソ作品にプロの方が歌う歌を勝手にイメージソングにするなんてアホの極みだと思います

ですが、それでもやはりそう言うのがあった方がなんか色々と思いつきます

なので今回はその一部を紹介します(悪魔で俺の勝手な考えなんで・・要は俺のモチベーションアップ曲です)

提督のイメージソングは夏目友人帳で使われているOPで【僕にできること】です。提督の今を精一杯生きようとしてる様が歌詞とあって良い感じです

そして、艦娘のイメージソングが一週間フレンズのOPで【虹のかけら】です。彼女達の大切な人の笑顔を見たい。側に居て支えてあげたいという歌詞が良いですね!

他にもありますが、自分は何時もそれらを聴いて妄想にふけっています

更新遅いな!って思ったら近況を見てください。偶に言い訳が書かれています


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このSSへのコメント

98件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2016-07-17 04:49:42 ID: 1BvKfoRs

毎日更新楽しみにしてます!6章も頑張って下さいね!

2: SS好きの名無しさん 2016-07-17 04:54:43 ID: PCGBcomi

応援してますよ!

3: T蔵 2016-07-17 10:42:26 ID: 8njcRjRN

くそ(笑)

またしても前書き詐欺に騙された(笑)

新章突入お疲れ様です。

ゆっくりペースでの更新お待ちしておりますよー。

4: SS好きの名無しさん 2016-07-17 15:01:12 ID: 9W5kyVt3

キエァァァァメガネガタクサンシャベッタァァァ!!!
応援してますぜ!

5: 春雨麻婆豆腐 2016-07-17 16:32:48 ID: fezcn6Xh

第6章突入お疲れ様です!

いつも更新ペースが早いと羨ましく思ってます…。

自分のペースでよいので頑張って下さい。

更新お待ちしております。

6: SS好きの名無しさん 2016-07-17 18:21:09 ID: w6U4nOZU

このSSを見てると気分が高揚します!

7: Aluto 2016-07-17 19:17:31 ID: xmzmB2Ad

更新待ってます、頑張って!

8: ポテ神 2016-07-18 00:32:19 ID: UCDnxCCw

1番さん!

はい!頑張るのでこれからも応援コメントなどよろしくお願いしますね!

2番さん!

応援されて!やる気アップ!!

T蔵さん!

前書きはどんどん増え続けますぜ!!

これからも応援よろしくお願いします!

4番さん!

メガネが遂にたくさんしゃべりました!!

無言でいる場合ではないんですよ!彼は空気を読めますから!

応援ありがとうございます!

春雨麻婆豆腐さん!

みなさんがコメントをくれるので張り切ってしまうんですよ!

早く書けるからって良いのは書けませんよ。焦らずマイペースでお互い頑張りましょう!

6番さん!

私は貴方のコメントで気分が高騰しました!

やる気アップ!!

Alutoさん!

はい!不定期にはなりますが待っていてくださいね!

過度な期待はNGです!


9: SS好きの名無しさん 2016-07-18 01:26:30 ID: ZDw868gy

どうも、4章44番(今思うと数字が不吉w)コメです。
6章目が立った事が非常に嬉しくコメントさせて頂きました。

1章目が1万字いってるかいってないかくらいの頃からずっと読み続けてまして…
いよいよ6章目まで来たかと思うともう嬉しくて嬉しくて。ポテ神さん本当にお疲れ様です。

どこかの文庫が目付けてラノベ化してくれないかななんて思うくらい面白く、ほぼ毎日「更新されてないかな〜」って覗いているくらいです。

これからも楽しみにしてます。忙しい中で大変だとは思いますが、少しずつでいいので提督とおんぼろ鎮守府の仲間たちの軌跡を描いていってください。これからも応援してますぜ!!!

10: ポテ神 2016-07-18 21:29:16 ID: UCDnxCCw

9番さん!

そんなに最初から見ていてくれていたんですね!凄く感激です!

最初の方から見てる方は殆ど途中で飽きてしまった方が多いかと思っていましたが・・いるんですね!まだ・・・こんなに嬉しいことはない!!

でもですよ?書籍化は言い過ぎですよ!こんなクソみたいな文章では駄目ですよ

でも、言われて嫌ではないです!寧ろ!勘違いして調子に乗りそうな勢いですよ!

何時まで続くか分かりませんがこれからもポテ神のSSをよろしくお願いしますね!

11: SS好きの名無しさん 2016-07-19 02:06:00 ID: TsZO5ezV

ここにもいますよ~
因みに私は一章のコメ39番の者で多分全部の章でなにかしらコメントしてると思います
私も毎日毎日更新されてないかなと思い深夜にチェックしています(笑
もう半年ぐらいたちますね~
このペースでいけば完結まであと2年ぐらいかかるかな!(歓喜
冗談です、ポテ神さんのご都合もあるでしょうし・・・
でも!どんな結末であろうとも!最後までポテ神さんについて行きます!
最近は暑いですから体調管理をキチンとして下さいね!


私もss書こうかな(ボソッ

12: ゼロシステム 2016-07-19 02:32:13 ID: n5rnh1r1

第6章 来てたぁ!更新お疲れ様です!(少し出遅れた感)

メガネ…お前はすげぇヤツだぜ……駆逐艦は任せろとか羨ましい…

毎度毎度素晴らしい内容で更新来てると嬉しさで「うぇひひぃw」みたいな変な声出てしまうんですよ。責任とってください。

これからも頑張ってください!応援してます!

SSの内容思い浮かばない…なんかいいのないですかね?(人頼み)

13: こっぺ 2016-07-19 20:24:49 ID: o0ozLTp1

6章おつかれさまです。

金髪もメガネも男ですね…ふっ鼻血どばー

まさかメガネが駆逐艦で鼻血をだすとはおもいませんでした…ロリコン?

これからも頑張って鎮守府を盛り上げてください。応援してます。

14: ポテ神 2016-07-19 21:54:21 ID: xWb-qXWo

11番さん!

おお!!まだ居たのか!!しかもオススメまでしてくれてありがとうございます!!

そうですか!貴方でしたか!皐月をリクエストしてくれた方ですね!

すみません・・皐月あんまり出番がなくて・・

まだ終わりが見えないので何時までかかるかは分かりませんが2年は・・・かからないと思います

マイペースでやってるので大丈夫です!

そして!SSを書くとな?是非書いたら教えてくださいね!期待してますからね!!

本当に期待してますからね!

コッペさん!

あ、ティッシュどうぞ・・・

二人もいい歳をした男ですから・・彼らにとって鎮守府は天国か!それとも地獄か!それは彼らのこれから次第ですね

メガネはロリコンじゃないんです!小さい娘が大好きなだけなんだ!ただそれだけなんです!!

第6章もよろしくお願いしますね!

15: ポテ神 2016-07-19 21:55:09 ID: xWb-qXWo



ゼロシステムさん!

オススメありがとうございます!

メガネには駆逐艦達を惹きつける何かがあるんですよ!他がやると事案ですから注意です

責任か・・・なら、言わせて貰おう!コメや評価を貰うたびに「グヘヘへ〜」って言ってます責任とってください!グヘってんだ!!

SSですが、どう言うのが書きたいんですか?

という事で僭越ながら例を大雑把に何個かあげさせてもらいます

1、提督が鎮守府に着任する所から始まる物語(成り上りとかチート提督とか色々ありますね)

2、鎮守府に着任していてある程度経っている状態から始まる物語(ほのぼのとかが書きやすいです。後で過去編とかを作って艦娘の出会いなどを書くのもいいですね)

3、単発物(短編もので後から続編を作るも良し)

4、全く新しい物語(貴方の力量が試されます。君の手で新しく扉を開くんだ!)

偉そうにすみません・・

16: ゼロシステム 2016-07-19 23:50:03 ID: n5rnh1r1

ポテ神さんも「グへへへ〜」って言ってるんですねぇ。じゃあ責任とってお互い変な声出しまくりましょう!グヘぇ〜。

ssの道筋を提示して頂いてありがとうございます!おかげで決まりそうです!
方向としては1の方でやってみようかと思います!
1の作品は結構上がってるのでn番煎じになるかもしれませんが自分なりに頑張りたいと思います!

後、艦娘の口調とか覚えないといけないと思い、前々からやりたいと思っていた艦これAC始めました!

これからも更新頑張ってください!応援してます!ss書く際には参考にさせてもらってもいいですか?

17: ポテ神 2016-07-20 00:26:58 ID: lKMxw04A

ゼロシステムさん!

グヘヘ!それは良い!俺もTPOを弁えず変な声を出しまくりますぜ!

1番ですか。という事は最初からですね!俺も艦娘の口調とかどうしようって悩みましたよ・・皆さんがやってるのって2番が多いと思うんですよね。面白いのも多いんですが・・いきなり大量の艦娘を出す自信がなく・・1番にしたんですよ

最初は提督と一人か二人くらいの艦娘とのやり取りで良いと思います

慣れてくれば増やせば良いんです

長くなるかもしれませんが文字数は無限です。ゼロシステムさんが書きたいだけ書けばいいんです

そうすればきっと純粋に貴方の作品を好きになってくれる人が出来ます。俺にとっての貴方のような人がね

楽しみにしてますよ。提督デビューおめでとう!

ちなみに俺は口調はwikiをチラッと見てそれっぽい感じに書いてるだけです!あと、艦これのpc版ですね!

18: ポテ神 2016-07-20 00:38:48 ID: lKMxw04A

ゼロシステムさん!

すみません文字制限があったので分けて書かせてもらいますね

こんなおっさんの妄想爆発なSSならいくらでもゼロシステムさんのこれからに使ってやってくださいな!

参考だけじゃなくても世界観とかも好きに使ってくださいな

応援してますよ!

P.S、とある友人が艦これacの虜になってしまい如月を手に入れたと言い

くれ!と言ったら断られました・・死にたい・・

長文失礼!

19: ゼロシステム 2016-07-20 03:01:08 ID: VKBMwr3K

ポテ神さん!わざわざありがとうございます!

普段使うことのない脳みそフル活用で色々考えながら書いて行きたいです!アドバイスありがとうございました!

P.S.友人四人で艦これAC初めて1人だけホロが出ず、漣3枚と那珂ちゃん2枚連続で引き当てた悲しいやつもいるとお伝えください( 涙目 )

20: 春雨麻婆豆腐 2016-07-20 19:27:09 ID: 8iQm65Si

この鎮守府はワックス掛けたてかな?

主さんも足元には気を付けなきゃだめですよ!

お恥ずかしい話、実は私もこのssに影響されてss書き始めたんですよ…。

長文失礼しました!

引き続き更新頑張って下さい!応援しています!

21: ポテ神 2016-07-20 21:35:49 ID: lKMxw04A

ゼロシステムさん!

はい!頑張ってくださいね。期待に胸がドキドキですぜ!

友人殿には・・なんと言えば良いか分かりませんが

漣も那珂も可愛いので寧ろ喜ぶべきです!

春雨麻婆豆腐さん!

オススメありがとうございます!

入渠ドッグ内は大変滑りやすくなっておりますので気を付けてくださいね!

主は風呂場で足の小指の爪が剥がれた事以外はなかったので大丈夫です!

こんなSSを参考にしてくれてありがとうございます!参考に出来るような所ってあったっけ?

お互い更新頑張りましょう!

22: Jpanther 2016-07-21 13:28:24 ID: tYXNGl7_

更新おつです
推敲しましたか?最終的にどう着地するかビジョンはありますか?元の良作に戻るよう応援してます。頑張ってください

23: ポテ神 2016-07-21 15:11:43 ID: HbjAvzHX

Jpantherさん!

とりあえず読み直してはみました。自分的には今の方が好きなんですがね・・・それはエゴですね。この先にどんな展開になるかは分かりませんが最終的にはこうしたいってのはあります。まぁまだそこにどう持っていくかは考えていませんが

それが良作と言えるものになるかどうかも分かりませんがこれからも応援よろしくお願いしますね

24: SS好きの名無しさん 2016-07-22 00:28:18 ID: 5BosbklW

感想を控えめに言うと、

面白いんじゃああああああああああああぁああああああああああぁあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

て感じです。
あと、朝潮がギャグ要因に((笑))

25: SS好きの名無しさん 2016-07-22 01:38:05 ID: F6GUPDwG

如月があの時提督のことを「あの子」と言った理由がわかってきた気がします
三日月に抱きつかれるなんて羨ましいぞ!提督ウゥゥゥゥ!!!こうなったら皐月の下にいって・・・
ハッ!憲兵さん!違います!別にやましいことなんてそんな・・・

26: 京哉提督@暇人 2016-07-22 08:39:53 ID: 0lO1DpGN

キャラの会話の最後に『ダキッ』とか『クンクン』とかの擬音やキャラの行動があるんですけど、小文字にしたほうがもっと見やすくなると思います。
ストーリーは面白いので、これからも頑張って下さいd('∀'*)

27: 春雨麻婆豆腐 2016-07-22 12:29:06 ID: NWaL9_fD

更新お疲れ様です!

相変わらず駆逐艦にモテてるなんてうらやまs…   ガシッ

あ、憲兵さん俺じゃないです。俺じゃないですから。

あっちですから!俺じゃないですって!いや待って話せばわかる!!

俺じゃない!俺じゃないからああぁぁ……‼︎

28: ポテ神 2016-07-22 21:26:37 ID: 48XDJ9J1

24番さん!

ありがとございまぁあああすぅううううう!!その言葉だけでご飯3杯はいけまぁあああす!!

真面目キャラは扱いやすいですからね

主の艦これの現在の旗艦ですし

25番さん!

何故如月はそう言ったのか近いうちに分かるかもしれませんね!

そして!アウトぉおおお!!憲兵は今他の奴の所(27番のコメ)へ行っているからな!俺直々に捕まえてやろう!覚悟!

29: ポテ神 2016-07-22 21:27:25 ID: 48XDJ9J1


京哉提督@暇人さん!

俺もたくさんのSSを見てきました。そのほとんどが半角カナを使っています。その方が見やすいのも分かります・・ですが、自分は某りんごの端末のみを使って書いています

その某りんごの端末には半角カナがないんです・・今までそう言う指摘もされていなかったので甘えていました。そして慣れてしまいました・・ですがないんですよ・・りんごにはなにも

面白いと言ってくれてありがとうございます!

春雨麻婆豆腐さん!

その・・面会には行くんで頑張ってください!あと、掘られないように気をつけてくださいね!

きっといつかシャバに出た時には新しい君がいる筈だ!

最近は見ただけでも痴漢は成立するらしいので気をつけてくださいね

30: ゼロシステム 2016-07-23 03:06:33 ID: 8kCw45kb

更新お疲れ様です!

寝てる三日月の「ふにゅー」って声聞きつつ寝顔を見ながら昇天したい。

色々超展開でwkwkが止まりません!
艦これACの方も波に乗ってきて、今ならいいSS書けそう!っと思ったら8月まで忙しいとか聞いてないですよぉ……

これからも更新頑張ってください!暑いのでお気を付けて!

如月頑張れぇ!(精一杯の応援)

31: 赤ヘル提督@ラブライバー 2016-07-23 12:27:57 ID: rOmwErvH

とりあえず提督が無事でよかった!

如月は本当に提督が好きなんだなぁ…。お、俺は提督のことなんか好きじゃないんだからねっ!

軍刀も今後どうなるをだろうなぁ。


更新待ってます!頑張ってください!

32: ポテ神 2016-07-23 21:18:29 ID: eyTI84Uj

ゼロシステムさん!

俺も昇天したいです!許されるなら一緒の布団で寝たいです!

波に乗り過ぎて酔わないように気をつけてくださいね!

ゼロシステムさんが社会人の方なのかは分かりませんが今の時期は特に忙しい時期ですから・・うちもやばいです。頑張りましょう!

SSは焦らずゆっくりで良いですからね

赤ヘル提督@ラブライバーさん!

はい!如月は提督大好きです!そして赤ヘルさんは・・嫌いなんですね・・そうなんですね・・・悲しいです(ゲス顔)

軍刀に関してはどうなるかはお楽しみに!

33: 春雨麻婆豆腐 2016-07-26 00:02:55 ID: 16jrC7Ig

更新お疲れ様です!

徐々にあの二人が従順なワンコとなってきてませんかねぇ…。

今更ながら如月って提督のこと司令官呼びだった気がするんですけど…

34: ポテ神 2016-07-26 01:04:20 ID: Jugmo7Sx

春雨麻婆豆腐さん!

はい!ワンコ化してきてます!そのうちチンチンとかするかもしれませんが提督の性格では多分思っても言いません!

そして!!如月の件ですが、はい、その通りです。確かに如月は司令官呼びですが、第2章の最初の方の如月の暴走で提督に暴走を止められて解体をしてくれと懇願する如月を提督がずっと側に居てくれと告白まがいな事を言った事により司令官呼びから一応提督の本名と言う意味で提督呼びに変わってます。良かったらもう一度見てみてください

35: ゼロシステム 2016-07-26 01:29:21 ID: VHq8CzsH

更新お疲れ様です!

夕立と時雨の犬化がすごいことに…
時雨(犬耳ver)の頭もふもふしたい。
夕立語…ぽい以外にあったのか…

これからも更新頑張ってください!応援してます!

36: 赤ヘル提督@ラブライバー 2016-07-26 09:07:35 ID: yYLcBglF

時雨と夕立がお座り…。スカート…。
閃いた!

あっ、でも時雨はスパッツか…。

天国にも地獄にも社畜はいるんですね…。きっと目の下に球磨、じゃなくて隈のお化粧してエナジードリンク飲んで…。ウルッ


更新楽しみにしてます!

37: T蔵 2016-07-26 09:42:38 ID: MTNPB2I9

更新お疲れ様です。

前々から匂わせていた如月が母親の記憶を引き継いでたオチですねかね。

父親、なにしてんだろ?

サンズリバーは地獄と天国というより地獄の閻魔に裁判を受けに行く前にその本人の罪の重さを計るためにあるもので橋があったりするんですけどもね。

罪の重さで渡れる位置が違うという差別(笑)

そして、それをよくするための六文銭(賄賂)

まさしく地獄の沙汰も金次第・・・・。

地獄の閻魔は仏教、道教系の観念なんで色々日本はチャンポン状態(笑)

地獄の裁判は現世も驚きの10審制(笑)

などと野暮なことは言ってはいけませんね。

いつも楽しく読ませていただいております。

まとめ読みしやすい量で更新してくださるので読みやすくてありがたいです。

あっ、ところで夏イベ参加されます?

資材、溜まんないですね(乾いた笑)

38: ポテ神 2016-07-26 20:53:46 ID: Jugmo7Sx

ゼロシステムさん!

なんだかんだと言いながらも主人には従順なんですよ。一家に二人は欲しいですね!二人ともモフモフしたいです!

夕立語(時雨次第)ですがね!

赤ヘル提督@ラブライバーさん!

何を閃いたんですかね・・・これは憲兵に報告した方が良いかな?

スパッツだからダメだと?スパッツだからこそ!見えるものがあるじゃないか!!よく見るんだ!

何処にでも社畜は居るんですよ・・死んだら楽になるのは間違いなんです

T蔵さん!

な、何のことですかね?私には何も分かりません!この先に展開なんて何も分かりませんから!

そして随分と天国や地獄の事をしってますね!もしかして本職の方ですか!連れて行かないでーー!

夏イベ?出るに決まってるだろ!!おんぼろ鎮守府第0艦隊出撃します!

39: SS好きの名無しさん 2016-07-30 19:16:35 ID: 4UpAtatz

これからも頑張ってください。楽しみにしてます(=´∀`)人(´∀`=)

40: ポテ神 2016-07-30 22:41:52 ID: XyLI4dUi

39番さん!

ありがとうございます!楽しみにしてもらえるなんて嬉しいです!オススメもありがとうございます!

これからも頑張るので応援よろしくお願いします!

41: ゼロシステム 2016-07-31 02:16:49 ID: XM0rcmi_

更新来たぁ!お疲れ様です!

今回でついに提督の謎がわかってしまいましたね……

黒髪の以外とポンコツな部分があって可愛かったです!
メガネ…お前賢いな…盗聴用のメガネとか聞いたことないぞ……

これからも更新頑張ってください!暑いので身体に気をつけてくださいね!

……ん?提督の母親が睦月型って事は親父さんって実はロリコn……ゲフンゲフン

42: ポテ神 2016-07-31 19:27:42 ID: naXO19Kk

ゼロシステムさん!

如月の知らない事もありますが概ね謎は話せたと思います。この事実を提督は知る事になる日が来るのでしょうか

この先も見守ってくれると嬉しいです!

黒髪は基本人と関わりを持たなかっただけで本来の性格では天然が入ってます

そしてメガネにはたくさんの眼鏡があります。愛着があり全てに名前がついていたりします

金髪だけは大人しかったですね。空気の読める人なんです!

暑いです・・が!どうにか生きてます!ゼロシステムさんも気をつけてくださいね

ロリコンは手を出さないんだぜ?手を出したら・・・

43: SS好きの名無しさん 2016-08-04 22:16:45 ID: 1E1xx-sN

さながら、正義の雨に裁かれろ!!ってことだね。分かるかな?
応援してるぜぇ~

44: ポテ神 2016-08-04 22:56:31 ID: KyBwMrfa

43番さん!

オーバーウォッチでしたっけ?友人に勧められてやろうか迷っていましたが、結局やらずですね・・ですが、その言葉は知ってますよ

カッコ良いですよね!センスある名言だと思います!

提督はロケランぶっぱしてただけですけど

応援ありがとうなのだぜ〜

45: ゼロシステム 2016-08-05 02:51:39 ID: iQvdvVqX

更新来たァ!お疲れ様です!

ロケラン懐かしいなぁ…心の清くない天使とは一体……
最終的には天使達と人間達が共闘出来てたから結果的には解決したのかな?(白目)

時雨…我慢強いのはいいが、鼻血出るまで我慢したらダメなんやで…

これからも更新頑張ってください!応援してます!

ようやくSS書き始めました…

46: ポテ神 2016-08-05 21:27:29 ID: WnXBTAJE

ゼロシステムさん!

ロケランですよ!ロケラン!ロケでランニングじゃないですからね!

天使にも色々あるんですよ・・

共通の敵が出来ることで協力をするだろうけど、それが終わればまた争う・・人間も天使もそれは変わりません。問題を先延ばしにしただけです

時雨だって提督にカッコ良いところを見せたかったんですよ結果的に逆効果だったけど

さて・・ゼロシステムさんのSSを今か今かと待つとしようか・・マイペースで無理せず書いてくださいね!

47: 春雨麻婆豆腐 2016-08-06 11:10:18 ID: lpBo_nlg

更新お疲れ様です!ポテ神・・・提督さん!

ロケランなのに心が清いとはこれいかに…。

現実世界の方の話が既に空気と化してきていますね。

応援しています!

48: ポテ神 2016-08-06 18:19:42 ID: y3QZgVNb

春雨麻婆豆腐さん!

提督と・・・呼んでくれるのか!こんな俺を・・ありがとう

だ現在世界が本筋だからね!空気じゃないんだからね!!

そんな貴方に清い心を持った私からロケランの雨をくらうがいい!!

応援ありがとうございまーす!

49: 赤ヘル提督@ラブライバー 2016-08-06 21:55:49 ID: fSUUWQgi

あっ…。俺だ…石ころで殴られて成仏してらぁ…。(佐藤ナミカン

でも、提督なら初めての成仏、あげてもいいかな…!


更新楽しみにしてます!如月のために早く帰って来てあげて!

50: ポテ神 2016-08-07 18:47:15 ID: 6Va4_y1R

赤ヘル提督@ラブライバーさん!

貴方だったんですか!人の話しを聞かずにかかっていくから撲殺されたんですよ!

天国ではお元気にしておりますでしょうか?提督もそればかりを気にしております

なんせ初めての相手ですから

三途の川編は後編が最後になっております!

4日目長過ぎるよ・・

51: 春雨麻婆豆腐 2016-08-14 01:14:11 ID: 6ccNwbta

お疲れ様です!ポテ神提督さん!

心って…こんな簡単に人を変えてしまうんですね…

お体に気をつけて引き続き更新頑張ってくださいね!

52: ゼロシステム 2016-08-14 02:59:11 ID: F-0v_xe6

更新お疲れ様です!ポテ神提督さん、略して神提督!

懐かしい面子が出てきましたねぇ…
元帥に不知火、大和と武蔵に間宮さん。
間宮さんとか何章ぶりです?
果たして料理の腕は上がっているのか…

ウツボはもう出ませんよね…?

まだまだ暑いので身体に気をつけてくださいね!次の更新も楽しみにしてます!

53: ポテ神 2016-08-14 15:22:50 ID: --usnIrs

春雨麻婆豆腐さん!

どーも!ポテ神提督です!!

Cカードを取る為に教科書を読んでいますが眠くて死にそうです!

人って一度そう見てしまうと悪い所しか見えなくなってしまいます。良い所も悪いように変換されてしまい、結果、提督=悪になってしまったんです。そう思うと人って簡単に変わってしまうんですね・・・

身体はすこぶる夏バテ中ですぜ!

ゼロシステムさん!

神提督だと!それは誰だぁああ!

ポテがないと俺の存在がなくなってしまいますぜ!だが!悪くない!

そう言えば間宮さん何章ぶりなんでしょうか?他にも久しぶりに書くので口調が変かもしれないけどそこはまぁ!脳内変換よろしく!

ちなみに間宮さんのその後の料理スキルですが、第2章の半分くらいの所にある、番外編の間宮さんのアイスと提督の過去って言うのがありまして、それが西鎮守府から帰って来て少し経った後の話しになってますから

ある意味では今回の間宮さんの会話の続きとも見れます

あ、察し・・ですよ

ウツボ?

出して欲しい?ウツボファンだったりするのかな?かな?

54: 春雨麻婆豆腐 2016-08-15 16:52:38 ID: toOHe7xH


普通にウツボは美味しいですよ!

調理する人次第ですがね・・・。

55: ポテ神 2016-08-16 19:46:33 ID: SpSIFsNn

春雨麻婆豆腐さん!

ウツボさんの出番があったとしても食べるんですか!

ウツボ再登場=食われる

食べる以外にもなんかウツボさんの出番ないですか?

なんかあるでしょ!!

なんか・・・・ウツボって美味しんだ・・ゴクリ

56: SS好きの名無しさん 2016-08-19 03:57:12 ID: ZrM1AYaG

青年が捕まったのは自分自身のせいねん!




うまい?

57: ポテ神 2016-08-19 05:30:16 ID: KGAXpX2H

56番さん!

寝苦しい夜が少しだけ涼しくなったようです・・

うまいかって?

すっごぉおおおおく!


しょうもな!!

まぁ、でも中々考えつくような事ではないのである意味ではうまいと思いますよ?(クソ並みのフォロー)

涼しい夜をありがとうございます

58: SS好きの名無しさん 2016-08-31 18:45:09 ID: _PVTcYwV

続き待ってます!!

59: ポテ神 2016-08-31 20:51:00 ID: Y9ZCgj15

58番さん!

はい!期待せずに待っててくださいね

過度の期待は駄目だぞ!

60: SS好きの名無しさん 2016-08-31 22:16:31 ID: 2AHAcAwF

天使は悪魔だったんだな!(?)

続き期待してます!

61: ポテ神 2016-08-31 22:57:44 ID: Y9ZCgj15

60番さん!

天使は天使や!悪魔はちゃんといますから!事務関係がほとんどだけどいますから!

今も書類と戦ってますから!

愚痴も言わずかきかきしてますから!

過度な期待はNOですよ!

62: SS好きの名無しさん 2016-09-03 02:23:05 ID: a43f6P-s

11の者です!
シュワちゃんにRPG持たせたら「第三次大戦だ」
まあミカエルのお兄ちゃんであるルシファーも元天使でしたし案外天使と悪魔は紙一重なのかも・・・
そして提督父に握手。貴方とは仲良くなれそうだ。
SSは妖精さんの視点から見た光景を書こうかな~と思っています。需要はあるでしょうか。ポテ神さんからなにかアドバイスを頂けたら嬉しいです!

63: ポテ神 2016-09-03 18:08:32 ID: eqqVyB_w

62番さん!

まだ見ていてくれていたんですね・・感謝です!!

もしシュワちゃんが居たら提督達が勝てていたかは分かりませんね

負けていたかもしれません。物語終了!

天使も悪魔もどちらも雇われですから・・事務の悪魔さんに現場の天使さん

両方社畜です!

提督父と気が会うとは・・普通ではないな!だが、それが良い!

そしてそして!SSを遂に書くんですね!

楽しみで仕方がない!出来たら絶対に知らせてくださいね!

妖精さんがメインの話しは結構書いてる方も多いので需要はありますよ。ただ、提督と艦娘達を三人称視点で書くのは少しばかり難しいかもしれません

俺もアドバイス出来るほど上手くはありません。だから、言える事は、つまってしまったら一度書くのをやめることだね。気晴らしとかしてたらそのうち何か閃きます。書きたいと思った時に書くのが良いですよ。焦らないように自分は何時までも貴方のSSを待っております。

頑張ってくださいね

64: SS好きの名無しさん 2016-09-09 08:17:37 ID: ZJqX4yEy

あぁ^~時雨かわいいんじゃ^~

65: ポテ神 2016-09-09 19:32:18 ID: hXekEfJQ

64番さん!

せやで!可愛いんやで!膝枕されたいです!!

66: SS好きの名無しさん 2016-09-10 01:14:33 ID: F-wmoZx3

62番の者です!
アドバイスありがとうございます!これでss作るのが捗ります!因みに内容は大体完成しております。あとは完成させる時間と、投稿する勇気が必要ですわ・・・
捗る繋がりで元艦娘の秋雲はどうでしょうか!職業は勿論漫画家で!
扶桑姉様、漣、鈴谷、神通だとっ!これは我が鎮守府の主力メンバーじゃないか!感涙っ!彼女達のお願いならばバニーにだってなってやるぜ!
そして・・・漣改のグラかわいんじゃあぁぁぁっっ!!!

67: ゼロシステム 2016-09-10 01:16:42 ID: qI0UkBda

更新お疲れ様です!

時雨に膝枕されながらギュッってされたいだけの人生でした。
時雨は天使、はっきりわかんだね。

1000円札拾いたい…最近割と忙しく、出費も多かったので金欠なのです…
時雨助けてぇ…

SS書いてみてもどうしても他のSSの比べてしまい全く進んでない状態が続いてるんですよね…
参考用にラノベやら他の方のSSひたすら読んだりしてるんで更に時間ががががががが…
これからも更新頑張ってください!体調に気をつけてくださいね!

提督のバニーコス……誰得?

68: 春雨麻婆豆腐 2016-09-10 13:41:49 ID: BLQnOwLI

更新お疲れ様です!

提督のバニーコスって一体誰が得するんでしょうね…?

誰得……提督……ハッ!

69: ポテ神 2016-09-10 17:30:20 ID: 1pmfn7CR

66番さん!

いえいえ、アドバイスなんて呼べるような事は書いてませんよ。俺も初めて投稿する時はドキドキしましたよ・・でも、思い切ってやってみました。貴方も勇気を持って頑張ってください!

楽しみにしてますからね

あと一人艦娘が出て来ますぜ!まぁ、察してる人も多いと思いますけど

元艦娘の件は秋雲ですね。考えてみますね!漫画家でどんなジャンルを書いてるかとか年齢もありますね・・うむ・・

漣のグラ見たらやばかったです!の時に朧のも見ましたがそっちもやばかったです!!いつの間に・・

70: ポテ神 2016-09-10 17:38:28 ID: 1pmfn7CR

ゼロシステムさん!

本当の天使は時雨だったのかもしれませんね!

俺もギュッってされたい・・

金欠なのは自分でもです・・・Cカードを取るのに八万飛びましたから・・そして会社は倒産するしで・・はぁ・・金欲しい

他のを参考にしたりするのは良いですが比べるのはやめましょう!個性がなくなりますし似たようなのになると確実につまらなくなります。自分の好きに書いていって見てくれる人のコメントとかを反映させていったら良いと思いますよ!

まだまだ待ってますからね!!

春雨麻婆豆腐さん!

提督にそんな趣味はありませんから!!多分

ゼロシステムさん・・春雨麻婆豆腐さん

バニーが誰得だって?

得がないとやってはいけないのか?

関係ないんだよ!損得じゃないんだよ!

もっと!心から!本能から!よく分からない何かがあります!

つまり誰も得はしてないです


66番さんがバニーちゃんになって私は得をすると言うなら話しは別ですが

71: ゼロシステム 2016-09-11 01:25:17 ID: JyhUJ-fu

続けて更新お疲れ様です!

助言ありがとうございます!なるほど、自分の好きなように書いていけばいいんですね、頑張ります!

マヨコーラ……飲んでみたいような飲みたくないような…吹雪のクッキーは絶対食べますけどね!
なにやら深みのある展開になってきたので目が離せないです…

これからも更新頑張ってください!ポテ神さんのリアル生活が大変なことになってるようですが遠くから応援してます!

あんまり無理しないでくださいね…?

72: ポテ神 2016-09-11 14:19:26 ID: cx6hAn7x

ゼロシステムさん!

頑張ってくださいね!楽しみに待ってますから

〜マヨコーラの簡単な作り方〜

コーラ(ペプシはダメ)を用意してマヨネーズ(カロリーオフはダメ)を好きな量(最低一本)入れてね

適当に混ぜたら出来上がり

ゼロシステムさんも試してみよう

感想聞かせてね

吹雪のクッキー・・食べたいですね(願望)

心配させるような事を言いましたがリアルはどうにかなっているので大丈夫ですよ

本社が潰れる前にトカゲの尻尾切りならず、トカゲの尻尾から手足が生えて逃げましたから

会社自体は社名が変わっただけで済んでます

ボーナスは逝ってしまわれたが・・

引きニートにだけはならずに済んでます

73: 春雨麻婆豆腐 2016-09-11 16:55:28 ID: bwgSEQI7

更新お疲れ様です!

↑のとうりにマヨコーラを飲んでみたところ…

一言で感想を言うと…この上無く不味い!そして後味が悪い!

もう少しで三途の川ウォーズに参戦する所だった…。

74: ポテ神 2016-09-11 22:52:25 ID: cx6hAn7x

春雨麻婆豆腐さん!

飲んだのかよ・・・やるな!

そんな勇気ある貴方に尊敬と感謝の念を送りつつ正気か?と言う言葉を送ろう

三途の川ウォーズに参戦していたならきっと時雨にハグ(スリーパーホールド)されていたでしょうね

そのまましょうテーーンなんてね

感想ありがとうございます。お口の消毒は入念に

75: SS好きの名無しさん 2016-09-14 18:37:56 ID: nwlX3Ycm

黒髪「そんなの血液型が合わずに拒否反応が起こって死んでしまいます」

如月「艦娘も同じで現艦娘の血がA型とするなら元艦娘の血がO型みたいなものなのよ」

西提督「なら、艦娘は死ぬのか?」

如月「ううん、死なない。人間にすれば死ぬけど艦娘の血はね獰猛なの」

血液型A型の人にO型の血液を輸血しても死なないのでは?
逆は死ぬと思いますが……。

76: ポテ神 2016-09-14 21:18:48 ID: nFA1k8qN

75番さん!

調べてみましたらその通りでした。確かに逆は無理ですが、AA、AO関係なくO型の血は輸血可能のようですね

てか、O型は全ての血液にいけるらしいですね。万能!!

A型とB型に訂正しておきますね。ご指摘ありがとうございます!

そして頭の悪い主を笑ってやってください

77: SS好きの名無しさん 2016-09-14 22:54:31 ID: bw_HJVqj

吹雪の愛情こもったクッキータベタイ

78: ポテ神 2016-09-14 23:45:08 ID: nFA1k8qN

77番さん!

俺だって食べたいです・・ですが・・それは叶いません・・だから自分で作ってこれは吹雪が作ったと暗示を掛けるんです!

焦げてるけど!そう思えば美味しく感じる筈です!作ってみましょつ!

79: SS好きの名無しさん 2016-09-20 20:36:37 ID: i48gQrz0

ふぅ……神通はマヨコーラ好きなのか……飲めるよう、にならなきゃ(白目)

80: ポテ神 2016-09-20 21:07:01 ID: ckahXld1

79番さん!

その勇気は認めますが・・命は大切にしてください!

あれは・・・飲み物ではない!!

81: 春雨麻婆豆腐 2016-09-20 21:46:02 ID: 6TWqWnBO

千円札で拘束だと…この野口…出来る!

82: SS好きの名無しさん 2016-09-20 23:59:11 ID: 8LBLW1Gx

あーこれは次のコミケで夕立が千円札に凌辱される同人誌出ますね間違いない

83: SS好きの名無しさん 2016-09-21 15:56:40 ID: i22q10eM

俺「時雨は可愛いなぁ〜…よし!時雨!
俺といいことy」

??「何やってるんですかぁ?」

俺「ファッ‼︎ち、違う、俺hアッー…」


余計なコメントですいません。応援してます、続き楽しみに待ってます。

84: SS好きの名無しさん 2016-09-21 17:37:25 ID: 3QxkchTl

79番です ふははははこれで神通とイチャイチャできる!
……味はどうだっただって
流石に1本ぶんは無理なので小さいコップの3分の1ぐらいのマヨいれてコーラいれて混ぜて飲んだよマヨが溶けきって無かったのが悪いんだろうネ一気飲みしたら
クソ甘ったるいマヨが口の中で暴れまくって後味がやばかったよ……少しの間味が残ってたからねwそっちに行く所だったよ…… 神通の膝枕……胃がムカムカしてきた

85: ポテ神 2016-09-21 21:28:11 ID: xTAdCkar

春雨麻婆豆腐さん!

野口さんですから!伊達に千円札やってませんぜ!

さぁ!君も千円札の札束で叩かれてみよう!

82番さん!

そんな奇妙奇天烈な事が起こるのか!

もしそうなったら!責任を持って買いに行きます!初コミケがなんぼのもんじゃぁああ!

83番さん!

貴方が時雨が大好きなロリコンだという事は分かりますよ

ですが、超えてはいけないラインがあります

どうか、今回のアーーッな展開を胸に刻み

見守るだけにしましょう!

84番さん!

無茶しやがって・・・でも、きっと神通も喜んでいると思います

貴方の神通への愛を強く感じました!

感動した!

提督「しかし、胃がムカムカするのか」

神通「胃薬をブレンドしては?きっと美味しいと思います♪」

提督「正気か?」

神通「はい!これで胃もムカムカしません」

神通「コーラにマヨを入れて胃薬を適量レンジでチン♪きっとマヨも溶けます」

何度も言いますがあれは飲み物ではない

命と胃は大切に・・胃薬飲めよ

86: ゼロシステム 2016-09-27 02:40:14 ID: rKpadME8

めっちゃ更新来てた!お疲れ様です!
なかなか覗きにくる時間が取れなくて……

神通さんマヨコーラ好きなのか……俺には早すぎたみたいだぜ…(作りました)

時雨のふぇぇ〜って泣き方に不覚にも可愛いって思ってしまいました…
時雨が可愛いのが悪い、時雨可愛い。

千の翼って総額いくらぐらいなんですかね?最近金の消費が過去最大級にやばいので野口さんに会いに行きたい…

これから更新頑張ってください!少し涼しくなってきたので身体に気をつけてくださいね?

マヨコーラのコーラ部分をペプシの強炭酸でやると不味さのレベルが一段階上がります………

87: ポテ神 2016-09-27 21:46:37 ID: nI1CzCpO

ゼロシステムさん!

コメントが久しぶりのような気がします!

まだ・・見てくれるんだね・・ありがとう!

神通はきっと喜んでいますよ。貴方のした事は無駄じゃなかったんです!

時雨が可愛いのはもう皆が知ってる事さ!あ〜可愛い〜

野口さんの千の翼はいくら掛かってるか・・それはピンからキリまでありまっせ!その時その時で額が違います!そして本人も額は分かっておりません

いくらなんでしょうか?

ゼロシステムさんも季節の変わり目なので気をつけてくださいね

ペプシにマヨ・・・・ペプマヨですね!!

88: tacos-P-Venom 2016-10-14 21:22:45 ID: tsfqNRms

清い心を持たなきゃロケランが撃てない...凄い矛盾してる感じがするッ!ネタがちりばめられ過ぎてて、展開が全く読めません!更新ファイト!です

89: ポテ神 2016-10-15 14:52:18 ID: -JiYUO_j

tacos-P-Venomさん!

この矛盾が良いんですよ!まぁ、提督は撃てていましたけど、気にしない!

ネタが散りばめられ過ぎて自分でもこれからの展開が分からなくなってるなんて口が裂けても言えませんぜ!

更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いしますね

90: にゃんだふる 2016-10-16 22:46:51 ID: tdmBiESi

くそう!これ読んでると課題が全然進まねえぜ!だがそこに痺れる憧れるゥ!
更新はよ!楽しみにしてます!

91: SS好きの名無しさん 2016-10-16 23:42:04 ID: nWcYzFJ6

ミノm…夕立がボッチになってしまう…夕立も攻略しなければ!
無理せず更新ファイトです!

92: ポテ神 2016-10-17 17:59:45 ID: 05TEH-xK

にゃんだふるさん!

それはそれは大変だ!課題を今すぐにやるんだ!俺はその隙に休むので!

更新は不定期ですが次の章もまた見てくれると嬉しいです!

91番さん!

夕立の孤独は救われるのか!これから先も応援よろしくお願いしますね!

最近風邪引いたので当分は大丈夫!!

93: ゼロシステム 2016-10-18 02:52:57 ID: 0K4hbU8d

第6章の完結おめでとうございます!
お疲れ様でした!

正直泣きそうになりました。リアルでも少しトラブルがあってそれが、ちょうど提督の取り乱してたシーンと重なってしまって…
素晴らしい作品をありがとうございます!
第7章の作成頑張ってください!
遠くから応援してます!

マヨコーラ友人に飲ませたら怒られました…

94: ポテ神 2016-10-18 12:18:00 ID: Fn4KZi53

ゼロシステムさん!

どうにか第6章も終われましたよ応援ありがとうございます!

リアルで何があったかは聞きませんが元気を出してくださいね

こんなSSを見て少しでも気がまぎれる事を遠くから祈っております

ですが・・・友人を巻き込むのは・・・知らぬ友人よ・・すまぬ

95: SS好きの名無しさん 2016-10-28 03:42:56 ID: dSSQPh5o

青年がどうなったのか気になってしかたがない

96: ポテ神 2016-10-29 06:56:30 ID: _HYG0g1H

95番さん!

さて、どうなったのでしょうか?消えてしまったのか?それとも・・続きを期待せずにお楽しみに!!

第7章も応援よろしくお願いします!

97: 春雨麻婆豆腐 2016-10-29 19:20:40 ID: xLQDljTG

更新、そして完結お疲れ様です!

時雨ぇぇぇ!さよなら…そしてありがとう…。

次は現実方面の物語かな?

98: ポテ神 2016-10-29 20:23:26 ID: _HYG0g1H

春雨麻婆豆腐さん!

とりあえず第6章は終わりました!コこれもメントや応援してくださったおかげですありがとうございます!

時雨とはきっとまた会えますから!さよならではありませんよ!

はい、次回の章からは鎮守府研修5日目からスタートです!

もしかしたら番外編が入るかもですが多分5日目スタートです!

次回の君の居た鎮守府と裏と表を行く提督をよろしくお願いしますね!


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9件オススメされています

1: SS好きの名無しさん 2016-07-19 02:07:17 ID: TsZO5ezV

今回の章で提督の謎が解ける・・・?

2: ゼロシステム 2016-07-19 02:33:29 ID: n5rnh1r1

今まで読んできたssの中で一番面白いss

3: こっぺ 2016-07-19 21:58:22 ID: o0ozLTp1

我が人生に、一片の悔いなし‼(鼻血どばー)

4: 春雨麻婆豆腐 2016-07-20 18:41:39 ID: 8iQm65Si

頑張ってください。

5: MAVIS 2016-07-29 08:27:30 ID: st2dTWKn

続き楽しみにしてます(ΦωΦ)フフフ…

6: SS好きの名無しさん 2016-07-30 19:16:04 ID: 4UpAtatz

いつも楽しく拝見させて頂いてます(=´∀`)人(´∀`=)頑張ってください(`_´)ゞ

7: SS好きの名無しさん 2016-08-31 12:50:24 ID: _PVTcYwV

続き楽しみにしています!!!

8: SS好きの名無しさん 2016-09-05 17:06:50 ID: 8E2i73Kc

面白いです!

9: リッツサンド 2016-09-23 11:01:39 ID: r6kxmVC-

続きを早く見たいです。


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