緑山峠 〜会社の原力女 上 〜
2500年人類には移住する場所が必要になった。人類移住計画をしている会社が動かす多くの機械。それを動かしてるのは彼女の血だった。
〜会社の原力女2〜に続きます^o^
いつもの道を無表情で車を飛ばす。窓を半分開け気持ち良い風が彼女のアルビノの髪を流す。目を細め白い建物を目指した。
「おはようございます」
人と1日のうちで20分しか会わないから着飾る必要はない。青いワンピースの上に白い白衣を羽織る。自分の腕をのばしタイルの上に乗せ、指紋認証。目の前の部屋は彼女のためにでしか開かない。
誰も見ていないのを確認し部屋に入る。部屋は会社と同じで赤いラインが多い。
白衣やワンピース、下着を脱ぎ、生まれたままの姿になる。奥にあるたくさんのチューブを自分の腕に刺した。すぐにチューブが赤くなり会社全体に行き渡る。彼女は目を開けた。全てがぼやけて見える。
以前までは髪の色も黒で目の色も茶色かった。いまでは驚くほど白い肌も生き生きとしていた。
全ての部屋に行き渡る、赤いラインは彼女の血であり全ての機械をマークしている。それぞれの機会は未来の宇宙移住計画に必要なものだ。
(わたしが…動かないと…)
クラクラとする頭をしゃっきりとあげ服を着た。部屋から出て行く彼女を虚ろな目で見つめる。
「…もういってしまうの?」
「ええ。」
「そう。」
彼女は一人で部屋から出てきた。
「お疲れ様です。」
長い茶髪を横で結った女の人が出迎えた。その人はまだ若く、20歳前後だろうか。彼女より年下だ。
「ルシスファ、私が死んだらあとを継いでくれる?」
彼女は首をかしげルシスファを見つめながら言った。ルシスファは驚いたように目をパチパチさせた。
「へ?なんでですか、死んでしまうのですか?」
(この子はまだ会社の原力を知らないのね)
「また後程いや、すぐに分かることよ」
彼女はルシスファを抱きしめた。ルシスファは困惑した。喋りかけようとしたら彼女の方が先に口を開いた。
「明日はもうちょっと長い間あの部屋にいるの。そのあとは一週間の休みをちょうだい」
「わかりました。あの、また肌が白くなりました?」
彼女ははっとしたように目を見開いた。
(腕が見えてしまった)
「そんなことないわよ」
悲しげに微笑んだ。
彼女用に特別に配布される大豆を中心とするご飯。一人でひっそりと手を合わせ
(いただきます)
目に弱々しく、青白い手が映る。大豆をくちのなかに運びながら辺りを見回す。
(何年この家にいるのかな…)
姉さんから会社の仕事を継いでからずっとずっと同じ日々を過ごしてる。恋人だったトリスも知らないうちに別れていた。
立ち上がり洗面台の前まであるき、鏡の前で立ち止まった。目がガラスのよう。そこで涙をこぼした。声をあげて泣いた。
「死にたくない…姉さんみたいにっ…なりたくないっ…」
ビショビショになり気がついた。この役目を果たさないとこの先人類は生きていくことができないことを。ゆっくり顔を上げる。
「明日が来るよ、姉さん」
面白そうなSSですね(´∀`)
続きも楽しみにしています!