2020-06-02 07:45:12 更新

概要

重桜艦隊の指揮する1人の指揮官と、重桜の艦船たちによる物語。


※二次創作であるのと、ストーリーに沿ったものになっていますが、作者はマウントも出来ないでき損ないゴリラなので普通に頭が悪いです。見苦しい点があるかもしれませんがご了承を。オリキャラも登場します。


ーー注意ーー

この作品は、アズールレーンの二次創作です。
すべてフィクションであるため、実際の団体や地名等とはなんら関係ありません。

また、個人の妄想の域を出ない作品なので、キャラ崩壊や設定崩壊、適当な世界観等を容認頂ける方のみ、作品の視聴をお願い致します。

PS4のクロスウェーブをプレイしていたらふと思い付いた作品なので、若干作品のネタバレも含まれます。ご注意を。

主に重桜艦隊の話になるので、ロイヤルやユニオン等の登場は未定です。(敵としては出てくるかもしれませんが)


前書き



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世界観について


基本は本家のものですが、作者が満足に理解していないので憶測で語る所もあります。

本家では三笠、長門、大和と指揮権が譲渡していますが、この世界では戦闘などの指揮権を指揮官が。指揮官よりも上の権力を長門が、さらに上の重桜艦隊の全てを決定する "重桜国家" が権力を持っています。

が、長門は重桜の分裂が再びあってはならないと、自分の権力を指揮官に譲渡しています。





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以下、当作品の主要人物の相関

指揮官 : 重桜艦隊を率いている指揮官。面倒くさがりでゆるーい人だが、一応仕事はしっかりするので、周りからの評価はそれなりにある。

重桜がアズールレーンから離反した際には、重桜を元ある形に戻すために相反し、アズールレーン側に着くものの、瑞鶴や三笠らと共に新生重桜艦隊を率いて、敵対していた重桜艦隊の面々を懐柔していく。レッドアクシズ側であるものの、立場としては中立を保とうとしている。

重桜艦隊の創立当初から率いているので、三笠や長門との交流も深いが、本人は2人を尊敬しているので、指揮官といえど態度は融和しないようにしている。そんな彼にも多くの秘密が・・・。




赤城: いつも指揮官の傍らにいる第1秘書官。分裂した重桜を率いた経験もあるので、指揮官と共に艦隊を取り締まるリーダー的存在でもある。指揮官が絡まなければ基本真面目だが、彼を前によく暴走したりする。





加賀 : 第一秘書は赤城だが、よく一緒にいるからと赤城の補佐を頼まれる苦労人ポジの人。

本来は赤城以外の人がいる前では姉様呼びは控えるが、指揮官の前や一部の者の前では普通に姉様呼びだが、これは指揮官から「普段通りでいい」という言葉を受けたからによるもの。






長門 : 重桜の神子。重桜を導き、指揮する立場だが、指揮権を全て指揮官に譲渡して、社での生活が主になっている。

指揮官が尊敬する人物の1人であり、指揮官からは「重桜の民としてのけじめ」として、 "御狐殿" と呼ばれているが、本人は快く思っていない。





三笠 : 前線を引いた身だが、瑞鶴らと共に新生連合艦隊を結成し、指揮官と共に重桜を元通りにするために戦った軍神。

指揮官が尊敬する人物の1人であるため、指揮官からは軍神殿と呼ばれていたが、三笠は快く思わない。お互いで折り合いをつけて、不満ではあるものの、今では姉 (あね) さんと呼ばれることで納得している。




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この世界は、『カノウセイ』の積み重ねで出来上がっている。だがそれは、定命の者が年を取っていくように、目に見えるモノではない。


しかし、いま現在この場所で俺が彼女らと共にしていることを考えれば、自ずと理解できてしまうのだ。決して交わることのなかった運命が交わってしまったのだから。


彼女らは俺と違う道を選んだ。それは、二度と交差することのない片道のレールである。俺と彼女らはただ、離れていく事しか出来なかった。


だが、ある日、俺は "彼女"と出会った。決して交わることない筈だった2人が『カノウセイ』という、未知で不確定な力に導かれ、こうして共にしている。


きっと、彼女らと道を違える事がなければという『カノウセイ』が、いま、俺と彼女らを出会わせたのだろう。




指揮官「俺はこの『カノウセイ』に全てを賭けてみたい。どんな未来が訪れるのか、楽しみで仕方がないからだ・・・っと」カキカキ



指揮官「さぁて、日報も書き終わったところで眠るとしますかねぇ・・・」


赤城「熱心に何かをお書きになられていたようですが、それはもしかして、赤城へのお手紙ですか?」ガチャリ


指揮官「・・・いつも言っていることだが、ノックの1つや2つはするべきじゃないのか?」


赤城「もう、私は既に2度も3度も行なっているのに、返事もして下さらない。指揮官様は赤城の事をどう思っておいでなのですか?」


指揮官「ああそれはすまなかったな。じゃあ改めてお詫びに伺うから部屋で待っていてくれ」


赤城「指揮官様が赤城の部屋に!? あぁ! 赤城は嬉しさの余りにどうにかなってしまいますわぁ! 支度を済ませておきますので、早くお越しになって下さいませ~」ガチャ バタン



指揮官「はいはい楽しみにしておくよ」


加賀「・・・・・」


指揮官「ん? 何か用か?」


加賀「いや、私はこれといった用はない。だが・・・」


指揮官「あぁ・・・、赤城に着いてきたものの、俺の話に浮かれた赤城に置いていかれた。そんなところか?」


加賀「・・・あまり、赤城を雑に扱って欲しくないものだ。あんな艦船 (ヒト) でも、私にとってはかけがえのない存在だからな」


指揮官「分かってるよ。じゃなきゃこうして話すら聞かないさ」


加賀「・・・そうか」


指揮官「そうさ。お前も来るのか?」


加賀「そうだな。どのみち目的地は同じだからな」


指揮官「それじゃあ行きますか。鍵閉めて行くから忘れ物とかするなよ?」


加賀「・・・その気づかいを赤城の前でしてくれれば、私も少しは気が休まるのだが?」


指揮官「はいはい。善処しますよ」





こうして、新しい『カノウセイ』に導かれて、俺は再び、重桜の指揮官としての道を歩み始めたのだから。






・・・・・







指揮官「ふぁ~あ。眠い眠い。眠くて何もする気がないわぁ~」


指揮官「大体、セイレーンが来たところで別に追い返すわけでもなし、情報を渡すでもなし、俺はただのお飾りのポジションだしぃ~」


指揮官「寧ろそういうのはお偉方がやることであって、俺がどうこうできる問題でもないしぃ~」


指揮官「外交とかもぶっちゃけダルいんだよなぁ~。まあ鉄血とかヴィシアならまだ融通利くけどさぁ~」


神通「そのお話、円卓に皆を集めてまでするべきものではないと思われますが?」


赤城「そこまで気を揉んでいらっしゃるなら、後で私が幾らでもお付き合い致しますわ。ふふふ・・・」


加賀「・・・指揮官、姉様も、真面目にやってください」


高雄「指揮官殿、このような事を話されるために、拙者たちを集めたわけではなかろう」


愛宕「余り怠けるなら、きつ~いオシオキが必要かしら?」


指揮官「はいはい、じゃあぼちぼちやりますか・・・今回の議題は、レッドアクシズ、アズールレーン両陣営の対談において、我々重桜は参加するか否かって問題」


指揮官「まあ、本来は上のお偉いさんが決める事なんだが、何でかこっちに決定権が回って来ちまったんだなぁ。どうするかね?」


神通「確かに・・・難しい問題ではありますが・・・」


赤城「指揮官様は、どのようにお考えなのかしら?」


指揮官「俺は出来れば行きたくない。だって、言葉通じないし」


加賀「・・・少しくらいは覚えて行けばいいのでは?」


指揮官「それが出来たら苦労せんでぇ。ただでさえ仕事多い上に増やされちゃあ敵わねえや」


愛宕「あら、指揮官さっきまで駆逐艦の子達と遊んでたじゃない」


指揮官「ばっ、お前! なっ・・・何を言っているのかわかりませんなぁ・・・あはは・・・」


高雄「確か・・・綾波と部屋で何かをしていと記憶しているのだが?」


長門「なんと・・・破廉恥な・・・!?」


指揮官「待て待て待て!! 誤解だ誤解!!」


赤城「し・き・か・ん・さ・ま?」ゴゴゴ


指揮官「あ、赤城? ほら、これはちょっと周りの言い方が悪いだけで俺は決して疚しい事をしたわけでは--」


赤城「ええ、分かっていますわ。あ・ち・ら・でゆっくり聞かせて頂きます。うふふ♡」ズルズル


指揮官「おい、ちょ、どこに連れてく気だ!?」ズルズル


赤城「もちろん、赤城と指揮官様の愛の巣ですわ♡ フフフ♡」


指揮官「ま、待ってくれ! まだ会議中だろ!? まだまだ決議にも至っていないのにこんなことをするなんてのは些か宜しくないと思うのだが」


指揮官「かっ、加賀! 助けてくれ!神通! 高雄!! 愛宕!! 御狐 (みこ) 殿ぉ!!!」


赤城「指揮官様? あなたの側に居るのはこの赤城なのに、どうして他の女の名前を呼ぶの? 赤城の事が嫌いなの? ねえ指揮官様!!!」ガシッ


指揮官「痛たたたっ!! ちょっ、爪を立てるな爪を!」


加賀 (なぜこうも姉様の地雷を踏み抜くようなことをするのだろうか?)


赤城「私の愛は無限大よ。ふふ、うふふ、アッハハハ!」バタン


長門「あ、相変わらず・・・その・・・いつもと変わらぬな。赤城も・・・」


加賀「長門様、申し訳ありません。あの2人はいつもあの様なもので・・・」





チョットマッ・・・アーッ!!


シキカンサマァ♡ シキカンサマァァァ♡





加賀「あっ、あのような・・・\\\」


高雄「何故だろうか、この光景に慣れてしまった拙者を称賛する拙者と自身を律せよと訴える拙者が居るように感じてならないのだが」


愛宕「高雄ちゃ~ん? また変なこと言ってるわよ~?」


長門「落ち着け高雄よ。余も未だに慣れぬ・・・」


神通「これで今日中に終わるのかしら・・・」ハァ



-約20分後-




赤城「ただいま戻りましたわぁ♪」 ツヤッツヤ


指揮官「・・・・・・・」 シナッシナ


愛宕「あらあら、指揮官、大丈夫?」


指揮官「・・・ぁぁ、だぃじょうぶさ・・・ははは」


神通「指揮官、このまま続けてもよろしいでしょうか?」


指揮官「そうか・・・まだ・・・途中だったな」 ハハハッ


加賀「・・・取り合えず、何か飲み物を淹れて来よう。指揮官、何がいい?」


指揮官「あぁ・・・出来れば・・・コーヒーが良いかな・・・」





-数分後-






加賀「お待たせしました。姉様」 コトッ


赤城「あら、ありがとう」


加賀「指揮官、ここに置いておくぞ?」 コトッ


指揮官「うん・・・ありがとう・・・ブラックだね」


指揮官「ブラックはいいよぉ・・・苦いものは良い・・・さっきまで甘かったから・・・甘くて苦くて・・・苦いものはいいなぁ・・・。すっきりするもんな・・・」 ゴクッ


高雄(かなり言動が不明瞭ではないか?)


神通「・・・それでは、全員が集まったので、再開させて頂きます」


愛宕「このまま続けるのぉ~?」


長門 (神通、お前の肝の大きさに、余は感心するぞ・・・)







・・・・・





神通「--ということで、重桜は今回の会談には不参加の意思を表明することに致します」


赤城「正直、それが妥当なところだと思いますわ」


愛宕「鉄血やヴィシア、サディアの動向を伺うというのも一つの手ではあるけど」


高雄「主催がユニオンである上に、サディアは決して参加しようとはせぬだろう」


加賀「そもそも、時期が余りに遅すぎる。有益なものではないだろう」


長門「・・・」


指揮官「・・・」ガタッ


赤城「指揮官様?」


指揮官「・・・御狐殿。あなたのお気持ちは分かっているつもりです。ですが、今となっては遅すぎるのです」 スッ


長門「し、指揮官、御狐は止せとあれほど言っておるのに・・・しかも膝を着くなど、指揮官にあるまじき姿だと--」


指揮官「お叱りはごもっともですが、これは俺なりのケジメのつもりです。俺にとってあなたはかけがえのないお方ですから・・・」




高雄 (何というか、人が変わりすぎておらぬか? 先程までだらけていた指揮官だとは思えぬのだが・・・) ヒソヒソ


愛宕 (いろいろと搾り取られて素が出てきたんじゃない?)ヒソヒソ




長門「だからって・・・。余はただの艦船で、そなたは艦船を率いる存在・・・。そのような者が一艦船にひれ伏すなど・・・」


指揮官「俺も、御狐殿と同じように、争いは好みません。ですが、いま事を起こせばこの戦争は苛烈さを増すかもしれません。どうか・・・」


長門「・・・わかっておる。余とて、情勢くらいは心得ておる。あと、御狐は止せといつも言っておろうに・・・」


指揮官「・・・善処しましょう。それでは、今回の会議はこれにて解散ということで。各自あとは好きなように過ごしてくれ」


神通「それでは、解散と致しましょう」




・・・・・





指揮官「あぁ~、つっかれたぁ~」 グデー


加賀「・・・少しは襟を正して欲しいものだが?」


指揮官「もう無理~、疲れた~。加賀~、甘やかしてくれ~」


加賀「・・・もう一度姉様に搾りとって貰ったらどうだ?」


赤城「あら、私を"あばずれ"にするつもりなのかしら~?」


加賀「っ!? い、いきなり出てくるのは止めてください!」 ビクッ


指揮官「よし! 加賀、仕事をしよう! 今日は何かあったかなぁ?」


赤城「指揮官様? この赤城を頼って頂いても宜しいのですよ~?」


指揮官「もちろん頼りにしているさ。秘書艦殿」


赤城「はい~、お任せくださいませ~」 ニコニコ


加賀「では、私も微力ながら助力しよう。まずは--」








・・・・・








指揮官「--よし、これで良いだろう。次は?」


赤城「はい、艦隊の資源管理の書類ですわ」


指揮官「・・・燃料はまあいいとして、資金の巡りがおかしくないか? 何でこんなに支出の方が多いんだ?」


赤城「・・・さあ? 何故でしょうか?」



赤城 (し、不知火から蔵王製の艦載機を大量購入したからなんて、口が裂けても言えませんわ・・・)


指揮官「にしたってかなりの額が減ってるんだなぁ・・・」


赤城 (しかも、全て指揮官様の名義で購入したもの・・・。赤城の強さに惹かれて貰おうという魂胆なのに、思わず衝動買いしてしまった浅ましさに心を痛めつつ・・・)


指揮官「あっ! そうだそうだ、艦載機を増強しようと思ってたんだ。赤城?」


赤城「はっ、はい!?」


指揮官「艦載機を不知火や明石の所から見繕って欲しい。出来れば蔵王製がいいんだが、無いようならば他の物でもいい」


赤城「そ、それでしたら、赤城が既に用意しておりますわ」


指揮官「ん? 何で?」


赤城「指揮官様のお考えなら、赤城は全て分かっておりますわ。こちらがその明細です」


指揮官「どれ・・・・んー、まあ、これで良いか。で、どうして事前に艦載機を手配していたんだ?」


赤城「で、ですから、指揮官様のお考えなら赤城は--」


指揮官「そうかそうか。俺はこんなにも赤城の事を信頼しているのに、それに背くようなことをするのか。悲しいなぁ。指揮官は悲しいなぁ・・・」


赤城「そ、そんなことを言われましても・・・」アタフタ


指揮官「そうか。じゃあ死のう」ガタッ


赤城「指揮官様!? 」


指揮官「赤城が俺のことを信用してくれない~!!」 ダッ


赤城「し、指揮官様~! お待ちになって~!!」 ダッ





・・・・・




瑞鶴「翔鶴姉、私ね、最近こっちに戻ってきて良かったかもって思うんだ」


瑞鶴「もちろん、始めは不安もあったよ? 出奔した私を迎えてくれるなんて、思ってもみなかったし」


翔鶴「そうねぇ。昔は、先輩たちも随分と荒れていたし・・・」


瑞鶴「うん。でも、指揮官が来てくれて、重桜は一つになれた・・・んじゃないかなって思う。三笠大先輩からの後押しもあったから、私はここに居られる」


瑞鶴「そう思ったらさ、私が重桜を出ていったのも、間違いじゃなかったのかなって」


翔鶴「そうねぇ。でも・・・」


指揮官「赤城がぁ~!赤城が俺のことを信用してくれない~! 死んでやる~!!」 バタバタ


赤城「指揮官様ぁ~! 待ってください~!」 ハアハア



翔鶴「指揮官も、あんな感じなのよねぇ」


瑞鶴「あっちゃ~・・・また面倒そうなことになっちゃってるね~」


翔鶴「少し邪魔してみようかしら? 足を引っ掛けたり」フフッ


瑞鶴「多分、命の保証がないから止めた方がいいと思うな・・・」






・・・・・





赤城「何てこと・・・指揮官様を見失うなんて・・・」 ハァ…ハァ…


赤城「指揮官様ぁ~・・・どちらに居られるのですかぁ・・・」


三笠「指揮官なら、先ほど明石の所へと向かっていたぞ? 全く、廊下を走るなと皆に号令している立場の者があの様子では示しがつかぬ」


赤城「あら、三笠殿・・・。ご助言感謝致しますわ・・・指揮官様ぁ~!」 ダッ




・・・・・




指揮官「おーい、明石ぃー! 居るかぁ?」





シーン





指揮官「誰も居やしねぇ・・・。一体どこをほっつき回って--」


不知火「何かご用でしょうか?」ヌッ


指揮官「うぉっほい!? おい! いつもいつも言ってるけど、後ろからヌルッと出てくるなよ!! 今は明石いないの?」


不知火「明石は今朝出撃なさったのでは? 第3艦隊に編入したのはご自身であるのにお忘れになられるとは、お歳ですか?」


指揮官「お前なぁ!!」


不知火「恐れ入りますが、工廠では音が反響するのでお静かにお願い致します」


指揮官「っ・・・だあぁぁぁ!! もういい! ・・・今日、赤城が艦載機を幾ばくか買っていかなかったか?」


不知火「申し訳ございませんが、商売人として、顧客の情報を第三者に流すのはご法度で御座いますゆえ」


指揮官「ほう、実は帳簿の数字との誤差があってな。事と場合によっては軍法会議物だが?」


不知火「それは、妾の預かり知らぬ所です。こちらの発行する書類に不備はございませんから」


指揮官「・・・はぁ、わかった。お前には負けたよ。元々は別の理由があった訳だしな。実は艦載機を幾つか見繕って欲しくてな」


不知火「艦載機でございますか。少々お値が張りますが、よろしいでしょうか?」


指揮官「構わん構わん。設計図でも何でも、取りあえず艦載機に纏わる品なら買わせて貰う」


不知火「左様ですか。それでは、何か希望の物は御座いますでしょうか?」


指揮官「そうだな。取りあえず蔵王製が望ましい。無理ならクラップ社でも何でもいい」


不知火「では、蔵王製のものを手配致しましょう」


指揮官「それと、赤城が買っていったもの以外で頼むぞ」


不知火「かしこまりました。・・・・・・あっ!」


指揮官「おいおい、顧客の情報は厳守じゃなかったのか?」


不知火「い、1ヶ月前にも、赤城さんはご購入されて行きましたので・・・」


指揮官「1ヶ月前に "も" か。なるほどなるほど」


不知火「そ、それは揚げ足取りでは--」


指揮官「どうせ商品の目録も、購買の履歴も正式な書類としていつかは上がってくるんだ。早い内に認めておけって」


不知火「・・・参りました。確かに買って行かれました」


指揮官「その時に何か言っていたか?」


不知火「それは--」 ヒソヒソ










赤城「指揮官様ぁ~! やっと見つけましたわぁ~」



指揮官「おっ、やっと来たか。なんだ、会議の前に俺に良いところを見せたいって、不知火の所から勝手に艦載機を買っていったそうだな?」


赤城「な、何のことでしょうか?」


指揮官「ああ、別にしらを切るならそれでもいいが、無断行為は厳罰に値するわけだ」


赤城「赤城は、指揮官様のことを思って--」


指揮官「だとしてもだ。一人の勝手な振る舞いが、集団の輪を乱すこともある。・・・お前なら十分わかるよな?」


赤城「・・・・・・」 シュン


指揮官「そして一人の勝手な振る舞いを認めれば、他の者に示しがつかないのもわかるよな?」


赤城「・・・・・はい」


指揮官「賞罰はしっかりと。それが俺のモットーの1つだ。なら、今からお前がどうなるかわかるよな?」


赤城「・・・・」


指揮官「赤城、歯ぁ食いしばれ!!」


赤城「っ!!」 キュッ





指揮官「--ていっ!」 デコピン


赤城「痛い!? えっ!? 」 ポカーン


指揮官「なーにが良いとこ見せたいからだよ。お前のことなんざ、こーんなちっせぇときから相手してるっつうの」


指揮官「だから、俺の前でくらい、変に取り繕うとするな。お前の良いところなんざ、数えきれないくらいあるんだからよ」


赤城「指揮官様・・・」



指揮官「 ま、罰として明日の秘書艦は加賀に変更だな」 ワシャワシャ


赤城「・・・もう」 フフッ




パシャッ パシャッ




指揮官「ん?」


赤城「あら?」


青葉「よっしゃ! 特ダネゲット! 邪魔物は退散!!」 ダッ


指揮官「あ、青葉てめぇ! 待ちやがれ!!」ダッ


青葉「待てと言われて待つブン屋がいるかって話ですよー!!」 ピュー


指揮官「てめえその写真記事にしてみろー! 絶対に許さねぇからなぁぁ!!」ピュー



不知火「追わなくて宜しいのですか?」


赤城「えぇ。あのまま放っておけば・・・フフフッ」ニタァ


不知火「これは新しい悪知恵・・・いや、止めておきましょう。我が身一筋でありますゆえ」




・・・・・






指揮官「・・・・暇だな」



赤城「ですわねぇ・・・」



加賀「・・・・・・」



指揮官「・・・何か甘いものでも食べるか?」



赤城「・・・出来れば、コーヒーを口にしなくても食べられるものがいいですわぁ・・・」



加賀「・・・・・・」



指揮官「・・・・お前まだコーヒー飲めないのか?」



赤城「あら? あのような泥水を飲むなら海水か醤油を飲んだ方がまだ・・・・」



加賀「・・・・・・」



指揮官「・・・不知火が、上等な玉露が手に入ったとかいって幾らか寄越してくれたな」



赤城「あの守銭奴が・・・珍しいこともあるのねぇ~」



加賀「・・・・・・・」



指揮官「・・・・・・あんみつでいい?」



赤城「・・・・いただきますわ」



加賀「・・・・・・・・・・・・・・・・・」



指揮官「なぁ、そろそろ許してやったらどうだ?」


赤城「・・・・何がですか?」





指揮官「・・・・・・何で加賀はお前の椅子にされてんの? 俺さっき暇とか言っちゃったけど、だいぶ大事だぜ?」


加賀「・・・・・・・指揮官、それはだな--」


赤城「椅子が口答えなんて随分な態度じゃない? 大人しく四つん這いになってなさい」



加賀「っ・・・・・・・・・」




指揮官「ねぇ、俺マジで何を見せられてんの? すっげぇ気になるんだけど」


赤城「まあ、大したことでは御座いませんの。長門様のおやつをこの白狐が奪っただけのことですから」


指揮官「・・・・代償が破格じゃないか? 御狐殿も少しは折れろよ」


指揮官「んで、お前はもうちょっと抵抗しろよ! 何でいいなりになってんだよ! 一航戦のプライドを持てよ!」





加賀「・・・・・・・」




指揮官「お前ほんとに頑なだな。すげぇよ。尊敬するよ、ある意味で」



赤城「長門様のいる手前、このような暴挙に出るしか手はありませんもの」



指揮官「暴挙っていう自覚はあるんだな。少しほっとしたわ。て言うか、菓子の一つや二つなら俺が買ってやるからさ、勘弁してやれよ」



加賀「・・・・・・実は、それが三笠大先輩からの頂き物とは露知らず・・・・」



赤城「私の言うことが聞けないの? 椅子は大人しく四つん這いになってなさい」



指揮官「お前・・・・ほんっとうに容赦ないな。敵に回って欲しくないタイプだとつくづく思うよ。まあ、実際回ったけど」





・・・・・




指揮官「--という訳なんですがね」


三笠「ふむ、大体のことは理解した。3人とも、頑なな性格をしておるからな。さぞ面倒をかけたことだろう」


指揮官「いや、別に面倒ってわけではねぇですけど。ただ、加賀はいたたまれないし、御狐殿も納得していただけねぇし、赤城も赤城で板挟みだしで、もうどうしてよいやら」


三笠「今回のこと、我にも責任の一端はあろう。指揮官、長門達と少し話したい。諸々の手配を手伝っては貰えぬだろうか?」


指揮官「もちろん! 姉さんの頼みとあっては断る筋合いはねぇし、何より加賀がもう目も当てられなくて・・・」



三笠「うむ、助かるぞ。それと、我のことは三笠と呼べと昔から言うておるだろうに・・・」


指揮官「これでも妥協した方なんですがね。本来ならこんなタメ口なんか使えねぇし、姉さんなんて呼ぶのさえ烏滸がましい。あなたは重桜の軍神様であり、俺を含めた皆の憧れでも有るんですから」


三笠「重桜の未来は若人達に委ねた。大昔の遺恨にすがっては、重桜の栄華はない。だから我は長門に全てをだな--」


指揮官「わかってますよ。それじゃあ、すぐにでも手配しますんで」


三笠「うむ、よろしく頼むぞ」





・・・・・





赤城「・・・・・・・」




指揮官「・・・・・・・」




加賀「・・・・・・・」




指揮官「・・・・・・何とか許して貰えたな」




赤城「・・・・・・はい。何とかですけど」




加賀「・・・・・・本当に、申し訳ないことをしました」




赤城「・・・・・・謝罪より、感謝の方が先でしょう?」




加賀「・・・・・・・指揮官。本当に感謝している。それと、お手を煩わせたこと、申し訳ない」




指揮官「・・・・・・別に、気にすんな」




赤城「・・・・・・・」



加賀「・・・・・・・」



指揮官「・・・・・・・あんみつ、食べるか?」




赤城「・・・・・・・頂きますわ」




加賀「・・・・・・・ご相伴に与るとしよう」




指揮官「・・・・・・・じゃあ、用意してくるから少し待ってな」 スタスタ




加賀「・・・・・・姉様。何故、三笠大先輩があの場に来られたのか。あまりにも不自然です」


赤城「ふふっ、指揮官様がお呼びになったのよ」


加賀「指揮官が?」


赤城「そもそも、あんなつまらない争いに、指揮官様は関与するはずが無いわ。『自分達で解決しろ』って、はね除けるはずよ」


赤城「それでも指揮官様が手を尽くしてくれたのは加賀、あなたの為よ?」


加賀「私の・・・・・・?」


赤城「指揮官様の前で、あなたをあのように扱えば、指揮官様は居ても立っても居られないもの。必ず動いて下さるわ」


加賀「・・・・・・だから、長門様の前であのような事を言ったと?」


赤城「ええ。それに、長門様もさほどお怒りではないもの。まあ、始めのうちはそうではないかもしれないけど」


赤城「それに、指揮官様から加賀がこんな目に遭っていると長門様にお伝えすれば、私が実際に行動に移したという信憑性も高まるわ」



加賀「・・・・・・そういうことでしたか。これで私も合点が行きました」




赤城「・・・・・・本当にお優しいお方。初めてお逢いした時からずっと・・・・・・ずっと・・・・・・・」



加賀「・・・・・・・・・そうですね」






加賀 (・・・・・・・姉様。あなたは・・・・・・・・・)






・・・・・






ーー母港 噴水前ーー




指揮官「ここ最近、冷えてきたなぁ」 ヨッコイショ


赤城「最近は季節がおかしくなってしまいましたからねぇ」


加賀「とはいえ、昔と比べれば遅すぎる寒さだがな」


指揮官「はぁ、いやだねぇ四季を感じないのは。重桜の魅力の一つが失われていく感じがして」ヤレヤレ


加賀「その魅力にいちいちケチをつけるような奴が、どの口でそれを言うのか」


指揮官「だって暑いもんは暑いし、寒いもんは寒いだろ。はぁ、春と秋だけが交互に来れば良いのに」


赤城「夏と冬があるからこそ春と秋があるのではなくて?」


指揮官「それもそうなんだよなぁ・・・」


加賀「・・・結局、この話は平行線のままで終わってしまうのだな」


指揮官「決着が着かない話題ランキング第3位だな」


赤城「・・・それは誰が作られたランキングなのですか?」


指揮官「・・・俺」


加賀「・・・・・・」


赤城「・・・・・・」


指揮官「・・・・・・」


加賀「・・・そういえば、ロイヤルやユニオンでの行事が重桜にも渡ってきて、駆逐艦達の間で話題になっているとか」


指揮官「あぁ、ハロウィンって奴かな。元々は日本のお盆みたいなやつなんだが、こっちに渡ってきたのは仮装やらがメインになって、まあ俺らには無縁な行事だなぁ」


加賀「なんでも、子供たちが大人のもとを訪れてお菓子をねだるのだと」


指揮官「もともとの行事には魔除けの意味合いがあるから、それを子供達が大人に知らしめる・・・という意味なのかは知らんがな」


赤城「物騒な世の中ねぇ。私たちも準備した方が良いのかしら?」


指揮官「まあ、俺が禁止と言えば禁止になるし、別の事をやらせてもいいんだが、娯楽もあまりないからなぁ。少し位は容認してやりたいと思ってる」


赤城「それでは早速準備を致しましょうか?」


指揮官「まあ、とっくの前に終わってしまったけどな。俺が子供の頃は聞いたことすらなかったから、時代の流れを感じるよ」


加賀「・・・それ、何年前の話だ?」


指揮官「・・・・・・」


加賀「・・・・・・」


赤城「・・・落ち葉が増えてきますわねぇ。お掃除するのも楽ではないというのに」 チラッ


指揮官「それじゃあ、集まった落ち葉で焼き芋でも作るか。といってもまだまだ先だけど」 チラッ


加賀「・・・・・・はぁ。分かった、分かりましたよ。2週間後にでも上物を取り寄せられるようにしておきます」


赤城「あら、ありがと」


指揮官「多く取り寄せとけ。余ったらスイートポテトなり大学芋なり作るさ」


加賀「・・・それは全て誰が作ると思っているのだ?」


指揮官「俺が作るつもりだったけど? なに?手伝ってくれんの?」


赤城「もちろん赤城も♡」


指揮官「おっ、助かるねぇ。といってもまだ先の話だけど」


赤城「また楽しみが増えましたわ~」


加賀「・・・・・・」


指揮官「・・・仕事始めるか」


赤城「では、赤城も秘書としてお手伝いを」


指揮官「いや、今日はいい。たまにはゆっくり休め」


加賀「なら私がーー」


指揮官「お前はもっと休め。残業手当を支給する見にもなれ」


赤城「残業手当なんて頂いたことあったかしら?」


指揮官「いや、言ってみたかっただけ」


加賀「・・・・・・」


赤城「・・・・・・」


指揮官「なんだよ、ちょっとした冗談じゃないか。さてさてぼちぼち始めるかぁー」ヨッコイショ


指揮官「あぁそうそう、夕方から冷え込むらしいから風邪引くなよ?」


加賀「それを私たちにいうのか・・・」


赤城「指揮官様のお気遣い、心より感謝いたしますわ~」フフッ


指揮官「それじゃあ先に戻ってるからな~」ヒラヒラ


加賀「・・・・・・」


赤城「・・・・・・」


加賀「・・・戻りますか?」


赤城「・・・ねえ加賀? 私たちにこんな平穏が待っていたなんて、誰が想像できたかしら?」


加賀「姉様・・・? 突然どうされたのですか?」


赤城「だってそうじゃない? 人類を裏切った私たちが、こうして指揮官様の元に集まって、人類の為に戦おうとしている。滑稽じゃない」


加賀「・・・後悔されているのですか?」


赤城「後悔? いいえ。後悔なんてしていないわ」


加賀「・・・そうですか」


赤城「そうよ」


加賀「・・・そうですね。私も、後悔はしていません。人類を裏切ったことも、指揮官の元に集ったことも。姉様と共にあっての私ですから」







ーーもしこれが、カミの采配だとすれば、なんと惨たらしいものなのだろうか。





ーーあいつは一体、いつまで縛られなければならないのだろうか・・・






ーーあいつにはもっと、別の「カノウセイ」があった筈なのに・・・・・・






・・・・・





指揮官「あっ、そういえば、近々あいつらがこっちに戻ってくるらしいぞ?」


赤城「あの2人ですか? 重桜を出奔したあの五航戦と同じように、彼女達も・・・・・・」


指揮官「まあ、そういうなって。ようやくこっちで居場所を特定できて、迎えに行かせてるんだから。その割には到着がかなり遅れているがな」


加賀「その案内役から送られた連絡だ。『航路を迷った』と」



指揮官「・・・・・・・やっぱあの2人に行かせたのは間違いだったかぁ~」 アチャー



赤城「確か・・・金剛と山城だったかしら?」


加賀「まあ、重桜も大所帯になった。古くからいたもので、彼女達を知るものもそう多くはない」


加賀「高雄と愛宕に向かわせるのが最もだが、あの2人には別の仕事があった。あの状況ではこれが最善だと納得して決めたことだろう?」


指揮官「まあ、それはそうなんだが・・・。破天荒なあいつらを2人が押さえ込めるのかと言われれば・・・・」 ウーン


赤城「・・・・・・」





コラー!!! ロウカヲ ハシルナー!!




スミマセン!! アトデキツクシ カッテオクノデ




ハヤクハヤク-!! マイリマショウゾー!!!





指揮官「おっ? 来たか?」



島風「駆逐艦島風! ただいま重桜に帰投致しましたー!!」 バターン


駿河「あぁ、こらまた勝手に・・・・。戦艦駿河。同じく重桜艦隊に帰艦しました」 バタン


指揮官「よっ! 久しぶりだな。変わりはないか?」


島風「はい! 指揮官も益々の・・・ますますの・・・」 チラッ


駿河「御健勝」 ボソッ


島風「そう! 益々の御健勝のこととお喜び申し上げます!!」 ビシィ


指揮官「あっははっ! 相変わらず仲のいいやつらだ」


島風「はい! 駿河殿には沢山助けていただいてます! 島風にとって憧れのひとで、大切な友人ですから!」


駿河 (まったくこの子は臆面もなく~!)


指揮官「ははっ! だ、そうだ。憧れの駿河さん?」


駿河「やっ、ちょっ! 茶化さないでください!」 アタフタ


赤城「し・き・か・ん・さ・ま?」 ゴゴゴ


指揮官「おっと、本題に移らないとな。単刀直入に言う。2人とも、俺の元に来る気はないか?」


島風「?」 クビカシゲ


指揮官「まあ、知っての通り重桜は一度分裂した。そこからなんやかんやあって、何とかここまで持ち直した」


駿河「まあ、話だけは聞いていますけど・・・・」 (なんやかんやの部分が大切なんじゃないんですか!? そんなあやふやな認識でいいの!?)


指揮官「別に俺だけの力じゃないさ。御狐殿や軍神殿、多くの者に助けられた。だが、まだ完璧じゃない。俺の望む重桜の姿には程遠い。だからお前達にも力を貸して欲しいんだ」


駿河 (まあ、今の話のなかでは大して重要じゃ無いってことなんだろうけど、でもなんか気になるー!!)


島風「指揮官の望む重桜の姿って、どんなものなんですか?」


指揮官「んー・・・みんなが自由に笑って暮らせる世界・・・とか? 大切な人と死ぬまでずっと一緒に過ごせる世界とか? 争いが無くなって、誰も悲しむことがなくなる世界って言うのかなぁ? なんかそんな感じ?」



駿河 (また何か曖昧な物言いだし。自分の信念なんだから堂々と言ったら良い--)



島風「だったら! 島風は駿河殿とそんな世界で過ごしてみたいです! 買い物したりー、ごはん食べに行ったりー、色んな服を着て、色んな事をしてー」


指揮官「そうそう。そういう重桜にしたいんだよ。・・・確かに、伝統があるからこそ大切にするのも分かるし、それに従うことも悪いことじゃないさ。だけど、やっぱ生きるなら楽しくないとね?」


駿河「ま、まぁ、分からなくはないですけど・・・・ (全然聞いてなかった・・・、適当に相槌打っておけばいいか)」


指揮官「まっ、そんな話をしても、俺には何の力もないから、そんな幻想は絵に描いた餅だ。でも、君たちだったらその餅を絵から取り出せる」


指揮官「そのために君たちの力を貸してほしい。利用させてほしいと言ったら、怒るかい?」


島風「・・・・・・・」


駿河「・・・・・・・」


指揮官「・・・・・・・えっ? 無視!?」



赤城「指揮官様のお話が長過ぎて飽きてしまったんでしょうねぇ」


指揮官「おっ、そうか。じゃあ後でお前に罰を与えるわ。懺悔を済ませとけよ」


加賀「・・・・・指揮官、ほどほどにな」


島風「取りあえず、島風たちも重桜に合流して、指揮官殿の望みを叶えるために手を貸して欲しいってことですよね!?」


指揮官「そゆことそゆこと。どうかな?」


島風「勿論! 指揮官殿に協力させていただきます! 外洋で色んなものを見てきましたから、何か力になれるはずです!! 駿河殿も、賛成ですよね!?」


駿河「まあ、私はどちらでも。別に飼い殺しにされても構いませんけど・・・」


指揮官「飼い殺しとは穏やかじゃないねぇ」


駿河「先程の『なんやかんや』の部分を詳しくお話願いたいものですね」


指揮官「あー・・・・まぁ、それは別の機会にーー」


駿河「いいえ! 今です!!」


指揮官「えー・・・まあいいか。取りあえず、どこか落ち着けるところで話そう。障りがあるからな」


赤城「それでしたら、赤城が何かお飲み物でもーー」


指揮官「いや、こっちで用意する。別の仕事を頼んでもいいかな?」


赤城「はい、何なりと」


指揮官「夕飯にどうしてもさっぱりしたものが食べたくてな。何か作っておいてくれると助かるんだ」


赤城「あら~、赤城にそのような頼み事をされるとは珍しいですね~」


指揮官「頼むよ~。手の凝ったあっさりした和食が食べたいんだよ~」


赤城「さらりと要求を増やされた気も致しますが、承りましたわ~」


指揮官「ああそれと、聞き耳たてようとするなよ?」


赤城「それは勿論。そのために注文を増やされたのですものね~」


指揮官「その通り。じゃあよろしく。さて、駿河は勿論として、島風はどうする?」


島風「取りあえず、昔馴染みの艦船達と親睦を深めようと思います!」


指揮官「はいよ。じゃあ加賀、軽く案内してやってくれ。意外と複雑だからなここ」


加賀「あぁ、承知した。その後にやることは何かあるか?」


指揮官「取りあえず、赤城を手伝ってやってくれ。赤城が必要ないと言えば、休んでおいてくれ。ちょっとした休暇だ」


加賀「休暇と言うならば丸一日は欲しいがな。あいわかった」 ガチャ


赤城「指揮官様~? 今日は赤城が腕に縒りを掛けて作らせて頂きますわ~♡」 バタン


指揮官「楽しみにしてますよー・・・っと。取りあえず、人が滅多に来なさそうな・・・いや、何処もないな」


駿河 (えぇ・・・、そんな騒がしいの? ここ)


指揮官「まあ、人払いは済ませてあるしここで良いか。取りあえず、適当に、楽にしといてくれや。いま飲み物持ってくるから」


駿河「それなら私が--」


指揮官「あーだめだめ。遥々こっちまで来て、ただでさえクタクタだろ? 湯呑みでも割られたらたまったもんじゃないからな」


駿河「なっ!?」 ムッ


指揮官「冗談だ。これからはあまりいい思い出ではないからなぁ。少しは気を紛らわしたいのさ。 ・・・・はい、お待ちどう」カチャ


駿河「あぁ、・・・・どうも」


指揮官「時に駿河さんよ、変化の能力は完璧に出来たかい?」


駿河「へっ? 私、指揮官にお伝えしたこと有りましたっけ?」


指揮官「んー? ははっ、蛇の道は蛇って言うだろう?」


駿河「はっ? へっ!? 」


指揮官「まあ、なんやかんやの話をする前にさ、これは話しておこうと思ってな」


指揮官「俺って結構、嘘つきなんだよね」 スッ


駿河「な、なんですか帽子で顔を隠したりして?」


指揮官 (老) 「よっ」 バッ


駿河「っ!? 指揮官? 何ですかその年老いたお顔は!?」


指揮官 (老) 「さぁてね」スッ


指揮官 (優男) 「ほいっと」バッ


駿河「あっ、今度は少しかっこいいかも・・・じゃなくて! 何なんですか!?」


指揮官 (優男) 「最後に・・・・ほいさ!!」 バッ


駿河「今度はなんーー 」




駿河? 「」 ニコッ



駿河「ええっ!? わ、私!? 指揮官! 何のつもりですか!!」



駿河? 「まあ、色々見てもらったから分かると思うけど」 ドロンッ


指揮官「俺ってちょっと普通の人間と違うんだわ」


駿河「びっ、ビックリしたぁ」ドロンッ


指揮官「ははっ! 耳が元に戻ってるぞ?」


駿河「えっ!? わっ! たっ! ちょっ!」ドロンッ





・・・・・





指揮官「すまんすまん、唐突に驚かせてしまったな」


駿河「ホントに驚きました。まさか似たような能力を持った方が居られるなんて」


指揮官「そ、これが俺の能力。重桜の人間って、獣の見た目が混じってるじゃない? 俺は元々狐がちょっと混じってたんだ。まあ、声質は変えられないし、見た目とか体の一部分を変化させるくらいしか出来ないんだよ」


駿河「はぁ・・・・」


指揮官「まっ、お前の能力とさほど変わらんさ。・・・・あの時はお互いバタバタしてて詳しく話してやれなかったからな。どこから話すべきか・・・・」


指揮官「そうだな・・・、君と島風が、重桜の艦船として生を受けて、初めて皆と会ったときのことを覚えてるよな?」


駿河「はい、長門様を始めとして、赤城様が開催した合同大演習の事ですよね?」


指揮官「そうそう。俺はあの場に居なかったし、話で聞いたことがある程度だから何とも言えないんだけどさ。その合同大演習が開催されてから幾らか年月を経て、重桜は2つに別れたんだ」


駿河「なっ、なんでそんなことに!?」


指揮官「簡単な話さ。戦争派と反対派に別れたんだよ。かいつまんで言えばね」


指揮官「赤城や加賀が中心となって、セイレーンの技術を取り入れた技術革新を狙ったんだ。その結果、重桜は反セイレーン組織である『アズールレーン』を脱退。いや、裏切った。瞬く間に人類の敵さ」


駿河「それで、指揮官は・・・」


指揮官「アズールレーン側に少し厄介になった。・・・周りの目は冷たいし、扱いも最悪だ。そらそうだ、彼方からすれば脱走、敗残兵だからな」


指揮官「だが、俺にとって大切なのは自分の名誉、立場じゃない。御狐殿・・・、あー、長門様の存在だ」


駿河「・・・そんなことがあったんですか」


指揮官「知らないのも無理はないさ。アズールレーン設立の礎を作ったお前たちは、あの後に世界中を巡っていた」


指揮官「それに、俺も面倒な仕事を押し付けちまったからな。あの緊張状態で、御狐殿と重桜の御神木を守れただけでも、不幸中の幸いだ」


指揮官「もちろん、俺だけの力じゃない。前線から退いていた軍神殿・・・。あー、三笠殿を初め、五航戦の翔鶴、瑞鶴も協力してくれた」


駿河「・・・・・・なら、赤城様は? 彼女がどうしてこちら側に?」


指揮官「・・・・・・そこなんだよ。このなんやかんやを一番難しくしているのは」


駿河「と、いいますと?」


指揮官「彼女達と俺たちは、刃を交えた。まるで、過去の戦争を追体験するように、ミッドウェーの海で。その歴史にならって、彼女たちは敗北した。沈んだ筈なんだ」


指揮官「・・・・・当時、作戦に参加した艦船からの報告では、『海中から浮かび上がってきた』らしいんだ」



駿河「海中から浮かび上がってきた!? そんな・・・。あり得ない・・・」


指揮官「あり得たんだよ。俺の目の前で、俺にとって・・・・・大切な・・・・・」


駿河「っ・・・・・。それで、難しくしていると言うのは?」


指揮官「海中から生まれたのは、赤城と加賀、蒼龍、飛龍。皆、何事も無かったかのように。だが、赤城は・・・・・・」







指揮官「赤城だけは、何かが違うんだよ。他の3人は普通なのに、あいつだけ・・・・。まるで、その、別人になったような・・・」





駿河「別人に・・・・?」



指揮官「記憶は残っているらしいんだが、昔のあいつを知っている奴からすれば、まるで別人になったような違和感を感じるんだ。お前も彼女に接するときは、少し留意しておいてくれ」


駿河「はぁ・・・・分かりました」



指揮官「・・・・・全く、幾ら俺が人間離れした化物だからって、前線から退いた身を再び呼び戻すとか勘弁して欲しいね」


駿河「・・・・・そういえば、なぜ合同大演習の時に姿をお見掛けしなかったんですか? 指揮官として居られたのなら、私も知っていたはず。なのに・・・・」


指揮官「その時の俺は、ちょっとした世捨て人ってところでな。・・・いや、正直に話そう。切り捨てられたんだ。上からな」


駿河「・・・知りませんでした。まさかそのようなことが・・・。長門様が重桜の御神木に、御自身を封印なさるというお話を聞いて、私たちは馳せ参じた。その時に、初めてお会いしたんでしたね」


指揮官「あぁ、そうだったな。この話、本当は島風にも聞いてもらいたかったんだが、ほら、彼女は少し奔放な所があるだろ?」


駿河「あ、あはは・・・・。何かすみません・・・」


指揮官「まあ、俺の知っている中での重桜の顛末がこれだ。何となく理解してもらえたかな?」


駿河「はい、有難うございました。わざわざお手を煩わせまして・・・」


指揮官「なぁに、こっちこそ協力してくれると言って貰えて助かっているよ。と言っても、昔のようには行かないかも知れないがな」


駿河「はぁ・・・」


指揮官「さて、ぼちぼちここの案内でもしますかね」


駿河「あぁ、そんなお気遣いは・・・」


指揮官「良いって良いって。ちょっとした気まぐれだよ」


駿河「いえ、あの、本当に結構ですから。・・・・・お恥ずかしい話、方向音痴と言いますか・・・・」


指揮官「そっか。じゃあこれ持ってけ」 スッ


駿河「何ですかその小さいテレビみたいなものは?」


指揮官「うちの開発連中が作ったんだ。何でも、目的地を選べば案内してくれる代物らしい」


指揮官「もしかして、機械も苦手か?」


駿河「いや、まぁ・・・」


指揮官「取りあえず渡しておく。使わなかったら後で返してくれ」


駿河「はぁ・・・・、わかりました」


指揮官「さぁて、そんじゃあ軽く飯でも食いに行くとしますかぁ。一緒に来るかい?」


駿河「赤城さんに作らせているのにですか?」


指揮官「赤城にお願いしたのは夕食。いまから食べるのは軽食。全然別物だから問題なしってやつだ」


駿河 (絶対後で怒られますよそれ。あれ? もし私も同行したら同罪ってことで何かされたりしない・・・よね?)




・・・・・




ーー母港 指揮官の自室ーー





指揮官「はぁー、疲れたなぁー」




ーー特別何かあったわけではないが、彼女達との接し方には気力を使う。



あれから実際に甘味処へと赴いて、駿河にご馳走したのだが、その帰りに大鳳と出会った。たまたま通りかかった (本人談) らしいが、彼女の熱いラブコールには気が滅入る。


別に嫌という訳ではない。男として女性に見初められるというのは寧ろ嬉しいものだ。嬉しいものなのだが・・・。






ーー数時間前 母港 波止場ーー




大鳳「指揮官様ー! またお会いしましたね~♡」


指揮官「っ、大鳳か。いきなり声をかけられたから少し驚いたよ。何かご用かな?」


大鳳「いいえ~。少しお話がしたいなと思ってお声を掛けさせていただきました~」


指揮官「そうか。最近は出撃する機会も減ってきたから、少し暇だろう? まあ、戦いがないことが一番なんだがね」


大鳳「大鳳は寧ろ、戦場に赴く方が。そうすれば、指揮官は大鳳の事を見てくれますから」


指揮官「ははっ、別に戦場だけでなくても、俺はお前たちの事を見守っているさ。それが指揮官たる俺の使命だからな」


大鳳「"お前たち" 。その瞳には、大鳳だけが映っていれば良いのに・・・」


指揮官「済まないな。それは出来ない。俺が指揮官である以上、一人だけに目を向けることは難しいんだ」


大鳳「・・・・・・あの女狐には許すのに」


指揮官「・・・これは、約束なんだ。あいつと、あの人と、あのお方との」


大鳳「・・・・・・そんなもの、大鳳と指揮官様の仲を裂くような障害にはなりません」


指揮官「大鳳・・・」


大鳳「・・・指揮官様」ギュッ


指揮官「っ・・・! 大鳳・・・!」


大鳳「指揮官様。そこまで、過去にすがらないといけないんですか?」


指揮官「っ・・・!」



大鳳「・・・いつまで、縛られていれば良いのですか? 羽ばたくことが出来るなら、とても清々しい気持ちになれるのに・・・」


大鳳「ねえ、指揮官様。羽ばたいてみませんか? 何処までも続く空を、大鳳と、一緒に・・・」


指揮官「・・・・・・すまん。俺にはそんなこと出来ない。だって俺にはーー」


大鳳「私が、一生着いて行きますから」




ーーやめろ






大鳳「私が、あなたの羽になりますから」





ーーやめてくれ




大鳳「だから指揮官。私と一緒に、自由にーー」









ーーやめてくれ!!!!









大鳳「・・・・・・指揮官様?」





指揮官「・・・駄目だ。俺には、やらなきゃならないことがある。これは誰に強制されたものでもない、俺自身の使命だ」






大鳳「・・・・・・そう、ですか」







ーー彼女はそう言って、何事もなかったかのように去っていった。そう、俺には大切な約束があるんだ。俺の全てを掛けてでも、成し遂げなくてはならない約束が・・・








ーーなのに










ーーなのに何故、お前は、そんな憐れむ目で俺を見るんだ・・・ーー












赤城「ーーさま? 指揮官様?」ユサユサ











指揮官「んっ・・・、あぁ、赤城か」


赤城「すっかりお休みになられたみたいで。御夕飯の仕度が出来ましたわ。・・・どうなされたのですか?」


指揮官「いいや。ちょっとした夢をな。さてさて献立は何かなー・・・と」


赤城「はい。こちらは、ほうれん草のおひたし。それからお味噌汁に焼き魚にーー」




ーーあの人と交わした契約。それが、俺がこの力を手にいれた対価であり、彼女達との出会いのきっかけであり






ーー俺がこの世に生を受けた理由だ









・・・・・









ーー俺には、重桜の指揮官として、御狐殿、長門様と結んだ約束がある。





ーー俺が果たすべき約束・・・。それは、俺が指揮官となったその日から始まる。





それはもう、どれだけの月日が経ったのか数えるのも億劫な程に遡る過去。それなのに、気が遠くなるほどの歳月が経った今でも思い出せる記憶。







ーー重桜 麓の神社 境内前ーー





指揮官「・・・これが、重桜の神木。重桜の象徴・・・」


???「何者だ?」


指揮官「本日付で重桜の艦隊を仕切ることになった者だ。事前に御狐殿の裁可は下っている。本日はお目通りに叶うために馳せ参じた」


江風「そうか。私は江風。この重桜の神木の守り手にして、長門の付き人だ。着いてこい。彼女のもとに案内しよう」



指揮官 (重桜の御狐。話は聞いていたが、実際この目で見るのは初めてだ。一体、どのようなお方なのか・・・)



江風「長門、客人を連れてきた。今日から指揮官となる男だそうだ」


長門「分かった。支度をするゆえ、少し待て」






ーーこの頃の俺は、彼女を、御狐殿を侮っていた。声も見た目も幼い少女と何ら変わらない。だが・・・




長門「よくぞ重桜の為に立ち上がってくれた。若き者。余は長門、重桜の御狐であり、栄えあるビッグ7の1人である」





そんな彼女に、俺は畏敬の念を抱き始め、同時に悲哀を感じた。






・・・・・






長門「ーーということだ。そなたには此より、儀式を行って貰う。なに、難しいことではない。そなたは気を楽にして居れば良いのだ」




ーーそうして俺は、境内にある祭壇へと連れられ、そこで儀式を受けることになった。といっても、本当に何もすることはない。ただ座っていれば良いだけの事だった。





長門「重桜を授かる御狐の名のもとに、ヤオヨロズの神々に、ここに墾望す。我ら重桜の民への慈悲を請う。若き壮士に永久の加護のあらんことを願い給う。我が願いが届きし時、この壮士に我らを護る力を授け給え」






ーー後になって聞いた話だと、これはただの願掛けであったそうだ。だが御狐殿の願いを聞き入れて下さったのだろう。俺には人を化かす狐の力が宿った。




ーーさらに、俺の体は衰えることがなかった。本当の化物になったことで、周りからの目も厳しくなり、辛いこともあった。




ーーしかし、その反面に、数々の出会いもあった。だから俺はそれをかけがえのないものにしようと、指揮官として、重桜艦隊を指揮した。セイレーンの脅威から、重桜、重桜の民、そして、仲間を守るために。





ーーそして






ーーそして・・・・・・










ーー遂にあの日が訪れた










ーー重桜 とある山林ーー







ーーこの時の俺は、長年重桜艦隊の指揮を任せられた褒美として、長期の休暇を与えられた。




ーーというのは表向きで、実際のところは島流しのようなものだ。きっと、俺の存在が邪魔になったのだろう。俺はそのまま山へと籠り、1人、自給自足の生活をしていた。




ーーそんな折りのことだ。彼女が俺に接触してきたのは。




陸奥「指揮官! 指揮官!!」


指揮官「俺はもう指揮官じゃない。ただの世捨て人だと何度言えばーー」


陸奥「長門姉が・・・、長門姉が・・・!」


指揮官「なっ、御狐殿の身に何が!?」


陸奥「長門姉が、自分を重桜の御神木の中に封印するって・・・!」


指揮官「っ・・・! ・・・俺は世捨て人だ。お前達の事に俺が首を突っ込む道理はない」


陸奥「長門姉が呼んでるの! 最後に指揮官に会いたいって!」


指揮官「・・・長門など知らん! ましてや、俺の知ったことじゃない!」


陸奥「何で・・・、何でそんなこと言えるの!? 私たちの事がキライなの!? 」


指揮官「・・・帰ってくれ。俺はもう、彼処には戻らない。ここで朽ち果てるのを待つだけだ」


陸奥「指揮官!!」


指揮官「早く帰ってくれ!! 俺には重桜の事など関係ない!! 」





ーー俺は、彼女を、陸奥を追い返してしまった。当時の俺は子供じみた意地で、後のことも考えず、ただただつまらない意地を張っていた。







ーー『俺を裏切った重桜に、何の未練もない』と。







ーー俺はあまりにも惨めで、弱い男だった。





・・・・・






長門「では、な。陸奥」


陸奥「長門姉・・・」


長門「心配するな。私には江風が付いている。そして陸奥も。何も悲しむことはない。少しの間、離れるだけだ」


陸奥「それでも・・・、それでも・・・」


長門「・・・やはり、指揮官は来てくれないのか」


陸奥「うん・・・。会いに行ったけど、関係ないって、追い返されちゃった」


長門「そうか・・・。これも全て私のせいか。重桜を担う御狐といえど、所詮は名ばかり。願わくば、目覚めるときには・・・」


駿河「長門様ー!」


島風「長門様ー! ちょっと待ってくださーい!」


長門「駿河! 島風! そなたたちも来てくれたのか?」


駿河「いったいどうされたのですか!?」


島風「ご自身を重桜の御神木に封印するなど、なにゆえそのような事に!」


長門「それはーー」


指揮官「御狐殿ぉ!!」


長門「・・・・ぁあ! 指揮官!」


駿河「指揮官・・・? このお方が・・・!?」


指揮官「御狐殿。参上が遅れた無礼、どうか裁きを下されますようーー」


長門「指揮官!」ギュッ


指揮官「み・・・、御狐殿・・・?」


島風「あわわわ! 島風、何も見ていません。何も見えていないし、聞こえてません・・・!」 メカクシ


長門「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・! わたし・・・何もできなかった・・・。みんなを・・・重桜を・・・止められなかった・・・」グスッ


指揮官「・・・・・・ええ。分かっています。左様に嘆かれますな。あなた様の苦しみも努力も、俺は全て分かっています。今は、少しのお休みを頂くだけだと」



指揮官「ですから今は、存分に・・・」






・・・・・




ーーやはり俺は、指揮官だった。世捨て人になろうと、重桜に切られたとしても、人としての情は捨てられなかった。



ーー陸奥をあれほど拒んでおきながらも、俺は彼女たちから授かった恩、時間、思い出に背くことは出来なかったんだ。





長門「・・・指揮官、皆もすまぬ。急に取り乱してしまって」



指揮官「お気になさいますな。陸奥、さっきは済まなかった。我ながら、子供じみた意地だったと猛省している」


陸奥「いいの。こうして来てくれたんだから。長門姉も喜んでるし、私も許す」


指揮官「・・・ありがとう。ところで君たちは・・・?」


駿河「私は戦艦駿河。そしてこちらは、駆逐艦の島風です」


指揮官「そうか・・・君たちが・・・! 合同大演習の折りは、あのバカ共が迷惑をかけたろうけど、君たちのおかけで重桜は、いや、世界は大いに救われた。民の一人として、感謝する」


島風「いやぁ~、それほどでも~。私と駿河が一緒ならどんな戦にも勝利を刻んで見せましょう!」


駿河「調子に乗りすぎ」コツン


島風「ううう・・・なにも小突くことは無いじゃないですかぁ・・・」


指揮官「ははっ、仲の良いことで」


長門「指揮官。余は重桜を・・・、赤城を止めることができなかった。それに加え、お主の居場所までをも守ること叶わなかった」


指揮官「御狐殿・・・」


長門「・・・罪滅ぼしとはいかないけど、絶対にこの重桜の神木だけは守り抜く。それが、重桜を背負う余が出来る、唯一の贖罪だ」


指揮官「・・・私も、あなたに誓います。絶対に皆を守る。そのための障害ならどんなものでも倒す」


指揮官「例えそれがかつての仲間であっても、抗うことの出来ないカノウセイだとしても」


指揮官「大切な、存在だったとしても・・・」


陸奥「指揮官・・・」


島風「長門様! 島風の力が必要な時は、何時でも仰ってください! 風の如く馳せ参じましょうぞ!」


駿河「私も、ご命令いただければ!」


長門「・・・2人とも、逞しくなったな。余は嬉しく思うぞ。出来ることなら、余ではなく、指揮官に力を貸してやってほしい」


指揮官「御狐殿、それはなりません。俺が歩もうとするのは修羅の道。彼女たちにそんな負い目を味わわせるなど」


長門「ではどうしろと?」


指揮官「重桜の分裂はセイレーンによるもの。外洋ではそれらの被害に苦しむものが多くいるはず。駿河、島風の両名には、苦しむ者達の矛となり、盾となってやるべきです」


長門「・・・お主はそれでよいのか?」


指揮官「はい。両名に異論がなければ。さすれば、このような悲劇を広めることなく、世界は在るべき姿に・・・」


駿河「・・・わかりました。出会って間もないですし、もっとお話を伺いたく思いますが、今のお言葉で、あなたの事が少しだけ理解できたと思います」


島風「私たち2人、未だ見ぬ未開の海へ! 私たちを必要とする者たちのために、粉骨砕身働きましょう! ねっ、駿河!」


駿河「もちろん! あんたと2人なら、何処まででも行ってやるわ!」


長門「・・・そなたらの勇姿、この重桜で永遠に見守ろう。お主らに、ヤオヨロズの神々の御加護があらんことを・・・」


指揮官「御狐殿にも、重桜のご加護があらんことを。いつか必ず、お迎えに上がります」


長門「・・・うむ、楽しみにしておるぞ。言っておくが、余の心配は必要ないからな。江風が、余とこの重桜の神木を護ってくれる。余はここで、お主たちを護り続ける。・・・達者でな」


指揮官「・・・はい。御狐殿も、武運長久を」






ーー俺はもう、逃げない。御狐に、神に、重桜に認められたのだから。セイレーンと戦う力は俺にはない。彼女たちの矛にも盾にも成れないが、命綱には成ってやれる




ーー俺を裏切った重桜は許せないが、いま一度だけ、彼女のために信じてやる。俺が、かつての姿を取り戻させてやる







・・・・・



指揮官「ーーと、こんな感じか。さぁて、今日のやることはぜーんぶ終わり!」


指揮官 (・・・御狐殿、俺は誓いを果たせているか? あなたとの約束は、守れているのだろうか?)


指揮官「本当は面と向かって言えればいいんだが、これはお互い良い思い出ではないからなぁ・・・」ボソッ


指揮官 (・・・それに、俺はまだあの人との約束もあるしな。きっと俺はこの体が朽ち果てるまでは、ここで彼女らと共に・・・)


指揮官 (或いは、あいつの最期を・・・って、なに縁起でもねぇことを・・・)





赤城「指揮官様~、御夕飯の支度が出来ましたわ~♡ 今日は赤城特製の味噌煮込みきつねうどんですの~」ガチャ


指揮官「お、おう! 分かった、すぐ行くよ!」


指揮官 (きつねうどんって、共食いかよ・・・」 ボソッ


赤城「共食いが何ですって?」ニコォ


指揮官「ばっ、何も言ってねぇだろ!」


赤城「そんな酷いことを仰る指揮官様には御夕飯は抜きにして貰おうかしら~」ウフフ


指揮官「分かった! 謝る! 謝るから! わー、美味しそうだなー」


赤城「そこまで仰るなら、御夕飯の後に赤城も召し上がって頂ければ許して差し上げないことも有りませんわ~♡」


指揮官「・・・明日の夜とかは?」


赤城「許しません。今夜でないと♡」


指揮官「・・・・・・お、お手柔らかにお願いします・・・」




・・・・・





指揮官「ふわぁ~あ、眠い眠い。こんなに眠くちゃ仕事やるのも馬鹿らしいや」


加賀「・・・その仕事を私に押し付けるというのなら、この場からすぐに離れるが?」


指揮官「ご冗談。課せられた仕事くらいはこなすさ。ただ面倒くさくてやる気が起きないだけ」グデー


加賀「・・・お前は自分でトンチンカンな事を言っていると自覚しているか? 」


指揮官「じゃあお前の姉さんに言ってくれよ『少しは加減を覚えろ』と。昨晩連戦させられてヘトヘトなんだよ」


加賀「別に赤城は血縁ではない。私が姉として慕っているだけのこと。男女の営みなまで口出しするほどの繋がりではない」


指揮官「ああ言えばこう言う。揚げ足とりって言うんだぞ? そういうの」


加賀「別に私は空を飛んだりはしない」


指揮官「その "とり" じゃねぇよ! 耳に又の "取り" だよ!!」


加賀「分かっている。冗談の通じん奴だな」ハァ


指揮官「えっ? なに? 俺が悪いの!? ふつーに心外なんですけど」


加賀「もとはと言えばお前の発言が発端だ」


指揮官「へーへーそーっすね俺が悪うございました」




加賀「・・・・・・」カキカキ


指揮官「・・・・・・」カキカキ




加賀「・・・・・・・・・・・・・」カキカキ


指揮官「・・・・・・・・・・・・」カキカキ




加賀「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」カキカキ


指揮官「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」カキカキ




指揮官「・・・・・・・何か喋れよ」



加賀「・・・・・・今は昔、竹取の翁と言うものありけり」スラスラ


指揮官「おい、 "取り" をまだ引っ張るつもりか?」


加賀「野山にまじりて竹を取りつつ、よろづの事につかいけり」スラスラ


指揮官「止めろ朗読すんな眠くなる」



加賀「名をば讃岐の造となん言いける」スラスラ


指揮官「それガキん時に暗唱させられて嫌でも覚えてるんだから勘弁してくれよぉ」


加賀「ああ言えばこう言う。面倒な奴だな。子供以上に手が焼ける」


指揮官「おっ? 遂に言ったか? そこまで言うか?」


加賀「・・・・・・いっそ、姉様を呼んだ方が早いか?」イラッ


指揮官「っ・・・それは困る」


赤城「な・に・が・お困りになるのですか~」ウフフッ


加賀「姉様、聞いてください。指揮官と来たらまったくーー」


指揮官「何もない! なっ? 何もないよなー?」アセアセ


赤城「あらあら2人とも仲の良いことで~、少し妬けちゃうわ~」


加賀「・・・・・・」


赤城「そもそも、お疲れならば赤城達にも仕事をお与え下さってもいいのに」


指揮官「じゃあやってくれんの?」


赤城「丁重にお断り致しますわ~」


加賀「結局断るのですか・・・」


赤城「ですが、もしかしたら引き受けてくれる物好きも居るのかも・・・。例えばたいほ・・・あのオジャマ虫ですとか?」


赤城「後はあのしょうか・・・性悪ですとか、すず・・・あの小娘ですとか枚挙に暇がありませんわねぇ・・・ウフフ」


指揮官「うん、適当にはぐらかしてるつもりだろうけど大体誰のこといっているか分かった」


赤城「そしてその塵芥共が手を離せない間に、赤城が指揮官様を独占して・・・あぁ~♡」


加賀 (話が通じない狂人だと思ってしまったことは、墓場か海底まで持っていくとしよう・・・・)


指揮官「赤城さーん、心の声駄々漏れですよー?」モシモーシ


赤城「さあ、善は急げと申しますから、早く赤城と共に♡」グイッ


指揮官「なぁ~、昨晩もあれほど付き合っただろ? 俺を労ると思って少しは休ませてくれよぉ~」


赤城「いくら相手が加賀とはいえ、あのように仲睦まじくされては流石の赤城も嫉妬してしまいますもの。オシオキです♡」


指揮官「ちょっ、痛い痛い!」


赤城「あっ、そうだわ加賀、誰かに指揮官様のお仕事を引き継がせて頂戴? 勿論、私が一枚噛んでいることは伏せて、ね?」


加賀「・・・わかりました。高雄にでも伝えておきます」


赤城「さすがは私の妹。私の考えをしっかり読み取ってくれるのねー」


指揮官「その自慢の妹を持つ赤城さん? こいつ、さっき貴女とは血縁関係じゃないからとか抜かしてましたよ?」


加賀「別に間違ってはいないと思うが・・・?」


赤城「さぁ、指揮官様♡ 赤城と一緒に楽しみましょう♡」


指揮官「はいはい何時もの何時もの。お手柔らかにお願いしますねー」 ウワノソラ




バタン




加賀「行ったようだな。さて、高雄は生憎だが演習中でここには居ない。愛宕も同伴している・・・」


加賀「大鳳、五航戦、鈴谷といった連中も委託に出ている。残っているのは・・・」








加賀「・・・・・・・・・ん?」









加賀「私、嵌められてないか・・・・・・?」






ーーその同時期ーー




指揮官「なあ、高雄とか愛宕とか? 執務任せられる奴、よくよく考えたら殆ど母港に居なくないか?」


赤城「えぇ、勿論。赤城を差し置いて指揮官様と仲良くされていたから、ちょっとした "オシオキ" です♡」


指揮官「・・・つくづくさぁ、お前の加賀に対する扱いって苛烈に見えるんだよなぁ」


赤城「指揮官様? これから赤城と愛を育むと言うのに、どうして他の女の名前を出すの?」 ハイライトオフ


指揮官 (あっ、これヤバイやつだ・・・って今!? 俺さっき高雄とか愛宕とか言ってなかった? えっ? マジでどこでキレてんの!?)


赤城「指揮官様も、最近は加賀に甘えっぱなしではありませんか。赤城にも甘えて欲しいのにー!」 ムキー!!


指揮官 (あっ、それが本音なのね)


赤城「ですから指揮官様が赤城に甘えるようになるまで、少し激しく・・・」


指揮官「いやぁ、別に加賀に甘えっぱなしって言うのは語弊がーー」


赤城「で・す・か・らぁ! 何で他の女の名前を出すのですか!?」


指揮官「えっ!? いや、それ理不尽ーー」


赤城「そこまでして赤城を狂わせたいのですか?」 ジトー


指揮官「・・・お前たちさぁ、姉妹揃って揚げ足取りだな」


赤城「別に血縁関係ではありませんわ~」


指揮官「そして同じことを言うんだな。どの口でそれを言えるんだ?」


赤城「どうしてそうやって赤城を困らせるのですか~!」 ポカポカ


指揮官「痛い! 痛いって! 幾ら手加減されてたって、爪立ててやられたら痛えよ!! どっちかってっとガリガリだろそれ! 俺はキャットタワーじゃねぇんだぞ!?」


赤城「狐はネコではなくイヌ科ですけど~?」


指揮官「知ってるわ!」







・・・・・








ーー 重桜領内 神社 境内 ーー







指揮官「よっ! 掃き掃除か?」


江風「・・・指揮官か。何用だ?」


指揮官「あいっかわらずドライな奴だなぁ。まあいいや、御孤殿はおられるか?」


江風「長門は祭事の最中だ。悪いが引き取って貰えるとーー」


陸奥「あっ! 指揮官!! こっちに来るなんて珍しいね!」


指揮官「よっ! 御孤殿に用があって来たんだが、たったいま江風に追い返された所だ。祭事の最中だってな」


陸奥「江風ー、嘘ついたら駄目だよ!」


江風「・・・・・・」


指揮官「お前本当に昔から俺のこと嫌いだよな。まあだからって別に八方美人になるつもりもないけどさ」


陸奥「はっぽうびじん、って?」


指揮官「本来は「欠点のない美人」って意味だけど、それが転じて「皆に好きになって欲しいから人に合わせて良い顔をする奴のこと」だよ」


陸奥「へー・・・。ん? 指揮官が美人を名乗るのも変じゃない?」


指揮官「・・・そうだな! 一本取られたわ!」


陸奥「あっはは! でも、八方美人って、何だか赤城みたいだね!」


江風「・・・・・・フフッ」 プルプル


指揮官「・・・・・・陸奥、赤城の前では絶対言うなよ? 真っ先に俺が殺されかねない」


陸奥「なんで? だってさっき指揮官ーー」


指揮官「おぉっと! それまで! それ以上は指揮官さんの首が明後日の方向に回るか、明明後日の方向に飛んでいくことになるから!な?」


江風「そうか。さっき赤城の式神を見たぞ? (まあ、嘘だが) 」


指揮官「・・・骨はこの神社の境内に埋めてくれると嬉しいなぁ」


江風「私が遠慮したい。地中から指揮官に覗かれると思うと寒気がする」


指揮官「こいつは・・・。まぁ、いいや。御孤殿に話を通してくれると有り難いんだ。陸奥、お願いしていいかな?」


陸奥「はいはい! ちょっと待っててねー! 」








ーー数分後ーー






陸奥「お待たせ~! 案内するからね~」


指揮官「おっ、待ってました。そうだ、江風、君にも少し付き合ってもらえると助かるんだけど?」


江風「・・・分かった」


陸奥「よ~し! じゃあみんなで一緒に行こ?」






ーー 重桜領内 神社 社殿内ーー






長門「指揮官、待たせてしまって申し訳ない」


指揮官「いえ、御孤殿もご機嫌麗しゅう、突然の訪問に、大変失礼いたしました」


長門「・・・指揮官、何か用事があって来たのではないのか?」


指揮官「・・・はい。実は今日、重桜の統括理事、評議会の面々との会合がありまして、まあ・・・、その、ご報告をと」


長門「そのような場に、なぜ余を呼ばなかったのだ?」


指揮官「・・・それに関しては、私の独断であります。勝手に事を進めてしまったことは叱責を受けることも覚悟の上です」


長門「まあよい。それで、報告とは?」


指揮官「まず、良き知らせと、悪い知らせがございます。どちらを先にお話しするべきか・・・」


長門「・・・・ならば、悪い話から」


指揮官「かしこまりました。実は、件の会議に赤城を共にしたのですが、一部の上層部の物言いに腹をたてた彼女が少し・・・」


長門「まさか・・・手を出したのか!?」


指揮官「ええ。彼女の、重桜を思う心は我々が一番の知るところではありますが・・・」


長門「それで、相手の容態は?」


指揮官「ええ、医者によれば骨や内蔵にはダメージがないので、1週間もあれば完治すると」


長門「赤城のやつ・・・」


指揮官「更に、以前からお話しされていた、重桜の祭事を再開させることについてですが」


長門「・・・・・・」


指揮官「無事、可決されることとなり、来年度から開催せよと」


陸奥「うそ・・・、やった、やったー!!」


江風「指揮官! それは本当なのか!?」


指揮官「あぁ! 本当だ! お偉いさんも、俺たちの活躍を認めてくれたんだ!」


長門「そうか・・・、ようやく・・・!」


指揮官「そして、良い知らせなのですが・・・」


陸奥「へ? さっきのがいい知らせじゃないの?」


指揮官「今後、重桜の評議会を通すことなく、我々の行動は全て、私の独断で行うことを許すと」


陸奥「それって・・・、もしかして・・・!」


指揮官「御孤殿、重桜の祭事、全てあなた様におまかせ致します」


江風「指揮官、つまりは・・・!」


指揮官「以前と同じように。御孤殿、あなた様が夢見た通りに」


長門「ほ、本当なのか・・・? だが、指揮官よ、そなたは、その決定を信じたのか? 彼らは、そなたにあれほどの仕打ちをしてきたのだぞ?」


指揮官「確かに、彼らは私に与えた指揮権を全て剥奪し、重桜の皆に接触させることすら許さなかった」


長門「・・・そうだ。だから重桜は分裂した。それを、自らの不始末を押し付ける形で指揮官に押し付けた」


指揮官「ええ。ですが、私どもの活躍を省みてのことでしょう。現にセイレーンによる被害は、全盛期より落ち着いています」


長門「・・・指揮官、その言葉を、余は信じても良いのか?」


指揮官「はい、これも全ては、御狐殿のお力添えがあってこそ。お喜び申し上げます」


陸奥「指揮官! せっかくのおめでたい時に堅苦しくなるのは駄目だよ!」


指揮官「・・・そうだな! さぁ、これから忙しくなるぞー」






・・・・・







指揮官「いやー、すっかり遅くなっちゃったな~。済まないな、見送りさせてしまって」


江風「不本意ではあるが、長門の頼みなら断るわけにはいかないからな」


指揮官「・・・そうか」






江風「・・・指揮官、これで契約は果たされてしまうのか?」





指揮官「契約? 何の事だよ?」


江風「しらを切るのは止めて貰おうか。お前はーー」


指揮官「契約なんて生温いもので言い表せるか。俺にとっては、もっと大事なもんだ」


江風「・・・あなたに残された契約はあと一つ。手足のように使われる、使役される人形のままでいるつもりか?」


指揮官「・・・ふざけるな。人を犬畜生かなんかみたいに言いやがって」


江風「なら楔を断ってみろ。それが出来ない内は、傀儡も同然だ」


指揮官「・・・江風、俺を嫌うのも、俺を下に見るのも勝手だが、次にあの人との「約束」を、「契約」なんぞと抜かしたら」













指揮官「消すぞ?」









江風「・・・別に嫌っているわけでもない。下に見ているわけでもない。ただ一つ言えるのは、長門にとって、指揮官は必要な存在だ。長門から離れるというのなら、意地でもあなたを止める」


江風「・・・彼女を、また悲しませるというのならば、守人として、友として、あなたを許さない」


指揮官「・・・覚えとくよ」







・・・・・






後書き

この作品を読んで頂き、ありがとうございます。R-18タグを付けましたが、もしかしたら書かないかもしれません。

物凄いスローペースで書き上げていくのでたまーに見に来て頂ければ幸いです。


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x焔xさんから
2020-06-02 05:24:00

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