2017-06-13 13:35:27 更新

概要

思い付きで書いてみました。 史実やメインとは無関係です。


もう、うんざりだ・・・


ある海域の出撃以降、提督が急に体を崩した・・・


一人では立ち上がれず、歩く時も僕が手を貸さないとできない・・・まるで介護だ。


秘書艦と出撃の上に介護までやることになって・・・もう、うんざりだ。


おかげで夕立たちとは休日一緒に遊びに行けないし、僕の時間もほとんどない。


最初は「大丈夫?」と声を掛けて介抱していたけど・・・こんな生活がずっと続くと考えたら息が詰まりそうだ。


・・・・・・


ある時、些細な事で喧嘩した。


僕は怒りで興奮していて、思わず・・・




提督とはもう、うんざりなんだよ!!!!




提督は何も言わず、ただそのまま僕を哀れんだ表情で見つめていた。


その場に居づらかった僕は執務室から飛び出した。


・・・・・・


あれ以降、提督とは会っていない・・・


代わりに誰かが秘書艦をやっているようだけど・・・


周りの視線がとても痛かった・・・どうして皆・・・そんな目で僕を見るの?


確かに、僕もあんなことをして後悔しているよ。


上司である提督にあんなひどいことを言って、勝手に秘書艦を降りて・・・


でもさ・・・皆だってわかるだろう?


毎日秘書艦のほかに介護をしなければいけないんだよ・・・毎日だよ?


毎日手を貸さないと歩けない・・・肩を貸さないと立ち上がれない・・・


一日中見ていないといけない・・・毎日毎日・・・


本当にうんざりするよ・・・嫌になってくるよ!


皆はやっていないからわからないかもしれないけど、体験したら嫌と言う程わかるよ・・・




ある日、提督の容態が悪くなった。


意識不明で口には管が通っていて・・・とても見ていられなかった。


・・・・・・


それでも、僕は「秘書艦を降りてよかった」と内心思っていた・・・だって毎日隣で見ていなければいけないんだから。


提督の隣に艦娘たちが時間を置いて交代で見ていた・・・僕は断ったけどね。


・・・・・・


一向に回復せず、医師からは「見込みが薄い」とまで言われた・・・


それを聞いても僕は何とも思わなかった、むしろ・・・




提督が死んでくれれば、楽になれるね・・・




僕は提督が死ぬことを望んでいた・・・僕は何でそう思うようになってしまったんだろう・・・


提督のことが嫌いなわけじゃない、むしろいつでも相談に乗ってくれて本当は好きだった。


秘書艦に任命された時も「僕でいいの?」の質問に「時雨じゃないと嫌だ」なんて言われて、


本当は秘書艦になったことが嬉しかったんだ・・・それなのに・・・


・・・・・・


悩んでいると、艦娘の一人がやって来て、


「提督には言うなと頼まれていたけど・・・」 と言って話し始めた。


・・・・・・


ある海域へ出撃でのこと・・・


僕は敵の砲撃を受けてしまい、そのまま意識不明で鎮守府に運ばれたらしい。


その時の話は後から聞かされていたから別に驚きはしなったけど・・・


ただ、その後の話は初めて耳にした・・・


僕の損傷は甚大で手の施しようがなかったようで・・・


中でも、幾つかの内臓が損傷を受けており、見込みが薄かったらしい・・・



・・・そんなこと、初めて聞いた・・・



そんな時、提督が・・・「オレの臓器を時雨にやってくれ!」


当然周りは反対し、止めたが・・・


「処置をしなければ、時雨は死んでしまう! なら、わずかの希望があるならオレはそれに賭ける!」


と言って、幾つかの内臓を僕に移植したと・・・




・・・そんな。




そのおかげで、僕は回復して今に至っていて・・・内臓を提供した提督は一生寝たきりの生活になった・・・と。




・・・そんな・・・そんな・・・嘘、だよね?


嘘って言ってよ、ねぇ・・・嘘だって・・・今の話は作り話だって・・・ねぇ、そう言ってよ!




「本当よ・・・提督は時雨が傷つくから黙っていてくれ、と言っていたけど」


・・・・・・



じゃあ・・・提督があんな体になったのは・・・僕のせいだったの? 


それを知らずに僕はあんなひどいことを言って・・・提督を傷つけて・・・



・・・・・・


気づいたら、提督の隣で泣き叫んでいた。




提督! ごめん・・・ごめんよ! ごめんなさい!!




ひたすら謝っていた。




死なないで! お願い! 僕が一生支えるから・・・ずっと傍にいるから・・・お願い! 生きて!!



・・・・・・


僕の声が届いたのかな・・・提督の意識が戻り、目を開けた。



!? 提督!!



叫んだ僕に、


「お前の声が聞こえたよ・・・」


「・・・・・・」


「ところで・・・何で泣いてるんだ、時雨?」


・・・・・・


しばらく提督の胸で泣き続けていた。


・・・・・・



提督は復帰し、いつも通りに執務に追われる日々を送っている。


でも、一人で行動できないのは変わらない。




大丈夫、僕が傍にいるから・・・


提督のために、僕は傍でずっと・・・見守っているから・・・


提督から指輪をもらった・・・提督は最後まで、僕を想っていてくれた。




介護? 大変かな・・・でも、慣れたよ。


提督が言うんだ・・・「時雨、いつもごめんな。」って・・・


ううん・・・大丈夫だよって言うと・・・「いつも、ありがとう。」だって・・・





提督・・・ごめんね・・・





でも、安心して・・・これからは・・・





これからは僕がずっと・・・提督を支えていくから・・・






「提督と時雨」2 終








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歩提督さんから
2019-08-06 21:37:48

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2019-02-23 23:18:16

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2019-01-26 11:15:41

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2022-08-19 09:56:49

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