あ・ず・れ・ん
流行りものに乗っかってみた。感想のような妄想
注意事項
適当なタイトル
誤字脱字、二次創作にありがちな色々と
いつにもまして適当な文章
とりあえず、1章が終わった辺りから2章はじまる間くらいの雰囲気
「最悪よ…最悪だわ…」
嘆くべきか、怒るべきか、いやさ両方だろう
いくら私が重桜の出だからって、いきなりスパイ扱いとは恐れ入る
ていうか、結論有りきで話を進めんじゃねぇ、これだからお偉いさんは嫌いなんだ
挙句「結果で証明してみせろ」だなんて、どの口が言うか
あんたらが不甲斐ないから、あっちだって劇薬選ぶしか無かったんじゃないのかってなもんだ
そうして霧里 あかね は憤慨する
赤い髪を炎の様に逆立てて、普段は快活であろう その表情は への字に曲がってもじっていた
「ほんと何が最悪って、綾波にまで疑いの目をむけちゃってくれちゃって…って、聞いてるの?」
「はい。聞き流してはいますが…」
涼しい顔だった。隣で自分の指揮官が騒ぎまくっているのに、まるでどこ吹く風のようだった
駆逐艦・綾波。雪のように白い肌、無表情に浮かぶのは赤い瞳、灰色の髪の間から飛び出た長いミミと
一見してそれらを纏めると、どこかウサギのような、あるいは鬼のようにも見えるだろうか
「だいたい、指揮官も悪いのです…」
あんまりにも色々言われて、我慢できなくなるのも分かるが
だからと言って「そんなに言うなら今すぐ寝返ってやりましょうかっ」とか、呆れ果てて物も言えない
あの場から指揮官を連れてどうやって逃げ出すかを考えるだけで こっちは手一杯だったのだ
「酷いわっ。綾波までそんなこと言うのっ、泣くわよっ」
「どうぞ。それで自体が好転するなら、綾波だって一緒に泣いてやるのですよ」
ほんと、それで自体が解決するなら幾らでもだ
「ま、気は晴れるかもね…」
さんざん喚き散らして気が晴れたのか、その声からは幾分と毒気が抜けてはいた
「ですか…」
そうこうしているうちに足が止まる。扉を開けば愛しの寮舎(我が家)
ー
「…あ。おかえり、指揮官」
そうして、そのおっぱいに飛び込んだ
「いんでぃーちゃーん」
柔らかい、ただひたすらに柔らかい
おっぱいオバケと言うほどでもないけれど、その小柄な体格には少々持て余し気味のおっぱい
顔を埋めれば下手は枕よりも寝心地が良いのは請け合いだ
何よりその小麦色のお肌だ。綾波の真っ白な素肌も素敵だけれど
それも手伝って、その対照的で健康的な肌はとても印象的で
さらにさらに、あどけない顔立ちに浮かぶ碧眼と金眼は神秘的ときたもんだ
「皆して私の事いじめるんだよー」
なんの遠慮もない。無意味に抱きついて、無遠慮におっぱいに頬擦りをする
「…とりあえず。おっぱいに話しかけるのを止めて…くすぐったい…」
「ふーん?くすぐったいだけ?」
殊更にわざとらしく「ふぅ~」と、からかうように くすぐるように、その谷間に息を吹きかけた
小さく身を捩る、弱々しく吐息が漏れる。そして何より、小麦色の頬が ほんのりと焼けていた
「後にして…」
放っておけば何処までもエスカレートしそうだったし、実際するだろうと経験がそう言っていた
話題を変える為に指揮官を引き剥がし、そもそも話題を変えなきゃいけない理由に目を向ける
「それよりも…そっちのはなに?」
互い違いの瞳が一緒になって細くなる
そして胸元に纏わりついている指揮官に腕を回すと、離さないように あるいは守るようにと抱きしめた
「ああ、この娘?」
忘れてた。というよりも、どう言ったら良いものかと悩んでたのもある
金髪で碧眼で色白で、これぞロイヤルを形にしたような娘
キリッと引き締まった表情からは生真面目さが滲み出し
たとえそれが、お高く止まったミニスカ へそ出しルックでも彼女の美しさは輝いていた
いやさ、ミニスカへそ出しに言及するなら、インディも綾波も大差は無いのだけどね
「私の愛人?」
…一瞬、で空気が凍った気がした…
綾波の瞳は冷たくなるし、背中に回されているインディの腕に力が篭り少々息苦しく…
それになにより、下手に美人さんが睨むとそれだけでも迫力があった
「話が進みませんね…指揮官様、宜しいですか?」
「どうぞ~♪アイサツはジッサイ大事」
その隙をくれなかったのはどの口なのか。若干の理不尽さを覚えながらも そこはぐっと飲み込んだ
「王家艦隊・ロイヤルネイビー・レナウン級・巡洋戦艦レナウンです」
「主立っては…」そうして続いた言葉が、さらに空気を凍てつかせた
かすかな金属音と共に、綾波の指先が腰に下げた大剣に掛かると
指揮官を抱えたままのインディは、それを隠すように背中を向ける
「指揮官様の監視が任務となっています」
そういう言わなくてもいい事を素直に口にしちゃう娘だった
正直と言えば聞こえは良いが、融通が聞かないとも言えそうな愚直さだ
そんな事わざわざ口にしなくても ほんのりと察しが付くだろうに
よしんば察しが付かないなら それでも良い。無駄な諍いは無い方がいいのだから
だと言うのに…言っちゃうんだもんなぁ…
私の愛人って事にしとけば私が刺されるだけで済むっていうのにねぇ
「まっこーる?準備できてる?」
仕方もない。話を逸らすためにインディのおっぱいに話しかけると
「はーい」気の抜けた返事が奥から返ってくる
「むぅ…だから指揮官…」
「ふははは、止めてほしければ私を奥に運びなさい」
「まったく…まったくもう」
くすぐったそうに身じろぎをした後、指揮官を抱え直して奥に引っ込んでいくインディ
「はいはい、姉さんも怖い顔して突っ立ってないでさ?」
「レパルス…。あぁ、そういえば貴女もこっちでしたね」
肩を叩かれ振り返る。そこには見慣れた人懐っこい笑顔があった
レナウン級巡洋艦レパルス。自分の妹だというのに 自分とはまるで正反対の
「それより、私は別に怖い顔など…」
「じゃースマイルスマイル。美人さんが台無しだぞ-」
姉の頬に指をかけると、そのまま むにむにと揉みしだく妹の絵
「分かったから…押さないで…って、もうっ、やめなさいってば…」
抵抗する姉の苦言なんて聞きもせずに、強引に奥へ奥へと背中を押していく
「あ。綾波はマッコール(まっちゃん)手伝ってきてあげてね?」
「…。良いですけど」
そこでようやくと剣から指が離れると、何かを歯に引っ掛けたまま後ろに下がっていった
「はぁ…」内心、背中を押している姉にさえバレないように息を吐く
まったく手の掛かる、どっちがというよりも、どっちもだ
我が姉ながら もそうだけど、我が身内ながらというのも大いにある
というよりも自分の嫁の面倒くらい自分でみろっての
そんな抗議の意味を込めて、インディに抱えられている指揮官に視線を投げつけると
「レパちゃんナイス」そんな声が聞こえてきそうな程の笑顔で、親指を立てられた
少しは反省をして欲しいけど、少しも反省しないんだろうなって顔だった
ー
「あの…これ、は…?」
レナウンは困惑していた
目の前にはイチゴの赤色が輝く純白のショートケーキ
飾られた小さなロウソクはハート型に並べられ、その真中のプレートには「To Nobles Welcome to the Earth」の文字が収められていた
重桜の方だ、多少言葉に不自由なのは仕方がないとして
対外的に、客観的に、誰がどう見た所でこれは歓迎?の意思表示にしか見えなかった
いや、けど、しかしだ。自分の役割を考えて、そんな事はありえるのだろうか?
綾波も、インディアナポリスも、さきのやり取りを見るに指揮官様の事を好いているくらいは分かるつもり
だったら尚更…指揮官様の監視と その報告なんて任務を帯びている自分を歓迎するなんて
「あれ、ケーキ嫌いだった?」
「いえ…」
指揮官様の疑問に、軽く首を振るしかできなかった
困惑が頭から離れない、そろそろ思考が止まりそうだった
「よかった♪」
そうして この笑顔だ
心底安心したように、心底嬉しそうに、満面の笑みを浮かべていた
「こーらー。早く火を消してよ、食べられないじゃん」
のっぺりと、机の縁から顔を覗かせる マッコール
状況を飲み込めず困惑し続けるレナウンを急かすように、パシパシと机を叩き始めた
「え、あ、ごめんなさい…」
確かに、それはそう、せっかくの好意、素直に受け取るのが礼儀というもの
むしろ困惑していては、あまりに失礼か…
そう思い直して、息をすぅ…
「ぁぁぁぁ…」
ったら、何故か指揮官様が声を漏らしていた
「な、なんでしょう?」
「ううん、ただね?私の好意が吹き消されると思うと…少し…」
しゅんっと…さっきまでの笑顔は失せて、どうにも切なそうに目を細められた
「うっ…それは、たしかに…」
ハート型に並べられたロウソク達
これが好意の印だというのなら、一息に消してしまうのは確かに勿体無い
勿体無いけど…
「ど、どこかに移しましょうか…いえ、でも、火が点いたままでは…」
何か良い手は、何かいい案はと、迷走を始めるレナウン
そんな彼女を指揮官様は楽しそうに眺めていた
「ふーっ!!」
しかし、それも一時。風が吹けばご覧の通り、あっさりとハートの火は消え失せた
「れ、レパルス…貴女何てことを…せっかく指揮官様が…」
「うーるーさーいっ!!」
我慢の限界だった。姉よ気づけ、遊ばれてんのよ
「マッコール(まっちゃん)ケーキ切るっ」
「よしきたっ」
机を叩く手をナイフに持ち換えるスパッと切り分けられた
「あぁ…ごめんなさい、指揮官様。このレナウン…貴女の好意を受け止めきれず…」
「良いのよレナウン…。貴女が美味しくケーキを食べてさえくれれば私はそれで…」
「指揮官様…」
泣き崩れるレナウンの傍によると肩を抱き、その震える手を両手で包み込む指揮官様
「マッコールっ」
「はい、指揮官の分ね」
可愛く切り分けられたケーキを受け取ると、さらにフォークで削って突き刺して
「さぁ、レナウン。お口を開けて…あーんって、ね?」
「あー…」
彼女の小さな口が開いていく
そこに口づけをする様にイチゴが触れ、ほんのりと色づく唇を生クリームが白くなぞっていった
「ぁぁぁぁぁ…」
声になっていただろうか?いや、なってはないはず
指揮官と姉、二人のよく分からん空気にレパルス(妹)が呻いていた
「美味しい?」
「はい、とても…」
とか言ってやがる。下手なケーキより甘ったるい、なによあの空気は…
姉の頬を撫でる指揮官、恥ずかしそうに俯く姉、下手なラブコメより尚酷い
姉がチョロいのがいけないのか、指揮官の手が早いのが悪いのか…
「うまうま…」
マッコール(まっちゃん)は美味しそうにケーキ食べてるし
ああ、もういっそ、それに倣ったほうが幸せになれるのかもしれないとも思い始めていた
ー
「どう思います、インディ?」
「…別に、どうともは…ただ…」
ケーキを片手にしながらも、その様子を遠巻きに眺めていた二人
お互いに それと分かるほど表情に変化はないけれど、それとなく値踏みするようではあった
「指揮官(あかね)が楽しそうなら、良いかなって…」
「そうですか…いえ、そうですね…」
結局はそこだった。指揮官が楽しんでいるならそれで良い
それが、二人にとっての線引だった
ー
「ぁぁぁぁ…」
レナウンが頭を抱えて呻いていた
正気に戻ってみれば それはそう、あんなショートケーキより甘ったるいやり取りを自分がしていたなんて
「随分と楽しんでましたわね、お姉さま?」
聞きなれないレパルス(妹)の口調は からかう様で、背筋が痒くなってくる
「分かっています。分かっていますから、止めて…止めて下さい…」
「あはははっ。はいはい、ごめんて…でもさ」
1人、悶絶する姉に寄り添うと顔を覆っている両手を引き剥がす
「おーぷんせさみ♪」
「な、なにを…」
「アレみて?」
レパルスが示す場所
インディアナポリスを中心に、指揮官と綾波、マッコールが固まって寝こけていた
「バカ見たいな寝顔でしょう?」
「バカだなんて…そんな…」
でもそれは、例えば猫達が絡まり合ってるような不思議な空間を連想させるのには十分で
「指揮官が、あの娘達が、スパイだとか裏切り者だとかホントに思う?」
「…いえ」
レパルス(妹)の問いかけに知らず首を振っていた
「ですが…結果は示さなければ…だからこそ…」
指揮官様の、あの子達への疑念を晴らすためにはそれは示す必要がある
「指揮官様の剣の向ける先が…」
「私達の主砲の向け先…だね?」
言葉を重ね、意思を交わし、二人、しっかりと頷きあう
「よーしっ、私達も混ざろっか」
「は?え?ちょっと…混ざるって…ぇぇ…」
そうしてネコが二人増えたのだった
ー
レナウンの朝は早い。日も昇りきらない内から目を覚まし
それより早く起きたレパルスが、ランニングに出るのを見送る所から始まる
「あ、指揮官起こさないと延々と寝てるからよろしく」と言った妹の言葉は真であった
なので、今まではレパルスが請け負っていた総員起こしを代行するのが次の日課になっていた
「ほら、皆さん…指揮官様…あかねさん…起きて」
最初はこう、優しく揺するのだけど、それで起きるわけもなく
「はぁ…起きなさい」
結局、布団にしがみ付く指揮官様を一本釣りする形で叩き起こすことになる
「もぅ…レナウン(れな)ったら、もっと優しく起こせないの?」
「してましたよ…。それで起きてくれるなら私だって…」
「そうっだけ?」
とぼけたように首を傾げると、そのまま「ちゅー」と顔を近づけてくるのもいつものことで
「はい、おはようございます」
そのまま おでこに一つ、唇を重ねるのにも馴れていた
「朝から良いご身分ですね指揮官…」
「当然よっ、だって指揮官様だものっ」
「ねっ?」同意を求められば「そうですね…」なんて適当に受け流し
「綾波も早く着替えて下さい…」と、二人の着替えを用意し終えると
「こらっ、インディアナっ。服はちゃんと着なさいっていつも…」
「んー…。良い、どうせ指揮官に脱がされるから…」
「何が良いものですかっ。もう朝ですっ、そういうのは…その、ねっ!」
「朝…ああ、そうか、そうだね…」
「まったく…。ほら、手をあげて…」
「ん…ありがと…」
寝ぼけたままのインディアナの服を直して
「マッコール、朝食の前にアイスを食べないっ」
「うへ…めざといなぁ。一本くらい?」
「よくありませんっ。良いから顔洗って…」
マッコールの背中を洗面所に向ける頃には
「はぁ、お腹すいたっ。ご飯まだ~?」
「あぁっもうっ、手を洗ってくるっ!」
「はい、はーい」
ランニングから戻ってきたレパルスに食事の催促をされる時間になっていた
ージリリリリリ…ー
そんな忙しい朝の間に電話が鳴るものだから
「後にしてくださいっ!」
取った受話器をすぐに戻すと、慌ただしく朝食の用意をはじめるのだった
そうして、食事が終わると
「申し訳ございません。任務の件、確かに拝命いたしました…はい、はい、この度は誠に…はい…では…」
自分がぶった切った電話が本部からの電話だったりした日には平謝りするしか無かった
「もうレナウン(れな)ったら、せっかちさんなんだから」
「いっつも私には落ち着けって言ってるのにー」
「ねー?」と、妹と指揮官様が声を合わせ時には ちょっと…いやさ結構殴りたくなっていた
「大丈夫です、気持ちは分かります…。いっそ一発くらいイッてもいいと思います」
綾波が察して、慰めてはくれるものの
「ありがとうございます。ですが…貴女もその1人なのですが…」
「まさか…」
「不思議そうな顔をしないで下さい…お願いですから…」
まるで、私が間違ってるみたいじゃないですか…
そう、巡洋戦艦レナウン…彼女の朝はとても忙しい
ー
皆が出撃準備をしている暇に、1人部屋にこもり受話器を傾けている あかね
「ちょっとオイゲン。聞いてるの?」
「…ええ、聞こえてるわ…同じくらい呆れてはいるけれど…」
電話口の向こうから聞こえてきたのは退屈さに冷めきった声だった
「貴女、自分の立場分かってるの?」
私達がレッドアクシズを標榜して、重桜がコレに追従…
そうなったせいで、すったもんだと話は聞いていたけれど
「もっちろん。だからこそ…隠すこと無いオープンチャンネルよっ」
「きっと今頃盗聴され放題ね」極めて力を込めて、馬鹿はそうは語った
「…死ねば?」
呆れ果てた…。というか、もう離すのが疲れてきた、受話器を握る手から力が抜けていく程度には
「ああ、切る前に一つ…。約束、覚えてるわね?」
「ええ、もちろん…」
だってそれは この退屈な戦いの中で数少ない彩りの一つだったから
「「私が勝ったら、貴女は私の物になるのよね?」」
一字一句に同じ言葉、その逆はありえないと互いに主張を譲りやしなかった
「「やってみなさい、出来るものならね」」
一字一句に同じ言葉、その逆はありえないと互いに一歩も引く気配がなかった
「じゃあね、指揮官さま…戦場で会いましょう?」
ー Ich liebe dich ー
最後に残った言葉が糸を引きながら電話が切れた…
「オイゲン…。鉄血の言葉なんてわからないわよ、私…」
受話器を置く。そうして、息大きく吸って身体を伸ばした
「指揮官…出撃準備完了です。そろそろ行きますよ…」
見計らったように扉が開くと、ウサギに誘われるままに部屋を後にした
「さて…それじゃ、行きますか…」
ー
「で、珊瑚海って何処?」
「マジで言ってるのですか…」
「…あー、こほんっ。指揮官様以外に知らないという方は挙手を…」
念のため、あくまで念のためのつもりであったが…
「ぁぁぁぁ…」
レナウンの口から声にならない声が漏れていた
つい勢いで書いてしまった。少しでも笑っていただければ幸いです
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