提督と○○17
提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です
注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです
アニメとかなんかのネタとかパロディとか
二次創作にありがちな色々
長い
EXパートは思いつき小ネタです
17回目になりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね
それではこの番組は
提督「zzzz…」
皐月「それじゃ、文月。司令官の事頼んだよ?」
文月「うん、まっかせてー♪」
望月「いまいち不安なんだよなぁ…」
三日月「それを望月が言うの…」
球磨「さっさと行ってさっさと戻ってくるに限るクマ」
大鳳「今日もいい風ね。それじゃ始めましょうか」
瑞鳳「ええっ、軽空母だって頑張れば正規空母並の活躍くらい出来るんだから」
卯月「どーせ戦艦なんか倒せないんだからっ、砲火力なんて考えるだけ無駄ぴょんっ」
菊月「そういって、駆逐艦や軽巡すら倒せんのでは話にならんとっ」
夕張「ちょっと、お姉さま方?」
長月「すまない…飽きるまで我慢してくれると助かる」
弥生「喧嘩するほど仲がいい…」
金剛「お、先に誰かがティータイム?」
睦月「いっちばん乗りにゃしー」
如月「もぅ睦月たら、お風呂場で走ると危ないわよ…」
北上「そいじゃ、そろそろお風呂に行きますか?」
大井「はい♪着替えとタオルはこちらにっ」
北上「大井っちは良いお嫁さんになりそうねぇ」
大井「北上さんのね♪」
北上「いやいや…」
多摩「木曾…釣れたら起こすにゃ…ぐぅぅzzzz」
木曾「ったく…竿握るくらいしても良いだろうによ…」
以上のメンバーでお送りします
↑後「提督と新人さん」
~回想~
~執務室~
皐月「なっ…」
執務室の扉をあけた皐月が、その光景を目の当たりにして言葉とともに動きも止まる
如月「皐月?…え」
急に足を止めた皐月を怪訝に思いながらも、何事かとその肩越しに室内の様子を伺う如月
そして、彼女も同じようにその動きを止めることとなる
文月「あ、みんなお帰りー」
提督「ん?ああ、お疲れ様」
提督の膝の上に文月が座っていた
あるいは、提督が文月を抱きしめていたのか
しかし問題はそこではなかった
割りと人見知り気味な提督。その膝の上に当然の様に乗っかってる文月
本来なら時間が埋めてくれるはずの距離が、着任初日からゼロになっている事実
球磨が餌付けして、如月が散々からかわれた挙句に近づいた距離に文月が立っていた
睦月「二人ともー、通れないしー」
玉突き状態に渋滞している執務室の入口。固まってる姉妹たちをすり抜け睦月が強引に顔を出す
睦月「提督、今帰ったよっ」
文月「おかえりー、睦月」
提督「おう」
睦月「…ちょっと失礼」
お膝の上からニコニコと出迎える文月と、それを気にもしてない提督
流石に不審に思ったのか、睦月が一旦顔を引っ込める
扉の上に掲げられた「執務室」のネームプレート
部屋が間違ってるわけではないらしい…じゃあ、別の鎮守府にきちゃったって、それはもっとあり得ない
睦月「何事かっ」
状況を処理できなくなった睦月が声を上げる
そして、その声に頬を叩かれる様に はっと我に返る2人
如月「ちょっと文月、こっち来なさい」
文月「ん?」
くいくいっと如月が文月に手招きをする
皐月「いいからっ、司令官はそのままねっ」
提督「…なんだ?」
文月「さぁ?ちょっといってくるねー」
ひょいっと提督の膝の上からおりて、皐月達の元へ向かう文月
ー
球磨「…」
そんな騒ぎを横目に、球磨が部屋の隅へ移動していた
目的はそこに丸くなってる自分の妹。ご丁寧に座布団まで敷き詰めて転がってた
球磨「多摩…まさか無理矢理だとかってことは無かったクマ?」
口にするのは小さな疑問
あり得ないと思いつつも、念のために確認したくなるぐらいには、奇妙な光景だった
多摩「にゃいにゃい…球磨のがよく分かってるはず。アレにそんな度胸はないよ」
丸まった体から頭を少し起こして、言葉を返す多摩
球磨「物の弾みってのもあるクマ」
多摩「弾む前に潰れるにゃ、多摩の見立てでは…」
物が弾む前には潰れるし、魔に刺される前に逃げ出すくらいには臆病だと多摩は言う
球磨「よく見てるクマ…」
多摩「多摩が見てるんじゃなくて、あっちが多摩を見てくるの…いやでも分かるにゃ、このくらい」
球磨「そんなものか…」
多摩「そんなものにゃ…」
それっきり、再び頭を下げて居眠りを再開する多摩ちゃんだった
ー
ばたんっと執務室の扉が閉じられた
如月「どうして司令官の上に乗っかってるのよっ」
そんな場合によって誤解されそうな台詞と共に、如月が文月を壁際に追い詰め、ドンッと壁に手をついた
文月「どうしてって?ダメだったの?」
睦月「睦月たちが仲良くなるの大変だったんだよっ」
文月「そう、なの?」
何が大変だったのかと、よくわからない顔をする文月
皐月「逃げられたりしなかったのかい?」
文月「しないよ?あ、でも…ちょっと怖がりさん?って気はしたね」
睦月「ちょっとっ!?」
如月「あれは、ちょっとじゃないわ…」
ゆっくりと首を横に振って、ちょっとという言葉を否定する如月
文月「もぅ…そうやってみんな構えるから、司令官も警戒しちゃうんだよ?えがおえがお♪」
にぱーっと、満面の笑みを浮かべる文月
皐月「それは…」
如月「そうなんだけど…」
睦月「にゃしぃ…」
そんな笑顔に気圧される3人
皐月たちだって、表立って警戒したり敵意を向けていたわけではないけれど
仮にも初対面なのだ、緊張ぐらいする。というかさせて欲しい
文月「…(言うほど簡単でもないんだけどね)」
内心、ちろっと舌を出す。割りと強かな文月だった
~回想終わり~
ー執務室ー
チクタクチクタク…鳩時計の音が静かな室内に響く
部屋の中には、いつもの如く提督がソファーの上で寝っ転がってる
いつもと違うと事と言えば、皐月と望月が出かけてるという事くらい
その代わりにと、今日は文月が秘書艦だった
起きない提督のお腹を背もたれにして、ちょこんとソファーに座ってる文月
手持ち無沙汰なのか、なにやらティッシュを丸めてがさごそやっていた
提督「…ん、ふぁぁぁ」(←あくび
文月「お、しれいかん 起きた?」
提督「寝てる」
文月「そっかぁ」
提督「…皐月達は…」
開きかねてる目で室内を見渡してみても、探し人は見つからない
文月「今日はお出かけだよ?」
提督「あー…そいやそうだったか」
居ないとわかると、電灯の光に負けてそのまま目を閉じる
文月いないと寂しい?」
提督「…別に、1人にゃ慣れてるし…」
文月「そっかぁ」
慣れてるだけで、平気とは言わないんだよね…なんて思いつつも、口には出さず
文月「でも、今日は私が一緒だから寂しくないよ?」
提督「そう…ありがと」
無遠慮に文月の頭に手を伸ばし、ぐりぐりと撫で回す
文月「えへへへ、まっかせてよ、司令官❤」
皐月の姿を連想させるその声音
さすが姉妹艦、よく似てらっしゃる
提督「本人の前でやったら、面白い顔しそうね」
くすっと小さく笑みを零す提督
文月「その本人から伝言だよ。愛してる❤ってさ」
提督「ダウト」
「愛してる」そりゃ、如月あたりが言うなら分かるが
皐月が伝言でそんな言葉を残すなんて、梅雨の晴れ間に雪が降るくらいにあり得ない
文月「ばれたかー」
あっけらかーんっとウソを認める文月
提督「そりゃね…で、本当は?」
文月「書類は片付けたから、見回りくらいやってよ だってさ」
提督「えー…」
文月「やらないと、おやつ抜きー。とも言ってたね」
提督「よし、いくかぁ」
ぱっちりと目を開き、起き上がる提督
そのまま文月を抱き上げ窓辺向かう
文月「おおぅ。しれいかん 出口は向こうだよ?」
提督「大丈夫だ問題ない」
窓枠に足をかける。手には抱えられた文月
そしてそのまま、それが当然のような気安さで
窓から飛び降りた
文月「きゃー♪」
黄色い悲鳴が執務室からお外に消えていった
ー母港ー
静かな海。その波間に演習用の的が、ふわふわ浮かんでいる
瑞鳳「…」
引かれる弓。張り詰める弦。そして矢は放たれる
風を切り進む矢が、艦載機へと変わり正確に目標を爆砕した
文月「おぉ、すごいすごい」
提督「お見事、で良いのかな?」
残心を終えた瑞鳳が振り返ってみると
小さく拍手をしてる文月と提督の姿
瑞鳳「ダメ、ちょっとずれてた」
首を振って、自分にダメ出しをする
提督「細かいねぇ…的は綺麗に吹っ飛んでるのに」
何処に当たろうがふっ飛ばせば勝ちだろうとは、提督の言である
文月「でも しれいかん。敵は止まってくれないし、攻撃もして来るし、私達だって動いてるし」
いろいろ大変なんだよとは、文月の言である
瑞鳳「そういう事、安全な場所で止まってる的にくらいは確実に中てられないと、ね?」
提督「あぁ…なるほど…」
だったら、絨毯爆撃でもすればいいじゃない…とか言ったら怒られそうなので黙っとく提督
瑞鳳「…さて」
再び引かれる弓。瑞鳳の集中を伝えるように、凛とした空気が辺りに満ちる
提督「じー」
文月「じー」
そんな背中を穴の開きそうなくらいに見つめる2人
瑞鳳…なに?見るなとは言わないけど、そんなに見られるとやりづらいんだけど…」
弓を構えたままの瑞鳳の抗議
提督「うん、瑞鳳がカッコいいなって」
文月「なって♪」
瑞鳳「はぁ…なに?何かようなの?」
構えていた弓を下ろし、諦めたように提督たちに向き直る
提督「用って程でもないけど、それちょっと貸して?」
瑞鳳「それって…これ?」
握られている弓に視線を落とす瑞鳳
提督「YES」
瑞鳳「…」
別に拒否する理由もないけれど、それと同じくらい許可する理由もなかった
とはいえ、ここで問答するくらいなら、さっさと渡して満足させたほうが良いかと
瑞鳳「はい…」
提督「おお、言ってみるものだな。弓は空母の命とか言われるかと思ったのに」
瑞鳳「分かってるなら大切に使ってよ?」
提督が弓を受け取ると、弦を引っ張ってみたりだ何だのと弄りだす
文月「よかったの?」
瑞鳳「少しくらいならね」
楽しそうに弓で遊んでる提督を見守る瑞鳳
どことなく、弟を見守る姉のような感じにも見えた
提督「文月♪文月♪」
文月「ん?」
楽しそうに文月を呼んだ後、大げさに弓を引く提督
そして…
提督「Jク○ースっ」
文月「あはは♪浄解ならまっかせてー♪」
瑞鳳「…」(←頭痛い
弓を持つとやりたくなるお年頃だった
そんな提督の遊びに乗っかって、文月も呪文の言葉を口にする
てんぺるむ…(以下略)浄化の光が世界を照らした
その割には瑞鳳の ぞ◯だー化は加速しそうだったけど
そんなこんなで、一しきりやり終えた後
再び文月が瑞鳳に問うた
文月「…で、ほんとに良かったの?」
瑞鳳「うん、ちょっと後悔してる」
そのうち反中間子◯とかなんちゃらミサイル使えない?とか言われそうな気分になれた
大鳳「ふふふ、提督も好きねそういうの」
振り返ってみれば笑顔の大鳳
提督「大鳳…しってるの、これ?」
大鳳「ええ。キ◯グジェイダーの必殺技ね。超弩級戦艦と言われれば馴染みのある感じだけれど…」
あれはとてもそんなレベルじゃないわね、と
提督「いやに詳しいな…」
大鳳「提督がそういうの好きだって聞いたからひと通りは、ね?」
提督「ひと通りって…」
あれ、結構長いんだけど…いつの間に
大鳳「でも提督?あんまりそういうことしてると、子供みたいよ?」
口元に手を当て小さく笑う大鳳
なんか、子供をあやす お姉さんのような空気だった
提督「…いいだろ、別に」
そんな笑顔が照れくさいのか
そっぽを向き、誤魔化すように弓を引く提督だった
瑞鳳「あのー、いちゃついてる所 大変申し訳ないけれど…」
そんな光景をじとーっと眺めていた瑞鳳
瑞鳳「提督、そのまま指離したらってっばかっ!?」
提督「別にいちゃついてなんか…ぅっ!?」
大鳳「提督っ!?」
瑞鳳に気を取られて、力の抜けた提督の指から弦が滑り出る
無駄に張り詰められた弦が勢い良く弾かれ、提督の頬に叩きつけられた
その場に蹲る提督
その隣に慌てて瑞鳳が駆け寄り、寄り添うように腰を下ろす
提督「いたい」
瑞鳳「でしょうよ…ほら、ちょっと見せて」
提督の頬を両手で掴み、自分の方へ顔を向けさせる
大鳳「大丈夫?」
その後ろから、覗きこむように大鳳が声をかける
瑞鳳「ん、ちょっとほっぺた切れてるけど、平気平気」
大鳳「そう、大事ないなら良かったわ」
ほっと胸をなで下ろす大鳳
瑞鳳「ほら、じっとしてて…」
提督「いーたーいー」
瑞鳳「うっさい、子供じゃあるまいに」
格納庫から応急セット一式を取り出し、甲斐甲斐しく治療を始める瑞鳳
文月「ねーねー、大鳳さん?」
大鳳「なぁに?」
少し腰を下げて、文月に目線を合わせる大鳳
文月「この角度からみるとちょっとドキドキするよ、きゃっ♪」
わざとらしく頬に両手を当て、頬を染めてみせる文月に促され、大鳳がその角度から覗きこむ
提督の頬の傷を治療してる瑞鳳
そうなれば自然とお互いの顔は近づくわけで
まして、治療のためとはいえ瑞鳳の手が提督の頬に伸びてるともなれば
ちゅーしてるように見えなくもない、そんな角度だった
大鳳「ん…ああ、なるほど。確かに…えっと、きゃっ♪」
頬に両手をあてて、文月の真似をして見る大鳳
文月「あ、大鳳さんそれ可愛い♪」
大鳳「ふふ、ありがとう」
和やかだった
瑞鳳「あんたらっ、変なコト考えてんじゃないわよっ」(←聞こえてた
治療中なのだ、やましいことなど何もない…筈なんだけど
そんな風に言われると、途端に気になって しようがない
たかだか人工呼吸にドキドキする中学生の様な気分になれた
瑞鳳「あーもうっ、あんたが弓で遊ぶからっ」
グリグリと消毒薬の染み込んだガーゼを押し付ける瑞鳳
提督「いたいたいたいっ」
瑞鳳「ほらっ、終わりっ」
ばしんっと叩くように絆創膏貼っつけられる
提督「づほ姉ちゃん、ちょっと乱暴」
瑞鳳「だれがお姉ちゃんかっ」
叩かれた頬を擦りながら、恨みがましい視線を向ける提督
それに、むすっと不機嫌そうな視線を返す瑞鳳だった
提督「なはははは。ま、ありがと」
瑞鳳「はぁ…どういたしまして」
ー
提督「さて、文月」
文月「はぁーい」
一しきり騒いだ後、瑞鳳に弓を返す提督
提督「それじゃ、私らはそろそろ」
文月「瑞鳳さん、大鳳さん、またあとでねー」
ぱたぱたと手を振りながら、提督の背中を追いかけてく文月
提督「そいや…瑞鳳、大鳳って…2人合わせると ほうほう だな」
文月「あははは。なんか梟みたいだねー」
そんな言葉を残しながら、どっかにいく2人だった
大鳳「で、提督は此処に何しに?」
大鳳の素朴な疑問
瑞鳳「知らないわよ、そんなの:」
瑞鳳の素直な感想
遊ぶだけ遊んでどっか行っただけ、としか言いようがなかった
ー移動中ー
文月「次は何処に行く?」
提督「…ん?」
どこからか言い争う声が聞こえてきて、足を止める提督
文月「んー、うづきくだね」
提督「毎度飽きないなあいつらも…工廠か」
騒ぎの元に目を向ければ、そびえ立つ工廠施設
提督「行ってみるか」
文月「はーい」
ー工廠-
提督「なーがっつき♪」
どこからともなく現れて、後ろから長月に抱きつく提督
長月「っと、急に抱きつくなと何度言ったら…」
提督「そんなに嫌がられると司令官悲しいわ…」
長月「嫌とは言っていないだろう…」
提督「そんな、司令官大好きだなんて…」
長月「そこまでも言ってないがな…って、お前も飽きないな」
提督「なはははは♪様式美、様式美。そんな事言いながら付き合ってくれる長月が好きだよ?」
長月「はいはい、そりゃどうも」
悪態つきながらも好きにさせてる長月
割りといつもの光景だった
文月「やーよーいー♪」
提督の真似をしてか、文月が隣にいた弥生に抱きついた
弥生「っと、文月…ふふっ、司令官みたい」
文月を抱きとめた弥生がその頭を優しく撫でる
文月「…」
長月にじゃれついてる司令官をちらっとみる文月
そこで何を思ったのか、ひょいっと弥生から離れた
弥生「…(あ、離れるんだ)」
長月達に視線を移す弥生
後ろから長月に抱きついている提督
その頭を撫で回し、髪を梳き、頬ずりしたりと、やりたい放題だった
だからと言って長月の方も、怒るでも嫌がるでもなく好きにさせてるようで
そう、傍目に見れば母猫にじゃれついてる子猫のような?
そんな感想を抱いていた
文月「それで、2人は此処で何してるの?」
長月「ん?ああ…あれだよ」
長月が視線を送った先に
卯月「B型改二とかもう時代遅れぴょんっ、これからは超10cm砲の時代ぴょんっ」
ちなみに、超10cm砲(10cm連装高角砲+高射装置)は卯月が気に入って使ってるだけです、誤字じゃありません
菊月「バカを言うなっ、B型改二の火力を甘く見るんじゃっ」
卯月「火力しか脳の無い装備になんの価値があるぴょんっ」
菊月「上ばっかり見てれば良いというものでもないだろうっ」
卯月「ぶーっ」
菊月「うーっ」
睨み合う2人
夕張「はいはい、二人共その辺にしときなさいよー」
そんな2人を横目に、ちょこまか動き回る妖精さん達と一緒に装備を弄ってる夕張さん
卯月「でもっ!」
菊月「しかしっ!」
夕張「はぁ、もぅ…」
かれこれ10分近く言い合いを続けていた2人
事の発端は「そろそろ駆逐艦の主砲改修するか」などと提督が言い出した所だった
となれば、対空至上主義者の卯月と、大鑑巨砲主義の菊月
両者がこうなるのにそう時間はかからなかった
夕張「あ、提督。もう、この2人どうにかしてよー」
工廠の片隅に提督を見つけた夕張が
なにやら疲れた声で助けを求めた
「司令官っ!」
そんな夕張の声に反応して
声を揃えたお二人が、とったかとったか提督の前に走ってきた
提督「なによ…」
長月「お前らもいい加減に…」
なんて長月の説得は聞き入れられることはなく
「改修するなら」
「超10cm砲だよねっ!」「B型改二だろうっ!」
提督「あぁ…そんな事もいったな…」
長月「おかげさまでこの通りだよ、どうにかしてくれ…」
夕張の疲れ気味の声色と同じ分だけ、長月の顔色も疲れ気味だった
「司令官っ!」
再度声を揃えて提督に詰め寄る2人
提督「甘いな、君たちは何も分かってない」
やれやれと首を振る提督
卯月「どういうことぴょん?」
提督がパチンっと指を弾くと、その手の平の上に後期型妖精さんが登場していた
提督「時代はこれだよ。12・7cm連装高角射砲(後期型)」
後は私に任せ給えとばかりに、ドヤ顔で胸をはる妖精さん
長月「ぁぁ…」
長月の口から嘆息の声が漏れる
どうてみても面倒増やされたって感じだった
菊月「そんなもので、何をするつもりだ…」
卯月「対空だって中途半端だぴょん」
菊月「火力だって並じゃないか…」
提督「やれやれだね…弥生さん教えて差し上げなさい」
弥生「ん、わかった…二人共、よく聞いて」
提督に呼ばれて、2人の前に出る弥生さん
卯月「ぴょん?」
菊月「なんだと言うんだ…」
弥生「この子は対潜だって出来るの、スゴイ」(確信
「…」
卯月「主砲で対潜してどうするぴょん…」
至極まっとうな感想である
弥生「はぁ…卯月はやっぱり分かってない…司令官、教えてあげて」
盛大にため息を吐いて提督にバトンタッチ
提督「いいかお前ら、出来ないより出来た方が良いだろう」
弥生「うんうん」
「…」
菊月「出来ればいいというものでもないだろう…」
至極まっとうな感想である
「…」
超10cm砲、B型改二、後期型、3つの派閥に分かれた4人が睨み合う
じりじりと牽制しあう4人やがて…
「夕張っ!」
皆して夕張に詰めよった
夕張「うわっ、こっち来たっ」
提督に押し付けたつもりが、提督ごと戻ってきた
「改修するなら、超10cm砲(B型改二(後期型だよねっ」
夕張「あぁもぅ…」
正直どっちでも良いけど
どっちでも良いとか言ったら、火に油なのはわかってるだけに頭の痛い夕張さんだった
長月「…ったく、子供か あいつらは…」
4人に囲まれてる夕張さん、子供におねだりされてる母親のような有り様だった
ただし、大きなお友達も混じってはいるようだけれど
文月「あははは。でも、司令官を大人の基準に入れたら、世界の8割は大人になれそうだよね」
笑顔のままに結構なことをいう文月
長月「お前も、案外と口が悪いよな…」
文月「そうかな?」
長月「そうだろう…」
文月「んー…ふふ、そうかもねぇ」
呆れ顔の長月とニコニコ笑ってる文月
夕張「あーもーうるさーいっ!」
「きゃー夕張がおこったー」
夕張の堪忍袋の緒が切れた
ー移動中ー
提督「ふぅ、ひどい目にあった」
文月「自業自得だよ?」
あの後、怒った夕張が実力行使にを敢行し
4-1人にゲンコツを落としていた
ちなみに、逃げたのは弥生。引き際は弁えていた
提督「ちょっと休んでくか…」
文月「しれいかん、入口はあっちだよ?」
提督「こっからのが近いし」
食堂の窓枠に近づいた提督が、そのまま窓を乗り越えて中に入る
文月「もー、皐月ちゃんに見つかったら怒られるよー?」
提督「見つかったらなっと」
文月を抱き上げ、食堂に引っ張り込む提督
提督「はい、これで共犯共犯」
文月「なんという…」
そのまま厨房に向かう2人だった
ー食堂ー
金剛「ストォォォォォップッ!!」
食堂内に響く金剛の声
文月「どしたの、金剛さん?」
提督「…そんな大声出して」
提督の目の前には沸騰中のやかん
そしてその手には、投入寸前のままで宙ぶらりんになったお茶っ葉
金剛「ナ、何をしてるデース。そ、そんな恐ろしい…」
提督「何って、お茶をだな」
宙ぶらりんになったお茶っ葉が、ヤカンに飛び込もうと動き出す
金剛「待ちなさいって言ってるデショ!」
飛びつくような勢いで提督に抱きつき、羽交い締めにする金剛
提督「金剛…いくら私の事が好きだからって、そんなにひっつかれると動けない」
金剛「オダマリッ!まずはお茶っ葉を置くデスっ」
強引に提督の腕を動かして、お茶っ葉を取り上げる金剛さん
提督「何するのさぁ、人のティータイムを邪魔するつもりなのかい?」
金剛「しゃらっぷっ。沸騰したヤカンにお茶っ葉を投げ込むバカがありますかっ」
提督「だって、ポット温めるのだるいんだもん」
金剛「手間暇は愛情デスっ、ここで手を抜いたら相手に失礼デショ」
提督「いや、どーせ飲むの私だし」
金剛「もっと自分を愛してっ」
提督「えー…」
文月「そーだよ、しれいかん 手を抜くならこっちじゃないと」
ティーパックを装備した文月が、お湯の中にそれを…
金剛「ふみづきぃぃぃっ、何してるデースっ」
文月「え?でも三角のやつだよっ」
ほらほらーって、ティーパックをアピールする文月
金剛「四角も三角もありますかっ」
文月「えー」
金剛「もうっもうっ、良いデスっ、後は私がしますから、2人はあっち行ってるデース」
厨房から2人を追い出しす金剛さんだった
ー
金剛「ぅぅぅ…」
机の上でへたれる金剛さん
提督「どした?そんな疲れた顔して」
文月「紅茶飲んで落ち着こ?」
金剛「誰のせいですか…まったく」
ぶつくさ言いながらも、紅茶を飲み始める金剛
金剛「提督…今度からお茶を飲むときは私を呼ぶネ」
提督「お茶ぐらい自分で…」
金剛「しゃらっぷっ。あんなものは認めませんっ」
提督「ぶー」
文月「まーまー、しれいかん。金剛さんだって、司令官と会う理由が欲しいんだよ、察して上げないとー」
不満そうな提督をなだめつつ
文月が爆弾を一つ転がした
金剛「ちょっ!?文月っ。て、提督…今のは、その…」
慌てた金剛さんが、文月の口を塞ぎに掛かるがもう遅い
そんな事をしてしまっては、転がってきた爆弾を踏み抜くだけだった
要は図星だった
提督「…」
優雅に紅茶を飲む提督
お茶の香りとともに流れる静かな一時、実にエレガントである
提督「ふぅ…金剛」
とてもとても落ち着いた声音で金剛の名前を呼ぶ
金剛「は、はい」
提督「おまえ、どんだけ私の事好きなんだよ」
ニヤリと愉悦で持ち上がる口の端を、手元のカップで隠す提督
金剛「ぅぅぅぅ…」
金剛の顔が赤くなり、恨みがましい視線を提督に向けた
金剛「ええ、そうですよー、好きですよっ、大好きですよっ、これでイイですかっ、そうやって毎回私の事からかって…」
そのままぶつぶつぶつと、提督への愚痴をこぼし続ける金剛さん
文月「まーまー金剛さん。司令官だって 照れてるんだよ。金剛さんをからかってないと顔赤くなっちゃいそうなんだよ、ね?」
どーどーと、金剛を宥める文月
同時に「ね?」っと笑顔を提督に向けて、そちら側にも爆弾を放り込む
提督「…」
何も言わずに、紅茶を飲み続ける提督
視線は誰にも合わせずに、カップで顔を隠し続けていたけれど
否定も肯定もしないなら平気だろうって、そんな事はなく
避けるも受け止めるもしないなら、爆弾は爆発するだけだった
要は図星である
金剛「…」
優雅に紅茶を飲む金剛さん
お茶の香りとともに流れる静かな一時、実にエレガントである
金剛「ふぅ…提督」
提督「なによ…」
金剛「あなた、どれだけ私の事好きなんですか」
ニヤリと愉悦で持ち上がる口の端を、手元のカップで隠す金剛さん
提督「っ…」
口を付けていたカップが揺れて、紅茶が口の端から溢れる
カップを机に戻し、こぼれて紅茶を手で拭う提督
そして…
提督「ああ、そうだよ。好きだよっ、大好きだよっ、これで良いかっ」
言うだけ言うと、赤くなった顔を隠すように金剛から背ける提督だった
金剛「VeryGood♪そうやって素直にしてればもっと素敵なのに」
提督「うっさい…」
文月「…(二人共可愛い)」
この場で一人勝ちしてる文月だった
ー移動中ー
文月「もう、しれいかん。機嫌直してよー」
提督「別に怒ってないし、拗ねてるだけだし」
文月「そういうの怒ってるっていうんだよー」
文月のせいで金剛にからかわれたのを根に持ってる提督だった
文月「あ、次あっちいこ?ね?」
提督の手を引っ張って、大浴場兼入居施設に向かう文月
提督「なに?一緒に入ろうって?色仕掛けかっ」
文月「それで機嫌直してくれるなら、それでもいいよー?」
提督「…馬鹿言うな、いくぞ」
文月「はーい」
文月の手を引いて、たったか歩いて行く提督だった
ー大浴場ー
提督「文月、なにか足りないものあった?」
文月「んー、大丈夫そうだね。石鹸もシャンプーもーリンスもいっぱい」
提督「そう。修復剤とか、少しは減ってるかとも思ったけれど」
減るどころか、若干増えてる気さえする
つい最近加入した大鳳
大型艦ともなればそれなりに消費も嵩むかとも思ったけれど
実際はその逆だった
文月「なんというかねー。大鳳さんが一緒だとー、ばーって全部終っちゃうんだよね」
提督「ばーって、なんだよ、ばーって」
文月「飛行機いっぱいでドーンっ!」
両手を広げてその凄さを物語る文月
提督「ああ…そういう」
瑞鳳が来た時も、大概楽になったような感じではあったけど
正規空母ともなれば、さらにといった具合のようだった
提督「んじゃ、そろそろ…ん、これは…睦月のか」
文月「あんまり見ちゃダメだよ しれいかん。パンツ見えてるから」
提督「…」
カゴの中に放り込まれていた服の塊
その特徴的な上着からは、どちらか2人だろうと予想は出来る
とはいえ、如月がカゴの中に制服をポイするなんて考えにくいし
ポイされた服の隙間から、下着がチラリと見えてた日には確定事項となった
提督「パンツは見えても、色気が見えない…」
文月「そうだね…」
うんうんと、一緒に頷く2人
その隣のカゴに綺麗に畳まれた如月の制服の方が、余程悩ましく見えた
睦月「およ?そこにいるのは、提督?」
ふと、浴室の方から睦月の声が響いてくる
提督「よく気付いたな…」
睦月「えへへへー。睦月は提督が何処にいてもわかるんだよっ」
提督「まじかよ、すげーな睦月」
睦月「提督もお風呂かにゃん?」
提督「いや、見回り」
睦月「なんとっ、仕事かっ」
扉越しにでも分かるくらいに、睦月が驚いた声をあげる
提督「いつもサボってるみたいに言わないで…」
文月「そうだね。いつもじゃないけど、割とサボってるね」
提督「しゃらっぷ」
そんな文月の言葉を切って捨てつつ
提督「そいや、そっちなんか足りないものある?」
睦月「んー…あ、提督が足りないしっ。一緒にお風呂はいろっ」
文月「ふふっ、殺し文句だね、しれいかん」
提督「ほんとにな」
可愛い娘からお風呂に誘われる
それだけで、なかなか心躍るシチュエーションではあるけれど
如月「ちょっと睦月!何を言って」
睦月「え?ダメなの?」
如月「ダメでしょっ!?」
バシャバシャと浴場内で水音が慌ただしくなる
提督「あ、やっぱりいたな。いやに静かだと思ったけど」
如月「し、しれいかん。ダメだからねっ、ねっ!」
語気を荒くして、来ないでと懇願する如月。可愛い
提督「それは良いんだけどさ、如月?」
如月「な、何かしら?」
提督「結構大胆な下着をつけてるのね…」
如月「っぅぅぅ!?」
ばしゃーんと、浴室内に水音が響く
見なくても何となく分かる。きっと今頃顔真っ赤にして悶えてるだろうなって
文月「しれいかんも意地が悪いね」
提督「楽しそうだろう?」
文月「うんっ」
ニヤニヤとこの後の展開を予想する2人
下着なんてもちろんブラフである
整理された如月のカゴの中には、下着なんて見える余地もなかった
が、問題はそこじゃない。見える見えないに係わらず、相手に見たと思わせればそれでいい
がらっと、浴室の扉が開いた…
提督「よう、如月」
如月「し、しれいかん…あなた何をやってっ」
にやにやしてる提督
余程慌てたのか肩で息をしてる如月
文月「けど残念♪」
文月の手にはプラカード。いつの間に用意したのとか、この際どうでもいい
そこには、大きく
如月「あ…へ?」
目を白黒させる如月
濡れた黒い髪、ほんのりと色づく白い肌、その肌の上を滑る水滴
そして、その幼さの残る肢体を最低限に隠しているバスタオル
へたな下着より余程艶っぽい
「ドッキリだよっ」
文月と提督、2人声を揃えてテロップを読み上げる
如月「あ…あ、あははは…」
壊れたオルゴールみたいに、カタカタと笑い出す如月
提督「よし、いくぞ文月」
文月「はーい」
提督「如月も風邪ひくんじゃあないよー」
くるっと羽織った着物を翻し、その場から 立ち去るX→逃げ出す◯ 提督
その後に文月も続いていった
如月「もうっ、司令官のばかぁぁぁっ!」
そんな叫びが追い風となり、提督を浴室から叩きだした
ー大浴場前ー
提督「あははは。あー可愛かった」
文月「けど、後でフォローしとかないとー」
ゆでダコみたいになってた如月を思い出して、ニヤつく提督
提督「そうだねぇ…そうねぇ」
そうはいっても、また如月姉ちゃん からかわれるんだろうなって思う文月だった
北上「あれ、提督じゃん。こんな時間にどったのさ?」
大井「また覗きなの?」
大浴場から出た所で、北上達と鉢合わせる
文月「またじゃないよー、そんないつもやってないよー」
提督「そうだそうだー」
北上「それだと、たまにはやってるってことになるんですがねぇ?」
「…まっさかー」
一瞬の沈黙のあと声を揃えて否定する2人。とりあえず感満載だったけれど
大井「提督?」
大井がちょー笑顔で提督に話しかける
提督「…なんでしょう?」
大井「やるならバレないようにやりなさい」
提督「あら、意外ね?魚雷撃ち込みますよとか言うのかと…」
大井「うふふふふ。はい♪バレた時はそうさせてもらいます♪」
ぽんっと両手を胸の前で合わせて、笑顔でそう宣告する大井様だった
提督「へい、文月」
文月「しれいかん、彼女は本気だよ。やるなら命かけないとねっ」
提督「仕方ないな、どらごんぼ◯る集めとかないと」
北上「それ、もうちょっとマシなことに使えませんかね?」
呆れ気味の北上様だった
北上「さ、そろそろ どいたどいた。北上様達はお風呂だよー」
言われてみれば大浴場の入口を占拠してる所だった
提督「ああ、わるいわるい」
北上「なんなら提督も一緒にはいるかい?それなら覗きには入らないっしょ?」
にっと冗談めかして笑う北上様
覗きX→混浴◯
提督「なるほど、お前頭いいなっ」
大井「て・い・と・く♪」
提督「…」
すっと耳元で大井が囁く
そして、コツンと提督にお腹に押し付けられる冷たい何か…たぶん魚雷
大井「どらごんぼ◯る、準備出来てる?」
提督「まだっぽいかも?」
大井「なら、大人しくしてなさいな。この変態」
ぽんっと提督の肩を叩き、更衣室に入ってく大井様
北上「にひひひ、怒られちゃったね。そいじゃねー」
その後を追って北上様も入っていった
提督「ふぅ…大井をからかうのも大変だな」
文月「そんなこといってー、分かっててやってるんでしょ?」
提督「ま、言うだけなら安全なのは、ね…」
文月「今から回れ右?」
提督「しねーよ」
文月「あはははは、しないかー」
提督「ほら、いくぞ」
文月「はーい」
ー
北上「如月…どったのさ?そんな所に座り込んで」
更衣室に入ってみれば、如月がバスタオル一枚でへたり込んでいるのが目に入る
どことなく、湯気と一緒に妙な哀愁まで漂っていた
如月「ふふふ、司令官に弄ばれたわ…」
北上「んーこの…」
言葉通りに受け取れば確実にラブコメ展開だろう、この台詞
大井「って、睦月。あなた下着見えちゃってるじゃないの。ちゃんと仕舞いなさいな」
睦月「なんとっ」
北上「ま、そんなの見ても喜ぶのは提督だけだと思うけどね」
言いながら、もぞもぞと服を脱ぎ出す北上
大井「どうかしら?見えてる下着に興味はないとか言いそうだけど」
睦月の着替えを畳みながら、言葉を返す大井
北上「…大井っちってさー、結構あれだよね?」
何とは言わずに、あれで済ます北上様
大井「別に…手のかかる人ってだけよ…」
北上「ふーん。ま、いいけどねー」
ほいほいっと着替えをカゴに放り込み、浴場に向かう北上
大井「あ、ちょっと北上さんまでっ」
北上「いいじゃん、見て喜ぶの提督だけだって?」
大井「そういう問題じゃありませんっ」
ぷぅっと頬を膨らませる大井を尻目に、如月を抱き上げる北上
北上「ほーら、如月も湯船にもどったもどったー、風邪引くよ~」
如月「は~い~」
そのまま柳の枝の様にぶら下がりながら、北上に連行される如月
大井「だからって、見せて良いものでもないでしょうに…」
ぶつくさ言いながらも、着替えを畳み直して浴場に向かう大井だった
ー移動中ー
提督「ふぅ、これでだいたい見て回った?」
文月「そうだねー。放送室は何もなかったし」
提督「そんな各部屋ごとにイベント用意しなくても」
文月「あははは、なんかゲーム見たいだねそれ」
提督「あれ、そいや…多摩と木曾って見かけたか?」
文月「お部屋には居なかったしー…」
提督「じゃ、あそこか」
文月「そだね、行ってみる?」
提督「そうだな、行くか」
文月「はーい」
ー鎮守府周辺・川辺ー
提督「釣れるかい?」
木曾「ん?」
静かに流れる水辺、その岩場の一つに腰掛けて釣り竿をたらしてる木曾
提督の声が聞こえて振り返ってはみるが、姿が見えずキョロキョロとしていた
文月「うえだよー」
木曾「うえって…おいおい」
言われるままに顔を上げてみれば、近くで木陰を作ってくれていた大木の上に、文月と提督が腰掛けていた
木曾「おまえら…どうやってそんな所まで」
提督「文月に引っ張ってもらったの」
木曾「マジかよ、すげーな文月」
文月「えへへー、結構力持ちなんだよー」
くいっと、力こぶを作ってみせる文月
どうみても ふにふににしか見えなかったけれど
実際の所は、提督がごにょごにょっと上まで移動しただけだったりする
木曾「で、どうしたんだこんな所に?」
提督「得には?鎮守府で見かけなかったから、ここかなーって」
木曾「あんたも大概暇だよな」
文月「そんな事無いよー、今日はちゃんとお仕事してたんだから」
提督「そうだそうだー」
木曾「今日「は」な?」
文月「そうだそうだー」
提督「…きこえませーん」
両手で耳をふさいで聞こえないふりをする提督だった
木曾「ま、いいや折角来たんだ、食ってけよ?」
文月「およ?」
木曾が釣りをしているその隣で、多摩が釣れたばかりの魚を焼いていた
チリチリと身を焦がす焚き火の音と、焼けた魚の良い匂いが漂ってくる
多摩「文月、提督、魚焼けたにゃー。醤油もあるにゃー、塩もあるにゃー、ご飯もあるにゃー、ついでに木曾も持ってくにゃー」
木曾「おい、勝手に人を食材に並べてんじゃねーぞ」
多摩「夜のおかずにゃ❤」
猫だけに、きゃっと頬を赤らめて、もじもじする多摩にゃん
木曾「バカかっ」
多摩「にゃ~♪」
水面に手を突っ込み、多摩の方へ水を飛ばす木曾さんと
掛かる水しぶきの冷たさに、きゃっと体を丸める多摩にゃんだった
ー
木曾「あのまま降りれないって言い出したら、傑作だったのにな」
むしゃむしゃと焼けた魚を食べる一同
文月「そういう木曾さんが一番降りれそうにないよねー」
木曾「ばっか言うな、あんぐらいなら平気だってーの」
多摩「それ以前に登れないってオチが待ってるにゃ」
提督「登る前からオチてるとか、器用なことをするね木曾さんは」
木曾「なに上手いこと言った見たいな顔してやがんだお前らは」
にししししっと2人で笑い合う、提督と多摩にゃん
提督「ま、そうカリカリしなさんな。魚を食べるがいい、カリカリに焼けてるよ」
「…」
その場が、しーんと静まり返る
文月「しれいかん、それはないなー」
多摩「安直すぎるにゃ」
木曾「言えばいいってもんでもな」
提督「いいもんいいもん、この魚は提督が食べるもの」
不貞腐れ気味に魚にかぶり付く提督
多摩「ま、それが最後ってわけでもにゃいし」
バケツから生きたままの魚を取り出す多摩
叩きつけるようにまな板の上に転がし、そのお腹を包丁で掻っ捌く
そして、開いたお腹に手を突っ込み、内蔵を引きずり出し、豪快にエラごと引きちぎった
「…」
そんな一瞬の出来事に、その場がシーンと静まり返る
多摩の頬に血が飛び散る
その手には魚の内蔵…一部どくどく脈うってる様にみえるのは気のせいじゃないと思う
提督「随分と豪快だな…」
多摩「提督もやるにゃ?結構楽しい」
血が付いた頬を手で拭い、追加で魚を取り出す多摩
木曾「やめとけやめとけ。提督にさせたら指切るぞ?」
からかうように木曾が提督に視線を送る
提督「ほぅ、この提督が指を切ると」
木曾「見栄張るなって」
提督「多摩」
多摩「はいにゃ」
ビチビチと未だに元気いっぱいの魚を、提督の方へ放る多摩
それを空中で掴みとる提督
ぬるりと滑る魚の体、提督の指の間から零れ落ち水の中へ帰っていた
木曾「…おい、せめて切れ。話はそれからだ」
提督「…そうね」
文月「よしよーし」
しょぼんとする提督を文月が撫でていた
ー母港ー
提督「ふぅ、美味かったねぇ」
文月「お夕飯はいるかなー」
提督「そん時は木曾さんを食べようっ」
多摩にゃんに、夜のおかずに木曾さんを貰ったことを思い出す
文月「あははは、叩き返されるだけだとおもうよー?」
提督「しおらしくされてもビビるけどな」
文月「据え膳食わぬでは武士の恥だよ?」
提督「何処で覚えてくるんだよ、そんな言葉」
文月「文月さんはこれでも大人なのだ」
提督「そうかい」
文月「そうそう」
ぽんっと文月の頭に手をおいて撫で回す
文月「えへへへ♪」
撫でられて嬉しそうにしている文月。これでも立派なな大人らしい
皐月「おーい。司令官、文月」
提督「ん、戻ってきたみたいだね」
文月「やっほー皐月ちゃーん」
手を振ってる皐月に文月も手を振り返す
皐月「ただいま、司令官」
提督「おぅ、大事ないかい?」
皐月「平気さ、司令官こそちゃんと見回りしてたよね?」
じとーっと不信の目を向ける皐月
提督「え?私は「愛してる❤」って聞いただけだけど?」
皐月「…文月?」
司令官に向けられていた疑念が文月にすげ変わる
文月「てへ♪」
可愛らしく舌を出して、やっちまったぜっと態度で示す文月だった
皐月「てへじゃないよっ、なに変なコト言ってんのさっ」
文月「やーん、ごめんなさーい♪」
「きゃ~♪」とわざとらしい悲鳴をあげて逃げ出す文月
皐月「あ、こら、待てーっ」
その後を皐月が追っかけていった
提督「元気だねー」
球磨「イチャつくなら他所でやって欲しいクマ」
提督「おう、球磨ちゃんもおかえりー」
軽く持ち上げられた球磨の手に、提督が自分の手を合わせる
軽いハイタッチだった
三日月「お疲れ様です、司令官」
望月「おつかれーしれいかーん」
球磨と同じように手を上げて、ハイタッチを要求する望月と
ぺこりと折り目正しく頭を下げる三日月
提督「おう、三日月と望月もお疲れ様」
片手ではハイタッチを返して、開いた手で三日月の頭を撫でる提督
三日月「ぁぅ…」
頭を撫でられた三日月の頬が赤くなる
提督「あれ、三日月?」
三日月「はい、何でしょう?」
三日月の顔を覗きこむ提督
その白い肌に、うっすらと赤い線が滲んでいた
提督「何だ、怪我したのか」
三日月「ああ、これですか…すこし破片がかすっただけですから…その」
顔が近いと言いたげに、三日月が顔を背けると
その頬の傷がよく見える、確かにかすり傷程度ではあるようだった
望月「そんなの唾でもつけてりゃ治るって」
提督「そうか、それなら…」
ちろっ
三日月「へっ…ぁ、ぇ」
三日月の頬に触れる、生暖かくて しっとりとした感触
それが何だったのかを理解した途端、三日月の顔から火が出そうになっていた
三日月「にゅ、入渠してきまぁぁぁすっ!」
後はもう全速力だった、卯月の様に脱兎のごとく。逃げ出すように大浴場の方面へ消えていく
提督「初いやつめ」
望月「さすが司令官。やってくれると思ってたよ」
にやにやと笑みを浮かべるお二人さん
望月「そいじゃ、あたしも入渠行ってくるよー」
ひらりと手を上げて立ち去る望月
ふと、その手を提督が掴んだ
望月「ん、なにさ?司令官」
ちろっ
望月「!?」
振り向こうとした望月の肩が跳ねて、その足が止まる
提督「つばでもつけりゃ治るんだろう?」
ニヤリと笑う提督。つかんだ望月の手の甲にはかすり傷
望月「…」
黙りこむ望月。こっちを向こうとはせず、体は固まったままだった
ふと、横風が吹き望月の長い髪を揺らす
髪の間から覗く うなじから耳の先まで真っ赤になっていた
望月「ばーか…」
ふんっと提督の手を振りほどき、振り返らないままに歩いて行く望月だった
球磨「すぐに逃げ出す辺り、三日月の方がまだ耐性がありそうクマ」
提督「あ、やっぱりそう思う?」
普段は三日月をからかってるんだから、そうもなろうけども
提督「球磨も怪我してるならやったげようか?」
そっと球磨の手を取る提督
球磨「やってみろ?そんときは、提督が泣くまで球磨が舐め返してやるクマ」
提督「それは、なんというか…」
球磨「球磨型家、家訓。一つ、やられたら倍返しクマ。くまくまくまくま♪」
提督の手を振りほどき、妙な笑いを残して立ち去る球磨
提督「球磨…どうだった?」
球磨「どうとは?」
ピタリと止まる球磨の足
背中合わせにつなげる言葉
提督「こないだ、駆逐とはいえ姫クラスが居たからな…」
球磨「…いつも通りと言いたいが、静かすぎたかな」
提督「楽観するなら、こないだの姫が回りの奴ら総動員したかって所か」
球磨「どうかな?嵐の前のって言葉もある」
提督「弱気だねぇ」
球磨「まさか?どうあれ、なにが来ても球磨が叩き潰してやるクマ」
提督「頼もしいな。けど、自己犠牲とかだったら…」
球磨「くまくまくまくま♪」
笑いながら球磨が再び歩き出す
球磨「提督、球磨は護ってやるって言ったクマ。任せておけ」
球磨の足音が遠ざかる
提督「頼もしいことで…」
風が吹く。先程よりも強く強く
提督の長い髪と、羽織っていた着物がはためいた
その風に乗り、落ち葉が遠く遠くに飛ばされて、次第に見えなくなっていった
ー執務室ー
「…れい…かん…しれい、かん」
提督「ん…皐月か」
体を揺さぶられる刺激に、提督が目を開けてみれば
目の前には皐月の顔があった
皐月「皐月かーじゃないよ。そろそろ起きなよ」
提督「…なんかあったっけ?」
もぞもぞと眠そうに目をこすりながら提督が起き上がる
皐月「無いけど、見回りにくらい付き合ってくれても良いじゃんか」
提督「…」
りたーん
逆再生でもしたかのようにソファーの上にお戻りになる提督
皐月「おやつ抜き」
提督「…」
りばーす
再生し直したかの様にソファーから体を起こした提督
皐月「なんだよ…文月には付き合ったんだろう。ボクと一緒に行ってくれても良いじゃんかさ…」
皐月の少し拗ねたような声音に、ちょっとときめく提督さん
提督「…皐月」
皐月「なにさ…」
提督「可愛い」
皐月「っぅぅぅぅ!」
顔を真赤にした皐月が何処ぞから取り出したのか、大きなハリセンを構えて振りかぶる
皐月「早く起きなって言ってるのっ!それとも叩き起こされたいのかいっ!」
提督「あーはいはい。行くから、落ち着け」
だるそうに体を起こし、ソファーから立ち上がる提督
皐月の傍まで歩くと、その頭をわしゃわしゃと撫で回す
皐月「まったくもぅ、行くなら素直にそういえばいいのにさ…」
取り敢えずハリセンを仕舞った皐月だったけど、その足で提督を突っついていた
提督「はいはい、小言なら道中でな…ほら」
皐月「へ?ちょっと、司令官っ」
提督が皐月の小さい体をひょいっと抱き上げる
提督「ん?文月と同じ事して欲しかったんだろう?」
皐月「べ、べつにそこまでは言ってないけど…」
とはいえ満更でもないのか、そのまま大人しくなる皐月
皐月「けど、文月と同じって…何してたのさ…」
提督「すぐ分かる…」
そのまま窓際に歩いてく提督
ふと、その窓枠に二つの飾りが、ぶら下がってるのが目に入る
提督「なんだこれ…てるてる坊主?」
皐月「ああ、うん。司令官が寝てる時に文月が」
提督「気の早い」
そろそろ梅雨時だとはいえ、空はまだまだ青模様だった
皐月「ボクらだって出撃中に土砂降りは嫌だし、多少はね?」
提督「…ふーん」
窓際にぶら下がった 2体のてるてる坊主
大きい てるてる坊主と小さい てるてる坊主
よくよく見てみれば、小さい てるてる坊には、その左の首元に三日月が描かれていた
提督「ふーん…」
小さい方がそうだと言うなら、この大きい方は何なのか
予想が付かなくは無かったけれど、気恥ずかしさからそんな思考を中断する
皐月「司令官?」
提督「いや、うん…行くか」
皐月「行くって、ドアは向こうだって…」
抱かれたままに窓際まで連れて来られた皐月
その上で「行くと」明言された
嫌な予感がどんどんと降り積もっていく
提督「入口は扉だけとは限らない」
開け放たれる窓
皐月「いや、ちょっと下ろしてっ、司令官っ」
バタバタと暴れだす皐月
提督「なに、怖いのは最初だけだよ」
皐月「知らないよっそんな事っ。いいから下ろせーっ」
窓際に足をかける提督
提督「じゃあ、いくぞっ。とうっ!}
皐月「ひっ!?」
ふわりと提督と皐月の体が宙に投げ出される
急に襲いかかる浮遊感と、その後展開を想像して皐月の声が引きつった
「うわぁぁぁぁぁっっ!」
皐月の悲鳴が室内に反響する
それも束の間。直ぐに水底に引きずられるように小さくなっていくのだった
ー
ーおしまいー
ー
初めましての方は初めまして、また会った貴方たちは久しぶりねっ
大日本帝国、大本営付きの、大元帥。御代 みつよ とは私の事よっ
尊敬の念を込めて、みつよ様と呼ぶがいいわっ
今回も大本営側の一幕よっ。察しが良いわねっ、その通り私の出番よっ、泣いて喜びなさいっ
今回はそうね…梅雨の時期だし、そんな一コマよっ
皆は てるてる坊主は作ったかしら?
もう作ったって人はせっかちねっ、干上がりたいの?
まだの人は暢気ものねっ、ずぶ濡れになるわよっ
どうしろと?って苦情は受付ないわっ、飲み込みなさいっ
でもそうねっ、どうせ作るなら大きいの良いわねっ
窓辺に吊るすとアレに見えるくらいなのが良いわっ
色々言ったけれど、ただの小ネタよっ。本編でやる機会が無いだけねっ
それじゃ、そろそろ始めるわっ
その耳と目と心でいっぱい妄想するがいいわっ
ー
ー大本営・休憩室ー
大本営に設けられた、少し広めのお部屋
これといって豪華な部屋ではないけれど
戻ってきた艦娘達が、これから出撃する艦娘達が快適に過ごせるようにと
室温湿度の調整はもちろんの事、ふっかふかのソファーにでっかいTV
お茶にお菓子に軽食が常備されていた
みつよ様曰く、「部屋に篭もるくらいなら、此処に居なさい」だそうだ
個人の家に例えるなら、リビングだとかお茶の間の様な場所
大潮「~♪」
そんな部屋の片隅で、大潮が1人鼻歌交じりに作業をしていた
机の上には、ティッシュ箱と輪ゴムにマジックペン
ティッシュを数枚丸めて団子にして、上から別のティッシュを被せて輪ゴムで止める
簡単お手軽に てるてる坊主の出来上がりだった
みつよ「てるてる坊主ねっ」
ソファーに座って作業をしていた大潮の後ろから、ひょっこり顔をだす みつよ様
大潮「やや、おひいさま。ごきげんよう」
みつよ「はい、ごきげんよう、大潮。明日は何かあったかしら?」
みつよ様が窓に目を向けてみると、外は静かに雨が降っていた
大潮「明日は任務なんですよ、大潮は」
みつよ「そういえばそうだったわね…ふむ、しかしその子…」
ひょいっと、大潮が作り終えた てるてる坊主を摘み上げる みつよ様
みつよ「ちょっと小さいわね…」
大潮「そうでしょうか?普通だと思いますけど…」
大潮の言うとおり、特別に小さいということは無く。ごくごく一般的なサイズだったのだけれど
みつよ「普通ということは大きくはない、ということでしょう?」
大潮「おぅ…それは…確かにそうですねっ」
納得する必要もないのに、大きく頷く大潮
みつよ「でしょう?となれば、やっぱりここは…大和っ」
大和「はい」
いつもの様に大和の名前を呼ぶ みつよ様
となれば、いつもの様にささっと行動完了している大和さんだった…
ー
みつよ「ふふんっ♪やっぱりやるならこれぐらいはないとねっ」
大潮「流石です おひいさまっ」
名づけて「てるてるガール」よっ、なんて満足気な みつよ様と、晴れやかな表情の大潮
そんな2人の前には等身大のてるてる坊主
等身大…みつよ様や大潮、なんて小柄なものではなく、長身の女性…言ってしまえば大和と同じぐらいの…
そして、部屋の窓からはカーテンが片方だけ無くなっていた
相方がいなくなったせいか、残った白いカーテンが寂しそうに揺れている
大潮「これで、明日はバッチリ晴れ…」
一瞬、部屋が白で埋め尽くされる。そんな眩しさに目を細めた瞬間
空をつんざく轟音が響き渡った
その直後、地面に水滴が叩きつけられる音が無数に広がり、一気にバケツをひっくり返したような有り様になった
大潮「はれ…ますかね?」
みつよ「大和っ!」
大和「むーむー…」(←超弩級戦艦
「大和っ!」の後に続く言葉。「土砂降りじゃないの、どうすんのよっ」と、
声にこそ出してはいないけれど、しっかり大和には伝わっていた
カーテンを頭から被せられた大和
両手をぱた付かせながら、布の奥からくぐもった声の抗議
ちなみに濡れ衣である、びっしょびしょである
なんてやっていると、再度部屋が白く染め上げられる
が、それが引いた途端に部屋が暗くなった
みつよ「あら…」
大潮「停電…でしょうか?」
真っ暗、という程では無いけれど
こうも土砂降りでは、薄暗がりを演出するには十分だった
そんな暗がりを容赦なく切り裂き、稲光が部屋中を無遠慮に駆けまわった
薄暗がりに浮かび上がる白い影
てるてる坊主、大和の姿
稲光によって、照らし上げられたその姿は
てるてる坊主というよりは…
大淀「おひいさま。直ぐに復旧するとは思いますがあまりうろつかれ…」
みつよ様を心配して、部屋を覗きこむ大淀
しかしその目に映ったものに、動きと思考を止められてしまう
大淀「おひいさま…なんです?これ?」
大和「むーむー」(←史上最大の戦艦
パタパタと両手を動かす 元てるてる坊主
大淀「動いた…」
庇う様にみつよ達の前に立つ大淀
みつよ「なにって…そうね」
ピカっと、稲光によって再び浮かび上がる、元てるてる坊主の影
こんな薄暗がりに浮かび上がっては、魑魅魍魎の類にしか見えなかった
みつよ「お化けよ、こわいわねっ」
大潮「こわいですぅー♪」
大淀「…」
とてもそんな風には見えなかったし、聞こえなかった
この反応なら真面目にお化けってことはあり得ないし…
大淀「?」
ふと、辺りを見回す大淀
本来なら一緒にいるであろう筈の大和の姿が見えない
そして、片方だけなくなったカーテン
目の前にはそれと思しき布切れと、それと思しき人影
導き出される結論は…
大淀「貴女…何をやっているの?」
大和「…」
がばっと、大和からカーテンを引っぺがす大淀
大和「えーと、そう…お化けです♪」(←大艦巨砲主義の頂点
大淀「…」
小首をかしげる大和。可愛らしいお化けもあったものだと
白い目で大和を見つめる大淀
大淀「…おひいさま?」
みつよ「~♪」
じとーっと、大和と同様に白い目を向ける大淀
そんな視線をどこ吹く風と、涼しげに流す みつよ様
大淀「大潮?」
大潮「あははは…」
続いて大潮へ。当人はと言えば、とりあえずの苦笑いでごまかしていた
大淀「…あなた達ねぇ」
ピカっと光るカミナリ様と一緒に大淀様の雷も落ちた
大淀「カーテンで遊ぶんじゃありませんっ」
「はい…」
素直に頭を下げる3人だった
ちなみに、降るだけ降ったのか翌日は快晴でした
「てるてるガールは偉大だわっ」とは、みつよ様の言
ついでに、暫くの間 大淀にお化け扱いされる大和だった
ー大和は称号を獲得しました:「お化け」ー
ーEX おしまいー
はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです
それではこの番組は
皐月「いきなり飛び降りるとか、何考えてんのさっ」
三日月「えと…え?」(3階の執務室の窓見上げたり
望月「…な~にやってんだよ」
提督「だって、皐月が離してくれなくて…」
皐月「離さなかったのは司令官じゃないかぁぁっ!}
卯月「超10cm砲がっ!」
菊月「B型改二をっ!」
弥生「後期型…」
夕張「ちょっと、長月…増えてるじゃないのよ…」
長月「すまない…ほんとに…」
金剛「…アナタ達、人が紅茶を飲んでる横で魚を焼いてるんじゃねーデス」
球磨「クマ?金剛も食うクマ?」
多摩「ダメにゃ球磨。イギリス人は揚げ物のほうが好きなはず…」
木曾「揚げたのならほれ?」
金剛「…マヨネーズを所望するデス」
球磨「くまくまくまくま♪」
多摩「やっぱり食欲には勝てなかったにゃ」
瑞鳳「そういえば大鳳?ひと通りって言ってたけれど…」
大鳳「ええ、提督が喜びそうなものはひと通り、ね?」
瑞鳳「ぞっこん?」
大鳳「どうかしら?相手のことを知りたいなら自分から、でしょう?」
瑞鳳「…(女神かこいつは)」
大鳳「それよりも、次回予告よ?」
瑞鳳「今回は私達なのね」
大鳳「ええ、次回は瑞鳳の玉子焼き密着24時、らしいわ」
瑞鳳「ウソでしょっ!?」
大鳳「ええ、嘘よ」
瑞鳳「…ちょっと」
大鳳「うふふふ、それじゃあまたね?」
瑞鳳「あ、ちょっと勝手に締めないでよっ。ああっと、またねっ」
以上のメンバーでお送りしました
ー
ー以下蛇足に付き
ー
♪教えて皐月ちゃんのコーナー♪
提督「ぴんぽんぱんぽーん♪この物語は艦娘達の日常を淡々と描いていくものです」
皐月「過度な期待はしないで下さい…って、何を今更?」
提督「いやね。たまに戦闘シーンとか、シリアスっぽいことやりたくなるから、そんな演出もするけれど
基本的に、メインストーリーなんてありませんし、轟沈シーンなんてもっとないよって」
皐月「そんな期待をしてる人はいないと思うけど…」
提督「とりあえずだよ、とりあえず。基本的には一話完結を目指してます」
皐月「以上、業務連絡でした?」
提督「そんな感じ」
皐月「さて、それじゃー。今回のお話は文月だったね」
提督「なんか、アラカルトというか、小ネタ集みたいになっちゃったけど」
皐月「ま、いいんじゃない?文月と遊ぶって目的は達成されてるんだし
そういえば、木曾さんの釣り好きの話はまだしてなかったっけ?」
提督「あー…言われてみれば。言うほどの理由もないよ、木曾川=鵜飼って印象しかなかったから」
皐月「結構安直だった…」
提督「そんなものだろう。まさか、釣りが好きの理由付けに作文用紙埋めるわけにも行きますまい?」
皐月「それはそうだ。あ、それと個人的な疑問だけど。大鳳さんの言ってたひと通りってどこまでなんだい?」
大鳳「お早うからお休みまでよ?」
皐月「うわ、大鳳さん…」
大鳳「提督の好きなものに、自分の好きなものがあったら、一緒に楽しめるでしょう?」
皐月「それは、そうだけど…」
大鳳「それを切欠に、提督の良い所も悪い所も知っていければ、素敵だと思わない?」(ぺかー
皐月「あ、どうしよう…後光が見える」
大鳳「ね?提督?」(ぺかー
提督「…」
皐月「…(あ、司令官が照れてる)」
大鳳「そうやって、分が悪いと黙りこむのは悪い所ね。可愛くもあるのだけれど、言いたい事はちゃんと言わないと、ね?」
提督「うっさい…次行け、次」
大鳳「ふふ、はいはい。それじゃあ皐月?」
皐月「はーい」
♪皐月ちゃんラジオ♪
皐月「それじゃ、お手紙という名のコメント返しだよ。折角だから大鳳さんも一緒に」
大鳳「ありがとう。よろしくね」
提督「で、今回は?」
・みかづきちゃんもふりたい
・みんな好き
・ロリコンX→父性◯
・次回も楽しみだぞ
大鳳「纏めるとこんな感じね」
皐月「それじゃあ、上から行くよ」
・みかづきちゃんもふりたい
大鳳「これは、真面目な娘ほど可愛がりたくなるって事かしら?」
皐月「少なくても司令官はそうだよね?」(じとー
提督「だって、いちいち反応が可愛いんだもの。もふもふしたらきっと…むふふふふ」
皐月「あーあ、三日月も大変だ」
大鳳「けれど、あの娘。あれで結構強いわよ?下手したら返り討ちじゃない?」
皐月「下手をすればね…そうされないって事は、な?」
大鳳「ああ、なるほど」
皐月「駆逐艦好きな人たちは気をつけなよ?あれで皆艦娘なんだから、憲兵呼ばれる前に命の心配することになるよ」
提督「ご褒美の人もいそうだけどな。んじゃ次」
・みんな好き
大鳳「好きなんですって、良かったわね皐月」
皐月「いや、大鳳さんも含まれてるから」
大鳳「ありがとう。ちょっとこそばゆいわね」
提督「鎮守府によっては、ぶっ飛んでたりネジ外れてる娘もいるからなぁ…」
皐月「みんなの事好きになってくれたのなら、嬉しいよね」
大鳳「それじゃあ、次ね」
・ロリコンX→父性◯
大鳳「これは…どういうことかしら?」
提督「別に、駆逐艦好きには嫁じゃなくて、娘がいいという人もいるって話だよ」
大鳳「お子さんに?」
皐月「どこまで本気か分からないけど、そう珍しい意見でもないよ?」
大鳳「そうなの…いろんな人がいるのね。ちなみに提督はどっちなのかしら?」
皐月「なんだったら、「パパ」とか「お父さん」って呼んであげようか?」(にひひひ
提督「ばーか。残念ながら私は、どっちかと言われれば嫁派だよ。あまり良い父親にもなれそうにないしな」
大鳳「そうかしら?提督の子供だったきっと、奔放な娘になると思うわ」
提督「…本気か?」
大鳳「ええ、親はなくても娘は育つっていうじゃない」
皐月「あ、褒めてなかった」
提督「知ってた…。さて、最後最後」
・次回も楽しみだぞ
大鳳「ええ、こちらこそ。又の機会を待ってるわ」
皐月「いつもありがとね」
提督「こんな鎮守府ですが、少しでも可愛いと思って頂ければ、何よりに思います」
皐月「さ、今回はこんな所だね」
大鳳「ここまで読んでくれて、ほんとうにありがとう」
提督「次回も可愛いが一杯になれれば良いなと思います」
皐月「それじゃ、せーのっ…」
「まったねー」
文月可愛い。異論は認めない。
しかし、文月可愛い。お兄ちゃんと呼ばれたい。
それにつけても、文月可愛い。
文月が天使すぎて生きるのが辛い!!
次回も楽しみにしてます!
つぎは、9月コンビかな?