あ・ず・れ・ん 3
流行りものに乗っかってみた。感想のような妄想その3
注意事項
適当なタイトル
誤字脱字、二次創作にありがちな色々と
いつにもまして適当な文章
鏡面海域が終わった後の感想のような妄想
代わり映えのない日々だった
穏やかとは程遠く荒々しいだけの波と、肌を切り裂く様な冷たい風
港から出ることもなく、ただただそんな毎日を眺めていた
いつだったか、いつのまにか そいつはそこにいた
物見遊山の様な足取りで、きょろきょろと辺りを見回しては どっちつかずに歩き回る
高波が護岸にぶつかっては はしゃいで見せて、一層に風が吹けば 寒い寒いと踊り回る
楽しそうだな…
そんな風に思いながら、始めて見たその少女を、その赤い髪の女の子を
ある種の馬鹿らしさも感じながらも眺めていいた。それは、もしかしたら物見遊山の様な視線だったかもしれない
「ぉっ」
目が合った。それはそう、ずっと見ていたのだから…
ただ不可解だったのは、自分が途端に目を逸らした事、その少女の瞳に何か嫌な予感を感じてしまった事だった
年端の行かない少女に何をとも思うが、あとになってみればその予感はきっと正しかったのだ
「あなた1人なの?こんな所で?」
ただただ人懐っこい調子で駆け寄ってくる少女
「1人なのはキミも同じでしょう?」
「1人じゃないわよ?」
「誰かと一緒なの?」
「あなたと一緒♪」
「…」
笑っていた。その言葉と笑顔に何を返すべきかと悩んでいる内に、気づけば少女が隣に腰を落ち着けていた
馴れ馴れしい、そう断じると 入れ替わるように腰を持ち上げる
「あら、露骨に避けるのね?」
「…キミが気安いのでしょう?」
ズケズケと物を言う
悪いことではないかもしれないが、あまり好きになれそうになかった
それは多分、自分が言われたくない事までも あっさりと指摘されそうで…。まぁ、きっと怖かったんだろう
「人を嫌っては生きていけますまい?」
「合う人皆に友だと言うつもり?」
「まさか、別に博愛主義者じゃないもの。でも、あなたとなら何か楽しくなりそうだと思うわ」
笑顔で差し出された手を一瞥し、そのままふいにする
「名前も知らない相手に」
「じゃあ、教えて?」
「断る」
「私は あかね よっ、霧里 あかね。よろしくね?」
「おい…」
勝手に名乗られた。このまま無視してしまっても構わないが、それではなにか座りが悪い
「おい、じゃなくて あ・か・ね。親しみと愛情を込めて そう呼んで」
「断る」
「じゃあ、あかねちゃん」
「断る」
「あかね様」
「ふざけろ」
「なら、指揮官」
「…」
それこそ 何の冗談かと睨むつもりで落とした視線は、それでもしっかりと受け止められた
むしろ微笑んでさえいる、得意気にだ、始めから そのつもりだったように
「それじゃ行きましょうか ティルピッツ…」
あかねの 羽織っていたコートがそれとなくずらされると、隠れていた階級章が目に留まる
「お前は…」
なるほど、物見遊山の様に見えて捜し物は私だったというわけか…
「お前じゃなくて、あ・か・ね・ちゃん♪」
「断ると…」
「ダメよ、全然ダメ。だってそうでしょう?」
まるで分かっていないと、やたら呆れ顔で肩を竦めてみせる あかね
「だって私帰り道分からないもの」
「は?」
「良いの?このまま私を捨て置いても?凍死するわよ?餓死するわよ?毎晩毎晩、あなたの枕元で愛を囁くわよ?」
「お前は…」
呆れ果てて次の言葉が出てこなかった。自分が迷子ですと、何故そうも自信たっぷりと言えるのか
もういっそ果ててしまえと呪わしくも思ったが、最後の言葉がそれを拒ませる
毎晩毎晩この喧しい女が枕元に立つなどと…今からでも頭痛がしそうだった…
「付いてきなさい…」
「やった♪ だんけ・だんけ・てぃるびっつ~♪」
楽しそうだな…
内心呆れながらも、そう言えばと考える
こんなに誰かと喋ったのは何時ぶりだったかと…
「鬼ごっこぉ…」
ドイッチュラントは、口元をへの字に曲げて さも嫌そうな顔をしていた
「どうして私がそんな子供の遊びを…」
その反応自体は予想通りだし、むしろ その反応を期待していた
「逃げるの?」
安い挑発だ。そんなのは百も承知だが、このプライドが有頂天な娘には それを無視するだけの余裕はないと踏んでいた
「言葉に気をつけろよ小娘(あかね)」
「承知しておりますわ。口は災いの元と重桜では戒められてますもの」
あくまでもあくまでも からかう口調を崩さずに話を続けていく
「だ・け・ど。それは あなたもよ?ドイッチュラント
此処で断れば、あなたは小娘の挑戦から逃げた装甲艦と未来永劫囁かれる事になるわよ?
あまつさえ自分の得意な勝負しか受けない卑怯者と蔑まれることになるかもしれないけど…」
「良いの?」と、最後に締めくくる
それは問ではなく、確認ですら無い、最早脅しの領域だった
「ふ、ふふふふっ…良いわ、バカ娘…」
震える方は自信の予兆、漏れる笑い声は噴火の前兆
しかしてそれは、秒と持たずに爆発した
「私を愚弄したことっ、泣いて公開させてやるわっ」
「あははははっ、鬼さんこっちら、手のなる方へーへへへへへっ♪」
鬼ごっこ、確かにソレらしく鬼の形相で追いかけ回すドイッチュラントではあったが
手を叩きながら逃げ回る あかねのとの差は一向に縮まる気配がなかった
ー
「はい、たっち」
その小柄な肩に手を置くと、鮮やかな金髪がふわりと揺れる
「やらないわよ。子供じゃないんだから」
こっちもこっちでプライドを拗らせてる様で、ドイッチュラントと同じような言葉を返してきた
「ヒッパー。大人だって遊ぶ時は遊ぶのよ?」
「なに?自分が大人だって言いたいわけ。でもお生憎、あいつ みたくはいかないんだから」
「ふんっ」と、鼻を鳴らしてそっぽを向いた、アドミラル・ヒッパーちゃん
意外と冷静。だと言いたいが、拗らせてるやつは大体そういうのだ、自分はそうじゃないと そう思いたがるものだ
「宣言するわ、あなたは私を追いかけてくる、かならずね?」
「はぁっ?どうして私が、ばっかじゃな…」
そこで言葉が途切れる、同時に動きも固まった
「ぱい、たっち♪」
見る見るうちに ヒッパーの表情が怒りを形作っていく
ひく付く こめかみ、引きつった様に持ち上がる口角と、そこから漏れる笑い声
そうして私は彼女の胸に手を置いたまま こういうのだ
「勝った…」
途端に鬼が増えた
ー
「ほっほっほっほっ…ほぅ…」
銀の髪を大げさに揺らしながら、廊下を走るZ46(フィーぜ)
豪奢な服も相まってか、その走りは遅々と進まず苦しげに玉の汗が額に浮いていた
「どうしたの フィー?そんなんじゃ捕まるわよ?」
「いや、どうにも、走るのは不得手でな…」
口を開いたせいか、みるみるとその足を落としていく
「殿は努めよう…。あかね よ、どうか気にせず先に逃げておくれ」
「い・や・よ…っと」
「ぉぉぅっ」
ならばとフィーぜを小脇に抱え込み、とったかとったか逃げ足を早める
「ん、前から…それに、後ろも…か…」
フィーゼが示す先
「見つけたぞ、バカ娘っ!!」
前方のドイッチュラント(狼)と
「そこのバカっ、止まりなさいってのっ!!」
後方にはアドミラル・ヒッパー(虎)
「あかねよ…。何も二人で捕まることもだな…」
それは実に冷静な見解で、安全に勝てそうにも聞こえる提案だけど
「却下よっ」
「ならどうしようと…」
「決まってるわ、そんなもの…。巡洋艦には巡洋艦をぶつけんのよっ!」
前に踏み込む。捕まえようと伸びてくるドイッチュラントの腕を掴み取ると
その表情が驚愕に変わる前に、足を払い、重心をずらし、身体を巻き込んで、後ろへと投げ飛ばした
「ぬぅ、ジュウジツ…っ!!小癪なぁぁぁっ」
「ちょっバカっ、こっちくんなってっぇぇぇっ!?」
「きゃーぁぁぁっ」悲鳴は試合終了の鐘となった
ー
「はっはっ!随分と派手に暴れたなぁ、あかねっ」
「それは褒めてるの、Z1(レーベ)?」
「当然さっ。ちゃんと勝ってみせたしな、さすが俺の見込んだ女だっ」
そうして、バンバンと あかねの背中を景気よく叩いた後
「さぁっ指揮官よ、今こそ喝采をっ!!」
その掛け声ともに
「勝ったぞーっ!」「勝ったぜ-っ!」
仲良く拳を突き上げる二人だった
ー
「ふぅ…また、指揮官に迷惑を…やはり…」
経験不足はイカンともしがたいものがあるか
指揮官が私を抱えて逃げたのも、やはり私が頼りのないせいだろうか
実際、1人でどうにかしてしまったしな…いや、指揮官の戦力の見誤った私が…
などと独り言と共に反省会を始めるフィーゼであった
「ふふっ…」
端末を片手に、1人ほくそ笑む オイゲン
自然と零れる その笑顔は、常の彼女を知っているティルピッツからしたら珍しい反面
アレと関わるようになってからは、割りと日常的な光景にもなっていた
「あいつか?」
「ええ…」
「相変わらず…なんでしょうね…」
予想するまでもない
海が干上がったって、あいつが落ち込んでる所なんて想像出来やしないのだから
「そうね…。相変わらず、バカだわ…ほんと」
少しばかり、声の調子が下がる
それは、想い出を懐かしんでいるようであり、何処か恋い焦がれているようでもあった
「戦えるの、あなた?」
当然の疑問だとは思う
いざ あいつ を前にして、撃てませんでは話しにならない
そのくせ あいつは喜々として撃ち込んでくるだろうと断言出来るのが何より厄介だ
「そんなの、当然でしょう?あかね とは元からそういう話になってるもの」
「勝ったほうが貰い受ける、か」
「ええ…」
「正直、あれが人のものに収まるようには見えないが…」
「だから良いんじゃない?従順なだけな人形なんて欲しくもならないでしょう?」
「分かる話だけど…」
これも1つの愛情表現なのか、参考にするには些か歪曲しすぎてるような気がする
それならまだ、レーベ や フィーゼ…辺りのほうが分かりやすいか
いや、それでさえなのだけど、類はとも呼ぶ…重桜の言葉だったかしらね…
ー
それからしばらく、沈黙が続いていた
お互い口数が多い方でもないし、話題と言っても硝煙の匂いのするような話しは戦場で十分だ
他と言えば…
「静かなものだな…」
たまに顔を出せば騒ぐだけ騒いで帰っていく
戦局がこうなっては、その たま でさえも無くなっていた
元々1人には慣れているつもりだった
現にこうしてオイゲンと席を同じにしてるのに それだけだ、1人でいるのと変わらない
だけど何故だろう、何故かひどく寒く思えるのは、北風に身を晒すよりも痛く思えてしまうのは
「なに?私に会えないのが寂しいとか?」
目を疑った。オイゲンでさえ、呆然と口が開いたまま固まっている
赤い髪の少女、何時もと変わらない表情、人を撫でるような くすぐるような その笑顔
「あ、かね…なんで?」
漸くと、口に出来たのは そんな片言
「ティルピッツが名前を呼んでくれたから?」
本気で言ってるのか、冗談で言ってるのか
それがプロポーズにしたって回りくどい言い方をする
「いや、以前に…どうやって…」
「どうって…密航?」
「…」
最悪だった…。そんな最悪をあっけらかんと口にされ、二の句を告げずにいると
おもむろに立ち上がったオイゲンが、あかね の首根っこをひっ捕まえていた
「帰りなさいっ…」
そう言って、ズルズルと部屋の外へ引きずって歩いて行った
「うわっ、酷いっ。それが久々に会った愛人に言う言葉なのっ!?一晩を共にしようとか思わないのっ!?」
「うっさいっ。状況考えろバカっ、憲兵に引き渡したって構わないのよこっちはっ」
「やめとけよオイゲン。あかね が一日署長とかになったら手がつけられねーぞ」
懐かしい声を聞きつけてか顔をだしたレーベ
しかしてその予想は、こいつならやりかねんと実感を伴ってもいた
「来てしまったものは仕方ないだろう。どれ、面倒は私が見よう…」
フィーゼが小さな手をのばし、あかねをオイゲンから取り上げ…られなかった
「帰れといっておいて…」
その言葉には、中々に黒いもの込めてオイゲンを見上げるフィーゼ
「それとコレとは話が別よ…」
あかね を板挟みにして睨み合う二人
「やめて私の為に争わないでっ」
そうして泣き真似をする あかねはまるで悲劇のヒロインのようにも見えないこともなかったが
「ま、だいたいお前のせいなんだけどなっ」
「うんっ、知ってるっ」
「「あははははっ」」
レーベと一緒になって笑い合う
だけど、心なしか背中を叩く手が想い出のそれよりも痛々しかった
ー
「…」
廊下から聞こえてくる喧騒に眉間を 抑えているティルピッツ
何を思えば良いものか、何を言ったら良いものか…ああ、そうだな、1つ言ってしまいたいのは
「どこまで自由なんだ…あかね は…」
本当に、この戦争の行方が不安で仕方がなかった
「みてみて綾波、応援の札を貰ったわ。しかも2つよっ」
「前回より増えましたね。それに、評価付きですか…」
「倍になったって言ったら凄くない?」
「1を倍にしても2ですが…」
「結構よっ。何より ありがとう と言うべきだわ」
ー
艦これ に つづいてアズールレーン、
こうして女の子を集めて眺めていると、自分の性癖が嫌というほど分かりますね
では、最後までご覧いただきありがとうございました
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